改良されたミスト発生装置および方法
ミストを発生させる改良された装置を提供する。本装置は、作動流体の供給源と流体連通する入口と、第1の混合室と流体連通する出口とを有する少なくとも1つの作動流体供給管路(66)を有する。本装置は、移送流体の供給源を受けるように構成された入口と、混合室と流体連通する出口とをそれぞれ有する複数の移送流体通路(60a、60b)も有する。混合室の下流にはノズル(72)が存在し、ノズル(72)は、混合室と流体連通する入口(74)と、出口(78)と、ノズル入口(74)とノズル出口(78)の中間に位置するスロート部(76)と、を有する。ノズル(72)のスロート部(76)の断面積は、ノズル入口(74)とノズル出口(78)のどちらの断面積よりも小さい。混合室内から混合室の下流のノズルへと続く複数の移送流体通路を提供することにより、ミストを発生させるための作動流体の微粒化が促進される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの異なる分野で有益性が証明されている、微細な液滴のミストを発生させる改良された装置および方法を提供する。かかる分野の例としては、冷却、消火および除染用途が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開公報第WO01/76764号には、主として消火に使用される2つの流体を使用するミスト発生装置が開示されている。WO’764号では、第1の流体液滴のエアロゾル(すなわち、気体媒体内で搬送される第1の流体の液滴)がいくつかの第1の流体ノズルを経て混合ゾーンに入る。これと同時に、混合ゾーンの第1の流体ノズルの上流に気体流が注入される。この気体は、第1の流体液滴を出口ノズルを経て搬送し、出口ノズルは、第1の流体液滴と装置からの第2の流体との混合流を噴霧する。WO’764号の目的は、液滴を気体流に乗せてノズル外に搬出することにより、液滴が大気中に噴霧されたときに液滴に作用する摩擦力を低減することである。
【0003】
WO’764号は、気体流のみを使用して液滴をノズル外に搬出する。第1の流体液滴のエアロゾルは、WO’764号の装置の上流の非開示位置において生み出され、この装置自体は、エアロゾル内の第1の流体の液滴を更に微粒化するための機構を何ら利用していない。したがって、WO’764号の装置から噴霧される液滴の寸法は、装置の上流で生み出されるエアロゾルによって規定されることになり、装置自体は液滴寸法に影響を及ぼさない。WO’764号の装置の更なる制限は、液滴と気体の均一混合を達成するのが困難なことである。WO’764号に開示される第1の実施形態は、第1の流体通路およびノズルの半径方向外側に位置決めされる単一の環状気体流を利用する。この構成では、第1の流体液滴の効果的な分散が気体内で達成される可能性は非常に低い。このような制限から、WO’764号に示される構成によれば、液滴寸法および分散の予測不能な変動が生じる可能性が非常に高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開公報第WO01/76764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、上記および他の従来技術の欠点を防止または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
前記作動流体供給管路出口と流体連通する第1の混合室と、
移送流体の供給源を受けるように構成された入口、および前記混合室と流体連通する出口をそれぞれ有する複数の移送流体通路と、
前記混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備える装置が提供される。
【0007】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は、前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は、前記供給管路の直径よりも小さい。
【0008】
前記装置は長手方向軸線を有し、前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つを、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置することができる。
【0009】
前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備えることができる。
【0010】
前記装置は複数の作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路および前記移送流体通路は前記装置の前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる。
【0011】
前記装置は複数の作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間される。前記作動流体通路は前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間に半径方向に位置決めすることができる。別法として、前記各作動流体通路はそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0012】
前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備えることができ、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路はどちらも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい。
【0013】
前記作動流体通路および前記移送流体通路は互いに実質的に平行であってよい。
【0014】
前記少なくとも1つの作動流体通路は前記装置の前記長手方向軸線と実質的に平行である。
【0015】
前記作動流体供給管路および前記作動流体通路は互いに実質的に直交してもよい。
【0016】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備えることができ、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する。
【0017】
前記装置は前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備えることができ、前記連通路の断面積は前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体入口および移送流体入口が画定される第1の端部、および隔室が画定される第2の端部を有する本体であって、前記隔室は、前記作動流体入口および前記移送流体入口と流体連通する第1の端部、および開口した第2の端部を有する、本体と、
前記隔室の前記開口端部内に受けられるように構成される第1のインサートであって、前記作動流体入口と流体連通する少なくとも1つの作動流体供給管路、および前記移送流体入口と流体連通する複数の移送流体通路を画定する第1のインサートと、
前記隔室内の、前記第1のインサートと前記隔室の前記開口端部との間に受けられるように構成され、断面積が減少したスロート部を有するノズルを画定する第2のインサートであって、前記第1のインサートおよび前記第2のインサートは、前記第1のインサートと前記第2のインサートの間の、前記作動流体通路、前記移送流体通路、および前記ノズルの中間の位置に、第1の混合室を画定する、第2のインサートと、
前記第1のインサートおよび前記第2のインサートが前記隔室内に固定されるようにするために、前記第2のインサートおよび前記本体の前記第2の端部上で受けられるように構成されたロック部材と、
を備える装置が提供される。
【0019】
前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい。
【0020】
前記装置および前記第1のインサートは長手方向軸線の周りに同軸に置かれ、前記第1のインサート内に画定される前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に位置決めすることができる。
【0021】
前記第1のインサート内に画定される前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備えることができる。
【0022】
前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定することができ、前記作動流体通路および前記移送流体通路は、前記第1のインサートの前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0023】
前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定することができ、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間される。前記作動流体通路を前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置することができる。別法として、前記各作動流体通路をそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0024】
前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備えることができ、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路はいずれも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい。
【0025】
前記第1のインサートによって画定される前記作動流体通路および前記移送流体通路は互いに実質的に平行であってよい。
【0026】
前記少なくとも1つの作動流体通路は前記第1のインサートの前記長手方向軸線と実質的に平行である。
【0027】
前記作動流体供給管路および前記作動流体通路は互いに実質的に直交してもよい。
【0028】
前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備えることができ、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する。
【0029】
前記装置は前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備えることができ、前記連通路の断面積は前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、ミストを発生させる方法であって、
加圧された作動流体を少なくとも1つの作動流体供給管路に供給するステップと、
移送流体の供給源を、複数の移送流体通路を経て前記作動流体供給管路の下流の第1の混合室内に導入するステップと、
前記作動流体供給管路から前記第1の混合室内に作動流体流を注入することにより前記作動流体を微粒化して分散相の作動流体液滴を形成するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記第1の混合室から断面積が減少したノズルスロート部を通過するように送出するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記ノズルスロート部よりも断面積が大きいノズル出口から噴霧するステップと、
を有する方法が提供される。
【0031】
前記混合室は長手方向軸線を有し、前記移送流体の一部分は前記作動流体が導入される位置よりも前記長手方向軸線からの半径方向距離が小さい位置で、前記混合室内に導入することができる。
【0032】
前記移送流体の一部分は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路を介して前記混合室内に導入することができ、残りの前記移送流体は、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路を介して導入することができる。
【0033】
前記作動流体は、前記作動流体を前記複数の移送流体通路と前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化することができる。
【0034】
前記作動流体は、前記作動流体を前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化することができる。前記作動流体通路を前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置することができる。別法として、前記各作動流体通路をそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
移送流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの移送流体供給管路と、
前記作動流体供給管路の前記出口および前記移送流体供給管路の前記出口とそれぞれ流体連通する第1の混合室と、
前記第1の混合室と流体連通する第2の混合室と、
前記第1の混合室と前記第2の混合室を連結する複数の連通路と、
前記第2の混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備える装置が提供される。
【0036】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は、前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は、前記供給管路の直径よりも小さい。
【0037】
前記少なくとも1つの作動流体通路および前記少なくとも1つの移送流体供給管路は、実質的に反対方向から前記第1の混合室と連通する。
【0038】
前記複数の連通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側連通路と、前記内側連通路の周りに円周方向に離間された複数の外側連通路と、を備えることができる。
【0039】
以下では単なる例示として、添付図面を参照しながら本発明の好ましい一実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ミスト発生装置の本体、すなわちハウジングの長手方向断面図である。
【図2】(a)はミスト発生装置の第1のインサートの第1の端部を示す図であり、(b)は第1のインサートの長手方向断面図であり、(c)は第1のインサートの第2の端部を示す図である。
【図3】ミスト発生装置の第2のインサートの長手方向断面図である。
【図4】ミスト発生装置のロック部材の長手方向断面図である。
【図5】図1〜図4に示す各構成部品が組み込まれたミスト発生装置の第1の実施形態の長手方向断面図である。
【図6】ミスト発生装置の第2の実施形態の長手方向断面図である。
【図7】ミスト発生装置の第3の実施形態の長手方向断面図である。
【図8】ミスト発生装置の第4の実施形態の長手方向断面図である。
【図9】ミスト発生装置の改変された第1のインサートの長手方向断面図である。
【図10】ミスト発生装置の様々な実施形態で使用されるノズルの等価(equivalent)拡がり角度を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ミスト発生装置は、全体的に参照符号10で示され、図1〜図4に示す4つの主要構成部品で構成される。
【0042】
