説明

改善されたポリエーテルグリコールの製造法

本発明は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる特定のペルフルオロスルホン酸樹脂触媒の存在下で重合させることによるポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールを製造するための改善された方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2009年8月24日に出願された特許文献1の優先権を主張する。本出願は参照により特許文献1を全部編入する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、触媒として特定のペルフルオロスルホン酸樹脂の存在下で重合させることによりポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールを製造するための改善された方法に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物の、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる触媒の存在下での重合により、ポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールを製造するための重合法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)としても知られているテトラヒドロフラン(THF)のホモポリマーは、ポリウレタンおよび他のエラストマーでソフトセグメントとしての用途が周知である。これらのホモポリマーはポリウレタンエラストマーおよび繊維に優れた動的特性を付与する。コポリエーテルグリコールとしても知られているTHFと少なくとも1種の他の環状エーテルとのコポリマーは同様な応用に、特に他の環状エーテルにより付与される低下した結晶度が、ソフトセグメントとしてそのようなコポリマーを含むポリウレタンの特定の動的特性を改善することができる場合に、その用途が知られている。他の環状エーテルの中で、本発明に使用されるものはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。
【0004】
THFと環状エーテルとのコポリマーは当該技術分野では周知である。それらの調製は例えばPruckmayrにより特許文献2および特許文献3に開示されている。そのようなコポリマーは、例えばP.Dreyfussにより「ポリテトラヒドロフラン」(Gordon & Breach,N.Y.1982)に記載されている既知の環状エーテル重合法により調製することができる。そのような重合法は強いプロトンまたはルイス酸による、ヘテロポリ酸による、ならびにペルフルオロスルホン酸または酸樹脂による触媒作用を含む。場合により、特許文献4に開示されているような無水カルボン酸のような重合促進剤を使用することが有利かもしれない。これらの場合では、主要なポリマー生成物がジエステルであり、所望のポリエーテルグリコールを得るために続く行程で加水分解される必要がある。
【0005】
例えば特許文献5、6、7および8、ならびに公開された特許文献9および10に示されているようなコポリエーテルグリコールを製造するための他の方法は当該技術分野で知られている。例えば特許文献7は、THFと1,2−アルキレンオキシドを、反応性水素を含有する化合物および固定床粘土触媒の存在下で重合する方法を開示し、ここで30重量%未満のTHF、1,2−アルキレンオキシドの混合物、および反応性水素含有化合物が反応混合物に加えられ、これは次いで反応槽に再循環される。特許文献11は、漂白土(bleaching earth)またはゼオライト触媒上で反応性水素を含有する化合物の存在下、1,2−アルキレンオキシドを用いたそのようなバッチ式重合を開示し、この1,2−アルキレンオキシドは反応混合物に反応混合物中の1,2−アルキレンオキ
シド濃度が重合中2重量%未満に維持されるように供給される。特許文献12は、そこに開示される方法により再生されたモンモリロナイト触媒が使用されるTHFとエチレンオキシドとの重合を開示する。特許文献5はTHFとアルキレンオキシドに基づくコポリエーテルグリコールが生産法により変動することを開示する。特許文献13は、供給原料成分として標準濃度のアルキレンオキシドを使用する重合法で製造された標準的なモル取り込みのアルキレンオキシドを有するコポリエーテルグリコールを精製するために、希釈剤または溶媒の使用を開示する。
【0006】
特許文献14および2は、THFおよびアルキレンオキシドまたは環状アセタールを、フルオロスルホン酸基を含有するポリマーを含んでなる触媒上で、および連鎖停止剤として水またはアルカンジオールを用いて共重合することによるコポリエーテルグリコールの調製を開示する。
【0007】
多くの出版物がフルオロスルホン酸樹脂および重合反応のための触媒材料としてそれらの使用を記載する。これらの中で特許文献15は、ペンダントスルホン酸基およびペンダントカルボン酸基を含有する過フッ素化イオン交換ポリマーの使用を開示し;特許文献16は、1kgのポリマーあたり少なくとも0.05当量のフッ素化スルホン酸基を含有するフッ素化スルホン酸含有ポリマーの使用を開示し;特許文献17はペンダントスルホン酸基およびペンダントカルボン酸基を有する過フッ素化イオン交換ポリマーの使用を開示し;そして特許文献18は、スルホン酸基を含有するフッ素化樹脂およびカルボン酸基を含有するフッ素化樹脂のブレンドの使用を開示する。同様に特許文献19は、フルオロポリマーの主鎖からなる過フッ素化樹脂スルホン酸の使用を開示する。特許文献20は、可能な触媒リストに側鎖としてペルフルオロアルキルスルホン酸基を有する樹脂の使用を開示する。特許文献21は、アルファ−フルオロスルホン酸を含んでなるポリマーの使用を開示する。
【0008】
