説明

改良された寸法安定性を有する生物分解性フォーム

本発明は、二酸化炭素と、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物、からなる群から選択される共発泡剤又は発泡剤とを混合することを含む、発泡剤組成物及びそれを作成する方法を提供する。それらの発泡剤組成物を使用して低密度フォームを作成する方法、並びに、発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物とその発泡剤組成物とから形成される生物分解性又は生物再生可能性フォームもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低密度フォームのための発泡剤の配合物、それらを作成する方法、及びそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO2)が、発泡熱可塑性プラスチック又はポリマーフォームを製造するための一般的な発泡剤として使用されている。特に二酸化炭素は、それが不活性な性質及び低い地球温暖化係数(GWP)を有しているために、環境的に受容可能な発泡剤として認識されている。しかしながら、特に低密度フォームの製造においては、二酸化炭素及びその他の一般的に使用されている発泡剤には限界が存在している。低密度フォームでは、受容不能な製造後のセル崩壊(post−production collapse)という問題が起きることが多い。別の言い方をすれば、フォームの構造、例えば独立セル(closed cell)が収縮して、フォームの体積が低下する。この現象は、部分的には、二酸化炭素又はその他の発泡剤が、発泡製品から速やかに拡散してしまうためである可能性がある。したがって、二酸化炭素及びその他の一般的な発泡剤は多くの場合、フォームのセル崩壊を最小限にしたり、防止したりするための十分な機械的強度を有する、高密度フォームを発泡させる目的に限定される。別な方法として、添加剤を使用したり、ポリマー構造に低密度フォームの寸法安定性を維持又は改良するための改良を加える必要があったりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の組成物によって、改良された寸法安定性を有する低密度フォームが得られ、ポリマーに対する変性や添加剤の添加をする必要もないことが判った。本発明の態様には、そのような組成物、それらの組成物を作成する方法、及びそれらの発泡剤を使用する方法が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態においては、発泡剤組成物は、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、を含む。
【0005】
本発明のまた別な実施形態においては、発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物並びに、二酸化炭素とハロゲン化発泡剤、例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤とを含む発泡剤組成物から、生物分解性又は生物再生可能性フォームが形成される。
【0006】
本発明のまた別な実施形態においては、発泡剤組成物を作成する方法は、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、を混合することを含む。
【0007】
本発明のまた別な実施形態においては、発泡剤組成物を使用して低密度フォームを作成する方法には、以下の工程が含まれる:(a)発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させる工程であるが、ここでその発泡剤には、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、が含まれる工程;及び(b)その膨張性樹脂組成物の発泡を開始させる工程。
【0008】
本発明のまた別な実施形態においては、発泡剤組成物を使用してフォーム組成物を作成する方法には、以下の工程が含まれる:(a)発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させる工程であるが、ここでその発泡剤には、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、が含まれる;(b)その膨張性樹脂組成物を冷却する工程;及び(c)その膨張性樹脂組成物を押出加工する工程。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】3.5pcf未満の初期密度を有するフォームにおける、初期フォーム密度と48時間エージング後のフォーム密度とをプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の態様には、低密度で寸法的に安定なフォームを製造するための発泡剤組成物、それらの組成物を作成する方法、及びそれらの発泡剤を使用する方法が含まれる。
【0011】
本明細書で使用するとき、「発泡剤」という用語には、物理的発泡剤(例えば、溶解させたガス状の薬剤)又は化学的発泡剤(例えば、分解によって発生するガス)が含まれると理解されたい。発泡剤は、一般的には、例えば押出機中で溶融ポリマーに添加され、適切な条件下で発泡が開始し、発泡熱可塑性プラスチックが製造される。発泡剤が樹脂を膨張させて、セル(例えば、連通又は独立の細孔)を形成する。樹脂が硬化する(harden又はcure)につれて、発泡剤がセルの中に閉じ込められ、又は周囲の空気がセルの中の発泡剤と置き換わることで、フォームが製造される。本明細書に記載される発泡剤は、当業者には理解されているように、環境的に受容可能な(例えば、それらが一般的に環境に対して安全である)発泡剤であることが好ましい。
【0012】
本明細書で使用するとき、「フォーム」という用語には、熱可塑性ポリマーフォーム、発泡熱可塑性プラスチック、発泡樹脂、及びポリマーフォームが含まれ、それらは区別なく使用されると理解されたい。本明細書に記載される「フォーム(単数又は複数)」とは、一般には、得られた生成物をいう。それらのフォームは、当業者には公知のように、連通(open)、半連通(partially−open)、又は独立(closed)構造を有していてもよく、そのフォームが半連通又は独立セル構造を有していることが好ましく、そのフォームが独立セル構造を有することが、より好ましい。それらのフォームは、「生物分解性(biodegradable)及び/又は生物再生可能性(biorenewable)熱可塑性プラスチック」とみなされるが、その理由は、それらが時間の経過と共に化学的に分解されるか、又はそれらが再生可能な資源から製造されているからである。
【0013】
本明細書で使用するとき、「寸法的に安定な(dimensionally stable)」及び「寸法安定性(dimensional stability)」という用語は、区別なく使用され、最終的な形態におけるフォーム製品の状態を説明するものである。寸法的に安定なフォームは、製造後のセル崩壊やフォーム構造の「クラッシュ(crush)」(例えば、フォームが製造された後の)を起こすことはなく、或いは最小限の影響しか受けないと考えられる。製造後のセル崩壊は、フォームを製造した後、各種の経過時間で起きる可能性がある(例えば、硬化プロセス中、又はそれよりもある程度の時間が経過してから)。寸法的に安定なフォームは、好ましくはエージング後に初期フォーム体積(又は密度)を基準にして約50%未満、より好ましくはエージング後に初期フォーム体積(又は密度)を基準にして約20%未満、さらにより好ましくはエージング後に初期フォーム体積(又は密度)を基準にして約10%未満、さらにより好ましくはエージング後に初期フォーム体積(又は密度)を基準にして約5%未満、そしてさらにより好ましくはエージング後に初期フォーム体積(又は密度)を基準にして約2%未満、の体積(又は密度)変化率を有する。体積の減少を示すフォームは、それに相当する密度の増加を示すであろう。
