説明

操作支援装置、情報機器、操作支援方法、及びプログラム

【課題】ユーザの操作負担の軽減と、情報機器の開発コストの低減とを図り得る、操作支援装置、それを用いた情報機器、操作支援方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザにおける情報機器2の操作を支援する操作支援装置1を用いる。操作支援装置1は、ユーザから入力され、且つユーザが情報機器2に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている情報機器2の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算する意味類似度計算部30と、ユーザの入力履歴に基づいて、入力機能情報と定義機能情報との間の類似度を計算する履歴類似度計算部40と、意味類似度計算部30が計算した類似度、及び履歴類似度計算部40が計算した類似度を用いて、入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、定義機能情報で特定される機能を決定する、置換機能決定部50と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作支援装置、それを備えた情報機器、操作支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、HDDレコーダ、テレビ等の電子機器においては、多機能化伴い、ユーザに便利な機能が多く提供される一方で、操作方法が複雑化してユーザにおける操作性が悪化している。このような操作性の悪化の要因としては、ユーザに慣れ親しみのない用語で示された機能の増加が挙げられる。機能がユーザに慣れ親しみのない用語で示されていると、ユーザにとって、その機能の認知的負荷が高くなり、操作性が悪化すると考えられる。
【0003】
つまり、このような認知的負荷を伴う操作をユーザに強いると、ユーザは、操作の途中で本来の目的を見失いやすく、所望の機能になかなか到達できない状況になる。このような問題を解決するため、以下のような技術が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4参照。)。
【0004】
特許文献1は、ユーザが操作メニュー項目を自由にカスタマイズすることができるようにした操作画面生成方法を開示している。特許文献1に開示の操作画面生成方法によれば、ユーザ自身が、メニュー項目名をユーザ自身で分かりやすい用語に変更することができるので、慣れ親しみのない用語を操作メニューから排除することができる。よって、ユーザにおける認知的負荷が軽減される。
【0005】
また、特許文献2〜特許文献4は、機器の操作方法を提示するヘルプシステムを開示している。このヘルプシステムは、ユーザにとって慣れ親しみのある用語と、機器に定義された機能の用語とを結びつけるテーブルを備えている。また、テーブルには、予め機器に定義されている用語に加え、定義されている用語に近い意味の用語も合わせて登録されている。特許文献2〜4に開示されているヘルプシステムによれば、ユーザは、自身にとって慣れ親しみのある用語を用いて、所望の操作方法に関する情報を入手することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−003648号公報
【特許文献2】特開2004−145774号公報
【特許文献3】特開2004−145775号公報
【特許文献4】特開2004−145776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献4に開示された、情報機器の操作案内を提示する技術には、以下の問題点が存在する。特許文献1に開示された技術と、特許文献2〜特許文献4に開示された技術とに分けて説明する。
【0008】
上記特許文献1に開示の操作画面生成方法の実行には、メニュー項目名等に示される用語を、ユーザにとって慣れ親しみのある用語に変えるために、ユーザの手によるカスタマイズ作業が必要となる。しかし、カスタマイズ作業は、ユーザが機器操作と平行して行う
ことができないため、ユーザは、自身が実際に自ら機器を使用する状況を思い浮かべながら、自身にとって慣れ親しみの無い用語を、慣れ親しみのある用語に書き換える必要がある。
【0009】
また、特許文献1に開示の操作画面生成方法では、ユーザにとって慣れ親しみのある用語への変更を実行するために、ユーザは、予め、変更前の慣れ親しみのない用語が何を示すのかを予め理解しておく必要がある。このため、ユーザにおいては、事前に機器を一通り使用しておくことや、取扱説明書などを読んでおくことなども必要となる。
【0010】
このように、上記特許文献1に開示された操作画面生成方法を実行するためには、ユーザは、自身にとって慣れ親しみの無い用語を、慣れ親しみのある用語に書き換えたり、予め学習を行ったりする必要がある。上記特許文献1に開示された技術には、ユーザの負担が大きくなるという問題がある。
【0011】
また、特許文献2〜特許文献4においては、上述したように、ユーザにとって慣れ親しみのある用語と機器に定義された機能の用語とを結びつけるテーブルが必要となり、テーブルの完成度によって性能が左右される。しかし、ユーザにとって慣れ親しみのある用語を完全に網羅した完成度の高いテーブルを作成することは困難である。また、テーブルの完成度を高めようとすると、機器の開発コストが大きく上昇するという問題が生じてしまう。
【0012】
本発明の目的は、上記問題を解消し、ユーザの操作負担の軽減と、情報機器の開発コストの低減とを図り得る、操作支援装置、それを用いた情報機器、操作支援方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明における操作支援装置は、ユーザにおける情報機器の操作を支援する操作支援装置であって、
前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算する意味類似度計算部と、
前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算する履歴類似度計算部と、
前記意味類似度計算部が計算した類似度、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、置換機能決定部と、
を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明における情報機器は、ユーザによる操作を支援する支援機能を有する情報機器であって、
前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算する意味類似度計算部と、
前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算する履歴類似度計算部と、
前記意味類似度計算部が計算した類似度、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、置換機能決定部と、
を備えていることを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明における操作支援方法は、ユーザにおける情報機器の操作を支援するための操作支援方法であって、
(a)前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算するステップと、
(b)前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算するステップと、
(c)前記(a)のステップで計算した類似度、及び前記(b)のステップで計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定するステップと、
を有することを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明におけるプログラムは、ユーザにおける情報機器の操作をコンピュータによって支援するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算するステップと、
(b)前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算するステップと、
