説明

改良地盤

【課題】基礎に対する地震力を低減させるための改良地盤であって、簡便に施工でき且つ基礎に対する主に水平方向の地震力を一層低減することが出来る改良地盤を提供する。
【解決手段】改良地盤は、根切り部(2)の底に施工された砕石または捨てコンクリートから成る平坦な調整地盤(3)の基礎敷設領域にゴム製のブロック状の免震材(4)を複数配置して構成される。免震材(4)は、水平バネ定数が0.001〜0.1kN/cm、鉛直バネ定数が1〜10kN/cm、厚さが10〜200mmであり、平面視した場合の免震材(4)の総敷設面積が、基礎敷設領域の面積に対して5〜90%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良地盤に関するものであり、詳しくは、基礎に対する地震力を低減させるための改良地盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅などの小規模の建物の基礎に関して、ゴム製の免震材を利用した簡便かつ比較的安価な耐震性基礎構造が種々検討されている。斯かる基礎構造としては、例えば、地盤に根切りして整地した床付け面にコンクリートを流し込んで厚さ100mm程度の第1の基礎を施工した後、ゴムチップとゴム系バインダとの混合物を施工現場において調製しながら第1の基礎の表面に順次展延し、これを硬化させて厚さ30〜70mmの中間層を形成し、次いで、当該中間層の表面にコンクリートを流し込むことにより、建物側基礎である第2の基礎を施工する様にした「耐震基礎構造の構築方法」が提案されている。
【0003】
上記の耐震基礎構造は、第1の基礎と第2の基礎の間に介在させたゴムチップの板状体から成る中間層により、建物側への地震の主に縦揺れの衝撃を抑制することを企図したものであり、建物側基礎と土台の間にゴム成形体などを挿入する従前の建築構造部分での免震構造に比べ、施工が容易であり且つ建物側基礎(第2の基礎)そのものに対する揺れを低減できる点において優れている。
【特許文献1】特開平10−54043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の基礎構造においては、中間層としてゴムチップの板状体が第1の基礎(建物側基礎)の底面側全面に配置されているため、地震の鉛直方向の揺れをある程度緩和する機能は備えているにせよ、水平方向の揺れが加わった場合、第2の基礎(地盤側基礎)に追従して中間層が挙動し、上部の第1の基礎にも水平方向に初期の衝撃力が伝わる傾向があると考えられる。戸建て住宅などの軽量の建物は、地震の縦揺れも問題であるが、むしろ、地震の横揺れの衝撃力によって損傷を受ける場合が多く、上記の様な基礎構造においても、水平方向の地震力をより低減し得る手段が望まれる。また、ゴムを利用する場合も、ゴムの使用方法や成形体の構造によって振動に対する減衰特性が相違するため、地震の揺れを効果的に緩衝し得る方法を十分に検討する必要があり、更に、コストダウンの観点からも、一層施工性に優れた構造が望まれる。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物の基礎に対する地震力を低減させるためにゴム製の免震材を使用した改良地盤であって、より簡便に施工でき且つ基礎に対する主に水平方向の地震力を一層低減することが出来る改良地盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明においては、根切り部の底に施工した調整地盤の基礎に相当する基礎敷設領域に対し、各独立したゴム製のブロック状の免震材を配置することにより、地震の際に基礎へ伝わる水平方向の揺れに対する減衰作用を高めると共に、免震材の水平バネ定数、鉛直バネ定数および厚さを特定の範囲に設定し、免震材の固有振動数を地震の卓越周波数1.56〜6.25Hzよりも小さい1.5Hz以下に制限することにより、地震時の240〜1200galの加速度によって地盤から基礎へ伝わる衝撃力を低減させる様にした。そして、上記の特定の免震材を基礎に対して一定の面積割合で敷設することにより、上記の免震機能を発揮させながら、建物側から加わる鉛直荷重に対して必要な支持耐圧を確保する様にした。