説明

操作機構

【課題】 従来、電子時計のスイッチ節度機構においては、節度感を出すための部材が複数であれ1つであれ、部材に2つの弾性部を用いた構造である。このため、節度感や節度のタイミングにばらつきが生じやすく、また、節度機構を操作した後に節度を出すための部材が初期位置に戻る際、2つある弾性部が作用しあい、余計な力を受けることで耐久性に難を生じる。
【解決手段】 節度を出すための部材である弾性部材19と回動部材21において、回動部材21を剛体とし、弾性部材19が節度を出すバネと回動部材21を節度機構操作後に初期位置まで戻す戻しバネとを兼ねるようにした。弾性部が1つであるため節度感や節度のタイミングのばらつきが少なく、回動部材21を初期位置に戻す際に他部品から復帰に関係ない余計な力を受けることがないため耐久性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作が可能な外部操作部材を有し、前記押圧操作に節度を設けた操作機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子時計において、日付操作やクロノグラフ等の機能を操作するために、押圧操作による外部操作部材を有するものがある。この際、これらの機能が電気的な接触によって電子的に制御される電子時計においては、外部操作部材を操作する際に操作感を向上させるため、前記押圧操作に節度を設けるための機構が組み込まれていることが多い。
【0003】
押圧操作に節度を設けた機構については、特許文献1にて開示されたような機構がある。この特許文献1に開示された機構を、図5を用いて説明する。この機構では、外部操作部材11を押圧することでピン31を中心に回動する復帰バネ33の復帰バネ突起部33aと、クリックバネ35の先端部35aが当接することにより節度感を出している。そのときに、クリックバネ35は図5のAの方向に変形する。そして、復帰バネ33に弾性部33bを一体成形し、外部操作部材11の押圧後に、この弾性部33bで復帰バネ33を元の位置に戻している。そのときに、クリックバネ35は、図5のAの方向に変形した状態から元の状態(図5のBの方向)に戻る。
【0004】
また、図6に示すような、節度感を出すための部材を1つにし、かつ小型化したものを組み込んでいる電子時計も存在する。この構成では、外部操作部材11が押し込まれていない状態では、復帰バネ41が初期たわみを持っており、復帰バネ41の先端部41aはクリックバネ43の当接部43aと離間した状態にある。そして、外部操作部材11が押し込まれると、復帰バネ41が矢印A方向に変形し、復帰バネ41の先端部41aが、クリックバネ43の当接部43aに当接する。さらに外部操作部材11を押し込むと、復帰バネ41の先端部41aが、クリックバネ43の当接部43aを乗り越え、そのときに節度が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭53−93266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、弾性部33bを復帰バネ33の一部分として一体成形しているため、部品形状が複雑となっている。さらに、外部操作部材11を押圧した状態から開放すると、クリックバネ35が図5のAの方向に変形した状態から元の状態に戻るときに、クリックバネ35の先端35aが復帰バネ33の回動軸31の方向に復帰バネ33を押し、復帰バネ33に余計な力が加わるため耐久性に難があるという問題がある。また、復帰バネ33とクリックバネ35の両方が弾性部材であるので、部品のばらつきの影響が大きく、節度のタイミングや節度感が安定しないという問題もある。
【0007】
また、図6の構成においては、節度感を出すための部材が1つで済み、かつ小型化しているため時計の構成部材としては有利だが、外部操作部材11を押し込んだ状態から開放した際に復帰バネ41がクリックバネ43より図6に示す矢印Bの方向に余計な力を受け、このため耐久性に難があるという問題は解決していない。また、復帰バネ41とクリックバネ43という2つの弾性部を有するため、節度のタイミングや節度感が安定しないと
いう問題も特許文献1の構成と同様である。
【0008】
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、簡単な構成で耐久性を改善するとともに、良好な節度感を実現する機構を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の操作機構は、押圧操作が可能な外部操作部材を有し、前記押圧操作に節度を設けた操作機構であって、該操作機構は、剛体から成り、前記押圧操作によって回動軸を中心として第1の方向に回動する回動部材と、弾性体から成り、前記回動部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回動するように、前記外部操作部材側とは反対側から前記回動部材を押圧する弾性部材とを有し、前記回