説明

操作入力装置

【課題】操作入力を検出する機能と振動を与える機能を単純な構成で実現できる、操作入力装置の提供。
【解決手段】コイル11と、操作入力の作用によりコイル11の軸方向に変位するコア13と、コイル11の外周側面と上面と下面とを覆うように配置された第1のヨーク部14と、コイル11の内側下部に配置された第2のヨーク部15と、コア13を支持する弾性体16とを備え、コイル11は、コア13の変位量に応じた信号を出力し、コア13は、コイル11に流れる電流によりコア13と第2のヨーク部15との間に発生する磁気吸引力によって可動する、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力の作用によりコイルの軸方向に変位するコアを備える操作入力装置に関し、より詳細には、コアに振動を与えることが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抵抗膜方式のタッチパネルを用いて使用者の指の押圧時の入力位置及び押圧力を検知するとともに、タッチパネルに振動を与える入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この入力装置では、電圧測定回路によって入力位置及び押圧力を検知する一方で、振動モータなどによって使用者に対して振動を与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−275632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、操作入力を検出する機能と振動を与える機能を別々の独立した構成で実現しているため、入力装置が大型化しやすい。また、振動を与える機能を実現するための構成も複雑である。
【0005】
そこで、本発明は、操作入力を検出する機能と振動を与える機能を単純な構成で実現できる、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの外周側面と上面と下面とを覆うように配置された第1のヨーク部と、
前記コイルの内側下部に配置された第2のヨーク部と、
前記コアを支持する弾性体とを備え、
前記コイルは、前記コアの変位量に応じた信号を出力し、
前記コアは、前記コイルに流れる電流により前記コアと前記第2のヨーク部との間に発生する磁気吸引力によって可動することを特徴とするものである。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの外周側面と上面と下面とを覆うように配置された第1のヨーク部と、
前記コイルの内側下部に配置された第2のヨーク部と、
前記コアを支持する弾性体と、
前記コイルから出力される信号に基づいて、前記コアの変位量を検出する検出手段と、
前記コアと前記第2のヨーク部との間に磁気吸引力を発生させる電流を前記コイルに流すことによって、前記コアを可動させる制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作入力を検出する機能と振動を与える機能を単純な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】操作入力がコア13に作用していない操作初期状態での操作入力装置1の正面視断面図である。
【図1B】コア13が操作終点状態での操作入力装置1の正面視断面図である。
【図2A】操作初期状態での操作入力装置2の正面視断面図である。
【図2B】操作終点状態での操作入力装置2の正面視断面図である。
【図3】コアのストローク量と磁気吸引力との関係を示したグラフである。
【図4A】操作初期状態での操作入力装置3の正面視断面図である。
【図4B】操作終点状態での操作入力装置3の正面視断面図である。
【図5】操作入力装置3の一部の正面視断面図である。
【図6】操作入力装置3の一部の正面視断面図である。
【図7】インダクタンスの変化を検出する検出部と、操作部を可動させる制御部とを含む制御回路の一例のブロック図である。
【図8】図7の各点における波形を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。図1A,1Bは、本発明の一実施形態である操作入力装置1の模式的な断面図である。操作入力装置1の外形は略円柱状であるため、操作入力装置1の全体図については省略する。同様の理由により、後述の他の操作入力装置の全体図についても省略する。
【0011】
操作入力装置1は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系において、XY平面の法線方向側から入力される操作者の手指等による操作入力を操作部で受ける操作インターフェイスである。操作入力装置1は、操作部で受けた操作入力に応じて変化する出力信号を出力する。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0012】
