説明

操作装置

【課題】各種の電気機器の設定操作を簡単且つ確実に行うことができる小型の操作装置を提供する。
【解決手段】表示部50に表示されたマーク51〜55の各位置に段階的に回動する選択切替スイッチ40と、これに積重して設けられたダイヤルスイッチ30とを用いて、表示部50に表示された設定項目の選択操作及び設定操作を行う。表示部50にはマーク51〜55の表示位置に対応付けて、5つの選択項目を横方向に並べて表示する。選択切替スイッチ40の先端部分41が一の位置を指し示すように回動する操作を、対応する位置に表示された設定項目の選択操作とする。更にダイヤルスイッチ30を回動する操作を、選択された設定項目に対する設定操作とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の温度設定又は音響装置の音量設定等の電気機器の設定に係る操作を受け付ける操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車輌にはカーナビゲーション装置、オーディオ装置及びエアーコンディショナー(以下、エアコンという)等の種々の電気機器が搭載され、車輌の運転者及び同乗者等に対する快適性の向上が図られている。これらの機器を操作するための複数のスイッチ及びボタン等を有する操作パネルは、車輌のインストルメントパネルなどの運転席近傍に配設されている。
【0003】
近年、車輌に搭載される機器の増加及び各機器の多機能化に伴って、機器の操作により多くのスイッチ及びボタン等が必要となっている。しかし、スイッチ及びボタン等の数が増加すると、操作すべきスイッチを探す時間が必要となり、操作パネルを注視する時間が増加する虞があり、操作性が悪化すると共に安全性を確保できない。
【0004】
特許文献1においては、複数の制御項目の設定状態をそれぞれ表示する表示部と、表示された各設定状態の表示エリアを視覚的に区分けする手段と、区分けされた各表示エリア近傍に、各表示エリアに表示される制御項目を選択するための選択ボタンとを設けることにより、操作者(ユーザ)が設定したい制御項目を視覚的に容易に選択できる装置が提案されている。このように、各表示エリアの近傍に、各制御項目を選択するための選択ボタンを設けることにより、表示エリアの表示情報に基づいて、操作すべき選択ボタンを直感的に選択することができるので、操作性を向上させることができる。
【特許文献1】特開2005−81909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現在でも、車輌に搭載される機器の数は増加傾向にあり、また、各機器は多機能化の傾向にある。従って、表示部に表示すべき項目の数の増加及び各項目を選択するための選択ボタンの数の増加を回避することはできない。よって、表示エリアの近傍に対応する選択ボタンを設ける構成では、操作性の向上に限界があるとともに、車輌内の配設スペース不足が問題となる。よって、このような問題を解決して操作性をより向上させるために、操作ボタンの数を削減できるような操作装置が要望されている。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作すべきスイッチ又はボタン等の数を削減して小型化を実現すると共に、ユーザの直感的な操作を可能として操作性の向上を図ることができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る操作装置は、複数の設定項目からの一の設定項目の選択操作及び選択された設定項目の設定値の設定操作を受け付ける操作装置であって、段階的に複数の位置に移動し、移動に応じた一の位置を指し示す指示部分を有する操作部と、該操作部の指示部分が指し示す位置に対応付けられた複数の位置に設定項目をそれぞれ表示する表示部と、前記操作部の指示部分が指し示す位置に対応する位置に表示された設定項目の選択を受け付ける第1受付手段と、該第1受付手段が選択を受け付けた設定項目の設定値の設定を受け付ける第2受付手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、段階的に複数の位置に移動する操作部を用いて、表示部に表示された設定項目の選択操作を行う。表示部は、操作部の移動に応じた複数の位置のそれぞれに対応付けられた位置に設定項目をそれぞれ表示する。操作部の指示部分が一の位置を指し示すように操作部を移動させる操作を、この位置に対応して表示部に表示された設定項目の選択操作とする。操作部の移動位置と、表示部による設定項目の表示位置とが対応付けられていることによって、いずれの設定項目を選択しているかをユーザが容易に把握できる。操作部を移動させることが可能な位置が数箇所程度であれば、ある程度使用に慣れたユーザは表示部の表示を短時間目視するのみで又は目視することなく、設定項目の選択操作を行うことが可能である。
【0009】
