説明

操作パネル

【課題】携帯端末の利用により視認性や操作性を確実に向上させることのできる操作パネルを提供する。
【解決手段】操作パネル30に第1画面を表示し、第1画面と連携した第2画面の表示データを、操作パネル30の近くに配置された携帯端末40へ送信して、携帯端末40に第2画面を表示させる。第2画面は、操作パネル30の画面領域を拡張した場合にその拡張部分に表示されるべき表示内容に相当する画面である。また、操作パネル30は、第2画面で受け付けた操作内容を携帯端末40から受信してこの操作を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作画面などを表示する表示部とユーザの操作を受け付ける操作部とを有する操作パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
操作パネルの画面サイズが小さい場合には、視認性や操作性が低下する。
【0003】
そこで、たとえば、印刷装置の操作パネルの代わりに、携帯端末に設定画面を表示し、携帯端末で操作を受け付けた設定内容を印刷装置に送信するようにした印刷装置が開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末が視認性の良い大きな表示部と複数の操作キーなどを備えている場合には、携帯端末を印刷装置の操作パネルの代わりに使用することで、設定操作等における操作性や視認性を改善することができる。
【0006】
しかし、携帯端末の画面サイズが、印刷装置とさほど変わらず比較的小さい場合には、操作性や視認性の改善は望めない。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、携帯端末の利用により視認性や操作性を確実に向上させることのできる操作パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]表示部と、
ユーザ操作を受ける操作部と、
表示内容を制御する表示制御部と、
前記表示部の近傍の携帯端末と通信する通信部と、
を備え、
前記制御部は、
前記表示部に表示する第1画面と、この第1画面と連携して前記携帯端末に表示させる第2画面とを決定し、前記第1画面を前記表示部に表示させ、前記第2画面の表示データを前記通信部から前記携帯端末に送信して前記第2画面を前記携帯端末に表示させる連携表示機能を実行する
ことを特徴とする操作パネル。
【0010】
上記発明では、操作パネルの表示部に第1画面が表示され、この表示部の近傍に配置された携帯端末に、第1画面に連携した第2画面が表示される。たとえば、第2画面は、第1画面を延長もしくは拡張した場合にその延長もしくは拡張された部分に表示される画面に相当する。
【0011】
[2]前記制御部は、所定の画面のうち前記表示部に表示可能な範囲を前記第1画面とし前記表示部に表示し切れない部分を前記第2画面とする
ことを特徴とする[1]に記載の操作パネル。
【0012】
上記発明では、第1画面に表示し切れない部分(第1画面からあふれた部分)が第2画面として表示される。
【0013】
[3]前記通信部は、前記第2画面の表示中に前記第2画面に対する操作を受けた前記携帯端末から前記操作の内容を示す操作情報を受信し、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記操作情報が示す操作の内容を当該操作パネルに対する操作の内容として受け付ける
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の操作パネル。
【0014】
上記発明では、携帯端末の第2画面に対する操作が、操作パネルに対する操作として受け付けられる。
【0015】
[4]前記制御部は、前記連携表示機能で前記第2画面として表示する画面の種類の設定をユーザから受け付け、その設定された種類の画面のみを前記第2画面として前記連携表示機能で表示する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0016】
上記発明では、設定された特定の種類の画面だけが連携表示機能で第2画面に表示される。
【0017】
[5]前記第2画面は、
前記表示部に表示し切れなかった部分を表示する画面、前記表示部に表示する前記第1画面のスクロール領域に表示し切れないスクロール先の部分のみを表示する画面、第1画面に関連する補助画面、の中の少なくとも1つである
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0018】
[6]前記表示部に対する前記携帯端末の相対位置を特定する相対位置特定部を備え、
前記制御部は、前記相対位置特定部によって特定された前記携帯端末の前記表示部に対する相対位置に応じて前記第1画面および前記第2画面の表示内容を変更する
ことを特徴とする[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0019】
上記発明では、操作パネルに対する携帯端末の相対位置、たとえば、操作パネルの上下左右のいずれに携帯端末が位置しているかによって、第1画面と第2画面の表示内容を変更する。
