説明

攪拌式融雪装置

【課題】 コンパクトに構成されて移動可能であり、攪拌用の回転軸に付着する雪が肥大化するのを防止し、融雪効率を向上することができる攪拌式融雪装置を提供する。
【解決手段】 所定の水位まで貯水可能な融雪槽2と、この融雪槽2内に回転自在に並列支持された複数本の回転軸3と、これら各回転軸3の軸方向に沿って突設されている複数枚の羽根41からなる攪拌羽根群4と、各回転軸3を回転駆動する回転駆動手段5と、融雪槽2内に蒸気を供給する蒸気供給手段6および/または融雪槽2内に高圧水を噴射する高圧水噴射手段7とを有しているとともに、各回転軸3を回転させた際に、隣り合う回転軸3に設けられた各攪拌羽根群4同士が、互いに羽根41と羽根41との隙間を通過し合うように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪を攪拌しながら融解する攪拌式融雪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、北海道等の降雪量の多い地域では、道路や市街地に降り積もった雪をロータリー除雪車等によって除雪し、その雪をダンプカー等に積んで郊外に用意された排雪地や河川等に投棄するのが一般的である。しかし、上記のような除雪作業には、排雪地の確保や労働力をはじめとして膨大な費用と人手が必要となり、さらに深夜作業のため騒音や交通渋滞を発生させるという問題もある。
【0003】
そこで、従来、排雪ではなく、除雪した雪を融かしてしまうための融雪装置が提案されている。例えば、特開2010−101031号公報には、平面状に配設された放熱管にボイラーで加熱した熱媒体を循環させ、該放熱管を加熱することによって融雪を行う融雪装置が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、特開2003−147741号公報には、融雪処理を行う融雪槽と、温水を供給する温水シャワーと、投入された雪を攪拌する攪拌機構と、水を貯留する貯留槽と、貯留槽内部の水位を検出する水位センサと、貯留槽内の水を加熱して循環させる循環機構と、水位センサの検出結果に基づき水供給源の制御を行う制御部とを有する融雪装置が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−101031号公報
【特許文献2】特開2003−147741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来の放熱管を用いた融雪装置は、地下に埋設したり、屋根上に配設して使用することが多い。このため、設置工事に多大な費用とコストがかかるという問題がある。また、固定設置型であるため、道路等で除雪した雪を融雪するには、別途、当該融雪装置まで運搬しなければならず効率が悪い。
【0007】
また、特許文献2のように、車載可能な融雪装置も存在するが、攪拌機構が一本の回転軸で構成されている。このため、投入された雪が回転軸や攪拌羽根に付着して肥大化し、攪拌機能が低下してしまうおそれがある。この場合、融雪効率が低下することはもとより、回転軸の駆動源に多大な負荷がかかり、故障してしまうおそれもある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、コンパクトに構成されて移動可能であり、攪拌用の回転軸に付着する雪が肥大化するのを防止し、融雪効率を向上することができる攪拌式融雪装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る攪拌式融雪装置は、所定の水位まで貯水可能な融雪槽と、この融雪槽内に回転自在に並列支持された複数本の回転軸と、これら各回転軸の軸方向に沿って突設されている複数枚の羽根からなる攪拌羽根群と、前記各回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記融雪槽内に蒸気を供給する蒸気供給手段および/または前記融雪槽内に高圧水を噴射する高圧水噴射手段とを有しているとともに、前記各回転軸を回転させた際に、隣り合う前記回転軸に設けられた各攪拌羽根群同士が、互いに羽根と羽根との隙間を通過し合うように配置されている。
【0010】
また、本発明に係る攪拌式融雪装置の一態様として、前記回転軸に向けて下方に傾斜された雪投入用傾斜板と、この雪投入用傾斜板の上端側から散水して雪を滑流させる滑流手段とを有していてもよい。
【0011】
