説明

改善された防汚性及び改善された接着性を有する、コアシェル粒子を有するシリコーン上塗塗料

ポリマー成分(1)(A1)式(R1Si−O3/2)の単位(T単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン及び/又は(A2)式(Si−O4/2)の単位(Q単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン[その際、Rは、同じ又は異なり、場合によりハロゲン化された、基1つ当たり1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基又はOR1を表し、その際、R1は同じ又は異なることができ、かつ水素又は1価の場合により置換された1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、ただし、1分子当たり0.01〜3.0質量%のSi結合した基OR1が含有されている]並びに場合により、次の成分:(B)塩化ビリル−ヒドロキシプロピルアクリラート−コポリマー、(C)酢酸ビニル−エチレン−コポリマー、(D)ポリ塩化ビニル、(E)ポリアミド、(F)ポリエステル、(G)アクリラート−ポリエステル−コポリマー、(H)ポリアミド−ポリエステル−コポリマー、(I)酢酸ビニル−ポリエステル−コポリマー、(J)モノマーの(メタ)アクリラート(ただしこれはSi結合した(メタ)アクリラート基を含有するシランと共重合する)からなるグループから選択される1種又は数種のポリマー成分、(2)一般式R3xSi(OR24-x[その際、R2は1価の、場合により置換された炭化水素基を表し、R3は1価の、場合により置換された炭化水素基を表し、R3は一価の有機基を表し、xは0又は1を表す]のシラン、(3)シリコーン粒子、(4)場合により溶剤、(5)場合により触媒、(6)場合により水の使用下で製造可能な組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、組成物並びに成形体、平面状の構造物又はエラストマーである。
【0002】
EP 718 355 Aからは、ポリオルガノシロキサン成分からなる組成物は公知であり、前記組成物はその出願日において公知の先行技術に対して既に改善された防汚性を有するが、前記組成物からなる被覆とシリコーン基材との接着性は悪い。
【0003】
本発明の課題は、公知の先行技術を改善し、特に防汚性及び接着性をさらに改善することであった。
【0004】
本発明の主題は
ポリマー成分(1)
(A1) 式(R1Si−O3/2)の単位(T単位)、及び場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)からなるポリオルガノシロキサン
及び/又は
(A2) 式(Si−O4/2)の単位(Q単位)、及び場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)からなるポリオルガノシロキサン
[その際、Rは、同じ又は異なり、場合によりハロゲン化された、基1つ当たり1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基又はOR1を表し、その際、R1は同じ又は異なることができ、かつ水素又は1価の場合により置換された1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、ただし、1分子当たり0.01〜3.0質量%のSi結合した基OR1が含有されている]
並びに場合により
(B) 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリラート−コポリマー
(C) 酢酸ビニル−エチレン−コポリマー
(D) ポリ塩化ビニル
(E) ポリアミド
(F) ポリエステル
(G) アクリラート−ポリエステル−コポリマー
(H) ポリアミド−ポリエステル−コポリマー
(I) 酢酸ビニル−ポリエステル−コポリマー
(J) モノマーの(メタ)アクリラート(ただし、これはSi結合した(メタ)アクリラート基を有するシランと共重合される)
からなるグループから選択される1種又は数種のポリマー成分、
(2) 一般式
3xSi(OR24-x
[その際、R2は1価の、場合により置換された炭化水素基を表し、
3は1価の有機基を表し、
xは0又は1を表す]のシラン
(3) シリコーン粒子
(4) 場合により溶剤
(5) 場合により触媒
(6) 場合により水
の使用下で製造可能な組成物である。
【0005】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基及びt−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基が有利である。
【0006】
置換された基Rの例は、シアンアルキル基、例えばβ−シアンエチル基及びハロゲン化炭化水素、例えばハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2′,2′,2′−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基である。
【0007】
入手が容易なために、基Rとしてメチル基又はエチル基が有利である。
【0008】
