説明

支柱

【課題】廃棄の際にそのままの状態で廃棄してもよく、また廃棄物処理施設等で分別処理しなくても、その場で簡単に分別して廃棄することもでき、さらに軽量化されたものとし、しかも自然の風合いを感じさせ、心を和ませるようにした支柱を提供する。
【解決手段】合成樹脂管1内に、この合成樹脂管1の内周面1aに角部2aが接するようにして木製角材2を挿入し、合成樹脂管1の上端部に合成樹脂製の栓体3を被着し、合成樹脂管1の下端部に合成樹脂製の栓体4を被着したものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広告宣伝用ののぼり旗の旗竿として、またのれん棒として用いられたり、農園芸などにおける植物の支持手段としても用いられたりする支柱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の支柱としては、古くは天然竹が用いられていた。天然竹は、清楚感に溢れ、素朴さと風合いの良さを兼ね備えており、地球環境に優しく、公害の発生源となることもないので、使い捨て使用するのに好ましく、各種店頭などにおける屋外広告用の旗竿に用いられている。しかし、天然竹を旗竿として使用した場合、形状が不揃いのため大量消費には向かない。また、天然竹は、日光や雨で傷むのが早いので取り替えが大変である。そのため、天然竹は、旗竿として用いられるのには余り適さないといえる。
【0003】
そこで、この種の支柱としては、例えば図6に示したような農園芸用支柱が案出されている。この農園芸用支柱は、金属管11の周壁面に合成樹脂被膜12を被覆してなる支柱本体13の両端部に密栓14を嵌装してなり、密栓14に支柱本体13内と外気とが連通する通気孔15を開設したものとしている(特許文献1)。
【0004】
このように構成した従来の支柱は、合成樹脂被膜12の膨れ現象が解消されるために耐久性や美観性が向上するとしている。
【0005】
さらに、この種の支柱としては、例えば図7に示したようなものが案出されている。この支柱は、合成樹脂製栓体21に金属管22の外形と略等しい鍔部23とこの鍔部23の一端に金属管22の内径と略等しい嵌合部24を形成し、この嵌合部24を金属管22の少なくとも一端に取着し、金属管22の外周側面22aから鍔部23の外周側面23aにかけて合成樹脂の被覆層25を形成し、この被覆層25に、金属管22の端部と栓体21との境に沿って、環状突起26を形成したものにしている(特許文献2)。
【0006】
このように構成した従来の支柱は、栓体21が抜脱することなく、栓体21により金属管22の内部の水密性が図られ、また環状突起26に支えられて金属管22の端部と栓体21との境での曲げ強度が大きく、かつ被覆層25の端部が破損しにくく、支柱の端部が保護されるとしている。
【特許文献1】実開昭63−167851号公報(第1、3頁、第1図)
【特許文献2】特開平5−260865号公報(第1、4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の支柱は、いずれも金属管の外周面に合成樹脂の被覆層を形成しており、この合成樹脂の被覆層が金属管に密着しているので、合成樹脂の被覆層が金属管から剥離することなく、耐久性に優れたものとなり、長期間に渡って使用することができるという利点を有する。
【0008】
一方、このような従来の支柱は、近年の資源の再利用化、ゴミの分別収集の細分化等が求められる状況下においては、廃棄の際に合成樹脂の被覆層と金属管とは簡単に分離できることが、廃棄物処理施設等での労力や経費の削減面から望ましい。
【0009】
しかしながら、上記従来の支柱は、合成樹脂の被覆層が金属管に密着して一体化しており、廃棄の際に合成樹脂と金属とを簡単に分離することができず、そのまま廃棄される。したがって、廃棄物処理施設等で合成樹脂と金属とを分離するには、多大な労力や経費がかかるため、埋め立て処理される場合が多く、資源の再利用化を促進することができないという問題点を有していた。
【0010】
また、上記従来の支柱は、旗竿として使用した場合も、合成樹脂の被覆層が露出しているだけであるので、色調を変化させたとしても、外観が単調で冷たい印象を受けるという問題点を有していた。
【0011】
さらに、上記従来の支柱は、金属管を用いているため、重量がどうしても重くなるという問題点を有していた。
【0012】
そこで、この発明は、上記従来の問題点を解決することをその課題としており、廃棄の際にそのままの状態で廃棄してもよく、また廃棄物処理施設等で分別処理しなくても、その場で簡単に分別して廃棄することもでき、さらに軽量化されたものとし、しかも自然の風合いを感じさせ、心を和ませるようにした支柱を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのため、この発明の支柱は、合成樹脂管1内に、この合成樹脂管1の内周面1aに角部2aが接するようにして木製角材2を挿入し、合成樹脂管1の上端部に合成樹脂製の栓体3を被着し、合成樹脂管1の下端部に合成樹脂製の栓体4を被着したものとしている。
【0014】
さらに、この発明の支柱は、前記合成樹脂管1の外周面1bに天然竹の模様を形成したものとしている。