本発明に係る操作装置は、前記操作部の指示部分が指し示すそれぞれの位置及び/又は前記表示部がそれぞれの設定項目を表示する表示位置が、前記操作部を介して操作される操作対象が設けられている空間位置と対応付けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、操作部の移動位置及び/又は設定項目の表示位置が、操作対象が設けられている空間位置と対応付けられていることによって、操作対象の空間位置に基づいて、操作部をどのように移動させれば良いかを直感的に判断することができる。よって、ユーザが操作部及び表示部を注視する時間がより短縮され、簡単且つ確実な操作が可能となり、操作性をより向上させることができる。
【0011】
本発明に係る操作装置は、前記操作部を介して操作される操作対象は、空調装置であることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る操作装置は、前記操作部を介して操作される操作対象は、音響装置であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る操作装置は、前記操作部を介して操作される操作対象は、車輌に設けられ、設定値の変更が可能な各部であることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る操作装置は、前記操作部を介して操作される操作対象は、車輌に関する情報の表示を切り替える表示切替部であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、空調装置、音響装置、車輌に設けられ、設定値の変更が可能な各部、又は、車輌に関する情報の表示を切り替える表示切替部等を操作する際の操作性を向上させることができる。よって、車輌の運転者及び同乗者等が車輌に設けられた各部を操作する場合であっても、操作すべきスイッチ又はボタンを探すために操作パネルを注視する時間を削減できるので、安全に操作することができる。
【0016】
本発明に係る操作装置は、前記操作部の指示部分が指し示す複数の位置のそれぞれに対応して前記表示部が表示する複数の設定項目の表示領域が、重複領域を有することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、操作部の指示部分が指し示す複数の位置のそれぞれに対応して表示される複数の設定項目の表示領域が重複領域を有するので、設定項目毎に表示領域を確保する必要がなく、表示部の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0018】
本発明に係る操作装置は、前記操作部は、段階的に複数の位置に回動するように構成してあり、前記操作部の指示部分は、前記操作部の回動に応じた一の位置を指し示すように構成してあり、前記操作部に積重して設けられた回動操作体を備え、前記第2受付手段は、前記回動操作体の回動に応じて、前記第1受付手段が選択を受け付けた設定項目の設定値の設定を受け付けるように構成してあることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、操作部が回動するように構成されており、操作部の指示部分が一の位置を指し示すように操作部を回動させる操作を、この回動位置に対応して表示部に表示された設定項目の選択操作とする。また、操作部に積重して設けられた回動操作体を回動させる操作を、操作部によって選択された設定項目に対する設定操作とする。よって、操作部による設定項目の選択後に、操作部に積重して設けられた回動操作体による設定操作を行うことができる。従って、例えば、設定項目の選択操作と設定操作とを別に配されたスイッチなどで行う場合では、ユーザが、設定項目の選択後に別のスイッチを探す必要があったが、このような必要がなくなり、操作性を向上させることができる。
【0020】
本発明に係る操作装置は、前記表示部は、前記第1受付手段が選択を受け付けた設定項目を強調表示するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、操作部によって選択された設定項目を表示部にて強調表示する。これにより、ユーザは自身が選択した設定項目を容易に認識することができる。操作部を移動させることができる位置が多い場合、即ち表示部に表示される設定項目の数が多い場合には特に有効である。なお、強調表示としては、例えば、拡大表示、色変更表示、点滅表示等がある。
【発明の効果】
【0022】
