説明

操作制御システムと操作制御システムのためのプログラム

【課題】指示端末においてリアルタイムで操作可能範囲の設定を行い、当該操作可能範囲に基づいて被指示端末の操作を制御することが可能な操作制御システムを提供する。
【解決手段】操作可能範囲を設定する指示端末2と、当該操作可能範囲により操作が制御される被指示端末3とがネットワーク10を介して接続された操作制御システム1は、入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する操作情報管理部20と、操作情報に基づく入力デバイスの位置指定操作が行われた時点の指示端末2の操作画面に表示されている表示物の表示物情報を取得する表示物情報取得部21と、指定操作に関する表示物情報に基づいて、被指示端末3における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を決定する許可範囲決定部22と、当該操作許可条件に基づいて被指示端末3を制御する制御部34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作可能範囲を設定する指示端末と、前記操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続された操作制御システムと、そのような操作制御システムのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、学校や企業や官公庁において、コンピュータを用いた演習や作業や入力が必要不可欠なものとなっている。このような状況の中、子供から高齢者に至るまで幅広いユーザがコンピュータを使用している。しかしながら、全てのユーザがコンピュータの操作に長けているわけではなく、コンピュータの操作に慣れていないユーザやコンピュータの操作を苦手としているユーザもいる。このようなユーザでも適切にコンピュータを使用できるように、これまでに各種ユーザ支援装置が提供されてきた(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1には、アプリケーションソフトウェアにおけるユーザの誤動作を防止したり、特定ユーザの特定操作を禁止したりすることが可能な入力抑制装置が開示されている。当該入力抑制装置は、アプリケーション名とアプリケーションの実行に際して制限したい内容とを予めアプリケーション毎に登録し、監視対象とするコンピュータを監視する。そして、当該コンピュータを利用するユーザにより、予め登録しておいた内容の入力があった場合に、当該入力をキャンセルする機能を有している。
【0004】
また、特許文献2には、ネットワークを介した端末に対して、予め操作禁止領域を設定し、端末から受信した操作情報が操作禁止領域に入る場合に端末の操作を禁止し、操作禁止領域から外れる場合に端末の操作を実行させるプログラムについて開示されている。このプログラムによれば、操作禁止領域が、予め操作画面を特定することができる画面識別情報とリンクして登録され、操作画面が切り替えられる毎に当該操作画面の画面識別情報と登録された画面識別情報とを比較して、対応する禁止領域を読出して端末の操作を禁止、或いは実行する。
【0005】
【特許文献1】特開2000−105658号公報(段落番号0020、0021等)
【特許文献2】特開2007−58638号公報(段落番号0006〜0009等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1及び2に記載の技術では、予めユーザの操作を禁止する入力や禁止する操作等を登録しておく必要がある。したがって、禁止したい入力や操作を予め予想する必要があり、管理者にとって煩わしく、手間がかかってしまう。また、このように禁止する入力や禁止する操作等を予め登録しておく構成において、登録漏れがあった場合には、ユーザによる操作に気づいた後で、早急に登録することになる。このような場合、既に禁止したい操作が行われていることから、コンピュータに深刻なダメージを与えてしまう虞もある。また、例えば、学校等では、授業の進捗や生徒の理解度に応じて、禁止する入力や禁止する操作等を臨機応変に設定できることが望まれる。