説明

改善した金属付着を有するコーティング処方物

本発明は、改善された金属付着を有するコーティング処方物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された金属付着を有するコーティング処方物に関する。
【0002】
構造物着色剤及び構造物塗料は、迅速な倒壊を妨げ、かつ、建造物を機能的に保つ。全ての建材、全ての下塗、全ての種類の後の負荷のために、構造物着色剤の製造者は、最適化されかつ調製された、大抵は系に統合されるコーティング材料を提供する。
【0003】
鋼は、高価値かつほぼ普遍的に使用可能である建材である。更に、この材料は、特定の建造構造を初めて可能にする。ワイドスパンの橋、マスト及び化学プラントは、非合金化されたかないしは低合金化された鋼から達成される。この分類の鋼は、問題のある特性をしめす:空気酸素及び湿分が同時に存在する場合に、腐食する。この際、精錬プロセスを通じて獲得されたエネルギーリッチな鉄金属は、再度、その天然かつエネルギーの乏しい酸化物形態、さびに変換される。鋼の構造部分は、緩慢に物質を失う。したがって、安定性又は負荷能力が危うくなる。
【0004】
腐食保護系は、複数の重なり合って調節された部分コーティングからなり、このコーティングは一緒になって酸素及び湿分に対するバリヤーを形成する。結合剤が、バインダーが主としてアルキド樹脂又はエポキシド樹脂からなる基礎コーティングに、バリヤー機能の改善のために中間層コーティングが引き続く。カバーコーティングは、一方では耐候性を、他方では光学的品質、即ち、着色および光沢を配慮する。アルキド樹脂及び高価値のポリウレタン−バインダーであって、アクリル樹脂及び脂肪族ポリイソシアナート硬化剤を基礎とするものは、今日最も重要なバインダーである。
【0005】
建材のコーティングの際の問題は、様々な材料に対するこの腐食保護系の付着である。建材とコーティングとの全面的な材料結合によってのみ腐食抑制が行われることができる。加えて、保護系は、環境の影響により脆化し、次いで最も少ない機械的負荷下で崩壊する。これにより、大抵は小さい欠陥部位がコーティングに生じ、この中では、この下にある材料の腐食性分解が極めて迅速に開始する。安定性又は負荷能力が決定的に重要である物品では、したがって、個人的かつコスト集約的な監視プロセスが確立されなくてはならない。定期的な制御工程を用いて、例えば、橋建造物は、場合によってはあり得る腐食損失に対して試験されなくてはならない。
【0006】
しばしば、このコーティングは、組立相の間にon siteで設けられる。しかしながら有利には、in shopで設けることであり、というのはこれらは制御された条件下で行われることができるからである。しかしながら緩慢な乾燥では、実際的でない製造過程所要時間が生じ、というのはこの構造部分は、完全な乾燥までは移動されることができないからである。
【0007】
良好な付着特性を特に金属表面に対して有する、改善されたコーティング処方物を提供することに課題はある。
【0008】
更に、その製造方法を提供するという課題が存在する。
【0009】
前記課題は、ジカルボン酸の群から選択された酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化したカルボン酸を有する少なくとも1のポリマー成分が含有されていることを特徴とする、少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー成分を有する樹脂系を含有する、金属用コーティング処方物により解決された。
【0010】
意外なことに、この新規のコーティング処方物は傑出した付着特性を金属表面、特に鋼に対して示すことが見出された。
【0011】
本発明によるコーティングは、on siteでもまた同様にin-shopでも使用可能である。
【0012】
このコーティング処方物が極めて迅速に乾燥することが見出された。約1時間の乾燥時間が達成される。硬化剤の更なる添加は、乾燥時間/硬化時間を更に減少させることができる。したがって、有利なin-shop適用が許容可能な製造過程所要時間内に行われることができる。
【0013】
更に、この迅速に乾燥/硬化し、かつ良好に付着するコーティング処方物が、厚いコーティングフィルム、例えば1〜5mmのコーティングフィルムのためにも傑出して適することが見出された。
【0014】
架橋剤としては、特に多官能性メタクリラート、例えばアリルメタクリラート、エチレングリコール−ジメタクリラート、ジエチレングリコール−ジメタクリラート、トリエチレングルコール−ジメタクリラート、テトラエチレン−グリコール−ジメタクリラート、ポリエチレングリコール−ジメタクリラート、1,3−ブタンジオール−ジメタクリラート、1,4−ブタンジオール−ジメタクリラート、1,6−ヘキサンジオール−ジメタクリラート、1,12−ドデカンジオール−ジメタクリラート、グリセロール−ジメタクリラート、トリメチロールプロパン−トリメタクリラートが使用される。
【0015】
金属表面のコーティングのための樹脂系が公知である。
【0016】
有利には、コーティング処方物は、少なくとも1の熱可塑性ポリマー樹脂を、エチレン性不飽和二重結合を有する、例えばα−β−エチレン性不飽和カルボキラートエステル基として、例えばメタクリラート基又はアクリラート基を有する低分子量モノマー又はオリゴマー、と一緒に組み合わせて含有する。
【0017】
(メタ)アクリラートとの書き方は、ここでは、メタクリラート、例えばメチルメタクリラート、エチルメタクリラートその他、また同様にアクリラート、例えばメチルアクリラート、エチルアクリラートその他、並びにこの両者からの混合物を意味する。