上記出版物のいずれも、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、触媒として特定のペルフルオロスルホン酸樹脂(このペルフルオロスルホン酸樹脂は、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーである)の存在下で重合させることによるポリエーテルまたはコポリエーテルグリコールの生産を教示していない。テトラヒドロフランまたはテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテルを含んでなる反応混合物の重合によるポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールの簡便で、経済的な改善された製造法が本発明により提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/236,332号明細書
【特許文献2】米国特許第4,139,567号明細書
【特許文献3】米国特許第4,153,786号明細書
【特許文献4】米国特許第4,163,115号明細書
【特許文献5】米国特許第4,192,943号明細書
【特許文献6】米国特許第4,228,272号明細書
【特許文献7】米国特許第4,564,671号明細書
【特許文献8】米国特許第4,585,592号明細書
【特許文献9】国際公開第03/076453号パンフレット
【特許文献10】国際公開第03/076494号パンフレット
【特許文献11】米国特許第4,728,722号明細書
【特許文献12】米国特許第5,268,345号明細書
【特許文献13】米国特許第4,677,231号明細書
【特許文献14】米国特許第4,120,903号明細書
【特許文献15】米国特許出願第2009/0118456号明細書
【特許文献16】米国特許第6,040,419号明細書
【特許文献17】国際公開第95/19222号パンフレット
【特許文献18】米国特許第5,118,869号明細書
【特許文献19】米国特許第5,403,912号明細書
【特許文献20】米国特許出願第2008/0071118号明細書
【特許文献21】米国特許出願第2003/176630号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んでなる反応混合物を、触媒として特定のペルフルオロスルホン酸樹脂の存在下で重合させることによりポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールを製造するための改善された方法を提供する。約200ダルトンから約30,000ダルトンの数平均分子量を有するポリエーテルグリコールまたはコポリエーテルグリコールの改善された本発明の製造法は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを、例えば約0℃から約80℃の温度を含む重合に効果的な条件で、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーであるペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる触媒の存在下で、場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合させる工程を含んでなる。
【0011】
したがって本発明の一態様は、テトラヒドロフラン(THF)および場合によりコモノマーを含んでなる反応混合物の重合によるポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)、そのコポリマーおよびそれらのエステルの改善された製造法を提供し、この方法は、少なくとも1種のテトラヒドロフランを、例えば約0℃から約80℃の温度を含む重合に効果的な条件で、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーであるペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる触媒の存在下、場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合させる工程を含んでなる。
【0012】
したがって本発明の別の態様は、約650ダルトンから約4,000ダルトンの数平均分子量、および約80cPから4000cPの粘度を有するポリ(テトラメチレン−コ−アルキレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene−co−alkyleneether)glycol)の改善された製造法を提供し、この方法は少なくとも1種のテトラヒドロフランおよび少なくとも1種のアルキレンオキシドを、例えば約0℃から約80℃の温度を含む重合に効果的な条件で、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーであるペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる触媒の存在下、場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合させる工程を含んでなる。
【0013】
したがって本発明の別の態様は、約650ダルトンから約4,000ダルトンの数平均分子量、および約80cPから約4000cPの粘度を有するポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene−co−ethyleneether)glycol)の改善された製造法を提供し、この方法は少なくとも1種のテトラヒドロフランおよびエチレンオキシドを、例えば約0℃から約80℃の温度を含む重合に効果的な条件で、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーであるペルフルオロスルホン酸樹脂を含んでなる触媒の存在下、場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合させる工程を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