(c)前記(a)のステップで計算した類似度、及び前記(b)のステップで計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定するステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上の特徴により、本発明における操作支援装置、それを用いた情報機器、操作支援方法、及びプログラムによれば、ユーザの操作負担の軽減と、情報機器の開発コストの低減とを共に図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の形態1におけるユーザの入力履歴の一例を示す図であり、図2(b)は、本発明の実施の形態1における履歴類似度計算部による計算プロセスの一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態2における操作支援装置及び情報機器の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5(a)は、本発明の実施の形態2におけるユーザの入力履歴の一例を示す図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態2における履歴類似度計算部による計算プロセスの一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2における操作支援装置及び情報機器の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の他の例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における、操作支援装置、情報機器、操作支援方法、及びプログラムについて、図1〜図3を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示す操作支援装置1は、情報機器2に備えられ、ユーザにおける情報機器2の操作を支援する装置である。本実施の形態1において、情報機器2は、特に限定されるものではなく、例えば、録画装置、テレビ受像機、プリンタ、デジタルカメラ、カムコーダ、冷蔵庫、パーソナルコンピュータ、業務用システムの端末装置等である。
【0021】
図1に示すように、操作支援装置1は、意味類似度計算部30と、履歴類似度計算部40と、置換機能決定部50とを備えている。このうち、意味類似度計算部30は、入力機能情報と定義機能情報との間の意味的な類似度(以下「意味類似度」という。)を計算する。入力機能情報は、ユーザから入力された情報であって、ユーザが情報機器2に求める機能を特定する情報である。定義機能情報は、予め定義されている情報機器2の機能を特定する情報である。
【0022】
具体的には、入力機能情報は、ユーザが慣れ親しんだ用語で表された情報機器2の機能を特定する情報である。また、定義機能情報は、情報機器2の操作マニュアル等に記載されている機能、即ち、情報機器2における各種機能の正式名称を特定する情報である。
【0023】
履歴類似度計算部40は、ユーザの入力履歴に基づいて、入力機能情報と定義機能情報との間の類似度(以下「履歴類似度」という。)を計算する。また、置換機能決定部50は、意味類似度計算部30が計算した意味類似度と、履歴類似度計算部40が計算した履歴類似度とを用いて、入力機能情報で特定される機能(ユーザが慣れ親しんだ用語で表された機能)と置き換え可能な、定義機能情報で特定される機能を決定する。
【0024】
このように、操作支援装置1は、ユーザが、自身の慣れ親しんだ用語を用いて情報機器2の機能を入力すると、これと置き換え可能な、定義された機能を決定する。よって、操作支援装置1によれば、ユーザは、情報機器2において定義された機能の名称を知らなくても、自身の慣れ親しんだ用語による情報機器の操作が可能となるので、ユーザにおける操作負担の軽減が図られる。
【0025】
また、操作支援装置1において、入力機能情報の機能と置き換え可能かどうかは、入力機能情報の機能及び定義機能情報の機能それぞれの意味と、ユーザの過去の入力履歴とに基づいて判断される。つまり、本実施の形態1では、上述した特許文献2〜4に開示の技術と異なり、予め、変換テーブルを用意しなくても良い。よって、操作支援装置1によれば、開発コストの低減を図ることもできる。
【0026】
ここで、本実施の形態1における操作支援装置1及び情報機器2の構成について更に具体的に説明する。図1に示すように、情報機器2は、操作支援装置1に加え、各種情報を表示するための表示部70を備えている。なお、図1において、情報機器2の本来の機能を発揮するための構成の図示は、省略されている。
【0027】
また、図1に示すように、操作支援装置1は、上述した構成に加え、音声データ入力部10と、音声認識部20と、表示情報変更部60と、音声認識辞書記録部21と、意味空間辞書記録部31と、操作履歴記録部41とを備えている。以下、情報機器2及び操作支援装置1の各部について説明する。
【0028】
音声データ入力部10は、ユーザ発した音声を音声データに変換し、得られた音声デー
タを音声認識部20へと出力する。具体的には、音声データ入力部10は、マイクロホン等である。よって、ユーザが情報機器2に求める機能に関する音声を発した場合は、音声データ入力部10は、ユーザの情報機器に求める機能に関する音声を音声データに変換し、この得られた音声データを音声認識部20に入力する。
【0029】
音声認識部20は、音声データ入力部10から音声データが入力されると、音声認識辞書記録部21に記録されている音声認識辞書を用いて音声認識を行う。このとき、入力された音声データに、情報機器2に求める機能に関する音声の音声データが含まれていると、認識結果として得られたデータは、上述した入力機能情報となる。本実施の形態1では、入力機能情報は、ユーザから、音声データ入力部10及び音声認識部20を介して、入力されている。また、音声認識部20は、認識結果を、意味類似度計算部30、履歴類似度計算部40、及び表示情報変換部60に出力する。
【0030】
具体的には、例えば、音声認識辞書が、情報機器2に求める機能に関する音声の音素データと、各音素データに対応するテキストデータとを登録しているとする。この場合、音声認識部20は、音声データ入力部10からの音声データに含まれる音素データと、音声認識辞書に登録されている、情報機器2に求める機能に関する音声の音素データとのマッチング処理を行う。そして、音声認識部210は、マッチングした音素データに対応するテキストデータを入力機能情報として抽出する。
【0031】
また、本実施の形態1において、音声認識部20による音声認識の方式(音声データからテキストデータへの変換の方式)は、特に限定されず、単語認識方式や、ワードスポッティング方式といった変換方式であれば良い。
【0032】
音声認識辞書記録部21に記録されている音声認識辞書は、上述したように、情報機器2に求める機能に関する音声の音素データと、各音素データに対応するテキストデータとを登録している。各音素データに対応するテキストデータは、予め用意された、情報機器2に求める機能を特定する情報であり、入力機能情報に相当する。
【0033】
また、本実施の形態1においては、情報機器2に求める機能を特定する情報は、情報機器2に関するマニュアルや、システム設計情報等の文書に対して、下記の参考文献1に開示されている形態素解析を適用することによって取得することができる。更に、情報機器2に求める機能を特定する情報は、上記の文書を形態素解析による品詞毎の分解によって得られた、固有名詞、一般名詞、及び動詞等であっても良い。
【0034】
更に、情報機器2に求める機能を特定する情報の種類を増加させるため、情報機器2と同種の情報機器に関するマニュアルやシステム設計情報に対しても、下記の参考文献1に開示されている形態素解析を適用しても良い。このようにして、情報機器に求める機能を特定する情報の種類が増えると、ユーザにとって親しみのある用語の音声認識辞書への登録が容易なものとなる。
【0035】
また、音声認識辞書に登録される音素データは、上述の形態素解析によって得られたテキストデータを、既存のテキスト合成音声技術を用いて、音素データに変換し、これによって取得されたデータであっても良い。
【0036】
