説明

操作ノブの支持構造及び該操作ノブの支持構造を備えた電子機器

【課題】表面が傾いたインパネに本体部が取り付けられた際に、予め定められた力が作用すると、操作ノブが本体部からの突出量が予め定められた以下まで確実に没することを可能とする操作ノブの支持構造及び該操作ノブの支持構造を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】スイッチ装置37の操作軸40と嵌合するとともにロック部42で操作軸40に対する移動を規制している取付部材23の部材本体25の先端部43に形成された斜面部44と、キャップ32の内筒51の先端部51aに形成された斜面部52と、が互いに接するように設けられ、取付部材23と露出部材24とがスライド可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、AV機器などの各種の電子機器などの操作ノブの支持構造及び該操作ノブの支持構造を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車に搭載され、かつCD(Compact Disk)などの光ディスクに記録された情報を読み出して再生するAV機器などの電子機器には、欧州内突規制ECE No.21内装部品の車両許可に関する統一規制に準拠することが求められている。
【0003】
この規制は、自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)の表面や当該インパネに取り付けられる電子機器の本体部としての機器本体の前面(外表面に相当)からのスイッチなどの操作ノブの突出量が9.5mmなどの予め定められた値以下であるか、前記操作ノブに対して自動車の前後方向(水平方向)に沿いかつ当該操作ノブを前述した表面や前面に対して押圧する例えば37.8daNなどの予め定められた力が作用した場合に、操作ノブが前記表面や前面に没する方向に変位して、当該操作ノブの前記表面や前面からの突出量が前述した9.5mmなどの予め定められた値以下となることが求められている。
【0004】
前述した規制を満足するために、従来から種々の操作ノブの支持構造100(図1に示し、例えば、特許文献1参照)が用いられてきた。図1に例示された操作ノブの支持構造100は、前述した電子機器の機器本体101に対して操作ノブ102を変位自在に支持する支持部103と、脆弱部104とを備えている。操作ノブ102は、ノブ本体105と、化粧板106とを備えている。
【0005】
ノブ本体105は、それぞれが円筒状に形成されかつ互いに同軸に設けられた内筒112と外筒113とこれらの筒112,113同士を連結した円環状の連結部114とを一体に備えている。化粧板106は、円板状に設けられ、外筒113の機器本体101外に露出する側の端に取り付けられている。化粧板106は、内筒112の端と間隔をあけている。また、電子機器は、前述したインパネに取り付けられると、機器本体101の前面101aがインパネの表面と平行になる。
【0006】
支持部103は、前記機器本体101内に収容されかつ当該機器本体101の前面101aと平行に固定された印刷配線板107と、当該印刷配線板107に実装されたスイッチ装置108とを備えている。スイッチ装置108は、印刷配線板107に固定されたスイッチ本体109と、このスイッチ本体109から突出しかつこのスイッチ本体109に対して回転する方向や突没する方向に変位自在に設けられた操作軸110とを備えている。操作軸110は、円柱状に形成され、前述した内筒112内に圧入されて、操作ノブ102が取り付けられている。このため、操作ノブ102は、操作軸110によりその軸芯回りに回転する方向や前面101aに対して突没する方向に変位自在即ち機器本体101に対して変位自在となっている。また、操作ノブ102は、機器本体101の前面101aに対して直交した格好となる。
【0007】
脆弱部104は、操作ノブ102の化粧板106から間隔をあけ、かつ内筒112の化粧板106寄りの端から内周方向に突出した突部111を備えている。脆弱部104は、操作ノブ102に対して、その軸芯方向に沿って予め定められた押圧力が作用すると、突部111と内筒112の内周面との間が破断することで、操作ノブ102の機器本体101の前面101aからの突出量を前述した予め定められた値以下とするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−210288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した自動車のインパネは、当該自動車のデザイン上の多種多様性により、前記表面が鉛直方向と平行ではなく、上方に向かうにしたがって自動車の前方に向かう方向に傾斜していることが多い。このように表面が傾斜したインパネに電子機器を取り付けると、勿論、電子機器の機器本体101の前面101aも、前述したインパネの表面と平行になって傾いてしまう。すると、勿論、スイッチ装置108の操作軸110の長手方向も、自動車の前後方向(水平方向)に対して傾いてしまう。
