説明

改質剤及びそれを含む紙製品

【課題】紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを同時に付与する改質剤及びそれを含む紙製品を提供する。
【解決手段】特定の、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイルスルホコハク酸ナトリウム、及びジオレイルスルホコハク酸ナトリウムから選ばれた1種以上を有効成分として含有する、改質剤及びそれを含む紙製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを付与する改質剤及びそれを含む紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活水準が上がり、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、紙おむつおよびペーパータオルなどの家庭用の紙製品も、その機能だけでなく、肌に接触した際の感触が求められるようになってきている。そして一般的には柔らかく肌に引っ掛かりを感じない滑らかな使用感が求められている。また、このように、柔らかく肌に滑らかな製品は、花粉症や鼻炎などの患者にとって、衛生的で、鼻をかむときの不快感や炎症を解消できるという機能をも有する。
【0003】
このように、トイレットペーパーやティッシュペーパーに柔軟性等を付与した製品は多く知られており、製造時に柔軟剤を使用することが一般的である。柔軟剤としては、多価アルコール、脂肪酸エステル、パラフィン乳化物、ワックスエマルションおよび第4級アンモニウム塩化合物などが用いられている。例えば、多価アルコール類の湿潤剤の存在下又は非存在下にポリグリセリン脂肪酸エステル(グリセリン部分の重合度が15以下で、脂肪酸部分の炭素数が8〜24であり、かつエステル化度が3モル以下)から選ばれた平滑剤兼湿潤剤をティシュウェブ乾燥パルプ繊維重量当り0.05〜5%含むティシュペーパー及びその製造方法が開示されている(特許文献1)。あるいは、例えば、ペトロラタム、またはペトロラタムとアルキルエトキシレートの皮膚柔軟化剤、その皮膚柔軟化剤を紙ウェブの表面に固定化する固定化剤としてステアリン酸ソルビタンまたはN−ココイル、N−メチルグルカミド、さらに必要に応じて湿潤性を改良する親水性界面活性剤を含む、トイレットペーパーを処理するローション組成物(特許文献2)や、植物性油脂であるパーム油および/またはパーム核油を主に界面活性剤と2価および3価の水溶性多価アルコールの配合物に若干の水分を添加したものに非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤ならびに抗菌剤を添加してなるティッシュペーパー用組成物(特許文献3)が開示されている。また、炭化水素類、植物油、ロウ類、高級アルコール類のうち一種以上の油類物質と、水溶性ワックスとを含み、更に、必要に応じて保湿剤や脂肪酸類、シリコーン類および界面活性剤を含む紙製品(特許文献4)や、第4級アンモニウム化合物とグリセリン、および重量平均分子量約200〜4000のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを組み合わせた化学的柔軟化組成物を含む紙製品(特許文献5)も開示されている。更に、保湿剤としてグリセリン、ジグリセリン、平均分子量が所定範囲のポリエチレングリコール、ソルビット、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩、マルチトール、乳酸ナトリウムのうちの一種以上の成分、及び、乾燥紙力増強剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、澱粉、変性澱粉、グァーガム、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアマイドのうちの一種以上の成分を含み、または、これらに加えて、水溶性ワックスとして平均分子量が所定範囲のポリエチレングリコールを含む水解紙(特許文献6)も知られている。
【0004】
このような柔軟剤等を紙製品に付与することにより、紙製品の感触は著しく向上する。多価アルコールは、紙パルプ繊維の中に浸透することでパルプ繊維自体がしなやかになり、紙製品が柔らかくなる。脂肪酸エステル、パラフィン乳化物、ワックスエマルションは、紙表面に親油層を形成することで表面の滑りが向上し、滑らかな肌触りが得られる。第4級アンモニウム塩化合物も、紙表面に配向することで滑らかな表面が形成される。しかし、これらの柔軟剤等では、柔軟性と表面の滑らかさを同時に付与することは困難であった。従来の技術である多価アルコールは、パルプ繊維に浸透し、パルプ繊維自体の保水作用は向上するが、その親水層は薄く保水力は小さい。さらにその外層を脂肪酸エステル、パラフィン乳化物、ワックスエマルションにて表面を被えば、保水力は著しく低下する。また、第4級アンモニウム塩化合物に代表されるカチオン性界面活性剤は、パルプ繊維表面に親水基、外側に親油基が配向することで、紙製品の表面に親水層を形成し、その外層に親油層を形成する。しかし、アニオンにチャージしているパルプ繊維表面にカチオン基が強く結合することにより、親水層が薄くなり柔らかさに対して十分な効果を発揮しない。さらに外層の疎水化により、ティシュペーパーやトイレットペーパーの本来の機能である吸水力の低下を生じる恐れがある。
【特許文献1】特開平7−109694公報
【特許文献2】特表平9−506682公報
【特許文献3】特開平10−23988公報
【特許文献4】特開平10−226986公報
【特許文献5】特表平8−502557公報
