説明

放射性標識されたアニリノキナゾリン型化合物ならびに放射線画像化および放射線治療におけるその使用

上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)の放射性標識された不可逆阻害剤、そして、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの医学的放射線画像化のための生体マーカーとしてのその使用、ならびに放射線治療のための放射性医薬品としてのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性標識化合物、ならびに放射線画像化および/または放射線治療におけるその使用に関連する。より具体的には、本発明は、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)の放射性標識された不可逆阻害剤、そして、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの医学的放射線画像化のための生体マーカーとしてのその使用、ならびに放射線治療のための放射性医薬品としてのその使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
放射性核種を医学的な目的のために使用することがこの分野では広く知られている。特定の細胞表面受容体に結合する生物活性化合物、または、他の方法で細胞機能を変化させる生物活性化合物が放射性医薬品としてかなり検討されており、従って、放射性核種で標識されたとき、そのような化合物は、放射線画像化および放射線治療における生体特異的な薬剤として使用される。
【0003】
陽電子放射断層撮影法(PET)は、人体内における放射能分布の三次元的な定量的測定を可能にする核医学画像化技術であり、健康な状態および病理学的な状態の両方で、生理学的機能、生化学的機能および薬理学的機能を分子レベルで測定するためのますます重要な手段になりつつある。PETでは、15O、13N、11Cおよび18F(これらは、半減期が、それぞれ、2分、10分、20分および110分である)などの陽電子放出核種(放射性トレーサー)で標識された分子を被験体に投与することが要求される。
【0004】
単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)は、ガンマ線を放出する放射性核種で標識された放射性化合物からの放射線を使用して生体内における放射能分布の断面画像を作製する化学的画像化の一形態である。SPECTでは、99mTc、67Ga、111Inおよび123Iなどのガンマ線放出核種で標識された分子を被験体に投与することが要求される。
【0005】
増殖因子、分化因子およびホルモンなどのポリペプチドは、多くの場合、固有の細胞内タンパク質チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面受容体に結合し、その受容体を活性化することによって、その多面的な様々な作用を媒介する。上皮増殖因子−チロシンキナーゼ(EGFR−TK)が乳ガンおよび他の新生物では過剰に発現する。EGFR−TKに結合する好適な放射性トレーサーは、PETおよびSPECTなどの核医学画像化技術によって、この受容体−キナーゼのマッピングおよび定量化を可能にすると考えられる。このことは、ホルモン療法または他の化学療法に対する応答を監視することを含めて、この受容体の発現レベルの変化を調べることを可能にし、また、作用の治療的経過に関して、患者のより良好な管理および区別をもたらし得る。
【0006】
さらに、好適な放射性核種を含むそのような放射性トレーサーはさらに、放射線治療のためのEGFR−TK生体特異的な薬剤として使用することができる。
【0007】
最近、99mTcで標識された抗EGFR抗体が合成され、生体分布および線量測定の研究がヒトにおいて行われた[1、2]。しかしながら、この標識された抗体は、他のタンパク質放射性医薬品と同様に、臨床適用のための大きな問題となる、肝臓における放射能の高い、長期にわたる滞留を有する。さらに、研究者は、バックグラウンドの放射能が変動するために、正常な器官の内部において腫瘍内の放射能を正確に定量することが困難であること、特に、肺の病巣においては体液および肺拡張不全を腫瘍と区別することができず、放射能の正確な定量が困難であることを見出していた。
【0008】
EGF自体は、核医学画像化のための標識化が、99mTc[3、4]およびインジウム−111[5、6]をはじめとするガンマ線放出核種を用いて、また、陽電子放出核種の臭素−76[7、8]を用いて行われている。後者(臭素−76EGF(マウス))の正常ラットにおける生体分布が報告された[8]が、実験室動物またはヒトにおける他のインビボ研究は報告されていない。
【0009】
4−アニリノキナゾリン型化合物(これはまた、本明細書中では4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物として示される)は、EGFR−TK上の内膜ATP結合部位に不可逆的に結合することによってEGFR−TK活性を強力かつ選択的に阻害することが示されており、そのような化合物の原型が小分子のPD153035[9]およびAG1479[10]である。MDA−486細胞におけるインビトロ結合研究を含むPD153035の放射性ヨウ素化アナログの報告が提出されている[11]。6,7−メトキシ基において炭素−11で標識されたPD153035が、ヒト神経芽細胞腫の異種移植片(SH−SY5Y)が埋め込まれたラットにおいて評価されており、しかし、特異的な取り込みが阻止研究では明らかにされなかった[12]。PD153035はまた、7−メトキシ位において特異的に炭素−11で標識され、生体分布実験が正常なラットにおいて行われたが、PD153035の酵素阻止量の投与は調べた組織におけるトレーサー取り込みの増大をもたらしたので、取り込み特異性を明らかにすることができなかった[13]。その同じ要約には、7−(2−フルオロエトキシ)PD153035アナログをフッ素−18で標識することが報告されたが、このトレーサーを用いた生物学的実験は記載されていなかった。加えて、2−18F−フルオロエトキシ基は大きい割合で18F−フッ化水素の脱離を受けて、対応するアルケンエーテルをもたらすことがあり、このことは、潜在的には、骨におけるフッ素−18の大きな取り込みをもたらし、そのため、不良なインビボ画像を与えることがある。さらに、これらの超強力な阻害剤(IC50<30pM)は、生化学的な変化ではなく、むしろ、流動または透過性の表面領域を測定し得るだけである[14]。
【0010】
米国特許第6126917号には、アニリン環がフッ素−18で標識された、EGFR−TKの可逆的阻害剤である4−(アニリノ)キナゾリン誘導体が教示される。これらの化合物はインビトロおよびインビボで試験され、また、PET画像分析によって試験された。これらの化合物のいくつかはインビトロで効果的な(可逆的)阻害活性を示したが、それらは、konおよびkoffなどの速度論的因子ならびに迅速な血中クリアランスのために、インビボでEGFR−TKを画像化するためのトレーサーとして効果的でないことが見出された。このことは、フッ素−18FDGとこれらの放射性標識化合物との間における動物でのPET比較研究によってさらに明らかにされた。勇気づけるインビトロ結果と失望させるインビボ結果との不一致はこれらの化合物の結合部位におけるATPの競合に由来すると推定される。
【0011】
従って、より良好な画像化結果を達成するためには、放射性標識化合物の非特異的な結合を減少させなければならない。これは、潜在的には、陽電子放出核種で標識される不可逆的なEGFR−TK阻害剤の誘導体を使用することによって達成することができる。そのような化合物の不可逆的結合は、潜在的には、より優れた診断成績をもたらし得る。さらに、そのような不可逆阻害剤は、好適な放射性核種で標識されたとき、EGFR−TKを発現している腫瘍細胞に対するその大きい親和性およびそのような腫瘍細胞に対する不可逆的結合に基づいて、効果的な放射線治療剤として同様に使用することができる。従って、EGF受容体に標的化されるそのような放射性標識化合物は、腫瘍細胞に優先的に結合することができ、また、放射性核種の高い効果的な濃度をもたらし、従って、腫瘍のその部位において優先的な細胞殺傷を生じさせると考えられる。
【0012】
最近、様々な不可逆的なEGFR−TK阻害剤が記載された[15、16、19、ならびに米国特許第6153617号および同第6127374号]。その不可逆的結合は、EGFR−TKのATP結合部位においてCys−773に共有結合的に結合するα,β−不飽和カルボキシル基(好ましくはアクリルアミド基)によりキナゾリン環の6位または7位が置換される4−(アニリノ)キナゾリン誘導体によって達成される。これらの化合物のいくつかはインビトロ実験およびインビボ実験の両方でEGFR阻害に対する大きい効力を示した。しかしながら、これらの化合物は放射性標識されなかった。従って、これらの化合物は放射線画像化または放射線治療のために使用することができない。
【0013】
従って、放射線画像化および放射線治療において使用されるEGFR−TKの放射性標識された不可逆的な阻害剤が必要であることが広く認識されており、そのような不可逆的な阻害剤を有することは非常に好都合であると考えられる。
【発明の開示】
【0014】
本発明によれば、EGFR−TKの不可逆的な阻害剤である新規な放射性標識化合物、ならびに放射線画像化および放射線治療においてそのような化合物を使用する方法が提供される。
【0015】
従って、本発明の1つの態様によれば、下記の式を有する放射性標識化合物が提供される:

式中、
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択されるか、または、Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、Q2はX−Y(=O)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは、非放射性炭素および放射性炭素からなる群から選択される;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素、非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素および放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、水素、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される;
ただし、上記化合物は少なくとも1個の放射性原子を含む。
【0016】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される。
【0017】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択される。
【0018】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は水素である。
【0019】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2はアルコキシである。
【0020】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、アルコキシはモルホリノ基を含む。
【0021】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2はアルキルアミノである。好ましくは、アルキルアミノはピペラジノ基を含む。
【0022】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Xは−NR−であり、Zは−RC=CHRである。
【0023】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、R、RおよびRはそれぞれが水素である。
【0024】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Rは、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルである。
【0025】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、置換アルキルは放射性原子を含む。
【0026】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、置換アルキルは置換アミノ基を含み、例えば、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基を含む。
【0027】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、置換アミノ基は放射性原子を含む。
【0028】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、放射性原子は放射性炭素であり、好ましくは炭素−11である。
【0029】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Yは放射性炭素である。
【0030】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素である。
【0031】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Dが放射性フッ素である。
【0032】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Dが放射性フッ素であり、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素である。
【0033】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Aは放射性臭素または放射性ヨウ素である。
【0034】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、放射性炭素は炭素−11である。
【0035】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Yが炭素−11であり、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である。
【0036】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Yが炭素−11であり、Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である。
【0037】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、放射性フッ素はフッ素−18である。
【0038】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、放射性臭素は臭素−76または臭素−77である。
【0039】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、放射性ヨウ素は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131であり、好ましくはヨウ素−124である。
【0040】
本発明の別の態様によれば、本発明の放射性標識化合物を有効成分として含み、かつ、医学的に受容可能なキャリアを含む医薬組成物が提供される。
【0041】
本発明のさらに別の態様によれば、患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルを監視する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)本発明の放射性標識化合物を患者に投与すること、および(b)体内または体内の一部における化合物の分布を監視するために核画像化技術を用いることを含む。
【0042】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、核画像化技術は陽電子放射断層撮影法または単光子放射型コンピューター断層撮影法である。
【0043】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の放射性標識化合物の治療効果的な量を患者に投与することを含む放射線治療法が提供される。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、下記の式を有する放射性標識化合物を合成する方法が提供される:

式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは炭素−11である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素および非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、水素、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される。
【0045】
この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、6位および/または7位が1つまたは複数の反応基によって置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および(b)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、反応性の炭素−11標識されたα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させることを含む。
【0046】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、また、この方法はさらに、工程(b)の前に、4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすることを含む。
【0047】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、また、この方法はさらに、工程(c)の前に、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させることを含む。
【0048】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、反応性の炭素−11標識されたα,β−不飽和カルボキシル誘導体は、炭素−11で標識されたアクリロイルクロリドである。
【0049】
本発明のさらにさらなる態様によれば、下記のように定義される、本明細書中上記に記載される式IIの放射性標識化合物を合成する方法が提供される:
式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、(i)水素、(ii)非放射性の誘導体化基、および(iii)フッ素−18からなる群から選択され、ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、水素、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される。
【0050】
この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識のアニリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つがフッ素−18である)を調製すること;(b)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識のアニリン型化合物を、6位および/または7位が1つまたは複数の反応基によって置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および(c)反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和誘導体と反応させて、その結果、α,β−不飽和基で置換されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすることを含む。
