説明

改良されたアルキル芳香族の生産プロセス

本発明は、所望のモノアルキル芳香族化合物を選択的に生産するプロセスを提供し、前記プロセスは少なくとも部分的に液相条件で,多孔性結晶質材料を含む触媒の存在下でアルキル化可能な芳香族化合物を反応ゾーンにおいてアルキル化剤と接触させることを含み、前記触媒は押出し物から製造され、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの範囲の触媒微粒子材料を含み、及び効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させ及び外部表面積の容積に対する比が79cm-1 より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキル芳香族、特にモノアルキル芳香族環化合物、例えば、エチルベンゼン、クメン及びsec-ブチルベンゼンを生産するプロセスメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼン及びクメンは、スチレンモノマー及び同時に得られるフェノール及びアセトンの工業的生産に用いられる貴重な汎用化学品である。事実フェノールの通常の生産方法には、クメンを生産するためにベンゼンをプロピレンでアルキル化し、続いてクメンを酸化して対応するペルヒドロキシド化されたクメンを生成し、そしてこれを開裂して等量モルのフェノール及びアセトンを生産する方法がある。エチルベンゼンは多くの異なる化学プロセスで生産される。商業的に極めて成功したプロセスの一つは固体、酸性ZSM-5ゼオライト触媒の存在下でベンゼンをエチレンにより気相でアルキル化するものである。その様なエチルベンゼンの生産プロセスの例は米国特許第3,751,504号(Keown)、4,547,605号 (Kresge)及び4,016,218 号(Haag)に記載がある。
【0003】
商業的に非常に成功を収めた他のプロセスは、ベンゼン及びエチレンから液相でエチルベンゼンを生産するものであり、このプロセスは対応する気相よりも低温で運転され、そのため副産物の生産が低く抑えられる傾向がある。例えば、米国特許第4,891,458 号(Innes)はゼオライト ベータによる液相でのエチルベンゼン合成について記載し、米国特許第5,334,795 号(Chu) はMCMを使う液相のエチルベンゼン合成について記載する。
【0004】
クメンは長年に亘りフリーデル‐クラフツ触媒、特に固体リン酸又は塩化アルミニウムを用いてベンゼンを液相でプロピレンによりアルキル化する方法で商業的に生産されてきた。しかし近年ではゼオライトベース触媒システムがベンゼンのプロピル化によってクメンを生産するのにより活性があり、より選択的に好ましいことが分かってきた。例えば、米国特許第4,992,606号(Kushnerick)はベンゼンをプロピレンにより液相でアルキル化するのにMCM-22を使用することを記載する。
【0005】
通常、炭化水素変換プロセス、例えば、芳香族のアルキル化の様なプロセスに用いられるゼオライト触媒は円筒状の押出し物の形である。しかし、例えば、米国特許第3,966,644号 (Gustafson)から知られるように、高い表面積対容積比率を持つ成形された触媒微粒子、例えば、多葉状(polylobal)の断面を持つ触媒は残油(reside)の水素化の様に拡散律速であるプロセスにおいて改良された結果を生み出すことができる。
【0006】
さらに、米国特許第4,441,990号 (Huang)から、非円筒状の中央に開口を持つ多葉状(polylobal)触媒粒子は反応試薬のための拡散経路及び触媒の詰められた床の圧力の降下を低減させることができ、他方破損、摩耗及び粉砕による触媒の損出を最小に留める。
【0007】
'990特許の実施例8には、3葉状(trilobal)及び4葉状(quadrulobal)中空ZSM-5触媒は同じ長さの固体、円筒状触媒よりも410℃の温度及び2169 kPa-a (キロパスカル絶対圧)圧力でのベンゼンのエチレン化においてより活性があり、かつ選択的である。これらの条件下では試薬は気相状態にあることが必要である。
【0008】
これらのプロセスメカニズムで現在もっとも頻繁に使用される商業的触媒は0.159 cm 円筒状又は0.127 cm 4葉状 押出し物である。従来の押出し物は凡そのサイズが1550から1600ミクロンであり、後者は凡そ 1250から1300ミクロンである。
【0009】
アルキル芳香族化合物、例えば、エチルベンゼン及びクメンを生産するための既存のアルキル化プロセスは、所望のモノアルキル化製品と共に固有にポリアルキル化種を生産する。したがって、ポリアルキル化種をアルキル化反応塔に再還流させ、又はよりしばしば起きることだが、ポリアルキル化種を別のトランスアルキル化反応塔に供給することにより、例えば、エチルベンゼン又はクメンの様な追加のモノアルキル化製品を生産するために、芳香族、例えば、ベンゼンを更に供給することによりポリアルキル化種をトランスアルキル化することは通常行われていることである。芳香族種のアルキル化、例えば、ベンゼンをエチレン又はプロピレンでアルキル化する場合、及びポリエチルベンゼン及びポリイソプロピルベンゼンの様なポリアルキル化種のトランスアルキル化で使用されている触媒の例は、米国特許第5,557,024号 (Cheng)に記載されており、MCM-49, MCM-22, PSH-3, SSZ-25, ゼオライトX, ゼオライトY, ゼオライト ベータ、酸性脱アルミ化モルデナイト、及びTEA−モルデナイトを含む。TEA−モルデナイトの小さい結晶(<0.5ミクロン)形の上でのトランスアルキル化はまた米国特許第6,984,764号(Roth他)に開示されている。
【0010】
アルキル化ステップが液相で実施される場合、また液相条件下でトランスアルキル化ステップを実施するのが望ましい。しかし、比較的低温度で運転することにより、バルク状のポリアルキル化種が望ましくない副産物を生産することなく更にモノアルキル化製品に変換する必要のあるトランスアルキル化ステップ、特に液相プロセスは特に触媒に更なる要件を要求する。このことは、クメンの生産において既存の触媒が望ましい活性を持たず又はエチルベンゼン及びn-プロピルベンゼンの様な極めて大量の副産物を生成する結果となる場合においては深刻な問題であることが判明した。
【0011】
米国特許第6,888,037号(Dandekar他)は少なくとも部分的に液相のアルキル化条件でベンゼン及びプロピレンを微粒子状分子篩アルキル化触媒に接触させるステップを含むクメンの生産プロセスを開示する。そこでは前記アルキル化触媒の粒子は表面積の容積に対する比が約80 から200 inch-1未満である。米国特許第6,888,037号によると、ベンゼンの液相プロピル化は、ベンゼンの液相エチル化と異なり、粒内(マクロ多孔性)拡散限界に敏感に影響される。特にアルキル化触媒の粒子の形及びサイズを、表面積の容積に対する比が特定の範囲に入る様に選択することにより、粒内拡散距離を第一の触媒床に亙る圧力の過度の降下を起すことなく低減させることができる。その結果、ベンゼンのプロピル化のための触媒活性を増大させることができ、他方同時に、例えば、ジイソプロピルベンゼン(DIPB)の様な望ましくないポリアルキル化種に対する触媒選択性を低減させることができる。
【0012】
米国特許出願第60/808,192号は、アルキル化反応ゾーンでモノアルキル芳香族化合物を生産するプロセスを開示しており、そのプロセスは以下のステップを含む;
(1) 前記アルキル化反応ゾーンにアルキル化可能芳香族化合物、アルキル化剤及び微粒子触媒材料を提供し;及び
(2) 前記アルキル化可能芳香族化合物及びアルキル化剤をアルキル化条件に維持されているアルキル化反応ゾーンで前記微粒子触媒材料と接触させ、前記モノアルキル芳香族化合物及びポリアルキル芳香族化合物よりなる製品を形成するステップであり、
前記微粒子触媒材料の大半は表面積の容積に対する比が約79 cm-1より大きい。
【0013】