【特許文献6】特開平9−154764公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを同時に付与する改質剤及びそれを含む紙製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を達成するため、紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを同時に得る化合物やその成分の配合を見出すべく鋭意検討した結果、紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを同時に与えるには、紙製品のパルプ繊維の内部から表面までの厚い親水層を形成し、さらにその外層に薄い親油層を形成することで得られることを見出し、本発明の完成に至った。従って、本発明に最適な化合物は、厚い親水層を形成させるためにアニオン性及び/又はノニオン性の親水基を有し、且つ、薄い親油層を形成させるために短い炭化水素鎖を有する必要があるが、該炭化水素鎖が短すぎると十分な親油層が形成されず、滑らかさが得られなくなるため、十分且つ薄い親油層を得る炭化水素鎖長の最適な範囲が決定される。
【0007】
すなわち請求項1の発明は、脂肪酸の炭素数が12〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキル基の炭素数が12〜18である、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウムとジオレイル スルホコハク酸ナトリウムから選ばれた1種以上を有効成分として含有する、紙製品に柔軟性及び表面の滑らかさを付与する改質剤である。
【0008】
請求項1記載の、脂肪酸の炭素数が12〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキル基の炭素数が12〜18である、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウムとジオレイル スルホコハク酸ナトリウムは、アニオン及び/又はノニオン性の親水基を有しており、該親水基は紙製品のパルプ繊維と水素結合によって直接あるいは水分子を介して結合し水の分子層が形成される。さらに、前記化合物は、紙表面との結合に関与しない酸素基や水酸基が水分子を含むことによりさらに親水層を厚くする。
【0009】
一方、請求項1記載の脂肪酸の炭素数やアルキル基の炭素数は、紙製品の親水層の外層に形成される親油層の厚さに関与する。即ち、炭素数が10以下であると十分な親油層が形成されずに表面がざらつき、また、炭素数22以上であると表面は滑らかであるが、下部の親水層を圧迫することで、親水層が薄くなり柔軟性がなくなる。また、起泡性の観点から、該炭素数は12〜18の範囲で広い分布を有することが望ましい。即ち、該炭素数の分布が狭いと起泡性が高くなり、あらかじめ抄紙機で抄造した紙に二次工程で改質剤を含む溶液を塗布する場合は、生じた泡により改質剤の塗工ムラなどのトラブルが生じ易くなる。また、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムやジペンタエリスリトール脂肪酸エステルは炭化水素鎖を2本有しているため破泡効果が高く、より好ましい。
【0010】
請求項2の発明は、上記改質剤が乳化製剤であり、その配合割合が上記有効成分1〜30重量%、乳化剤1.0〜15.0重量%である請求項1記載の改質剤である。紙製品が含水あるいは、パルプスラリーである状態において、本発明改質剤を、紙および紙製品の表面に速やかに均一に吸着および配向させるためには、該改質剤がO/W型の乳化製剤の状態であることが望ましく、また、上記有効成分の配合割合が1〜30重量%が望ましい。上記有効成分が30重量%以上になると該乳化製剤の粘度が高くなるため、あらかじめ抄紙機で抄造した紙にスプレー塗布しにくくなり、また1重量%以下では、塗布効率が悪くなる。該乳化製剤における乳化剤の配合量は1.0〜15.0重量%が望ましい。15.0重量%以上になると発泡トラブルが生じ、また1.0重量%以下であると、乳化が不安定になる。
【0011】
請求項3の発明は、上記乳化剤が、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、PEG脂肪酸エステル、高級アルコールのEO・PO付加物から選ばれた1種以上である請求項2に記載の改質剤である。請求項3に記載した化合物はいずれも請求項3記載の有効成分との相性が良く、乳化製剤の製品安定性が保たれる。
【0012】
請求項4の発明は、アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物のコハク酸縮合物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の無水酢酸縮合物、トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物から選ばれた1種以上を1〜10重量% 含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の改質剤である。
【0013】
請求項4記載の化合物には、紙製品のパルプとパルプを弱く架橋する作用があり、乾燥状態に於いて紙製品の嵩低下を防止することで、乾燥時においても柔軟性を保つことができる。本発明の改質剤に請求項4記載の化合物群から選ばれた1種以上が1〜10重量%含有されることが望ましい。含有量が1重量%以下ではその嵩低下の防止効果は弱く、10重量%以上であると期待させる効果は得られるものの、コストアップとなり、さらに上記改質剤の粘度が高くなり紙にスプレー塗布しにくくなる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の改質剤を紙製品の乾燥重量あたり1〜20重量% 含有せしめたことを特徴とする紙製品である。
【0015】
請求項6の発明は、上記紙製品がティッシュペーパー又はトイレットペーパーである請求項5記載の紙製品である。
【0016】