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、建物の基礎に対する地震力を低減させる改良地盤であって、根切り部の底に施工された砕石または捨てコンクリートから成る平坦な調整地盤の基礎敷設領域にゴム製のブロック状の免震材を複数配置して構成され、前記免震材は、水平バネ定数が0.001〜0.1kN/cm、鉛直バネ定数が1〜10kN/cm、厚さが10〜200mmであり、平面視した場合の前記免震材の総敷設面積が、前記基礎敷設領域の面積に対して5〜90%であることを特徴とする改良地盤に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る改良地盤によれば、根切り部の底の調整地盤上にブロック状の免震材を配置するだけで地盤改良できるため、施工が極めて簡便であり、そして、ゴム製の免震材がブロック状に形成されてそれぞれに独立し、かつ、免震材の水平バネ定数、鉛直バネ定数、厚さ及び基礎敷設領域の面積に対する総敷設面積が特定の範囲に設定されており、免震材の固有振動数を地震の卓越周波数よりも小さくし、ゴムの歪率が15%以下に抑制できるため、基礎に加わる特に水平方向の地震力を低減させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る改良地盤の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る改良地盤の一構造例を示す縦断面図である。図2は、本発明に係る改良地盤におけるブロック状の免震材の一配置例を示す平面図であり、図3は、本発明に係る改良地盤に適用されるブロック状の免震材の一構成例を示す斜視図である。
【0010】
本発明の改良地盤は、図1に示す様に、例えば、木造や軽量鉄骨造による戸建て住宅などの軽量の建物(図示せず)の基礎(7)が敷設される改良地盤である。具体的には、建物および基礎(7)を含めて、50kN/m以下の鉛直荷重を支持する改良地盤であり、基礎(7)に対する地震力を低減させるために構築される。そして、本発明の改良地盤は、基礎(7)の少なくとも基部を埋設するための根切り部(2)の底、好ましくは床付け面に施工された砕石または捨てコンクリートから成る平坦な調整地盤(3)の基礎敷設領域にゴム製のブロック状の免震材(4)を複数配置して構成される。
【0011】
本発明において、基礎(7)は、連続基礎(布基礎)、べた基礎の何れでもよいが、より優れた免震効果が得られる点からすると、図に例示したべた基礎が好ましい。根切り部(2)は、地盤(1)の水平方向の揺れが基礎(7)へ直接伝播しない様に、平面視した場合、基礎(7)の外周部に対してそれぞれ100〜400mm程度大きな寸法で掘削され(図2参照)、その深さは、上記の調整地盤(3)としての砕石または捨てコンクリート及び免震材(4)を敷設するため、基礎(7)の底面の埋設深さから更に50〜300mm程度掘り下げた深さとされる(図1参照)。
【0012】
調整地盤(3)は、建物および基礎(7)を支持するに足る耐力を確保するために施工される。通常、根切り部(2)の底には床付けが施される。そして、調整地盤(3)は、根切り部(2)の床付け面に対し、砕石を転圧して構成されるか、あるいは、図示する様に、厚さ50〜250mm程度に捨てコンクリートを打設して構成されることにより、平坦面として仕上げられる。
【0013】
本発明においては、基礎(7)を含む建物(図示省略)の鉛直荷重を支持すると共に、地震時の揺れ、すなわち、鉛直方向および水平方向の揺れを減衰し、かつ、地震の加速度によって基礎(7)に加わる衝撃力を緩衝するため、調整地盤(3)の上面に特定の免震材(4)が複数配置される。免震材(4)は、後述する特定のゴムから成るブロック状の成形体である。各免震材(4)の形状は、上下端面が平面で且つ高さが一定である限り特に制限はないが、例えば図3に示す様に、上下端面が方形の直方体とされる。直方体または立方体の免震材(4)においては、施工時の取扱いを容易にする観点から、平面視した場合の1辺の寸法(縦横の大きさ)を100〜500mm程度とされる。
【0014】
ところで、一般的に想定されている地震の卓越周波数は、大地震、中小地震の場合、1.56〜6.25Hzであり、斯かる周波数における地盤(1)の加速度は、大地震の場合でで1200gal、中小地震の場合で240galである。従って、基礎(7)に対する上記の様な地震の揺れ及び衝撃力を低減するには、基礎(7)を支持する免震材(4)において、上記の地震の揺れに対する減衰係数(損失率)を出来る限り大きくし、固有振動数を1.5Hz以下に設計する必要がある。
【0015】
一方、免震材(4)において、上記の様な振動特性を満足しつつ、上部の建物および基礎(7)を含む前述の50kN/mまでの鉛直荷重を支持するには、免震材(4)自体が過剰に変形することなく前述の荷重を十分に支持でき、かつ、塑性変形しないことが重要であり、具体的には、免震材(4)の鉛直荷重に対する残留歪率を15%以下に設計する必要がある。
【0016】