押出し物から製造された特定の触媒の存在下で実施された本発明の反応において、その触媒サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの狭い範囲にある触媒微粒子材料を含み、以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を、元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させ、他方プロセスにおいて触媒床に受忍できない程度の圧力低下をもたらすことなく、活性及び選択性の独特の組み合わせを生み出すことが見出された。これは特にプロセスがモノアルキル化製品の製造のための液相アルキル化である場合、特にベンゼンのエチルベンゼン又はクメンへの液相アルキル化においては明白である。これにより、その様なプロセスで望ましくない多量のポリアルキル化種を変換するという困難なトランスアルキル化反応の多くを不要とした。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、所望のモノアルキル芳香族化合物を選択的に生産する改良されたプロセスを提供し、前記プロセスは少なくとも部分的に液相条件で,多孔性結晶質材料を含む触媒の存在下でアルキル化可能な芳香族化合物を反応ゾーンにおいてアルキル化剤と接触させることを含み、前記触媒は押出し物から製造され、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの範囲の触媒微粒子材料を含み、及び以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させる。本発明の一つの特徴は反応ゾーンにおいてモノアルキルベンゼンを選択的に生産するための改良されたアルキル化プロセスを提供することであり、前記プロセスは多孔性結晶質材料を含むアルキル化触媒の存在下でアルキル化を可能にするに十分なアルキル化条件で、ベンゼンをアルキル化剤と反応させるステップを含み、前記触媒は押出し物から製造され、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの触媒微粒子材料を含み、及び以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させる。
【0015】
本プロセスで使用される触媒は、例えば、MCM-22ファミリーの材料、ゼオライト ベータ構造、又は12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07Åで最大d−スペーシングを持つX線回折パターンを持つ構造の結晶質分子篩を含み、前記触媒は押出し物から製造され、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの触媒微粒子材料を含み、以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させる。より具体的には、本発明で使用される触媒はベータの構造、MCM-22ファミリーの材料、例えば、MCM-22又はこれらの混合物を含む結晶質分子篩を含んでも良い。
【0016】
本発明で使用される触媒は、好ましくはMCM-22ファミリーの材料、例えば、
MCM-22, PSH-3, SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, ITQ-30, MCM-36, MCM-49, MCM-56 及びこれらの混合物の構造を持つ結晶質ケイ酸塩を含むのが良い。
【発明の詳細な説明】
【0017】
本明細書で引用された全ての特許、特許出願、試験手順、優先権書類、論文、刊行物、マニュアル、及びその他の文書は、それらの文献が本出願に開示されているところと矛盾しない限り及びその様な組み入れが認められている全ての管轄国又は地域において、参照によりその全てが本明細書に組み入れられる。
【0018】
本明細書において数値の下限及び上限が規定される場合、全ての下限数値から全ての上限数値の範囲が対象となる。
【0019】
本明細書で使用される「フレームワーク種」(framework type)は「ゼオライト フレームワーク種のアトラス」(Atlas of Zeolite Framework Types) 2001に記載されている意味で使用される。
【0020】
本明細書で用いる周期表の命番方式は、「化学及びエンジニアリングニュース」(Chemical and Engineering News)63(5), 27 (1985)に使用されているものと同様のものである。
【0021】
本明細書で用いる「MCM-22 ファミリー材料」(MCM-22 family material)(又はMCM-22 ファミリーの材料(material of MCM-22 family)又はMCM-22 ファミリーの分子篩(molecular sieve of the MCM-22 family)は以下の分子篩を含む:
MWWフレームワーク トポロジーを持つ通常の第一級結晶質成分の単位セルから作られる分子篩であり、単位セルは、「ゼオライト フレームワーク種のアトラス」第5版、2001に記載の結晶を表す3次元空間に配置される原子の空間的配置であり、「ゼオライト フレームワーク種のアトラス」の全ての内容は参照として本明細書に組み入れる;
通常の第2級成分の、2次元に配置されたその様なMWWフレームワーク種単位セルから作られる成分であり、「一単位セルの厚さの単層」、好ましくは1つのc−単位セルの厚さの単一層を形成するものが良く;
通常の第二級成分から作られる分子篩であり、一以上の単位セル厚さの層であり、一以上の単位セル厚さの層は、MWWフレームワーク トポロジーを持つ単位セルの一つの単位セルの厚さの少なくとも2つの単一層を積重ね、包装し又は結合したものから作られる。その様な第二級成分の積重ねは規則正しい方法、不規則な方法、ランダムな方法及びこれらの任意の組み合わせで実施でき;又は
MWWフレームワーク トポロジーを持つ単位セルの任意の規則正しい、又はランダムな2次元、又は3次元の組み合わせにより作られる分子篩である。
【0022】
MCM-22 ファミリー材料は12.4±0.25, 3.57±0.07及び3.42±0.07Åでd―スペーシングが最大(焼成又は合成されたまま)であるX線回折パターンによって特徴付けられる。MCM-22 ファミリー材料はまた12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07及び3.42±0.07Åでd―スペーシングが最大(焼成又は合成のまま)であるX線回折パターンを持つという特徴があっても良い。分子篩を特徴付けるX線回折パターンデータは、銅のK−アルファ二重線(doublet)を入射放射として用い及びシンチレーション計数管を備えた回折計及び回収システムとしての関連コンピュータを用いた標準技術を用いて得られる。MCM-22 ファミリーに属する材料には、MCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載), PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載)、SSZ-25 (米国特許第4,826,667号に記載), ERB-1(欧州特許0293032号に記載), ITQ-1 (米国特許第6,077,498号に記載), ITQ-2 (国際公開公報 WO97/17290号に記載), ITQ-30 (国際公開公報WO2005118476号に記載), MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載), MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載), MCM-56 (米国特許第5,362,697号に記載)及びUZM-8 (米国特許第6,756,030号に記載)を含む。
【0023】
これらの文献の全ての内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0024】
上に述べたMCM-22 ファミリー分子篩はモルデナイトの様な従来の大孔ゼオライトアルキル化触媒とは、MCM-22 ファミリー材料は分子篩の10リング内部細孔システムと連通しない12リング表面ポケットを持つ点で区別される。
【0025】
IZA-SC によりMWWトポロジーであるとされるゼオライト材料は、10及び12員リングの両方が存在することから生じる2孔(two pore)のシステムを持つ多層材料である。「ゼオライト フレームワーク種のアトラス」(Atlas of Zeolite Framework Types 2001)は、5つの異なる名称の材料はこの同じトポロジーを持つもの、すなわち、MCM-22, ERB-1, ITQ-1, PSH-3, 及びSSZ-25として分類する。
【0026】
MCM-22 ファミリー分子篩は種々の炭化水素変換プロセスで有用であることが見いだされた。MCM-22 ファミリー分子篩の例として、MCM-22, MCM-49, MCM-56, ITQ-1 PSH-3, SSZ-25,及びERB-1がある。その様な分子篩は芳香族化合物をアルキル化するのに有用である。例えば、米国特許第6,936,744号はモノアルキル芳香族化合物、特にクメンを生産するプロセスを開示し、そのプロセスは、モノアルキル芳香族化合物を生産するために、少なくとも部分的な液相条件及びトランスアルキル化触媒の存在下で、ポリアルキル芳香族化合物をアルキル化可能な芳香族化合物と接触させるプロセスを含み、トランスアルキル化触媒は少なくとも2つの異なる結晶質分子篩の混合物を含み、各分子篩はゼオライト ベータ、ゼオライト Y,モルデナイト及び12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07及び3.42±0.07Åで最大d−スペーシングを含むX線回折パターンを持つ材料から選択される。
