説明

支承装置

【課題】鉛直方向と水平方向の荷重の支持特性と、鉛直面内における回転追従性に優れ且つ高さ調整を行い得る支承装置を提供する。
【解決手段】支承装置1は、上部構造体に固定する上沓2と、下部構造体に固定する下沓3と、これら上沓と下沓との間に弾性体を介在させ、更に、これら上沓2と下沓3との間に弾性体の無い充填空間15を設けてその内部に充填材を充填し得るように構成される。充填材としては、不凍性、非圧縮性、高粘性等を有する流体を選択し得、製造段階或いは施工段階において充填空間15に充填することが可能であり、この充填材の充填量により当該支承装置の高さを調整することが出来るように構成される。また、上沓2と下沓3には、互いに対向する凸部及び/又は凹部と凹部及び/又は凸部を設けて、それぞれの凸部と凹部の高さ方向において重複する高さ位置で互いに嵌合配置させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建築物や橋梁等の各種構造物を支承する支承装置に関する。
【背景技術】
【0002】
元来、建築物や橋梁等の構造物の支承装置には、大別して、水平方向の荷重を支承する水平荷重支承機能、鉛直方向の荷重を支承する鉛直荷重支承機能、鉛直面内における回転荷重を支承する鉛直回転支承機能等が求められる。特に、橋梁用支承装置にあっては、平成7年の大震災以来、ゴムを主たる構成要素としたゴム支承装置が求められるようになった。中でも鉛直荷重支持性能があって、水平力分散性能の高い積層ゴム支承装置は、広範に使用されるようになった。
【0003】
この積層ゴム支承装置は、例えば特許文献1に記載されているように、ゴム板と鉄板を交互に積層し、これらが加硫接着によって相互に接着されて構成され、その上部が橋梁の橋桁等の上部構造物に固定され、その下部が橋脚等の下部構造物に固定されて設置されている。
【0004】
しかしながら積層ゴム支承装置にあっては、構造上、積層構造を採るため、必然的に所要厚さが大きくなって嵩張る上、高荷重を支持させるには広面積化する必要があり、特に長大橋向けには大型化する欠点がある。従って、性能要求上、支承装置が大型化してしまった場合には、下部構造物である橋脚や橋台の上面の面積がより大きく要求されることになり、橋梁全体として高コスト化してしまうという欠点がある。
【0005】
また、大型の支承装置が求められる場合であって、新設でない場合には、既存の支承装置が設置されていることから設置スペースが限定されるために支承装置の大きさが特に問題となり、高さが低く面積が狭い小型の支承装置でなければ交換設置出来ないという不具合があった。
【0006】
まして近年、建築物や橋梁等の構造物の大型化や予想される地震規模の大型化に伴い、支承装置に求められる機能や性能も高度化してきており、積層ゴム支承で対応しようとした場合、大型化してしまうことは避けられない。
【0007】
この様な背景から先述のような鉛直高荷重支持性能の向上に伴う大型化という積層ゴム支承装置の問題の改善を図ったものとして、例えば特許文献2に記載された機能分離型の固定支承としての弾性支承装置が提案されている。この弾性支承装置は、積層ゴム支承装置の持つ水平力分散機能は持たず、この機能を別の支承装置に持たせ、鉛直荷重支持機能を高度化するものであって、下面に環状溝が形成された上沓と、上面に環状溝が形成された下沓とが互いの環状溝に隙間無く固着されて介在する弾性層を介して対向配置され、上沓と下沓の中央に設けられた貫通孔に剪断変形を拘束する芯状の突起が配設されて構成される。
【0008】
このように構成される上述の如くの弾性支承装置は、弾性層が厚くなく、弾性層と交互に積層されるような鋼板層が存在せず、支承装置としても積層ゴム支承装置に比して高さが低く、全体としてコンパクトに設定され、支承装置の大型化問題に対する解決策としての提案が成されている。
【0009】
ところで、積層ゴム支承装置を含め、ゴム等の弾性体を用いた弾性支承装置の場合、特に橋梁用支承装置の場合には、鋼製支承装置と異なり、鉛直可撓性能があることから橋軸直角方向における鉛直面内での回転は、回転性能によってなされるのではなく、鉛直可撓性によって達せられ、橋軸方向における鉛直面内における回転は鉛直方向の圧縮撓みによってなされることになる。
【0010】
しかしながら、圧縮撓み性能、即ち鉛直可撓性能を向上させるには鉛直弾性を改善する必要が生じるが、この改善を図ろうとすると鉛直荷重支持性能が低下するという二律背反が生じる。さらに道路橋示方書によれば、ゴム支承においては剪断変形は許容されるが構成ゴムに引張力が作用することは許容されていないことから積層ゴム支承装置において鉛直面内における回転性能を持たせることは困難であった。況してや特許文献2の弾性支承装置にあっては、弾性層の厚みが薄く、鉛直可撓性が低く、圧縮撓みが殆どとれないことから橋軸直角方向に対する鉛直回転性能と、橋軸方向に対する鉛直回転性能のいずれも良好な回転性能を得ることが出来なかった。
【0011】
更に、特許文献2の弾性支承装置では、水平方向の剪断変形を防止する芯状の突起が設けられ、水平荷重を弾性的に支持することは出来なかった。
【0012】
他方、先述のような鉛直高荷重支持性能の向上に伴う大型化という積層ゴム支承装置の問題の改善を図りつつ、鉛直回転性能の向上を図った弾性支承装置としては、特許文献3に記載された機能分離型の固定支承としての弾性支承装置が提案されている。この弾性支承装置は、積層ゴム支承装置の持つ水平力分散機能は持たないものの、特許文献2の弾性支承装置が有さない水平荷重支持機能を持たせながら、鉛直荷重支持機能を高度化するものであって、上沓と下沓がそれぞれ互いに嵌合する同心円状の複数の円筒部と中心に位置する円柱部とからなる凸部と凹部とを有して構成される。
【0013】
そして、嵌合状態の直径鉛直断面視において、これら互いに嵌合する凸部と凹部は、それぞれ断面矩形状をなし、それらの隣接する側面同士と互いに対向する底面と頂面との間にゴム等の一様な弾性体が実質的に隙間無く充填され、連続するゴム層が挟持されて結合された構成になっている。
【0014】
この特許文献3の如くの弾性支承装置は、それら互いに隣接する凸部の側面と凹部の側面とこれらの間のゴム層とで水平荷重支持部が構成され、凸部の頂面と凹部の底面とこれらの間のゴム層とで鉛直荷重支持部が構成されている。
【0015】
また、特許文献4に記載された支承装置も、特許文献3の弾性支承装置と同様に上沓と下沓が互いに嵌合する多条の円筒状の構成を採り、上沓と下沓における各凸部と凹部とを構成する円筒部や円柱部は、それぞれ鉛直断面形状における両側面間距離が端面をなす頂面に向かって接近して狭まり、両側面が傾斜してなる断面台形状に形成されて互いに嵌合され、これらの凹部と凸部との間にゴム等の一様な弾性体が実質的に隙間無く充填されて構成されている。このような特許文献3及び4に記載された弾性支承装置によって、支承装置の小型化や軽量化が図られ、鉛直荷重と水平荷重の支持性能の向上がなされるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−181129号公報
【特許文献2】特許第4377429号公報
【特許文献3】特開2005−337002号公報
【特許文献4】特開2009−46944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述した特許文献3、4に記載された弾性支承装置によれば、機能分離型固定支承装置としては、広面積化したり、厚さを増したりと支承装置を大型化させることなく、水平方向及び鉛直方向における荷重支持性能を向上させることが出来る。しかしながら、例えば当該弾性支承装置を橋梁の橋桁と橋脚との間に配設して、これらの間の荷重伝達や荷重緩和を担わせた場合、ある程度の鉛直可撓性が得られることから橋軸直角方向に対する鉛直回転追従性能を多少改善することが出来るものの十分ではなく、橋軸方向に対する鉛直回転追従性能については不十分なものであった。
【0018】
また、特許文献3,4に記載された弾性支承装置では、上沓と下沓の互いに嵌合する凹部と凸部との間の側面間と頂部及び底部間とに一様な厚みのゴム層が装着されており、支承装置の高さとバネ定数がゴム層の厚みで設定されてしまうためバネ定数の調整が困難であるという欠点がある上、ゴム層の厚みが一定に規定されるために高さ調整を行うことが出来ず、施工現場によって微妙に異なる設置空間の高さに適合させることが出来ないという欠点がある。
【0019】
本発明は、これらのような実情に鑑みて、鉛直方向と水平方向の荷重の支持特性に優れ、鉛直面内での揺動に追従して振動を十分に吸収、分散出来て、鉛直面内における回転追随性能や回転力分散性能を向上させることが出来ると共に、高さ調整を行うことが出来るようにした支承装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の支承装置は、上沓と下沓とが弾性体を介して対向配置されて成る支承装置において、上沓と下沓との間には弾性体が無い空間が設けられ、この空間内に充填材が充填されることを特徴としている。この充填材の構成材料や充填量、充填位置、充填空間の形状等の設定により、支承装置のバネ定数や高さ、荷重支持性能、荷重減衰性能、鉛直面内における回転追従性能等々多用な機能や性能の調整を図ることが出来るようになる。
【0021】
また、上沓と下沓のいずれか一方、又は両方には、他方に向かって凸設又は凹設される一つ以上の凸部又は凹部を有することを特徴としている。一つ以上の凸部を設定した場合には、この凸部の先端や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定したり、或いは、一つ以上の凹部を設定した場合には、この凹部の内部や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定することが出来る。これらの設定によれば、特に鉛直荷重の支承性能の調整が広範に出来るようになると共に、例えば、充填材を充填する空間の適宜の水平断面を一定としておけば充填量に応じて支承装置の高さを微調整することが出来るようになる。
