説明

放出制御錠剤

【課題】膨張ポリマーを使用しない抗過血糖薬の放出制御錠剤を提供する。
【解決手段】(a)(i)コアの重量に基づき75〜95重量%の塩酸メトホルミンと、(ii)コアの重量に基づき3〜15重量%の水溶性結合剤と、(iii)コアの重量に基づき2〜20重量%の吸収増強剤とを含むコアと、(b)任意選択で前記コアを囲む水溶性シールコートと、(c)メトホルミンの放出を制御するように、前記コアまたは前記任意選択的シールコートによって囲まれるコアを覆う修飾ポリマー膜とを含む、放出制御錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、抗過血糖薬を含む放出制御単位投薬製剤に関する。より詳細には、本発明は、メトホルミンやブホルミンなどのビグアニド、または塩酸メトホルミンや米国特許第3,957,853号および第4,080,472号(参考として本明細書に組込む)に記載のメトホルミン塩など医薬的に許容されるその塩に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、医薬の治療血清レベルを維持し、患者が服薬遵守を怠ることにより引き起こされる摂取されない薬物量の効果を最小限にするために、放出制御および放出延長医薬投薬形を提供すべく多くの技術が使用されてきた。
【0003】
従来技術には、半透膜により囲まれた浸透圧的に活性な薬物コアを有する放出延長錠剤がある。これらの錠剤は、胃液や腸液などの液体が、コーティング膜へ浸透し、活性成分が溶解されるように作用し、よって、それはコーティング膜の通路を通して放出され得るか、または活性成分が浸透液に不溶性の場合、ヒドロゲルなどの膨張剤により通路を通って押され得る。これらの浸透圧的錠剤系のいくつかの代表例は、米国特許第3,845,770号、3,916,899号、第4,034,758号、第4,077,407号および第4,783,337号に見出すことができる。米国特許第3,952,741号は、活性剤が、半透膜により囲まれたコアから、十分な圧力が膜内に発生して膜の弱い部分で膜を破壊または破裂させた後にのみ放出される、浸透圧装置を教示する。
【0004】
上記に引用した特許に記載の基本的な浸透圧装置は、活性成分の放出がより制御されるように時間をかけて改良されてきた。例えば、米国特許第4,777,049号および第4,851,229号は、コアを囲む半透壁を含む浸透圧投薬形を記載する。コアは、活性成分および調節剤を含み、ここで、調節剤は、活性成分が、律動的に半透膜の通路を通って放出されるようにする。さらなる改良としては、活性コアを囲む半透膜の修飾、例えば、膜を形成する成分の特性の変更、すなわち米国特許第5,178,867号、第4,587,117号および第4,522,625号、または活性コアを囲むコーティングの数の増加、すなわち、第5,650,170号および第4,892,739号が含まれる。
【0005】
莫大な量の研究が、放出制御または放出持続組成物、特に浸透圧投薬形について実施されてきたが、抗過血糖薬を使用した放出制御または放出持続組成物の領域の研究はほとんど実施されていない。
【0006】
塩酸メトホルミンなどの抗過血糖薬を使用する放出制御または放出持続製剤に関する限られた研究は、抗過血糖薬と、投薬形からの薬物放出を制御する膨張剤またはゲル化剤の組合せに限定されている。この限定された研究は、WO96/08243の教示、およびメトホルミンHClを含むBristol−Myers Squibb社から市販で入手可能な製品であるGLUCOPHAGE(登録商標)製品により例示される。
【0007】
「Physicians’ Desk Reference」、第50版、1996年版、p.753に、食物は、GLUCOPHAGE(登録商標)投薬形により送達されるメトホルミンの程度を減少させ、その吸収を僅かに遅延させることが報告されている。この減少は、850mgのメトホルミンHClを含む1個のGLUCOPHAGE(登録商標)錠剤を食物と共に投与した後において、絶食条件下で投与した類似の錠剤と比較して、約40%低いピーク濃度および25%低い血漿中AUCおよびピーク血漿中濃度到達時間が35分間延長することにより示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、薬物のバイオアベイラビリティーが食物の存在により減少しない、抗過血糖薬用の放出制御または放出持続製剤を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、膨張ポリマーを使用しない抗過血糖薬用の放出制御または放出持続製剤を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、連続的かつ非律動的な治療レベルの抗過血糖薬を、該処置の必要な動物またはヒトに12〜24時間かけて提供できる、放出制御または放出持続製剤を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、投与の約8〜12時間後にピーク血漿レベルが得られる抗過血糖薬用の放出制御または放出持続製剤を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、均一な浸透圧コアのみを有し、浸透圧コア成分が、通常の錠剤圧縮技術を使用して製造できる、放出制御または放出持続医薬錠剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的は、
