放射性トレーサーの精製のための低‐中圧液体クロマトグラフィーの使用
本発明は、放射性トレーサーの製造方法に関する。特に、本発明は、固定相を充填したコンテナでの放射性トレーサーの分離に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性トレーサーの製造方法に関する。特に、本発明は、固定相で充填されたコンテナで放射性トレーサーの分離に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性医薬品戦略の準備において、余剰の前駆物質のような、副産物を除去することは、成功した(放射性)合成のため、および臨床的化合物のその後の安全な投与ために、確立されなければならない。そのような反応は、使用される放射性標識剤の量と比例して大過剰の量の非放射性有機前駆物質をしばしば使用する。余剰の前駆物質は、放射性標識された化合物が、診断および/または治療上の適用のため患者に適用される前に、反応混合物からその後、取り除かなければならない。
【0003】
余剰の前駆物質のような副産物を除去するための方法は、成功した(放射性)合成のため、および臨床的化合物のその後の安全な投与ために、確立されなければならない。そのような反応は、使用される放射性標識剤の量と比例して大過剰の量の非放射性有機前駆物質をしばしば使用する。余剰の前駆物質は、放射性標識された化合物が、診断および/または治療上の適用のため患者に適用される前に、反応混合物からその後、取り除かなければならない。
【0004】
放射性標識された化合物の精製は、普通、固相抽出(SPE)または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を通じて、達成される。ほとんどの臨床的に有用な放射性同位体の半減期を考慮すると、患者に投与する前にできる限り迅速に、放射合成および精製を完成させることが望ましい。例えば、18Fの半減期は、110分でありおよび18F標識ターゲッティング基質は、それゆえ臨床使用の1時間以内に合成されそして精製される。これらの時間制限に関して、HPLC精製は、しばしば時間がかかりそして長ったらしい。さらに、この手法は、特別な装置が必要であり、そしてカセットタイプモジュール用の使い捨て合成キットの一部ではあり得ない。これは、次の合成の前のHPLCの浄化および平衡化を要求する。しかしながら、HPLCの同じ条件、特に、HPLCカラムの同じ条件は、すべての製造実行のために、保証することはできない。結果的に、工程の一貫性は、保証され得ない。
【0005】
技術的要求と時間制限に関して、SPE精製は、より少ない要求であり、およびSPEカートリッジは、またカセットタイプモジュール用の使い捨て合成キットの一部となり得る。それにもかかわらず、放射性標識化合物の精製のために使用されるカートリッジは、普通、20mg‐2gの範囲において固相材料を含む。この量で、すべての副産物の完全な除去は、しばしば長ったらしくそして多くの場合、達成すらできない。
【0006】
上に照らして、最終放射性標識化合物から所望しない種の再現性のある、迅速なおよび効率の良い分離を提供する精製方法のための技術について必要があることは、容易に明らかである。
【0007】
本発明は、マルチラン(multi‐run)HPLC精製ステップを使用する代わりに精製用の使い捨てコンテナを適用することによって、この技術的問題を解決する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一般的に、任意の種類の副産物から、放射性標識化合物を精製するための、一般的なまたは逆相フラッシュクロマトグラフィーの使用に関する。
【0009】
このフラッシュクロマトグラフィーは、固相材料で充填された任意の種類の使い捨てコンテナによって行われる。これらのコンテナは、配管を通じて任意の種類のフラッシュシステムと結合でき、そしてそれゆえ、カセットタイプモジュールによる放射性医薬品のための使い捨て合成キットの一部または非カセットタイプモジュールに属し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】未精製4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図2】「中圧クロマトグラフィー」後の未精製物混合物(a、b)および精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Atlantis T3;150*4.6mm;3μm;Merck Waters;5mM KH2PO4 pH2.2中、40‐90% MeCN)。
【図3】tracerlab(登録商標) MX 合成の仕組み(写真は、Coincidence softwareから複製し、および修飾した)。
【図4】未精製の4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図5】中圧クロマトグラフィー後の未精製物混合物(a、b)および精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Chromolith(登録商標) SpeedRod;Merck;10mM Na2HPO4 pH7.4中、0‐95% MeCN)。
【図6】未精製の(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドのEckert&Ziegler modular labによる中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム、トップ:ガンマ、ボトム:UVシグナル。
【図7】未精製物混合物(a、b)および「中圧クロマトグラフィー」後の精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Zorbax SB‐C18;Agilent;0.1M ギ酸アンモニウム中、50%MeCN)。
【図8】4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン合成(Coincidence FDG softwareから採用された)用のtracerlab(登録商標) MXの仕組み。
【図9】「精製カートリッジ」を通す前のMX合成の未精製物(サンプルは、反応槽から取得)の分析用HPLC;トップ 放射能;ボトム:UVシグナル 320nm。
【図10】MX合成およびカートリッジに基づく精製後、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの分析用HPLC;トップ 放射能;ボトム:UVシグナル 320nm。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
第一態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して、余剰の前駆物質および副産物から放射性標識されたトレーサーの精製
を含む、放射性医薬品の製造方法に関する。場合により、さらなる化学的変換は、当該方法の一部であってもよい。
【0012】
放射性トレーサーの精製は、液体クロマトグラフィーのステップを含み、そこで、この液体クロマトグラフィーは、低‐中圧液体クロマトグラフィーである。好ましい実施態様において、低‐中圧液体クロマトグラフィーの圧力は、1‐20バー、より好ましくは1‐10バー、さらにより好ましくは1‐5バーである。
【0013】
放射性標識化合物は、99mTc、111In、18F、201TI、123I、124I、125I、131I、34Cl、11C、32P、72As、76Br、89Sr、153Sm、186Re、188Re、212Bi、213Bi、89Zr、86Y、90Y、67Cu、64Cu、192Ir、165Dy、177Lu、117mSn、213Bi、212Bi、211At、225Ac、223Ra、169Yb、68Gaおよび67Gaの群から選択される少なくとも一つの放射性同位体を含む。
好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、陽電子放射断層撮影のための放射性同位体を有する。
さらに好ましい実施態様において、放射性同位体は、18F、68Gaを含む群から選択される。
【0014】
放射性トレーサーは、CNS、心血管および腫瘍学的疾患の画像のために使用できる。好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、CNS障害の画像のために使用され、Aβプラークの検出のために好ましい。そのようなトレーサーは、アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体、これらに限定されないが、例えば4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ}エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン、4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを含む。
【0015】
コンテナは、カートリッジ、カラム、また任意の種類のシリンダーである。
