説明

操作入力装置及び操作装置

【課題】操作部を操作する操作者に対して、触覚に作用する刺激を装置側から強制的に付与できる、操作入力装置の提供。
【解決手段】操作入力の作用により変位する操作部11と、前記操作入力の作用により操作部11と同一方向に変位するアクチュエータ出力軸12と、操作部11をアクチュエータ出力軸12によって可動させるアクチュエータ13と、操作部11の変位量に応じた信号を出力する検出素子14A〜14Hとを備える、操作入力装置。アクチュエータ13によって発生したフィードバック力Fは、伝達経路Rを通じて、操作部11上の手指に振動として伝わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力の作用により変位する操作部を備える操作入力装置及び操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、360度方向に傾倒可能な操作部と、複数のコイルを備え、操作入力の作用により傾倒する操作部とコイルとの距離に応じて変化するインダクタンスを評価することによって、操作部の傾倒量を検出可能な操作入力装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−3536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、操作部を操作する操作者に対して、触覚に作用する刺激を装置側から強制的に付与することができない。
【0005】
そこで、本発明は、操作部を操作する操作者に対して、触覚に作用する刺激を装置側から強制的に付与できる、操作入力装置及び操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
操作入力の作用により変位する操作部と、
前記操作入力の作用により前記操作部と同一方向に変位するアクチュエータ出力軸と、
前記操作部を前記アクチュエータ出力軸によって可動させるアクチュエータと、
前記操作部の変位量に応じた信号を出力する検出素子とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る操作装置は、
本発明に係る操作入力装置と、
前記アクチュエータを制御する制御回路とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作部を操作する操作者に対して、触覚に作用する刺激を装置側から強制的に付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】操作入力装置101の斜視分解図である。
【図2】操作部11が初期位置状態での操作入力装置101の正面視断面図である。
【図3】操作部11が傾動状態での操作入力装置101の正面視断面図である。
【図4】操作入力装置102の斜視分解図である。
【図5】操作入力装置102の正面視断面図である。
【図6】操作入力装置103の正面視断面図である。
【図7】操作入力装置104の正面視断面図である。
【図8】操作入力装置105の正面視断面図である。
【図9】操作入力装置106の正面視断面図である。
【図10】操作入力装置107の正面視断面図である。
【図11A】非駆動時のソレノイド型アクチュエータ40の正面視断面図である。
【図11B】駆動時のソレノイド型アクチュエータ40の正面視断面図である。
【図12】操作入力装置108の正面視断面図である。
【図13】操作入力装置109の正面視断面図である。
【図14】操作入力装置110の正面視断面図である。
【図15A】非駆動時のアクチュエータ50の正面視断面図である。
【図15B】駆動時のアクチュエータ50の正面視断面図である。
【図16】操作入力装置111の正面視断面図である。
【図17】操作入力装置112の正面視断面図である。
【図18】操作入力装置113の正面視断面図である。
【図19】操作入力装置114の正面視断面図である。
【図20】操作入力装置115の正面視断面図である。
【図21】操作入力装置116の正面視断面図である。
【図22】操作入力装置117の正面視断面図である。
【図23】操作入力装置118の正面視断面図である。
【図24】操作入力装置119の正面視断面図である。
【図25】操作入力装置120の正面視断面図である。
【図26】操作部11が初期位置状態での操作入力装置121の正面視断面図である。
【図27】操作部11が傾動状態での操作入力装置121の正面視断面図である。
【図28】操作部11が初期位置状態での操作入力装置122の正面視断面図である。
【図29】操作部11が傾動状態での操作入力装置122の正面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置及び操作装置は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系において、正のZ座標の方向から入力される操作者の手指等による力を操作部で受ける操作インターフェイスである。操作入力装置及び操作装置は、その受けた力に応じて変化する出力信号を出力する。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0011】