(a)(i)抗過血糖薬、
(ii)任意選択で結合剤、および
(iii)任意選択で吸収増強剤を含むコアと、
(b)コアを囲む半透膜コーティングと、
(c)半透膜の少なくとも1つの通路とを含む、放出制御投薬形により満たされる。
本発明の投薬形は、治療レベルの抗過血糖薬を12〜24時間提供でき、食物と共に摂取してもバイオアベイラビリティーの減少を示さない。事実、抗過血糖薬のバイオアベイラビリティーの僅かな増加が、本発明の放出制御投薬形を食物と共に投与した場合に観察される。好ましい実施形態において、投薬形は、1日1回、理想的には食事と共にまたは食事後に、最も好ましくは、夕食と共にまたは夕食後に投与され、1日中治療レベルの薬物が得られ、ピーク血漿レベルが投与の8〜12時間後に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2で75rpmで試験した、実施例1に記載の製剤の、模擬腸液(pH7.5リン酸緩衝液)および模擬胃液(SGF)中での溶解プロフィルを示すグラフである。
【図2】米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2で75rpmで試験した、実施例2に記載の製剤の、模擬腸液(pH7.5リン酸緩衝液)および模擬胃液(SGF)中での溶解プロフィルを示すグラフである。
【図3】米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2で75rpmで試験した、実施例3に記載の製剤の、模擬腸液(pH7.5リン酸緩衝液)および模擬胃液(SGF)中での溶解プロフィルを示すグラフである。
【図4】絶食条件下での、実施例1に記載の製剤のインビボでのメトホルミン血漿プロフィル、および市販で入手可能なメトホルミンHCl製品GLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示すグラフである。
【図5】絶食条件下での、実施例2に記載の製剤のインビボでのメトホルミン血漿プロフィル、および市販で入手可能なメトホルミンHCl製品GLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示すグラフである。
【図6】摂食条件下での、実施例2に記載の製剤のインビボでのメトホルミン血漿プロフィル、および市販で入手可能なメトホルミンHCl製品GLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示すグラフである。
【図7】摂食条件下(朝食後)での、実施例3に記載の製剤のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルおよび市販で入手可能なメトホルミンHCl製品GLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示すグラフである。
【図8】摂食条件下(夕食後)での、実施例3に記載の製剤のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルおよび市販で入手可能なメトホルミンHCl製品GLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用した抗過血糖薬なる語は、非インシュリン依存性糖尿病(NIDDM)の制御または管理に有用な薬物を意味する。好ましくは、抗過血糖薬は、メトホルミンまたはブホルミンなどのビグアニド、または塩酸メトホルミンなどの医薬的に許容されるその塩である。
【0016】
結合剤は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ワックス等の任意の従来から既知の医薬的に許容される結合剤でよい。前記結合剤の混合物も使用できる。好ましい結合剤は、平均分子量が25,000から3,000,000である、ポリビニルピロリドンなど水溶性のものである。結合剤は、コアの全重量の約0から約40%、好ましくは、コアの全重量の約3%から約15%を占める。
【0017】
コアは、任意選択で、吸収増強剤を含むことができる。吸収増強剤は、脂肪酸、界面活性剤、キレート剤、胆汁酸またはその混合物など、当分野で一般に周知の任意の型の吸収増強剤でよい。いくつかの好ましい吸収増強剤の例は、カプリン酸、オレイン酸およびそのモノグリセリドなどの脂肪酸、硫酸ラウリルナトリウム、タウロコール酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、クエン酸、フィチン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)およびエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N,N−テトラ酢酸(EGTA)などのキレート剤である。コアは、コアの全重量に対して0から約20%、最も好ましくはコアの全重量の約2%から約10%の吸収増強剤を含む。
