説明

改良されたオリゴヌクレオチドプローブ対を用いるライゲーションアッセイを使用して標的ヌクレオチド配列を検出するための手段および方法

第2のオリゴヌクレオチドプローブの第2のクランプセクションとハイブリッド形成することが可能な第1のクランプセクションと、検出対象となる標的DNA配列の第1のセクションとハイブリッド形成することが可能な第1の標的セクションとを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、第1のオリゴヌクレオチドプローブの第1のクランプセクションとハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクションと、検出される標的DNA配列の第2のセクションとハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクションとを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、を含む一対のオリゴヌクレオチドプローブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子生物学および生物工学の分野に関する。具体的には、本発明は、核酸検出の分野に、より具体的には、核酸の検出のために使用できるプローブの(コレクション)の設計および組成に関する。本発明はまた、プローブおよび組成物を使用する、核酸の検出のための方法にも関する。本発明はさらに、当該の標的配列とハイブリッド形成することが可能なプローブ、連結されたプローブの増幅のためのプライマー、非常に様々な遺伝形質および遺伝子に関連するヌクレオチド配列の同定および/または検出におけるこれらのプローブおよびプライマーの使用を提供する。本発明はまた、本発明による方法での使用に適したプライマーおよび/またはプローブのキットを提供する。
【背景技術】
【0002】
特定の核酸配列の検出に関する関心は、急速に増大しつつある。この関心は、大量の単一ヌクレオチド多型(SNP)の、ヒトゲノムの最近開示されたドラフトヌクレオチド配列、ならびに他の多くの生物のゲノムに存在するものから生じるだけではなく、マーカー技術(AFLPなど)、および、例えば遺伝性の疾患の指標としての特異的な核酸配列の検出の関連の一般的な認識からも生じている。乳癌に対する感受性をスクリーニングするための乳癌遺伝子BRCA 1の様々なアレルの検出は、まさに、多くの例のうちの1つである。遺伝子中の単一のヌクレオチド置換(および、小さい挿入/欠損;インデルなどの他のタイプの遺伝的多型)の存在が、非常に様々な情報を提供するという認識も、このような関心の増大によるものであると考えられている。これらの単一のヌクレオチド置換は、例えばヒトにおける、単一遺伝子および複遺伝子による遺伝性の疾患の有意な数の主要な原因の1つである、あるいは、こうした単一のヌクレオチド置換は、他の点で、例えば植物および家畜種におけるに性能形質などの、複合表現型の開発に関与するということが、通常認識されている。したがって、単一のヌクレオチド置換は、多くの場合ヒト、植物および動物種における重要な形質に関する、あるいは少なくともその指標となる。
【0003】
これらの単一のヌクレオチド置換およびインデルの分析によって、豊富な有益な情報がもたらされ、可能な最も広い範囲で、医学および農業に対して広範な影響を与えることとなるであろう。例えば、これらの開発によって、患者に特異的な薬物がもたらされることが通常想定される。これらの遺伝的多型を分析するために、得られるデータの質を有意に損なうことなく、ハイスループット様式での多数のサンプルおよび多数の(主に)SNPの扱いを可能にする、適切な、信頼性が高い、敏速な方法の必要性が増している。既知の配列の核酸分析のために使用される主要な方法の1つは、標的配列に2つのプローブをアニーリングさせ、プローブが標的配列と隣接してハイブリッド形成される場合、プローブを連結させることに基づく。
【0004】
OLA−原理(Oligonucleotide Ligation Assay)は、特に、特許文献1(Landegrenら)に記載されている。この刊行物は、既知の可能な突然変異を有する既知の核酸配列の領域における核酸配列を決定するための方法を開示している。突然変異を検出するために、オリゴヌクレオチドは、決定されるべき配列のすぐ隣のセグメントにアニーリングするように選択される。選択されたオリゴヌクレオチドプローブの1つは、末端領域を有する。ただし、末端領域ヌクレオチドの1つは、既知の核酸配列中の相当する位置の、通常の、あるいは突然変異したヌクレオチドのいずれかに相補的である。これらが正しく塩基対をなし、かつ、すぐ隣に位置される場合、2つのプローブを共有結合的に接続するリガーゼが提供される。連結されたプローブの有無は、既知の配列および/または突然変異の存在の指標である。
【0005】
特許文献2で、Abbotらは、隣接したプローブのハイブリダイゼーションおよびライゲーションを含む、多重ライゲーション増幅手順のための方法を開発している。これらのプローブは、さらなる長さのセグメントを備えており、アボットらによれば、その配列は、重要ではない。長さの差の慎重な(よく考慮された)導入は、ゲルベースの技術におけるフラグメント長に基づく識別を容易にすることを目的とする。
【0006】
特許文献3(Baranyら)は、リガーゼ検出反応(LDR)とポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の組み合わせを用いる、核酸配列の差の検出のための方法を記載している。標的配列中のアレル特異的なプローブ対をアニーリングすること、および耐熱性のリガーゼを用いるその後のライゲーションを含む方法が開示されている。蛍光標識されたプライマーを用いる連結された生成物の増幅は、蛍光標識された増幅産物をもたらす。この産物の検出は、サイズによる分離または電気泳動移動度に、あるいはアドレス可能な(addressable)アレイに基づく。
【0007】
より具体的には、Baranyらによって開示された手段および方法の不利な点の1つは、識別が、特に、アレル特異的なプローブペアの長さに基づく場合の、制限された多重能力にある。比較的に小さい長さの差のみによってしか識別可能でない配列間の識別は、一般に、簡単ではなく、所望の分解能になるためには、入念に最適化された条件が必要となる可能性がある。より大きな長さの差異を有する配列間の識別は、一般に、より容易に達成される。これは、同じサンプル中で分析できる配列の数を増加させる可能性がある。
【0008】
ローリングサークル増幅(RCA)などの等温増幅と組み合わせた環状の(パドロック(padlock))プローブの使用などの従来技術で提案されている他の解決法は、その向上された環状プローブのハイブリダイゼーション特性およびRCAの等温特性のため、有益であると考えられている。パドロックプローブは、従来の線状プローブと比較して優れた特性を有することが、通常認識されている(非特許文献1)。
【0009】
しかし、パドロックプローブとして使用するのに必要なより長いヌクレオチドプローブを提供することは、取り組むべきさらなる障害である。従来技術では、合成ヌクレオチド配列は、加えられたヌクレオチドにつき約98.5%の収率で、従来の化学的な段階的なオリゴヌクレオチド合成によってもたらされる。より長い(およそ60ヌクレオチドより長い)プローブが合成される場合、収率は、通常低下し、また、合成的に生成される配列の信頼性および純度も問題であると通常認識されている。
【0010】
より長いプローブを提供するという特定の問題は、Schoutenら(特許文献4)によって解決された。特許文献4は、ライゲーション−増幅アッセイで使用するための、より長いプローブの調製を開示している。これらは、スラブゲルまたはキャピラリー電気泳動法を使用する、増幅産物の長さに基づく識別に伴う問題を回避するために、従来の化学合成方法によって得ることができるもの(すなわち、OLAプローブが化学的手段により合成される場合、検出窓の小部分/最高1キロ塩基の長さの分析能が使用されるに過ぎないもの)よりもかなり長いプローブを提供している。実際には、現在の技術の状況に従って化学的に合成されるオリゴヌクレオチドについては約100〜150の塩基という上限が存在し、もたらされる増幅産物は、最高でも300塩基対未満の長さであるが、しばしば、もっと短い(Barany他を参照のこと)。化学的手段によって、十分な純度および収率をもつこうした長いプローブ(約150を超えるヌクレオチド)を産生することの難しさは、プローブが、例えば、適切な細胞(M13ファージなど)におけるDNAポリメラーゼの作用による、in vivoでの鋳型による酵素的な重合によって得られるような方法を使用して、Schoutenらによって対処されている。その後、これに、短いオリゴヌクレオチド配列を提供することによる制限酵素消化が続き、部分的に二本鎖配列がもたらされ、長いプローブのリン酸化された5’末端がもたらされる。
【0011】
しかし、こうした「生物学的プローブ」の生成および精製は、所望の長さバリエーションを与えるM13ファージを含有する一まとまりの適切な宿主株、およびこのプロセスにおける複数の短い化学的に合成されたオリゴヌクレオチドの使用を必要とし、それらの使用は、非常に面倒であり、時間を浪費するので、経費がかかり、ハイスループット分析の開発には適していない。
【0012】
環状プローブの使用の別の不利な点は、一般にパドロックプローブを伴うローリングサークル増幅(RCA)の使用が、長いコンカテマーの形成をもたらすことである。これらの例は、特に、環状または環化可能プローブのライゲーションを記載する、Zhangらによる特許文献5、特許文献6、および特許文献7である。Zhangらは、鎖置換活性をもつDNAポリメラーゼを使用し、それによって、第1のプライマーの伸張から開始して、環状プローブの長いコンカテマーを産生する、RCAにおいてオリゴヌクレオチドプライマーを使用する環状プローブの増幅を開示している。第2のプライマーは、長いコンカテマーとその後ハイブリッド形成し、それらの伸長により、コンカテマーの第二世代が提供され、指数関数的な増幅が容易になる。検出は通常、標識されたプローブのハイブリダイゼーションに基づく。しかし、この方法は、ハイスループット様式では、それほど望ましくないと判明している。長さの識別に基づくハイスループット方法については、その理由の1つは、RCAの使用が、長いコンカテマーの形成をもたらすということである。これらのコンカテマーは、これは、はっきりと検出できる増幅産物をもたらすために、さらなる調製段階(例えば制限酵素消化)を必要とするために、長さに基づく検出に基づくハイスループット検出には適切でないので、問題がある。
【0013】
特許文献8は、制限部位を含有する環状のプローブを開示している。プローブは、RCAを使用して増幅され、得られたコンカテマーは、制限部位で制限される。制限フラグメントは、その後長さにより分離され、検出される。分離および検出は、Molecular Dynamics Amersham-Pharmaciaから入手可能なMegaBACE装置などのキャピラリー電気泳動プラットフォームで実施される。検出のために、(高価な)標識されたdNTPを、増幅中にフラグメントに組み込むこともできるし、フラグメントを、染色によって、あるいは標識された検出プローブによって検出することもできる。制限酵素による消化は、標的配列の良好な検出の方法におけるさらなる段階であり、この余分な段階は、方法の信頼性に影響を及ぼす可能性がある。さらに、特許文献8に開示される通りのフラグメントの標識のための方法では、大抵の検出プラットフォーム(MegaBACEまたは他のものなど)によって提供される複数の色を同時に検出する能力を完全に利用できるようにはならない。
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,988,617号
【特許文献2】WO 96/15271
【特許文献3】WO 97/45559
【特許文献4】WO 01/61033
【特許文献5】米国特許第5,876,924号、
【特許文献6】WO 98/04745、
【特許文献7】WO 98/04746
【特許文献8】米国特許第6,221,603号
【特許文献9】WO 99/14226
【特許文献10】WO 00/56748
【特許文献11】WO 00/66604
【特許文献12】WO 01/25478
【特許文献13】EP 0 974 672
【特許文献14】EP 0 534 858
【特許文献15】WO 00/77260
【特許文献16】EP 601834
【特許文献17】米国特許第5795763号
【特許文献18】米国特許第6635463号
【特許文献19】米国特許第6562611号
【特許文献20】米国特許第6555357号
【特許文献21】米国特許第6458535号
【特許文献22】米国特許第6348314号
【特許文献23】米国特許第6090606号
【特許文献24】米国特許第6090543号
【特許文献25】米国特許第6001567号
【特許文献26】米国特許第5994069号
【特許文献27】米国特許第5985557号
【特許文献28】米国特許第5843669号
【特許文献29】米国特許第5846717号
【特許文献30】米国特許第5837450号
【特許文献31】米国特許第5614402号
【特許文献32】WO94/29482
【特許文献33】WO97/27214
【特許文献34】WO98/23774
【特許文献35】WO98/42873
【特許文献36】米国特許第6156178号
【特許文献37】WO 01/04618
【特許文献38】米国特許第6045994号
【非特許文献1】Nilssonらの論文、Human mutation、2002、19、410〜415、Science 1994、265:2085〜2088
【非特許文献2】Meinkothら:Anal.Biochem.(1984年)138:267〜284)
【非特許文献3】Iannoneら(2000年)、Cytometry 39:131〜140頁
【非特許文献4】SambrookおよびRussel(2001年)「Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第3版)、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールドスプリングハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)
【非特許文献5】M.Nilsson他、「Padlock Probes: Circularising Oligonucleotides for Localised DNA Detection」、Science 265:2085〜88頁(1994年)
【非特許文献6】XuおよびKool、1999年、Nucleic Acid Res.27:875〜881頁
【非特許文献7】WuおよびWallace、1989年、Gene 76:245〜254頁
【非特許文献8】Hosfieldら:1998年、Cell,95:135
【非特許文献9】Vosら:Nucleic Acid Research、1995年、vol. 23: 4407〜44014
【非特許文献10】Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons,Inc.(1995年)
【非特許文献11】Chehabら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:9178〜9182頁(1989年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本明細書で述べる様々なライゲーションプローブタイプの利点を併せ持つオリゴヌクレオチドプローブの必要性が存在する。こうしたプローブを提供することは、本発明の目的の1つである。上で述べた一般に知られているプローブの不都合、具体的には、比較的長いオリゴヌクレオチドの、信頼できないまたは面倒な化学的または酵素的合成を回避することが、本発明の別の目的である。ハイスループット検出方法に適したプローブを提供することが、本発明のさらなる目的である。好ましくはオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを実施することによって、標的ヌクレオチド配列の検出のための効率的な、信頼性が高い、かつ/または、ハイスループットの方法を提供することもまた、本発明の目的である。
【0016】
本発明の発明者らは、好都合な態様を保持しつつ、技術をさらに向上させることを同時に試みながら、従来技術における既存の問題を排除または少なくとも減弱させることに着手した。本発明によってさらに提供される、従来技術における他の問題および解決法は、説明、図、ならびに様々な実施形態および実施例全体を通して明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の発明者らは、ライゲーションプローブの特異的な設計によって、先に概説した問題の多くを解決できることを発見した。本発明では、検出されるべきそれぞれの所与の標的配列に対して、好ましくは少なくとも2つのプローブのペアが、ペアにおける各プローブが、標的配列の一部とハイブリッド形成することが可能であり、かつ、ペアにおけるそれらの各プローブが、ペアにおけるもう片方のプローブの相当するセクションと相補的なセクションをそれぞれさらに含み、その結果両方のプローブが互いにハイブリッド形成可能であるように設計される。ペアにおける2つのプローブは、互いにハイブリッド形成する場合、これらはそれぞれ、標的配列とハイブリッド形成することも可能であるように設計される。標的ヌクレオチド配列の検出のためのオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイに使用される場合、互いにハイブリッド形成される時には、2つのプローブは、パドロックプローブに似ている、あるいはパドロックプローブとして働くが、その一方で、その後の増幅および検出段階では、プローブは、線状ライゲーション産物として機能できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の態様の1つは、サンプル中の標的ヌクレオチド配列を検出するための方法であって、サンプル中で検出されるべき各標的ヌクレオチド配列に対する少なくとも一対の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブを提供することと(ただし、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、標的配列の第1部分と相補的なその5’−末端のセクションを有し、かつ第2のオリゴヌクレオチドプローブは、標的配列の第2部分と相補的なその3’−末端のセクションを有し、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、第2のオリゴヌクレオチドプローブに位置する相補的なクランプセクションとハイブリッド形成することが可能であるクランプセクションをさらに含み、そのクランプセクションは、標的配列と本質的に非相補的である)、オリゴヌクレオチドプローブを標的配列にアニーリングさせることと、第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブを接続するための手段を提供することと、標的配列の隣接するセクションとハイブリッド形成させる場合に、第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブを接続させて、サンプル中の標的配列に対応する接続されたプローブを産生することを含む方法に関する。
【0019】
本発明の態様の1つは、第1の標的セクション(T1)および第1のクランプセクション(C1)を含む第1のプローブ(P1)と、第2の標的セクション(T2)および第2のクランプセクション(C2)を含む第2のプローブ(P2)(ただし、第1のクランプセクションと第2のクランプセクション(Cl、C2)は、互いにハイブリッド形成することが可能である)とを含む一対のプローブ(K)に関する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、以下を含む一対のオリゴヌクレオチドプローブ(K)に関する:
a)第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)の第2のクランプセクション(C2)とハイブリッド形成することが可能な第1のクランプセクション(C1)と、検出されるべき標的DNA配列(D)の第1のセクション(S1)とハイブリッド形成することが可能な第1の標的セクション(T1)とを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1);
b)第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクション(C2)と、検出されるべき標的DNA配列(D)の第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクション(T2)とを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)。
【0021】
ハイブリッド形成条件下で、一対のプローブを、標的配列を含むサンプルと接触させた場合、プローブの2つの標的セクションT1およびT2は、標的DNA配列の第1のS1および第2のS2セクションとハイブリッド形成する。
【0022】
クランプセクションC1およびC2は、T1およびT2が標的DNA配列とハイブリッド形成する条件下で、C1およびC2もまた、互いにハイブリッド形成して、クランプを形成するように設計される。ハイブリッド形成されたプローブの構造は、ここでは、クランプを備える(標的特異的ハイブリダイゼーション特性に関して)パドロックプローブに似ている。
【0023】
本発明のプローブは、有利なハイブリダイゼーション動態という点から、パドロックプローブの好都合なハイブリダイゼーション特性を有する。しかし、増幅ステップ中のコンカテマー形成の欠如という点から、線状ハイブリダイゼーションプローブの好都合な特性も有する。したがって、本発明のプローブは、両方のタイプのプローブの利点を併せ持つ。本発明のプローブの長さは、従来の化学合成または他の技術(を使用して、確実に合成できる範囲内にとどまり、これは、かなりの経済的な利点である。さらなる利点は、(より長い)パドロックプローブと比較して、本発明のプローブがより優れた品質、すなわち純度のものであり得、それによって、プローブのさらなる精製が不要になるということであり、これは、こうしたプローブによって、有意に信号対雑音比を低下させることが可能になるという技術的利点につながる。したがって、本発明のプローブは、比較的短い長さの線状オリゴヌクレオチドの好都合な合成および純度/品質と、環化可能/パドロックプローブの好都合な特性を併せ持つ。
【0024】
したがって、標的配列の検出のための本発明の方法は、長いオリゴヌクレオチド(パドロックプローブ)の厄介な合成、および検出されるべき標的配列の標的セクションとのハイブリダイゼーションにおける一対の連結されていない線状プローブの好ましくないハイブリダイゼーション動態を回避する一方、線状プローブとパドロックプローブの両方の利点で得する。
【0025】
プローブ
一対のオリゴヌクレオチドプローブは、サンプル中の各標的配列に対して、第1のプローブ(P1)および第2のプローブ(P2)を含むペアが提供されるように設計される。ただし、これらのプローブはそれぞれ、その最末端の一方に、標的配列(S1、S2)の一部と相補的なセクション(T1、T2)を含有する。好ましくは、標的配列の相補的な部分(S1、S2)は、互いに本質的に隣接して位置する。しかし、本発明のある種の実施形態では、プローブにおける相補的な部分(S1、S2)の末端は、標的配列上で互いに隣接して位置しない。こうした実施形態には、例えば、ギャップ−ライゲーション下の、後述する実施形態が含まれる。