操作入力装置1は、所定のホストに搭載又は接続される。ホストの具体例として、携帯端末(携帯電話、携帯ゲーム機、音楽や映像の携帯プレーヤーなど)、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、車両用コンピュータ、操作コントローラ、マウス、電化製品などの電子機器が挙げられる。操作入力装置1とホストとの接続形態は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。また、操作入力装置1自体が、操作コントローラやマウスなどの電子機器であってもよい。
【0013】
操作入力装置1は、そのようなホストに搭載又は接続されるディスプレイの画面上に表示されるオブジェクトを、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。画面上に表示されるオブジェクトは、例えば、カーソルやポインタなどの指示表示である。キャラクターなどの表示物でもよい。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0014】
また、操作入力装置1は、操作部を操作する操作者の触覚に作用する刺激を、その操作部によって強制的に付与可能な操作インターフェイスである。
【0015】
図1Aは、操作入力が操作部に作用していない操作初期状態での操作入力装置1の正面視断面図である。図1Bは、操作入力が操作部に作用することによりコア13が操作終点状態に至ったときの操作入力装置1の正面視断面図である。操作入力装置1は、コイル11と、コア13と、ヨーク14と、ヨーク15と、弾性体16とを備える。
【0016】
コイル11は、線材(導線)が筒状に巻かれて形成されている。図1A,1Bには、コイル11が、ボビン18の円筒部の外周側面に巻き回されて固定されている構成が例示されている。
【0017】
コア13は、操作部に作用する操作入力により、コイル11の軸方向(図の場合、操作入力装置1の上下方向)に変位する軟磁性体である。コア13は、操作入力が直接又は間接的に作用する操作部の動きに連動する。コア13は、操作部とは別部品でもよいし、操作部の一部位でもよいし、操作部自体でもよい。
【0018】
ヨーク14は、コイル11の外周側面と上面と下面とを覆うように配置された軟磁性体である。図1A,1Bには、ヨーク14の外形が円柱状に形成されている構成が例示されている。ヨーク14の上面には、コア13が貫通可能な開口部が形成されている。
【0019】
ヨーク15は、コイル11の内側下部に配置された軟磁性体である。図1A,1Bには、ヨーク15が、コイル11の内周側面(ボビン18の内周側面でもよい)の下側部位を沿うように形成された円筒部を備える構成が例示されている。
【0020】
コア及びヨークは、例えば、比透磁率が1よりも高い材質であればよく、比透磁率が1.001以上あると好適である。具体的には、鉄、鉄の合金(鋼など)が挙げられる。鉄の比透磁率は5000である。コア及びヨークは、例えば、鋼板から成形されるとよい。
【0021】
弾性体16は、コア13を弾性的に支持する部材である。図1A,1Bには、弾性体16が、コイル11の筒内(ボビン18の筒内でもよい)に形成された空間に配置されている構成が例示されている。弾性体16の上端部は、コア13の下端部に接触し、弾性体16の下端部は、ヨーク14の下面に接触している。弾性体16の具体例として、スプリング、ゴム、スポンジなどが挙げられる。
【0022】
コア13の変位によりコイル11とコア13との位置関係が変化すると、コイル11周辺の透磁率が変化するため、コイル11の自己インダクタンスが変化する。コイル11は、そのインダクタンスの変化に応じて、コア13の変位量に応じた信号波形を出力する。したがって、その信号波形を検出することによって、コア13及びコア13に連動する操作部の変位量(操作量)を算出できる。
【0023】
また、操作入力装置1は、ヨーク14と、ヨーク15と、コア13とによって構成される磁気回路を有する。コイル11に流れる電流に応じて、この磁気回路に磁束が発生する。この磁束によって、コア13とヨーク15との間のギャップに、コア13とヨーク15とを引き付ける磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力によって、コア13及びコア13に連動する操作部を強制的に動かすことができる。磁気吸引力の強弱は、コイル11に流す電流に応じて調整可能である。
【0024】