【0051】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、フッ素−18で標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、この方法はさらに、工程(c)の前に、フッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすることを含む。
【0052】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、また、この方法はさらに、工程(c)の前に、反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させることを含む。
【0053】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体はアクリロイルクロリドである。
【0054】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Rは、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルであり、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は反応基が末端に存在し、また、この方法はさらに、α,β−不飽和カルボキシル基によって置換されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させることを含む。
【0055】
本発明のさらにさらなる態様によれば、下記のように定義される、本明細書中上記に記載される式IIの放射性標識化合物を合成する方法が提供される:
式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、(i)水素、(ii)非放射性の誘導体化基、ならびに(iii)放射性臭素および放射性ヨウ素から選択される放射性原子からなる群から選択され、ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、水素、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される。
【0056】
この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲン原子である)を、6位および/または7位が1つまたは複数の反応基によって置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;(b)A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を放射性臭素または放射性ヨウ素で放射性標識して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である)を作製するようにすること;および(c)反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和誘導体と反応させることを含む。
【0057】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、この方法はさらに、工程(b)の前に、4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を作製するようにすることを含む。
【0058】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ハロゲンは臭素である。
【0059】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、また、この方法はさらに、工程(c)の前に、(e)反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させることを含む。
【0060】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、Rは、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルであり、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は反応基が末端に存在し、また、この方法はさらに、α,β−不飽和カルボキシル基によって置換された反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させることを含む。
【0061】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は4−ブロモクロトニルクロリドである。記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、反応性の置換アルキルはジメチルアミンである。
【0062】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、化学的反応基はモルホリノアルコキシ基を含む。
【0063】
本発明のさらなる態様によれば、下記のように定義される、本明細書中上記に記載される式IIの放射性標識化合物を合成する方法が提供される:
式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、(i)水素、(ii)非放射性の誘導体化基、ならびに(iii)放射性臭素および放射性ヨウ素から選択される放射性原子からなる群から選択され、ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性臭素または放射性ヨウ素である;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有し、炭素−11原子を含む置換アルキルである。
【0064】
この方法は、(a)R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、6位または7位が第1の反応基によって置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;(b)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させて、その結果、第2の反応基を末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;(c)第2の反応基を末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させて、その結果、反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および(d)反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、炭素−11標識の反応性化合物と反応させることを含む。
【0065】
下記に記載される本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、この方法はさらに、工程(b)の前に、4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすることを含む。
【0066】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体はアクリロイルクロリドである。
【0067】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、第2の反応基はハロゲンである。
【0068】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、ハロゲンは、臭素およびヨウ素からなる群から選択される。
【0069】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は4−ブロモクロトニルクロリドである。
【0070】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルはメチルアミンである。
【0071】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、炭素−11標識の反応性化合物は炭素−11ヨウ化メチルである。
【0072】
記載された好ましい実施形態におけるさらにさらなる特徴によれば、X−Y(=O)−Z基はキナゾリン環の6位に存在する。
【0073】
本発明は、放射線画像化のための新規な不可逆的な生体マーカーおよび放射線治療のための放射性医薬品を提供することによって、現在知られている形態の様々な欠点を解決することに成功している。
【0074】
図面の簡単な記述
本発明は、本明細書中において、例としてだけであるが、添付された図面を参照して記載される。次に図面を詳細に特に参照することにより、示される特定の事項は、本発明の好ましい実施形態の例としてであり、かつ、その例示的な議論のためだけであり、また、本発明の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解される記載であると考えられるものを提供するために示されることに重点が置かれている。これに関連して、本発明の基本的な理解のために必要とされるよりも詳しく本発明の構造的詳細を示すことはなされておらず、しかし、図面とともに理解される説明により、本発明のいくつかの形態がいかにして実際に具体化され得るかが当業者には明らかになる。
図1はIC50値が0.051nMであり、95%の信頼性区間として0.0088/0.294の範囲を有する、本発明の化合物3についての自己リン酸化阻害の用量応答曲線の一例を示す。
図2は様々な濃度の化合物3とインキュベーションし、2時間および8時間のインキュベーション後時間でEGF刺激溶解を行った後のA431細胞におけるEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである(ドット付きおよび無ドットの白棒は、EGF刺激を伴わないコントロールであり、四角形パターンの棒は、EGFにより刺激されたコントロールであり、それ以外の棒は、記載されたEGFR自己リン酸化レベルを示す)。下の挿入図は、2時間および8時間のインキュベーション後時間におけるそれぞれの濃度についてのウエスタンブロットを示しており、棒と一緒に配置される。
図3は化合物3との様々なインキュベーション時間の後、8時間のインキュベーション後時間におけるA431細胞でのEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである(棒は2回の測定の結果である)。下の挿入図は、それぞれのデータ点についてのウエスタンブロットを示しており、棒と一緒に配置される。
図4は1nMおよび30nMの化合物3との様々なインキュベーション時間の後、1時間のインキュベーション後時間におけるA431細胞でのEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである。下の挿入図は、それぞれのデータ点についてのウエスタンブロットを示しており、棒と一緒に配置される。
図5は0.06nMのIC50値を有する本発明の化合物4(ML04として示される)についての自己リン酸化阻害の用量応答曲線の一例を示す。
図6は炭素−11で標識された本発明の化合物4(ML04として示される)のA431細胞に対する特異的な結合を明らかにする比較プロットを示す。
図7は炭素−11で標識された化合物4が注射された腫瘍保有ラットにおける、注射後15分、30分および120分における腫瘍/血液比を(%ID/グラムで)明らかにする棒グラフを示す。
図8は図8a〜図8bは、C−11で放射性標識された化合物3(ML03として示される)および化合物4(ML04として示される)の、腫瘍保有ラットに対するその注射後30分および60分における代謝をそれぞれ明らかにする比較TLCクロマトグラム(図8a)、ならびに、注射後15分、30分および45分において血液から抽出された無傷のトレーサー(放射性標識化合物3および化合物4)の割合(%)を明らかにする棒グラフを示す。
図9は炭素−11で標識された化合物4を注射した腫瘍保有ヌードラットのPET画像(A)、および、非標識の化合物4を注射し、その後、炭素−11で標識された化合物4を注射した腫瘍保有ヌードラットのPET画像(B)を示す。
図10は単独でラットに投与されたとき(菱形)、および、非標識の化合物4を投与した10分後に投与されたとき(三角形)の、炭素−11で標識された化合物4の経時的な腫瘍内の放射能濃度を明らかにする比較プロットを示す。
図11はラットの心臓(菱形)、肝臓(四角形)および腎臓(三角形)における、炭素−11で標識された化合物4の経時的な腫瘍内の放射能濃度を明らかにするプロットを示す。
図12はPDG(左画像)および炭素−11で標識された化合物4(右画像)の膀胱排出を明らかにするPET冠状面画像を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
本発明は、陽電子放射断層撮影法(PET)および単光子放射型コンピューター断層撮影法(SPECT)などの放射線画像化のための生体マーカーとして、また、放射線治療のための放射性医薬品として使用することができる新規な放射性標識化合物に関する。具体的には、本発明の新規な放射性標識化合物は、上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR−TK)に関連する疾患(例えば、EGFR−TKの増幅、変異および/または過剰発現が生じている様々なガンなど)の定量化、マッピングおよび放射線治療のために、PETまたはSPECTの不可逆的な生体マーカーとして、かつ/あるいは放射性医薬品として使用することができる。
【0076】
本発明の原理および作用は、図面および付随する説明を参照してより十分に理解することができる。
【0077】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示される細部または実施例によって例示される細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施することができ、または様々な方法で実施される。また、本明細書中で用いられている表現法および用語法は説明のためであり、従って、限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
【0078】
本発明の1つの態様によれば、下記の式の放射性標識化合物が提供される:

式中、
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択されるか、または、Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、Q2はX−Y(=O)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは、非放射性炭素および放射性炭素からなる群から選択される;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素、非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素、放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、水素、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される;
ただし、化合物は少なくとも1個(例えば、1個、2個または3個以上)の放射性原子を含む。
【0079】
本明細書中および特許請求の範囲中で使用される表現「放射性標識化合物」または表現「放射性原子」は(タイプが指定されているか否かにはかかわりなく)、1個または複数個の放射性原子を含む化合物、あるいは、その原子についてのバックグラウンドレベルの放射能を越える比放射能を有する放射性原子を示す。これに関して、天然に存在する元素は、そのいくつかが放射性同位体である様々な同位体の形態で存在することが広く知られている。天然に存在する元素の放射能は、これらの同位体の天然の分布の結果であり、一般にはバックグラウンド放射能レベルとして示される。しかしながら、放射性である同位体で特定の元素を濃縮する様々な方法が知られている。そのような濃縮の結果は、その原子の天然の集団よりも大きい放射能によって特徴づけられる原子の集団であり、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルを超えている。
【0080】
従って、本発明の放射性標識化合物は、対応する非標識の化合物よりも大きい比放射能を有しており、従って、放射線画像化および放射線治療のための薬剤として使用することができる。
【0081】
さらに、原子または誘導体化基に関して本明細書中で使用される用語「非放射性」は、放射性原子を含まない原子または誘導体化基を示し、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルである。
【0082】
原子または誘導体化基に関して本明細書中で使用される用語「放射性」は、放射性原子を含む原子または誘導体化基を示し、従って、その比放射能はバックグラウンドレベルを越えている。
【0083】
本明細書中および特許請求の範囲で使用される用語「誘導体化基」は、別の基に共有結合的に結合する基の主要部分を示す。
【0084】
本明細書中および特許請求の範囲中で使用される用語「ハロゲン」は、本明細書中では「ハロ」としてもまた示されるが、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
【0085】
本明細書中で使用される用語「ヒドロキシ」は−OH基を示す。
【0086】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を示す。好ましくは、アルキル基は、1個〜10個の炭素原子を有する中程度のサイズのアルキルである。より好ましくは、アルキル基は、1個〜6個の炭素原子を有する低級アルキルである。最も好ましくは、アルキル基は、1個〜4個の炭素原子を有するアルキルである。アルキル基の代表的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルがある。
【0087】
アルキル基は、本発明によれば、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ハロ、ペルハロ、トリハロメチル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、チオカルボキシ、カルバミル、シアノ、ニトロ、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−ヘキサヒドロアゼピン、アミノまたはNRbRc(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピンである)であり得る。
【0088】
本明細書中で使用される用語「シクロアルキル」は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべてが炭素の単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。シクロアルキル基の非限定な例には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタトリエンおよびアダマンタンがある。
【0089】
用語「アルコキシ」は、本明細書中上記で定義されるように、−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基の両方を示す。アルコキシ基の代表的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびtert−ブトキシが含まれる。
【0090】
