説明

改良したピストン構造を有する泡ポンプ

【課題】泡製品を生成するために、種々の弁を使用しており、構造が複雑である。
【解決手段】泡ポンプ10は、ピストンハウジング12と、発泡可能な液体を収容する拡縮可能な液体室32と空気を収容する拡縮可能な空気室36とを画定するピストン装置14とを包含する。ピストン装置は予混合室壁41により拡縮可能な液体室及び拡縮可能な空気室の両方から分離されている予混合室40を包含し、この予混合室は予混合室壁に形成した混合穴43を通して拡縮可能な液体室及び拡縮可能な空気室の両方と流体的に連通する。ピストン装置を偏倚部材38に抗して作動位置に付勢することにより泡ポンプが作動され、前記作動位置では拡縮可能な液体室及び拡縮可能な空気室がそれぞれの容積を減少させられ、これにより空気及び発泡可能な液体がそれぞれの拡縮可能な空気室及び拡縮可能な液体室から混合穴を通して放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡可能な液体と空気とを混合して泡製品を生成する泡ポンプの技術に関する。より詳細には、本発明は、液体ピストンと空気ピストンとがピストン装置の一部分として構成され、ピストン装置がピストンハウジング内に収容されてこのピストンハウジング内を往復動するピストポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
長年の間、例えば石鹸、殺菌剤、洗浄剤、消毒剤等の液体は使用者作動型ポンプを使用して分与されている。このようなディスペンサーに用いられているポンプ機構は、一般的に、アクチュエータの動きにより所定量の液体を単に放出させる液体ポンプである。近年、効率性及び経済性の理由により、液体に空気を噴射することにより生成される泡の形態で、液体を分与することが望ましくなっている。したがって、標準型液体ポンプは泡生成ポンプに取って代わられ、そのため、望ましい泡を生成するように空気と液体とを混合するための手段が必要となっている。
【0003】
一般的に、泡ポンプは、空気ポンプ部分と液体ポンプ部分とを包含し、最終的に泡を生成するためにこれらの2つのポンプ部分を連通することを必要とする。例えば米国特許第5,271,530号明細書及び第5,445,288号明細書に示されているような型式の泡ポンプは、それぞれの空気ピストンハウジング及び液体ピストンハウジングの中を動く空気ピストン及び液体ピストンを使用し、また空気及び液体を別々の供給源から取り出し、これらの空気及び液体を共通の室内に向けて、及び/又はスクリーン部材を通過させて泡製品を生成するために種々の弁を使用している。本発明は、このようなピストンベースの泡ディスペンサー又は泡ポンプを改良するものである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ピストンハウジングと、このピストンハウジング内に収容され、これにより発泡可能な液体を収容する拡縮可能な液体室と空気を収容する拡縮可能な空気室とを画定するピストン装置とを包含する泡ポンプを提供する。前記ピストン装置は予混合室壁により前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室の両方から分離されている予混合室を包含し、この予混合室は前記予混合壁に形成した混合穴を通して前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室の両方と流体的に連通する。偏倚部材がピストン装置を非作動位置に付勢している。前記ピストン装置を前記偏倚部材に抗して作動位置に付勢することにより泡ポンプが作動され、前記作動位置では前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室がそれぞれの容積を減少させられ、これにより空気が前記拡縮可能な空気室から前記混合穴を通して放出されると同時に、発泡可能な液体が前記拡縮可能な液体室から前記混合穴を通して放出され、前記空気及び前記発泡可能な液体が同時に前記混合穴を通して動くことにより、その乱流混合が前記予混合室内に生じる。
【0005】
特定の実施例によれば、前記ピストンハウジングが、基壁と、この基壁から延びている、少なくともひとつの側壁と、この少なくともひとつの側壁の内側において前記基壁から延びている液体チューブと、この液体チューブに前記少なくともひとつの側壁を通して連通している入口とを包含する。液体入口弁が、前記入口を通過する流れを調節する。前記ピストン装置は、前記ピストンハウジングの前記液体チューブに対して密封されて前記拡縮可能な液体室を画定している液体ピストンと、前記拡縮可能な空気室の前記側壁に対して密封されて前記拡縮可能な空気室を画定している空気ピストンとを包含する。前記液体ピストンは、前記拡縮可能な空気室内に配置されていると共に、前記空気ピストンに取り付けられて前記空気ピストンと一緒に動く。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の泡ポンプの一実施例の断面図であって、泡ポンプが非作動位置である状態を示す。