基R1は、有利に水素原子及び場合により置換された1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基であり、その際、水素及び1〜3個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル基、エチル基及びイソプロピル基が特に有利である。
【0009】
基R1の例は、基Rについて挙げられた1〜8個の炭素原子を有する例である。
【0010】
基R2の例は、有利に場合により置換された1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に有利にアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基及びイソヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基及びイソヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基である。メチル基及びエチル基が有利である。エーテル酸素原子により中断されていてもよい炭化水素基R2の例は、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシ−n−プロピル基及びメトキシ−イソプロピル基である。
【0011】
基R3の例は、有利に場合により置換された1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利にアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基及びイソヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基及びイソヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基及びイソノニル基;デシル基、例えばn−デシル基及びイソデシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基及びイソドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基及びイソオクタデシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トルイル基、キシリル基、エチルフェニル基、o−、m−、p−ビニルフェニル基及びノニルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基、イソシアンアルキル基、例えばイソシアンプロピル基、イソシアンエチル基、イソシアンヘキシル基、イソシアンオクチル基(その際、イソシアンプロピル基が有利である)、及び(メタ)アクリルオキシ基、例えばメタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシプロピル基、メタクリルオキシヘキシル基、アクリルオキシヘキシル基(その際、メタクリルオキシプロピル基が有利である)である。
【0012】
ハロゲン化された炭化水素基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば3−クロロ−n−プロピル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−又はp−クロロフェニル基である。
【0013】
ポリオルガノシロキサン(A1)の場合には、M単位対T単位の比は0〜1.8:1、有利に0.1〜1.2:1及び特に有利に0.3〜0.8:1であり、ポリオルガノシロキサン(A2)の場合には、M単位対Q単位の比は0.00〜2.7:1、有利に0.01〜2.1:1、特に有利に0.1〜1.8:1である。
【0014】
本発明によるポリオルガノシロキサンは、2〜500、有利に4〜300個のモノマー単位からなる重合体を形成する。
【0015】
ポリマー成分(A1)及び(A2)は、単独で又はそれぞれ前記オルガノシロキサン単位の混合物又は反応生成物として使用することができる。Wacker-Chemie GmbH社の樹脂溶液(Harzloesung K又はHarzloesung K 0118)のようなポリマー成分が有利である。前記樹脂は、有利に溶剤、例えばトルエン、キシレン、アセトン、酢酸エチルエステル、エタノール中に溶かされていてもよい。この溶剤は、ポリマー成分の全質量に対してそれぞれ、有利に10〜98質量%、有利に30〜98質量%の量で使用される。
【0016】
ポリマー成分(A1)及び(A2)は、単独で又は1:20〜20:1、有利に1:10〜10:1の割合で混合物として使用することができる。
【0017】
ポリマー成分(A1)及び(A2)の他に、ポリマー成分(B)として、塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリラート−コポリマーを使用することもできる。このような生成物は、Vinnolit GmbH社からの商品名Vinnolit E 15/40 Aで市販されている。又は、(C)酢酸ビニルとエチレンとからのコポリマーを、同様にポリマー成分として使用することができる。文献で公知の方法により、両方のモノマーから、所望の割合でコポリマーを製造することができる。
【0018】