本発明の、柔軟性と表面の滑らかさを同時に付与する対象となる「紙製品」の紙は、天然由来のもの及び合成されたもののいずれであってもよい。紙製品としては、ティッシュペーパーやトイレットペーパーに好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の改質剤により紙製品に柔軟性と表面の滑らかさを同時に付与することができるため、該改質剤を含む紙製品は快適な使用感が得られ、また、花粉症や鼻炎などの患者にとって、衛生的で、鼻をかむときの不快感や炎症を解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
請求項1の発明における、脂肪酸の炭素数が12〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキル基の炭素数が12〜18である、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウムとジオレイル スルホコハク酸ナトリウムは、紙製品に柔軟性と滑らかさ付与するために配合される。
【0019】
脂肪酸の炭素数が12〜18であるソルビタン脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、及びトリオレイン酸ソルビタン等がある。
【0020】
脂肪酸の炭素数が12〜18であるペンタエリスリトール脂肪酸エステルとしては、ペンタエリスリトールテトララウレート、ペンタエリスリトールトリラウレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールトリパルミテート、ペンタエリスリトールジパルミテート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート等がある。
【0021】
脂肪酸の炭素数が12〜18であるジペンタエリスリトール脂肪酸エステルとしては、 ジペンタエリスリトールヘキサラウレート、ジペンタエリスリトールテトララウレート、ジペンタエリスリトールモノラウレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールモノステアレート、ジペンタエリスリトールモノオレエート 等がある。
【0022】
脂肪酸の炭素数が12〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン等がある。
【0023】
アルキル基の炭素数が12〜18であるジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウムのアルキル基としては、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等 があり、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ジミリスチルスルホコハク酸ナトリウム、ジパルミチルスルホコハク酸ナトリウム、ジステアリルスルホコハク酸ナトリウム、及びラウリルオレイルスルホコハク酸ナトリウム、ミリスチルオレイルスルホコハク酸ナトリウム、パルミチルオレイルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリルオレイルスルホコハク酸ナトリウム等、更に牛脂やパーム油由来の高級アルコールを原料とした複数の炭素数のアルキル基を有するスルホコハク酸ナトリウムがある。
【0024】
また、請求項3の発明に用いる乳化剤としての高級アルコールの硫酸エステル塩としては、2―エチルヘキシルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩、2−エチルヘキシルアルコールの硫酸エステルカリウム塩、ドデシルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルアルコールの硫酸エステルカリウム塩、セチルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩、セチルアルコールの硫酸エステルカリウム塩、オレイルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩、オレイルアルコールの硫酸エステルカリウム塩、ステアリルアルコールの硫酸エステルナトリウム塩、ステアリルアルコールの硫酸エステルカリウム塩等がある。
【0025】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ミリスチルベンゼンスルホン酸塩、セチルベンゼンスルホン酸塩等がある。
【0026】
α―オレフィンスルホン酸塩としては、ラウリルスルホコハク酸塩、ラウリルスルホン酸塩、C12オレフィンスルホン酸塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ラウロイルタウリン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸塩、イセチオン酸ラウリン酸エステル塩、ミリスチルスルホコハク酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、C14オレフィンスルホン酸塩、ミリストイルメチルタウリン塩、ミリストイルタウリン塩、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルスルホコハク酸塩、イセチオン酸ミリスチン酸エステル塩、セチルスルホコハク酸塩、セチルスルホン酸塩、C16オレフィンスルホン酸塩、パルミトイルメチルタウリン塩、パルミトイルタウリン塩、ポリオキシエチレンセチルエーテルスルホコハク酸塩、イセチオン酸パルミチン酸エステル塩、ステアリルスルホコハク酸塩、ステアリルスルホン酸塩、C18オレフィンスルホン酸塩等がある。
【0027】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等がある。