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、操作可能範囲を設定する指示端末と、操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続された操作制御システムにおいて、指示端末においてリアルタイムで操作可能範囲の設定を行い、当該操作可能範囲に基づいて被指示端末の操作を制御することが可能な操作制御システムとそのような操作制御システムのためのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る、操作制御システムの特徴構成は、操作可能範囲を設定する指示端末と、前記操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続され、入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する操作情報管理部と、前記操作情報に基づく前記入力デバイスの位置指定操作が行われた時点の前記指示端末の操作画面に表示されている表示物の表示物情報を取得する表示物情報取得部と、前記位置指定操作に関する前記表示物情報に基づいて、前記被指示端末における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を決定する許可範囲決定部と、前記操作許可条件に基づいて前記被指示端末を制御する制御部と、を備えた点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、指示端末において入力デバイスによる位置指定操作が行われた時点で、被指示端末における操作を許可する範囲を規定する操作許可条件を決定することができるため、リアルタイムでの操作可能範囲の設定が可能となる。したがって、当該リアルタイムで設定された操作可能範囲に基づいて被指示端末の操作を制御することが可能となるため、被指示端末に深刻なダメージが与えられることを防止することができる。また、入力デバイスを用いて位置指定を行うことができるため、視覚的に決定することができる。したがって、操作可能範囲を直感的に指示することが可能となる。
【0010】
また、前記被指示端末で行われる操作の内容を示す操作情報と、当該操作が行われる際の操作画面の表示物情報と、に基づいて、前記被指示端末における当該操作の操作範囲を特定する操作範囲情報を取得する操作特定部を備え、前記制御部は、前記操作範囲情報に基づいて前記被指示端末を制御すると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、被指示端末で行われた操作の操作位置を容易に特定することができる。したがって、適切に被指示端末を制御することが可能となる。
【0012】
また、前記表示物情報は、前記操作画面に表示されている表示物の処理対象情報を含み、前記操作許可条件は、前記被指示端末において操作可能とするアプリケーション及びファイルの少なくともいずれか一方を規定する条件であると好適である。
【0013】
このような構成であれば、被指示端末で操作されるアプリケーションやファイルに対して制御を行うことが可能となる。
【0014】
また、前記ネットワークに複数の端末が接続され、前記複数の端末は、前記操作情報に含まれるユーザ識別情報及び端末識別情報のいずれか一方に基づいて前記指示端末又は前記被指示端末として特定されると好適である。
【0015】
このような構成とすれば、指示端末と被指示端末との別を予め設定しておくことが不要となる。したがって、使用される状況に応じて、複数の端末から指示端末と被指示端末とを特定し、指示端末により設定される操作可能範囲に基づいて、被指示端末の操作を制御することが可能となる。
【0016】
更に、本発明では、操作可能範囲を設定する指示端末と、前記操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続された操作制御システムに好適に用いられるプログラムも権利範囲としており、そのコンピュータプログラムの特徴構成は、入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する操作情報管理機能と、前記操作情報に基づく前記入力デバイスの位置指定操作が行われた時点の前記指示端末の操作画面に表示されている表示物の表示物情報を取得する表示物情報取得機能と、前記位置指定操作に関する前記表示物情報に基づいて、前記被指示端末における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を決定する許可範囲決定機能と、前記操作許可条件に基づいて制御する制御機能と、をコンピュータに実行させる点にある。
【0017】
このような操作制御システムのためのプログラムも、上述した本発明の対象としての操作制御システムと同様に、上述した作用効果を得ることが可能であり、上述した種々の付加的な特徴構成を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る操作制御システム1の概略構成を模式的に示したブロック図である。本操作制御システム1は、操作可能範囲を設定する指示端末2と、当該操作可能範囲により操作が制御される被指示端末3とがネットワーク10を介して接続される。操作可能範囲とは、操作を行うことが可能な範囲を示す。本操作制御システム1は、このような指示端末2で設定された操作可能範囲に基づいて、被指示端末3で行われようとする操作を制御する。即ち、被指示端末3において操作命令が出された操作を実行したり、或いは無効としたりする機能を備えている。以下、本操作制御システム1が備える機能について説明する。