他のポリマー成分として、(D)ポリ塩化ビニル、(E)ポリアミド、(F)ポリエステル、(G)アクリラート−ポリエステル−コポリマー、(H)ポリアミド−ポリエステル−コポリマー又は(I)酢酸ビニル−ポリエステル−コポリマー又は(J)モノマーの(メタ)アクリラート、例えばメチルメタクリラート、ブチルメタクリラートが使用でき、これらは反応混合物中で重合される。ポリマー成分(A1)、(A2)、(B)及び(C)が有利であり、ポリマー成分(A1)及び(A2)が特に有利である。
【0019】
前記ポリマー成分は、本発明による組成物中で2〜70質量%の量で含有される。5〜50質量%の量が有利であり、10〜40質量%の量が特に有利である。
【0020】
シラン(2)の有利な例は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名Silan GF 31 - Wacker-Chemie GmbH)、メチルトリエトキシシラン(商品名Silan M1-Triethoxy -Wacker-Chemie GmbH)、ビニルトリエトキシシラン(商品名Silan GF 56 -Wacker-Chemie GmbH)、テトラエトキシシラン(商品名TES 28 - Wacker-Chemie GmbH)、テトラエトキシシランからの低分子量の加水分解生成物からなる混合物(商品名TES 40 - Wacker-Chemie GmbH)、メチルトリメトキシシラン(商品名M1-Trimethoxy - Wacker-Chemie GmbH)、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(商品名Silan Y 9030 UCC)である。
【0021】
前記シランは、0.1〜20質量%、有利に0.5〜10質量%の量で含まれている。
【0022】
前記ポリマー成分は、シラン(2)と共に、又はその混合物を100:1〜100:30、特に有利に100:2〜100:20の比で使用される。
【0023】
前記組成物は、有利に有機溶剤、例えばテトラヒドロフラン、トルエン、アセトン、ナフサ、ベンジン、メチルエチルケトン、キシレン、ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール中で製造される。
【0024】
有機溶剤は、10〜90質量%の量で含まれ、有利に30〜85質量%である。
【0025】
前記組成物は、場合により、縮合触媒、例えば有利に有機スズ化合物又は有機ジルコニウム化合物、例えば有利にジルコニウムブチラート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズジラウラート、ジブチルスズジアセタートと混合される。
【0026】
これらの縮合触媒の中で、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズアセタート、ジルコニウムブチラートが有利である。
【0027】
前記縮合触媒は、0〜10質量%の量で含まれている。0〜5質量%の量が有利であり、0〜2質量%の量が特に有利である。
【0028】
ポリマー成分(J)において有利に使用されるフリーラジカルの供給源として、ペルオキシド、特に有機ペルオキシドが有利である。このような有機ペルオキシドの例は、ペルオキシケタール、例えば1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタンなど、ジアシルペルオキシド、例えばアセチルペルオキシド、イソブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等、ジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチル−ペル−エチルヘキサノアート等、及び過酸エステル、例えばt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボナートである。t−ブチル−ペル−エチルヘキサノアート、(商品名Peroxan PO)Interox TBPINが有利である。
【0029】
有利に、ペルオキシドは、本発明による方法において使用される化合物の質量に対してそれぞれ、0〜5質量%、特に0〜3質量%の量で使用される。
【0030】
場合により、水を0〜20質量%、有利に0〜10質量%の量で添加することもできる。
【0031】
前記組成物は、官能性シランと混合されかつ有機溶剤中で加水分解されるシリコーン樹脂から、又は官能性シランと共重合される有機(コ)ポリマーからなる。
【0032】
(3) 前記シリコーン粒子は、有利にコア−シェル構造を有するエラストマーの粒子状の共重合体であり、前記構造は、有機ケイ素ポリマーからなるコアa)とオルガノポリマーのシェルc)又は2つのシェルb)及びc)とから構成され、その際、内側のシェルb)は有機ケイ素ポリマーからなり、その際、前記共重合体は次の成分
a) 一般式:
(R42SiO2/2x・(R4SiO3/2y・(SiO4/2z
[式中、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%]のコアポリマー、共重合体の全質量に対して0.05〜95質量%と、
b) (R42SiO2/2)単位からなるポリジアルキルシロキサン−シェル、共重合体の全質量に対して0〜94.5質量%と、
c) モノオレフィン系不飽和モノマーのオルガノポリマーからなるシェル、共重合体の全質量に対して5〜95質量%と
から構成されていて、その際、R4は、同じ又は異なる、一価の1〜6個のC原子を有するアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換炭化水素基を表し、かつ前記粒子は10〜300nmの粒径を有しかつ最大σ2=0.2の多分散性指数を有する単峰性の粒度分布を有する。
