説明

操作装置及びそれを用いる電子機器

【課題】
最少の構成部品を使用し且つ省スペースの操作装置及び設計自由度が改善される操作装置を用いる電子機器を提供する。
【解決手段】
操作装置は、一体形成された操作部22及び保持部24よりなる照光ツマミ20と、保持部24を挟持するプレート11及びパネル13とにより構成される。パネル13には、保持部24を収容する凹部15及び1対のアーム状のヒンジ部14a−14bが形成され、これらヒンジ部14a−14bの自由端部近傍に位置決めボス16、回転止めボス17及びスイッチ操作用ボス30が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作装置及びそれを用いる電子機器に関し、特に操作面に設けられユーザの操作により操作部が照光され且つ動作状態を制御するための操作装置及びそれを用いる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビ(カーナビゲーションシステム)及びオーディオ機器等を含む各種電子機器の動作状態を制御するツマミ(又は操作ボタン)は、小型軽量であると共にユーザによる操作が容易であり且つ耐久性を有する(即ち、長期且つ多数回の操作を高信頼性で行なう)ことが必要である。特に、携帯型の電子機器に使用されるツマミは、種々の環境、例えば夜間又は無照明状態で使用される場合が想定される。そこで、斯かるツマミの操作部を照明して、ユーザの操作乃至そのツマミを用いる電子機器の動作状態を明示する照光ツマミ(照光制御装置)が開発され、上述の如き各種電子機器に使用されている。
【0003】
例えば、携帯通信端末(携帯電話)やカルキュレータ等の電子機器は、操作パネルにテンキーやファンクションキー等の多数のボタンやキーを配置し、種々の使用環境下でユーザが迅速且つ容易に操作可能にする照光パネルスイッチが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。斯かる従来の照光パネルスイッチは、複数のメンブレンスイッチの背面にLED(発光ダイオード)等の発光素子を配置し、ユーザが特定のメンブレンスイッチを操作すると、対応するLEDがON(又は通電状態)となり、そのメンブレンスイッチに対応する位置が照明される。メンブレンスイッチの前面は、シートで覆われ、このシートに印刷された文字や図形がLEDで照明されるのが一般的である。
【0004】
図4は、上述した従来の照光パネルスイッチの構成を示す。図4(A)はその分解斜視図であり、(B)は断面図である。この照光パネルスイッチは、プレート1、メンブレンスイッチ3及び表面シート9の3層構造である。プレート1上には、メンブレンスイッチ3及びLED5が載置され、その上に表面シート3が配置されている。表面シート3のLED5との対応位置には、透明なドーム(又は凸)状のLED照光窓9aが形成され、その内部にLED5を収容すると共にドーム状の内面には光拡散剤6が塗布又は印刷されて視認性を向上する。表面シート9には、照光窓9aと対応して操作部9bが設けられ、この操作部9bに対応してスイッチ接点3a−3bが配置されている。
【0005】
次に、図4に示す照光パネルスイッチの動作を説明する。通常状態では、スイッチ接点3a−3bは、相互に離間してOFF状態であり、これに対応するLED5もOFF状態である。ユーザが操作部9bを指等で押下すると、スイッチ接点3a−3bがON状態となり、対応するLED5がON(点灯)する。このように、ユーザにより操作(押下)された操作部9bに対応するスイッチ接点3a−3bがONとなり、対応するLED5をONとすると共にこれを使用する電子機器に所定の制御、例えばデータ入力を行なう。
【0006】
また、図5を参照して電子機器の照光制御装置の従来例を説明する。図5(A)は照光制御装置を用いる電子機器の一部を示す正面図であり、図5(B)は図5(A)の背面から見た内部構造を示す図である。
【0007】
この照光制御装置は、電子機器50の隅に配置され、電子機器50のパネル55及びその前面に配置される、例えばガラス製の前面プレート(図5中には図示されないフロントガラス)間に挟持される保持部(図示せず)及びこの前面プレートの開口から前面に突出する、例えば直径約3mmの中空状(又は筒状)の操作部52を有する。電子機器50のパネル55には、照光ツマミの位置決めボス56及び回転止めボス57が形成されている。また、電子機器50の内部には、図示しないスイッチ(SW)が、例えば内部の回路基板等に取り付けて配置され、ユーザが照光ツマミの操作部52を操作することによりSW操作用ボス58を介してSWが駆動される。このSWの駆動されると、操作部52を照光するLED(発光ダイオード等)の光源(図示せず)がONとなる。この光源をONにすることにより、操作部52を照光するため、操作部52を中心とする照光エリア59が必要となる。