【0027】
本発明はモノアルキル芳香族化合物、特にエチルベンゼン、クメン又はsec-ブチルベンゼンを、アルキル化可能な芳香族化合物、特にベンゼンの液相又は部分的液相でのアルキル化により生産する改良されたプロセスメカニズムに関する。より具体的には、本発明のプロセスは多孔性結晶質材料を含む触媒組成物を使用し、押出し物から製造される触媒は、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの範囲の触媒微粒子材料を含み、及び以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素から約25%から約750%増大させ、より具体的にはサイズが約260ミクロンから約700ミクロンの範囲であり、以下に定義される効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物のそれより約50%から約650%増大させる。本発明で使用される触媒組成物は、外部表面積の容積に対する比が約79cm-1 より大きく、より具体的には約79cm-1から約374cm-1である触媒微粒子材料を含む。
【0028】
効果要素(Effectiveness Factor)は通常物質移行の制限のある条件での反応速度を物質移行の制限のない反応速度で除したものと定義される。効果要素(Effectiveness Factor)に関する詳細な議論は、C. N. Satterfieldによる
「不均一触媒の物資移行」("Mass Transfer in Heterogeneous Catalysis")及び「不均一触媒中の物資移行」("Mass Transfer in Heterogeneous Catalysis")Robert Krieger Publishing Co.、Malabar, FL, 1980、初版、M. I. T. Press, Cambridge, MA, 1970の様なこの主題に関する一般論文に記載がある。測定中に触媒が不活性化する環境では、反応速度定数は、例えば、反応速度定数を不活性化される前に反応速度を推定することにより、触媒不活性化の効果を除外して測定される。本発明では、効果要素は試験される触媒のアルキル化反応の反応速度定数を、物質移行制限のないアルキル化反応の速度定数で除したものとして算出される。アルキル化反応の速度定数はバッチ反応器での二次速度式の解に基づき計算され、この式はまた、「化学反応エンジニアリングの要素」(Elements of Chemical Reaction Engineering)、Fogler, H. Scott, P T R Prentice-Hall, Inc., 1992, §8.3.1及び§5.6.2.に記載されている。バッチによるクメン試験についての更なる詳細は以下の「バッチ試験におけるクメン製造のための試験次第」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)部分に記載がある。物質移行制限のない条件で測定された二次速度定数は、無限に小さい粒子での最大反応速度について測定される速度定数を推定して算出され、その場合不活性化の前の反応速度を推定するような方法で、速度定数が不活性化がない条件で測定される。
【0029】
本明細書において原料として有用なアルキル化可能な芳香族化合物について使用される「芳香族」(aromatic)の用語は、その技術分野で使用される意味と同様の意味と理解される。この用語にはアルキルによる置換の及び非置換の単核及び多核化合物を含む。ヘテロ原子を含む芳香族性を持つ化合物もまた、選択された反応条件下で十分な触媒活性が維持される条件下では有用である。
【0030】
本明細書でアルキル化可能な置換芳香族化合物は、芳香族核に直接結合している少なくとも一つの水素原子を持っていることが必要である。芳香族環は、アルキル化反応に干渉しない一以上のアルキル、アリール、アルカリール(alkaryl)、アルコキシル、アリールオキシ、シクロアルキル、ハロゲン及び/又はその他の基により置換されても良い。
【0031】
好適な芳香族化合物はベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン及びフェナントレンを含み、ベンゼンが好ましい。
【0032】
通常、芳香族化合物上で置換基として存在し得るアルキル基は1から約22の炭素原子及び通常約1から8炭素原子を持ち、約1から4炭素原子を持つことが最も多い。
【0033】
好適なアルキル置換芳香族化合物には、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n―プロピルベンゼン、アルファーメチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン(mesitylene), ジュレン(durene), シメン(cymene), ブチルベンゼン(butylbenzene), プソイドクメン(pseudocumene), o-ジエチルベンゼン(o-diethylbenzene), m-ジエチルベンゼン(m-diethylbenzene), p-ジエチルベンゼン(p-diethylbenzene), イソアミルベンゼン(isoamylbenzene), イソヘキシルベンゼン(isohexylbenzene), ペンタエチルベンゼン(pentaethylbenzene), ペンタメチルベンゼン(pentamethylbenzene); 1,2,3,4-テトラエチルベンゼン (1,2,3,4- tetraethylbenzene); 1,2,3,5-テトラメチルベンゼン(1,2,3,5-tetramethylbenzene); 1,2,4-トリエチルベンゼン(1,2,4-triethylbenzene); 1,2,3-トリメチルベンゼン(1,2,3-trimethylbenzene), m-ブチルトルエン(m- butyltoluene); p-ブチルトルエン(p-butyltoluene); 3,5-ジエチルトルエン(3,5-diethyltoluene); o-エチルトルエン(o-ethyltoluene); p-エチルトルエン(p-ethyltoluene); m-プロピルトルエン(m-propyltoluene); 4-エチル-m-キシレン(4-ethyl-m-xylene); ジメチルナフタレン(dimethylnaphthalenes); エチルナフタレン(ethylnaphthalene); 2,3-ジメチルアントラセン(2,3-dimethylanthracene); 9-エチルアントラセン (9-ethylanthracene); 2-メチルアントラセン(2-methylanthracene); o-メチルアントラセン(o-methylanthracene); 9,10-ジメチルフェナントレン(9,10-dimethylphenanthrene);及び3-メチル-フェナントレン(3- methyl-phenanthrene)を含む。高分子量アルキル芳香族化合物はまた、開始剤として使用することもでき、芳香族有機物をオレフィン系オリゴマーでアルキル化することにより生成される芳香族有機物を含む。その様な製品はしばしばその技術分野でアルキレートと呼ばれ、ヘキシルベンゼン、ノニルベンゼン、ドデシルベンゼン、ペンタデシルベンゼン、ヘキシルトルエン、ノニルトルエン、ドデシルトルエン、ペンタデシルトルエン等を含む。アルキレートは非常にしばしば、芳香族核に付着しているアルキル基のサイズが約C6から約C12に変わる高沸点留分として得られる。クメン又はエチルベンゼンが所望の製品である場合、本発明のプロセスはn-プロピルベンゼン及びキシレンの様な副産物をそれぞれ受容可能な程度の僅かの量しか生成しない。その様な場合生成されるこれらの副産物は約100 wppm未満であることもある。
【0034】
ベンゼン、トルエン及び/又はキシレンの混合物を含む改質油(reformate)は本発明のアルキル化プロセスの特に有用な原料となる。
【0035】
本発明のプロセスで有用なアルキル化剤は、アルキル化可能な芳香族化合物、好ましくは1から5の炭素原子を持つアルキル化基と反応することのできる一以上のアルキル化脂肪族を含む任意の脂肪族又は芳香族有機化合物を通常含む。好適なアルキル化剤の例は、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンの様なオレフィン、ブテンは例えば、1−ブテン、2−ブテン又はイソブチレンであり;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールの様なアルコール(モノアルコール、ジアルコール、トリアルコールなどを含む);ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、及びn-バレルアルデヒドの様なアルデヒド;及び塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ペンチル様なハロゲン化アルキル等がある。これらの化合物の混合物もまた、例えば、プロピレン及びプロパノール混合物のように有用である。