さらに、本発明に係る攪拌式融雪装置の一態様として、前記攪拌羽根群の各羽根は、雪を前記回転軸の略中央位置に移動させる方向に傾斜配置されており、前記高圧水噴射手段は、前記回転軸の略中央位置に高圧水を噴射するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る攪拌式融雪装置の一態様として、前記蒸気供給手段は、前記融雪槽内に貯留される水の水面下に配置されていてもよい。
【0013】
さらに、本発明に係る攪拌式融雪装置の一態様として、前記回転駆動手段は、前記各回転軸の回転方向をランダムに切換制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンパクトに構成されて移動可能であり、攪拌用の回転軸に雪が付着するのを抑制し、融雪効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る攪拌式融雪装置の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の2A−2A線断面図である。
【図3】本実施形態において、蒸気パイプおよび循環パイプの配管状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態において、噴射パイプ、散水パイプおよび排水パイプの配管状態を示す斜視図である。
【図5】本実施形態の攪拌羽根を備えた回転軸の展開図である。
【図6】本実施形態の攪拌羽根を備えた回転軸の斜視図である。
【図7】本発明に係る攪拌羽根の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る攪拌式融雪装置の実施形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1から図4に示すように、本実施形態の攪拌式融雪装置1は、主として、雪を融かすための融雪槽2と、この融雪槽2内に回転自在に支持された複数本の回転軸3と、これら各回転軸3から突出された攪拌羽根群4と、各回転軸3を回転駆動する回転駆動手段5と、融雪槽2内に蒸気を供給する蒸気供給手段6と、融雪槽2内に高圧水を噴射する高圧水噴射手段7と、雪を投入するための雪投入用傾斜板8と、この雪投入用傾斜板8の上端側から散水して雪を滑流させる滑流手段9と、融雪槽2内の水を循環させる循環手段10と、融雪槽2内の水を排水する排水手段11とを有している。以下、各構成手段について詳細に説明する。
【0018】
融雪槽2は、雪を投入して融雪するためのものである。本実施形態において、融雪槽2は、図1および図2に示すように、略直方体形状に形成されており、所定の水位に貯水可能に構成されている。また、融雪槽2の上面は開口されており、雪を上から投入しうるようになっている。
【0019】
なお、本実施形態では、攪拌式融雪装置1の可搬性を高めるため、図1および図2に示すように、融雪槽2の上端部に一対の吊りフック21,21が設けられている。また、融雪槽2の形状は、トラック等に載置できる形状に形成されており、特に底部は平面状に形成されているが、この構成に限定されるものではなく、所定の水位に貯水可能であれば、任意に選択してもよい。
【0020】
回転軸3および攪拌羽根群4は、投入された雪が塊にならないように攪拌するためのものである。本実施形態では、図1および図2に示すように、2本の回転軸3,3を有しており、これら回転軸3,3が平行に並列された状態で融雪槽2内に回転自在に支持されている。また、攪拌羽根群4は、図2および図6に示すように、各回転軸3,3の軸方向に沿って螺旋状に突設された複数枚の羽根41から構成されている。
【0021】
本実施形態において、攪拌羽根群4の各羽根41は、平板状の鋼材によって略長方形状に形成されている。そして、各攪拌羽根群4は、図1および図6に示すように、各回転軸3を回転させた際に、隣り合う回転軸3に設けられた各攪拌羽根群4同士が、互いに羽根41と羽根41との隙間を通過し合うように配置されている。また、本実施形態において、攪拌羽根群4の各羽根41は、雪を回転軸3の略中央位置に移動させるために前記回転軸3の軸線に対して約45°傾斜されて配置されている。
【0022】
また、本実施形態において、各回転軸3は、図2に示すように、融雪槽2内に貯留される水に沈められるようにするため、水面よりもわずかに低い位置で支持されている。このような高さ位置に設定することで、攪拌羽根群4が回転されると、水面に浮かぶ雪塊を水面上および水面下の双方において破砕し、融雪効率が向上させられる。
【0023】
