説明

改善されたステアレート組成物およびその製法

改善されたアルカリ土類金属ステアレート組成物を開示し、それは、少なくとも約80重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含む脂肪酸成分と、水酸化アルカリとを反応させて、アルカリ石けんを形成させ、該石けんに、次いで、水性金属塩溶液を加えて改善されたアルカリ土類金属ステアレート組成物を形成させて製造する。該改善されたアルカリ土類金属ステアレート組成物は、該ステアレートのジ水和物形態を相当量含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、金属成型や医薬品の錠剤調製を含む用途の工業用滑剤として有用な、アルカリ土類金属ステアレート組成物の工業的製造に関する。より詳しくは、本発明は、錠剤形態の医薬製剤について滑動性(lubrication)および溶解性において改善された特性を示すマグネシウムステアレート滑剤の製造プロセスに関する。
【0002】
多数の特許が滑剤または粉末流動性増強剤としてのステアレート類の有用性を開示している。そのような有用性についての典型的開示が、米国特許No.6437000、No.5032632、No.5952004、No.5447729、No.4800082、No.4777080および公開出願No.2002/0052411に見られる。
【0003】
医薬品製錠用滑剤としてのマグネシウムステアレートの使用は、当技術分野で良く知られている。マグネシウムステアレートは、USP/NF(2004)によれば、ステアリン酸を少なくとも40%、ステアリン酸とパルミチン酸とを合わせれば90%を含有し、6.0%以上の水を含まない物質、と記載されている。医薬品向け適用に慣用されるマグネシウムステアレートは、マグネシウムステアレートとマグネシウムパルミテートとの混合物であるが、それは、マグネシウムステアレートに導く資源のどれもがC16およびC18脂肪酸のグリセリルエステル類である脂肉、獣脂、パーム油および大豆油を含むからである。さらに、マグネシウムステアレートの状態は、無定形であるかもしれないし、あるいは下記結晶形−無水物、モノ水和物、ジ水和物およびトリ水和物−の任意のものを示しているかもしれない。このマグネシウムステアレート組成物および属性についてのUSP/NFの記載は、これら各種の結晶形態の機能的相違を説明していない。さらに、水分含量6.0%以下は、その概要モノグラフの規格を満たす各水和物形態の多様な組合せを含有する製品を許容し得るものである。
【0004】
医薬製造業者および研究者らは、3種の型態多形性(polymorphic)水和物類(モノ、ジ−およびトリ)のうち、ジ水和物形態が、高性能の潤滑特性を与えることから、好ましいことを見出した。水分含量およびそれに伴う結晶形が、マグネシウムステアレートの機能性に貢献することも知られている。ジ水和物をいくらか含有するマグネシウムステアレート組成物は、固体の投与用量剤形の製剤化および生産に際して有利であるとみなされている。崩壊、溶解、破砕強度および押出力(extrusion force)における改善が、マグネシウムステアレートの他の水和物形態群とは反対に、ジ水和物の存在に特異的に相関していることが報告されている。ジ水和物は、最良の抗−ケーキ化特性を有すると報告されている。
【0005】
しかしながら、先行技術には、ステアリン酸/パルミチン酸含量の点から当該組成物を記載したものはないし、それに触れて製造方法を記載したものもない。市販の脂肪酸は、純粋なジ水和物を取得させる正確な組成を必然的に有するものではない。また、それらの組成が恒常性を欠くことが、最終生成物中のジ水和物含量の制御を、解決に挑戦すべき課題としている。このジ水和物は、高湿度に曝された場合に無水物形態からトリ水和物形態が形成される際の中間体ではなく、ある環境下にのみ溶液から結晶化されるものである。
【0006】
さらに、近時の入手できるマグネシウムステアレート組成物は、薬物の溶解に対して撥水性のバリヤーを与えることにより薬理活性に逆向きの作用を及ぼす可能性があり、バイオアベイラビリティ(殊に持続放出性医薬の)に大きな影響をもたらし得る。
【0007】
医薬品産業にとっては、これらの新知見に基づき、新種製剤創製の目的で、このジ水和物形態の潜在的利点を評価するために、純粋なまたは少なくとも組成が十分に安定したジ水和物材料を、商業的に入手できるようにすることが緊急事である。
【0008】