【0026】
一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいては、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その(リン酸化された)5’末端に、標的配列の第1部分S1と相補的なセクションT1を有し、その対の第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その(ヒドロキシル化された)3末端に、標的配列の第2部分S2と相補的なセクションT2を有する。したがって、一対のプローブが、標的配列の相補的な部分(S1、S2)にアニーリングされる場合、第1のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端は、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3末端と好ましくは本質的に隣接しており、その結果、2つのプローブのそれぞれの末端は、連結され、任意の適した様式で、ホスホジエステル結合または別の共有結合を形成し、「接続された(connected)プローブ」を提供することができる。
【0027】
サンプル中で有無が決定されるべき各標的配列に対して、特異的な対の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブが、上で述べた通りの各標的配列の相補的な部分と相補的なセクションを持つように設計されている。したがって、本発明の方法では、サンプル中に存在する各標的配列に対して、対応する(特異的な)接続されたプローブを得ることができる。
【0028】
したがって、本発明の方法では、好ましくは少なくとも一対の2つのオリゴヌクレオチドプローブが使用される。しかし、ある種の実施形態では、特にギャップ−ライゲーション実施形態では、2つのプローブのペアに、第3またはさらなるオリゴヌクレオチドプローブを補足することができる。こうした場合では、第3またはさらなるオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、検出される標的配列の第3またはさらなる部分に相補的であるヌクレオチド配列を含み、より好ましくは、こうしたヌクレオチド配列からなり、その結果、第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブと標的配列の良好なハイブリダイゼーション時に、第1、第2、第3、およびさらなるプローブは、接続されることができる、あるいは、連結されて、接続されたプローブを形成することができる(下記参照)。
【0029】
好ましくは、第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む複数対の群が提供される。ただし、各対は、特定の標的配列に相補的であり、群は、全体として、サンプル中の標的配列の多様性に対して相補的である。サンプル中の所定の標的配列に対する一対の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブは、他の標的配列に対するプローブ対とはヌクレオチド配列が少なくとも異なることとなり、好ましくは、他の標的配列に対するプローブ対とは長さが異なることとなり、より好ましくは、所定の標的配列に対するプローブ対は、後述する通りのサンプル中の他の標的に対応する接続されたプローブとは長さが異なる、接続されたプローブおよび/または増幅された接続されたプローブ(アンプリコン、接続されたプローブの任意の増幅の後、得られる)を産生する。あるいは、異なる標的に対応する接続されたプローブおよび/またはアンプリコンは、これらを別の方法で、例えば後述する通りの異なる標識によって区別できる場合には、同一の長さを有することも可能である。あるいは、接続されたプローブおよび/またはアンプリコンは、それぞれ、(標識された)プローブまたはアレイを用いるハイブリダイゼーションベースの方法、あるいは質量分析を使用して、長さではなく配列または質量に基づいて区別することができる。
【0030】
本発明のプローブにおける標的セクションは、それぞれ独立に、約15から35、好ましくは18から32、より好ましくは20から30のヌクレオチドを含む。
【0031】
好ましい実施形態では、標的セクションは、好ましくは第2のプローブのリン酸化された5’末端に隣接する標的セクションの3’末端に、少なくとも1つのアレル特異的ヌクレオチドを含有する。プローブにおけるアレル特異的ヌクレオチドの存在により、遺伝子座の特異的SNPアレルの検出が可能になる。相補的なアレル特異的ヌクレオチドが、標的配列Sに存在する場合、2つのプローブは、連結され、接続されたプローブを形成できる、マッチした二重鎖を形成することとなる。接続されたプローブの検出は、サンプルにおけるその特異的アレルの存在の指標である。一実施形態では、サンプルは、1つまたは複数の群のプローブのペア、好ましくは2つまたはそれ以上の、好ましくは3つまたはそれ以上の群のプローブと共に提供することができる。あるライゲーションアッセイは、異なる群の標的配列の検出のために使用できるので、他の群の中から選択的に1つの群のみを増幅することが可能なプライマーと、各々の群を組み合わせることによって、スループットのさらなる増加を達成することができる。
【0032】
クランプ
クランプセクションは、好ましくは、標的セクションから遠いプローブの末端、またはその近くに位置する。すなわち標的セクションが3’末端に位置する場合、クランプセクションは、より5’末端の方へ位置し、その逆も同様である。クランプセクションは、必ずしも5’末端または3’末端の最も末梢に位置するというわけではなく、本明細書の以下で述べる他のセクションに従ってもよい。クランプセクションは、好ましくは、それが、標的セクションとハイブリッド形成することが可能でないように設計される。ペアの第1のプローブと第2のプローブのクランプセクションは、互いにハイブリッド形成することが可能である。クランプセクションは、好ましくは、2つの相補的なクランプセクションが、互いに、標的ヌクレオチド配列におけるその相補的な部分に対するプローブの標的セクションの結合親和性よりも高い結合親和性を有するように設計される。これは、実際に、互いにハイブリッド形成される場合、クランプセクションが、標的ヌクレオチド配列における標的セクションとその相補体のハイブリッドよりも強力な二重鎖を形成する、かつ/または相補的なクランプのハイブリダイゼーションが、プローブの標的相補的セクションの、標的へのハイブリダイゼーションよりも高い温度で起こることを意味する。言い換えれば、別の匹敵する条件下で、そのプローブのペアにおける標的相補的なセクションの変性温度よりもより高い温度またはより高い厳密性条件では、ハイブリッド形成されたクランプセクションが変性する。このことにより、本発明の方法の間の条件は、ハイブリッド形成されたあるいはロックされたクランプが、少なくともプローブが接続され、接続されたプローブが産生されるまで、ハイブリッド形成されている、あるいは閉じられたままであるように選択される。ロックされたクランプは、ロックされたクランプの変性を可能にする温度で、あるいはそのような状況下では、(接続された)プローブを変性させることによって、開くことができる。
【0033】
クランプがロックされた一対のプローブは、環状またはパドロックプローブが示すのと類似または同一のハイブリダイゼーション動態および挙動を示す。一対の2つのプローブは、別々に加え、その後、クランプセクションを、サンプル中で互いにハイブリッド形成させることができる。あるいは、これらの2つのプローブは、サンプルに加える前にロックすることができる。
【0034】
好ましい実施形態では、クランプは、プローブのペアにおける標的相補的なセクションの変性温度を、T1またはT2セクションの最も低いTmと比較して少なくとも1℃、好ましくは5℃、より好ましくは10℃上回る変性温度(または融解温度、Tm)を有する。オリゴヌクレオチド配列の変性温度は、Tm=(4*GまたはC)+(2*AまたはT)あるいはTm=(4*G/C)+2*A/T)−5℃という一般式のものを使用して、ヌクレオチド組成から算出/推定できる(非特許文献2)。その本質が、セクション間の変性温度の差にあるような、他の式も、同様に適用できる(Tm[クランプ]−Tm[標的])。GC塩基対は、AT塩基対と比較して、Tmを約2℃増加させるので、これは、クランプセクションの長さを変化させることによってだけでなく、クランプのGC含量を変化させることによって達成することもできる。典型的なクランプセクションは、10から30、好ましくは15から25、より好ましくは18から24のヌクレオチドを含む。GC含量がより低い場合、所望のハイブリダイゼーション特性が得られる限り、このヌクレオチドの数は増加させることができる。あるいは、2つのクランプセクション間のハイブリダイゼーションを増大させる改変されたヌクレオチドを使うことができる。その例は、Locked Nucleic Acids(特許文献9、特許文献10、特許文献11および特許文献12に開示されるものなど)、Peptide Nucleic Acidsなどの、ハイブリダイゼーション特性が向上したヌクレオチド、あるいは、DNAハイブリダイゼーションを安定または増強させる他の分子(特許文献13に記載されるものなどの副溝バインダ他)によってハイブリダイゼーション特性が向上したヌクレオチドである。
【0035】
クランプのGC含量は、変化させることができる。ただし、クランプセクションのGC含量は、50%超から100%、好ましくは60%超、より好ましくは70%超、最も好ましくは80%超の範囲、好ましくは90〜100%の範囲である。したがって、大抵のクランプセクションは、より付随的または構造的基準で、A/T組み合わせを含有する。好ましい群のクランプセクションは、GCが富化されたZIP配列である(非特許文献3)。好ましくは、クランプセクションは、(それぞれT1およびT2よりも多い)GのヌクレオチドおよびCのヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つのヌクレオチドを含む。
【0036】
好ましい実施形態では、ペアの群が使用される場合、その群における各ペアのプローブに対して、異なるクランプセクションを提供できる。クランプセクションは、第1の対のプローブに対するクランプと、第2またはさらなる対のプローブに対するクランプが、互いから識別可能であり、好ましくは、ライゲーションアッセイに使用される条件で、互いにクロスハイブリダイズしないように設計される。各ペアのプローブは、独自のクランプを含み、それによって、サンプルにおける異なるペアのプローブのクランプ間のクロスハイブリダイゼーションが回避される。このために、クランプセクションは、さらなるヌクレオチドを含むことができる、あるいは、クランプセクションのオリゴヌクレオチド配列は、群内で独特であり得る。群において各ペアのプローブに対して独自のクランプセクションを使用することによって、1つのサンプルにおける複数の標的配列の検出が、同時にできるようになる。この実施形態はまた、同じコレクションのプローブのペアを使用する、その後の複数のサンプルにおける1つまたは複数の異なる標的配列の検出を可能にする。この実施形態はさらに、同じ群のプローブのペアを、異なる標的配列の検出のために何度も使用することを可能にする。
【0037】
好ましくは、プローブのペアの群において、異なるクランプを使用する場合、これらのクランプは、小さい範囲内、好ましくは約60〜90℃の間、より好ましくは65〜88℃の間、最も好ましくは70〜85℃の間のTmを有する。周知のように、核酸のハイブリダイゼーション特性はまた、塩濃度によって影響を受ける。本明細書では、別段の指示がない限り、一般のハイブリダイゼーション特性の比較またはオリゴヌクレオチドの特定の変性温度は、相当する塩濃度下でのものであるとみなされる、
本発明に使用できる他のクランプは、光分解性の結合を含有する核酸である。ライゲーションの後、光分解性の結合を除去することができ、接続されたプローブを、増幅および/または検出する。
【0038】
スタッファ
本発明のオリゴヌクレオチドプローブは、様々な長さのスタッファ配列(R1、R2)をさらに含むことができる。対における各プローブは、スタッファを含有できる。スタッファの長さは、0から1000、好ましくは0から500、より好ましくは1から100、最も好ましくは1から50の間を変動する。スタッファは、前記非特許文献3によって記載されている通りのZip−code配列として知られている通りの非反復配列であり得る。スタッファは、標的セクションとクランプの間に位置してもよいし、クランプ内に、または標的セクションの遠位端に組み込んでもよい。スタッファは、プローブまたは接続されたプローブ間に長さの差を与えるために使用できるが、ハイブリダイゼーションベースの検出のための質量に基づく検出またはアドレス可能な配列(ZIP)のための大きな質量の差を与えるために使用することもできる。
【0039】
さらなる実施形態では、本発明は、以下を含む、SNP遺伝子タイピングに適した一連の少なくとも3つのオリゴヌクレオチドに関する:
a)第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)の第2のクランプセクション(C2)とハイブリッド形成することが可能な第1のクランプセクション(C1)と、検出されるべき標的DNA配列(D)の第1のセクション(S1)とハイブリッド形成することが可能な第1の標的セクション(T1)とを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1);
b)第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクション(C2)と、検出されるべき標的DNA配列(D)の第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクション(T2)とを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2);
c)第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクション(C2)と、検出されるべき標的DNA配列(D)の第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクション(T2)とを含む少なくとも第3のオリゴヌクレオチドプローブ(P3)。ただし、第2のプローブおよび第3のプローブは、好ましくは一連のプローブの標的セクションの末端に位置する、アレル特異的ヌクレオチドを含有し;第2および第3のプローブのアレル特異的ヌクレオチドは、検出されるSNPのアレルに相当し;第2および第3のプローブは、第1のプローブの、第2のプローブと第3のプローブとの(増幅された)ライゲーション産物を識別するさらなる(スタッファ)セクションを含有する。
【0040】
プライマー結合部位
接続されたプローブ対の増幅を容易にするために、プライマー結合部位(B1、B2)を、プローブに組み込むことができる。プライマー結合部位は、標的セクションではなくプローブの別の部分に、好ましくはクランプセクションと標的セクションの間に位置することが好ましい。プライマー結合部位は、プライマーを結合し、プライマー伸長または増幅を開始することが可能である。好ましくは、一群のプローブ対内では、プライマー結合部位は、汎用的(universal)である。すなわち、あらかじめ定められた群のプライマー結合部位のみが、プローブに組み込まれ、その3’末端に1つまたは複数の選択的な塩基を含むプライマー(AFLP(前記特許文献14)から知られるものなど)などの、限られた数のプライマーからの多重のプライマーの伸長または増幅が可能になる。
【0041】
プローブ中のスタッファ、プライマー結合部位、およびクランプセクションの機能は、組み合わせることができる。また、プローブの特定の部分が、ハイブリダイゼーションおよびライゲーション中にクランプセクションの部分として機能することができ、同時または別の時期に、プライマーの伸長/増幅のためのプライマー結合部位の部分としても機能することができ、同時または別の時期に、本明細書の以下で開示するものなどの所望の検出プラットフォームベースの差を与えるスタッファとしても機能するという意味で、相互に関係する可能性もある。
【0042】
標的配列
その最も広い定義では、標的配列は、当該の任意のヌクレオチド配列であり得る。標的配列は、例えば、これが、ある種の病気または遺伝的体質または障害を示す、これらに関連する、あるいはこれらを代表するので、その決定/検出が所望される任意の配列であり得る。標的配列は、多型性を含有する、多型性を示す、あるいは多型性に関連するヌクレオチド配列であることが好ましい。多型性という用語は、本明細書では、ある集団における遺伝的に決定される2つまたはそれ以上の代替の配列またはアレルの存在を指す。多型のマーカーまたは部位は、配列分散(sequence divergence)が存在する遺伝子座である。好ましいマーカーは、それぞれ、選択された集団の1%超、好ましくは10%または20%超の頻度で生じる、少なくとも2つのアレルを有する。多型の遺伝子座は、1塩基対程度である可能性もある。多型のマーカーには、制限断片長多型、様々な数のタンデムリピート(VNTRのもの)、高頻度可変領域、ミニサテライト、ジヌクレオチドリピート、トリヌクレオチドリピート、テトラヌクレオチドリピート、単純な繰り返し配列(simple sequence repeat)、および挿入配列(Aluなど)が含まれる。最初に同定された対立(allelic)形を、基準形として任意に名付け、他の対立の形を、代替または変異アレルとして名付ける。選択された集団に最も頻繁に存在する対立の形は、時として野生型の形と呼ばれる。複相生物は、対立の形についてホモまたはヘテロであり得る。2対立(diallelic)多型性は、2つの形を有する。3対立(triallelic)多型性は、3つの形を有する。単一ヌクレオチド多型は、対立配列間の変異の部位である、単一のヌクレオチドによって占められる多型部位で起こる。この部位は通常、アレルの非常に保存される配列(例えば、集団中の1/100または1/1000未満のメンバーが変化する配列)が、前および後ろに続く。単一ヌクレオチド多型は通常、多型部位での、あるヌクレオチドの別のヌクレオチドへの置換によって生じる。単一ヌクレオチド多型はまた、基準アレルに対するヌクレオチドの欠損またはヌクレオチドの挿入から生じる可能性もある。他の多型性には、いくつかのヌクレオチドの(小さい)欠損または挿入(インデル(indel)と呼ばれる)が含まれる。好ましい標的配列は、AFLP(登録商標)マーカー、すなわち、AFLP(登録商標)を用いて検出可能である多型性に関連する標的配列である。
【0043】
DNA
核酸サンプルにおいては、標的を含む核酸は、関心が持たれているどんな核酸であってもよい。たとえサンプル中の核酸が通常、DNAの形であっても、サンプル中に含有されるヌクレオチド配列情報は、例えばRNA、polyA RNA、cDNA、ゲノムDNA、オルガネラDNA(ミトコンドリアまたは葉縁体DNAなど)、合成の核酸、DNAライブラリ、クローンバンク、または任意の選択あるいはそれらの組み合わせを含めた、核酸のいずれかの供給源由来であり得る。核酸サンプル中のDNAは、二本鎖、一本鎖、および一本鎖DNAに変性する二本鎖DNAであり得る。二本鎖配列の変性により、2つの一本鎖フラグメントが生じ、その一方または両方を、それぞれの鎖に対する特異的なプローブによって分析できる。好ましい核酸サンプルは、cDNA、ゲノムDNA、制限フラグメント、アダプター連結制限フラグメント、増幅されたアダプター連結制限フラグメント、AFLPフラグメント、またはAFLP−鋳型前増幅(preamplification)で得られるフラグメント上の標的配列を含む。
【0044】
サンプル
サンプルが2つまたはそれ以上の異なる標的配列を含有することが好ましい。言い換えれば、「2つまたはそれ以上」は、サンプル中の標的配列の量ではなく同一性を指す。具体的には、サンプルは、少なくとも2つの異なる標的配列、具体的には少なくとも10、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも50、より具体的には少なくとも100、好ましくは少なくとも250、より好ましくは少なくとも500、最も好ましくは少なくとも1000のさらなる標的配列を含む。実際には、分析できるサンプル中の標的配列の数は、特に、検出されるプローブというよりも、接続されるプローブの数によって制限される。例えば、サンプル中の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブのあまりに多くの異なるペアは、多重増幅ステップの信頼性を損なう可能性がある。
【0045】
例えば、使用される検出プラットフォームによって、分析することができる、サンプル中のフラグメントの数によって、さらなる制限が生じる。その数はまた、生物のゲノムサイズ、あるいは、DNAまたはcDNAサンプルがそれぞれ得られる特定の細胞タイプのトランスクリプトームの複雑さによって制限される可能性がある。
【0046】
ライゲーションアッセイ
本発明の方法は、標的配列に対するプローブのペアのハイブリダイゼーションおよび標的配列上で互いに隣接してアニーリングされる場合のこれらの2つのプローブのライゲーションを含む。
【0047】
本発明の方法の一実施形態では、ハイブリダイゼーション/ライゲーションステップは、標的配列上で、あるいはその形成物(representation)上で直接実施される。得られた接続されたプローブは、その後、好ましくは増幅させた後に検出される。この方法は、好ましくは、核酸サンプル中の1つまたは複数の標的配列の有無を決定するための方法である。この方法は、好ましくは以下のステップを含む:
a)核酸サンプルに、サンプルにおいて検出されるべき各標的配列に対する一対の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブを提供すること(ただし、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5’末端に標的配列の第1部分に相補的なセクションを有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3’末端に標的配列の第2部分に相補的なセクションを有し、標的配列の第1部分と第2部分は、好ましくは互いに隣接して位置し、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、第2のオリゴヌクレオチドプローブに位置する相補的なクランプセクションとハイブリッド形成することが可能な、本質的に標的配列に非相補的なクランプセクションをさらに含む);
b)クランプをアニーリングさせること;
c)オリゴヌクレオチドプローブを、標的配列の対応する部分とハイブリッド形成させること(ただし、第1と第2のオリゴヌクレオチドプローブの標的相補的なセクションは、好ましくは隣接して位置する);
d)標的配列とハイブリッド形成した第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブを接続するための手段を提供すること;
e)アニーリングされた第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブの相補的なセクションを接続させて、サンプル中の標的配列に対応する接続されたプローブを産生すること;および