−O−アルキル基および−O−シクロアルキル基は、本発明によれば、置換または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、ハロ、ペルハロ、トリハロメチル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、チオカルボキシ、カルバミル、シアノ、ニトロ、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノ、N−ヘキサヒドロアゼピン、アミノまたはNRbRc(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピンである)であり得る。
【0091】
用語「チオヒドロキシ」は−SH基を示す。
【0092】
用語「チオアルコキシ」は、本明細書で定義されるように、−S−アルキル基および−S−シクロアルキル基の両方を示す。
【0093】
用語「アミノ」は−NH基を示す。
【0094】
用語「アルキルアミノ」は−NRbRc基(式中、RbおよびRcはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピンであり、または、RbおよびRcは、N−ピペリジニル、N−ピペラジニル、N−ピペラジニル−N−アルキル、N−ピロリジル、ピリジニル、N−イミダゾイル、N−モルホリノ、N−チオモルホリノおよびN−ヘキサヒドロアゼピン(これらに限定されない)などの環状アミノ化合物を形成するように、相互に共有結合的に結合する)を示す。
【0095】
用語「カルボキシ」は−C(=O)−基を示す。
【0096】
用語「アルコキシカルボニル」基は、本明細書中では「カルバルコキシ」としてもまた示されるが、−C(=O)−OR’基(式中、R’は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール(これは環炭素を介して結合する)または複素脂環(これは環炭素を介して結合する)である)を示す(これらは本明細書中で定義される)。
【0097】
「アルケニル」基は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合からなるアルキル基を示す。
【0098】
「アリール」は、完全共役のπ電子系を有する、すべてが炭素の単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を示す。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフタレニルおよびアントラセニルがある。
【0099】
「フェニル」基は、本発明によれば、1個〜3個の置換基によって置換され得るか、または非置換であり得る。置換されるとき、置換基は、例えば、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノ、トリハロメチル、アルキルアミノまたは単環ヘテロアリールであり得る。
【0100】
用語「ヘテロアリール」基には、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基が含まれる。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。
【0101】
「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を示す。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は完全共役のπ電子系を有しない。
【0102】
「アリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−O−アリール基および−O−ヘテロアリール基の両方を示す。
【0103】
「チオアリールオキシ」基は、本明細書中で定義されるように、−S−アリール基および−S−ヘテロアリール基の両方を示す。
【0104】
「トリハロメチル」基は−CX基(式中、Xは、本明細書中で定義されるようなハロゲンである)を示す。トリハロメチル基の代表的な例は−CF基である。
【0105】
「ペルハロ」基は、その水素原子のすべてがハロゲン原子によって置換されている基を示す。
【0106】
「チオカルボキシ」は−C(=S)−OR’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0107】
「アルキルスルフィニル」基は−S(=O)−R’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0108】
「アルキルスルホニル」基は−S(=O)−R’基(式中、R’は本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0109】
「カルバミル」は−OC(=O)−NRbRc基(式中、RbおよびRcは本明細書中で定義される通りである)を示す。
【0110】
「ニトロ」基は−NO基を示す。
【0111】
「シアノ」基は−C≡N基を示す。
【0112】
本発明の放射性標識化合物は、α,β−不飽和カルボキシル基(これはまた、本明細書中ではX−Y(=O)−Z基として定義される)によってキナゾリン環の6位または7位が置換される誘導体化された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物である。
【0113】
本明細書中において、本明細書中および下記の請求項の節で使用される用語「α,β−不飽和カルボキシル基」は、−C(=O)−基を含み、かつその遠位端において不飽和基に結合している任意の基を示す。そのようなカルボキシル基は、例えば、アミド、エステル、ヒドラジンアミドまたはケトンであり得る。
【0114】
用語「不飽和基」は、少なくとも2個の炭素原子と、少なくとも1つの不飽和結合とを含む置換された炭化水素または非置換の炭化水素を示す。不飽和基の代表的な例には、アルケニル、アルキニルおよびジエンが含まれる。
【0115】
このクラスの誘導体化された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、アニリノキナゾリン環に結合したα,β−不飽和カルボキシル基のために、EGFR−TKのATP部位に不可逆的に結合することが知られている[15、16、ならびに米国特許第6153617号および同第6127374号]。このα,β−不飽和カルボキシル基は、EGFR−TKのATP結合部位においてCys−773に共有結合的に結合することが見出された。従って、このα,β−不飽和カルボキシル基はマイケル型アクセプターとして作用する。
【0116】
このクラスの化合物が開示されるまでは、誘導体化された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、EGFR−TKのATP部位に可逆的に結合することが知られていた。これらの化合物の生物学的活性のレベルはそのアニリノ環における誘導体化基の性質によって影響を受ける。しかしながら、このクラスのキナゾリン型化合物に結合したα,β−不飽和カルボキシル基によってもたらされる受容体に対する共有結合的な結合により、様々な誘導体化基によって誘導体化される4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物をEGFR−TK阻害剤として使用することが可能になる。それにもかかわらず、様々な誘導体化基を本発明の化合物のアニリン環およびキナゾリン環の両方に結合させることができる。これらの誘導体化基の性質は、受容体に対する化合物の結合親和性、ならびに、特異性、化合物の代謝、および速度論的速度などの他の生物学的活性パラメーターに影響を及ぼし得る。
【0117】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の放射性標識化合物の非放射性の誘導体化基がアニリン環に結合しており、そのような誘導体化基には、例えば、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノが含まれる。これらの用語は本明細書中上記に定義されている。
【0118】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、非放射性の誘導体化基が、(Q1またはQ2のいずれかによって本明細書中上記の式Iに表されるように)キナゾリン環に結合しており、そのような誘導体化基には、例えば、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノが含まれる。好ましくは、この誘導体化基はアルコキシ基であり、より好ましくは、モルホリノ基を含むアルコキシ基、例えば、3−(4−モルホリニル)プロポキシ基(これに限定されない)などである。さらに好ましくは、誘導体化基は置換または非置換のモリホリノ基であるか、あるいは、置換または非置換のピペラジノ基である。このクラスの化合物におけるモリホリノ基またはピペラジノ基の存在はその生物学的利用性を増大させることが知られている[15]。
【0119】
本発明の誘導体化された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物の結合能力に影響を及ぼす別の要因は、キナゾリン環に結合しているα,β−不飽和カルボキシル基の位置である。6位のα,β−不飽和カルボキシル基はEGFR−TKのATP部位に対してより大きい結合能力を有する[15、16、ならびに米国特許第6153617号および同第6127374号]。従って、本発明の別の好ましい実施形態によれば、放射性標識化合物のX−Y(=O)−Z基はキナゾリン環の6位に結合する。
【0120】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、6位のα,β−不飽和カルボキシル基はアクリルアミド基である。従って、本発明による好ましい放射性標識化合物は、R、A、B、CおよびD(これらの記号は上記に定義される通りである)によって誘導体化されている放射性標識されたN−[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アクリルアミド型化合物である。
【0121】
アクリルアミド基は、例えば、ハロゲン、カルボキシ、アルケニル、アルコキシ、カルボニル、置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニル(これらの用語は本明細書中上記に定義される通りである)を含む誘導体化基によってさらに誘導体化することができる。好ましくは、アクリルアミド基は置換アルキルによって誘導体化され、より好ましくは、そのアルキルが、アルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基(これらに限定されない)などのアミノ基によって置換される。より好ましくは、アルキルは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノおよびジイソプロピルアミノ(これらに限定されない)などのジアルキルアミノ基によって置換される。場合により、そのアルキルはモルホリノ基によって置換される。
【0122】
従って、本発明の別の好ましい実施形態によれば、α,β−不飽和カルボキシル基は4−(ジアルキルアミノ)−2−ブテンアミドである。ジアルキルアミノ基によって誘導体化されたα,β−不飽和カルボキシル基の存在は、ジアルキルアミノ基により、生理学的条件下での化合物の溶解性が増大し、従って、化合物の生物学的利用性が増大するために好都合である[19]。さらに、ジアルキルアミノ基の存在は、電子的および立体的な効果のために、求核反応におけるマイケル型アクセプターとしての化合物の不飽和中心の化学的反応性を低下させる。このクラスの化合物における不飽和中心は非常に反応性であり、従って、EGFR−TKのATP結合部位における標的化されたCys−773に加えて、血液および他の器官に存在する他の−SH残基と反応するので、この低下した化学的反応性は好都合である。従って、その反応性を低下させることによって、ジアルキルアミノ基は受容体に対する化合物の結合特異性を高めている。
【0123】
米国特許第6127917号では、アニリノ基の6位がフッ素によって誘導体化される4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物がEGFR−TKの強力な阻害剤であることがさらに教示される。受容体に対する最大の親和性が、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン型化合物を使用して達成される。
【0124】
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、Yが炭素であり、Xが−NHであり、ZがCH=CH−であり、Rが水素であり、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である。これは本明細書中下記では化合物3として示される。
【0125】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、Yが放射性炭素であり、放射性炭素は炭素−11である。
【0126】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素であり、放射性フッ素はフッ素−18である。好ましくは、Dがフッ素−18である。
【0127】
本発明のなお別の好ましい実施形態によれば、Aは臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である。
【0128】
従って、本発明の現時点で最も好ましい実施形態によれば、化合物3において、Yが炭素−11である。
【0129】
本発明の別の現時点で好ましい実施形態によれば、化合物3において、Dがフッ素−18である。
【0130】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、Yが炭素であり、Xが−NHであり、Zが(CHN−CH−CH=CH−であり、Rが水素であり、A、B、CおよびDは本明細書中上記に定義される通りである。これは本明細書中下記では化合物4として示される。
【0131】
好ましくは、化合物4において、AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である。あるいは、Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である。
【0132】
さらに好ましくは、化合物4において、Yが非放射性炭素であり、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性フッ素であり、放射性フッ素はフッ素−18である。好ましくは、Dがフッ素−18である。
【0133】
さらに好ましくは、化合物4において、Yが非放射性炭素であり、A、B、CおよびDの少なくとも1つが放射性ヨウ素であり、放射性ヨウ素はヨウ素−124である。好ましくは、Aがヨウ素−124である。この化合物は本明細書中下記では化合物5として示される。
【0134】
最も好ましくは、化合物4において、誘導体化ジメチルアミノ基におけるメチル基が放射性炭素を含み、放射性炭素は炭素−11である。
【0135】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、放射性原子は、臭素−76および臭素−77などの放射性臭素である。好ましくは、Aが放射性臭素である。臭素−76で標識された本発明の化合物はPET放射線画像化のために使用することができ、一方、臭素−77で標識された本発明の化合物は放射線治療のために使用することができる。
【0136】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、放射性原子は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131などの放射性ヨウ素である。好ましくは、Aが放射性ヨウ素である。ヨウ素−123で標識された本発明の化合物はSPECT放射線画像化のために使用することができ、ヨウ素−124で標識された本発明の化合物はPET放射線画像化および/または放射線治療の両方のために使用することができ、ヨウ素−131で標識された本発明の化合物は放射線治療のために使用することができる。
【0137】
放射性合成:
本発明の別の態様によれば、本発明の放射性標識化合物を合成するための方法が提供される。
【0138】
化合物の放射性標識は、下記の3つの選択可能な方法を使用して行うことができる:
第1の方法では、フッ素−18原子をアニリン環に取り込むことを伴い、従って、この放射性標識化は、下記の実施例の節においてさらに例示されるように合計で4段階〜8段階の放射性合成を典型的には含む多段階の放射性合成の最初の工程であることが要求される。
【0139】
本発明に従って放射性標識するための第2の方法では、炭素−11原子をα,β−不飽和カルボキシル残基に取り込むことを伴い、これは合成の最終工程で行われ、従って、好都合な1段階の放射性合成である。この方法による炭素−11の取り込みは、α,β−不飽和カルボキシル残基のα−炭素またはω−炭素のいずれかにおいて行うことができる。
【0140】
第3の方法では、合成の最終工程に先立って、放射性臭素または放射性ヨウ素を4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物のアニリノ環に取り込むことを伴い、これにより、最終工程が簡便に行われる好都合な2段階の放射性合成がもたらされる(下記参照)。
【0141】
従って、本発明のさらに別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるような、炭素−11で標識された化合物を合成する方法が提供される。この方法は、R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、6位および/または7位が1つまたは複数の反応基によって置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること、および、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性の炭素−11標識されたα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させることによって達成される。あるいは、この方法はさらに、α,β−不飽和カルボキシル誘導体とのその反応の前に、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させて、その結果、反応性の置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすることを含む。
【0142】
本明細書中において、本明細書中および下記の請求項の節で使用される場合、基または誘導体に関する用語「反応性の」は、新しい官能基を含む新しい化合物をもたらすように別の基と容易に反応し得る基または誘導体を示す。反応性の基(反応基)の代表的な例には、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシおよびハロゲンが含まれる。カルボン酸塩化物は反応性の誘導体の代表的な例である。ヒドロキシアルキルの金属塩を含むアルコキシ基は、化学的に反応性の基(化学的反応基)の代表的な例である。好ましくは、化学的反応基は、本明細書中では3−(4−モルホリニル)プロポキシとしてもまた示される、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールの金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはリチウム塩)を含む。
【0143】
1つの反応基によってその6位が置換されるキナゾリン型化合物を含む1つの具体例において、3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンが4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させられ、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを作製し、これをヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを作製する。その後、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを炭素−11標識のアクリロイルクロリドと反応させて、その結果、炭素−11で標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(炭素−11標識の化合物3)を作製する。