【0028】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル としては、炭素数8〜30の直鎖又は分岐、飽和又は不飽和のアルコールにポリアルキレンオキシドを付加したものである。具体的には、ポリオキシエチレン(3モル)オクチルエーテル、ポリオキシエチレン(5モル)ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(15モル)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20モル)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(15モル)ポリオキシプロピレン(2モル)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)コレスタノールエーテル、ポリオキシエチレン(20モル)ポリオキシプロピレン(20モル)水添ラノリン等がある。
【0029】
PEG脂肪酸エステルとしては、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等がある。
【0030】
高級アルコールのEO・PO付加物としては、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、更に牛脂、パーム油、又はやし油由来の高級アルコールのEO・PO付加物等がある。
【0031】
また、請求項4の発明に用いられる高級脂肪酸としては、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和の高級脂肪酸であって、具体的には、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸等がある。
【0032】
アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物としては、柔軟ベースNO190、NO191(大原パラヂウム化学(株)製)等がある。ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物のコハク酸縮合物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の無水酢酸縮合物としては、柔軟ベースNO130、NO131、NO132、NO133(大原パラヂウム化学(株)製)等がある。トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物としては、柔軟ベースNO80、NO81(大原パラヂウム化学(株)製)等がある。
【0033】
本発明の改質剤の乳化方法は特に限定しないが、例えば、ホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製:本体TKロボミックスにTKホモミキサーMARKII 2.5型羽根を装着した。)を使用する。液温60〜90℃の水又は水性溶媒に本発明の乳化剤を添加し、ホモジナイザーを5000rpmで回転させているところに、請求項1記載の有効成分であって被乳化成分であるソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウム、ジオレイル スルホコハク酸ナトリウムから選ばれた1種以上を添加し、1分〜3分間回転を維持した後にホモジナイザーを止め、乳化を完成する。尚、被乳化成分として上記化合物の中から複数の化合物を選んだ場合でも、その添加順序及び添加方法は特に限定されない。
【0034】
本発明の効果をさらに上げるため、請求項4記載のアミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物のコハク酸縮合物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の無水酢酸縮合物、トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物から選ばれた1種以上を配合してもよい。その場合は、前記の乳化終了後、ホモジナイザーの回転を維持したまま、選ばれた請求項4記載の化合物を添加し、1〜3分間回転を維持した後にホモジナイザーを止める。この方法にて、本発明の乳化状態の改質剤を得ることができる。
【0035】
また、必要に応じて、各種多価アルコールや水溶性高分子を乳化終了後に配合してもよい。多価アルコールとしては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール等がある。これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0036】
また、水溶性高分子としては、例えば、少なくともフコース、グルコース、グルクロン酸、ラムノースを構成単糖として含む多糖類であり、好ましくは下記式(化1)に示されるようなグルコース、グルクロン酸、ラムノースからなる繰返し構造の主鎖からなり、主鎖中の1つのグルコースに1つのフコースが分岐した構造からなっている多糖類がある。
【0037】
【化1】

【0038】