なお、本実施形態では、2本の回転軸3を備えた構成について説明したが、この構成に限定されるものではなく、3本以上の回転軸3が水平方向、上下方向または斜め方向に隣接し、並列支持されていてもよい。また、攪拌羽根群4の形状・向き・配置は、上記構成に限定されるものではなく、各回転軸3を回転させた際、各攪拌羽根群4同士が、互いに羽根41と羽根41との隙間を通過し合って雪塊を破砕しうるように配置されていれば、適宜変更することができる。
【0024】
回転駆動手段5は、各回転軸3を回転駆動するためのものである。本実施形態において、回転駆動手段5は、図1および図2に示すように、融雪槽2の上部に載置されたギアモーター51と、このギアモーター51の回転駆動力を各回転軸3に伝達するチェーン52とを有している。本実施形態では、ギアモーター51の出力軸と、一方の回転軸3の一端部に設けられたスプロケット53との間にチェーン52が巻回されている。また、一方の回転軸3の他端部に設けられたスプロケット53と、他方の回転軸3と噛合する補助ギア54との間にチェーン52が巻回されており、各回転軸3が互いに逆方向に連動して回転するようになっている。
【0025】
また、本実施形態において、回転駆動手段5を構成するギアモーター51は、正逆回転可能に構成されている。そして、各回転軸3の回転方向をランダムに切換制御することで、雪塊の付着や偏りを効果的に防止し、融雪効率の向上を図っている。なお、回転駆動手段5の構成は、上記構成に限定されるものではなく、各回転軸3を回転駆動するものであれば、適宜変更することができる。
【0026】
蒸気供給手段6は、融雪槽2内に蒸気を供給するためのものである。本実施形態において、蒸気供給手段6は、図1から図3に示すように、融雪槽2内の底部に配管された複数本の蒸気パイプ61と、これら蒸気パイプ61に接続された蒸気ボイラ62とを有している。各蒸気パイプ61には、複数個の噴射孔(図示せず)が形成されており、蒸気ボイラ62から供給された高圧の蒸気を噴射するようになっている。
【0027】
なお、本実施形態では、蒸気の噴射音を低減するため、および蒸気の潜熱を有効に利用するため、各蒸気パイプ61は、融雪槽2内に貯留される水の水面下に配置されている。しかも攪拌羽根群4によって雪が沈められる供給先である融雪槽2の底部に配置されていることが望ましい。但し、騒音が問題にならない場所等では、必ずしも蒸気パイプ61を水面下に配置しなくてもよい。また、本実施形態では、融雪効率を向上するために高圧の蒸気を供給しているが、ジャグジー施設等で使用されている高圧の気泡等を利用してもよい。
【0028】
高圧水噴射手段7は、投入された雪に高圧水を噴射するためのものである。本実施形態において、高圧水噴射手段7は、図1,図2および図4に示すように、回転軸3の上方に配管された噴射パイプ71と、この噴射パイプ71に接続された高圧水ポンプ72とを有している。本実施形態において、噴射パイプ71は、回転軸3の略中央部に対応する位置に噴射孔(図示せず)を有しており、回転軸3の略中央位置に目掛けて高圧水を噴射するようになっている。
【0029】
雪投入用傾斜板8は、融雪槽2内に雪を徐々に投入するためのものである。本実施形態において、雪投入用傾斜板8は、図1および図2に示すように、融雪槽2の上端部から回転軸3に向けて下方に傾斜されている。
【0030】
滑流手段9は、雪投入用傾斜板8の上端側から散水し、投入された雪を滑流させるものである。本実施形態において、滑流手段9は、図1,図2および図4に示すように、雪投入用傾斜板8の上端部に配管された散水パイプ91と、この散水パイプ91に接続された散水ポンプ92とを有している。本実施形態において、散水パイプ91は、複数個の散水孔(図示せず)を有しており、雪投入用傾斜板8に投入された雪の上方から散水するようになっている。
【0031】
循環手段10は、融雪槽2内の水を循環させるためのものである。本実施形態において、循環手段10は、図1および図3に示すように、融雪槽2内に設けられた循環パイプ101と、融雪水の異物等をろ過するストレーナ102とを有している。そして、循環パイプ101から取り込まれた融雪水は、蒸気ボイラ62、高圧水ポンプ72および散水ポンプ92に給水され、循環されるようになっている。なお、ストレーナ102は、蒸気ボイラ62等で使用可能な水質基準を満たすために、油分や煤煙を処理可能に構成されている。
【0032】
排水手段11は、融雪槽2内の水を排水するためのものである。本実施形態において、排水手段11は、図1,図2および図4に示すように、融雪槽2内に設けられた排水ポンプ111と、この排水ポンプ111に接続された排水パイプ112とを有している。排水ポンプ111は、融雪槽2内で所定の高さ位置に設けられ、融雪槽2内を所定の水位に保持するようになっている。また、排水パイプ112には、ストレーナ(図示せず)が接続されており、異物等を濾過して除去した後、排水するようになっている。