市販のマグネシウムステアレートは、実際には、マグネシウムステアレートとパルミテートとの混合物であり、かつ、製造工程に応じて、あるいは出発原料に応じて、水和化および結晶性の程度がバッチ毎に顕著に変化する。実験室的に調製した、特徴が明らかなマグネシウムステアレートジ水和物は、高純度形態であるが、そのような好ましいジ水和物形態を製造するための実用可能な商業的方法はまだない。
【0009】
ステアレート塩類の工業的生産における改良および効率化が重要な研究主題になってきている。各種医薬品、特に錠剤形態での、投与頻度および利用度が拡大するにつれて、医薬品錠剤の調剤に採用する成分に対する要望が、工業的操作に採用する成分に対すると同様に拡大してきている。そのような工業的適用の1例は金属工作であるが、そこでは、米国特許No.5277832に見られるような、価格が合理的なステアレートクラスの滑剤に対する要望も拡大している。
【0010】
効率化および改良製品を得るための別の試みが、米国特許No.5175322に開示されている。この特許は、複分解法によるアルカリ金属ステアレート石けん製造のための連続プロセスを開示している。このプロセスでは、アルカリ金属石けんの流れおよび無機金属塩の流れを攪拌機の移動翼車上に滴加することによって、反応物質を即座に一緒に混合し、続いて新たに生成したステアレート塩を反応釜から速やかに取り出す。このプロセスは、未反応の出発原料および望ましくない副生物を含まない製品を提供することを意図している。改良複分解反応が、米国特許No.5434277に開示されているが、このような反応では、製品中に未反応の出発原料が存在することになるため、高純度の製品が得られないと開示されている。当該開示によるこの問題の解決は、反応混合物を交互に塩基性化−酸性化させることである。この反応混合物交互処理の有効性は、交互処理後のステアリン酸出発物質の消失を指標とする、製品についてのDSC分析によって示されている。
【0011】
1992年に初めてペーパー発表され、その後1993年12月に Manufacturing Chemist から刊行された、「マグネシウムステアレート問題」と題する刊行物には、この産業で観察されてきたステアレートの多様な生産バッチから得た生産物の滑剤特性の変動についての研究が開示されている。これらの観察された変動は、同じように製造したと思われるステアレート塩の工業生産バッチの成績についての、説明がつかない変動理由についての、K.J. Steffens およびJ. Koglin による解明研究に報告されている。この変動観察は、滑動性および錠剤特性について行われた。
【0012】
それ故、アルカリ金属ステアレート組成物を提供すること、および、当該アルカリ金属ステアレートのジ水和物形態の安定的生産を果たすことに関連する生産方法を提供することが望まれていた。
【0013】
発明の概要
本発明の一態様は、少なくとも1種の脂肪酸の塩基性溶液と少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートとの反応生成物を含んでなる、改善されたアルカリ金属ステアレート組成物を提供することである。該脂肪酸は、少なくとも約80重量%のステアリン酸、および、少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含むものである。
【0014】
本発明の別の態様は、改善されたアルカリ土類金属ステアレート組成物の製法を提供することである。少なくとも約80重量%のステアリン酸と、少なくとも約5重量%のパルミチン酸とを含む、脂肪酸少なくとも1種を、塩基性水性溶液中に加入する。少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加え、該少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを、少なくとも1種の脂肪酸と反応させて、改善されたアルカリ金属ステアレート組成物を生成させる。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、ステアレートの実質的部分がジ水和物形態にある、改善されたアルカリ金属ステアレート組成物、および、その関連する製法を提供するものである。
【0016】
脂肪酸の金属塩の製法は当技術分野で周知である。「複分解」法には2段階プロセスが含まれる。第1に、脂肪酸を少なくとも1種の塩基、典型的には少なくとも1種の水酸化アルカリ、と反応させて、アルカリ石けんを形成させる。第2に、少なくとも1種の水性金属塩溶液を該石けんに加えて、対応する脂肪酸の金属塩を形成させる。
【0017】