f)接続されたプローブを検出すること(ただし、任意選択で、接続されたプローブを、検出の前に増幅させ、増幅された接続されたプローブ(アンプリコン)を含む増幅されたサンプルを生成する)。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、クランプセクションは、ハイブリダイゼーション/ライゲーションステップ中に、アニーリング(閉じるあるいはロック)される(すなわち、ステップ(b)および(c)は、一段階に統合される。好ましい実施形態では、プローブのペアは、この方法の開始条件下で、ペア内の対応するプローブの各クランプセクションとアニーリングすることとなる2つの別々のプローブの形で、サンプルに加えることができる。別の実施形態では、対における2つのプローブは、サンプルに加えるより前に、それらのクランプセクションをアニーリングさせる。ハイブリダイゼーション/ライゲーションステップ(c)の間に、あるいは、それに先行して、一対のプローブ内の2つのクランプセクションがアニーリングされる場合、2つのプローブは、パドロックに一般に関連する好都合なハイブリダイゼーションおよびライゲーション特性(すなわち、環状のプローブを標的配列と絡み合わせることに起因する、増進されたハイブリダイゼーション動態、および付随する安定性の増大)をもつ単一の環状のプローブとして作用し、それによって、良好かつ適切なライゲーションの可能性が増し、不成功の事象または偽陽性の数は減少する。標的配列へのプローブのハイブリダイゼーションおよびライゲーションの後、連結されたまたは接続されたプローブは、好ましくは変性処理にかけられる。これによって、クランプを開くことができる。接続されたプローブは、検出を容易にするために、増幅された接続されたプローブを提供するために、1つまたは複数のプライマーを使用して増幅することができる。
【0049】
クランプセクションが変性されず、増幅ステップ中に閉じたままである場合、接続されたプローブは、ハイブリッド形成された末端を有するが、依然として線状分子と考えることができる。増幅およびいっそう指数関数的な増幅は、増幅プライマー(1つまたは複数)がアニーリング可能な位置が存在するという条件で、依然として可能である。好ましくは、プローブ中に提供されるプライマー結合部位は、プライマー(1つまたは複数)のアニーリングを可能にするためのクランプセクションとは異なる。
【0050】
本発明の方法の一実施形態では、ハイブリダイゼーション/ライゲーションステップはまた、標的配列の増幅産物上で実施できる。標的配列由来の関連するセクションは、さらに(前(pre−))増幅され、その後、プローブ対を加えて、ライゲーションステップを実施する。この実施形態では通常、プローブには標識が提供される。本発明のプローブは、さらに、従来の線状プローブと比較して向上したハイブリダイゼーション特性という利点を有する。こうした増幅−ライゲーションアッセイの例は、前記特許文献4にある(一次PCR/二次PCR/ライゲーション検出反応)。
【0051】
ハイブリダイゼーション
この方法のハイブリダイゼーションステップ(c)では、1つまたは多数の異なる標的配列、すなわち少なくとも2つの異なる標的配列を、ハイブリッド形成条件下で、1つまたは多数の特異的なオリゴヌクレオチドプローブ対と接触させる。その後、オリゴヌクレオチドプローブの対を、好ましくは隣接した、サンプルにおける複数の標的配列の相補的な部分とアニーリングさせる。相補的な標的配列に対するオリゴヌクレオチドプローブの特異的なアニーリングのための方法および条件は、当分野でよく知られている(例えば、非特許文献4を参照のこと)。
【0052】
通常、オリゴヌクレオチドプローブと標的配列を混合した後、核酸を、塩緩衝液中で短期間(例えば30秒から5分)、(通常94℃と96℃間で)インキュベーションさせることによって変性させる。その後、変性したプローブおよび標的配列を含有するサンプルを、プローブと標的配列の特異的なアニーリングに最適なハイブリダイゼーション温度(これは通常、(標的配列における)プローブの相補的なセクション(標的セクション)と、その相補配列との間のハイブリッドの融解温度よりも約5℃低いに冷却させる。プライマー対における、あるいは、複数の標的配列を有するサンプルにおける、2つのプローブのうちの片方の非特異的または非効率的なハイブリダイゼーションを予防するために、1つのサンプル内では、標的配列と相補的なプローブのセクションは、サンプルに存在する異なる標的配列と類似の、好ましくは、同じ融解温度のものであることが好ましい。したがって、第1のプローブと第2のプローブの相補的なセクションの融解温度の差は、好ましくは20、15、10、5、または2℃未満である。これは、類似の長さおよび類似のG/C含量を有する第1のプローブと第2のプローブの相補的なセクションを用いることによって容易になる。相補的なセクションの長さの差は、好ましくは20、15、10、5、または2ヌクレオチド未満であり、そのG/C含量の差は、30、20、15、10、または5%未満である。本明細書では、「相補的」は、第1のヌクレオチド配列が、通常の厳密性条件下で、第2のヌクレオチド配列と特異的にハイブリッド形成することが可能であることを意味する。別のヌクレオチド配列に相補的とみなされるヌクレオチド配列は、微量(すなわち好ましくは20、15、10、5または2%未満)のミスマッチを含有してもよい。あるいは、例えば、例えば参照によって本明細書に組み込まれる前記特許文献13に記載されているものなどの、いわゆる汎用的なヌクレオチドの組み込みによって、あるいは、LNAまたはPNAを用いて、ミスマッチを補う必要がある可能性がある。標的配列へのプローブのアニーリングは、濃度依存性であるので、アニーリングは、好ましくは小体積、すなわち25μl未満、好ましくは10μl未満で実施される。これらのハイブリダイゼーション条件下では、標的配列へのプローブのアニーリングは通常、短期間であり、5、10、または15分を超える間続行する必要はないが、ハイブリダイゼーション温度が、特異的なアニーリングを回避するように維持される限り、より長いアニール時間を使用することもできる。サンプル間の標的配列の相対量のモニタリングを可能にするために、ライゲーションプローブによる完全な標的占有に依存する定量的用途のためには、より長いアニール時間が、より重要である/必要である。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、ハイブリダイゼーション時間を延長すること、例えば、終夜またはより長時間(10×1時間など)のハイブリダイゼーションによって、優れた結果が得られた。異なるハイブリダイゼーション効率に起因するシグナルの差が、低下する、また、標的配列が存在する全てのプローブの完全なハイブリダイゼーションおよびライゲーションを達成することは、好ましいことと考えられるので、ハイブリダイゼーション時間の延長は、これらのアッセイに好都合であり得る。本明細書に記述する耐熱性のリガーゼを使用するハイブリダイゼーション−ライゲーションステップの組み合わせによって、優れた結果が得られた。この実施形態では、耐熱性のリガーゼの存在下で、1時間、プローブをハイブリッド形成させ、それに続いて変性ステップを行うことによって、ハイブリダイゼーションを実施した。これらのステップを少なくとも2回繰り返すことによって、良い結果がもたらされた。これらのステップを10回繰り返すことによって、優れた結果がもたらされた。
【0054】
変性およびアニーリング中の蒸発を避けるため、反応チャンバー(すなわち管またはマイクロタイターウェル)の壁および蓋もまた、一般に、市販のDNA増幅装置の使用により達成される、反応混合物と同じ温度に加熱できる。好ましいオリゴヌクレオチドプローブにおいては、標的相補的セクションの長さは、好ましくは少なくとも15、18、または20ヌクレオチドであり、かつ、好ましくは最高で30、40または50ヌクレオチドであり、また、こうしたプローブは、好ましくは、少なくとも50℃、55℃、または60℃の、標的セクションからの融解温度を有する。
【0055】
ハイブリッド形成しないプローブ
標的配列の部分と相補的でない、あるいは非常に多くのミスマッチを含有するプローブは、サンプルがハイブリダイゼーション条件にかけられた場合でも、標的配列にハイブリッド形成しない、あるいは、小さい程度でしかハイブリッド形成しない。したがって、ライゲーションは、起こりそうにない。したがって、これらのプローブからの見かけのライゲーション生成物の数は、一般に、十分ではなく、真正のライゲーション産物よりかなり少なくなり、その結果、これは、その後の多重増幅中に競り負ける。結果的に、これらは、検出されない、あるいは、わずかな程度でしか検出されないこととなる。
【0056】
本発明の好ましい方法は、標的配列にアニーリングされていない、かつ/または、接続/連結されていないオリゴヌクレオチドプローブの除去のためのステップをさらに含む。こうしたプローブの除去は、増幅の前に、好ましくはエキソヌクレアーゼを用いる消化によって実施されることが好ましい。
【0057】
接続/連結されていないオリゴヌクレオチドプローブの除去/排除によって、ライゲーションとは無関係の(不適当な)標的増幅の有意な低下を達成することができ、信号対雑音比の増加がもたらされる。接続されたプローブの情報量を失わずに、1つまたは複数の接続/連結されていない成分を排除するための1つの解決法は、接続/連結されていないオリゴヌクレオチドプローブを消化するために、エキソヌクレアーゼを使用することである。連結されていない末端、例えば下流のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端をブロックすることによって、実質的に消化の妨げになるプローブがあるのに対して、高感度であるものもある。その後、接続されたプローブの消化を防止するのは、完全長のライゲーション産物配列の存在のみである。保護基には、主鎖におけるチオリン酸基の使用および/または2−O−メチルリボース糖基の使用が含まれる。エキソヌクレアーゼには、ExoI(3’−5’)、Exo III(3’−5’)、およびExo IV(5’−3’および3’−5’)(その後、両側でのブロッキングを必要とする)が含まれる。両方のプローブをブロックするある好都合な方法は、1つの長い「パドロック」プローブを用いることによるものである(本明細書に組み込まれる、非特許文献5を参照のこと)が、これは必ずしも必要とされない。
【0058】
エキソヌクレアーゼ(例えばExo I(一本鎖特異的)およびExo III(二本鎖特異的)の組み合わせ)を使用する利点は、標的DNAと1つのオリゴヌクレオチドプローブとの両方を破壊する能力であるが、ライゲーション産物配列は、実質的に消化されないままにされる。増幅より前にエキソヌクレアーゼ処理を用いることによって、各セットにおけるいずれか1つまたは両方の(連結されていない)オリゴヌクレオチドプローブは、実質的に低下し、したがって、最初の標的DNAへの残りのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーション(これはまた、エキソヌクレアーゼ処理によって、実質的に低下する)、およびオリゴヌクレオチドプライマーセットによるPCR増幅に適した基質として働く可能性がある異常なライゲーション生成物の形成は、実質的に低下する。
【0059】
ライゲーション
標的配列の相補的部分に本質的に隣接してアニーリングされた一対の第1と第2のオリゴヌクレオチドプローブのそれぞれの5’リン酸化末端と3’ヒドロキシル化末端を、ステップ(c)で接続させ、当技術分野で知られた任意の適切な手段によって、共有結合を形成させる。プローブの末端は、リガーゼ、好ましくはDNAリガーゼによって、ホスホジエステル結合に酵素的に接続させることができる。DNAリガーゼは、相補鎖上の隣接した部位で結合される2つのポリヌクレオチド鎖(の末端)間のホスホジエステル結合の形成を触媒することが可能な酵素である。DNAリガーゼは、二本鎖DNA内のニックを塞ぐ補助因子として、通常ATP(EC 6.5. 1.1)またはNAD(EC 6.5. 1.2)を必要とする。本発明で使用するのに適したDNAリガーゼは、T4 DNAリガーゼ、大腸菌DNAリガーゼ、あるいは好ましくは、例えばサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)リガーゼ、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)DNAリガーゼ、またはパイロコッカス(Pyrococcus)DNAリガーゼのような耐熱性のリガーゼである。あるいは、標的配列の相補的部分上の隣接した部位でアニーリングされた2つのオリゴヌクレオチドプローブを連結するために、改変されたポリヌクレオチド末端の化学的オートライゲーション(autoligation)を使用できる(非特許文献6)。
【0060】
完全にマッチしたプローブ−標的配列複合体上では、プローブの一方または両方が、ライゲーション部位で、あるいはその近くで、標的配列とミスマッチを形成する複合体と比較して、かなり効率的な化学的および酵素的ライゲーションが起こる(非特許文献7および前記非特許文献6)。ライゲーション特異性、すなわちミスマッチのオリゴヌクレオチドと比較して完全にマッチしたオリゴヌクレオチドの相対的なライゲーション効率を増大させるために、ライゲーションは、高温で実施することが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態では、長時間、50〜65℃で活性なままであるDNAリガーゼが使用されるが、これは、例えばPCR中の変性ステップに使用されるより高い温度、通常90〜100℃では容易に失活する。そのようなDNAリガーゼは、前記特許文献4から知ることができる通りの、グラム陽性細菌(MRCH 065株)由来のNAD要求性DNAリガーゼである。このDNAリガーゼは、「リガーゼ65(Ligase 65)」と呼ばれており、MRC Holland,Amsterdamから市販品として入手できる。
【0061】
ギャップライゲーション
他の実施形態では、例えば、インデルの同定を目的とする場合、第1および第2のプローブの相補的セクションのそれぞれの末端は、ギャップが残されるようにアニーリングすることができる。このギャップは、適切な(第3の)オリゴヌクレオチドで充填することができ、連結できる。こうした方法は、「ギャップライゲーション」として当技術分野で知られており、特に特許文献15に開示されている。このギャップを充填するという別の可能性は、A、T、C、またはG、あるいは、ジ、トリ、または他の小さいオリゴヌクレオチドから任意選択であらかじめ選択された単一のヌクレオチドと組み合わせて、ポリメラーゼおよびリガーゼを使用する、プローブの一端の伸張によるものである。標的配列がRNAである場合には、ギャップを充填するというさらに別の可能性は、A、T、C、またはG、あるいは、ジ、トリ、または他の小さいオリゴヌクレオチドから任意選択であらかじめ選択された単一のヌクレオチドと組み合わせて、逆転写酵素およびリガーゼを使用する、プローブの一端の伸張によるものである。
【0062】
Cleavaseライゲーション
本発明の一態様では、さらなる識別ステップを、ライゲーションの前に導入できる。ある種の実施形態では、ペアの第1のまたは第2のオリゴヌクレオチドプローブは、2つのプローブのうちの1つが、その標的特異的なセクションのライゲーションの予測された位置を超えて延長されるように設計される。好ましくは、プローブは、標的配列に相補的でない配列を用いて延長される。標的配列への2つのプローブの標的特異的なセクションの適切なアニーリングの場合には、フォーク状の開裂(cleavage)構造が形成される。ただし、延長されていないプローブの標的特異的なセクションの3末端は、標的配列にアニーリングされる一方、標的配列と非相補的な他のプローブの延長された5’末端は、一本鎖アームを形成する(図4を参照のこと)。このようにして得られたフォーク状の開裂構造は、本明細書では、切断剤(cleaving agent)、またはcleavaseと呼ばれるDNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性に対する基質である。好ましいcleavaseは、5’ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性またはFENエンドヌクレアーゼを欠いている、改変されたDNAポリメラーゼである。こうしたフォーク状の開裂構造およびこうしたcleavaseの例は、特許文献16および特許文献17(Third Wave Technologies)に記載されている。FENヌクレアーゼの例は、5’DNAフラップに対するエンドヌクレアーゼとしても作用する、多機能、構造特異的なメタロヌクレアーゼFEN−1(five’exonuclease−1またはflap endonuclease−1)である(非特許文献8に概説されている)。
【0063】
ある種の実施形態では、cleavaseは、天然のDNAポリメラーゼであり得るが、好ましくは、cleavaseは、DNAポリメラーゼの合成活性を欠く改変形態である。5’ヌクレアーゼ活性を有し、その合成活性を失活させるように改変できる適切なDNAポリメラーゼは、例えばサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、大腸菌(Escherichia coli)、およびサーマス・フラバス(Thermus flavus)、あるいはバクテリオファージT7またはFENエンドヌクレアーゼ由来の遺伝子6産物の改変形態由来のポリメラーゼである。他の適切なcleavaseは、特に、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34、特許文献35に言及されている。
【0064】
適切なcleavaseを用いてフォーク状の開裂構造をインキュベーションすると、切断は、まさに、延長されたプローブにおいて、延長配列の第1のマッチしていないヌクレオチドと、延長されたプローブの標的特異的なセクションの第1のマッチしているヌクレオチドとの間に起こる。したがって、延長配列は、除去され、ペアの第1および第2のプローブの標的特異的なセクションの2つの末端は、標的配列との完璧なマッチの場合には、互いに隣接して直ちにアニーリングし、それによって、2つのプローブのライゲーションが可能になり、接続されたプローブが形成される(図4を参照のこと)。この原理は、任意の従来のOLAアッセイ、また、同様に本発明のアッセイにも有効であり、かつ、これらに適用することができ、また、OLA−技術の忠実度をさらに向上させることによって、OLA−技術の工夫に富んだ改良をなすことができる。この原理は、同様に、(本明細書に記述する通りの)環化不可能(non-circularizable)、環化可能(circularizable)、および半環化可能(semi-circularizable)プローブに対して有効である。
【0065】
ある種の実施形態では、OLA−アッセイのための一般的な方法は、標的核酸配列、第1のプローブ、および第2のプローブを含む開裂構造が形成されるステップを含む。ある種の実施形態では、第1のプローブは、標的核酸配列の第1のセクションとアニーリングし、第1の二重鎖を形成することが可能な第1の標的特異的な領域を含む。ある種の実施形態では、第2のプローブは、標的核酸配列の第2のセクションとアニーリングし、第2の二重鎖を形成することが可能な第2の標的特異的な領域を含む。ある種の実施形態では、標的核酸配列の第1セクションと第2のセクションは、隣接し、その結果第1と第2の二重鎖は隣接する。ある種の実施形態では、第1のプローブまたは第2のプローブは、標的核酸配列とアニーリングすることが可能でない、さらなる領域(E)、延長された領域、好ましくは延長された5’末端を含む。ある種の実施形態では、このさらなる(延長された)領域は、標的核酸配列の第1および第2のセクションの間の接合部位(すなわちOLA−アッセイのライゲーションの潜在的可能性のある部位)の位置の第1または第2のプローブの末端に位置する。ある種の実施形態では、さらなる(延長された)領域は、第1または第2のプローブの非アニーリングセクションを提供し、それによって、(フォーク状の)開裂構造が作成される。ある種の実施形態は、好ましくは、開裂構造の配列に無関係の方式で開裂構造を切断し、開裂構造および切断剤が、切断が起こることが可能な条件下で保温された場合に、開裂構造の切断がもたらされるような切断剤に、開裂構造を暴露させることを含む。ある種の実施形態では、開裂構造を切断することにより、さらなる(延長された)領域が除去される。ある種の実施形態では、開裂構造を切断することによるさらなる(延長された)領域の除去により、第1および第2のプローブが隣接して所在するようになる。
【0066】
一態様では、本発明は、OLA−アッセイにおける、好ましくはライゲーションの前の、切断剤の使用に関する。ある種の実施形態では、ライゲーションの想定された位置にある第1または第2のプローブのオーバーハング(すなわち、さらなるまたは延長された領域)を除去し、第1のプローブと第2のプローブが連結されることができるようにするために、切断剤が使用される。切断剤の特性は、2つのプローブが標的配列上で互いに隣接してアニーリングされ、それらのプローブのうちの1つが、プローブが隣接してアニーリングされる位置で、オーバーハングを有する場合に、切断が起こることである。ある種の実施形態では、切断は、好ましくは、2つのプローブが、標的配列上で互いに隣接してアニーリングされ、それらのプローブのうちの1つが、プローブが隣接してアニーリングされる位置で、オーバーハングを有する場合にのみ起こる。オーバーハングの切断により、標的配列上で隣接してアニーリングされ、連結することが可能な2つのプローブが提供される。この切断ステップの技術的利点の1つは、切断ステップによって、ライゲーションのために必要なプローブの片方の末端に5’リン酸が提供されることである。5’リン酸塩の提供は、5’末端のリン酸化が、オリゴヌクレオチドの合成における最終ステップの1つであるような従来のオリゴヌクレオチド合成のための代替として使用できる。さらなる技術的利点は、開裂構造、すなわち、オーバーハングにおけるヌクレオチドが、標的配列中のヌクレオチドと相補的、あるいはハイブリッド形成することが可能である構造のみを切断するための切断剤の選択性の向上に起因して、その後のライゲーション反応の選択性および特異性が、有意に増大されることである。
【0067】
標的配列におけるSNPのアレル特異的検出を目的とするある種の実施形態では、さらなる(延長された)領域を含有するプローブに、アレル特異的ヌクレオチドが組み込まれる。したがって、ペアのうちの片方のプローブは、調査されるべきSNPと本質的に隣接してアニーリングする標的特異的セクションを含む。ペアのもう一方のプローブは、調査されるべきSNPと相補的なヌクレオチドを含有する標的特異的セクション、およびそのヌクレオチドに隣接するさらなる(延長された)領域を含む。OLA−アッセイのものおよび同様に本発明のすべてに適用できるこの実施形態の一般化された観念は、図6A、図6B、および図7におけるさらなる(延長された)領域を使用するものである。この実施形態によって、切断ステップおよびライゲーションステップが、両方の標的セクションが、ライゲーション/切断の時点で完璧なマッチである場合にのみ起こることが可能になり、また、この実施形態によって、さらに、特異性が向上する。
【0068】
OLAアッセイにおける切断ステップの導入により、モノプレックス(monoplex)Invader Assay(Third Wave Technologies)の特異性が、OLA SNPWaveアッセイの順応性のある多重(multiplex)能力と組み合わされる。これにより、プールされたサンプルまたは複合サンプルにおけるSNP頻度、または配列の他の形の定量的測定値(ノンルーチンの転写産物プロファイリングまたは土壌、食品、海などにおける病原体の汚染レベルの定量的測定値など)を測定することが可能になる。
【0069】
OLAアッセイにおけるこの追加ステップの使用により、重要な利点がもたらされ、例えば、(例えば、集団スクリーニングにおける)対立遺伝子頻度の定量分析の分野に、あるいは複合サンプルにおける低頻度の変異体の同定の分野における用途が見いだされる。
