説明

支持されたバイオフィルム装置と方法

例えば密な壁のポリメチルペンテン(PMP)からつくられている細い、中空繊維(19)をトウの形で使ったり、布(26)の形にして使っているモジュールが膜支持式バイオフィルムに使用されている。一つのモジュールでは布の1枚もしくはそれ以上のシートがモジュールに取りつけられて酸素含有ガスが中空繊維の内腔に供給できるようにしている。このようなモジュールを使用する、例えば汚水処理の様々なリアクターと方法とが説明されている。機械的、化学的そして生物学的方法を使用してバイオフィルム(30)の厚みを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国については本願は、2003年2月13日に出願した米国仮出願60/447,025と2003年8月18日に出願した米国仮出願60/496,178とについてUSC119(e)に規定の権利を主張しての出願である。他国についての本願はこれら二つの出願に基づく優先権を主張している。また、本願は、すべて2003年8月22日に出願したカナダ特許出願2,438,441;2,438,432;2,438,050;2,438,101に基づく優先権を主張している。
【0002】
本発明は、水もしくは汚水処理法またはその装置における例えば液体内でバイオフイルム(生物膜)を支持するガス供給装置と方法とに係るものである。
【背景技術】
【0003】
現在大抵の汚水処理プラントは活性汚泥処理法を使用しており、これは懸濁成長媒体の形の有機汚染物質を生物学的に酸化することを基礎としている。空気利用のバブル型瀑気槽から酸素を供給する。これらの装置の効率は低く、非常に大きなエネルギを使ってしまう。酸素デマンド・ローディングが低いのでタンクのサイズは大きくなる。その結果、資本と運転コストとは高くなる。
【0004】
第2の型の確立した生物学的酸化法は固体媒体の上に成長したバイオフィルムを利用する。例えば、汚水をリアクターの頂部へ循環させ、少しずつ下に流す。底に空気を供給する。酸素転移効率はバイオフィルムの面積により制限され、そしてその操作コストは汚水を圧送しなければならないので高くなる。
【0005】
最近、薄膜(メンブレン)支持バイオリアクターの思想に基づく開発がなされてきている。例えば、米国特許4,181,604と4,746,435とは、ガス透過性膜の一方の側面からその膜の他方の側面に成長している微生物へ酸素を供給することにより汚水を処理する方法を説明している。多孔壁を持つ中空繊維を薄膜として使用している。米国特許5,116,506ではガス透過性膜がリアクター槽を液体室とガス室とに分割している。バイオフィルムはガス透過膜の上でその薄膜の液体側に成長させられる。酸素と代替のガスはその薄膜を通過して薄膜の液体側で成長しているバクテリアに到達する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はこの先行技術を改善することである。本発明の別の目的は、水を処理するに適した方法と装置とを提供することであり、水の処理とは例えば、薄膜支持のバイオリアクター技術を利用した産業汚水や都市の汚水を処理することである。本発明の別の目的は、例えばバイオフィルムを支持するに適した中空繊維のガス転移薄膜とモジュールを提供することである。これらが本文に記述され、特許を請求している本発明である。以下の要約は本発明の様々なアスペクトを示すためのものであって本発明を限定するものではない。本発明は以下の要約と本文の他の個所に記載の様々な要素や段階の組合せにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つのアスペクトとしての本発明の薄膜(メンブレーン)とモジュールは、ガス転移率(転送速度)が妥当な大きさであり、酸素転移、バイオフィルム支持もしくはその両方にとって十分な表面積があって薄膜支持式バイオフィルムリアクターがこの方面の技術で使われる他の方法に優る運転コストの利点を発揮できるようになる。薄膜とモジュールとの酸素転移効率(OTE)は50%を越えるか、もしくは50%ないし70%以上の範囲にある。モジュールは非多孔性もしくは密な壁の中空繊維の薄膜からつくられ、多孔性繊維では時間につれて湿ってきて酸素転移効率を酷く低下させるという傾向を本発明は回避して大きな表面積を与えている。
【0008】
別のアスペクトとして本発明は、酸素に対して高い選択性と拡散係数とを有するポリメチルペンテン(PMP)からつくられた非常に細かい密度の(目の詰んだ)中空繊維を提供する。PMPのガス透過性は約70,000cc-mm/m-24時間-バールである。目の詰んだ密な壁とは濡れないフォームである。これは極端にガス浸透性の高いシリコーンよりもかなり小さいけれども、PMPは溶かして中空繊維に紡ぐことができる。繊維の外直径は500μmか、もしくはそれ以下であり、または100μmかそれ以下である。このような小直径の繊維の使用がモジュールのコスト低減の助となるのは極細繊維技術を使ってモジュールを造れるからである。高いOTEを達成する非常に大きな表面積が得られる。非多孔性の壁が上述の濡れの問題を回避している。
【0009】
別のアスペクトとして本発明が提供する布は例えばPMPの非常に多数の中空繊維を有し、十分に大きな表面積を与え、生物学的なカイネテックスを制御するときに酸素転移が制限因子とはならないようにしている。布は例えば中空繊維でつくられ、オプションとしてそれら繊維を集めてユニットにしたり、それらの繊維を横糸とし、編んでいるときその送っている繊維を痛めないように不活性の繊維を縦糸にして編んだりする。布をつくるのに他の方法も使える。布はその細い繊維に強度を与えてそれの表面に殆ど繊維を破壊させることなくバイオフィルムを成長させることができる。
【0010】
別のアスペクトとしての本発明が提供するモジュールは、非常にパッキング密度の高い繊維シートからつくられていて大量の液体を再循環させることなく表面を横切る十分な基板速度を許している。モジュールは汚水へ内腔を曝すことなく、空気のような酸素を含むガスを中空繊維の内腔へ供給できるようにしている。例えば1メートルと3メートルの間の、もしくは1.5メートルと2.5メートルの間の長い繊維要素を使ってモジュールヘッダーに入れて低コストのものをつくる。
【0011】
別のアスペクトとしては、ガス透過性の中空繊維から、例えばPMPの密な壁の中空繊維からつくった布の上でバイオフィルムを成長させる。酸素搬送ガスを繊維の内腔に入れる。好気性反応が繊維の表面近くで生じ、そこには最高レベルの酸素がある。これらの反応は有機炭素化合物を二酸化炭素と水とに変換し、そしてアンモニアを硝酸に変換する。バイオフィルムの表面は嫌気(無酸素)条件下にあって硝酸を窒素に変える。その結果は有機炭素、アンモニアそして全窒素の同時低減である。
【0012】
別のアスペクトとして本発明はピークフローを処理する手段として酸素富化を使う。このような酸素富化の必要はオンラインCODモニターにより決定されるか、もしくは一日の内の時間に従って、例えば日週性フローと強さの変動がよく知られている都市応用で設定される。
【0013】
別のアスペクトとして本発明はモジュールとバイオリアクター設計を利用して、布の表面で他の生物学的反応を行う。例として、中空繊維の内腔へ供給された水素を使って水の中の硝酸塩のような化合物を生物学的になくす。
【0014】
別のアスペクトとして本発明は、酸素を供給するのに空気か富化空気を使う。富化空気の選択とそのような空気の中の酸素レベルとは汚水の強さにより決められる。
【0015】
別のアスペクトとして本発明は一次及び又は二次ヘドロを消化するのに使われる。
【0016】
別のアスペクトとして繊維の外直径は小さく、例えば100μmもしくはそれ以下であり、そして繊維は例えば30%以上もしくは40%以上もの実質的な中空領域を有し、そのため薄い壁となっている。繊維は織られ、編まれ、ステッチなどして布にする。細い中空繊維の使用により繊維壁の厚みは薄くて、例えば20μm以下であって、それは手で扱い易い薄膜をつくるに必要とされるであろうものの数分の一の薄さである。細い繊維それ自体は扱い難いが、組合せてユニット、例えば織物を形成することを含む扱い易い糸もしくはトウにする。多数の中空繊維の布は酸素を転移できるに十分な表面積を与え、バイオフィルムの成長を制限することなく、もしくは他のバイオロジカルカイネテイックを制限することなく、そしてモジュールを通る空気流れに許容できる圧力損失で空気を供給ガスとして使えるようにする。
【0017】
別のアスペクトとして、栓流もしくは多段連続攪拌もしくはバッチタンクリアクターを使って、所与の供給水に対して最高基質濃度で生物学的反応を行える。これがバイオフィルムにおける有機炭素化合物とアンモニアのマス移送を最大とし、反応速度に対する重要な制限としてのこれらのプロセスを排除する。多段リアクターにおいて、バイオフィルム表面積に対する酸素転移表面積の比が小さいモジュール設計を下流段に使用できる。例えばタンク容積の単位当たりの酸素転移全表面積もしくは給水の流速は下流リアクターにおいて増加したり減少したりする。酸素転移表面積の減少ではなくバイオフィルム表面積の増加から低い比が生じるからである。
【0018】
別のアスペクトとして、本発明は薄膜支持式バッチバイオフィルムリアクター(MSBBR)を提供している。このリアクターは、酸素含有ガスを供給されており、そしてバイオフィルム層を支持している一つもしくはそれ以上の薄膜を含んでいる。バッチ処理を行うため周期的に充填し、排出しているタンクの内側にモジュールを配置している。実施例ではモジュールは中空繊維からできていて、産業汚水の中のCOD、アンモニア、全窒素そして懸濁固形物をなくし都市の下水施設に放出できるに適した濃縮物とするか、または流してもよい川に直接放出する濃縮物とする。別の実施例においてはモジュールを使って都市の汚水系のCOD、アンモニア、全窒素そして懸濁固形物をなくして流してもよい川に直接放出する。別の実施例ではモジュールを使って腐敗タンク内のCOD、アンモニア、全窒素そして懸濁固形物をなくすようにして腐敗タンクの規模を小さくできるようにしたり、処理技術を簡単にし、コストを低減させまたは直接川に流せるようにする。
【0019】
別の実施例では本発明は、モジュールで成長したバイオフィルム層の成長もしくは厚みを制御もしくは調整する一つもしくはそれ以上の方法を提供する。その方法のあるものはタンクの供給水を排出しながらタンク側からバイオフィルムへ一つもしくはそれ以上の物質を加えるようにしている。これらの物質はオゾンや塩素のようなガス、または加熱した水のような液体、もしくは塩基性か酸性の溶液を含んでいる。この制御物質を加えている間バイオフィルムの状態はモジュールの内側への酸素供給を断続させることにより好気性から嫌気性へと周期的に変える。供給水を除いて、清浄な水と置換えたり、もしくは0.1kgCOD/kgMLSS/日以下の充填率で供給水を置換えることによって制御物質の添加前にバイオフィルムを飢えさせておく。制御物質の添加後その弱らせたバイオフィルムに対して機械的なバイオフィルム制御法を使う。
【0020】
別のアスペクトでは本発明は、バイオフィルムの厚みを最適な厚みとする調整手段として繊維の外側に擦って洗い流すための空気を流す。バイオフィルムの厚みを最適な厚みとする制御手段として空気を使う。酸、アルカリ、酸化剤もしくは酵素での処理又は嫌気性処理をエアースコアリング前に周期的に行って、バイオフィルムを弱めたり、バイオフィルムを全体的にもしくは部分的に取除く空気の実効性を高める。他のバイオフィルム制御法は原位置(その場での)消化、この消化に続いての周期的オゾン化、消化に続いての周期的アルカリもしくは酸処理、消化に続いての周期的酵素処理そしてワームもしくはぜん虫のような高度生命体の利用であって、それによりバイオフィルムを周期的に消化する。生物学的な消化をスピード・アップするため、モジュールの内側へ供給される空気はバイオリアクターの温度を高めるため予め加熱されている。
【0021】
別のアスペクトでは、本発明は外直径(OD)が500μmかもしくはそれ以下、又は100μmかもしくはそれ以下の中空繊維のトウを提供している。繊維の実効表面積を最小としたモジュールをつくるのを容易とするため長さのかなりの部分にわたって、例えば半分もしくはそれ以上にわたって繊維をトウとして処理もしくは使用する。最初に布にするのではなくトウから直接繊維をつくる。また、例えばかなりの部分例えばその布の縁と縁の間の部分をトウとして残して布の縁に沿って差し込み固定(ポッティング)し易いようにトウをオープン・ファブリックにする。トウからつくられたモジュールは両端で差し込み固定され、もしくは一端で差し込み固定されて他端は差し込み固定されず布の端は開いていて排気ガスが逃げれるようにしておく。シングル・ヘッダーモジュールはダブル・ヘッダーモジュールよりも低コストである。シングル・ヘッダーモジュールは垂直のコンフィギュレーションにヘッダーを底にし、そして繊維を上方に浮かせて挿入される。このようなモジュールはモジュールの外側から空気に曝されごみや固形物の溜まったものを取除く。供給水も例えば0.5mmのスクリーンを通して濾過されてそれがリアクターに入る前に供給水内のごみをなくすようにする。トウモジュールを多段リアクターの下流段リアクターで使用するときは、上流段でもトウモジュールリアクターへ送られるごみの量を減らす。
【0022】