なお、本実施の形態1では、音声データを音声認識して得られる入力機能情報は、テキストデータに限定されず、静止画像データ報、動画像データ、音データ等であっても良い。また、入力機能情報は、これらのデータにテキストデータを付加して得られた情報であっても良いし、これらの多種類のデータを組み合わせて得られたデータであっても良い。入力機能情報のデータ形式は、入力先となる、類似度計算部30、履歴類似度計算部40
、及び表示情報変更部60それぞれ毎に変換することもできる。更に、この場合、音声認識辞書には、音素データに対応するテキストデータの変わりに、音素データに対応する、画像データ、動画像データ、音データ、これらとテキストデータとを組み合わせたデータ等が登録される。
【0037】
(参考文献1)
長尾 真 編、「自然言語処理 岩波講座 ソフトウェア科学 15」、pp.117−137,1996年発行
【0038】
意味類似度計算部30は、本実施の形態1では、入力機能情報と定義機能情報とに対して、下記の参考文献2に開示の潜在意味解析(LSA:Latent Semantic Analysis)を実行し、潜在意味解析における単語頻度ベクトルの内積によって、意味類似度を計算する。
【0039】
(参考文献2)
S. Deerwester、S. T. Dumais、G. W. Furnas、T. K. Landauer、R. Harshman、「Indexing by Latent Semantic Analysis.」、Journal of The Society for Information Science、41(6)、pp.391−407、1990年発行
【0040】
具体的には、意味類似度計算部30は、先ず、意味空間辞書記録部31に記録されている意味空間辞書にアクセスし、入力機能情報と定義機能情報との間の意味空間を表す行列と、情報機器2に定義されている機能の名称(テキストデータ)のリストとを取得する。そして、意味類似度計算部30は、行列とリストとを用いて、情報機器2に定義されている機能の名称それぞれ毎に、各名称を示すテキストデータの意味空間中のベクトルを算出する。
【0041】
続いて、意味類似度計算部30は、入力機能情報(音声認識部20から得られる情報機器2に求める機能を示すテキストデータ)と、意味空間辞書に登録されている意味空間を表す行列とを用い、情報機器2に求める機能を示すテキストデータの意味空間中のベクトルを算出する。
【0042】
その後、意味類似度計算部30は、得られた2つのベクトルのなす角度の余弦を求め、これを意味類似度とする。なお、本実施の形態1では、意味類似度計算部30は、潜在意味解析を用いて意味類似度を計算することができるが、本実施の形態1は、この例に限定されるものではない。その他に、意味類似度計算部30は、シソーラスを用いた類義語検索を行い、類義語の順位を用いて意味類似度を計算することもできる。更に、意味類似度計算部30は、その他にも、意味の類似度を算出するにあたって、種々の好適な手法を用いることができる。
【0043】
意味空間辞書記録部31は、意味類似度計算部30が参照する意味空間辞書を記憶している。意味空間辞書は、上述したように、意味空間を表す行列と、情報機器2に定義されている機能の名称(テキストデータ)のリストとを登録している。意味空間を表す行列は、入力機能情報によって特定される機能と定義機能情報によって特定される機能との意味の近さを定義する行列であり、予め求められている。
【0044】
本実施の形態1では、意味空間を示す行列は、例えば、情報機器2に関するマニュアルやシステム設計情報等の文書類を用いて生成することができる。具体的には、先ず、これらの文書に対して形態素解析を行って、文書を品詞に分解する。続いて、情報機器2に定義されている機能を説明している箇所毎に、固有名詞、一般名詞、及び動詞等を抽出する。その後、抽出された各品詞に対して、上記参考文献2に開示されている潜在意味解析(LSA)が行われ、これにより、意味空間を示す行列が生成される。
【0045】
また、本実施の形態1では、意味空間辞書に登録されているリストも、上述した情報機器2に関するマニュアルやシステム設計情報等の文書類から生成することができる。具体的には、この場合も、先ず、これらの文章に対して形態素解析を行って、文書を品詞に分解する。次に、固有名詞、一般名詞、及び動詞等を抽出し、これらをリスト化して、意味空間辞書に登録する。なお、意味空間辞書は、上述した意味区間を示す行列及びリスト以外にも、例えば、情報機器2に定義されている機能の名称に関する、その他のテキストデータ、音声データ、画像データ、及び動画像データ等を登録していても良い。
【0046】
履歴類似度計算部40は、本実施の形態1では、操作履歴記録部41に記録されているユーザの入力履歴(操作履歴)を用いて、入力機能情報と定義機能情報との間の履歴類似度を計算する。また、本実施の形態1では、ユーザの入力履歴には、ユーザから入力された過去の入力機能情報と、過去の入力機能情報の入力の際に実行された情報機器2の機能の履歴とが含まれている。ここで「過去」とは、履歴類似度計算部40に入力機能情報が入力される以前を意味する。即ち、過去の入力機能情報とは、処理対象となっている入力機能情報以外の入力機能情報を意味する。
【0047】
ここで、図2(a)及び(b)を用いて、入力履歴と、履歴類似度計算部40における処理とについて説明する。図2(a)は、本発明の実施の形態1におけるユーザの入力履歴の一例を示す図であり、図2(b)は、本発明の実施の形態1における履歴類似度計算部による計算プロセスの一例を示す図である。図2(a)に示すように、入力履歴は、過去の入力機能情報、即ち、ユーザが過去に入力した情報機器2の機能を示すテキストデータ(過去の音声認識データ)を含んでいる。図2(a)においては、テキストデータは、「録画する」、「予約する」等として示されている。
【0048】
また、入力履歴は、過去の入力機能情報の入力の際に実行された情報機器2の機能の履歴、即ち、ユーザによって実際に行われた情報機器の操作の履歴も含んでいる。図2(a)の例では、図中の右側の欄に示すように、ユーザによって実際に行われた情報機器2の操作の履歴は、情報機器2に定義されている機能の名称を示すテキストデータによって構成されている。
【0049】
履歴類似度計算部40は、先ず、図2(a)に示された入力履歴の中から、入力機能情報と一致する、過去の入力機能情報を特定する。具体的には、履歴類似度計算部40は、音声認識部20によって過去に得られた音声認識データの中から、入力機能情報によって特定される機能を示すテキストデータと一致する箇所を探索する。図2(b)の例では、現在得られた音声認識データが「録画する」である場合を示しており、入力履歴No.1と3と5が一致しているとして特定されている。
【0050】
次に、履歴類似度計算部40は、特定された過去の入力機能情報から、その入力の際に実行された情報機器の機能を抽出し、そして、抽出した機能を用いて、履歴類似度を計算する。
【0051】
具体的には、図2(b)に示すように、入力履歴No.1と3と5が一致している場合は、履歴類似度計算部40は、入力履歴No.1と3と5で実行された機能として、「録画」「録画予約」を抽出する。更に、履歴類似度計算部40は、抽出された機能を実行した回数nを機能毎にカウントする。また、履歴類似度計算部40は、全ての履歴のうち、過去の音声認識データが「録画する」であった回数Mを特定する。その後、履歴類似度計算部40は、回数nがカウントされた機能それぞれについて、下記の(数1)を用いて、履歴類似度Sを算出する。
【0052】
(数1)
S=n/M
【0053】
上記(数1)及び図2(b)から分かるように、履歴類似度Sは、過去にユーザが情報機器2に求める機能に関する音声を発した時に実行された、機能の実行回数が多いほど、高くなるようになっている。
【0054】
なお、本実施の形態1において、入力機能情報と定義機能情報との履歴類似度の算出方法は、上述した方法に限定されるものではない。履歴類似度は、例えば、現在のユーザの入力履歴と過去の別のユーザの入力履歴との履歴の類似性から計算しても良いし、現在の入力を行っているユーザと、過去に入力を行ったユーザとが一致するかどうかに応じて計算しても良い。履歴類似度の計算方法は、次に説明する置換機能決定部50での処理に合わせて決定すれば良い。
【0055】
また、本実施の形態1においては、入力履歴には、ユーザの過去の操作によって得られた、その他のテキストデータ、音声データ、画像データ、及び動画像データ等が記録されていても良い。更に、入力履歴には、ユーザの無操作時間が一定時間を超えた場合や、ユーザが設定した機能を情報機器2が実行した場合、情報機器2においてエラーが発生した場合等の特定の状況が発生する毎に、その事実の発生が記録されていても良い。