【0036】
軽オレフィンの混合物は本発明のアルキル化プロセスのアルキル化剤として有用である。したがって、種々の精製所流、例えば、燃料ガス、エチレン、及びプロピレン等を含むガスプラントの排ガス、軽オレフィン、及び精製所FCC プロパン/プロピレン流等を含むナフサ分解排ガスの主要成分であるエチレン、プロピレン、ブテン及び/又はペンテンの混合物は有用なアルキル化剤である。例えば、典型的なFCC軽オレフィン流は以下の組成を持つ:

重量% モル%
エタン 3.3 5.1
エチレン 0.7 1.2
プロパン 4.5 15.3
プロピレン 42.5 46.8
イソブタン 12.9 10.3
n-ブタン 3.3 2.6
ブテン 22.1 18.32
ペンタン 0.7 0.4

本発明のプロセスから得られる反応製品は、ベンゼンとエチレンの反応から得られるエチルベンゼン、ベンゼンとプロピレンの反応から得られるクメン、トルエンとエチレンの反応から得られるエチルトルエン、トルエンとプロピレンの反応から得られるシメン、及びベンゼンとn-クメンの反応から得られるsec-ブチルベンゼンを含む。本発明の特に好ましいプロセス メカニズムはベンゼンをプロピレンでアルキル化することによるクメンの生産、及びベンゼンをエチレンでアルキル化することによるエチルベンゼンの生産に関する。
【0037】
反応物は部分的又は完全に液相状であっても良く、そして純粋、すなわち、意図的な混合物を含まず又は他の材料により希釈されていないものでも良く、又は反応物は例えば、水素、メタン及び/又は窒素の様なキャリアーガス又は希釈剤の助けにより触媒組成物と接触させても良い。
【0038】
本発明のアルキル化プロセスは、有機反応物、すなわち、アルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤が好適な反応ゾーンで効果的なアルキル化条件で必要とされる触媒と接触させる様に実施しても良い。その様な条件には、温度が約0℃から約500℃, 好ましくは約10℃から約260℃, 圧力が約20から約25000 kPa-a, 好ましくは約100 から約5500 kPa-a、アルキル化可能な芳香族化合物のアルキル化剤に対するモル比率が約0.1 :1から約50:1, 好ましくは約0.5:1から約10:1、アルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1から500 hr-1, 好ましくは約0.1から約100 hr-1であることを含む。
【0039】
ベンゼンがエチレンによりアルキル化されエチルベンゼンを生成する際には、アルキル化反応は好ましくは液相で実施され、その条件は温度が約150℃から約300℃, より好ましくは約170℃から約 260℃; 圧力が約 20400 kPa-aまで, より好ましくは約2000 kPa-aから約 5500 kPa-a; エチレンアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約 0.1から約20 hr-1, より好ましくは約0.5から約6 hr-1;及びアルキル化反応ゾーン中のベンゼンのエチレンに対するモル比率が約0.5:1約100:1, 好ましくは0.5:1から50:1, より好ましくは約1:1から約30:1, 最も好ましくは約 1 :1 から約10:1である。
【0040】
ベンゼンがプロピレンによりアルキル化されクメンを生成するとき、反応はまた液相条件で実施されても良く、その条件は温度は約250℃まで, 好ましくは約150℃まで、例えば、約10℃から約125℃; 圧力は約25000 kPa-a以下, 例えば、約100から約3000 kPa-a; プロピレンアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1 hr-1 から約250 hr-1、好ましくは約1 hr-1 から約 50 hr-1;及びアルキル化反応ゾーン中のベンゼンのプロピレンに対するモル比率が約0.5:1から約100:1、好ましくは0.5:1から50:1, より好ましくは約1:1から約30:1、最も好ましくは約1 : 1から約10:1であることを含む。
【0041】
ベンゼンがブテンによりアルキル化されsec-ブチルベンゼンを生成するとき、反応はまた液相条件で実施されても良く、その条件は温度が約250℃まで, 好ましくは約150℃まで、例えば、約10℃から約125℃; 圧力が約 25000 kPa-a以下、例えば、約1から約 3000 kPa-a; ブテンアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が約0.1 hr-1 から約250 hr-1、好ましくは約1 hr-1 から約 50 h-1;及びアルキル化反応ゾーン中のベンゼンのブテンに対するモル比率が約0.5:1から約100:1、好ましくは0.5:1から50:1, より好ましくは約1:1から約 30:1、最も好ましくは約1 : 1から約10:1であるのが良い。
【0042】
触媒の微粒子サイズが小さいことによる、本発明の実施に有用な反応ゾーンは、例えば、固定床運転において受容不可能な圧力の低下を招かない様に低線速度運転であり; 連続攪拌槽反応器(CSTR)中のゾーンであり; 逆流モードで運転するため触媒が沸騰するやり方で移動する沸騰床反応器ゾーンであり; 又は触媒及び原料が反応器として働くパイプを通してポンプ搬送される緩いスラリーを形成するスラリー ループ反応器ゾーンであっても良い。
【0043】
本発明で有用な、受容不可能な圧力の低下を招かない様な低線速度運転される固定床運転については、「化学反応エンジニアリングの要素」(Elements of Chemical Reaction Engineering)、Fogler, H. Scott, P T R Prentice-Hall, Inc., 1992, §4.4及び§8.3.2,及び「ペリーの化学エンジニアリング ハンドブック」(Perry's Chemical Engineers' Handbook) 7版, Perry, Robert H. and Green, Don W., McGraw-Hill Companies, Inc., 1997, §23に説明されている。両文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0044】
本発明で有用な連続撹拌槽反応器(CSRT)については「化学反応エンジニアリングの要素」(Elements of Chemical Reaction Engineering)、Fogler, H. Scott, P T R Prentice-Hall, Inc., 1992, §8.3.1及び§5.6.2, 及び「ペリーの化学エンジニアリング ハンドブック」(Perry's Chemical Engineers' Handbook) 7版, Perry, Robert H. and Green, Don W., McGraw-Hill Companies, Inc., 1997, §23に説明されている。両文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0045】
本発明で有用な沸騰床が逆流モードで運転でされ、触媒が沸騰するやり方で移動する沸騰床は「ペリーの化学エンジニアリング ハンドブック」(Perry's Chemical Engineers' Handbook) 7版, Perry, Robert H. 及びGreen, Don W., McGraw-Hill Companies, Inc., 1997、§23記載されており、本文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0046】
触媒及び原料が、タンク中で攪拌され又は本発明で有用な反応器として働くパイプを通してポンプ搬送される緩いスラリーを形成するスラリー反応器は「化学及び触媒反応エンジニアリング」Chemical and Catalytic Reaction Engineering), Carberry, James J., McGraw-Hill, Inc., 1976, §10.6及び「ペリーの化学エンジニアリング ハンドブック」(Perry's Chemical Engineers' Handbook) 7版, Perry, Robert H. and Green, Don W., McGraw-Hill Companies, Inc., 1997, §23に説明されている。両文献は参照により本明細書に組み入れられる。
【0047】