【0070】
プライマー
接続されたプローブは、少なくとも1つの、好ましくは、プライマー−結合部位に対応する一対のプライマーを使用して増幅される。好ましい実施形態では、少なくとも1つのプライマーまたは同じ対のプライマーが、サンプルにおける2つ以上の異なる接続されたプローブの増幅のために、好ましくは、サンプル中のすべての接続されたプローブの増幅のために使用される。こうしたプライマーは、時として、汎用(universal)プライマーと呼ばれる。こうしたプライマーは、対応する汎用プライマー結合部位を含有するすべてのプローブの増幅、したがって、汎用プライマー結合部位を含有するすべての連結されたプローブの増幅を開始(prime)することが可能であるので、増幅に使用される異なるプライマーは、アニーリングおよびプライミング(priming)効率の点で、好ましくは本質的に等しい。したがって、サンプル中のプライマーの融解温度の差は、20、15、10、5、または2℃未満である。これは、オリゴヌクレオチドプローブにおける相補的セクションについて上で概説した通りに達成できる。相補的セクションの配列とは異なり、プライマーの配列は、標的配列によって決定されない。したがって、プライマー配列は、ヌクレオチドのテトラマー(各テトラマーは、1つのA、T、C、およびGを含有する)から配列を組み立てることによって、あるいは、プライマーのG/C含量および融解温度が、同一あるいは非常に類似であることを確実にする他の方法によって、好都合に設計できる。プライマーの長さ(およびプローブのタグにおける対応するプライマー結合部位)は、好ましくは少なくとも12、15、または17ヌクレオチド、好ましくは多くて25、30、40ヌクレオチドである。
【0071】
好ましい実施形態では、サンプル中の少なくとも2つの異なる標的配列と相補的な少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプローブが、単一のプライマー配列に対して相補的なプライマー結合部位を含む。したがって、好ましくは、プライマー対における第1と第2のプライマーのうちの少なくとも1つは、サンプル中の少なくとも2つの異なる標的配列に対応する接続されたプローブの増幅のために使用され、好ましくは、サンプル中のすべての標的配列に対応する接続されたプローブの増幅のために使用される。好ましくは単一の第1のプライマーのみが使用され、ある実施形態では、単一の第1のプライマーと単一の第2のプライマーのみが、すべての接続されたプローブの増幅のために使用される。複数の異なるフラグメントを増幅するために汎用プライマーを使用することは通常、増幅ステップの効率にとって好都合である。
【0072】
隣接してアニーリングされたプローブセクションのライゲーションから得られる接続されたプローブは、好ましくはサンプル中の各々の接続されたプローブのための一対のプライマーからなるプライマー対を使用して、ステップ(d)で増幅される。プライマー対は、接続されたプローブ中に存在するプライマー結合配列と相補的なプライマーを含む。プライマー対は、通常第1のプライマーおよび少なくとも第2のプライマーを含むが、両方向にプライミングする単一のプライマーのみからなる可能性もある。特に、前記特許文献14及び非特許文献9に記載されているものなど、AFLP−プライマーとして当技術分野で知られているプライマーを使用して、優れた結果が得られている。
【0073】
標識
好ましい実施形態では、サンプル中の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブのプライマー結合部位と相補的なプライマーの少なくとも1つは、標識を含み、好ましくは、第2のプライマーも標識を含む。標識は、特に、蛍光および/またはリン光部分(色素、発色団、または酵素など)、抗原、重金属、磁気プローブ、リン光部分、放射性標識、化学発光部分、あるいは電気化学的検出部分を含む大集団、から選択できる。好ましくは、標識は、蛍光またはリン光色素であり、好ましくは、FAM、HEX、TET、JOE、NEDおよび(ET−)ROXの群から選択される。NEN Glober IRaプラットフォームで使用されるような、Licorによる、FITC、Cy2、Texas Red、TAMRA、Alexa fluor 488(商標)、Bodipy FL(商標)、Rhodamine 123、R6G、Bodipy 530、Alexafluor(商標)532およびIRDyes(商標)などの色素もまた、本発明で使用するのに適切である。好ましくは、標識は、FAM、TET、JOE、NED、HEX、(ET−)ROX、FITC、Cy2、Texas Red、TAMRA、Alexa fluor 488(商標)、Bodipy(商標) FL、Rhodamine 123、R6G、Bodipy 530、Alexafluor(商標)532、およびIRDyes(商標)からなる群の、蛍光またはリン光色素の中から選択できる。
【0074】
別々に標識されたプライマーを含むプライマー対を用いて、サンプル中で識別できる接続されたプローブの数、したがって、サンプル中の標的配列の数を、それぞれのさらなる標識について2倍にすることができる。したがって、サンプル中で使用されるそれぞれのさらなる標識について、サンプル中で分析できる標的配列の数は、2倍になる。ハイスループット法における1つのサンプル中に使用できる標識の最大数は、主に、利用可能な検出プラットフォームの検出能力における限界によって制限される。現在、最も頻繁に使用されるプラットフォームの1つ(Molecular Dynamics-Amersham-Biosciences Ltd.による、MegaBACE)によって、(FAM、JOEまたはHEX、NED、および(ET−)ROXである)最高4つの蛍光色素の同時の検出が可能になる。しかし、ABI310、ABI3100、ABI3700(Perkin-Elmer Corp.)、CEQ2000 XL(Beckman Coulter)他を含めた代替のキャピラリー電気泳動法計測器もまた適切である。スラブゲルベースの電気泳動装置の非限定的な例には、ABI377(Perkin-Elmer Corp.)、およびLI−COR、Lincoln、Nebraska、USAから入手可能なglobal IR自動DNA塩基配列決定システムが含まれる。
【0075】
増幅
接続されたプローブのいずれの増幅も、ロックされたクランプを用いて、あるいは好ましくは開かれたクランプを用いて首尾よく達成できる(すなわち、接続されたプローブが、線状分子の形であるのに対し、ロックされたクランプを有する接続されたプローブは環状である)。本発明の接続されたプローブの任意のその後の増幅は、PCRなどの簡単かつよく知られた増幅技術を使用して達成できる。PCRなどの従来の技術を使用する利点の1つは、得られる増幅産物が、一般的にパドロックプローブの増幅によって生じる、増幅された連結された線状形成物とは対照的に、線状配列の複数のユニット(コンカテマー)で構成されないことである。
【0076】
本発明の方法の増幅ステップでは、当技術分野で知られた任意の適切な核酸増幅方法によって、(検出可能な)アンプリコンを産生するために、接続されたプローブを、増幅させる。核酸増幅方法は、通常1つまたは2つのプライマー、dNTP、および(DNA)ポリメラーゼを使用する。増幅のための好ましい方法は、PCRである。「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特異的DNAセグメントのin vitroの酵素的増幅のための迅速な手法である。増幅されるDNAを、サンプルを加熱することによって、変性させる。本発明では、この変性ステップは、好ましくは、接続されたプローブのクランプセクションも変性されるようなものである。DNAポリメラーゼおよび過剰なデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下では、標的配列と特異的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドは、新しいDNA合成を開始する。1ラウンドの合成は、限定された長さの新規の鎖をもたらし、これは、親鎖のように、変性およびアニーリングすると、プライマーにハイブリッド形成できる。変性、アニーリング、および合成の第2サイクルにより、厳密にはプライマー末端間の長さの、好ましくはクランプセクションを欠いた、共に別々の二本鎖生成物を構成する、2つの一本鎖生成物が生成される。この別々の生成物は、増幅のそれぞれの連続するラウンドに伴って、指数的に蓄積する。約20〜30のサイクルの過程にわたって、この別々のフラグメントの何100万倍もの増幅を達成できる。PCRプロトコルは、当分野でよく知られており、標準の実験テキスト、例えばAusubelら、分子生物学のカレントプロトコル(非特許文献10)に記載されている。本発明の方法におけるPCRの用途に適した条件は、前記特許文献14およびVosら(非特許文献9)に記載されている。そこでは、70ヌクレオチドと700のヌクレオチドの間であり、同一のプライマー結合配列を含有する複数のDNAフラグメントは、1つのプライマー対を使用して、ほぼ等しい効率で増幅される。他の多重および/または等温増幅方法も適用できる。例えば、LCR、自立配列複製(3SR)、Q−β−レプリカーゼ仲介RNA増幅、ローリングサークル増幅(RCA)、または鎖置換増幅(SDA)を含めて、ある種の場合では、これは、プローブの非標的相補的セクションにおけるプライマー結合部位を、適切な(RNA)ポリメラーゼ結合部位に置き換える必要がある可能性がある。
【0077】
アンプリコン
用語「アンプリコン」は本明細書では、接続または連結されたプローブの増幅ステップの生成物を指す。したがって、用語アンプリコンは本明細書では、増幅された接続されたプローブを指す。2つの標的特異的セクションが、リガーゼによって接続されるライゲーションステップの後、接続または連結されたプローブを、1つまたは複数のプライマーおよびポリメラーゼと組み合わせて、増幅させることができる。連結されたプローブ、プライマー、ポリメラーゼ、および/または他のパラメータおよび変数は、増幅された連結された線状形成物(一般的にパドロックプローブの増幅に起因する)とは対照的に、増幅が、接続されたプローブの増幅された線状形成物という結果になるようなものである。本発明では、アンプリコンは、接続されたプローブの長さを好ましくは実質的に上回らない長さの線状オリゴヌクレオチドである。アンプリコンの最小長さは、最低でも2つの標的相補的セクションの長さの合計である。アンプリコンの長さは、好ましくは第1および第2のプローブの2つのクランプセクションによって提供される長さを引いた、接続されたプローブの長さに相当することが好ましい。アンプリコンの長さが、対応する第1および第2のプローブのライゲーションを暗示することが、より好ましい。好ましくは、アンプリコンは、増幅された接続されたプローブの単量体の形成物である。
【0078】
本発明の様々な実施形態は、この点について、さらなる詳細を提供する。
【0079】
選択的なプライマー
特定の好ましい実施形態では、本発明の増幅ステップに使用される1つまたは複数のプライマーは、選択的なプライマーである。選択的なプライマーは、本明細書では、第1のまたは第2のプローブのすべてまたは大部分に存在する、プライマー結合部位と相補的な汎用的な配列に加えて、好ましくはプローブ対の一部のみに存在する、いわゆる「選択的なヌクレオチド」を含む領域を含有するプライマーと定義される。選択的なヌクレオチドを含有する領域は、汎用プライマーの3’末端に位置する。
【0080】
選択的なヌクレオチドの原理は、特に、前記特許文献14、また、前記非特許文献9に開示されている。選択的なヌクレオチドは、プライマー配列と隣接して位置する(連結された)プローブ中のヌクレオチドと相補的である。選択的なヌクレオチドは通常、汎用プライマー配列として表される(連結された)プローブ中の領域の一部を成さない。選択的なヌクレオチドを含有するプライマーは、+Nプライマーと表される。ただし、Nは、プライマーの3’末端に存在する選択的なヌクレオチドの数を意味する。Nは、好ましくはA、C、T、またはGの中から選択される。
【0081】
Nはまた、様々なヌクレオチド代替物、すなわちACTG−ヌクレオチドの挙動に似ることが可能であるが、さらにそれに加えて他の特性(ACTG−ヌクレオチドと比較して向上したハイブリダイゼーション能力、またはハイブリダイゼーションに起因する二重鎖の安定性を改変する能力など)も有する化合物の中から選択できる。それらの例は、PNA、LNA、イノシンなどである。増幅が、2つのプライマーを使用するPCRを用いるなど、2つ以上のプライマーを用いて実施される場合、一方または両方のプライマーは、選択的なヌクレオチドを備えることができる。選択的なヌクレオチドの数は、変化し得る。種に応じて、あるいは当業者によって決定可能な他の事項に応じて、一般に、選択的なヌクレオチドの数は、多くて10、ただし、少なくとも5、好ましくは4、より好ましくは3、最も好ましくは2であり、特に好ましいものは1つの選択的なヌクレオチドである。
【0082】
したがって、+1プライマーは、1つの選択的なヌクレオチドを含有し、+2プライマーは、2つの選択的なヌクレオチドなどを含有する。選択的なヌクレオチド(すなわち従来のプライマー)を持たないプライマーは、+0プライマー(加えられる選択的なヌクレオチドが無い)として表すことができる。特定の選択的なヌクレオチドが加えられる場合、これは、+Aまたは+Cなどという概念によって表される。
【0083】
選択的なプライマーを用いて一対の(連結された)プローブを増幅することによって、(連結された)プローブの亜集団が得られる。ただし、この様式で選択的なプライマーを使用すると、一緒に選択的に増幅されると仮定されるプローブの所望の亜集団における適切な位置に、相補的塩基が組み込まれるという条件である。他の亜集団は、選択的なプライマーの他の組み合わせを使用して、任意選択で選択的に増幅させることができる。例えば、+1プライマーを使用すると、増幅された混合物の多重係数(multiplex factor)は、増幅以前の連結されたプローブの混合物と比較して4分の1に低下する。複数の選択的なヌクレオチドを有するプライマーを用いて、より高い低下を達成できる。すなわち、2つの選択的なヌクレオチドなどを用いて、元々の多重率(multiplex ratio)の16分の1の低下が得られ、プローブのうちの1つにおける選択的な塩基の異なる組み合わせによって、異なる亜集団もまた、提供することができる(例えば+2/+0および+0/+2)。
【0084】
ライゲーションの後で、選択的に増幅されるべきであるアッセイが開発される場合、プローブが、プライマー結合配列と隣接する相補的ヌクレオチドを含有することが好ましい。これにより、選択的に増幅されるべき連結されたプローブを、事前選択できるようになる。
【0085】
特定の亜集団のみが、その後、分析される必要があり、その結果、データポイントごとのライゲーション反応のさらなるコスト削減となるような、高い多重率(multiplex ratio)を有するライゲーションベースのアッセイを開発する場合、本発明における選択的なプライマーの使用が、好都合であることが判明した。隣接した選択的なヌクレオチドと共にプライマーを設計することによって、別々に増幅させるべきサンプルの特定の部分を、あらかじめ選択することができる。
【0086】
これが有用かつ好都合である例の1つは、微量のDNAのみを含有するサンプルの分析および/または異なる(株の)病原体の同定のための場合である。例えば、様々な株の炭疽菌(Bacillus anthracis)の検出を目的とするアッセイでは、各々の株に対して、典型的なプローブの対が設計される。本発明の方法のハイブリダイゼーションおよびライゲーションステップの後の連結されたプローブのこの対、またはそれを特徴付ける部分の有無の検出は、当該の株の同定となる可能性がある。特異的に設計されたプライマーを用いる選択的増幅(それぞれの選択的なプライマーは、特定の株に連結される)は、様々な株から得られる/様々な株の標的配列を選択的に増幅することができ、得られたアンプリコンを検出することによって、それらの同定が可能になる。例えば、+Aプライマーを用いる増幅は、選択的に、株Xを対象とする連結されたプローブを増幅し、+Gプライマーは、選択的に、株Yを対象とする連結されたプローブを増幅する。必要に応じて、例えば、少量のサンプルDNAの場合、+0のプライマーを用いる任意の第1の増幅は、連結されたプローブの量を増大させ、それによって、選択的増幅が容易になる。
【0087】
例えば、20ヌクレオチドの汎用プライマーは、その3’末端での1つの選択的なヌクレオチドの付加によって、選択的なプライマーになり、プライマーの全長は、ここでは21ヌクレオチドとなる。この点については図15も参照のこと。しかしプライマーの全長を一定に保つことが所望される場合、汎用プライマーは、3’末端で加えられる選択的なヌクレオチドの数だけ、その5’末端を短くすることができる。例えば、元々の汎用プライマーに対して、プライマー配列の3’末端に2つの選択的なヌクレオチドを付加することを、汎用プライマーの5’末端からの2つのヌクレオチドの欠如(または除去)と組み合わせることができる。したがって、20のヌクレオチドの汎用プライマーは、20のヌクレオチドの選択的なプライマーに置き換えられる。汎用プライマーに基づく選択的なプライマーの使用は、厳密性および温度などの増幅パラメータが、異なる選択的なプライマーと、増幅について本質的に同じままである、あるいは、わずかな程度でのみ変わる可能性があるという利点を有する。好ましくは、選択的増幅は、非選択的増幅と比較して増強された厳密性状態下で実施される。増強された厳密性とは、連結されたプローブにプライマーをアニーリングするための条件が、完全にマッチする選択的なプライマーのみが、増幅ステップに使用されるポリメラーゼによって延長されるようなものであることを意味する。完全にマッチするプライマーのみの特異的な増幅は、実際には、いわゆるタッチダウンPCRプロフィールの使用によって達成できる。ただし、プライマーアニーリングステップ中の温度は、完全にアニーリングされたプライマーを与えるために、例えば0.5℃ずつ、段階を追って低下させる。適切な厳密性条件は、例えば、AFLP増幅について、前記特許文献14に、また、前記非特許文献9に記載されている。当業者であれば、手引きに基づいて、本発明の要旨から逸脱することなく、自身の特定の必要性に適するように、厳密性条件を適合させる方法が分かるであろう。
【0088】
連結されたプローブの選択的増幅のさらなる利点の1つは、高い多重率を有するアッセイを、より低い多重率を好むまたは必要とする方法を用いる、あるいはこうしたプラットフォームでの検出に容易に適合させることができることである。
【0089】
検出
本発明のアンプリコンまたは接続されたプローブは、適切な検出プラットフォームで検出できる。異なる標的配列から得られるアンプリコン間または接続されたプローブ間の識別は、一次パラメータとしての長さ、配列、または質量に基づくことができる。(標識された)サンプルの検出は、検出データをもたらすための検出器によって実施される。検出器は当然、その分離が実施される一般的なシステム(長さ、質量、または配列あるいはそれらの組み合わせ)に依存するが、適用可能な場合、プライマー上に存在する標識(蛍光または放射性標識など)に依存することもある。
【0090】
適切な検出プラットフォームの例は、長さに基づく検出プラットフォーム、配列に基づく検出プラットフォーム、および質量に基づく検出プラットフォームである。
【0091】
長さに基づく検出
長さに基づく検出の多くの例のうちの1つは、電気泳動(キャピラリー電気泳動法、スラブゲル電気泳動、固定検出器(fixed detector)−連続ゲル−電気泳動)、好ましくはキャピラリー電気泳動法(Molecular Dynamics Amersham-Biosciencesから入手可能なMegaBACE装置で実施されるものなど)に基づく検出、または微小工学(例えばラボオンチップ(Lab−on−a−Chip)または他のマイクロ流体装置)を使用する検出である。検出されるアンプリコンの長さの差は、スタッファの使用によって提供できる。
【0092】
サンプル中のアンプリコンは、好ましくは電気泳動装置で分析される。電気泳動装置は、好ましくは、長さに基づいて、増幅されたサンプル中の異なるアンプリコンを分離し、その後、分離されたアンプリコンを、本明細書に記述する通りに検出できる。電気泳動装置は、好ましくは、複数のサンプルが、好ましくは並行して、複数のチャネルで電気泳動される、多チャネル装置である。電気泳動装置は、電気泳動にかけられる増幅されたサンプルの装填のための(チャネルごとの)適用位置、サンプル中のフラグメントが電気泳動によって移動する分離領域、また、好ましくは、適用位置から遠位の検出位置に位置する検出装置を備える。検出装置は通常、蛍光、リン光、または化学発光の検出のための光電子増倍管を含むこととなる。あるいは、ゲル電気泳動の場合、分離されたフラグメントは、例えば、オートラジオグラフィまたはフルオログラフィによって、ゲル内で検出できる。
【0093】
長さの識別
サンプルにおける異なる標的配列を識別するために、好ましくは、それぞれの対応するアンプリコンの長さの差が用いられる。長さに基づいてアンプリコンを分離することによって、サンプル中の対応する標的配列の存在を決定できる。したがって、本発明の好ましい実施形態では、サンプル中の異なる標的配列から得られるアンプリコン間の識別は、サンプルまたは増幅されたサンプル中の異なる標的配列に対応するそれぞれのアンプリコン間の長さの差に基づく。
【0094】
好ましくは、長さの差は、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ中のスタッファ配列(1つまたは複数)の長さによって提供される。本発明のペアのオリゴヌクレオチドプローブの少なくとも1つに、ただし好ましくはペアの両方のプローブに、あらかじめ定められた長さのスタッファを含めることによって、増幅されたサンプル中のそれぞれの増幅された接続されたプローブの長さを、得られるアンプリコンの長さの差に基づく十分な識別が可能になるように制御できる。本発明によるペアのプローブの好ましい実施形態では、スタッファは、標的配列と相補的なプローブのセクションと、プライマー結合配列との間に位置する。このように、スタッファの全長は、第1のプローブにおけるスタッファの長さと第2のプローブにおけるスタッファの長さとの組み合わせによって提供される。したがって、好ましい実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドプローブおよび第2のオリゴヌクレオチドプローブは、スタッファを含む。サンプル中の標的配列から得られるアンプリコン間の長さの区別は、好ましくは、アンプリコンが、その長さに基づいて区別できるように選択される。これは、スタッファ配列、あるいは電気泳動装置上で区別できる長さの差を共にもたらす、プローブのペアの第1および/または第2のプローブにおけるスタッファ配列の組み合わせを用いて達成される。したがって、分解能の観点から、そのスタッファによってもたらすことができるような、異なる増幅された接続されたプローブ間の長さの差は、可能な限り大きい。しかし、次のいくつかの他の重要な理由のため、上に示した通り、異なるアンプリコン間の長さの差は、好ましくは可能な限り小さい:(1)最高でも約100〜150塩基という、化学的に合成されたプローブの長さに関して実際に存在する上限;(2)より大きなフラグメント程、増幅が効率的でないこと;(3)大きな長さの変動を有するフラグメントの他と異なる増幅効率の可能性の増大;および(4)狭い長さの範囲のフラグメントを用いて最高になる、検出装置上の検出サンプルの複数回の注入の使用。スタッファによって、決定および提供されることとなる配列間の長さの差は、増幅される本質的にすべての接続されたプローブの間の識別を可能にするのに少なくとも十分であることが好ましい。定義上、化学的、酵素的、および生物学的核酸合成手法に基づくと、増幅されたサンプルにおける異なるアンプリコン間の最小限の使用可能なサイズ差は、1塩基であり、このサイズ差は、特に、より小さいサイズ範囲の、大部分の電気泳動装置の分解能に適合する。したがって、上で述べたことに基づくと、1塩基(対)だけ長さが異なる増幅産物を用いる多重アッセイを使用することが好ましい。好ましい実施形態では、増幅されるサンプル中の異なるアンプリコン間の長さの差は、少なくとも2ヌクレオチドである。本発明の特に好ましい実施例では、サンプル中の異なる標的配列に対応するアンプリコンは、2ヌクレオチド長さの差を有する。