【0033】
なお、本実施形態では、融雪効率を向上するため、蒸気供給手段6および高圧水噴射手段7の双方を有しているが、十分な融雪効果が得られるのであれば、いずれか一方のみを有する構成であってもよい。
【0034】
また、本実施形態では、融雪水を循環させて再利用するとともに、余分な融雪水は排水しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、融雪槽2の側面に開口を形成し、余分な水をオーバーフローさせるようにしてもよい。
【0035】
つぎに、以上の構成を備えた本実施形態の攪拌式融雪装置1による作用について説明する。
【0036】
本実施形態の攪拌式融雪装置1を用いて雪を融かす場合、まず、吊りフック21,21にワイヤーを通して重機等で持ち上げ、トラック等に搭載する。これにより、攪拌式融雪装置1を所望の場所に移動させて融雪作業が可能となり、雪を運搬する必要がなくなる。
【0037】
つぎに、融雪槽2内に所定の水位まで水を貯留させた後、ホイールローダー等で雪投入用傾斜板8上に雪を投入する。このとき、本実施形態では、攪拌式融雪装置1が、シンプルでコンパクトに構成されているため、全高が低く抑えられている。このため、雪を投入する際の労力が軽減されるとともに、作業時間が短縮化する。
【0038】
つづいて、雪投入用傾斜板8上に投入された雪は、滑流手段9によって上方から散水される水によって、雪投入用傾斜板8に沿って徐々に回転軸3側へと滑りながら流れ落ちる。これにより、回転軸3および攪拌羽根群4上に直接雪を投入する場合と比較して、融雪槽2内に貯留されている水を雪が一気に吸収し固まってしまうのを防止する。
【0039】
つぎに、各回転軸3に設けられた攪拌羽根群4が、回転駆動手段5によって回転駆動され、投入された雪を破砕しながら攪拌する。このとき、融雪槽2内では、蒸気供給手段6から供給された高圧蒸気の凝縮伝熱により、蒸気中の潜熱が一瞬で放出されるため、短時間で雪が融解する。また、本実施形態では、水面下に配置された蒸気供給手段6が、蒸気の噴射音を低減するとともに、蒸気の潜熱を大気中に放出してしまうことがない。
【0040】
また、本実施形態では、攪拌羽根群4同士が、互いに羽根41と羽根41との隙間を通過し、隣り合う回転軸3に付着した雪を掻き落とす。これにより、各回転軸3に付着する雪が肥大化するのを防止し、融雪効率の低下やギアモーター51への過負荷を防止する。
【0041】
さらに、本実施形態では、攪拌羽根群4の各羽根41が、投入された雪を回転軸3の略中央位置に移動させるとともに、その移動された雪に対し、高圧水噴射手段7が高圧の水を噴射する。これにより、噴射する水の温度が低くても、水の衝撃で雪が破砕されながら融解する。また、本実施形態では、高圧水の噴射範囲が回転軸3の略中央位置に絞られるため、高圧水ポンプ72のポンプサイズや消費電力量が低減される。
【0042】
融雪槽2内では、循環手段10および排水手段11が、融雪槽2内に貯留される融雪水を所定の水位に調整する。このため、水位が高くなり過ぎて、攪拌羽根群4が水没してしまうことがない。このため、攪拌羽根群4による雪の破砕作用が低下するのを防止し、一定の融雪効率を維持する。また、回転軸3を回転させる負荷を抑えることができる。
【0043】
また、循環手段10は、融雪水に含まれる異物等をストレーナ102で濾過した後、蒸気ボイラ62、高圧水ポンプ72および散水ポンプ92へ循環させる。このため、水道施設のない場所等でも使用することができ、ランニングコストも低減される。
【0044】
また、本実施形態では、回転駆動手段5が、各回転軸3の回転方向をランダムに切換制御する。このため、大きい雪塊が投入された場合でも、正逆方向に回転する攪拌羽根群4が、雪塊に対して多方向から衝突し、効果的に破砕する。
【0045】
以上のような本実施形態の攪拌式融雪装置1によれば、以下のような効果を奏する。
1.回転軸3に付着する雪が肥大化するのを防止し、融雪効率を向上することができる。
2.融雪したい現場に直接移動させて融雪することができ、雪の運搬作業のために何度もトラックで往復する必要がなくなり、コストや労働力を省けるとともに、深夜の運搬時の騒音や交通渋滞を無くすることができる。
3.蒸気の凝縮伝熱を利用して迅速に融雪するとともに、騒音を低減することができる。
4.融雪槽2に投入された雪が固化するのを抑制することができる。
5.高圧水を噴射して融雪効率を向上するとともに、高圧水の噴射に必要なポンプサイズや消費電力量を低減することができる。