上記観点について徹底的に調査した結果、我々は改善された方法を見いだし、これにより約200ダルトンから約30,000ダルトン、例えば約650ダルトンから約4,000ダルトンの数平均分子量、および約80cPから約4000cPの粘度を有するポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールを製造することができる。本発明の改善された方法は、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドを含んで成る反応混合物を、これからより詳細に記載する重合に効果的な条件で、触媒として特定のペルフルオロスルホン酸樹脂の存在下、そして場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合させる工程を含んでなる。ここで使用するペルフルオロスルホン酸樹脂触媒は、テトラフルオロエチレン(TFE)またはクロロトリフルオロエチレン(CTFE)と式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる。重合工程後、約200ダルトンから約30,000ダルトン、例えば約650ダルトンから約4,000ダルトンの数平均分子量、および約80cPから約4000cPの粘度を有するポリエーテルおよびコポリエーテルグリコールが回収される。この方法では重合工程への供給原料中、例えば約95から約100重量%のような大変高い割合のテトラヒドロフランまたは他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドが反応で消費される。本発明の態様では、未反応の供給原料であるテトラヒドロフラン、他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシド、存在するならばアルキレンオキシドの二量体、および存在する任意の低沸騰成分が除去される。
【0015】
本明細書で使用する用語「重合」とは、外に示さない限り、「共重合」をその意味の中に含む。
【0016】
本明細書で使用する用語「PTMEG」とは、外に示さない限りポリテトラメチレンエーテルグリコールを意味する。PTMEGはポリオキシブチレングリコールとしても知られている。
【0017】
本明細書で単数形で使用する用語「コポリエーテルグリコール」とは、外に示さない限りテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテル、例えばアルキレンオキシドとのコポリマーを意味し、これはまたポリオキシブチレンポリオキシアルキレングリコールとしても知られている。コポリエーテルグリコールの例は、テトラヒドロフランとエチレンオキシドとのコポリマーである。このコポリエーテルグリコールはポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールとしても知られている。
【0018】
本明細書で使用する用語「THF」とは、外に示さない限りテトラヒドロフランを意味し、そしてその意味にはTHFと共重合することができるアルキル置換テトラヒドロフラン、例えば2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、および3−エチルテトラヒドロフランを含む。
【0019】
本明細書で使用する用語「アルキレンオキシド」とは、外に示さない限り2、3または4個の炭素原子をそのアルキレンオキシド環に含む化合物を意味する。アルキレンオキシ
ドは非置換であるか、または例えば1〜6個の炭素原子の直鎖もしくは分岐アルキルで、あるいは非置換であるか、または1もしくは2個の炭素原子のアルキルおよび/またはアルコキシで置換されたアリールで、あるいは塩素もしくはフッ素のようなハロゲン原子で置換されることができる。そのような化合物の例には、エチレンオキシド(EO)、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、2,2−ビス−クロロメチル−1,3−プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、ペルフルオロアルキルオキシラン、例えば(1H,1H−ペルフルオロペンチル)オキシラン、およびそれらの組み合わせがある。
【0020】
本発明の方法で反応物として使用するTHFは、市販されている任意のものでよい。一般に、THFは約0.03重量%未満の水分量、および約0.005重量%未満のペルオキシド含量を有する。THFが不飽和化合物を含む場合、それらの濃度は本発明の重合法またはその重合生成物に悪影響を及ぼさないような濃度であるべきである。例えば幾つかの応用では、高いモル濃度のアルキレンオキシドを有する本発明のコポリエーテルグリコール生成物は、例えば約100APHA単位未満といった低いAPHA色を有することが好ましい。場合によりTHFは望ましくない副産物および色の形成を防ぐためにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)のような酸化阻害剤を含むことができる。所望により、THFと共重合することができる1もしくは複数のアルキル置換THFを共反応物として、THFの約0.1から約70重量%の量で使用することができる。そのようなアルキル置換THFの例には、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフランおよび3−エチルテトラヒドロフランがある。
【0021】