【0018】
抗過血糖薬、好ましくは医薬的に許容される水溶性ポリマーである結合剤、および吸収増強剤を含む本発明のコアは、好ましくは、コア成分を湿式造粒し、潤滑剤を加えて顆粒をロータリー式打錠機で錠剤へと圧縮することにより形成される。コアは、コア成分を乾式造粒し、潤滑剤を加えて顆粒を圧縮することにより、または直接的圧縮により形成してもよい。
【0019】
潤滑剤、色素、ダイなどの他の一般に既知の添加剤もコアに含め得る。
【0020】
均一なコアを、半透膜で、好ましくは修飾ポリマー膜でコーティングして、本発明の放出制御錠剤を形成する。半透膜は、水および生物学的液体などの外部液体の通過に対しては浸透性であり、コアの抗過血糖薬の通過に対しては不浸透性である。半透膜の形成に有用な材料は、セルロースエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、およびセルロースアセテートブチレートである。他の適切なポリマーは、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第4,008,719号、第4,036,228号および第4,11210号に記載され、これを参考として本明細書に組込む。最も好ましい半透膜材料は、イーストマンファインケミカルから市販のアセチル含量が39.3〜40.3%のセルロースアセテートである。
【0021】
別の実施形態において、半透膜は、上記ポリマーとフラックス増強剤から形成できる。フラックス増強剤は、コアへ吸収される液体の容量を増加させて、その投薬形で、通路および/または多孔性膜を通り実質的に全ての抗過血糖薬の施薬を可能にする。フラックス増強剤は、水溶性材料または腸溶性材料でよい。フラックス増強剤として有用である好ましい材料のいくつかの例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、プロプレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマーおよびその混合物である。好ましいフラックス増強剤は、PEG400である。
【0022】
フラックス増強剤はまた、メトホルミンまたはその医薬的に許容される塩などの水溶性の薬物、または腸条件下で可溶性の薬物である。フラックス増強剤が薬物である場合、この投薬形は、フラックス増強剤として選択される薬物の即時放出を与えるというさらなる利点を有する。
【0023】
フラックス増強剤は、コーティングの全重量の0から約40%、最も好ましくは、コーティングの全重量の約2%から約20%を占める。フラックス増強剤は、溶解するか、または半透膜から浸出して、半透膜の経路を形成し、液体がコアに侵入し活性成分を溶解させる。
【0024】
半透膜はまた、可塑剤などの一般に既知の添加剤を用いて形成され得る。いくつかの一般に既知の可塑剤は、アジペート、アゼレート、エンゾエート、シトレート、ステアレート、イソエブケート、セバケート、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、クエン酸エステル、および「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」、第10巻(1969)、John Wiley & Sons刊に記載のものを含む。好ましい可塑剤は、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、ブドウ実油、オリーブ油、ゴマ油、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、グリセリンソルビトール、ジエチロキサレート、ジエチルマレート、ジエチルフマレート、ジブチルスクシネート、ジエチルマロネート、ジオクチルフタレート、ジブチルセバケート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、グリセロールトリブチレート等である。個々の可塑剤に応じて、コーティングの全重量に対して0から約25%、好ましくは約2%から約15%の量の可塑剤を使用できる。
【0025】
本明細書で使用する通路なる語は、開口、オリフィス、穴、孔、弱い領域、または侵食し投薬形からの抗過血糖薬の放出用の浸透圧通路を形成するゼラチン栓などの侵食性要素を含む。通路の詳細な記載は、第3,845,770号、第3,916,899号、第4,034,758号、第4,077,407号、第4,783,337号および第5,071,607号などの米国特許に見ることができる。
【0026】
一般に、コア周辺の膜コーティングは、コアおよびコーティングの全重量に基づき約1%から約5%、好ましくは約2%から約3%を占める。
【0027】
別の実施形態において、本発明の投薬形はまた、即時放出に利用可能な有効量の抗過血糖薬を含むことができる。即時放出用の有効量の抗過血糖薬を、投薬形の半透膜上にコーティングするか、または半透膜に取り込むことができる。