本発明による場合は、ユーザが操作するスイッチ又はボタン等の数を削減できるので、操作装置の小型化が可能であり、車輌のインストルメントパネルなどの限られたスペースに操作装置を容易に配設することができる。また、ユーザの直感的な操作が可能となり、特に、この操作装置を車輌に搭載した場合には、操作装置を注視する時間が短縮されるので、車輌の運転に支障きたす虞がなく、操作性を向上させることができると共に、車輌の走行の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係る操作装置を、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本実施形態に係る操作装置の外観を示す模式図である。本実施形態に係る操作装置1は、例えば車輌のインストルメントパネルなどに設けられ、車輌に搭載されたエアコン(空調装置)、CDプレーヤ及びラジオチューナ(音響装置)等の車載機器に対する各種の設定操作を受け付けるものである。
【0024】
また、操作装置1は、上述した各車載機器だけでなく、サスペンションの切り替え(例えば、スポーツモード、ノーマルモード、ソフトモードの切り替え)、ヘッドランプの高さの切り替え、ドア及び窓のロックの施錠及び開錠の切り替え等、車輌に設けられ、モードの切り替えが可能な各機器に対する設定操作を受け付ける。更に、操作装置1は、オドメータ及びトリップメータ等で計測した走行距離、燃費計で計測した燃費等、車輌に関する情報の表示を切り替える表示切替部に対する切替操作も受け付ける。なお、本実施形態では、説明の簡略化のため、エアコンに対する各種の設定操作を行う操作装置を例に説明する。
【0025】
本実施形態の操作装置1は、各種の情報及び設定項目等を表示する表示部50、3つのスイッチで構成される複合スイッチ17、その他の複数のスイッチ又はボタン等で構成される操作部15等を備えている。なお、本実施形態の操作装置1はエアコンに係る設定項目の設定のみを受け付けるものであり、表示部50は、図1に示すように、エアコンに関する設定項目及び設定情報を表示する。
【0026】
図2は、複合スイッチ17の構成を示す模式図であり、(a)に複合スイッチ17の平面視を示し、(b)に複合スイッチ17の側面視を示してある。複合スイッチ17は、プッシュスイッチ20、ダイヤルスイッチ30及び選択切替スイッチ40の3つのスイッチにより構成してある。選択切替スイッチ40は、先細の先端部分41が他の部分より厚く形成された略卵形の板状をなしている。また、操作装置1は、その筐体(又は車輌のインストルメントパネル)の内部から外部へ突出して設けられた円筒状の回動軸42を備えている。
【0027】
選択切替スイッチ40には回動軸42が挿通可能な略円形の貫通孔が形成してあり、選択切替スイッチ40の貫通孔に回動軸42を挿通させてある。回動軸42は操作装置1の筐体内の回路基板などに回動可能に設けてあり、選択切替スイッチ40及び回動軸42が一体に回動するようにしてある。
【0028】
選択切替スイッチ40及び回動軸42は、先端部分41が真上方向を指し示す位置(中央位置)と、中央位置から50°程度左側の位置と、中央位置から25°程度左側の位置と、中央位置から25°程度右側の位置と、中央位置から50°程度右側の位置との5つの位置に段階的に回動することができる。なお、選択切替スイッチ40及び回動軸42は、この範囲を超えて回動することができないようにしてある。段階的な回動は、例えば凹凸の係合を利用してクリック感を生じさせることで実現できる。なお、クリック感とは凹凸の係合に伴って生じる「カチ、カチ」という音、及びこのときに生じる振動等を含むものである。
【0029】
ダイヤルスイッチ30は、略円板形をなしている。操作装置1は、円筒状の回動軸42内及び選択切替スイッチ40に形成された貫通孔を挿通して筐体内の回路基板などに回動可能に設けられた円柱又は円筒状の回動軸31を備えており、ダイヤルスイッチ30は回動軸31に固定されて一体に回動するようにしてある。これにより、ダイヤルスイッチ(回動操作体)30は、選択切替スイッチ40に対して軸方向に積重する態様で設けられる。
【0030】
ダイヤルスイッチ30は、回動軸31を中心に左右に360°又はそれ以上に亘って回動させることができるようにしてある。また、ダイヤルスイッチ30は回動に伴って所定間隔でクリック感を生じさせる構成としてもよく、この場合には選択切替スイッチ40の回動位置に応じてクリック感を変更する(クリック感が生じる間隔を変更する、又はクリック感の強度を変更する等)構成とすることが好ましい。クリック感の変更は、例えば形状などが異なる複数組の凹凸を形成しておき、選択切替スイッチ40の回動位置に応じて係合する凹凸の組を変更することで実現でき、モータ又はアクチュエータ等を利用して電気的に実現することもできる。
【0031】
ダイヤルスイッチ30の回動に伴ってクリック感を生じさせる構成とすることにより、選択切替スイッチ40に対する回動操作と共にダイヤルスイッチ30が誤って回動操作されることが防止でき、また、誤って回動操作された場合にはユーザがこれを認識することができる。なお、選択切替スイッチ40の回動操作時にダイヤルスイッチ30が誤って回動されることを防止するために、ダイヤルスイッチ30の回動をロックする機構を設け、ロック解除のボタンを押下しながらダイヤルスイッチ30の回動操作を行う構成とすることもできる。
