説明

支柱が立設される布製プランター

【課題】支柱を安定状態で立設させて植物栽培を行い得る、支柱が立設される布製プランターを提供する。
【解決手段】有底で上端2aが開放した土収容部2を有する布製のプランター本体3の側壁部4の内側5に、支柱6の下端側部分7を挿通又は挿入させる孔部9を有する布製の支持筒部10が、孔心を上下方向にして設けられており、プランター本体3の対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片16で連結されることによって、土収容部2が左右に二分割されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱を安定状態で立設させて植物栽培を行い得る、支柱が立設される布製プランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は特開2003−18921号公報で、野菜栽培に適する織物製プランターを提案した。該織物製プランターaは図17に示すように、織物を用いて形成された、上端開放で土が収容される有底袋状体bを具えており、その側面部cの外面側dに支柱保持部eが設けられていた。該支柱保持部eは、織物製の保持布片fの両端部分g,gを前記側面部cに縫着することにより、該保持布片fと該側面部cとの間で支柱hを挿通させる保持筒部jを形成してなるものであった。そして、該保持筒部jに支柱hの下端側部分kを挿通させると共に、前記有底袋状体bに土mを収容することにより、織物製プランターは安定状態で自立できると共に該収容された土mが該支柱hを背面側から押圧して支柱hを安定した立設状態にせんとするものであった。このように、有底袋状体bの側面部cに保持筒部jを設ける構成を採用していたのは、収容された土mに支柱を直接押し込むだけでは、十分な保持力が得られないために支柱が倒れ易いことに鑑み、プランターの外面側に設けた前記保持筒部jで支柱hを保持させることにより、収容された土mによる支柱押圧作用を発揮させ、これにより、支柱hを位置規制して安定的に保持させんとするためであった。
【0003】
そして該織物製プランターは、上端開放の有底袋状体bを有するため、多量の土を収容できる容積を容易に確保でき、収容土の重量で安定的に自立できると共に、多くの土を必要とする野菜栽培にあってもこれを良好に行うことができ、然も、織物製であるために折り畳みが容易であり、製品を輸送する際や小売店における販売時においてこれを小さく折り畳むことにより、輸送スペースや保管スペース、陳列スペースをそれほど必要とせずに輸送や保管、陳列を行い得る利点があった他、野菜等の栽培が終わった後は、土を排出して小さく折り畳むことができるため、その保管も容易である長所を有していた。又、織物製であるために、従来のプラスチック製や陶器製の栽培容器とは異なり、割れる恐れもない長所を有していた。
【0004】
しかしながら、かかる織物製プランターによるときは、前記有底袋状体bに収容された土mによる支柱hの押圧が、前記側面部を介しての間接的なものであった。又、前記保持筒部jの内径は、支柱hの下端側部分kを容易に挿通させ得るように支柱の直径よりも稍大きめに形成されていた。かかることから、該保持筒部jに挿通された状態にある支柱hは、有底袋状体bに収容された土による押圧作用が得られるとしても、ふらついて立設状態が不安定化しやすく、栽培植物を安定的に支持できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−18921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる従来の織物製プランターの問題点に鑑みて開発されたものであり、支柱の立設を容易に行うことができながら該支柱を安定状態で立設させることができ、これにより栽培植物をより安定状態で支持できる、支柱が立設される布製プランターの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点に鑑み、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る支柱が立設される布製プランターは、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターの他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられており、又、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターのその他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられており、又、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられていることを特徴とするものである。