上記式(化1)の多糖類は、例えばアルカリゲネス レータスB−16株細菌(FERM BP−2015号)の産生物として得ることができ、アルカシーラン(伯東(株)製)が入手できる。また、その他の水溶性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グアーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、アルゲコロイド、フコイダン、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン等の植物系高分子;キサンタンガム、カードラン、ジェランガム、フコゲル、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;キトサン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリオキシエチレン系高分子;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子;ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト等の無機系水溶性高分子等、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等がある。これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。これらの水溶性高分子は、あらかじめ、適当な濃度の水溶液にしておき、本発明の改質剤に配合する。ここで言う「適当な濃度」とは、改質剤に配合後に、改質剤の粘度を大幅に増加させない程度の濃度を指す。
【0039】
配合割合としては、本発明の改質剤の重量に対して1/10〜10倍量の各種多価アルコール及び/又は水溶性高分子の水溶液を本発明の改質剤と混合して使用することができる。
【0040】
本発明の改質剤を紙製品に適用する場合は、抄紙前のパルプスラリーに添加する方法もある。さらに、抄紙工程の紙形成後の水分率が20%以下の工程で本発明改質剤そのまま、あるいは水や上記多価アルコール等で希釈した溶液を直接スプレー塗布することもできる。スプレーする溶液は粘度が高すぎると細かで均一な飛沫が得られないことから、25℃における溶液粘度が100mPa.S以下であることが好ましい。また、あらかじめ抄紙機で抄造した紙に二次工程で本発明の改質剤を含む溶液を塗布する方法がある。これには、コーター又は印刷機による方式がある。コーター又は印刷機による塗工では塗工する溶液の粘度が200mPa.S(25℃における)以下が望ましい。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(A)柔軟性及び表面の滑らかさを付与する成分
(1)実施例に配合するもの
A−1:NIKKOL SS−10V(日光ケミカル(株)製:モノステアリン酸ソルビタン)
A−2:エキセパールPE−MO(花王(株)製:ペンタエリスリトールモノオレート)
A−3:ユニスターH−676(日油(株)製:ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル)
A−4:NIKKOL TP−10V(日光ケミカル(株)製:モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン)
A−5:ペレックスOT−P(花王(株)製:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム)
(2)比較例に配合するもの
A−6:NIKKOL DGMS(日光ケミカル(株)製:モノステアリン酸ジグリセル)
A−7:エソカードO/12(ライオン(株)製:塩化ジ(ポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウム(2EO))
(B)乳化剤
(1)実施例に配合するもの
B−1:パーソフトEK(日油(株)製:ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩)
B−2:NIKKOL BC−20(日光ケミカル(株)製:ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)
B−3:NIKKOL MYS−40V(日光ケミカル(株)製:ステアリン酸PEG−40)
B−4:NIKKOL BWA−10(日光ケミカル(株)製:ポリオキシエチレン(10モル)ラノリンアルコール)
B−5:シノリンSP(新日本理化(株)製:高級アルコールの硫酸エステル塩)
B−6:リポランPB−800(ライオン(株)製:α―オレフィンスルホン酸塩)
B−7:ネオペレックスG―15(花王(株)製:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型))
(2)比較例に配合するもの
B−8:NIKKOL HCO−60(日光ケミカル(株)製:ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油)
(C)請求項4の発明の化合物
C−1:柔軟ベースNO190(大原パラヂウム化学(株)製:アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物)
C−2:柔軟ベースNO191(大原パラヂウム化学(株)製:アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物の尿素反応物)
C−3:柔軟ベースNO130(大原パラヂウム化学(株)製:ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物)
C−4:柔軟ベースNO131(大原パラヂウム化学(株)製:ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の尿素反応物)
C−5:柔軟ベースNO132(大原パラヂウム化学(株)製:ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物のコハク酸縮合物)
C−6:柔軟ベースNO133(大原パラヂウム化学(株)製:ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の無水酢酸縮合物)
C−7:柔軟ベースNO80(大原パラヂウム化学(株)製:トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物)
C−8:柔軟ベースNO81(大原パラヂウム化学(株)製:トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物の尿素反応物)