コンテナは、任意の種類の金属、合金、プラスチック、ガラス、カーボンまたはそれらの組み合わせである。
好ましい実施態様において、コンテナのための材料は、任意の種類のプラスチック、ガラス、またはそれらの混合物の群から選択され、より好ましくはUSPクラスVIプラスチックから選択され、そしてさらにより好ましくは医療グレードポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される。
【0016】
コンテナは、固定相で充填される。
コンテナは、追加的な部品、それらに限定されないが、例えば多孔質フリット(porous frit)、コネクターおよびアダプターを含んでもよい。
【0017】
好ましい実施態様において、固定相は、シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される。
より好ましい実施態様において、固定相は、シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0018】
10μg〜100gの固定相が、コンテナに充填される。好ましい実施態様において、100mg〜50gの固定相が、コンテナに充填される。より好ましい実施態様において、2g〜20gの固定相が、コンテナに充填される。さらにより好ましい実施態様において、3.5g〜10gの固定相が、コンテナに充填される。
【0019】
同じまたは異なる固定相で充填された同じまたは異なる容積のコンテナの一またはそれ以上が、本方法に使用されてもよい。
【0020】
固定相で充填されたコンテナが、配管、シリンジ、ニードル、バルブまたはさらにコンテナと結合してもよい。
【0021】
精製方法のための液相は、有機溶媒、水、塩水溶液、酸、塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される。好ましい実施態様において、液相は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン、p‐キシレン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert‐ブチルメチルエーテル、ニトロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、アンモニア、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、メチルアセテート、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、生理食塩水、緩衝液およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0022】
液相は、当業者に知られた方法により、コンテナを通過する。好ましい実施態様において、液相は、ポンプ、シリンジ、シリンジポンプ、ガス流体、真空を経由して、またはそれらの組み合わせによって、コンテナを通過する。
【0023】
異なる種類の検出器が、本方法と結合できる。好ましい検出器は、UV検出器、放射能検出器、光散乱検出器、導電率検出器、屈折率検出器である。
【0024】
第二態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して余剰の前駆物質および副産物から放射性標識トレーサーの精製
を含み、放射性医薬品の自動製造方法に関する。場合により、さらなる化学的変換が、本方法の一部であってもよい。
【0025】
放射性トレーサーの精製は、液体クロマトグラフィーのステップを含み、そこで、この液体クロマトグラフィーは、低‐中圧液体クロマトグラフィーである。好ましい実施態様において、液体クロマトグラフィーの圧力は、1〜20バー、より好ましくは、1〜10バーの間である。
【0026】
放射性標識化合物は、99mTc、111In、18F、201TI、123I、124I、125I、131I、34Cl、11C、32P、72As、76Br、89Sr、153Sm、186Re、188Re、212Bi、213Bi、89Zr、86Y、90Y、67Cu、64Cu、192Ir、165Dy、177Lu、117mSn、213Bi、212Bi、211At、225Ac、223Ra、169Yb、68Gaおよび67Gaの群から選択される少なくとも一つの放射性同位体を含む
好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、陽電子放射断層撮影のための放射性同位体を有する。
さらに好ましい実施態様において、放射性同位体は、18F、68Gaを含む群から選択される。
【0027】
コンテナは、カートリッジ、カラムまたは任意の種類のシリンダーである。
コンテナは、任意の種類の金属、合金、プラスチック、ガラス、カーボンまたはそれらの混合物から作られる。
好ましい実施態様において、コンテナのための材料は、任意の種類のプラスチック、ガラス、またはそれらの混合物から選択され、より好ましくは、USPクラスVIプラスチックから選択され、さらにより好ましくは、医療グレードポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される。
【0028】
コンテナは、固定相で充填される。
コンテナは、追加的な部品、それらに限定されないが、例えば多孔質フリット(porous frit)、コネクターおよびアダプターを含んでもよい。
【0029】
好ましい実施態様において、固定相は、シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される。
より好ましい実施態様において、固定相は、シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0030】
10μg〜100gの固定相が、コンテナに充填される。好ましい実施態様において、100mg〜50gの固定相が、コンテナに充填される。より好ましい実施態様において、2g〜20gの固定相が、コンテナに充填される。
【0031】
同じまたは異なる固定相で充填された同じまたは異なる容積のコンテナの一またはそれ以上が、本プロセスに使用されてもよい。
【0032】
固定相で充填されたコンテナが、配管、シリンジ、ニードル、バルブまたはさらにコンテナと結合してもよい。
【0033】
精製方法のための液相は、有機溶媒、水、塩水溶液、酸、塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される。好ましい実施態様において、液相は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン、p‐キシレン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert‐ブチルメチルエーテル、ニトロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、アンモニア、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、メチルアセテート、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、生理食塩水、緩衝液およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0034】
液相は、当業者に知られた方法により、コンテナを通過する。好ましい実施態様において、液相は、ポンプ、シリンジ、シリンジポンプ、ガス流体、真空を経由して、またはそれらの組み合わせによって、コンテナを通過する。
【0035】
異なる種類の検出器が、本方法と結合できる。好ましい検出器は、UV検出器、放射能検出器、光散乱検出器、導電率検出器、屈折率検出器である。
【0036】
本方法は、放射標識トレーサーの製造のための自動化された手順である。
【0037】
一つの実施態様において、精製方法は、放射性トレーサーの自動合成と組み合わされる独立型の自動化された手順である。
【0038】
他の実施態様において、精製方法は、放射性トレーサーの自動合成を統合する。好ましい実施態様において、シンセサイザー(合成機)は、放射性トレーサーの製造のために使用され、および精製方法は、シンセサイザーで確立される。より好ましくは、製造および精製方法は、一切の手動操作なしに行われる。
【0039】
好ましい実施態様において、「中圧クロマトグラフィー」による放射性トレーサーの合成および精製は、当業者に知られた放射性トレーサーの製造用の「カセットタイプモジュール」、これに限定されないが、GE tracerlab(登録商標) MX (Coincidence FDG)、GE Fastlab(登録商標)、IBA Synthera(登録商標)などで行われる。好ましくは、「中圧クロマトグラフィー」のためのコンテナは、使い捨てカセット(またはキット)の一部である。
【0040】
第三態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して余剰の前駆物質および副産物から放射性標識トレーサーの精製
を含み、放射性医薬品の製造方法のための使い捨てキットに関する。場合により、さらに化学的変換が、本方法の一部であってもよい。