【0144】
場合により、出発物質が3−ブロモアニリンまたは3−ヨードアニリンであり、最終生成物が、それぞれ、N−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドまたはN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドである。
【0145】
2つの異なる反応基によってその6位および7位が置換されるキナゾリン型化合物を含む別の具体例において、3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンが4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させられ、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを作製する。その後、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを3−(4−モルホリニル−1−プロパノール)のナトリウム塩と反応させて、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを作製し、これをヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを作製する。その後、この生成物を炭素−11標識のアクリロイルクロリドと反応させて、その結果、炭素−11標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(炭素−11標識のモルホリノ置換の化合物3)を作製する。
【0146】
場合により、出発物質が3−ブロモアニリンまたは3−ヨードアニリンであり、最終生成物が、それぞれ、{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドまたは{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドである。
【0147】
あるいは、また、本発明の別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるような炭素−11標識された化合物を合成する別の方法が提供される。この方法は、R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、1つまたは複数の反応基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、R、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製すること、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させて、その結果、第2の反応基を末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製すること、作製された置換4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させて、その結果、反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製すること、および、反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を炭素−11標識の反応性化合物と反応させることによって達成される。
【0148】
第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体の代表的な例には、ω−ハロゲン化α,β−不飽和カルボキシル誘導体、例えば、4−ブロモクロトニルクロリド、4−クロロクロトニルクロリドおよび4−ヨードクロトニルクロリド(これらに限定されない)などが含まれる。
【0149】
反応性の置換アルキルの代表的な例には、アルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンおよびイソプロピルアミン(これらに限定されない)などが含まれる。
【0150】
炭素−11の反応性化合物の代表的な例には、炭素−11ヨウ化メチル、炭素−11ヨウ化エチル、炭素−11ヨウ化プロピルおよび炭素−11メチルトリフラートが含まれる。炭素−11メチルトリフラートが、その相対的な反応性および低い揮発性のために好ましい。
【0151】
1つの具体例において、3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンが4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させられ、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを作製し、これをヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを作製する。その後、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを4−ブロモクロトニルクロリドと反応させて、その結果、4−ブロモ−N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−ブテンアミドを作製し、その後、これをメチルアミンと反応させて、その結果、N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミドを作製する。得られた上記ブテンアミドのメチルアミノ誘導体を炭素−11標識のヨウ化メチルと反応させて、その結果、炭素−11で標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(炭素−11標識の化合物4)を作製する。
【0152】
場合により、出発物質が3−ブロモアニリンまたは3−ヨードアニリンであり、得られる生成物が、炭素−11で標識されたN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド、または、炭素−11で標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドである。
【0153】
本発明のなお別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるような、フッ素−18で標識された化合物を合成する方法が提供される。この方法は、事前に選択されたニトロベンゼン型化合物を18F−フッ化物イオンと反応させ、その後、得られたフルオロニトロベンゼン型化合物をヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液により還元することによって、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識のアニリン型化合物を調製することによって行われる。その後、誘導体化されたフッ素−18標識のアニリン型化合物を、本明細書中に定義されるような1つまたは複数の反応基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製して、この反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させる。
【0154】
1つの具体例において、フッ素−18標識された3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンが、1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンと反応させ、得られたフッ素−18標識の3,4−ジクロロ−6−フルオロニトロベンゼンを本明細書中上記に記載されるように還元することによって調製される。その後、このフッ素−18標識されたアニリン型化合物を4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させ、得られたフッ素−18標識の4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを、その後、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって還元して、その結果、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを作製し、これをアクリロイルクロリドと反応させて、その結果、フッ素−18標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(フッ素−18標識の化合物3)を作製する。
【0155】
場合により、フッ素−18標識されたアニリン型化合物を4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させ、その後、得られた生成物を本明細書中上記に記載されるように還元して、その結果、フッ素−18標識された6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを作製する。その後、得られたフッ素−18標識の置換アミノキナゾリンをアクリロイルクロリドと反応させて、その結果、モルホリノ基によって誘導体化された放射性標識(フッ素−18標識)の化合物3を作製する。
【0156】
さらに、場合により、得られたフッ素−18標識の4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを4−ブロモクロトニルクロリドと反応させ、その後、ジメチルアミンと反応させて、その結果、放射性標識(フッ素−18標識)された化合物4を作製する。
【0157】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書中上記に記載されるような放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された化合物を合成する方法が提供される。この方法は、R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を、本明細書中で定義されるような1つまたは複数の反応基によって6位および/または7位が置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、本明細書中に定義されるようなA、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製すること、そして、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを触媒として使用してビストリブチルスズと反応させて、その結果、A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物(この場合、A、B、CおよびDの少なくとも1つがトリブチルスズである)を作製し、その後、このスズ化された生成物を酸化剤の存在下で放射性臭素または放射性ヨウ素と反応させて、その結果、反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製することによって、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を放射性標識することによって達成される。その後、反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させる。
【0158】
1つの具体例において、3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させて、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを作製し、これを、その後、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液によって、対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、THF溶液中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下でビストリブチルスズと反応させ、得られたスズ化生成物を、その後、本明細書中上記に記載されるようにヨウ素−124と反応させる。得られたヨウ素−124標識の4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、その後、アクリロイルクロリドと反応させて、ヨウ素−124標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドを作製する。
【0159】
場合により、ヨウ素−124標識されたアニリン型化合物を4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させ、得られた生成物を、その後、本明細書中上記に記載されるように還元して、その結果、ヨウ素−124標識された6−アミノ−4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを作製する。その後、得られたヨウ素−124標識の置換アミノキナゾリンをアクリロイルクロリドと反応させて、その結果、モルホリノ基によって誘導体化されたヨウ素−124標識のN−{4−[(3−ヨードモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドを作製する。
【0160】
さらに、場合により、得られたヨウ素−124標識の4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを4−ブロモクロトニルクロリドと反応させ、その後、ジメチルアミンと反応させて、その結果、放射性標識化合物5を作製する。
【0161】
ヨウ素−124は、効果的な放射線画像化および放射線治療の両方のために使用することができる現在最も有望な放射性核種である。従って、ヨウ素−124によって放射性標識された不可逆阻害剤(例えば、化合物5など)は、本明細書中下記においてさらに詳述されるように非常に強力な薬剤である。
【0162】
放射線画像化および放射線治療:
本明細書中に記載される放射性標識化合物は放射線画像化剤および放射線治療剤として使用することができる。本発明の炭素−11標識化合物、フッ素−18標識化合物、臭素−76標識化合物およびヨウ素−124標識化合物はPET放射線画像化のための生体マーカーとして使用することができ、これに対して、本発明のヨウ素−123標識化合物はSPECT放射線画像化のための生体マーカーとして使用することができる。本発明の臭素−77標識化合物、ヨウ素−124標識化合物およびヨウ素−131標識化合物は放射線治療のための放射性医薬品として使用することができる。従って、本発明の放射性標識化合物は、炭素−11、フッ素−18、臭素−76、ヨウ素−123またはヨウ素−124で放射性標識された本明細書中に記載される化合物のいずれかを患者に投与し、体内またはその一部における化合物の分布を監視するために陽電子放射断層撮影法または単光子放射型コンピューター断層撮影法などの核画像化技術を用いることによって患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルを監視する方法を行うために使用することができる。
【0163】
核画像化のための投薬は、化合物のその受容体に対する親和性、用いられた同位体、および標識化の比活性に依存する。当業者は最適な核画像化投薬量および投薬方法を容易に決定することができる。
【0164】
本明細書中に記載される臭素−77放射性標識化合物、ヨウ素−124放射性標識化合物およびヨウ素−131放射性標識化合物は、本明細書中に記載されるような放射性標識化合物の治療効果的な量を、例えば、医薬的に受容可能なキャリアと混合されて患者に投与することによって放射線治療方法を行うために使用することができる。
【0165】
本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療効果的な量(これはまた本明細書中では治療効果的な用量として示される)は最初に細胞培養アッセイから見積もることができる。例えば、用量を、細胞培養において測定されるようなIC50またはIC100を含む循環濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて定めることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。最初の投薬量はまた、インビボでのデータから見積もることができる。これらの初期の指針を使用して、当業者はヒトにおける効果的な投薬量を決定することができる。
【0166】
さらに、本明細書中に記載される放射性標識化合物の毒性および治療効力を、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手法によって、例えば、LD50およびED50を測定することによって明らかにすることができる。毒性作用と治療効果との用量比は治療指数であり、LD50とED50との比として表すことができる。大きい治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用について非毒性である投薬量範囲を定める際に使用することができる。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんど伴わない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変化させることができる。正確な配合および投与経路および投薬量は、患者の状態を考慮して、個々の医師によって選ぶことができる(例えば、Fingl他、1975、The Pharmacological Basis of Therapeutics、第1章、1頁を参照のこと)。
【0167】
投薬量および投薬間隔を、治療効果を維持するために十分である活性な化合物の血漿レベルをもたらすために個々に調節することができる。経口投与のための通常的な患者投薬量は約50mg/kg/日〜2000mg/kg/日の範囲であり、一般には約100mg/kg/日〜1000mg/kg/日の範囲であり、好ましくは約150mg/kg/日〜700mg/kg/日の範囲であり、最も好ましくは約250mg/kg/日〜500mg/kg/日の範囲である。好ましくは、治療効果的な血清レベルが、多数回の投薬を日々施すことによって達成される。局所的投与または選択的取り込みの場合、薬物の効果的な局所濃度が血漿中濃度に関連しないことがある。当業者は、過度な実験を行うことなく、治療効果的な局所的投薬量を最適化することができる。
【0168】
医薬組成物:
本明細書中に記載される放射性標識化合物はどれも、疾患の放射線治療のために、または画像診断のために使用することができる医薬組成物に配合することができる。そのような組成物は、本明細書中に記載される放射性標識化合物のいずれかを有効成分として含み、かつ、医薬的に受容可能なキャリアを含む。
【0169】
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される放射性標識化合物の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、医薬的に好適なキャリアおよび賦形剤)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、生物に対する調合物の投与を容易にすることである。
【0170】
以降、用語「医薬的に受容可能なキャリア」は、生物に対する著しい刺激を生じさせず、かつ、投与された調合物の生物学的活性および生物学的性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。キャリアの非限定的な例にはプロピレングリコール、生理的食塩水、エマルションおよび有機溶媒と水との混合物が含まれる。本明細書中において、用語「賦形剤」は、化合物の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0171】
薬物の配合および投与のための様々な技術が“Remington’s Pharmaceutical Sciences”(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出され得る。