【0010】
このため、前述した方向(水平方向)の押圧力を操作ノブ102に加えると、まず、操作軸110がスイッチ本体109に没した後に、図2に示すように、操作ノブ102の化粧板106の外表面が鉛直方向と平行になる方向に、当該操作ノブ102がスイッチ装置109に対して回転してしまう。この場合、脆弱部104の突部111が部分的に破断し易く、特に、操作ノブ102の上端の前面101aからの突出量が予め定められた値を越えてしまい、前述した規制を満足することができないことが考えられる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、例えば、表面が傾いたインパネに本体部が取り付けられても、予め定められた水平方向の押圧力が作用すると、操作ノブが本体部からの突出量が予め定められた以下まで確実に没することを可能とする操作ノブの支持構造及び該操作ノブの支持構造を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の操作ノブの支持構造は、本体部の外表面から突出しかつスイッチ装置に取付られた操作ノブを備えた電子機器の操作ノブの支持構造において、前記操作ノブは、前記本体部外に露出する露出部と、前記露出部に対してスライド可能に嵌合され、かつ、前記スイッチ装置の操作軸に取付けられるとともに内周面から突出して前記操作軸に対して移動することを規制するロック部が設けられた取付部と、前記露出部から前記取付部に向かって突出し、該操作ノブが前記外表面に向かって水平方向に押圧される力が予め定められた所定の力を超えると前記ロック部のロックを解除する解除部と、を備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の操作ノブの支持構造の断面図である。
【図2】図1に示された操作ノブに水平方向の押圧する力が作用した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる操作ノブの支持構造を備えたAV機器を示す斜視図である。
【図4】図3に示された操作ノブの支持構造の断面図である。
【図5】図3に示された操作ノブの支持構造の分解斜視図である。
【図6】図4に示された操作ノブに水平方向の押圧する力が作用した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる操作ノブの支持構造の断面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる操作ノブの支持構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を説明する。本発明の一実施形態にかかる操作ノブの支持構造は、操作ノブが、本体部外に露出する露出部と、露出部に対してスライド可能に嵌合され、かつ、スイッチ装置の操作軸に取付けられるとともに内周面から突出して操作軸に対して移動することを規制するロック部が設けられた取付部と、露出部から取付部に向かって突出し、該操作ノブが外表面に向かって水平方向に押圧される力が予め定められた所定の力を超えるとロック部のロックを解除する解除部と、を備えているので、解除部が取付部を押し広げることによって操作軸へのロックが解除されて操作軸に対して操作ノブが鉛直線の方向(下方向)に回転する力を弱めることができるとともに、取付部が操作軸の軸方向に移動しつつ露出部が操作軸の軸方向にスライドすることができるために、操作ノブが本体部からの突出量が予め定められた値以下となるまで確実に本体部に対して没することになる。
【0015】
さらに、従来技術に記載したように脆弱部が破断することで操作ノブが本体部に没する構造ではないので、一度没する動作が行われた後に同じ部品を再利用することが可能となる。
【0016】
また、取付部の一端に、先端に向かうにしたがって取付部の内径が大きくなるように形成された斜面部と、解除部の一端に、先端に向かうにしたがって解除部の外径が小さくなるように形成された斜面部と、のうち少なくともいずれか一方が設けられ、そして、取付部の一端または解除部の一端が斜面部に接していても良い。このようにすることにより、取付部の一端や解除部の一端が斜面部に沿って押されるために、解除部が取付部を確実に押し広げることができる。
【0017】