【0028】
好ましい実施形態において、投薬形は以下の組成を有する。
好ましい 最も好ましい
コア:
薬物 50〜98% 75〜95%
結合剤 0〜40% 3〜15%
吸収増強剤 0〜20% 2〜10%
コーティング:
半透膜ポリマー 50〜99% 75〜95%
フラックス増強剤 0〜40% 2〜20%
可塑剤 0〜25% 2〜15%
【0029】
本発明に従って調製した投薬形は、75rpmでUSP2型装置で、900mlの模擬腸液(pH7.5リン酸緩衝液)で37℃で試験した場合、以下の溶解プロフィルを示す。
好ましい 最も好ましい
時間(時間)
2 0〜25% 0〜15%
4 10〜45% 20〜40%
8 30〜90% 45〜90%
12 50%以上 60%以上
16 60%以上 70%以上
20 70%以上 80%以上
【0030】
本発明の錠剤の製造において、様々な従来から周知の溶媒を使用して、顆粒を調製し、本発明の錠剤に外部コーティングを施すことができる。さらに、Remingtonの「pharmaceutical Sciences」、1995年版に開示された、様々な希釈剤、添加剤、潤滑剤、ダイ、色素、分散剤等を使用して、本発明の製剤を最適化し得る。
【0031】
(好ましい実施形態の説明)
実施例1
850mgのメトホルミンHClを含み、以下の処方を有する放出制御錠剤を、以下のように調製する。
I コア
メトホルミンHCl 90.54%
ポビドン、USP 4.38%
三塩基リン酸ナトリウム 4.58%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
およその分子量=50,000;動粘性係数(20℃での10%w/v溶液)=5.5〜8.5m Pa s。
【0032】
(a)造粒
メトホルミンHClを、40メッシュのふるいを通すことにより塊をとり、清浄なポリエチレン系容器に集める。ポビドン、K−30、および三塩基リン酸ナトリウムを精製水に溶かす。その後、塊をとったメトホルミンHClを、上面噴霧流動床造粒機に加え、ポビドンと三塩基リン酸ナトリウムの結合溶液を以下の条件下で噴霧することにより造粒する:流入空気温度50〜70℃;微粒化空気圧1〜3バール;および噴霧速度10〜100ml/分。
【0033】
結合溶液が枯渇した後、顆粒を乾燥時の減少が2%以下となるまで、造粒機で乾燥させる。乾燥した顆粒を18メッシュのふるいの等価物を具備したコミル(Comil)を通過させる。
【0034】
(b)錠剤化
ステアリン酸マグネシウムを、40メッシュのステンレス鋼ふるいを通過させ、約5分間メトホルミンHCl顆粒とブレンドする。ブレンドした後、顆粒を、15/32”の丸い標準的な凹面穿孔機(平面の下部穿孔機、約1mmの圧入ピンをもつ上部穿孔機)を具備したロータリー式打錠機で圧縮する。
【0035】
(c)シールコーティング(任意選択)
コア錠剤を、オパドライ(Opadry)材料または他の適切な水溶性材料で、最初にオパドライ材料を、好ましくはオパドライクリア(Clear)を精製水に溶かすことにより、シールコーティングする。その後、オパドライ溶液を、コア錠剤に以下の条件下で、コーティングパンを使用して噴霧する。排気温度38〜42℃、微粒化圧28〜40プサイ、噴霧速度10〜15ml/分。コア錠剤を、約2%のコーティング理論レベルが得られるまで、シーリング溶液でコーティングする。
【0036】
II 放出持続コーティング
セルロースアセテート(398−10) 85%
トリアセチン 5%
PEG400 10%
アセチル含量39.3〜40.3%
【0037】
(d)放出持続コーティング
セルロースアセテートを、ホモジナイザーで撹拌しながらアセトンに溶かす。ポリエチレングリコール400およびトリアセチンを、セルロースアセテート溶液に加え、透明な溶液が得られるまで撹拌する。次いで、透明なコーティング溶液を、以下の条件を使用して、流動床のシールコーティングされた錠剤に噴霧する。製品の温度16〜22℃、微粒化圧約3バール、噴霧速度120〜150ml/分。次いで、シールしたコア錠剤を、約3%のコーティング理論レベルが得られるまでコーティングする。
【0038】
得られた錠剤を、米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2@75rpmに従って、模擬腸液(pH7.5)および模擬胃液(SGF)中で試験すると、以下の放出プロフィルを有することが判明した。
時間(時間) 放出%(SGF) 放出%(pH7.5)
2 9 12
4 27 32
8 62 82
12 82 100
16 88 105
20 92 108
【0039】
本実施例で調製した放出持続製品のpH7.5およびSGF中での放出プロフィルを図1に示す。
【0040】
図4は、本実施例で調製した放出持続製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。図4で、薬物メトホルミンHClを含む市販で入手可能な医薬製品のGLUCOPHAGE(登録商標)のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルも示される。