アルカリ土類金属ステアレート、例えばマグネシウムステアレートおよびカルシウムステアレート、の在来の医薬製剤は、典型的にこの方法を利用するものである。ステアリン酸は、水酸化アルカリ例えばNaOHと反応してナトリウム石けんを生成し、それは次いでアルカリ土類金属塩、例えば塩化マグネシウムと以下に示すように反応する:
【表1】

この方法で製造したステアレート組成物は、品質および特性が大きく変動する。市販のステアリン酸は典型的にパルミチン酸をも含有することが知られている。純粋なパルミチン酸の入手には制約があり、精製は工業的規模では実施困難である。
【0018】
しかるに、この不純物(パルミチン酸)が、改善されたステアレート組成物の形成を導くことが判明するに至った。ステアリン酸出発原料の複数成分、より具体的にはパルミチン酸に対するステアリン酸の比率を操ることにより、ステアレート生成物のジ水和物を顕著な量で生成させることができるのである。このステアレートのジ水和物形態は、実質的に結晶性で、実質的なプレートリット(platelet)形成を伴う生成物を提供し、当該ステアレートジ水和物について観察された滑動特性の改善、および、バイオアベイラビリティとの相互作用減少をもたらすものと思われる。
【0019】
本発明においては、脂肪酸成分は、ステアリン酸が少なくとも約80重量%でパルミチン酸が少なくとも約5重量%のものに限定され、約10重量%のパルミチン酸に対して約88重量%のステアリン酸が好ましく、約8重量%のパルミチン酸に対して約90重量%のステアリン酸がより好ましく、約5重量%のパルミチン酸に対して約93重量%のステアリン酸が最適である。
【0020】
別の実施態様では、ステアリン酸/パルミチン酸の好ましい組成物を使用することに加えて、ステアリン酸/パルミチン酸組成物の水分含量を定める。この実施態様では、開示組成物は、ステアレート/パルミテート比率が少なくとも10:1であり、かつ、総水分含量が約6%より少ない、マグネシウムステアレート パルミテート ジ水和物を含むものである。当該6%水分について、好ましくは、総水分含量の15−100%がジ水和物結晶水であり、総水分含量の約10%以下が自由水であり、そして該水分含量の残余がモノ水和物のものである。この別の実施態様で用いる脂肪酸の流れは、総酸含量の98%より少なくないステアレートとパルミテートの合計量を含有する。最終生成物の水分含量および水和状態は、ステアリン酸/パルミチン酸の比率、pHおよび乾燥条件が変わるにつれて、変動する。望ましいジ水和物は、ステアリン酸/パルミチン酸の比率が>10である場合に、pHが中性に近くなる場合に、さらに乾燥温度が60℃を超えない場合に、生成するようである。
【0021】
この別の実施態様における開示組成物は、粉末流動特性の改善、噴出力/圧縮力の比率減少、および、在来のマグネシウムステアレートを錠剤製造時に滑剤として使用した場合にしばしば観察される、例えばジランチン、モダフィニル、ゾルピデムおよび類似物等の、疎水性もしくは難水溶性薬物の崩壊および溶解速度遅延の最小化、を含む、有益な機能性を発揮する。
【0022】
本発明によれば、脂肪酸成分を塩基性水性溶液中に分散させ、脂肪酸成分を塩基と反応させて石けんを生成させる。場合により、脂肪酸成分を加入するに先立って、この塩基性水性溶液を加熱して、脂肪酸成分の凝結防止を助けてもよい。次いで、アルカリまたはアルカリ土類金属塩、典型的には硫酸マグネシウムまたはカルシウムを加え、さらに、pHを調節して環境を塩基性とし、過剰のMgをMgOとして沈殿させることによって生成物の分析を向上させる。
【0023】
下記実施例は単に例示説明の目的で示すもので、いかなる意味においても本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0024】
マグネシウムステアレート混合水和物の製造
実施例1
離れた変化し得る比率でモノ水和物およびジ水和物型態多形を含有するマグネシウムステアレート組成物を、沈殿経由で「石けん溶液」から当技術分野でよく知られているようにして製造した。この例示説明的実施例の塩は、少なくとも1種の脂肪酸と少なくとも1種の強塩基、NaOH、およびマグネシウム塩、MgSOを混合することにより生成させた。本発明では、適切なステアリン酸/パルミチン酸組成の脂肪酸混合物から石けん溶液を製造し、ステアレート生成物を満足できる量のジ水和物形態で取得した。塩基性「石けん溶液」に当該アルカリ土類塩を添加すると、ジ水和物相を含有するマグネシウムステアレートの沈殿が生じる。この沈殿を液体から分離し、そして水和水が優勢な水分含量3.5−6.0%まで乾燥させた。微細粒子状固体を取得した。この生成物は医薬品用滑剤/成型解放用剤として設計したものであるが、当技術分野では知られているように、他の適用にも使用できる。