図1に示す1つ目の構成部品は、第1および第2の端部22、24を有するほぼ円筒状の本体、すなわちハウジング20である。ネック部26は、本体20の第1の端部22から長手方向に突出する。本体の第2の端部24には隔室28があり、隔室28は、後で説明するように、本体20の第2の端部24側が開口され、装置10の他の構成部品を受けるように構成される。本体20の長手方向には、第1の供給管路すなわち移送流体供給管路30が延在する。移送流体供給管路30は、ネック部26内の入口32と、隔室28内に開口された出口34と、を有する。移送流体供給管路30は、末広の(diverging)プロファイルを有し、管路30の断面積は、本体20内の入口32から出口34に向かって増加する。本体20には第2の供給管路すなわち作動流体供給管路36も設けられ、この作動流体供給管路36は、本体20の側壁を貫通して延びる。作動流体供給管路36は、本体20の外部上の入口38と、隔室28内に開口する出口40と、を有する。したがって、移送流体供給管路30および作動流体供給管路36は互いに実質的に直交する。ネック部26および/または入口32は、移送流体のソース(図示せず)と接続され得るように構成され、作動流体入口38は、作動流体のソース(図示せず)と接続され得るように構成される。本体20の第2の端部24は、外径が減少した突出リップ部42を有し、リップ部42の外面の少なくとも一部には、ねじ山(図示せず)が設けられる。
【0043】
本装置の一部を構成する他の2つの構成部品は、図2および図3に示す第1のインサート、すなわち流体分散インサート50と、第2のインサート、すなわちノズルインサート70であり、これらのインサートは、本体20の隔室28内に配置されるように構成される。図2(a)〜図2(c)を参照すると、第1のインサート50は、図2(b)に明示されるように、垂直断面で見たときにI字形となるほぼ円筒状のインサートである。換言すると、第1のインサート50は、それ自体の外周部が最も厚くなっており、それ自体の中心部の厚さは相対的に減少している。インサート50は、図2(a)および図2(c)の各図面でそれぞれ確認され得る第1の端面52と、第2の端面54とを有する。インサート50の各端面52、54は、それぞれインサート50の外周部の周囲に沿って延在する環状溝56、57を有する。各環状溝56、57内にはOリングシール58、59が配置される。
【0044】
インサート50は垂直断面で見たときにI字形となるので、インサート50の第1および第2の端面52、54には、それぞれ第1および第2の凹状キャビティ53、55が形成される。インサート50の長手方向には複数の第1の通路、すなわち移送流体通路60a、60bが延在し、移送流体通路60a、60bは、第1のキャビティ53と第2のキャビティ55を流体連結させる。内側の第1の通路60aは、インサート50と組立て装置10によって共有される長手方向軸線Lと同軸になるように、インサート50の中心に配置される。外側の第1の通路60bは、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lの周りに円周方向に離間され、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lと実質的に平行である。
【0045】
インサート50は、チャネル64が内部に形成される外周面62も有する。チャネル64は、インサート50の周囲全体に延在する。チャネル64からインサート50の半径方向内側に向かって複数の作動流体供給管路66が延在する。供給管路66は第1の通路60および長手方向軸線Lと実質的に直交する。供給管路66は、外側の第1の通路60b間に設けられる周囲空間においてインサート50の半径方向内側に延在する。供給管路66は、チャネル64と、管路66の半径方向の最も内側の端部に配置される複数の第2の通路、すなわち作動流体通路68a、68bとの間の流体連通を可能にする。第2の通路は、2つの群、すなわち複数の内側の第2の通路68a、および複数の外側の第2の通路68bに分類される。第2の通路68a、68bは、それぞれ長手方向軸線Lおよび第1の流体通路60a、60bと実質的に平行であり、したがって供給管路66と実質的に直交する。第2の通路68a、68bは、供給管路66の直径よりも小さくすることが可能な実質的に一定の直径を有する。内側および外側の第2の通路68a、68bは、内側の第1の通路60aおよび軸線Lの周りに円周方向に離間され、外側の第2の通路68bは、内側の第2の通路68aの半径方向外側に配置される。第2の通路68a、68bは、長手方向軸線Lおよび第1の通路60a、60bと実質的に平行である。
【0046】
第1の通路と第2の通路のそれぞれの相対的な半径方向位置および円周方向位置は、図2(c)を見れば最もよく分かるはずである。図2(c)から、第2の通路68a、68bは、内側の第1の通路60aを取り囲むように半径方向および円周方向に離間される一方、外側の第1の通路60bは、第2の通路68a、68bを取り囲むように半径方向および円周方向に離間されていることが分かるだろう。
【0047】
第2のノズルインサート70は、図3で確認することができる。第1のインサート50の場合と同様に、第2のインサート70は、ほぼ円筒状であり、装置10の残りの構成部品と同軸である。第2のインサート70は、ノズル入口74、スロート部76およびノズル出口78を有するノズル72が内部に画定される。ノズル72は、軸Lと同軸であり、ノズル入口74とノズル出口78の中間に位置するスロート部76の断面積は、ノズル入口74またはノズル出口78の断面積よりも小さい。図3を見れば、ノズル72の断面積を一旦減少させその後増加させることにより、ノズル72内の外壁の連続的な変化が維持されていることも良く分かるはずである。換言すると、ノズル72は、ノズル72内の流体流れを妨げる段部または窪みをノズル壁部に生み出すことになる断面積の急激な段階的変化を含まない。したがって、ノズル72は、超音速流を発生させるのに適したノズルとして当業界で理解される、真の先細末広ノズル(convergent-divergent nozzle)といえる。
【0048】
ノズルインサート70は、第1の端面71および第2の端面73をそれぞれ有する第1および第2の端部を有する。第1の端部に隣接するインサート70の外周面には、溝80が配置される。溝80は、インサート70の周囲全体に延在し、それ自体の内部にOリングシール82が配置される。ノズルインサート70は、第2の端部に隣接する直径減少部75を有する。インサート70の標準直径と直径減少部75の差により、インサート70の第2の端部の方向を向く当接面77が生み出される。
【0049】
装置10の最後の構成部品は、図4に示すロック部材90である。ロック部材90は、第1の側面92および第2の側面94を有するリングの形をとることが好ましい。ロック部材90は、それ自体を貫通するボアを有する。このボアは、第1および第2の部分96、98から形成される。第1のボア部96は第1の側面92上で開口し、第2のボア部98は第2の側面94上で開口する。第1のボア部96は、第2のボア部98よりも直径が大きい。この第1のボア部96と第2のボア部98の直径差により、ロック部材90の第1の側面92の方向を向く当接面100が生み出される。第1のボア部96の内面の少なくとも一部には、ねじ山(図示せず)が設けられる。ロック部材90の第2の端部94には、ロック部材90を装置10の残部に固定するのに適した工具を受けるように構成された、1つまたは複数の開孔102を設けることができる。
【0050】
次に図5を参照すると、上述した装置10の様々な構成部品が以下のように組み立てられている。まず、流体分散インサート50が本体20の第2の端部24を介して隔室28内に摺動される。隔室28の内径およびインサート50の外径は、インサート50と本体20の間の密閉封止嵌合が達成されるような径である。インサート50が隔室28内に正しく位置決めされると、本体20内では、インサートの第1の端面52が移送流体供給管路30の出口34に当接する。その結果、移送流体供給管路30の出口34は、インサート50の第1のキャビティ53と流体連通し、第2の流体供給管路36は、インサート50のチャネル64と流体連通する。Oリングシール58は、第1のインサート50と本体20の間の封止嵌合を達成する。
【0051】
第1のインサートが所定位置に置かれると、第2のインサート70を本体20の第2の端部24を介して隔室28内に挿入することができる。第1のインサート50の場合と同様に、隔室28の内径および第2のインサート70の外径は、インサート70と本体20の間の密閉封止嵌合が達成されるような径である。第2のインサート70が隔室28内に正しく位置決めされると、第2のインサート70の第1の端面71が第1のインサート50の第2の端面54に当接する。その結果、第2のインサート70のノズル入口74、および第1のインサート50の第2のキャビティ55により、長手方向軸線Lを共有する混合室が画定される。したがって、この時点で、本体20、第1のインサート50、および第2のインサート70は、それらの構成部品内に画定された先述のキャビティ、通路、および管路を介して、すべて流体連通する。この点については後で更に詳細に説明する。第1のインサート50の第2の端面54内に配置される2つ目のOリングシール59は、第1のインサート50と第2のインサート70の間の封止嵌合を達成する。
【0052】
最後に、第1のインサート50および第2のインサート70がそれぞれ本体20の隔室28内の正しい位置に配置されると、ロック部材90を第2のインサート70の第2の端部を覆うように配置することができる。本体20のリップ42のねじ部と、ロック部材90の第1の側面92のねじ部とを連動させることにより、ロック部材90の開孔102に挿入された工具(図示せず)を利用してロック部材90を所定位置にねじ込むことができる。ロック部材90は、第2のインサート70の当接面77とロック部材90の当接面100が互いに当接するまで本体20上にねじ込まれる。このねじ込みにより、第1および第2のインサート50、70は、所定位置にしっかりと保持され、本体20とロック部材90の間に挟持される。
【0053】
ここでは特に図5を再び参照して、装置10の動作様式を説明することができる。まず、移送流体が適切な供給源(例えば圧縮気体のボトル)から移送流体供給口32に導入される。移送流体として使用するのに適した流体には様々なものが存在するが、この好ましい例では、移送流体は空気である。移送流体の供給圧力範囲は、2〜40バール(200〜4000kPa)とすることができ、より好ましくは5〜20バール(500〜2000kPa)とすることができる。移送流体は、移送流体供給管路30に沿って矢印Tの方向に進み、第1のインサート50内に画定された第1のキャビティ53内に進入する。第1のキャビティ53内に入ると、移送流体は、第1のインサート50内に設けられた内側および外側の第1の流体通路60a、60b内に入るときにいくつかの流路に分かれる。移送流体の各流れが第1の流体通路60a、60bから出ると、各流れは、第1のインサート50の第2のキャビティ55と第2のインサート70のノズル入口74との間に画定された混合室内に入る。移送流体の様々な流れが混合室内で膨張し互いに接触し合うことにより、混合室内に乱流ゾーンが生み出される。移送流体は、高圧下であるが比較的低い速度で混合室内に入る。
【0054】
移送流体が移送流体供給管路30に導入されると同時に、作動流体が2〜40バール(200〜4000kPa)、最も好ましくは5〜20バール(500〜2000kPa)の範囲の好ましい供給圧力で適切なソースから導入される。作動流体は、本体20内に設けられた作動流体供給管路36に導入される。移送流体の場合と同様に、作動流体もいつかの流体が挙げられるが、この好ましい例では水とする。作動流体は、作動流体供給管路36内を通過するときに、第1のインサート50の外部に設けられたチャネル64内に入る。次いで、作動流体は、本体20と第1のインサート50の間に位置するチャネル64を介して、第1のインサート50の周囲全体に流れることができる。作動流体は、チャネル64の周りを流れるときに、第1のインサート50内の複数の半径方向供給管路66内に入り、本装置の長手方向軸線Lに向かって内側に流れる。供給管路66の内側端部では、作動流体が90度方向転換し、内側および外側の第2の流体通路68a、68b内に入る。この90度の方向転換は、作動流体を不安定にし、その結果供給管路66内の乱流レベルを高め、混合室内の作動流体の微粒化を促進することになる。以下、この点について更に説明する。
【0055】
移送流体および作動流体は、広範囲の質量流量にわたって供給することができる。移送流体と作動流体の質量流量比は、20:1〜1:10の好ましい範囲内とすることができる。
【0056】
作動流体が第2の流体通路68a、68bの各出口に到達すると、各第2の通路68a、68bから混合室内に作動流体流が注入される。注入された作動流体流が混合室内の周囲気体と接触すると、それら2つの流体間の摩擦力により作動流体流が微粒化され、それによって作動流体の液滴が形成される。移送流体が混合室内に入ることで発生する乱流により、上述のような作動流体の微粒化によって生じる液滴が混合室全体に拡散することが保証される。これが、本発明で利用する微粒化メカニズムの第1段階である。
【0057】
微粒化メカニズムの残りの段階は、装置10のノズル72内で発生する。混合室内の作動流体の液滴は、乱流の移送流体によってノズル入口74内に搬送される。ノズル入口74とノズルスロート部76の間の断面積が漸減することにより、移送流体は非常に高い速度、好ましくは音速に加速される。移送流体のこのような加速は、各液滴のノズルスロート部に最も近い部分がノズル入口に最も近い部分よりも早く移動する故に、ノズルの収束領域(すなわち、ノズル入口とノズルスロート部の間の領域)内の作動流体の液滴全体に速度勾配が存在することを意味している。これにより、作動流体の液滴は剪断力を受け、その結果、流れ方向に伸張または伸長される。剪断力が表面張力を上回ると、液滴が変形してより小さい液滴に分裂するため、更なる微粒化がもたらされる。この剪断作用が、微粒化メカニズムの第2段階である。
【0058】
縮小された作動流体の液滴は、非常に高い速度、場合によっては音速でノズルスロート部76から出る。上述のとおり、ノズル出口78は、ノズルスロート部76よりも断面積が大きい。したがって、この高速移送流体は、スロート部76から出口78に向かって流れるに従って膨張する。これにより、移送流体に含まれる作動流体の液滴が伸張され、いくつかのより小さい作動流体の液滴に分裂する。この液滴の分裂が、本発明で利用する微粒化メカニズムの第3段階である。
【0059】
最後に、これらの液滴は、分散相のミストとしてノズル出口78から噴霧される。動作条件によっては、ノズル72を通過する流れがスロート部76とノズル出口78の間の領域で亜音速となる可能性がある。別の方法では、動作条件は、音速領域がスロート部76とノズル出口78の間、ノズル出口78側、または装置10の外部で発生する衝撃波によって終端され、上記領域内の流れがその長さの一部または全部にわたって亜音速となる可能性があることを意味する場合もある。衝撃波が発生するこれらの動作条件では、衝撃波全体の急激な圧力上昇による第4の液滴分裂メカニズムが提供され得る。
【0060】
図10は、スロート部および出口の断面積、およびスロート部と出口の間の等価経路距離が既知であるときに、ノズル72の等価拡がり角度をどのように計算することができるかを概略的に示す。E1は、ノズルスロート部76と同じ断面積を有する円の半径である。E2は、ノズル出口78と同じ断面積を有する円の半径である。距離dは、スロート部76から出口78までの等価経路距離である。角度βは、E2およびE1の頂部を通り、等距離線dの延長線と交わる線を引くことによって計算される。この角度βは、縮尺拡大図から測定することも、半径E1、E2、および距離dを使用して三角法から計算することもできる。次に、この角度βに係数2を乗じて第2の流体通路の等価拡がり角度γを計算することができる(γ=2β)。