【0014】
本明細書で使用するとき、「密度」という用語は、物質の単位体積あたりの質量を意味すると理解されたい。本明細書に記載される「低密度」フォームは、一般的には約50kg/m3以下、好ましくは約32kg/m3以下、より好ましくは約25kg/m3以下の密度を有する。「高密度」フォームには、より高い密度のフォームが含まれると理解されたい。
【0015】
本明細書で使用するときに、特に断らない限り、発泡剤又はフォーム組成物の構成成分又は成分の値は、その組成物中のそれぞれの成分の重量パーセント又は重量%で表すものとする。表記された数値には、表記された末端の数値まで含まれる。
【0016】
本発明の一つの態様においては、発泡剤組成物は、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、を含む。
【0017】
発泡剤には二酸化炭素が含まれる。二酸化炭素は、液状又はガス状の形態で導入してもよいし(例えば、物理的発泡剤)、あるいは、フォームを製造中に現場で発生させてもよい(例えば、化学的発泡剤)。例えば、発泡熱可塑性プラスチックの製造中に、他の構成成分を分解させることによって、二酸化炭素を形成させてもよい。例えば、炭酸塩組成物又は重炭酸を発泡性樹脂に添加して、押出加工プロセスの際に加熱することによって二酸化炭素を発生させることができる。二酸化炭素は一般的な発泡剤であるので、単一の発泡剤として使用されることも多い。低密度フォームを製造する際に二酸化炭素を単一の発泡剤として使用すると、製造後にセル崩壊の問題を起こすことが多いということは、これまでに知られていた。驚くべきことには、二酸化炭素を他の選択した共発泡剤と組み合わせると、製造後のセル崩壊の問題が最小限になるか、又は回避される。
【0018】
したがって、その発泡剤組成物は、二酸化炭素に加えて共発泡剤も含む。その共発泡剤は、低放散性の共発泡剤であってもよい。その共発泡剤は、ハロゲン化発泡剤、例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物、からなる群から選択することができる。
【0019】
本明細書で使用するときに、「ハロゲン化発泡剤」という用語には、ハロゲン元素(周期律表の第17族)を含む発泡剤が含まれる。「ヒドロフルオロカーボン」と「HFC」とは、言い換え可能な用語であり、水素、炭素、及びフッ素を含む有機化合物を指す。その化合物には、フッ素以外のハロゲンは実質的には含まれない。「ヒドロクロロフルオロカーボン」と「HCFC」とは、言い換え可能な用語であり、水素、炭素、塩素、及びフッ素を含む有機化合物をいう。「ヒドロフルオロエーテル」と「HFE」とは、言い換え可能な用語であり、水素、フッ素、及び1個又は複数のエーテル基を含む有機化合物をいう。「ヒドロフルオロオレフィン」と「HFO」とは、言い換え可能な用語であり、水素、フッ素、及び1個又は複数の炭素−炭素二重結合を含む有機化合物をいう。「ヒドロクロロフルオロオレフィン」と「HCFO」とは、言い換え可能な用語であり、水素、塩素、フッ素、及び1個又は複数の炭素−炭素二重結合を含む有機化合物をいう。「ヒドロブロモフルオロオレフィン」と「HBFO」とは、言い換え可能な用語であり、水素、臭素、フッ素、及び1個又は複数の炭素−炭素二重結合を含む有機化合物をいう。「ヒドロフルオロケトン」と「HFK」とは、言い換え可能な用語であり、水素、フッ素、及び1個又は複数のケトン基を含む有機化合物をいう。「ヒドロクロロオレフィン」と「HCO」とは、言い換え可能な用語であり、水素、塩素、及び1個又は複数の炭素−炭素二重結合を含む有機化合物をいう。「フルオロヨードカーボン」と「FIC」とは、言い換え可能な用語であり、フッ素及びヨウ素を含む有機化合物をいう。
【0020】
本発明の実施形態においては、ヒドロフルオロカーボン(HFC)としては、以下のものが挙げられる:HFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、HFC−134(1,1,2,2−テトラフルオロエタン)、HFC−125(ペンタフルオロエタン)、HFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)、HFC−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFC−143(1,1,2−トリフルオロエタン)、HFC−227ea(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)、HFC−245fa(1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−245ca(1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)、HFC−4310mee(1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン)、及びそれらの混合物。好ましい実施形態においては、そのHFCが、C2〜C6フッ素含有アルカン、好ましくはC2〜C3フッ素含有アルカンである。そのフッ素含有アルカンは、直鎖状の炭素鎖、例えばフッ素化エタン又はフッ素化プロパンであってもよいし、あるいは環状アルカン、例えばフッ素化プロパンであってもよい。好ましい実施形態においては、そのHFCがHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)であるが、このものは不燃性である。また別の好ましい実施形態においては、そのHFCが、HFC−152a(1,1−ジフルオロフルオロエタン)であるが、このものは可燃性ではあるが、150未満のGWPを有している。
【0021】
ヒドロフルオロオレフィン(HFO)としては、C2〜C6HFO、好ましくはC3〜C4HFOが挙げられる。ヒドロフルオロオレフィン(HFO)として特には、以下のものが挙げられる:HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1234ze(E−及び/又はZ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1243zf(3,3,3−トリフルオロプロペン)、HFO−1225ye(E−及び/又はZ−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)、HFO−1336mzz(E−及び/又はZ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブテ−2−エン)、及びそれらの混合物。好ましい実施形態においては、そのHFOが、HFO−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFO−1243zf(3,3,3−トリフルオロプロペン)、又はHFO−1234ze(E−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)である。
【0022】
ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)としては、C3〜C6HCFO、好ましくはC3〜C4HCFO、より好ましくはクロロフルオロプロペン及びジクロロフルオロプロペン、さらにより好ましくはモノクロロトリフルオロプロペンが挙げられる。本発明の実施形態においては、HCFOの塩素原子は不飽和炭素に結合している。ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)として特に、HCFO−1233zd(E−及び/又はZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、HCFO−1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)が挙げられる。好ましい実施形態においては、そのHCFOが、HCFO−1233zd(E−及び/又はZ−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)、より好ましくはtrans−HCFO−1233zd(E−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)である。