上に示したような本発明の方法の反応物として使用するアルキレンオキシドは、2、3もしくは4個の炭素原子をそのアルキレンオキシド環に含む化合物であることができる。このアルキレンオキシドは非置換であるか、または例えばアルキル基、アリール基またはハロゲン原子で置換されることができる。これは例えばエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,2−ビスクロロメチルオキセタン、エピクロロヒドリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択できる。好ましくはアルキレンオキシドは約0.03重量%未満の水分量、約0.01重量%未満の全アルデヒド含量、および約0.002重量%未満の酸度(酢酸として)を有する。アルキレンオキシドは色および非揮発性残渣が低くなくてはならない。
【0022】
例えばアルキレンオキシド反応物がEOである場合、これは市販されている任意のものであることができる。好ましくはEOは約0.03重量%未満の水分量、約0.01重量%未満の全アルデヒド含量、および約0.002重量%未満の酸度(酢酸として)を有する。EO色および非揮発性残渣が低くなくてはならない。
【0023】
本発明の方法で使用する任意のアシリウムイオン前駆体は、反応条件下でTHFのアセチルオキソニウムイオンを生成することができる任意の化合物であり得る。本明細書で使用する「アシリウムイオン」とは、構造R−C=Oにより表されるイオンを意味し、ここでRは水素または1から16個の炭素原子の炭化水素基、好ましくは1から16個の炭素原子のアルキル基である。
【0024】
代表的なアシリウムイオン前駆体は、アセチルハライドおよび無水カルボン酸である。カルボン酸部分が1から16個の炭素原子を含むカルボン酸の無水物が好ましく、特に1から4個の炭素原子のものが好ましい。そのような無水物の非限定的例は、無水酢酸、無水プロピオン酸およびギ酸−酢酸無水物である。本明細書で使用するために好適な無水物は、その効率から無水酢酸である。アシリウムイオン前駆体は反応混合物中に通常存在し
、少なくとも初期には約0.1から約15重量%、好ましくは約0.7から約10重量%の濃度で存在する。
【0025】
ポリマー生成物の分子量は、1から16個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子の脂肪族カルボン酸の反応混合物への任意の添加により限定され得る。酢酸はその低コストおよび効率により、本明細書で使用するために好適である。アシリウムイオン前駆体/カルボン酸重量比は、約20:1から約0.1:1、好ましくは約10:1から約0.5対1の範囲内であるべきである。概して使用するカルボン酸が多ければ、生成物の分子量は低くなる。脂肪族カルボン酸を使用する場合、脂肪族カルボン酸は通常、THFの約0.1から約10重量%、好ましくは約0.5から約5重量%の濃度で反応混合物に加えられる。
【0026】
好適なアシリウムイオン前駆体である無水酢酸がTHFおよび触媒と反応して対応する酸を生じるので、この場合は別個に酸を加える必要はないが、一般に酸の添加は改善された分子量の制御に望ましいことに留意されたい。650から30,000ダルトンの工業的に望まれる数平均分子量を有する生成物を得るために、アシリウムイオン前駆体およびカルボン酸は合わせた濃度で反応物質量の約0.5から約20重量%、好ましくは約1から約10重量%で反応混合物に存在することが好ましい。
【0027】
本発明の方法に使用するための任意の連鎖停止剤は、水、2から約10個の炭素原子を含有するアルカンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。水および1,4−ブタンジオールはそれらの低コストおよび利用性から好適である。これらの化合物は組み合わせて使用されて最終生成物の分子量を調節することができる。
【0028】
本発明に使用する触媒は、TFEおよびCTFEからなる群から選択されるエチレン不飽和モノマーおよび式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーのコポリマーである。この触媒は米国特許第3,282,875号明細書(引用により本明細書に編入する)に従い調製することができ、そしてSolvay Companyから他の用途のためにペルフルオロスルホン酸樹脂として販売されている。この触媒は700〜1100グラム/グラム−モルのスルホン酸の当量質量(equivalent weight)、好ましくは850〜1000グラム/グラム−モルのスルホン酸の当量質量を有する。触媒の「当量質量」とは、滴定により定めることができる1グラム当量質量のスルホン酸(−SOH)基を含む触媒のグラムでの重量である。
【0029】
触媒は本発明の重合工程で触媒的に効果的な量で存在し、この量は通例、反応混合物の約0.01%〜約30重量%、好ましくは約0.05%〜約15%、さらにより好ましくは約0.1%〜約10%の濃度を意味する。
【0030】
本発明に従い使用する触媒は、粉末の状態または成形体、例えばビーズ形、円筒押出形、球状、環形、螺旋形、切断フィルム(chopped film)または粒状であることができる。
【0031】
本発明の重合工程は、一般に約20℃から約70℃のような約0℃から約80℃、例えば約30℃から約70℃で行われる。バッチ様式または連続様式のいずれであっても、この工程は通常、大気圧下で実施され、しかし反応中に反応混合物の温度を制御する目的で減圧または加圧を使用してもよい。例えば使用する圧は約200から約800mmHg、例えば約300から約500mmHgでよい。
【0032】
ペルオキシドの形成を避けるために、本方法の重合工程は、不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。本明細書での使用に適切な不活性ガスの非限定的例には、窒素、二酸化
炭素または希ガスがある。
【0033】
本発明の重合工程は、約0.1から約10バールの水素圧で水素の存在下で行うこともできる。
【0034】