【0056】
置換機能決定部50は、本実施の形態1では、入力機能情報について、予め定義されている情報機器2の機能毎に、意味類似度及び履歴類似度、それぞれに、設定された係数を乗算し、そして得られた各乗算値の和(重み付け和)を計算する。そして、置換機能決定部50は、計算した重み付け和を用いて、入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、定義機能情報で特定される機能を決定する。本実施の形態1では、置換機能決定部50は、重み付け和が最大となる機能を、入力情報機能に置換可能な機能として選択する。
【0057】
具体的には、意味類似度に乗算する係数をWm、意味類似度をSm、履歴類似度に乗算する係数をWi、履歴類似度をSiとすると、重み付け和σは、下記の(数2)を用いて算出することができる。
【0058】
(数2)
σ=Wm×Sm+Wi×Si
【0059】
また、本実施の形態1においては、意味類似度に乗算される係数Wm、及び履歴類似度に乗算される係数Wiそれぞれの値は、ユーザの入力履歴の量に応じて設定されても良い。具体的には、操作履歴記録部41に蓄積されているユーザの入力履歴のデータの数をdとすると、係数Wmは、データ数dに基づいて下記の(数3)及び(数5)のように書き換えることができる。また、係数Wiは、データ数dに基づいて下記の(数4)及び(数6)のように書き換えることができる。なお、下記の(数3)〜(数6)において、cは、入力履歴を十分に蓄えている判断される場合における入力履歴の総数に対する閾値であり、例えば、操作支援装置の開発時等に操作支援状況に基づいて適宜設定される。
【0060】
(数3)
Wm=(c−d)/c (d<c)
【0061】
(数4)
Wi=d/c (d<c)
【0062】
(数5)
Wm=0 (d≧c)
【0063】
(数6)
Wi=1 (d≧c)
【0064】
上記(数3)及び(数4)に示すように、入力履歴が十分に蓄えられていない場合は、意味類似度に対する係数Wmが大きくなり、その状態で重み付けσが計算される。一方、上記(数5)及び(数6)に示すように、入力履歴が十分に蓄えられている場合は、履歴類似度に対する係数Wiが大きくなり、その状態で重み付けσが計算される。
【0065】
また、本実施の形態1では、意味類似度に乗算される係数Wm、及び履歴類似度に乗算される係数Wi、それぞれの値は、入力機能情報の内容に応じて設定されていても良い。例えば、情報機器2に求める機能を特定する情報、即ち、入力機能情報が、ユーザが求める情報機器2の機能を表す単語であった場合は、意味類似度に乗算される係数Wmを履歴類似度に乗算する係数Wiよりも大きく設定するのが好ましい。一方、入力機能情報がユーザに提供するコンテンツを表す単語であった場合は、意味類似度は低くなる傾向にあるため、履歴類似度に乗算される係数Wiを意味類似度に乗算する係数Wmよりも大きく設定するのが好ましい。
【0066】
更に、本実施の形態1において、重み付け和σの計算方法は、特に限定されず、各類似度に乗算する係数の設定方法も適宜選択することができる。また、上述したように、置換機能決定部50は、重み付け和σを用いて、置き換え可能な機能を決定するが、その際、重み付け和σの高いものから順に複数個の機能を選択しても良い。なお、選択する機能の数は、次に説明する表示情報変換部60での処理に合わせて決定すれば良い。
【0067】
表示情報変更部60は、情報機器の表示部70に設けられた表示画面に表示されている情報に、入力機能情報と定義機能情報とを用いて、ユーザが情報機器2に求める機能の操作を用意に行うことができるようにするため、変更を加えることができる。なお、表示部70は、液晶表示装置等の表示装置である。
【0068】
本実施の形態1では、表示情報変更部60は、表示画面に表示されている情報の中から、置換機能決定部50によって決定された機能の名称と一致する情報(テキストデータ)を抽出する。そして、表示情報変更部60は、抽出した情報自体、抽出した情報が表示されている表示領域、及びその周辺領域のうち少なくとも一つに変更を加える。
【0069】
具体的には、表示情報変更部60は、抽出した情報を、それと置き換え可能な、入力機能情報で特定される機能を表す文字列に変更することができる。また、表示情報変更部60は、抽出した情報を示す文字に対して、文字色の変更、太字化、斜体字化、文字点滅などの視覚的に強調する効果を加える、といった変更を行うこともできる。更に、このとき、表示情報変更部60は、変更部分にユーザを注目させるため、「点滅部分を押してください」、「太字部分に着目してください」等の補足表示を表示画面に加えることもできる。なお、これらの変更はあくまでも一例にしか過ぎず、抽出された情報が明確になる変更であれば良い。本実施の形態1において、変更は特に限定されるものではない。
【0070】
次に、本発明の実施の形態1における操作支援装置1の動作について図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の動作を示すフローチャートである。また、本実施の形態1では、操作支援装置1を動作させることにより、本実施の形態1における操作支援方法が実施される。よって、本実施の形態1における操作支援方法の説明は、以下の操作支援装置1の動作の説明に代える。また、以下の説明においては、適宜図1を参酌する。
【0071】
図3に示すように、先ず、音声データ入力部10により、ユーザが発した情報機器2に求める機能に関する音声が音声データに変換される(ステップA1)。ステップA1において得られた音声データは、音声認識部20へと出力される。
【0072】
なお、ユーザが音声を発する前に、操作支援装置1は、情報機器2の表示部70やスピーカ(図1において図示せず)を用いて、ユーザに対して、情報機器2に求める機能に関する音声を発するように促すこともできる。例えば、操作支援装置1は、表示部70の表示画面に「行いたいことを言ってください」等のように表示を行っても良い。
【0073】
次に、音声認識部20によって、ステップA1で得られた音声データに対して音声認識が行われ、ユーザが情報機器2に求める機能を特定する情報(入力機能情報)が取得される(ステップA2)。ステップA2で得られた入力機能情報は、意味類似度計算部30、履歴類似度計算部40、及び表示情報変更部60へと出力される。
【0074】
次に、意味類似度計算部30によって、入力機能情報と定義機能情報との間の意味類似度が算出され(ステップA3)、更に、履歴類似度計算部40によって、ユーザの入力履歴に基づいて入力機能情報と定義機能情報との履歴類似度が算出される(ステップA4)。ステップA3で算出された意味類似度と、ステップA4で算出された履歴類似度とは、共に、置換機能決定部50へと出力される。また、本実施の形態1では、ステップA3とステップA4とは同時に実行されていても良いし、ステップA4から先に実行されていても良い。
【0075】
次に、置換機能決定部50によって、意味類似度と履歴類似度とを用いて重み付け和σが計算され、更に、計算された重み付け和σに基づいて、入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、定義機能情報で特定される機能が決定される(ステップA5)。ステップA5で置き換え可能であるとされた機能は、表示情報変更部60へと出力される。
【0076】
その後、表示情報変更部60により、ステップA2で得られた入力機能情報と、ステップA5で得られた置換可能な機能の情報とが用いられて、情報機器の表示部70に設けられた表示画面に表示されている情報に変更が加えられる(ステップA6)。ステップA6における変更は、ユーザが情報機器2に求める機能の操作を用意に行うことができるように行われている。
【0077】
以上のように、本実施の形態1によれば、ユーザが、自身にとって慣れ親しみのある情報機器2の機能に関する言葉を入力すると、情報機器2に予め定義されている、その言葉と同じ意味の機能が特定される。そして、特定された機能についての表示が、ユーザが入力した自身にとって慣れ親しみのある言葉に置き換えられる等する。このため、情報機器2の操作にあたっての認知的負荷の軽減が図られるので、ユーザにとって、情報機器2の操作を容易なものにできるとともに、操作手順を記憶し易いものとすることもできる。また、ユーザが入力した言葉と同じ意味の機能の特定のために、予め変換テーブルを用意する必要がないため、情報機器2の開発にかかるコストの低減を図ることもできる。