そこで、本発明においては、免震材(4)を構成するゴムにおいて必要とされる条件を以下の手順で決定した。すなわち、各種のゴムの水平バネ定数および揺れの減衰係数(損失率)を実験的に確認した後、これらゴムの固有振動数を前記の水平バネ定数から算出した。次いで、地震時の想定される各周波数について、入力地震力と出力地震力の比として表される振動伝達率を上記の固有振動数および減衰係数(損失率)から算出し、各周波数における出力地震力から加速度および振幅変位量を推定した。そして、十分な免震効果が奏せられ且つ鉛直荷重に対する残留歪率が上記の値以下となる様に、免震材(4)の敷設個数、大きさ及び後述する拘束層(42)の積層数について決定した。
【0017】
本発明の改良地盤においては、基礎(7)を含む建物の所要の鉛直荷重を支持し且つ斯かる鉛直荷重に対する残留歪率を15%に抑制し、しかも、固有振動数を1.5Hz以下にするため、免震材(4)は、水平バネ定数が0.001〜0.1kN/cm、鉛直バネ定数が1〜10kN/cm、厚さ(高さ)が10〜200mmに設定される必要がある。そして、免震材(4)は、平面視した場合の総敷設面積が基礎(7)の敷設面積に対して5〜90%に設定される必要がある。これらの構成により、地震の揺れを効果的に低減することが出来る。特に、支持耐圧を向上し且つ地盤(1)側の揺れをより効果的に低減する観点から、上記の免震材(4)の総敷設面積は、5〜20%に設定されるのが好ましい。
【0018】
上記の条件を満足する免震材(4)の素材としては、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性、耐微生物性、耐油性、耐有機溶剤性に優れたゴムが好ましい。斯かるゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−アクリルゴム、多硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム−塩化ビニル樹脂ブレンド、ニトリルゴム/EPDMブレンド、並びに、再生ゴム等が挙げられる。これらのゴムには、オイル類、加硫剤、老化防止剤などが必要に応じて添加されてもよい。
【0019】
また、上記のゴムとしては、未加硫ゴム、加硫ゴムの何れでもよい。未加硫ゴムの中では、廉価で且つ素材の粘度も低いことから、再生ゴムが最も好ましい。そして、廃タイヤ等から得られる再生ゴムだけで免震材(4)を構成した場合は、地震の揺れに対する損失率が0.2程度であるのに対し、後述する様に再生ゴムに木材チップを混合した場合は、前記の損失率が大きく、共鳴点における振動伝達率を一層小さくすることが出来る。
【0020】
免震材(4)は、鉛直荷重する残留歪率を上記の所定値以下に抑えて支持耐圧を向上させるため、図3に示す様に、多数のゴムシート(41)を積層して構成され、各ゴムシート(41)の間には、拘束層(42)が設けられる。免震材(4)は、その厚さ(高さ)が10〜200mmの場合、厚さ2〜10mmのゴムシート(41)を2〜100枚程度積層して構成される。拘束層(42)は、ゴムシート(41)の荷重変形を抑制する機能を有し、合成繊維および/または天然繊維から成る織物に未加硫ゴムをトッピング又はフリクションして得られる未加硫ゴム引布素材で構成される。
【0021】
具体的には、積層構造の上記の未加硫ゴムから成る免震材(4)は、再生ゴムと木材チップを混合して製造された定形の未加硫のゴムシート(41)と、ナイロン基布を使用した拘束層(42)としての未加硫ゴム引布とを交互に積み重ね、自己粘着力による接着または各層間をゴム系接着剤で接着することにより製作することが出来る。
【0022】
更に、未加硫ゴムの免震材(4)においては、減衰係数(損失率)を大きくし、特に水平方向の地震力を抑制するため、上記のゴムシート(41)としては、前述の木材チップ(図示省略)を練り込んで成形されたゴムシートが好ましい。木材チップ入りのゴムシート(41)を製造する場合、木材チップとしては、建築廃材、剪定枝などから成るチップを利用することが出来る。そして、斯かるチップをゴムにブレンドした際のゴムの接着強度を高めるため、水分含有量5〜40重量%のチップが使用される。すなわち、水分含有量が40重量%よりも多い場合は、木材チップに対する接着力が不足し、ゴムシート(41)の剛性が低くなり、シートに割れが生じ易くなる。また、水分含有量を5%未満とするには、木材チップを強制乾燥させる必要があり、処理コストが大きくなるため実用的ではない。
【0023】
木材チップの形状は特に制限はないが、免震材(4)における上記の減衰係数(損失率)及び残留歪率を満足するため、木材チップの大きさは、通常、篩網によって選別した場合にφ10mmの篩目は通過するがφ1mm未満の篩目は通過しない大きさとされる。斯かる大きさの木材チップは、粉砕機によって木材を粉砕処理することにより例えば略棒状に形成される。なお、上記の様な水分含有率および残留歪率に関する条件を満足する木材チップとしては、建物の取壊しや改修により発生した廃木材、いわゆる建築廃材を粉砕して得られる廃木材チップが好適である。