【0019】
図1に示されるように、本操作制御システム1は、ネットワーク10を介して接続された指示端末2と被指示端末3とからなる。指示端末2と被指示端末3とは、当該ネットワーク10に接続するインタフェースとして、夫々、ネットワークインタフェース23とネットワークインタフェース35とを備える。そして、指示端末2は、操作情報管理部20、表示物情報取得部21、許可範囲決定部22、制御部24の各機能部を備える。また、被指示端末3は、操作情報管理部30、表示物情報取得部31、操作特定部32、判定部33、制御部34の各機能部を備える。なお、本操作制御システム1は、CPUを中核部材として操作制御に関する種々の処理を行うための前記機能部をハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。以下、本操作制御システム1の各部の構成について説明する。
【0020】
指示端末2が備える操作情報管理部20は、入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する。入力デバイスは、指示端末2が有する例えばマウス等のポインティングデバイスが相当する。したがって、以降の説明においては、入力デバイスをポインティングデバイスとして説明する。操作情報とは、指示端末2における操作内容を示す情報であり、処理対象、処理内容、操作位置、時間、端末識別情報、ユーザ識別情報などが含まれる。操作内容とは、例えばポインティングデバイスのクリック操作や移動操作等に関する操作の内容を示す。また、この操作情報には、クリック操作や移動操作等に関する位置情報が含まれ、当該位置情報は、操作画面Mにおけるカーソルの座標情報で示される。したがって、操作情報に基づいて、指示端末2で行われたポインティングデバイスの操作や当該操作が行われた操作位置を特定することが可能である。これにより、操作情報管理部20は、取得した操作情報の操作内容によりポインティングデバイスのクリック操作や移動操作などの位置指定操作を検知する。そして、操作情報管理部20は、位置指定操作を検知すると、表示物情報取得部21に取得指示を行い、許可範囲決定部22に操作情報を伝達する。
【0021】
指示端末2が備える表示物情報取得部21は、取得指示を受け、操作情報に基づくポインティングデバイスの位置指定操作が行われた時点の指示端末2の操作画面Mに表示されている表示物の表示物情報を取得する。位置指定操作とは、ポインティングデバイスで位置を指定する操作であり、当該操作としてポインティングデバイスのクリック操作や移動操作が相当する。また、表示物とは、指示端末2の操作画面Mに表示されている物であり、例えば、操作画面Mに表示されるアイコン、タスクバー、ウィンドウ、ウィンドウなどに含まれるボタンやデータ入力部等が相当する。表示物情報とは、操作画面Mの表示物の情報であり、表示位置情報及び処理対象情報を含む。表示位置情報とは、表示物の位置を示す情報であり、処理対象情報とは表示物を識別する情報であって、たとえば、コード、表示物が示す処理対象のアプリケーション名やファイル名など、表示物が示す処理内容や機能など、これらの組み合わせで表される。
【0022】
したがって、表示物情報取得部21は、操作情報に基づくポインティングデバイスの位置指定操作が行われた時点の指示端末2の操作画面Mに表示されている表示物の表示物情報として、前記指定操作が行われた時点の操作画面Mに表示されている表示物の表示位置情報や処理対象情報を取得する。表示物情報取得部21は、取得した表示物情報を後述の許可範囲決定部22に伝達する。なお、本表示物情報取得部21は、上述の各情報を操作画面Mの全領域を対象として取得することも可能であるし、ポインティングデバイスで指定された少なくとも一部の領域を対象として取得することも可能である。
【0023】
許可範囲決定部22は、位置指定操作に関する表示物情報に基づいて、被指示端末3における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を設定する。位置指定操作に関する表示物情報とは、位置指定操作で指定される表示物の表示物情報や、位置指定操作で指定された領域(指定領域)の中に入る表示物の表示物情報や、指定領域の中に表示領域の一部が入る表示物の表示物情報を示す。また、例えば、所定の位置でのみ行われるクリック操作などのように位置指定操作が点として指定される場合の表示物の表示物情報も含まれる。また、上述のような位置指定操作により表示物が指定されているか否かの判定は、指定領域の位置情報と、表示物の表示物情報に含まれる表示位置情報とを用いた論理演算により行われる。即ち、上述のような指定領域の中に表示物が含まれる場合、或いは指定領域の中に表示物の少なくとも一部が含まれる場合や、位置指定操作が行われた点が表示物上にある場合には、位置指定操作により表示物が指定されているとして判定する。