【0010】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターのその他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の前記対向側壁部の両端側の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する端側の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターのその他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられている。又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の前記対向側壁部の両端側の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する端側の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターのその他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、該プランター本体は、平面視で長方形状を呈し、長辺側の側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されている。又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の隅角部分の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する隅角の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る支柱が立設される布製プランターのその他の態様は、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、該プランター本体は、平面視で長方形状を呈し、長辺側の側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられている。又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の隅角部分の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する隅角の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
前記布製プランターにおいて前記プランター本体は、全体が不織布からなるものとし、その底部は排水性が良好であり、その側壁部は排水不良で且つ撥水性が良好であるものとするのがよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る布製プランターは、布製のプランター本体を具えるため折り畳みが容易であり、輸送スペースや保管スペース、陳列スペースをそれ程必要とせずに輸送や保管、陳列を行い得るなど布製の利点を有するのは元より、以下の如き優れた効果を奏する。
【0016】
(1) 本発明に係る布製プランターは、有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が孔心を上下方向にして設けられている。
従って本発明によるときは、収容された土に支柱を直接押し込むのとは異なり、支持筒部に支柱の下端側部分を挿通又は挿入させるため、先ず、支柱の立設の位置決めを行うことができ、然も、側壁部の内側に設けられた布製の支持筒部に支柱の下端側部分が挿通又は挿入された状態で前記プランター本体に土が収容されることにより、該収容された土の重量と土による押し付け作用によって該支持筒部が潰れ、該潰れた支持筒部が支柱の下端側部分の内面側に密着状態となると共に、支柱の下端側部分の外面側が布製プランターの側壁部で外側から安定状態で支持されることになる。
かかることから本発明によるときは、支柱の位置決め立設を容易に行なうことができながら該支柱を安定状態で立設させることができ、これにより、植物栽培を良好に行なうことができる。
【0017】
(2) 平面視で長方形状を呈するプランター本体の長辺側の側壁部の長さ方向の中央部位相互等、プランター本体の、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互を繋ぎ片で連結する構成を採用するときは、該対向側壁部間の間隔を一定に規制できる。かかることから、プランター本体に収容された土の圧力で該対向側壁部が外側に膨らむのを防止できる。それ故、土が収容された布製プランターの長方形形状や正方形形状等の形状を良好に保持できることとなり、その設置状態の安定化を確保でき、植物栽培を良好に行なうことができる。
【0018】
(3) 前記繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間に、左右の土収容部分を連通させる連通開口を設ける場合は、前記繋ぎ片で2分割された左右の土収容部分に収容された土に関し、水分や養分が左右行き来できることとなる。このことは、左右の土収容部分の夫々で植物を栽培する際の植物の生長の均一化に寄与することともなる。
【0019】
(4) 前記繋ぎ片の長さ方向の中央部分において中央の支持筒部を孔心を上下方向にして設ける場合は、中央の支柱を、その下端側部分を該中央の支持筒部に挿通又は挿入させて立設状態となし得る。これによって、該中央の支柱を兼用して、左右の土収容部分の夫々において、該中央の支柱と前記対向側壁部間の両端側の支持筒部で立設された2本の支柱とにより左右2組の支柱組を形成できる。従って、各支柱組に関し、隣り合う支柱相互を支柱連結具で連結することとすれば、布製プランターを用いながら、平面視で正三角形状乃至二等辺三角形状を呈する安定構造の三角形枠状を呈する支柱枠体を左右隣り合わせて構成でき、これらの支柱枠体を用いて、左右の土収容部分の夫々で植物を良好に栽培できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る布製プランターに支柱を立設した状態を示す斜視図である。
【図2】布製プランターを示す斜視図である。
【図3】布製プランターを示す平面図である。