【図2】図1と同様な断面図であるが、液体ピストンを取り付けるのを助けるリブを示すために図1とは異なる面を通しての断面図であり、泡ポンプが作動位置である状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1を参照するに、本発明による泡ポンプは符号10により示されている。泡ポンプ10は、ピストンハウジング12と、ピストン装置14とを包含する。ピストンハウジング12は、基壁16と、この基壁から開口端20にまで延びている、少なくともひとつの側壁18とを包含する。液体チューブ22が少なくともひとつの側壁18の内側において基壁16から開口端24にまで延びていると共に、入口26が基壁16を貫通して液体チューブ22に連通している。液体入口弁28が入口26を通過する液体の流れを調節し、液体が入口26を通して液体チューブ22内に流れることを可能にすると共に、液体が液体チューブ22の中から入口26を通して流れるのを防止する。発泡可能な液体の源(図示せず)が入口26に流体的に連通し、これにより発泡可能な液体を泡ポンプ10内に吸い込むことができると共に、泡ポンプ10から放出して分与することができる。
【0008】
ピストン装置14は、液体ピストン30と、空気ピストン34とを包含する。液体ピストン30はピストンハウジング12の液体チューブ22に対して密封されて、コラプシブルで拡縮可能な液体室32を画定すると共に、空気ピストン34はピストンハウジング12の少なくともひとつの側壁18に対して密封されて、コラプシブルで拡縮可能な空気室36を画定する。図1に見られるように、液体ピストン30は、拡縮可能な空気室36内に配置されていると共に、空気ピストン34に固定されてこの空気ピストンと一緒に動く。偏倚部材38が、液体ピストン30を図1に示されている非作動位置に付勢している。偏倚部材38は、どこかほかの場所に配置することもでき、図1に示されているように拡縮可能な空気室36内に配置されているばねの形である必要はない。予混合室40が、予混合室壁41により拡縮可能な液体室32及び拡縮可能な空気室36の両方から分離されていると共に、予混合室壁41に形成した混合穴43を通して拡縮可能な液体室32及び拡縮可能な空気室36の両方と流体的に連通している。液体出口弁42が、後述するように、拡縮可能な液体室32から出る発泡可能な液体の流れを調節する。
【0009】
ブラケット44が、液体ピストン30から延びて、液体ピストン30を空気ピストン34の内壁に溝46のところで固定する。複数のリブ45が、予混合室壁41から半径方向及び上向きに延びて、溝46を形成する。図1及び図2に示されている、異なる面の断面図を比較して見られるように、これらのリブ45は互いに間隔を置いて空気通路48を画定し、これらの空気通路48はブラケット44を過ぎた空気が混合穴43に向かい、この混合穴43を通して予混合室40内に流れるのを可能にする。混合カートリッジ50が、予混合室40とポンプ出口52との間に配置されている。この混合カートリッジ50は、入口メッシュ56及び出口メッシュ58により境界が定められているチューブ54を包含する。入口メッシュ56は、混合穴43から間隔を置き、これにより予混合室40の大きさを定める。出口メッシュ58は、ポンプ出口52の近くに配置されている。上述の混合カートリッジは2つの対向したメッシュを包含し、高品質の泡製品を生成するが、これに代えて、単一のメッシュを入口メッシュ56の位置に用いることができることを認識すべきである。したがって、この場合には、単一のメッシュと混合穴43との間に所望した予混合室40を画定する。
【0010】
ピストン装置14を偏倚部材38に抗して図2に示されている作動位置に付勢することにより、泡ポンプ10は作動される。図2に見られるように、これは拡縮可能な空気室36及び拡縮可能な液体室32の両方の容積を減少せしめ、その結果、空気が拡縮可能な空気室36から混合穴43を通して放出され、また同時に、発泡可能な液体が拡縮可能な液体室32から混合穴43を通して放出される。それから、空気は各1対の隣接するリブ45間に画定されている複数の空気通路48を通して進む。液体出口弁42は液体ピストン30の出口59を覆っているカップ状の弾性片であり、この弾性片は拡縮可能な液体室32からの力である液体の圧力の下で変形して、液体が液体出口弁42と液体ピストン30との間を通過することができるようにする。液体は、最終的に、液体出口弁42を通して進む。したがって、発泡可能な液体と空気とは混合穴43の上方で接触し、同時に混合穴43を通して付勢される。混合穴43により形成した小さな通路を通しての空気と発泡可能な液体との十分な同時動きは、空気と発泡可能な液体との乱流混合を生じせしめ、粗い泡混合物を生成せしめる。この粗い混合物は、それから、混合カートリッジ50を通して進められ、ポンプ出口52から分与される高品質の泡製品を生成せしめる。偏倚部材38は、ピストン装置14を図1の非作動位置に戻し、拡縮可能な液体室32が拡大して、液体弁28を通して液体を引き込む。同様に、空気室36が拡大して、ポンプ出口52、混合カートリッジ50、予混合室40及び混合穴43を通して、それからブラケット44を通り越して空気を引き戻し上げる。これは、発泡可能な液体をポンプに引き戻すバックサクションを生じせしめ、これにより、特に本ポンプ10が図示されているような逆さまな姿勢で用いられているときにおける液体のしたたりを防止又は減少せしめる。拡縮可能な空気室36は、空気通路48を通して引き上げられた多少の発泡可能な液体を受け入れることができる。液体出口弁42は、空気が拡縮可能な液体室32に入るのを防止する。
【0011】