別のアスペクトでは異なる強度の汚水を処理するリアクターにその取りつけたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比が異なるモジュールを設ける。ガス転移表面積とは、支持されたバイオフィルムと接触しているモジュールの外側表面の面積である。バイオフィルムの表面積とは、汚水に接触しているバイオフィルムの外表面の面積である。ある場合には、バイオフィルムの表面積はバイオフィルムの厚みにより変わり、その厚みとは、計算のためもしくはモジュール比較のため、リアクター内のバイオフィルムの実際の厚みもしくは時間平均厚み、公称もしくは設計厚みもしくは平均厚みであって例えば250μmである。CODが1000mg/Lを越える汚水を処理するリアクターのモジュールの取りつけたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比は1以上、1.6以上、もしくは1.6と10との間にある。CODが1000mg/Lを越えない汚水を処理するリアクターのモジュールの取りつけたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比は2.5以下、もしくは0.2と2.5との間にある。CODが300mg/Lを越えない汚水を処理するリアクターのモジュールの取りつけたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比は1以下、もしくは0.1と10との間にある。多段プロセスでは二台もしくはそれ以上のリアクターを、下流側のリアクターの入口へ上流側のリアクターの出口を接続して、直列接続にしている。処理しなければならない汚水のCODはリアクターを通る毎に少なくなり、そして下流側のリアクターのモジュールの取りつけたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比は上流側のリアクターのモジュールのよりも小さくなっている。
【0023】
本発明の他のアスペクトは以下の図面と請求の範囲の請求項に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施例を以下に添付図を参照して詳述する。
1.0
モジュール要素
1.1 繊維
【0025】
図1と図1aはポリ(4‐メチルペンテン‐1)(PMP)繊維10を示し、これは内側は中空であるが密な壁を持ち非多孔性である。グループとなっている繊維10は様々な直径を有し、そしてその外直径は500μm以下、もしくは100μm以下、例えば30μmと100μmの間、または50μmと60μmの間の細い繊維である。示された中空繊維10は非多孔性、すなわち密な壁を持っており、そして水は移流により繊維壁を通って流れない。しかしながら酸素や他のガスは分子拡散もしくは溶解拡散により繊維壁を通過する。
【0026】
溶融紡錘、別名溶融押出しにより中空繊維10をつくれる。溶融紡錘においてはポリマーの粒質物、例えばPMPの粒状物を押出器のホッパーに送る。ポリマー粒状物を押出器の中で加熱溶解し、そして数トンの圧力を押棒にかけて連続的に紡錘ヘッドへ押出す。紡錘ヘッドは加熱イン・ラインフイルタとスピネレットから成る。このスピネレットは円形に細い弧状スロットを配列した鋼板である。中空繊維を形成する適当な弧状スロット構造例を図2aないし2dに示す。
図2eに示すように、スピネットは複数群のスロットを有していて、このスピネットでは8つのスロット群を有して、多くの繊維を同時に押出せる。溶けたポリマーはスピネットを押出され、スロットを出て、そして冷却域で中空繊維に閉じていく。扇形分割により生じる間隙によって空気が繊維に入り込み繊維部分が環状となる前に潰れないようにしている。冷却域において空気の制御された交差流によりポリマー繊維形状物は固化され、冷却され、そして巻取器に集められる。他の紡錘法によっても適当な繊維10はつくれる。例えば、ホール・スピンニングのパイプ内でポリマーを溶かし環状スピネットで引き、その間そのスピネットの別の孔を通しガスをその押出された繊維の内腔に通して繊維が潰れるのを防いでいる。溶融紡錘以外の方法も使える。
【0027】
図1aを参照する。図示の実施例では溶融紡錘法を使って外直径12が100μm以下の繊維10をつくっている。繊維の中空域(すなわち内腔14の領域)は繊維の横断面積の10%以上、または30%もしくは40%以上である。中空域は繊維の横断面積の60%もしくは50%以下が典型である。例えば、ポリメチルペンテン繊維の外直径12は約50μmと60μmとの間であって、内直径16は30μm以上であり、その結果壁厚18は10μm以下となって、ガス透過率は30、000cc‐mm/m‐24時間‐バール以上である。
【0028】
図1の実施例では、布のPMP繊維10の外直径12は約45μmであり、内直径16は約15ないし30μmである。繊維10は日本の三井石油化学製のMX‐001もしくはMX‐002PMPを使って溶融押出しされており、そして上に説明した扇形スピネットを通して生のポリマーとしてTPXの名で売り出されている。
1.2 繊維集合体(例えばトウ)
【0029】
図1bを参照する。中空繊維10を取扱いのため纏めて繊維ユニット19にする。繊維ユニト19は個々の繊維10、例えばそれぞれ1本ないし200本もしくは16本ないし96本の繊維を縒って、もしくは縒らないで纏めたトウ20(図1b)、糸、ヤーン、平らなもしくは索状の編組、もしくは他の取り扱えられるようにしたユニット19である。複式巻取りスプールから繊維を巻き解いて第2のスプールへ移してトウ20をつくる。PEもしくはPPのヤーンのように強い不活性繊維はトウ20もしくは他のユニット19に含まれる。繊維10はユニット19内で使うためカールしている。様々な張力でボビンに巻きつけることによりカールした繊維10をつくる。
1.3 シート構造
【0030】
繊維10及び又は繊維ユニット19はシート26にできる。図3a、3bにおいて、繊維10は繊維ユニット19として基本的な2次元構成に、もしくは繊維シート26に織られている。図の実施例ではユニット19はシートを横切っている、つまりシート26が織機から出て行く方向に直交している。不活性繊維22はシート26の長さに沿って走り、繊維ユニット19への支持となっている。図3cは織りのプロセスにおける段階を示している。シャトルの通過毎に交互に上下する不活性繊維22の2つのグループを通るシャトルに繊維ユニット19は運ばれている。他の織り方も使える。ユニット19の種類、ユニット19の束の大きさ、ユニットどうしの間隔そして各方向における繊維のパーセントを個々の用途の機械的もしくは生化学的要件に合致するよう調整する。
【0031】
更に詳細には、繊維ユニット19はバイオフィルム30の成長のための支持表面を与えている。中空繊維ユニット19の数とユニット19当たりの繊維10の数を調整して、バイオフィルム30の表面積に対しもしくは繊維シート26の平らな表面積に対しO転移のための所望表面積を与えるようにする。シート28の平らな表面積はシートの長さにそれの幅を掛け、(シートは2つの側面を有するので)二倍すれば求められる。バイオフィルム30の表面積はリアクター内の液体へ曝されるバイオフィルム30の全表面積であり、実質的に2次元シートの形であるシート26の平らな面積と同じである。
【0032】
転移のための表面積はバイオフィルムへ曝されるシートの中空繊維10の全面積である。これは繊維10の実効直径と長さにシート26の繊維10の数を掛けた積に等しい。拡散のための実効直径は、壁厚の効果を説明する繊維の直径の対数平均である。シート26の中空繊維10を横切っており、繊維10の間で接触している不活性繊維22は、ある実施例では、例えば目の詰まった織られた布に対しての酸素転移を阻害するが、その阻害は一般には小さく、酸素転移の計算の表面積としては無視される。
【0033】
バイオフィルム30の表面積はシートの平らな面積と同じであるけれども、非常に目の粗い、もしくは開いている、または繊維ユニット19が分散している布ではそれはいくらか大きくなっている。布目が変化するものを使ってバイオフィルム30の厚みに影響させるようにしたり、もしくはバイオフィルム30が容易に縮小しもしくは制御されるようにする。バイオフィルムの面積に対するO転移表面積(SAO/SAバイオフィルム)の高い比が、例えば6ないし10もしくはそれ以上の範囲で得られる。しかしながら、CODの濃度が高い、例えば300mg/LCODもしくはそれ以上である供給水を処理するには、例えば1.6と10との間の低いSAO/SAバイオフィルムで十分であり、そしてモジュールコストを低減するのに好ましい。約2ないし8、もしくは約4ないし6の範囲のSAO/SAバイオフィルムは多くの処理に当たって満足すべき結果を出すことができる。
【0034】
繊維10を緩い配列とし、そしてバイオフィルム30の厚みを十分に薄い層へ制御することによりバイオフィルム30の表面積は、シート26の平らな面積よりも大きくでき、そのため隣接して並列となっている繊維上のバイオフィルムは連続層を形成しない。粗いもしくは織られた表面を持ち、その表面のゆるやかな起伏の高さが所望のバイオフィルムの厚みの範囲にあるシート26が望ましいのは、それがバイオフィルムの制御を容易にするからである。所望のバイオフィルムの厚みは200ないし1,000である。
【0035】
モジュール40を通る酸素転移がバイオフィルム30における反応を制限しなければ、汚水のCOD減少率は汚水のCOD濃度に大体比例する。酸素転移が制限因子とはならないようにするには汚水COD濃度が増加するにつれてより多くの酸素をモジュール40に流して、同じ表面積のブローマス(blomass)を支持することが必要である。ブローアーの作動速度もしくはブローアーの大きさを増加することにより、より多くの酸素が与えられる。しかしながら、大きな圧力損失、例えば10psi(ポンド/平方インチ)もしくはそれ以上の圧力損失が繊維内腔14を通る酸素の流れに対する抵抗のために生じる。所与のバイオフィルムの外表面積に対し十分な全内腔面積をつくる布の種類と繊維の数を選択することにより圧力損失は10psi以下に、もしくは6ないし9psiの範囲に維持できる。
【0036】
また本発明者が確認したこととして、CODの濃度が高い、例えば1000mg/LCODもしくはそれ以上、または2000mg/LCODもしくはそれ以上である汚水内で成長するバイオフィルムは、COD濃度が低い汚水内で成長するバイオフィルムよりも早く数mmと言う望ましくない厚みに成長し、もっと弾力を持つようになる。CODが高い汚水内で成長するバイオフィルムはより一層有効なバイオフィルム制御方法を必要とし、そのような方法は強い布を望ましいものとする。
【0037】
上に述べた様々な問題は、シートの同じ平らな全表面積もしくは支持されるバイオフィルムの外表面積に対してCODの低い汚水を処理するのに使用する布よりもより多くの繊維を持ち、そしてオプションとしてより表面の粗い布をCODの高い汚水に使用するのが好ましいこととする。このことは布をつくるのに使う方法の選択と糸もしくは布ユニットまたは布の目の細かさの選択とによって達成できる。多段リアクターも使用できる。多段リアクターでは上流のリアクターはそれの最高COD濃度における供給水を処理し、そして繊維の多い、密度の高い布を持つモジュールを装備している。下流のリアクターは部分的に処理されたCODの低い汚水を受け取り、そして同じシートもしくはバイオフィルムの外表面積に対して繊維の少ない、密度の低い布を持つモジュールを装備している。この密度の低い布が経済的であるのは繊維が少ないからであり、そして同じ平らな表面積のシートに対しバイオフィルムの面積は大きいからである。
【0038】
布シート26は編み、ステッチ、ニッティング、例えばワープニッティングなど他の方法でもつくれる。例えば小さいユニット19もしくはトウもしくは細い繊維10の個々のストランドすら使用するときはワープニッティングが望ましい。布シート26は所望ならば、パターンニッティングのように模様をつけられていて少ない繊維の処や穴を開けてシート26を通る流れを促進させることもできる。
【0039】
ワープニッティングでは図3dに示すような布シート26は「ニットしたステッチ」の絡み合ったループを含んでいる。一針で形成されているステッチのコラムがフリンジをつくる。布の長さ方向のフリンジ(「ワープ」)は比較的廉価な、日用品のヤーン例えばPET、PPなどにより不活性繊維22としてつくれる。不活性繊維22は処理中と使用中とにおけるストレスと引っ張りとに耐えられる。布シート26は縦糸方向(長さ方向)において一般に強くて堅く、そして横糸方向(横断方向)では弾性がある。横糸は直角ヤーン系であり、フリンジを横切り、縦糸繊維22のステッチ(ループ)により固定されている。横糸は布(ループ)形成で役を果たしていない。それ故、横糸繊維ユニット19はそっと処理され、縦糸よりもストレスや引張りをかけないようにする。従って、横糸としてユニット19を持つシート26をつくることはシート26の作成中繊維10への損傷の怖れを最小とする。通常横糸は、ニッティング中フリンジ(横糸)に交叉して動いているヤーンの平行な層もしくは帯である。布シートの幅は約2−3メートルであってよい。
【0040】
図4a、4bの実施例では、織機のシャトルを通してトウ20を織ることにより、そして布26の縁に沿って不活性繊維22とトウ20を交叉させることによりつくられた開いた布からシート26は構成されている。図示の布の幅は約1.3メートルであり、すなわち、それは長さが約1.3メートルの活性繊維10と、トウ20に垂直に織られて縁に沿って約2センチメートルの細長部分となっている不活性繊維22とを有する。図4bに示すように、各トウ20における繊維10は細長部分を越えて分散し、トウ20は抑制されないままであって細長部分と細長部分との間で隙間を開けて開いている。その結果できた幅1.3メートルの布のロールを切って約2−200センチメートル、もしくは30−60センチメートルにして個々のシート26にする。図4bにおいて各トウ20の繊維10の数は見易くするため少なくしてあるが、トウ20はそれぞれ例えば、1本と200本の間、例えば16,48、もしくは96本の繊維10を有している。
1.4
モジュール
1.4.1 緩いトウモジュール
【0041】