【0022】
凸部又は凹部は、環状に形成されることを特徴としている。環状の凸部又は凹部を設けた場合には、環状を成す凸部又は凹部の半径方向における内側部分に弾性体や充填材を略密閉状態で抱持することが出来、より一層の高荷重を支承することが可能となる。
【0023】
凸部又は凹部は、非環状に形成されることを特徴としている。この非環状に形成された凸部又は凹部の設定位置は特に限定されるものではないが、環状の凸部又は凹部の半径方向の内側に非環状の凸部又は凹部を設定した場合には、外周に位置する環状の凸部又は凹部の内側面と内側に位置する非環状の凸部又は凹部の外側面とで囲繞された環状領域が作出されるので、この環状領域内に弾性体や充填材を設定することが出来るようになる。
【0024】
凸部又は凹部は、複数形成されることを特徴としている。凸部又は凹部は、上沓と下沓のそれぞれに一つ以上設定することも出来、特に上沓と下沓の一方又は両方に複数の凸部又は凹部を設定することが出来、何等限定されない。しかしながら複雑な設定にすると設計が困難になったり、製造コストが高額化する虞がある。そこで、好ましくは、上沓に設定する凸部又は凹部の設定数量と、下沓に設定する凸部又は凹部の設定数量を、nを自然数として、n:n±1の範囲程度とする。
【0025】
凸部又は凹部は、同心状に複数形成されることを特徴としている。凸部又は凹部を同心状に複数設定した場合には、隣り合う凸部又は凹部の間には、環状領域が作出されるので環状領域を一つ以上、好ましくは凸部又は凹部を三つ以上同心状に形成し、環状領域を二つ以上設定する。こうすることによって、それぞれの環状領域内に設定した弾性体や充填材の密閉性を高めることが出来、より一層の高荷重を支承することが出来るようになる。
【0026】
上沓の凹部及び/又は凸部と、下沓の凸部及び/又は凹部とは、互いに嵌合位置に配設されることを特徴としている。上沓の凹部又は凸部と、下沓の凸部又は凹部とを互いに嵌合位置とし、高さ方向において凹部と凸部が重複する側面を有するように設定した場合には、上沓と下沓との間での相対的な水平変位を一定範囲内に拘束し得るようになる。従って、隣り合って位置して高さ方向において重複する凹部と凸部の側面同士の間に、弾性体や充填材を設定した場合には、水平方向における荷重を分散、吸収しながら水平変位を一定範囲内に拘束することが可能となる。
【0027】
凸部又は凹部の側面は、上沓と下沓とを結ぶ直線距離方向からの傾斜角が、基端部を中心に外方に向かって−90°<θ<90°の範囲に設定されることを特徴としている。例えば、一つの凸部の両側の側面の傾斜角がそれぞれ0°に設定された場合には、この凸部の断面形状は矩形状になる。或いは、一つの凸部の両側の側面の傾斜角がそれぞれ30°に設定された場合には、この凸部の断面形状は基端部を一頂点とするような略逆三角形状になる。これと逆に、一つの凸部の両側の側面の傾斜角がそれぞれ−30°に設定された場合には、この凸部の断面形状は基端部を一辺又は底辺とするような略三角形状又は略台形状になる。また、一つの凸部の一方の側面の傾斜角が−30°に設定され、他方の側面の傾斜角が30°に設定された場合には、この凸部の断面形状は略平行四辺形状のように出来る。
【0028】
凸部又は凹部の断面形状が、略三角形、略矩形、略台形、略平行四辺形のうちから選択される少なくとも一つ以上の形状を成すものであることを特徴としている。勿論、凸部又は凹部の断面形状は特に限定されるものではなく、これら以外の断面形状、例えば略円形又は半円形等の円弧形に設定することなども出来る。
【0029】
凸部又は凹部の頂部又は底部には、頂面又は底面が形成されることを特徴としている。凸部又は凹部の頂部又は底部に、頂面又は底面を設けた場合には、この頂面又は底面に弾性体や充填材を設定することが可能となる。
【0030】
頂面又は底面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とされることを特徴としている。頂面又は底面を、平面として、例えば弾性体を配設した場合には、この頂面又は底面が鉛直荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。また、この頂面又は底面を、曲面とし例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該頂面又は底面を凹凸面とし例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該頂面又は底面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該頂面又は底面から剥離することを抑制することが出来る。
【0031】
凸部又は凹部の側面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とされることを特徴としている。当該側面を、平面として、例えば弾性体を配設した場合には、この側面が水平荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。また、この側面を、曲面とし例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重や水平荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該側面を凹凸面とし例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該側面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該側面から剥離することを抑制することが出来る。
【0032】
充填材は、流体であることを特徴としている。勿論、必ずしも流体である必要はなく、例えば、充填時には流体であるが適宜時間が経過した後に固化するものであってもよい。また、一つの空間内に充填される充填材の種類は、一種類であっても或いは複数種類であってもよい。例えば、二液硬化性の流体をそれぞれ適宜量充填して硬化させて適宜の弾性係数を発現する一固体化させてもよく、勿論、予め二液を混合しておいてから充填することも出来る。また、充填材としては、流体の内部に固体や粒体、気体を混入させたものであってもよい。
【0033】
充填材は、気体、液体、ゲル状体から選択される一つ以上の流体から構成されることを特徴としている。気体は、圧縮率が大きいことから高荷重支持には不向きであるが、比較的低荷重を支持する場合には例えば空気バネのような作用をさせることが可能であり、また加圧状態で充填してもよい。また、不連続気泡のように気泡を内包する流体を充填して置きながら硬化させて、発泡体の如くの充填材とすることも可能である。また例えば、液体やスラリー状又はゲル状の非硬化性の充填材を充填した場合、充填空間の変形に自在に対応しつつ、荷重を支持することが可能であり、また寒冷地等の低温下においても凍結しない不凍流体を選択することが可能である。
【0034】
充填材は、非圧縮性の流体であることを特徴としている。充填材として非圧縮性の流体を採用した場合には、充填空間の変形に自在に対応しつつも高荷重を支持することが可能となる。
【0035】
充填材は、高粘性流体で有ることを特徴としている。液体やスラリー状又はゲル状の非硬化性で高粘性の充填材を充填した場合、充填空間を囲繞する弾性体が変形した際には、当該空間内の高粘性の充填材が粘性抵抗によって変形エネルギーを減衰させる効果を期待出来る。
【0036】
充填材は、異種又は同種の弾性体であることを特徴とする。勿論、充填材が弾性体となるためには、充填時には流動性を示すものである必要がある。例えば、弾性体が熱可塑性を示すものであれば、これを充填材として使用する場合には、当該弾性体を適宜温度に加熱して流動可能な状態にしておきながら充填する。また例えば弾性体が、熱硬化性を示すものであれば、硬化前の流動可能な状態の時点で充填する。
【0037】
充填材は、予め充填されることを特徴としている。充填材の充填は、予めの設計通り、また手順通りに製造段階や出荷前に充填することが可能であり、これによれば、製造上高効率化することが出来る。
【0038】
充填材は、後から充填されることを特徴としている。充填材の充填は、出荷後、例えば施工現場において、施工空間の高さ等の大きさに合わせて調整しながら充填することが可能であり、これによれば、従来施工上における微調整が困難であった問題を解消することが出来る。
【0039】
充填材の充填量によって、支承装置の厚み若しくは高さを調整することを特徴としている。充填空間に対する充填材の充填量の多少によって支承装置の厚み若しくは高さを調整することによれば、施工現場での施工空間により精密に適合させることが可能となる。
【0040】
上沓と下沓には、互いを係合させて乖離することを防止する上揚防止手段が設けられることを特徴としている。上揚防止手段は、支承装置の外側に設定することの他、支承装置の内部に設定することが可能であり、外側設置の場合には破損や劣化状態を外部から視認することが可能となり、内部設置の場合には上揚防止手段を含む支承装置全体をコンパクトに設定することが可能となる。
【0041】