操作許可条件には、位置指定操作で指定される表示物の表示物情報により被指示端末において行われる操作を許可する範囲として、許可される操作の位置(領域)、許可される操作の表示物やその処理対象、これらの組み合わせが規定される。この操作許可条件の設定は、以下のようにして行われる。まず、操作情報管理部20から伝達される操作情報に含まれる位置情報に基づいて、指定領域を特定する。この指定領域は、ポインティングデバイスが移動した座標の集合から特定しても良いし、ポインティングデバイスの始点及び終点の座標から特定しても良い。前者の場合であれば、ポインティングデバイスが移動した軌跡で形成された領域、即ち軌跡領域として指定領域を特定することができる。一方、後者であれば、始点の座標と終点の座標とを結ぶ線を対角線とする矩形で形成される領域、即ち矩形領域として指定領域を特定することができる。また、指定領域を点として指定することも可能である。なた、指定領域が表示物の表示位置の一部であっても良い。なお、操作情報とは、位置指定操作のものである。
【0024】
ここで、操作許可条件は表示物情報に基づいて設定され、当該表示物情報は表示位置情報及び処理対象情報が含まれる。即ち、操作許可条件は、上述のような位置指定操作で指定された表示物の表示物情報に含まれる表示位置情報及び処理対象情報の少なくともいずれか一方で設定される。処理対象情報は、ウィンドウやアイコンやボタン等の処理対象識別情報が含まれる。処理対象が、ウィンドウである場合には、操作許可条件は操作可能とするウィンドウを制限する条件となる。また、処理対象が、アイコンやボタン等である場合には、操作可能とするアイコンやボタン等を制限する条件となる。このようにして操作許可条件が設定される。そして、当該操作許可条件は、ネットワーク10を介して被指示端末3が備える判定部33(後述する)に伝達される。
【0025】
被指示端末3が備える操作情報管理部30は、被指示端末3で行われるポインティングデバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する。ここで、本操作制御システム1では、上述のように指示端末2で設定された操作許可条件に基づいて、被指示端末3で行われようとする操作を制御する、即ち被指示端末3で行われようとする操作は一旦、保留され、当該保留された操作が指示端末2で設定された操作許可条件に含まれるか否かを判定し、当該判定結果に基づいて保留された操作を実行したり、或いは無効にしたりする。したがって、以降の説明では、特に断りがない限り、被指示端末3で行われるポインティングデバイスによる操作は、制御部34(後述する)により制御されるまで一旦、保留されるものとする。
【0026】
被指示端末3により取得される操作情報は、被指示端末3で行われる操作内容を示す情報であり、処理対象、処理内容、操作位置、時間、端末識別情報、ユーザ識別情報などが含まれる。操作内容とは、例えばポインティングデバイスのクリック操作や移動操作等に関する操作の内容を示す。この操作情報には、クリック操作や移動操作等に関する位置情報が含まれる。この位置情報には、被指示端末3の操作画面Mにおけるカーソルの座標情報で示される。したがって、操作情報に基づいて、被指示端末3で行われるポインティングデバイスの操作や当該操作が行われる操作位置を特定することが可能である。これにより、操作情報管理部30は、取得した操作情報の操作内容によりポインティングデバイスのクリック操作や移動操作などを検知する。そして、操作情報管理部30は、検知すると、表示物情報取得部31へ取得指示を送信し、許可範囲決定部22に操作情報を伝達する。
【0027】
被指示端末3が備える表示物情報取得部31は、取得指示を受け、被指示端末3の操作画面Mに表示されている表示物の表示物情報を取得する。表示物とは、被指示端末3の操作画面Mに表示されるアイコン、タスクバー、ウィンドウ、ウィンドウなどに含まれるボタンやデータ入力部等が相当する。表示物情報とは、操作画面Mの表示物の情報であり、表示位置情報及び処理対象情報を含む。表示位置情報とは、表示物の位置を示す情報であり、処理対象情報とは表示物を識別する情報であって、たとえば、コード、表示物が示す処理対象のアプリケーション名やファイル名など、表示物が示す処理内容や機能など、これらの組み合わせで表される。したがって、表示物情報取得部31は、被指示端末3の操作画面Mに表示されている表示物の表示物情報として、操作画面Mに表示されている表示物の表示位置情報や処理対象情報を取得する。表示物情報取得部31は、取得した表示物情報を後述の判定部33に伝達する。
【0028】