操作入力装置及び操作装置は、例えば、ゲーム機、テレビ等の操作用リモートコントローラ、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、車両制御用コンピュータ、電化製品などの電子機器に搭載又は接続される。そのような電子機器に搭載又は接続されるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0012】
また、操作入力装置及び操作装置は、車両に搭載されてもよく、具体的には、ステアリングホイール、インストルメントパネル、ダッシュボード、センターコンソールなどの車室内の部位に設置されてもよい。この場合、操作入力装置又は操作装置によれば、その車両に搭載されたディスプレイの画面上の表示物を移動させることができる。操作入力装置又は操作装置がステアリングホイールに設置されていると、運転者は、ステアリングホイールを握ったまま、車両前方への視線をできるだけそらさずに、操作部を操作できる。
【0013】
また、操作入力装置及び操作装置は、操作部を操作する操作者に触感的な刺激が強制的に付与されるように、操作部を装置側から動かすための振動発生源を備えている。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態である操作入力装置101の斜視分解図である。図2は、操作入力が操作部11に作用していない非操作状態での操作入力装置101の正面視断面図である。図3は、操作部11をXY平面に対して検出素子14C側に傾ける操作入力が付与された傾動状態での操作入力装置101の正面視断面図である。操作入力装置101の構造は、図示の断面に対して略対称であるため、全体図については省略する。後述の他の操作入力装置についても同様である。
【0015】
操作入力装置101は、操作部11と、アクチュエータ出力軸(以下、単に「出力軸」ともいう)12と、アクチュエータ13と、検出素子14A〜14Hとを備える。操作部11は、操作面に直接又は間接的に作用する操作入力によって下方に傾倒可能に変位する操作部材である。出力軸12は、操作部11の操作面に作用する操作入力により、操作部11と同一方向に変位するアクチュエータシャフトである。アクチュエータ13は、出力軸12を駆動することによって操作部11を可動させる振動発生源である。検出素子14A〜14Hは、操作部11の変位によって互いの位置関係が変化するように配置され、その位置関係の変化に応じて、操作部11の変位量に応じた信号波形を出力するための素子である。したがって、その信号波形を検出することによって、操作部11の変位量(操作量)と傾倒方向を算出できる。
【0016】
このような構成を有する操作入力装置101によれば、操作部11に一又は二往復以上の振動を出力軸12によって与えることができるので、操作部11を操作する操作者に対して、触覚に作用する刺激を操作入力装置101側から強制的に付与できる。
【0017】
また、操作入力装置101を備える操作装置は、制御回路98(図1参照)を備えている。制御回路98は、操作部11を可動させる出力軸12を駆動するアクチュエータ13を制御する信号を出力する。また、操作入力装置101を備える操作装置は、検出回路97(図1参照)を備えている。検出回路97は、検出素子14A〜14Hの一部又は全部から出力された信号波形に基づいて、操作部11の変位量に応じた信号を出力する。
【0018】
例えば、検出素子14A〜14Dがコイルであり検出素子14E〜14Hがヨーク材である場合、検出回路97は、検出素子14A〜14Dのインダクタンスの変化を電気的に検出することで、操作部11の連続的に変化するアナログ変位量に応じた検出信号を出力する。または、検出素子14A〜14Dがヨーク材であり検出素子14E〜14Hがコイルである場合、検出回路97は、検出素子14E〜14Hのインダクタンスの変化を電気的に検出することで、操作部11の連続的に変化するアナログ変位量に応じた検出信号を出力する。
【0019】
例えば、検出回路97は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出し、その物理量の検出値を操作部11の変位量に等価な値として出力する。また、検出回路97は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出することによりコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部11の変位量に等価な値として出力するものでもよい。また、検出回路97は、その物理量の検出値又はそのインダクタンスの算出値から操作部11の変位量を演算し、その変位量の演算値を出力するものでもよい。