【0095】
長さおよび標識
スループットは、複数の標識されたプライマーの使用によって増大させることができる。1つのサンプルにおける異なる標識の使用に関連する問題の1つは、クロストークまたは残留(residual)クロストークである。クロストークまたは残留クロストークは、本明細書では、異なる(蛍光)標識の発光スペクトル間の重複を指す。例えば、蛍光色素が使用される場合、各色素は、異なる発光(および吸収)スペクトルを有する。1つのサンプルにおける2つの色素の場合には、これらのスペクトルは、重なっている可能性があり、シグナルの撹乱を生じる可能性があり、これは、得られるデータの質を損なう。特に、サンプル中に検出される2つのヌクレオチドフラグメントが、異なる標識を用いて標識され、そのフラグメントのうちの片方が、大量に存在するのに対して、もう片方が、微量で存在する場合、ほんの微量でしか存在しないフラグメントの測定されるシグナルが、主に、同一のサイズの別のサンプルを用いるフラグメント中に多量に含有される、重複する発光スペクトルを有する別の標識の発光から得られるような、残留クロストークが生じる可能性がある。他の色素の相互の効果もまた、生じる可能性があるが、この例では、それぞれの色素で標識されたアンプリコン間の差が大きいので、その効果は、おそらくより小さい。
【0096】
非特許文献11は、単一の反応管内で、競合するアレルに異なる蛍光色素を付着させることにより、ある色素の発光最大が、他の色素の発光最小と本質的に一致するように、標識の組み合わせを選択することによって、アレルを識別することを試みた。しかし、ある色素が吸収極大を示す、ある種の波長では、特に、サンプルが複数の色素を含有する場合、サンプル中に存在する別の色素からのある種の残存する吸収も、常に存在する。
【0097】
多重分析へのこの手段は、スペクトル的に分析することができる色素が比較的少ないことによって、規模に関して制限されることが判明した。複数の色素を用いる主要な問題の1つは、異なる蛍光の標識の発光スペクトルが、しばしば重複することである。得られる生データシグナルは、クロストーク修正と呼ばれるプロセスによって、同時に検出される、別の蛍光色素で標識された、類似のサイズフラグメントの寄与に関して修正されなければならない。クロストーク修正は一般に、検出装置から得られる「生の」データ収集の後、両方の色素についての既知の理論上の吸収スペクトルに基づいて、数学的手段によって実施される。数学的修正は、理論上のスペクトルに基づくものであり、標識の発光スペクトルが、高感度であり、しばしば検出サンプルの組成によって影響を受けるということは無視している。こうした感受性は、発光の明るさおよび/または波長に影響を及ぼす可能性がある。これは、pH、温度、励起光強度、非共有結合的相互作用、塩濃度、およびイオン強度などのパラメータが、得られる発光スペクトルに強く影響を与えることを意味する。具体的には、サンプルに残存する塩の存在は、色素によって発せられる蛍光シグナルに影響を及ぼし、これは、その後また、注入効率にも影響を及ぼすので、動電学的注入を使用するキャピラリー電気泳動法による検出の場合には、危険な因子であることが知られている。したがって、スペクトル重複は、異なる蛍光色素を使用する多重検出の場合に、データの質にマイナスに衝撃を与える、潜在的な誤差の原因である。
【0098】
本発明は、この問題に解決法を提供し、その結果、データの質に有意に影響を及ぼすことなく、重なり合うスペクトルをもつ2つ(またはそれ以上)の標識を、同じサンプル中で使用できるようになる。長さの差と標識のあらかじめ定められた組み合わせによって、データの質が少なくとも一定のままで、サンプル中で検出できる標的ヌクレオチド配列の数の増加が達成される。本発明の好ましい実施形態では、2つの違うように標識された配列間のスペクトル重複部分は、2つの配列間の長さの差の導入によって減少する。この標識に関連する長さの差は、本明細書に記述する通りのスタッファ配列の長さによって提供できる。本発明の方法において同じサンプル中に使用できる異なる標識の数は、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、好ましくは少なくとも4である。標識の最大数は、大部分の適用について、一般的に本来のシグナルの15パーセント未満までの量、本来のシグナルの好ましくは10パーセント未満、好ましくは5パーセント未満、最も好ましくは1パーセント未満の、許容されるままである最小のスペクトル重複によって、機能的に制限される。
【0099】
異なるサンプルが、重複する発光スペクトルをもつ複数の蛍光色素で標識され、同一の長さを有するフラグメントが、同じ実行で同時に検出される場合に、データの質に対する残存するクロストークの潜在的な影響を避けるために、特定の好ましい実施形態では、アンプリコンが、複数のセット内で少なくとも2塩基対だけ異なり、重なり合うスペクトルを有する異なる色素を用いて標識される複数のセット間で単一塩基対だけ異なるように、スタッファ配列を選択することが好ましい。そうすることによって、フラグメントサイズと標識色素の固有の組み合わせが定義されるので、それぞれの色素を用いて標識されるフラグメントの長さは、データの質に対する残存するクロストークの潜在的な影響が回避されるように選択できる。
【0100】
本発明の特定の好ましい実施形態は、多数の標的配列から、アンプリコンを含むサンプルが得られるような方法を対象とする。これらのアンプリコンは、違うように標識され、それによって、同じ標識を持つアンプリコンの群が明確になる。各群内では、スタッファによって、少なくとも2、好ましくは2ヌクレオチドの長さの差が提供された。スペクトルが重複する標識をもつ2つの群の間では、スタッファによって、1ヌクレオチドの長さの差が提供され、効率的に、上で述べた通りの、偶数のヌクレオチドを有する1つの群および奇数のヌクレオチドを有する1つの群がもたらされる。
【0101】
一態様では、本発明は、サンプル中の標的配列の向上された識別および検出のための方法であって、少なくとも2つまたはそれ以上の群のオリゴヌクレオチドプローブを提供することを含む方法に関する。ただし、異なる群のオリゴヌクレオチドプローブを用いて得られるアンプリコンは、異なる標識を有し、実質的に、群内のそれぞれの増幅された接続されたプローブは、同じ標識を有し、全く同じに標識されたアンプリコンの群内では、その群内のそれぞれの全く同じに標識されたプローブの間に、長さの差が提供され、第1群と第2の群との間に、さらなる長さの差が提供され、その結果、増幅されたサンプル中のそれぞれの増幅された接続されたプローブが、配列および標識の長さの組み合わせによって、特徴付けられるようになる。
【0102】
本発明の方法の好ましい実施形態では、少なくとも2つの群の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブの対が、サンプルに提供される。ただし、それぞれの群のオリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも1つの群に特異的なプライマー結合部位を備えるタグ配列を有する。それぞれの群の接続されたプローブは、第1のプライマーおよび第2のプライマーのうちの少なくとも一つが、群に特異的なプライマー結合部位と相補的であるようなプライマー対から増幅される。ただし、群の第1のプライマーおよび第2のプライマーのうちの少なくとも一つは、群に特異的な標識を含む。それぞれの群において、サンプル内の標的配列に対応するアンプリコンは、サンプル内の異なる標的配列に対応するアンプリコンとは長さが異なる。群特異的な標識は、好ましくは、検出装置によって異なる群特異的な標識を区別できるようなものである。長さの差は、好ましくはスタッファ配列の長さによってもたらされる。好ましくは、本発明の方法のこの実施形態では、群の第1部分は、偶数のヌクレオチドを有するアンプリコンを有し、群の第2部分は、奇数のヌクレオチドを有するアンプリコンを有する。好ましくは、偶数のヌクレオチドを有するアンプリコンの群および奇数のヌクレオチドを有するアンプリコンの群は、その発光スペクトルにおける重複が最小である(蛍光)標識で標識される。したがって、各群が、奇数のヌクレオチドを有する増幅された接続されたプローブの2つの群は、その発光スペクトルにおける重複が最小である標識で標識される。同じことは、各群が、偶数のヌクレオチドを有する増幅された接続されたプローブの2つの群にも当てはまる。1つの群は、奇数のヌクレオチドを有し、もう1つの群は、偶数のヌクレオチドを有する増幅された接続されたプローブの2つの群は、その発光スペクトルにおける重複がより大きい標識で標識される。本明細書では、「その発光スペクトルにおける重複が最小」および「その発光スペクトルにおける重複がより大きい」の相対的な概念は、本発明で使用するために、そこから標識の選択を行うことができる一群の標識を指す。この標識の群は、本明細書で前に開示したものなどの他の因子に使用される検出プラットフォームに応じて変わる可能性がある。この方法の特に好ましい実施例では、偶数のヌクレオチドを有する第1および第2の群のアンプリコンが生成され、奇数のヌクレオチドを有する第3および第4の群の接続された増幅されたプローブが生成される。ただし、第1群および第2群はそれぞれ、FAMおよびNEDで標識され、第3群および第4群はそれぞれ、(ET−)ROX、およびJOEまたはHEXのいずれかで標識され、あるいはその逆も同じであり、第1群および第2群はそれぞれ、(ET−)ROX、およびJOEまたはHEXのいずれかで標識され、第3群および第4群はそれぞれ、FAMおよびNEDで標識される。したがって、これらの実施形態では、蛍光標識は、共に移動(co-migrate)するアンプリコンの群が、これらは両方とも、ヌクレオチドが偶数または奇数であるフラグメントを含有するので、その発光スペクトルにおける重複が最小である標識を有し、それによって、異なる群におけるアンプリコンの検出において、可能な限りクロストークが回避されるように選択される(以下も参照のこと)。
【0103】
したがって、クロストークを回避する好ましい実施形態では、一連のアンプリコンを分析する場合、データの質に対するスペクトル重複部分の影響が、重なり合う発光スペクトルを有する色素で標識されるアンプリコン間の長さの差によって回避されるように、長さの差を、異なる標識と組み合わせることが望ましい。
【0104】
各サンプル中の各標的配列から得られる接続されたプローブは、長さが、かつ/または標識が、好ましくは長さと標識の組み合わせが、サンプル中の他のいかなる接続されたプローブとも異なることが好ましい。異なる長さのアンプリコンを十分に分離させるために、2つの異なる接続されたプローブ間の長さの差は、少なくとも2ヌクレオチド、好ましくは2ヌクレオチドであることが好ましい。多型性を検出する場合、多型性の2つまたはそれ以上の(SNP)アレル間の長さの差は、多くて2であることが好ましく、それによって、増幅の効率が、異なるアレル間または同じ多型性の形の間で類似であることが確実になる。これは、両方のアレルが同じペアのプライマーを用いて増幅されることが好ましく、したがって、同じ色素で標識されることとなることを意味する。
【0105】
好ましい実施形態では、多数の遺伝子座の異なるアレルの検出を対象とする例について、群内の奇数/偶数の長さの分布は、以下のようにして設計できる。2遺伝子座L1、L2は、L1についてA11、A12、L2についてA21、A22という2つのアレルによって、それぞれ表される。様々なアレル(またはアレルに相当する連結および増幅されたプローブ)の長さは、以下のようなものである:A11>A12>A21>A22、A12−A11=2、A22−A21=2、A12−A21=3。そのスペクトルにおいて重複を有する可能性がある標識を有する群G1およびG2との間には、1ヌクレオチドの長さの差が存在し得る。したがって、G1(A11)−G2(A11)=1であり、したがって、これらの群は、偶数または奇数の長さで始まる。
【0106】
この分布は、本明細書で開示するより高密度に詰め込まれた分布と比較して、ある種の重要な利点を有する。立体配置的な差が原因で、同一の長さの異なる配列は通常、その電気泳動移動度が異なることが知られている。長さ1ヌクレオチドの差のみが存在する場合、配列が非常に様々な移動度のものであるならば、これは、ピーク間の重複を生じる可能性がある。例えば、1つの遺伝子座の2つのアレル(A11、A12)間の移動度の差は、別の遺伝子座由来の2つのアレル(A12、A21)間の移動度の差よりも小さい。これにより、A12とA21との間の移動度に有意差が存在する場合、検出が信頼できないものとなる可能性がある。本明細書で開示する通りの長さ分布を作成することによって、これは回避できる。その後、より小さいスループットを、検出の信頼性に対して比較考量する。
【0107】
異なる標識のスペクトル間の重複の問題は、その後適切に回避される。これを、下記表1のテーブルAに模式的に表す。
【0108】
【表1】

【0109】
本発明の実施形態では、ある群内のアンプリコンの間に、2および3ヌクレオチド(交互)の長さの差(すなわち0、2、5、7、10、12など)が提供される。その場合、他の群は、1、3、6、8、11、13などの長さの差を有する。本明細書で開示される情報に基づいて、当業者であれば、範囲内で長さの差を変化させる他の方法を決定できる。
【0110】
複数の注入
多重のサンプルのハイスループット方法に到達するために、多くのサンプルを同様に処理し、それによって、多数の増幅された検出サンプルを産生し、これを、少なくとも標識および/または長さの差を検出することが可能である多チャネル装置上でその後分析することができる。適切な装置は、本明細書で上に記載されている。
【0111】
電気泳動的プラットフォームでのスループットを増大するために、本出願に記載されており、複数の注入として一般にも記載されているような方法が開発されている。同じ電気泳動的マトリックスに、かつ/または短い連続的な運転に、別々の、所定の長さのフラグメントを含有する複数のサンプルを注入することによって、スループットを増大させることができる。すべての検出可能なフラグメントは、好ましくは特定の範囲内の長さであり、1つのサンプル中では、限られた数のフラグメントのみを検出することができ、したがって、増幅ステップにおける接続されたプローブの亜集団の選択によって多重率を低下させるという選択的増幅の利点により、アンプリコンの亜集団がもたらされる。
【0112】
本発明の方法は、それぞれが2つ以上の異なる標的核酸を含有する、2つまたはそれ以上の核酸サンプルに対して実施することができ、2つまたはそれ以上の増幅されたサンプルが生じ、その中で、接続および増幅されたプローブの有無が分析される。
【0113】
本発明の方法に従う、増幅されたサンプルの多重分析は、増幅されたサンプルの少なくとも一部を、その後の分離および検出のための電気泳動装置に適用することを含む。好ましくはこうした増幅されたサンプルは、標的配列が、提供されたオリゴヌクレオチドプローブとハイブリッド形成していること、また、それらのプローブが、相補的な標的配列上で隣接してアニーリングされ、その結果、それらがそこで接続された、すなわち連結されたことの指標である、増幅された接続されたプローブを含有する、あるいは少なくとも、含有すると推測される。その後、増幅されたサンプルは、選択された時間の間、分離ステップにかけられ、その後、増幅されたサンプルは、提出される。
【0114】
本発明の方法では、2つ以上の異なる増幅されたサンプル(の一部)を、電気泳動装置の同じチャネルに連続的に適用させる。電気泳動条件に応じて、2つ(またはそれ以上)の連続的に適用される増幅されたサンプルの間の間隔は、増幅されたサンプル中の最も遅い移動度の増幅された接続されたプローブが、検出位置で検出され、その後に、その後適用される増幅されたサンプルの最も早い移動度の増幅された接続されたプローブが、検出位置で検出されるようにする。したがって、装置の1つのチャネルへのその後の複数の注入の間の時間的間隔は、分離後の連続的に適用されたサンプルが、検出の位置で重ならないように選択される。
【0115】
本発明による方法は、キャピラリー電気泳動装置などの多チャネル電気泳動装置のチャネルへの、サンプル中の標的配列に対応する増幅された接続されたプローブを含む、増幅されたサンプルの連続的な注入によって、それぞれが多数の異なる標的配列を含む、多数のサンプルのハイスループット分析を可能にする。本発明による方法は、多数のチャネル上の多数のサンプル中の多数の標的配列の分析を可能にし、それによって、ヌクレオチド配列の分析のための従来方法と比較して、一定の時間で分析できるサンプルの組数のスループットは有意に増大される。この方法は、別のサイズ範囲である検出対象となるアンプリコンを含有するサンプルから恩恵を受ける。それによって、別のサイズ範囲内ではない検出対象となる配列を含有するサンプルが使用されない方法と比較して、連続する注入の間の時間を有意に減少させることができるからである。
【0116】
時間を選択することによって、分離後に連続的に適用されたサンプルが、検出ポイントで、接続されたプローブの重複を有することが妨げられる。選択される時間は、i).増幅された接続されたプローブの長さ;ii).増幅された接続されたプローブの長さの変動;およびiii).検出装置およびその操作条件によって影響を受ける。1つのチャネルにおける複数のサンプルの連続的な電気泳動分離、および/または複数のチャネルにわたる複数のサンプルの同時解析、および/または連続的に実施される複数のチャネルにわたる複数のサンプルの同時解析を、好ましくは同時に可能にするために、同じチャネル内に、サンプルを適用し、適用されたサンプルを連続的に分離することが、1つまたは複数のチャネル内で繰り返し実施することができる。
【0117】
2つの連続的に装填される増幅されたサンプルの間の期間は、方法を実行する前に、実験に基づいて決定できる。この期間は、増幅されたサンプルの特性、特に、増幅されたサンプル中の最も短い増幅された接続されたプローブと最も長いものとの間の長さの差、ならびに、ゲル(マトリックス)および/または緩衝液濃度、イオン強度などの他の実験因子を考慮して、増幅されたサンプル中のフラグメントが、サンプルが適用される適用位置の反対側(遠位)に位置する検出位置で、サンプル中の異なる増幅された接続されたプローブが、個々に検出できるような程度に分離されるように選択される。最後の増幅されたサンプルを適用した後、分離は、最後のサンプルの増幅された接続されたプローブが分離および検出されるまで、さらなる期間続けることができる。2つの連続的なサンプルの適用の間の選択された期間と任意のさらなる時間の組み合わせは、連続的に適用されるサンプルにおける異なる増幅された接続されたプローブが、検出位置で分離され、その結果、単一のサンプル内の異なる増幅された接続されたプローブの間に存在する、制限された長さの変化にもかかわらず、それらが、個々に検出できるように選択される。したがって、長さを変化させたフラグメントを含有するサンプルが、電気泳動装置上に連続的に適用される(注入された)場合の、移動度パターンの重なり合いは、予防される。
【0118】
本発明による方法を使用すると、連続的にサンプルを適用する、装填する、あるいは注入することは、原則として可能であり、かつ好ましい。好ましくは、装置は、自動的にこうした動作を実施する(例えば、プログラム可能なコンピュータにより制御される)ことが可能である。多チャネル装置は、こうした動作に適している、あるいは、緩衝液、部品他の交換などのメンテナンス無しで、長く動作するための装備を少なくとも有することが好ましい。しかし実際には、通常、このようになるとは限らない。最終のサンプルが提出される場合、通常、さらなる時間、最終のサンプルの最後のフラグメントが検出されるまで分離を続ける必要がある。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のペアの第1と第2両方のオリゴヌクレオチドプローブ中に存在するスタッファが使用され、増幅された接続されたプローブ間の長さの差(すなわち0〜500ヌクレオチド、塩基、または塩基対)が提供される。増幅された接続されたプローブの全長および長さの変化は、これらのフラグメントが分析される技術によって、主に制限される。本発明のハイスループット複数注入法では、増幅されたサンプルにおける増幅された接続されたプローブの長さの範囲は、通常の(キャピラリー)電気泳動プラットフォームについては、下限が40、60、80、または100、上限が120、140、160、または180のヌクレオチド、塩基、または塩基対であることが好ましい。増幅された接続されたプローブの長さの範囲は、100ヌクレオチドから140ヌクレオチドまで変動することが特に好ましい。しかし、これらの数は、現在知られている技術の現在の限界に強く関連がある。本発明により提供される知識に基づいて、当業者は、他の状況が適合する場合、これらのパラメータを適合させることが可能である。
【0120】
多重増幅の信頼性は、増幅された接続されたプローブの長さの変化を制限することによって、さらに向上される。より効率的に複数の注入を使用するために、増幅された接続されたプローブの長さの変化の制限は好ましく、より大きな接続されたプローブを用いる競争的な増幅反応では、より小さい増幅された接続されたプローブの優先的な増幅はさらに減少される。これは、本発明のハイスループット法の信頼性を向上させる。本明細書で開示するものとしての複数の注入プロトコルと共に、これらの計測は、単独または組み合わせで、従来技術と比較した場合のスループットの有意な増加を提供する。ハイスループット能力のさらなる改良は、サンプル中の異なる増幅された接続されたプローブの数を制限することによって得られる。複数の注入プロトコルの導入と組み合わせて、ライゲーション/増幅ステップの多重能力を制限することは、より効率的かつ経済的であると考えられる。最も好都合な本発明の態様の1つは、プローブの革新的な対の組み合わせ、多重ライゲーション、好ましくは単一のプライマー対を用いるあるいは複数のプライマー対(それぞれが、複数の接続されたプローブを増幅する)を用いる多重増幅、ライゲーションステップと増幅ステップと間の多重率に柔軟性を与える選択的なプライミングと任意選択で組み合わせた、異なる標識の繰り返し注入および多重検出にある。さらなる好都合な本発明の態様の1つは、1つのサンプル内の各接続されたプローブ、したがって各標的配列が、長さと標識の固有の組み合わせによって特徴付けられるような、長さの差と、別の(重なり合う)標識との組み合わされた適用にある。これにより、標的配列の分析の効率がかなり改良され、分析される各標的のための経費がかなり減少される。
【0121】
複数の注入プロトコルは、様々な方法で実施できる。これらの方法の1つは、同じマトリックスへの2つまたはそれ以上のサンプルの複数の装填である。これは、連続的な短時間運転を実施し、それによって、効率およびスループットを増大させることによって、マトリックスが再利用されるのと同じくらい好都合であると考えられる。別の方法は、同じ運転中の同じマトリックスへの2つまたはそれ以上のサンプルの複数回の装填である。短い連続的な運転を実施することによって、マトリックスを再利用することが好ましい。この実施形態では、第1のサンプルは、注入され、分離される。最後のフラグメントが検出されるとすぐに、次のサンプルが、装填される。好ましくは、これらの2つの連続的な短時間運転の間には、マトリックスは、置き換えられず、運転が同じマトリックスで実施される。これは、さらなる効率、および(存在する必要のあるマトリックスのより少ない変化としての)向上された経済的な側面を提供し、この種の分析の消耗品(すなわち緩衝液など)の量を減少させ、データポイントあたりのコストを減少させた。さらに、時間を浪費するマトリックスの交換は、大部分は回避することができ、この方法の効率はさらに増大する。