【0041】
実施例2
850mgのメトホルミンHClを含み、以下の処方を有する放出制御錠剤は、以下のように調製する:
I コア
メトホルミンHCl 88.555%
ポビドン、USP 6.368%
硫酸ラウリルナトリウム 4.577%
ステアリン酸マグネシウム 0.5%
およその分子量=1,000,000、動粘性係数(20℃での10%w/v溶液)=300〜700m Pa s。
【0042】
(a)造粒
メトホルミンHClおよびラウリル硫酸ナトリウムを、40メッシュのふるいを通すことにより塊をとり、清浄なポリエチレン系容器に集める。ポビドン、K−90Fを精製水に溶かす。その後、塊をとったメトホルミンHClおよびラウリル硫酸ナトリウムを、上面噴霧流動床造粒機に加え、ポビドンの結合溶液を用いて以下の条件下で噴霧することにより造粒する。流入空気温度50〜70℃、微粒化空気圧1〜3バール、噴霧速度10〜100ml/分。
【0043】
一旦結合溶液が枯渇すれば、顆粒を乾燥時の減少が2%以下となるまで、造粒機で乾燥させる。乾燥した顆粒を18メッシュのふるいの等価物を具備したコミル(Comil)に通過させる。
【0044】
(b)錠剤化
ステアリン酸マグネシウムを、40メッシュのステンレス鋼ふるいを通過させ、約5分間メトホルミンHCl顆粒とブレンドする。ブレンドした後、コーティングした顆粒を、15/32”の丸い標準的な凹面穿孔機(平面の下部穿孔機、約1mmの圧入ピンをもつ上部穿孔機)を具備したロータリー式打錠機で圧縮する。
【0045】
(c)シールコーティング(任意選択)
コア錠剤を、オパドライ(Opadry)材料または他の適切な水溶性材料で、最初にオパドライ材料を、好ましくはオパドライクリア(Clear)を精製水に溶かすことにより、シールコーティングする。その後、オパドライ溶液を、コア錠剤に以下の条件下で、コーティングパンを使用して噴霧する。排気温度38〜42℃、微粒化圧28〜40プサイ、噴霧速度10〜15ml/分。コア錠剤を、約2%のコーティング理論レベルが得られるまで、シーリング溶液でコーティングする。
【0046】
II 放出持続コーティング
セルロースアセテート(398−10) 85%
トリアセチン 5%
PEG 400 10%
アセチル含量 39.3〜40.3%
【0047】
(d)放出持続コーティング
セルロースアセテートを、ホモジナイザーで撹拌しながらアセトンに溶かす。ポリエチレングリコール400およびトリアセチンを、セルロースアセテート溶液に加え、透明な溶液が得られるまで撹拌する。次いで、透明なコーティング溶液を、以下の条件を使用して、流動床コーターのシールコーティングされた錠剤に噴霧する。生成物の温度16〜22℃、微粒化圧約3バール、噴霧速度120〜150ml/分。シールしたコア錠剤を、約3%のコーティング理論レベルが得られるまでコーティングする。
【0048】
得られた錠剤を、米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2@75rpmに従って、模擬腸液(pH7.5)および模擬胃液(SGF)中で試験すると、以下の放出プロフィルを有することが判明した。
時間(時間) 放出%(SGF) 放出%(pH7.5)
2 13 12
4 29 27
8 55 52
12 72 71
16 81 83
20 87 91
【0049】
本実施例で調製した放出持続製品のpH7.5およびSGF中での放出プロフィルを図2に示す。
【0050】
図5は、絶食条件下での、本実施例で調製した放出持続製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。図5はまた、絶食条件下での、GLUCOPHAGE(登録商標)製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。
【0051】
図6は、摂食条件下での、本実施例で調製した放出持続製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。図6はまた、摂食条件下での、GLUCOPHAGE(登録商標)製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。
【0052】
図5および6は、本発明に従って調製した投薬形は、摂食および絶食条件下の両方において、一貫したバイオアベイラビリティーを示すが、GLUCOPHAGE(登録商標)のバイオアベイラビリティーは、食物の存在下で減少することを明らかに示す。
【0053】
実施例3
850mgのメトホルミンHClを含み、実施例2と同じ処方を有する放出制御錠剤を、追加の孔をコーティングした錠剤の平面側上に開ける以外は、実施例2の通りに調製する。追加の孔は、約1mmの直径を有していた。
【0054】
得られた錠剤を、米国薬局方XXIIIに記載の方法、装置2@75rpmに従って模擬腸液(pH7.5)および模擬胃液(SGF)中で試験すると、以下の放出プロフィルを有することが判明した。
時間(時間) 放出%(SGF) 放出%(pH7.5)