上揚防止手段は、上沓及び下沓の一方側に設けられる係合部と、他方側に設けられる係合受部とを有し、これら係合部と係合受部が互いに係合して上沓と下沓とが乖離することを防止しつつ、上沓と下沓との鉛直面内における相対回転を可能とするように構成されることを特徴としている。上揚防止手段を設定する場合には、支承装置の鉛直面内における回転追従に伴う上沓と下沓との相対変位を阻害しないように、例えば係合部と係合受部との間と、上沓と下沓との間等の各部間が、相対回転中心を中心として1/150ラジアン相対回転しても互いが当接しない程度に所謂遊びを設定する構成することが重要である。
【0042】
上揚防止手段は、係合部又は係合受部のいずれか一方、又は両方が弾性体を介して、被支承体からの鉛直荷重を受け支えるように構成されることを特徴としている。上揚防止手段が弾性体を含んで構成され、支承装置に掛かる荷重をこの弾性体を介して上揚防止手段でさえも支持するように構成された場合には、従来、この種の上揚防止手段の配設領域では鉛直荷重を支持出来ず、その分、同じ支承面積の場合、荷重支持性能が劣るものとなっていた点が改善され、より高荷重を支承することが出来るようになる。
【0043】
上沓の上部又は下沓の下部には、摺滑板が配設されることを特徴としている。当該支承装置において、上沓又は下沓の少なくとも一方の端部に摺滑板が配設され、滑り支承面が設定された場合には、当該支承装置を所謂機能分離型可動支承装置としても使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0044】
本発明を適用して成る支承装置によれば、所望形状に形成される上沓と、この上沓形状に対応して所望形状に形成される下沓と、これら上沓と下沓の間の適宜部位に配設される弾性体と、当該上沓と下沓との間の適宜部位に適宜容量で設定される充填空間、即ち充填材を充填するための空間とを備えた構成としたことにより、鉛直荷重の支持性能や非支承体の鉛直面内における回転に対する追従性能、支承装置の厚み、バネ定数等を微調整又は大幅調整することが可能となる。
【0045】
特に、上沓の下面に同心状の複数の断面台形状の環状凸部を設け、下沓の上面に上沓の環状凸部と同心の凸部及び複数の断面台形状の環状凸部を設けて互いを対向させて、上沓の凸部と下沓の凸部とが高さ方向において重複する領域を以て嵌合する位置に設定し、これら上沓の凸部の側面とこれに隣り合う下沓の凸部の側面との間に弾性体を配設して弾性体と上沓及び下沓とを加硫接着により接合させ、凸部の頂面と、これに対向し、隣り合う凸部同士の間の凹部の底面との間に充填空間を設定してこの空間の内部に、非圧縮性の高粘性流体である充填材を充填するように支承装置を構成した場合には、鉛直荷重は各凸部側面を成す斜面で法線方向と接線方向に荷重を弾性的に且つ分散的に支持しつつ、非圧縮性流体から成る充填材を介して鉛直対向する頂面と凹面とでも鉛直荷重を支持することが可能で、従ってコンパクトな支承装置としながら鉛直方向においても高荷重を支承することが出来ると共に、鉛直方向の振動や揺動を十分に吸収、分散可能となる。
【0046】
その上、上記構成の支承装置によれば、弾性体を介して位置する上沓の凸部と下沓の凸部との高さ方向高における重複部分によって、弾性的に水平荷重を弾性的に支持することが可能であり、更に、上沓と下沓の相対的な水平変位を一定範囲内、例えば上沓の凸部の側面とこれに隣接する下沓の凸部の側面との間に配設される弾性体の限界圧縮撓み量の範囲内に制限することが可能となる。
【0047】
また、上記構成の支承装置によれば、凸部の頂面と、これに対向し、隣り合う凸部同士の間の凹部の底面との間に充填空間を設定してこの空間の内部に、非圧縮性の高粘性流体である充填材を充填したことにより、高面圧支持を可能としながらも弾性体には無い自由度での変形を可能としていることから非支承体の鉛直面内における回転に対する追従性、即ち回転追従性が良好な支承装置を得ることが可能であって、鉛直荷重支持性能の向上と鉛直回転追従性能の向上といった二律背反的な両性能の向上を、同時に達成することが可能となる。
【0048】
また、上記構成の支承装置によれば、充填空間に対する充填材の充填によって、支承装置の高さやバネ定数の設定等が可能となり、施工空間の高さ等の大きさに適合させて微調整したり、被支承体の静的或いは動的な荷重や地盤の性質等に合わせて支承装置のバネ定数を調節することが可能となり、製造性を落とさずに施工性や汎用性を向上させることが可能となる。
【0049】
更に、上記構成の支承装置に、弾性体を介して鉛直荷重を支持可能な上揚防止手段を内蔵した場合には、支承装置全体のサイズを同等としながらも鉛直荷重を支承する有効面積を殆ど低下させることなく上揚力による上沓と下沓の乖離を防止することが出来る。
【0050】
また、本発明の支承装置は、積層ゴム支承装置と比較して、小型化を達成出来る上に、支承装置の交換装着が容易で装着の高精度化を達成出来、施工性も良好である。しかも、所要製造時間の短縮が可能であり、量産性と低コスト化を促進出来る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第一実施形態による支承装置を示すものであり、(a)は中央縦断面図、(b)は平面図である。
【図2】上沓の凹凸部を示す平面図である。
【図3】下沓の凹凸部を示す平面図である。
【図4】図1(a)に示す支承装置のA方向側面図である。
【図5】図1(a)に示す支承装置の拡大図である。
【図6】凸部と凹部の間に挟持されたゴム層を説明する部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第二実施形態による支承装置の縦断面図であり、(a)は拡径係止部の上側に更なる弾性体がない例、(b)は更なる弾性体がある例を示す。
【図8】図7(a)に示す支承装置の平面図である。
【図9】本発明の変形例による支承装置の凹部の底部及び凸部の頂部の間隙を示す部分拡大断面図である。
【図10】本発明の支承装置の凹部と凸部を平行四辺形にした変形例を示す図である。
【図11】本発明の支承装置の凹部と凸部の更なる変形例を示す図である。
【図12】支承装置に摺滑板を設けた支承装置の断面図である。
【図13】(a)は凹部と凸部を矩形状に設けた例を示す平面図であり、(b)は凹部と凸部を非環状に設けた例を示す平面図である。
【図14】弾性層に設けられる間隙の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に本発明の実施形態の支承装置の構成を詳細に説明する。本発明の支承装置は、建築物や橋梁等の構造物を支承するための支承装置であって、上部構造体と下部構造体、例えば橋桁と橋脚との間に配設して使用するものであり、水平荷重や鉛直荷重、回転荷重等の各種の荷重を支えると共に、荷重伝達を果たしながら地震や風、或いは動的又は静的な交通荷重等による揺動や振動、応力を吸収分散しつつ、支承するものである。
【0053】
支承装置は、少なくとも、上部構造体に直接的又は間接的に固定される上沓と、下部構造体に直接又は間接的に固定される下沓と、これら上沓と下沓の間に介在する弾性体と、これら上沓と下沓の間に設定される充填空間に充填される充填材とを備えて構成される。
【0054】
上部構造体に対する上沓の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて上沓を上部構造体に対して直接的に固定してもよく、或いは上沓よりも広面積の板状をなす上部プレートの如くの上部固定手段を介して上沓を上部構造体に対して間接的に固定することも出来る。また、上沓の上部に摺滑手段を配設して、上部構造体と支承装置とを相対変位可能に固定しても良い。この摺滑手段としては、例えば、PTFEの如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、上沓の上面に固定したり、或いは上部構造体や上部構造体に固定される取付手段側の下面に固定することによって構成することが可能である。
【0055】
同様に、下部構造体に対する下沓の固定手段は、例えばボルト、ナット等の締結手段を用いて下沓を下部構造体に対して直接的に固定してもよく、或いは下沓よりも広面積の板状をなす下部プレートの如くの下部固定手段を介して下沓を下部構造体に対して間接的に固定することも出来る。また、下沓の下部に摺滑手段を配設して、下部構造体と支承装置とを相対変位可能に固定しても良い。この摺滑手段としては、例えば、PTFEの如くの低摩擦係数の表面を有するプレート等を、下沓の下面に固定したり、或いは下部構造体や下部構造体に固定される取付手段側の上面に固定することによって構成することが可能である。このように本発明の支承装置において、上沓又は下沓の少なくとも一方の端部に摺滑板が配設され、滑り支承面が設定された場合には、本支承装置を所謂機能分離型可動支承としても使用することが可能となる。尚、上沓や下沓の直接的又は間接的な固定は、着脱可能な方法とするのが好ましく、ボルト、ナット等による締結はその一例である。
【0056】
上沓は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の鋼製素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組合せによって構成される材料によって構成することが出来る。適宜の素材から構成される上沓は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、或いは施工上、交換上有利である。尚、上沓は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することが出来る。
【0057】