【0023】
ヒドロフルオロエーテル(HFE)としては、以下のものが挙げられる:HFE−125(ペンタフルオロジメチルエーテル)、HFE−134(1,1,1’,1’−テトラフルオロジメチルエーテル)、HFE−143a(1,1,1−トリフルオロエタン)、HFE−152a(ジフルオロメチルメチルエーテル)、HFE−245fe2(1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル)、HFE−356mff2(ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル)、HFE−7200(C49OC25)、HFE−7100(C49OCH3)、及びHFE−356mec(1,1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−3−メトキシプロパン)。
【0024】
好ましい実施形態においては、そのヒドロクロロオレフィンとしては、例えば、trans−1,2−ジクロロエチレンが挙げられる。そのアルキルエステルとしては、例えば、ギ酸アルキルが挙げられる。好ましいギ酸アルキルとしては、例えば、ギ酸エチル及びギ酸メチル、より好ましくはギ酸メチルが挙げられる。好ましいフルオロヨードカーボンとしては、例えば、トリフルオロヨードメタンが挙げられる。
【0025】
一つの実施形態においては、その共発泡剤が、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロケトン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、臭素化ヒドロフルオロオレフィン(ヒドロブロモフルオロオレフィンとも呼ばれる)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。例示的実施形態においては、その環境的に受容可能な共発泡剤が、ヒドロフルオロオレフィン、及びヒドロクロロフルオロオレフィン、並びにそれらの混合物である。
【0026】
例示的実施形態においては、その共発泡剤は、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(trans−HFO−1234ze)、trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(trans−HCFO−1233zd)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい実施形態においては、その共発泡剤が1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)である。また別の好ましい実施形態においては、その共発泡剤が、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)である。また別の好ましい実施形態においては、その共発泡剤が、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)である。
【0027】
特に好適な共発泡剤は、低い地球温暖化係数(GWP)を有する。例えば、ヒドロフルオロオレフィンが低いGWPを一般的に示すことは公知である。したがって、150未満、好ましくは50未満、より好ましくは20未満のGWPを有する共発泡剤を選択するのが望ましい。特に、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(trans−HFO−1234ze)、及びそれらの混合物は、有利には、低いGWP値を有する。さらに、共発泡剤はVOCを含まない(すなわち、揮発性有機化合物を含まない)か、又は最小限のVOC放出性しか有していないことが考えられる。
【0028】
一つの例示的実施形態においては、共発泡剤は、大気圧下で30℃未満、より好ましくは14℃未満の沸点を有する。特に、その共発泡剤は1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)であるが、このものは−26.3℃(−15.34゜F)の沸点を有している。特に、共発泡剤は3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)であるが、このものは約−22℃(−7.6゜F)の沸点を有している。特に、その共発泡剤は2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)であるが、このものは約−28.5℃(−19.3゜F)の沸点を有している。特には、その共発泡剤はtrans−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(E−HFO−1234ze)であるが、このものは約−16℃(3.2゜F)の沸点を有している。所望の寸法安定性を有するフォームを形成する発泡剤組成物を得るために、より高い沸点を有する共発泡剤を含む必要はない。
【0029】
本明細書において記載したように、特に二酸化炭素を共発泡剤と共に選択すると、寸法的に安定な、低密度フォーム製品を製造することが可能となる。公知の発泡剤又は典型的な組合せの発泡剤から作成した低密度フォームは、劣った寸法安定性しか有さないが、その理由は、時間の経過と共にフォームの体積が小さくなる(すなわち、フォームのセル崩壊が起きる)からである。例えば、二酸化炭素単独で8重量%まで発泡剤含量を高くすると、最初は低密度であるが、寸法的に不安定で、エージングの間に顕著なフォームのセル崩壊を示すフォームが得られる。一般的な発泡剤を使用して低密度フォームを製造するためには、添加剤をポリマーに組み合わせるか、又は得られるフォーム構造を安定化させるように、形成又は硬化の際にポリマー構造に変化を起こさせる。寸法安定性を改良するためにポリマーフォームに添加される、公知の典型的な添加剤としては、カーボンナノ粒子、ナノクレー、ナノグラファイト、ガラス繊維などが挙げられる。しかしながら、本明細書に記載の特定の発泡剤を選択すると、ポリマー構造そのものに修正や添加を一切しなくても、高い寸法安定性を有する低密度フォームを製造することが可能となるということが発見された。それらの低密度フォームは、公知の発泡剤を新規な組合せで使用して製造することができるが、驚くべきことには、経時的な製造後のセル崩壊が起きない、高度に安定したフォームが得られる。
【0030】
特に、二酸化炭素対共発泡剤の重量比は、約(0.1:1)から(1:0.01)まで、好ましくは(0.5:1)から(1:0.1)まで、より好ましくは(0.6:1)から(1:0.1)までの範囲の二酸化炭素対共発泡剤を有する発泡剤組成物を使用して、高度に寸法的に安定なフォームを生成させることができる。発泡剤の適切な量は、使用する樹脂組成物の量を基準にして決めればよい。本発明の一つの実施形態においては、二酸化炭素を、発泡性樹脂組成物の約15重量%未満の量で存在させる。また別な実施形態においては、共発泡剤を、発泡性樹脂組成物の約15重量%未満の量で存在させる。また別な実施形態においては、共発泡剤を、発泡性樹脂組成物の約9重量%未満の量で存在させる。好ましい実施形態においては、二酸化炭素を、約3〜15重量%、好ましくは4〜12重量%、最も好ましくは約5〜10重量%の量で存在させ、共発泡剤を、約1〜5重量%、より好ましくは約2〜3重量%の量で存在させる。特には、二酸化炭素を約3〜8重量%の量で存在させ、そして共発泡剤を約1.5〜5重量%の量で存在させるのがよい。また別な実施形態においては、存在させる発泡剤の合計量が、約15重量%未満である。また別な実施形態においては、存在させる発泡剤の合計量が、約5〜15重量%の間である。