【0122】
本来、複数回の装填または複数回の注入のある種の態様は、特に、特許文献36および特許文献37に記載されていた。後者の刊行物は、時間間隔をあけた複数の注入を使用する、小分子化合物のスループットが増大された分析のための装置および方法を開示している。この刊行物は、1ヌクレオチドだけ延長されたプライマーを含むサンプル(単一のヌクレオチドプライマー伸長すなわちSnuPE、別名ミニシークエンシング(minisequencing))が、キャピラリー電気泳動法装置上で時間間隔をあけた複数の注入を用いて検出される可能性があることを開示している。ミニシークエンシングは、すでに増幅された標的配列に相補的プライマーをアニーリングすることに基づく。別々に提供された標識されたヌクレオチドを用いるプライマーのその後の伸張によって、プライマーに隣接するヌクレオチドが同定される。主に、プライマー伸長生成物は、一定の長さのものである。スループットを増大させるために、運転ごとに同じ長さの伸張生成物を連続して注入するという使用が提案される。さらにスループットを増大させるために、一般的に15から25ヌクレオチドまで変動する、異なる長さのプライマーを使用できる。対照的に、本発明は、一般的に50ヌクレオチドと150ヌクレオチドの間の長さで変動する多重増幅産物それ自体を、直接分析することを意図する。上で概説した通り、これは、ミニシークエンシングまたはSnuPEよりかなり経済的である。これは、ミニシークエンシングまたはSnuPE増幅が、各標的配列に対して個々に実施されるのに対して、複数の標的配列が、単一の反応で増幅されるためである。さらに、異なる長さでありかつ標的配列と相補的であるプライマーの使用は、本発明の方法に必要とされるその後の増幅ステップの効率を損なう。
【0123】
本発明の有効性は、以下の通りに説明できる。96のチャネルを有し、同時に4つの標識を検出することが可能なキャピラリー電気泳動装置が使用される場合、本発明の方法を使用して、注入と注入の間の、経験的に最適化された最小の選択された時間を用いて、連続12本の注入/運転/チャネルが可能になり、関心が持たれている20の標的配列を含有するサンプルでは、96(チャネル)×12(注入)×20(標的)×4(標識)= 92160標的配列のハイスループット検出が可能になる。共優性の(co-dominant)SNP−検出の場合、46080のSNPに関するデータを、一度の運転で検出することができる。
【0124】
サイズラダー
サンプルは、知られている長さの1つまたは複数のヌクレオチドフラグメントを含むヌクレオチドフラグメントサイズ標準と共に提供できる。ヌクレオチドサイズ標準を調製および使用する方法は、当分野でよく知られている(例えば、前記非特許文献4を参照のこと)。こうしたサイズ標準は、サンプル中のアンプリコンの適切なサイジングのための、したがって、検出フラグメントの適当な同定のための基準をなす。サイズ標準は、あらゆるサンプルと共に、かつ/またはあらゆる注入と共に好ましくは提供される。サイズ標準は、好ましくは様々な(好ましくは分析される長さの完全な領域にわたる)長さを含有する。本発明の特定の実施態様では、好都合には、(そこからアンプリコンのサイズが、補間法によって得られる)隣接するサイズ標準を加えることが考えられる。補間法を可能にし、かつサンプルへのさらなる長さの変化の導入を最小にするために、フランキングサイズ標準は、そのうちの1つが、好ましくは、最も短い増幅された接続されたプローブよりも長さが少なくとも1塩基短いものであり、1つが、好ましくは最も長い増幅された接続されたプローブよりも最少1塩基長いものである、少なくとも2つの標識されたオリゴヌクレオチド配列を含む、サイズ標準である。好ましい隣接するサイズ標準は、最も短い増幅された接続されたプローブよりも1ヌクレオチド短いヌクレオチド、および最も長い増幅された接続されたプローブよりも最少1塩基長く、かつサンプル中に含有されるアンプリコンを標識するために使用される標識と同一である少なくとも1つの色素で標識されるものを含有する。
【0125】
適切なサイズ標準を組み立てる好都合な方法は、適切な標識で末端標識した適切な長さのオリゴヌクレオチドの、カスタムメイドの化学合成によるものである。サイズ標準は、あらゆる連続的に適用されるサンプルと共に適用され、装填されたサンプルフラグメントの大きさを決定するための局所的なサイズ基準として働く。サイズ標準は、分析されるべきサンプルとして、すなわちサンプルと共に、電気泳動装置の同じチャネルまたはレーンに適用することもできるし、あるいは多チャネル/レーン装置のパラレルチャネルまたはレーンに適用することもできる。隣接するサイズ標準は、この方法に使用される標識のうちのいずれかで標識できる。サイズ標準が装置の同じチャネルに適用される場合、標準のフラグメントは、サンプル中のアンプリコンの検出のために使用される標識と区別できる標識で、好ましくは標識される。
【0126】
配列に基づく検出
配列に基づく検出プラットフォームの例は、固相および液相マイクロアレイである。好ましくは、プローブが、(ZIP配列などの)非反復配列を含有する独自にアドレス可能なアレイが使用され、それによって、連結された(および増幅されたプローブ)が、相補的ZIP配列が位置する(cZIP)アレイ上の所定のスポットにハイブリッド形成することとなる。アレイに基づく検出方法は、今日では当たり前であり、この技術は、広く流布しており、当業者は、本発明のプローブの連結されたペアの検出のための適切なアレイを作成することが可能である。
【0127】
質量に基づく検出
質量に基づくプラットフォームの例は、MALDI−TOFである。検出される検体は、それぞれ異なる質量を有する。これは、例えば、プローブ(の1つ)内に、制限部位を含むスタッファ配列を組み込むことによって達成できる。連結されたプローブが検出の前(任意選択で増幅の後)に制限される場合、サンプル中の標的配列の有無に関連する異なる質量をそれぞれ有する一連のフラグメント/オリゴヌクレオチドが得られる。
【0128】
質量に基づく検出を使用する本発明の一実施形態は、核酸サンプル中の標的配列の有無を決定するための方法に関する。ただし、標的配列の有無は、分子量に基づく検出法と組み合わせた、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイにより決定され、また、サンプル中の各標的配列は、スタッファによって代表され、標的配列の検出は、前記スタッファを含んでいるフラグメントの存在の有無に基づく。
【0129】
好ましい本発明の態様は、核酸サンプルにおいて少なくとも1つの標的配列(2)の有無を決定するための方法であって、以下のステップを含む方法に関する:
核酸サンプルに、サンプル中で検出されるべき各標的配列に対する、本発明による一対の第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブを提供するステップ(ただし、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、その5’末端に標的配列の第1部分と相補的なセクションを有し、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、その3’末端に標的配列の第2部分と相補的なセクションを有する。ただし、標的配列の第1部分と第2の部分は、好ましくは互いに隣接して位置する。また、第1および第2のオリゴヌクレオチドプローブの1つまたは複数は、1つまたは複数のプライマー結合配列および1つまたは複数のスタッファおよび制限酵素のための制限部位をさらに含む。ただし、制限部位は、プライマー結合部位と、標的配列の第1または第2の部分と相補的なオリゴヌクレオチドプローブのセクションとの間に位置し、スタッファは、制限部位とプライマー結合部位との間に位置する。また、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、第2のオリゴヌクレオチドプローブの第2のクランプセクションとハイブリッド形成することが可能な、第1のクランプセクションを含み、第2のオリゴヌクレオチドプローブは、第1のオリゴヌクレオチドプローブの第1のクランプセクションとハイブリッド形成することが可能な、第2のクランプセクションを含む。);
前記オリゴヌクレオチドプローブを、標的配列の隣接した部分にアニーリングさせるステップ(ただし、第1と第2のオリゴヌクレオチドプローブの相補的セクションは、隣接している);
標的配列に隣接してアニーリングされた第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブを接続させるための手段を提供し、隣接してアニーリングされた第1のオリゴヌクレオチドプローブと第2のオリゴヌクレオチドプローブの相補的セクションを接続させ、サンプル中の標的配列に対応する接続されたプローブを生成するステップ;
プライマー対により、接続されたプローブを増幅させて、増幅された接続されたプローブを含む増幅されたサンプルを生成するステップ;
制限酵素を用いて、増幅された接続されたプローブを消化し、検出可能なフラグメントを生成するステップ;
分子量に基づく検出法によって、検出可能なフラグメントの有無を検出することによって、標的配列の有無を検出するステップ。
【0130】
ステップ(e)では、増幅された接続されたプローブは、切断または切除される。増幅された接続されたプローブの切断は、再生可能な切断または切除ヌクレオチド鎖が得られる限り、当技術分野で知られた任意の適切な手段によって達成できる。この点について、「再生可能な」は、切断または切除のための手段が、増幅された接続されたプローブの配列中の同じ位置でヌクレオチド配列を切るという優先傾向を指す。増幅された接続されたプローブを切断するための手段は、化学的または酵素的なものであり得るが、好ましくは酵素的なもの(制限酵素など)である。好ましい制限酵素は、制限エンドヌクレアーゼである。増幅された接続されたプローブは、好ましくは、プローブのうちの1つのタグ中に提供された制限部位で、制限酵素によって切断される。増幅された接続されたプローブを切断することにより、制限ステップから得られる両方の鎖の末端ヌクレオチドが塩基対である平滑末端、または、制限ステップから得られる末端の片方が突出し、(短い)一本鎖の伸張が与えられている付着末端が生じる。好ましくは、制限部位は、配列特異的な制限エンドヌクレアーゼにより認識される。原則として、それが再生可能な切除をもたらす限り、当技術分野で知られたいずれの制限エンドヌクレアーゼも使用できる、サンプル中の増幅された接続されたプローブを切断することによって、検出可能なフラグメントがもたらされる。
【0131】
制限エンドヌクレアーゼ自体は、当技術分野で広く知られている。適切な制限酵素は、4、5、6、7、または8、あるいはそれ以上のヌクレオチドの認識配列を有することができる。好ましくは、制限エンドヌクレアーゼは、レアカッター(すなわち、4ヌクレオチドを超える認識配列を有する)である。好ましくは、制限酵素は、II型酵素またはIIs型酵素である。好ましい制限酵素は、EcoRI、HindIII、BamHIである。他の好ましい制限酵素は、6−カッター制限酵素、好ましくは比較的廉価な6−カッターである。
【0132】
ステップ(e)における増幅された接続されたプローブを、例えば制限エンドヌクレアーゼで消化することにより、(スタッファ配列を含む)検出可能なフラグメントおよび接続されたプローブの残り(廃棄(waste)フラグメント)がもたらされる。廃棄フラグメントは、連結された相補的セクションを含む。制限エンドヌクレアーゼを用いて消化することにより、二本鎖である検出可能なフラグメントがもたらされる。検出可能なフラグメントおよび廃棄フラグメントは、2つの鎖からなり、1つは、トップストランドと呼ばれ、もう1つはボトムストランドと呼ばれる。検出可能なフラグメントを変性処理にかけ、別個のボトムストランドとトップストランドを提供できる。ボトムストランドは、トップストランドと本質的に相補的である、すなわち、トップストランドとボトムストランドのヌクレオチド配列の最も大きな部分は、本質的に本明細書で先に記述した通りの、付着または粘着末端の部分であるヌクレオチドを除いて、相補的である、トップストランドまたはボトムストランド、あるいは、トップストランドとボトムストランドの両方は、検出可能である。
【0133】
検出は、検出可能なフラグメントの有無の検出に基づくものである。検出可能なフラグメントの検出は、好ましくは、増幅されたサンプル中の増幅された接続されたプローブ、したがって、核酸サンプル中の標的ヌクレオチド配列の有無を示す。好ましくは、検出は、検出可能なフラグメントのトップおよび/またはボトムストランドの検出に基づく。トップストランドに加えてボトムストランドを検出することは、標的配列の有無の直接の確認が2倍に(in duplo)得られるという利点を有する。
【0134】
検出は、消化されたサンプル上で直接実施されることができるが、検出の前に、検出可能なフラグメントが、消化された増幅された接続されたプローブから、単離される、精製される、あるいは分離されることが好ましい。検出可能なフラグメントは、スピンカラム精製、逆相精製などの当技術分野で知られた手段によって、好ましくは、磁気ビーズ、プローブスティックなどの適切なキャリアと組み合わせたアフィニティーラベリング技術(ビオチン−ストレプトアビジンの組み合わせなど)によって、消化された増幅された接続されたプローブから、単離、精製、または分離できる。単離、精製、または分離はまた、トップおよび/またはボトムストランドに対する変性処理の後で実施することもできる。
【0135】
検出可能なフラグメントは、好ましくは、アフィニティ標識を用いて標識される。アフィニティ標識は、好ましくは、制限部位、または消化の後の残りの制限部位から遠位に位置する、検出可能なフラグメントの最も遠い末端に位置する。検出可能なフラグメントのトップストランドおよび/またはボトムストランドは、アフィニティ標識を備えることができる。アフィニティ標識およびスタッファ配列を含むのは、好ましくはボトムストランドである。トップストランドという概念は通常、トップストランドのヌクレオチド配列が、スタッファ、制限部位、およびプライマー結合部位を含むタグの部分に、少なくとも部分的に相当する、すなわち、トップストランドは、プローブのそれと本質的に同一であるヌクレオチド配列を含有することを示すために使用される。ボトムストランドは、トップストランドと相補的な鎖であり、トップストランド中のプライマー結合部位と相補的なプライマー(そのプライマーはアフィニティ標識を好ましくは備えている)の伸張によって、第1のラウンドの増幅後に得られる。したがって、ボトムストランドは、プライマーの片方のヌクレオチド配列に相当する配列を含有する。特定の好ましい実施形態では、ボトムストランドは、アフィニティ標識を備えている。好ましくは、ボトムストランドは、変性した検出可能なフラグメントを含むサンプルから、好ましくはアフィニティ標識により単離され、好ましくは、質量分析を使用して検出されるのは、ボトムストランドである。したがって、ボトムストランドの検出によって、対応する標的ヌクレオチド鎖の有無に関する情報が提供される。
【0136】
アフィニティ標識は、消化された増幅された接続されたプローブの混合物からの、トップおよび/またはボトムストランドの単離のために使用できる。アフィニティ標識としては、ビオチン−ストレプトアビジンの組み合わせが好ましい。その後、分子量に基づく検出技術を使用して、アフィニティ標識されたトップストランド、ボトムストランド、または検出可能なフラグメントを検出できる。
【0137】
本明細書では、アフィニティ標識という用語はまた、タグのヌクレオチド配列と実際のアフィニティ標識との間に位置するいわゆる「リンカー」(ある種の分子量を有する)を介して連結されるアフィニティ標識を包含する。
【0138】
別の実施形態では、アフィニティ標識が、制限部位−スタッファの組み合わせを含まないタグ中に提供される。これにより、消化ステップの前に、増幅された接続されたプローブの単離が可能になる。得られる混合物は、制限および任意の変性の後で、質量分析を使用して直接分析できる。検出可能なフラグメント、あるいはトップまたはボトムストランドの質量は、知られている、あるいは、少なくとも算出できるので、廃棄フラグメント(すなわち消化された増幅された接続されたプローブの残り)は、検出可能なフラグメントとしての検出を有意に損なわず、トップストランドとボトムストランドは両方とも、既知の別々の質量範囲内である。
【0139】
分子量に基づく検出技術は、例えば質量分析、より具体的には、オリゴヌクレオチドなどの大きな分子の検出に非常に適した質量分析技術である。これらの技術の例は、マトリックス促進型の(matrix assisted)援レーザ脱離/電離time−of−flight(MALDI−TOF)、HPLC−MS、GC−MS他である。一般に、分子量に基づく検出技術は、提出されるサンプルが一本鎖の形のオリゴヌクレオチドを含有することを好む。検出可能なフラグメントが二本鎖オリゴヌクレオチドとして単離された場合には、検出可能なフラグメントは、当技術分野で知られた技術を使用して、例えば、トップおよび/またはボトムストランドとして本明細書で述べるものなどの一本鎖オリゴヌクレオチドを生ずるために、好ましくは変性させられる。
【0140】
制限エンドヌクレアーゼを用いる消化の後、得られた検出可能なフラグメントは、好ましくは、スタッファ、制限部位の残り、およびプライマー結合部位を含む。任意選択で、アフィニティ標識を、任意選択でリンカーを介して、トップおよび/またはボトムストランドに付着させることができる。したがって、検出される質量は、プライマー結合部位、スタッファ、制限部位の残り、ならびに任意のアフィニティ標識および任意のリンカーの分子量の合計である。
【0141】
核酸サンプル中の異なる標的配列を区別するために、検出可能なフラグメントは、サンプル中のある標的配列に対応する検出可能なフラグメントが、サンプル中の別の標的配列に対応する検出可能なフラグメントと質量が異なるように設計される。したがって、複数の標的配列を含むサンプルは、(ライゲーション、増幅および消化の後)複数の検出可能なフラグメント(それぞれ質量が異なる検出可能なフラグメント)を含む。各トップおよびボトムストランドにおける検出可能なフラグメントを変性させると、様々なトップストランドは、それぞれ異なる質量を有する。同様に、様々なボトムストランドも、それぞれ異なる質量を有する。好ましくは、2つの異なる検出可能なフラグメント間の(したがって、それぞれ2つのトップまたはボトムストランド間の)質量差は、スタッファの質量に差によって与えられる。
【0142】
トップストランドまたはボトムストランドは、定常セクションおよび可変セクションを含むと考えることができる。定常セクションは、プライマー結合部位、(任意のリンカーを含めて)任意のアフィニティ標識、および制限部位の残りを含む。可変セクションは、スタッファを含む。定常セクションは、1つのサンプル内で恒常的であり、一定の質量である。可変セクションは、好ましくは、サンプル中の異なる標的ヌクレオチドに相当するストランド間に質量の差を与える。
【0143】
本発明の一実施形態では、検出可能なフラグメント(および、したがって)オリゴヌクレオチドプローブは、定常セクションの質量も変動するように設計される。これにより、質量スペクトル内に複数の領域が作成される。各領域は下限および上限を有し、それによって、ウインドウを定義することとなる。ウインドウの下限は、定常配列の質量によって定められる。異なる定常配列を用いて、異なる領域を、定義することができる。好ましくは、これらの領域は、重複しない。1つの領域内では、検出されるべきオリゴヌクレオチド間の質量差は、本明細書で先に記述した通り、本質的にスタッファ間の質量差によってもたらされる。領域の上限は、少なくとも、領域の下限と最も大きな質量を有するスタッファとの合計である。例えば、2つの定常セクションは、それぞれ、6489ダルトンおよび8214ダルトンの質量を有する。最高2ヌクレオチドのスタッファ配列は、(スタッファの欠如(したがって質量0)を含めて)15の異なる組み合わせ(それぞれ、0から642(AGまたはGA)までの範囲の異なる分子量をもつ)を提供する。これは、2つの領域、すなわち、6489ダルトンから7131ダルトンまでの範囲のものと、8214のダルトンから8856ダルトンまでのある領域を与える。これは、本発明の多重能力を増加させる。これはまた、質量分析の前にサンプルをプールさせる。両方とも、本発明のハイスループット能力を増大させることとなる。
【0144】
本発明のプローブに使用することができ、あらゆる検出可能なフラグメント、したがって、サンプル中のトップストランドまたはボトムストランドに固有の質量を与えることが可能であるスタッファを設計するために、スタッファは、好ましくは以下の要件を満たさなければならない:i)増幅ステップ中のポリメラーゼのずれを回避するための、限られた数の同一の連続的な塩基;ii)制限酵素のための内部でない認識部位;iii)十分な分解能を確実にする最小限の質量差;iv)例えば、例として分子内ハイブリダイゼーションに起因する、ライゲーションプローブの他の部分とのヘアピンの形成。
【0145】
本発明の使用に適したスタッファは、所定の長さまでのすべての可能なスタッファ配列を計算し、かつ上で列挙した基準(i〜iv)を満たす方法を使用して設計できる。この方法は、コンピュータ上のコンピュータプログラムを使用して実施できる。この方法は、それ自体、発明とみなすことができる。コンピュータプログラムは、別々のデータキャリア(例えばディスケットなど)上に提供できる。この方法は、上限の長さのスタッファ配列を与えることから開始する。その後、この方法により、ヌクレオチド配列のすべての可能な順列が算出され、排除および選択のプロセスを介して、上に列挙した通りの基準i〜iiiを適用する。許容できる連続的な塩基の数は、別に提供することもできるし、予め定められていてもよい。制限酵素のための認識部位は、制限酵素の認識配列の存在が他に許容されるどうかに応じて、別のインプットとして与えることもできるが、制限酵素のための既知の認識部位のデータベースから得ることもできる。最小限の質量差はまた、別々のインプットとして、または予め定められたパラメータとして提供できる。ヘアピンの形成は、Primer Designer バージョン2.0(copyright 1990、1991、Scientific and Educational software)などの、標準のPCR−プライマー選択プログラムを用いて確認できる。得られるスタッファ配列は、適した形式で、例えばデータキャリア上で、使用者に示される。
【0146】
本発明による方法は、多数の標的配列の分析を可能にし、それによって、分析されるサンプルの組数のスループットは有意に増大される。「スループット」は、本明細書では、時間の単位あたりに分析できるサンプルおよび標的配列の数を示す相対的なパラメータを定義する。
【0147】
プール(Pooling)
この技術の変形では、複数の個人の出発(DNA)材料は、検出装置に装填される、この材料を含有する検出サンプルが、より少なくなるように、プールされる。これは、目的が、開始サンプルの特定のプール(例えば、特定の特徴について異なるフェノタイプを有する個人から得られる出発材料のプール)に特異的な増幅された接続されたプローブ(SNPアレルに相当するものなど)を同定することである場合、連鎖不平衡(LDマッピング)の場合に好都合であり得る。
【0148】
応用