【0025】
下記は、所望のマグネシウムステアレートジ水和物を含有する製品の工業的製造プロセスを例示説明する実施例であり、本発明を医薬品用のマグネシウムステアレート/パルミテートの製造に限定することを意図するものではない。
【0026】
水または先行バッチからの最終物のいずれかである水性溶液を、周知のように、該水性溶液に導入しても脂肪酸が凝固しない温度まで加熱した。50%水酸化ナトリウム溶液を少なくとも1:1モル比で脂肪酸に加え、実質的に全ての脂肪酸をナトリウム石けんに変換させた。次いで、この溶液がフェノールフタレン指示薬に対して僅かにアルカリ性になるまで、脂肪酸成分を加えた。この例示説明的実施例では、パルミチン酸約5重量%に対して約93重量%がステアリン酸である脂肪酸成分を使用した。
【0027】
次いで、硫酸マグネシウム溶液を、実質的にナトリウム石けんが沈殿してマグネシウムステアレート/パルミテートが生成する量、攪拌せずに加えた。次に、この反応混合物を混合して均一混合物となし、硫酸マグネシウムとの反応を、典型的には約20分間、確保した。残留反応混合物を、この段階および残余の各段階中、反応混合物の固化を防ぐために加熱し、操作を容易にした。水酸化ナトリウムでpHを調節し、過剰のマグネシウムを全てMgOとして沈殿させた。例示説明的なpH幅は、約9.0ないし約9.5である。固−液分離を実施し、得られた固体生成物を乾燥し、適切な在来法で脱凝集させた。これらの段階および反応条件は当業者によく知られている。
【0028】
この取得生成物は、マグネシウムステアレートとマグネシウムパルミテートとの混合物を、下記のような混合水和物として含有しているものと特徴付けられた:
1.該生成物は、乾燥減量が3.5−6.0%であり、顕著な量のジ水和物形態が存在していることを示した。
2.DSC分析は、100°−135℃(マグネシウムステアレートでは約118℃および128℃)間に2つの吸熱遷移を示したが、それらはそれぞれユニークな各水和物から誘導される2つの仮想多形の結果である。
3.X−線回折は、結晶性(非無定型)を示し、ジ水和物形態が存在していることを示す特徴的なXRDパターンを示した。
【0029】
この生成物は、形態学的に、規則的なまたは不規則的な(例えば、断片化した)プレートリットであった。
マグネシウムステアレートの製造に適すると思われる、製造プロセスの他の特徴は、当業者に自明である。
【0030】
実施例2
ステアリン酸/パルミチン酸比が少なくとも約10:1であり、総水分含量が約6%以下である脂肪酸を用いて、実施例1の方法と同様にして、マグネシウムステアレート組成物を製造した。この6%の水分について、好ましくは総水分含量の15−100%がジ水和物結晶水であり、総水分含量の約10%以下が自由水であり、そして水分含量の残余がモノ水和物のものであった。この別の実施態様で用いた脂肪酸の流れは、98%より少なくないステアレートとパルミテートの合計総酸含量を含有した。反応混合物のpHは実質的に中性となるように調節した。生成物を60℃またはそれ以下の温度で乾燥してバルク水の大部分を除去し、TGA/DSCにより証明されるジ水和物相を含有する微細な結晶性粉末を得た。
【0031】
実施例3
硫酸マグネシウムヘプタ水和物98グラムを水643mLに溶解して硫酸マグネシウム溶液を調製した。この混合物を80℃で該塩が溶解するまで攪拌した。別の容器中で、水1.13リットルに50%(w/w)NaOH34mLを加え、90℃に加熱した。ステアリン酸93%およびパルミチン酸5%を含有する脂肪酸181グラムを、90℃の温度に維持し攪拌しながら、NaOH溶液に加えて、アルカリ性ナトリウムステアレート(石けん)を作製した。温度を75℃まで下げながら、水681mLを石けん溶液に加えた。硫酸マグネシウム溶液を石けん溶液に加え、反応が完結するように攪拌した。沈殿が終了したとき、50%NaOHを用いてこのバッチのpHを9.0に調節した。得られた固体を水洗して副生物たる、硫酸ナトリウムを除去した。この固体を60℃で乾燥した。生成物は、マグネシウムステアレート パルミテートのモノ水和物およびジ水和物形態の組合せを含有した。
【0032】