本発明で使用される触媒はゼオライト ベータ構造(米国特許第3,308,069号に記載)又は、MWW構造タイプ、例えば、12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07 及び3.42±0.07Åで最大d−スペーシングを持つX線回折パターンを持つ結晶質分子篩を含んでも良い。MWW構造タイプ材料の例には、MCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載), PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載), SSZ-25 (米国特許第4,826,667号に記載), ERB-1(欧州特許第0293032号に記載), ITQ-1 (米国特許第6,077,498), ITQ- 2 (米国特許第6,231,751に記載), ITQ-30 (国際出願公報WO 2005-118476), MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載), MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載)及びMCM-56 (米国特許第5,362,697号に記載)を含む。触媒は非結合又は自己結合の形の分子篩を含んでも良く、又は代替的に、分子篩は従来の方法で以下に詳説する酸化物バインダーと組み合わされても良い。本発明の改良のために、押出し物から製造される触媒の平均粒子サイズは、約125 ミクロンから約790 ミクロンのサイズでなければならず、効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物のそれから、約25%から約750%増加させる。より具体的には、押出し物から製造される触媒は約260ミクロンから約700ミクロンのサイズであり、効果要素(Effectiveness Factor)を約50%から約650%増加させる。また、触媒の外部表面積の容積に対する比率は約79 cm-1より大きく、好ましくは約79 cm-1から約374 cm-1であるのが良い。
【0048】
本発明の反応プロセスでは、アルキル化反応器流出物は過剰の芳香族原料、モノアルキル化製品、ポリアルキル化製品及び種々の不純物を含む。芳香族原料は蒸留により回収されアルキル化反応器に還流される。通常少量の抽気(bleed)が、ループから未反応不純物を除去するため還流の流れから採取される。蒸留残油は更に蒸留されモノアルキル化製品をポリアルキル化製品及び他の重質油から分離する。
【0049】
アルキル化反応器流出物から分離されたポリアルキル化製品はいずれもアルキル化反応器とは別のトランスアルキル化反応器中の追加の芳香族原料と、好適なトランスアルキル化触媒上で反応させても良い。トランスアルキル化触媒はゼオライト ベータ、ゼオライトY、モルデナイト又は12.4±0.25, 6.9±0.15, 3.57±0.07及び3.42±0.07 Åで最大のd−スペーシングを含むX線回折パターンを持つMCM-22ファミリー材料の構造を持つ結晶質分子篩の一以上の混合物を含んでも良い。
【0050】
上の触媒構造の特徴を把握するために使用されるX線回折データは銅のK−アルファ二重線を入射放射線として用い、シンチレーション計数管を備えた回折計と集計システムとしての関連コンピュータを用いる標準技術により得られる。上記のX線回折線を持つ材料は、例えば、MCM-22 (米国特許第4,954,325号に記載), PSH-3 (米国特許第4,439,409号に記載), SSZ- 25 (米国特許第4,826,667号に記載), ERB-1欧州特許第0293032号に記載), ITQ-1 (米国出願第6,077,498号に記載), ITQ-2 (米国特許第6,231,751号に記載), ITQ-30 (国際特許公報WO 2005-118476号に記載), MCM-36 (米国特許第5,250,277号に記載), MCM-49 (米国特許第5,236,575号に記載) 及びMCM-56 (米国特許第5,362,697号に記載)を含み、MCM-22が特に好ましい。
【0051】
ゼオライト ベータは米国特許第3,308,069号に開示されており、ゼオライトY 及びモルデナイトは天然に存在するが、またその合成された一つの形、例えば、超安定性Y(USY)でありこれは米国特許第3,449,070号に、希土類交換Y (REY)でありこれは米国特許第4,415,438号に、TEA−モルデナイト(すなわち、テトラエチルアンモニウム指向剤(tetraethylammonium directing agent)「R」を含む反応混合物から得られる合成モルデナイト)であり、これは米国特許第3,766,093号及び米国特許第3,894,104号開示されているが、これらの合成された形の一つで使用されても良い。しかし、トランスアルキル化触媒中でTEA−モルデナイトを使用する場合、これらの特許に記載の特定の合成型はそのサイズが1ミクロンより大きく典型的には5から10ミクロンの圧倒的に大きい結晶よりなるモルデナイト製品を生産する。出来上がったTEA−モルデナイトがその平均結晶サイズが0.5ミクロンより小さくなる様に合成を制御することによりトランスアルキル化触媒の液相芳香族トランスアルキル化のための活性が極めて増大する結果となることが見出された。
【0052】
トランスアルキル化のために望まれる小結晶TEA−モルデナイトは以下の範囲のモル組成を持つ合成混合物から結晶化により生成することができる:
有用 好ましい
R/R+Na+ >0.4 0.45−0.7
OH-/SiO2 <0.22 0.05―.2
Si/A12 >30―90 35−50
H2O/OH 50―70 50−60
この合成混合物から結晶化させるための実験は90から200℃の温度で, 6 から180時間実施する。
【0053】
本発明で使用される触媒は無機酸化物材料マトリクス又はバインダーを含んでも良い。その様なマトリクス材料は粘土、シリカ及び/又は金属酸化物のような無機材料のみならず合成又は天然に存在する物質を含む。無機材料は天然に存在するもの、ゼラチン状沈殿物、又はシリカ及び金属酸化物の混合物を含むゲルの形であっても良い。無機酸化物材料と複合物を形成することのできる天然に存在する粘土はモンモリロナイト及びカオリンファミリーの粘土を含み、これらのファミリーはサブベントナイト及びデキィシー(Dixie), マクナミー(McNamee), ジョージア(Georgia)及びフロリダ(Florida)粘土又はその主要鉱物成分がハロイサイト(halloysite), カオリナイト(kaolinite), ジッカイト(dickite), ナクライト(nacrite)又はアノライト(anauxite)であるその他の粘土を含む。その様な粘土は採掘時の生の状態又は最初に焼成、酸処理又は化学的に修飾された状態で使用することができる。
【0054】
本発明で用いられる特に有用な触媒マトリクス又はバインダー材料は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカーアルミナ、シリカーマグネシア、シリカージルコニア、シリカートリア、シリカーベリリア、シリカーチタニア、及びシリカーアルミナートリア、シリカーアルミナージルコニア、シリカーアルミナーマグネシア及びシリカーマグネシアージルコニアの様な三つ組み組成物を含む。このマトリクスは共ゲル(cogel)の形であっても良い。これらの成分の混合物もまた使用することができる。
【0055】
結晶質分子篩とバインダー又はマトリクスの相対的割合は、もしバインダー又はマトリクスが使用される場合は、広い範囲に亘り変わっても良く、結晶質分子篩の含有量が重量で全触媒の約1から約99パーセント、より一般には約30から約80パーセントの範囲である。もちろん触媒は自己結合分子篩又は非結合分子篩を含んでも良く、その場合は約100%の結晶質分子篩である。
【0056】
本発明で使用される触媒又は結晶質分子篩成分は、例えば、第6族金属(例えば、Cr及びMo)、第7族(例えば、Mn及びRe)又は第8、第9及び第10族(例えば、Co,Ni,Pd,及びPt)又はリンの様な追加の機能性を与えるものを含んでも、又は含まなくとも良い。
【0057】
本発明で用いられる触媒は形成押出し物から製造されねばならず、その平均粒子サイズは約125ミクロンから約790ミクロンの範囲であり、そして効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物のそれから約25%から約750%増加させ、例えば、約260ミクロンから約700ミクロンのサイズであり、効果要素(Effectiveness Factor)は元の押出し物のそれから約50%から約650%増加させる。触媒は、例えば、0.159 cm 円筒状の押出し物又は0.127 cmの成形した、例えば、3葉状 又は4葉状の形の押出し物を粉砕及び篩にかけて粒子を小さくすることで生成しても良い。分子篩及び/又はゼオライトの生産、修飾及び分子篩の特徴についての概要は「分子篩―合成及び同定の原理」(Molecular Sieves - Principles of Synthesis and Identification) (R. Szostak, Blackie Academic & Professional, London, 1998, 2版)に記載されている。分子篩に加えて、非結晶質材料、主にシリカ、ケイ酸アルミニウム及び酸化アルミニウムが吸着剤及び触媒担持体として使用されている。数多くの古くから知られた技術、例えば、噴霧乾燥、小粒化、ペレット化及び押し出しはマクロ構造を製造するために、例えば、球形粒子、押出し物、ペレット及び触媒微小孔質及び他の種類の多孔質材料の錠剤の形で、吸着及びイオン交換用としてこれまで用いられ、また現在用いられている。これらの技術の概要は「触媒の製造」(Catalyst Manufacture)A. B. Stiles及びT. A. Koch, Marcel Dekker, New York, 1995に記載がある。