本発明に従って繊維10、トウ20もしくはシート26を含む多繊維ユニット19をグループに分けて薄膜モジュール40を形成する。図5に示すモジュール40は、トウもしくは緩いトウモジュールと呼び、繊維10は繊維のトウ20の形に配置され、そしてポットに入れられている。多数の、1本と200本の間、もしくは16本ないし98本の繊維10を緩く集めてトウ20をつくっている。繊維10は軽く縒りをかけており、もしくは縒りをかけないままである。繊維10はカールされ、クリンプされ、波型にされてそれぞれポット付きの列の形の3次元構造となっている。繊維にかかる張力を変えながらボビンに繊維を巻き戻すことによりカールする。トウ20の個々の繊維10は相互に分離している。そのようなトウ20は薄い例えば1ミリ圧のバイオフィルムで被膜されるときに生じるバイオフィルムの外表面積に対する繊維壁を通過するガス転移面積の比(SAoxygeon/SAbiofilm)は2.5以下、1以下、もしくは0.1もしくは0.2と1の間である。不活性繊維22は必要であればトウに加えてそれを強化する。各トウ20は樹脂32のプラグに入れられ、それの端34は樹脂32の一面で開いている。樹脂プラグ32はポート36を持つプラスチックのヘッダー包囲体35に固着され、それは空所もしくはキャビティ37を通って繊維10の開いた端34へポート36を接続するヘッダー44を形成している。入口ヘッダー44を持つモジュール40がつくられているが、繊維10のそれぞれの端に一つずつ、2つのヘッダーがある。2つのヘッダー44があり、空気もしくは他のガスが一方のヘッダー44に入れられ、繊維10を通って流され、そして第2のヘッダー44から出て行く。トウをポリウレタンのような樹脂32に差し入れ、そして差し入れた端を切って繊維の内腔を露出する。又は、米国特許6,592,759に記載のように一過性のポッティング材料を使って繊維の端を閉塞するか、もしくは他のポッティング法を利用してもよい。図5ではトウ20の数とトウ20当たりの繊維10の数との両方が図面をハッキリさせるため少なくして示してあるが、実際にははるかに多い。
1.42 シートモジュール
【0042】
モジュール40をシート26の束もしくは堆積から構成することができる。図3aに示すようにシート26の全幅を横切って、もしくはシート26の幅の一部分を例えば図4に示すように端の処で横切っている直交不活性繊維をシート26は有している。シート26の生の材料を巻いて布ロールにする。例えば、織ってシート26をつくるときは、その材料をつくっているとき織機の端で巻き取り式ロールにその材料を巻く。繊維ユニット19はロールを横切って延び、不活性繊維22はそのロールの周りにらせん状となる。繊維をこのように配向して、ロールからある長さの材料を引出してそれをホット・ナイフもしくはヒートカッターで裁断して個々のシート26をロールから切り出す。ヒートカッターは繊維ユニット19と不活性繊維22とを溶かし、そしてそれらを一緒にくっつけてバラバラになっているもしくはほつれているところから布端を突出させる。ヒートカッターが切断線の両側で繊維の細長い部分、例えば約5mm幅の細長い部分を溶かすので、ロールに残る繊維は同じように一緒に溶けて安定した縁をつくる。シート26をロールから切断した後シートのその他の2つの端、つまり熱切断した縁に直角なシート26の縁は切られて、繊維ユニット19の内腔を開く。切断圧力の下での繊維19の端の乱れや潰れを最小にするため切断しようとする区域を、例えばそれにポリウレタンを含侵させて繊維10もしくは繊維ユニットの周りに強化被膜をつくることによって先ず強化する。それから繊維ユニット19を横切って鋭いナイフで、例えば剃刀の刃のカッターで切断する。カッターは刃を定期的に取り替えて非常に鋭くしているのが好ましく、繊維10の端の乱れが殆どないようにする。衣服産業や織布産業で使用している他の切断機械もしくは切断道具も使用できる。
【0043】
一枚もしくは複数枚のシート26の端をヘッダーのポットに入れてポート36を繊維10の内腔に連絡する。シート26をポットに入れるためシート26を上に述べたようにしてロールから切り出す。繊維ユニット19を横断しているレーザーカット線に平行しているが、それから離してシート26の端で、シート26の一側もしくは両側に例えば接着剤もしくは粘着テープでプラスチックのスペーサー細長片を取りつける。多数のシート26にポットを付けるにはスペーサー細長片を取りつけたシート26を相互に重ねて一緒に、例えば接着剤もしくは粘着テープで、隣同士のスペーサーの間もしくは一方のシート26と第2のシート26のスペーサーの間でくっつける。スペーサーはシート26とシート26との間を開けているだけではなく、後で加えるポット材料と繊維10の端を含むヘッダーのキャビティもしくは空所との間で障壁を形成している。シート26もしくはシートの積み重ねの端を、例えば注入式塑造法によりつくれる長いヘッダーのキャビティに入れる。ヘッダーの壁に対する間隔と密封とは長いヘッダーの壁のそれぞれへ取りつけた自己粘着性のクローズドセルネオプレーンガスケットストリップでつくられている。スペーサーストリップで残されたヘッダーのキャビティの開口は熱い溶融接着剤で覆われる。スペーサーストリップにわたって例えば2成分ポリウレタン化合物であるポッティング材料層を注ぐことによりヘッダーを最終的に密封する。この層は約45mm厚であって、ヘッダーの壁の内側と内側との間にある。多数のシートでは、シート26間で完全にそして均一にポッティング材料が流れるのを確実とするよう注意する。ポッティング材料が硬化すると繊維10の外側とヘッダーの壁との間に密封が形成されるが、繊維10の端はヘッダー内の空所と連通したままとなっている。
【0044】
図6ないし図9に示すモジュール40においては、ヘッダー44内で間隙42を一組の並列シート26の間に開けてそれらのシートにポットを付けている。排気が望まれるときは図に示すように、2つのヘッダー44を使う。一方のヘッダー44を使って繊維10の対向した開口端を通して排気するか、またはデッドエンド操作するため繊維10の他端を閉じる。間隙42は2mmと10mmの間であるか、もしくは3mmと15mmの間である。間隙42は処理しようとする水もしくはバイオフィルムの厚みを制御する方法の選択によって変わってくる。例えば、引っ張られたシート26のモジュール40の間隙は、バイオフィルム30の厚みを空気で擦って調整するときは6mmである。ヘッダー44を剛性の構造体に取り付けることにより張力はかけられるが、その構造体はタンクの部分を含んでいて一方もしくは両方のヘッダー44がその構造体に対して動けるようにしている。又は、距離を調整できるフレームの部分にヘッダー44を取りつけてもよい。様々なポッティング材料46により布26のシートをヘッダー44内でポットに入れ、分離させておくのであるが、そのようなポッティング材料46にはポリウレタン、高温溶解接着剤、粘着ストリップ、プラスチック間隔片もしくはエポキシがある。隣り合うシート26どうしの間もしくは隣り合う間隙42どうしの間の隙間はエアースコアリングのための空気そしてモジュール40を通る代わりの流れのためのスペースとなっている。別々のシートを使うのではなく布26の大きなシートをロールにしたり、折り畳んでモジュール40をつくる。モジュール40の長さはOTEと圧力降下との間の妥協であって、そして1メートルから5メートルの間であるか、もしくは1メートルから3メートルの間である。
【0045】
図8に示すように、モジュール40をつくるには繊維10の端を横断するよう置いた接着ストリップ50(各端に一つづつ)に繊維10のシート26を載せる。別の接着ストリップ50と間隔ストリップ52とをシート26に置き、別の粘着ストリップ50と別の布シート26がこれに続く。これらの工程を所望のシート26の数に合っただけ反復する。その結果できた組立体を一対の対向ヘッダー44のヘッダー包囲体35に密封して、繊維10の内腔14がキャビティ37を介してヘッダー44のポート36と連通する。繊維10の端をポットにつける前に切断してそれらを例えば上に述べたようにして開いておく。別の接着剤もしくはポッティング樹脂41はオプションでヘッダー包囲体35に流し込んで繊維10をヘッダー包囲体35へ一層密封する。又は、シート26の端で間隔ストリップに接着し、そしてヘッダーのキャビティに挿入し、そして別の接着剤もしくはポッティング樹脂41をこの組立体の周りに置いてそれをヘッダー包囲体35へ密封する。更に代替的に、上述の第1の組立法を使ってもよい。
【0046】
図9は上に大体述べたようにして組立てられたモジュールの図である。ヘッダー44どうしは約2メートル離れている。別のスペーサー33をヘッダーの中間に使ってシート26の分離を一層確かなものとしてもよい。細い鋼鉄棒45をモジュールの右半分の布シート26の縁に取り付けてモジュールの左半分に見ることのできる折り返しにアドレスする。モジュール40のSAoxygen/SAbiofilmの比は約5である。
【0047】
モジュール40の別の実施例を図10aないし10cに示す。モジュール40は中空繊維ユニット19と不活性繊維22とを有する1枚のシート26を有する。中空繊維ユニット19はシート26の両端のヘッダー44と44の間にある。隣接モジュール40のヘッダー44を衝合させて相互に隣接して積み上げた複数のモジュール40が隣接シート26の間で所望の間隔となるようにヘッダー44の幅62を決めている。このモジュール40のヘッダー包囲体35はキャビティ37を見られるように透明である。シート26にポットを付けるには、プラスチックの被覆ストリップであるヘッダー包囲体35を力で広げて、シート26を挿入する。ヘッダー包囲体35はシート26の上で撥ね戻って閉じる。ポート36として作用するチューブがヘッダー包囲体の端に挿入される。ポット樹脂31がシート26とヘッダー包囲体35との間の、ポート36とヘッダー35との間の継ぎ目に沿って、そして他のすべての開口に沿ってキャビティ37を密封する。
【0048】
図4を再び参照する。織られた縁に沿って切られて繊維10の端を開いて、それらの間を0ないし10mm広げて一つもしくは一対のヘッダーに入れたトウ20の開いたシート26からトウもしくはトウシートモジュールと呼ばれる別のモジュールをつくる。上述のポッティング法を含む、使用されるポッティング法によって異なるが、繊維10はポッティング樹脂に挿入する前後のいずれかで切って開いておいてよい。1ないし100枚、もしくは8ないし20枚のシートを一対のヘッダーに入れてモジュールをつくる。図1の繊維を使ってこうしてできたモジュールのSAoxygen/SAbiofilmの比は、バイオフィルム厚250μmで1:2.5(0.4)と1/11(0.1)の間である。
1.5 カセット/リアクター
【0049】
一般に、複数のモジュールをグループに分けてカセットを形成し、そして一つもしくはそれ以上のモジュールもしくは一つもしくはそれ以上のカセットをリアクターの部分としてタンク内に置くことができる。図11と図12を参照する。CODが1,000mg/Lを越える、典型的には7,000mg/Lを含む産業汚水を一日当たり1立方メートル処理するプロット・リアクターのタンク12にカセット110のモジュール40を取り付ける。供給水はバッチもしくは連続プロセスにより処理されてCOD濃度を出口である都市下水に放出するに必要な300mg/Lまで減少する。タンク112の充填容積は1.8立方メートルである。15個のモジュール40をタンク12に設け、それぞれのモジュール114は、トウ20として織られた、PMP繊維ユニット19の織布の3.6平方メートルの表面積の6枚のシート26を含んでいる。繊維10は1.8メートルの長さであって、モジュール40の入口ヘッダー116と出口ヘッダー122との間に延びている。シート当たりのPMPトウの全数は1968であり、そしてシート当たりの繊維は94464本である。トウ当たり48本の繊維があり、そしてシート26のインチ当たり50本の糸の2パッキングがある。また、ポリエステルヤーンはPMP繊維に垂直に織られており、そしてモジュール当たりのヤーンの全数は1912本である。繊維の内腔における空気圧低下は5ないし10psiの範囲にある。モジュール当たりの全バイオフィルムの面積は17平方メートルであり、そして酸素転移面積は約5.1×バイオフィルム面積である。
【0050】
図示の実施例のモジュールは、ヘッダー116と122との間で延びるシート26の張力が調整できるような仕方で取りつけられている。カセットは剛性構造体150であって、タンク112の要素もしくはモジュール40に隣接するカセットサブ・フレームの要素を含むことができ、そしてヘッダー116と122の一方もしくは両方が剛性構造体150に対して動けるようになっている。
【0051】
図示の実施例では剛性構造体150は、モジュール40の積み重ねの一番外側のモジュール40の遠い方の側面に沿って延びる一対の側板152を備えている。図13と図14によく示されているように、モジュール40は、それの両端の側板152の間を横切っている取り付けブラケット154により側板152へ取りつけられている。シート26に対向して、ヘッダー116の表面から伸びるT字型舌片158を受けるようにした形の溝156を取り付けブラケット154につける。ブラケット154の溝156にヘッダー116と122の舌片158を滑り込ませることによりモジュール40を取り付けブラケット154に固定する。例えば、ブラケット154の縁面において孔162にボルト160を通して板152とネジ付き穴164とを係合させるすことにより取り付けブラケット154を側板152へ固定する。
【0052】
取り付けたヘッダー116、122が水平に動かされてシート26の張力を増減するように孔162のスロットの形を決める。板152へ固定した取り付け面168と外直径表面を係合させ、偏心させて取り付けたカム部材166をボルト160の頭と板152との間に設ける。カム部材166を回転させると対向したブラケット154を押し広げ、もしくはそれらを近づけて、それによりモジュール40におけるシート26の張力を調整する。