本発明を詳細に述べたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対する各修飾をなし得ることは当業者には明かであろう。それ故、本発明は、記述した特定の実施態様にその範囲が限定されることを意図していない。むしろ、添付した特許請求の範囲およびそれらの均等物をもって本発明の範囲を定めることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性水性溶液中の少なくとも1種の脂肪酸、但し、該脂肪酸は、少なくとも約80重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含むものである、と、少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートとの反応生成物、を含んでなる、アルカリ土類金属ステアレート組成物。
【請求項2】
該脂肪酸が、約88重量%のステアリン酸および約10重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該脂肪酸が、約90重量%のステアリン酸および約8重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該脂肪酸が、約93重量%のステアリン酸および約5重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
アルカリ土類金属サルフェートが、硫酸マグネシウムおよびカルシウムサルフェートからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
塩基性水性溶液中の少なくとも1種の脂肪酸、但し、該脂肪酸は、少なくとも約80重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含むものである、と、硫酸マグネシウムとの反応生成物を含んでなる、ステアリン酸マグネシウム組成物。
【請求項7】
該脂肪酸が、約88重量%のステアリン酸および約10重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
該脂肪酸が、約90重量%のステアリン酸および約8重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
該脂肪酸が、約93重量%のステアリン酸および約5重量%のパルミチン酸を含むものである、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
塩基性水性溶液を用意すること;
該塩基性水性溶液中に、少なくとも約80重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含む少なくとも1種の脂肪酸を加入すること;および、
少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えてアルカリ土類金属ステアレート組成物を生成させること、
を含む、アルカリ土類金属ステアレート組成物の製法。
【請求項11】
少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えた後、pHをアルカリ性に調節することをさらに含む、請求項10に記載の製法。
【請求項12】
固−液分離を生起させて、アルカリ土類金属ステアレート組成物を取出すことをさらに含む、請求項10に記載の製法。
【請求項13】
アルカリ土類金属が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される、請求項10に記載の製法。
【請求項14】
塩基性水性溶液を用意すること;
該塩基性水性溶液中に、少なくとも約88重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含む少なくとも1種の脂肪酸を加入すること;および、
少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えてアルカリ土類金属ステアレート組成物を生成させること、
を含む、アルカリ土類金属ステアレート組成物の製法。
【請求項15】
該少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えた後、pHをアルカリ性に調節することをさらに含む、請求項14に記載の製法。
【請求項16】
固−液分離を生起させて、アルカリ土類金属ステアレート組成物を回収することをさらに含む、請求項14に記載の製法。
【請求項17】
アルカリ土類金属が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される、請求項14に記載の製法。
【請求項18】
塩基性水性溶液を用意すること;