本発明の一態様は、様々な応用におけるこの方法の使用に関する。本発明による方法の応用は、それだけには限らないが、遺伝子タイピング、転写産物プロファイリング、遺伝的マッピング、遺伝子発見、マーカー補助型の選択、種子品質管理、ハイブリッド選択、QTLマッピング、BSA(bulked segregant analysis)、DNAフィンガープリント法、およびマイクロサテライト分析などの技術に見いだされる。別の態様は、標的核酸配列の定量的存在度の同時のハイスループット検出に関する。この手法は、Bulk Segregant Analysis(BSA)として一般に知られている。
【0149】
単一ヌクレオチド多型の検出
本発明による方法のある特定の好ましい応用は、単一ヌクレオチド多型(SNP)の検出に見いだされる。本発明による第1のオリゴヌクレオチドプローブのペアは、好ましくは多型の部位、すなわち単一の多型のヌクレオチドに隣接して位置する標的配列の部分に相補的な部分を含む。本発明による第2のオリゴヌクレオチドプローブのペアは、その末端塩基が、多型の部位に位置する、すなわち、単一の多型のヌクレオチドに相補的であるように、標的配列の部分に相補的である。この末端塩基が、標的配列における多型の部位で本発明のヌクレオチドに相補的な場合、これは、標的配列にアニーリングすることとなり、2つのプローブのライゲーションをもたらすこととなる。末端−ヌクレオチド、すなわち、アレル特異的なヌクレオチドが、マッチしない場合、ライゲーションは起こらない、あるいは低レベルのライゲーションのみが起こることとなり、多型性は、検出されないままである。
【0150】
サンプル中の標的配列の1つが、単一ヌクレオチド多型(SNP)から得られる、あるいは、そのアレルに対する特異的なプローブに加えて、これを含有する場合、そのアレルの同定を可能にするだけでなく、SNPの可能なアレルの各々の同定も可能にするさらなるプローブを提供できる(共優性のスコアリング)。このために、プローブのタイプの組み合わせを、提供できる:関係があるすべてのアレルに対して同じである、あるタイプのプローブ、および可能なアレルの各々に対して特異的な1つまたは複数の他のタイプのプローブ。この1つまたは複数の他のタイプのプローブは、同じ相補配列を含有するが、各々が、好ましくはその末端に、特異的なアレルに相当するヌクレオチドを含有するという点で異なる。アレル特異的なプローブは、予測される異なるアレルの数に相当する数で提供できる。その結果として、1つのSNPは、あるタイプのプローブと、4つの他のタイプの(アレル特異的な)プローブとの組み合わせによって、特徴付けることができ、アレル特異的なプローブに、異なる長さ(好ましい)または異なる標識のスタッファ配列を組み込むことによって、4つの理論的に可能なアレルすべて(A、T、C、およびGの中の1つ)が同定される。
【0151】
好ましくは、単一ヌクレオチド多型の同定を対象とする、特定の実施形態では、本発明による第1のオリゴヌクレオチドプローブのペアは、多型の部位を含有しない標的配列の部分を対象とし、本発明による第2のオリゴヌクレオチドプローブのペアは、好ましくはプライマー結合配列から遠位の末端に、関心が持たれている多型の部位に相補的な1つまたは複数のヌクレオチドを含有する。隣接するプローブのライゲーションの後、接続されたプローブは、単一ヌクレオチド多型のアレルの1つに対して特異的である。第1のオリゴヌクレオチドプローブに含有されるスタッファ配列は、分析される遺伝子座の指標であることが好ましい。第2のプローブに含有したスタッファ配列は、多型の部位に相補的なヌクレオチドの指標であることが好ましい。
【0152】
標的配列中の多型部位のアレルを同定するために、一対のオリゴヌクレオチドプローブを提供できる。ただし、1つの第1のプローブ、および、1つまたは複数の第2のプローブが提供される(この場合、プローブのペアは、2つを超えるプローブを含有できる)。そして、第2のプローブはそれぞれ、相補配列の末端、好ましくは3’末端に、既知の長さのスタッファと組み合わせて、特異的なヌクレオチドを含有する。例えば、A/C多型性の場合には、第2のプローブは、長さ2ヌクレオチドのスタッファと組み合わせて、特異的なヌクレオチドTを含有できる。この多型性に対する別の第2のプローブは、長さ0のスタッファと、特異的なヌクレオチドGを併せ持つ。プライマーとプローブの相補的部分は、好ましくは同じ長さであるので、これによって、得られる増幅された接続されたプローブの長さの差2ヌクレオチドがもたらされる。多型の部位の4つの理論的に可能なヌクレオチドすべての存在および/または欠如が所望される場合には、スタッファ特異的なヌクレオチドの組み合わせを、適宜適合させることができる。この実施形態では、遺伝子座特異的な情報が第1のプローブにおけるスタッファの長さに結びつけられ、多型の部位のアレル特異的な情報は、第2のスタッファの長さに結びつけられると考えることができる。そして、2つのスタッファの合わせられた長さは、遺伝子座−アレルの組み合わせの指標であると考えられる。同じペアの増幅プライマー(したがって、標識)を用いて、あるいは、重なり合う発光スペクトルを有する標識を有する複数のペアの増幅プライマーを用いて増幅された、複数の標的配列を含有するサンプルでは、合わせられたスタッファの長さは、すべての接続されたプローブが、固有の長さのものであるように選択される。好ましい実施形態では、この原理は、遺伝子座あたり少なくとも2つのアレルを用いて少なくとも10の遺伝子座に応用することができる。各プローブ中に1つの、2つのスタッファを使用するさらなる利点は、第1のプローブ(すなわち遺伝子座特異的なプローブ)に大部分の長さのスタッファのを組み込むことによって、アレル特異的なプローブは、より短いまま、すなわちアレル特異的なプローブ間の識別に十分な塩基の最小数であることができ経費が節約されることである。アレル特異的なプローブへの完全なスタッファ配列の組み込みは、大部分のスタッファ配列の2回の合成を必要とするであろう。
【0153】
特異的な標的配列の検出
標的配列は、ゲノムから得られる既知のヌクレオチド配列を含有する。こうした配列は、多型性を必ずしも含有するというわけではないが、例えば、遺伝子、プロモーター、遺伝子移入セグメント、または導入遺伝子に対して特異的である、あるいは産生特徴、耐病性、収量、雑種強勢に関する情報を含有し、ヒト、動物および植物における腫瘍または他の疾患および/または遺伝子機能を示す。このために、第1のプローブおよび第2のプローブの相補的部分は、所望の情報に関連する、ゲノム中の好ましくは固有の標的配列に相当するように設計される。標的配列中の相補的部分は、互いに隣接して位置される。所望の標的配列がサンプル中に存在する場合には、2つのプローブは、隣接してアニーリングし、ライゲーションおよび増幅後に検出できる。
【0154】
AFLPマーカーの検出
AFLP、その適用および技術は、前記非特許文献9に、また、前記特許文献14および特許文献38に記載されている(すべて参照により本明細書に組み込む)。AFLP、その利点、その実施形態、その技術、酵素、アダプター、プライマーおよびさらなる化合物、ツールおよび使用される定義のさらなる説明のために、AFLPに関して上に言及される刊行物の関連する一節に明確に言及がなされている。AFLPおよびその関連する技術は、例えば特異的な遺伝マーカー(いわゆるAFLP−マーカー)の同定のための強力なDNAフィンガープリント技術であり、ある種の遺伝子または遺伝形質の存在を示すことができる、あるいは、一般に、既知の起源または制限パターンのDNA、cDNA、またはRNAサンプルを比較するために使用できる。AFLP−マーカーは一般に、分析されるヌクレオチド配列中の多型の部位の存在と関係する。こうした多型性は、選択的なヌクレオチドにおいて、例えばインデルまたは置換の形で、制限部位に、あるいは例えばインデルまたは置換の形で、制限フラグメント(の残り)に存在できる。一旦AFLPマーカー自体が同定されると、多型性に関連するAFLP−マーカーを、同定することができ、本発明のライゲーションアッセイで使用するために、プローブを開発できる。
【0155】
別の態様では、本発明は、標的配列の一部とハイブリッド形成することが可能な部分、クランプセクションとして機能することが可能な部分を含み、好ましくはさらに、プライマー結合配列および/またはスタッファを含む核酸プローブに関する。本発明はまた、好ましくは2つまたはそれ以上のプローブを含む一対のプローブに関する。ただし、各プローブは、標的配列の一部と相補的な部分を含み、それらのプローブの相補的部分は、標的配列上に本質的に隣接して位置される。また、各プローブは、スタッファをさらに含み、そのスタッファは、相補的な部分およびスタッファに本質的に隣接して位置するプライマー結合配列の本質的に隣に位置する。また、各プローブは、クランプセクションをさらに含み、そのクランプセクションは、プローブのペアにおいて、少なくとも1つの他のプローブ中の相補的クランプセクションとハイブリッド形成することが可能である。
【0156】
本発明は、さらなる態様では、少なくとも1つのヌクレオチド配列の分析における、好ましくは単一ヌクレオチド多型の検出における、一対のプローブの使用に関する。ただし、この対は、既知のSNPアレルと相補的なヌクレオチドを含有する少なくとも1つのさらなるプローブをさらに含む。好ましくは、この対は、特異的な単一ヌクレオチド多型の各アレルに対するプローブを含む。一対のプローブの使用は、単一ヌクレオチド多型のハイスループット検出のための方法においては、さらに好ましい。ただし、第1のプローブにおける第1のスタッファの長さは、単一ヌクレオチド多型の遺伝子座に特異的であり、第2のプローブにおける第2のスタッファの長さまたは存在は、単一ヌクレオチド多型のアレルに特異的である。
【0157】
本発明の別の態様は、プライマー、より具体的には第1のプライマーと1つまたは複数の第2のプライマーを含むプライマーのペアに関する。ただし、各第2のプライマーは、標識を含有し、かつ、第2のプライマーは、前記標識に特異的なヌクレオチド配列を含む。
【0158】
本発明はまた、キットの形の実施形態を提供する。本発明によるキットは、例えば、この方法の使用に適したプローブ(のペア)を含むキット、ならびにプライマーを含むキットであり、さらに、プライマーとプローブを含む組み合わせキット(好ましくは、すべて、酵素緩衝液その他が適切に備え付けられている)が、本発明によって提供される。
【0159】
本発明はまた、少なくとも1つのサンプルにおける標的配列の有無の検出または測定における、本発明による一対のプローブまたは2つまたはそれ以上のペアのプローブの使用に関する。
【実施例1】
【0160】
生体材料およびDNA単離の説明
DNAを、本質的に知られている方法、例えば本質的に前記特許文献14に記載されている通りの方法を使用して、4本のホモのトマト系統の葉材料から単離し、1X TE(1mM EDTAを含有する10mM Tris−HCl pH 8.0)溶液に保管した。濃度は、標準的方法を使用して、分光光度計(MERK)で、UV測定によって決定し、1X TEを使用して100ng/μlに調整した。
【実施例2】
【0161】
SNPの同定
選択されたSNPを、同定し、下記表4のテーブル1にまとめて示す。
【実施例3】
【0162】
オリゴヌクレオチドライゲーション反応のためのオリゴヌクレオチドパドロックプローブ設計
実施例2に述べたSNP遺伝子座の各々に対するSNPアレルを識別するための環状のオリゴヌクレオチドパドロックプローブ(5’−3’方向)を選択した。全てのプローブは、5’末端でリン酸化させる。配列は、表2にまとめて示す。
【実施例4】
【0163】
オリゴヌクレオチド結合反応のためのオリゴヌクレオチドKeylockプローブ設計
実施例2に述べたSNP遺伝子座の各々に対するSNPアレルを識別するための線状のKeylockプローブ(5’−3’方向)を選択した。PCR結合領域には、下線を引き、スタッファ配列には、二重下線を引き、クランプセクションは、太字で印刷してある。リバースプライマーを、5’末端でリン酸化させる:pまたはpHは、リン酸化を示す。配列は、表3にまとめて示す。
【実施例5】
【0164】
PCR増幅プライマーの設計
PCR増幅のために使用されるプライマーの片方の配列は、実施例3および4に述べたライゲーションプローブに組み込まれるPCRプライマー結合領域と相補的であった。第2のPCRプライマーの配列は、プローブのPCRプライマー結合領域と適合していた。通常、フォワードプライマーは、標識される。オリゴヌクレオチドの濃度は、50ng/μlに調整された。5’−3’方向のプライマーの配列を、下記表2のテーブル4に表す。
【0165】
【表2】

【実施例6】
【0166】
ライゲーションおよび増幅
ホモのトマト系統の4つのサンプル(サンプル1〜4)(実施例1)を、20のパドロックプローブ(遺伝子座あたり2プローブ)または30のKeylockプローブ(遺伝子座あたり3プローブ)の混合物を使用する多重の(multiplex)オリゴヌクレオチドライゲーション反応にかけた。使用された条件は、1x Taq DNAリガーゼ緩衝液(NEB)、0.2U/μl Taq DNAリガーゼ、および0.05fmol/μlの各プローブ(10μlの体積)であった。ライゲーションは、以下のサイクリング条件を用いて、サーモサイクラー(Perkin Elmer)中で実施した:94℃で2分+10*(94℃で15秒+60℃で60分)+4℃(継続的に)。ライゲーション後、10μlのライゲーション産物を、30μl 1x Taq DNAリガーゼ緩衝液で希釈した。希釈されたライゲーション反応物の10μlを使用して、標識されたE00kプライマーを、M00kと組み合わせて用いるPCRを実施した。E00kプライマーは、MegaBACE上での検出を可能にするために、JOEで標識された。PCRに使用される条件は、20μlの PCR反応物中、10μlの希釈されたライゲーション生成物に対して、30ngの標識されたE00kプライマーおよび30ngのM00kプライマー、1x Accuprime緩衝液I、0.4μl Accuprimeポリメラーゼ(インビトロジェン)であった。PCRは、以下のサイクリング条件を用いて、サーモサイクラー中で実施した:94℃で2分+35*(94℃15秒+56℃30秒+68℃60秒)+4℃(継続的に)。PCR産物は、セファデックス50を使用して精製し、MQで80倍に希釈した。希釈されたPCR産物を、MegaBACE上で分析した。この結果を、図2に示す。
【0167】
緩衝液組成:
1x Taq DNAリガーゼ緩衝液
20mM Tris−HCl
25mM酢酸カリウム
10mM酢酸マグネシウム
10mM DTT
1mM NAD
0.1%トリトンX−100
(25℃でpH7.6)
1xAccuPrime Taq DNAポリメラーゼ緩衝液
20mM Tris−HCl(pH8.4)
50mM KCl
1.5 mM MgCl
0.2 mM dGTP、dATP、dTTP、およびdCTP
耐熱性のAccuPrime(商標)タンパク質
10% グリセロール。
【実施例7】
【0168】
増幅された接続されたプローブの精製および希釈
MegaBACE 1000キャピラリーシークエンシング機器を使用する検出の場合には、PCR反応混合物の脱塩および精製は、以下の手法を使用して、96ウェル形式で実施された:
【0169】
A.96ウェルSephadex精製プレートの調製
Dry Sephadex TM G−50スーパーファイン(Amersham Pharmacia Biotech、Uppsala、Sweden)を、以下の通りに、45マイクロリットルのカラムローダーを使用して(Millipore Corporation)、96ウェルプレート(MultiScreen(登録商標)−HV、Millipore Corporation、Bedford、MA、USA)のウェルに装填した:
a)Sephadex G−50スーパーファインを、カラムローダーに加えた。
b)過剰なSephadexを、スクレーパーを用いてカラムローダーの上部から取り除いた。
c)Multiscreen−HVプレートを、カラムローダー(Column Loader)の上にさかさまに置いた。
d)Multiscreen−HVプレートおよびカラムローダーを、両方とも逆にした。
e)Sephadex G−50を、カラムローダー上部、または側面を軽くたたくことによって、放出(release)させた。
f)次に、Sephadex G−50を、膨張させ、以下の通りにすすいだ:
g)多チャネル分注器を使用して、200μlのミリQ水を、ウェルごとに加えた。
h)遠心機調整フレームを、標準の96ウェルマイクロプレートの上に置き、Multiscreen−HVプレートを、上に置き、ミニカラムを、900gで5分間の遠心分離によって充填した。
i)96ウェルプレートを、空にして後ろに置いた。
j)ステップ5〜7を、一回繰り返した。
k)200μlのミリQ水を、各ウェルに加え、セファデックスG−50を膨張させ、2〜3時間保温した。時として、このステージでは、膨張したSephadex G−50スーパーファインのミニカラムを備えるするMultiscreen−HVプレートを、パラフィルムでしっかりと密閉し、その後の使用まで、4℃の冷蔵庫で保管した。
l)遠心機調整フレームを、標準の96ウェルマイクロプレートの上に置き、Multiscreen−HVプレートを、組み立てたもの(assembly)の上に置き、ミニカラムを、900gで5分間の遠心分離によって充填した。
m)96ウェルマイクロプレートを取り除いた。
n)増幅された接続されたプローブを含有する混合物を、各ウェルの中心に、慎重に加えた。
o)遠心機調整フレームを使用して、Multiscreen−HVプレートを、新たな標準のU底マイクロタイタープレート上に置き、900gで5分間、遠心分離を実施した。
p)標準の96ウェルプレート(1ウェルあたり約25μl)中の溶出液は、精製された生成物を含有する。
【0170】
B.精製された生成物の希釈
精製されたサンプルを、注入する前に、ミリQ水で25〜75倍に希釈した。
【実施例8】
【0171】
MegaBACE上のキャピラリー電気泳動
サンプルの調製:
ET−900 Roxサイズ標準(Amersham Biosciences)の800倍の希釈を、水で行った。8μlの希釈されたET−900 Roxを、2μlの精製されたサンプルに加えた。運転の前に、サイジング標準を含有するサンプルを、94℃で1分間のインキュベーションによって、熱変性させ、その後、氷上に置いた。
【0172】
MegaBACE上での検出:
MegaBACEキャピラリーを、製造者の説明書に従って、1X LPAマトリックス(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ、USA)で充填した。サンプルの動電学的注入のためのパラメータは、以下の通りだった:3kVで45秒。運転パラメータは、10kVで110分であった。運転後、20001017に構築されたGenetic Profiler software、バージョン1.0(Molecular Dynamics、Sunnyvale,CA、USA)を使用して、クロストーク補正、ピークのスムージングおよびクロストーク補正を実施し、電気泳動図を作成した。
【実施例9】
【0173】
Keylockプローブのクランプセクションの機能および特異性
クランプ配列を含有する、末端に蛍光基を含有する線状Keylockプローブ(5’−3’)を、実施例2に述べたSNP遺伝子座34および39のために設計し、ロックされたクランプの特異的な形成が、リアルタイムPCR装置によって記録できるFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)の存在に基づくことを実験に基づいて実証した。この手法に隠された基本原理は、クランプが形成される場合、フォワードおよびリバースKeylockプローブの各クランプセクションに付着したドナーおよびアクセプターフルオロフォアが、近接している場合に、FRETが起こり、ドナーからアクセプターフルオロフォアにFRETがもたらされ、これが記録されるということである。
【0174】
反対に、Keylockプローブがそのそれぞれのクランプセクションで結合されない場合、こうしたエネルギー転移は、起こらず、アクセプター色素から観察される蛍光シグナルは無い(またはより小さい)。
【0175】
SNP遺伝子座34のフルオロフォア標識されたフォワードプローブは、その3’末端でメチルレッドで標識される。{配列番号67}。このプローブは、Keylock FRETプローブ1と呼ばれる。SNP遺伝子座34の(Aアレルの)リバースKeylockプローブは、その5’末端でHEXで標識される。{配列番号63}。このプローブは、Keylock FRETプローブ1Aと呼ばれる。
【0176】
SNP遺伝子座34の(Gアレルの)リバースKeylockプローブは、その5’末端でHEXで標識される。{配列番号64}。このプローブは、Keylock FRETプローブ1Bと呼ばれる。SNP遺伝子座39のフルオロフォア標識されたフォワードプローブは、その3’末端でMethyl Redで標識される。{配列番号68}。このプローブは、Keylock FRETプローブ2と呼ばれる。SNP遺伝子座39の(Tアレルの)リバースKeylockプローブは、その5’末端でHEXで標識される。{配列番号65}。このプローブは、Keylock FRETプローブ2Aと呼ばれる。
【0177】
SNP遺伝子座39の(Gアレルの)リバースKeylockプローブは、その5’末端でHEXで標識される。{配列番号66}。このプローブは、Keylock FRETプローブ2Bと呼ばれる。
【0178】
以下の表3に示すプローブが使用された:
【0179】
【表3】

【0180】
等モル量のKeylock FRETプローブ(1および1A)または(1および1B)を混合し、これらを、実施例6に述べるハイブリダイゼーション条件にかけることにより、クランプのハイブリダイゼーションが起こるかどうか、また、もし起こるならば、どの温度で起こるかどうかのモニタリングが可能になる。
【0181】
同様に、等モル量のKeylock FRETプローブ(2および2A)または(2および2B)を混合し、これらを、実施例6に述べるハイブリダイゼーション条件にかけることにより、クランプのハイブリダイゼーションが起こるかどうか、また、もし起こるならば、どの温度で起こるかどうかのモニタリングが可能になる。
【0182】
反対に、等モル量のKeylock FRETプローブ1+2Aまたは1+2Bを混合することにより、遺伝子座34または39に特異的なKeylockプローブが産生されることは期待されない。そのクランプセクションの特異的なハイブリダイゼーションが起こることが予測されないからである。Keylock FRETプローブの組み合わせ2+1Aまたは2+1Bにも、これらが等モル量で混合され、実施例6に述べるハイブリダイゼーション条件にかけられる場合、同じことが当てはまる。
【0183】
図3は、2サイクルの繰り返される変性およびハイブリダイゼーションからなる、上述の組み合わせのプローブについて予測されるアクセプターフルオロフォアHEXの予測される蛍光強度プロフィールを示す。
【0184】
この実験は、検出器、ABI PRISM 7700リアルタイム検出器の検出感度要件を満たすために、フォワードおよびリバースKeylockプローブの濃度を、0.05fmol/μlではなく1.0pmol/μlに増大させるという唯一の例外点を除いて、実施例6に述べた条件に従って実施した。この濃度の差は、クランプハイブリダイゼーションの効率に影響する可能性があるが、その特異性にもクランプ形成が起こる温度にも影響を及ぼす可能性はおそらくない。
【0185】