【0020】
[7]前記通信部は、無線通信によって前記携帯端末と通信し、
前記制御部は、前記通信の状態から前記携帯端末までの距離を判定し、前記判定した距離が所定距離以内の場合は、前記連携表示機能の実行を自動的に開始する
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0021】
上記発明では、操作パネルから所定距離の範囲内に携帯端末があるとき、連携表示機能が自動的に開始される。
【0022】
[8]前記制御部は、前記連携表示機能の実行開始後、入力操作もしくは設定操作の完了を検出したとき、前記連携表示機能の実行を自動的に終了させる
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0023】
上記発明では、たとえば、スタート釦や設定完了釦が操作された場合は、ユーザによる操作が終了したと判断できるので、このタイミングで連携表示機能の実行を自動的に終了させる。
【0024】
[9]前記制御部は、前記連携表示機能において、前記第1画面と前記第2画面とに跨るオブジェクトが生じないように、各オブジェクトの表示位置を決定する
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の操作パネル。
【0025】
上記発明では、操作釦やメッセージのオブジェクトが、第1画面と第2画面の境界を跨って表示されないように、それらの表示位置が決定される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る操作パネルによれば、携帯端末の画面サイズに係らず、携帯端末の利用により視認性や操作性を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る操作パネルと、この操作パネルが搭載された複合機と、連携表示機能で使用される携帯端末の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る操作パネルを備えた複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】連携表示機能開始前の操作パネルの表示状態と、第1表示モードが設定されている場合における連携表示機能開始後の操作パネルおよび携帯端末の表示状態の一例を示す説明図である。
【図4】連携表示機能開始前の操作パネルの表示状態と、第2表示モードが設定されている場合における連携表示機能開始後の操作パネルおよび携帯端末の表示状態の一例を示す説明図である。
【図5】連携表示機能の開始から終了までの複合機(操作パネル)および携帯端末の動作を示す流れ図である。
【図6】表示画面判断処理の詳細を示す流れ図である。
【図7】携帯端末が操作パネルの上側に配置されている場合の連携表示機能開始後の操作パネルおよび携帯端末の表示状態の一例を示す説明図である。
【図8】アイコンのフリック操作によって連携表示機能を開始する場合における連携表示機能開始前後の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る操作パネル30と、この操作パネル30が搭載された複合機10と、本発明の連携表示機能に使用される携帯端末40の一例を示している。複合機10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へネットワークを通じて送信したりするスキャンジョブ、端末装置からネットワーク2を通じて受信した印刷データに係る画像を記録紙上に形成して印刷出力するプリントジョブなどの複数種類のジョブを実行する機能を備えた画像処理装置である。
【0030】
複合機10は、ジョブの投入操作や各種の設定操作などをユーザから受け付ける操作パネル30を備えている。また、操作画面や設定画面などの各種の画面を操作パネル30に表示すると共に、操作パネル30に表示された画面と連携する画面の表示データを操作パネル30の近傍に配置された携帯端末40に無線送信してその連携する画面を携帯端末40に表示させる連携表示機能を備えている。
【0031】
図2は、複合機10の概略構成を示すブロック図である。複合機10は、当該複合機10の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)11を有している。CPU11にはバスを通じてROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像読取部14と、プリンタ部15と、画像処理部16と、不揮発メモリ17と、自動原稿搬送部(ADF)18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部21と、無線通信部22と、操作パネル30とを備えている。
【0032】
CPU11は、OS(Operating System)プログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどを実行する。また、CPU11は、操作パネル30の表示内容を制御する制御部としての機能を果たす。