【0031】
本発明の実施形態においては、発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物並びに、二酸化炭素とハロゲン化発泡剤、例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤とを含む発泡剤組成物から、生物分解性又は生物再生可能性フォームが形成される。それらの樹脂及びフォームは、「生物分解性及び/又は生物再生可能性」とみなされるが、その理由は、それらが時間の経過と共に化学的に分解されるか、又はそれらが再生可能な資源から製造されているからである。その生物分解性及び/又は生物再生可能性の樹脂は、生物再生可能性又は生物分解性とはみなされない追加ポリマー(additional polymer)との混合物又はブレンド物として使用してもよい。そのような追加ポリマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる:ポリアルケニル芳香族ポリマー、例えば、ポリスチレン及びスチレン−アクリロニトリル、ポリオレフィン例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、アクリル樹脂例えば、ポリメタクリル酸メチル及びポリアクリル酸ブチル、及びコポリマー、並びにそれらの混合物。本発明の樹脂は、生物分解性/生物再生可能性の樹脂と追加ポリマーとを、好ましくは、生物分解性/生物再生可能性の樹脂対追加ポリマーの重量比で約(1:1)又はそれ以上で、より好ましくは、生物分解性/生物再生可能性の樹脂対追加ポリマーの重量比で(3:1)又はそれ以上、さらにより好ましくは、生物分解性/生物再生可能性の樹脂対追加ポリマーの重量比で(9:1)又はそれ以上で含む。
【0032】
ある種の熱可塑性プラスチックでは、フォームの構造的なセル崩壊に関しては、挙動が異なっていることが見出された。例えば、ポリスチレンは、ポリ乳酸と同程度のセル崩壊を示すことはない。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、異なったタイプの熱可塑性プラスチックの間での一つの差は、部分的には、その樹脂組成物に添加することが可能な発泡剤の量及びその発泡剤がフォームからどれだけ速やかに拡散してしまうかの速度に起因する可能性がある。例えば、二酸化炭素のポリスチレン中への溶解性と拡散性は、ポリ乳酸の場合よりは低いと考えられている。理論に束縛されることを望むものではないが、空気がフォームの中に拡散で入ってくるよりも、二酸化炭素が拡散してフォームから出て行く方が早いと、フォーム構造のセル崩壊がもたらされるということが考えられる。したがって、本発明の実施形態は、比較的極性の高い熱可塑性プラスチック例えば、(ポリ乳酸も含めた)ポリエステルで使用するのに特に適している。ポリ乳酸は生物分解性及び/又は生物再生可能性の性質を有しているので、本発明の実施形態においては、ポリ乳酸が特に興味深い。ポリ乳酸又はポリラクチド(PLA)は、例えばトウモロコシ、デンプン、又はサトウキビのような再生可能な資源から誘導される、生物分解性がある熱可塑性の脂肪族ポリエステルである。
【0033】
したがって、本明細書に記載の発泡剤組成物と組み合わせて使用するのに好適な生物分解性/生物再生可能性のプラスチックとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ポリラクチド、特にポリ乳酸(PLA);ポリ(乳酸−コ−グリコール酸);ポリカプロラクトン;デンプン、特にアミラーゼが70%より高いもの;ポリビニルアルコール;エチレンビニルアルコールコポリマー;ポリヒドロキシアルカノエート;それらのコポリマー;及びそれらの混合物。
【0034】
本発明の実施形態においては、その発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物は、以下のものからなる群から選択される:ポリラクチド、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、デンプン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物。例示的実施形態においては、そのポリマー樹脂が、ポリ乳酸又は押出加工変性(extrusion modified)ポリ乳酸である。
【0035】
本明細書で使用するときに、「ポリ乳酸」という用語は、少なくとも50mol%の乳酸モノマー成分単位を含むポリマー又はコポリマーをいうことができる。ポリ乳酸樹脂の例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:(a)乳酸のホモポリマー、(b)乳酸と、乳酸以外の1種又は複数の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、(c)乳酸と、脂肪族多価アルコール及び脂肪族ポリカルボン酸とのコポリマー、(d)乳酸と脂肪族ポリカルボン酸とのコポリマー、(e)乳酸と脂肪族多価アルコールとのコポリマー、及び(f)上述の(a)〜(e)の2種以上の混合物。
【0036】
乳酸の例としては、以下のものが挙げられる:L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、それらの環状ダイマー(すなわち、L−ラクチド、D−ラクチド、又はDL−ラクチド)、及びそれらの混合物。コポリマー(b)の乳酸以外のヒドロキシカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、及びヒドロキシヘプタン酸。上述のコポリマー(c)又は(e)において有用な脂肪族多価アルコールモノマーの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトール。上述のコポリマー(c)又は(d)において有用な脂肪族ポリカルボン酸モノマーの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、及び無水ピロメリット酸。
【0037】
その生物分解性又は生物再生可能性フォームは低密度フォームである。本発明の一つの実施形態においては、その生物分解性又は生物再生可能性フォームは、約50kg/m3未満の密度を有する。また別な実施形態においては、その生物分解性又は生物再生可能性フォームは、約32kg/m3未満の密度を有する。例示的実施形態においては、その生物分解性又は生物再生可能性フォームは、約25kg/m3未満の密度を有する。
【0038】
二酸化炭素と本明細書に記載の共発泡剤とを選択することによって、寸法的に安定な、低密度フォーム製品を製造することが可能となる。それらの低密度フォームは、公知の発泡剤を新規な組合せで使用して製造することができるが、それらは、経時的な製造後のセル崩壊が起きない、高度に安定したフォームを与える。フォームの寸法安定性は、所定の時間経過後のフォームの体積変化を用いて、定量化することができる。しかしながら、フォームの安定性は、そのフォームが有する密度にも依存する可能性がある。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、密度が高いフォームは、密度が低いフォームよりも安定であろうと考えられるが、その理由は、密度がより高いフォームは、そのフォーム構造を形成させるために、より多くのポリマー材料を含んでいる(例えば、連通/独立セルが、より少ない)からである。したがって、高密度フォームの方が、低密度フォームよりも高い寸法安定性を有していることが多いであろう。したがって、体積変化率は、フォームの密度に応じて変化する可能性がある。
【0039】