【図4】布製プランターを示す断面図である。
【図5】布製プランターの製造工程を説明する斜視図である。
【図6】側壁部形成片を用いて支持筒部を形成する縫製工程を説明する平面図である。
【図7】本発明に係る布製プランターを用いて構成された植物栽培装置を示す斜視図である。
【図8】その平面図である。
【図9】支柱相互を連結する支柱連結具を示す斜視図と、その支柱挾持部に支柱を嵌入させた状態を示す部分平面図である。
【図10】支持筒部に支柱の下端側部分が挿入された状態と、土収容部に収容された土によって支持筒部が支柱と密着した状態を示す断面図である。
【図11】平面視で楕円形状を呈するプランター本体を具える布製プランターを示す平面図である。
【図12】平面視で円形状を呈するプランター本体を具える布製プランターを示す平面図と斜視図である。
【図13】その布製プランターの支持筒部に支柱の下端部分を挿入して3本の支柱を立設すると共に支柱相互を支柱連結具で連結した状態を示す斜視図である。
【図14】繋ぎ片の他の態様を示す斜視図である。
【図15】繋ぎ片のその他の態様を示す斜視図である。
【図16】繋ぎ片のその他の態様を示す斜視図である。
【図17】従来の織物製プランターを使用状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1〜4において、本発明に係る支柱が立設される布製プランター(以下布製プランターという)1は、有底で上端2aが開放した土収容部2を有する布製のプランター本体3の側壁部4の内側5に、支柱6の下端側部分7を挿入させる孔部9を具えた布製の支持筒部10が、孔心を上下方向にして設けられている。
【0022】
前記プランター本体3は、全体が例えばポリエステル製の比較的厚手の不織布を用いて構成されており、平面視で長方形状を呈する直方体状容器として構成されている。その長辺11(図3)の長さは例えば30〜50cmに、本実施例においては約47cmに設定されると共に、その短辺12の長さは例えば25〜40cmに、本実施例においては約27cmに設定され、その深さは約25cmに設定されている。これによって、例えば30リットル程度の大容積の布製プランターを構成できることとなる。
【0023】
そして図1〜4に示すように、、長辺側の側壁部(平行する対向側壁部13,13)13a,13bの長さ方向の中央部位15,15相互が繋ぎ片16で連結されることによって、前記土収容部2が左右の土収容部分17,19に二分割されている。該繋ぎ片16は、本実施例においては前記と同様の不織布を用いて形成された横長矩形状片として形成されており、その両端部分20,20が前記中央部位15,15に縫着されている。そして、該繋ぎ片16の下端21と前記プランター本体3の底面44(底部22の上面23)との間には、左右の土収容部分17,19を連通させる連通開口24が設けられている。
【0024】
又、図1〜4に示すように、前記プランター本体3の4つの端部分(本実施例においては4つの隅角部分)25,25,25,25の内側には、前記支柱6の下端側部分7を挿入させる前記孔部9を有する端側(本実施例においては隅角)の支持筒部10a,10a,10a,10aが、プランター本体3と一連に、孔心を上下方向にして設けられている。又、前記繋ぎ片16の長さ方向の中央部分の一面側に、前記支柱6の下端側部分7を挿入させる孔部9を有する中央の支持筒部10bが、前記繋ぎ片16と一連に、孔心を上下方向にして設けられている。
【0025】
該隅角の支持筒部10a及び中央の支持筒部10bは、支柱6の下端側部分7を容易に挿入させることができるように、その直径を、支柱6の直径よりも稍大きめに設定している。
【0026】
図5〜6は、前記隅角の支持筒部10a,10a,10a,10aが設けられてなるプランター本体3の製造工程を示すものであり、不織布からなり且つ一方向に長い帯状の側壁部形成片26と、不織布からなり且つ長方形状の底部形成片27とを用いて、縫製により形成する場合を示している。なお本実施例においては、該底部形成片27は、排水性と通気性が良好な不織布を用いて形成されており、又、前記側壁部形成片26は、撥水性が良好であって通気性も有する不織布を用いて形成されている。
【0027】
前記側壁部形成片26は、図5〜6に示す直方体筒部28を形成するものであり、一方の短辺側の側壁部30aに続けて、一方の長辺側の側壁部13aを連設するに際し、該連設部分31で、該直方体筒部28の内側29においてループ状の屈曲部32を形成し、その根元部33,33相互を、前記側壁部形成片26の幅方向(以下上下方向という)に縫製し、これにより、前記隅角の支持筒部10aを形成する。そして、該一方の長辺側の側壁部13aに続けて他方の短辺側の側壁部30bを連設するに際し、該連設部分35で、前記内側29においてループ状の屈曲部32を形成し、その根元部33,33相互を上下方向に縫製することにより前記隅角の支持筒部10aを形成する。又、該他方の短辺側の側壁部30bに続けて他方の長辺側の側壁部13bを連設するに際し、該連設部分36で、前記内側29に位置させてループ状の屈曲部32を形成し、その根元部33,33相互を上下方向に縫製することにより前記隅角の支持筒部10aを形成する。そして更に、該他方の長辺側の側壁部13bに続けて一方の短辺側の側壁部30aを連設するに際し、他方の長辺側の側壁部13bの端部側の突出片37を前記内側29でループ状に屈曲させると共に、該ループ状の屈曲部32の根元部33,33間で一方の短辺側の側壁部30aの端部分39を挾み、その全体をその根元部33,33で上下方向に縫製することにより、前記隅角の支持筒部10aを形成する。このようにして縫製すれば、直方体筒部28の形成過程で隅角の支持筒部10aが同時に構成されることになる。このようにして構成された隅角の支持筒部10aは、本実施例においては、その下端40(図4)が開放状態とされている。