上沓の下面側は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから成る面とすることが可能であるが、好ましくは、下沓に向かって凸設又は凹設される一つ以上の凸部又は凹部を形成する。一つ以上の凸部を設定した場合には、この凸部の先端や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定したり、或いは、一つ以上の凹部を設定した場合には、この凹部の内部や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定することが出来る。これらの設定によれば、特に鉛直荷重の支承性能の調整が広範に出来るようになると共に、例えば、充填材を充填する空間の適宜の水平断面を一定としておけば充填量に応じて支承装置の高さを微調整することが出来るようになる。二つ以上の凸部又は凹部を設定する場合には、互いを適宜の間隔を存して形成することが出来る。勿論、凸部同士の間隔は、無くても有っても好く、間隔を設定する場合には、隣接する凸部同士の間に作出される凹部には底部が作出される。
【0058】
特に、凸部又は凹部を環状に形成することが可能であり、環状の凸部又は凹部を設けた場合には、環状を成す凸部又は凹部の半径方向における内側部分に弾性体や充填材を略密閉状態で抱持することが出来、より一層の高荷重を支承することが可能となる。
【0059】
また、凸部又は凹部を非環状に形成することも可能であり、非環状に形成された凸部又は凹部の設定位置は特に限定されるものではないが、環状の凸部又は凹部の半径方向の内側に非環状の凸部又は凹部を設定した場合には、外周に位置する環状の凸部又は凹部の内側面と内側に位置する非環状の凸部又は凹部の外側面とで囲繞された環状領域が作出されるので、この環状領域内に弾性体や充填材を設定することが出来るようになる。
【0060】
そして、凸部又は凹部を複数形成することが可能であり、凸部又は凹部は、上沓と下沓のそれぞれに一つ以上設定することも出来、特に上沓と下沓の一方又は両方に複数の凸部又は凹部を設定することが出来、何等限定されない。しかしながら複雑な設定にすると設計が困難になったり、製造コストが高額化する虞がある。そこで、好ましくは、上沓に設定する凸部又は凹部の設定数量と、下沓に設定する凸部又は凹部の設定数量を、nを自然数として、n:n±1の範囲程度とする。
【0061】
より好ましくは、凸部又は凹部を環状に形成しつつ、同心状に複数形成することが出来る。凸部又は凹部を環状に形成しつつ、同心状に複数設定した場合には、隣り合う凸部又は凹部の間には、環状領域が作出されるので環状領域を一つ以上、好ましくは凸部又は凹部を三つ以上同心状に形成し、環状領域を二つ以上設定する。こうすることによって、それぞれの環状領域内に設定した弾性体や充填材の密閉性を高めることが出来、より一層の高荷重を支承することが出来るようになる。
【0062】
更に、上沓の凹部及び/又は凸部と、下沓の凸部及び/又は凹部とを、互いに嵌合位置に配設し、上沓の凹部又は凸部と、下沓の凸部又は凹部とを互いに嵌合させ、高さ方向において凹部と凸部が重複する側面を有するように設定することが好ましい。このように構成した場合には、上沓と下沓との間での相対的な水平変位を一定範囲内に拘束し得るようになる。従って、隣り合って位置して高さ方向において重複する凹部と凸部の側面同士の間に、弾性体や充填材を設定した場合には、水平方向における荷重を分散、吸収しながら水平変位を一定範囲内に拘束することが可能となる。
【0063】
また、凸部又は凹部の側面は、上沓と下沓とを結ぶ直線距離方向からの傾斜角を、基端部を中心に外方に向かって−90°<θ<90°の範囲に設定することが好ましい。例えば、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ0°に設定した場合には、この凸部の断面形状は矩形状となる。また、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は基端部を一頂点とするような略逆三角形状となる。これと逆に、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ−30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は基端部を一辺又は底辺とするような略三角形状又は略台形状となる。また、一つの凸部の一方の側面の傾斜角を−30°に設定し、他方の側面の傾斜角を30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は略平行四辺形状となる。従って、凸部又は凹部の断面形状は、略三角形、略矩形、略台形、略平行四辺形等のように設定可能であるが勿論、凸部又は凹部の断面形状は特に限定されるものではなく、これら以外の断面形状、例えば略円形又は半円形等の円弧形に設定することなども出来る。
【0064】
また、凸部又は凹部の頂部又は底部には、頂面又は底面を形成することが可能であり、凸部又は凹部の頂部又は底部に、頂面又は底面を設けた場合には、この頂面又は底面に弾性体や充填材を設定することが可能となる。そして、頂面又は底面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とすることが可能である。
【0065】
例えば、頂面又は底面を、平面として、この平面上に弾性体を配設した場合には、この頂面又は底面が鉛直荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。またこの頂面又は底面を、曲面とし、例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該頂面又は底面を凹凸面とし例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該頂面又は底面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該頂面又は底面から剥離することを抑制することが出来る。
【0066】
また、凸部又は凹部の側面を、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とすることが可能である。当該側面を、平面として、この平面に例えば弾性体を配設した場合には、この側面が水平荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。また、この側面を、曲面とし例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重や水平荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該側面を凹凸面とし例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該側面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該側面から剥離することを抑制することが出来る。
【0067】
下沓は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の鋼製素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材との組合せによって構成される材料によって構成することが出来る。適宜の素材から構成される下沓は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすることが製造上、或いは施工上、交換上有利である。尚、下沓は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することが出来る。
【0068】
下沓の上面側は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから成る面とすることが可能であるが、好ましくは、上沓に向かって凸設又は凹設される一つ以上の凸部又は凹部を形成する。一つ以上の凸部を設定した場合には、この凸部の先端や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定したり、或いは、一つ以上の凹部を設定した場合には、この凹部の内部や周囲に弾性体や充填材を充填する空間を設定することが出来る。これらの設定によれば、特に鉛直荷重の支承性能の調整が広範に出来るようになると共に、例えば、充填材を充填する空間の適宜の水平断面を一定としておけば充填量に応じて支承装置の高さを微調整することが出来るようになる。二つ以上の凸部又は凹部を設定する場合には、互いを適宜の間隔を存して形成することが出来る。勿論、凸部同士の間隔は、無くても有っても好く、間隔を設定する場合には、隣接する凸部同士の間に作出される凹部には底部が作出される。
【0069】
特に、下沓の凸部又は凹部も環状に形成することが可能であり、環状の凸部又は凹部を設けた場合には、環状を成す凸部又は凹部の半径方向における内側部分に弾性体や充填材を略密閉状態で抱持することが出来、より一層の高荷重を支承することが可能となる。
【0070】
また、下沓の凸部又は凹部を非環状に形成することも可能であり、非環状に形成された凸部又は凹部の設定位置は特に限定されるものではないが、環状の凸部又は凹部の半径方向の内側に非環状の凸部又は凹部を設定した場合には、外周に位置する環状の凸部又は凹部の内側面と内側に位置する非環状の凸部又は凹部の外側面とで囲繞された環状領域が作出されるので、この環状領域内に弾性体や充填材を設定することが出来るようになる。
【0071】
そして、下沓においても凸部又は凹部を複数形成することが可能であり、凸部又は凹部は、上沓と下沓のそれぞれに一つ以上設定することも出来、特に上沓と下沓の一方又は両方に複数の凸部又は凹部を設定することが出来、何等限定されない。しかしながら複雑な設定にすると設計が困難になったり、製造コストが高額化する虞がある。そこで、好ましくは、下沓に設定する凸部又は凹部の設定数量と、上沓に設定する凸部又は凹部の設定数量を、nを自然数として、n:n±1の範囲程度とする。