【0172】
投与経路:好適な投与経路には、例えば、経口送達、直腸送達、経粘膜送達、経皮送達、腸管送達または非経口送達(これには、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射、ならびに、クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射または眼内注射が含まれる)が含まれ得る。
【0173】
組成物/配合:本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られている様々なプロセスによって、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造することができる。
【0174】
よって、本発明に従って使用するための医薬組成物は、賦形剤および補助剤を含む一以上の医薬的に受容可能なキャリアを使用する従来の方法で配合されることができる。これらの賦形剤および補助剤は、活性化合物の調製物への加工を容易にし、この製剤は医薬的に使用されることができる。適切な配合は、選択された投与経路に依存する。
【0175】
注射の場合、本発明の化合物は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理的食塩水緩衝液など)において、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒ありまたはなしで配合することができる。経粘膜投与の場合、浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
【0176】
経口投与の場合、化合物は、活性な化合物を、この分野で十分に知られている医薬的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって容易に配合することができる。そのようなキャリアにより、本発明の化合物は、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤、懸濁物などとして配合することが可能になる。経口使用される医薬的調製物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、そして所望する場合には好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製することができる。好適な賦形剤は、具体的には、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に受容可能なポリマーである。所望する場合には、架橋型ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を加えることができる。
【0177】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料が、活性な化合物の量の種々の組合せを識別または特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
【0178】
経口使用され得る医薬的組成物には、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤(グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟密閉カプセルが含まれる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(ラクトースなど)、結合剤(デンプンなど)、滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および場合により安定化剤と混合された有効成分を含有し得る。軟カプセルでは、活性な化合物を好適な液体(脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤を加えることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路に好適な投薬形態でなければならない。
【0179】
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
【0180】
吸入による投与の場合、本発明に従って使用される化合物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または吹き入れ器で使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジで、化合物と好適な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)との粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジを配合することができる。
【0181】
本明細書で記述される放射性標識化合物は非経口投与、例えばボーラス注射または連続点滴のために配合されることができる。注射のための配合は、単位用量形態(例えばアンプルまたは多用量コンテナ)で提供されることができ、これらには所望により保存剤が添加されている。組成物は懸濁物、溶液または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションであることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤の如き配合剤を含むことができる。
【0182】
非経口投与される医薬的組成物には、水溶性形態における活性な調製物の水溶液が含まれる。さらに、活性な化合物の懸濁物を、適切なオイル状の注射用懸濁物として調製することができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルには、脂肪油(ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有し得る。場合により、懸濁物はまた、高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有し得る。
【0183】
あるいは、有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、滅菌されたパイロジェン非含有水)を用いて構成される粉末形態にする。
【0184】
本発明の放射性標識化合物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合することができる。
【0185】
本明細書で記述される医薬組成物は、ゲル相キャリアまたは賦形剤の好適な固体も含むことができる。かかるキャリアまたは賦形剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、各種の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールの如きポリマーが含まれる。
【0186】
本発明の追加の目的、利点及び新規な特徴は、下記実施例を考察すれば、当業技術者には明らかになるであろう。なおこれら実施例は本発明を限定するものではない。さらに、先に詳述されかつ本願の特許請求の範囲の項に特許請求されている本発明の各種実施態様と側面は各々、下記実施例の実験によって支持されている。
【実施例】
【0187】
上記説明とともに、以下の実施例を参照して本発明を例示する。なおこれら実施例によって本発明は限定されない。
【0188】
材料、合成および実験方法
合成:
材料および方法:
化学試薬を、Sigma Chemical Co.(St.Louis、MO)、Fisher Scientific(Pittsburgh、PA)、Aldrich Co.(Milwaukee、WI)またはCarlo Erbaから購入した。すべての化学試薬は、活性化モレキュラーシーブ上で使用前に少なくとも1日間保存されたDMSO、使用前に新たに蒸留されたTHF、そして、広く知られている手順に従って臭化ビニルおよびマグネシウム切削片を反応させることによって使用前に新たに調製されたビニルマグネシウムを除き、購入時のまま使用した。マイクロ波加熱を、500W(最大出力)で作動する通常のオーブン(BR740XL、Brother)で行った。
【0189】
[F−18]フッ化物イオンの作製:18F−フッ化物イオンを、Hadassah−Hebrew大学のIBA18/9サイクロトロン(ベルギー)で、標的としての約350μlの18O−濃縮水(97%の同位体純度、Rotem、イスラエル)に対する18O(p,n)18F核反応によって作製した。反応性の有機18F−フッ化物イオンを、10μl〜50μlの照射された標的水を水−アセトニトリルにおけるKryptofix(登録商標)2.2.2(10mg、27μl)およびKCO(1mg)に加えることによって調製した。アセトニトリルとの水の共沸除去を、窒素流下で加熱することによって達成した。その後、乾燥させたKryptofix(登録商標)2.2.2−18F−フッ化カリウムを、放射性標識化において使用するために、300μlの無水DMSOに溶解した。
【0190】
炭素−11のCOの作製:炭素−11のCOを、Hadassah−Hebrew大学のIBA18/9サイクロトロン(ベルギー)で、標的としてのN/0.5%Oの混合物に対する14N(p,α)11C核反応によって作製した。
【0191】
炭素−11のヨウ化メチルの作製:炭素−11のヨウ化メチルを知られている手順[20]に従って作製する。
【0192】
ヨウ素−124のヨウ化ナトリウムの作製:[ヨウ素−124]ヨウ化ナトリウムをEldan Inc.(イスラエル)から購入した。
【0193】
HPLCを、Varian9012Qポンプ、254nmで作動するVarian9050可変波長UV検出器、および、NaI結晶を用いたBioscan Flow−Count放射能検出器において行った。
【0194】
炭素−11標識化合物、フッ素−18標識化合物、放射性臭素標識化合物および放射性ヨウ素標識化合物を、C18逆相プレップカラムおよび下記の移動相系を使用する逆相系で精製した:48%CHCN/52%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)、15ml/分の流速。溶出画分(2.5ml)をフラクションコレクター(FC205、Gilson)で集めた。調製された放射性トレーサーの分析を、溶出液として40%CHCN/60%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)を1.7ml/分の流速で使用して、C18カラムのμBondapak分析カラムで行った。
【0195】
放射性トレーサーの調製を下記のように行った。生成物を、50mlの水と1mlのNaOH(1M)とを含有するバイアルに集めた。溶液を、予備洗浄(10mlの水)した活性化C18カートリッジに通し、10mlの滅菌水で洗浄した。生成物を、1mlのエタノール、その後、5mlの生理的食塩水を使用して溶出した。
【0196】
一般的な合成スキーム:
α,β−不飽和カルボキシル基(マイケル型アクセプター側鎖)によって置換された炭素−11標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物:
α,β−不飽和カルボキシル基によって置換された炭素−11標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するための一般的な合成経路は、スキーム1に示されるように、下記の工程を含む:(i)誘導体化されたアニリン型化合物、または、誘導体化されていないアニリン型化合物を、反応基(L、スキーム1、下記の実施例を参照のこと)によって6位または7位が置換される4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程;および(ii)反応性のキナゾリン型化合物を、炭素−11で標識されたα,β−不飽和カルボキシル基の反応性誘導体(X−Y(=O)−M、スキーム1)と、適切な条件のもとで反応して、その結果、α,β−不飽和カルボキシル基によってその6位または7位が置換された炭素−11標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程。

Y=炭素−11
このように、上記の一般的経路(スキーム1)に従って、下記のα,β−不飽和カルボキシル側鎖基によって置換された炭素−11標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を合成することができる:
【0197】
アミン結合した側鎖:ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアミンに還元し、その後、アミンを、カップリング剤(例えば、EIまたはACなど)の存在下、炭素−11標識のα,β−不飽和カルボン酸によってアシル化するか、または、アミンを酸塩化物によってアシル化する。
【0198】
酸素結合した側鎖:メトキシ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するヒドロキシル化合物が得られるように切断し、その後、ヒドロキシル化合物を、カップリング剤(例えば、EDACなど)の存在下での炭素−11標識のα,β−不飽和カルボン酸によって、または酸塩化物によって、そのいずれかでアシル化する。
【0199】
炭素結合した側鎖:ヨウ素によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアリール亜鉛化合物に変換し、これを、活性化ハリドを含む炭素−11標識のα,β−不飽和カルボキシル基とカップリングする。
【0200】
ヒドラジノ結合した側鎖:ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアミンに還元し、アミンをジアゾ化し、その後、ヒドラジン化合物に還元する。その後、ヒドラジンの遠位側窒素を、当業者に広く知られている方法を使用して、適切な炭素−11標識のα,β−不飽和カルボキシル誘導体によってアシル化する。
【0201】
ヒドロキシルアミノ−O−結合した側鎖:ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、適切な穏和な還元性条件のもとでヒドロキシルアミン化合物に還元し、その後、ヒドロキシルアミン化合物を、当業者に広く知られている方法を使用して、適切な炭素−11標識のα,β−不飽和カルボキシル誘導体によってアシル化する。
【0202】
メチレンアミノ−N−結合した側鎖:ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアミンに還元し、アミンをジアゾ化し、その後、好ましくは銅塩触媒またはニッケル塩触媒の存在下、ニトリルに変換する。その後、ニトリル化合物をメチルアミン化合物に還元し、メチルアミン化合物を、当業者に広く知られている方法を使用して、適切な炭素−11標識のα,β−不飽和カルボキシル誘導体によってアシル化する。
【0203】
メチレンオキシ−O−結合した側鎖:ヒドロキシメチルによって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、当業者には明らかである方法を使用して作製する。例えば、ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアミンに還元し、アミンを、上記に記載されるように、ジアゾ化し、ニトリルに変換して、その後、イミンに部分的に還元し、加水分解して、対応するヒドロキシルメチルに還元する。その後、ヒドロキシル基を、当業者に広く知られている方法を使用して、適切な炭素−11標識のα,β−不飽和カルボキシル誘導体によってアシル化する。
【0204】
エタノ結合した側鎖:ヨウ素によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、有機亜鉛酸塩を介して、対応する銅塩に変換する。銅塩を、適切にモノ保護された炭素−11標識のジビニルケトンと反応させ、その後、残っている不飽和官能基の脱保護を行う。
【0205】
アミノメチル−C−結合した側鎖:ニトロ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するアミンに還元し、アミンを、炭素−11標識された1−ブロモブタ−3−エン−2−オンの二重結合が保護された誘導体によってアルキル化する。その後、保護基を、当業者に知られている方法によって除去する。
【0206】
ヒドロキシメチル−C−結合した側鎖:メトキシ基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するヒドロキシル化合物に切断し、ヒドロキシル化合物を、炭素−11標識された1−ブロモブタ−3−エン−2−オンの二重結合が保護された誘導体によってアルキル化する。その後、保護基を、当業者に知られている方法によって除去する。
【0207】
チオメチル−C−結合した側鎖:ハリドによって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリンを、対応するメルカプト化合物に変換し、メルカプト化合物を、その後、炭素−11標識された1−ブロモブタ−3−エン−2−オンの二重結合が保護された誘導体によってアルキル化する。その後、保護基を、当業者に知られている方法によって除去する。
【0208】
あるいは、α,β−不飽和カルボキシル側鎖を有する炭素−11標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、(i)誘導体化されたアニリン型化合物、または、誘導体化されていないアニリン型化合物を、反応基によって6位または7位が置換される4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;(ii)反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させ、その結果、第2の反応基を末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;(iii)作製された置換4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させて、その結果、反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および(iv)反応性の置換アルキルを末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、適切な条件のもとで、炭素−11標識の反応性化合物と反応させることによって合成される。
【0209】
α,β−不飽和カルボキシル側鎖(マイケル型アクセプター側鎖)を有するフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物:
α,β−不飽和カルボキシル側鎖を有するフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するための一般的な合成経路は、スキーム2に示されるように、下記の工程を含む:(i)[F−18]フッ化物イオンを対応するジニトロベンゼン誘導体と反応させ、次いで、フッ素−18標識されたフルオロニトロベンゼンを還元することによってフッ素−18標識のアニリン誘導体を調製する工程;(ii)フッ素−18標識されたアニリン誘導体を、反応基(L、スキーム2、下記の実施例を参照)によって置換される4−クロロキナゾリンと反応させて、その結果、反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程;および(iii)反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物をα,β−不飽和カルボキシル基の反応性の誘導体(X−Y(=O)−M、スキーム2)と反応させて、その結果、α,β−不飽和カルボキシル側鎖によってその6位または7位が置換されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程。

Y=非放射性炭素
【0210】