【0015】
また、この発明の支柱は、前記合成樹脂管1と木製角材2とを複数本に分割したものとし、これら複数本の合成樹脂管1どうしを合成樹脂製のジョイント部材5により連結したものとしている。
【0016】
さらに、この発明の支柱は、前記ジョイント部材5を、連結する一方の合成樹脂管1の内周面1aに内接する外径とした挿入部6aを有し、前記一方の合成樹脂管1の端縁1cに係止するフランジ6bを有した連結管体6と、この連結管体6の内周面6cに内接する外径とした挿入部7aを有し、連結する他方の合成樹脂管1の内周面1aに内接する外径とした挿入部7bを有し、これら挿入部7aと挿入部7bの間に前記他方の合成樹脂管1の端縁1cに係止するフランジ7cを有した連結体7とからなるものとしている。
【0017】
また、この発明の支柱は、前記ジョイント部材5により連結した合成樹脂管1のそれぞれの端縁1cの近辺を、合成樹脂管1の外周面1bに内接する内径とした合成樹脂製被覆管体8で被覆したものとしている。
【発明の効果】
【0018】
この発明の支柱は、以上に述べたように構成されており、金属部分を有していないので廃棄の際にそのままの状態で廃棄してもよく、その場で合成樹脂と木材に簡単に分別して廃棄すれば、資源の再利用化に適したものとなる。さらに、この発明の支柱は、金属部分を有していないので軽量化されたものとなり、運搬するのが楽になったり、取扱い易いものなる。また、この発明の支柱は、合成樹脂管の外周面に天然竹の模様を形成したものでは、自然の風合い感じさせ、心を和ませるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の支柱を実施するための最良の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
この発明の支柱は、図1〜5に示したように、主として合成樹脂管1と木製角材2よりなる。この木製角材2は、前記合成樹脂管1の内周面1aに角部2aが接するようにして、この合成樹脂管1内に挿入している。そして、前記合成樹脂管1の上端部には、合成樹脂製の栓体3を被着し、前記合成樹脂管1の下端部には、合成樹脂製の栓体4を被着している。
【0021】
合成樹脂管1は、任意の太さのものを使用することができるが、旗竿として用いる場合には外径が約18〜22mm、内径が約16〜20mmの丸管とするのが好ましく、外周面1bに天然竹の模様を形成したりして、天然竹に似せたものとするのが、天然竹のように清楚感に溢れ、素朴さと風合いの良さを兼ね備えたものとなり好ましい。
【0022】
木製角材2は、三角や四角など各種の角材とすることができるが、四角の角材とすれば加工もし易く、四つの角部2aを合成樹脂管1の内周面1aに接することができ、この合成樹脂管1内に安定した状態で挿入しておくことができる。なお、前記木製角材2は、四角の角材とした場合、前記合成樹脂管1の内径が約16〜20mmであれば、約11〜14mm角の角材2とすることができ、このような角材は廃材などを加工したものを利用することができるので、安価に入手することができるものとなる。
【0023】
そして、この発明の支柱は、前記合成樹脂管1と木製角材2とを複数本に分割したものとし、これら複数本の合成樹脂管1どうしを合成樹脂製のジョイント部材5により連結したものとすることができる。この発明の支柱が、2.0〜3.0mを超える程度の長さになると、運搬や保管するのに嵩張るので、合成樹脂管1と木製角材2をそれぞれ二分割にしたり、三分割にしたものとするのが好ましい。
【0024】
ジョイント部材5は、連結する一方の合成樹脂管1の内周面1aに内接する外径とした挿入部6aを有し、前記一方の合成樹脂管1の端縁1cに係止するフランジ6bを有した連結管体6と、この連結管体6の内周面6cに内接する外径とした挿入部7aを有し、連結する他方の合成樹脂管1の内周面1aに内接する外径とした挿入部7bを有し、これら挿入部7aと挿入部7bの間に前記他方の合成樹脂管1の端縁1cに係止するフランジ7cを有した連結体7とからなるものとしている。なお、連結管体6の挿入部6a、連結体7の挿入部7aおよび挿入部7bの長さは、それぞれ合成樹脂管1の長さの約1/10〜1/20とするのが、合成樹脂管1どうしを安定した状態で連結しておけるものとなる。
【0025】
さらに、この発明の支柱は、前記ジョイント部材5により連結した合成樹脂管1のそれぞれの端縁1cの近辺を、合成樹脂管1の外周面1bに内接する内径とした合成樹脂製の被覆管体8で被覆したものとしている。この被覆管体8は、合成樹脂管1の外径よりも少し小さい内径を有する弾性合成樹脂からなるものとするのが、前記合成樹脂管1のそれぞれの端縁1cの近辺に被覆した場合、その近辺にフィットしてずれ難いものとなり好ましい。
【0026】
また、この発明の支柱を旗竿に用いる場合には、合成樹脂管1の上端に被着した栓体3は、図3に示したように、上部突出部31と下部挿入部32からなるものとしている。この上部突出部31には、押え体31aが螺着されており、この押え体31aをねじ込むことにより、上部突出部31の支持孔33に挿入された旗の支持棒(図示せず)を押圧して支持するようにしている。また、下部挿入部32は、カラー34を介在させて合成樹脂管1内に遊嵌したものとしている。このようにすると、前記支持棒が支持孔33に支持された状態で旗に風が当たると、合成樹脂管1内に遊嵌した下部挿入部32がその風向きに応じて回るので、支持棒も一緒に回ることになり、旗が各方向から見えるものとなって広告宣伝効果に優れたものとなる。