【0032】
プッシュスイッチ20は、略円形をなし、ダイヤルスイッチ30の略円形をなす端面の略中央に設けてある。プッシュスイッチ20は、ダイヤルスイッチ30及び回動軸31内を通したケーブルなどを介して操作装置1の筐体内に設けられた回路基板などに接続してあり、プッシュスイッチ20に対するプッシュ操作を検知することができるようにしてある。
【0033】
また、図1に示すように、操作装置1には、複合スイッチ17の周囲にその他の複数のスイッチ(操作部15)が配設してあり、複合スイッチ17にて操作することのできない種々の機能の操作を操作部15にて行うことができるようにしてある。なお、操作部15の各スイッチには、比較的に操作頻度の低い機能に対する操作を割り当てることが好ましいが、これに限るものではなく、逆に操作頻度が非常に高く、1つのスイッチとして独立して設けることが好ましい機能の操作を割り当ててもよい。
【0034】
表示部50は、例えば液晶ディスプレイなどを用いて実現されるものであり、横長の矩形状に形成されている。表示部50は、エアコンに対して複合スイッチ17を利用して設定することができる設定項目を表示する。具体的には、表示部50は、ユーザが選択切替スイッチ40を上記の中央位置、50°程度左側の位置、25°程度左側の位置、25°程度右側の位置及び50°程度右側の位置の5つの位置にそれぞれ回動させた場合に、先端部分41が指し示す5つの位置に対応する表示位置にマーク51〜55を表示する。
【0035】
また、表示部50は、5つのマーク51〜55を横方向に並べて表示すると共に、それぞれのマーク51〜55の表示位置に対応する領域(表示領域)に、設定項目又は設定情報を表示する。具体的には、表示部50は、左から順に、マーク51に対応する領域にエアコンに対して設定された風向を模式的に表示し、マーク52に対応する領域に車輌の助手席に対する温度設定の項目を示す「PASSENGER」の文字を表示している。また、表示部50は、マーク54に対応する領域に車輌の運転席に対する温度設定の項目を示す「DRIVER」の文字を表示し、マーク55に対応する領域にエアコンに対して設定された風量を模式的に表示している。
【0036】
これにより、ユーザは、選択切替スイッチ40の先端部分41をこのマーク51〜55のいずれかに合わせるように回動操作することができるようにしてある。なお、選択切替スイッチ40の先端部分41は表示部50の下端中央の一部を覆うように設けられており、選択切替スイッチ40を上記の5つの位置に回動した場合に、先端部分が、表示部50に表示されている各マーク51〜55を直接的に指し示すことができる。
【0037】
ユーザは選択切替スイッチ(操作部)40を回動操作して5つのマーク51〜55のいずれかに先端部分(指示部分)41を合わせるように回動操作することによって、表示部50に表示された5つの設定項目から対応する1つの設定項目を選択することができる。なお、マーク53に対応する領域には何も表示されていないが、ユーザは、選択切替スイッチ40の先端部分41をマーク53に合わせることによって、車輌の全ての座席の温度設定の項目を選択できる。
【0038】
図1及び図2に示す例では、選択切替スイッチ40の先端部分41は中央のマーク53を指し示す位置であるため、車輌の全ての座席に対する温度設定の項目が選択された状態である。この状態でダイヤルスイッチ30を回動操作することで全ての座席に対する設定温度を変更することができ、例えばダイヤルスイッチ30を時計回りに回動して設定温度を上げ、反時計回りに回動して設定温度を下げることができるようにしてある。
【0039】
なお、エアコンの風向又は風量の設定は、プッシュスイッチ20をプッシュ操作することによってトグル的に変更することができる構成としてもよく、操作部15のその他のスイッチを操作して変更することができる構成としてもよい。
【0040】
このように、本実施形態の操作装置1では、表示部50の中央位置に表示されたマーク53よりも左側のマーク52に、助手席に対する温度設定の項目を対応付け、表示部50の中央位置に表示されたマーク53よりも右側のマーク54に、運転席に対する温度設定の項目を対応付けてある。よって、助手席に対する温度設定又は運転席に対する温度設定等、操作対象の車輌内における空間位置に対応付けることにより、操作対象の空間位置に基づいて選択切替スイッチ40の回動方向を直感的に判断できるのでブラインド操作が可能となる。
【0041】
表示部50は、図1及び図2に示すように、全席に対する温度設定の項目が選択された場合、全席に対する温度設定に対応するマーク53の上の表示領域に、全席に対して設定されている温度を表示する。また、表示部50は、選択切替スイッチ40にて運転席に対する温度設定の項目が選択された場合、運転席に対する温度設定に対応するマーク54の上の表示領域に、運転席に対して設定されている温度を表示する。