【0078】
また、本実施の形態1におけるプログラムは、コンピュータに、図3に示すステップA1〜A6を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行すれば、本実施の形態1における操作支援装置及び操作支援方法を実現することができる。この場合、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、音声データ入力部10、音声認識部20、意味類似度計算部30、履歴類似度計算部40、置換機能決定部50、及び表示情報変更部60として機能し、処理を行なう。
【0079】
また、上記の場合、音声認識辞書記録部21、意味空間辞書記録部31、及び操作履歴記録部41は、コンピュータに備えられた記憶装置、例えば、ROM、RAM、ハードディスク装置等によって実現できる。また、記憶装置を備えるコンピュータは、本実施の形態1におけるプログラムがインストールされたコンピュータに限られず、このコンピュータと接続された外部の別のコンピュータであっても良い。
【0080】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における、操作支援装置、情報機器、操作支援方法、及びプログラムについて、図4〜図6を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における操作支援装置及び情報機器の構成について図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態2における操作支援装置及び情報機器の概略構成を示すブロック図である。
【0081】
図4に示すように、本実施の形態2における操作支援装置3は、図1に示した実施の形態1における操作支援装置1の構成に加え、入力部80を備えている。また、これにより、各部の動作も、一部において、実施の形態1で示した例と異なっている。以下に、実施の形態1との相違点について説明する。
【0082】
入力部80は、ユーザが情報機器2に対して行う操作を受け付け、操作に対応する情報を出力する。操作に対応する情報の出力先としては、表示情報変更部60及び音声認識辞書21といったユーザからの操作を必要とする要素が挙げられる。また、入力部80としては、具体的には、キーボード、マウス、タッチパネル、及びリモートコントローラ等の入力機器が挙げられる。
【0083】
音声認識辞書記録部21は、実施の形態1の場合と同様に、音声認識辞書を記録している。音声認識辞書は、情報機器2に求める機能に関する音声の音素データと、各音素データに対応するテキストデータとを登録している。但し、本実施の形態2では、音声認識辞書に登録されているデータに対して更新が行われる。具体的には、更新は、ユーザから入力部80を介して入力される情報機器2の操作内容に基づいて行われる。
【0084】
また、音声認識部20は、本実施の形態2では、実施の形態1において説明した動作に加え、上述の音声認識辞書の更新に伴って以下の動作を行うこともできる。つまり、本実施の形態2においては、音声認識部20は、音声認識結果として、実施の形態1と同様の情報機器2の機能に関する音素データに対応するテキストデータに加え、ユーザから入力部80を介して入力された情報機器2の操作内容に関するデータも出力できる。また、音声認識部20は、出力される音声認識の結果に、データの種類を特定する識別子を付加することもできる。
【0085】
後者のデータの具体例としては、ユーザが過去に情報機器2の機能を実行した際に利用したコンテンツに関する情報が挙げられる。また、コンテンツに関する情報としては、例えば、情報機器2が、DVDレコーダ等の録画装置であるならば、番組名が挙げられる。更に、情報機器2がパーソナルコンピュータであるならば、ブラウジングしたWebページのタイトル、アクセスしたデータファイルの名称等が挙げられる。情報機器2が携帯電話であるならば、携帯電話の電話帳に記録されている通話相手の名前等が挙げられる。
【0086】
このようなコンテンツに関する情報は、入力部80を介して、音声認識辞書として、音声認識辞書記録部21に記録されるが、このとき、情報機器2に求める機能に関する音素データに対応するテキストデータとは区別された状態で、記録されているのが好ましい。
【0087】
また、本実施の形態2では、操作履歴記録部41に記録されている入力履歴は、ユーザによって実際に行われた情報機器の操作の履歴として、過去にユーザが入力機能情報を入
力して情報機器2の機能を実行した際に利用したコンテンツに関する情報を含むこともできる。更に、本実施の形態2では、過去の入力機能情報は、機能の名称によって情報機器2の機能を特定する情報だけに限られず、コンテンツの名称によって情報機器2の機能を特定する情報であっても良い。
【0088】
ここで、図5(a)及び図5(b)を用いて、本実施の形態2における入力履歴について説明すると共に、本実施の形態2における履歴類似度計算部40の処理についても説明する。図5(a)は、本発明の実施の形態2におけるユーザの入力履歴の一例を示す図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態2における履歴類似度計算部による計算プロセスの一例を示す図である。
【0089】
図5(a)に示すように、本実施の形態2では、入力履歴は、過去の入力機能情報(過去の音声認識データ)として、ユーザが過去に入力した情報機器2の機能を示すテキストデータに加えて、同時に入力されたコンテンツの名称を示すテキストデータを含んでいる。図5(a)の例では、機能を示すテキストデータとしては、「録画する」及び「見る」等が示されており、コンテンツの名称を示すテキストデータとしては、「ニュース8」及び「連続ドラマ」等が示されている。
【0090】
また、入力履歴は、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、過去の入力機能情報の入力の際に実行された情報機器2の機能の履歴、即ち、ユーザによって実際に行われた情報機器の操作の履歴も含んでいる。但し、本実施の形態2では、実施の形態1と異なり、ユーザによって実際に行われた情報機器2の操作の履歴は、情報機器2に定義されている機能の名称を示すテキストデータに加えて、機能を実行した際に利用されたコンテンツの名称を示すテキストデータも含んでいる。なお、図5(a)の例では、機能の名称を示すテキストデータ(実行した機能名)として、「録画」及び「録画予約」等が示されている。また、コンテンツの名称を示すテキストデータ(実行したコンテンツ)として、「連続ドラマ」及び「ニュース8」等が示されている。
【0091】
履歴類似度計算部40は、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、先ず、図5(a)に示された入力履歴の中から、入力機能情報と一致する、過去の入力機能情報を特定する。具体的には、履歴類似度計算部40は、音声認識部20によって過去に得られた音声認識データの中から、入力機能情報によって特定される機能を示すテキストデータと一致する箇所を探索する。
【0092】
但し、本実施の形態2では、図5(b)の例に示すように、現在得られた音声認識データは、コンテンツの名称である「ニュース8」である。よって、コンテンツの名称が一致している入力履歴として、入力履歴No.1、2、及び3が特定される。
【0093】
次に、履歴類似度計算部40は、特定された過去の入力機能情報から、その入力の際に実行された情報機器の機能と、機能を実行した際に利用されたコンテンツ(実行したコンテンツ)とを抽出する。そして、履歴類似度計算部40は、抽出した機能とコンテンツとを用いて、履歴類似度を計算する。
【0094】
具体的には、図5(b)に示すように、入力履歴No.1、2、3が一致している場合は、履歴類似度計算部40は、入力履歴No.1、2、3それぞれで実行された機能と、各機能の実行によって利用されたコンテンツとを一組のデータとして抽出する。つまり、履歴類似度計算部40は、「録画」と「ニュース8」、「録画予約」と「ニュース8」それぞれ抽出する。更に、履歴類似度計算部40は、抽出された機能を実行した回数nを機能毎にカウントする。また、履歴類似度計算部40は、全ての履歴のうち、過去の音声認識データのコンテンツの名称が「ニュース8」であった回数Mを特定する。その後、履歴