【0020】
具体的には、検出部は、パルス信号をコイルに供給することによって、コイルのインダクタンスの大きさに対応して変化する信号波形をコイルに発生させ、その信号波形に基づいてコイルのインダクタンスの変化を電気的に検出するとよい。
【0021】
例えば、コイルの軸方向においてコイルと操作部11との距離が近づくにつれて、コイル周辺の透磁率が増加し、コイルのインダクタンスが増加する。コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルの両端に発生するパルス電圧波形の振幅も大きくなる。そこで、その振幅をコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出回路97は、その振幅を検出することによって、その振幅の検出値を操作部11の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出回路97は、その振幅の検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部11の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0022】
また、コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルに流れるパルス電流波形の傾きが緩やかになる。そこで、その傾きをコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出回路97は、その傾きを検出することによって、その傾きの検出値を操作部11の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出回路97は、その傾きの検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部11の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0023】
検出回路97は、例えば、コイルにパルス信号を供給することによってコイルのインダクタンスの変化を検出する検出手段である。検出回路97は、コイルにパルス信号に対応するパルス電流を供給することによってコイルの両端に発生するパルス電圧に基づいて、コイルのインダクタンスの変化を検出する。コイルのインダクタンスの変化の検出結果に応じて、操作部11の変位量を算出することができる。
【0024】
次に、操作入力装置の詳細な具体的な構成例について説明する。
【0025】
操作入力装置101は、操作部11を方向キーとして備える多方向入力装置である。操作部11は、操作面に作用する操作入力の入力量に応じて、筐体16の蓋部16Aの開口部から筐体16の内方への変位量が連続的に変化するものである。筐体16は、蓋部16Aと、底部16Bと、側壁部16Cと、底部16Dから構成された円筒状の形態を有している。筐体16は、底部16Bで区画された二つの内室を有している。上側の内室には、操作部11と、検出素子14A〜14Hと、リターンバネ15が配置され、下側の内室には、アクチュエータ13が配置される。アクチュエータ13の出力軸12は、底部16Bの中央部に形成された孔19を貫通する。
【0026】
操作部11の下面中央には、出力軸12の先端と対向するように、突起形状の押し子17が操作部11と一体的に形成されている。アクチュエータ13は、図3に示されるように、上下方向のフィードバック力Fを発生させ、出力軸12を押し子17に接触させることによって、操作部11にフィードバック力Fを伝える。フィードバック力Fは、伝達経路Rを通じて、操作部11上の手指に振動として伝わる。出力軸12は、操作部11の押し子17に直接接触して振動を伝えてもよいが、緩衝材等の何らかの部材を介して間接的に振動を伝えてもよい。緩衝材によって、接触時の衝撃や磨耗を和らげることができる。
【0027】
操作入力装置101は、操作部11の任意方向の押し下げに伴って、操作部11が傾動する構造を有する。操作部11は、図3に示されるように、操作部11のフランジ部18と筐体16の蓋部16Aの天井面との接触点を支点として傾動動作する。
【0028】
操作入力装置101は、例えば、操作部11を上方に付勢して操作部11のフランジ部18を上方部材に当接させる弾性部材として、リターンバネ15を備える。図示の形態では、その上方部材として、筐体16が例示されている。筐体16は、例えば、操作入力装置101又は操作入力装置101が搭載された装置の筐体である。このような弾性部材によって、操作入力が作用していない初期状態位置に戻す力を操作部11に与えることができる。リターンバネ15は、コイルバネでもよいし、板バネでもよいし、他の形状のバネでもよい。また、バネ以外の他の弾性体でもよく、例えば、ゴム部材でもよいし、スポンジ部材でもよいし、空気又は油などが充填されたシリンダーでもよい。