また、取付部には、該取付部の軸方向に沿ってスリットが設けられても良い。このようにすることにより、解除部によって押し広げられ易くなる。
【0018】
さらに、本発明では、前述した操作ノブの支持構造を備えた電子機器としても良い。このようにすることにより、電子機器は、前述した操作ノブの支持構造を備えているので、解除部がロック部のロックを解除することによって支持部材に対して操作ノブが回転する力を弱めることができるとともに、操作ノブが本体部から突出量が予め定められた値以下となるまで確実に本体部に対して没することになる。
【実施例】
【0019】
本発明の一実施例を、図3ないし図6に基づいて説明する。本発明の一実施例に係る電子機器としてのAV(Audio-Visual)機器1は、移動体としての自動車のインストルメントパネル(図3中に二点鎖線で示し、以下、インパネと呼ぶ)Pなどに装着される。以下、後述するCDやMDの表面と平行でかつこれらのCDやMDの出し入れする方向と平行な矢印Yを奥行き方向と呼び、CDやMDの表面と平行でかつ前記奥行き方向Yに対し直交する矢印Xを幅方向と呼び、前記奥行き方向Yと幅方向Xとの双方に対し直交する矢印Zを厚み方向と呼ぶ。また、インパネPの表面Paは、上方に向かうにしたがって前記自動車の前方に向かうように、鉛直方向に対して傾いている。
【0020】
AV機器1は、図3に示すように、本体部としてのケース2と、再生装置としてのCD(Compact Disc)プレーヤ3と、再生装置としてのMD(Mini disc)プレーヤ4と、ラジオ放送を受信するAM/FMチューナ5と、表示部6と、操作部7とを備えている。
【0021】
ケース2は、合成樹脂で構成されたフロントパネル18aと、板金で構成されたケース本体18bとを備えて、箱状に形成されている。ケース2は、ケース本体18bの図3中手前側にフロントパネル18aが取り付けられた状態で、前述したインパネPに取り付けられる。ケース2は、ケース本体18bが前述したインパネPに取り付けられて、フロントパネル18aが外部に露出しかつ乗員(使用者ともいう)に相対する。ケース2の図1中手前側に位置するフロントパネル18aの露出する外表面としての前面2aは、ケース2がインパネPに取り付けられると、当該インパネPの表面Paと平行になる。このため、前面2aは、鉛直方向との角度が予め定められた状態で、当該鉛直方向に対して傾いて配置される。
【0022】
また、フロントパネル18aの前面2aには、CD用挿入口8と、MD用挿入口9と、操作部用孔13とが開口している。
【0023】
CD用挿入口8は、内側にCDを通して、該CDをケース2即ちCDプレーヤ3に出し入れする。MD用挿入口9は、内側にMDを通して、該MDをケース2即ちMDプレーヤ4に出し入れする。操作部用孔13は、前記フロントパネル18aを貫通している。操作部用孔13即ちフロントパネル18aは、操作部7の後述する操作ボタン11を収容するとともに、前記前面2aに対して直交する奥行き方向Yに沿って、当該操作ボタン11を移動自在に支持する。
【0024】
また、ケース2には、図4に示すように、孔14が設けられている。孔14は、前面2aに開口し、かつ平面形状が丸形に形成されている。
【0025】
CDプレーヤ3は、ケース2に挿入されたCDの情報を読み出して、音声として出力する。MDプレーヤ4は、ケース2に挿入されたMDの情報を読み出して、音声として出力する。AM/FMチューナ5は、ラジオ放送を受信して、音声として出力する。これらのプレーヤ3,4及びチューナ5は、操作部7に設けられた後述する操作ボタン11等を使用者が押圧することによって動作する。
【0026】
表示部6は、前述したフロントパネル18aの前面2aから露出しかつ当該フロントパネル18aに取り付けられた蛍光表示管などからなる情報を表示する表示パネル10を備えている。表示部6は、表示パネル10に再生中のCDやMDのプログラムやチューナ5が受信中の放送局名などの情報を表示する。
【0027】
操作部7は、複数の操作ボタン11と、一つの操作ノブの支持構造(以下、単に支持構造と記し、図4乃至図6に示す)12などを備えている。操作ボタン11は、操作部用孔13内に収容され、前記前面2aに対して直交する方向に沿ってスライド自在に取り付けられたボタン本体と、ケース2内に設けられた図示しない印刷配線板に実装されたスイッチとを備えている。スイッチは、ボタン本体を前面2aから突出する方向に付勢している。操作ボタン11は、スイッチの付勢力に抗して、押圧操作されることで、前述したプレーヤ3,4及びチューナ5などを動作させる。
【0028】
支持構造12は、図4に示すように、前述したAV機器1のケース2の前面2aから突出して設けられた操作ノブ15と、当該操作ノブ15が取り付けられるスイッチ装置37を備えた支持部21と、を備えている。