【0033】
コアa)及びシェルc)からなる粒子状の共重合体は、有利に次のものから構成されている:
a) (R42SiO2/2x・(R4SiO3/2y・(SiO4/2z[式中、x=10〜99.5Mol%、特に50〜99Mol%;y=0.5〜95Mol%、特に1〜50Mol%;z=0〜30Mol%、特に0〜20Mol%]のコアポリマー、共重合体の全質量に対して5〜95質量%、特に有利に20〜80質量%、及び
c) モノオレフィン系不飽和モノマーのオルガノポリマーからなるシェル、共重合体の全質量に対して5〜95質量%、特に有利に20〜80質量%、
その際、R4は同じ又は異なる、一価の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換炭化水素基を表す
コアa)、内側のシェルb)及びシェルc)からなる粒子状の共重合体は、有利に次の成分:
a) (R4SiO3/2y・(SiO4/2z[式中、y=50〜100Mol%及びz=0〜50Mol%、特に0〜30Mol%]のコアポリマー、共重合体の全質量に対して0.05〜90質量%、特に有利に0.1〜35質量%、
b) (R42SiO2/2n単位からなるポリジアルキルシロキサン−シェル、共重合体の全質量に対して0.5〜94.5質量%、特に好ましくは35〜70質量%、
c) モノオレフィン系不飽和モノマーのオルガノポリマーからなるシェル、共重合体の全質量に対して5〜95質量%、特に好ましくは30〜70質量%、
から構成されていて、その際、R4は同じ又は異なる、一価の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換炭化水素基を表す。
【0034】
有利に、基Rはアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、アミル基、ヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基及びブテニル基;アリール基、例えばフェニル基;又は置換炭化水素基である。この例は、ハロゲン化炭化水素基、例えばクロロメチル基、3−クロロプロピル基、3−ブロモプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基及び5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル基、並びにクロロフェニル基;メルカプトアルキル基、例えば2−メルカプトエチル基及び3−メルカプトプロピル基;シアノアルキル基、例えば2−シアノエチル基及び3−シアノプロピル基;アミノアルキル基、例えば3−アミノプロピル基;アクリルオキシアルキル基、例えば3−アクリルオキシプロピル基及び3−メタクリルオキシプロピル基;ヒドロキシアルキル基、例えばヒドロキシプロピル基である。
【0035】
基メチル、エチル、プロピル、フェニル、ビニル、3−メタクリルオキシプロピル及び3−メルカプトプロピルが特に有利であり、その際、シロキサン重合体中の基の30Mol%未満がビニル基、3−メタクリルオキシプロピル基又は3−メルカプトプロピル基である。
【0036】
有機ケイ素シェル重合体b)は、有利にジアルキルシロキサン単位(R42SiO2/2)からなり、その際、R4はメチル又はエチルを表す。
【0037】
有機ポリマー成分c)のためのモノマーとして、有利に、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族アルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイミド、塩化ビニル、エチレン、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレンである。スチレン並びに1〜4個の炭素原子を有する脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート又はブチル(メタ)アクリラートが特に有利である。有機ポリマー成分として、前記モノマーの単独重合体も共重合体も適している。
【0038】
微細粒のエラストマーのグラフト共重合体は、透過型電子顕微鏡を用いて測定して、10〜300nm、有利に30〜150nmの平均粒径(直径)を有する。この粒度分布は、極めて均一であり、このグラフト共重合体は単峰性で存在し、すなわちこの粒子は、透過型電子顕微鏡を用いて測定して、粒度分布中に1つの極大を有しかつ最大0.2の多分散性係数σ2を有する。
【0039】
コア−シェル−構造の製造は、有利にEP 492 376 (Wacker Chemie GmbH)及びその実施例に従って行われる。
【0040】
有利に、シリコーンエラストマー粒子は、80〜120nmの粒径を有し、メチルイソブチルケトン中に存在する。他の溶剤、例えばトルエン、アセトン及び酢酸エチル及び酢酸ブチルも可能であるが、MIBKが特に有利であることが明らかとなった。
【0041】
本発明のもう一つの主題は、組成物の成分を反応させるか又は混合する組成物の製造方法において、
ポリマー成分(1)
(A1) 式(R1Si−O3/2)の単位(T単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン
及び/又は