本発明の方法はバッチ様式または連続的に行うことができる。連続的に行う場合、この方法は好ましくは後方−混合スラリー反応槽(back−mixed slurry reactor)中で、任意のアシリウムイオン前駆体および/または連鎖停止剤を含む反応物の連続的撹拌および連続的添加、および生成物の連続的取り出しを用いて行われる。あるいはこの方法はパイプライン反応槽内で行うことができる。
【0035】
スラリー反応槽またはパイプライン反応槽のいずれでも、反応ゾーンの温度、反応ゾーン中の反応物の濃度、および反応物の反応ゾーンへの、またはそれからの流速を、THFの約5から約85重量%、好ましくは約15から約60%、さらにより好ましくは約15から約40重量%が反応槽を通る各回(each pass)で転換するように調整することが好ましい。供給流中の反応物の濃度、流速および温度を適切に調節して、連続反応槽中の反応物の滞留時間を約20分から約5時間のような約10分から約10時間、例えば約30分から約3時間にすることができる。
【0036】
アシリウムイオン前駆体を使用する場合、THFはエステルでエンドキャップ(ester end−capped)されたPTMEGに転換される。アシリウムイオン前駆体を使用する場合、各工程の流出液は所望の生成物を取り出した後、反応槽に再循環され得る。少なくとも約40重量%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、例えば少なくとも約90重量%のアシリウムイオン前駆体が反応槽を通る反応物の各工程で消費されることが好ましい。
【0037】
本方法のバッチ反応槽の態様では、THF、アシリウムイオン前駆体、触媒および場合によりカルボン酸が反応槽に入れられる。あるいはTHFおよび触媒をバッチ反応槽に加えることができる。重合は例えば周期的サンプリングおよび分析により監視することができる。化学量論的に過剰な量の連鎖停止剤を反応混合物に加えることで重合を止めることができる。反応が終了した時、触媒および反応混合物を分離し、そして所望の生成物を残りの混合物から分離する。
【0038】
滞留時間(分での)は、反応ゾーンの容量(ミリリットルでの)を測定し、次いでこの数字を反応槽を通る反応物の流速(分あたりのミリリットルでの)で除算することにより決定される。スラリー反応槽では、反応ゾーンは反応混合物の全容量であり;パイプライン反応槽では、反応ゾーンは触媒を含むゾーンである。THFのポリマーへの上記転換を提供するために、本発明の改善された方法に必要な時間は、その転換が行われる条件に依存する。したがって時間は、温度、圧、反応物および触媒の濃度などの因子で変動する。しかし一般には、連続様式でこの方法を行うと約20分から約5時間のような約10分から約10時間、例えば約30分から約3時間の滞留時間となる。バッチ様式では、滞留時間は通常、約1から約24時間である。
【0039】
重合反応が完了すると、触媒は濾過、デカンテーションまたは遠心により反応混合物から分離され、そして再使用され得る。この方法が連続様式で行われる場合、触媒を反応槽に単に留めておくことができ、一方、新たな反応物が供給され、そして生成物が取り出される。
【0040】
バッチまたは連続様式のいずれかでアシリウムイオン前駆体を使用する場合、触媒を取り出した後、生成物は残存する未反応THF、アシリウムイオン前駆体およびカルボン酸
を反応混合物から蒸留により抽出することにより、または蒸気もしくは窒素のような不活性ガスで反応混合物をストリッピングすることにより反応混合物から分離される。
【0041】
このように生成されたエステルでエンドキャッピングされた生成物は、物理的特性が室温で透明な粘着性の液体から蝋のような固体の範囲となり得る。反応混合物の環状エーテルがTHFの場合、エステルでエンドキャッピングされた生成物は、それを塩基性触媒を使用してアルカノールと反応させることによりPTMEGに変換して、PTMEGおよびアルキルアセテート副産物を与えることができる。これはさらに詳細に米国特許第4,230,892号明細書(引用により本明細書に編入する)に記載されている。連鎖停止剤を使用する場合、PTMEGはアシリウムイオン前駆体の不存在下で直接調製される。当該技術分野で周知な分光法を使用して末端基分析により測定したPTMEG生成物の数平均分子量は、最高約30,000ダルトンとなり得るが、通常は650から約5000ダルトンの範囲であり、そしてさらに多くは約650から3000ダルトンの範囲となる。
【0042】
生成物の分子量は、反応物供給材料中のカルボン酸/アシリウムイオン前駆体の比を変動させることにより、連鎖停止剤の濃度を変動させることにより、反応物供給材料中のカルボン酸および前駆体の総量を変動させることにより、反応団(reaction mass)の温度を上記制限内で変動させることにより、反応ゾーン中の反応物の滞留時間を制御することにより、そして触媒濃度を変動させることにより、所望の範囲に維持することができる。概して、大量のカルボン酸および/またはアシリウムイオン前駆体の使用により、より低分子量のポリマーを与え、大量の連鎖停止剤の使用により、より低分子量のポリマーを与え、より低い反応温度はより高分子量のポリマーの生産に有利であり、そしてより高温はより低分子量のポリマーの生産に有利であり、そしてより高い触媒濃度はより低分子量に有利である。
【0043】
以下の実施例では本発明およびその使用のための能力を示す。本発明は他のおよび異なる態様が可能であり、そしてその幾つかの詳細は本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な明白な箇所において変更することができる。したがってこの実施例は実際に説明的および非限定的であると見なされる。
【0044】
材料
THFはChemcentral Corporationから得る。無水酢酸および酢酸は、Aldrich Chemicalから購入する。触媒として使用する4mil厚のSolexis Aquivion(商標)膜E87−105は、イタリアのSolvay Companyから購入する。この材料は1.11meqH/gの酸容量(acid capacity)に変換される900g/eqの当量質量を有する。従来技術で使用されている比較実施例の触媒は、米国、デラウエア州、ウィルミントンのDuPont Companyから5mil厚のNafion(商標)過フッ素化スルホン酸樹脂膜115として得、これは1060g/eqの当量質量および0.94meqH/gの酸容量を有する。