【0029】
操作ノブ15は、図4に示すように、取付部としての取付部材23と、露出部としての露出部材24と、バネ41と、を備えている。取付部材23は、円筒状(即ち筒状)の部材本体25と、係止部27とを一体に備えている。
【0030】
部材本体25は、その内径が後述するスイッチ装置37の操作軸40の外径と略等しく形成されている。部材本体25の内周面には、操作軸40に対する移動を規制するために内周面から内側に向かって突出したロック部42が形成されている。また、部材本体25の一端としての先端部43には斜面部44が形成されている。斜面部44は、部材本体25の肉厚が先端部43に向かうに従って薄く、かつ、内径が大きくなるように形成されている。さらに、部材本体25には、図5に示すように、先端部43から円筒の軸方向に沿ってスリット45が形成されている。そして、部材本体25は、操作軸40の外周に嵌合するなどして、当該操作軸40の外周に取り付けられる。
【0031】
係止部27は、部材本体25の他端部、つまり図4の印刷配線板36側の端部から露出部材24の筒部33へ向かって延在している係止部本体28と、当該係止部本体28の露出部材24寄りの先端に設けられた突起部29とを一体に備えている。
【0032】
係止部本体28は、部材本体25の他端部の周囲に形成されている。係止部本体28は、突起部29の設けられた先端から部材本体25に向かって設けられたスリット28aによって複数に分割されている。なお、このスリット28aによって、操作ノブ15(支持構造12)を組み立てる際に係止部本体28が撓みやすくなり後述する筒部33内に挿入し易くすることができる。即ち、係止部本体28は、略円環状に形成されている。突起部29は、当該係止部本体28の露出部材24寄りの先端から部材本体25と平行かつ露出部材24のキャップ32の方向に突出している。そして、係止部本体28の先端が露出部財24の係止部46に係止されることで露出部材24の内部に係止される。また、係止部本体28は、図5に示したように露出部材24の筒部33に設けられた溝47と係合して、取付部材23の空転を防止する空転防止部48が形成されている。
【0033】
バネ41は、リング状に形成され、部材本体25の外周に嵌合している。バネ41は、部材本体25の操作軸40への嵌合力(締結力)を高めている。
【0034】
露出部材24は、キャップ32と、筒部33と、を備えている。キャップ32は、円板状のキャップ本体部49と、キャップ本体部49の外縁から立設した外筒50と、外筒50よりも内側から立設した内筒51と、を一体に備えている。
【0035】
外筒50は、外径が筒部33の内径と略等しく形成され筒部33の内周に嵌め込まれる。内筒51は、外周部に、キャップ本体部49から一端としての先端部51aに向かうに従って肉厚が薄く、かつ、外径が小さくなるように形成された斜面部52が形成されている。内筒51は、斜面部52が部材本体25の斜面部44と接している。
【0036】
筒部33は、係止部46と、凸部53と、溝47と、を一体に備えている。係止部46は、筒部33の印刷配線板36側の先端に当該筒部33の内周面から操作軸40に向かって突出している。そして、係止部46は、取付部材の係止部27を係止している。凸部53は、筒部33の内周面から突出するように形成され、キャップ32が載置されるとともに、支持構造12組み立て時の取付部材23と操作軸40との位置決めをサポートする。溝47は、筒部33の内周面に軸方向に沿って形成され、取付部材23の空転防止部48が嵌合して、取付部材23と筒部33との空転を防止する。更に、操作ノブ15の露出部材24に自動車の前後方向(水平方向)に沿って前面2aに向かって押圧される力F(図6中に矢印で示す)が予め定められた所定以上の力で作用すると、内筒51の先端部51aが部材本体25の先端部43及びロック部42を押し広げて、操作軸40がロック部42を超えて部材本体25に侵入した際に、筒部33がスライド可能なとなるようになっている。即ち、露出部材24がスライドして本体部2に対して没することができる。
【0037】
支持部21は、ケース2内に収容され、設置部材としての印刷配線板36と、当該印刷配線板36に実装(設置)された支持部材としてのスイッチ装置37とを備えている。
【0038】
印刷配線板36は、絶縁性の基板38と、当該基板38の表面上に形成された導体パターンとを備えている。印刷配線板36は、その表面36aが前面2aと平行な状態で、固定されている。
【0039】