【0042】
(実施例1〜10)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水395gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−2(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−1(モノステアリン酸ソルビタン)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。次いで、得られた乳化液を室温まで冷却して、本発明改質剤の実施例1を得た。さらに同様の方法にて、A−1の代わりにA−2からA−5を配合し、表1に示す本発明改質剤の実施例2〜10を得た。
【0043】
(実施例11〜13)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水470gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−2(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)25gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−1(モノステアリン酸ソルビタン)を5g添加、3分間、乳化処理を行った。次いで、得られた乳化液を室温まで冷却して、本発明改質剤の実施例11を得た。さらに同様の方法にて、イオン交換水を470gに代えて400g、B−2を25gに代えて50g、A−1を5gに代えて50g添加し本発明改質剤の実施例12を得た。さらに同様の方法にて、イオン交換水を470gに代えて275g、B−2を25gに代えて75g、A−1を5gに代えて150g添加し本発明改質剤の実施例13を得た。配合を表1に示した。
【0044】
(実施例14〜19)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水395gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−1(ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−1(モノステアリン酸ソルビタン)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。次いで、得られた乳化液を室温まで冷却して、本発明改質剤の実施例14を得た。さらに同様の方法にて、B−1の代わりにB−3からB−7を配合し、本発明改質剤の実施例15〜19を得た。配合を表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
(実施例20〜27)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水345gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−2(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−5(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。さらに、C−1(アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物)を50g添加し、1分間維持した後、得られた乳化液を室温まで冷却して、本発明改質剤の実施例20を得た。さらに同様の方法にて、C−1の代わりにC−2からC−8を配合し、本発明改質剤の実施例21〜27を得た。配合を表2に示した。
【0047】
(実施例28、29)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水390gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−2(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−5(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。さらに、C−1(アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物)を5g添加し、1分間維持した後、得られた乳化液を室温まで冷却して、本発明改質剤の実施例28を得た。さらに同様の方法にて、イオン交換水を390gに代えて370g、C−1を5gに代えて25g添加し本発明改質剤の実施例29を得た。配合を表2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
(比較例1、2)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水395gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−2(ポリオキシエチレン(20モル)セチルエーテル)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−6(モノステアリン酸ジグリセル)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。次いで、得られた乳化液を室温まで冷却して、比較例1を得た。さらに同様の方法にて、A−6の代わりにA−7を配合し、比較例2を得た。
【0050】
(比較例3、4)