従って、様々なα,β−不飽和カルボキシル側鎖によって置換されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、上記に記載される一般的経路に従って合成することができる。反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、本明細書中上記に記載される方法を使用して、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させることができる。
【0211】
α,β−不飽和カルボキシル側鎖(マイケル型アクセプター側鎖)を有する放射性臭素標識および放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物:
α,β−不飽和カルボキシル側鎖を有する放射性臭素標識および放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するための一般的な合成経路は、スキーム3に示されるように、下記の工程を含む:(i)ハロゲンによって誘導体化されるアニリン型化合物を、反応基(L、スキーム3、下記の実施例を参照)によって置換される4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、ハロゲンによって誘導体化される反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程;(ii)ハロゲンによって誘導体化される4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを使用してビストリブチルスズと反応させ、その後、得られたスズ化生成物を放射性臭素または放射性ヨウ素と酸化剤の存在下で反応させて、その結果、放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすることによって、反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を放射性標識する工程;および(iii)反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物をα,β−不飽和カルボキシル基の反応性誘導体(X−Y(=O)−M、スキーム3)と反応させて、その結果、α,β−不飽和カルボキシル側鎖によってその6位または7位が置換された放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにする工程。

Y=非放射性炭素
[Br]または[I]=放射性臭素または放射性ヨウ素
【0212】
放射性臭素は臭素−76または臭素−77が可能であり、放射性ヨウ素はヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131が可能である。
【0213】
従って、臭素−76、臭素−77、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131によって放射性標識され、かつ、様々なα,β−不飽和カルボキシル側鎖によって置換される4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を上記の一般的経路に従って合成することができる。反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、本明細書中上記に記載される方法を使用して、反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させることができる。
【0214】
α,β−不飽和の[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アミド型化合物の合成−一般的手順:
(i)アニリンまたは誘導体化アニリン(1当量)を極性溶媒(例えば、iso−プロピルアルコールなど)中で4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量)と反応させる。生成物の4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンがろ過後に得られる。
【0215】
(ii)4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンを含むエタノール/水および極性溶媒(iso−プロピルアルコールなど)における溶液を、還流温度で、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルと反応させる。反応混合物をろ過し、エバポレーションし、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、生成物の4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリンを得る。
【0216】
(iii)4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリンをTHF中において0℃でα,β−不飽和アシルクロリドと反応させて、最終生成物を定量的収率で得る。
【0217】
(iv)場合により、4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリンを、反応性のハロゲン基を末端に有するα,β−不飽和アシルクロリドと、第三級アミンの存在下、THF中において0℃で反応させ、その後、得られた生成物をTHF中において0℃で置換アルキルと反応させ、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、置換[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アルキルアミドを最終生成物として得る。さらに、場合により、得られた生成物を、その後、40℃で反応性化合物(例えば、ヨウ化アルキルなど)とさらに反応させて、最終生成物を得る。
【0218】
N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(化合物3)の合成:
(i)3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリン(1当量、これは米国特許第6126917号に記載されるように調製される)をiso−プロピルアルコール中で4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量、これは、知られている方法に従って、6−ニトロキナゾロンをチオニルクロリドと反応させることによって調製される)と反応させた。ろ過後、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン(化合物1)を60%の収率で得た。m.p.=270〜271℃;MS(m/z)=353.2、355.2(M);H−NMR:δ=6.97(d、1H)、7.345(d、1H)、7.885(d、1H)、8.405(d、1H)、8.554(dd、1H)、8.8(d、1H)ppm。HPLC条件:C−18カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流量=1ml/分;r.t.=7.15分。
【0219】
(ii)4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン(709mg、2.076mmol)を140mlの1:9:10の水:エタノール:iso−プロピルアルコールに含む溶液を還流温度(95℃)に加熱した。さらに60mlの溶媒混合物を、完全に溶解するまで加えた。その後、反応混合物を65℃に冷却し、200μlのヒドラジン水和物(4.12mmol)および0.5mlのラネー(登録商標)ニッケル(水における)を反応混合物に続けて加えた。得られた混合物を80℃〜85℃にまで加熱し、さらに0.5mlのラネー(登録商標)ニッケルおよび50μlのヒドラジン水和物(1.03mmol)を加え、穏やかな還流を約15分間〜20分間維持した。ろ過およびエバポレーションにより、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリン(化合物2)を83%の収率で得た。m.p.=265℃;MS(m/z)=323.4、325.4(M);元素分析、計算値:C、52.9;H、2.78;N、17.33。実測値:C、52.19;H、2.99;N、17.14。HPLC条件:C−18カラム、55%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/45%アセトニトリル、流量=1ml/分;r.t.=6.6分。
【0220】
(iii)アクリロイルクロリドをTHF中において0℃で4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンと反応させた。最終生成物を定量的収率で得た。
【0221】
N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(モルホリノ置換の化合物3)の合成:
(i)3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリン(1当量)をiso−プロピルアルコール中で4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリン(3.5当量)と反応させた。ろ過後、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを78%の収率で得た。
【0222】
(ii)ナトリウム金属(5当量)を、窒素雰囲気下、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノール(4当量)のTHF溶液に加えた。得られた懸濁物を20℃で2時間撹拌し、その後、窒素雰囲気下において4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンの溶液にカニューレで移した。反応混合物を18時間還流し、その後、溶媒を減圧下で一部除き、残渣を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を一緒にして乾燥し、エバポレーションおよびシリカゲルクロマトグラフィー(20%MeOH/30%CHCl/50%EtOAcの混合物を溶出液として使用する)により、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを72%の収率で得た。
【0223】
(iii)4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを、本明細書中上記に記載されるように、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルと反応させて、6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンを75%の収率で得た。
【0224】
(iv)アクリロイルクロリドをTHF中において0℃で6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンと反応させた。最終生成物を定量的収率で得た。
【0225】
N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(化合物4)の合成:
(i)オキサリルクロリド(33mmol)を、4−ブロモクロトン酸(15mmol、これは、4−ブロモクロトン酸メチルを濃HSOの存在下で酸化バリウムと反応させることによって調製される)を含むCHCl(25ml)における懸濁物に加えた。3滴のDMFを加え、混合物を1.5時間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で除き、残留オイルをTHF(20ml)に溶解した。溶液を氷浴で冷却し、4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン(化合物1)(これは本明細書中上記のように調製される)をTHF(50ml〜100ml)に含む溶液を滴下して加えた。その後、N,N−ジイソプロピルアミン(15mmol)をTHF(10ml)に含む溶液を加え、反応混合物を冷却し、1時間撹拌した。その後、酢酸エチル(80ml)および水(100ml)を加え、層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーションした。4−ブロモ−N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−ブテンアミドを、4:1〜5:1の典型的な比率での4−クロロ生成物との分離できない混合物として、66%の収率で得た。MS(m/z)=425(M+)、471(MH+)H−NMR(DMSO−d):δ=1.37(s、2H)、2.33(d、1H)、4.62(dd、2H)、6.69(d、1H)、7.19(dt、1H)、8.10(mt、4H)、8.72(s、1H)、9.08(s、1H)、10.24(s、1H)、10.87(s、1H)ppm。元素分析、計算値:C、46.47;H、2.60;N、12.04。実測値:C、47.31;H、3.2;N、11.57。HPLC条件:C−18カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流量=1.5ml/分;r.t.=19.5分(第1ピーク)、21.9分(第2ピーク)。
【0226】
(ii)4−ブロモ−N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−ブテンアミド(564mg、1.28mmol)を乾燥THF(120ml)に含む撹拌された溶液にジメチルアミン(THFにおける2M、38ml)を滴下して加え、反応混合物を80℃で15分間加熱した。その後、酢酸エチル(50ml)および飽和NaHCO(50ml)を加え、層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレーションして、シリカゲルクロマトグラフィー(5%MeOH/95%CHClを溶出液として使用する)による精製により、生成物を73%の収率で得た(317mg)。MS(m/z)=434.1(MH+);H−NMR(DMSO−d):δ=2.18(s、6H)、3.08(d、2H)、3.92(s、1H)、6.36(d、1H)、6.86(dt、1H)、7.22(mt、4H)、7.76(d、2H)、7.86(dd、1H)、7.92(dd、1H)、8.83(s、1H)、10.47(s、1H)。元素分析、計算値:C、55.31;H、4.18;N、16.13。実測値:C、54.48;H、4.85;N、15.36。HPLC条件:C−18カラム、45%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)/55%アセトニトリル、流量=1ml/分;r.t.=6.65分。
【0227】
N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(化合物5)の合成:
(i)3−ヨードアニリン(12.57グラム、57mmol)を、本明細書中上記に記載されるように、iso−プロピルアルコール中で4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(4グラム、57mmol)と反応させて、4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得た(5.99グラム、78%の収率)。その後、これ(620mg、1.58mmol)を、本明細書中上記に記載される手順に従って、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルと反応させて、4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得た(180mg、31%の収率)。
【0228】
(ii)4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンの溶液を、化合物4において本明細書中上記に記載されるように、ブロモクロトン酸およびジメチルアミンと反応させて、N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドを得た。MS(m/z)=465(M+H)、509(M+)H−NMR(DMSO−d):δ=4.38(d、1H)、4.49(d、1H)、6.5(dd、1H)、6.94(dt、1H)、7.19(t、1H)、7.47(d、1H)、7.85(mt、3H)、8.27(s、1H)、8.58(s、1H)、8.82(s、1H)、10.59(s、1H)。元素分析、計算値:C、42.46;H、2.77;N、11.0。実測値:C、46.52;H、3.04;N、12.06。HPLC条件:C−18カラム、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流量=1.0ml/分;r.t.=26.55分(第1ピーク)、29.99分(第2ピーク)。
【0229】
N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミド(化合物5a)の合成:
N−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミドを、工程(ii)においてジメチルアミンの代わりのメチルアミンを使用して、化合物5において上記に記載されるように調製した。
【0230】
N−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミド(化合物6)の合成:
(i)3−ブロモアニリン(1.72グラム、10mmol)を、本明細書中上記に記載されるように、iso−プロピルアルコール中で4−クロロ−6−ニトロキナゾリン(523mg、2.5mmol)と反応させて、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得た(823mg、95%の収率)。その後、これ(590mg、1.7mmol)を、本明細書中上記に記載される手順に従って、ヒドラジン水和物と反応させて、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得た(332mg、62%の収率)。
【0231】
(ii)4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、化合物5において本明細書中上記に記載されるように、ブロモクロトン酸およびジメチルアミンと反応させて、N−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドを得る。
【0232】
炭素−11標識されたα,β−不飽和[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アクリルアミド型化合物の合成−一般的手順:
放射性合成が、Nuclear Interface MeIモジュールを使用する完全自動化された経路によって行われる。炭素−11のCO(約700mCi)が−160℃で捕集され、その後、THF中の臭化ビニルマグネシウムを含有する第1の反応器に、アルゴン流を使用して移される(90%の捕集効率)。二塩化フタロイルおよびジtertブチルピリジンの添加により、炭素−11標識されたアクリロイルクロリドが得られる。標識されたアクリロイルクロリドを、300μlのTHFを−50℃で含有する第2の反応器に、アルゴン流(20〜30ml/分)を使用して100℃で4分間蒸留する。蒸留が終了したとき、温度が10℃に上げられ、5mg〜7mgの4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリンを300μlの無水THFに含む溶液がそれに添加される。2分後、600μlのHPLC溶媒(例えば、48%CHCN/52%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)など)が加えられ、溶液がHPLCに注入される(C18逆相プレップカラム、15ml/分の流速)。生成物が、50mlの水および1mlの1M NaOHを含有する固相抽出バイアルに集められる。溶液が、(10mlの水で)予備洗浄された活性化C18カートリッジに通され、10mlの滅菌水で洗浄される。生成物が、1mlのエタノール、その後、5mlの生理的食塩水を使用して溶出され、18%の崩壊補正(EOB)放射化学収率で無菌の生成物バイアルに集められる。精製を含む全体の合成時間は35分である。