(A2) 式(Si−O4/2)の単位(Q単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン
[その際、Rは、同じ又は異なり、場合によりハロゲン化された、基1つ当たり1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基又はOR1を表し、その際、R1は同じ又は異なることができ、かつ水素又は1価の場合により置換された1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、ただし、1分子当たり0.01〜3.0質量%のSi結合した基OR1が含有されている]
並びに場合により、次の成分:
(B) 塩化ビリル−ヒドロキシプロピルアクリラート−コポリマー
(C) 酢酸ビニル−エチレン−コポリマー
(D) ポリ塩化ビニル
(E) ポリアミド
(F) ポリエステル
(G) アクリラート−ポリエステル−コポリマー
(H) ポリアミド−ポリエステル−コポリマー
(I) 酢酸ビニル−ポリエステル−コポリマー
(J) モノマーの(メタ)アクリラート(ただしこれはSi結合した(メタ)アクリラート基を含有するシランと共重合する)
からなるグループから選択される1種又は数種のポリマー成分
(2) 一般式
3xSi(OR24-x
[その際、R2は1価の、場合により置換された炭化水素基を表し、
3は1価の有機基を表し、
xは0又は1を表す]のシラン
(3) シリコーン粒子
(4) 場合により溶剤
(5) 場合により触媒
(6) 場合により水
の使用下で反応又は混合させる、組成物の製造方法である。
【0042】
R、R1、R2及びR3の例は、基R、R1、R2及びR3について挙げられた例である。
【0043】
本発明による組成物の製造は、化学工業において一般的な撹拌装置及び混合装置中で行うことができる。これらの装置は、−10℃〜+150℃の範囲内に温度調節可能であり、かつこの温度に制御可能であるのが好ましい。有機溶剤の使用のために、防爆手段は不可避である。
【0044】
前記組成物の製造は、個々の成分を周囲の室温に相応する温度で簡単な混合により行われる。しかしながら、反応、たとえば反応性基との重合、縮合又は反応を実施することもできる。これは、その後に、反応搬出物の熱的制御を必要とする。このような方法は、0℃〜150℃で実施される。10℃〜120℃の温度が有利である。簡素化のために、前記組成物は常圧で製造される。しかしながら、この製造は同様に20barまでの過圧下で又は20mbarまでの減圧下で実施することができる。
【0045】
本発明の他の主題は、本発明による組成物で被覆されている成形品、平面状の構造物又はエラストマーである。
【0046】
本発明による組成物は、さらにエラストマーの成形品の保護層として又はエラストマー材料で被覆された平面状の構造物の片面又は両面のトップコートとして利用される。この平面状の構造物は、シート又は繊維、特に化学繊維、天然繊維又は鉱物繊維からなる織物、経編物、緯編物又は不織布である。この例は、エラストマー材料、例えば天然ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム又はシリコーンゴムからなる射出成形品又は押出成形品である。エラストマー材料で被覆された繊維支持体、例えばコンベアベルト、補償装置、防護服、電気絶縁ホース、電気絶縁マット、構造用の繊維、例えばテント、カバー、幌のために使用することができる被覆された繊維は、本発明によるトップコートを用いた本発明による被覆により、それ自体に対して又は他の材料に対して低減された摩擦係数を有する耐引掻性で防汚性の表面を示し並びにシリコーンゴム接着剤との良好な接着性を示す。
【0047】
このトップコートは、シリコーン被覆された繊維膜上に3〜50g/m2の層で塗布される。5〜15g/m2の層厚が理想的である。このトップコートは、一方で、ベースコート上での十分な付着性を有しなければならない。他方で、このトップコートは接着可能でなければならず、つまりシリコーン接着剤は、前記トップコート上で十分な付着性を有しなければならない。前記層の付着性は、例えばDIN53530により測定して、少なくとも150N/5cmであるのが好ましい。
【0048】
本発明による組成物は、吹付塗布、刷毛塗り、ブレード塗布、ロールコーター、スクリーン印刷、浸漬塗布又は類似の技術によって塗布することができる。
【0049】
本発明による組成物は、通常のシリコーンゴム表面と強固に結合する。この硬化は、溶剤の蒸発及び引き続く重縮合によって行われる。この硬化は、熱により促進することができる。本発明によるトップコートで処理された表面は、防汚性で、耐引掻性でかつそれ自体もしくは他の材料、例えばガラス、金属、プラスチック、織物等に対して低減された摩擦係数を有する。シリコーンゴム成形品、シリコーンゴム射出成形品、シリコーンゴム絶縁ホース、医学的製品、シリコーンゴムで被覆された織物、不織布、フェルト、シート又は紙の通常の表面は、本発明によるトップコートで処理される。ベース材料の重要な特性、例えば引張強さ、伸び率、弾性率、引裂強さ、熱及び寒冷、化学薬品又は光に対する耐性は、この表面処理によって影響されない。
【0050】