【0028】
そして、前記底部形成片27の縁部分41と前記直方体筒部28の下端部分42とを、前記内側29において重ね合わせ、周方向に縫製する。このように縫製によって形成すれば、隅角の支持筒部10a,10a,10a,10aが設けられてなる布製プランター1を構成するに際し、隅角の支持筒部10aと直方体筒部28とを縫製により簡易且つ能率的に一体に形成できることになる。
【0029】
該プランター本体3は、その底部22(図4)は排水性が良好であり、その側壁部4は、排水不良で、撥水性が良好である。このように側壁部4は排水不良であることから、内部から泥水が染み出る恐れがなく、側壁部4の表面が汚損されない。又、側壁部4は撥水性が良好であることから、側壁部4の表面に汚れが付着しにくい。又、前記繋ぎ片16は、図3(C)に示すように、その長さ方向の中央部分においてループ状に屈曲され、該ループ状の屈曲部43の根元部33,33相互が該繋ぎ片16の幅方向(上下方向)で縫製されることにより、前記中央の支持筒部10bが形成されている。そして、該繋ぎ片16の両端部分20,20が、前記長辺側の側壁部13,13の中央部位15,15に夫々縫製されている。これによって、図4に示すように、該繋ぎ片16の下端21とプランター本体3の底面44(底部22の上面23)との間に、本実施例においては約11cmの間隔が設けられ、前記連通開口24が形成されている。
【0030】
又、本実施例においては図2に示すように、前記長辺側の側壁部13,13の上部分の外面中央部両側に、逆U字状をなす不織布製の持ち手布片46の両端部分47,47が重ね合わせられて縫着されることにより、持ち手49,49が形成されている。
【0031】
又本実施例においては、各側壁部13a,13b,30a,30bの目立ちにくい下側部分に位置させて、水抜き孔50が適宜設けられている。この水抜き孔50は、前記底部22(図4)での排水が不良となったときにプランター内部の排水を確保する上で役立つ。
【0032】
図7〜8は、かかる構成を有する布製プランター1を用いて植物栽培装置Aを構成した状態を示すものである。そのために、図1に示すように、前記隅角の支持筒部10a,10a,10a,10aに隅角の支柱6aの下端側部分7を挿入乃至挿通し、図4に示すように、支柱下端51を前記底面44に載せて、隅角の支柱6a,6a,6a,6aを立設状態とすると共に、中央の支持筒部10bに中央の支柱6bの下端側部分7を挿通させ、支柱下端51を前記底面44に載せて、該中央の支柱6bを立設状態とする。該隅角の支柱6a及び該中央の支柱6bの長さは、栽培せんとする植物に合わせて設定されるものであり、例えば100〜180cmに設定される。
【0033】
そして、このように5本の支柱6a,6a,6a,6a,6bが立設されることによって、図7〜8に示すように、中央の支柱6bと前記一方の土収容部分17で立設された2本の隅角の支柱6a,6aとにより第1の支柱組52が形成されると共に、該中央の支柱6bと前記他方の土収容部分19で立設された2本の隅角の支柱6a,6aとにより第2の支柱組53が形成される。そして該第1の支柱組52及び第2の支柱組53に関して、図7〜8に示すように、隣り合う支柱6,6相互が支柱連結具55で連結されることにより、図8に示すように、平面視で正三角形状乃至二等辺三角形状を呈する安定構造の支柱枠体56,56が左右隣り合わせて構成されることになる。
【0034】
該支柱連結具55は、図9に示すように、全体が合成樹脂製であり、直線状を呈する連結棒材57の両端側をなす支柱連結部分59,59の夫々に支柱挾持部60が設けられている。該支柱挾持部60は、前記支柱6を嵌入させる嵌入凹部61を有し該嵌入凹部61に嵌入された支柱6を弾性的に挾持し得るC字状の挾持部本体62を具え、該挾持部本体62の支柱導入口63の開口幅は前記支柱6の径よりも小さく形成されると共に、該支柱導入口63の両端部65,65に、両者間の幅が先端に向けて拡大するハの字状を呈するように互いに逆方向にガイド片66,66が突設されている。本実施例においては各支柱連結部分59,59の夫々に、支柱挾持部60が所要間隔を置いて3個づつ設けられている。このように支柱挾持部60を複数個設けているのは、立設状態とされた隣り合う支柱6,6間の間隔の大小に応じられるようにするためである。
【0035】
このようにして隣り合う支柱6,6相互を支柱連結具55で連結するに先立って或いは連結した後に、図7に示すように、左右の土収容部分17,19に土64が収容され、例えばベランダや庭先、室内等において野菜や花等の植物の栽培を行うことができる。その際、前記左右の支柱枠体56,56によって、同種又は異種の植物(ピーマンやナス、トマト、花等)を左右に一株ずつ栽培できることになる。
【0036】
土収容部2に土64が収容されることにより、布製プランター1は、収容された土がウエイトとなって安定的に自立できる。そして、当初は図10(A)の状態にあった各支持筒部10は、例えば図10(B)に示すように、収容された土64の重量と土による押し付け作用によって潰れ、前記支柱6の下端側部分7の内面側67に密着状態となると共に、該支柱6の下端側部分7の外面側68が前記布製プランター1の隅角部分25で外側から安定状態で支持されることになる。これにより、支柱6は位置決めされて安定した立設状態となる。然も前記のように、隣り合う支柱6,6相互が支柱連結具55で連結されているため、左右の土収容部分17,19において、中央の支柱6bを兼用した状態で、平面視で正三角形状乃至二等辺三角形状を呈する左右2連の支柱枠体56,56が安定状態で構成されることになるのである。