キットは、放射性トレーサーの合成のための材料および精製用のコンテナを含み、そこでコンテナは、上記のように定義される。
【0041】
本発明は、さらに以下の論点(count):
1.低‐中圧液体クロマトグラフィーを使用する精製ステップを含むラジオトレーサーの製造方法であって、固定相を充填した一または一超のコンテナを使用する、方法。
2.前記ラジオトレーサーが陽電子放出放射性トレーサーである、論点1に記載の方法。
3.シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される固定相が使用される、論点1または2に記載の方法。
4.シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、またはそれらの混合物からなる群から選択される固定相で充填されるコンテナが使用される、論点1‐3のいずれかの論点に記載の方法。
5.前記コンテナが、10μg〜100gの固定相で充填される、論点1‐4のいずれかの論点に記載の方法。
6.前記コンテナが、2g〜20gの固定相で充填される、論点1‐5のいずれかの論点に記載の方法。
7.液体クロマトグラフィー用の溶媒が、有機溶媒、水、塩水溶液、酸もしくは塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される、論点1‐6のいずれかの論点に記載の方法。
8.前記コンテナが、放射性トレーサーの自動合成を統合する、論点1‐7のいずれかの論点に記載の方法。
9.低‐中圧液体クロマトグラフィー用のコンテナを有する放射性トレーサーの製造のためのキット。
10.放射性トレーサーの製造内での使い捨て用の、論点9に記載のキット。
【実施例1】
【0042】
実施例1:4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0043】
【化1】
【0044】
[F18]フルオライド(1.0GBq)を、QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、 Waters)で捕捉した。テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(4%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液300μlおよびアセトニトリル700μl)で溶出後、混合物を、120℃のおだやかな窒素流下、乾燥した。乾燥を、アセトニトリル添加後、繰り返した。3.5mgメシレート前駆物質を、1.8mlアセトニトリル中に溶解し、そして乾燥残渣を加えた。結果として生じる混合物を、110℃で10分間、加熱した。2ml 1.5M HClを加えそして当該溶液を、110℃で5分間、加熱した。1.5ml 2M NaOHを加えそして当該溶液を、RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)に通した。40%エタノールおよび60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、分取(preparative)HPLCポンプ(Knauer smartline)を使用して10ml/minで、カートリッジに通した。10分後、50%エタノールおよび50% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、10ml/minで、カートリッジに通した。分画を、12‐13min(図1)で取得した。
283MBq(42%d.c.)4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として62分の合成時間で、取得した(図2)。
放射性および非放射性不純物(混入物)を、分取(semipreparative)HPLCで精製後のように、トレーサーの同じ品質を提供するために、成功裏に除去した(例えば、Zorbax Bonus RP、Agilent;0.1Mギ酸アンモニウム中55% MeCN)。
【0045】
実施例2:tracerlab(登録商標) MX モジュールによる4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの自動合成および精製
【0046】
【化2】
【0047】
4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製を、GE tracerlab MX モジュールで行った。FDG合成用の市販カセットを、修飾しおよび組み合わせた(図3)。
・ マニホールド2およびマニホールド3の間のtC18カートリッジを、チューブによって置換した。
・ マニホールド3におけるカートリッジ(tC18およびアルミナ)を除去した。
・ バイアルV1:8mlアセトニトリル
・ バイアルV2:1.5mlアセトニトリル中、3.5mlメシレート前駆物質
・ バイアルV3:1.5ml 2M NaOHおよび7ml 水
・ バイアルV4:30mg アスコルビン酸ナトリウムおよび2ml 1.5M HCl
・ バイアルE:炭酸カリウム/クリプトフィックス(kryptofix)(登録商標)(アセトニトリル/水中)
・ S1:40%エタノール、60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)‐溶媒1
・ S2:50%エタノール、50% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)‐溶媒2
・ フラッシュカートリッジ:RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)
合成シークエンスを開始し、当該シークエンスは、以下のステップ:
1.QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、Waters)による、[F‐18]フルオライドの捕捉
2.反応槽にE中の混合物を使用することで[F‐18]フルオライドの溶出
3.溶媒の蒸発(V1からアセトニトリルの添加後、繰り返し)
4.V2から反応槽中の乾燥残渣に前駆物質溶液の添加
5.110℃で10分間加熱
6.シリンジ2内に、V4中の酸の移行
7.シリンジ2からシリンジ1に、酸の移行
8.シリンジ1から反応槽に、酸の移行
9.110℃で5分間加熱
10.シリンジ2内にV3中のNaOHの移行
11.シリンジ2からシリンジ1に、NaOHの移行
12.反応槽からシリンジ1に、未精製物の移行
13.フラッシュカートリッジによる未精製物の捕捉
14.溶媒1で、シリンジ1およびマニホールドの洗浄
15.廃棄物内に、溶媒1でシリンジ1によりフラッシュカートリッジの洗浄(25mlで5回)
16.シリンジ2に25mlの溶媒2を移行
17.シリンジ2からシリンジ1に溶媒2の移行
18.廃棄物内に、シリンジ1により溶媒2で、フラッシュカートリッジの洗浄
19.シリンジ2内に、シリンジ1により10mlの溶媒2で、フラッシュカートリッジの洗浄
20.生成物バイアル内に、シリンジ2から生成物画分の通過
を含む。
合成および精製の間、一切の手動操作なしに、全体として65分で、1.6GBqの[F‐18]フルオライドから開始し、380MBq(36%d.c.)の 4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを得た。
【0048】
実施例3: 4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0049】
【化3】
【0050】
[F‐18]フルオライド(1.24GBq)を、QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、Waters)により捕捉した。炭酸カルシウム/クリプトフィックス(登録商標)混合物(アセトニトリル/水中、5mgクリプトフィックス(登録商標)、1mg炭酸カリウム)で溶出後、混合物を、120℃のおだやかな窒素流下、乾燥した。乾燥をアセトニトリルの添加後(2×1ml)、繰り返した。トシラート前駆物質4mgを、1mlのアセトニトリルに溶解し、および乾燥残渣を添加した。結果として生じる混合物を、110℃で10分間加熱した。約60℃に冷却した後、500μlの2M HClを添加し、および当該溶液を110℃で5分間加熱した。混合物は、60℃まで冷却した。1ml 1M NaOHおよび2.5mlを添加し、そして当該溶液を、RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)に通した。35%エタノールおよび65% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、分取HPLCポンプ(Knauer smartline)を使用して、10ml/minでカートリッジに通した。10分後、40%エタノールおよび60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、10ml/minでカートリッジに通した。分画は、12.6‐13.6分を分取した(図4)。337MBq(44%d.c.)4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として75分の合成時間で、取得した(図5)。