【0233】
炭素−11標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(炭素−11標識された化合物3)の合成:
炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを本明細書中上記に記載される一般的手順によって得た。これを5mg〜7mgの4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンと2分間反応させた。その後、HPLC溶媒(600μlの48%CHCN/52%酢酸塩緩衝液(pH=3.8))を加え、溶液を本明細書中上記に記載されるようにHPLC装置に注入した。生成物の保持時間は22分であった。生成物を集め、水で洗浄されている活性化C18カートリッジに通し、生成物を、18%の崩壊補正(EOB)放射化学収率で無菌の生成物バイアルに集めた。その放射化学的純度を、溶出液として40%CHCN/60%酢酸塩緩衝液(pH=3.8)を1.7ml/分の流速で使用して逆相HPLC(μBondapak分析カラム)によって分析した(保持時間は11.7分であった)。放射化学的純度は100%であることが見出された(1700Ci/mmolのSA)。
【0234】
炭素−11標識されたN−{4−[(3−ブロモ/ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドの合成:
炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを本明細書中上記に記載される一般的手順によって得て、これを、本明細書中上記に記載される一般的手順に従って4−[(3−ブロモ/ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンと反応させる。
【0235】
炭素−11標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(炭素−11標識されたモルホリノ置換の化合物3)の合成:
炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを本明細書中上記に記載される一般的手順によって得て、これを、本明細書中上記に記載される一般的手順に従って6−アミノ−4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンと反応させる。
【0236】
炭素−11標識されたN−{4−[(3−ブロモ/ヨードフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドの合成:
炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを本明細書中上記に記載される一般的手順によって得て、これを、本明細書中上記に記載される一般的手順に従って6−アミノ−4−[(3−ブロモ/ヨードフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリンと反応させる。
【0237】
炭素−11標識されたα,β−不飽和[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド型化合物の合成−一般的手順:
炭素−11で標識されたヨウ化メチルを、広く知られている手順[20]によって第1の反応器において作製し、その後、本明細書中上記に記載される一般的手順によって得られる置換された[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アルキルアミドを3ミリグラム含有する第2の反応器に2分間〜3分間蒸留する。蒸留が終了したとき、第2の反応器を密封して、140℃で数分間加熱する。その後、HPLC溶媒をこれに加え、混合物を逆相HPLCカラムで分離する。生成物を水で希釈し、固相抽出によって集める。
【0238】
炭素−11標識されたα,β−不飽和N−[4−(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(炭素−11標識された化合物4)の合成:
本明細書中上記に記載されるようにして得られる4−ブロモ−N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−2−ブテンアミド(0.0258mmol)を、閉じた試験管において乾燥DMSOに溶解した。メチルアミン(THFにおける2.0M、1ml)を素早く加え、反応混合物を直ちに氷水浴(0℃)で12分間〜15分間冷却した。その後、1.0MのNaOH水溶液(10ml)を加え、混合物を2分間撹拌した。得られた水溶液を2つの活性化C−18 Seppak(8mlのEtOH、その後、10mlの水)でゆっくりろ過した。その後、C−18 Seppakを窒素流によって乾燥し(10分)、その後、生成物を乾燥THF(4ml)により溶出した。THF溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、窒素流のもとでエバポレーションした。得られたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(メチルアミノ)−2−ブテンアミドを、さらに精製することなく、本明細書中上記に記載される一般的手順に従って、炭素−11標識のヨウ化メチルと反応させた。
【0239】
フッ素−18標識されたα,β不飽和[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アクリルアミドの合成−一般的な手順:
前記のKryptofix(登録商標)2.2.2−[18F]フッ化カリウム−DMSO溶液をねじ蓋式試験管(8ml、Corning)中の2〜3mgの予め選択されたジニトロベンゼンに加える。試験管に蓋をして振り混ぜマイクロ波で3.5分間加熱する。試験管を環境温度の水浴で冷却し、その内容物を10mLの水で希釈し、活性化(エタノール)させ、平衡化(水)させたC18 Sep−Pak(classic,short bodyタイプ、ウオーターズ製)に注入する。カートリッジを水(10ml)で洗浄し、所望の対応する中間体であるフッ素−18標識されたフルオロニトロベンゼンをエタノール(2ml)で溶出させガラス製小試験管に集める。ガラス製の平底バイアル(25mL)に、少数個のホウケイ酸ガラス球、100μlの4:1エタノール−水、250μLのラネー(登録商標)ニッケル・スラリーおよび60μLのヒドラジン一水和物を順次加えて、還元反応器を準備する。セプタムを備えたねじ蓋をした後(径の大きな針で大気に開放)、バイアルを振とうし、40℃の加熱ブロック内に置く。フッ素−18標識されたフルオロニトロベンゼンのエタノール溶液を0.5mLの水で希釈し、徐々に還元反応器に加える。5分後に反応器を環境温度の水浴中で冷やし、それからバイアル内容物を0.45μmのフィルター(Puradisc、ポリプロピレン製、ワットマン社)で別の25mL平底バイアルに濾過する。濾液に8mLの水と10mLのエーテルを加え、蓋をしたのち、数回反転をくり返して混合し、対応するフッ素−18標識されたフルオロアニリン還元生成物をエーテル層に抽出する。8mLのねじ蓋式試験管に300μLの2−プロパノール中の4〜5mgの4−クロロ−6−ニトロキナゾリンの溶液を入れる。放射性標識されたアニリンのエーテル溶液をMgSO(2g)および新しい0.45μmフィルターを通して試験管に加える。環境温度の水浴で試験管を温めながらヘリウム蒸気下でエーテルを除く。その後、濃塩酸(1μl)を加え、それから蓋をした試験管を110℃の油浴で15分間加熱する。環境温度の水浴で試験管を冷却した後、50μLの5M水酸化ナトリウム溶液を加えて酸を中和し、塩基を遊離させる。ジクロロメタン(0.3mL)およびヘキサン(0.3mL)を試験管に加え、0.2μmのフィルター(Acrodisc、ナイロン製、ゲルマン社)で溶液を濾過する。フッ素−18標識された4−[(フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンはシリカSEP−PAKによって精製され、還元されてそのアミン誘導体を得、これはここに記述されるようにアクリロイルクロライドとさらに反応させられる。
【0240】
フッ素−18標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(フッ素−18標識された化合物3)の合成:
本明細書中上記に記載される放射性合成の手順によって、2mg〜3mgの1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンとの反応において使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得て、これを、記載されるように、対応するアニリンに還元し、4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させて、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン(化合物1)を得た。フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを記載されるようにさらに反応して、最終的なフッ素−18標識された生成物を得た。
【0241】
フッ素−18標識されたN−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(フッ素−18標識されたモルホリノ置換の化合物3)の合成:
本明細書中上記に記載される放射性合成の手順によって、1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを18F−フッ化物イオンとの反応において使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得て、これを対応するアニリンに還元して、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを得る。得られるアニリン型化合物を、記載されるように、4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンと反応させ、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを、その後、本明細書中上記に記載されるように、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応させる。フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンをさらに、上記に記載されるように、対応するアミノキナゾリンに還元し、アクリロイルクロリドと反応させて、最終的なフッ素−18標識された生成物を得る。
【0242】
フッ素−18標識されたN−{4−[3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(フッ素−18標識された化合物4)の合成:
本明細書中上記に記載される放射性合成の手順によって18F−フッ化物イオンとの反応において使用して、1,2−ジクロロ−4−18F−フルオロ−5−ニトロベンゼンを得て、これを、記載されるように、対応するアニリンに還元し、4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させて、フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリン(化合物1)を、1,2−ジクロロ−4,5−ジニトロベンゼンを得る。フッ素−18標識された4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを対応するフッ素−18標識された6−アミノキナゾリンに還元し、これをさらに、記載されるように、4−ブロモクロトニルクロリド(これは、オキサリルクロリドおよび4−ブロモクロトン酸を反応させることによって得られる)およびジメチルアミンと反応させて、最終的なフッ素−18標識された生成物を得る。
【0243】
臭素−76標識および臭素−77標識されたN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル]アクリルアミドの合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、本明細書中下記(ヨウ素−124標識された化合物5を参照のこと)に記載されるように、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをTHF溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。スズ化されたキナゾリンを、その後、酸化剤の存在下、臭素−76または臭素−77と反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、アクリロイルクロリドと反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された最終生成物を得る。
【0244】
臭素−76標識および臭素−77標識されたN−{4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドの合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを得て、これを、その後、本明細書中上記に記載されるように、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応させて、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを作製する。モルホリノ置換された6−ニトロキナゾリンを、その後、対応する6−アミノキナゾリンに還元し、これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、ビストリブチルスズ、臭素−76または臭素−77、およびアクリロイルクロリドと反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された最終生成物を得る。
【0245】
臭素−76標識および臭素−77標識されたN−{4−[3−ブロモフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(臭素標識された化合物6)の合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、これを、その後、記載されるように、対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、本明細書中下記に記載されるように、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをTHF溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。スズ化されたキナゾリンを、その後、酸化剤の存在下、臭素−76または臭素−77と反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、4−ブロモクロトニルクロリド(これは、オキサリルクロリドおよび4−ブロモクロトン酸を反応させることによって得られる)およびジメチルアミンと反応させて、臭素−76標識または臭素−77標識された最終生成物を得る。
【0246】
ヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドの合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをトリエチルアミン溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。スズ化されたキナゾリンを、その後、本明細書中下記に記載されるように、酸化剤の存在下、ヨウ素−123またはヨウ素−124またはヨウ素−131と反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識された4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、アクリロイルクロリドと反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識された最終生成物を得る。
【0247】
ヨウ素−123標識、ヨウ素−124標識およびヨウ素−131標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミドの合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−フルオロ−6−ニトロキナゾリンを得て、これを、その後、本明細書中上記に記載されるように、3−(4−モルホリニル)−1−プロパノールのナトリウム塩と反応させて、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−7−[3−(4−モルホリニル)プロポキシ]−6−ニトロキナゾリンを得る。モルホリノ置換された6−ニトロキナゾリンを、その後、対応する6−アミノキナゾリンに還元し、これをさらに、本明細書中上記に記載されるように、ビストリブチルスズ、ヨウ素−123またはヨウ素−124またはヨウ素−131、およびアクリロイルクロリドと反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−124標識またはヨウ素−131標識された最終生成物を得る。
【0248】
ヨウ素−124標識されたN−{4−[3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(ヨウ素−124標識された化合物5)の合成:
(i)3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元した。4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリン(300mg、0.95mmol)を乾燥THF(20ml)に溶解し、その後、ビストリブチルスズ(1.92ml、3.78mmol)を加え、続いて、乾燥THF(0.5ml)におけるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(547.8mg、0.474mmol)を加え、反応混合物を16時間にわたって穏やかに還流した。溶媒をエバポレーションし、その後、20:80のヘキサン:ジクロロメタン〜100%のジクロロメタンのグラジエント溶出を使用する酸化アルミニウム90カラム(70〜230メッシュ)での精製により、スズ化生成物の4−[(3−トリブチルスズフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得た(85mg、20%の収率)。MS(m/z)=527(M+2H)H−NMR(CDCl):δ=0.91(t、9H)、1.07(t、6H)、1.31(dt、6H)、1.58(mt、6H)、6.95(d、1H)、7.19(d、1H)、7.22(d、1H)、7.37(dd、1H)、7.66(d、1H)、7.74(d、1H)、8.59(s、1H)、10.42ppm。
【0249】
(ii)4−[(3−トリブチルスズフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリン(4mg)を円錐型バイアルにおいてEtOH(1ml)に溶解し、これに、0.1N NaOH(15μl)における[I−124]NaI(これは上記のように得られる)を加えた。その後、0.1N HCl(150μl)およびクロラミンT(1mg/1ml、150μl)を加え、反応混合物を室温で15分間撹拌した。その後、ナトリウムメチルビスルフィト(200mg/ml、0.5ml)を加え、続いてNaHCO飽和溶液(2ml)および生理的食塩水(4ml)を加えた。得られた水溶液をボルテックスにより撹拌し、その後、C−18Seppakでろ過した。Seppakを水(5ml)で洗浄し、その後、窒素流のもとで10分間乾燥した。生成物を乾燥THF(4ml)により溶出した。収量を、200μlの溶液が得られるようにTHF溶液をエバポレーションし、得られた溶液を、55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル(流量=1.0ml/分)を使用してHPLC調製用C−18カラムに注入することによって測定した(r.t.=7.18分)。45%の収率で、標識された化合物を得た。