【0029】
また、操作部11を任意の方向に押し下げると、押し子17は、操作部11の押し下げ方向と同一方向に出力軸12を変位させる。また、アクチュエータ13は、押し子17の変位と逆方向又は同方向の力を出力軸12に発生させることにより、操作部11を通して、操作者に振動を伝えることができる。
【0030】
また、検出素子14A〜14Hは、操作部11の任意の方向の押し下げに伴って互いの距離が変化し、この距離の変化から押し下げた方向や押し下げ量を検出するための手段である。操作入力装置101は、このような検出素子を複数備え、検出素子14A〜14Dは筐体16の底部16Bに固定され、検出素子14E〜14Hは操作部11に固定されている。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施形態である操作入力装置102の斜視分解図である。図5は、操作入力が操作部11に作用していない非操作状態での操作入力装置102の正面視断面図である。なお、上述の操作入力装置と同様の構成と効果については、その説明を省略する。後述の他の操作入力装置についても同様である。
【0032】
操作部11は、操作部11のセンターボタンとして配置された確定キー20と、確定キー20を囲む方向キー26とを有する。操作入力装置102は、方向キー26を任意の方向に押し下げる操作入力が方向キー26に作用すると、方向キー26と共に確定キー20が傾動する構造を有する。また、操作入力装置102は、操作者の操作入力が方向キー26には作用せずに確定キー20に作用すると、確定キー20のみが押し下がる構造を有する。確定キー20の下部中央には、出力軸12を受ける押し子23が形成されている。操作入力装置102は、方向キー26から独立して確定キー20をボタン操作できるような構造を備え、方向キー26だけでなく確定キー20にもフィードバック力を伝えることを可能な構造を備える。
【0033】
確定キー20は、方向キー26の上面(操作面)に露出する操作面が形成された胴部21を有する押部である。確定キー20は、胴部21が方向キー26の中央部に上下方向に貫通して形成された孔25と嵌合することにより、左右方向に位置決めでき、単独で上下方向に変位可能である。
【0034】
確定キー20は、方向キー26の下方に位置するフランジ部22を有する。フランジ部22は、柱状の胴部21の側面に形成されている。フランジ部22は、確定キー20の胴部21の周縁部に鍔状に張り出した段差部である。
【0035】
アクチュエータ13は、確定キー20を出力軸12によって可動させると、確定キー20のフランジ部22が方向キー26の天井面に当接することにより、方向キー26も可動させることができる。
【0036】
図6の操作入力装置103は、出力軸12が、アクチュエータ13の操作部11側とは反対側の下側部位を貫通する突出部31を有するものである。突出部31の下側の先端に対向する底部16Dには、少なくとも2極以上の電極30が設けられている。図6の場合、突出部31が押し下げられると、2つの電極30Aと30Bとの間が突出部31の導体部を介して短絡することにより、確定キー20の動きに連動する出力軸12の変位が検出可能となる。すなわち、確定キー20が押されたことを検出可能となる。
【0037】
図7の操作入力装置104は、突出部31の下端に対向する底部16Dに、導体のドームバネ32を備えている。ドームバネ32は、その頭頂部に突出部31の下端が接するクリックバネである。ドームバネ32の変形により確定キー20を操作する操作者にクリック感を与えることができる。また、ドームバネ32の下方中心部に電極30Dが設けられ、ドームバネ32の外周縁部に電極30Cが設けられている。ドームバネ32の変形によりドームバネ32の頭頂部が電極30Dに接すると、電極30Dと電極30Cがドームバネ32によって短絡するため、突出部31の変位を検出できる。すなわち、確定キー20が押し下げられたことを検出できる。
【0038】
また、図7において、確定キー20は、方向キー26の任意の方向への押し下げにより、方向キー26と共に傾倒する。方向キー26が確定キー20のフランジ部22を押し下げることにより、確定キー20が下方に変位する。確定キー20の下方への変位に連動して出力部12も下方に変位することにより、ドームバネ32が出力部12の下端の突出部31によって変形する。ドームバネ32の変形量が増えてドームバネ32の反力が増加から減少に転じると、クリック感が発生する。そこで、リターンバネ15は、ドームバネ32の変形量が増えてドームバネ32の反力が増加から減少に転じる前に、方向キー26の下方への変位量が構造上取り得る最大値に到達するように、方向キー26を下方に変位可能に支持する。これにより、方向キー26を押し下げても操作者にクリック感を与えないようにできる一方で、確定キー20のみを押し下げると操作者にクリック感を与えるようにできる。また、方向キー26の下方への変位量が最大値に到達するまでの全ストローク区間において、方向キー26を操作する操作者にクリック感を与えないため、操作者が力加減を微妙に変えて方向キー26の操作量を細かく調整することを容易に実現できる。