操作特定部32は、被指示端末3で行われる操作の内容を示す操作情報と、当該操作が行われる際の操作画面Mの表示物情報と、に基づいて、被指示端末3における当該操作の操作範囲を特定する操作範囲情報を取得する。この操作範囲情報の取得は、以下のようにして行われる。まず、操作情報管理部30から伝達される操作情報に含まれる位置情報に基づいて、操作位置を特定する。次に、操作特定部32は、表示物情報取得部31から伝達される表示物情報に基づいて、上述の操作位置に対応する操作範囲情報を取得する。この操作範囲情報は、表示領物情報に含まれる情報により決定される。表示物情報に表示位置情報及び処理対象情報が含まれる。処理対象情報は、ウィンドウやアイコンやボタン等の処理対象識別情報が含まれる。処理対象が、ウィンドウである場合には、操作範囲情報は操作するウィンドウを示す情報となる。また、処理対象が、アイコンやボタン等である場合には、操作するアイコンやボタン等を示す情報となる。このような操作位置と表示物情報の表示位置との関係により、操作範囲情報が設定される。即ち、操作位置と表示位置との論理演算を演算することにより操作範囲情報が設定される。この場合、操作位置と表示位置との少なくとも一部が重なる部分がある場合には、操作範囲情報として設定される。そして、当該操作範囲情報は、後述する判定部33に伝達される。
【0029】
判定部33は、被指示端末3で行われる操作の操作範囲が操作許可条件に含まれるか否かの判定を行う。被指示端末3で行われる操作の操作範囲は、上述の操作特定部32から伝達される操作範囲情報により特定される。また、操作許可条件は、ネットワーク10を介して指示端末2が備える許可範囲決定部22から伝達される。判定部33は、この操作範囲情報に含まれる操作範囲が操作許可条件に含まれるか否かの判定を行い、判定結果を制御部34に伝達する。
【0030】
被指示端末3が備える制御部34は、上述の判定部33から伝達される操作範囲と操作許可条件とに基づく判定結果に応じて被指示端末3を制御する。ここで、操作情報管理部30で特定された操作情報に基づく操作は、上述のように当該制御部34により制御されるまで保留されている。即ち、操作範囲が操作許可条件に含まれるとする判定結果が判定部33から伝達されると、制御部34は操作情報の処理を実行するように制御する。一方、操作範囲が操作許可条件に含まれないとする判定結果が判定部33から伝達されると、制御部34は操作情報の処理を無効にするように制御する。操作範囲が操作許可条件に含まれないとする判定結果が伝達された場合の制御部34が行う制御には、被指示端末3で行われる操作を無効にするような操作の規制や、被指示端末3に対する警告通知や、図示しない記録部等への記録が含まれる。また、この記録は被指示端末3の記録部に対してだけでなく、指示端末2が備える記録部(図示しない)に対して行うようにしても良い。更には、上述の判定部33から伝達される操作範囲と操作許可条件とに基づく判定結果に応じて指示端末2や被指示端末3に操作可能範囲を示すイメージを表示しても良いし、指示端末2に対して操作可能範囲の通知を行っても良い。係る場合、指示端末2における前記イメージの表示や前記通知は、指示端末2が備える制御部24により行われる。即ち、操作範囲と操作許可条件との論理演算により行われる。
【0031】
次に、指示端末2において設定される操作許可条件に基づいて、被指示端末3で操作可能範囲として設定される場合の例に関して図を用いて説明する。図2(a)は、指示端末2の操作画面Mを示したものであり、その操作画面MにおいてアプリケーションAのウィンドウ及びアプリケーションBのウィンドウが表示されていることが示されている。ここで、ウィンドウとは、文字等が入力可能な入力スペースと文字入力や各種処理を行うために押下されるボタン等とを含むものである。指示端末2の操作情報管理部20は、指示端末2における位置指定操作を取得する。
【0032】
次に、表示物情報取得部21は、ポインティングデバイスによる位置指定操作が行われた時点の操作画面Mに表示されている表示物の表示物情報を取得する。図2(a)の例では、アプリケーションAのウィンドウやアプリケーションBのウィンドウの位置情報や、操作許可条件としての処理対象の識別情報(アプリケーションAのウィンドウであるのか、アプリケーションBのウィンドウであるのか、或いはその両方であるのか)を表示物情報として取得する。表示物情報取得部21は、取得した表示物情報を後述の許可範囲決定部22に伝達する。以下、アプリケーションAのウィンドウのうち、入力スペースを操作許可条件として設定するとして説明する。
【0033】
許可範囲決定部22は、操作情報管理部20から取得した操作情報と表示物情報取得部21から取得した表示物情報とに基づいて、操作許可条件を設定する。即ち、アプリケーションAのウィンドウにおいて、入力スペースを操作可能とする領域として設定する。このようにして設定された操作許可条件は、被指示端末3が備える判定部33に伝達される。
【0034】
次に、被指示端末3において行われる操作の制御に関して図を用いて説明する。図2(b)は、図2(a)で示される指示端末2の操作画面Mに表示されるアプリケーションのウィンドウの位置及び大きさが同じである場合の例を示す図である。被指示端末3が備える操作情報管理部30は、被指示端末3で文字等が入力されることを検出する。ここで、上述のようにその処理(操作画面Mへの表示)は一旦、保留される。