【0033】
ROM12には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が各種処理を実行することで複合機10の各機能が実現される。
【0034】
RAM13は、CPU11がプログラムに基づいて処理を実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0035】
画像読取部14は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部14は、例えば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動ユニットと、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0036】
プリンタ部15は、画像データに応じた画像を記録紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
【0037】
画像処理部16は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0038】
不揮発メモリ17は、電源をオフにしても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)であり、各種設定情報の保存などに使用される。また、不揮発メモリ17には、連携表示機能に関する表示モードの設定値が記憶される。
【0039】
自動原稿搬送部(ADF)18は、原稿台にセットされた原稿をその最上のものから1枚ずつ順に繰り出して搬送し、画像読取部14の読み取り位置を通過させて所定の排紙位置へ排紙する機能を果たす。
【0040】
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する機能を果たす。
【0041】
ネットワーク通信部21は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて端末装置やその他の外部装置との間でデータを通信する機能を果たす。
【0042】
無線通信部22は、操作パネル30の近傍に配置された携帯端末40と無線通信する機能を果たす。無線通信部22の通信可能距離は50cm程度で十分である。通信方式には各種の近距離無線通信方式を採用することができる。
【0043】
操作パネル30は、表示部31と、操作部32とを備えている。表示部31は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。操作部32は、スタートボタンなどの各種操作スイッチと、表示部31の物理的画面上に設けられたタッチパネルとを備えている。
【0044】
タッチパネルは、物理的画面がタッチペンや指などで押下された座標位置や、フリック操作やドラッグ操作、スクロールバーに対する操作を検出する。フリック操作は、指などで物理的画面をタッチした後、その指を跳ねるように動作させる操作である。ドラッグ操作は、指などで物理的画面をタッチした後、タッチした状態のまま指をスライドさせる動作である。
【0045】
図3は、連携表示機能開始前の操作パネル30の表示状態(同図(A))と、連携表示機能開始後の操作パネル30および携帯端末40の表示状態(同図(B))の一例を示している。なお、操作パネル30の表示部31に表示される画面を第1画面、携帯端末40に表示される画面を第2画面と呼ぶものとする。
【0046】
図3(A)に示した連携表示機能開始前の操作パネル30に表示された第1画面には、各種の操作釦51のほか、拡張釦52が表示されている。いずれかの操作釦51を右または左方向へフリック操作することで、操作釦51の列がそのフリック操作の方向にスクロールする。
【0047】
連携表示機能開始前の操作パネル30に表示されている拡張釦51が操作される(タッチされる)と、無線通信によって近傍の携帯端末40を探索し、連携可能な携帯端末40を見つけた場合は連携表示機能が開始される。
【0048】
連携表示機能が開始されると、操作パネル30には第1画面が表示され、操作パネル30の近傍に配置された携帯端末40には、第1画面に連携した第2画面が表示される。図3(B)に示すように、連携表示機能の実行中は、操作パネル30の第1画面に、連携表示機能を終了させる際に操作される拡張終了釦53が表示されると共に、拡張釦52は操作できなくなる。図3の例では、操作不能とするために拡張釦52をグレーアウトしているが、拡張釦52を非表示としてもよい。
【0049】
図3(B)の例では、連携表示機能の開始後、携帯端末40側の第2画面には、操作パネル30の第1画面に表示し切れない操作釦51が表示されている。第2画面は第1画面の続きを表示する画面になっている。すなわち、第2画面は、仮に操作パネル30の表示部31の画面サイズを携帯端末40の併置された方向へ拡張もしくは延長した場合にその拡張または延長部分に表示される画面に相当する。
【0050】