【0061】
装置10の最適な性能を得るために、ノズル72のスロート部76と出口78の面積比が1:1.1〜1:28となるように、ノズル72の出口78の断面積をスロート部76の断面積の1.1倍〜28倍大きくすることができることを発見した。ノズル72の出口78の断面積は、最も好ましくはスロート部76の断面積の1.4〜5.5倍大きくすることができ、したがって、ノズル72のスロート部76と出口78の面積比は、最も好ましくは5:7〜2:11となる。スロート部76から出口78までのこのような断面積の増加により、ノズル72に含まれる等価拡がり角度γは1〜40度、角度γは最も好ましくは2〜13度となる。
【0062】
図5に示す装置の試験で得られた性能データを以下の表1に示す。これらの結果は、液滴寸法を測定しデータ解析を実行するレーザ回折式粒子寸法測定システム(laser diffraction particle size system)を使用して取得した。データは、ノズルから3m離れたプルームの中心位置で測定した。その理由は、本測定システムで良好な粒子観察が可能となる位置であったことに加え、ノズルの典型的なプルーム特性も提示されたためである。プルーム内に存在する液滴の寸法を判定した後、このデータを更に解析して、当業界で使用される共通の測定パラメータDv90およびDf90を計算した。Dv90は、噴霧される液体の総体積の90パーセントがこの値以下の直径を有する滴で構成されることを示す。Df90は、噴霧される液滴の総数の90パーセントがこの値以下の直径を有することを示す。
【0063】
この非限定的な試験例では、移送流体として圧縮空気を利用し、作動流体として水を利用した。
【0064】
【表1】
【0065】
図6〜図8は、ミスト発生装置の代替的な実施形態を示す。これらの代替的な実施形態は、それぞれ図2〜図4を参照して既に説明した第1および第2のインサート50、70、およびロック部材90を利用する。したがって、これらの構成部品の各特徴には同じ参照番号が割り当てられており、後述の代替的な実施形態ではこれらの特徴の説明は省略する。
【0066】
後述の代替的な実施形態は、第1および第2のインサート50、70と共に本体20の隔室28内に配置される第3のインサートが設けられる点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0067】
図6に示す装置10’の第2の実施形態では、隔室28内に第1および第2のインサート50、70が挿入される前に、第3のインサート110が挿入される。第3のインサート110は管状であり、外径は、管状部材110と隔室28の内面との間の密閉封止嵌合を達成するように選択される。封止嵌合を補助するために、第3のインサート110の第1の端部112には第1の円周方向溝114が設けられ、第1の円周方向溝114の内部にはOリングシール116が配置される。したがって、第3のインサート110が隔室28内に正しく位置決めされると、第1の端部112およびシール116が移送流体供給管路30の出口34に当接する。インサート110の第2の端部113に隣接する第3のインサート110の外面には、第2の円周方向溝118が設けられる。隔室28の内面に対する第3のインサート110の外面の封止を強化するために、第2の溝118内に更なるOリングシール117が設けられる。
【0068】
本体20には、第3のインサート110を組み込むために一定の改変を加えることができる。隔室28の軸線方向長さは、隔室28内に3つのすべてのインサート50、70、110が配置され得るように増加させることができる。別法として、第1および第2のインサート50、70の軸線方向長さは、3つのすべてのインサートが収容され得る程度に減少させることもできる。必要となり得る別の改変は、作動流体供給管路36を本体20上の異なる軸線方向位置に形成することである。このことは、第3のインサート110を第1のインサート50の上流に配置すると、第1の実施形態の場合よりも第1のインサート50が隔室28に沿って遠い位置に置かれるために必要となる。図6に示すように、供給管路36は位置変更されているが、第1のインサート50は依然として、供給管路36およびチャネル64を介して作動流体を受け取るようになっている。
【0069】
装置10’の第2の実施形態は組立て式であり、第1の実施形態と実質的に同じ様式で動作する。しかしながら、移送流体供給管路30と第1のインサート50の間に管状の第3のインサート110が存在するため、移送流体供給管路30の軸線方向長さが事実上増加している。
【0070】
装置10’’、10’’’の第3および第4の実施形態を図7および図8に示す。これらの実施形態は、補助的なインサートが設けられる点で第2の実施形態の変形例といえる。図7に示す第3の実施形態は、第2の実施形態で使用される第3のインサートと実質的に同一の第3のインサート120を有する。しかしながら、第3の実施形態では、第3のインサート120は、第1のインサート50と第2のインサート70の間に挟まれるように隔室28内に位置決めされる。第2の実施形態の場合と同様に、本体20内の隔室28の軸線方向長さは、3つのすべてのインサートを収容するように延長することができる。第3の実施形態は組立て式であり、第1および第2の実施形態と実質的に同じ様式で動作するが、第1のインサート50と第2のインサート70の間に管状の第3のインサート120が存在するため、第1のインサート50の下流の混合室の軸線方向長さが事実上増加している。
【0071】
図8に示す装置10’’’の第4の実施形態は、本装置の第2の実施形態で使用される構成と第3の実施形態で使用される構成を事実上組み合わせたものである。したがって、第3のインサート130および第4のインサート140は、それぞれ隔室28内の第1のインサート50の上流および下流に配置されている。第3および第4のインサート130、140は管状であり、第2および第3の実施形態で使用される第3のインサートと実質的に同一である。本実施形態のインサートと先述の実施形態の第3のインサートとの間で認められる唯一の差異は、本実施形態のインサートは、4つのすべてのインサートが本体20の隔室28内に収まるように軸線方向長さをより短くすることができる点である。この場合も、本体20は、隔室28の軸線方向長さおよび/または作動流体供給管路36の軸線方向位置をインサートの位置に従って変更するように改変することができる。
【0072】
第4の実施形態は組立て式であり、先述の実施形態と実質的に同じ様式で動作するが、第1のインサート50の両側に第3および第4の管状インサート130、140が存在するため、移送流体供給管路30の軸線方向長さ、および第1のインサート50の下流の混合室の軸線方向長さが事実上増加している。
【0073】
このような長さの異なる補助的な第3のインサートまたは第3および第4のインサートを使用することにより、装置の製造上の複雑さが低減される。例えば、本体またはロック部材の長さを改変する必要なしに、またはそれ自体と作動流体ソースを連結する配管を変更する必要なしに、寸法および長さの異なるノズルまたは第1のインサートを1つまたは複数の補助的なインサートと共に装置の本体内に設置することができる。また、1つ(または複数)の混合室の軸線方向長さを変更することにより、それらの領域内の乱流を変化させることができ、本発明で利用する微粒化メカニズムの第1段階を変更することができる。
【0074】
図9は、先述したミスト発生装置のどの実施形態でも利用可能な改変された第1のインサート150の断面図である。改変された第1のインサート150の基本的な構成は、図2の第1のインサート50と実質的に同じであり、第1および第2のキャビティ53、55は、複数の第1の通路または移送流体通路60a、60bによって互いに流体連結される。内側の第1の通路60aは、インサート150とインサート150が内部に配置される組立て装置によって共有される長手方向軸線Lと同軸になるように、改変されたインサート150の中心に配置される。外側の第1の通路60bは、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lの周りに円周方向に離間され、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lと実質的に平行である。
【0075】
改変されたインサート150は、チャネル64が内部に形成される外周面62も有する。チャネル64は、インサート50の周囲全体に延在する。チャネル64からインサート50の半径方向内側に向かって複数の作動流体供給管路66が延在する。供給管路66は、第1の通路60a、60b、および長手方向軸線Lと実質的に直交する。供給管路66は、外側の第1の通路60b間に設けられる周囲空間においてインサート50の半径方向内側に延在する。改変されたインサート150が元の第1のインサートと異なる点は、第2の通路、すなわち作動流体通路が中央の第3のキャビティ170に置き換えられていることである。第3のキャビティ170は、長手方向軸線Lおよび内側の第1の通路60aと同軸である。第3のキャビティ170は、内側の第1の通路60a、各供給管路66、および第2のキャビティ55と流体連通するように形成される。第3のキャビティ170の内径は、内側の第1の通路60aの内径より大きく、第2のキャビティ55の内径より小さい。円周方向リップ172は、第3のキャビティ170が第2のキャビティ55内に開口するポイントで、第3のキャビティ170の壁部から半径方向内側に突出する。
【0076】
第2のキャビティ55から第3のキャビティ170に挿入されるほぼ円形のプラグ152が設けられる。プラグ152は、外径がリップ172の内径より大きいプラグ本体153を有する。したがって、プラグ152が第3のキャビティ170に挿入されると、プラグ本体153がリップ172を押し退け、プラグ本体153とリップ172がスナップフィットする。したがって、リップ172は、プラグ152がキャビティ170から抜け出るのを防止する。フランジ部154は、プラグ本体153から半径方向外側に突出する。フランジ部154の直径は、第3のキャビティ170の内径より大きくなっており、これにより、第3のキャビティ170内へのプラグ152の進入可能範囲が制限される。
【0077】
プラグ152の長手方向には、中央通路が延在する。中央通路は、大径部160aと、小径部160bとを備える。プラグ152が改変されたインサート150内の所定位置に置かれると、第3のキャビティ170および中央通路の大径部160aにより、第1段階混合室151が画定される。第1段階混合室151は、内側の第1の通路60aから移送流体を受け取り、供給管路66から作動流体を受け取る。中央通路の小径部160bは、第1段階混合室151によって受け取られた移送流体および作動流体が第2のキャビティ55によって部分的に画定される主混合室内に流入することを可能にする。
【0078】
相対的に直径が小さい内側の第1の通路60aから直径が大きい第1段階混合室151内に流入した移送流体は、第1段階混合室内で膨張し、乱流を生み出すことになる。第1段階混合室151内に入った作動流体は、この乱流に曝され、これら2つの流体間で発生する摩擦力により、作動流体の少なくとも一部が微粒化される。その後、移送流体および作動流体の流れは、中央通路の小径部160bを経て主混合室の下流へと流れる。したがって、改変された第1のインサート150は、上述した第1のインサートの下流で発生する主混合段階の前に、移送流体および作動流体の初期混合段階を提供する。この初期混合段階では、乱流による混合および液滴分裂による2段階の初期微粒化工程を実行することにより、ノズルの上流で発生する微粒化メカニズムが改善される。
【0079】
複数の移送流体通路を設けることにより、混合室内に続くいくつかの別々の移送流体流路を形成することが可能となる。これらの様々な移送流体流れが混合室内で互いに接触すると、混合室内により大きい量の乱流が生み出される。この増大した乱流により、微粒化された液滴が混合室全体に均一に分散することが保証される。また、乱流レベルが高いということは、液滴が互いに衝突した場合、すなわち液滴表面同士が衝突した場合に発生する内部応力が高くなることを意味し、したがって、それらの内部応力が表面張力を上回る可能性が高くなる。つまり、衝突により、液滴の合一ではなく分裂が生じる可能性が高くなる。半径方向であれ円周方向であれ、移送流体の出口が作動流体の出口を取り囲むように様々な通路を配置することにより、混合室内およびノズルの拡大区間(すなわち、スロート部を過ぎた部分)において液滴のより均一な分散が達成される。これにより、微粒化工程の第3(膨張)段階が可能な限り効果的となることが保証される。
【0080】
複数の作動流体通路を設けると、より多くの流量の作動流体を微粒化することが可能となる。
【0081】
作動流体通路の出口が混合室の外側を向くように位置決めすれば、ウォールストリッピング(wall stripping)メカニズムを最適化することにより、微粒化を促進することができる。ウォールストリッピングでは、移送流体流れにより、混合室の内面に付着した作動流体の膜から液滴が剥ぎ取られ、それに伴って作動流体の膜が徐々に微粒化される。第3のインサートを使用する第3の実施形態の場合と同様に、より長い混合室を設けると作動流体の膜が伸展する表面積が拡大するため、ウォールストリッピングプロセスを改善することができる。
【0082】
移送流体供給管路、移送流体通路、およびノズル通路は比較的広くなり、内部の制約が最小限に抑えられる。その結果、関連する通路が移送流体に含まれる粒子状物質によって遮断されることを心配せずに、粒子状物を含む流体を移送流体として使用することが可能となる。
【0083】
装置を少数の構成部品から形成することにより、本発明は、簡略化された製造工程を実現する。個々の構成部品自体も既存の装置と比較して複雑さが低減され、製造コストの点で有利である。また、インサートは本体に嵌合され、ロック部材によって所定位置に保持されるので、各構成部品の製造時に要求される機械加工公差を低くすることができる。
【0084】
外側の第1の流体通路は、長手方向軸線Lと必ずしも平行である必要はない。その代わりに、外側の第1の流体通路は、長手方向軸線Lに対して角度をもたせることができる。換言すると、各外側の第1の流体通路の入口および出口を軸線Lに対して異なる半径方向位置に置くことができる。更に、第1の流体通路は、必ずしも実質的に一定の直径を有する必要はない。第1の流体通路は、直径が減少した部分および/または直径が増加した部分を有することができる。第1の流体通路は、ほぼ涙滴形の断面だけでなく、代替的にほぼ円形の断面を有することも楕円形の断面を有することもできる。
【0085】
3組以上の第1の流体通路を存在させることもできる。例えば、第3組の第1の流体通路は、内側および外側の第1の流体通路よりも大きい軸線Lからの半径方向距離において、それら内側および外側の第1の流体通路の周りに円周方向に延在させることができる。
【0086】
そうすることが好ましいとはいえ、第2の流体通路は、必ずしも内側の第1の流体通路と外側の第1の流体通路の間に半径方向に配置する必要はない。第2の流体通路は、第2の流体通路が外側の第1の流体通路対の間に位置するように、また、第2の流体通路と外側の第1の流体通路とが長手方向軸線Lの周りに円周方向に交互に置かれるように、半径方向と円周方向に配置することができる。換言すると、第1の流体通路の出口が第2の流体通路の出口を円周方向に取り囲むことになる。
【0087】
第2の流体通路は、混合室の上流の第2の流体通路内で微粒化が開始されるように、第1のインサート内で外側の第1の流体通路と流体連結させることもできる。
【0088】
第2の流体通路は、それぞれの内部に乱流発生構成部品を含むことができる。この構成部品は、例えば通路の内側のテーパ端縁の形をとることができる。
【0089】