【0042】
更に、表示部50は、選択切替スイッチ40にて助手席に対する温度設定の項目が選択された場合、助手席に対する温度設定に対応するマーク52の上の表示領域に、助手席に対して設定されている温度を表示する。即ち、表示部50は、助手席、全席又は運転席に対する温度設定のいずれかの項目が選択された場合、選択された項目に対して設定されている温度をマーク52〜54のそれぞれの上に表示させる。
【0043】
このように、助手席、全席又は運転席に対する温度設定のいずれかの項目に対して設定されている温度のみを表示させる構成とすることにより、各項目に対して設定されている温度を表示させる表示領域を重複させることができる。よって、本実施形態の操作装置1では、項目毎に表示領域を確保する必要がないので、表示部50の有効利用が図れると共に表示部50の小型化及び低コスト化が可能である。
【0044】
また、表示部50は、風向設定の項目又は風量設定の項目が選択された場合、この時点で設定されている風向又は風量を、非選択時における表示サイズよりも大きく拡大表示するようにしてある。これにより、ユーザは、風向設定又は風量設定のいずれかの項目を選択した場合、自身が選択した設定項目を容易に且つ確実に認識することができ、操作装置1の操作性を確実に向上することができると共に、ユーザによる誤操作を確実に低減することができる。
【0045】
図3は、複合スイッチ17による選択操作及び設定操作を説明するための模式図である。図1に示す状態から、選択切替スイッチ40を時計回りに回動操作して、先端部分41がマーク54を指し示す位置とした場合を示したものが図3である。これによりユーザは、表示部50に表示された5つの設定項目から、運転席に対する温度設定の項目を選択する選択操作をすることができる。この場合、全席に対する温度設定の項目から運転席に対する温度設定の項目に選択が切り替えられたので、表示部50は全席に対して設定されていた温度(図1,2においては25.0)の表示を終了し、運転席に対して設定されている温度(図3においては27.0)の表示を開始する。
【0046】
運転席に対する温度設定の項目が選択された後、ユーザはダイヤルスイッチ30を回動操作することによって運転席の温度の設定操作を行うことができる(図3(b)参照)。ダイヤルスイッチ30を図3(b)中の白抜き矢印で示すように反時計回りに回動操作した場合には温度を下げることができ、逆にダイヤルスイッチ30を時計回りに回動操作した場合には温度を上げることができる。なお、図示は省略するが助手席又は全席に対する温度設定についても同様であり、選択切替スイッチ40をマーク52又は53の位置まで回動操作することで助手席又は全席に対する温度設定の選択操作を行うことができ、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで助手席又は全席に対する温度の設定操作を行うことができる。
【0047】
図4は、本実施形態に係る操作装置1の構成を示すブロック図である。操作装置1は、プッシュスイッチ20に対するプッシュ操作を検知するプッシュ検知部11、ダイヤルスイッチ30の回動量を検出するロータリエンコーダ12、選択切替スイッチ40の回動位置を検出する位置検出部13等と、これら各部から与えられる検知結果又は検出結果等を基に表示部50へ各種の情報を表示する処理を主として行う制御部10とを備えている。これらの各部は、操作装置1の筐体内に設けられた回路基板などに電気回路として構成されている。
【0048】
プッシュ検知部11は、電気的接点などを利用してプッシュスイッチ20のプッシュ操作に応じて電気の導通/非導通を切り替えることにより、プッシュスイッチ20に対するプッシュ操作を検知するようにしてある。プッシュ検知部11は、プッシュスイッチ20に対するプッシュ操作を検知した場合に、制御部10へ通知を行うようにしてある。
【0049】
ロータリエンコーダ12は、回路基板などに固定される固定部と、この固定部に回転可能に保持された回転子とを有する構成であり、回転子の回転に応じたパルス信号を出力する。ロータリエンコーダ12の回転子はダイヤルスイッチ30の回動軸31に連結してあり、ダイヤルスイッチ30の回動操作に伴ってパルス信号を制御部10へ出力するようにしてある。制御部10は、ロータリエンコーダ12からのパルス信号を基に、ダイヤルスイッチ30の回動方向及び回動量等を取得することができる。
【0050】
位置検出部13は、例えば3接点のレバースイッチなどを利用し、選択切替スイッチ40の回動軸42が回動に応じてレバースイッチのレバーを移動させることによって、位置の検出を行うようにしてある。位置検出部13は、検出した位置を制御部10へ通知するようにしてある。
【0051】