図3(B)の例では、操作パネル30の右横に携帯端末40を配置しているので、操作パネル30に表示された第1画面を右側に拡張した場合にその拡張部分に表示される内容が携帯端末40に第2画面として表示されている。第1画面と第2画面の境界に位置する「Web」釦51aは、第1画面の右端と第2画面の左端に跨って表示されている。
【0051】
操作パネル30に表示されている第1画面上でユーザがフリック操作を行うと、第1画面内の各操作釦51および携帯端末40に表示された第2画面内の各操作釦51が連動して、フリック操作の方向にスクロールする。また、携帯端末40に表示されている第2画面上でユーザがフリック操作を行うと、第1画面内の各操作釦51および携帯端末40に表示された第2画面内の各操作釦51が連動して、フリック操作の方向にスクロールするようになっている。さらに、携帯端末40の第2画面に表示されたいずれかの操作釦51が操作されると、その操作内容を示す操作情報が携帯端末40から無線通信で送信される。無線通信部22はこの操作情報を受信し、複合機10のCPU11は、この操作情報の示す操作内容を操作パネル30に対する操作と同様に受け付ける。
【0052】
本実施の形態に係る操作パネル30では、連携表示機能において第2画面としてどのような種類の画面を携帯端末40に表示させるかを複数種類の中からユーザが選択できるようになっている。ここでは、以下の3種類の表示モードの中のいずれかを選択することができる。
【0053】
第1表示モード:第1画面の種類を問わず、第1画面に表示し切れなかった(第1画面からあふれた)部分を第2画面として表示する。
第2表示モード:第1画面のスクロール領域に表示し切れないスクロール先の部分のみを第2画面として表示する。
第3表示モード:第1画面に関連する補助画面を第2画面として表示する。
【0054】
図3(B)は、上記第1表示モードが選択されている場合の表示例である。
【0055】
図4は、上記第2表示モードが選択されている場合の表示例である。図4(A)は連携表示機能開始前における操作パネル30の表示状態を、図4(B)は連携表示機能開始後の操作パネル30および携帯端末40の表示状態を例示している。連携表示機能開始前の操作パネル30には図3(A)と同様に拡張釦52が表示されている。
【0056】
また、図4(A)では、連携表示機能開始前の操作パネル30に、アドレス帳に登録されている宛先の中から画像データの送信先を選択する宛先選択画面が表示されている。アドレス帳に登録されている宛先は多数あって一度に全部を表示できないため、宛先選択画面にはスクロールバー62によって表示内容をスクロールさせることのできるスクロール領域61が設けられている。スクロール領域61には、N行4列(Nは宛先総数を4で除した商の小数点以下を切り上げた整数値)の行列状に配置された宛先選択釦63のうち、スクロール領域61に収まる数行分が表示される。図4(A)の例では、第1〜第3行目の宛先選択釦(A1〜A12)がスクロール領域61に表示されている。
【0057】
第2表示モードが選択されている場合に、図4(A)の拡張釦52が操作されて連携表示機能を開始すると、操作パネル30に表示されている第1画面の中のスクロール領域61の部分だけが拡張され、第1画面のスクロール領域61に表示し切れなかったスクロール先の部分が携帯端末40に第2画面として表示される。第2画面には宛先選択釦63が表示されるスクロール領域61とスクロールバー62が表示される。
【0058】
図4(B)の例では、第1、第2行目の宛先選択釦A1〜A8は操作パネル30側の第1画面のスクロール領域61に表示され、その続きの部分である第3行〜第6行目の宛先選択釦A9〜A24が携帯端末40に第2画面のスクロール領域61に表示されている。このように、携帯端末40の第2画面には第1画面に表示し切れないスクロール先の宛先選択釦63を表示するためのスクロール領域61とスクロールバー62のみが設けられるので、携帯端末40の表示領域を有効利用でき、第1画面全体を拡張してその拡張部分を第2画面に表示する場合に比べて、各宛先選択釦63のサイズを大きく、またより多くの宛先選択釦63(行数)を表示することができる。
【0059】
図4(B)の例では、操作パネル30側の第1画面と携帯端末40側の第2画面との境界部分に宛先選択釦63が跨って表示されないように表示内容を決定している。なお、境界部分に跨って宛先選択釦63が表示されるように制御するようにしてもかまわない。
【0060】
連携表示機能が実行されている状態で、操作パネル30の第1画面上でユーザがスクロールバー62を操作すると、第1画面のスクロール領域61内の各宛先選択釦63および携帯端末40に表示された第2画面内の各宛先選択釦63が連携してスクロールする。また、携帯端末40側の第2画面上でユーザがスクロールバー62を操作すると、第1画面のスクロール領域61内の各宛先選択釦63および携帯端末40に表示された第2画面内の各宛先選択釦63が連携してスクロールする。さらに、携帯端末40の第2画面においていずれかの宛先選択釦63が操作されると、その操作内容を示す操作情報が携帯端末40から無線通信で送信され、これを受信した複合機10は、この操作情報が示す操作内容を操作パネル30に対する操作と同様に受け付ける。この例では、携帯端末40で宛先選択釦63を操作することで送信先を選択することができる。