動部材には当接部が形成され、前記弾性部材には、前記当接部によって当接されるとともに、該当接した状態から前記回動部材の前記第1の方向への回動にともなって前記当接部材によって乗り越えられるように構成された被当接部が形成されており、前記外部操作部材の非押圧状態では、前記当接部と前記被当接部が離間しており、前記押圧操作によって前記回動部材が前記第1の方向に回動するとともに前記弾性部材が撓むことにより、前記当接部と前記被当接部とが当接してから前記当接部が前記被当接部を乗り越えて前記押圧操作に節度が発生し、前記押圧操作から解放されると、前記弾性部材が前記回動部材を押圧して該回動部材を前記第2の方向に回動させて、前記回動部材が前記非押圧状態の位置に復帰することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、節度を出すための部材の一方が剛体であるため、部品のばらつきの影響が小さく、節度のタイミングや節度感が安定する。また、外部操作部材の押圧を開放した際、前記弾性部材が前記回動部材を前記第2の方向に回動する戻しバネとしての役割を兼用しており、専用の戻しバネや専用の戻しバネ部が不要であるため、省スペースかつ部品の形状が単純で生産しやすくなっている。また、前記弾性部材が戻しバネとして働く際、外部から回動部材にかかる力は弾性部材が回動部材を第2の方向に押圧する力だけであり、回動部材が他の部材から余計な力を受けることが無いため、耐久性に優れる。
【0011】
また、本発明の操作機構は、前記当接部が前記被当接部に当接した状態で、前記回動部材が前記第1の方向に回動することにより、前記当接部が前記被当接部を乗り越える方向に移動するように前記弾性部材を押す押接部を前記回動部材に設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の操作機構は、前記弾性部材の前記当接部には当接面が形成され、前記回動部材の前記被当接部には被当接面が形成されており、前記当接部が前記被当接部に当接した状態では、前記当接面が前記被当接面に当接するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、前記当接部が前記被当接部を乗り越える際に、互いの当接面と被当接面同士が当接した状態から乗り越えるので、従来のように曲面と平面等が当接している場合よりも当接面が被当接面を乗り越える前後の外部操作部材の操作荷重の落差を大きくすることができ、このため外部操作部材のさまざまな最大操作荷重に応じて、適切な操作荷重の落差に設定することができ、良好な節度感を得ることが出来る。
【0014】
また、本発明の操作機構は、前記非押圧状態では、前記回動部材が所定の回動位置よりも前記第1の方向には回動しないように、前記回動部材の回動を規制する規制部をさらに有することを特徴とする。
【0015】
また、前記操作機構は、さらに、前記外部操作部材と前記回動部材との間に設けられた導電性のバネ部材を有し、前記外部操作部材の押圧操作が前記バネ部材を介して前記回動
部材に伝達され、前記操作機構は、さらに、前記押圧操作によって、前記バネ部材が撓むことにより、前記バネ部材と電気的に接触する導電性の接点部材を有することを特徴とする。
【0016】
また、前記バネ部材には、前記外部操作部材を異なる方向から受けるための複数の外部操作部材受け部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、節度を出すための部材の一方を剛体である回動部材にすることにより、節度感及びタイミングの安定化を図ることが出来る。さらに弾性部材の唯一の弾性部が回動部材を初期位置まで戻す戻しバネを兼ねており、外部操作部材の押圧を開放し回動部材を非押圧状態へ戻す際に他の部材より余計な力が働くことなく、このため耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における節度機構構成の説明図である。
【図2】本発明の実施形態における節度機構の状態説明図である。
【図3】本発明の実施形態における外部操作部材を押圧した際の荷重とストロークの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態における、図1とは異なる方向から押圧するように外部操作部材を設けた場合の節度機構構成の説明図である。
【図5】特許文献1における節度機構構成の説明図である。
【図6】従来の節度機構構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を詳述する。図1、図2は本発明の実施形態における節度機構構成を腕時計に適用した例を示すものであり、図1は節度機構部分の説明図、図2は外部操作部材を押圧していったときの各部材の状態変化を示す状態説明図である。図3は外部操作部材を押圧していったときのストローク量と操作荷重の関係を示すグラフである。図4は図1とは異なる方向から押圧するように外部操作部材を設けた場合の節度機構構成を示す説明図である。