【0051】
実施例4:Eckert&Ziegler modular labによる(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドの自動合成および精製
【0052】
【化4】
【0053】
合成および精製を、Eckert&Ziegler modular labにより行った。[F‐18]フルオライド(4.67GBq)から開始し、(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドを、先の明細書(Ravert, Journal Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,2004,469;WO2003065882;WO2006121035)から類推的に合成した。アセトニトリルを含む5ml中の未精製物混合物を、Biotage(登録商標)SNAP カートリッジ(HP‐Sil、10g、Biotage(登録商標))により移行した。カートリッジを、アセトニトリル5ml/minで洗浄した。10分後、カートリッジを、10%エタノールを含むアセトニトリルで、洗浄した(5ml/min)。27.14分から30.07分の分画を、80mlの水を充填したフラスコ内に分取した(図6)。当該溶液を、C18カートリッジ(SepPak(登録商標) plus,Waters)に通した。カートリッジを、10mlの水で洗浄し、および当該生成物を、2mlエタノールで溶出した。784MBq(35%d.c.)の(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドを、全体として118分の合成時間で、取得した(図7)。
【0054】
実施例5:GE Tracerlab(登録商標) MXによる4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0055】
【化5】
【0056】
Tracerlab(登録商標) MXについて4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製用のキットを、組み立てた(表1)。
【0057】
【表1】
【0058】
MXモジュールによるカセットの仕組みを、図8に図示した。前駆物質2Cを、「青キャップバイアル」から約1.8mlのアセトニトリルを使用して、合成シークエンスの間、「赤キャップバイアル」中に溶解した。フルオライド(2.4GBq)をMXモジュールに移行し、およびQMAカートリッジにより捕捉した。放射性物質(activity)を「溶出バイアル」から炭酸カリウム/クリプトフィックス(登録商標)混合物で、反応槽内に溶出した。共沸性の乾燥(加熱、真空、窒素流および「青キャップバイアル」からアセトニトリルの添加)後、アセトニトリル中の2Cの溶液を、「赤キャップバイアル」から反応槽内に移行した。結果として生じる混合物を、120℃で10分間加熱した。HClを、「緑キャップバイアル」からシリンジを経由して反応槽内に移行した。当該混合物を、110℃で5分間加熱した。脱保護の間、「溶媒バッグ1」から溶媒混合物1を、左側のシリンジにより「精製カートリッジ」を通じて洗浄した。未精製物混合物を、「2mlシリンジ」 からの水酸化ナトリウム/緩衝液混合物で混合し、および「溶媒バッグ1」からの溶媒1で希釈した。希釈した未精製物混合物を、「精製カートリッジ」に通した。非放射性副産物除去、「溶媒バッグ1」 からの溶媒1を、左側のシリンジ内に充填し、および廃棄物ボトル(廃液ボトル)内に「精製カートリッジ」を通って洗浄した。この手順を、6回繰り返した。「溶媒バッグ2」からの溶媒2を、右側のシリンジ内に充填し、および左側のシリンジに移行した。溶媒2を、左側のシリンジにより、「精製カートリッジ」を通じて洗浄した。第一画分を、廃棄物ボトルに廃棄することを認めるが、7.5mlの分画を、右側のシリンジ内に自動的に分取した。最後に、生成物画分を、生成物バイアル(事前に製剤基材1(Formulation basis 1)および製剤基材2(Formulation basis 2)を充填)に移行した。770MBq(32%減衰補正できない)4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として58分の製造時間で、取得した。カートリッジに基づく精製は、分取HPLC(図9、図10)により取得した純品と同様に、放射化学的および化学的に純粋な生成物を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性トレーサーの製造方法に関する。特に、本発明は、固定相で充填されたコンテナで放射性トレーサーの分離に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性医薬品戦略の準備において、余剰の前駆物質のような、副産物を除去することは、成功した(放射性)合成のため、および臨床的化合物のその後の安全な投与ために、確立されなければならない。そのような反応は、使用される放射性標識剤の量と比例して大過剰の量の非放射性有機前駆物質をしばしば使用する。余剰の前駆物質は、放射性標識された化合物が、診断および/または治療上の適用のため患者に適用される前に、反応混合物からその後、取り除かなければならない。
【0003】
余剰の前駆物質のような副産物を除去するための方法は、成功した(放射性)合成のため、および臨床的化合物のその後の安全な投与ために、確立されなければならない。そのような反応は、使用される放射性標識剤の量と比例して大過剰の量の非放射性有機前駆物質をしばしば使用する。余剰の前駆物質は、放射性標識された化合物が、診断および/または治療上の適用のため患者に適用される前に、反応混合物からその後、取り除かなければならない。
【0004】
放射性標識された化合物の精製は、普通、固相抽出(SPE)または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を通じて、達成される。ほとんどの臨床的に有用な放射性同位体の半減期を考慮すると、患者に投与する前にできる限り迅速に、放射合成および精製を完成させることが望ましい。例えば、18Fの半減期は、110分でありおよび18F標識ターゲッティング基質は、それゆえ臨床使用の1時間以内に合成されそして精製される。これらの時間制限に関して、HPLC精製は、しばしば時間がかかりそして長ったらしい。さらに、この手法は、特別な装置が必要であり、そしてカセットタイプモジュール用の使い捨て合成キットの一部ではあり得ない。これは、次の合成の前のHPLCの浄化および平衡化を要求する。しかしながら、HPLCの同じ条件、特に、HPLCカラムの同じ条件は、すべての製造実行のために、保証することはできない。結果的に、工程の一貫性は、保証され得ない。
【0005】
技術的要求と時間制限に関して、SPE精製は、より少ない要求であり、およびSPEカートリッジは、またカセットタイプモジュール用の使い捨て合成キットの一部となり得る。それにもかかわらず、放射性標識化合物の精製のために使用されるカートリッジは、普通、20mg‐2gの範囲において固相材料を含む。この量で、すべての副産物の完全な除去は、しばしば長ったらしくそして多くの場合、達成すらできない。
【0006】
上に照らして、最終放射性標識化合物から所望しない種の再現性のある、迅速なおよび効率の良い分離を提供する精製方法のための技術について必要があることは、容易に明らかである。
【0007】
本発明は、マルチラン(multi‐run)HPLC精製ステップを使用する代わりに精製用の使い捨てコンテナを適用することによって、この技術的問題を解決する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、一般的に、任意の種類の副産物から、放射性標識化合物を精製するための、一般的なまたは逆相フラッシュクロマトグラフィーの使用に関する。
【0009】
このフラッシュクロマトグラフィーは、固相材料で充填された任意の種類の使い捨てコンテナによって行われる。これらのコンテナは、配管を通じて任意の種類のフラッシュシステムと結合でき、そしてそれゆえ、カセットタイプモジュールによる放射性医薬品のための使い捨て合成キットの一部または非カセットタイプモジュールに属し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】未精製4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図2】「中圧クロマトグラフィー」後の未精製物混合物(a、b)および精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Atlantis T3;150*4.6mm;3μm;Merck Waters;5mM KH2PO4 pH2.2中、40‐90% MeCN)。
【図3】tracerlab(登録商標) MX 合成の仕組み(写真は、Coincidence softwareから複製し、および修飾した)。