【0027】
さらに、前記合成樹脂管1の下端部に被着する栓体4は、図5に示したように、合成樹脂管1の外周面1bに単に嵌め込まれるようにしたり、合成樹脂管1内に嵌合するようにした嵌合部(図示せず)を有したものなどにすることができる。
【0028】
以上のように構成したこの発明の支柱は、屋外広告用の旗竿として、または農園芸における植物の支持手段として使用した場合には、金属部分を有していないので軽量化されたものとなり、運搬するのが楽になったり、取扱い易いものとなる。そして、このようにして使用した場合に、合成樹脂管1の外周面1bに天然竹の模様を形成したものでは、自然の風合い感じさせ、心を和ませるものとなる。また、屋外広告用の旗竿として使用した場合には、合成樹脂管1内に木製角材2を挿入したことにより、合成樹脂管1の弾性と木製角材2の弾性が組み合わさって、風が吹くと天然竹と同じように撓って、より宣伝広告効果が得られるものとなる。
【0029】
また、この発明の支柱は、前記旗竿や支持手段として、長年、使用した結果、傷んでしまった場合には、金属部分を有していないので廃棄の際にそのままの状態で廃棄することもできるが、その場で合成樹脂管1から栓体3、4を外し、さらに複数本の合成樹脂管1を連結したものでは、ジョイント部材5や被覆管体8も外せば、合成樹脂管1から木製角材2を引き抜くことができる。
【0030】
そして、このようにした複数本の合成樹脂管1、栓体3、4、ジョイント部材5、および被覆管体8を一纏めにし、また複数本の木製角材2を別にして纏めておけば、合成樹脂と木材とに分離して廃棄することができるので、合成樹脂と木材を分別収拾することができるものとなり、廃棄物処理施設等で合成樹脂と木材とに分離しなくても済むので、資源の再利用化に適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の支柱の一部省略斜視図である。
【図2】この発明の支柱の合成樹脂管内に挿入する部材の分解斜視図である。
【図3】この発明の支柱の上部近辺の一部切欠断面図である。
【図4】この発明の支柱の中央部近辺の断面図である。
【図5】この発明の支柱の下部近辺の断面図である。
【図6】従来の支柱の一例を示す断面図である。
【図7】従来の支柱の他の例を示す一部切欠断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 合成樹脂管
1a 内周面
1b 外周面
1c 端縁
2 木製角材
2a 角部
3 栓体
4 栓体
5 ジョイント部材
6 連結管体
6a 挿入部
6b フランジ部
6c 内周面
7 連結体
7a 挿入部
7b 挿入部
7c フランジ部
8 被覆管体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂管(1)内に、この合成樹脂管(1)の内周面(1a)に角部(2a)が接するようにして木製角材(2)を挿入し、合成樹脂管(1)の上端部に合成樹脂製の栓体(3)を被着し、合成樹脂管(1)の下端部に合成樹脂製の栓体(4)を被着したことを特徴とする支柱。
【請求項2】
前記合成樹脂管(1)の外周面(1b)に天然竹の模様を形成したことを特徴とする請求項1記載の支柱。
【請求項3】
前記合成樹脂管(1)と木製角材(2)とを複数本に分割したものとし、これら複数本の合成樹脂管(1)どうしを合成樹脂製のジョイント部材(5)により連結したことを特徴とする請求項1または2記載の支柱。
【請求項4】
前記ジョイント部材(5)を、連結する一方の合成樹脂管(1)の内周面(1a)に内接する外径とした挿入部(6a)を有し、前記一方の合成樹脂管(1)の端縁(1c)に係止するフランジ(6b)を有した連結管体(6)と、この連結管体(6)の内周面(6c)に内接する外径とした挿入部(7a)を有し、連結する他方の合成樹脂管(1)の内周面(1a)に内接する外径とした挿入部(7b)を有し、これら挿入部(7a)と挿入部(7b)の間に前記他方の合成樹脂管(1)の端縁(1c)に係止するフランジ(7c)を有した連結体(7)とからなるものとしたことを特徴とする請求項3記載の支柱。
【請求項5】
前記ジョイント部材(5)により連結した合成樹脂管(1)のそれぞれの端縁(1c)の近辺を、合成樹脂管(1)の外周面(1b)に内接する内径とした合成樹脂製被覆管体(8)で被覆したことを特徴とする請求項4記載の支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−121257(P2008−121257A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305366(P2006−305366)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(399033201)三倉機販株式会社 (3)
【Fターム(参考)】