【0061】
図5は、連携表示機能の開始から終了までの複合機10(操作パネル30)および携帯端末40の動作を示す流れ図である。複合機10のCPU11は、拡張釦52の操作を受けると本処理を開始する。まず、画面拡張判定処理を行う(ステップS101)。画面拡張判定処理では、無線通信部22で無線通信を行って近くの携帯端末40を探索する。そして、連携表示機能に対応した携帯端末40が見つからない場合、すなわち、連携表示機能を実行できない(画面拡張不可)場合は(ステップS102;No)、ステップS101に戻って探索を継続する。なお、連携表示機能に対応した携帯端末40が見つからない場合にエラーメッセージを操作パネル30に表示して本処理を終了してもよい。
【0062】
連携表示機能に対応した携帯端末40が見つかり、画面拡張可能な場合は(ステップS102;Yes)、表示画面判断処理を行う(ステップS103)。
【0063】
図6は、表示画面判断処理の詳細を示している。CPU11は不揮発メモリ17に記憶されている、連携表示機能に関する表示モードの設定内容を確認する(ステップS121)。第1表示モードが設定されている場合は(ステップS122;Yes)、第1画面の表示内容を決定すると共に、第1画面に表示し切れない部分(第1画面を所定方向に拡張(延長)した場合にその拡張(延長)部分に表示される内容)を第2画面の表示内容に決定する(ステップS123)。図3(B)はこの場合の表示例である。
【0064】
第2表示モードが設定されている場合は(ステップS122;No、S124;Yes)、第1画面の表示内容を決定すると共に、第1画面のスクロール領域61に表示し切れないスクロール先の部分のみを第2画面の表示内容に決定する(ステップS125)。図4(B)はこの場合の表示例である。
【0065】
第3表示モードが設定されている場合は(ステップS124;No)、第1画面の表示内容を決定すると共に、第1画面に関連する補助画面を第2画面の表示内容に決定する(ステップS126)。
【0066】
たとえば、補助画面として、印刷プレビュー画面やヘルプ画面を表示する。印刷プレビュー画面の例を説明する。たとえば、ボックスに保存してあるファイルを印刷するボックスプリントジョブが実行される場合に、操作パネル30に表示した第1画面でこのジョブに係る詳細な印刷設定を受け付ける。そして、何らかの設定を受ける毎に、現在の設定内容で印刷した場合のプレビュー画面を携帯端末40に表示する。ヘルプ画面では、操作パネル30に表示している第1画面でユーザが選択した機能に対応するヘルプ情報(説明文章や説明図)を携帯端末40に表示する。
【0067】
図5に戻って説明を続ける。ステップS103の表示画面判断処理で第1画面および第2画面の表示内容を決定した後、複合機10のCPU11は、その第1画面を操作パネル30の表示部31に表示させ、第2画面の表示データを携帯端末40へ送信する(ステップS104)。
【0068】
携帯端末40側では、まず、連携表示機能用のアプリケーションプログラム(表示画面アプリ)が起動される(ステップS201)。なお、表示画面アプリを起動した状態の携帯端末40を操作パネル30の近くに配置している場合、複合機10側の画面拡張判定処理(ステップS101)でこの携帯端末40が連携表示機能に対応可能な携帯端末40として発見される。
【0069】
携帯端末40は、複合機10側から第2画面の表示データが受信されるのを待ち(ステップS202;No)、第2画面の表示データを受信したら(ステップS202;Yes)、その受信した表示データに対応する第2画面を自端末に表示する(ステップS203)。
【0070】
これにより、複合機10の操作パネル30には第1画面が、携帯端末40にはこの第1画面に連携した第2画面が表示される。操作パネル30では第1画面に対する操作を監視し(ステップS105、ステップS106;No)、携帯端末40では第2画面に対する操作を監視する(ステップS204、S205;No)。
【0071】
ユーザから第1画面に対する操作を受けると(ステップS106;Yes)、複合機10のCPU11は、操作内容判定処理を行って、その操作内容を判別する(ステップS107)。操作内容が、連携表示機能の終了を指示する拡張終了釦53の操作などでない場合は(ステップS108;No)、操作内容に対応した処理を行って(ステップS109)ステップS103へ戻る。たとえば、所定の設定操作であればその操作内容にしたがって設定を変更する。
【0072】
操作内容が連携表示機能の終了指示の場合は(ステップS108;Yes)、連携表示機能の終了指示を携帯端末40に対して送信し(ステップS110)、本処理を終了する。
【0073】
携帯端末40では、ユーザから第2画面に対する操作を受けると(ステップS205;Yes)、その操作内容を示す情報を無線通信で複合機10に対して送信し(ステップS206)、ステップS204に戻って処理を継続する。
【0074】