【0039】
図8の操作入力装置105は、確定キー20のフランジ部22と方向キー26の天井面との間において、押し下げ方向にギャップD2を設ける構造を有する。これにより、方向キー26、確定キー20、ドームバネ32の各変位と変形量に因らず、方向キー26を押し下げても操作者にクリック感を与えないようにできる一方で、確定キー20のみを押し下げると操作者にクリック感を与えるようにできる。また、ギャップD2を設けているので、方向キー26がフランジ部22に接するまでは、方向キー26はリターンバネ15のみによる反力を受け、方向キー26がフランジ部22に接してからのストローク区間では、方向キー26はリターンバネ15とドームバネ32の両方による反力を受ける。そのため、方向キー26の操作感をストローク途中で変えることができ、方向キー26によるアナログ入力の操作感を向上させることができる。つまり、反力の増加の仕方がストローク途中で変わることで、ストローク量が最大値に近づいていることが、操作者に感覚的に知らせることができる。また、方向キー26のみを押しても、ドームバネ32をクリック動作位置まで押圧することはないため、ドームバネ32の応力を軽減でき、耐久力が向上する。また、ギャップD2の長さを調整することにより、方向キー26を傾動したときのドームバネ32の変形量を調整できるため、クリック位置及びクリック感を容易に変更することができる。
【0040】
図9の操作入力装置106は、与圧バネ33により確定キー20に上向きの弾性力を加え、操作入力が操作部11に付与されていない状態で、確定キー20の下部とアクチュエータ13の出力軸12の上端との間にギャップD3が発生する構造を有する。これにより、与圧バネ33の弾性力により確定キー20が方向キー26に安定的に保持される。その結果、確定キー20のがたつきを抑制し、操作感を向上できる。
【0041】
図10の操作入力装置107は、与圧バネ34により出力軸12の突出部31に設けられたフランジ部35に上向きの弾性力を加え、操作入力が操作部11に付与されていない状態で、突出部31とドームバネ32との間にギャップD4が発生する構造を有する。これにより、出力軸12及び確定キー20を方向キー26により固定される位置に保持し、確定キー20のがたつきを抑制できる。そして、出力軸12と確定キー20との間のギャップをなくすことにより、操作者に振動を与える時に出力軸12と確定キー20が衝突して起きる衝撃振動や騒音を抑制できる。
【0042】
ここで、上述のアクチュエータ13の具体例として、図11A,11B,12に示されるように、ソレノイド型アクチュエータ40が挙げられる。アクチュエータ40は、位置固定されたヨーク41と、ヨーク41に巻き回されて装着されたコイル42と、出力軸12と一体となって変位するヨーク43とを有する。
【0043】
図12の操作入力装置108は、操作部11の中央下部に設けられた押し子17にアクチュエータ40の出力軸12が可動して接触する構造を有する。アクチュエータ40に電流を印加すると、操作部11の押し下げ方向とは逆方向にフィードバック力が発生し、振動、又は力を指先に出力する。これにより、操作者の指先に振動や衝撃、キーの操作力の重さ(反力)を可変的に伝えることができる。また、アクチュエータをソレノイド型とすることで、永久磁石を使用しなくても、フィードバック力を発生させて伝達できる。また、永久磁石の温度(低温減磁、高温での保持力低下)による特性劣化を排除できる。
【0044】
図13の操作入力装置109は、ヨーク43と底部16Dとの間に、予め弾性力が発生するように与圧バネ44を配設し、与圧バネ44がヨーク43を押す復帰力によって、出力軸12が操作部11の中心下面に設けられた押し子17に接触する構成を有する。これにより、出力軸12の高さ(変位)が保持され、出力軸12が、操作部11の傾倒に伴う押し子17の変位に追従して可動する。操作入力が操作部11に付与されていない状態において、出力軸12と操作部11との間にギャップが存在していないため、アクチュエータ40で発生したフィードバック力を、方向キー11の初期位置からフルストローク位置まで操作者へ与えることができる。また、押し上げられた出力軸12が押し子17に接触する時に発生する衝撃振動や衝撃音を排除できる。
【0045】