【0072】
より好ましくは、下沓の凸部又は凹部を環状に形成しつつ、同心状に複数形成する。下沓の凸部又は凹部を環状に形成しつつ、同心状に複数設定した場合には、隣り合う凸部又は凹部の間には、環状領域が作出されるので環状領域を一つ以上、好ましくは凸部又は凹部を三つ以上同心状に形成し、環状領域を二つ以上設定する。こうすることによって、それぞれの環状領域内に設定した弾性体や充填材の密閉性を高めることが出来、より一層の高荷重を支承することが出来るようになる。
【0073】
更に、下沓の凹部及び/又は凸部と、上沓の凸部及び/又は凹部とを、互いに嵌合位置に配設し、下沓の凹部又は凸部と、上沓の凸部又は凹部とを互いに嵌合させ、高さ方向において凹部と凸部が重複する側面を有するように設定することが好ましい。このように構成した場合には、下沓と上沓との間での相対的な水平変位を一定範囲内に拘束し得るようになる。従って、隣り合って位置して高さ方向において重複する凹部と凸部の側面同士の間に、弾性体や充填材を設定した場合には、水平方向における荷重を分散、吸収しながら水平変位を一定範囲内に拘束することが可能となる。
【0074】
また、下沓の凸部又は凹部の側面は、下沓と上沓とを結ぶ直線距離方向からの傾斜角を、基端部を中心に外方に向かって−90°<θ<90°の範囲に設定することが好ましい。例えば、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ0°に設定した場合には、この凸部の断面形状は矩形状となる。また、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は基端部を一頂点とするような略逆三角形状となる。これと逆に、一つの凸部の両側の側面の傾斜角をそれぞれ−30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は基端部を一辺又は底辺とするような略三角形状又は略台形状となる。また、一つの凸部の一方の側面の傾斜角を−30°に設定し、他方の側面の傾斜角を30°に設定した場合には、この凸部の断面形状は略平行四辺形状となる。従って、凸部又は凹部の断面形状は、略三角形、略矩形、略台形、略平行四辺形等のように設定可能であるが勿論、凸部又は凹部の断面形状は特に限定されるものではなく、これら以外の断面形状、例えば略円形又は半円形等の円弧形に設定することなども出来る。
【0075】
また、下沓の凸部又は凹部の頂部又は底部には、頂面又は底面を形成することが可能であり、凸部又は凹部の頂部又は底部に、頂面又は底面を設けた場合には、この頂面又は底面に弾性体や充填材を設定することが可能となる。そして、頂面又は底面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とすることが可能である。
【0076】
例えば、頂面又は底面を、平面として、この平面上に弾性体を配設した場合には、この頂面又は底面が鉛直荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。またこの頂面又は底面を、曲面とし例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該頂面又は底面を凹凸面とし、例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該頂面又は底面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該頂面又は底面から剥離することを抑制することが出来る。
【0077】
また、下沓の凸部又は凹部の側面を、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とすることが可能である。当該側面を、平面として、この平面に例えば弾性体を配設した場合には、この側面が水平荷重を弾性的に支承することが出来る有効な支承面となる。また、この側面を、曲面とし例えば弾性体を配設した場合には、鉛直荷重や水平荷重をこの曲面の各部の法線方向と面の接線方向とに分散させることが出来る。また、当該側面を凹凸面とし、例えば、この凹凸面を含む空間に流動性の充填材を充填した場合には、この空間を囲繞する周囲の弾性体の変形等に伴い充填材が凹凸面で抵抗を受けながら流動して変形のエネルギーを熱エネルギー等に変換させ、変形のエネルギーを減衰させる減衰効果を期待出来る。また、当該側面を、粗面とし例えば弾性体を配設して当該弾性体と粗面とを加硫接着させた場合には、接着面積を稼ぐことが出来、また微細な凹凸に弾性体が進入して、弾性体が応力集中や経年変化によって当該側面から剥離することを抑制することが出来る。
【0078】
弾性体は、上沓と下沓の間の所望の部位に、所望量配設される。この配設部位と配設量によって、鉛直荷重支持性能や水平荷重支持性能、並びに鉛直回転性能を調節することが出来る。勿論、弾性体として採用する材料によっても荷重支持性能や回転追従性などの設定を行うことが出来る。また、上沓と下沓の間に配設される弾性体は、接着していてもいなくてもどちらでもよいが、好ましくは加硫接着又は接着剤による接着等によって上沓と下沓とのそれぞれに対して接合し、応力集中や経年変化等によっても弾性体が乖離したり剥離して機能不全を生じさせないようにすることが必要である。勿論、上沓や下沓に対する弾性体の接着方法は特に限定されるものではない。
【0079】
弾性体の主たる構成素材となるエラストマとしては、天然ゴムや合成ゴム、熱可塑性エラストマや熱硬化性エラストマを用いることが出来、これらの中でも天然ゴムを主成分として使用することが好ましい。具体的なエラストマ成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化、塩素化等)、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、エポキシ化天然ゴム、trans−ポリイソプレン、ノルボルネン開環重合体(ポリノルボルネン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレン樹脂、イソプレンゴム等のゴムを1種単独、或いは2種以上を併用することが出来る。
【0080】
弾性体の配設部位は、特に限定されないが、上沓の凸部及び/又は凹部と、下沓の凹部及び/又は凸部の間とすることが出来る。特に、上沓の凸部の側面と、これに対向する下沓の凸部の側面との間に配設することが鉛直荷重の支承上及び水平荷重の支承上、そして鉛直面内における回転追従性の向上を図る上で好ましい。
【0081】
充填材は、上沓と下沓の間の適宜の部位に設定される弾性体の配設されていない空間、即ち充填空間の内部に適宜量充填されるものであり、その充填量は充填空間の容積よりも少量であっても、等量であっても、或いは多量であってもよく、少量の場合には、残存空隙分だけ圧縮又は変形し得る余地が出来、支承装置の厚みを薄く設定出来、等量とした場合には、残存容積が無く元々の設計通りの支承装置の厚みを実現出来、また多量とした場合には、充填空間の容積が元々の設計値よりも増量して支承装置の厚みを厚く設定することが可能となり、充填材の充填量によって支承装置の厚み若しくは高さを調整し得るようにすることが出来る。
【0082】
上沓と下沓の間に設定する充填空間は、一つだけであっても複数設定してもよく、また一定の狭い範囲に設定したり、広範な領域に断続的に設定してもよいが、各充填空間を連通路を以て一連とすることにより、充填の容易性を向上させることが可能となる。
【0083】
充填材は、少なくとも充填時には流体であることが好ましい。勿論、充填後も流体であってもよい。充填時に流体である充填材のうち、例えば、充填時には流体であるが適宜時間が経過した後に固化するものを採用することも可能である。また、一つの空間内に充填される充填材の種類は、一種類であっても或いは複数種類であってもよい。例えば、二液硬化性の流体をそれぞれ適宜量充填して硬化させて適宜の弾性係数を発現する一固体化させてもよく、勿論、予め二液を混合して置いてから充填することも出来る。また、充填材としては、流体の内部に固体や粒体を混入させて支承装置に対する外部入力の減衰性能を改善したり、気体を混入させてバネ定数や弾性を改質或いは調整するようにしてもよい。
【0084】
充填材は、気体、液体、ゲル状体から選択される一つ以上の流体から構成することが可能である。充填材の主成分として気体を採用する場合には、気体は圧縮率が大きいことから高荷重支持には不向きとなるが、比較的低荷重を支持する場合には例えば空気バネのような作用をさせることが可能であり、また加圧状態で充填してもよい。また、不連続気泡のように気泡を内包する流体を充填して置きながら硬化させて、発泡体の如くの充填材とすることも可能である。また例えば、充填材の主成分として液体やスラリー状又はゲル状の非硬化性の流体を採用した場合には、充填空間の変形に自在に対応しつつ、荷重を支持することが可能であり、また寒冷地等の低温下においても凍結しない不凍流体を選択することが可能である。
【0085】
充填材には、非圧縮性の流体を採用することが可能であり、充填材として非圧縮性の流体を採用した場合には、充填空間の変形に自在に対応しつつも高荷重を支持することが可能となる。
【0086】
また充填材には、高粘性の流体を採用することも可能であり、液体やスラリー状又はゲル状の非硬化性で高粘性の充填材を充填した場合、充填空間を囲繞する弾性体が変形した際には、当該空間内の高粘性の充填材が粘性抵抗によって変形エネルギーを減衰させる効果を期待出来る。勿論、非圧縮性を有し高粘性の流体を採用した場合には、非圧縮性流体を充填材として採用した場合に得られる効果と、高粘性流体を充填材として採用した場合に得られる効果と、両者の効果を得ることが可能となる。