6.大きい雪塊であっても効果的に破砕し、融雪処理を滞りなく進めることができる。
7.融雪水を再利用してランニングコストを低減し、水道施設がない場所でも使用することができる。
【0046】
なお、本発明に係る攪拌式融雪装置1は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0047】
例えば、上述した本実施形態では、吊りフック21,21で吊り上げてトラック等に載置して移動するタイプの攪拌式融雪装置1について説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、大型車両に攪拌式融雪装置1を一体化させて搭載し、融雪車として移動可能に構成してもよい。また、攪拌式融雪装置1をフォークリフトで持ち上げて、所望の場所に設置するようにしてもよい。さらに、攪拌式融雪装置1をトレーラーに積載し、牽引車によって移動するようにしてもよい。すなわち、攪拌式融雪装置1は、所定の移動手段に一体または別体に搭載され、所望の場所に移動可能に構成されていればよい。
【0048】
また、上述した本実施形態では、攪拌羽根群4の各羽根41が、単なる平板状に形成されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、各羽根41に貫通孔42を形成すれば、融雪水が各貫通孔42を通水し、攪拌時の水の抵抗を低減しうるものと考えられる。
【0049】
さらに、上述した本実施形態のように、融雪水を循環させて再利用する場合、装置内に砂利等が蓄積することが想定される。そこで、例えば、配管の所定位置に砂利を溜めておくための貯留室を設けてもよい。この構成によれば、融雪水に含まれる砂利等は、配管内を循環する途中で貯留室に溜められる。したがって、定期的に貯留室から砂利を取り除くことで、装置内に砂利が貯留し故障してしまうのを未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 攪拌式融雪装置
2 融雪槽
3 回転軸
4 攪拌羽根群
5 回転駆動手段
6 蒸気供給手段
7 高圧水噴射手段
8 雪投入用傾斜板
9 滑流手段
10 循環手段
11 排水手段
21 吊りフック
41 羽根
42 貫通孔
51 ギアモーター
52 チェーン
53 スプロケット
54 補助ギア
61 蒸気パイプ
62 蒸気ボイラ
71 噴射パイプ
72 高圧水ポンプ
91 散水パイプ
92 散水ポンプ
101 循環パイプ
102 ストレーナ
111 排水ポンプ
112 排水パイプ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の水位まで貯水可能な融雪槽と、この融雪槽内に回転自在に並列支持された複数本の回転軸と、これら各回転軸の軸方向に沿って突設されている複数枚の羽根からなる攪拌羽根群と、前記各回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記融雪槽内に蒸気を供給する蒸気供給手段および/または前記融雪槽内に高圧水を噴射する高圧水噴射手段とを有しているとともに、
前記各回転軸を回転させた際に、隣り合う前記回転軸に設けられた各攪拌羽根群同士が、互いに羽根と羽根との隙間を通過し合うように配置されている攪拌式融雪装置。
【請求項2】
前記回転軸に向けて下方に傾斜された雪投入用傾斜板と、この雪投入用傾斜板の上端側から散水して雪を滑流させる滑流手段とを有している請求項1に記載の攪拌式融雪装置。
【請求項3】
前記攪拌羽根群の各羽根は、雪を前記回転軸の略中央位置に移動させる方向に傾斜配置されており、前記高圧水噴射手段は、前記回転軸の略中央位置に高圧水を噴射する請求項1または請求項2に記載の攪拌式融雪装置。
【請求項4】
前記蒸気供給手段は、前記融雪槽内に貯留される水の水面下に配置されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の攪拌式融雪装置。
【請求項5】
前記回転駆動手段は、前記各回転軸の回転方向をランダムに切換制御する請求項1から請求項4のいずれかに記載の攪拌式融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−26138(P2012−26138A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164792(P2010−164792)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(510201045)有限会社アシスト (1)
【Fターム(参考)】