類似度計算部40は、回数nがカウントされた機能それぞれについて、上述した(数1)を用いて、履歴類似度Sを算出する。
【0095】
そして、過去の入力機能情報が、コンテンツの名称によって情報機器2の機能を特定している場合は、入力履歴には、過去に入力されたコンテンツの名称を示すテキストデータ(過去の音声認識データ)と、ユーザが過去に利用したコンテンツの名称を示すテキストデータとが含まれる。つまり、この場合は、図2(a)における左欄に、コンテンツの名称を示すテキストデータが含まれ、それに対応する右欄に、実際に利用されたコンテンツの名称を示すテキストデータ(又はそれを示す識別子)が含まれることになる。
【0096】
履歴類似度計算部40は、入力履歴にコンテンツの名称が含まれていない場合は、実施の形態1で述べた例と同様にして履歴類似度を算出する。一方、履歴類似度計算部40は、入力履歴にコンテンツの名称が含まれている場合は、次のようにして履歴類似度を算出する。
【0097】
先ず、履歴類似度計算部40は、入力履歴にアクセスし、ユーザが情報機器2に求める機能のテキスト情報(入力機能情報)と、入力履歴中におけるユーザが過去に情報機器2に求めた機能のテキスト情報(過去の入力機能情報)とが一致する箇所を特定する。次に、履歴類似度計算部40は、一致した入力履歴中におけるユーザが情報機器に求める機能のテキスト情報(過去の入力機能情報)に基づき、それと対になっているユーザの操作の履歴(図2(a)における右側の欄に相当)を参照する。
【0098】
この一連の処理は、入力履歴中において、ユーザが情報機器2に求める機能のテキスト情報(コンテンツの名称)と、ユーザの操作履歴中のその機能を実行した際に利用されたコンテンツの名称とが一致する箇所の探索を行っている。
【0099】
探索の結果、両方が一致する箇所が存在する場合は、入力機能情報が過去の入力機能情報と一致し、一致した過去の入力機能情報に対応するコンテンツの名称が存在していることになる。この場合、履歴類似度計算部40は、入力機能情報と一致している過去の入力機能情報と対となって記録されているコンテンツの名称を抽出し、抽出された名称の個数nを名称の種類毎にカウントする。また、履歴類似度計算部40は、一致している過去の入力機能情報の入力履歴だけではなく、全ての入力履歴を対象としたコンテンツの名称の抽出も実行し、種類毎の個数をカウントし、更に最大の個数Mを特定する。その後、履歴類似度計算部40は、個数nがカウントされたコンテンツの名称それぞれについて、上記の(数1)を用いて、履歴類似度Sを算出する。
【0100】
なお、本実施の形態2において、過去の音声認識データは、実施の形態1において図2(a)の例に示した場合と同様に、実行された情報機器2の機能のみであっても良いし、コンテンツの名称のみであっても良い。また、本実施の形態2では、履歴類似度の算出は、過去の音声認識データが、機能のみの場合、コンテンツの名称のみの場合、機能とコンテンツの名称との両方の場合、それぞれについて、異なっていても良い。つまり、履歴類似度の算出は、図5(a)の例において、履歴NO.1と、NO.2と、No.4とでそれぞれ異なっていても良い。
【0101】
置換機能決定部50は、本実施の形態2においても、実施の形態1で示した処理と同様の処理により、重み付け和σを計算する。但し、本実施の形態2では、置換機能決定部50は、上述した入力機能情報の種類に応じて、意味類似度に乗算される係数Wm、及び履歴類似度に乗算される係数Wiそれぞれの値を設定することができる。
【0102】
例えば、入力機能情報が、機能を示すテキストデータのみによって、情報機器2の機能
を特定する場合は、置換機能決定部50は、実施の形態1で示した例と同様にして、係数Wm及び係数Wiを設定する。一方、入力機能情報が、機能を示すテキストデータとコンテンツの名称を示すテキストデータとによって情報機器2の機能を特定する場合は、置換機能決定部50は、下記の(数7)及び(数8)に示すように、係数Wm及び係数Wiを設定することができる。
【0103】
(数7)
Wm=0
【0104】
(数8)
Wi=1
【0105】
上記(数7)及び(数8)による場合は、重み付け和σは、意味類似度の影響を全く受けず、履歴類似度の影響のみを受ける値となる。つまり、この場合は、履歴類似度のみに基づいて、置き換えが可能な情報機器に定義されている機能が決定されることとなる。なお、上述の点を除き、置換機能決定部50は、実施の形態1で述べた場合と同様に動作する。また、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、置換機能決定部50は、置き換え可能な機能を決定する際、重み付け和σの高いものから順に複数個の機能を選択しても良い。なお、選択する機能の数は、表示情報変換部60での処理に合わせて決定すれば良い。
【0106】
表示情報変更部60は、本実施の形態2では、情報機器の表示部70に設けられた表示画面に表示されている情報に、変更を加える際に、入力機能情報と定義機能情報とに加え、入力部80が受け付けたユーザの操作も用いることができる。なお、本実施の形態2においても、変更は、ユーザが情報機器2に求める機能の操作を容易に行うことができるように行われる。
【0107】
本実施の形態2においても、表示情報変更部60は、実施の形態1と同様に、表示画面に表示されている情報の中から、置換機能決定部50によって決定された機能の名称と一致する情報を抽出する。そして、表示情報変更部60は、抽出した情報自体、抽出した情報が表示されている表示領域、及びその周辺領域のうち少なくとも一つに変更を加える。但し、本実施の形態2では、表示情報変更部60は、変更を加える前に、表示画面に、変更の許可を求める情報を表示し、そして、外部から変更を許可する通知を取得した場合にのみ、変更を加えることもできる。
【0108】
具体的には、表示情報変更部60は、例えば「表示されている○○○(定義機能情報で特定される機能)は、×××(入力機能情報で特定される機能)と同じ意味です。○○○を×××に置き換えますか?」と表示する。このような表示に対して、ユーザは、入力部80を介して返答を入力する。ユーザから、変更を加えても良い旨の情報が入力されると、表示情報変更部60は、変更を加える。
【0109】
更に、本実施の形態2では、表示情報変更部60は、表示画面に、ユーザの入力履歴に関する情報を表示することもできる。この場合、表示情報変更部60は、例えば「△△△(入力機能情報の機能を特定しているコンテンツの名称又は内容)に関して、過去の履歴情報を表示しますか?」等と表示する。ユーザから、表示を求める旨の情報が入力されると表示情報変更部60は、例えば、抽出した情報が表示されている表示領域の付近に、入力履歴に基づいて、ユーザが過去に行った操作の情報を提示する。
【0110】
具体的には、表示情報変更部60は、履歴情報の表示が求められた場合は、履歴類似度計算部40に履歴情報の抽出を指示する。指示を受けると、履歴類似度計算部40は、入
力履歴の中から、現在の入力機能情報と一致する過去の入力機能情報を特定し、これに対応するユーザの操作履歴を抽出し、これを表示情報変更部60に送る。
【0111】
表示情報変更部60は、操作履歴を受け取ると、例えば、そこに示されている、ユーザによって実行された情報機器2の操作の履歴を、グラフ、又は状態遷移図等の形式で表示する画像を作成する。この場合、作成された画像が、履歴情報として、情報機器2の表示画面に表示される。
【0112】
また、表示情報変更部60が複数の操作履歴を受け取っている場合(履歴類似度計算部40が複数の操作履歴を抽出している場合)は、表示情報変更部60は、これら複数の履歴情報をリスト形式で示す画像を作成し、これを情報機器2の表示画面に表示する。更に、表示情報変更部60は、操作履歴の中から、最も主要な機能又はコンテンツの名称だけを抽出し、それだけを示す画像を作成することもできる。その他、表示情報変更部60は、作成する画像中に、各入力履歴が記録された日時を特定する情報や、操作を行ったユーザの名前等が表示されるようにすることもできる。
【0113】
次に、本発明の実施の形態2における操作支援装置3の動作について図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態2における操作支援装置及び情報機器の動作を示すフローチャートである。また、本実施の形態2においても、操作支援装置3を動作させることにより、本実施の形態2における操作支援方法が実施される。よって、本実施の形態2における操作支援方法の説明も、以下の操作支援装置3の動作の説明に代える。また、以下の説明においては、適宜図4を参酌する。