【0087】
或いは、充填材には、上沓と下沓との間に介在させる弾性体と異種又は同種の弾性体を採用することが可能である。勿論、充填材が弾性体となるためには、充填時には流動性を示すものである必要がある。例えば、弾性体が熱可塑性を示すものであれば、これを充填材として使用する場合には、当該弾性体を適宜温度に加熱して流動可能な状態にしておきながら充填する。また例えば弾性体が、熱硬化性を示すものであれば、硬化前の流動可能な状態の時点で充填し、適宜の条件で硬化させる。
【0088】
充填材の充填は、予めの充填であってもよく、或いは製造後に充填してもよい。予め充填材を充填する場合には、充填材の充填は予めの設計通り、また手順通りに製造段階や出荷前に充填することになり、これによれば、製造上高効率化することが出来る。また、後から充填材を充填する場合には、充填材の充填は、出荷後、例えば施工現場において、施工空間の高さ等の大きさに合わせて調整しながら充填することも可能となり、これによれば、従来施工上における微調整が困難であった問題を解消することが出来る。
【0089】
本発明の支承装置においては、上沓と下沓の間で互いを係合させて乖離することを防止する上揚防止手段を設けることが可能である。上揚防止手段は、支承装置の外側に設定することが可能である他、支承装置の内部に設定することも可能である。外側設置の場合には、破損や劣化状態を外部から視認することが可能となる。内部設置の場合には、上揚防止手段を含む支承装置全体をコンパクトに設定することが可能となる。
【0090】
この上揚防止手段は、上沓及び下沓の一方側に設けられる係合部と、他方側に設けられる係合受部とを有し、これら係合部と係合受部が互いに係合して上沓と下沓とが乖離することを防止しつつ、上沓と下沓との鉛直面内における相対回転を可能とするように構成することが可能である。上揚防止手段を設定する場合には、支承装置の鉛直面内における回転追従に伴う上沓と下沓との相対変位を阻害しないように、例えば係合部と係合受部との間と、上沓と下沓との間等の各部間が、相対回転中心を中心として1/150ラジアン相対回転しても互いが当接しない程度に所謂遊びを設定する構成することが好ましい。
【0091】
上揚防止手段は、係合部又は係合受部のいずれか一方、又は両方が弾性体を介して、被支承体からの鉛直荷重を受け支えるように構成することが可能である。上揚防止手段が弾性体を含むように構成すれば、支承装置に掛かる荷重をこの弾性体を介して上揚防止手段でさえも支持するようことが可能となり、この場合、従来、この種の上揚防止手段の配設領域では鉛直荷重を支持出来ず、その分、同じ支承面積の場合、荷重支持性能が劣るものとなっていた点が改善され、より高荷重を支承することが出来るようになる。
【実施例】
【0092】
本発明の実施例の支承装置について添付図面を参照しながら以下に説明する。先ず、本発明の第一の実施例の支承装置を図1乃至図6により説明する。
【0093】
図1に示す支承装置1は、例えば橋梁において、橋桁(図示省略)と橋脚(図示省略)との間に配設して荷重を支えると共に地震や風等による鉛直方向と水平方向の振動を低減させながら支承する橋梁用支承装置である。支承装置1は上沓2と下沓3を例えばゴム層4等の弾性体を介して相対変位可能に嵌合させた構造を備えている。
【0094】
支承装置1の上沓2は、上部構造物として例えば橋桁を一点鎖線で示す上部プレート6を介して上面に固定している。下沓3は下部構造物として例えば橋脚を一点鎖線で示す下部プレート7を介して下面に固定している。
【0095】
図1乃至図5において、上沓2は、例えば略円板状を成す基板2aの上面に上部プレート6が固定され、下面に、断面視略台形状を成す略円環状の凸部8と略円環状又は円錐台形状の凹部9が複数交互に配列されて形成されている。
【0096】
図1及び図5に示す例では、凸部8は同心円状に二条形成され、外周側の凸部8Aと、内周側の凸部8Bとが略円環状に形成されている。また、凹部9は外周側に略円環状の凹部9Aが形成され、内周側に略円錐台形状の凹部9Bが形成されている。尚、本明細書では、各凸部8A,8Bを総称して凸部8といい、各凹部9A,9Bを総称して凹部9というものとする。
【0097】
図2及び図5に示すように、各凸部8と凹部9には基板2aに対して所定角度θで傾斜する略円環状を成す共通の傾斜面10a,10aが形成されている。ここで、傾斜面10aの傾斜角は全てθに設定されているが、必ずしも全ての傾斜角を同等にする必要はない。また、凸部8A,8Bには例えば水平面で略円環状を成す頂部10b,10cが形成されている。凹部9A,9Bには例えば水平面で略円環状をなす底部10d、水平面で円形の底部10eが形成されている。
【0098】
しかも、断面略台形状の凸部8と凹部9は図2に示すように略円錐台形状の凹部9Bを中心として凸部8B,8Aと凹部9Aが交互に同心円状に配列されている。
【0099】
また、下沓3も例えば略円板状を成す基板3aの下面に下部プレート7が固定され、上面に、上沓2と同様に、断面視略台形状を成す略円環状又は略円錐台形状の凸部11と略円環状の凹部12が複数交互に配列されて形成されている。
【0100】
図3及び図5に示す例では、凸部11は同心円状に三条形成され、外周側の凸部11Aと、その内周側の凸部11Bとは略円環状に形成され、中央の凸部11Cは略円錐台形状とされている。また、凹部12は同心円状に二条形成され、外周側の略円環状の凹部12Aと内周側の略円環状の凹部12Bとで形成されている。尚、本明細書では、各凸部11A,11B,11Cを総称して凸部11といい、各凹部12A,12Bを総称して凹部12というものとする。
【0101】
そして、図5に示すように、凸部11と凹部12は基板3aに対して所定角度θで傾斜する共通の傾斜面13a,13aが形成されている。ここで、傾斜面13aの傾斜角は全てθに設定されているが、必ずしも全ての傾斜角を同等にする必要はない。また、凸部11には例えば水平面状の略円環状の頂部13b,13cと、水平面状で円形の頂部13dが形成されている。凹部12には例えば水平面状で略円環状の底部13e、13fが形成されている。
【0102】
しかも、断面略台形状の凸部11と凹部12は、図3に示すように、略円錐台形状の凸部11Cを中心にして外周方向に凸部11B,11Cと凹部12B,12Aが交互に同心円状に配列されている。
【0103】
そして、上沓2の凸部8A,8Bは下沓3の凹部12A,12Bに、上沓2の凹部9A,9Bは下沓3の凸部11A,11B,11Cとそれぞれ嵌合されている。そして、上沓2の凸部8又は凹部9の傾斜面10aとこれに対向する下沓3の凹部12又は凸部11の傾斜面13aとの間に、傾斜した同心円状を成すゴム層4が凸部8,11と凹部12,9の全周に沿って固定されている。ゴム層4は例えば加硫接着法により対向する傾斜面10a,13aにそれぞれ接合されている。
【0104】
また、図6において、傾斜面10a,13a間に挟持されたゴム層4の厚みをTとすると、ゴム層4の傾斜角は傾斜面10a,13aにおける傾斜角θであるから、ゴム層4の鉛直方向の厚みT’は
T’=T/cosθ
によって得られる。そのため、ゴム層4の厚みを薄く形成しても比較的大きい鉛直方向厚さT’を得ることが出来る。従って、鉛直方向の耐荷重を大きく設定出来て耐久性を増大させることが可能となる。
【0105】
また、支承装置1の円錐台周面形状を成す傾斜面10a,13aに掛かる荷重のうち、水平方向の分力による水平荷重は各凸部8,11内で互いに向かい合う逆方向の力が相殺されるから、水平方向荷重は小さくなる(図6参照)。
【0106】
また、支承装置1において、嵌合状態にある凸部8,11と凹部12,9との頂部10b,10c,13b,13c,13dと底部13e,13f,10d,10eとの間にはゴム層4は設けられておらず、略円環状又は円柱形状の密閉空間を構成する間隙15が設定されている。間隙15内は、充填材として例えば空気等の気体が充填されている。ここで、空気等の気体は大気圧より大きく、加圧された状態で充填されており、間隙15内の充填材圧力は例えば6〜25N/mmに設定されている。
【0107】
尚、間隙15に充填する充填材としての気体は、空気に限定されることなく、不活性ガス等、適宜の気体を充満させることが出来る。
【0108】
このように、上沓2と下沓3は、互いの凸部8,11と凹部12,9がそれぞれ傾斜面10a,13aに接合したゴム層4と、頂部10b,10c,13c,13dと底部13e,13f,10d,10eで形成された間隙15を介して嵌合状態で一体化して構成されている。間隙15内に封止した加圧空気の充填量によって下沓3に対する上沓2の高さが調整され、支承装置1の高さとバネ定数を調整出来る。
【0109】
ところで、凸部8,11と凹部12,9とで形成する傾斜面10a,13aは傾斜角θが鋭角とされ、0°<θ<90°の範囲に設定されていることが好ましい。しかしながらこれに限らず、90°≦θ≦180°の鈍角に設定することも可能である。
【0110】
尚、上沓2及び下沓3の材質は適宜の公知の材質を採用することが出来、例えば公知の鋼板等の金属板、セラミックス、硬質プラスチック等で形成することが出来る。同様に、ゴム層4も公知の天然ゴム等のジエン系ゴム等の材質を採用することが出来る。
【0111】
また、上述した支承装置1について、その外面をゴム皮膜によって被覆してもよく、これによって、上沓2及び下沓3等の金属部分は殆ど外部に露出しないので、金属の腐食等が発生し難く、耐環境性を向上出来る。
【0112】