【0053】
モジュール40の一端だけにもしくは両端に張力調整機構を設け、そして各モジュール40毎に又はモジュールのサブ・グループ毎に個別に張力を調整できるようにする。他の取り付け法を使ってモジュール40を取除いたり、もしくは張力をかけたりしてもよい。
【0054】
本発明の別の実施例ではモジュールの要素は垂直に積み重ねている。外部からのスコアリング空気、もしくはタンク内の水が上から下へ、もしくは下から上へ流れる。このことがスコアリング空気と空気の作動コストに必要な資本を最小とする。
2.0 動作/用途
【0055】
一本もしくはそれ以上の繊維10を有する繊維ユニット19をリアクターにおけるバイオフィルムを支持する薄膜として使用する。一般に、酸素含有ガスがモジュール40のヘッダー44の少なくとも一つに流れる。繊維を通る以外は出口のないデッド・エンドモードでモジュール40は作動する。代替的には、モジュールは交叉流方式で作動させてもよく、この方式ではガスは一方のヘッダー44を通って入り、繊維を通過して流れ、それから他方のヘッダー44から出て行く。ガスの酸素含有量と流速とは、酸素レベルが最高となる繊維10の外面近くに好気性状態をつくるだけの酸素を移送するようガスの酸素含量と流速とを設定する。この区域で有機化合物の二酸化炭素と水への変換、そしてアンモニアの硝酸塩への変換とを含む好気性反応が生じる。バイオフィルムはそれの外面でもしくは処理されている基質近くで無酸素もしくは嫌気性条件下にあり、そして窒素の硝酸塩への変換が生じる。こうして、カーボンベースの有機体、アンモニアそして全窒素の減少を含む多くの、そして同時発生的反応がバイオフィルムで行われる。
【0056】
図15に例としてのリアクターを示す。図15は近栓流をつくる。リアクター80はタンク82、タンク82への供給水取入口84、タンク82からの放出口86、取入口84と放出口86との間の流路88そしてタンク82内のモジュール40の形状の多数の繊維19を有している。各モジュール40は一つもしくはそれ以上のヘッダー44から伸びる1枚もしくはそれ以上のシート26を有する。複数のモジュール40は一つもしくはそれ以上のカセット110の部分として設けることができる。
【0057】
シート26とモジュール40はタンク82に入ってそれの容積の実質的な部分を占める大きさとなっている。シート26はタンク82内の利用できる空間を効率よく利用するようつくられた注文製作である。シート26はいくつもの列となってタンク82内に配置されているのが好ましく、そのような一つの列を図15に示す。シート26は0.26から2mmまでの厚みがあり、タンク82内の隣同士のシート28の間隔は2ないし15mmであって隣接シート25間でバイオフィルムが成長でき、そして汚水が流れることができる。
【0058】
タンク82は深さよりも長さの方があり、そして全体としてほぼ水平な流路88を有して、僅かに混合を伴う。これは、タンク82の端近くに(すなわち、入口84と出口86近くに)幾らかの空間を残して水を垂直に動かすようにし、そしてタンク82の頂部、底部そして側面に最小の自由空間を残すことにより達成される。バッフル90を流出出口86の上流に配して流路88をその下に行くようにする。ヘドロ出口92を設けて過剰なヘドロを除去する。
【0059】
供給口84と排出口86との間のタンク82の実質的な部分82にわたり流路88は真直ぐになっている。各モジュール40はフレーム(図を複雑にしないため示していない)に取り付けたヘッダー44によりタンク82内に保持され、このフレームはリアクター80内に各モジュール40を正しく配置してそれにより各モジュール40のシート26が流路88に全体として平行になる。好ましくは、複数のシート26は流路88に沿って直列となっていて、リアクター80は一層潜流の特性を持つようになる。処理しようとする汚水の一部は放出口86から供給口84へリサイクルする。このようなリサイクルは流路88に沿う汚水速度を高めることによりガス転移速度を増加できるが、リサイクルの割合を小さくしてリアクター80における混合流特性を大きくしないようにするのが好ましい。
【0060】
処理しようとする水よりも上にある供給マニフォルド94へ接続された入口導管216を介して各モジュール40へ酸素含有ガスを送る。入口マニフォルド94が水面よりも上になっているのでモジュール40に漏洩口があってもマニフォルド内に水を入れさせないし、他のモジュール40にも入れさせない。排出マニフォルド95へ接続された出口導管218を介してガスは各モジュール40を出る。各モジュール40を出たガスを集めることは絶対に必要ではないけれども、そうするとかなりの利点がある。例えば、排出マニフォルド95内のガスは揮発性有機化合物が富裕となっているかもしれず、そのことはそのリアクター80を配置した建物内で匂いや健康問題を生じることがある。
【0061】
酸素は拡散し、そして繊維10を通過する。そのように拡散し、そして通過した酸素の量は、好気性バイオフィルムがシート26に隣接して生育し、嫌気性バイオフィルムがその好気性バイオフィルムの隣で生育し、そして処理しようとする汚水が嫌気性状態に保たれている。そのようなバイオフィルムは窒素固定と脱窒とを同時に行う。攪拌源98を時々作動させてシート26を攪拌して蓄積されたバイオフィルムを解放する。適当な攪拌源は、処理しようとする水を非嫌気性にするに十分な酸素を与えない一連の疎い気泡の通気装置である。
【0062】
図16に示す第2のリアクター80は、タンク82、給水口84、放出口86、流路88そして複数のモジュール40を有する。各モジュール40のシート26が全体として流路88に平行となるような位置にフレーム(図示せず)が各モジュール40を保持する。
【0063】
タンク82に入ってそれの容積の実質的な部分を占めるような大きさにシート26をする。シート26は注文してタンク182の利用できる空間を効率よく使えるようにつくる。シート26の厚みは0.25mmから2mmの範囲にあって、隣同士のシートの間隔は2ないし15mmであってバイオフィルムが成長でき、そして汚水が隣同士のシート26の間を流れる。
【0064】
タンク82は長さよりも深さがあって殆ど混合することなくタンク82の実質的な部分にわたって垂直な流路88をつくれるようになっている。これは、タンク82の端と側面とに近いところでは殆ど空間を残さないようにするが、タンク82の頂部と底部近くに実質的な空間を残すことにより実現できる。処理しようとする水の一部は排出口86から供給口84へリサイクルするが、このリサイクルを使ってもそのリサイクル速度は小さいのが好ましい。
【0065】
酸素含有ガスは、マニフォルド94に接続した入口導管216を介して各モジュール40へ送られる。代替的にはマニフォルド94は処理しようとする水よりも高いところに配置して、モジュール40に漏れ口があってもマニフォルド94に水を入れたり、もしくはどれか他のモジュール40に水を入れたりしないようにする。出口導管218は出口マニフォルド95に接続されていてこのマニフォルドは処理しようとする水の表面より高くなっている。
【0066】
代替的には、モジュール40を通るガス流は出口導管218への吸込みをつけることによりつくれる。入口導管216は大気と流体連絡している。この方法により膜を横断するガス拡散速度は僅かに減少するが、ブローワーからの排気を排出ガス処理装置へ接続できる。
【0067】
好気性バイオフィルムがシート26の隣で培養され、嫌気性もしくは無酸素バイオフィルムが好気性バイオフィルムに隣接して培養され、そして処理しようとする汚水が嫌気性状態に維持されるように酸素が拡散しもしくは透過するのが好ましい。攪拌源98を時々作動させてシート26を攪拌して蓄積バイオフィルムを解除する。適当な攪拌源は直列の機械的な混合器である。
【0068】
図17を参照する。リアクター100のタンク112には一つもしくはそれ以上の薄膜支持式バイオフィルムモジュールカセット110が装備されている。これらのカセットは上に述べたように一つもしくはそれ以上のモジュール40を有する。モジュール40はトウモジュール、平らな要素のモジュール、もしくはバイオフィルムを支持する薄膜を使う他のタイプのモジュールである。各モジュール40のガス入口ヘッダー116に空気もしくは他の酸素含有ガスをブローワー118を介して供給している。入口ヘッダー116から一つもしくはそれ以上の繊維10の内側(すなわち、内腔14)へガスは通る。繊維10の壁はガス転移膜120として働く。ガスの一部分は膜120を通り、タンク112から取り出された別の部分そして多分かなりのガスがモジュール40の出口ヘッダー122へ、そして出口124へ流れる。排出口124を出るガスは後処理されるか、大気へ放出される。
【0069】
供給弁126と供給ポンプ128とを介して供給水がリアクター100へ入る。供給水がモジュール40より上の供給充填レベルまで入れられる。一バッチの供給水が処理された後ドレイン弁131を開いて処理された水のタンク112を排出する。この処理された水は都市の下水へ、周囲へ流れ、受給系へ直接流れ、もしくはMSBBR(薄膜支持式バイオフィルムバッチリアクター)の別の段へ、もしくは更に処理するため別の種類のリアクターへ流れて行く。
【0070】
薄膜120の外側にバイオフィルム132が成長する。バイオフィルム132の厚みを調整するために一つもしくはそれ以上の通気装置134をモジュール140の下に設けて、通気弁138を介して第2のスコアリング空気ブローアー136へ接続される。スコアリング空気ブローアー136は、タンク112にいっぱい水が入っているとき作動させて気泡をつくる。気泡はモジュール140を通って上がり、そして薄膜120からバイオフィルム132の幾らかを物理的に取り除く。通気装置134はガス供給弁142を介してガス供給源140へ取りつけられている。ガス供給源140は加圧ガスもしくはガス発生器とポンプまたはタンク112が空のときガスを供給する他の装置である。リアクター100は供給水以外の液体でタンク112を充填するよう作動する液体ポンプ144も有している。液体ポンプ144は液体を入れている貯槽へ接続されるか、もしくは化学薬品注入装置もしくはヒーターのような修正装置を介して流す清浄水源へ接続されている。タンク112は大気に向って開いていて、一般に周囲圧の液体を含んでいるが、蓋146を時々閉じて閉じた空間をつくる。
【0071】
リアクター100内での主処理法はバイオフィルム132へ供給水をバッチ供給することを含む。タンク112には給水ポンプ128を使って給水レベル130まで水を満たす。給水ポンプ128は平衡貯槽148を介して給水源へ接続されていて非バッチ給水源からバッチ給水をする。ある期間、例えば12時間と96時間との間供給水はタンク112内にあって、その期間中バイオフィルム32により処理されている。処理期間中は蓋46は開けたままであるが、タンク112内の水は一般に無酸素性もしくは嫌気性である。しかしながら、典型的に空気成分として酸素がブローワー118により薄膜120を介してバイオフィルム132へ供給され、バイオフィルム132に有酸素性もしくは好気性域をつくる。時々その処理期間中再循環弁149を開いて、給水ポンプ128を作動してタンク内の供給水を混ぜる。
【0072】
バイオフィルム132が供給水を所望程度まで消化してから、ドレイン弁131を開いてタンク112の水を抜く。この水抜きは2段階で行われる。第1段階ではタンクの底にある固形ヘドロである水抜きして残った固形物を除去し、この固形物をヘドロ管理装置へ移す。第2段階で、きれいな上澄み液を第2段階処理もしくは殺菌システムへ移すか、もしくは下水へ放出するか、流してもよい河川に放出する。
【0073】
酸素搬送ガス供給を充填操作中連続させ、バイオフィルムに吸収された物質を連続消化させ、そしてバイオフィルムの一部分が汚水の中に浸ると直ちに処理を開始することを保証する。同様に、水の抜出し操作中も通気を連続させてバイオフィルムの一部分が浸漬している限り処理を継続し、そして浸漬していないときでさえ短期間バイオフィルムの吸収有機物を消化してバッチ毎の処理時間を最大とする。
【0074】
図18に示すリアクター400はリアクター100と同じような特徴を持っているが、ガス供給源140、ガス供給弁142もしくは液体ポンプ144はない。
【0075】
バッチプロセスで、汚水の濃度は各処理期間の終わりに向って減少して行く。バイオフィルムに供給される酸素要請も減少して行き、そしてモジュールへのガス供給を減少する。トウの形で少なくとも部分的に繊維を使用しているモジュールは、酸素転移とバイオフィルム成長に対して非常に高い表面積を提供する。トウモジュールは、例えば1,000mg/L以下、もしくは500mg/L以下、もしくは300mg/L以下のCODの低い汚水を処理するときに特に有利である。細い繊維内腔を通しての圧力損失が、CODの低い汚水を処理するバイオフィルムへ酸素を送るに必要な空気供給量を制限することはない。細い繊維は他の汚水でも同じように処理するけれども、最初の供給水のCODが低い場合、又は強い汚水のCOD濃度を減少する他の処理プロセスもしくは装置の後段の、第2もしくは第3段階としてトウモジュールを使用できる。都市の汚水や他の供給水例えば、CODが1、000mg/Lか、それ以上であると、二段階装置を使う。第1段階では、繊維シートの形の薄膜支持式バイオフィルムを図9のように使用する。これらのモジュールを含んでいるリアクターからの出口は、第2段階処理を行う図4のようなシートを持つトウモジュールを含んでいるリアクターへつながる。本発明者が確認したことであるが、CODの高い汚水からCODを急速に低くすると薄膜支持式バイオフィルムリアクターで生じる脱窒を制限することとなる。2段階プロセスでは第1段階はCOD除去に対して最適化されている。第2段階への供給水のCODは減少しており、そして第2段階は例えば種の硝酸菌属と亜硝酸菌属の硝酸化成微生物、過剰な炭素分解微生物を支持するよう最適化されて、第2段階において改善されたアンモニア酸化を行う。