第2の流体通路は、長手方向軸線Lと必ずしも平行である必要はない。その代わりに、第2の流体通路は、長手方向軸線Lに対して角度をもたせることができる。換言すると、各第2の流体通路の入口および出口を軸線Lに対して異なる半径方向位置に置くことができる。更に、第2の流体通路は、必ずしも実質的に一定の直径を有する必要はない。第2の流体通路は、直径が減少した部分および/または直径が増加した部分を有することができる。第2の流体通路は、ほぼ円形の断面を有することも、代替的に楕円形の断面を有することもできる。
【0090】
3組以上の第2の流体通路を存在させることもできる。例えば、第3組の第2の流体通路は、内側および外側の組の第2の流体通路よりも大きい軸線Lからの半径方向距離において、それら内側および外側の組の第2の流体通路の周りに円周方向に延在させることができる。
【0091】
上述の装置の好ましい実施形態は本体内に1つの作動流体入口のみを有するが、本体の側壁の周りに円周方向に離間された複数の作動流体入口が存在する可能性もある。各作動流体入口は、第1のインサートの周囲に延在するチャネルと流体連通することができる。
【0092】
図9に示す改変された第1のインサート内で利用されるプラグには、第1段階混合室と第2のキャビティを連結する複数の補助通路を設けることができる。これらの補助通路は、中央通路の小径部の周りに円周方向に離間させることができる。これらの補助通路は、中央通路の小径部に対して2つ以上の半径方向位置に置くことができる。
【0093】
第3のインサートまたは第3および第4のインサートを利用する実施形態では、いくつかの作動流体供給管路を本体に沿った様々な位置に設けることができる。これらの供給管路は、上記の補助的なインサートの存在により、第1のインサートのチャンバに沿った軸線方向位置により、必要に応じて閉止することも、作動流体供給源と連結することもできる。別法として、第1および第3のインサートは、第1のインサートの円周方向の供給チャネルが長手方向に延在し、第1のインサートの前部と共に第3のインサートの一部分も覆うよう連続的に延在するような形状とすることができる。つまり、本体内には単一の作動流体供給管路が設けられる可能性があるが、第1のインサートがこの管路から軸線方向に離間されている場合も、第3のインサートの存在により、この管路は依然として第1のインサートに作動流体を供給することができる。
【0094】
本装置の更なる改変は、第2の流体通路が移送流体の供給源に向かって上流に面するように、第1のインサートの向きを変えることである。この場合、反対方向に流れる作動流体および移送流体は、本体と第1のインサートの間に画定される混合室内で互いに接触することになる。作動流体は混合室内で微粒化され、その後、移送流体は、分散した作動流体を第1のインサート内の第1の流体通路を利用して下流のノズルまで搬送する。このように改変された装置では、本体と第1のインサートの間に第3の管状インサートも配備することができ、それによって本体と第1のインサートの間に画定される混合室の寸法を縮小することができる。混合室をこのように延長することにより、混合室内の乱流による混合を促進することができる。
【0095】
最も単純な形態では、本発明の装置は、複数の移送流体通路と、混合室内および混合室の下流のノズル内に開口する少なくとも1つの作動流体通路と、を備える。この構成のみが与えられる場合も、本明細書のいずれかの箇所で列挙した利点の1つまたは複数を実現することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態の上記の説明には、様々な通路群およびそれらの通路の相対的な好ましい半径方向位置および円周方向位置が記載されているが、これらの組み合わせは本発明の正常な作用にとって不可欠なものではないことを理解されたい。上述の本発明の好ましい実施形態は複数の作動流体通路を備えるが、本発明は、複数の作動流体通路に限定されない。本発明は、1つまたは複数の作動流体通路を有する限り、本明細書に列挙した利点のうちの1つまたは複数を実現することができる。更に、好ましい実施形態は長手方向軸線Lと同軸である内側の移送流体通路を有するが、本発明は、このような内側の移送流体通路を有することにも限定されない。本発明は、移送流体通路が長手方向軸線Lの周りに円周方向にのみ離間される場合も効果を奏する。
【0096】
本発明の詳細な説明で既に述べたが、移送流体は空気に限らない。その他の適切な流体例としては、窒素、ヘリウムおよび蒸気が挙げられる。同様に、水は、本発明と共に使用され得る唯一の適切な作動流体というわけではない。除毒剤、界面活性剤、抑制剤のような添加剤を含むその他の流体も、作動流体としての使用に適している。
【0097】
本発明は、本発明の範囲から逸脱しない上記および他の改変例および改良例を含む可能性がある。
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの異なる分野で有益性が証明されている、微細な液滴のミストを発生させる改良された装置および方法を提供する。かかる分野の例としては、冷却、消火および除染用途が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開公報第WO01/76764号には、主として消火に使用される2つの流体を使用するミスト発生装置が開示されている。WO’764号では、第1の流体液滴のエアロゾル(すなわち、気体媒体内で搬送される第1の流体の液滴)がいくつかの第1の流体ノズルを経て混合ゾーンに入る。これと同時に、混合ゾーンの第1の流体ノズルの上流に気体流が注入される。この気体は、第1の流体液滴を出口ノズルを経て搬送し、出口ノズルは、第1の流体液滴と装置からの第2の流体との混合流を噴霧する。WO’764号の目的は、液滴を気体流に乗せてノズル外に搬出することにより、液滴が大気中に噴霧されたときに液滴に作用する摩擦力を低減することである。
【0003】
WO’764号は、気体流のみを使用して液滴をノズル外に搬出する。第1の流体液滴のエアロゾルは、WO’764号の装置の上流の非開示位置において生み出され、この装置自体は、エアロゾル内の第1の流体の液滴を更に微粒化するための機構を何ら利用していない。したがって、WO’764号の装置から噴霧される液滴の寸法は、装置の上流で生み出されるエアロゾルによって規定されることになり、装置自体は液滴寸法に影響を及ぼさない。WO’764号の装置の更なる制限は、液滴と気体の均一混合を達成するのが困難なことである。WO’764号に開示される第1の実施形態は、第1の流体通路およびノズルの半径方向外側に位置決めされる単一の環状気体流を利用する。この構成では、第1の流体液滴の効果的な分散が気体内で達成される可能性は非常に低い。このような制限から、WO’764号に示される構成によれば、液滴寸法および分散の予測不能な変動が生じる可能性が非常に高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開公報第WO01/76764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、上記および他の従来技術の欠点を防止または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
前記作動流体供給管路出口と流体連通する第1の混合室と、
移送流体の供給源を受けるように構成された入口、および前記混合室と流体連通する出口をそれぞれ有する複数の移送流体通路と、
前記混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備える装置が提供される。
【0007】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は、前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は、前記供給管路の直径よりも小さい。
【0008】
前記装置は長手方向軸線を有し、前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つを、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置することができる。
【0009】
前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備えることができる。
【0010】
前記装置は複数の作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路および前記移送流体通路は前記装置の前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる。
【0011】
前記装置は複数の作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間される。前記作動流体通路は前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間に半径方向に位置決めすることができる。別法として、前記各作動流体通路はそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0012】
前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備えることができ、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路はどちらも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい。
【0013】
前記作動流体通路および前記移送流体通路は互いに実質的に平行であってよい。
【0014】
前記少なくとも1つの作動流体通路は前記装置の前記長手方向軸線と実質的に平行である。
【0015】
前記作動流体供給管路および前記作動流体通路は互いに実質的に直交してもよい。
【0016】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備えることができ、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する。
【0017】
前記装置は前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備えることができ、前記連通路の断面積は前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体入口および移送流体入口が画定される第1の端部、および隔室が画定される第2の端部を有する本体であって、前記隔室は、前記作動流体入口および前記移送流体入口と流体連通する第1の端部、および開口した第2の端部を有する、本体と、
前記隔室の前記開口端部内に受けられるように構成される第1のインサートであって、前記作動流体入口と流体連通する少なくとも1つの作動流体供給管路、および前記移送流体入口と流体連通する複数の移送流体通路を画定する第1のインサートと、
前記隔室内の、前記第1のインサートと前記隔室の前記開口端部との間に受けられるように構成され、断面積が減少したスロート部を有するノズルを画定する第2のインサートであって、前記第1のインサートおよび前記第2のインサートは、前記第1のインサートと前記第2のインサートの間の、前記作動流体通路、前記移送流体通路、および前記ノズルの中間の位置に、第1の混合室を画定する、第2のインサートと、
前記第1のインサートおよび前記第2のインサートが前記隔室内に固定されるようにするために、前記第2のインサートおよび前記本体の前記第2の端部上で受けられるように構成されたロック部材と、
を備える装置が提供される。
【0019】
前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい。
【0020】
前記装置および前記第1のインサートは長手方向軸線の周りに同軸に置かれ、前記第1のインサート内に画定される前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に位置決めすることができる。
【0021】
前記第1のインサート内に画定される前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備えることができる。
【0022】
前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定することができ、前記作動流体通路および前記移送流体通路は、前記第1のインサートの前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0023】
前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定することができ、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間される。前記作動流体通路を前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置することができる。別法として、前記各作動流体通路をそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0024】
前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備えることができ、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路はいずれも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい。
【0025】
前記第1のインサートによって画定される前記作動流体通路および前記移送流体通路は互いに実質的に平行であってよい。
【0026】
前記少なくとも1つの作動流体通路は前記第1のインサートの前記長手方向軸線と実質的に平行である。
【0027】
前記作動流体供給管路および前記作動流体通路は互いに実質的に直交してもよい。
【0028】
前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備えることができ、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する。
【0029】
前記装置は前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備えることができ、前記連通路の断面積は前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、ミストを発生させる方法であって、
加圧された作動流体を少なくとも1つの作動流体供給管路に供給するステップと、
移送流体の供給源を、複数の移送流体通路を経て前記作動流体供給管路の下流の第1の混合室内に導入するステップと、
前記作動流体供給管路から前記第1の混合室内に作動流体流を注入することにより前記作動流体を微粒化して分散相の作動流体液滴を形成するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記第1の混合室から断面積が減少したノズルスロート部を通過するように送出するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記ノズルスロート部よりも断面積が大きいノズル出口から噴霧するステップと、
を有する方法が提供される。
【0031】
前記混合室は長手方向軸線を有し、前記移送流体の一部分は前記作動流体が導入される位置よりも前記長手方向軸線からの半径方向距離が小さい位置で、前記混合室内に導入することができる。
【0032】