コア13は、ヨーク14の上面に形成された開口部の縁にコア13の側面が接触しながらスライドする。また、ヨーク15の下端は、ヨーク14の下面に接触する。磁気回路を構成するコアとヨークが互いに接触していることで、接触していない場合に比べて、その磁気回路に発生する磁束を強くできる(漏れ磁束を減らすことができる)。その結果、コア13とヨーク15との間のギャップに発生する磁気吸引力も強くできる。
【0025】
したがって、このような構成を有する操作入力装置1によれば、コア13及びコア13に連動する操作部の変位量を検出可能にするコイル11に電流を流すだけで、コア13及びコア13に連動する操作部に一又は二往復以上の振動を与えることができる。そのため、操作部に作用する操作入力を検出する機能と操作部に振動を与える機能の両方の機能を単純な構成で実現できる。
【0026】
また、ヨーク15がコイル11の内側下部に配置されていることによって、ヨーク15が無い場合に比べて、操作部が操作終点に至ったときの磁気吸引力を大きくすることができる。この点について説明する。
【0027】
図2A,2Bは、ヨーク15が無い操作入力装置2の模式的な断面図である。図2Aは、操作入力が操作部に作用していない操作初期状態での操作入力装置2の正面視断面図である。図2Bは、操作入力が操作部に作用することによりコア13が操作終点状態に至ったときの操作入力装置2の正面視断面図である。
【0028】
不図示のハードストップ機構に突き当たって機械的に変位できない位置までストロークしたコア13の位置をストローク終点とし、実際に操作者が操作可能な位置までストロークしたコア13の位置を操作終点とすると、操作終点で指先に刺激を与える振動を発生させるためには、操作終点では機械的にコア13を固定してはならない。したがって、操作終点はストローク終点よりも手前になるように、コア13の突出量などを設定する必要がある。
【0029】
一方、操作入力装置2のように、磁気吸引力を発生させるためのギャップをコア13とヨーク14の間に形成した場合、そのギャップがゼロに近づくほどそのギャップ間に発生する磁気吸引力は強くなる。したがって、図3の曲線L1で示されるように、ストローク終点S1で最も強い磁気吸引力F1が発生する。しかしながら、上述したように操作終点S2をストローク終点S1よりも手前に設けなければならないため、操作入力装置2の構成の場合、操作入力装置2で発生させることが可能な最大の磁気吸引力F1よりも小さな磁気吸引力F2しか操作終点S2では発生させることができなくなる。
【0030】
これに対して、図1A,1Bに示した操作入力装置1の場合、コイル11外周を取り囲むヨーク14の下部に、コア13の外径よりも大きい内径を有する円筒部を有するヨーク15が設けられている。したがって、コア13が操作終点まで変位しても、ヨーク15とコア13は機械的に干渉することはない。そのため、ヨーク15とコア13との間のギャップが操作終点S2でゼロになるように設定すると、図3の曲線L2で示されるように、操作入力装置1で発生させることが可能な最大の磁気吸引力F1を操作終点S2で発生させることができる。
【0031】
このように、ヨーク15を備えることで、コア13のZ方向(すなわち、コイル11の軸線方向)のストロークを操作終点で規制することなく、最大の磁気吸引力を操作終点で発生させることができ、ヨーク15が無い場合に比べて、操作者の指先に強い触感を与えることが可能となる。
【0032】
次に、本発明の一実施形態である操作入力装置の構成について更に詳細に説明する。
【0033】
図4A,4Bは、本発明の一実施形態である操作入力装置3の模式的な断面図である。図4Aは、操作入力が操作部に作用していない操作初期状態での操作入力装置3の正面視断面図である。図4Bは、コア23が操作終点状態に至ったときの操作入力装置3の断面図である。操作入力装置3は、コイル21と、コア23と、リターンバネ26と、ヨーク24と、ヨーク25と、ヨーク27とを備える。上述の操作入力装置と同様の構成については、その説明を省略する。
【0034】
コイル21は、円筒状に線材(導線)が巻かれて、ボビン28に固定されたものである。コイル21は、円筒状であるが、角筒状等の他の筒状の形状でもよい。図4A,4Bには、コイル21が、ボビン28の円筒部の外側側面に巻き回されて固定されている構成が例示されている。
【0035】
コア23は、コイル21の内径よりも外径が小さい円柱状の軟磁性体である。コア23は、操作入力が直接又は間接的に作用する操作部の動きに連動して、コイル21の軸線方向に変位する。コア23は、ボビン28の円筒部の内側の空間を移動する。コア23の変位量は、コア23の上方から作用する操作入力の入力量に応じて、連続的に変化する。コア23は、コア23に作用する操作入力により、コイル21の軸線上を変位することによって、コイル21のインダクタンスを変化させる変位部材である。コア23はヨーク24の下面に近づく方向にストロークするにつれて、コイル21のインダクタンスは増加し、コア23がヨーク24の下面から離れる方向にストロークするにつれて、コイル21のインダクタンスは減少する。コア23は、コイル21が円筒状であれば、円柱状の軟磁性体であることが好ましく、コイル21が角筒状であれば、角柱状の軟磁性体であることが好ましい。