本発明の例示的実施形態においては、その生物分解性又は生物再生可能性フォームは、初期フォーム体積を基準にしてエージング後に約20%未満、好ましくは初期フォーム体積を基準にしてエージング後に約10%未満、より好ましくは初期フォーム体積を基準にしてエージング後に約5%未満、さらにより好ましくは初期フォーム体積を基準にしてエージング後に約2%未満の密度変化率を有する。別の言い方をすれば、その密度増加は、初期密度から20%以下、好ましくは約10%以下、より好ましくは約5%以下、さらにより好ましくは約2%以下である。特に、約25〜49kg/m3の密度を有するフォームでは、そのエージング後の密度変化は約10%未満であることが好ましい。初期フォーム密度(又は体積)は、フォームを製造(例えば、初期硬化)した直後に求めることができる。
【0040】
エージングとしては、フォームをある種の環境条件に所定の時間おくことが挙げられる。本発明の実施形態においては、標準条件下で約40〜48時間かけてフォームをエージングさせて、体積変化を測定する。密度(又は体積)変化率が最小である、例えば、初期密度(又は体積)と最終密度(又は体積)がほぼ同じであるのが好ましい。発泡及び/又はエージングの後に密度(又は体積)が低下する(又は、体積が増加する)こともあり得る。別の言い方をすれば、エージングの後のフォームの密度の方が、初期フォーム密度に比較して高い。このことが起こりうるのは、初期体積測定の時点では、発泡剤が発泡を続けていて、そのフォームがまだ完全には硬化されていなかったためである。このことはさらに、空気よりも放散性が低い発泡剤の組合せを使用し、そのためにその発泡剤の組合せがフォームから放散するよりも早く空気がフォームの中に拡散して入り、フォームをさらに膨張させることでも起こりうる。そうすると、その密度変化が、0%から−2.5%となり得る。しかしながら、このことは、エージングさせたフォームの密度が初期フォーム密度よりも(特に実質的にさらに)高くなり、これは望ましくないフォーム構造のセル崩壊をもたらすので、望ましいものではない。したがって、二酸化炭素と本明細書に記載の共発泡剤との組合せを選択することによって、エージング後の体積変化を最小限とし、構造的なセル崩壊を最小限とするか又はまったく無くすような、寸法的に安定な、低密度フォームを製造することが可能となる。
【0041】
先に説明したように、従来からの発泡剤を使用して低密度フォームを製造するためには、例えば、得られるフォーム構造を安定化させる目的で、撹拌しながら添加剤をポリマー樹脂に含有させていた。しかしながら、本発明の例示的実施形態においては、発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物の中には、その生物分解性又は生物再生可能性フォームの寸法安定性を維持するために、さらなる添加剤を加えたり、存在させたりすることはない。したがって、そのポリマーフォームの強度を向上させるための成分は一切添加しない。同様にして、改良された機械的強度を持たせたり、セル崩壊を防止したりする目的で、特定のポリマーフォームを選択することもない。例えば、従来からのポリ乳酸樹脂を選択してもよく、本明細書に記載の発泡剤組成物を使用して、ポリ乳酸樹脂に何の変更を加えることもなく、低密度で、寸法的に安定したフォームが製造される。
【0042】
一つの実施形態においては、フォームの寸法安定性を改良するための添加剤を使用することがないが、他の添加剤が、その樹脂組成物に含まれていてもよい。例えば、それ自体では発泡性ではないポリ乳酸のために、溶融強度改質剤を使用してもよい。それに代わる方法で、発泡を起こさせるのに溶融強度改質剤を必要としない、発泡グレードのポリ乳酸を使用してもよい。非発泡グレードのポリ乳酸が、発泡可能とするための溶融強度改質添加剤を含んでいる場合には、その溶融強度改質剤は、得られるフォーム構造物の寸法安定性を改良又は維持するために含まれているのではない。「発泡性(foamable)」という用語は、気泡を形成させることが可能であり、破裂しないということだと理解されたい。別の言い方をすれば、発泡条件下において、非発泡グレードの樹脂は、発泡を開始させることがないか、又は生成した気孔の多くのものが速やかに破裂するかのいずれかとなるであろう。いずれの場合においても、結果として、フォーム構造物は、決して生成しない。非発泡性樹脂を発泡性のタイプとさせるために溶融強度改質剤を添加したとしても、その溶融強度改質剤は、生成するフォームの寸法安定性を維持したり、改良したりすることを、目的とはしていないし、期待もしていない。別の言い方をすれば、非発泡性グレードのポリ乳酸を溶融強度改質剤と組み合わせ、そして本発明に従うものではない発泡剤組成物(例えば、二酸化炭素単独)を使用した場合には、そのフォーム構造物は依然としてセル崩壊し、寸法安定性に乏しいこととなる。しかしながら、本明細書に記載の発泡剤組成物を選択した場合には、溶融強度改質剤の使用の有無に関係なく、高い寸法安定性を有する低密度フォームを得ることが可能である。
【0043】
その発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物は、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができる:成核剤、セル調節剤、粘度改質剤、溶融強度改良剤/改質剤、潤滑剤、染料、顔料、充填剤、抗酸化剤、押出加工助剤、安定化剤、帯電防止剤、難燃剤、IR減衰剤(IR attenuating agent)、追加のポリマー、及び断熱性添加剤、並びにそれらの混合物。成核剤としては、特に、タルク、炭酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、化学的発泡剤例えば、アゾジカルボンアミド又は重炭酸ナトリウム、及びクエン酸のような物質が挙げられる。IR減衰剤及び断熱性添加剤としては、特に、カーボンブラック、グラファイト、二酸化ケイ素、金属のフレークもしくは粉体が挙げられる。難燃剤としては、特に、リン酸化又は臭素化物質、例えばヘキサブロモシクロデカン及びポリ臭素化ビフェニルエーテルが挙げられる。
【0044】
本発明の一つの実施形態においては、発泡剤組成物を作成する方法は、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、を混合することを含む。その発泡剤組成物は、当業者には公知の各種適切な混合方法によって調製することができる。その発泡剤組成物は、例えばフォームの製造時に押出機の中で、同時に樹脂組成物と共に混合してもよい。
【0045】
本発明のまた別な実施形態においては、発泡剤組成物を使用して低密度フォームを作成する方法には、以下の工程が含まれる:(a)発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させる工程であり、ここでその発泡剤には、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、が含まれる;及び(b)その膨張性樹脂組成物の発泡を開始させる工程。発泡は、当業者には公知の各種適切な方法で開始させてもよい。例えば、ポリ乳酸樹脂を押出機に供給すればよい。押出機の中で溶融させたポリ乳酸樹脂に、発泡剤組成物を添加し、混合し、そして溶解させて、膨張性樹脂組成物を形成させる。選択したポリマー樹脂に応じて、最適な条件で発泡剤組成物を導入するための、最適な溶融温度を決めればよい。その膨張性樹脂組成物を冷却して適切な発泡温度としてもよいが、それは、当業者ならば、選択した樹脂に合わせて決めることができる。次いでその膨張性樹脂組成物をダイから押し出すと、そこで圧力低下のために発泡が開始される。発泡剤の活性がなくなるか、又はフォームが完全に硬化されるまで、発泡が引き続いて起きている可能性がある。
【0046】