前記移送流体の一部分は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路を介して前記混合室内に導入することができ、残りの前記移送流体は、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路を介して導入することができる。
【0033】
前記作動流体は、前記作動流体を前記複数の移送流体通路と前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化することができる。
【0034】
前記作動流体は、前記作動流体を前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化することができる。前記作動流体通路を前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置することができる。別法として、前記各作動流体通路をそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置することができ、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りに円周方向に交互に置かれる。
【0035】
本発明の第4の態様によれば、ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
移送流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの移送流体供給管路と、
前記作動流体供給管路の前記出口および前記移送流体供給管路の前記出口とそれぞれ流体連通する第1の混合室と、
前記第1の混合室と流体連通する第2の混合室と、
前記第1の混合室と前記第2の混合室を連結する複数の連通路と、
前記第2の混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備える装置が提供される。
【0036】
前記装置は、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備えることができ、前記作動流体通路は、前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は、前記供給管路の直径よりも小さい。
【0037】
前記少なくとも1つの作動流体通路および前記少なくとも1つの移送流体供給管路は、実質的に反対方向から前記第1の混合室と連通する。
【0038】
前記複数の連通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側連通路と、前記内側連通路の周りに円周方向に離間された複数の外側連通路と、を備えることができる。
【0039】
以下では単なる例示として、添付図面を参照しながら本発明の好ましい一実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ミスト発生装置の本体、すなわちハウジングの長手方向断面図である。
【図2】(a)はミスト発生装置の第1のインサートの第1の端部を示す図であり、(b)は第1のインサートの長手方向断面図であり、(c)は第1のインサートの第2の端部を示す図である。
【図3】ミスト発生装置の第2のインサートの長手方向断面図である。
【図4】ミスト発生装置のロック部材の長手方向断面図である。
【図5】図1〜図4に示す各構成部品が組み込まれたミスト発生装置の第1の実施形態の長手方向断面図である。
【図6】ミスト発生装置の第2の実施形態の長手方向断面図である。
【図7】ミスト発生装置の第3の実施形態の長手方向断面図である。
【図8】ミスト発生装置の第4の実施形態の長手方向断面図である。
【図9】ミスト発生装置の改変された第1のインサートの長手方向断面図である。
【図10】ミスト発生装置の様々な実施形態で使用されるノズルの等価(equivalent)拡がり角度を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ミスト発生装置は、全体的に参照符号10で示され、図1〜図4に示す4つの主要構成部品で構成される。
【0042】
図1に示す1つ目の構成部品は、第1および第2の端部22、24を有するほぼ円筒状の本体、すなわちハウジング20である。ネック部26は、本体20の第1の端部22から長手方向に突出する。本体の第2の端部24には隔室28があり、隔室28は、後で説明するように、本体20の第2の端部24側が開口され、装置10の他の構成部品を受けるように構成される。本体20の長手方向には、第1の供給管路すなわち移送流体供給管路30が延在する。移送流体供給管路30は、ネック部26内の入口32と、隔室28内に開口された出口34と、を有する。移送流体供給管路30は、末広の(diverging)プロファイルを有し、管路30の断面積は、本体20内の入口32から出口34に向かって増加する。本体20には第2の供給管路すなわち作動流体供給管路36も設けられ、この作動流体供給管路36は、本体20の側壁を貫通して延びる。作動流体供給管路36は、本体20の外部上の入口38と、隔室28内に開口する出口40と、を有する。したがって、移送流体供給管路30および作動流体供給管路36は互いに実質的に直交する。ネック部26および/または入口32は、移送流体のソース(図示せず)と接続され得るように構成され、作動流体入口38は、作動流体のソース(図示せず)と接続され得るように構成される。本体20の第2の端部24は、外径が減少した突出リップ部42を有し、リップ部42の外面の少なくとも一部には、ねじ山(図示せず)が設けられる。
【0043】
本装置の一部を構成する他の2つの構成部品は、図2および図3に示す第1のインサート、すなわち流体分散インサート50と、第2のインサート、すなわちノズルインサート70であり、これらのインサートは、本体20の隔室28内に配置されるように構成される。図2(a)〜図2(c)を参照すると、第1のインサート50は、図2(b)に明示されるように、垂直断面で見たときにI字形となるほぼ円筒状のインサートである。換言すると、第1のインサート50は、それ自体の外周部が最も厚くなっており、それ自体の中心部の厚さは相対的に減少している。インサート50は、図2(a)および図2(c)の各図面でそれぞれ確認され得る第1の端面52と、第2の端面54とを有する。インサート50の各端面52、54は、それぞれインサート50の外周部の周囲に沿って延在する環状溝56、57を有する。各環状溝56、57内にはOリングシール58、59が配置される。
【0044】
インサート50は垂直断面で見たときにI字形となるので、インサート50の第1および第2の端面52、54には、それぞれ第1および第2の凹状キャビティ53、55が形成される。インサート50の長手方向には複数の第1の通路、すなわち移送流体通路60a、60bが延在し、移送流体通路60a、60bは、第1のキャビティ53と第2のキャビティ55を流体連結させる。内側の第1の通路60aは、インサート50と組立て装置10によって共有される長手方向軸線Lと同軸になるように、インサート50の中心に配置される。外側の第1の通路60bは、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lの周りに円周方向に離間され、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lと実質的に平行である。
【0045】
インサート50は、チャネル64が内部に形成される外周面62も有する。チャネル64は、インサート50の周囲全体に延在する。チャネル64からインサート50の半径方向内側に向かって複数の作動流体供給管路66が延在する。供給管路66は第1の通路60および長手方向軸線Lと実質的に直交する。供給管路66は、外側の第1の通路60b間に設けられる周囲空間においてインサート50の半径方向内側に延在する。供給管路66は、チャネル64と、管路66の半径方向の最も内側の端部に配置される複数の第2の通路、すなわち作動流体通路68a、68bとの間の流体連通を可能にする。第2の通路は、2つの群、すなわち複数の内側の第2の通路68a、および複数の外側の第2の通路68bに分類される。第2の通路68a、68bは、それぞれ長手方向軸線Lおよび第1の流体通路60a、60bと実質的に平行であり、したがって供給管路66と実質的に直交する。第2の通路68a、68bは、供給管路66の直径よりも小さくすることが可能な実質的に一定の直径を有する。内側および外側の第2の通路68a、68bは、内側の第1の通路60aおよび軸線Lの周りに円周方向に離間され、外側の第2の通路68bは、内側の第2の通路68aの半径方向外側に配置される。第2の通路68a、68bは、長手方向軸線Lおよび第1の通路60a、60bと実質的に平行である。
【0046】
第1の通路と第2の通路のそれぞれの相対的な半径方向位置および円周方向位置は、図2(c)を見れば最もよく分かるはずである。図2(c)から、第2の通路68a、68bは、内側の第1の通路60aを取り囲むように半径方向および円周方向に離間される一方、外側の第1の通路60bは、第2の通路68a、68bを取り囲むように半径方向および円周方向に離間されていることが分かるだろう。
【0047】
第2のノズルインサート70は、図3で確認することができる。第1のインサート50の場合と同様に、第2のインサート70は、ほぼ円筒状であり、装置10の残りの構成部品と同軸である。第2のインサート70は、ノズル入口74、スロート部76およびノズル出口78を有するノズル72が内部に画定される。ノズル72は、軸Lと同軸であり、ノズル入口74とノズル出口78の中間に位置するスロート部76の断面積は、ノズル入口74またはノズル出口78の断面積よりも小さい。図3を見れば、ノズル72の断面積を一旦減少させその後増加させることにより、ノズル72内の外壁の連続的な変化が維持されていることも良く分かるはずである。換言すると、ノズル72は、ノズル72内の流体流れを妨げる段部または窪みをノズル壁部に生み出すことになる断面積の急激な段階的変化を含まない。したがって、ノズル72は、超音速流を発生させるのに適したノズルとして当業界で理解される、真の先細末広ノズル(convergent-divergent nozzle)といえる。
【0048】
ノズルインサート70は、第1の端面71および第2の端面73をそれぞれ有する第1および第2の端部を有する。第1の端部に隣接するインサート70の外周面には、溝80が配置される。溝80は、インサート70の周囲全体に延在し、それ自体の内部にOリングシール82が配置される。ノズルインサート70は、第2の端部に隣接する直径減少部75を有する。インサート70の標準直径と直径減少部75の差により、インサート70の第2の端部の方向を向く当接面77が生み出される。
【0049】
装置10の最後の構成部品は、図4に示すロック部材90である。ロック部材90は、第1の側面92および第2の側面94を有するリングの形をとることが好ましい。ロック部材90は、それ自体を貫通するボアを有する。このボアは、第1および第2の部分96、98から形成される。第1のボア部96は第1の側面92上で開口し、第2のボア部98は第2の側面94上で開口する。第1のボア部96は、第2のボア部98よりも直径が大きい。この第1のボア部96と第2のボア部98の直径差により、ロック部材90の第1の側面92の方向を向く当接面100が生み出される。第1のボア部96の内面の少なくとも一部には、ねじ山(図示せず)が設けられる。ロック部材90の第2の端部94には、ロック部材90を装置10の残部に固定するのに適した工具を受けるように構成された、1つまたは複数の開孔102を設けることができる。
【0050】
次に図5を参照すると、上述した装置10の様々な構成部品が以下のように組み立てられている。まず、流体分散インサート50が本体20の第2の端部24を介して隔室28内に摺動される。隔室28の内径およびインサート50の外径は、インサート50と本体20の間の密閉封止嵌合が達成されるような径である。インサート50が隔室28内に正しく位置決めされると、本体20内では、インサートの第1の端面52が移送流体供給管路30の出口34に当接する。その結果、移送流体供給管路30の出口34は、インサート50の第1のキャビティ53と流体連通し、第2の流体供給管路36は、インサート50のチャネル64と流体連通する。Oリングシール58は、第1のインサート50と本体20の間の封止嵌合を達成する。
【0051】
第1のインサートが所定位置に置かれると、第2のインサート70を本体20の第2の端部24を介して隔室28内に挿入することができる。第1のインサート50の場合と同様に、隔室28の内径および第2のインサート70の外径は、インサート70と本体20の間の密閉封止嵌合が達成されるような径である。第2のインサート70が隔室28内に正しく位置決めされると、第2のインサート70の第1の端面71が第1のインサート50の第2の端面54に当接する。その結果、第2のインサート70のノズル入口74、および第1のインサート50の第2のキャビティ55により、長手方向軸線Lを共有する混合室が画定される。したがって、この時点で、本体20、第1のインサート50、および第2のインサート70は、それらの構成部品内に画定された先述のキャビティ、通路、および管路を介して、すべて流体連通する。この点については後で更に詳細に説明する。第1のインサート50の第2の端面54内に配置される2つ目のOリングシール59は、第1のインサート50と第2のインサート70の間の封止嵌合を達成する。
【0052】
最後に、第1のインサート50および第2のインサート70がそれぞれ本体20の隔室28内の正しい位置に配置されると、ロック部材90を第2のインサート70の第2の端部を覆うように配置することができる。本体20のリップ42のねじ部と、ロック部材90の第1の側面92のねじ部とを連動させることにより、ロック部材90の開孔102に挿入された工具(図示せず)を利用してロック部材90を所定位置にねじ込むことができる。ロック部材90は、第2のインサート70の当接面77とロック部材90の当接面100が互いに当接するまで本体20上にねじ込まれる。このねじ込みにより、第1および第2のインサート50、70は、所定位置にしっかりと保持され、本体20とロック部材90の間に挟持される。
【0053】
ここでは特に図5を再び参照して、装置10の動作様式を説明することができる。まず、移送流体が適切な供給源(例えば圧縮気体のボトル)から移送流体供給口32に導入される。移送流体として使用するのに適した流体には様々なものが存在するが、この好ましい例では、移送流体は空気である。移送流体の供給圧力範囲は、2〜40バール(200〜4000kPa)とすることができ、より好ましくは5〜20バール(500〜2000kPa)とすることができる。移送流体は、移送流体供給管路30に沿って矢印Tの方向に進み、第1のインサート50内に画定された第1のキャビティ53内に進入する。第1のキャビティ53内に入ると、移送流体は、第1のインサート50内に設けられた内側および外側の第1の流体通路60a、60b内に入るときにいくつかの流路に分かれる。移送流体の各流れが第1の流体通路60a、60bから出ると、各流れは、第1のインサート50の第2のキャビティ55と第2のインサート70のノズル入口74との間に画定された混合室内に入る。移送流体の様々な流れが混合室内で膨張し互いに接触し合うことにより、混合室内に乱流ゾーンが生み出される。移送流体は、高圧下であるが比較的低い速度で混合室内に入る。
【0054】