【0035】
表示物情報取得部31は、文字等が入力されることを示す操作情報を取得すると、当該入力される表示物情報を取得し、操作特定部32に伝達する。操作特定部32では、操作情報と表示物情報とから、図2(b)におけるアプリケーションAのウィンドウの入力スペースにおいて、文字等が入力されることを示す操作範囲情報を取得する。この操作範囲情報を判定部33に伝達する。
【0036】
判定部33は、指示端末2が備える許可範囲決定部22から伝達される操作許可条件と、操作特定部32から伝達される操作範囲情報とを比較して判定を行い、判定結果を制御部34に伝達する。被指示端末3における文字等の入力が、操作許可条件に規定されるアプリケーションAのウィンドウの入力スペースへの入力であるか否かを判定する。この判定結果は制御部34に伝達される。
【0037】
制御部34は、判定部33から取得した判定結果に基づいて、入力される文字を操作画面Mに表示したり、無効としたりする制御を行う。具体的には、被指示端末3における文字等の入力が、操作許可条件に規定されるアプリケーションAのウィンドウの入力スペースでなければ、被指示端末3の操作画面Mに表示されるアプリケーションAのウィンドウの入力スペースに表示されず、一方、文字等の入力が、アプリケーションAのウィンドウの入力スペースであれば、操作画面Mに表示されるアプリケーションAのウィンドウの入力スペースに文字を表示する。このようにして、本操作制御システム1は、指示端末1により設定される操作可能範囲に基づいて、被指示端末2の操作を制御することが可能となる。
【0038】
また、図3(a)に示されるような指示端末2の操作画面Mに表示されているアプリケーションのウィンドウの位置及び大きさと、図3(b)に示されるような被指示端末3の操作画面Mに表示されているアプリケーションのウィンドウの位置及び大きさとが異なる場合であっても、本発明によれば、指示端末2により設定される操作可能範囲に基づいて、被指示端末3の操作を制御することが可能である。即ち、指示端末2から被指示端末3に伝達される操作許可条件には、上述のように処理対象を識別可能な処理対象情報が含まれるため、例えば操作許可条件に「アプリケーションAのウィンドウの入力スペース」が規定されていれば、被指示端末3において「アプリケーションAのウィンドウの入力スペース」における入力を可能とするように制御することができる。また、上記入力スペースの規定は、例えば表計算用のアプリケーションであれば、表のセルのみを指定することも可能である。更に、上述のように処理対象情報に基づいて操作許可条件が規定されるので、指示端末2と被指示端末3との操作画面Mに表示されるアプリケーションのウィンドウの表示倍率が異なっていても、操作制御を行うことが可能である。
【0039】
次に、本操作制御システム1により行われる操作制御に関してフローチャートを用いて説明する。図4は、当該操作制御に関するフローチャートである。まず、操作情報管理部20が、指示端末2で行われたクリック操作を示す操作情報を取得する(ステップ#01)。次に、表示物情報取得部21が、当該クリック操作が行われた表示物情報を取得する(ステップ#02)。許可範囲決定部22は、上述の操作情報と表示物情報とに基づいて、クリック操作が行われた位置を操作許可条件として設定する(ステップ#03)。この操作許可条件は、許可範囲決定部22から被指示端末3が備える判定部33に伝達される。
【0040】
そして、被指示端末3が備える操作情報管理部30が、被指示端末3で行われる操作を検出し、当該操作を示す操作情報を取得する(ステップ#04)。また、当該操作情報に基づいて、被指示端末3が備える表示物情報取得部31は、当該操作情報に対応する操作が行われる領域の表示物情報を取得する(ステップ#05)。
【0041】
操作特定部32は、上述の操作情報と表示物情報とから、当該操作に対応する操作範囲情報を取得する(ステップ#06)。この操作範囲情報は、判定部33に伝達される。判定部33は、当該操作範囲情報と指示端末2が備える許可範囲決定部22から伝達される操作許可条件とを比較し、その判定結果を制御部34に伝達する。操作範囲情報が操作許可条件に含まれる場合には(ステップ#07:Yes)、制御部34は、操作を実行する(ステップ#08)。一方、操作範囲情報が操作許可条件に含まれない場合には(ステップ#07:No)、制御部34は、操作を無効とする(ステップ#09)。このようにして、本操作制御システム1は、被指示端末3で行われる操作の制御を行う。
【0042】
〔第二の実施形態〕