本実例の支承装置1は、上述の構成を採ることにより、上沓2と下沓3にそれぞれ設けた互いに嵌合する凸部8,11と凸部9,12とこれらに挟まれたゴム層4によって、水平荷重と鉛直荷重をそれぞれ高面圧支持可能な水平方向及び鉛直方向の荷重支持特性に優れた支承装置1を得ることが出来る。
【0113】
従って、本実施例の支承装置1を、例えば橋梁に適用した場合には、大きな鉛直荷重や水平荷重を支持することが出来ると共に、鉛直方向の振動等を吸収、分散可能で、橋軸直角方向に対する変位を防止しつつ、落橋を防止することが可能となる。
【0114】
更に、支承装置1に鉛直面内における回転力が作用した場合には、ゴム層4には引張力ではなく、むしろ剪断力が作用することになり、橋梁等の回転運動を受けてゴム層4が剪断変形することによって回転追随することが出来る。この際、充填材は、流体であるために弾性体よりも更に変形自由度が高く、回転追従性を向上させることが出来る。
【0115】
また凸部8,11と凹部9,12の側面を傾斜面10a,13aとしたから、これらの対向する側面間に配設されたゴム層4は、傾斜面10a,13aの法線方向に対するゴム層4の厚みT、即ち実厚に対して、鉛直方向における鉛直厚T’が増すため、実厚Tを薄くすることも出来、またゴム層4の実厚Tよりも鉛直荷重の吸収、分散性能を向上させることが出来る。
【0116】
さらに、一つの凸部8,11に掛かる荷重の水平成分は、逆向きの成分が互いに相殺されて荷重低減がなされ、水平荷重支持特性が向上する(図6の白抜き矢印参照)。従って、平面視における面積が小面積でありながら、また厚さ方向が嵩張ることなく、つまり小型でありながら高荷重を支持することが出来る支承装置1を得ることが出来る。そのため、水平荷重支持特性が高く、横ズレを防止出来るという利点がある。
【0117】
また、上沓2及び下沓3の少なくとも一方の対向する凸部8,11の頂部10b,10c,13b,13c,13dと凹部9,12の底部10d,10e,13e,13fを有限の面積の頂面及び底面に形成することにより、支承特性を改変することが出来る。特に、上沓2及び下沓3の少なくとも一方の対向する凸部8,11の頂部10b,10c,13c,13dと凹部9,12の底部10d,10e,13e,13fとの間に、充填材として加圧空気が充填された空隙15を設けることで、バネ定数を調整することが出来ると共に、支承装置1の高さ即ち厚みを調整することが出来る。
【0118】
鉛直方向における橋桁の揺動によって、上部プレート6を介して支承装置1の上沓2に上揚力が作用するが、嵌合状態にある上沓2に対して下沓3が追従する。そのため、上沓2と下沓3が分離して略円環状又は略円錐台形状の凸部8,11と凹部9,12の嵌合状態が解除されることを抑制出来る。
【0119】
更に、本実施形態による支承装置1は、上述した従来の積層ゴム構造の支承装置と相違し、比較的コンパクトであり、支承装置1の交換配設が容易であって、施工性が良好で交換配設の高精度化を達成出来る。しかも、加工時間の短縮が可能であり量産性と低コスト化を促進出来る。
【0120】
更に、本発明による支承装置1は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。本発明の他の実施例や変形例について以下に説明するが、上述した第一の実施例と同一又は同様な部分や部品等には同一の符号を用いて説明を省略する。
【0121】
本発明の第二の実施例の支承装置について、図7(a)及び図8を参照しながら説明する。第二の実施例の橋梁用の支承装置20は、下沓3の中央部分の凸部11C(11)に心棒21が連結されている。心棒21に対向する上沓2の凹部9B(9)には、心棒21を基板2a側に貫挿させる貫通孔22が形成されており、基板2aの上部プレート6側の面には貫通孔22に連通する拡径された拡径溝部23が形成されている。
【0122】
そして、上沓2に形成された貫通孔22は、図8に示すように断面円形状に形成されている。更に、基板2aに形成された拡径溝部23も同様に円形状に形成されている。そのため、上沓2は下沓3に設けた心棒21に支持された構成をとっている。
【0123】
また、貫通孔22を貫通する心棒21の他端側には、貫通孔22の外径より拡径された拡径係止部24が連結されており、上揚力が働いた際に上沓2の分離を防止している。拡径係止部24は拡径溝部23の内径より小径に形成されている。拡径溝部23は、心棒21の頂面及び拡径係止部24が上沓2の上面に対して一段低くなるような深さを有し、上沓2が鉛直下向きに変位出来るようにしている。
【0124】
心棒21と拡径係止部24の結合構造としては、例えば心棒21の他端側に雄ねじ部が形成され、拡径係止部24は例えば心棒21の雄ねじ部に螺合するナットで構成されている。
【0125】
これら下沓3に設けた心棒21、拡径係止部24、上沓2に設けた貫通孔22、拡径溝部23は、上揚抑制部材25を構成する。
【0126】
尚、上述の構成に代えて、上揚抑制部材25として、上沓2に心棒21と拡径係止部24を設け、下沓3に貫通孔22と拡径溝部23を設けてもよい。また、上揚抑制部材25において、心棒21と拡径係止部24は係合部を構成し、貫通孔22と拡径溝部23は係合受部を構成する。
【0127】
本第二の実施例の支承装置20は、上述の構成を採ることにより、地震等により橋梁に振動が発生した場合、水平方向の振動荷重は、心棒21と貫通孔22,そして傾斜面10a,13a同士の剪断抵抗によって支持される。
【0128】
しかも、橋桁等の鉛直方向における揺動によって、上部プレート6を介して支承装置20の上沓2に上揚力が作用するが、心棒21に設けた拡径係止部24によって上沓2が下沓3から分離して凸部8,11と凹部9,12の嵌合状態が解除され互いが乖離することを防止することが可能となる。
【0129】
なお、図7(b)に示すように、心棒21の頂面及び拡径係止部24の上側には、更なる弾性体26を設けるようにしても良い。これにより、従来、この種の上揚防止手段の配設領域では鉛直荷重を支持出来ず、その分、同じ支承面積の場合、荷重支持性能が劣るものとなっていた点が改善され、より高荷重を支承することが出来るようになる。勿論、弾性体26は、心棒21の頂面及び拡径係止部24の上側だけでなく、拡径溝部23の隙間全体に充填するようにしても良い。
【0130】
また、本発明の第三の実施例の支承装置28は、図9に示すように、上沓2と下沓3の互いに嵌合する凸部8,11と凹部12,9とにおける頂部10b,10c,13c,13dと底部13e,13f,10d,10eとの各略円環状又は略円柱状の間隙15内に、加圧空気等の加圧された気体に代えて、液体を充填材29として充填させて充填材層としてもよい。この場合、充填材29としての液体は、例えば水やエチレングリコール等の非圧縮性の流体を用いることが可能であるが、水を採用する場合には寒冷地において凍結して所定の性能を発揮しなくなる虞があるのでエチレングリコール等の低氷点の流体、即ち不凍流体を用いることが好ましい。
【0131】
間隙15に充填する気体や液体を含む流体は、加圧した状態で使用することが可能である。また、充填材29は支承装置28の製造工程において充填しておいてもよく、組立後、例えば設置時や設置後に充填してもよい。
【0132】
凸部8,11と凹部12,9との傾斜面10a,13a間に配設したゴム層4によって支承装置28にバネ定数を設定することが出来るが、頂部10b,10c,13c,13dと底部13e,13f,10d,10eとの間隙15内に充填材29を充填して間隙15の高さ(充填材層の厚み)を調整することで、支承装置28と、支承装置を設置する空間との高低差を無くすように調整することが出来ると共に、支承装置28のバネ定数を調整出来る。充填材層の高さとバネ定数を増大させれば、橋桁から受ける面圧を、より高圧でも耐え得るように設定出来る。
【0133】
しかも、支承装置28の間隙15に充填する充填材層の厚みを調整することで、橋梁の橋桁と橋脚との間に設置する支承装置28の配設精度を向上させて高精度な配設を行うことが可能となる。
【0134】
尚、凸部8,11と凹部12,9とで形成する傾斜面10a,13aの傾斜角θについて、上述の各実施形態等では鋭角に設定したが、これに代えて傾斜角θは鈍角でもよい(90°≦θ≦180°)。この場合、凸部8,11と凹部12,9は、略平行四辺形状(図10参照)、或いは逆テーパの略台形状(図11(a)参照)になる。この場合でも、上沓2の凸部8と凹部9の端面と下沓3の凹部12と凸部11の各端面同士をそれぞれ対向させて互いに延在する方向に嵌合させてスライドすることで嵌合状態に製作出来る。
【0135】
また、図11(b)に示すように、傾斜面10a,13aの傾斜角θは90°でもよく、この場合には凸部8,11や凹部9,12は長方形又は正方形断面形状になる。或いは、傾斜面10a,13aの傾斜角θは0°でもよく、上沓2と下沓3の対向する面同士はそれぞれ平面形状となり、いずれか一方の面の周囲の端部を他方の面を覆うように直立方向に延ばすことで、上沓2と下沓3の対向する面内にゴム層4を封止出来る。そして、ゴム層4内に所定間隔で空気封入部分又は充填材29の封入部分を形成するとよい。
【0136】
また、凸部8,11と凹部12,9の各傾斜面10a,13aの傾斜角θは、凸部8,11又は凹部12,9の両側で同一角度である必要はなく、相違する角度であってもよい。
【0137】