【0020】
図1において、11は押圧による操作が可能な外部操作部材、13は外部操作部材11の押圧操作を開放した際に外部操作部材11を当初の位置に戻すための戻しバネであり、破断線13bにより操作機構に関係のない部分を省略し、必要な部分だけを示している。また、戻しバネ13はステンレスなどからなる導電性を有する部材であり、後述する回路基板15と電気的な接点をとる役割もある。さらに、戻しバネ13には、外部操作部材11が操作されたときに、外部操作部材11の先端部11aを受ける2つの外部操作部材受け部13cと13dが形成されている。外部操作部材受け部13cと13dは、略平面形状である。17は地板で、節度機構を構成する部品及び腕時計を構成する図示しないムーブメント部品の保持を行っている。19はステンレス材などからなる弾性体である弾性部材、21はステンレス材などからなる剛体である回動部材であり、回動部材21は地板17に設けられた回動軸23を中心として図中第1の方向、及び第2の方向に回動するが、地板17に設けられた規制部材25により第2の方向には所定の回動位置で停止するよう
規制されている。また、弾性部材19は、地板17に設けられた固定軸17aに固定され、さらに、地板17に設けられた規制軸17bによって外部操作部材11を操作しない状態で初期たわみが与えられている。弾性部材19には当接部19aが形成され、回動部材21には被当接部21aが形成され、後述するように、外部操作部材11を押圧操作したときに互いに当接するように構成されている。
【0021】
15は、図示しない回路部品が実装された回路基板であり、弾性部材19と回動部材21の一部(弾性部材19と回動部材21における点線で示した部分)を覆っている。また、回路基板15には接点部材としての接点15aが形成されていて、戻しバネ13の接点13aと接触することにより、外部操作部材11が操作されたことを、回路基板15に実装された図示しないICにより電気的に検出する。接点15aは、回路基板15の側部に形成した電極である。外部操作部材11を押圧操作すると、外部操作部材11の先端部11aを戻しバネ13の外部操作部材受け部13c(又は13d)が受け、戻しバネ13を介して押圧操作が回動部材21に伝達され、回動部材21が第1の方向に回動する。また、弾性部材19は、回動部材21を挟んで外部操作部材11とは反対側から第2の方向に回動するように、回動部材21を押圧している。
【0022】
次に、節度機構の状態変化の様子を、図2を用いて説明する。図2(a)は外部操作部材11を操作しない状態、図2(b)は外部操作部材11の操作途中の状態、図2(c)は外部操作部材11を操作し、節度感を得た後の状態を示している。尚、図2では、回路基板15を省略して図示している。
【0023】
図2(a)において、外部操作部材11を操作しない非押圧状態では、回動部材21は、弾性部材19によって第2の方向に回動するように付勢されているが、規制部材25によって回動が規制されて停止している。この状態では、弾性部材19の当接部19aと回動部材21の被当接部21aとが離間している。
【0024】
図2(b)において、外部操作部材11を押圧することにより、外部操作部材11の先端部11aが戻しバネ13の外部操作部材受け部13cに当接して戻しバネ13が押し込まれ、戻しバネ13を介して回動部材21が第1の方向へ回動する。ある程度回動すると、回動部材21の押接部21bが弾性部材19と接触し、弾性部材19を撓ませる。回動部材21が回動すると共に弾性部材19が撓み、弾性部材19に設けられた当接部19aと回動部材21に設けられた被当接部21aが当接する。当接部19aには略平面状の当接面が形成され、被当接部21aには略平面状の被当接面が形成されており、この状態では、当接部19aの当接面と被当接部21aの被当接面とが当接した状態である。
【0025】
外部操作部材11を押圧していくと、図2(b)の矢印Aの方向に、回動部材21の押接部21bが弾性部材19を押し、当接部19aが被当接部21aを乗り越えやすいように弾性部材19に対して矢印Bの方向への力が働く。そして、図2(c)のように、当接部19aが被当接部21aを乗り越え、これにより節度感が生じる。そこからさらに外部操作部材11を押し込むことで、戻しバネ13の接点13aと図示しない回路基板15の接点15a(図1参照)が接触し、電気的接点を取る。このように、当接部19aが被当接部21aを乗り越える方向に回動部材21の押接部21bが弾性部材19を押すため、弾性部材19に力が過度にかかりすぎることなく、当接部19aが被当接部21aを乗り越えることができる。
【0026】
戻しバネ13が電気的接点をとった後、外部操作部材11の押圧をやめ外部操作部材11の押圧操作が解放されると、外部操作部材11の押圧操作により規制されていた弾性部材19が回動部材21を第2の方向へ押圧する力が働き、回動部材21を図中の第2の方向へ回動させる。回動部材21は規制部材25によって規制されるまで第2の方向へ動き