【0058】
アルキル化のメカニズムに関する本発明の例は以下の実験との関係で説明するがこれに限定されるものではない。これらの実験では、触媒活性は二次反応速度論を想定して決定される反応速度定数との関係で規定される。反応速度定数の決定の議論においては、「不均一反応:分析、例及び反応器の設計(Heterogeneous Reactions: Analysis, Examples, and Reactor Design)、第2巻: 液体ー液体―固体反応(Fluid-Fluid-Solid Reactions)」L. K. Doraiswamy及びM. M. Sharma著, John Wiley & Sons, New York (1994)及び「化学反応エンジニアリング」(Chemical Reaction Engineering)O. Levenspiel著, Wiley Eastern Limited, New Delhi (1972)が参考になる。
【0059】
試験のための触媒
これらの実験で、試験された触媒材料を以下に記載する:
「材料1」は80重量% MCM-49 結晶及び20重量%%アルミナの混合物を0.127 cm の直径及び0.635 cmの長さの、固体4葉状押出し物に押出すことにより生成されたMCM-49触媒であった(以下「MCM-49 4葉状触媒」(MCM-49 quadrulobal catalyst)と呼ぶ)。出来た触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が78 cm-1 及び効果要素(Effectiveness Factor)が0.18であった。
【0060】
「材料2」は材料1を粉砕し、篩に掛けそして0.127 cm MCM-49 4葉状触媒を250から297ミクロンの範囲の粒子サイズにすることにより生成された。出来た触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が344 cm-1及び効果要素(Effectiveness Factor)が0.65であった。材料1の触媒からの効果要素の増加は261%であった。
【0061】
「材料3」は65重量% MCM-22結晶及び35重量%%アルミナの混合物を0.159 cmの直径及び0.635 cmの長さの、固体円筒状押出し物に押出すことにより生成されたMCM-22触媒であった(以下「MCM-円筒状触媒」 (MCM-22 cylindrical catalyst)と呼ぶ)。出来たMCM-22円筒状触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が34.6 cm-1及び効果要素(Effectiveness Factor)が0.08であった。
【0062】
「材料4」は材料3を粉砕し、篩を掛けそして0.154m MCM-22円筒状触媒を250から297ミクロンの粒子サイズの範囲にすることにより生成された。出来た触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が344 cm-1及び効果要素(Effectiveness Factor)が0.55であった。材料3の触媒からの効果要素の増加は587%であった。
【0063】
「材料5」は80重量%ゼオライト ベータ結晶及び20重量%%アルミナの混合物を0.127 cm (1/20 inch)の直径及び0.635 cmの長さの固体4葉状押出し物に押出すことにより生成されたゼオライト ベータ触媒であった(以下「ベータ4葉状触媒」 (Beta quadrulobal catalyst)と呼ぶ)。出来たベータ4葉状触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が78 cm-1及び非活性化の前の及び物質移行制限のない状態での反応速度を推定することにより測定した二次速度定数に基づく効果要素(Effectiveness Factor)は0.21であった。
【0064】
「材料6」は材料5を粉砕し、篩に掛けそして0.127 cm 「ベータ4葉状触媒」を250から297ミクロンの範囲の粒子サイズにすることにより生成された。出来た触媒の粒子は表面積の容積に対する比率が344 cm-1及び不活性化の前の及び物質移行制限のない状態での反応速度を推定することにより測定した二次速度定数に基づく効果要素(Effectiveness Factor)は0.73であった。材料5触媒からの効果要素の増大は347%である。
【0065】
触媒活性測定手順
バッチ試験のための装置
クメン製造のための300mlパール バッチ反応容器(Parr batch vessel)及び
エチルベンゼン製造のための600ml パール バッチ反応容器はおのおの撹拌棒を備え、及び静止触媒かごが活性及び選択度測定に用いられた。反応容器はベンゼン及びプロピレン又はエチルベンゼンをそれぞれ導入するために2つの取り外し可能な容器を備えている。
【0066】
原料予備処理
ベンゼン
ベンゼンは市販のソースから入手した。ベンゼンは、等量(容量による)の分子篩13X,分子篩4A,エンゲルハート(Engelhard) F-24粘土及びSelexsorb CD(投入口から排出口の順)を含む予備処理容器(2L,Hoke容器)、そしてその後にMCM-22触媒を含む250 ml容器を通した。全ての原料予備処理材料は使用前に260℃の炉で12時間乾燥させた。
【0067】
プロピレン及びエチレン
プロピレン及びエチレンは市販の特殊ガスソースから得、ポリマーグレードであった。プロピレン及びエチレンは予備処理材料を以下の順序で含む300ml容器に通した:
a. 150 ml分子篩5 A
b. 150 ml Selexsorb CD
両方の床保護材料(guard-bed material)は使用前に260℃の炉で12時間乾燥させた。
【0068】
窒素
窒素は超高純度グレードで市販の特殊ガスソースから得た。窒素は予備処理材料を以下の順序で含む300ml容器に通した:
a. 150 ml分子篩5 A
b. 150 ml Selexsorb CD
両方の床保護材料(guard-bed material)は使用前に260℃の炉で12時間乾燥させた。
【0069】
触媒の生成及び投入
2グラムの触媒サンプルが260℃の炉で2時間空気乾燥された。触媒は炉から取り出され直ちに1グラムの触媒が計量された。石英チップがバスケットの底を内張りするために用いられ、続いて触媒が石英の第一層の上のバスケットに投入された。その後石英チップが触媒の上に置かれた。触媒及び石英チップを含むバスケットが炉中260℃の空気中に一夜約16時間置かれた。
【0070】
反応器及び全ての導管は各実験の前に適当な溶媒(例えば、トルエン)で洗浄された。
【0071】
反応器及び全ての導管は洗浄の後に洗浄溶媒の全ての痕跡を除去するために空気中で乾燥させた。触媒及び石英チップチップを含むバスケットは炉から取り出され直ちに反応器に置かれ、反応器は直ちに組立てられた(assembled)。
【0072】
バッチ試験におけるクメンの製造のための試験の順序
反応器温度は170℃に設定され100sccmの超高純度の窒素で2時間浄化された。
【0073】
窒素により反応器を2時間浄化した後、反応器温度は130℃に下げられ、窒素による浄化が停止され反応器の通気口が閉じられた。156.1グラムのベンゼンが300 mlのトランスファー容器に封鎖体系で投入された。ベンゼン容器は超高純度の窒素で790 kPa-aまで加圧され、ベンゼンが反応器に移された。攪拌速度は500 rpmに設定され、反応器は1時間かけて平衡に達した。
【0074】
その後75 ml Hoke トランスファー容器が28.1 グラムの液体プロピレンで満たされ、反応容器に接続され、そして2169 kPa-aの超高純度の窒素に接続された。1時間のベンゼン攪拌時間の経過後、プロピレンがHoke容器から反応器に移された。2169 kPa-aの窒素ソースはプロピレン容器に接続された状態で維持され、試験中の反応圧力を一定に保つため全運転中を通して反応器に開かれた状態であった。液体製品サンプルはプロピレン添加後30, 60, 120, 150, 180及び240分に採取された。