本発明による組成物の利点は、前記組成物をシリコーンゴム成形品、射出成形品、絶縁ホース等上にも塗布できることである。従って、この適用は被覆された織物だけに限定されない。この本発明による組成物は、純粋なシリコーン樹脂からだけでなく、コポリマーとシリコーン成分とからもなる。複数の特性、例えば防汚性、耐引掻性及び低減された摩擦抵抗を1つのトップコートだけによって達成することもできる。このトップコートは、公知の方法の場合に生じるようなベース材料の剛質化を引き起こさない。これは特に、被覆された繊維の分野において著しい利点である。
【0051】
本発明によるシリコーントップコートは、改善された防汚性、平滑でブロッキングのない表面、低い摩擦係数並びに極めて良好な接着性を有する。
【0052】
このトップコートは、1つの作業工程だけで塗布することができる。ベースコートと一緒に、2つの作業工程が必要なだけである。被覆された織物、経編物、緯編物又はフェルトの場合に、ベースコートとして市販の液体シリコーンゴムと共に作業することができる。定着剤を添加することにより下塗なしで十分な付着性を達成できる方法は公知である。
【0053】
このシリコーン粒子は、被覆された縮合架橋する、ペルオキシドにより架橋するバインダー系の他に、付加架橋するシリコーンバインダー系中にも使用することができる。
【0054】
実施例:
実施例1:
グラフト基体の製造:
水3800gと、ドデシルベンゼンスルホン酸(Si化合物に対して1.9質量%)19gとを85℃に加熱した。オクタメチルシクロテトラシロキサン855g(2.9Mol、74Mol%)と、メチルトリメトキシシロキサン97g(0.7Mol、18Mol%)と、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン66g(0.3Mol、8Mol%)とからなる混合物を供給し、85℃で4時間後攪拌した。約400gの留出物を除去した後に、固体含有量21質量%及び111nmの粒径を有する分散液が得られた。
【0055】
グラフト:
この分散液13050gを、15リットルの反応器中で窒素で不活性化しかつpH4に調節した。メチルメタクリラート90gを供給し、K228(モノマーに対して0.6質量%)5.2gとNaHSO3(モノマーに対して2.1質量%)18g(水中で37質量%)の添加により重合を開始させた。1時間の間に、さらにメチルメタクリラート780gを供給し、引き続き65℃に加熱し、3時間の間に完全に重合させた。グラフトコポリマー中でポリメチルメタクリラート24質量%を有し、かつ固体含有量26.7質量%、粒径127nm、かつ多分散性指数σ2=0.2を有するラテックスが生じた。
【0056】
実施例2:
グラフト基体の製造:
水4035gと、ドデシルベンゼンスルホン酸(Si化合物に対して1.8質量%)8gとを80℃に加熱した。30分間でフェニルトリメトキシシラン145g(0.7Mol、39Mol%)を、引き続き2時間でオクタメチルシクロテトラシロキサン310g(1.1Mol、61Mol%)を供給し、80℃で1時間後攪拌し、引き続き搬出物を十分に蒸留した。
【0057】
グラフト:
固体含有量9.2%、粒径83nmを有するヒドロゾル500gを、炭酸ナトリウム溶液でpH5に調節し、窒素で飽和させた。新たに洗浄したメチルメタクリラート7gを添加した後に、K228(モノマーに対して0.13質量%)0.09g及びNaHSO3(モノマーに対して0.16Mol%)0.12g(水中で37質量%)の添加によって開始させ、次いで30分間さらにメチルメタクリラート62gを供給し、引き続き65℃に加熱し、3時間に十分に重合させた。グラフトコポリマー中でポリメチルメタクリラート60質量%を有し、かつ固体含有量23.1質量%、粒径106nm、かつ多分散性指数σ2=0.01を有するラテックスが生じた。
【0058】
実施例3:
共沸で搬出される水を分離するために適した蒸留手段が設けられている撹拌装置中に、メチルメタクリラート94kg、ブチルメタクリラート94kg、トルエン313kgを装入した。この混合物を105℃に加熱することにより、含まれる水は共沸除去される。前記混合物から水がもはや搬出されなくなったら、30℃に冷却し、Silan GF 31(Wacker-Chemie GmbH社の市販品)21kgとt−ブチル−ペル−エチルヘキサノアート2.1kgとを添加した。この反応混合物を加熱還流させ、約100℃で明らかな反応が開始した。この混合物を8時間還流に保持し、30℃に冷却した。n−ブタノール15.8kgとSilan M1-Trimethoxy(Wacker-Chemie GmbH社の市販品)10.5kgとを撹拌しながら混合した。30分間撹拌した後、イソプロパノール720kgと沸騰範囲120〜140℃のベンジン180kgとを添加した。さらに30分間撹拌した。フィルターを通して容器を移し替えた。粘度8mPa・s及び固体含有量14質量%の無色透明な溶液が得られた。引き続き、有機溶剤中のシリコーンエラストマー粒子(Wacker Chemie GmbH社の商品名MIBK 444206)239kgを添加した。室温でさらに2h撹拌した後、この生成物を適当なコンテナに移し替えた。この無色透明な液体は、粘度13mm2/s及び固体含有量22%を示した。
【0059】
実施例4:
ディソルバーディスクを備えた装置中に、ベンジン(沸騰範囲140〜150℃)47.8kg、メチルエチルケトン102.6kg、キシレン236.2kg、n−ブタノール9.9kg及びテトラヒドロフラン60kgを装入し、強力に十分に撹拌しながら、Vinnol E 15/40 A(Wacker-Chemie GmbH社の市販品)52kgを前記溶剤混合物中に溶かした。イソシアノプロピルトリエトキシシラン0.5kgを添加し、1時間煮沸還流させた(約64℃)。30℃に冷却し、テトラヒドロフラン50kg、トルエン350kg、及びアセトン1000kgを添加した。30分間強力に混合した。無色透明な生成物は、粘度11mPa・s及び固体含有量約2.8質量%を有していた。引き続き、有機溶剤中のシリコーンエラストマー粒子(Wacker Chemie GmbH社の商品名MIBK 444206)239kgを添加した。室温でさらに2h撹拌した後、この生成物を適当なコンテナに移し替えた。この無色透明な液体は、粘度13mm2/s及び固体含有量22%を示した。
【0060】
実施例5
蒸留アタッチメントを備えた撹拌機中に、トルエン溶液中のメチルシリコーン樹脂(Wacker Chemie GmbH社の商品名Siliconharzloesung K Toluol)700kgとシリコーン樹脂溶液(Wacker Chemie GmbH社の商品名Siliconharzloesung K0118)200kgとを装入し、十分に混合した。継続的に撹拌しながら、トルエン324kgを常圧で加熱することにより留去した。
【0061】
前記装置を内容物と共に室温に冷却し、メチルトリエトキシシラン(Wacker Chemie GmbH社の商品名M1-Triethoxysilan)108kg、テトラエトキシシラン(Wacker Chemie GmbH社の商品名TES28)54kg、ビニルトリエトキシシラン(Wacker Chemie GmbH社の商品名Geniosil GF56)54kg並びにジルコニウムブチラート5kgを前記の順序で撹拌しながら添加した。室温で1h撹拌し、次いでアセトン900kg及び水44kgを撹拌しながら添加し、1h撹拌した。引き続き、有機溶剤中のシリコーンエラストマー粒子(Wacker Chemie GmbH社の商品名MIBK 444206)239kgを添加した。室温でさらに2h撹拌した後、この生成物を適当なコンテナに移し替えた。この無色透明な液体は、粘度13mm2/s及び固体含有量22%を示した。
【0062】
実施例a):
本発明による上塗塗料を、5質量%のヒドロゲンジメチルポリシロキサン(Wacker Chemie GmbH社の商品名Vernetzer Wと混合し、ブレード法でガラス織物上に両面にElastosil R 401/40(Wacker Chemie GmbH社の商品名)からなるシリコーンゴム被覆を塗布した。被覆された織物の全質量は240g/m2であった。上塗塗料を180℃で2分間で完全に硬化させた後に、上塗塗料の面積重量10g/m2が生じた。
【0063】
上塗塗料なしの膜は、防汚性5−5−6を示した。シリコーン接着テープで接着する場合に、217N/5cmの付着性値を示した。従来技術のトップコートでは、4−4−3と2−3−2との間の防汚性が達成され、付着性値は0〜106N/5cmであった。本発明による上塗塗料を備えた膜は、防汚性2−2−1及び付着性値233N/5cmを示した。この汚れ付着結果並びに付着性値は、6ヶ月の屋外での耐候試験において、わずかに低下しただけであった。
【0064】
同時にマトリックス中への良好な組み込みの場合の拡大された表面は良好な接着性を生じさせる。
【0065】
【表1】

【0066】
この測定結果は、本発明による上塗塗料が良好な防汚性並びに良好な脱塵挙動を有することを示す。接着試験における付着性値は、必要な値よりも明らかに高い。
【0067】
実施例b):
粗質量100g/m2のポリエステル織物の両面に、シリコーン液体ゴムからなるシリコーン被覆(被覆質量100g/m)を設けた。上塗塗料なしの被覆された織物は、汚れ付着評点5−4−4を示した。上塗塗料を備えた被覆された織物は、汚れ付着評点3−3−2を示した。この汚れ付着評点の改善は、60℃で5回の洗浄サイクル後でも明らかに維持された。
【0068】
実施例c):
Elastosil LR 6250F(Wacker Chemie GmbH社の商品名)30g/m2で被覆されたナイロン織物を本発明によるトップコートで被覆した。上塗塗料の塗布質量は5g/m2であった。
【0069】
摩擦係数の測定のために、被覆ごとにそれぞれ2つのサンプルを用いた。摩擦係数はDIN 53375により測定した。
【0070】
本発明による上塗塗料により、静的及び動的摩擦係数が改善された。DIN ISO 5981によるスクラブテストは、この被覆の耐摩耗性が不利に影響しないことを示した。
【0071】
【表2】

【0072】
防汚性の試験のためのテスト方法
シリコーン被覆された膜の防汚性の測定のために、一般に受け入れられる基準は存在しない。従って、社内の試験方法を開発した。カーボンブラック粉末を、ペーパータオルで並んで3箇所(A、B及びC)にそれぞれ3回輪を描いて膜に塗布した。輪B及びCを次いで蒸留水で10s間洗い落とした。輪Cをさらに湿ったペーパータオルで3回輪を描くように清浄化した。輪Aは、どのくらいのカーボンブラックが膜により収容されたかを示す(汚れ付着)。輪Bは、どのくらいのカーボンブラックが水によって洗い落とされたかを示す(洗い落とし)輪Cは、どのくらいのカーボンブラックが湿式後清浄化によって除去できるかを示す(清浄化)。汚れ付着は視覚的にスケールを用いて1(極めて良い)〜6(極めて悪い)まで評価した。それにより3つの項からなる分類が得られた。この開発の目的は、2−3−2の評点又はそれ以上を達成することであった。
【0073】
接着性の試験のためのテスト方法