【0076】
一般に、CODを考えるときは、可溶性CODを使うのであって、その理由は可溶性CODはバイオフィルム30により最も容易に消化され、そして容易に測定されるからである。しかしながら、緩いタウ20がモジュール40のかなりの、もしくは全面積を覆っているとき特にそうなるが、不可溶性CODの粒子が相当量バイオフィルムに引っかかってしまう。時間が経つとこれらの粒子は壊れて可溶性CODになって消化される。従って、ある実施例において全CODもしくは全生分解性のCODも関連パラメーターである。
【0077】
供給水のCODが1000mg/Lもしくはそれ以上であると、モジュール40のSAOXYGEN/SABIOFILMは1もしくはそれ以上であり、例えば1と10の間にある。繊維10の全長にわたって織られている、例えば多数の繊維を非常に詰めて密に織られたシート26を有するモジュール40は有用である。供給水のCODが1000mg/Lもしくはそれ以下であると、モジュール40のSAOXYGEN/SABIOFILMは0.2と2.5の間にある。繊維の全長にわたって織られているが、あまり密に織られていない、もしくは例えばトウ20の中央で開いているシート26を有するモジュール40は有用である。供給水のCODが300mg/Lもしくはそれ以下であるとそのモジュール40のSAOXYGEN/SABIOFILMは1もしくはそれ以下であり、例えば1と10の間にある。トウ20の中央で開いているシート26を有するモジュール40、例えば、緩いトウ20を有するモジュール40は有用である。
【0078】
図19aに示すベンチスケールリアクターのモジュール40は100本のトウ20を一対の対向したヘッダー44に入れてあり、96本の繊維10のそれぞれは図1に示したようなものである。このモジュール40を使ってバッチプロセスで供給水を処理した。このプロセスでモジュール40は合成物汚水4リットルを満たしたタンク112内に配置された。1ないし7日毎にタンクは水抜きされ、そして新しい供給水で満たされた。毎分10ミリリットルの空気がモジュールに加えられた。安定した厚みのバイオフィルムが6ヶ月でモジュール40に成長した。バイオフィルム30の小さい部分が破壊してタンク排水の中のあるものと一緒に放出されることを除けば、バイオフィルム30は本質的に内生であって、それの成長率はそれの崩壊率に等しい。トウ20の断面を図19bに示す。個々の繊維10はバイオフィルム30に覆われている。ある場所では小さいグループの繊維10の周りのバイオフィルム30は溶けこんで繊維10の長さの一部になっている。バイオフィルム30の厚みは約250μmである。
【0079】
図20の別のリアクターは、例えば腐敗タンク、腐敗タンクレトロフィットもしくは艦載処理プラントに適している。このリアクターは、両側に入口412と出口414とを持つ標準腐敗タンク410を使用する腐敗タンクレトロフィットである。タンク410は一次室416と二次室418とを含む2段階となっている。部屋416、418の間で流れるようにしている水面下オリフイス422を分離壁420は有している。一つもしくはそれ以上のモジュール424を二次室418内に置く。入口管426を通ってモジュール424の底のヘッダーへ空気を供給する。排出管428を通してモジュール424の上方のヘッダーから排出空気を出す。攪拌空気管432を通してモジュール424の下部近くもしくはその下に配置した多孔分散管430へ定期的に攪拌空気を供給する。図4に示すような100枚の、もしくは8−20枚のシートを一対のヘッダーに入れてそれぞれのモジュール424をつくる。例えば、一所帯の腐敗タンクでは8−10枚のシートを有する一つのモジュール424に1/4馬力の空気ブローワーで空気を送り、約1−7psiもしくは約3psiの圧力降下を生じさせる。典型的な所帯の供給水では、全体として内生的なバイオフィルムが個々の繊維19とトウ20の表面に成長する。バイオフィルムにおける生物学的処理が懸濁固形物を減少させ、そして排出水の化学酸素要求を減少させ、腐敗タイルフイールドの大きさを減少させるか排除させれるようにする。
【0080】
本発明の別の実施例では複数のバイオリアクターを直列に設置して栓流に近い流れパターンをつくる。このことが反応率を高め、そして酸素の利用改善を果たす。
【0081】
本発明の別の実施例においては、異なる酸素要求レベルに応え、そしてバイオリアクターの充填を高めるため酸素スパイキングによりバイオリアクターの異なる段階で異なる酸素レベルを使う。単一のリアクターにおいてもしくは一つのリアクターの段階において異なる酸素レベルを異なる時間に使うこともある。酸素レベルを増加するには繊維の内腔に送られるガス圧もしくは供給ガスの酸素含有量を増加させる。同様に、酸素レベルを低下させるには供給ガス圧もしくは酸素含有量を減少させる。多段リアクターの上流段階に、または大量に充填されたリアクターに高レベルの酸素を使用する。酸素レベルを定期的にもしくは時折増加させてリアクターの充填量を一時的に増加させたときに対応させ、例えば汚水の強さもしくは汚水の質の季節的な変化もしくは一日の変化に応じられるようにする。
3.0 バイオフィルム制御
【0082】
薄膜支持式バイオフィルムリアクターにおいて、薄膜上のバイオフィルムの厚みを調整することは有利である。例えば、リアクター100(図17)において、タンク112は定期的に水抜きされているが、バイオフィルム132の大部分は膜120上に、特に、供給水のCODが高い、たとえば300mg/L以上である場合には、残っている。バイオフィルム132の厚みが過剰となると、例えば、2mmもしくはそれ以上の厚さであると、薄い層、例えば1mmもしくはそれ以下の薄い層を越えて消化率はあったとしても極めて僅かしか増加しない。しかしながら、バイオフィルム132を薄くしておくことはモジュール40のシート26を相互にもっと近づけることができ、モジュールの単位体積当たりの表面積を大きくできる。表面積のこの増加は、厚いバイオフィルム132で達成されるかもしれない、もしくは達成されないかもしれない消化のあっても僅かな増加を差し引いても余りある。
【0083】
従って、バイオフィルム32が不必要に厚くならないような手段を講じる。以下の方法を単独で、もしくは様々に組合せても行う。処理頻度数をバイオフィルム132の成長につれて変えていく。例えば、バイオフィルム132は毎日10μmづつ成長する。そして、モジュール40は0.2mmと0.8mmとの間のバイオフィルムに耐えさせられる。それ故、バイオフィルムの調整は5−10日毎に必要となる。代替的に、バイオフィルムの調整と調整との間の期間は、最後の調整以来バイオフィルムが消化したCODの量に関係し、それは最後の調整以来の時間とバイオフィルムの厚みの増加に関係している。例えば、調整は、最後の調整以来バイオフィルムの面積の平方メートル当たり約20−200グラムのCODをバイオフィルムが消化したときに行う。調整すなわち厚み減少処置をこの頻度で行うときは、各調整期がバイオフィルムの厚みに大きな効果をもたなくても安定したバイオフィルム層を長期間維持できる。調整は一時に全バイオフィルムに加えてもよいし、もしくは一時にはバイオフィルムの一部分に加えてもよい。
3.1 バイオフィルム調整の機械的方法
【0084】
膜120の上のバイオフィルム132の厚みを調整する方法のあるものはバイオフィルム132を部分的に機械的に除去することを含んでいる。そのような一つの方法において、図17を参照すると、一つもしくはそれ以上の通気装置134をモジュール114の下に設け、そして通気弁138を介してブローアー136へ接続する。タンク112に液体を一杯にして、ブローアー136を作動させてモジュール40の下の通気装置134から気泡をつくる。気泡はバイオフィルム132を機械的に擦り、そしてまたモジュール40を通る水流をつくり、これがバイオフィルム132のあるものを物理的に除去する。攪拌する空気は高速であって、毎秒2−8フイートであり、空気印加率は5−20、例えば1−10分の間隔で約10立方メートル/時間/モジュールの占有面積の平方メートルである。これが例えば日に一回から週に一回なされる。また、空気を使ってバイオリアクターの内容物を定期的に混合する。
【0085】
他の機械的方法はタンク112が空の間にモジュール40を水で噴霧し、櫛、ワイヤーもしくはブラシでバイオフィルム132を物理的に除去することを含んでいる。その除去されたバイオフィルム132はタンク112の床に倒して、ヘドロなどを排水管131を介して洗い流す。これらの機械的方法は他の方法よりも実施する頻度は少なく、そして別の方法がバイオフィルム132を弱らせてしまった後で行う。
【0086】
バイオフィルムを調整する機械的な方法はシート262を粗いもしくはなめらかでない表面にすることにより強化され、その表面のうねりは所望のバイオフィルムの厚み程度である。所望のバイオフィルムの厚みとは200−1,000μmである。
3.2 化学的方法
【0087】
別の実施例では繊維の内腔に注入したオゾンガスを使ってバイオフィルムの一部を酸化してそれを消化できるようにする。その場合、内腔へ酸素が与えられてバイオフィルムはその酸化された有機物を消化でき、それにより発生固形物の総量を低下させ、そしてバイオフィルムの厚みを調整する。酸素を別の段階としてもしくは汚水を消化する通常の段階の一部として与えるようにしてもよい。リアクターはこのようにして一時に一つのモジュールもしくはその一部について処理される。
【0088】
別の方法では制御物質をバイオフィルム132のタンク側に加える。例えば、タンク112を排水してから例えば摂氏35−55度に加熱したきれいな水を液体ポンプ144によりタンク112に注入する。この温めた水はタンク112にある時間(接触期間)だけ例えば3−5時間入れておく。この接触期間とはバイオフィルム132の一部を殺し、そしてバイオフィルムを形成している有機物のあるものを溶解してしまうに足る時間である。供給水が取除かれてからバイオフィルムをある程度飢餓状態にする。酸素を内腔に供給しつづけてもよいし、停止してもよい。この期間中空気攪拌も行ってバイオフィルム除去を強化してもよい。この操作を空気攪拌なしで実施すれば経済的であり、その場合リアクター100から完全にブローアー136と通気装置134を除去でき、経済的となる。バイオフィルム132もある程度飢餓状態にする。この調整期間後排水弁131を介して水を抜く。産業処理システムにおいてはこの放出水はある程度CODを有する。しかし、殺された有機体の大部分はバイオフィルム32に残っているので、都市下水に放出できるように調整期間を選定する。調整期間の後の部分ではバイオフィルム32の生きている内部がその殺した有機体を分解している。例えばpHが1と6の間、もしくは3と3の間、pHが8と13の間、もしくは9と11の間の酸のような化学物質、または酵素を加えて加熱した水もしくは加熱していない水の作用効果を高める。これらの化学物質とそれらの濃度と接触時間とを選定して、バイオフィルムの構成要素である有機物を部分的に溶かし、もしくは弱めるようにするが、リアクターの急速な再始動のため活性バイオフィルム内で全体から離れている微生物の一部だけを殺すようにする。
【0089】
別の方法では、バイオフィルム132のタンク側にガス状制御物質を加える。バッチサイクルの終わりでタンク112を排水している間ガスをガス供給源140から加える。蓋146を閉じてガスがタンク112内に残っているようにする。ガスは多様であって、例えば塩素のような酸である。代替的には、オゾンを使ってもよい。オゾンの主目的はバイオフィルム132における微生物の細胞壁を破壊してそれを一層分解し易くする。加えるオゾンの量はバイオフィルムの約5%以上を直接酸化するに足りるものではなく、バイオフィルムに存在する微生物の一部だけ殺すに足りるものでもない。しかしながら有機物質は、タンクが再び満たされたとき生物学的酸化により後で減少されることとなる有機物質に変えられる。オゾンはガス相(空気もしくは酸素)の形で発生させられ、そして空のタンク112内で容易に分散する。バイオフィルム132に吸収させるだけの期間オゾンをタンク112に保っておく。タンク112内の酸化還元反応状態を調整し、その間タンクは排水されてヘドロ沈殿を促進させている。タンク12にオゾンを満たしている間入口ヘッダー116への供給をオンにし、オフにすることによりバイオフィルム132に交互に好気性状態と嫌気性状態とをつくってオゾンの作用効果を高める。殺され、そして酸化した有機物はバイオフィルム132に残っており、そしてその後その場所で消化されるので、その後の処理にとって過剰なバイオマスをタンクから取除く必要はない。炭素/窒素(C/N)比が増加するので脱窒作用も改善される。バイオフィルム32により薄膜120が保護されているのでオゾンに感じ易い薄膜120でもこの方法にオゾンを使用してもよい。
3.3 生物学的方法
【0090】
別の方法においてはぜん虫や他の生物もしくは高度生命体をリアクターの隔離部に使用して過剰なバイオフィルムを消化して生物発生を減らす。ぜん虫などは別個のバイオリアクター内で成長させる。所望であればぜん虫などは、ぜん虫などを含んでいる懸濁液もしくは塩水でタンクを満たすことによりバイオフィルムへ加えられるようにする。
【0091】
バイオフィルム調整の別の方法は内生呼吸運動である。この方法によりバイオフィルム132へ加えられる供給負荷は、バイオフィルム132の崩壊速度とそれの成長速度とが等しくなるように保てる。実際に、成長速度はバッチプロセスでは少しだけ崩壊速度を超える。その理由はタンク12を排水するときにバイオフィルム132は幾らか剥がれてタンク12を出てしまうからである。しかしながら、実際には低負荷率においてのみ内生呼吸運動が生じ、そしてそれであるからそれはCOD濃度が低い、例えばCODが1000mg/Lかもしくはそれ以下、または300mg/Lかもしくはそれ以下の供給水に対して一層適切である。