【0075】
バッチ試験におけるエチルベンゼン製造のための試験手順
反応器温度は170℃に設定され100sccmの超高純度の窒素で2時間浄化された。
【0076】
窒素により反応器を2時間浄化した後、反応器温度は220℃に下げられ、窒素による浄化が停止され反応器の通気口が閉じられた。195グラムのベンゼンが600 mlのトランスファー容器に封鎖体系で投入された。ベンゼン容器は超高純度の窒素で790 kPa-aまで加圧され、ベンゼンが反応器に移された。攪拌速度は500 rpmに設定され反応器は1時間かけて平衡に達した。1時間のベンゼン攪拌時間が経過後、39.4グラムのエチレンが反応器に導入された。2169 kPa-a窒素ソースは試験中の反応圧力を一定に保つため全運転中を通して反応容器に接続されたままに維持された。液体製品サンプルはエチレン添加後30, 60, 120, 150, 180及び240分に採取された。
【0077】
固定床試験におけるクメン製造のための試験手順
これらの実験は固定床3/8インチ、又は3/4インチ外径の下降流構成(downflow configuration)の管状反応器で実施された。反応炉は定温モードに制御された。触媒は反応器に投入される前にオフライン260℃温度で空気中で2時間乾燥された。実験は押出し物全量が3/8インチ反応器に投入されて触媒を用いて実施された。触媒床は炉の中央ゾーンの中心を軸としている。使用された触媒は押出し物の形状で、噴霧乾燥の形又は押出し物が粉砕されて実験内容によって250 ミクロンから297ミクロンのサイズにされた。全ての触媒は間質間空洞空間を埋めるために不活性砂で満たされた。反応条件は125℃、2169 kPa-a であり、ベンゼン/プロピレンのモル比は2.8/1であった。毎時重量空間速度は実験中に調整され、プロピレンベースで1 hr-1から320 hr-1の範囲であった。
【0078】
反応器のスタートアップ時には、反応器圧力は超高純度の窒素により2169 kPa-aにされ、原料を導入する前に125℃の温度に加熱された。触媒は、データを収集する前に安定した状態に到達させるために1−2日間で平衡状態となるようされた。
【0079】
MCM-49 4葉状触媒(材料1)、MCM-22円筒状触媒(材料3)及びこれらの触媒を粉砕し、篩にかけたものから各々生成された250から297ミクロンの触媒 (平均274ミクロン) (材料2及び4)はクメンバッチ試験手順に従い試験がなされた。MCM-49 4葉状触媒(材料1)及びそれを粉砕し、篩にかけたものから生成された250から297ミクロンの触媒 (平均274ミクロン)はエチルベンゼンバッチ試験手順に従い試験された。MCM-49 4葉状触媒(材料1)、ベータ円筒状触媒(材料5)及びそれらを粉砕し、篩にかけたものから生成された250から297ミクロンの触媒 (平均274ミクロン) (材料2及び6)はクメン固定床手順に従い試験された。
【0080】
実施例1
これらの実験ではクメンは重量で5.55部のベンゼン及び重量で1部のプロピレンをバッチスラリー反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した、材料1,2及び3から個々に選択した触媒上で「バッチ試験におけるクメン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用いた。クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)及びジイソプロピルベンゼン、DIPB)製品は各実験から回収され、本発明で使用される触媒、すなわち、材料2はDIPB/IPB比率において約30%の低減となることが見出された。また、材料2は材料1より約288%高い活性を示し、材料3よりも約600%高い活性を示した。
【0081】
実施例2
これらの実験ではクメンは重量で5.55部のベンゼン及び重量で1部のプロピレンをバッチスラリー反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した「バッチ試験におけるクメン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用い触媒上で行った。触媒は0.127 cm MCM-49 4葉状 触媒(材料1) 及びそれを粉砕し、篩にかけて生成した250から 297ミクロン触媒(材料2)を含む。
【0082】
クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)及びジイソプロピルベンゼン、DIPB)製品は各実験から回収され、材料2はまた、DIPB/IPB比率において約30%の低減を示すことが見出された。
【0083】
実施例3
これらの実験ではクメンは重量で5.55部のベンゼン及び重量で1部のプロピレンをバッチスラリー反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した「バッチ試験におけるクメン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用い触媒上で行った。触媒はMCM-22円筒状触媒(材料3) 及びそれを粉砕し、篩にかけて生成した250から 297ミクロン触媒(材料4)を含む。
【0084】
クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)及びジイソプロピルベンゼン、DIPB)製品は各実験から回収され、材料4はまた、DIPB/IPB比率において13%の低減を示すことが見出された。
【0085】
実施例4
これらの実験ではエチルベンゼンは重量で0.95部のベンゼン及び重量で1部のエチレンをバッチスラリー反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した「バッチ試験におけるエチルベンゼン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用い触媒上で行った。触媒は0.127 cm MCM-49 4葉状 触媒(材料1) 及びそれを粉砕し、篩にかけて生成した250から 297ミクロン触媒(材料2)を含む。
【0086】
エチルベンゼン(EB)及びジエチルベンゼン(DEB)製品は各実験から回収され、材料2はまた、DEB/EB比率において23%の低減を示すことが見出された。
【0087】
実施例5
これらの実験ではクメンは重量で5.2部のベンゼン及び重量で1部のプロピレンを固定床ミクロ反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した「固定床試験におけるクメン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用い触媒上で行った。触媒は0.127 cm MCM-49 4葉状 触媒(材料1) 及びそれを粉砕し、篩にかけて生成した250から 297ミクロン触媒(材料2)を含む。
【0088】
クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)及びジイソプロピルベンゼン(DIPB)製品は各実験から回収され、実施例5ではDIPB/IPB比率において54%の低減を示すことが見出された。
【0089】
実施例6
これらの実験ではクメンは重量で5.2部のベンゼン及び重量で1部のプロピレンをバッチスラリー反応器で接触させて製造した。その手順は上に詳説した「バッチ試験におけるクメン製造のための試験手順」(Test Sequence for Cumene Manufacture in a Batch Test)を用い、触媒上で行った。触媒はベータ4葉状 触媒(材料5) 及びそれを粉砕し、篩にかけて生成した250から 297ミクロン触媒(材料6)を含む。
【0090】
クメン(イソプロピルベンゼン、IPB)及びジイソプロピルベンゼン、DIPB)製品は各実験から回収され、触媒材料6はまた、不活性化の前にDIPB/IPB比率において65%の低減を示すことが見出された。
【0091】
実施例7
130℃、入口圧力2413 kPa-a、及びプロピレンに基づくWHSV が76.5 hr−lの液相で、触媒材料1を含む16.8 m3の触媒容量、重量で25部プロピレン及び重量で75部のベンゼンを含む原料、で実施されたCSTRシミュレーション反応では、プロピレン変換率は32.4%であった。MCM-49 4葉状触媒を粉砕し、篩にかけて250から297ミクロンサイズにしたもの(材料2)を含む触媒での同じCSTRシミュレーション反応ではプロピレンの変換率は66.2%であった。この実施例は、連続攪拌槽反応器では、本発明で求められる範囲の触媒微粒子サイズは液相中でベンゼンと反応させたプロピレンの変換率を増大させるのに効果的であることを示す。
【0092】