移送流体が移送流体供給管路30に導入されると同時に、作動流体が2〜40バール(200〜4000kPa)、最も好ましくは5〜20バール(500〜2000kPa)の範囲の好ましい供給圧力で適切なソースから導入される。作動流体は、本体20内に設けられた作動流体供給管路36に導入される。移送流体の場合と同様に、作動流体もいつかの流体が挙げられるが、この好ましい例では水とする。作動流体は、作動流体供給管路36内を通過するときに、第1のインサート50の外部に設けられたチャネル64内に入る。次いで、作動流体は、本体20と第1のインサート50の間に位置するチャネル64を介して、第1のインサート50の周囲全体に流れることができる。作動流体は、チャネル64の周りを流れるときに、第1のインサート50内の複数の半径方向供給管路66内に入り、本装置の長手方向軸線Lに向かって内側に流れる。供給管路66の内側端部では、作動流体が90度方向転換し、内側および外側の第2の流体通路68a、68b内に入る。この90度の方向転換は、作動流体を不安定にし、その結果供給管路66内の乱流レベルを高め、混合室内の作動流体の微粒化を促進することになる。以下、この点について更に説明する。
【0055】
移送流体および作動流体は、広範囲の質量流量にわたって供給することができる。移送流体と作動流体の質量流量比は、20:1〜1:10の好ましい範囲内とすることができる。
【0056】
作動流体が第2の流体通路68a、68bの各出口に到達すると、各第2の通路68a、68bから混合室内に作動流体流が注入される。注入された作動流体流が混合室内の周囲気体と接触すると、それら2つの流体間の摩擦力により作動流体流が微粒化され、それによって作動流体の液滴が形成される。移送流体が混合室内に入ることで発生する乱流により、上述のような作動流体の微粒化によって生じる液滴が混合室全体に拡散することが保証される。これが、本発明で利用する微粒化メカニズムの第1段階である。
【0057】
微粒化メカニズムの残りの段階は、装置10のノズル72内で発生する。混合室内の作動流体の液滴は、乱流の移送流体によってノズル入口74内に搬送される。ノズル入口74とノズルスロート部76の間の断面積が漸減することにより、移送流体は非常に高い速度、好ましくは音速に加速される。移送流体のこのような加速は、各液滴のノズルスロート部に最も近い部分がノズル入口に最も近い部分よりも早く移動する故に、ノズルの収束領域(すなわち、ノズル入口とノズルスロート部の間の領域)内の作動流体の液滴全体に速度勾配が存在することを意味している。これにより、作動流体の液滴は剪断力を受け、その結果、流れ方向に伸張または伸長される。剪断力が表面張力を上回ると、液滴が変形してより小さい液滴に分裂するため、更なる微粒化がもたらされる。この剪断作用が、微粒化メカニズムの第2段階である。
【0058】
縮小された作動流体の液滴は、非常に高い速度、場合によっては音速でノズルスロート部76から出る。上述のとおり、ノズル出口78は、ノズルスロート部76よりも断面積が大きい。したがって、この高速移送流体は、スロート部76から出口78に向かって流れるに従って膨張する。これにより、移送流体に含まれる作動流体の液滴が伸張され、いくつかのより小さい作動流体の液滴に分裂する。この液滴の分裂が、本発明で利用する微粒化メカニズムの第3段階である。
【0059】
最後に、これらの液滴は、分散相のミストとしてノズル出口78から噴霧される。動作条件によっては、ノズル72を通過する流れがスロート部76とノズル出口78の間の領域で亜音速となる可能性がある。別の方法では、動作条件は、音速領域がスロート部76とノズル出口78の間、ノズル出口78側、または装置10の外部で発生する衝撃波によって終端され、上記領域内の流れがその長さの一部または全部にわたって亜音速となる可能性があることを意味する場合もある。衝撃波が発生するこれらの動作条件では、衝撃波全体の急激な圧力上昇による第4の液滴分裂メカニズムが提供され得る。
【0060】
図10は、スロート部および出口の断面積、およびスロート部と出口の間の等価経路距離が既知であるときに、ノズル72の等価拡がり角度をどのように計算することができるかを概略的に示す。E1は、ノズルスロート部76と同じ断面積を有する円の半径である。E2は、ノズル出口78と同じ断面積を有する円の半径である。距離dは、スロート部76から出口78までの等価経路距離である。角度βは、E2およびE1の頂部を通り、等距離線dの延長線と交わる線を引くことによって計算される。この角度βは、縮尺拡大図から測定することも、半径E1、E2、および距離dを使用して三角法から計算することもできる。次に、この角度βに係数2を乗じて第2の流体通路の等価拡がり角度γを計算することができる(γ=2β)。
【0061】
装置10の最適な性能を得るために、ノズル72のスロート部76と出口78の面積比が1:1.1〜1:28となるように、ノズル72の出口78の断面積をスロート部76の断面積の1.1倍〜28倍大きくすることができることを発見した。ノズル72の出口78の断面積は、最も好ましくはスロート部76の断面積の1.4〜5.5倍大きくすることができ、したがって、ノズル72のスロート部76と出口78の面積比は、最も好ましくは5:7〜2:11となる。スロート部76から出口78までのこのような断面積の増加により、ノズル72に含まれる等価拡がり角度γは1〜40度、角度γは最も好ましくは2〜13度となる。
【0062】
図5に示す装置の試験で得られた性能データを以下の表1に示す。これらの結果は、液滴寸法を測定しデータ解析を実行するレーザ回折式粒子寸法測定システム(laser diffraction particle size system)を使用して取得した。データは、ノズルから3m離れたプルームの中心位置で測定した。その理由は、本測定システムで良好な粒子観察が可能となる位置であったことに加え、ノズルの典型的なプルーム特性も提示されたためである。プルーム内に存在する液滴の寸法を判定した後、このデータを更に解析して、当業界で使用される共通の測定パラメータDv90およびDf90を計算した。Dv90は、噴霧される液体の総体積の90パーセントがこの値以下の直径を有する滴で構成されることを示す。Df90は、噴霧される液滴の総数の90パーセントがこの値以下の直径を有することを示す。
【0063】
この非限定的な試験例では、移送流体として圧縮空気を利用し、作動流体として水を利用した。
【0064】
【表1】
【0065】
図6〜図8は、ミスト発生装置の代替的な実施形態を示す。これらの代替的な実施形態は、それぞれ図2〜図4を参照して既に説明した第1および第2のインサート50、70、およびロック部材90を利用する。したがって、これらの構成部品の各特徴には同じ参照番号が割り当てられており、後述の代替的な実施形態ではこれらの特徴の説明は省略する。
【0066】
後述の代替的な実施形態は、第1および第2のインサート50、70と共に本体20の隔室28内に配置される第3のインサートが設けられる点で、上述の第1の実施形態と異なる。
【0067】
図6に示す装置10’の第2の実施形態では、隔室28内に第1および第2のインサート50、70が挿入される前に、第3のインサート110が挿入される。第3のインサート110は管状であり、外径は、管状部材110と隔室28の内面との間の密閉封止嵌合を達成するように選択される。封止嵌合を補助するために、第3のインサート110の第1の端部112には第1の円周方向溝114が設けられ、第1の円周方向溝114の内部にはOリングシール116が配置される。したがって、第3のインサート110が隔室28内に正しく位置決めされると、第1の端部112およびシール116が移送流体供給管路30の出口34に当接する。インサート110の第2の端部113に隣接する第3のインサート110の外面には、第2の円周方向溝118が設けられる。隔室28の内面に対する第3のインサート110の外面の封止を強化するために、第2の溝118内に更なるOリングシール117が設けられる。
【0068】
本体20には、第3のインサート110を組み込むために一定の改変を加えることができる。隔室28の軸線方向長さは、隔室28内に3つのすべてのインサート50、70、110が配置され得るように増加させることができる。別法として、第1および第2のインサート50、70の軸線方向長さは、3つのすべてのインサートが収容され得る程度に減少させることもできる。必要となり得る別の改変は、作動流体供給管路36を本体20上の異なる軸線方向位置に形成することである。このことは、第3のインサート110を第1のインサート50の上流に配置すると、第1の実施形態の場合よりも第1のインサート50が隔室28に沿って遠い位置に置かれるために必要となる。図6に示すように、供給管路36は位置変更されているが、第1のインサート50は依然として、供給管路36およびチャネル64を介して作動流体を受け取るようになっている。
【0069】
装置10’の第2の実施形態は組立て式であり、第1の実施形態と実質的に同じ様式で動作する。しかしながら、移送流体供給管路30と第1のインサート50の間に管状の第3のインサート110が存在するため、移送流体供給管路30の軸線方向長さが事実上増加している。
【0070】
装置10’’、10’’’の第3および第4の実施形態を図7および図8に示す。これらの実施形態は、補助的なインサートが設けられる点で第2の実施形態の変形例といえる。図7に示す第3の実施形態は、第2の実施形態で使用される第3のインサートと実質的に同一の第3のインサート120を有する。しかしながら、第3の実施形態では、第3のインサート120は、第1のインサート50と第2のインサート70の間に挟まれるように隔室28内に位置決めされる。第2の実施形態の場合と同様に、本体20内の隔室28の軸線方向長さは、3つのすべてのインサートを収容するように延長することができる。第3の実施形態は組立て式であり、第1および第2の実施形態と実質的に同じ様式で動作するが、第1のインサート50と第2のインサート70の間に管状の第3のインサート120が存在するため、第1のインサート50の下流の混合室の軸線方向長さが事実上増加している。
【0071】
図8に示す装置10’’’の第4の実施形態は、本装置の第2の実施形態で使用される構成と第3の実施形態で使用される構成を事実上組み合わせたものである。したがって、第3のインサート130および第4のインサート140は、それぞれ隔室28内の第1のインサート50の上流および下流に配置されている。第3および第4のインサート130、140は管状であり、第2および第3の実施形態で使用される第3のインサートと実質的に同一である。本実施形態のインサートと先述の実施形態の第3のインサートとの間で認められる唯一の差異は、本実施形態のインサートは、4つのすべてのインサートが本体20の隔室28内に収まるように軸線方向長さをより短くすることができる点である。この場合も、本体20は、隔室28の軸線方向長さおよび/または作動流体供給管路36の軸線方向位置をインサートの位置に従って変更するように改変することができる。
【0072】
第4の実施形態は組立て式であり、先述の実施形態と実質的に同じ様式で動作するが、第1のインサート50の両側に第3および第4の管状インサート130、140が存在するため、移送流体供給管路30の軸線方向長さ、および第1のインサート50の下流の混合室の軸線方向長さが事実上増加している。
【0073】
このような長さの異なる補助的な第3のインサートまたは第3および第4のインサートを使用することにより、装置の製造上の複雑さが低減される。例えば、本体またはロック部材の長さを改変する必要なしに、またはそれ自体と作動流体ソースを連結する配管を変更する必要なしに、寸法および長さの異なるノズルまたは第1のインサートを1つまたは複数の補助的なインサートと共に装置の本体内に設置することができる。また、1つ(または複数)の混合室の軸線方向長さを変更することにより、それらの領域内の乱流を変化させることができ、本発明で利用する微粒化メカニズムの第1段階を変更することができる。
【0074】
図9は、先述したミスト発生装置のどの実施形態でも利用可能な改変された第1のインサート150の断面図である。改変された第1のインサート150の基本的な構成は、図2の第1のインサート50と実質的に同じであり、第1および第2のキャビティ53、55は、複数の第1の通路または移送流体通路60a、60bによって互いに流体連結される。内側の第1の通路60aは、インサート150とインサート150が内部に配置される組立て装置によって共有される長手方向軸線Lと同軸になるように、改変されたインサート150の中心に配置される。外側の第1の通路60bは、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lの周りに円周方向に離間され、内側の第1の通路60aおよび長手方向軸線Lと実質的に平行である。
【0075】
改変されたインサート150は、チャネル64が内部に形成される外周面62も有する。チャネル64は、インサート50の周囲全体に延在する。チャネル64からインサート50の半径方向内側に向かって複数の作動流体供給管路66が延在する。供給管路66は、第1の通路60a、60b、および長手方向軸線Lと実質的に直交する。供給管路66は、外側の第1の通路60b間に設けられる周囲空間においてインサート50の半径方向内側に延在する。改変されたインサート150が元の第1のインサートと異なる点は、第2の通路、すなわち作動流体通路が中央の第3のキャビティ170に置き換えられていることである。第3のキャビティ170は、長手方向軸線Lおよび内側の第1の通路60aと同軸である。第3のキャビティ170は、内側の第1の通路60a、各供給管路66、および第2のキャビティ55と流体連通するように形成される。第3のキャビティ170の内径は、内側の第1の通路60aの内径より大きく、第2のキャビティ55の内径より小さい。円周方向リップ172は、第3のキャビティ170が第2のキャビティ55内に開口するポイントで、第3のキャビティ170の壁部から半径方向内側に突出する。
【0076】
第2のキャビティ55から第3のキャビティ170に挿入されるほぼ円形のプラグ152が設けられる。プラグ152は、外径がリップ172の内径より大きいプラグ本体153を有する。したがって、プラグ152が第3のキャビティ170に挿入されると、プラグ本体153がリップ172を押し退け、プラグ本体153とリップ172がスナップフィットする。したがって、リップ172は、プラグ152がキャビティ170から抜け出るのを防止する。フランジ部154は、プラグ本体153から半径方向外側に突出する。フランジ部154の直径は、第3のキャビティ170の内径より大きくなっており、これにより、第3のキャビティ170内へのプラグ152の進入可能範囲が制限される。
【0077】
プラグ152の長手方向には、中央通路が延在する。中央通路は、大径部160aと、小径部160bとを備える。プラグ152が改変されたインサート150内の所定位置に置かれると、第3のキャビティ170および中央通路の大径部160aにより、第1段階混合室151が画定される。第1段階混合室151は、内側の第1の通路60aから移送流体を受け取り、供給管路66から作動流体を受け取る。中央通路の小径部160bは、第1段階混合室151によって受け取られた移送流体および作動流体が第2のキャビティ55によって部分的に画定される主混合室内に流入することを可能にする。
【0078】
相対的に直径が小さい内側の第1の通路60aから直径が大きい第1段階混合室151内に流入した移送流体は、第1段階混合室内で膨張し、乱流を生み出すことになる。第1段階混合室151内に入った作動流体は、この乱流に曝され、これら2つの流体間で発生する摩擦力により、作動流体の少なくとも一部が微粒化される。その後、移送流体および作動流体の流れは、中央通路の小径部160bを経て主混合室の下流へと流れる。したがって、改変された第1のインサート150は、上述した第1のインサートの下流で発生する主混合段階の前に、移送流体および作動流体の初期混合段階を提供する。この初期混合段階では、乱流による混合および液滴分裂による2段階の初期微粒化工程を実行することにより、ノズルの上流で発生する微粒化メカニズムが改善される。
【0079】