制御部10には、プッシュ検知部11からのプッシュ操作の検知結果、ロータリエンコーダ12からのパルス信号、及び位置検出部13からの回動位置の検出結果が与えられると共に、操作部15の複数のスイッチに対する操作の検知結果が与えられている。従って、制御部10は、選択切替スイッチ40の先端部分41が指し示すマーク51〜55に対応する設定項目の選択を受け付ける第1受付手段として動作すると共に、選択された設定項目の設定値の設定をダイヤルスイッチ30を介して受け付ける第2受付手段として動作する。
【0052】
制御部10は、複合スイッチ17及び操作部15に対する操作内容に応じて、表示部50の表示を更新するようにしてある。また、制御部10は、複合スイッチ17及び操作部15の操作により設定されたエアコン2に関する各種の設定を反映させるべく、接続ケーブルなどを介して接続されたエアコン2の動作を、設定内容に応じて制御するようにしてある。
【0053】
例えば、制御部10は、選択切替スイッチ40の先端部分41がマーク51を指し示す位置に回動された場合、この時点で設定されている風向を拡大表示し、選択切替スイッチ40の先端部分41がマーク52を指し示す位置に回動された場合、この時点で助手席に対して設定されている温度を表示する。また、制御部10は、選択切替スイッチ40の先端部分41がマーク53を指し示す位置に回動された場合、この時点で全席に対して設定されている温度を表示し、選択切替スイッチ40の先端部分41がマーク54を指し示す位置に回動された場合、この時点で運転席に対して設定されている温度を表示する。更に、制御部10は、選択切替スイッチ40の先端部分41がマーク55を指し示す位置に回動された場合、この時点で設定されている風量を拡大表示する。
【0054】
ダイヤルスイッチ30が回動操作された場合、制御部10は、ロータリエンコーダ12が出力するパルス信号からダイヤルスイッチ30の回動方向及び回動量を取得する。次いで、表示部50に表示されている各設定項目の設定値を、ダイヤルスイッチ30の回動方向及び回動量に応じて変更するように、設定変更対象のエアコン2の制御を行う。
【0055】
以上の構成の操作装置1においては、選択切替スイッチ40及びダイヤルスイッチ30が積重する態様で設けられた複合スイッチ17を用いて、エアコン2に対して設定可能な各項目の選択操作、及び選択された設定項目の設定操作を行う構成とすることにより、複合スイッチ17のみで多数の設定項目の設定を行うことができるため、操作装置1のその他のスイッチ又はボタン等を削減することができ、操作装置1を小型化することができる。よって、車輌のインストルメントパネルなどの限られたスペースに、操作装置1を容易に配設することができる。
【0056】
また、選択切替スイッチ40の5つの回動位置に対応付けて、5つのマーク51〜55及び設定項目を表示し、マーク51〜55のいずれかを指し示す位置に選択切替スイッチ40の先端部分41が回動された場合に、5つの設定項目のいずれかを選択する選択操作を受け付ける構成とすることにより、いずれの設定項目を選択しているかをユーザが容易に把握できる。よって、ユーザは表示部50の表示を短時間目視するのみで又は目視することなく所望の設定項目の選択操作を行うことができるため、操作装置1の操作性を向上することができる。特に、この操作装置1を車輌に搭載した場合、操作装置1を目視することなく操作を行うことができるため、車輌の運転に支障きたす虞がなく、車輌の走行の安全性を高めることができる。
【0057】
また、先端部分41が表示部50の下端中央の一部を覆うように選択切替スイッチ40を設ける構成とすることにより、表示部50に表示された5つのマーク51〜55を先端部分41が直接的に指し示すことができるため、選択切替スイッチ40により選択された設定項目をユーザが確実に認識することができる。よって、操作装置1の操作性を向上することができると共に、ユーザによる誤操作を低減することができる。
【0058】
また、選択切替スイッチ40は略卵形の板状として、先細の先端部分41を指示部分とし、ダイヤルスイッチ30は略円板形とすることによって、ユーザが回動操作を行い易く、選択切替スイッチ40がいずれの位置に回動されているかを判定し易い。また、回動の中心軸が共通となるように選択切替スイッチ40及びダイヤルスイッチ30を積重して設ける構成とすることにより、選択切替スイッチ40及びダイヤルスイッチ30の配設スペースを低減できると共に、ユーザは選択切替スイッチ40の操作後に容易にダイヤルスイッチ30の操作を行うことができる。よって、操作装置1の小型化及び操作性の向上をより確実に実現することができる。
【0059】
本実施の形態においては、操作装置1を車輌に搭載するものとしたが、これに限るものではなく、車輌以外の場所に搭載する構成としてもよく、本発明の操作装置1は特に配設スペースの限られた場所に搭載する場合に好適である。また、操作装置1によりエアコンに係る設定項目の設定操作を受け付ける構成としたが、これに限るものではなく、例えば、CDプレーヤ及びラジオチューナ等の機器に係る設定項目の設定操作を受け付ける構成であってもよい。