スイッチ装置37は、印刷配線板36に固定されたスイッチ本体39と、このスイッチ本体39から突出しかつこのスイッチ本体39に対して回転する方向及び突没する方向に変位自在に設けられた操作軸40とを備えている。操作軸40は、円柱状に形成され、前述した取付部材23の部材本体25内に圧入されて、操作ノブ15が取り付けられている。こうして、スイッチ装置37は、操作ノブ15を支持している。操作ノブ15は、操作軸40によりその軸芯回りに回転する方向と前面2aに対して突没する方向に変位自在即ちケース2に対して変位自在に設けられているとともに、勿論、前面2aから突出している。なお、操作ノブ15の前面2aからの突出量は、操作のし易さを考慮して欧州内突規制ECE No.21内装部品の車両許可に関する統一規制で定められた9.5mmなどの予め定められた値よりも十分に大きな値となっている。さらに、操作ノブ15のキャップ32は、前記前面2aなどと平行に配置されている。
【0040】
前述した支持構造12は、スイッチ装置37を実装した印刷配線板36がケース2内で固定される。一方、操作ノブ15は、筒部33にキャップ32を取り付け、取付部材23を筒部33の係止部46が形成された側から挿入して係止部27を筒部33の内部に係止して、組み立てられる。そして、組み立てられた操作ノブ15を、スイッチ装置37の操作軸40に取り付ける。すると、印刷配線板36の表面36aがフロントパネル18aの前面2aと平行になるとともに、スイッチ装置37の操作軸40の長手方向が前面2aに対して直交した状態に配置される。
【0041】
支持構造12は、操作ノブ15が押圧されると、この押圧されたことをスイッチ装置37が検出して、AV機器1全体の電源をオン・オフし、操作ノブ15が軸芯回りに回転されると、この回転されたことをスイッチ装置37が検出して、再生中又は受信中のプログラムの音量を調整するために用いられる。
【0042】
そして、支持構造12は、操作ノブ15に、自動車の前後方向(水平方向)に沿って、当該操作ノブ15をフロントパネル18aの前面2aに向かって押圧される力F(図6中に矢印で示す)が作用すると、図6に示すように、キャップ32の内筒51の斜面部52が、部材本体25の斜面部44に沿って移動する。この際、押圧される力Fが部材本体25自身やバネ41による嵌合力(締結力)を上回ると、内筒51によって部材本体25が押し広げられる。内筒51の斜面部52が、部材本体25の斜面部44に沿ってさらに移動し、ロック部42先端の内径が操作軸40の外径よりも押し広げられると、部材本体25とバネ41による操作軸40へのロックが解け、スイッチ装置37に対して操作ノブ15が鉛直線の方向に(下方向に)回転しようとする力を弱めて、キャップ32(露出部材24)が操作軸40の方向に移動する。即ち、操作軸40は印刷配線板36に固定されているので、取付部材23がキャップ32に押されて印刷配線板36の方向へ移動するとともに、露出部材24も取付部材23に対してスライドして、露出部材24がケース本体18bに没する方向に移動する。そして、図6に示すように、操作ノブ15の前面2aからの突出量Tが、前述した予め定められた値(例えば9.5mm)を下回る。
【0043】
本実施例によれば、スイッチ装置37の操作軸40と嵌合するとともに操作軸40に対する移動を規制するロック部42を備えた取付部材23の部材本体25の先端部43に形成された斜面部44と、キャップ32の内筒51の先端部51aに形成された斜面部52と、が互いに接するように設けられ、取付部材23と露出部材24とがスライド可能に設けられている。そのため、操作ノブ15をフロントパネル18aに向かって水平方向に押圧する力Fが予め定められた所定の力を超えると、内筒51が部材本体25を押し広げることによって操作軸40へのロックを解除して、スイッチ装置37に対して操作ノブ15が鉛直線の方向(下方向)に回転する力を弱めることができ、取付部材23が操作軸40に対して印刷配線板36の方向に(操作軸の軸方向に)移動するとともに露出部材24が取付部材23に対してスライドすることができるために、操作ノブ15がフロントパネル18aからの突出量が予め定められた値以下となるまで確実にフロントパネル18aに対して没することができる。
【0044】
さらに、本実施例では部材の一部が破断することで操作ノブ15が前面2aに没する構造ではなく、部材本体25を押し広げているだけであるので、一度没する動作が行われた後に同じ部品を再利用することが可能となる。
【0045】
また、取付部材には、部材本体25に軸方向に沿ってスリットが設けられているので、内筒51によって押し広げられ易くなる。
【0046】
さらに、AV機器1は、前述した操作ノブの支持構造12を備えているので、予め定められた所定の力が操作ノブ15に作用すると、内筒51によって部材本体25が押し広げられるため、操作ノブ15がフロントパネル18aから突出量Tが予め定められた値以下となるまで確実にフロントパネル18aに対して没することになる。