【図4】未精製の4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図5】中圧クロマトグラフィー後の未精製物混合物(a、b)および精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Chromolith(登録商標) SpeedRod;Merck;10mM Na2HPO4 pH7.4中、0‐95% MeCN)。
【図6】未精製の(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドのEckert&Ziegler modular labによる中圧クロマトグラフィーのクロマトグラム、トップ:ガンマ、ボトム:UVシグナル。
【図7】未精製物混合物(a、b)および「中圧クロマトグラフィー」後の精製物(c、d)の分析用HPLCクロマトグラム(Zorbax SB‐C18;Agilent;0.1M ギ酸アンモニウム中、50%MeCN)。
【図8】4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン合成(Coincidence FDG softwareから採用された)用のtracerlab(登録商標) MXの仕組み。
【図9】「精製カートリッジ」を通す前のMX合成の未精製物(サンプルは、反応槽から取得)の分析用HPLC;トップ 放射能;ボトム:UVシグナル 320nm。
【図10】MX合成およびカートリッジに基づく精製後、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの分析用HPLC;トップ 放射能;ボトム:UVシグナル 320nm。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
第一態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して、余剰の前駆物質および副産物から放射性標識されたトレーサーの精製
を含む、放射性医薬品の製造方法に関する。場合により、さらなる化学的変換は、当該方法の一部であってもよい。
【0012】
放射性トレーサーの精製は、液体クロマトグラフィーのステップを含み、そこで、この液体クロマトグラフィーは、低‐中圧液体クロマトグラフィーである。好ましい実施態様において、低‐中圧液体クロマトグラフィーの圧力は、1‐20バー、より好ましくは1‐10バー、さらにより好ましくは1‐5バーである。
【0013】
放射性標識化合物は、99mTc、111In、18F、201TI、123I、124I、125I、131I、34Cl、11C、32P、72As、76Br、89Sr、153Sm、186Re、188Re、212Bi、213Bi、89Zr、86Y、90Y、67Cu、64Cu、192Ir、165Dy、177Lu、117mSn、213Bi、212Bi、211At、225Ac、223Ra、169Yb、68Gaおよび67Gaの群から選択される少なくとも一つの放射性同位体を含む。
好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、陽電子放射断層撮影のための放射性同位体を有する。
さらに好ましい実施態様において、放射性同位体は、18F、68Gaを含む群から選択される。
【0014】
放射性トレーサーは、CNS、心血管および腫瘍学的疾患の画像のために使用できる。好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、CNS障害の画像のために使用され、Aβプラークの検出のために好ましい。そのようなトレーサーは、アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体、これらに限定されないが、例えば4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ}エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン、4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを含む。
【0015】
コンテナは、カートリッジ、カラム、また任意の種類のシリンダーである。
コンテナは、任意の種類の金属、合金、プラスチック、ガラス、カーボンまたはそれらの組み合わせである。
好ましい実施態様において、コンテナのための材料は、任意の種類のプラスチック、ガラス、またはそれらの混合物の群から選択され、より好ましくはUSPクラスVIプラスチックから選択され、そしてさらにより好ましくは医療グレードポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される。
【0016】
コンテナは、固定相で充填される。
コンテナは、追加的な部品、それらに限定されないが、例えば多孔質フリット(porous frit)、コネクターおよびアダプターを含んでもよい。
【0017】
好ましい実施態様において、固定相は、シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される。
より好ましい実施態様において、固定相は、シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0018】
10μg〜100gの固定相が、コンテナに充填される。好ましい実施態様において、100mg〜50gの固定相が、コンテナに充填される。より好ましい実施態様において、2g〜20gの固定相が、コンテナに充填される。さらにより好ましい実施態様において、3.5g〜10gの固定相が、コンテナに充填される。
【0019】
同じまたは異なる固定相で充填された同じまたは異なる容積のコンテナの一またはそれ以上が、本方法に使用されてもよい。
【0020】
固定相で充填されたコンテナが、配管、シリンジ、ニードル、バルブまたはさらにコンテナと結合してもよい。
【0021】
精製方法のための液相は、有機溶媒、水、塩水溶液、酸、塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される。好ましい実施態様において、液相は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン、p‐キシレン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert‐ブチルメチルエーテル、ニトロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、アンモニア、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、メチルアセテート、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、生理食塩水、緩衝液およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0022】
液相は、当業者に知られた方法により、コンテナを通過する。好ましい実施態様において、液相は、ポンプ、シリンジ、シリンジポンプ、ガス流体、真空を経由して、またはそれらの組み合わせによって、コンテナを通過する。
【0023】
異なる種類の検出器が、本方法と結合できる。好ましい検出器は、UV検出器、放射能検出器、光散乱検出器、導電率検出器、屈折率検出器である。
【0024】
第二態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して余剰の前駆物質および副産物から放射性標識トレーサーの精製
を含み、放射性医薬品の自動製造方法に関する。場合により、さらなる化学的変換が、本方法の一部であってもよい。
【0025】
放射性トレーサーの精製は、液体クロマトグラフィーのステップを含み、そこで、この液体クロマトグラフィーは、低‐中圧液体クロマトグラフィーである。好ましい実施態様において、液体クロマトグラフィーの圧力は、1〜20バー、より好ましくは、1〜10バーの間である。
【0026】
放射性標識化合物は、99mTc、111In、18F、201TI、123I、124I、125I、131I、34Cl、11C、32P、72As、76Br、89Sr、153Sm、186Re、188Re、212Bi、213Bi、89Zr、86Y、90Y、67Cu、64Cu、192Ir、165Dy、177Lu、117mSn、213Bi、212Bi、211At、225Ac、223Ra、169Yb、68Gaおよび67Gaの群から選択される少なくとも一つの放射性同位体を含む
好ましい実施態様において、放射性標識トレーサーは、陽電子放射断層撮影のための放射性同位体を有する。
さらに好ましい実施態様において、放射性同位体は、18F、68Gaを含む群から選択される。
【0027】
コンテナは、カートリッジ、カラムまたは任意の種類のシリンダーである。
コンテナは、任意の種類の金属、合金、プラスチック、ガラス、カーボンまたはそれらの混合物から作られる。
好ましい実施態様において、コンテナのための材料は、任意の種類のプラスチック、ガラス、またはそれらの混合物から選択され、より好ましくは、USPクラスVIプラスチックから選択され、さらにより好ましくは、医療グレードポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される。