【0036】
リターンバネ26は、コア23をコイル21の軸線方向に変位可能に弾性的に支持する支持部材である。リターンバネ26は、コア23とヨーク24の下面との間に形成された空間に配置されている。
【0037】
ヨーク24は、コイル21の外周側面と上面と下面とを覆うように配置された円柱状の軟磁性体である。ヨーク25は、コイル21の内周側面(ボビン28の内周側面でもよい)の下側部位を沿うように形成された円筒部を備える。ヨーク27は、コイル21の内周側面(ボビン28の内周側面でもよい)の上側部位を沿うように形成された円筒状の軟磁性体である。ヨーク27の内径は、コア23の上部が進入可能な大きさである。
【0038】
操作入力装置3は、ヨーク24と、ヨーク25と、コア23と、ヨーク27とによって構成される磁気回路を有する。コイル21に流す電流が、この磁気回路に磁束Φを発生させる。図中の矢印は、磁束Φの方向を示している。コア23の下面とヨーク25の上面との間のギャップの方向が、コイル21の軸線に平行になるように、コア23とヨーク25がコイル21の内側空間に配置されている。
【0039】
コア23は、ヨーク27の内周側面にコア23の外周側面が接触しながらスライドする。また、ヨーク27の上端は、ヨーク24の上面に接触し、ヨーク25の下端は、ヨーク24の下面に接触する。磁気回路を構成するコアとヨークが互いに接触することで、接触していない場合に比べて、その磁気回路に発生する磁束を強くできる(漏れ磁束を減らすことができる)。その結果、コア23とヨーク25との間のギャップに発生する磁気吸引力も強くできる。
【0040】
また、仮にヨーク27が無い場合、コア23がコイル21の内側空間に進入した図4Bの状態でも、コア23とヨーク24が非接触になることにより、磁気回路に発生する磁束が弱くならないようにすることが求められる。そのためには、例えば、図4Bの状態でもコア23がヨーク24に接触するように、コア23の高さを高くしなければならない。しかしながら、コア23の高さを高くすると、図4Aの状態でコア23はヨーク24に対して上方に突き出るため、操作入力装置3の小型化が難しくなるおそれがある。また、コア23の体積が増加するため、操作入力装置3の重量がアップするおそれがある。
【0041】
これに対し、ヨーク27を備えることによって、図4Bの状態でも、コア23はヨーク27を介してヨーク24に接触できる。そのため、コア23の高さを高くしなくても、磁気回路に発生する磁束が弱くなることを防ぐことができる。また、コア23の高さを高くする必要がないため、操作入力装置の大型化や重量アップを防止できる。
【0042】
また、操作入力装置3は、コア23が操作入力により押し込まれることで、ヨーク25とヨーク27の間に形成された空隙がコア23の磁束中継により狭まる。その空隙が狭まることで、コイル21の自己インダクタンスが増加する。この自己インダクタンスの増加をコイル21に電流を流すことにより評価することで、コア23及びコア23に連動する操作部の押し込み量が検出できる。それと共に、押し込み量を検出するためにコイル21に流す電流とは別に、その電流よりも大きな電流をコイル21に流すことで、操作者に刺激を与える振動をコア23に発生させることができる。
【0043】
また、操作入力装置3は、コイル21の外側に配置されたヨーク24を製品ケースとしても兼ねることができるため、製品のサイズに対し、コイル21のサイズを最大限に大きくできる。その結果、製品のサイズに対して発生する磁界強度の効率を向上させられる。
【0044】
また、コイル21の内径に円筒状のヨーク25,27を配設することで、コイル21の内部に円柱状の空間が設けられる。その円柱状の空間内に、コア23とヨーク25との間の空隙が形成されている。これにより、コイル21によって発生した磁束をコイル21の内壁面側へ誘導でき、リターンバネ26を配設可能な空間を作ることができる。
【0045】
したがって、操作入力装置3は、操作入力により変位、変形する部材(コア23及びリターンバネ26)を最小限に小さくできる。また、製品のサイズに対し、発生する磁束、インダクタンス及び操作者に与えるフィードバック力を、効率良く発揮できる。さらに、コア23のサイズを小さくできるので、可動部位であるコア23の重量を軽くでき、フィードバック力を発生する時の応答性を上げることができる。
【0046】