当業者には一般的に公知の各種の装置を使用して、フォームを製造すればよい。典型的には、押出加工システムを使用してフォームを製造すればよい。そのような押出加工システムでは、単一の押出機、直列接続するか又はその他の構成となっている2台の押出機を使用してもよい。押出機は、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、又は他の構成のものであってもよい。押出加工システムには、成形型、ギヤポンプ、樹脂フィーダー、発泡剤フィードポンプ、引取機、切断機、熱交換器、及び当業者には公知のその他の装置部品を含めた、追加の装置が組み入れられていてもよい。特定の実施形態においては、異方向回転の二軸スクリュー押出機を採用してもよい。しかしながら、その発泡剤組成物は、当業者によって使用される各種の手段、方法、及び装置を使用して樹脂組成物と組み合わせてもよいと考えられる。同様にして、得られるフォームの形状も、当業者において製造される各種適切な形状、例えばロッド状、レンガ状、シート、ストリップなどであってもよい。そのフォームは、連通セル又は独立セルの気泡も含め、各種望ましい構造を有していてもよい。好ましい実施形態においては、そのフォームが、主として独立セルのフォームである。
【0047】
例示的実施形態においては、フォーム組成物を作成するための発泡剤組成物を使用する方法には、以下の工程が含まれる:(a)発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させる工程であり、ここでその発泡剤には、二酸化炭素と、ハロゲン化発泡剤例えば、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、及びフルオロヨードカーボン、アルキルエステル例えばギ酸メチル、水、並びにそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と、が含まれる;(b)その膨張性樹脂組成物を冷却する工程;及び(c)その膨張性樹脂組成物を押出加工する工程。
【0048】
発泡剤組成物は、各種の適切な状態で発泡性樹脂に添加してもよい。例えば、発泡剤を、ガス状態又は超臨界状態で発泡性樹脂に組み入れてもよい。さらには、当業者には一般的に理解されているように、発泡剤組成物を、物理的発泡剤又は化学的発泡剤のいずれかとして添加してもよい。特に二酸化炭素は、物理的二酸化炭素源として、又は化学的二酸化炭素源として導入してもよい。共発泡剤が物理的発泡剤であるのが好ましい。物理的発泡剤は、ガス状、液状、又は超臨界状態のいずれか、好ましくは、液状又は超臨界状態のいずれかで、押出機にフィードし、樹脂溶融物に添加する。本発明の特定の実施形態においては、二酸化炭素及び共発泡剤が物理的発泡剤である。また別な実施形態においては、その発泡剤組成物がインサイチューで形成され、そこでは、物理的発泡剤である、二酸化炭素及び共発泡剤が、別途に押出機にフィードされ、樹脂溶融物に添加され、そこで樹脂と混合されて、発泡性組成物を形成する。本発明のまた別な実施形態においては、樹脂溶融物と混合するより前に、物理的発泡剤である、二酸化炭素及び共発泡剤を、一般的な注入ポイント又は混合装置にフィードし、そこで予備混合することによって発泡剤組成物を形成させてから、樹脂溶融物に添加する。本発明のまた別な実施形態においては、発泡剤組成物を混合プロセスの間に形成させるが、そこでは共発泡剤が物理的発泡剤であり、二酸化炭素は化学的発泡剤から生成させる。
【0049】
したがって、二酸化炭素と選択された共発泡剤例えばHFC−134aとの両方を含む特定の発泡剤組成物を含む配合物を使用して、寸法的に安定な、低密度フォームを製造するのがよい。具体的には、二酸化炭素と選択された共発泡剤例えばHFC−134aとの特定の発泡剤の組合せを使用して、二酸化炭素単独又はその他の従来からの発泡剤との組合せで使用して製造することが可能なものよりも低い密度を有する、寸法的に安定なPLAフォームを製造してもよい。
【0050】
本発明のまた別な実施形態においては、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、及びそれらの混合物から実質的になる、特定の発泡剤組成物を使用して、寸法的に安定な、生物分解性又は生物再生可能性の低密度フォームを製造してもよい。具体的には、HFC発泡剤例えば、HFC−134a、HFC−152a、HFC−245fa、HFC−227ea、HFC−365mfc、及びそれらの混合物を使用して、寸法的に安定なPLAフォームを製造してもよい。特に、HFO発泡剤例えば、HFO−1243zf、HFO−1234yf、E−HFO−1234zd、Z−HFO−1336mzz、E−HCFO−1233zd、HCFO−1233xfを使用して、寸法的に安定なPLAフォームを製造してもよい。具体的には、HFC−134a、HFC−152a、HFO−1243zf、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、及びそれらの混合物を使用して、寸法的に安定なPLAフォームを製造してもよい。
【実施例】
【0051】
PLAフォームの押出加工
改良された寸法安定性を有する低密度フォームを製造するために、以下の実施例を示した。バレルの内径が27mm、バレルの長さが直径の40倍である、異方向回転二軸スクリュー押出機を使用して、押出加工したポリ乳酸(PLA)フォームを製造した。ギヤポンプを用いて押出機バレル内部の圧力を調節し、押出機の中で発泡剤組成物が十分に溶解できるような高圧に設定した。押出機のダイは、6.35mmのギャップ幅を有する、アジャスタブル−リップスロットダイであった。発泡実験では、一般用途用の、発泡性PLA樹脂を使用したが、それには、4重量%のアクリル系コポリマー溶融強度改質剤(Arkema BIOSTRENGTH 700、Arkema、Inc.から入手可能)及び0.4重量%のタルク(成核剤)を含んでいた。押出機に樹脂を、4.54kg/hr(10ポンド/hr)の速度でフィードした。発泡剤は、高圧注入ポンプを使用して、PLA樹脂溶融物の中に速度を制御しながら、ポンプ注入した。押出機の中で、発泡剤が樹脂溶融物と混合され、その中に溶解されて、膨張性樹脂組成物を形成した。その膨張性樹脂組成物を冷却して適切な発泡温度としてから、ダイから押出加工すると、そこで圧力低下が起きて発泡が開始された。
【0052】
それぞれの実験の途中で採取したフォームサンプルについて、その密度と連通セル含量を測定した。密度は、ASTM D792に従って測定し、連通セル含量は、ASTM D285−Cに記載のガスピクノメーター法を使用して測定した。フォームサンプルの寸法安定性は、時間の関数として、初期フォーム体積を基準とするフォーム体積の変化率として計算した。フォームサンプルの体積は、簡単な水置換法を使用して求めた。
【0053】
本発明の実施例からのフォームサンプルは、発泡させたロッドの形状であった。エージングの目的のために、その発泡させたロッドを、約6〜10インチのサンプル長さになるように切断した。それらのサンプルを周囲条件で貯蔵しておいて、定期的に体積と外観とをチェックした。
【0054】
実施例1:
発泡剤組成物として3.2重量%のCO2及び4.4重量%のHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を用いて、上述の方法を使用してPLAフォームを調製した。40時間のエージング後では、そのフォームは40.5kg/m3の密度を有していた。フォームの外観には目立った変化はなく、末端収縮もなかった。
【0055】
比較例1:
上述の方法を使用してPLAフォームを調製したが、ただし、発泡剤としては6.9重量%のCO2のみを使用した。得られたフォームは、43.6kg/m3の初期密度を有していた。40時間のエージング後では、そのフォームは45.5kg/m3の密度を有していた。顕著な末端収縮も存在していた。
【0056】
実施例1及び比較例1についての結果を表1にまとめた。
【0057】
【表1】

【0058】
これらの結果からも明らかなように、本発明の実施形態による発泡剤組成物を使用すると、低密度で寸法的に安定なフォームが製造された。実施例1のフォームの外観には目立った変化はなく、末端収縮もなかった。
【0059】
実施例2〜15及び比較例2〜7:
上述と同じ方法で、独立セルのPLAフォームを調製した。それぞれのフォームサンプルについて、発泡直後に密度を測定して、初期密度を得た。次いで、それらのサンプルを周囲条件下で約48時間エージングさせてから、密度を再測定して、エージングしたフォームの密度を測定した。フォーム密度における増加(すなわち、サンプルの体積の減少)が、発泡剤がサンプルから急速に拡散したことが理由のフォームのセル崩壊の指標であった。比較例2〜7においては、その発泡剤が実質的にCO2であった。実施例2〜4においては、その発泡剤が実質的にHFC−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)であった。実施例5〜11においては、その発泡剤が、CO2及びHFC−134aであった。実施例12〜15においては、その発泡剤が、CO2及びHFO−1243zf(3,3,3−トリフルオロプロペン)であった。
【0060】
【表2】

【0061】
これらの例から、初期フォーム密度が同程度ならば、発泡剤としてCO2のみを使用して発泡させたフォームは、CO2と、共発泡剤としてのHFC−134a又はHFO−1243zfいずれかと、を使用するか、又は唯一の発泡剤としてHFC−134aを使用して発泡させたフォームよりも、顕著に高い密度変化を示したことがわかる。
【0062】
それらの結果をさらに図1にまとめたが、この図では、初期密度が3.5pcf未満のフォームについて、初期フォーム密度を、48時間エージング後のフォーム密度に対比させてプロットしている。図1からは、発泡剤としてCO2のみを使用して調製したフォームでは、フォーム密度において約10%以上の変化が起きたが、それに対して、HFC−134a又はHFO−1243zfを、単独又は共発泡剤として使用して調製したフォームでは、密度において10%未満の変化しか起きなかったということがわかる。
【0063】
PLAフィルムを通しての発泡剤の透過
以下の実施例から、PLAフィルムを通してのテトラフルオロプロペンの透過速度が、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)のそれとほぼ同じか、又はそれより低いことがわかる。独立セルフォームのエージングは、フィルムを通しての発泡剤の透過性に関係があるので、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及びtrans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(E−HFO−1234ze)は、HFC−134aと同様に、本発明の発泡剤の組合せにおいて使用することができる。
【0064】
ガス/膜透過セルに、膜として一般用途用のPLAのフィルムをとりつけた。膜の一方の側の高圧チャンバーは、試験する発泡剤を用いて一定の圧力に維持した。膜のもう一方の側の低圧チャンバーは、低速一定でヘリウムを流しておいたが、その低圧チャンバーは、初期には、試験する発泡剤がまったく含まれていなかった。その低圧チャンバーを定期的にサンプリングし、ガスクロマトグラフィーによって分析することにより、ヘリウム流れの中の発泡剤の濃度をモニターしたが、これによって膜を通しての透過速度の目安が得られる。
【0065】
実施例16:
厚み3.2〜3.5ミルのPLAフィルムを使用して、HFC−134a及びHFO−1234yfについて上述の透過試験を実施した。透過セルは、19℃で18psigの発泡剤の背圧(高圧チャンバー)を用いて操作した。HFC−134aを用いた場合には、2分間以内に、低圧側で約1200ppmの定常状態濃度に達した。HFO−1234yfを用いた場合には、約35分の間に低圧側で約700ppmの定常状態濃度に達するが、約5分間後には最大値の50%には達していた。
【0066】
この例から、これらの条件下では、PLAを通過してのHFO−1234yfの透過速度が、HFC−134aのそれよりも低いことがわかる。
【0067】
実施例17:
上述の透過試験を、厚み4.0ミルのPLAフィルムを使用して、HFC−134a及びE−HFO−1234zeについて実施した。透過セルは、23℃で32psigの発泡剤の背圧(高圧チャンバー)を用いて操作した。HFC−134aを用いた場合には、2分間以内に、低圧側で約1000ppmの定常状態濃度に達した。E−HFO−1234zeを用いた場合には、150ppm未満の定常状態濃度に達した。
【0068】
この例から、これらの条件下では、PLAを通過してのE−HFO−1234zeの透過速度が、HFC−134aのそれよりも低いことがわかる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態を示し、本明細書に記載してきたが、そのような実施形態は、単に例示のために提供されたものと理解されたい。当業者には、本発明の精神から外れることなく、数多くの変動、変化及び置き換えが思い当たることであろう。したがって、添付の特許請求項が、そのような変動のすべてを本発明の精神と範囲の内に包含することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤組成物であって:
二酸化炭素と、
ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と
を含む発泡剤組成物。
【請求項2】
前記共発泡剤が、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項3】
前記共発泡剤が、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、trans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項4】
前記共発泡剤が1,1,1,2−テトラフルオロエタンである、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項5】
前記共発泡剤が3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項6】
前記共発泡剤が2,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項7】
前記共発泡剤がtrans−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンである、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項8】
二酸化炭素対共発泡剤が約(0.1:1)から(1:0.01)の範囲である、二酸化炭素対共発泡剤の重量比を有する、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項9】
二酸化炭素対共発泡剤が約(0.6:1)から(1:0.1)の範囲である、二酸化炭素対共発泡剤の重量比を有する、請求項1に記載の発泡剤組成物。
【請求項10】
生物分解性又は生物再生可能性フォームであって、
発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物と、
二酸化炭素と、
ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤と
を含む発泡剤組成物、
から形成される、生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項11】
前記二酸化炭素が、前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物の約15重量%未満の量で存在している、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項12】
前記共発泡剤が、前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物の約9重量%未満の量で存在している、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項13】