【0037】
そして、支柱6がこのように布製プランター1の隅角部分25に押圧されるため、該隅角部分25(図7)の上下直線性が確保されることになる。然も、前記繋ぎ片16が、長辺側の側壁部13,13間の間隔を所要に保持するため、収容された土64の圧力で該長辺側の側壁部13,13が外側に膨らむのを防止でき、土収容部2に土64が収容された状態にある布製プランター1の直方体状の形態を安定的に保持できることとなる。又、繋ぎ片16の下端21と前記プランター本体3の底面44との間に、左右の土収容部分17,19を連通させる連通開口24が設けられているため、左右の土収容部分17,19に収容された土64,64に関し、水分や養分が左右行き来できる。
【0038】
加えて前記布製プランター1は、全体が不織布を以て構成されているため、折り畳みが容易であり、製品を輸送する際や小売店における販売時においてこれを小さく折り畳むことにより、輸送スペースや保管スペース、陳列スペースをそれほど必要とせずに輸送や保管、陳列を行い得ることとなる。又、野菜栽培等が終わった後は、土を排出させて小さく折り畳むことができるため、その保管も容易である。更に、全体が不織布製であるために、従来のプラスチック製や陶器製の栽培容器とは異なり、割れる恐れもない。
【実施例2】
【0039】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0040】
(1) 本発明に係る布製プランター1が、平行する対向側壁部13,13の長さ方向の中央部位15,15相互が繋ぎ片16で連結されることによって、前記土収容部2が左右に二分割される場合、前記プランター本体3は、図3に示すような、平面視で長方形状を呈するものには限られず、例えば図11に示すように、対向側壁部13,13の向き合う端部69,69相互が円弧状の連結側壁部70,70で接合されて、平面視で楕円形状を呈したものとして構成されることもある。この場合は、該対向側壁部13,13の両端側の内側に前記端側の支持筒部10,10、10,10が設けられる。
該対向側壁部13,13相互を連結する連結側壁部70,70の形態によって、前記プランター本体3は、平面視で、前記した長方形状や楕円形状の他、正方形状や六角形状等の各種の所望形態に構成することもできる。
そして、このように構成するときも、平行する対向側壁部13,13の長さ方向の中央部位15,15相互を繋ぎ片16で連結してもよい。
【0041】
(2) 図12は、プランター本体3が、平面視で、円形状に形成された場合を示すものであり、該円形状の側壁部4の内面5に、例えば、周方向に120度の角度ピッチで支持筒部10,10,10が設けられている。
図13は、かかる布製プランター1の該支持筒部10,10,10の孔部9に支柱6の下端側部分7を挿通又は挿入することにより、例えば正三角形の頂点部に位置させて3本の支柱6,6,6を立設した状態を示している。そして、隣り合う支柱6,6相互が、前記したと同様構成の支柱連結具55で連結されることにより、正三角形枠状を呈する安定構造の支柱枠体56が構成されている。
【0042】
(3) 該繋ぎ片16の下端21と前記プランター本体3の底部22の上面23との間に連通開口24を設ける場合、該連通開口24の上下幅は、左右の土収容部分17,19に関し、水分や肥料分を行き来させることができると共に、該繋ぎ片16がプランター本体3の形状保形機能を発揮する限り、所要に設定できる。
【0043】
(4) 前記布製プランター1は、前記繋ぎ片16が設けられないこともある。
【0044】
(5) 図14〜15は、前記繋ぎ片16の下端21を前記プランター本体3の底面44にまで達する状態とした場合を示している。特に図15においては、該繋ぎ片16の少なくとも下端側部分7に、左右の土収容部分17,19を連通させる連通開口24が設けられた場合が示されている。
これらの場合、繋ぎ片16の下端21は、必ずしも該底面44にまで達していることは必要ではなく、該底面44の近傍にまで達する状態とされることもある。即ち、該繋ぎ片16の下端21と該底面44との間に多少の開口が設けられた状態とされることもある。
図14〜15においては、前記中央の支持筒部10bが前記繋ぎ片16の上下全幅に亘って形成されており、該中央の支持筒部10bの下端71は開放している。図14〜15は、中央の支柱6bの下端側部分7を該中央の支持筒部10bに挿通させ、支柱下端72を前記底面44に載せた状態を示している。
【0045】
(6) 前記繋ぎ片16は、その上端73(図2)が前記プランター本体3の上端75(図2)にまで達していてもよい。
【0046】
(7) 前記繋ぎ片16に中央の支持筒部10bを設ける場合、例えば図16(A)(B)(C)に示すように、該繋ぎ片16の両側に突出する状態で突出片76,76を設け、両突出片76,76によって前記中央の支持筒部10bを構成する場合もある。
【0047】
(8) 前記支持筒部10bは、前記実施例においては、その下端40,71が開放状態とされているが、その下端部を縫製して有底筒状に形成してもよい。
【0048】
(9) 前記隅角の支持筒部10a及び前記中央の支持筒部10bは、前記のように上下一連状態に設けられた1本の筒部として構成されることの他、上下複数段に、例えば上下2段に、孔心を合致させて設けることもある。
又該支持筒部10は、前記のように縫製により形成することの他、別体形成された、前記孔部9を有する筒状片やループ状片を、縫製や熱融着等によって固定して設けることもできる。