また、図5に示されるように、コア23の下面23bには、リターンバネ26の外径よりも大きい内径を有する円柱状の凹部23cが形成されている。凹部23cは、リターンバネ26をコイル21の軸線方向に滑らかに伸縮させるガイドとして機能する。リターンバネ26の上端は、凹部23cの底面であるバネ受け面23dに接触する。
【0047】
また、コア23の中央部に形成された凹部23cの磁束密度は、ヨーク25及び27によりコイル21の内壁面側へ誘導されている磁束の磁束密度に比べて低い。そのため、磁気回路の効率を落とすことなく、リターンバネ26を凹部23cで固定できる。
【0048】
また、凹部23cを設けることで、リターンバネ26を長くできる。そのため、リターンバネ26の圧縮方向に対する設計自由度、強度(耐久性)を向上させることができる。また、凹部23cを形成することで、可動部であるコア23の重量を軽減できるため、フィードバック力発生時の応答性が向上できる。
【0049】
また、コア23は、コア23の側面の下側部位に設けられたフランジ部23eを有し、ボビン28は、ボビン28の円筒部の内側側面に設けられたフランジ部28aを有する。フランジ部28aは、フランジ部23eの上面とフランジ部28aの下面とが接触して組み合うことで、コア23がリターンバネ26によって復帰できる位置を制限する。これにより、操作入力が操作部を介してコア23に作用していない操作初期状態において、コア23の位置がリターンバネ26の復帰力によって固定される。つまり、コア23がヨーク24の下面から離れる向きの復帰力がリターンバネ26によってコア23に付与された状態で、リターンバネ26はヨーク24の下面とコア23との間に配置されている。
【0050】
また、コア23のフランジ部23eの外径d1よりも、ヨーク25の内径d2を大きくすることによって、コア23がヨーク25の内側空間まで進入できるようになる。そのため、ヨーク24の下面から上面までの高さが同じであれば、外径d1よりも内径d2が大きい場合、外径d1よりも内径d2が小さい場合に比べて、コア23がストローク可能な最大長を長くできる。
【0051】
また、図6に示されるように、ヨーク27の円筒部の内径d3が、フランジ部28aの内径d4よりも大きくすることによって、軟磁性体のコア23と軟磁性体のヨーク27が直接接触しながらスライドすることを防止できる。また、コア23のストロークはフランジ部28aによってガイドされる。そのため、ボビン28をガイドに適した樹脂等の材質にすることで、コア23のストロークに伴う磨耗を軽減できるとともに、コア23の側面の上側部位がフランジ部28aの縁をスライドするときの摩擦力を軽減できる。
【0052】
次に、コイルのインダクタンスの変化を検出する検出部と、そのコイルに電流を流すことによって、コアを可動させる制御部について説明する。
【0053】
検出部は、コイルのインダクタンスの変化を電気的に検出することで、操作部の連続的に変化するアナログ変位量に応じた検出信号を出力する検出手段である。検出部は、不図示の基板に実装される検出回路によって構成されるとよい。
【0054】
例えば、検出部は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出し、その物理量の検出値を操作部の変位量に等価な値として出力する。また、検出部は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出することによりコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力するものでもよい。また、検出部は、その物理量の検出値又はそのインダクタンスの算出値から操作部の変位量を演算し、その変位量の演算値を出力するものでもよい。
【0055】
具体的には、検出部は、パルス信号をコイルに供給することによって、コイルのインダクタンスの大きさに対応して変化する信号波形をコイルに発生させ、その信号波形に基づいてコイルのインダクタンスの変化を電気的に検出するとよい。
【0056】
例えば、コイルの上端面の上方領域における操作部の下方への変位量が増加するにつれて、コイル周辺の透磁率が増加し、コイルのインダクタンスが増加する。コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルの両端に発生するパルス電圧波形の振幅も大きくなる。そこで、その振幅をコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出部は、その振幅を検出することによって、その振幅の検出値を操作部の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出部は、その振幅の検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0057】