2 13 14
4 27 28
8 50 63
12 67 84
16 84 95
20 97 102
【0055】
本実施例で調製した放出持続製品のpH7.5およびSGF中での放出プロフィルを図3に示す。
【0056】
図7は、朝食直後に投与した場合の、本実施例で調製した放出持続製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。図7はまた、朝食直後に投与したGLUCOPHAGE(登録商標)製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。
【0057】
図8は、夕食直後に投与した場合の、本実施例で調製した放出持続製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。図8はまた、夕食直後に投与したGLUCOPHAGE(登録商標)製品のインビボでのメトホルミン血漿プロフィルを示す。
【0058】
表1は、図4〜8で示される、バイオアベイラビリティー比較データ、試験/対照標準比の要約であり、ここで、GLUCOPHAGE(登録商標)製品は、n=6をもつ2元交差バイオ研究における対照標準製品である。
表1
処方 図 研究 AUC Cmax Tmax
実施例1 4 絶食 0.202 0.12 2.15
実施例2 5 絶食 0.369 0.214 1.73
実施例2 6 摂食(朝食) 0.628 0.305 1.94
実施例3 7 摂食(朝食) 0.797 0.528 1.82
実施例3 8 摂食(夕食) 0.850 0.751 2.00
【0059】
表1および図4〜8で報告された結果は、本発明に従って調製した投薬形は、食物の存在下での、特に、夕食と共に、または夕食の直後に摂取した場合における、抗過血糖薬のバイオアベイラビリティーの増加を示すことを示す。
【0060】
本発明を開示する目的で、本発明のある好ましい実施形態および代替実施形態について述べてきたが、開示された実施形態に対する変更を、当業者なら思いつくであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲から逸脱しない、本発明の全ての実施形態およびその変更形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)コアの重量に基づき75〜95重量%の塩酸メトホルミンと、
(ii)コアの重量に基づき3〜15重量%の水溶性結合剤と、
(iii)コアの重量に基づき2〜20重量%の吸収増強剤とを含むコアと、
(b)任意選択で前記コアを囲む水溶性シールコートと、
(c)USP2型装置で900mlの模擬腸液(pH7.5のリン酸緩衝液)中37℃で75rpmで試験したとき、
2時間後に0〜25%の前記メトホルミンが放出され、
4時間後に10〜45%の前記メトホルミンが放出され、
8時間後に30〜90%の前記メトホルミンが放出され、
12時間後に50%以上の前記メトホルミンが放出され、
16時間後に60%以上の前記メトホルミンが放出され、
20時間後に70%以上の前記メトホルミンが放出される
ように前記メトホルミンの放出を制御するように、前記コアまたは前記任意選択的シールコートによって囲まれるコアを覆う修飾ポリマー膜とを含む、放出制御錠剤。
【請求項2】
USP2型装置で900mlの模擬腸液(pH7.5リン酸緩衝液)中37℃で75rpmで試験したとき、
2時間後に0〜15%の前記メトホルミンが放出され、
4時間後に20〜40%の前記メトホルミンが放出され、
8時間後に45〜90%の前記メトホルミンが放出され、
12時間後に60%以上の前記メトホルミンが放出され、
16時間後に70%以上の前記メトホルミンが放出され、
20時間後に80%以上の前記メトホルミンが放出される
という溶解プロフィルを示す、請求項1に記載の放出制御錠剤。
【請求項3】
水溶性結合剤が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の放出制御錠剤。
【請求項4】
水溶性結合剤がポリビニルピロリドンである、請求項3に記載の放出制御錠剤。
【請求項5】
前記修飾ポリマー膜が水不溶性セルロース誘導体である、請求項1に記載の放出制御錠剤。
【請求項6】
水不溶性セルロース誘導体が酢酸セルロースである、請求項5に記載の放出制御錠剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−159290(P2010−159290A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90641(P2010−90641)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【分割の表示】特願2000−536365(P2000−536365)の分割
【原出願日】平成11年3月19日(1999.3.19)
【出願人】(500219179)アンドルックス ファーマスーティカルズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】