【0024】
一方、加硫ゴムので免震材(4)を構成する場合は、前述した様に固有振動数を1.5Hz以下に設計する必要がある。従って、上記の加硫ゴムとしては、耐候性に優れた原料のEPDMに対し、相溶性のよいオイルを多量に加え、更に充填剤、加硫助剤、加硫剤を混合して混合物を調製し、斯かる混合物を加熱、加圧成形して得られた超低硬度のゴムが使用される。
【0025】
上記の加硫ゴムから成る積層構造の免震材(4)は、EPDM素材に加硫剤、加硫助剤を混合して製造された定形の未加硫のゴムシート(41)と、ナイロン基布を使用した拘束層(42)としての未加硫ゴム引布とを交互に積み重ね、これを所定の金型に装入し、プレス装置にて加圧、加熱成形することにより製作することが出来る。斯かる免震材(4)においては、加硫ゴムの固有周波数を小さく設計する必要があり、ゴムシートとして加硫ゴムで形成された超低硬度ゴムシートが使用され、そのJIS硬度(A)は0〜20度とされる。
【0026】
また、本発明の改良地盤においては、基礎(7)の上記の免震材(4)に対する鉛直荷重を軽減するため、調整地盤(3)上の免震材(4)の間には、砂利または砕石から成る支持材(5)が充填される。砂利または砕石の粒度は平均粒径で1〜5cmとされる。支持材(5)の表面は、締固め機械によって平坦に押し固められ且つ調整地盤(3)上に配置された免震材(4)の上端よりも当該免震材の変形量だけ幾分低い状態とされる。支持材(5)の粒度範囲を上記の範囲に設定することにより、支持材(5)の層により基礎(7)の底面側を均等に支持でき、しかも、地震の際、免震材(4)の変形に追従して支持材(5)の層全体が変形し、支持材(5)が免震材(4)の変形を制限することないため、揺れに対して免震材(4)の減衰特性を十分に発揮させることが出来る。
【0027】
本発明の改良地盤および基礎(7)の施工方法は次の通りである。すなわち、図1及び図2に示す様に、先ず、地盤(1)を掘削し、敷設される基礎(7)よりも平面形状が前述の寸法だけ大きな根切り部(2)を前述の深さで形成する。次いで、根切り部(2)の底を床付けし、斯かる床付け面に例えば捨てコンクリートを所定の厚さに打設し、これを養生して調整地盤(3)を構成する。
【0028】
続いて、調整地盤(3)の上面に対し、基礎(7)の敷設領域を罫書き、基礎(7)の出隅部および周縁の内縁部に相当する位置に免震材(4)を配置する。その場合、基礎(7)の敷設領域を均等に分割して免震材(4)を均等配置する。免震材(4)は、後述の支持材(5)の充填工を容易にするため、両面粘着テープ又は接着剤を使用して調整地盤(3)に貼着するのが好ましい。
【0029】
免震材(4)を配置した後は、図1に示す様に、基礎(7)の敷設領域の外周部に配置された各免震材(4)の外周面側に防水シート(8)を張設する。防水シート(8)は、基礎(7)の構築後に当該基礎の下方への雨水などの浸入を防止するために設けられる。斯かる防水シート(8)としては、ゴム、合成樹脂などから成る非透湿性のシートが使用される。
【0030】
すなわち、調整地盤(3)の上面の基礎(7)敷設領域の外周部に位置する免震材(4)の外周には、免震材(4)の高さよりも大きな幅の帯状の防水シート(8)を巻き付け、そして、上端側となる防水シート(8)の一方の縁部は、基礎(7)下端外周部に貼着するために免震材(4)よりも上方まで立ち上げ、下端側となる防水シート(8)の他方の縁部は、折り返して調整地盤(3)の表面に貼着する。なお、本発明において、防水シート(8)を構成するシートにはフィルムも含まれる。
【0031】
次いで、基礎(7)の敷設領域に配置された免震材(4)の間に支持材(5)としての砂利または砕石を充填する。前述した様に、支持材(5)は、各隣接する免震材(4)の隙間に充填し、その表面を押し固めて免震材(4)の上端より僅かに低い高さに揃える。更に、図1及び図2に示す様に、先に張設した防水シート(8)の外周側、すなわち、基礎(7)の敷設領域の外周部に位置する各免震材(4)と根切り部(2)の側壁との隙間に対し、上記と同様の支持材(5)を免震材(4)と略同一高さまで充填する。
【0032】