【0028】
コンテナは、固定相で充填される。
コンテナは、追加的な部品、それらに限定されないが、例えば多孔質フリット(porous frit)、コネクターおよびアダプターを含んでもよい。
【0029】
好ましい実施態様において、固定相は、シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される。
より好ましい実施態様において、固定相は、シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、またはそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0030】
10μg〜100gの固定相が、コンテナに充填される。好ましい実施態様において、100mg〜50gの固定相が、コンテナに充填される。より好ましい実施態様において、2g〜20gの固定相が、コンテナに充填される。
【0031】
同じまたは異なる固定相で充填された同じまたは異なる容積のコンテナの一またはそれ以上が、本プロセスに使用されてもよい。
【0032】
固定相で充填されたコンテナが、配管、シリンジ、ニードル、バルブまたはさらにコンテナと結合してもよい。
【0033】
精製方法のための液相は、有機溶媒、水、塩水溶液、酸、塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される。好ましい実施態様において、液相は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、トルエン、p‐キシレン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert‐ブチルメチルエーテル、ニトロメタン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2‐ジクロロエタン、トリエチルアミン、ピリジン、アンモニア、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、メチルアセテート、アセトニトリル、イソプロパノール、エタノール、メタノール、酢酸、トリフルオロ酢酸、水、生理食塩水、緩衝液およびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0034】
液相は、当業者に知られた方法により、コンテナを通過する。好ましい実施態様において、液相は、ポンプ、シリンジ、シリンジポンプ、ガス流体、真空を経由して、またはそれらの組み合わせによって、コンテナを通過する。
【0035】
異なる種類の検出器が、本方法と結合できる。好ましい検出器は、UV検出器、放射能検出器、光散乱検出器、導電率検出器、屈折率検出器である。
【0036】
本方法は、放射標識トレーサーの製造のための自動化された手順である。
【0037】
一つの実施態様において、精製方法は、放射性トレーサーの自動合成と組み合わされる独立型の自動化された手順である。
【0038】
他の実施態様において、精製方法は、放射性トレーサーの自動合成を統合する。好ましい実施態様において、シンセサイザー(合成機)は、放射性トレーサーの製造のために使用され、および精製方法は、シンセサイザーで確立される。より好ましくは、製造および精製方法は、一切の手動操作なしに行われる。
【0039】
好ましい実施態様において、「中圧クロマトグラフィー」による放射性トレーサーの合成および精製は、当業者に知られた放射性トレーサーの製造用の「カセットタイプモジュール」、これに限定されないが、GE tracerlab(登録商標) MX (Coincidence FDG)、GE Fastlab(登録商標)、IBA Synthera(登録商標)などで行われる。好ましくは、「中圧クロマトグラフィー」のためのコンテナは、使い捨てカセット(またはキット)の一部である。
【0040】
第三態様において、本発明は、以下のステップ:
・ 前駆物質分子の放射性標識および、
・ コンテナを使用して余剰の前駆物質および副産物から放射性標識トレーサーの精製
を含み、放射性医薬品の製造方法のための使い捨てキットに関する。場合により、さらに化学的変換が、本方法の一部であってもよい。
キットは、放射性トレーサーの合成のための材料および精製用のコンテナを含み、そこでコンテナは、上記のように定義される。
【0041】
本発明は、さらに以下の論点(count):
1.低‐中圧液体クロマトグラフィーを使用する精製ステップを含むラジオトレーサーの製造方法であって、固定相を充填した一または一超のコンテナを使用する、方法。
2.前記ラジオトレーサーが陽電子放出放射性トレーサーである、論点1に記載の方法。
3.シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、コポリマー、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される固定相が使用される、論点1または2に記載の方法。
4.シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、またはそれらの混合物からなる群から選択される固定相で充填されるコンテナが使用される、論点1‐3のいずれかの論点に記載の方法。
5.前記コンテナが、10μg〜100gの固定相で充填される、論点1‐4のいずれかの論点に記載の方法。
6.前記コンテナが、2g〜20gの固定相で充填される、論点1‐5のいずれかの論点に記載の方法。
7.液体クロマトグラフィー用の溶媒が、有機溶媒、水、塩水溶液、酸もしくは塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される、論点1‐6のいずれかの論点に記載の方法。
8.前記コンテナが、放射性トレーサーの自動合成を統合する、論点1‐7のいずれかの論点に記載の方法。
9.低‐中圧液体クロマトグラフィー用のコンテナを有する放射性トレーサーの製造のためのキット。
10.放射性トレーサーの製造内での使い捨て用の、論点9に記載のキット。
【実施例1】
【0042】
実施例1:4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0043】
【化1】
【0044】
[F18]フルオライド(1.0GBq)を、QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、 Waters)で捕捉した。テトラブチルアンモニウムヒドロキシド溶液(4%テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液300μlおよびアセトニトリル700μl)で溶出後、混合物を、120℃のおだやかな窒素流下、乾燥した。乾燥を、アセトニトリル添加後、繰り返した。3.5mgメシレート前駆物質を、1.8mlアセトニトリル中に溶解し、そして乾燥残渣を加えた。結果として生じる混合物を、110℃で10分間、加熱した。2ml 1.5M HClを加えそして当該溶液を、110℃で5分間、加熱した。1.5ml 2M NaOHを加えそして当該溶液を、RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)に通した。40%エタノールおよび60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、分取(preparative)HPLCポンプ(Knauer smartline)を使用して10ml/minで、カートリッジに通した。10分後、50%エタノールおよび50% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、10ml/minで、カートリッジに通した。分画を、12‐13min(図1)で取得した。
283MBq(42%d.c.)4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として62分の合成時間で、取得した(図2)。
放射性および非放射性不純物(混入物)を、分取(semipreparative)HPLCで精製後のように、トレーサーの同じ品質を提供するために、成功裏に除去した(例えば、Zorbax Bonus RP、Agilent;0.1Mギ酸アンモニウム中55% MeCN)。
【0045】
実施例2:tracerlab(登録商標) MX モジュールによる4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの自動合成および精製
【0046】
【化2】
【0047】
4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製を、GE tracerlab MX モジュールで行った。FDG合成用の市販カセットを、修飾しおよび組み合わせた(図3)。
・ マニホールド2およびマニホールド3の間のtC18カートリッジを、チューブによって置換した。
・ マニホールド3におけるカートリッジ(tC18およびアルミナ)を除去した。
・ バイアルV1:8mlアセトニトリル