複合機10のCPU11は、携帯端末40から操作内容を示す操作情報を無線通信部22が受信した場合、この操作情報が示す操作内容の操作を操作パネル30で受けた場合と同様に扱う。すなわち、操作内容の情報を受信すると、ステップS106でYesと判定し、ステップS107以降の処理を行う。
【0075】
携帯端末40では、複合機10側から連携表示機能の終了指示を受信すると、表示画面アプリを終了させる(ステップS207)。
【0076】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0077】
第1の実施の形態との相違点のみ説明する。第2の実施の形態では、連携表示機能を実行する際に、操作パネル30に対する携帯端末40の相対位置(上下左右のどこにあるか)を検出し、その位置に応じて第1画面および第2画面の表示内容を変更する。
【0078】
操作パネル30に対する携帯端末40の相対位置は、たとえば、複数の近距離無線通信チップを操作パネル30の四囲に配置し、携帯端末40が接近する方向により操作パネル30の上下左右のどの位置に携帯端末40があるかを特定する。また、操作パネルの四囲にタッチセンサや光センサなどを配置して操作パネル30に対する携帯端末40の相対位置を検出して特定してもよい。
【0079】
たとえば、第2表示モードが設定されており、操作パネル30に表示された連携表示機能の開始前の第1画面が図4(A)に示すような場合で、携帯端末40が複合機10の上側にあるときは、連携表示機能を作動しないようにする。図4(B)に示すように、操作パネル30の下方に、すなわち、第1画面に表示されているスクロール領域61を拡張可能な方向に携帯端末40が配置された場合のみ、連携表示機能が実行されて携帯端末40に第2画面が表示されるようにする。
【0080】
また、第1表示モードが設定されており、操作パネル30に表示された連携表示機能開始前の第1画面が図7(A)に示すような場合(図3(A)と同じ)で、連携表示機能の実行を開始するときに、図7(B)に示すように、携帯端末40が操作パネル30の上側にあるときは、連携表示機能の実行開始前に操作パネル30に表示していた内容を、連携表示機能の実行開始後は携帯端末40に表示し、携帯端末40側から拡張される画面(図3(B)で携帯端末40に表示していた内容)を操作パネル30に表示する。
【0081】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0082】
第1の実施の形態との相違点のみ説明する。第1の実施の形態では、拡張終了釦53を操作することで連携表示機能の実行を終了させたが、第3の実施の形態では、入力操作や設定操作の完了を検出したとき、連携表示機能の実行を自動的に終了させる。たとえば、ジョブの設定がすべて完了してスタート釦が操作されたとき、自動的に連携表示機能の実行を終了させる。スタート釦の操作は、操作パネル30に対するユーザの操作がすべて終了したと推定できることによる。
【0083】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0084】
第1の実施の形態との相違点のみ説明する。第1の実施の形態では、拡張釦52の操作を契機に携帯端末40を探索して連携表示機能を開始させたが、第3の実施の形態では、逐次、携帯端末40と無線通信を行って携帯端末40を探索し、無線通信が確立している間、操作パネル30に表示する第1画面内に所定のアイコン(例えば携帯端末のアイコン)を表示する。このアイコンがフリック操作されたとき、連携表示機能の実行を開始して携帯端末40に第2画面を表示させる。
【0085】
詳細には、フリック操作を受けると、操作パネル30に対する携帯端末40の相対位置を検出し、フリック操作の方向に携帯端末40が存在する場合は、連携表示機能の実行を開始し、操作パネル30の第1画面をフリック操作の方向に延長するような第2画面を携帯端末40に表示する。フリック操作の方向に携帯端末40が存在しない場合は、連携表示機能を実行しない。
【0086】
図8(A)は、携帯端末40と無線通信が確立される前の操作パネル30の表示画面例を示している。図8(B)は、携帯端末40と無線通信が確立されて携帯端末のアイコン71が操作パネル30の第1画面に表示された状態を示している。この状態では、連携表示機能は開始しておらず、携帯端末40には、第2画面は表示されない。図8(C)はアイコン71をフリック操作して連携表示機能が開始された後の表示状態を示している。
【0087】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0088】
第1の実施の形態との相違点のみ説明する。第5の実施の形態では、常に操作パネル30は携帯端末40と無線通信の確立を試み、携帯端末40との間に無線通信が確立されかつその携帯端末40が操作パネル30の一定範囲(一定距離)内にあれば、自動的に連携表示機能の実行を開始させる。連携表示機能の終了は第1の実施の形態のように拡張終了釦53の操作を契機としてもよいし、第3の実施の形態のようにスタート釦などの操作を契機としてもよい。また、携帯端末40が一定範囲外となった場合に連携表示機能の実行を自動的に終了させてもよい。この場合の近距離無線通信は、FeliCa(登録商標)やZigBee(登録商標)、IEEE 802.15準拠などが好適である。