【0060】
例えば、車輌に搭載されたCDプレーヤの音量の設定を選択切替スイッチ40にて行う場合、選択切替スイッチ40をマーク52の位置まで回動操作することで助手席に対する音量の設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで助手席に対する音量の設定操作を行うようにすればよい。また、選択切替スイッチ40をマーク53の位置まで回動操作することで全席に対する音量の設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで全席に対する音量の設定操作を行うようにすればよい。更に、選択切替スイッチ40をマーク54の位置まで回動操作することで運転席に対する音量の設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで運転席に対する音量の設定操作を行うようにすればよい。
【0061】
また、本発明の操作装置1は、サスペンションの切り替え(例えば、スポーツモード、ノーマルモード、ソフトモードの切り替え)、ヘッドランプの高さの切り替え、ドア及び窓のロックの施錠及び開錠の切り替え等、車輌に設けられ、モードの切り替えが可能な各機器に係る設定項目の設定操作を受け付ける構成であってもよい。
【0062】
例えば、サスペンションの切り替えを選択切替スイッチ40にて行う場合、選択切替スイッチ40をマーク52の位置まで回動操作することで左前輪に対するサスペンションの設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで左前輪に対するサスペンションの設定操作を行うようにすればよい。同様に、選択切替スイッチ40をマーク54の位置まで回動操作することで右前輪に対するサスペンションの設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで右前輪に対するサスペンションの設定操作を行うようにすればよい。
【0063】
また、ドア及び窓のロックの施錠及び開錠の切り替えを選択切替スイッチ40にて行う場合、選択切替スイッチ40をマーク52の位置まで回動操作することで助手席側のドア及び窓に対するロックの設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで助手席側のドア及び窓に対するロックの施錠又は開錠の設定操作を行うようにすればよい。同様に、選択切替スイッチ40をマーク54の位置まで回動操作することで運転席側のドア及び窓に対するロックの設定の選択操作を行い、その後にダイヤルスイッチ30を回動操作することで運転席側のドア及び窓に対するロックの施錠又は開錠の設定操作を行うようにすればよい。
【0064】
また、本発明の操作装置1は、オドメータ及びトリップメータ等で計測した走行距離、燃費計で計測した燃費等、車輌に関する情報の表示を切り替える表示切替部に対する切替操作を受け付ける構成であってもよい。例えば、選択切替スイッチ40をマーク51の位置まで回動操作することでオドメータの計測距離を表示部50に拡大表示させ、選択切替スイッチ40をマーク52の位置まで回動操作することでトリップメータの計測距離を表示部50に拡大表示させ、選択切替スイッチ40をマーク53の位置まで回動操作することで燃費計の計測量を表示部50に拡大表示させるようにしてもよい。
【0065】
また、選択切替スイッチ40は5つの位置に回動する構成としたが、これに限るものではなく、4つ以下の位置又は6つ以上の位置に回動する構成であってもよい。また、図1〜図3にて示した表示部50の表示内容及び操作部15のスイッチの配置等は一例であって、これに限るものではない。また、表示部50には5つの設定項目を表示する構成としたが、これに限るものではなく、5つ以下(即ち、選択切替スイッチ40の回動位置の数以下)の設定項目を表示させればよい。また、表示部50は液晶ディスプレイなどを用いて実現されるものであるが、カラー表示又はモノクローム表示のいずれであってもよく、ドット表示又はセグメント表示のいずれであってもよい。
【0066】
また、選択切替スイッチ40により風向又は風量の設定項目が選択された場合、選択された設定項目を拡大表示して強調表示する構成としたが、これに限るものではない。例えば、選択された設定項目の色を変更する、又は点滅表示するなどの他の方法により強調表示を行う構成としてもよい。また、複合スイッチ17の内部に複数色の光源を設け、表示部50に表示される各設定項目を異なる色で表示し、選択された設定項目の色に応じた色で複合スイッチ17を発光させる構成とすることもできる。
【0067】