該塩基性水性溶液中に、少なくとも約90重量%のステアリン酸および少なくとも約8重量%のパルミチン酸を含む少なくとも1種の脂肪酸を加入し、該塩基性水性溶液を、該少なくとも1種の脂肪酸が該塩基性水性溶液内で分散するに至る温度まで加熱すること;および、
少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えてアルカリ土類金属ステアレート組成物を生成させること、
を含む、アルカリ土類金属ステアレート組成物の製法。
【請求項19】
該少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加えた後、pHをアルカリ性に調節することをさらに含む、請求項18に記載の製法。
【請求項20】
固−液分離を生起させて、アルカリ土類金属ステアレート組成物を回収することをさらに含む、請求項18に記載の製法。
【請求項21】
アルカリ土類金属が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される、請求項18に記載の製法。
【請求項22】
塩基性水性溶液を用意すること;
該塩基性水性溶液を加熱すること;
該塩基性水性溶液中に、少なくとも約93重量%のステアリン酸および少なくとも約5重量%のパルミチン酸を含む少なくとも1種の脂肪酸を加入し、該塩基性水性溶液を、該少なくとも1種の脂肪酸が該塩基性水性溶液内で分散するに至る温度まで加熱すること;
硫酸マグネシウム溶液を加入して、硫酸マグネシウムを該少なくとも1種の脂肪酸と反応させ、マグネシウムステアレート組成物を生成させること;および、
pHをアルカリ性に調節すること;
を含む、マグネシウムステアレート組成物の製法。
【請求項23】
pHを約9.0ないし約9.5に調節することをさらに含む、請求項22に記載の製法。
【請求項24】
固−液分離を生起させて、マグネシウムステアレート組成物を回収することをさらに含む、請求項22に記載の製法。
【請求項25】
少なくとも1種の脂肪酸、但し、該脂肪酸はパルミチン酸に対して少なくとも約10:1重量比のステアリン酸を含み、かつ、水分総含量が約6%以下である、の塩基性水性溶液と少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートとの反応生成物を含んでなる、アルカリ土類金属ステアレート組成物。
【請求項26】
該水分総含量が、約15%ないし約100%のジ水和物結晶水;約10%以下の自由水;および残余のモノ水和物を含んでなる、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
アルカリ土類金属サルフェートが、硫酸マグネシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
塩基性水性溶液を用意すること;
該塩基性水性溶液中に、パルミチン酸に対して少なくとも約10:1重量比のステアリン酸を含み、かつ、水分総含量が約6%以下である、少なくとも1種の脂肪酸を加入し、該塩基性水性溶液を、少なくとも1種の脂肪酸が該塩基性水性溶液内で分散するに至る温度まで加熱すること;および、
アルカリ土類金属サルフェート溶液を加入して、アルカリ土類金属ステアレート組成物を形成させること;
を含む、アルカリ土類金属ステアレート組成物の製法。
【請求項29】
該少なくとも1種のアルカリ土類金属サルフェートを加入した後、pHを実質的に中性のpHに調節することをさらに含む、請求項28に記載の製法。
【請求項30】
固−液分離を生起させて、アルカリ土類金属ステアレート組成物を回収することをさらに含む、請求項28に記載の製法。
【請求項31】
約60℃を超えない温度で、該アルカリ土類金属ステアレート組成物を乾燥することをさらに含む、請求項28に記載の製法。
【請求項32】
アルカリ土類金属が、マグネシウムおよびカルシウムからなる群から選択される、請求項28に記載の製法。
【請求項33】
該脂肪酸の水分総含量が、約15%ないし約100%のジ水和物結晶水;約10%以下の自由水;および残余のモノ水和物を含んでなる、請求項28に記載の製法。

【公表番号】特表2007−500770(P2007−500770A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522062(P2006−522062)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024485
【国際公開番号】WO2005/011641
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】