【0092】
別の方法は定期的な餓死である。この方法では供給水を長期間タンク112内に保ってCOD濃度が、典型的なバッチ法の終わりの時よりも低く低下させるようにする。バイオフィルム132は栄養を与えられず、そして次のバッチサイクルの開始までに急速に崩壊する。供給水を除いて清浄な水、例えば水道水もしくは飲料水でタンクを満たすことにより、又は0.1kgCOD/kgMLSS/日以下をリアクターに充填することによりバイオフィルムを飢餓状態にできる。
【0093】
別の方法ではモジュール40の入口ヘッダー116をある期間周期的にオン・オフする。酸素の変動供給がバイオフィルム132にショックを与え、崩壊を高める。バイオフィルムにおける好気性区域と嫌気性区域とが、他方を破壊し、もしくは他方により破壊されている間拡張し収縮する。代替的にオゾンもしくは塩素のようなガスを入口ヘッダー116に加えてショックを高める。
【0094】
化学的なもしくは生物学的なバイオフィルム調整では、シート26の相互間隔を例えば3−4mmぐらいに狭くする。その理由はモジュール40を通る水流はエアースコアリング、攪拌もしくはバイオフィルム除去の他の物理的方法のようなことを必要としないからである。スコアリング空気流がバイオフィルムのすべての部分に到達するようにはシート26もしくは繊維10もしくはユニット19が配列されていない場合も化学的なもしくは生物学的な方法は有用である。エアースコアリング、攪拌もしくは他の物理的方法によって壊されてしまうような、支持されていないもしくは緩い繊維10、繊維ユニット19もしくはトウ20を持つオープンシート26又はモジュールでも化学的なもしくは生物学的な方法は有用である。代替的に、一つもしくはそれ以上の化学的方法、一つもしくはそれ以上の生物学的方法を組合せて使用してもよい。
実施例:
実施例1:薄膜支持式バイオリアクターにおける化学的酸素要求(COD)減少
【0095】
繊維の単一シートだけを使用すること以外は図6−9に示された通りのモジュールを使ってベンチスケールのバイオリアクターをつくった。シートの長さは0.57メートル、高さは0.45メートルであって、シートの両側をバイオフィルム成長に使えるとしてバイオフィルムの全面積は約0.5平方メートルである。取り付けたバイオフィルムの表面積に対するガス転送のための表面積の比は約5と6の間である。入口空気流は34.5kPaで25ml/分であった。リアクターの容積は30Lであった。CODレベルが1000mg/lの合成物質汚染水を定期的にバッチ式で注入した。水道水に溶解した可溶性ペプトン1.0g/Lと燐酸水素ナトリウム0.03g/Lから汚水は構成されている。一連のバッチ反応が行われて反応速度と酸素転移効率とが決定された。図31は3つのバッチ期間の結果を示す。これらのバッチ期間は日2から日5の三日、日6から日9の三日、日9から日10の一日である。3日バッチ期間のそれぞれでCODが80−90%減少したことが判った。1日バッチ期間ではCODが約40%減少し、汚水濃度が高い間COD減少速度は高く、そしてバッチの汚水濃度が時間につれて低くなるにつれてCOD減少速度は一定になっていくことが判った。これらの試験期間中酸素転移効率は50−70%であった。
実施例2:合成物質汚染水でのベンチ試験
【0096】
実施例1で述べたような単一シートモジュールを使ってベンチスケールのバイオリアクターを設計した。実施例1で説明したようにCODレベルが1000mg/lの合成物質汚染水を入れて、モジュール上のバイオフィルムにより処理した。COD除去率と酸素転移率とバイオフィルムの厚みとを計算し、測定しそして記録した。ほぼ最初の21日間リアクター(30リットルの充填容積を有する)を様々なバッチ期間の後で排水し、そして供給水を充填してタンク内のCODを500と1000mg/lの間に保った。日8と日16とで、タンクを空にし新しい供給水で満たしたことに加えて、モジュールを水スプレイで洗ってバイオフィルムを除去した。ほぼ日21から日30でバイオフィルムは飢餓状態にされ(すなわち、タンクは綺麗で飲める水道水で満たされ、モジュールへの酸素供給は継続された)、そしてエアースコアリングを受けた。ほぼ日30でタンクを空にし、供給水で再充填した。それ以降は、毎日タンクは空にされ、供給水で再充填されたが、バイオフィルム調整は行われず、バイオフィルムは厚みを増していき、そしてそのような成長の効果と速さとを観察した。その試験の結果は図21に示されている。バイオフィルムの厚みに比例することなくCOD除去率は約19と38グラム/平方メートル/日の間で変化したことが認められる。約10と15グラム/平方メートル/日の間で酸素転移は、比較的広いバイオフィルムの厚み範囲にわたって、すなわち約0.5mmないし2.3mm以上の範囲にわたって、変化した。2.3mmの厚みで測定器はそれの計測最大厚みに達した。
実施例3:産業汚水での予備実験
【0097】
図6ないし9に示す4つのモジュールを使って小さい予備実験を行った。各モジュールは繊維のシート6枚を有し、バイオフィルムの平らな全表面積は約3.6平方メートルであって、取りつけられたバイオフィルムの表面積に対するガス転移表面積の比は約5と6との間である。モジュールは300リットルのタンク内に装着されている。リアクターは最初ペプトン(約2000mg/l)で作動され、それから、量を減らしてペプトンを汚水に加えてシート上のバイオフィルムの初期成長を加速するが、それからはバイオフィルムを汚水へ順化させる。バイオフィルムを順化させた後はバッチ作業を行って、産業汚水をタンクに満たす。約3000mg/lの供給水CODをつくるよう選定された比率で汚水を複数源から引き込んだ。「純粋」酸素を約5psiの供給圧力でモジュールへ送った。図23に示すように、約2日ないし3日経つとバルクCOD濃度は1000mg/l以下に落ちた。汚水のバルクCOD濃度につれて、そして時間につれてCOD除去率も低下することもバッチ毎に認められた。
【0098】
タンク内のCODの異なる濃度に対応しているバッチ間の異なる期間にCOD除去率を計算した。初期のCODが5000mg/lと7000mg/lとの間にあるバッチも試験して、これらの高い初期COD濃度のCOD除去率に対する効果を観察した。その結果を図24に示す。図24に示すように、除去率は高い充填量で一般に高くなるが、試験されたリアクターにおいて非常に高い充填量が非常に高い除去率を必ずしも生じないということであって、このことは空気供給圧、バイオフィルムの表面積への空気移行のための表面積もしくは全モジュール面積の一つもしくはそれ以上が非常に高い充填量に対して最適ではなくそれより小さかったことを示唆している。
【0099】
同じリアクターを使って一連の試験を連続操作で行った。これらの試験ではHRTと入口CODとを変化させた。供給ガスは供給圧5psiの「純粋」酸素であった。試験のHRTにより系統立てた、平均入口COD、出口CODそして除去率を図25に試験毎に示す。COD除去率はHRTが増大するにつれて、もしくは入口CODが減少するにつれて減少した。
【0100】
上述のバッチ試験中リアクターにおいてバイオフィルム調整法の有効性も実証された。毎時間15秒間約1scfm/モジュールの緩やかな通気が主として混合のため行われ、そして2−3日毎に2−3分間約4scfm/モジュールの激しいエアースコアリングが主としてバイオフィルム除去のため行われた。リアクター内の平均バルクCOD(これは300mg/lから5,500mg/lとの間で変化)とは関係なくバイオフィルムの厚みは約0.2mmから0.8mm以下の範囲に成功裏に維持された。
実施例4:都市汚水での予備実験
【0101】
実施例3で説明したような2つのモジュールを使って別の予備実験を行った。各モジュールの表面積は約3.6平方メートルであって、85リットルのタンクに設置された。空気を5psiの供給圧力でモジュールへ供給した。ペプトンを最初汚水に加えて実施例3で説明したシート上のバイオフィルムの初期成育を加速した。バッチ操作を行った。タンクに都市汚水を満たし、3mmスクリーンを通して濾過し、初期CODは平均で100−200mg/lとなったが時々700mg/Lまでとなった。バッチの終わりでCODの濃度は30mg/l以下に落ち、そしてCOD除去率は1g/m2/d以下に落ちた。バッチにおけるサンプル期間内での時間についてのCODsとCODtのレベルを図26に示す。
【0102】
連続プロセスについても全期間約60日にわたって異なる試験を行い研究がなされた。試験においてHRTは24時間から3時間まで変化し、そしてCODは100mg/lから200mg/lまで変化した。平均除去率は充填率低下につれて低下する傾向を示した。
【0103】
この連続プロセス研究で硝化カイネテックスと脱窒カイネテックスとが測定された。4つの試験の結果を次表に示す。
表1:連続操作における硝化と脱窒


【0104】
都市汚水研究でバイオフィルム調整も試験した。エアスコアリングではバイオフィルム厚み平均0.2mmが観測されたが、何枚かの個別のシート間でもっと厚いバイオフィルムが出現し、これらの区域では十分にエアスコアリングが受けられなかったことを示した。
実施例5:汚水で行ったトウモジュールを持つベンチスケールの研究
【0105】
図5に示したのと同じモジュールを試験した。このモジュールは100PMP繊維トウを持ち、それぞれのトウは96本の密な壁のPMPの繊維を有する。モジュールの繊維の全表面積は0.54平方メートルであった。モジュールにおいて各トウは上下ヘッダーにそれぞれ入れられている。底のヘッダーへ10ml/分の割合で空気を送ってモジュールに供給し、そして頂部ヘッダーから排気した。クランプで頂部ヘッダーを水面に保持し、底部ヘッダーを自重で下げてモジュールを4リットルの容積まで満たした容器内に吊り下げた。COD1000mg/Lの合成物汚水を使って、そして腐敗タンクからの汚水も使ってバッチモードでモジュールを作動させた。各バッチ処理期間の開始において容器は汚水で満たされた。汚水をタンクへ加えもしないし、抜き取りもしないで、約1日から7日の間の処理期間中繊維上で成長したバイオフィルムを支持しているモジュールへ空気を供給した。CODの濃度が低い汚水では一般に、バッチ期間は短くした。処理期間の終わりでタンクを排水した。新しい汚水を加えて次の処理期間を開始した。時間を変えてモジュールを除去してそれらの上のバイオフィルムの厚みを非破壊的に計測し、そして汚水のCODを測定した。
【0106】
合成物質汚水を使った試験からの厚み測定は図27に記録されており、それは180日の作動期間にわたる繊維上のバイオフィルムの厚みを示している。最初はバイオフィルムはないが、約20日もしくは40日後にバイオフィルムが生じ、それの厚みは約100μmと300μmの間であった。試験をしている間の大部分でバイオフィルムを調整する方法を使わなかったが、バイオフィルムの厚みは一般に安定しており、許容できるものであった。少なくともどれかのタンク排水中モジュールからバイオフィルムの小さい部分が剥落したことが認められ、そしてそうでなかったものについてはバイオフィルムの内生的成長によりバイオフィルム制御が行われた。しかしながら約15日間モジュールは飢餓状態で作動させられた。この態様ではタンクは水道水で満たされ、そして空気供給は継続された。飢餓状態の間バイオフィルムの厚みは約250μmから100μmへ減少し、飢餓期間がバイオフィルムの厚み減少に有効であることを示した。
【0107】
図28と図29とは合成物質汚水を使っての試験でのCODの除去率を示す。図28は時間の関数として除去率を示し、そして図29はCOD濃度の関数として除去率を示している。先ず、図28を参照する。この図の各垂直線は新しいバッチ処理期間の開始を示している。垂直線により示された時間にCODが1,000mg/Lの新しい汚水がタンクに加えられた。バッチが進むにつれて、汚水は処理され、従ってそれのCOD濃度は減少する。図28に示すように、COD除去率は各バッチ処理期間に時間につれて降下する傾向があり、このことは除去率が汚水のCOD濃度に関係していることを示唆している。日154と日159との間のバッチ内の除去率はゼロに近づいており、このことは更なる処理時間はムダであり、ここが限界であろうことを示している。図29ではCOD除去率を汚水内の平均COD濃度に対して直接プロットした。図29に示すように、汚水内のCOD除去率とCOD濃度との間の関係は、COD濃度に全体として除去率は比例しており、ほぼ線形である。
【0108】
腐敗タンクの汚水を使っての試験では汚水は腐敗タンクの第2室から取り出された。一つの試験について汚水の特性を以下に示す。
全化学酸素要求(COD): 377mg/L
可溶性COD(COD): 199mg/L
アンモニア窒素(AN): 55.1mg/L
全懸濁固形物(TSS): 70mg/L
モジュールはバッチモードで作動され、バッチ処理期間は約24時間であって腐敗タンク内の実際の反応状態をシミュレートしている。バイオフィルムへ酸素を供給するためこれらの期間上に述べた率で空気を供給した。22時間と35分である一度の処理期間後にその処理された汚水のサンプルを分析した。結果を以下に示す。
CODt: 140mg/L
CODs: 73mg/L
AN: 24.7mg/L
TSS: 1mg/L
排水品質のかなりの改善が達成されている。すなわち、TSSにおける顕著な減少が達成された。視覚による観察で除去されたTSSの大きな部分はコロイダル物質の形をしていた。
【0109】