この特定の実施例においては、一般に知られているように、キャップ部材70が泡ポンプ10を容器の首部(図示せず)に取り付けるために設けられている。開口端74を通して接近可能なねじ部70が、容器の首部のねじ部と組み合う。また、半径方向フランジ76がポンプハウジング12の開口端20から延びて、キャップ部材70のフランジマウント78に固定される。開口端80において、半径方向フランジ82が内向きに延びて、拡縮可能な空気室36の外部から延びている半径方向フランジ84と相互に作用する。ピストン装置14はポンプハウジング12に関して動くことができ、この動きは半径方向フランジ82により制限される。ディスペンサーの要素が係合してピストン装置14を偏倚部材38に抗して押すために、作動フランジ86をピストン装置14に設けることができる。
【0012】
混合カートリッジ50へ供給される空気対液体の割合は、拡縮可能な空気室36及び拡縮可能な液体室32の大きさを変えることにより変えることができる。特定の実施例において、拡縮可能な空気室36及び拡縮可能な液体室32は、混合室へ供給される空気の量対液体の量が約10:1であるように設計されている。
【0013】
以上述べたことから、本発明が泡ポンプの技術の改良を提供することは明らかである。特に好ましい実施例のみが開示要件にしたがって本明細書において述べたけれども、本発明の構造的態様は本発明の範囲内において変更することができ又は考えられるものであり、本発明の範囲は特許請求の範囲の記載により限定されるものであることを認識すべきである。
【符号の説明】
【0014】
10 泡ポンプ
12 ピストンハウジング
14 ピストン装置
16 基壁
18 側壁
20 開口端
22 液体チューブ
24 開口端
26 入口
28 液体入口弁
30 液体ピストン
32 拡縮可能な液体室
34 空気ピストン
36 拡縮可能な空気室
38 偏倚部材
40 予混合室
41 予混合室壁
42 液体出口弁
43 混合穴
44 ブラケット
45 リブ
46 溝
48 空気通路
50 混合カートリッジ
52 ポンプ出口
54 チューブ
56 入口メッシュ
58 出口メッシュ
70 キャップ部材
72 ねじ部
74 開口端
76 半径方向フランジ
78 フランジマウント
80 開口端
82 半径方向フランジ
84 半径方向フランジ
86 作動フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡ポンプにおいて、ピストンハウジングと、このピストンハウジング内に収容され、これにより発泡可能な液体を収容する拡縮可能な液体室と空気を収容する拡縮可能な空気室とを画定するピストン装置と、このピストン装置を非作動位置に付勢している偏倚部材とを包含し、
前記ピストン装置が予混合室壁により前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室の両方から分離されている予混合室を包含し、この予混合室が前記予混合室壁に形成した混合穴を通して前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室の両方と流体的に連通し、
前記ピストン装置を前記偏倚部材に抗して作動位置に付勢することにより泡ポンプが作動され、前記作動位置では前記拡縮可能な液体室及び前記拡縮可能な空気室がそれぞれの容積を減少させられ、これにより空気が前記拡縮可能な空気室から前記混合穴を通して放出されると同時に、発泡可能な液体が前記拡縮可能な液体室から前記混合穴を通して放出され、前記空気及び前記発泡可能な液体が同時に前記混合穴を通して動くことにより、その乱流混合が前記予混合室内に生じることを特徴とする泡ポンプ。
【請求項2】
請求項1記載の泡ポンプにおいて、前記ピストンハウジングが、基壁と、この基壁から延びている、少なくともひとつの側壁と、この少なくともひとつの側壁の内側において前記基壁から延びている液体チューブと、この液体チューブに前記少なくともひとつの側壁を通して連通している入口と、この入口を通過する液体の流れを調節する液体入口弁とを包含することを特徴とする泡ポンプ。
【請求項3】
請求項2記載の泡ポンプにおいて、前記ピストン装置が、前記ピストンハウジングの前記液体チューブに対して密封されて前記拡縮可能な液体室を画定している液体ピストンと、前記拡縮可能な空気室の前記側壁に対して密封されて前記拡縮可能な空気室を画定している空気ピストンとを包含し、前記液体ピストンが前記拡縮可能な空気室内に配置されていると共に前記空気ピストンに取り付けられて前記空気ピストンと一緒に動くことを特徴とする泡ポンプ。
【請求項4】
請求項3記載の泡ポンプにおいて、更に、前記拡縮可能な液体室から出る液体の流れを調節する液体出口弁を包含することを特徴とする泡ポンプ。
【請求項5】
請求項1記載の泡ポンプにおいて、更に、前記予混合室の下流に配置されている混合メッシュを包含し、これにより泡ポンプの作動の間中前記予混合室内で混合された前記空気と前記発泡可能な液体とが前記混合メッシュを通して付勢されること特徴とする泡ポンプ。
【請求項6】
請求項5記載の泡ポンプにおいて、前記混合メッシュが中空チューブを有する混合カートリッジの一部分であり、前記中空チューブはその入口端が前記混合メッシュにより境界を定められていると共にその出口端が出口混合メッシュにより境界が定められていることを特徴とする泡ポンプ。
【請求項7】
請求項1記載の泡ポンプにおいて、前記偏倚部材が前記拡縮可能な空気室内に配置されていることを特徴とする泡ポンプ。
【請求項8】
請求項7記載の泡ポンプにおいて、前記偏倚部材がばねであること特徴とする泡ポンプ。

【図1】
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【図2】
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