図14の操作入力装置110は、方向キー26の押し下げと共に下方へ変位する確定キー20を有し、ソレノイド型アクチュエータ40の出力軸12が、確定キー20の下部の押し子23に与圧バネ44のバネ復帰力により予め接触する構成を有する。そして、方向キー26の押し下げ傾倒操作と確定キー20単独での押し下げ操作の双方で、出力軸12が押し下げ方向に変位する構造を有する。出力軸12の下方への変位に伴ってヨーク43が下方に変位するので、アクチュエータ40内部の磁気吸引力が発生するギャップが広がる。このギャップが広がることで、アクチュエータ40の内部のコイル42のインダクタンスは減少する。制御回路98(図4参照)がフィードバック力を発生させるためにコイル42に印加する第1のパルスとは異なる第2のパルスを検出用パルスとして適時加えることにより、制御回路98又は検出回路97は、出力軸12の変位量を検出できる。すなわち、確定キー20の操作量(変位量)をアナログで非接触に検出できる。制御回路98又は検出回路97は、コイル42のインダクタンスの変化を検出することによって、確定キー20の変位量に応じた信号を出力する。
【0046】
また、上述のアクチュエータ13の第2の具体例として、図15A,15B,16に示されるように、永久磁石55とボイスコイル51を使用したアクチュエータ50が挙げられる。コア53は、出力軸12の変位により、コイル51との位置関係が変化する。ヨーク54は、コイル51の外側に配置されている。出力軸12は、コイル51に流れる電流と永久磁石55の磁束によって可動する。コイル51とコア53とヨーク54は、コア53とヨーク54の間のギャップに発生する磁束がコイル51の軸方向に対して直交するように配置されている。
【0047】
図16の操作入力装置111は、アクチュエータ50の出力軸12が、操作部11の中心下部に設けられた押し子17に、アクチュエータ50に内蔵のリターンバネ56により接触し保持される構造を有する。制御回路98(図1参照)がアクチュエータ50のコイル51に印加する電流の方向を切り替えることにより、操作部11の押し下げ方向又はその押し下げ方向とは逆方向にフィードバック力が発生し、振動又は力を指先に出力する。これにより、操作者の指先に振動やキーの操作力の重さ(反力)を可変的に伝えることができる。
【0048】
図17の操作入力装置112は、確定キー20の単独押し込みを可能とする。確定キー20の押し込み検出のため、出力軸12の変位と同一の変位をする突出部31が、アクチュエータ50のケースを下方に貫通している。また、導体の突出部31、または導通のための表面処理をした突出部31を設け、その下方に少なくとも2極の電極を配設する。これにより、確定キー20の押し込みを検出できる。
【0049】
図18の操作入力装置113は、突出部31の下方にドームバネ32を配設し、確定キー20単独にクリック機能を付加する。確定キー20のみにクリック感を与える方法は、上述のどの方法でもよい。
【0050】
図19の操作入力装置114は、出力軸12が確定キー20の押し下げに伴って下方へ変位することにより、コイル51とコア53との位置関係が変化すると、コイル51周辺の透磁率が変化するため、コイル51の自己インダクタンスが変化する。コイル51は、パルス信号を印加することにより、そのインダクタンスの変化に応じて、出力軸12の変位量(すなわち、確定キー20の変位量)に応じた信号波形を出力する。したがって、その信号波形を検出することによって、確定キー20の変位量を算出できる。操作入力装置114は、コイル51とコア53との距離が近づくにつれて、コイル51の自己インダクタンスが増加する構成である。制御回路98又は検出回路97(図4参照)は、コイル51のインダクタンスの変化を検出することによって、確定キー20の変位量に応じた信号を出力する。
【0051】
次に、検出素子の具体例について説明する。
【0052】
図20の操作入力装置115は、方向キー11の下面に固定され、方向キー11の傾倒と同一の動きを伴う可動ヨーク64E〜64Hを備える。可動ヨーク64E〜64Hと対向する面に複数個のコイル64A〜64Dを固定し、可動ヨーク64E〜64Hとコイル64A〜64Dの距離が近づくことにより、コイル64A〜64Dの自己インダクタンスが増加することを検出する。これにより、方向キー11の任意の方向への押し下げ量と方向を検出する。コイル64A〜64Dの自己インダクタンスを検出することにより、温度特性の変化抑制や電磁ノイズによる誤検出の抑制を可能とする。
【0053】
図21の操作入力装置116は、コイル周辺の透磁率を向上させるため、コイル下面に固定ヨーク65を配設する。これにより、コイルの自己インダクタンス絶対値を増加させ、検出を容易且つ検出精度を向上できる。
【0054】
図22の操作入力装置117は、固定ヨーク65において、コイルの中心に位置する部位を半抜き加工することにより、コア形状の段差部66が形成されている。これにより、コイル周辺の透磁率を上げることができる。その結果、操作部11の傾倒量に対してコイルのインダクタンスの変化量を増加させ、操作部11の傾倒量の検出感度を向上できる。
【0055】
図23の操作入力装置118は、操作部11と共に傾倒する可動ヨーク64E〜64Hにおいて、コイルの中心に位置する部位にコア形状が形成されている。これにより、コイル周辺の透磁率を上げることができる。その結果、操作部11の傾倒量に対してコイルのインダクタンスの変化量を増加させ、操作部11の傾倒量の検出感度を向上できる。