複数の移送流体通路を設けることにより、混合室内に続くいくつかの別々の移送流体流路を形成することが可能となる。これらの様々な移送流体流れが混合室内で互いに接触すると、混合室内により大きい量の乱流が生み出される。この増大した乱流により、微粒化された液滴が混合室全体に均一に分散することが保証される。また、乱流レベルが高いということは、液滴が互いに衝突した場合、すなわち液滴表面同士が衝突した場合に発生する内部応力が高くなることを意味し、したがって、それらの内部応力が表面張力を上回る可能性が高くなる。つまり、衝突により、液滴の合一ではなく分裂が生じる可能性が高くなる。半径方向であれ円周方向であれ、移送流体の出口が作動流体の出口を取り囲むように様々な通路を配置することにより、混合室内およびノズルの拡大区間(すなわち、スロート部を過ぎた部分)において液滴のより均一な分散が達成される。これにより、微粒化工程の第3(膨張)段階が可能な限り効果的となることが保証される。
【0080】
複数の作動流体通路を設けると、より多くの流量の作動流体を微粒化することが可能となる。
【0081】
作動流体通路の出口が混合室の外側を向くように位置決めすれば、ウォールストリッピング(wall stripping)メカニズムを最適化することにより、微粒化を促進することができる。ウォールストリッピングでは、移送流体流れにより、混合室の内面に付着した作動流体の膜から液滴が剥ぎ取られ、それに伴って作動流体の膜が徐々に微粒化される。第3のインサートを使用する第3の実施形態の場合と同様に、より長い混合室を設けると作動流体の膜が伸展する表面積が拡大するため、ウォールストリッピングプロセスを改善することができる。
【0082】
移送流体供給管路、移送流体通路、およびノズル通路は比較的広くなり、内部の制約が最小限に抑えられる。その結果、関連する通路が移送流体に含まれる粒子状物質によって遮断されることを心配せずに、粒子状物を含む流体を移送流体として使用することが可能となる。
【0083】
装置を少数の構成部品から形成することにより、本発明は、簡略化された製造工程を実現する。個々の構成部品自体も既存の装置と比較して複雑さが低減され、製造コストの点で有利である。また、インサートは本体に嵌合され、ロック部材によって所定位置に保持されるので、各構成部品の製造時に要求される機械加工公差を低くすることができる。
【0084】
外側の第1の流体通路は、長手方向軸線Lと必ずしも平行である必要はない。その代わりに、外側の第1の流体通路は、長手方向軸線Lに対して角度をもたせることができる。換言すると、各外側の第1の流体通路の入口および出口を軸線Lに対して異なる半径方向位置に置くことができる。更に、第1の流体通路は、必ずしも実質的に一定の直径を有する必要はない。第1の流体通路は、直径が減少した部分および/または直径が増加した部分を有することができる。第1の流体通路は、ほぼ涙滴形の断面だけでなく、代替的にほぼ円形の断面を有することも楕円形の断面を有することもできる。
【0085】
3組以上の第1の流体通路を存在させることもできる。例えば、第3組の第1の流体通路は、内側および外側の第1の流体通路よりも大きい軸線Lからの半径方向距離において、それら内側および外側の第1の流体通路の周りに円周方向に延在させることができる。
【0086】
そうすることが好ましいとはいえ、第2の流体通路は、必ずしも内側の第1の流体通路と外側の第1の流体通路の間に半径方向に配置する必要はない。第2の流体通路は、第2の流体通路が外側の第1の流体通路対の間に位置するように、また、第2の流体通路と外側の第1の流体通路とが長手方向軸線Lの周りに円周方向に交互に置かれるように、半径方向と円周方向に配置することができる。換言すると、第1の流体通路の出口が第2の流体通路の出口を円周方向に取り囲むことになる。
【0087】
第2の流体通路は、混合室の上流の第2の流体通路内で微粒化が開始されるように、第1のインサート内で外側の第1の流体通路と流体連結させることもできる。
【0088】
第2の流体通路は、それぞれの内部に乱流発生構成部品を含むことができる。この構成部品は、例えば通路の内側のテーパ端縁の形をとることができる。
【0089】
第2の流体通路は、長手方向軸線Lと必ずしも平行である必要はない。その代わりに、第2の流体通路は、長手方向軸線Lに対して角度をもたせることができる。換言すると、各第2の流体通路の入口および出口を軸線Lに対して異なる半径方向位置に置くことができる。更に、第2の流体通路は、必ずしも実質的に一定の直径を有する必要はない。第2の流体通路は、直径が減少した部分および/または直径が増加した部分を有することができる。第2の流体通路は、ほぼ円形の断面を有することも、代替的に楕円形の断面を有することもできる。
【0090】
3組以上の第2の流体通路を存在させることもできる。例えば、第3組の第2の流体通路は、内側および外側の組の第2の流体通路よりも大きい軸線Lからの半径方向距離において、それら内側および外側の組の第2の流体通路の周りに円周方向に延在させることができる。
【0091】
上述の装置の好ましい実施形態は本体内に1つの作動流体入口のみを有するが、本体の側壁の周りに円周方向に離間された複数の作動流体入口が存在する可能性もある。各作動流体入口は、第1のインサートの周囲に延在するチャネルと流体連通することができる。
【0092】
図9に示す改変された第1のインサート内で利用されるプラグには、第1段階混合室と第2のキャビティを連結する複数の補助通路を設けることができる。これらの補助通路は、中央通路の小径部の周りに円周方向に離間させることができる。これらの補助通路は、中央通路の小径部に対して2つ以上の半径方向位置に置くことができる。
【0093】
第3のインサートまたは第3および第4のインサートを利用する実施形態では、いくつかの作動流体供給管路を本体に沿った様々な位置に設けることができる。これらの供給管路は、上記の補助的なインサートの存在により、第1のインサートのチャンバに沿った軸線方向位置により、必要に応じて閉止することも、作動流体供給源と連結することもできる。別法として、第1および第3のインサートは、第1のインサートの円周方向の供給チャネルが長手方向に延在し、第1のインサートの前部と共に第3のインサートの一部分も覆うよう連続的に延在するような形状とすることができる。つまり、本体内には単一の作動流体供給管路が設けられる可能性があるが、第1のインサートがこの管路から軸線方向に離間されている場合も、第3のインサートの存在により、この管路は依然として第1のインサートに作動流体を供給することができる。
【0094】
本装置の更なる改変は、第2の流体通路が移送流体の供給源に向かって上流に面するように、第1のインサートの向きを変えることである。この場合、反対方向に流れる作動流体および移送流体は、本体と第1のインサートの間に画定される混合室内で互いに接触することになる。作動流体は混合室内で微粒化され、その後、移送流体は、分散した作動流体を第1のインサート内の第1の流体通路を利用して下流のノズルまで搬送する。このように改変された装置では、本体と第1のインサートの間に第3の管状インサートも配備することができ、それによって本体と第1のインサートの間に画定される混合室の寸法を縮小することができる。混合室をこのように延長することにより、混合室内の乱流による混合を促進することができる。
【0095】
最も単純な形態では、本発明の装置は、複数の移送流体通路と、混合室内および混合室の下流のノズル内に開口する少なくとも1つの作動流体通路と、を備える。この構成のみが与えられる場合も、本明細書のいずれかの箇所で列挙した利点の1つまたは複数を実現することができる。したがって、本発明の好ましい実施形態の上記の説明には、様々な通路群およびそれらの通路の相対的な好ましい半径方向位置および円周方向位置が記載されているが、これらの組み合わせは本発明の正常な作用にとって不可欠なものではないことを理解されたい。上述の本発明の好ましい実施形態は複数の作動流体通路を備えるが、本発明は、複数の作動流体通路に限定されない。本発明は、1つまたは複数の作動流体通路を有する限り、本明細書に列挙した利点のうちの1つまたは複数を実現することができる。更に、好ましい実施形態は長手方向軸線Lと同軸である内側の移送流体通路を有するが、本発明は、このような内側の移送流体通路を有することにも限定されない。本発明は、移送流体通路が長手方向軸線Lの周りに円周方向にのみ離間される場合も効果を奏する。
【0096】
本発明の詳細な説明で既に述べたが、移送流体は空気に限らない。その他の適切な流体例としては、窒素、ヘリウムおよび蒸気が挙げられる。同様に、水は、本発明と共に使用され得る唯一の適切な作動流体というわけではない。除毒剤、界面活性剤、抑制剤のような添加剤を含むその他の流体も、作動流体としての使用に適している。
【0097】
本発明は、本発明の範囲から逸脱しない上記および他の改変例および改良例を含む可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
前記作動流体供給管路出口と流体連通する第1の混合室と、
移送流体の供給源を受けるように構成された入口、および前記混合室と流体連通する出口をそれぞれ有する複数の移送流体通路と、
前記混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と流体連通する入口、および前記混合室と流体連通する出口を有する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、長手方向軸線を有し、前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置される、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備える、装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の装置であって、複数の作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路および前記移送流体通路は、前記装置の前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、複数の作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間される、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置される、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記各作動流体通路はそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置され、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りで円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置であって、前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備え、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路は、いずれも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は、前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備え、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備え、前記連通路の断面積は、前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい、装置。
【請求項12】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体入口および移送流体入口が画定される第1の端部、および隔室が画定される第2の端部を有する本体であって、前記隔室は、前記作動流体入口および前記移送流体入口と流体連通する第1の端部、および開口した第2の端部を有する、本体と、
前記隔室の前記開口端部内に受けられるように構成される第1のインサートであって、前記作動流体入口と流体連通する少なくとも1つの作動流体供給管路、および前記移送流体入口と流体連通する複数の移送流体通路を画定する第1のインサートと、
前記隔室内の、前記第1のインサートと前記隔室の前記開口端部との間に受けられるように構成され、断面積が減少したスロート部を有するノズルを画定する第2のインサートであって、前記第1のインサートおよび前記第2のインサートは、前記第1のインサートと前記第2のインサートの間の、前記作動流体通路、前記移送流体通路、および前記ノズルの中間の位置に、第1の混合室を画定する、第2のインサートと、
前記第1のインサートおよび前記第2のインサートが前記隔室内に固定されるようにするために、前記第2のインサートおよび前記本体の前記第2の端部上で受けられるように構成されたロック部材と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と流体連通する入口、および前記第1の混合室と流体連通する出口を有する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記装置および前記第1のインサートは長手方向軸線の周りに同軸に置かれ、前記第1のインサート内に画定される前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置される、装置。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置であって、前記第1のインサート内に画定される前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備える、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定し、前記作動流体通路および前記移送流体通路は前記第1のインサートの前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置であって、前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定し、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間される、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置される、装置。
【請求項19】
請求項17に記載の装置であって、前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備え、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路は、いずれも前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい、装置。
【請求項20】
請求項12に記載の装置であって、前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備え、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備え、前記連通路の断面積は、前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい、装置。
【請求項22】
ミストを発生させる方法であって、
加圧された作動流体を少なくとも1つの作動流体供給管路に供給するステップと、
移送流体の供給源を、複数の移送流体通路を経て前記作動流体供給管路の下流の第1の混合室内に導入するステップと、