【0089】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0090】
実施の形態では、操作パネル30は複合機10に組み込まれる形態であったが、複合機10などの装置本体から取り外し可能な形態、もしくは複合機10とは別体の操作パネルとして構成されてもよい。この場合、操作パネル30内部にCPUを主要部とする制御部、無線通信部などを設ける。
【0091】
実施の形態では、携帯端末40において連携表示機能用のアプリケーションプログラム(表示画面アプリ)を実行するようにしたが、たとえば、汎用のブラウザでも、同等の機能を行わせることができる。
【符号の説明】
【0092】
10…複合機
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…画像読取部
15…プリンタ部
16…画像処理部
17…不揮発メモリ
18…自動原稿搬送部(ADF)
19…ファクシミリ通信部
21…ネットワーク通信部
22…無線通信部
30…操作パネル
31…表示部
32…操作部
40…携帯端末
51…操作釦
52…拡張釦
53…拡張終了釦
61…スクロール領域
62…スクロールバー
63…宛先選択釦
71…アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
ユーザ操作を受ける操作部と、
表示内容を制御する表示制御部と、
前記表示部の近傍の携帯端末と通信する通信部と、
を備え、
前記制御部は、
前記表示部に表示する第1画面と、この第1画面と連携して前記携帯端末に表示させる第2画面とを決定し、前記第1画面を前記表示部に表示させ、前記第2画面の表示データを前記通信部から前記携帯端末に送信して前記第2画面を前記携帯端末に表示させる連携表示機能を実行する
ことを特徴とする操作パネル。
【請求項2】
前記制御部は、所定の画面のうち前記表示部に表示可能な範囲を前記第1画面とし前記表示部に表示し切れない部分を前記第2画面とする
ことを特徴とする請求項1に記載の操作パネル。
【請求項3】
前記通信部は、前記第2画面の表示中に前記第2画面に対する操作を受けた前記携帯端末から前記操作の内容を示す操作情報を受信し、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記操作情報が示す操作の内容を当該操作パネルに対する操作の内容として受け付ける
ことを特徴とする請求項1または2に記載の操作パネル。
【請求項4】
前記制御部は、前記連携表示機能で前記第2画面として表示する画面の種類の設定をユーザから受け付け、その設定された種類の画面のみを前記第2画面として前記連携表示機能で表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項5】
前記第2画面は、
前記表示部に表示し切れなかった部分を表示する画面、前記表示部に表示する前記第1画面のスクロール領域に表示し切れないスクロール先の部分のみを表示する画面、第1画面に関連する補助画面、の中の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項6】
前記表示部に対する前記携帯端末の相対位置を特定する相対位置特定部を備え、
前記制御部は、前記相対位置特定部によって特定された前記携帯端末の前記表示部に対する相対位置に応じて前記第1画面および前記第2画面の表示内容を変更する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項7】
前記通信部は、無線通信によって前記携帯端末と通信し、
前記制御部は、前記通信の状態から前記携帯端末までの距離を判定し、前記判定した距離が所定距離以内の場合は、前記連携表示機能の実行を自動的に開始する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項8】
前記制御部は、前記連携表示機能の実行開始後、入力操作もしくは設定操作の完了を検出したとき、前記連携表示機能の実行を自動的に終了させる
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の操作パネル。
【請求項9】
前記制御部は、前記連携表示機能において、前記第1画面と前記第2画面とに跨るオブジェクトが生じないように、各オブジェクトの表示位置を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の操作パネル。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88506(P2013−88506A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226764(P2011−226764)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】