図30は腐敗タンク汚水を使った別の試験からの結果の記録である。2日のバッチ期間中リアクターを作動させ、CODt、CODs、TSSそしてアンモニア窒素の濃度をバッチ期間の始まり、中程そして終わりに測定した。比較の目的で、同じ日に同じ腐敗タンクから取り出した汚水の別のサンプルを500mLの目盛つきシリンダーに入れ、そしてコントロールとして観察した。作動2日後リアクター内の全COD(CODt)の減少は75mg/Lに達し、除去は70%を超えた。2日処理した後TSSは34mg/Lから殆ど検知できないほど低下した。アンモニアもこの期間減少した。同じ期間コントロールのCODは40%以下の減少を、そしてTSSでは増加を生じた。CODを除去することにより、またプロセスの静止性ということもあって、懸濁固形物も除去することによってバッチプロセスとリアクターは有効に腐敗タンクの汚水を処理した。
実施例6:化学的バイオフィルム調整
【0110】
実施例1に記載の単一シートリアクターを使って、その上に非常に厚いバイオフィルムをつくってバイオフィルムの調整研究を行った。試験の始まりでタンクは排水され、そして温度40℃、pH9.43の脱イオン水に30Lの水酸化ナトリウム溶液を加えてリアクターへ入れた。最初の4時間の浸漬後2scfmでエアースコアリングを開始して、水酸化ナトリウム溶液がタンク内にある間18時間以上継続した。内腔への空気供給も継続した。バイオフィルムの厚みは最初の4時間にわたって幾らか(4.6mmから4.3mm)減少した。浸漬とエアースコアリングを18時間続けた後バイオフィルムの厚みは3.2mmに減少した。
【0111】
別のバイオフィルム調整研究では、図10aと図10bに示す6つの単一シートモジュールを使った。各シートは長さ27センチメートル、幅20センチメートルそして表面積は約0.11平方メートルであった。これらのシートは長く伸びて両端で開いている中空繊維で織られていた。バイオフィルム面積に対する空気転移面積の比は約1対6である。モジュールを20リットル(作動容積)のリアクター内に配置し、このリアクターは室温で約3日のバッチ期間でバッチ操作された。CODが2000から8000mg/lの濃度の合成物質汚水をリアクターに供給した。各シートの入口ヘッダーへ約20mL/分の流量で約2psiでモジュールの内腔へ空気を送った。バッチとバッチとの間の間隔を3日から7日にして、pH10の熱した50℃の水にNaOHを溶かし、その中に4時間モジュールを漬けた。内腔への空気供給は続けた。4時間後リアクターに供給水を再び満たした。浸漬期間中もしくはバッチ期間中エアースコアリングはしなかった。図31は時間に対してのバイオフィルムの厚みを示す。厚みは140日の期間にわたり0.2mmと0.8mmとの間に維持され、そして約550μmの平均であった。その期間中バッチからの計算結果は、洗浄と洗浄との間隔中バイオフィルムは平方メートル当たり66グラムから120グラムのCODを除去したことを示した。
【0112】
本発明の多くの変形態様は本発明の教示内で可能であり、そして本発明は上に説明した以外の仕方で実施できる。本発明の思想は請求項に記載されているとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】一群の中空繊維の図である。
【図1a】中空繊維の横断面図である。
【図1b】一群の中空繊維と不活性繊維とをユニットの形に集めたものを示す。
【図2a】繊維を溶融紡錘してつくるスロット構造とスピネットを示す。
【図2d】繊維を溶融紡錘してつくるスロット構造とスピネットを示す。
【図2e】繊維を溶融紡錘してつくるスロット構造とスピネットを示す。
【図3a】織られた布の平面図である。
【図3b】織られた布の断面図である。
【図3c】布を織る段階を示す。
【図3d】ワープ編みにした布を示す。
【図4a】シートの中央部は繊維がトウになっている中空繊維のシートを示す。
【図4b】図4aのシートの一部分の詳細を示す。
【図5】緩いトウモジュールの断面図である。
【図6】繊維のシーツを有するモジュールの頂面図である。
【図7】図6のモジュールの、部分断面立面図である。
【図8】図6のモジュールの別の部分の横断面、平面図である。
【図9】図6と7のモジュールの立面図である。
【図10a】繊維シートを有する別のモジュールの立面図である。
【図10b】繊維シートを有する別のモジュールの平面図である。
【図10c】繊維シートを有する別のモジュールの部分断面図である。
【図11】中空繊維シートのモジュールのカセットを装備したタンクの平面図である。
【図12】中空繊維シートのモジュールのカセットを装備したタンクの立面図である。
【図13】図11,12の装置における張力機構の詳細図である。
【図14】図13の機構の立面略図である。
【図15】リアクターの立面略図である。
【図16】リアクターの立面略図である。
【図17】他のリアクターの略図である。
【図18】他のリアクターの略図である。
【図19a】トウモジュールを使ったベンチスケールバッチリアクターである。
【図19b】図19aのリアクターで成長した繊維のトウの上のバイオフィルムの顕微鏡写真である。
【図20】支持されたバイオフィルムモジュールを使うよう変更した腐敗タンクの立面略図である。
【図21】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図22】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図23】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図24】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図25】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図26】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図27】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図28】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図29】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図30】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【図31】様々なモジュールとリアクターで行った試験結果である。
【符号の説明】
【0114】
10 中空繊維
12 外直径
14 内腔
16 内直径
19 繊維ユニット
20 トウ
22 不活性繊維
26 シート
30 バイオフィルム
32 樹脂プラグ
34 端
35 ヘッダー包囲体
36 ポート
37 キャビティ
40 モジュール
42 間隙
44 入口ヘッダー
45 鋼鉄棒
46 ポッティング材料
52 間隔ストリップ
62 幅
82 タンク
84 取入口
86 放出口
88 流路
90 バッフル
92 ヘドロ出口
94 マニホルド
98 攪拌源
100 リアクター
110 カセット
112 タンク
114 モジュール
116 入口ヘッダー
120 薄膜
122 出口ヘッダー
126 供給弁
128 供給ポンプ
131 排水弁
132 バイオフィルム
134 通気装置
136 ブロアー
138 通気弁
140 モジュール
142 ガス供給弁
144 液体ポンプ
146 蓋
148 平衡貯槽
149 再循環弁
150 剛性構造体
152 側板
154 ブラケット
156 溝
158 T字型舌片
160 ボルト
162 孔
164 穴
166 カム部材
168 取付け面
216 入口導管
218 出口導管
262 シート
400 リアクター
410 タンク
412 入口
414 出口
416 一次室
418 二次室
420 分離壁
422 オリフイス
424 モジュール
425 出口管
426 入口管
430 多孔分散管
432 攪拌排気管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中にバイオフィルムを支持する装置において、
a)内腔、外面そして開口端をそれぞれが有している複数のガス透過性の中空繊維と、
b)キャビティとこのキャビティに開いているポートとを有するヘッダーと
を備え、中空繊維がヘッダーから伸びていて、中空繊維の開口端の外面はヘッダーへシールされており、そして中空繊維の内腔はキャビティに連通していることを特徴とした装置。
【請求項2】
中空繊維の外直径は100μmかそれ以下である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
中空繊維は10%もしくはそれ以上、好ましくは30%もしくはそれ以上の中空領域を有する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
中空領域は50%もしくはそれ以下である先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
中空繊維は非多孔性のもしくは密な壁となっている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
中空繊維はポリメチルペンテンから成る先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
中空繊維は第2の端を有し、そして0.25メートルと3.0メートルの間の長さとなっている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
中空繊維は第2の端を有し、そして1.0メートルと2.0メートルの間の長さとなっている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
中空繊維はグループに配列されている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
グループは24本と96本の間の中空繊維から構成されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
グループは中空繊維よりも強い第2の繊維を含んでいる請求項9もしくは10に記載の装置。
【請求項12】
グループは繊維のトウである請求項9ないし11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
グループは糸、ヤーンもしくは縒った繊維である請求項9ないし11に記載の装置。
【請求項14】
中空繊維はカールしており、ちぢれており、もしくは波状となっている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
中空繊維はそれの長さに沿ってほぼ第1の方向に伸びている先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
それの長さに沿ってほぼ第1の方向と直交する第2の方向に伸びている第3の繊維を含んでいる先行請求項15に記載の装置。
【請求項17】
第3の繊維と中空繊維とはからみ合っている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
中空繊維と第3の繊維とは布を形成している請求項17に記載の装置。
【請求項19】
布は中空繊維の長さを横切って全体に連続している請求項18に記載の装置。
【請求項20】
布は、中空繊維の長さの一部分にわたってそれらの開口端近くまで伸びているが、繊維の長さの中央部分を越えて伸びてはいない請求項18に記載の装置。
【請求項21】
中空繊維と第3の繊維とは中空繊維の長さの少なくとも一部分にわたって織られ、編まれ、ステッチもしくはワープ編みされている請求項16ないし20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
中空繊維は第2の開口端を有している先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
中空繊維の第2の開口端は第2のヘッダーに差し込まれている請求項22に記載の装置。
【請求項24】
第2の開口端は、第2のヘッダーのキャビティを通して第2のヘッダーの第2のポートと連通している請求項23に記載の装置。
【請求項25】
ヘッダーと第2のヘッダーとは相互に離れており、中空繊維はそれらのヘッダー間を伸びる一つもしくはそれ以上の平らなシートの形に、またはほぼ並行な平らな構造体の形に配列されている請求項23もしくは24に記載の装置。
【請求項26】
平らなシートもしくはほぼ並行な平らな構造体は相互に並行となっている請求項26に記載の装置。
【請求項27】
隣接する平らな構造体の間隔は2mmと20mm、更に好ましくは3mmと15mmの間である請求項25もしくは26に記載の装置。
【請求項28】
第1のヘッダーと第2のヘッダーとは中空繊維へ張力をかけられる距離だけ離されている請求項23ないし27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
ヘッダーの外側で、平らなシートもしくは平らな要素の間にスペーサーをさらに備えている請求項25ないし28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
平らなシートもしくは平らな構造体はヘッダー間に伸びる剛性部材を備えている請求項25ないし29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が約1.6かもしくはそれ以上である先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項32】
支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が約2もしくはそれ以上である先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項33】