【0114】
図6に示すように、先ず、音声データ入力部10により、ユーザが発した情報機器2に求める機能に関する音声が音声データに変換される(ステップB1)。次に、音声認識部20によって、音声データに対して音声認識が行われ、入力機能情報が取得される(ステップB2)。
【0115】
次に、意味類似度計算部30によって意味類似度が算出され(ステップB3)、更に、履歴類似度計算部40によって履歴類似度が算出される(ステップB4)。次に、置換機能決定部50によって、意味類似度と履歴類似度とを用いて重み付け和が計算され、計算された重み付け和に基づいて、入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、定義機能情報で特定される機能が決定される(ステップB5)。なお、ステップB1〜ステップB5は、実施の形態1において図3に示したステップA1〜A5と同様のステップである。
【0116】
続いて、ステップB5の実行後、表示情報変更部60は、表示画面に表示される情報が、置換機能決定部50によって決定された機能の名称と一致する箇所(テキストデータ)を含んでいるかどうかを確認する(ステップB6)。そして、表示情報変更部60は、一致する箇所が存在しているかどうかを判定する(ステップB7)。
【0117】
ステップB7の判定の結果、表示画面に表示される情報が一致する箇所を含んでいない場合は、処理が終了する。一方、ステップB7の判定の結果、表示画面に表示される情報が一致する箇所を含んでいる場合は、ステップB8が実行される。
【0118】
ステップB8では、表示情報変更部60により、情報機器2の表示画面に、ユーザに対して表示内容に変更を加えてもよいかどうかの確認を求めるテキストが表示される。次に、表示情報変更部60は、入力部80を介して、ユーザから変更を加えることを許可する指示が得られているかどうかを判定する(ステップB9)。
【0119】
ステップB9の判定の結果、変更を加えることが許可されていない場合は、処理が終了する。一方、ステップB9の判定の結果、変更を加えることが許可されている場合は、ステップB10が実行される。ステップB10では、ステップB6で確認された一致箇所の表示領域の周辺に、入力履歴に基づいて、ユーザが過去に行った操作の情報が追加表示される(ステップB10)。
【0120】
以上のように、本実施の形態2では、情報機器2の表示画面に変更が加えられる場合に、ユーザに変更の許可が求められ、許可された場合にのみ表示画面は変更される。よって、ユーザにとって必要以上の変更が行われないため、ユーザが操作を混乱してしまう事態の発生が抑制される。
【0121】
また、表示画面の変更の一態様として、本実施の形態2では、ユーザの操作履歴を表示させることもできる。この場合、ユーザは、過去に操作した内容を思い出し易くなり、且つ、操作すべき対象は明確となる。この結果、ユーザにとって、情報機器2の操作はいっそう容易になり、更に、操作手順もより記憶しやすいものとなる。なお、本実施の形態2を用いた場合も、実施の形態1で述べた効果を得ることができる。
【0122】
また、本実施の形態2におけるプログラムは、コンピュータに、図6に示すステップB1〜B10を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行すれば、本実施の形態2における操作支援装置及び操作支援方法を実現することができる。この場合、本実施の形態2において、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)は、音声データ入力部10、音声認識部20、意味類似度計算部30、履歴類似度計算部40、置換機能決定部50、表示情報変更部60、及び入力部80として機能し、処理を行なう。
【0123】
また、本実施の形態2においても、上記の場合、音声認識辞書記録部21、意味空間辞書記録部31、及び操作履歴記録部41は、コンピュータに備えられた記憶装置、例えば、ROM、RAM、ハードディスク装置等によって実現できる。また、記憶装置を備えるコンピュータは、本実施の形態2におけるプログラムがインストールされたコンピュータに限られず、このコンピュータと接続された外部の別のコンピュータであっても良い。
【0124】
上述した実施の形態1及び実施の形態2では、入力機能情報は、ユーザが発した音声に対して音声認識を行って得られたデータである。但し、本発明は、これに限定されるものではない。入力機能情報は、ユーザが直接入力したテキストデータであっても良い。この場合の例について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態1における操作支援装置及び情報機器の他の例の構成を示すブロック図である。
【0125】
図7の例では、操作支援装置1は、図1に示した、音声データ入力部10、音声認識部20、及び音声認識辞書記録部21の代わりに、テキスト入力部80を備えている。テキスト入力部80は、ユーザから、情報機器2に求める機能に関するテキストデータが入力されると、入力されたテキストデータを入力機能情報として出力する。更に、本発明においては、操作支援装置1は、音声データ入力部10、音声認識部20、及び音声認識辞書記録部21に加えて、テキスト入力部80を備えていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、DVDレコーダ等の録画装置、テレビ受像機、プリンタ、デジタルカメラ、カムコーダ、冷蔵庫等の家庭で使用される電化製品に有用である。また、本発明は、パーソナルコンコンピュータに代表される個人向けの端末装置、POSシステム及び経理システム等の企業向け業務システムを構成する端末装置、図書検索システム及び電子カルテシステム等の公共サービスシステムを構成する端末装置にも有用である。本発明は、これら
に適用した場合に、情報機器の開発コストを低減しつつ、ユーザにとって、機器操作を容易にし、更に、操作手順を記憶しやすいものとすることができる。
【符号の説明】
【0127】
1 操作支援装置(実施の形態1)
2 情報機器
3 操作支援装置(実施の形態2)
10 音声入力部
20 音声認識部
21 音声認識辞書記録部
30 意味類似度計算部
31 意味空間辞書記録部
40 履歴類似度計算部
41 操作履歴記録部
50 置換機能決定部
60 表示情報変換部
70 表示部
80 入力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにおける情報機器の操作を支援する操作支援装置であって、
前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算する意味類似度計算部と、
前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算する履歴類似度計算部と、
前記意味類似度計算部が計算した類似度、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、置換機能決定部と、
を備えていることを特徴とする、操作支援装置。
【請求項2】
前記ユーザから入力された音声データに対して音声認識を行い、認識結果を出力する、音声認識部を更に備え、
前記音声認識部は、前記ユーザから、前記情報機器に求める機能に関する音声の音声データが入力されると、その認識結果を前記入力機能情報として出力する、請求項1に記載の操作支援装置。
【請求項3】
前記ユーザからテキストデータの入力を受け付けるテキスト入力部を更に備え、
前記テキスト入力部は、前記ユーザから、前記情報機器に求める機能に関するテキストデータが入力されると、入力されたテキストデータを前記入力機能情報として出力する、請求項1に記載の操作支援装置。
【請求項4】
前記意味類似度計算部が、前記入力機能情報と前記定義機能情報とに対して、潜在意味解析を実行し、前記潜在意味解析における単語頻度ベクトルの内積によって、前記意味的な類似度を計算する、請求項1〜3のいずれかに記載の操作支援装置。
【請求項5】
前記ユーザの入力履歴が、前記ユーザから入力された過去の入力機能情報と、前記過去の入力機能情報の入力の際に実行された前記情報機器の機能の履歴とを含み、