【0045】
分析法
ポリ(テトラメチレンエーテル)アセテート(PTMEA)への転換は、反応槽の出口から集められた粗生成混合物中の非揮発物質の重量パーセントにより定められ、これは粗生成混合物中の揮発物質を除去する真空オーブン(120℃および約200mmHg)により測定される。生成物のAPHA色は、Hunter比色計を使用してASTM法D4890で測定される。PTMEAの分子量および分子量分布はGPCにより測定され、これはWaters Ultrastyragel 500Åカラムを備えたHP1090シリーズIIの液体クロマトグラフィーにより行われる。THFを溶出液として使用する。ポリスチレンおよびPTMEG標準をカリブレーションに使用する。多分散性はMw/
Mn間の比として算出する。
【実施例】
【0046】
すべての部および百分率は、特に示さない限り重量による。
【0047】
触媒の前処理
以下に記載する重合実施例で使用する前に、触媒として使用する両膜、Solexis
Aquivion(商標)膜およびNafion(商標)膜を約2mm×2mm平方に切断する。次に切断した膜を熱水処理にかける。特に1部の膜触媒を6部の蒸留水とオートクレーブ反応槽で混合し、そして混合物を機械式撹拌下にて2時間、180℃とした。室温に冷却した後、膜触媒を濾過により液体から分離し、そしてさらにすすぎ、そして大量の蒸留水で洗浄し、そして重合実施例のために乾燥した。ここに記載する前処理からの溶解物は、それぞれSolexis Aquivion(商標)E87−105膜から17重量%であり、そしてNafion(商標)115膜から11重量%である。
【実施例1】
【0048】
機械式撹拌機およびコンデンサを備えた3口フラスコを、この実施例の重合バッチ反応槽として使用する。反応槽に大気圧で246グラムのTHF、15グラムの無水酢酸(5.5重量%)および9グラムの酢酸(3.0重量%)を入れ、そして加熱する。設定点の45℃に温度が安定した後、反応は触媒として16グラム(反応混合物の5.5重量%)の前処理した固体樹脂であるSolexis Aquivion(商標)E87−105フィルム(真空オーブン中130℃で3時間乾燥)を添加することにより開始する。サンプルは異なる時間間隔で採取し、そして未反応試薬を真空オーブン中、120℃で乾燥することによりTHFの転換について分析する。分子量情報は、ポリマー生成物のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析により得られる。採取したサンプルの平均分子量は、約1000ダルトンであることを示す。この反応は平衡重合として処理される。THF重合の速度定数は、(Mo−Me)/(Mt−Me)の対数 対 反応速度(t)をプロットすることにより決定され、ここでMo、MtおよびMeはそれぞれ反応前、時間t、および平衡でのTHF濃度である。一般に約40重量%の転換前に得られるデータを使用して良好な直線関係が得られる。生成物のAPHA着色は、100APHA単位未満であると測定される。触媒活性は同じ反応条件下で速度定数(L/g cat hrの単位で)に基づき比較される。
【0049】
比較実施例1
触媒は前処理され、そして乾燥された固体樹脂であるNafion(商標)115フィルム材料であることを除いて、実施例1を繰り返す。実施例1および比較実施例1のTHFのバッチ式重合実験の結果を、列挙した反応時間でのTHFの転換で表1に提供する。
【0050】
【表1】

【0051】
表1のデータは、実施例1の触媒が比較実施例1の触媒よりも有意により活性であることを示し、これはバッチ式THF重合の初期段階、すなわち速度論的領域(kinetic region)でのデータで反映される。双方とも最終的に反応混合物中の利用可能な無水酢酸により制限される最終的転換に到達する。実施例1の触媒に関する速度定数、0.041L/g cat hrは、比較実施例1の触媒の0.021L/g cat hrのほぼ2倍であると算出される。この実施例1の触媒対比較例1の触媒に関して活性がほぼ2倍、すなわち>95%の改善は全く予想されないものである。
【実施例2】
【0052】
連続的THF重合は、45℃および大気圧で、側方出口および機械式撹拌機を備えた500mlのガラス反応槽(250mlの有効操作容量)中で約250rpmの速度で行う。反応混合物は4.5重量%酢酸、4.5重量%無水酢酸、および91重量%THFを含み、これはポンプにより反応槽の上に供給される。生成混合物は、触媒を保持するためにポリエチレン布で覆った側方出口を介して反応槽から流出する。したがって反応混合物に関する反応槽容量は約250mlである。次いで触媒として16グラム(反応混合物の6.5重量%)の前処理した固体樹脂Solexis Aquivion(商標)E87−105フィルムを加える。反応槽は実験中、連続的に撹拌される。1.7ml/分から12.3ml/分の範囲で様々な供給速度を使用する。転換を測定するために、生成物の少量のサンプル(2〜3ml)を一定間隔で採取し、そして真空オーブン中で3時間、120℃で乾燥する。生成混合物のバルクを数時間毎に集め、そして未反応供給原料は約99℃の温度(沸騰湯浴)でロータリーエバポレーターを使用して除去して、ポリ(テトラメチレンエーテル)アセテート(PTMEA)生成物を分析用に提供する。
【0053】
PTMEAサンプルはTHFの転換またはPTMEAの生産性について、そしてGPCによりPTMEAの分子量について測定される。様々な供給速度での触媒の性能は、THF転換または触媒のPTMEA生産性、PTMEAのg/g cat hr単位での空時収量(STY)に基づき比較される。生成物のAPHA着色は平均約12と測定される。この実施例2の結果は表2に提供する。特定の条件設定、主に供給速度について、反応は十分量の時間(>反応槽の10回分の容量)について行ったので、生成物のサンプリングおよび特性決定については安定状態の条件が確立される。