接着性の測定のために、シリコーン上塗塗料で処理されたシリコーン被覆された2つの膜を、シリコーン接着テープ(例えば、Wacker Chemie GmbH社の商品名Elastosil R 4001/40からなる、厚さ0.6mm)を用いて180℃で2minでホットプレスで接着した。接着結合の付着性は、DIN53530により剥離試験で測定した。この開発の目的は、150N/5cm又はそれ以上の全体の付着性を達成することであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー成分(1)
(A1) 式(R1Si−O3/2)の単位(T単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン
及び/又は
(A2) 式(Si−O4/2)の単位(Q単位)と場合により式(R3Si−O1/2)の単位(M単位)とからなるポリオルガノシロキサン
[その際、Rは、同じ又は異なり、場合によりハロゲン化された、基1つ当たり1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基又はOR1を表し、その際、R1は同じ又は異なることができ、かつ水素又は1価の場合により置換された1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、ただし、1分子当たり0.01〜3.0質量%のSi結合した基OR1が含有されている]
並びに場合により、次の成分:
(B) 塩化ビリル−ヒドロキシプロピルアクリラート−コポリマー
(C) 酢酸ビニル−エチレン−コポリマー
(D) ポリ塩化ビニル
(E) ポリアミド
(F) ポリエステル
(G) アクリラート−ポリエステル−コポリマー
(H) ポリアミド−ポリエステル−コポリマー
(I) 酢酸ビニル−ポリエステル−コポリマー
(J) モノマーの(メタ)アクリラート(ただしこれはSi結合した(メタ)アクリラート基を含有するシランと共重合される)
からなるグループから選択される1種又は数種のポリマー成分
(2) 一般式
3xSi(OR24-x
[その際、R2は1価の、場合により置換された炭化水素基を表し、
3は1価の有機基を表し、
xは0又は1を表す]のシラン
(3) シリコーン粒子
(4) 場合により溶剤
(5) 場合により触媒
(6) 場合により水
の使用下で製造可能な組成物。
【請求項2】
ポリオルガノシロキサン(A1)の場合にM単位対T単位の比は0〜1.8:1であり、ポリオルガノシロキサン(A2)の場合にM単位対Q単位の比は0.00〜2.7:1であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン粒子は、コア−シェル構造を有するエラストマーの粒子状の共重合体であり、前記構造は、有機ケイ素ポリマーからなるコアa)とオルガノポリマーのシェルc)又は2つのシェルb)及びc)とから構成され、その際、内側のシェルb)は有機ケイ素ポリマーからなり、その際、前記共重合体は次の成分
a) (R42SiO2/2x・(R4SiO3/2y・(SiO4/2z
[式中、x=0〜99.5Mol%、y=0.5〜100Mol%、z=0〜50Mol%]のコアポリマー、共重合体の全質量に対して0.05〜95質量%と、
b) (R42SiO2/2)単位からなるポリジアルキルシロキサン−シェル、共重合体の全質量に対して0〜94.5質量%と、
c) モノオレフィン系不飽和モノマーのオルガノポリマーからなるシェル、共重合体の全質量に対して5〜95質量%とから構成され、
その際、R4は同じ又は異なる、一価の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基、アリール基又は置換炭化水素基を表し、
かつ、前記粒子は、粒径10〜300nmを有し、かつ最大σ2=0.2の多分散性指数を有する単峰性の粒度分布を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
粒子状の共重合体は、
a) (R4SiO3/2y・(SiO4/2z[式中、y=50〜100Mol%及びz=0〜50Mol%]のコアポリマー、共重合体の全質量に対して0.05〜90質量%、
b) (R42SiO2/2)単位からなるポリジアルキルシロキサン−シェル、共重合体の全質量に対して0.5〜94.5質量%と、
c) モノオレフィン系不飽和モノマーのオルガノポリマーからなるシェル、共重合体の全質量に対して5〜95質量%とから構成されていることを特徴とする、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
組成物の成分を反応させるか又は混合することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物又は請求項5記載の製造方法により製造された組成物で成形品又はエラストマーを被覆することを特徴とする、成形品、平面状の構造物又はエラストマー。

【公表番号】特表2008−513556(P2008−513556A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531646(P2007−531646)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009676
【国際公開番号】WO2006/029759
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】