【0018】
熱可塑性ポリマーは、有利には、(メタ)アクリラート樹脂であり、ホモポリマー、コポリマー及び/又はターポリマーとしてである。特にとりわけ有利にはポリマー成分は(メタ)アクリラートポリマーであることができる。これは、1又は複数のメタクリラートモノマー又はアクリラートモノマー、有利には、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートの群からのメタクリラートモノマー又はアクリラートモノマーの重合により作製されることができる。共反応剤は、スチレン又はビニルトルエンであることができる。特に有利な熱可塑性ポリマーは、ブチルメタクリラート及びメチルメタクリラートからなるコポリマーである。
【0019】
エチレン性不飽和モノマー成分は、少なくとも1のメタクリラート官能性又はアクリラート官能性を含有する。
【0020】
エチレン性不飽和モノマー成分は、有利には、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートの群から選択されることができる。
【0021】
熱可塑性ポリマー樹脂のその他の分類は、ビニルモノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、ビニルクロリド、ビニルアセタート、ビニリデンクロリド及び/又はビニルエステルからなるホモポリマー、コポリマー又はターポリマーを包含する。共反応剤は、ジエン、例えばブタジエンであることができる。
【0022】
熱可塑性樹脂は、このコーティング混合物の樹脂成分の10〜60質量%を形成する。
【0023】
ポリマー成分は、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートを含有することができる。
【0024】
ポリマー成分は、1又は複数のジエンと、少なくとも1のスチレン、ビニルトルエン、ビニルクロリド、ビニルアセタート、ビニリデンクロリド及び/又はビニルエステルとからの反応生成物であることもできる。
【0025】
液状モノマー成分の少なくとも1は、メタクリラート官能性を有し、特に有利にはメタクリル酸エステルである。場合により、アクリラート官能性も含有されていることができ、有利にはアクリル酸エステルである。
【0026】
更に、モノマー成分は単官能性であり、したがって、有機過酸化物を有する反応生成物は熱可塑性であり、かつ、添加剤の反応温度まで溶解し、流動する。
【0027】
例えば、エチレン性不飽和モノマー成分は、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、tert−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、及び、その混合物の群から選択される。メチルメタクリラート及び2−エチルヘキシルアクリラートは特に有利である。
【0028】
液状モノマー成分は、このコーティング混合物の樹脂成分の30〜60質量%を形成する。
【0029】
この樹脂成分は、コーティング混合物の10〜60質量%、特に有利には25〜50質量%を形成する。
【0030】
液状コーティング処方物を硬化させるために開始剤が使用される。アゾ開始剤又は有機過酸化物が使用される。有利には、開始剤として、ジアルキルペルオキシド、ケトペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド及び/又はペルオキシケタールが使用される。開始剤は、樹脂組成物全体に対して0.5〜5%、特に有利には1〜4%の量で使用される。
【0031】
開始剤としてのジベンゼンペルオキシドの使用では、有利には、硬化促進のために第三級アミンが添加される。有利な第三級アミンは、N,N−ジメチルアニリン及びN,N−ジアルキル−p−トルイジンである。
【0032】
樹脂混合物全体に対する第三級アミンの割合は、0.1〜4%、有利には0.25〜3%である。
【0033】
有利なアゾ開始剤は、2,2−アゾビス(アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルプロパンニトロル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルペンタニトリル)及びその混合物である。
【0034】
コーティングの金属表面に対する付着特性の本質的な改善は、酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化したカルボン酸の添加により達成される。酸(メタ)アクリラートは、有利には、ジカルボン酸の群から選択され、特に有利にはβ−CEAが使用される。重合導入可能な多官能化したカルボン酸は、特に有利には、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸の群から選択される。β−CEAは、アクリル酸のマイケル生成物であり、常に次のものからなる混合物である:
【化1】

【0035】
酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化したカルボン酸は有利には、樹脂のポリマー成分の成分である。
【0036】
酸(メタ)アクリラートは、更に、使用される着色成分に対して良好な分散作用を有する。
【0037】
この課題は、コーティング処方物の製造方法によっても解決された。 本発明による方法は、少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー成分と、ジカルボン酸の群から選択された酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化されたカルボン酸を有する少なくとも1のポリマー成分と、慣用の助剤及び添加剤とを、フリーラジカル重合により重合することを特徴とする。