【特許文献1】実開平5−77823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図4に示す如き従来の照光パネルスイッチは、構成が比較的複雑であり、比較的広いスペース且つ多くの構成部品を必要とするので、高価となると共に小型化が困難であるという欠点乃至課題を有する。また、図5に示す如き従来の照光制御装置は、比較的広い照光エリアを必要とすると共に照光エリアの外部に位置決めボス及び回転止めボスを配置するために、例えば少なくとも幅(図5中のW)=10.2mm及び高さ(図5中のH)=12.5mm程度の比較的広いスペースを必要とする。広い照光スペースを必要とするということは、他の部品や装置の配置スペースを制限するという課題を有する。また、照光制御装置を用いる電子機器の設計の自由度を制限することとなる。
【0009】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を解消又は大幅に軽減可能な操作装置及びそれを用いる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明による操作装置及びそれを用いる電子機器は、次のような特徴的な構成を採用している。
(1)パネル及び該パネルの前面に設けられた前面プレート間に挟持される保持部及び該保持部と一体的に形成され前記前面プレートに形成された開口から前方に延出する操作部を有し、該操作部をユーザが操作するように構成された操作装置において、
前記パネルに形成された1対のアーム状のヒンジ部と、該1対のヒンジ部の先端近傍に前記保持部を位置決め及び回転止めするため形成された位置決めボス及び回転止めボスとを備える操作装置。
(2)前記1対のアーム状のヒンジ部は、前記操作部周辺を囲むように相互に軸対称状に形成される上記(1)の操作装置。
(3)前記ヒンジ部の前記位置決めボスと対向位置に前記操作部で操作されるスイッチのスイッチ操作用ボスが実質的に同一軸上に形成される上記(1)又は(2)の操作装置。
(4)前記パネルはプラスチック材料により形成され、前記1対のアーム状のヒンジ部に所望の弾性を付与する上記(1)、(2)又は(3)の操作装置。
(5)前記保持部及び操作部には、後面から前面に向けて凹部が形成され、該凹部に前記操作部を照光する発光素子を収容する上記(1)乃至(4)の何れかの操作装置。
(6)上記(1)乃至(5)の何れかの操作装置を前面の所定位置に配置し、スイッチを内部の基板に配置し、前記操作部の操作により前記スイッチ操作用ボスを介して前記スイッチをON/OFF駆動して動作状態を制御し、前記操作部を照光する操作装置を用いる電子機器。
【発明の効果】
【0011】
上述の如き特徴的な構成を採用する本発明の操作装置及びそれを用いる電子機器によると、次の如き実用上の効果を奏する。即ち、パネルの所望位置に最小スペース且つ最小構成部品により操作装置が形成可能である。また、斯かる操作装置を用いる電子機器の前面(フロントパネル)を有効に使用可能であり、その設計自由度を改善することが可能である。更に、照光ツマミの位置決めボス、回転止めボス及びスイッチ操作用ボス等を、例えばABS樹脂製のパネルに簡単且つ安価に一体成型により形成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による操作装置及びそれを用いる電子機器の好適な実施の形態の構成及び動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
先ず、図1は、本発明による操作装置を用いる電子機器の主要部を示す。図1(A)は、電子機器の前面プレート(フロントガラス)側の所望位置に配置される操作装置の操作部の正面図である。また、図1(B)は、電子機器の操作装置を取り付けるパネル構造を示す図である。
【0014】
図1(A)に示す如く、この特定実施の形態において、電子機器10の前面プレート(又はフロントガラス)11に形成された開口12から直径が例えば約3mmである操作装置の操作ツマミの操作部が前方に突出している。後述する如く、ユーザはこの操作部を指等で操作して電子機器10を制御可能であると共に、その動作状態に応じて操作部を照光可能に構成されている。
【0015】