【0054】
【表2】

【0055】
比較実施例2
触媒が前処理された固体樹脂であるNafion(商標)115フィルム材料であることを除いて、実施例2を繰り返す。この比較実施例2の結果を表3に提供する。
【0056】
【表3】

【0057】
表2および3の結果の比較は、高い処理量が反応槽に供給される場合、比較法(表3)に比べて本発明の方法(表2)でより高い生産性を示す。これはTHFの重合または共重合を行うために、より活性な触媒がより少量で使用されると解釈でき、このことは工業的応用でのより良い混合および触媒の濾取、ならびに本発明の改善された方法の使用で経費節減を導くことができる。
【実施例3】
【0058】
連続的なEO/THF重合を55℃および大気圧で、側方出口および機械式撹拌機を備えた1000mlのガラス反応槽(500mlの有効操作容量)中で約350rpmの速度で行う。反応混合物は27.0重量%のEO、0.41重量%脱イオン水を含み、そしてTHFでバランスを取る。反応混合物はポンプにより反応槽の上にディップチューブを介して供給される。生成混合物は、触媒を保持するためにポリエチレン布で覆った側方出口を介して反応槽から流出する。したがって反応混合物に関する反応容量は約500mlである。次いで触媒として25グラム(反応混合物の約5重量%)の前処理した固体樹脂Solexis Aquivion(商標)E87−105フィルムを加える。反応槽は実験中、連続的に撹拌される。1ml/分から3ml/分の範囲で様々な供給速度を使用する。転換を測定するために、生成物の少量のサンプル(2〜3ml)を一定間隔で採取し、そして真空オーブン中で3時間、120℃で乾燥する。生成混合物のバルクを数時間毎に集め、そして未反応供給原料は約99℃の温度(沸騰湯浴)でロータリーエバポレーターを使用して除去し、そして部分的真空により重合生成物を分析用に提供する。
【0059】
重合生成物サンプルは、EOおよびTHFの転換またはEO/THFポリマーの生産性
について、そしてGPCにより生成物の分子量について測定される。様々な供給速度での触媒の性能は、全転換または触媒のポリマー生産性、重合生成物のg/g cat hr単位での空時収量(STY)に基づき比較される。生成物のAPHA着色は平均約12と測定される。この実施例3の結果は表4に提供する。特定の条件設定、主に供給速度について、反応は十分量の時間(>反応槽の10回分の容量)について行ったので、サンプリングおよび生成物の特性決定については安定状態の条件が確立される。
【0060】
【表4】

【0061】
比較実施例3
加える触媒が45グラム(反応混合物の約9重量%)の前処理された固体樹脂であるNafion(商標)115フィルム材料であることを除いて、実施例3を繰り返す。この比較実施例3の結果を表5に提供する。
【0062】
【表5】

【0063】
表4および5の結果の比較は、比較法(表5)に比べて本発明の方法(表4)でより高い生産性を示す。
【0064】
本発明の具体的態様を特殊性をもって記載してきたが、様々な他の修飾が明らかであり、そして当業者は本発明の精神および範囲から逸脱せずに容易に作成することができるだろう。
【0065】
したがって本明細書に添付する請求の範囲は、本明細書で説明する実施例および記載により限定されないことを意図するが、その特許請求の範囲は、むしろ本発明に存する特許付与可能な新規性のすべての特徴を包含するものと解釈され、それらには本発明が関係する当業者により発明の等価物として処理されるすべての特徴を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
200ダルトンから30,000ダルトンの平均分子量を有するポリエーテルグリコールまたはコポリエーテルグリコールの製造法であって、少なくとも1種のテトラヒドロフランまたは少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテルを含んでなる反応混合物を、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンと式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる触媒的に有効な量のペルフルオロスルホン酸樹脂触媒、この触媒は700から1100グラム/グラム−モルのスルホン酸の当量質量を有する、の存在下、そして場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合に効果的な条件で重合させる工程を含んでなる上記製造法。
【請求項2】
テトラヒドロフランがテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、3−エチルテトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
他の環状エーテルがエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,2−ビスクロロメチルオキセタン、エピクロロヒドリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキレンオキシドである請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アシリウムイオン前駆体がアセチルハライド、無水カルボン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
カルボン酸が1から16個の炭素原子の脂肪族カルボン酸またはそれらの組み合わせである請求項1、2、3または4に記載の方法。
【請求項6】