、外部操作部材11を押圧する前の位置まで戻る。同時に、弾性部材19も初期位置へ戻る。
【0027】
次に、図3を用いて、外部操作部材11を操作したときのストローク量と操作荷重の関係、及び、操作感覚について説明する。図3のグラフは、横軸が外部操作部材11の移動量(ストローク量)であり、縦軸が外部操作部材11を押圧操作する際の操作荷重である。図3のaは、外部操作部材11を操作しない状態であり、ストローク、荷重ともにゼロである。aからbの区間は、外部操作部材11が押圧操作されてから、外部操作部材11の先端部11aが戻しバネ13の外部操作部材受け部13cに当接し、弾性部材19の当接部19aが、回動部材21の被当接部21aに当接するまでの操作区間である。bからcを経由してdに至る区間は、弾性部材19の当接部19aが、回動部材21の被当接部21aに当接した状態から、回動部材21の被当接部21aを乗り越えるまでの操作区間である。弾性部材19の当接部19aが回動部材21の被当接部21aを乗り越える直前のc点が最も大きな操作加重P1(最大操作荷重)であり、弾性部材19の当接部19aが回動部材21の被当接部21aを乗り越えた直後、操作加重はP2に減少する。bからcの区間は、その直前のaからbの操作区間よりも大きな操作荷重を必要とし、cからdの操作荷重の落差(P1−P2)により節度感が得られる。dからeは、弾性部材19の当接部19aが回動部材21の被当接部21aを乗り越えた状態から、戻しバネ13の接点13aが、回路基板15の接点15aに接触するまでの操作区間である。
【0028】
一般に、節度機構を有する操作機構のクリック率は次式で与えられ、クリック率が30%〜60%程度のときにほどよい操作感触が得られることが知られている。
クリック率={(P1−P2)/P1}×100
ここで、P1,P2は、図3で示したグラフのP1及びP2に対応する操作荷重である。この式に示されるように、ほどよい操作感触を得るためには、最大操作荷重P1や、その直後の操作荷重P2との荷重落差(P1−P2)だけではなく、これらの比が重要である。従って、例えば、最大操作荷重Pが大きい場合は、それに応じて、荷重落差(P1−P2)も適切な値に大きく設定する必要がある。
【0029】
図1に示した節度機構では、弾性部材19の当接部19a及び回動部材21の被当接部21aが、いずれも当接面で形成されているため、一方の当接面が他方の当接面を乗り越える際に、面同士が当接した状態から乗り越えるので、従来のように曲面と平面等が当接している状態から乗り越える場合に比較して、容易に大きな荷重落差(P1−P2)を得ることができる。このため、操作仕様に応じて設定されたさまざまな最大操作荷重P1に対応して、適切な荷重落差(P1−P2)を容易に設定し、ほどよい操作感触が得られる節度機構を構成することができる。
【0030】
以上のように、節度を発生させるための部材である弾性部材19と回動部材21のうち、部品のばらつきの影響を受けやすい弾性部を有しているのが弾性部材19の1つだけであるので、節度のタイミング及び節度感が、従来の複数の弾性部材を用いて節度を発生させる節度機構よりも安定する。また、弾性部材19が節度を得るだけでなく回動部材21を非押圧状態の位置まで戻す役割も果たしており、弾性部を複数設ける必要が無いため、部品形状が単純化できる。さらに、外部操作部材11の押圧をやめることで弾性部材19が回動部材21を押圧して初期位置まで戻す際に、従来技術のように弾性部材19に初期位置復帰に寄与しない余計な力が加わることが無いため、耐久性に優れている。
【0031】
また、当接部19aには当接面を、被当接部21aには被当接面を設けることができ、当接部19aが、被当接部21aに当接した状態では、当接面が被当接面に当接するようにすることもできる。当接面が被当接面を乗り越える際、面同士が当接した状態から乗り越えるので、従来のように曲面と平面等が当接している状態から乗り越える場合よりも荷
重落差を大きくすることができる。このため、例えば、大きな最大操作荷重や荷重落差が要求される場合でも、当接面が被当接面を乗り越える前後での荷重落差が大きくなり、良好な節度感を得ることが出来る。
【0032】
続いて、図4に示すように、外部操作部材11の方向が図1と異なる場合について説明する。図4が図1と異なるのは外部操作部材11の位置と向きだけであり、それ以外は図1と同一である。図4では、外部操作部材11を操作したときに、外部操作部材11の先端部11aが、戻しバネ13の外部操作部材受け部13dに当接するように、外部操作部材11が配置されている。このような場合においても、外部操作部材11の押圧操作により戻しバネ13を介して回動部材21が図中第1の方向へ回動する。その後、回動部材21に設けられた押接部21bが弾性部材19を押圧し撓ませ、弾性部材19に設けられた当接部19aが回動部材21に設けられた被当接部21aを乗り越えることで節度感を得るという、外部操作部材11が図1のように配置されている場合と同一の挙動を示す。つまり、本発明の節度機構構成では、節度感を出すための弾性部材19及び回動部材21について、外部操作部材11を押圧することで戻しバネ13を介して回動部材21が第1の方向へ回転すれば、外部操作部材11の押圧操作方向に左右されることなく良好な節度感を得ることが出来る。