また、図1(B)に示す如く、前面プレート(フロントガラス)11の背後に電子機器10のパネル13が配置されている。このパネル13は、適当なプラスチック材料(好ましくはABS樹脂)で形成されている。そして、このパネル13には、略円形の照光スペース19を抱き込むように又は照光スペース19の中心に対して軸対称状に1対のアーム(又は片持ち梁)状のヒンジ部14a及び14bが形成されている。ヒンジ部14a及び14bの自由端近傍には、それぞれツマミ位置決めボス16及びツマミ回転止めボス17が形成されている。
【0016】
上述の如く、照光スペース19の周囲に、それを抱き込むように1対のアーム状のヒンジ部14a及び14bを形成し、これらヒンジ部14a及び14bの自由端部の近傍にそれぞれ位置決めボス16及び回転止めボス17を形成する。斯かる特徴的な構成により、図1(B)中に楕円で囲んで示す如く、操作装置の照光ツマミの取り付けスペースを、例えば幅(図1中のW)=9.2mm及び高さ(図1中のH)=9.4mmの如く、図5に示す従来構成に比較して小型化することが可能である。これにより、操作装置の機能や操作性を犠牲にすることなく、図1に示す本発明による操作装置の照光ツマミスペースを、図5に示す従来技術のツマミスペースに対して30%以上の大幅に低減可能にする。
【0017】
次に、図2は、本発明による操作装置及びそれを用いる電子機器の詳細構成を示す分解斜視図である。図1を参照して上述した如く、電子機器10は、前面プレート(例えばフロントグラス)11、パネル13を有する電子機器本体及び照光ツマミ20を含んでいる。前面プレート11は、電子機器本体のパネル13の前面に配置され、この前面プレート11の照光ツマミ20の取付部に対応する位置に開口12が形成されている。後述する如く、照光ツマミ20は、パネル13及び前面プレート11間に挟持して保持される。
【0018】
上述の如く、パネル13は、適当なプラスチック材料(好ましくはABS樹脂)の成型品であり、1対のアーム状のヒンジ部14a及び14bが一体形成されている。そして、各ヒンジ部14a及び14bの自由端の近傍には、それぞれ照光ツマミ20の位置決めボス16及び回転止めボス17が形成されている。図2に示す如く、照光ツマミ20は、前面プレート11の開口12から前方へ突出する操作部22及びこの操作部22と一体形成された鍔状の保持部24を有する。また、照光ツマミ20の保持部24には、上述したヒンジ部14aの自由端部の近傍に形成された位置決めボス16と係合する開口26が形成されている。同様に、照光ツマミ20の保持部24には、回転止めボス17と係合する凹部、開口又は切り欠き27が形成されている。照光ツマミ20は、位置決めボス16と開口26及び回転止めボス17と上述した凹部等27との係合による位置決め後に、その保持部24をパネル13と前面プレート11間に挟持して保持される。
【0019】
次に、図3を参照して本発明による操作装置の保持構造について説明する。図3は、図2に示す照光ツマミ20を含む電子機器10の部分の概略断面図である。図3の断面図から理解される如く、照光ツマミ20は、パネル13に形成された凹部15に照光ツマミ20の保持部24が収容され、その前面に配置される前面プレート11により挟んで保持される。そして、操作部22は、前面プレート(又はフロントガラス)11の開口12から所定寸法だけ前方に延出又は突出して、前面プレート11の前方からユーザが指等によりこの操作部22を後方、即ちパネル側へ押圧して操作可能に構成されている。
【0020】
図2を参照して上述した如く、照光ツマミ20の保持部24の背面側には、パネル13に形成されたヒンジ部14a及び14bが対向して配置されている。これらヒンジ部14a及び14bの自由端近傍に形成された位置決めボス16及び回転止めボス17が照光ツマミ20の保持部24の所定位置と係合する。
【0021】
図3の断面図に示す如く、ヒンジ部14aの位置決めボス16の背面から後方(プレート11から遠ざかる方向)へ延びるスイッチ(SW)操作用ボス30が形成されている。このSW操作用ボス30の先端は、例えば電子機器10の内部の回路基板(図示せず)に取り付けられたスイッチ(SW)32と対向して配置されている。このSW32は、既存のスイッチであってもよい。例えば、プッシュ型メカニカルスイッチ、SW操作用ボス30の先端に配置された永久磁石等による磁気により駆動されるリレー又は半導体スイッチでもよい。斯かる構成により、照光ツマミ20の操作部(ツマミ)22をユーザが操作すると、SW操作用ボス30を介してSW32をON/OFF駆動することが可能である。このSW32は、例えば照光ツマミ20の操作部22の中空部に配置されたLED(発光ダイオード)等の光源(図示せず)をON/OFF制御して照光ツマミ20の操作部22を選択的に照光する。また、このSW32は、上述した光源のON/OFF動作と共に電子機器10の動作状態を制御することも可能である。