前記履歴類似度計算部が、前記入力機能情報と一致する、前記過去の入力機能情報を特定し、更に、特定された前記過去の入力機能情報の入力の際に実行された前記情報機器の機能を抽出し、そして、抽出した機能を用いて、前記類似度を計算する、請求項1〜4のいずれかに記載の操作支援装置。
【請求項6】
前記置換機能決定部が、
前記入力機能情報について、前記予め定義されている前記情報機器の機能毎に、
前記意味類似度計算部が計算した類似度及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度、それぞれに、設定された係数を乗算し、更に得られた各乗算値の和を計算し、
計算した和を用いて、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、請求項1〜5のいずれかに記載の操作支援装置。
【請求項7】
前記意味類似度計算部が計算した類似度に乗算される係数、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度に乗算される係数、それぞれの値が、前記ユーザの入力履歴の量に応じて設定される、請求項6に記載の操作支援装置。
【請求項8】
前記意味類似度計算部が計算した類似度に乗算される係数、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度に乗算される係数、それぞれの値が、前記入力機能情報の内容に応じて設定される、請求項6に記載の操作支援装置。
【請求項9】
前記情報機器に設けられた表示画面に表示されている情報に、前記入力機能情報と前記定義機能情報とを用いて、変更を加える、表示情報変更部を更に備えている、請求項1〜8のいずれかに記載の操作支援装置。
【請求項10】
前記表示情報変更部が、前記表示画面に表示されている情報の中から、前記置換機能決定部によって決定された機能の名称と一致する情報を抽出し、抽出した情報、抽出した情報が表示されている表示領域、及びその周辺領域のうち少なくとも一つに変更を加える、請求項9に記載の操作支援装置。
【請求項11】
前記表示情報変更部が、前記変更を加える前に、前記表示画面に、前記変更の許可を求める情報を表示し、そして、外部から前記変更を許可する通知を取得した場合にのみ、前記変更を加える、
請求項10に記載の操作支援装置。
【請求項12】
前記表示情報変更部が、抽出した情報を、それと置き換え可能な、前記入力機能情報で特定される機能を表す文字列に変更する、請求項10または11に記載の操作支援装置。
【請求項13】
前記表示情報変更部が、前記表示画面に、前記ユーザの入力履歴に関する情報を表示する、請求項10〜12のいずれかに記載の操作支援装置。
【請求項14】
ユーザによる操作を支援する支援機能を有する情報機器であって、
前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算する意味類似度計算部と、
前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算する履歴類似度計算部と、
前記意味類似度計算部が計算した類似度、及び前記履歴類似度計算部が計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、置換機能決定部と、
を備えていることを特徴とする、情報機器。
【請求項15】
ユーザにおける情報機器の操作を支援するための操作支援方法であって、
(a)前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算するステップと、
(b)前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算するステップと、
(c)前記(a)のステップで計算した類似度、及び前記(b)のステップで計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定するステップと、
を有することを特徴とする、操作支援方法。
【請求項16】
(d)前記ユーザから、前記情報機器に求める機能に関する音声の音声データが入力された場合に、入力された音声データに対して音声認識を行い、その認識結果を前記入力機能情報として出力するステップを更に有している、請求項15に記載の操作支援方法。
【請求項17】
(e)前記ユーザから、前記情報機器に求める機能に関するテキストデータが入力された場合に、入力されたテキストデータを前記入力機能情報として出力するステップを更に有している、請求項15に記載の操作支援方法。
【請求項18】
前記(a)のステップで、前記入力機能情報と前記定義機能情報とに対して、潜在意味解析を実行し、前記潜在意味解析における単語頻度ベクトルの内積によって、前記意味的な類似度を計算する、請求項15〜17のいずれかに記載の操作支援方法。
【請求項19】
前記ユーザの入力履歴が、前記ユーザから入力された過去の入力機能情報と、前記過去の入力機能情報の入力の際に実行された前記情報機器の機能の履歴とを含み、
前記(b)のステップで、前記入力機能情報と一致する、前記過去の入力機能情報を特定し、更に、特定された前記過去の入力機能情報の入力の際に実行された前記情報機器の機能を抽出し、そして、抽出した機能を用いて、前記類似度を計算する、請求項15〜18のいずれかに記載の操作支援方法。
【請求項20】
前記(c)のステップで、前記入力機能情報について、前記予め定義されている前記情報機器の機能毎に、前記(a)のステップで計算した類似度及び前記(b)のステップで計算した類似度、それぞれに、設定された係数を乗算し、更に得られた各乗算値の和を計算し、計算した和を用いて、前記定義機能情報で特定される機能を決定する、請求項15〜19のいずれかに記載の操作支援方法。
【請求項21】
前記(a)のステップで計算した類似度に乗算される係数、及び前記(b)のステップで計算した類似度に乗算される係数、それぞれの値が、前記ユーザの入力履歴の量に応じて設定される、請求項18に記載の操作支援方法。
【請求項22】
前記(a)のステップで計算した類似度に乗算される係数、及び前記(b)のステップで計算した類似度に乗算される係数、それぞれの値が、前記入力機能情報の内容に応じて設定される、請求項20に記載の操作支援方法。
【請求項23】
(f)前記情報機器に設けられた表示画面に表示されている情報に、前記入力機能情報と前記定義機能情報とを用いて、変更を加えるステップを更に有している、請求項15〜22のいずれかに記載の操作支援方法。
【請求項24】
前記(f)のステップで、前記表示画面に表示されている情報の中から、前記(c)のステップによって決定された機能の名称と一致する情報を抽出し、抽出した情報、抽出した情報が表示されている表示領域、及びその周辺領域のうち少なくとも一つに変更を加える、請求項23に記載の操作支援方法。
【請求項25】
前記(f)のステップで、前記変更を加える前に、前記表示画面に、前記変更の許可を求める情報を表示し、そして、外部から前記変更を許可する通知を取得した場合にのみ、前記変更を加える、
請求項24に記載の操作支援方法。
【請求項26】
前記(f)のステップで、抽出した情報を、それと置き換え可能な、前記入力機能情報で特定される機能を表す文字列に変更する、請求項24または25に記載の操作支援方法。
【請求項27】
前記(f)のステップで、前記表示画面に、前記ユーザの入力履歴に関する情報を表示する、請求項24〜26のいずれかに記載の操作支援方法。
【請求項28】
ユーザにおける情報機器の操作をコンピュータによって支援するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記ユーザから入力され、且つ前記ユーザが前記情報機器に求める機能を特定する
入力機能情報と、予め定義されている前記情報機器の機能を特定する定義機能情報との間の意味的な類似度を計算するステップと、
(b)前記ユーザの入力履歴に基づいて、前記入力機能情報と前記定義機能情報との間の類似度を計算するステップと、
(c)前記(a)のステップで計算した類似度、及び前記(b)のステップで計算した類似度を用いて、前記入力機能情報で特定される機能と置き換え可能な、前記定義機能情報で特定される機能を決定するステップと、
を実行させることを特徴とする、プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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