次に、本操作制御システム1の第二の実施形態に関して説明する。上述の第一の実施形態では、指示端末2と被指示端末3とにより操作制御システム1が構成されていたが、第二の実施形態では、ネットワーク10に接続された複数の端末と管理サーバ4とから構成される点において異なる。以下、図を用いて説明する。図5は、管理サーバ4を備えた操作制御システム1である。上述の第一の実施形態で説明した指示端末2及び被指示端末3が備える各機能部は管理サーバ4に備えられ、これらの各機能部の処理は第一の実施形態と同様であるため説明は省略する。また、第一の実施形態では、操作情報管理部20、表示物情報取得部21は、指示端末2及び被指示端末3で個別に備えられていたが、本実施形態では共通化して備えられる。
【0043】
本実施形態では、複数の端末(例えば、x、y)は、操作情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて指示端末2又は被指示端末3として特定される。管理サーバ4は、取得したユーザ識別情報に応じて、夫々の端末から取得した操作情報や表示物情報を、指示端末2のものであるか、或いは被指示端末3のものであるかを識別して取得する。そして、指示端末2として特定された端末からの操作情報や表示物情報に基づいて操作許可条件を設定すると共に、被指示端末3として特定された端末からの操作情報や表示物情報に基づいて行われる操作の操作範囲情報を取得する。そして、操作許可条件と操作範囲情報とに基づいて、被指示端末3として識別された端末からの操作情報に対応する操作の制御を行う。この制御に関しては、上述の第一の実施形態と同様であるため、説明は省略する。このようにして操作制御システム1を構成するネットワーク10に接続された端末の操作を制御することが可能となる。
【0044】
〔その他の実施形態〕
上記第一の実施形態において、本操作制御システム1は、指示端末2と被指示端末3とにより構成されるとして説明した。本操作制御システム1を例えば、学校等の教育機関で用いる場合には、指示端末2を先生が使用する先生機、被指示端末3を学生や生徒が使用する生徒機として構成すると好適である。また、企業や官公庁等においては、指示端末2を例えばネットワーク管理者が使用する管理機、被指示端末3を一般ユーザが使用するクライアントPCとして構成すると好適である。
【0045】
上記実施形態において、入力デバイスは、ポインティングデバイスであるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、データや指令等を入力する装置や、キーボードやタブレット、バーコードリーダー等であっても良い。これらの操作に基づいて操作許可条件を設定したり、操作制御システムに係る各処理を行ったりすることは、当然に可能である。
【0046】
上記実施形態において、操作許可条件は、表示物情報に基づいて設定され、表示位置情報及び処理対象情報が含まれるとして説明した。操作許可条件は、これらの情報の中から選択される一つからのみ規定されるものではない。例えば、これらの情報の中から複数組み合わせることにより、操作許可条件を設定することも当然に可能である。また、操作許可条件には、被指示端末において行われる操作を許可する範囲(領域)が規定されるとして説明した。操作許可条件には、被指示端末3において操作可能とするアプリケーション及びファイルの少なくともいずれか一方を規定する条件とすることも可能である。このような構成とすれば、表示物の処理内容(例えば、閉じるボタンを押してウィンドウを閉じる等の処理)だけについて操作許可条件を規定する場合だけでなく、表示物の処理対象(アプリケーションやファイル)についても操作許可条件を規定することが可能となる。
【0047】
上記第一の実施形態において、被指示端末3が備える操作情報管理部30は、操作情報管理部30が被指示端末3で行われるクリック操作等に基づいて操作情報を取得するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、指示端末2が備える操作情報管理部20から被指示端末3が備える操作情報管理部30に対して出力される取得指示に基づいて、操作情報を取得する構成とすることも当然に可能である。
【0048】
上記第一の実施形態において、判定部33と制御部34とは、被指示端末3に備えられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、これらの判定部33と制御部34とを指示端末2に備えるように構成することも当然に可能である。このような構成に場合には、被指示端末3が備える操作特定部32で取得される操作範囲情報を指示端末2が備える判定部33に伝達し、当該判定部33で比較された判定結果を制御部34が取得する。そして、当該制御部34が、被指示端末3に設けられる処理部を制御して、操作範囲情報に対応する操作を実行したり無効にしたりすることができる。
【0049】
上記第二の実施形態では、ネットワーク10に接続される複数の端末(x、y)は、操作情報に含まれるユーザ識別情報に基づいて指示端末2又は被指示端末3として特定されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。操作情報に端末を識別する端末識別情報を含むようにすれば、複数の端末(x、y)を当該端末識別情報に基づいて指示端末2又は被指示端末3として特定することは当然に可能である。