【0056】
図24の操作入力装置119は、操作部11の下面に押し子68E〜68Hが配設されている。また、複数個のコイル64A〜64Dがその略中心位置に押し子68E〜68Hと対向するように配設されている。また、コイル64A〜64Dの各中心には、リターンバネ69A〜69Dによって押し子68E〜68Hに接触し保持されているコア67A〜67Dが配設される。
【0057】
コア67A〜67Dは、操作部11の押し込み傾倒操作により押し子68E〜68Hにより下方に変位する。コア67A〜67Dがコイル64A〜64Dの外部へ変位することで、コイル64A〜64Dの自己インダクタンスが減少する。そのインダクタンスの減少を検出することにより、操作部11の任意の方向への押し下げ量とその押し下げ方向を検出できる。コイルの自己インダクタンスを検出することにより、温度特性の変化抑制や電磁ノイズによる誤検出の抑制を可能とすると共に、操作部11に可動ヨークなどの重量物が取り付けられていないため、フィードバック力の操作者指先への伝達が鋭敏にできる。
【0058】
図25の操作入力装置120は、操作部11の下面に電極が配設され、この電極と対向する下面に固定電極が少なくとも3個以上配設されている。操作部11に配設された電極と各固定電極間に発生する静電容量を検出することで、操作部11の任意の方向への押し下げ量とその押し下げ方向を検出できる。静電容量の絶対値を増加させるため、上下電極間に誘電率が空気より高い弾性体、例えばシリコンゴムなどを配設してもよい。この弾性体が操作部11の押し下げ動作により変形すると、上下電極間の距離が近くなる。上下電極間の距離が近くなることで静電容量が増加する。電極は、基板上で形成できる所謂銅パターンなどで容易に構成できるため、構造が簡素にでき、コストの低減が可能である。
【0059】
図26の操作入力装置121は、操作部11の下面の可動変形電極95E〜95Hが、操作部11の中心側で固定されている。可動変形電極95E〜95Hの外周側は、固定電極94A〜94Dに近接、又は接触させる。固定電極又は可動変形電極には、両電極の間隙側に、誘電率を高める高誘電材による膜96A〜96D(例えばチタン酸バリウムなど)をコーティングしても良い。可動変形電極95E〜95Hの外周部は、図27に示すように、操作部11の押し込み傾倒量が増えるにつれて、固定電極94A〜94Dと密着する面積が増加する。静電容量は電極間距離に反比例するため、電極間距離のみが変化すると傾倒量に対して検出感度の直線性が低い傾向となる。しかし、静電容量は電極の面積に比例するため、高誘電率膜を挟んで密着状態になる部位の面積が増大すると静電容量も増加する。本案では、密着状態の面積の増加に伴い、操作部11の傾倒動作に対して検出感度の直線性が改善される。
【0060】
図28の操作入力装置122は、操作部11の下面に導電性の弾性体91E〜91H(例えばカーボンなどを混合した導電性ゴム)が配設されている。弾性体91E〜91Hは、押し子の形状とし、固定部に接触すると変形して接触部位面積が増加する。導電性弾性体91E〜91Hと対向する下面に、抵抗膜により形成される固定電極90A〜90Dが、導電性弾性体91E〜91Hと共に少なくとも3個以上配設される。図29に示されるように、導電性弾性体91E〜91Hが操作部11の押し下げ動作により変形し、固定電極90A〜90Dとの接触面積や距離、接触箇所数が増加することで、抵抗膜による抵抗値の変化が検出可能となる。固定電極90A〜90Dの抵抗値の変化を検出することで、操作部11の任意の方向への押し下げ量とその押し下げ方向を検出できる。抵抗値の変化による検出であるため、静電容量やインダクタンスなどの物理量変化に比べ抵抗分圧により容易に電圧で変位を変換することが可能であり、A/Dコンバータのみで容易に数値化できる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。上述の実施例それぞれの各部の構成を組み合わせてもよい。
【0062】
また、本発明の操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0063】
11 操作部
12 シャフト(アクチュエータ出力軸)
13 アクチュエータ
14A〜14H 検出素子
15 リターンバネ
16 筐体
16A 蓋部
16B,16D 底部
16C 側壁部
17 押し子
18 フランジ部
19 孔
20 確定キー
21 胴部
22 フランジ部
23 押し子
25 孔
26 方向キー
30(30A〜30D) 電極
31 突出部
32 ドームバネ
33,34 与圧バネ
35 フランジ部
40 アクチュエータ
41 固定ヨーク(ハウジング)
42 コイル
43 可動ヨーク
44 与圧バネ
50 アクチュエータ
51 コイル
53 コア
54 ヨーク
55 マグネット
56 リターンバネ
64A〜64D コイル