【0047】
なお、前述した実施例では、露出部材24をキャップ32と筒部33とで構成しているが、一体に構成しても良い。また、部材本体25のみで操作軸40を嵌合する嵌合力(締結力)を確保できればバネ41は設けなくとも良い。
【0048】
また、前述した実施例では、部材本体25と内筒51に斜面部44、52を設けていたが、図7や図8に示したように部材本体25と内筒51のいずれか一方のみに設けても良い。
【0049】
前述した実施例では、電子機器として自動車に取り付けられるAV機器1を示している。しかしながら、本発明では、AV機器1に限らず、種々の電子機器に適用しても良い。
【0050】
前述した実施例によれば、以下の支持構造12が得られる。
【0051】
(付記)ケース2の前面2aから突出しかつスイッチ装置37に取付けられた操作ノブを備えた電子機器の操作ノブの支持構造において、
操作ノブ15は、ケース2の前面2a外に露出する露出部材24と、
露出部材24に対してスライド可能に嵌合され、かつ、スイッチ装置37の操作軸40に取付けられるとともに内周面から突出して操作軸40に対して移動することを規制するロック部42が設けられた取付部材23と、
露出部材24から取付部材23に向かって突出し、該操作ノブ15が前面2aに向かって水平方向に押圧される力Fが予め定められた所定の力を超えるとロック部42のロックを解除する内筒51と、
を備えたことを特徴とする操作ノブの支持構造12。
【0052】
付記によれば、内筒51が部材本体25を押し広げることによって操作軸40へのロックが解除されて操作軸40に対して操作ノブ15が鉛直線の方向(下方向)に回転する力を弱めることができるとともに、部材本体25が操作軸40の軸方向に移動しつつ露出部材24が操作軸40の軸方向にスライドすることができるために、操作ノブ15が前面2aからの突出量が予め定められた値以下となるまで確実に前面2aに対して没することになる。
【0053】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 AV機器(電子機器)
2 ケース(本体部)
2a 前面(外表面)
12 操作ノブの支持構造
15 操作ノブ
23 取付部材(取付部)
24 露出部材(露出部)
25 部材本体
36 印刷配線板
37 スイッチ装置
40 操作軸
42 ロック部
43 先端部(一端)
44 斜面部
45 スリット
51 内筒(解除部)
51a 先端部(一端)
52 斜面部
F 押圧される力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の外表面から突出しかつスイッチ装置に取付られた操作ノブを備えた電子機器の操作ノブの支持構造において、
前記操作ノブは、前記本体部外に露出する露出部と、
前記露出部に対してスライド可能に嵌合され、かつ、前記スイッチ装置の操作軸に取付けられるとともに内周面から突出して前記操作軸に対して移動することを規制するロック部が設けられた取付部と、
前記露出部から前記取付部に向かって突出し、該操作ノブが前記外表面に向かって水平方向に押圧される力が予め定められた所定の力を超えると前記ロック部のロックを解除する解除部と、
を備えたことを特徴とする操作ノブの支持構造。
【請求項2】
前記取付部の一端に、先端に向かうにしたがって前記取付部の内径が大きくなるように形成された斜面部と、前記解除部の一端に、先端に向かうにしたがって前記解除部の外径が小さくなるように形成された斜面部と、のうち少なくともいずれか一方が設けられ、そして、前記取付部の一端または前記解除部の一端が前記斜面部に接していることを特徴とする請求項1に記載の操作ノブの支持構造。
【請求項3】
前記取付部には、該取付部の軸方向に沿ってスリットが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の操作ノブの支持構造。
【請求項4】
外表面が鉛直方向に対して傾いて配置され、かつ変位自在な操作ノブを前記外表面から突出して設けた本体部を備えた電子機器において、
前記操作ノブの支持構造として、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の操作ノブの支持構造を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−18453(P2011−18453A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160351(P2009−160351)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】