【0050】
上記実施形態では、指示端末2が備える制御部24は、指示端末2に操作可能範囲を示すイメージを表示したり、操作可能範囲の通知を行ったりするとして説明した。しかしながら、制御部24は、以下のような制御を行っても良い。指示端末2の許可範囲決定部22により操作許可条件が設定された場合には、当該制御部24が一旦、指示端末2で操作が行えないように操作をロックし、被指示端末3で前記操作許可条件に基づく操作が行われた場合には、当該ロックを解除するように構成することも可能である。係る場合、被指示端末3で操作許可条件に基づく操作が行われたことを示す情報は、制御部34から制御部24に対して伝達するようにすると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第一の実施形態に係る操作制御システムの概略構成を模式的に示すブロック図
【図2】指示端末において設定される操作許可条件を設定する場合の一例を示す図
【図3】被指示端末において行われる操作の制御を示す図
【図4】操作制御システムにより行われる操作制御のフローチャート
【図5】第二の実施形態に係る操作制御システムの概略構成を模式的に示す図
【符号の説明】
【0052】
1:操作制御システム
2:指示端末
3:被指示端末
10:ネットワーク
20:操作情報管理部
21:表示物情報取得部
22:許可範囲決定部
23:ネットワークインタフェース
30:操作情報管理部
31:表示物情報取得部
32:操作特定部
33:判定部
34:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作可能範囲を設定する指示端末と、前記操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続された操作制御システムにおいて、
入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する操作情報管理部と、
前記操作情報に基づく前記入力デバイスの位置指定操作が行われた時点の前記指示端末の操作画面に表示されている表示物の表示物情報を取得する表示物情報取得部と、
前記位置指定操作に関する前記表示物情報に基づいて、前記被指示端末における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を決定する許可範囲決定部と、
前記操作許可条件に基づいて前記被指示端末を制御する制御部と、
を備えた操作制御システム。
【請求項2】
前記被指示端末で行われる操作の内容を示す操作情報と、当該操作が行われる際の操作画面の表示物情報と、に基づいて、前記被指示端末における当該操作の操作範囲を特定する操作範囲情報を取得する操作特定部を備え、
前記制御部は、前記操作範囲情報に基づいて前記被指示端末を制御する請求項1に記載の操作制御システム。
【請求項3】
前記表示物情報は、前記操作画面に表示されている表示物の処理対象情報を含み、
前記操作許可条件は、前記被指示端末において操作可能とするアプリケーション及びファイルの少なくともいずれか一方を規定する条件である請求項1又は2に記載の操作制御システム。
【請求項4】
前記ネットワークに複数の端末が接続され、
前記複数の端末は、前記操作情報に含まれるユーザ識別情報及び端末識別情報のいずれか一方に基づいて前記指示端末又は前記被指示端末として特定される請求項1から3のいずれか一項に記載の操作制御システム。
【請求項5】
操作可能範囲を設定する指示端末と、前記操作可能範囲により操作が制御される被指示端末とがネットワークを介して接続された操作制御システムのためのプログラムにおいて、
入力デバイスによる操作の内容を示す操作情報を取得する操作情報管理機能と、
前記操作情報に基づく前記入力デバイスの位置指定操作が行われた時点の前記指示端末の操作画面に表示されている表示物の表示物情報を取得する表示物情報取得機能と、
前記位置指定操作に関する前記表示物情報に基づいて、前記被指示端末における操作を許可する条件を規定する操作許可条件を決定する許可範囲決定機能と、
前記操作許可条件に基づいて制御する制御機能と、
をコンピュータに実行させる操作制御システムのためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−217372(P2009−217372A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58327(P2008−58327)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(599108242)Sky株式会社 (257)
【Fターム(参考)】