また、傾斜面10a,13aや頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fは平面、曲面、凹凸面或いは粗面のいずれでもよく、或いは、これらの組合せで形成してもよい。例えば、図11(c)では、傾斜面10a,13aや頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fを曲面で形成して、バネ定数の調節的な設定を行っている。また、図11(d)では、傾斜面10a,13aを凹凸面で形成し、図11(f)では、粗面を形成し、ゴム層4の耐剥離性の向上を図っている。また、図11(e)に示すように、頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fを設けないようにしても良い。更に、傾斜面10a,13aを粗面や凹凸面にし頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fを曲面にしたり、傾斜面10a,13aや頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fを曲面の粗面にしても良い。
【0138】
また、本発明では、上沓2の凸部8及び/又は凹部9の数、下沓3の凹部12及び/又は凸部11の数は任意である。上沓2においては少なくとも凸部8と凹部9のいずれか一方が一つあればよく、下沓3においては上沓2の凸部8又は凹部9に嵌合する凹部12又は凸部11が少なくとも一つあればよい。
【0139】
なお、上沓2と下沓3の凸部と凹部の間に配設するゴム層4は、その径方向に見て内周側に配設されたゴム層4を比較的薄い厚さに設定し、外周側に配設されたゴム層4を比較的厚い厚さに設定することが好ましい。更に、間隙15に充填する充填材29の量と空隙15の大きさは適宜変更可能である。
【0140】
また、上沓2の上部又は下沓3の下部には、摺滑板31が配設されていてもよく、支承装置1,20,27,28の水平方向の入力を摺滑によって軽減出来る。なお、図12では、上沓2と上部プレート6の間に摺滑板31を設けるようにしている。下沓3側に設ける場合には、摺滑板31を下沓3と下部プレート7の間に設けるようにする。
【0141】
また、以上の例では、上沓2に、同心円状に連続した凸部8と凹部9を設け、下沓3にも、同心円状の連続した凸部11と凹部12を設けた場合を説明したが、図13(a)に示すように、中心を一致させて、矩形の連続した凸部8,9と凹部9,12を設けるようにしても良い。すなわち、凸部8,9と凹部9,12を環状に形成する際には、円形でも良いし、矩形でも良いし、楕円や三角形、六角形等の多角形であっても良く、その環状形状は特に限定されるものではない。また、図13(b)に示すように、凸部8,9と凹部9,12は、非環状に形成されていても良い。図13(b)では、凸部8,9と凹部9,12を断続的に、円環状に形成した例を示している。勿論、非環状の例としては、その他、「6」の字状や「9」の字状であったり、変則的な形状であっても良く、その形状は特に限定されるものではない。
【0142】
更に、図14に示すように、間隙15を設ける位置は、頂部10b,10c,13b,13c,13dや底部10d,10e,13e,13fに代わって、又は、追加的に傾斜面10a,13aに間隙15a設けるようにしても良い。
【0143】
尚、上述の説明では、本発明による支承装置として橋梁支承装置について説明したが、本発明は橋梁支承装置に限定されることはなく、各種の構造物の制震、免震用の支承装置として採用することが出来る。
【符号の説明】
【0144】
1,20,25,28 支承装置、2 上沓、3 下沓、4 ゴム層、8,8A,8B,11A,11B,11C 凸部、9,9A,9B,12,12A,12B 凹部、10a,13a 傾斜面、10b,10c,13b,13c,13d 頂部、10d,10e,13e,13f 底部、15,15a 間隙、21 心棒、22 貫通孔、23 溝部、24 拡径係止部、25 上揚抑制部材、29 充填材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上沓と下沓とが弾性体を介して対向配置されて成る支承装置において、
前記上沓と前記下沓との間には前記弾性体が無い空間が設けられ、
この空間内に充填材が充填されることを特徴とする支承装置。
【請求項2】
前記上沓と前記下沓のいずれか一方又は両方には、他方に向かって凸設又は凹設される一つ以上の凸部又は凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の支承装置。
【請求項3】
前記凸部又は前記凹部は、環状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の支承装置。
【請求項4】
前記凸部又は前記凹部は、非環状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の支承装置。
【請求項5】
前記凸部又は前記凹部は、複数形成されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の支承装置。
【請求項6】
前記凸部又は前記凹部は、同心状に複数形成されることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の支承装置。
【請求項7】
前記上沓の前記凸部及び/又は前記凹部と、前記下沓の前記凹部及び/又は前記凸部とは、互いに嵌合位置に配設されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の支承装置。
【請求項8】
前記凸部又は前記凹部の側面は、前記上沓と前記下沓とを結ぶ直線距離方向からの傾斜角が、−90°<θ<90°の範囲に設定されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の支承装置。
【請求項9】
前記凸部又は前記凹部の断面形状が、略三角形、略矩形、略台形、略平行四辺形のうちから選択される少なくとも一つ以上の形状を成すものであることを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載の支承装置。
【請求項10】
前記凸部又は前記凹部の頂部又は底部には、頂面又は底面が形成されることを特徴とする請求項2乃至9のいずれかに記載の支承装置。
【請求項11】
前記頂面又は前記底面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とされることを特徴とする請求項10に記載の支承装置。
【請求項12】
前記凸部又は前記凹部の側面は、平面、曲面、凹凸面、粗面、或いはこれらの組合せから構成される面とされることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載の支承装置。
【請求項13】
前記充填材は、流体であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の支承装置。
【請求項14】
前記充填材は、気体、液体、ゲル状体から選択される一つ以上から構成されることを特徴とする請求項1乃至13に記載の支承装置。
【請求項15】
前記充填材は、非圧縮性の流体であることを特徴とする請求項1乃至14に記載の支承装置。
【請求項16】
前記充填材は、高粘性流体で有ることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の支承装置。
【請求項17】
前記充填材は、異種又は同種の弾性体であることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の支承装置。
【請求項18】
前記充填材は、予め充填されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の支承装置。
【請求項19】
前記充填材は、後から充填されることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の支承装置。
【請求項20】
前記充填材の充填量によって支承装置の厚みを調整することを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の支承装置。
【請求項21】
前記上沓と前記下沓には、互いを係合させて乖離することを防止する上揚防止手段が設けられることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の支承装置。
【請求項22】
前記上揚防止手段は、前記上沓及び前記下沓の一方側に設けられる係合部と、他方側に設けられる係合受部とを有し、これら上記係合部と上記係合受部とが互いに係合して前記上沓と前記下沓とが乖離することを防止しつつ、前記上沓と前記下沓との鉛直面内における相対回転を可能とするように構成されることを特徴とする請求項21に記載の支承装置。
【請求項23】
前記上揚防止手段は、前記係合部又は前記係合受部のいずれか一方、又は両方が弾性体を介して、被支承体からの鉛直荷重を受け支え得るように構成されることを特徴とする請求項22に記載の支承装置。
【請求項24】
前記上沓の上部又は前記下沓の下部には、摺滑板が配設されることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の支承装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−41810(P2012−41810A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160657(P2011−160657)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(509338994)株式会社IHIインフラシステム (104)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(510202167)Next Innovation合同会社 (30)
【Fターム(参考)】