本明細書に引用された全ての特許、特許出願、テストの手順、優先権書類、論文、刊行物、マニュアル、及び他の資料は、その開示が本発明と矛盾しない限りにおいて、及びその様な組み入れが許される全ての法体制下において、参照により本明細書に組み入れられる。
【0093】
数値の下限及び数値の上限が記載されている場合は、その全ての数値の下限から全ての数値の上限までの範囲が考慮の対象となっている。
【0094】
本発明の実施例における説明では、特別な例について記載されているが、当業者にとっては、種々の他の修飾が可能であることは明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修飾することが可能であることを理解すべきである。したがって、本出願に添付された特許請求の範囲に記載の発明の範囲は本明細書の実施例及び記載に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載は、本発明が属する技術分野の専門家により同等であると取扱われる全ての特徴を含み、本発明に含まれている特許可能な全ての新規な特徴を含むものと解すベきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ゾーンにおいてモノアルキル芳香族化合物を製造するプロセスであって、前記プロセスはアルキル化反応条件でアルキル化可能な芳香族化合物及びアルキル化剤を含む原料を触媒微粒子材料と接触させることを含み、
前記触媒微粒子材料は押出し物から製造され、サイズが約125ミクロンから約790ミクロンの粒子を含み、効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物の効果要素より約25%から約750%増大させ、外部表面積の容積に対する比が約79cm-1 より大きい、前記プロセス。
【請求項2】
前記触媒微粒子材料がサイズが260ミクロンから700ミクロンの粒子を含み、効果要素(Effectiveness Factor)を元の押出し物のそれより50%から650%増大させ外部表面積の容積に対する比が79 cm-1から374 cm-1である請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記アルキル化可能な芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、トルエン、キシレン、イソプロピルベンゼン、n―プロピルベンゼン、アルファーメチルナフタレン、エチルベンゼン、メシチレン(mesitylene), ジュレン(durene), シメン(cymene), ブチルベンゼン(butylbenzene), プソイドクメン(pseudocumene), o-ジエチルベンゼン(o-diethylbenzene), m-ジエチルベンゼン(m-diethylbenzene), p-ジエチルベンゼン(p-diethylbenzene), イソアミルベンゼン(isoamylbenzene), イソヘキシルベンゼン(isohexylbenzene), ペンタエチルベンゼン(pentaethylbenzene), ペンタメチルベンゼン(pentamethylbenzene); 1,2,3,4-テトラエチルベンゼン (1,2,3,4- tetraethylbenzene); 1,2,3,5-テトラメチルベンゼン(1,2,3,5-tetramethylbenzene); 1,2,4-トリエチルベンゼン(1,2,4-triethylbenzene); 1,2,3-トリメチルベンゼン(1,2,3-trimethylbenzene), m-ブチルトルエン(m- butyltoluene); p-ブチルトルエン(p-butyltoluene); 3,5-ジエチルトルエン(3,5-diethyltoluene); o-エチルトルエン(o-ethyltoluene); p-エチルトルエン(p-ethyltoluene); m-プロピルトルエン(m-propyltoluene); 4-エチル-m-キシレン(4-ethyl-m-xylene); ジメチルナフタレン(dimethylnaphthalenes); エチルナフタレン(ethylnaphthalene); 2,3-ジメチルアントラセン(2,3-dimethylanthracene); 9-エチルアントラセン (9-ethylanthracene); 2-メチルアントラセン(2-methylanthracene); o-メチルアントラセン(o-methylanthracene); 9,10-ジメチルフェナントレン(9,10-dimethylphenanthrene);及び3-メチル-フェナントレン(3- methyl-phenanthrene)及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1のプロセス。
【請求項4】
前記原料はアルキレート又は改質油(reformate)を含む、請求項1乃至3のいずれか1項のプロセス。
【請求項5】
前記アルキル化剤はオレフィン、アルコール、アルデヒド、ハロゲン化アルキル及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1乃至4のいずれか1項のプロセス。
【請求項6】
前記反応条件には、温度が0℃から500℃, 圧力が20から25、000 kPa-a, アルキル化可能な芳香族化合物のアルキル化剤に対するモル比率が0.1 :1から50:1,原料のアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が0.1から500 hr-1であることを含む、請求項1乃至5のいずれか1項のプロセス。
【請求項7】
前記触媒微粒子材料がMCM-22ファミリー材料、ベータ及びこれらの混合物よりなる群から選択される多孔性結晶質材料を含む、請求項1乃至6のいずれか1項のプロセス。
【請求項8】
前記CM-22ファミリー材料はMCM-22, PSH-3, SSZ-25, ERB-1, ITQ-1, ITQ-2, ITQ-30, MCM-36, MCM-49, 又はMCM-56の構造を持つ結晶質ケイ酸塩を含む、請求項1乃至7のいずれか1項のプロセス。
【請求項9】
前記反応ゾーンは、固定床反応器、連続攪拌槽反応器、逆流モードで運転される沸騰床反応器、及び触媒微粒子材料及び原料がパイプを通してポンプ搬送される緩いスラリーを形成するスラリー ループ反応器よりなる群から選択される反応器のゾーンである、請求項1乃至8のいずれか1項のプロセス。
【請求項10】
前記アルキル化剤が、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン及びこれらの混合物よりなる群から選択されるオレフィンを含む、請求項1乃至9のいずれか1項のプロセス。
【請求項11】
前記アルキル化剤がエチレンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、及び前記モノアルキル芳香族化合物がエチルベンゼンであり、前記反応条件は温度が150℃から300℃, 圧力が20,400 kPa-aまで,エチレンアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が 0.1から20 hr-1,及び反応ゾーン中のベンゼンのエチレンに対するモル比率が0.5:1から50:1であることを含む、請求項1乃至10のいずれか1項のプロセス。
【請求項12】
前記アルキル化剤がプロピレンであり、前記アルキル化可能な芳香族化合物がベンゼンであり、及び前記モノアルキル芳香族化合物がクメンであり、前記反応条件は温度が250℃まで, 圧力は25,000 kPa-a以下,プロピレン アルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が0.1 hr-1 から250 hr-1、及び反応ゾーン中のベンゼンのプロピレンに対するモル比率が0.5:1から50:1であることを含む、請求項1乃至10のいずれか1項のプロセス。
【請求項13】
前記アルキル化剤が1−ブテン、2−ブテン又はイソブチレンを含み、及び前記モノアルキル芳香族化合物がsec-ブチルベンゼンであり、前記反応条件は温度が250℃まで、圧力が25,000 kPa-a以下、プロピレンアルキル化剤に基づく毎時重量空間速度(WHSV)が0.1 hr-1 から250 hr-1、及び反応ゾーン中のベンゼンのプロピレンに対するモル比率が0.5:1から100:1であることを含む、請求項1乃至10のいずれか1項のプロセス。

【公表番号】特表2010−518103(P2010−518103A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549164(P2009−549164)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/052034
【国際公開番号】WO2008/097737
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】