・ バイアルV2:1.5mlアセトニトリル中、3.5mlメシレート前駆物質
・ バイアルV3:1.5ml 2M NaOHおよび7ml 水
・ バイアルV4:30mg アスコルビン酸ナトリウムおよび2ml 1.5M HCl
・ バイアルE:炭酸カリウム/クリプトフィックス(kryptofix)(登録商標)(アセトニトリル/水中)
・ S1:40%エタノール、60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)‐溶媒1
・ S2:50%エタノール、50% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)‐溶媒2
・ フラッシュカートリッジ:RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)
合成シークエンスを開始し、当該シークエンスは、以下のステップ:
1.QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、Waters)による、[F‐18]フルオライドの捕捉
2.反応槽にE中の混合物を使用することで[F‐18]フルオライドの溶出
3.溶媒の蒸発(V1からアセトニトリルの添加後、繰り返し)
4.V2から反応槽中の乾燥残渣に前駆物質溶液の添加
5.110℃で10分間加熱
6.シリンジ2内に、V4中の酸の移行
7.シリンジ2からシリンジ1に、酸の移行
8.シリンジ1から反応槽に、酸の移行
9.110℃で5分間加熱
10.シリンジ2内にV3中のNaOHの移行
11.シリンジ2からシリンジ1に、NaOHの移行
12.反応槽からシリンジ1に、未精製物の移行
13.フラッシュカートリッジによる未精製物の捕捉
14.溶媒1で、シリンジ1およびマニホールドの洗浄
15.廃棄物内に、溶媒1でシリンジ1によりフラッシュカートリッジの洗浄(25mlで5回)
16.シリンジ2に25mlの溶媒2を移行
17.シリンジ2からシリンジ1に溶媒2の移行
18.廃棄物内に、シリンジ1により溶媒2で、フラッシュカートリッジの洗浄
19.シリンジ2内に、シリンジ1により10mlの溶媒2で、フラッシュカートリッジの洗浄
20.生成物バイアル内に、シリンジ2から生成物画分の通過
を含む。
合成および精製の間、一切の手動操作なしに、全体として65分で、1.6GBqの[F‐18]フルオライドから開始し、380MBq(36%d.c.)の 4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを得た。
【0048】
実施例3: 4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0049】
【化3】
【0050】
[F‐18]フルオライド(1.24GBq)を、QMAカートリッジ(SepPak(登録商標) light、Waters)により捕捉した。炭酸カルシウム/クリプトフィックス(登録商標)混合物(アセトニトリル/水中、5mgクリプトフィックス(登録商標)、1mg炭酸カリウム)で溶出後、混合物を、120℃のおだやかな窒素流下、乾燥した。乾燥をアセトニトリルの添加後(2×1ml)、繰り返した。トシラート前駆物質4mgを、1mlのアセトニトリルに溶解し、および乾燥残渣を添加した。結果として生じる混合物を、110℃で10分間加熱した。約60℃に冷却した後、500μlの2M HClを添加し、および当該溶液を110℃で5分間加熱した。混合物は、60℃まで冷却した。1ml 1M NaOHおよび2.5mlを添加し、そして当該溶液を、RediSep(登録商標)、Rf Gold HP C18 カートリッジ(5.5g)に通した。35%エタノールおよび65% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、分取HPLCポンプ(Knauer smartline)を使用して、10ml/minでカートリッジに通した。10分後、40%エタノールおよび60% 0.01M Na2HPO4水溶液(pH7.4)の混合物を、10ml/minでカートリッジに通した。分画は、12.6‐13.6分を分取した(図4)。337MBq(44%d.c.)4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として75分の合成時間で、取得した(図5)。
【0051】
実施例4:Eckert&Ziegler modular labによる(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドの自動合成および精製
【0052】
【化4】
【0053】
合成および精製を、Eckert&Ziegler modular labにより行った。[F‐18]フルオライド(4.67GBq)から開始し、(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドを、先の明細書(Ravert, Journal Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,2004,469;WO2003065882;WO2006121035)から類推的に合成した。アセトニトリルを含む5ml中の未精製物混合物を、Biotage(登録商標)SNAP カートリッジ(HP‐Sil、10g、Biotage(登録商標))により移行した。カートリッジを、アセトニトリル5ml/minで洗浄した。10分後、カートリッジを、10%エタノールを含むアセトニトリルで、洗浄した(5ml/min)。27.14分から30.07分の分画を、80mlの水を充填したフラスコ内に分取した(図6)。当該溶液を、C18カートリッジ(SepPak(登録商標) plus,Waters)に通した。カートリッジを、10mlの水で洗浄し、および当該生成物を、2mlエタノールで溶出した。784MBq(35%d.c.)の(4‐[F‐18]フルオロベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミドを、全体として118分の合成時間で、取得した(図7)。
【0054】
実施例5:GE Tracerlab(登録商標) MXによる4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製
【0055】
【化5】
【0056】
Tracerlab(登録商標) MXについて4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの合成および精製用のキットを、組み立てた(表1)。
【0057】
【表1】
【0058】
MXモジュールによるカセットの仕組みを、図8に図示した。前駆物質2Cを、「青キャップバイアル」から約1.8mlのアセトニトリルを使用して、合成シークエンスの間、「赤キャップバイアル」中に溶解した。フルオライド(2.4GBq)をMXモジュールに移行し、およびQMAカートリッジにより捕捉した。放射性物質(activity)を「溶出バイアル」から炭酸カリウム/クリプトフィックス(登録商標)混合物で、反応槽内に溶出した。共沸性の乾燥(加熱、真空、窒素流および「青キャップバイアル」からアセトニトリルの添加)後、アセトニトリル中の2Cの溶液を、「赤キャップバイアル」から反応槽内に移行した。結果として生じる混合物を、120℃で10分間加熱した。HClを、「緑キャップバイアル」からシリンジを経由して反応槽内に移行した。当該混合物を、110℃で5分間加熱した。脱保護の間、「溶媒バッグ1」から溶媒混合物1を、左側のシリンジにより「精製カートリッジ」を通じて洗浄した。未精製物混合物を、「2mlシリンジ」 からの水酸化ナトリウム/緩衝液混合物で混合し、および「溶媒バッグ1」からの溶媒1で希釈した。希釈した未精製物混合物を、「精製カートリッジ」に通した。非放射性副産物除去、「溶媒バッグ1」 からの溶媒1を、左側のシリンジ内に充填し、および廃棄物ボトル(廃液ボトル)内に「精製カートリッジ」を通って洗浄した。この手順を、6回繰り返した。「溶媒バッグ2」からの溶媒2を、右側のシリンジ内に充填し、および左側のシリンジに移行した。溶媒2を、左側のシリンジにより、「精製カートリッジ」を通じて洗浄した。第一画分を、廃棄物ボトルに廃棄することを認めるが、7.5mlの分画を、右側のシリンジ内に自動的に分取した。最後に、生成物画分を、生成物バイアル(事前に製剤基材1(Formulation basis 1)および製剤基材2(Formulation basis 2)を充填)に移行した。770MBq(32%減衰補正できない)4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]‐エトキシ}フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンを、全体として58分の製造時間で、取得した。カートリッジに基づく精製は、分取HPLC(図9、図10)により取得した純品と同様に、放射化学的および化学的に純粋な生成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低‐中圧液体クロマトグラフィーを使用する精製ステップを含むラジオトレーサーの製造方法であって、固定相を充填した一または一超の使い捨てコンテナを使用する、方法。