【0033】
このように、予め複数の外部操作部材受け部13cと13dとを形成することにより、同一の節度操作機構部材で、外部操作部材11の配置が異なる複数のデザインの外装ケースに対応することができる。
【0034】
本実施の形態の操作機構では、戻しバネ13の接点13aが、回路基板15の接点15aに接触するようにして、外部操作部材11の押圧操作を電気的に検出しているが、本発明はこれに限らず、例えば、回路基板15の接点15aを設けずに、回動部材21の回動に連動する機械的な機構を設け、この機械的な機構を操作する操作機構に利用しても良い。
また、本実施の形態では、腕時計の操作機構に適用した例を示したが、腕時計以外の機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
11 外部操作部材
11a 外部操作部材先端部
13 戻しバネ
13a 戻しバネ接点
13b 戻しバネ破断線
13c、13d 外部操作部材受部
15 回路基板
15a 回路基板接点
17 地板
17a 固定軸
17b 規制軸
19 弾性部材
19a 当接部(当接面)
21 回動部材
21a 被当接部(被当接面)
21b 押接部
23 回動軸
25 規制部
31 ピン(回動軸)
33 復帰バネ
33a 復帰バネ突起部
33b 復帰バネ弾性部
35 クリックバネ
35a クリックバネ先端部
41 復帰バネ
41a 復帰バネ先端部
43 クリックバネ
43a クリックバネ当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作が可能な外部操作部材を有し、前記押圧操作に節度を設けた操作機構であって、該操作機構は、
剛体から成り、前記押圧操作によって回動軸を中心として第1の方向に回動する回動部材と、弾性体から成り、前記回動部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に回動するように、前記外部操作部材側とは反対側から前記回動部材を押圧する弾性部材とを有し、
前記回動部材には当接部が形成され、前記弾性部材には、前記当接部によって当接されるとともに、該当接した状態から前記回動部材の前記第1の方向への回動にともなって前記当接部材によって乗り越えられるように構成された被当接部が形成されており、
前記外部操作部材の非押圧状態では、前記当接部と前記被当接部が離間しており、前記押圧操作によって前記回動部材が前記第1の方向に回動するとともに前記弾性部材が撓むことにより、前記当接部と前記被当接部とが当接してから前記当接部が前記被当接部を乗り越えて前記押圧操作に節度が発生し、前記押圧操作から解放されると、前記弾性部材が前記回動部材を押圧して該回動部材を前記第2の方向に回動させて、前記回動部材が前記非押圧状態の位置に復帰することを特徴とする操作機構。
【請求項2】
前記当接部が前記被当接部に当接した状態で、前記回動部材が前記第1の方向に回動することにより、前記当接部が前記被当接部を乗り越える方向に移動するように前記弾性部材を押す押接部を前記回動部材に設けたことを特徴とする請求項1に記載の操作機構。
【請求項3】
前記当接部には当接面が形成され、前記被当接部には被当接面が形成されており、
前記当接部が、前記被当接部に当接した状態では、前記当接面が前記被当接面に当接するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作機構。
【請求項4】
前記操作機構は、前記非押圧状態では、前記回動部材が所定の回動位置よりも前記第1の方向には回動しないように、前記回動部材の回動を規制する規制部をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の操作機構。
【請求項5】
前記操作機構は、さらに、前記外部操作部材と前記回動部材との間に設けられた導電性のバネ部材を有し、前記外部操作部材の押圧操作が前記バネ部材を介して前記回動部材に伝達され、前記操作機構は、さらに、前記押圧操作によって、前記バネ部材が撓むことにより、前記バネ部材と電気的に接触する導電性の接点部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の操作機構。
【請求項6】
前記バネ部材には、前記外部操作部材を異なる方向から受けるための複数の外部操作部材受け部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−212132(P2010−212132A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57866(P2009−57866)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】