【0049】
(10)前記プランター本体3は、前記不織布を用いて構成することの他、織物や編物を用いて構成することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 布製プランター
2 土収容部
3 プランター本体
4 側壁部
5 内面
7 下端側部分
9 孔部
10 支持筒部
11 長辺
12 短辺
13 長辺側の側壁部
15 中央部位
16 繋ぎ片
17 土収容部分
19 土収容部分
21 繋ぎ片の下端
22 底部
23 上面
24 連通開口
25 端部分
30 短辺側の側壁部
32 ループ状の屈曲部
33 根元部
52 第1の支柱組
53 第2の支柱組
55 支柱連結具
56 支柱枠体
57 連結棒材
59 支柱連結部分
60 支柱挾持部
64 土
70 連結側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項2】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられており、又、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項3】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体の側壁部の内側に、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する布製の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられており、又、該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項4】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、
該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、
又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の前記対向側壁部の夫々の側壁部の両端側の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する端側の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項5】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、
該プランター本体は、平行する対向側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられており、
又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の前記対向側壁部の夫々の側壁部の両端側の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する端側の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項6】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、
該プランター本体は、平面視で長方形状を呈し、長辺側の側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、
又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の隅角部分の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する隅角の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項7】
有底で上端が開放した土収容部を有する布製のプランター本体を具え、
該プランター本体は、平面視で長方形状を呈し、長辺側の側壁部の長さ方向の中央部位相互が繋ぎ片で連結されることによって、前記土収容部が左右に二分割されており、該繋ぎ片の下端と前記プランター本体の底面との間には左右の土収容部分を連通させる連通開口が設けられており、
又、該繋ぎ片には、その長さ方向の中央部分において、支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する中央の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられると共に、前記プランター本体の隅角部分の内側には、前記支柱の下端側部分を挿通又は挿入させる孔部を有する隅角の支持筒部が、孔心を上下方向にして設けられていることを特徴とする、支柱が立設される布製プランター。
【請求項8】
前記プランター本体は全体が不織布からなり、その底部は排水性が良好であり、その側壁部は排水不良で且つ撥水性が良好であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の布製プランター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−130757(P2011−130757A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4212(P2010−4212)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】