【0038】
チキソトロープ添加剤は、塗布工程において厚いコーティングを可能にするためにレオロジーの改善のために添加されることができる。これらは、コーティングの全量に対して0〜2%、有利には0.05〜1%の量で添加される。
【0039】
同様に、湿潤添加剤又は分散添加剤が添加されることができる。
【0040】
コーティングを金属表面に設ける前に、有機過酸化物が添加される。これにより、ラジカル反応が開始し、ここで液状コーティングが硬化する。通常は、この硬化時間は30分間である。これは、開始剤及び促進剤の量により変動されることができる。
【0041】
このコーティング処方物は、噴霧技術、刷毛、ロール、スパチュラ又は浸漬方法により設けられることができる。選択的に、多成分噴霧系も使用されることができる。
【0042】
この金属表面は、通常は、加工残留物をとりわけ除去するためにコーティングが設けられる前に清浄化される。部分的にプライマーも設けられる。
【0043】
同様に、例えば暴露した金属表面のためにカバー層が設けられることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸の群から選択された酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化したカルボン酸を有する少なくとも1のポリマー成分が含有されていることを特徴とする、少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー成分を有する樹脂系を含有する、金属用コーティング処方物。
【請求項2】
酸(メタ)アクリラートが、β−CEAの群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項3】
重合導入可能な多官能化したカルボン酸が、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸の群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項4】
ポリマー成分が、熱可塑性樹脂の群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項5】
ポリマー成分が、(メタ)アクリル樹脂のホモポリマー、コポリマー及び/又はターポリマーの群から選択されていることを特徴とする、請求項3記載のコーティング処方物。
【請求項6】
ポリマー成分が、(メタ)アクリラート−コポリマーを含有することを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項7】
ポリマー成分が、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートからなることを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項8】
ポリマー成分が、1又は複数のジエンとスチレン、ビニルトルエン、ビニルクロリド、ビニルアセタート、ビニリデンクロリド及び/又はビニルエステルからなる反応生成物であることができることを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項9】
エチレン性不飽和モノマー成分が、メタクリラート官能性又はアクリラート官能性を含有することを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項10】
エチレン性不飽和モノマー成分が、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリラートを含有することを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物。
【請求項11】
少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー成分と、ジカルボン酸の群から選択された酸(メタ)アクリラート又は重合導入可能な多官能化されたカルボン酸を有する少なくとも1のポリマー成分と、慣用の助剤及び添加剤とを、フリーラジカル重合により重合することを特徴とする、請求項1記載のコーティング処方物の製造方法。
【請求項12】
助剤及び添加剤として、開始剤、有利には有機過酸化物を使用することを特徴とする、請求項11記載のコーティング処方物の製造方法。
【請求項13】
開始剤として、ジアルキルペルオキシド、ケトペルオキシド、ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド及び/又はペルオキシケタールを使用することを特徴とする、請求項12記載のコーティング処方物の製造方法。
【請求項14】
金属表面のコーティングのための請求項1記載のコーティング処方物の使用。

【公表番号】特表2010−533782(P2010−533782A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517339(P2010−517339)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058048
【国際公開番号】WO2009/013090
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】