【0022】
以上、本発明による操作装置及びそれを用いる電子機器の好適な実施の形態の構成及び動作を詳述した。しかし、斯かる実施の形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の精神や要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。
【0023】
例えば、上述の実施の形態では、電子機器は、単一の照光ツマミを有する操作装置を備えているが、必要に応じて所望位置に複数の操作装置を用いてもよい。複数の照光ツマミを配列使用する場合には、それぞれ制御される機能に応じて制御部を、例えば赤、緑、黄色等の異なる発光色の光源で照光してもよい。また、照光ツマミの操作部を所望の色に着色して、例えば白色の光源により照光された際の色を異ならせてもよい。更に、照光ツマミの操作部に所望の文字や記号を印刷その他により形成してもよい。また、照光ツマミの操作部の照光は、単なる光源のON/OFFのみならず、一定周期で点滅するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による操作装置を用いる電子機器の好適な実施形態の主要部の構成を示し、(A)は操作装置の照光ツマミの操作部が挿通される前面プレートの部分正面図であり、(B)は前面プレートの背後に形成される照光ツマミの取付構造を示す図である。
【図2】本発明による操作装置を用いる電子機器の好適な実施の形態を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示す電子機器の操作装置の部分を示す断面図である。
【図4】従来の典型的な照光パネルスイッチを示し、(A)は分解斜視図、(B)は断面図である。
【図5】従来の操作装置を用いる電子機器の説明図であり、(A)は操作装置が配置された部分正面図、(B)は操作装置が配置される電子機器の背面図である。
【符号の説明】
【0025】
10 電子機器
11 前面プレート(フロントグラス)
12 開口
13 パネル
14a、14b アーム状のヒンジ部
15 凹部
16 位置決めボス
17 回転止めボス
20 照光ツマミ
22 操作部
24 保持部
30 スイッチ(SW)操作用ボス
32 スイッチ(SW)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル及び該パネルの前面に設けられた前面プレート間に挟持される保持部及び該保持部と一体的に形成され前記前面プレートに形成された開口から前方に延出する操作部を有し、該操作部をユーザが操作するように構成された操作装置において、
前記パネルに形成された1対のアーム状のヒンジ部と、該1対のヒンジ部の先端近傍に前記保持部を位置決め及び回転止めするため形成された位置決めボス及び回転止めボスとを備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記1対のアーム状のヒンジ部は、前記操作部周辺を囲むように相互に軸対称状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ヒンジ部の前記位置決めボスと対向位置に前記操作部で操作されるスイッチのスイッチ操作用ボスが実質的に同一軸上に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記パネルはプラスチック材料により形成され、前記1対のアーム状のヒンジ部に所望の弾性を付与することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記保持部及び操作部には、後面から前面に向けて凹部が形成され、該凹部に前記操作部を照光する発光素子を収容することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の操作装置を前面の所定位置に配置し、スイッチを内部の基板に配置し、前記操作部の操作により前記スイッチ操作用ボスを介して前記スイッチをON/OFF駆動して動作状態を制御し、前記操作部を照光することを特徴とする操作装置を用いる電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−301831(P2009−301831A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154164(P2008−154164)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】