前記作動流体供給管路から前記第1の混合室内に作動流体流を注入することにより前記作動流体を微粒化して分散相の作動流体液滴を形成するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記第1の混合室から断面積が減少したノズルスロート部を通過するように送出するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記ノズルスロート部よりも断面積が大きいノズル出口から噴霧するステップと、
を有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記混合室は長手方向軸線を有し、前記移送流体の一部分は、前記作動流体が導入される位置よりも前記長手方向軸線からの半径方向距離が小さい位置で、前記混合室内に導入される、方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記移送流体の一部分は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路を介して前記混合室内に導入され、残りの前記移送流体は、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路を介して導入される、方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記作動流体は、前記作動流体を前記複数の移送流体通路と前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化される、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記作動流体は、前記作動流体を前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間された複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化される、方法。
【請求項27】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
移送流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの移送流体供給管路と、
前記作動流体供給管路の前記出口および前記移送流体供給管路の前記出口とそれぞれ流体連通する第1の混合室と、
前記第1の混合室と流体連通する第2の混合室と、
前記第1の混合室と前記第2の混合室を連結する複数の連通路と、
前記第2の混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路は前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、前記少なくとも1つの作動流体通路および前記少なくとも1つの移送流体供給管路は実質的に反対方向から前記第1の混合室と連通する、装置。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか一項に記載の装置であって、長手方向軸線を有し、前記複数の連通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側連通路と、前記内側連通路の周りに円周方向に離間された複数の外側連通路と、を備える、装置。
【請求項1】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
前記作動流体供給管路出口と流体連通する第1の混合室と、
移送流体の供給源を受けるように構成された入口、および前記混合室と流体連通する出口をそれぞれ有する複数の移送流体通路と、
前記混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と流体連通する入口、および前記混合室と流体連通する出口を有する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、長手方向軸線を有し、前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは、前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置される、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備える、装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の装置であって、複数の作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路および前記移送流体通路は、前記装置の前記長手方向軸線の周りに円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置であって、複数の作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間される、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置される、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記各作動流体通路はそれぞれ1対の前記外側移送流体通路間に配置され、前記作動流体通路および前記外側移送流体通路は前記内側移送流体通路の周りで円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置であって、前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備え、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路は、いずれも前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は、前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備え、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備え、前記連通路の断面積は、前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい、装置。
【請求項12】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体入口および移送流体入口が画定される第1の端部、および隔室が画定される第2の端部を有する本体であって、前記隔室は、前記作動流体入口および前記移送流体入口と流体連通する第1の端部、および開口した第2の端部を有する、本体と、
前記隔室の前記開口端部内に受けられるように構成される第1のインサートであって、前記作動流体入口と流体連通する少なくとも1つの作動流体供給管路、および前記移送流体入口と流体連通する複数の移送流体通路を画定する第1のインサートと、
前記隔室内の、前記第1のインサートと前記隔室の前記開口端部との間に受けられるように構成され、断面積が減少したスロート部を有するノズルを画定する第2のインサートであって、前記第1のインサートおよび前記第2のインサートは、前記第1のインサートと前記第2のインサートの間の、前記作動流体通路、前記移送流体通路、および前記ノズルの中間の位置に、第1の混合室を画定する、第2のインサートと、
前記第1のインサートおよび前記第2のインサートが前記隔室内に固定されるようにするために、前記第2のインサートおよび前記本体の前記第2の端部上で受けられるように構成されたロック部材と、を備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と流体連通する入口、および前記第1の混合室と流体連通する出口を有する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、前記装置および前記第1のインサートは長手方向軸線の周りに同軸に置かれ、前記第1のインサート内に画定される前記移送流体通路出口のうちの少なくとも1つは前記作動流体通路出口よりも短い前記長手方向軸線からの半径方向距離に配置される、装置。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置であって、前記第1のインサート内に画定される前記複数の移送流体通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路と、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路と、を備える、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定し、前記作動流体通路および前記移送流体通路は前記第1のインサートの前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる、装置。
【請求項17】
請求項15に記載の装置であって、前記第1のインサートは複数の作動流体通路を画定し、前記作動流体通路は前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間される、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、前記作動流体通路は、前記内側移送流体通路と前記外側移送流体通路の間で半径方向に配置される、装置。
【請求項19】
請求項17に記載の装置であって、前記複数の作動流体通路は、内側作動流体通路と、外側作動流体通路と、を備え、一群の前記内側作動流体通路および一群の前記外側作動流体通路は、いずれも前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間され、前記外側作動流体通路は前記内側作動流体通路よりも前記内側移送流体通路からの半径方向距離が大きい、装置。
【請求項20】
請求項12に記載の装置であって、前記第1のインサートは、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する第2の混合室を更に備え、前記移送流体通路のうちの少なくとも1つは前記第2の混合室と流体連通し、残りの前記移送流体通路は前記第1の混合室と流体連通する、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、前記第1の混合室と前記第2の混合室との間の連通路を更に備え、前記連通路の断面積は、前記第1の混合室と前記第2の混合室のどちらの断面積よりも小さい、装置。
【請求項22】
ミストを発生させる方法であって、
加圧された作動流体を少なくとも1つの作動流体供給管路に供給するステップと、
移送流体の供給源を、複数の移送流体通路を経て前記作動流体供給管路の下流の第1の混合室内に導入するステップと、
前記作動流体供給管路から前記第1の混合室内に作動流体流を注入することにより前記作動流体を微粒化して分散相の作動流体液滴を形成するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記第1の混合室から断面積が減少したノズルスロート部を通過するように送出するステップと、
前記移送流体および前記分散相の作動流体を、前記ノズルスロート部よりも断面積が大きいノズル出口から噴霧するステップと、
を有する方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記混合室は長手方向軸線を有し、前記移送流体の一部分は、前記作動流体が導入される位置よりも前記長手方向軸線からの半径方向距離が小さい位置で、前記混合室内に導入される、方法。
【請求項24】
請求項22または23に記載の方法であって、前記移送流体の一部分は、前記長手方向軸線と同軸である内側移送流体通路を介して前記混合室内に導入され、残りの前記移送流体は、前記内側移送流体通路の周りに円周方向に離間された複数の外側移送流体通路を介して導入される、方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、前記作動流体は、前記作動流体を前記複数の移送流体通路と前記長手方向軸線の周りで円周方向に交互に置かれる複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化される、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記作動流体は、前記作動流体を前記内側移送流体通路の周りで円周方向に離間された複数の作動流体通路を通過させることによって微粒化される、方法。
【請求項27】
ミストを発生させる装置であって、
作動流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの作動流体供給管路と、
移送流体の供給源と流体連通する入口、および出口を有する少なくとも1つの移送流体供給管路と、
前記作動流体供給管路の前記出口および前記移送流体供給管路の前記出口とそれぞれ流体連通する第1の混合室と、
前記第1の混合室と流体連通する第2の混合室と、
前記第1の混合室と前記第2の混合室を連結する複数の連通路と、
前記第2の混合室と流体連通するノズル入口、ノズル出口、および前記ノズル入口と前記ノズル出口の中間に位置し、断面積が前記ノズル入口と前記ノズル出口のどちらの断面積よりも小さいスロート部を有するノズルと、を備えることを特徴とする装置。
【請求項28】
請求項27に記載の装置であって、前記作動流体供給管路と前記第1の混合室の中間に位置する少なくとも1つの作動流体通路を更に備え、前記作動流体通路は前記供給管路と流体連通する入口を有し、前記作動流体通路の直径は前記供給管路の直径よりも小さい、装置。
【請求項29】
請求項28に記載の装置であって、前記少なくとも1つの作動流体通路および前記少なくとも1つの移送流体供給管路は実質的に反対方向から前記第1の混合室と連通する、装置。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか一項に記載の装置であって、長手方向軸線を有し、前記複数の連通路は、前記長手方向軸線と同軸である内側連通路と、前記内側連通路の周りに円周方向に離間された複数の外側連通路と、を備える、装置。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−523893(P2011−523893A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512225(P2011−512225)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050626
【国際公開番号】WO2009/147443
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510322085)パスート ダイナミックス ピーエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】PURSUIT DYNAMICS PLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050626
【国際公開番号】WO2009/147443
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510322085)パスート ダイナミックス ピーエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】PURSUIT DYNAMICS PLC
【Fターム(参考)】
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