64E〜64H 可動ヨーク
65 固定ヨーク
66 段差部
67A〜67D 可動コア
68E〜68H 押し子
69A〜69D リターンバネ
90A〜90D 抵抗膜
91E〜91H 導電性弾性体
94A〜94D 固定電極
94E〜94H 可動電極
95E〜95H 可動変形電極
96A〜96D 高誘電膜
97 検出回路
98 制御回路
101〜122 操作入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力の作用により変位する操作部と、
前記操作入力の作用により前記操作部と同一方向に変位するアクチュエータ出力軸と、
前記操作部を前記アクチュエータ出力軸によって可動させるアクチュエータと、
前記操作部の変位量に応じた信号を出力する検出素子とを備える、操作入力装置。
【請求項2】
前記操作部は、
押部と、該押部を囲む傾動部とを有し、
前記アクチュエータは、前記押部と前記傾動部を前記アクチュエータ出力軸によって可動させる、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記アクチュエータ出力軸は、前記アクチュエータの前記操作部側とは反対側を貫通する突出部を有し、
前記突出部に対向する位置に設けられた電極が前記突出部によって通電することにより、前記アクチュエータ出力軸の変位を検出可能にする、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記電極が前記突出部によって変形するドームバネによって通電することにより、前記押部の変位を検出可能にする、請求項3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記突出部と前記ドームバネとの間にギャップを生じさせる弾性体を備える、請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、
第1のヨークと、コイルと、前記アクチュエータ出力軸と一体となって変位する第2のヨークとを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ出力軸によって前記操作部に予め力が加わるように、前記第2のヨークに弾性力を付与する弾性体を備える、請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、
第1のヨークと、コイルと、前記アクチュエータ出力軸と一体となって変位する第2のヨークとを有し、
前記アクチュエータ出力軸によって前記押部に予め力が加わるように、前記第2のヨークに弾性力を付与する弾性体を備える、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記第1のヨークの位置は固定され、
前記コイルは前記第1のヨークに装着された、請求項6から8のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項10】
前記第2のヨークが、前記コイルのコアであり、
前記コイルと前記第1のヨークと前記第2のヨークは、前記第1のヨークと前記第2のヨークの間のギャップに発生する磁束が前記コイルの軸方向に対して直交するように配置された、請求項6から8のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項11】
前記検出素子は、
コイルと、前記操作部の変位により前記コイルとの位置関係が変化するヨークとを有し、
前記コイルは、前記操作部の変位量に応じた信号を出力する、請求項1から10のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項12】
車両に搭載され、前記車両のディスプレイ上の表示物を移動させる、請求項1から11のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項13】
ステアリングホイールに設置された、請求項12に記載の操作入力装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の操作入力装置と、
前記アクチュエータを制御する制御回路とを備える、操作装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の操作入力装置と、
前記検出素子から出力された信号に基づいて、前記操作部の変位量に応じた信号を出力する検出回路とを備える、操作装置。
【請求項16】
請求項8に記載の操作入力装置と、
前記アクチュエータのコイルのインダクタンスの変化を検出することによって、前記押部の変位量に応じた信号を出力する検出回路とを備える、操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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