また、コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルに流れるパルス電流波形の傾きが緩やかになる。そこで、その傾きをコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出部は、その傾きを検出することによって、その傾きの検出値を操作部の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出部は、その傾きの検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0058】
検出部は、例えば、コイルに第1のパルス信号を供給することによってコイルのインダクタンスの変化を検出する検出手段である。検出部は、コイルに第1のパルス信号に対応するパルス電流(第1のパルス電流)を供給することによってコイルの両端に発生するパルス電圧(第1のパルス電圧)に基づいて、コイルのインダクタンスの変化を検出する。コイルのインダクタンスの変化の検出結果に応じて、操作部の変位量を算出することができる。
【0059】
一方、制御部は、例えば、コイルに第1のパルス信号に対して位相が異なる第2のパルス信号を供給することによって操作部を可動させる磁界を発生させる制御手段である。コイルに第2のパルス信号に対応するパルス電流(第2のパルス電流)が流れることによって生ずる磁界によって、操作部をコアと共にコイルに引き寄せたり引き離したりする力が発生する。コイルに第2のパルス信号が供給されることによって生ずる力の大きさ変動によって、操作部を振動させる。すなわち、第2のパルス信号は、一時的に振幅が変化する信号であるので、操作部に与える力の大きさに変動を与えることができる。
【0060】
第1のパルス信号及び第2のパルス信号は、矩形波でもよいし、三角波でもよいし、ノコギリ波でもよい。
【0061】
図7は、インダクタンスの変化を検出する検出部と、操作部を可動させる制御部とを含む制御回路の一例のブロック図である。制御回路は、コイルLのインダクタンスの変化を検出する算出手段である。制御回路は、CPU等の演算回路70と、演算回路70の第1の出力ポート71に接続された駆動回路76と、演算回路70の第2の出力ポート72とADポート73とに接続された受信回路77とを備える。コイルLは、受信回路77及び駆動回路76を介して、演算回路70に接続される。
【0062】
駆動回路76は、演算回路70の出力ポート71からの出力信号に応じて定電流源76aの出力電流をコントロールすることによって、コイルLに電流を流す。受信回路77は、コイルLに電流を流すことに伴い発生する電圧を、アンプ77aを通してピークホールド回路77bに入力する(ボトムホールド回路に入力されてもよい)。ピークホールド回路77bによってピークホールドされたピーク値(アナログ値)は、ADポート73に入力されて、ADコンバータによって、デジタル値に変換される。
【0063】
図8は、図7の各点における波形を示した図である。演算回路70の出力ポート71から矩形波の電圧波形が出力される。この電圧によって、定電流回路76aは、コイルに一定の電流を流す。これにより、コイルは微分波形の電圧V2を発生させる。電圧波形V2として、電圧波形V1の立ち上がりに同期した波形2−1が得られるとともに、電圧波形V1の立下りに同期した波形2−2が得られる。波形2−2は、波形2−1に対して正負が逆側の波形である。アンプ77aは、電圧波形V2を、ADコンバータのダイナミックレンジに適した大きさに増幅する。電圧波形V2をピークホールドするか又はボトムホールドするかによって、そのホールドした値がADコンバータ(ADポート73)に取り込まれる。波形2−1,2−2の振幅値は、各コイルのインダクタンスの大きさに比例して大きくなるため、この振幅値を検出することによって、各コイルのインダクタンスの大きさを評価できる。
【0064】
このように、上述の本発明の実施形態の場合、インダクタンスを検出するコイルに印加電圧をフィードバック用に加えるだけで振動を発生できる。例えば、インダクタンスを検出するための検出回路部の駆動回路から出力させる波形の周波数、電圧、間隔などを変化させるだけで、操作部の検出機能と振動の発生機能を実現できる。このように、極めて構成が単純であり、追加するアクチュエータも必要ない。
【0065】
いわゆる、振動モータのような操作入力装置を含む製品全体(例えば、操作コントローラ)を振動させるような方法は、製品全体を振動させる強さと時間でしか変化がつけられない。しかしながら、本発明の実施形態であれば、操作部に力の変化を直接出力できる。そのため、例えば複数個の操作入力装置を搭載すれば、その操作部ごとにフィードバックを出力できる(振動させることができる)。また、操作コントローラのような製品を持っている手に対してフィードバック振動が伝わることを抑制できるため、直接的な触感を与えることができる。