図5は、Keylockプローブ(1bおよび2b)の5’HEX標識されたアレル特異的な部分を、Keylockプローブ(1および2)の3’メチルレッド標識された遺伝子座特異的な部分と混合させる実験を説明する。クランプが形成される場合、メチルレッドは、HEX標識に近接し、556nmでその発光は消光する。クランプは、1bと1の間および2bと2の間で形成されるはずであり、1bと2の間または2bと1の間ではない。HEX発光は、各温度段階の終わりで、wavelength bin 11における生のシグナルを使用する、ABI PRISM(商標) 7700 Sequence Detectorを用いて、50μlの1μM オリゴ溶液中で測定した。発光は、以下のプロフィールの最後の2サイクルにおいて、HEX標識されたオリゴを別々に測定する場合に、得られる発光の割合として示される:2’ 94℃、10*[15” 94℃;60’ 60℃]、11*[15” 94℃;30” 90℃;30” 85℃;30” 80℃;30” 75℃;30” 70℃;30” 65℃;15”から50’15”(サイクルごとに5’増加60℃]それに続いて25℃で保持。
【0186】
図5は、マッチするプローブペア1+1B(図5A)および2+2B(図5B)のクランプ形成の特異性を明らかに示すが、マッチしないプローブペア1B+2(図5A)または2B+1(図5B)の間のクランプ形成の特異性は示さない。さらに、図5では、クランプ形成の開始は、クランプの高い融解温度に合わせて、90℃前後で起こり、サーモサイクリングプロセスにおける70〜75℃前後で完了することが示される。
【実施例10】
【0187】
パドロックとKeylockプローブの比較
ライゲーションアッセイにおけるKeylockプローブの性能を、パドロック−プローブの性能と比較するために、4つの異なるSNP(A、B、C、D)を選択し、それぞれに対して、パドロックプローブおよびKeylockプローブを設計した。Keylock−プローブは、パドロックプローブ(Metabion)と同じ会社から提供された。各アレルについて、少なくとも1つの陽性のスコアが得られるように、4つのトマト系統から得られるよく知られたSNPの選択が行われた。100ngのゲノムDNAおよび0.5fmolの各アレル特異的プローブを用いて得られる結果を、図2に示す。パドロックプローブが使用される場合のコンカテマーの形成は、160および240bpではっきりと見られる(長さ80のパドロックプローブのコンカテマー)。Keylockプローブが使用される場合、コンカテマーは無い。
【実施例11】
【0188】
Cleavase手法を使用するKeylockプローブ。
【0189】
cleavase−ライゲーション手法の実現可能性を証明するために、表3のリバースプローブ、(Keylock番号:02W661、02W662、02W663、02W664、02W665、02W666、02W667、02W668、02W669、02W670)を、配列「CACAC」を有するさらなる領域を用いて、その5’末端で延長させた。延長されたプローブを、上記表3のフォワードプローブと組み合わせ、酵素(リガーゼおよびCleavase(Third Wave Inc.から得られ、1マイクロリットルと10マイクロリットル間の量で、そのままで使用される)が加えられるハイブリダイゼーションおよびライゲーションプロトコルにかけた。得られた混合物を、以下のサイクリング条件で、サーモサイクラー(Perkin Elmer)中で保温する:94℃4分+60℃240分+4℃(継続的に)。その後、この混合物を、実施例6で述べた通りの条件下で増幅させる。予測される生成物、すなわち、延長されていない表3のリバースプローブを用いて得られる結果に相当する長さをもつ連結されたプローブが提供され、cleavase段階およびライゲーション段階は、成功したことが示され、この方法が機能することが示された。実験は、酵素(の組み合わせ)無しで実施された。これらの実験によって、どちらの酵素も、連結されたプローブとなるために、このプローブタイプに必要であることが実証された。
【0190】
【表4】

【0191】
【表5】

【0192】
【表6】

【0193】
【表7】

【0194】
【表8】

【0195】
【表9】

【0196】
【表10】

【0197】
【表11】

【0198】
【表12】

【0199】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】Keylockプローブの構造および機能の概略図。プローブ(P1、P2)はそれぞれ、標的配列(D)のセクション(S1、S2)に相補的な標的特異的なセクション(T1、T2)を含有する。プローブはそれぞれ、互いにハイブリッド形成することが可能なクランプセクション(C1、C2)を含有する。プローブはそれぞれ、プライマーとハイブリッド形成することが可能なプライマー結合セクション(B1、B2)を含有する。プローブは、標的配列に対してハイブリッド形成させることができる。プローブが標的配列上に隣接してハイブリッド形成される場合、プローブは、リガーゼを用いて連結できる。クランプは、変性させることができ、その後、プライマーを、接続されたプローブにアニーリングさせることができ、接続されたプローブを、例えばPCRまたは別の適した増幅技術を使用して、増幅または増大させることができる。増幅の後、連結かつ増幅されたプローブを検出できる。
【図2】パドロックアッセイとKeylockアッセイとの比較。トマト系統A、B、C、およびDを、同じ遺伝子座で設計された、10−plexペアのパドロック−プローブおよび10−plexペアのKeylock−プローブを用いて分析した。すべてのライゲーションは、100ngのゲノムDNAを含有していた。パドロックアッセイについては、0.5fmolの各プローブを使用し、Keylockアッセイについては、0.5fmolの各アレル特異的プローブおよび1fmolの各遺伝子座特異的プローブを使用した。MegaBACE traceの画像は、電気泳動図を偽ゲル(pseudo-gel)画像に転換させるSNPXtractorソフトウェア(Keygene N.V.)を用いて作成した。
【図3】Keylock FRETプローブの蛍光強度プロフィールの表示。プロフィール:94℃2分+10*(94℃15秒、60℃60分)+4分(継続)。クランプ形成は、約75℃で観察される。
【図4】(本発明のプローブに基づく)オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの模式的かつ一般化された表示。ただし、第1のプローブと第2のプローブが、標的配列にアニーリングされる場合、これらのプローブのうちの1つは、予測されるライゲーションの位置で、オーバーハングおよび/または重複(E)を含有する。オーバーハングは、非常に特異的な方式でこれらの開裂構造を切断する酵素を使用して除去できる。その後、ライゲーション、増幅、および検出を、従来の方式で続行できる。セクションIは、片方のプローブが、標的配列中の対応する位置のヌクレオチド(ここではTで表す)と相補的であるヌクレオチド(ここではAで表す)を含有する実施形態を示す。もう片方のプローブは、第1のマッチしない位置に、ヌクレオチド(ここではAで表す)を含有するオーバーハング(E)を含有する。ただし、マッチしない位置のヌクレオチドは、検出対象となる標的配列中のヌクレオチド(ここではTで表す)と相補的である。これによって、切断剤による開裂構造およびその後の切断の形成がもたらされる。生じた切断された構造は、連結させることができる。その後の増幅によって、サンプル中の標的配列の指標となる一連のアンプリコンが提供される。セクションIIは、セクションIと同様の実施形態を示すが、予測されるライゲーションの位置のプローブにおけるヌクレオチドが、標的配列とマッチしないという違いがある。オーバーハングにおける第1のマッチしない位置のヌクレオチドは、標的配列中のヌクレオチドとマッチする。開裂構造を形成することができ、オーバーハングを切断できる。しかし、たとえオーバーハングが切断されたとしても、プローブにミスマッチが存在するので、2つのプローブは、連結されず、ライゲーションは行われない。したがって、いずれの増幅も成功することはない。セクションIIIは、オーバーハングにおける第1のマッチしない位置のヌクレオチドが、標的配列中のヌクレオチドにマッチしない実施形態を示す。開裂構造は形成されず、オーバーハングも切断されることはない。ライゲーションも増幅も起こらない。
【図5】Keylockプローブ(1bおよび2b)の5’HEX標識されたアレル特異的な部分が、Keylockプローブ(1および2)の3’メチルレッド標識された遺伝子座特異的な部分と混合される実験を実証する。
【図6A】SNP特異的またはアレル特異的なオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの模式的かつ一般化された表示。ただし、アレル特異的なヌクレオチドが、さらなる(延長された)領域を含有するプローブに提供され、開裂構造が、i)調査対象となるSNPと隣接して位置する標的配列におけるヌクレオチド、ii)i)のヌクレオチドとハイブリッド形成するプローブのヌクレオチド、およびiii)さらなる(延長された)領域に位置し、プローブ中のアレル特異的なヌクレオチドに隣接するもう片方のプローブのヌクレオチドによって形成される。この実施形態では、開裂構造は、SNPに隣接して形成される。これによって、特異性が向上する。
【図6B】2つのアレル特異的またはSNP特異的なオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイの概略図。ただし、第1のアッセイでは、開裂構造は、Nと表される、調査対象となるSNPに隣接して位置するヌクレオチドによって形成され、第2のアッセイでは、開裂構造は、AまたはTと表される、調査対象となるSNPのヌクレオチドによって形成される。
【図7】一般のOLAアッセイに対する、すなわち、本発明の線状プローブ(1)、環化可能/パドロックプローブ(2)、および半環化可能/Keylockプローブ(3)を使用する場合の、図6Aおよび6Bの実施形態の一般的な適用性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)の第2のクランプセクション(C2)とハイブリッド形成することが可能な第1のクランプセクション(C1)と、検出される標的DNA配列(D)の第1のセクション(S1)とハイブリッド形成することが可能な第1の標的セクション(T1)とを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1);
b)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の前記第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクション(C2)と、検出される前記標的DNA配列(D)の第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクション(T2)とを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)
を含むことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ(K)。
【請求項2】
請求項1に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記第1の標的セクションと第2の標的セクション(S1、S2)が、前記標的DNA配列(D)上で、好ましくは互いに隣接して位置することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、S1およびS2とハイブリッド形成される場合に、前記第1の標的セクションと前記第2の標的セクション(T1、T2)が、互いに連結することが可能であることを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項4】
請求項1に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記クランプセクション(C1、C2)が、前記標的セクション(T1、T2)の各々の融解温度Tmよりも高い融解温度Tmを有することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項5】
請求項4に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記クランプセクションC1/C2の前記Tmが、前記2つの標的セクションT1およびT2の最も高いTmよりも、少なくとも1℃、好ましくは5℃、好ましくは10℃高いことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項6】
請求項1から5の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、クランプセクションのGC含量が、50から100%を超える、好ましくは60%を超える、より好ましくは70%を超える、最も好ましくは80%を超える範囲であり、好ましくは90から100%の範囲であることを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項7】
請求項1から6の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記クランプセクションが、それに匹敵する長さの前記標的セクションT1またはT2の各々よりも多い、GのヌクレオチドおよびCのヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも1、好ましくは少なくとも1、好ましくは少なくとも2、3、4、5ヌクレオチドを含むことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項8】
請求項1から5の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記クランプセクションC1および/またはC2が、従来のヌクレオチドと比較して結合親和性が増大されたヌクレオチドを含むことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項9】
請求項1から8の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記クランプセクションが、10から30、好ましくは15から25、より好ましくは18から24のヌクレオチドを含むことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項10】
請求項9に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記標的セクションが、それぞれ独立に、15から30、好ましくは20から25のヌクレオチドを含むことを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項11】
請求項1から10の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記オリゴヌクレオチドプローブの少なくとも1つが、少なくとも1つのプライマー結合部位(B1、B2)を含有することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項12】
請求項1から10の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記オリゴヌクレオチドプローブが、少なくとも1つのスタッファ配列(R1、R2)を含有することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項13】
請求項1から10の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記標的セクション(T1、T2)が、少なくとも1つのアレル特異的ヌクレオチドを含有することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項14】
請求項13に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記アレル特異的ヌクレオチドが、前記一対のプローブの標的セクションの末端に位置することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項15】
請求項13または14に記載の一対のオリゴヌクレオチドプルーブにおいて、標的セクション(T3)を含有し、さらなるアレル特異的ヌクレオチドを含有する最低1つのさらなるプローブ(P3)が提供され、かつ、前記プローブ(P3)が、P1および/またはP2と区別されることを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプルーブ。
【請求項16】
請求項1から15の内のいずれか一つに記載の一対のオリゴヌクレオチドプルーブにおいて、前記第1または第2のプローブが、標的核酸配列とアニーリングすることが可能でないさらなる領域を含み、そのさらなる領域の、前記標的核酸配列の前記第1セクションと前記第2セクションの間の接合部位の位置が、前記第1または第2のプローブの末端に位置することを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項17】
請求項16に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブにおいて、前記さらなる領域が、開裂構造を生じることが可能であり、前記開裂構造を切断剤に暴露させることによって、前記開裂構造および切断剤が、切断が起こり得る条件下で保温される場合、前記開裂構造が切断されることとなることを特徴とする一対のオリゴヌクレオチドプローブ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも2対のプローブを含むことを特徴とする群。
【請求項19】
請求項18に記載の群において、各対のプローブに対する前記クランプセクションC1およびC2が、各対について、C1とC2の組み合わせが群内で特有の組み合わせを形成し、その結果所定の状況下で、各プローブが、群内の他のあるプローブと選択的にハイブリッド形成するように設計されることを特徴とする群。
【請求項20】
請求項19に記載の群において、C1およびC2が、さらに非反復配列を含有することを特徴とする群。
【請求項21】
サンプルにおいて、標的ヌクレオチド配列(D)を検出するための方法であって、
−サンプルに、請求項1〜17のいずれか一項に記載の一対のオリゴヌクレオチドプローブ(K)を提供するステップと、
−前記プローブを、前記標的配列とハイブリッド形成させるステップと、
−任意選択で、切断剤を提供していずれの開裂構造も切断するステップと、
−前記標的配列(D)上で隣接して位置する場合、T1とT2を連結させるステップと、
−いずれのライゲーション生成物の有無も検出するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、連結されたプローブが、検出する前に増幅されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法において、前記標的配列が、プローブのハイブリダイゼーションの前に増幅されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21から23の内のいずれか一つに記載の方法において、分析されるサンプル中に2つ以上の標的ヌクレオチド配列が存在し(D1...Dn)、かつ、D1...Dnに対応する2対以上のオリゴヌクレオチドプローブ(K1...Kn)が提供されることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法において、オリゴヌクレオチドプローブ(K1...Kn)の各ペアの前記クランプセクションC1/C2が、請求項19に記載の非反復配列を含有することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21から25のいずれか一つに記載の方法において、前記プローブが、非反復配列を含有することを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21から26のいずれか一つに記載の方法において、検出が、長さ、配列、および/または質量に基づくことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項21から27の内のいずれか一つに記載の方法において、前記標的配列が、DNA、RNA、polyARNA、cDNA、ゲノムDNA、オルガネラDNA(ミトコンドリアまたは葉縁体DNAなど)、合成の核酸、DNAライブラリ、クローンバンク、または任意の選択あるいはそれらの組み合わせの群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項29】
a)第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)の第2のクランプセクション(C2)とハイブリッド形成することが可能な第1のクランプセクション(C1)と、検出される標的DNA配列(D)の第1のセクション(S1)とハイブリッド形成することが可能な第1の標的セクション(T1)とを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)と;
b)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の前記第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な第2のクランプセクション(C2)と、検出される前記標的DNA配列(D)の第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な第2の標的セクション(T2)とを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ(P2)と;
c)前記第1のオリゴヌクレオチドプローブ(P1)の前記第1のクランプセクション(C1)とハイブリッド形成することが可能な前記第2のクランプセクション(C2)と、検出される前記標的DNA配列(D)の前記第2のセクション(S2)とハイブリッド形成することが可能な前記第2の標的セクション(T2)とを含む少なくとも第3のオリゴヌクレオチドプローブ(P3)とを含み、
前記第2のプローブおよび前記第3のプローブは、好ましくは、前記一連のプローブの標的セクションの末端に位置するアレル特異的ヌクレオチドを含有し、前記第2および第3のプローブの前記アレル特異的ヌクレオチドは、検出されるSNPの前記アレルに相当し、前記第2および第3のプローブは、前記第1のプローブの(増幅された)ライゲーション生成物を、前記第2のプローブおよび前記第3のプローブと識別する、さらなる(スタッファ)セクションを含有することを特徴とするSNP遺伝子タイピングに適した少なくとも3つのオリゴヌクレオチドのセット。
【請求項30】
請求項1から17の内のいずれか一つに記載のプローブのうちの少なくとも一対を含むことを特徴とするキット。
【請求項31】
請求項18から20の内のいずれか一つに記載のプローブのうちの少なくとも1群を含むことを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−527597(P2006−527597A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516987(P2006−516987)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/NL2004/000428
【国際公開番号】WO2004/111271
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505464888)キージーン ナムローゼ フェンノートシャップ (11)
【Fターム(参考)】