前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物が、ポリラクチド、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、デンプン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、それらのコポリマー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項14】
前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物がポリ乳酸である、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項15】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、約50kg/m3以下の密度を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項16】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、約32kg/m3以下の密度を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項17】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、約25kg/m3以下の密度を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項18】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、エージングの後に、初期フォーム密度を基準にして約50%未満の密度変化率を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項19】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、エージングの後に、初期フォーム密度を基準にして約20%未満の密度変化率を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項20】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、エージングの後に、初期フォーム密度を基準にして約10%未満の密度変化率を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項21】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームが、エージングの後に、初期フォーム密度を基準にして約5%未満の密度変化率を有する、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項22】
前記生物分解性又は生物再生可能性フォームの寸法安定性を維持するために、さらなる添加剤を、前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物に添加しないか、又はそれらの中に存在させない、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項23】
前記発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物が、成核剤、セル調節剤、粘度改質剤、溶融強度改良剤、潤滑剤、染料、顔料、充填剤、抗酸化剤、押出加工助剤、安定化剤、帯電防止剤、難燃剤、IR減衰剤、追加のポリマー、及び断熱性添加剤、並びにそれらの混合物、からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項10に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項24】
生物分解性又は生物再生可能性樹脂対追加のポリマーの重量比が、少なくとも約1:1である、請求項23に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項25】
生物分解性又は生物再生可能性樹脂対追加のポリマーの重量比が、少なくとも約3:1である、請求項23に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項26】
生物分解性又は生物再生可能性樹脂対追加のポリマーの重量比が、少なくとも約9:1である、請求項23に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項27】
発泡剤組成物を使用して低密度フォームを作成する方法であって、次の工程:
発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させ、ここで、前記発泡剤は、二酸化炭素と、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤とを含むものとし;及び
前記膨張性樹脂組成物の発泡を開始させること、
を含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の発泡剤を使用して低密度フォームを作成する方法であって、前記二酸化炭素を、物理的二酸化炭素源として、又は化学的二酸化炭素源として導入する方法。
【請求項29】
請求項27に記載の発泡剤を使用して低密度フォームを作成する方法であって、前記生成したフォームが、約50kg/m3未満の密度を有する方法。
【請求項30】
フォーム組成物を作成するために、発泡剤組成物を使用する方法であって、次の工程:
発泡剤と発泡性樹脂とを混合して膨張性樹脂組成物を形成させ、ここで、前記発泡剤は、二酸化炭素と、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される共発泡剤とを含むものとし;
前記膨張性樹脂組成物を冷却し;及び
前記膨張性樹脂組成物を押出加工すること
を含む方法。
【請求項31】
発泡性で生物分解性又は生物再生可能性の樹脂組成物と、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロブロモフルオロオレフィン、ヒドロフルオロケトン、ヒドロクロロオレフィン、フルオロヨードカーボン、アルキルエステル、水、及びそれらの混合物からなる群から選択される発泡剤と、から形成される、生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項32】
前記発泡剤が、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。
【請求項33】
前記発泡剤が、HFC−134a、HFO−1243zf、HFO−1234yf、E−HFO−1234ze、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項31に記載の生物分解性又は生物再生可能性フォーム。

【図1】
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【公表番号】特表2013−506032(P2013−506032A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531017(P2012−531017)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/049945
【国際公開番号】WO2011/038081
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500307340)アーケマ・インコーポレイテッド (119)
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
【Fターム(参考)】