支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が約5もしくはそれ以上である先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項34】
支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が約1もしくはそれ以下である先行請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
布の粗さは0.1mmと2mmとの間にある請求項18ないし21のいずれかに記載の装置。
【請求項36】
a)入口と出口とを有し、処理しようとする液体を入れるタンクと、
b)先行請求項のいずれかに記載のバイオフィルム支持装置と、
c)ポートへガスを供給するガス配送システムと
を備えることを特徴とするリアクター。
【請求項37】
バイオフィルム支持装置の周りの液体を攪拌する攪拌装置もしくは瀑気装置をさらに備える請求項36に記載のリアクター。
【請求項38】
中空繊維の内腔にか、中空繊維の外面と連通しているリアクターの部分のどちらかに化学薬品を注入する薬品注入システムを含んでいる請求項36もしくは37に記載のリアクター。
【請求項39】
ポートへ供給されるガスか、タンク内の液体のどちらかを加熱するヒーターを有する請求項36ないし38のいずれかに記載のリアクター。
【請求項40】
第1のリアクターの出口が第2のリアクターの入口へ接続されている先行請求項のいずれかに記載の多段リアクター。
【請求項41】
第1と第2のリアクターが栓流リアクター、バッチリアクター、もしくは連続攪拌リアクターである請求項40に記載の多段リアクター。
【請求項42】
第2のリアクターの装置の、支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が第1のリアクターの装置よりも小さい請求項37もしくは38に記載の多段リアクター。
【請求項43】
第1のリアクターの装置の、支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が5かもしくはそれ以上であり、第2のリアクターの装置の、支持されたバイオフィルムの表面積に対する酸素転移の表面積の比が5かもしくはそれ以下である請求項40ないし42に記載の多段リアクター。
【請求項44】
出口と入口との間に複数のバイオフィルム支持装置が平行に配置されている請求項36ないし43に記載の多段リアクター。
【請求項45】
第1リアクターの装置の繊維がそれの全長に沿ってシートを形成しており、第2リアクターの装置の繊維がそれの長さの一部にわたって垂直の繊維により支持されていない請求項40ないし42のいずれかに記載の多段リアクター。
【請求項46】
a)請求項1ないし35のいずれかに記載の装置か、もしくはガス透過性バイオフィルム支持媒体の一つもしくはそれ以上の内面と連通しているポートを有する別の装置かを液体と接触させる段階、そして
b)当該装置のポートへガスを供給し、このガスは外面で成長しているバイオフィルムを支持している媒体の当該外面へ通り抜ける段階
を備えていることを特徴とする液体処理方法。
【請求項47】
液体は汚水である請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ガスは酸素を含む請求項46もしくは47に記載の方法。
【請求項49】
ガスは水素を含む請求項46ないし48に記載の方法。
【請求項50】
バイオフィルムは外面に隣接して好気性状態に保たれ、そして液体に隣接して嫌気性もしくは無酸素状態に保たれている請求項47もしくは48に記載の方法。
【請求項51】
バッチ・プロセスもしくは連続プロセスでバイオフィルム支持装置と液体とを接触させている請求項48ないし50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
液体は連続してもしくは断続的に攪拌されている請求項46ないし51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
液体が全体に栓流となって外面を通過する請求項46ないし51のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
バイオフィルムが全体に内因性成長状態となっている請求項46ないし53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
腐敗タンクもしくは艦載システムにおいて行われる、または一つもしくはそれ以上の家もしくは店舗もしくは船の部分から直接取り出される汚水を処理する請求項54に記載の方法。
【請求項56】
バイオフィルムが0.05mmと2mmとの間の厚さであり、さらに好ましくは0.1mmと1mmとの間の厚さである請求項46ないし55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
バイオフィルムの少なくとも一部分の厚みを交互に増減させる段階を備え、第1の期間中にバイオフィルムの厚みは増加し、そして第1の期間と第1の期間との間ではバイオフィルムの厚みは減少する請求項46ないし53のいずれかもしくは請求項56に記載の方法。
【請求項58】
バイオフィルムの一部分だけの厚みが一時減少する請求項57に記載の方法。
【請求項59】
液体の少なくとも一部分をエアー・スコアリングするか、もしくは攪拌することによりバイオフィルムを減少する請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項60】
バイオフィルムを消化するぜん虫もしくは他の生物を含む第2の液体とバイオフィルムの少なくとも一部分を接触させてバイオフィルムの厚みを減少する請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項61】
バイオフィルムの少なくとも一部分に繊維の内腔からか、もしくはバイオフィルムの外側からオゾンを加えてバイオフィルムのその部分を酸化させ、その酸化された部分を消化させることによりバイオフィルムの厚みを減少させる請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項62】
ポートにオゾンを注入し、その後ポートに酸素を供給することによりバイオフィルムの厚みを減少させる請求項61に記載の方法。
【請求項63】
バイオフィルムとの接触から液体を除いている間ポートに空気を供給することによりバイオフィルムの厚みを減少させ、または0.1kgCOD/kgMLSS/日以下を充填してバイオフィルムを好気的に消化させる請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項64】
バイオフィルムの外面の少なくとも一部分へ制御剤を加えることによりバイオフィルムの厚みを減少させる請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項65】
制御剤が清浄な水である請求項64に記載の方法。
【請求項66】
制御剤が好ましくは40℃と60℃との間の清浄な湯である請求項64に記載の方法。
【請求項67】
制御剤がオゾンガスである請求項64に記載の方法。
【請求項68】
制御剤はpHが8と13の間、好ましくは9と11との間のアルカリ溶液である請求項64に記載の方法。
【請求項69】
制御剤はpHが1と6の間、好ましくは3と4との間の酸である請求項64に記載の方法。
【請求項70】
制御剤が第2液体であり、そしてこの第2液体をバイオフィルムと接触させて攪拌するか、空気吹き込みする請求項64に記載の方法。
【請求項71】
制御剤を加えてからバイオフィルムを好気的に消化する請求項64ないし70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
バイオフィルムとの接触から液体を離して排水することによりバイオフィルムの厚みを減少する請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項73】
ポートへの酸素供給を時々停止もしくは減少させることにより、またはバイオフィルムの部分に交互の好気性と嫌気性もしくは無酸素状態を周期的につくりだすことによりバイオフィルムの厚みを減少する請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項74】
バイオフィルムの一部分を物理的に除去することによりバイオフィルムの厚みを減少する請求項57もしくは58に記載の方法。
【請求項75】
第3の液体を噴霧するか、またはブラッシもしくはスクレーパーで掻き落すことにより物理的にバイオフィルムの厚みを減少する請求項74に記載の方法。
【請求項76】
バイオフィルムの一部分から液体を取除いてバイオフィルムのその部分の厚みを減少する請求項57ないし75に記載の方法。
【請求項77】
液体のCODを増加させている間ポートに供給される酸素の量を増加させる請求項46ないし76に記載の方法。
【請求項78】
バイオフィルムから液体を周期的に取除き、新鮮な液体バッチで置換え、そしてその液体を除去している間、バイオフィルムを液体に接触させない間または新鮮な液体バッチを置換えバイオフィルムと接触させている間ガスの供給を継続している請求項46ないし49のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
処理された後の液体は懸濁固形物が10mg/L以下であり、そしてCODが50mg/L以下である請求項46ないし78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
2段階となっているうちの最初の段階が液体のCODを300mg/L以下に、好ましくは200と300mg/Lの間まで減少する請求項46ないし79のいずれかに記載の方法。
【請求項81】
処理前の液体のCODが1000mg/Lか、もしくはそれ以上であり、そしてバイオフィルム支持装置の取り付けたバイオフィルムの表面積に対するガス転移の表面積が1もしくはそれ以上であり、好ましくは1と10との間にある請求項46ないし80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
処理前の液体のCODが1000mg/Lか、もしくはそれ以下であり、そしてバイオフィルム支持装置の取り付けたバイオフィルムの表面積に対するガス転移の表面積が0.2と2.5との間にある請求項46ないし80のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
処理前の液体のCODが3000mg/Lか、もしくはそれ以下であり、そしてバイオフィルム支持装置の取り付けたバイオフィルムの表面積に対するガス転移の表面積が1もしくはそれ以下であり、好ましくは0.1と1との間にある請求項46ないし80のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
先行請求項の装置における繊維の端を切断する方法において、複数の繊維の開口端もしくは輪になった端の周りにペースト状の樹脂を塗って、それから固まった樹脂と繊維の固まりを切断することを特徴とした方法。
【請求項85】
中空繊維の開口端に平行でそれから離されている平らな部材へスペーサーを固着する段階を備え、スペーサーの第1の縁は中空繊維の端に近く、そしてスペーサーの第2の縁は中空繊維の端から遠くなっており、ヘッダーのキャビティに平らな部材を挿入する段階、そして平らな部材からヘッダーのキャビティの壁へ伸びるスペーサーの第2の縁にペースト状の樹脂を塗る段階を備えていることを特徴とした請求項18ないし27のいずれかに記載の装置の製法。
【請求項86】
バイオフィルムの厚みを少なくとも10日毎に減少するか、または最後の減少以来バイオフィルムの面積の平方メートル当たりのCDOの20と200グラムとの間でバイオフィルムが消化した後にバイオフィルム厚みを減少する請求項57ないし76のいずれかに記載の方法。
【請求項87】
バッチ法として操作され、バイオフィルム支持装置を含んでいるタンクから液体を排水する段階を備え、この排水段階は沈殿固形物を含んでいる液体の第1部分を第1処理システムへ排水し、そして液体の第2部分を第2処理システムへ排水する段階を備えている請求項46ないし83のいずれかに記載の方法。


【図1】
image rotate

image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図3d】
image rotate

image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公表番号】特表2006−518661(P2006−518661A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501419(P2006−501419)
【出願日】平成16年2月13日(2004.2.13)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000206
【国際公開番号】WO2004/071973
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(501214030)ゼノン、エンバイロンメンタル、インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ZENON ENVIRONMENTAL, INC.
【Fターム(参考)】