【0066】
また、振動モータは振動の振幅を上げるために回転数を上げる必要があり、回転が上がるまでの時間がかかるため応答性が低く、振動周波数と振幅を個別に制御できない。しかしながら、本発明の実施形態であれば、操作部という重量の比較的軽い部位にのみ力を出力するため、出力されるパルスを変更することにより、1パルスでクリック感のような触感を出力することも、パルスを繰り返して振動のような触感を出力することもできる。また、振幅、周波数、パルス幅などを自在に変更できるため、必要に応じて触感を変化させることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。上述の実施例それぞれの各部の構成を組み合わせてもよい。
【0068】
例えば、操作部を弾性的に支持する支持部材は、リターンバネのような弾性部材に限らず、ゴム部材でもよいし、スポンジ部材でもよいし、空気や油が充填されたシリンダーでもよい。
【0069】
また、本発明の操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1〜3 操作入力装置
11 コイル
13 コア
14 ヨーク部
15 ヨーク部
16 弾性体
18 ボビン
23 コア
23b 下面
23c 凹部
23d バネ受け面
23e フランジ部
24 ヨーク部
25 ヨーク部
26 リターンバネ
27 ヨーク部
28 ボビン
28a フランジ部
70 演算回路
76 駆動回路
77 受信回路
Φ 磁束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの外周側面と上面と下面とを覆うように配置された第1のヨーク部と、
前記コイルの内側下部に配置された第2のヨーク部と、
前記コアを支持する弾性体とを備え、
前記コイルは、前記コアの変位量に応じた信号を出力し、
前記コアは、前記コイルに流れる電流により前記コアと前記第2のヨーク部との間に発生する磁気吸引力によって可動する、操作入力装置。
【請求項2】
前記第2のヨーク部は、筒部を有する、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記筒部の内径が、前記コアの外径よりも大きい、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記弾性体は、前記コイルの内側に配置された、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記コアは、前記弾性体を受ける凹部を有する、請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記コイルを固定するボビンを備え、
前記コアは、前記ボビンの内側を変位する、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記コアは、前記コアの側面に設けられた第1のフランジ部を有し、
前記ボビンは、前記ボビンの内側に設けられた第2のフランジ部を有し、
前記第2のフランジ部は、前記第1のフランジ部と組み合うことで、前記コアが前記弾性体によって復帰できる位置を制限する、請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記コイルの内側上部に配置された第3のヨーク部を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記第3のヨーク部は、前記コアが進入可能な筒部を有する、請求項8に記載の操作入力装置。
【請求項10】
前記コイルの内側上部に配置された第3のヨーク部を備え、
前記第3のヨーク部は、前記コアが進入可能な筒部を有し、
前記第3のヨーク部の前記筒部の内径が、前記第2のフランジ部の内径よりも大きい、請求項7に記載の操作入力装置。
【請求項11】
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの外周側面と上面と下面とを覆うように配置された第1のヨーク部と、
前記コイルの内側下部に配置された第2のヨーク部と、
前記コアを支持する弾性体と、
前記コイルから出力される信号に基づいて、前記コアの変位量を検出する検出手段と、
前記コアと前記第2のヨーク部との間に磁気吸引力を発生させる電流を前記コイルに流すことによって、前記コアを可動させる制御手段とを備える、操作入力装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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