容量1000mlのビーカーにイオン交換水395gを添加し、60℃に加熱した後、T.K.ホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて5,000回転で、攪拌を開始した。予め60℃に加熱しておいたB−8(ポリオキシエチレン(60モル)硬化ヒマシ油)5gを添加し、予め60℃に加熱しておいたA−1(モノステアリン酸ソルビタン)を100g添加、3分間、乳化処理を行った。次いで、得られた乳化液を室温まで冷却して、比較例3を得た。さらに同様の方法にて、A−1の代わりにA−6を配合し、比較例4を得た。
【0051】
〔改質剤の安定性試験〕
実施例1〜29及び比較例1〜4の改質剤を調製した後、100ml共栓付メスシリンダーに100ml取り、栓をして45℃の恒温器内に静置した。12週間後に100ml共栓付メスシリンダー内の改質剤の分離を目視にて測定した。以下の評価基準に従い、結果を表3に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
(安定性の評価基準)
○:目視により、分離・沈澱が認められない。
×:目視により、分離・沈澱が認められる。
【0052】
【表3】

【0053】
〔紙製品の改質性試験〕
(1)塗工法
バーコーターNo.10(R.D.SPECIALTIES INK 社製)を用いて、本発明改質剤の実施例1〜29を、市販の合板(縦200mm×横230mm×板厚12mm)上に均一に塗工した。次いで、合板の塗工面に、予め秤量しておいた市販のティッシュペーパーを密着させ、軽く上から押さえつけることにより、組成物をティッシュペーパーに吸収させた。塗工量は、塗工重量増加から求めた。上記の操作を繰り返して塗工重量が実施例の改質剤重量換算で紙重量の20%になるように調整した。塗工試作品はティッシュペーパーを複数枚同じ向きに積み重ねて、24時間エージングを行った。さらに、同様の方法にて市販のトイレットペーパーも塗工した。比較例1〜4も同様に試験した。
(2)噴霧法
予め秤量しておいた市販ティッシュペーパーを平板上に広げ、本発明改質剤の実施例1〜29を、噴霧器を用いて、ティッシュペーパーの四方からスプレー塗工した。噴霧後のティッシュペーパーを、平均室温25℃、平均湿度65%の条件下で一晩放置し、塗工量は、塗工重量増加から求めた。上記の操作を繰り返して塗工重量が実施例の改質剤重量換算で紙重量の20%になるように調整した。比較例1〜4も同様に試験した。
【0054】
(3)官能試験1
上記方法にて作成した塗工試作品について、下記の手順でパネラー14名による触感試験を行った。触感評価項目としては、柔軟性および表面の滑らかさを設定した。各塗工試作品は、区別が付かないようにランダムに並べた。次いで、10才代から50才代までの各年代から2人ずつ、合計10人のパネラーを選び、各自、指で触り「柔軟性および、表面の滑らかさ」の官能評価を行なった。各の評価基準は、以下のようにした。結果を表4に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
評価基準
○:10名中8名以上が、柔軟で滑らかな感触があると評価。
×:10名中7名以下が、柔軟で滑らかな感触があると評価。

【0055】
【表4】

【0056】
(4)官能試験2
上記塗工法において、本発明改質剤の実施例13の塗工重量が実施例13の改質剤重量換算で紙重量の1%になるように調整し実施例13−1を得た。同様に、本発明改質剤の実施例13の塗工重量が実施例13の改質剤重量換算で紙重量の5%になるように調整し実施例13−2を得た。同様に、本発明改質剤の実施例13の塗工重量が実施例13の改質剤重量換算で紙重量の10%になるように調整し実施例13−3を得た。実施例13−1〜13−3について、上記官能試験1と同様の官能試験2を行った。結果を表5に示した。すべての実施例で良好な結果を示している。
【0057】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪酸の炭素数が12〜18である、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキル基の炭素数が12〜18である、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルオレイル スルホコハク酸ナトリウムとジオレイル スルホコハク酸ナトリウムから選ばれた1種以上を有効成分として含有する、紙製品に柔軟性及び表面の滑らかさを付与する改質剤。
【請求項2】
上記改質剤が乳化製剤であり、その配合割合が上記有効成分1〜30重量%、乳化剤1.0〜15.0重量%である請求項1記載の改質剤。
【請求項3】
上記乳化剤が、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、PEG脂肪酸エステル、高級アルコールのEO・PO付加物から選ばれた1種以上である請求項2に記載の改質剤。
【請求項4】
アミノエチルエタノールアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物のコハク酸縮合物、ジエチレントリアミンと高級脂肪酸の縮合物の無水酢酸縮合物、トリエチレンテトラミンと高級脂肪酸の縮合物及びその尿素反応物から選ばれた1種以上を1〜10重量% 含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の改質剤。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の改質剤を紙製品の乾燥重量あたり1〜20重量% 含有せしめたことを特徴とする紙製品。
【請求項6】
上記紙製品がティッシュペーパー又はトイレットペーパーである請求項5記載の紙製品。


【公開番号】特開2010−84273(P2010−84273A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254478(P2008−254478)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000234166)伯東株式会社 (135)
【Fターム(参考)】