連鎖停止剤が水、2から約10個の炭素原子を含有するアルカンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1、2、3、4または5に記載の方法。
【請求項7】
重合に効果的な条件が、0℃から80℃の温度、および200から800mmHgの圧を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
10分から10時間の滞留時間の連続様式である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1から24時間の滞留時間のバッチ様式である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ペルフルオロスルホン酸樹脂触媒の触媒的に有効な量が、反応混合物の0.01重量%〜30重量%である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
200ダルトンから30,000ダルトンの平均分子量を有するポリエーテルグリコールの製造法であって、少なくとも1種のテトラヒドロフランを含んでなる反応混合物を、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンと式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる触媒的に有効な量のペルフルオロスルホン酸樹脂触媒、この触媒は700から1100グラム/グラム−モルのスルホン酸の当量質量を有する、の存在下、そして場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合に効果的な条件で重合させる工程を含んでなる上記製造法。
【請求項12】
テトラヒドロフランがテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、3−エチルテトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アシリウムイオン前駆体がアセチルハライド、無水カルボン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、カルボン酸が1から16個の炭素原子の脂肪族カルボン酸またはそれらの組み合わせであり、連鎖停止剤が水、2から約10個の炭素原子を含有するアルカンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、重合に効果的な条件が、0℃から80℃の温度、および200から800mmHgの圧を含み、そしてペルフルオロスルホン酸樹脂触媒の触媒的に有効な量が、反応混合物の0.01重量%〜30重量%である請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
200ダルトンから30,000ダルトンの平均分子量を有するコポリエーテルグリコールの製造法であって、少なくとも1種のテトラヒドロフランと少なくとも1種の他の環状エーテルを含んでなる反応混合物を、テトラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレンと式CF=CF−O−CF−CF−SOFのモノマーとのコポリマーを含んでなる触媒的に有効な量のペルフルオロスルホン酸樹脂触媒、この触媒は700から1100グラム/グラム−モルのスルホン酸の当量質量を有する、の存在下、そして場合によりアシリウムイオン前駆体、カルボン酸および/または連鎖停止剤の存在下で重合に効果的な条件で重合させる工程を含んでなる上記製造法。
【請求項15】
テトラヒドロフランがテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、3−エチルテトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
他の環状エーテルがエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、1,3−ブチレンオキシド、2,2−ビスクロロメチルオキセタン、エピクロロヒドリンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアルキレンオキシドである請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
アシリウムイオン前駆体がアセチルハライド、無水カルボン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、カルボン酸が1から16個の炭素原子の脂肪族カルボン酸またはそれらの組み合わせであり、連鎖停止剤が水、2から10個の炭素原子を含有するアルカンジオールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、重合に効果的な条件が、0℃から80℃の温度、および200から800mmHgの圧を含み、そしてペルフルオロスルホン酸樹脂触媒の触媒的に有効な量が、反応混合物の0.01重量%〜30重量%である請求項14、15または16に記載の方法。
【請求項18】
他の環状エーテルがエチレンオキシドである請求項16または17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−502507(P2013−502507A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526847(P2012−526847)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/045961
【国際公開番号】WO2011/025704
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(309028329)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (80)
【Fターム(参考)】