基礎(7)の敷設領域に上記の様に免震材(4)及び支持材(5)を配置した後は、図1に示す様に、これらの上面を遮蔽板(6)で被覆する。遮蔽板(6)は、基礎(7)を施工する際にそのコンクリートが免震材(4)や支持材(5)に浸透するのを防止するための仕切り材である。斯かる遮蔽板(6)としては、木毛セメント板、ベニヤ板、金属板などが使用される。上記の遮蔽板(6)を配置した後は、当該遮蔽板の上面側に基礎(7)を構築する。基礎(7)は、配筋工を施し且つコンクリート型枠を組んで内部にコンクリートを打設する従来公知の各種の施工方法により構築される。
【0033】
続いて、上記の基礎(7)の外周面(側面)のうちの地中埋設部分に緩衝材(9)を付設する。緩衝材(9)としては、ブロック状のゴム製成形体が使用される。上記の緩衝材(9)は、地震による基礎(7)の水平方向への揺れを補助的に緩衝するために設けられ、基礎(7)の外周面に対して全周または適宜の間隔で取り付けられる。次いで、図1及び図2に示す様に、基礎(7)の外周側と根切り部(2)の側壁との隙間に対し、更に上記と同様の支持材(5)を地表面の高さまで充填し、基礎(7)の周囲を埋める。
【0034】
上記の様に構築された本発明の改良地盤よれば、根切り部(2)の底に施工した調整地盤(3)上の基礎(7)に相当する領域に対し、各独立したゴム製のブロック状の免震材(4)が配置されており、しかも、免震材(4)の水平バネ定数、鉛直バネ定数および厚さが特定の範囲に設定され、免震材(4)の固有振動数が地震の卓越周波数1.56〜6.25Hzよりも小さい1.5Hz以下に制限されているため、地震の際に地盤(1)から基礎(7)へ伝わる衝撃力を低減させ、かつ、基礎(7)へ伝わる水平方向の揺れに対する減衰作用を高めることが出来る。換言すれば、基礎(7)に加わる特に水平方向の地震力を低減させることが出来る。
【0035】
更に、上記の改良地盤においては、調整地盤(3)上面の免震材(4)の間に支持材(5)が充填されていることにより、建物を含む基礎(7)に対する支持耐圧を高めることが出来かつ免震材(4)への荷重負荷を軽減できる。しかも、地震の際は、免震材(4)の変形に追従して支持材(5)の層全体が変形するため、揺れに対して免震材(4)の減衰特性を十分に発揮させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る改良地盤の一構造例を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る改良地盤におけるブロック状の免震材の一配置例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る改良地盤に適用されるブロック状の免震材の一構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 :地盤
2 :根切り部
3 :調整地盤
4 :免震材
41:ゴムシート
42:拘束層
5 :支持材
6 :遮蔽板
7 :基礎
8 :防水シート
9 :緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に対する地震力を低減させる改良地盤であって、根切り部の底に施工された砕石または捨てコンクリートから成る平坦な調整地盤の基礎敷設領域にゴム製のブロック状の免震材を複数配置して構成され、前記免震材は、水平バネ定数が0.001〜0.1kN/cm、鉛直バネ定数が1〜10kN/cm、厚さが10〜200mmであり、平面視した場合の前記免震材の総敷設面積が、前記基礎敷設領域の面積に対して5〜90%であることを特徴とする改良地盤。
【請求項2】
免震材は、多数のゴムシートを積層して構成され且つ各ゴムシートの間に拘束層が設けられている請求項1に記載の改良地盤。
【請求項3】
免震材のゴムシートは、未加硫ゴムに木材チップを練り込んで成形されたゴムシートであり且つ地震の揺れに対する損失率が0.3〜0.6である請求項2に記載の改良地盤。
【請求項4】
免震材のゴムシートは、加硫ゴムで形成された超低硬度ゴムシートであり且つJIS硬度(A)が0〜20度である請求項2に記載の改良地盤。
【請求項5】
調整地盤上の免震材の間には、砂利または砕石から成る支持材が充填されている請求項1〜4の何れかに記載の改良地盤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−315067(P2007−315067A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146435(P2006−146435)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(592069562)日東化工株式会社 (6)
【出願人】(591213519)ビイック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】