また、選択切替スイッチ40を略卵形としたが、これに限るものではなく、矢印形又はひし形等の他の形状であってもよく、少なくとも回動位置を判別することができる形状、又はいずれか1箇所に指示部分が設けられた形状であればよい。また、先細部分の先端部分41を指示部分として利用する構成としたが、これに限るものではなく、例えば選択切替スイッチ40の一部の色を他の部分と異なる色とする、選択切替スイッチ40の一箇所にマークを付す、又は選択切替スイッチ40の一部の素材を変更するなどの構成により指示部分を設けてもよい。
【0068】
また、選択切替スイッチ40の回動操作によって設定項目を選択する構成としたが、これに限るものではない。例えば、段階的に移動し、表示部50が表示する各マーク51〜55を指し示す可動部を有するスライドスイッチで構成することもできる。即ち、可動部がマーク51〜55のいずれかを指し示す位置にスライドスイッチを移動させることによって、マーク51〜55のいずれかに対応する設定項目の選択操作を行うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係る操作装置の外観を示す模式図である。
【図2】複合スイッチの構成を示す模式図である。
【図3】複合スイッチによる選択操作及び設定操作を説明するための模式図である。
【図4】本実施形態に係る操作装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
1 操作装置
10 制御部
17 複合スイッチ
20 プッシュスイッチ
30 ダイヤルスイッチ(回動操作体)
40 選択切替スイッチ(操作部)
41 先端部分(指示部分)
50 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設定項目からの一の設定項目の選択操作及び選択された設定項目の設定値の設定操作を受け付ける操作装置であって、
段階的に複数の位置に移動し、移動に応じた一の位置を指し示す指示部分を有する操作部と、
該操作部の指示部分が指し示す位置に対応付けられた複数の位置に設定項目をそれぞれ表示する表示部と、
前記操作部の指示部分が指し示す位置に対応する位置に表示された設定項目の選択を受け付ける第1受付手段と、
該第1受付手段が選択を受け付けた設定項目の設定値の設定を受け付ける第2受付手段と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記操作部の指示部分が指し示すそれぞれの位置及び/又は前記表示部がそれぞれの設定項目を表示する表示位置が、前記操作部を介して操作される操作対象が設けられている空間位置と対応付けられていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記操作部を介して操作される操作対象は、空調装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記操作部を介して操作される操作対象は、音響装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作部を介して操作される操作対象は、車輌に設けられ、設定値の変更が可能な各部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項6】
前記操作部を介して操作される操作対象は、車輌に関する情報の表示を切り替える表示切替部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項7】
前記操作部の指示部分が指し示す複数の位置のそれぞれに対応して前記表示部が表示する複数の設定項目の表示領域が、重複領域を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかひとつに記載の操作装置。
【請求項8】
前記操作部は、段階的に複数の位置に回動するように構成してあり、
前記操作部の指示部分は、前記操作部の回動に応じた一の位置を指し示すように構成してあり、
前記操作部に積重して設けられた回動操作体を備え、
前記第2受付手段は、前記回動操作体の回動に応じて、前記第1受付手段が選択を受け付けた設定項目の設定値の設定を受け付けるように構成してあること
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかひとつに記載の操作装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記第1受付手段が選択を受け付けた設定項目を強調表示するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかひとつに記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−301362(P2009−301362A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155902(P2008−155902)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】