【請求項2】
前記ラジオトレーサーが陽電子放出放射性トレーサーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、ゲル、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される前記固定相が使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーまたはそれらの混合物からなる群から選択される固定相で充填されるコンテナが使用される、請求項1‐3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテナが10μg‐100gの固定相で充填される、請求項1‐4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテナが2g‐20gの固定相で充填される、請求項1‐5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体クロマトグラフィーのための溶媒が、有機溶媒、水、塩水溶液、酸もしくは塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される、請求項1‐6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテナが、放射性トレーサーの自動合成を統合する、請求項1‐7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
カセットタイプモジュールにより前記放射性トレーサーが製造され、前記低‐中圧クロマトグラフィーが、前記方法の一部である、請求項1‐8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテナが、カセット上に組み立てられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
F‐18標識アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体を製造するための、請求項1‐10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記F‐18標識アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体が、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン、4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアミンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの製造方法であって、以下のステップ:
求核放射性フッ素化、
場合により、保護基変換、
低‐中圧クロマトグラフィー用のコンテナへの、未精製物の充填、
コンテナから副産物を溶出するために適した、溶媒混合物でコンテナを洗浄すること、ここで、前記溶媒が、1‐10バーでコンテナを通って流される、
コンテナから、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの溶出に適した、
溶媒混合物2で、コンテナから、精製された4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの溶出、ここで前記溶媒が、1‐10バーでコンテナを通って流される
を含む、方法。
【請求項14】
低‐中圧液体クロマトグラフィー用のコンテナを有する放射性トレーサーの製造のためのキット。
【請求項15】
放射性トレーサーの前記製造内での使い捨て用の、請求項14に記載のキット。
【請求項1】
低‐中圧液体クロマトグラフィーを使用する精製ステップを含むラジオトレーサーの製造方法であって、固定相を充填した一または一超の使い捨てコンテナを使用する、方法。
【請求項2】
前記ラジオトレーサーが陽電子放出放射性トレーサーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリカゲル、修飾シリカゲル、アルミナ、レジン、ポリマー、ゲル、またはそれらの混合物もしくは層からなる群から選択される前記固定相が使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
シリカ、アルミナA、アルミナB、アルミナN、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、C30、C18、tC18、C8、C4、C2、tC2、アミノプロピル(NH2)、シアノプロピル(CN)、ジオール、ヒドロキシアパタイト、セルロース、黒鉛化炭素、およびポリスチレン/ジビニルベンゼンポリマー、ポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーまたはそれらの混合物からなる群から選択される固定相で充填されるコンテナが使用される、請求項1‐3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテナが10μg‐100gの固定相で充填される、請求項1‐4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテナが2g‐20gの固定相で充填される、請求項1‐5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体クロマトグラフィーのための溶媒が、有機溶媒、水、塩水溶液、酸もしくは塩基またはそれらの添加物および混合物からなる群から選択される、請求項1‐6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテナが、放射性トレーサーの自動合成を統合する、請求項1‐7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
カセットタイプモジュールにより前記放射性トレーサーが製造され、前記低‐中圧クロマトグラフィーが、前記方法の一部である、請求項1‐8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテナが、カセット上に組み立てられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
F‐18標識アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体を製造するための、請求項1‐10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記F‐18標識アリール(またはヘタリール)ビニルアニリン誘導体が、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリン、4‐[(E)‐2‐(6‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}ピリジン‐3‐イル)ビニル]‐N‐メチルアミンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの製造方法であって、以下のステップ:
求核放射性フッ素化、
場合により、保護基変換、
低‐中圧クロマトグラフィー用のコンテナへの、未精製物の充填、
コンテナから副産物を溶出するために適した、溶媒混合物でコンテナを洗浄すること、ここで、前記溶媒が、1‐10バーでコンテナを通って流される、
コンテナから、4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの溶出に適した、
溶媒混合物2で、コンテナから、精製された4‐[(E)‐2‐(4‐{2‐[2‐(2‐[F‐18]フルオロエトキシ)エトキシ]エトキシ}‐フェニル)ビニル]‐N‐メチルアニリンの溶出、ここで前記溶媒が、1‐10バーでコンテナを通って流される
を含む、方法。
【請求項14】
低‐中圧液体クロマトグラフィー用のコンテナを有する放射性トレーサーの製造のためのキット。
【請求項15】
放射性トレーサーの前記製造内での使い捨て用の、請求項14に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−532164(P2012−532164A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518815(P2012−518815)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004112
【国際公開番号】WO2011/003591
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004112
【国際公開番号】WO2011/003591
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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