【0250】
(iii)ヨウ素−124で標識された4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを円錐型バイアルにおいてTHF(約1ml)に含む溶液を0℃で10分間冷却し、これに、Br/Cl−クロトニルクロリドを乾燥THFに含む溶液(182mgを3mlに)0.5mlを加えた。反応溶液を0℃で30分間〜40分間撹拌し、水を加えて、溶液をC−18Seppakでろ過した。生成物を窒素流のもとで10分間乾燥し、乾燥THF(2ml)により溶出した。収量をHPLC調製用C−18カラム(55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流量=1.0ml/分)によって測定した(r.t.=26.55分(第1ピーク)、29.99分(第2ピーク))。30%の収率で、標識された化合物を得た。
【0251】
(iv)標識された化合物を乾燥THF(約2ml)に溶解し、溶液を0℃で10分間冷却し、ジメチルアミン(THFにおける2.0M、1ml)を一度に加えた。反応混合物を0℃で40分間撹拌した。収量をHPLC調製用C−18カラム(55%酢酸塩緩衝液/45%アセトニトリル、流量=1.0ml/分)によって測定した(r.t.=4.71分)。30%の収率で、最終的なヨウ素標識された化合物4を得た。
【0252】
ヨウ素−123標識およびヨウ素−131標識されたN−{4−[(3−ヨードフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミドの合成:
3−ブロモアニリンを4−クロロ−6−ニトロキナゾリンとカップリングして、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−ニトロキナゾリンを得て、その後、これを対応する6−アミノキナゾリンに還元する。その後、4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを、本明細書中上記に記載されるように、反応触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムをトリエチルアミン溶液において使用してビストリブチルスズと反応させる。スズ化されたキナゾリンを、その後、酸化剤の存在下、ヨウ素−123またはヨウ素−131と反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−131標識された4−[(3−ブロモフェニル)アミノ]−6−アミノキナゾリンを得て、これをさらに、記載されるように、4−ブロモクロトニルクロリドおよびジメチルアミンと反応させて、ヨウ素−123標識またはヨウ素−131標識された最終生成物を得る。
【0253】
インビトロ活性のアッセイ:
A431細胞溶解物中での自己リン酸化の阻害実験:
EGFR−TK源:EGFR−TK源として、A431ヒト表皮癌細胞の溶解物を使用した。10%ウシ胎児血清および抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)を含むDMEM中でA431細胞を増殖させた。数日後に37℃でPBS/1mM EDTA緩衝液と1時間インキュベートすることにより細胞をフラスコから取り出した。細胞懸濁液を遠心分離(室温で600g×5分間)にかけて得られたペレットを再度溶解緩衝液(0.02M HEPES pH7.4、0.125M NaCl,1%Triton X−100,10%グリセロール)に懸濁させ、10分間氷中に放置した。さらに遠心分離(4℃で10,000rpm×10分間)にかけて細胞溶解物を得た。上清を集め、アリコート量に分け、−70℃で凍結させた。
【0254】
ELISAアッセイ:EGFR−TK自己リン酸化のIC50値はELISAアッセイ法によって決定した。次に述べるインキュベーション操作はすべて室温で連続的に振とうしながら行った。各段階を終えるたびにプレートを水(5×)およびTBST緩衝液(1×)で洗った。各ウェルの最終体積は150μlとした。
【0255】
コーニング製96ウェルELISAプレートは、PBS(pH8.2)で希釈したモノクローナル抗EGFR抗体m108(Sugen Inc.)で被覆し、4℃で一晩保存した。結合しなかったm108を取り除いた後、プレートを洗い、それからブロック(25分)するために5%ミルク(1%脂肪)を含むPBSを加えた。
【0256】
1アリコートのA431細胞溶解物を解凍し、プレートに加えた。A431細胞溶解物中のm108の量とEGFR−TKの量の最適比率を決定するため、阻害剤なしで行った以前の試験によって、溶解物の量を決定した。
【0257】
25分後に、各阻害剤を7種類の異なる濃度で加え、各場合について1つのウェルをゼロ阻害対照(阻害剤なし)として残し、1つのウェルをゼロEGFR−TK対照(溶解物なし)として残した。阻害剤はTBS/DMSOで希釈し、DMSOの最終濃度は各ウェルで(対照も含め)0.05%とした。
【0258】
25分後に、プレートを洗わないで、各ウェルにATP/MnCl溶液を加えた。最終濃度は3μM ATP/5mM MnClとした。この段階の温度は26℃に保ち、プレートは常に振とうした。ATP/MnClとのインキュベーションは5分間行った。
【0259】
次に、リン酸化反応を停止させるため、EDTAを加え(pH8、各ウェルの最終濃度は20mM)、1分後にすべてのプレートを洗った。
【0260】
それから、ポリクローナルanti−ホスホチロシン血清(Sugen Inc.)を加えた(抗体を5%ミルクを含むTBSTで希釈)。45分間インキュベートした。
【0261】
EGFR−TK中のホスホチロシンを呈色によって検出するため、TAGO anti−ウサギペルオキシダーゼ共役抗体(Sugen Inc.)をTBST/5%ミルク溶液中に加えた(45分)。
【0262】
洗浄した後、クエン酸塩−リン酸塩緩衝液中のABST/Hを加えて呈色反応を行った。5〜10分後、プレートをDynaytec MR 5000 ELISA読み取り装置にかけ、405nmで測定した。
【0263】
データの解析はGraphPad Prism,version 2.01(Graph ad Software,Inc.)を使って行った。
【0264】
無傷のA431細胞における自己リン酸化阻害実験:
A431細胞(10個)を6ウェルプレートに播種して、10%ウシ胎児血清(FCS)および抗生物質を含有するDMEM(高グルコース)において37℃で60%〜80%のコンフルエンスに成長させた。その後、細胞を無血清培地に37℃で18時間さらした。
【0265】
不可逆性アッセイ:0.05nM〜50nMの範囲で様々な濃度の阻害剤をA431細胞に加え、2時間のインキュベーションを行った。阻害剤はビヒクル/DMSOで希釈され、DMSOの最終濃度は各ウェルにおいて0.05%であった。その後、培地を阻害剤/FCS非含有培地と交換して、細胞を37℃で2時間または8時間のいずれかで放置した。8時間の期間中に培地をさらに3回交換した。インキュベーション後の期間の後、細胞をEGF(20ng/ml)により5分間刺激し、その後、PBSで洗浄した。全細胞溶解物を、0.001%ブロモフェノールブルーを含有する0.4mlのLeammli緩衝液(10%グリセロール、3%ドデシル硫酸ナトリウム、5%b−メルカプトエタノール、50mM Tris、pH6.8)を用いて細胞をウェル内に掻き取り、5分間煮沸することによって得た。サンプルは、本明細書中下記に記載されるタンパク質測定アッセイまで−20℃で保存した。
【0266】
EGFR自己リン酸阻害速度の測定:A431細胞(6x10個)を1分〜10分の範囲の様々な時間にわたって室温で阻害剤とインキュベーションした。インキュベーション後、培地を阻害剤/FCS非含有培地と交換し、細胞を37℃で1時間または8時間のいずれかで保ち、その後、EGFにより刺激し、本明細書中上記に記載されるように溶解した。その後、タンパク質測定アッセイを、インキュベーション後1時間の放置細胞の組の各時点についてはn=1で、インキュベーション後8時間の細胞の組についてはn=2(各時点について)で、1回行った。
【0267】
タンパク質測定アッセイ:各溶解物におけるタンパク質の量をろ紙アッセイによって測定した:各抽出物からの一部(3ml)をWhatmanブロッティング紙の細片(1x3cm)に載せ、ろ過した染色液(0.25%クーマシーブルー、40%MeOH、10%酢酸)に、穏やかに振とうしながら、室温で20分間浸した。その後、細片を脱色液(20%MeOH、7%酢酸)で洗浄(15分間、3回)し、乾燥した。各細片を、ドデシル硫酸ナトリウム溶液(3%、500ml、37℃)中で絶えず振とうすることによって抽出した。1時間後、溶出されたサンプルを96ウェルプレートに移し、マイクロプレートリーダー(ELX800、Biotek Instruments,Inc.)で595nmにおいて読み取った。標準曲線を、BSA(1mg/ml)を使用して作製した。
【0268】
ウエスタンブロット:各溶解物サンプルからの同一量のタンパク質をポリアクリルアミドゲル(6%または10%)に負荷し、電気泳動(Hoefer Pharmacia Biotech,Inc.、San Francisco、アメリカ)によって分離し、ニトロセルロースメンブランに転写した(電源:EPS500/400、Amersham Pharmacia Biotech;ニトロセルロースエクストラブロッティングメンブラン:Sartorius AG、Goettingen、ドイツ)。標準の高分子量溶液を参照として負荷した。分子量バンドを可視化するために、メンブランをポンソー試薬(0.05%ポンソー、5%酢酸)に数分間浸け、その後、TTN(10mM Tris(pH7.4)、0.2%TWEEN20、170mM NaCl)で2回、次いで水で1回洗浄した。メンブランを、5%ミルク(1%脂肪)を含有するTTN(ブロッキングTTN)で一晩ブロッキング処理して、ブロッキングTTNで1:2000希釈されたPY20抗ホスホチロシン抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc.、Santa Cruz、アメリカ)と90分間インキュベーションした。その後、メンブランをTTNで洗浄(5分間、3回)し、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート化二次抗体(ブロッキングTTNで1:10000希釈されたヤギ抗マウスIgG H+L、Jackson ImResearch Laboratories,Inc.)と90分間インキュベーションし、最後にTTNで再び洗浄(5分間、3回)した。メンブランをルミノール系溶液においてインキュベーション(1分間、0.1M Tris(pH8.5)、250μMルミノール、400μMp−クマル酸、0.033%H)し、化学発光検出を使用して可視化した。
【0269】
得られたEGFR−P(タンパク質)バンド密度の定量を、Adobe Photoshop5.0MEプログラムおよびNIHイメージ1.16/ppcプログラムを使用して行った。
【0270】
無傷のA431細胞における特異的結合の測定:
A431細胞を、振とう条件下、室温で40分間、10%FCSを含有する2mlのDMEMとプレインキュベーションした。その後、1組の細胞を、非特異的な結合を測定するために、標識されていない化合物(化合物3または化合物4)とインキュベーションし、その一方で、もう1組の細胞をビヒクルのみとインキュベーションした。その後、放射性標識された阻害剤(炭素−11標識された化合物3または化合物4)を両方の組の細胞に加えた。インキュベーション後、細胞を、細胞ハーベスター(Brandel Harvrester、モデルN48BI、Brandel、Gaithersburg、MD、アメリカ)を用いて集め、ガンマカウンター(1480WizardTM3”)で計数した。放射性標識された阻害剤の特異的な結合を、標識されていない阻害剤とプレインキュベーションされた細胞の放射能レベルを、ビヒクルのみとプレインキュベーションされた細胞の放射能レベルから引くことによって計算した。
【0271】
インビボ研究:
A431細胞(200μlの無菌PBSにおける1x10個)を、WAG rnu/rnuのオスラット(300〜400グラム)の左または右の後ろ足に、あるいは頸にs.c.注射した。腫瘍成長をカリパスによって2日毎〜3日毎に監視した。接種後1週間〜2週間で、ラットは、下記のインビボでの生物分布研究、代謝研究およびPET研究において使用する準備ができた。2グラム〜3グラムの範囲の腫瘍量をこれらの実験では使用した。
【0272】
生物分布:腫瘍保有ラットにおける炭素−11標識された化合物3および化合物4の生物分布を下記のように評価した:腫瘍保有ラットをペントタール(85mg/Kgの腹腔内注射)により麻酔し、炭素−11標識された化合物3または化合物4を生理的食塩水/EtOHで、頸静脈または尾静脈に注射した。動物をCO窒息によって特定の時点(0時間〜1時間の間)で屠殺した。血液、ならびに、腫瘍を含むいくつかの器官および組織を採取または切除し、ガンマカウンターで計数し、重量を測定した。%ID/器官、組織の%ID/グラム、および組織/血液取込み比を計算した。
【0273】
生物学的安定性:化合物3および化合物4の代謝もまた、下記のように、血液、肝臓および腫瘍のホモジネートにおいて調べられている。一般に、コントロールラットには、放射性標識化合物が注射され、ラットをいくつかの時点で屠殺した。その後、1mlの血液を採取し、また、約2グラムの肝臓および腫瘍を細切れにし、組織破砕機(Fenbroek)において4mlの生理学的溶液とともにホモジネートした。その後、エーテルを加え、サンプルをガンマカウンターで計数した。血液、ホモジネート化された肝臓および腫瘍のサンプルを抽出し、抽出された画分をガンマカウンターで放射能について測定し、TLCにスポットして、放射能をリン光画像化プレートにより検出した。
【0274】
陽電子放射断層撮影法研究:予備的な動的PET走査をPositron Corporation社のHZL/Rスキャナー(固有空間分解能:面内 5.8mm、軸方向 6.3mm)で行った。ラットをペントタール(85mg/Kg)により麻酔し、動きを最小限に抑えるように足を支持体にテープで固定して平坦なポリスチレンフォーム支持体に仰向けに置いた。各ラットには、250μCiの炭素−11標識された化合物4が頸静脈を介して注射され、ラットは、その後直ちに、60分間にわたって動的放射走査に供された。PETデータは、検出器感度における変動について正規化され、また、揺れ、不規則、散乱およびデッドタイムについて補正された。減衰補正を、測定された透過走査データを使用して適用した。Posicamシステム(Positron Corporation)のPET画像を、Butterworthフィルター(カットオフ:0.2サイクル/mm、オーダー:10)を使用して、フィルター処理された逆投影によって再構成した。
【0275】
腫瘍に対する阻害剤の特異的な結合を評価するために、標識されてない化合物4を、炭素標識された化合物を注射する10分前にラットに投与した比較実験を行った。これらの実験は、最初の実験組の後2日目に同じラットを用いて行われた。
【0276】
実験結果
化学合成および放射性合成:
放射線画像化および放射線治療において使用される放射性標識された不可逆的なEGFR−TK阻害剤を求めて、[4−(フェニルアミノ)キナゾリン−6−イル]アクリルアミドの誘導体(例えば、化合物3、置換された化合物3、化合物4および化合物5など)を、α,β−不飽和カルボキシル誘導体によって置換された他の放射性標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物についての例示的な化合物として調製した。このクラスの化合物は、アニリン誘導体を反応基によって置換された4−クロロキナゾリンと反応させ、反応性の得られた生成物を反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させて、最終化合物を作製することによって調製される。
【0277】
N−{4−[(3,4−ジクロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]キナゾリン−6−イル}アクリルアミド(化合物3)を、対応するアニリン誘導体を4−クロロ−6−ニトロキナゾリンと反応させて、化合物1を作製し(スキーム4)、化合物1のニトロ基を、記載されるように、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液を使用してアミノ基に還元して、化合物2を作製し、その後、化合物2をアクリロイルクロリドと0℃で反応して、最終生成物の化合物3を作製することによって調製した(スキーム4)。

【0278】
放射性標識化合物3を、場合により使用される2つの標識化方法によって得た。第1の方法では、知られている手順[17]を使用してアニリン成分をその6位で標識するために、フッ素−18の使用が含まれ、一方、第2の方法では、炭素−11で標識されたアクリロイルシントン[18]を最後の合成工程で使用することが含まれる。
【0279】
従って、フッ素−18標識された化合物3が、1,2−ジクロロ−4,5−ニトロベンゼンを、DMSO溶液中で、フッ化カリウムおよび層間移動触媒としてのKryptofix(登録商標)2.2.2と反応させることによって得られた。フッ素−18標識された生成物を、その後、ヒドラジン水和物およびラネー(登録商標)ニッケルのエタノール性溶液において還元して、フッ素−18標識された3,4−ジクロロ−6−フルオロアニリンを得た(標識された化合物1、スキーム5)。フッ素−18標識された最終生成物を、本明細書中上記に記載される工程を使用することによって得た(スキーム4)。

【0280】
炭素−11標識された化合物3を、炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを合成の最終工程において使用することによって得た。炭素−11標識されたアクリロイルクロリドを、炭素−11標識されたCOを、臭化ビニルマグネシウム、塩化フタロイルおよびジtertブチルピリジンと反応させることによって得て、その後、これを化合物2と反応させて、炭素−11標識された最終生成物を得た。この放射性合成は、Nuclear Interface MeIモジュールを使用して、完全自動化された経路によって行われた。
【0281】
本明細書中上記に記載される手順の改変を使用して、他の放射性標識化合物、例えば、臭素標識およびヨウ素標識の化合物3、ならびに、炭素−11、フッ素−18、放射性臭素および放射性ヨウ素によって放射性標識されたモルホリノ置換の化合物3などを調製することができる。
【0282】
本明細書中上記で議論されているように、改善された生物学的半減期を有する放射性標識された不可逆的なEGFR−TK阻害剤を求めて、化合物4の放射性標識された誘導体もまた調製されている。
【0283】
従って、炭素−11標識された化合物4を下記のスキーム6に示される自動化された放射性合成法によって得ることに成功し、その結果、15%の崩壊補正放射化学的収率、100%の放射化学的純度、93%の化学的純度、および1.8Ci/μmolの比活性が衝撃終了(EOB)時に得られた。

【0284】
同様に、本明細書中上記に記載されるフッ素−18放射性合成に基づいて、フッ素−18標識された化合物4を調製することができる。
【0285】
ヨウ素−124は近年、その放射特性(T1/2=4.2日、同時での陽電子放射および電子捕獲)のために、PET診断使用および潜在的な治療用放射性核種においてますます重要になってきているので、ヨウ素−124で標識された不可逆的なEGFR阻害剤の調製は非常に望ましい。従って、確立された放射性ヨウ素化化学に基づいて、ヨウ素−124で標識された化合物5を、下記のスキーム7に示されるように調製した。

【0286】
臭素標識された化合物6および他のヨウ素標識された化合物を、本明細書中上記に詳述されるように、同様に調製することができる。
【0287】
インビトロ研究:
EGFR−TK自己リン酸化のIC50値を、PETトレーサーとしてのその可能性を明らかにするために化合物3および化合物4について測定した。方法では、抗EGFR抗体に基づくELISAアッセイが用いられた。測定された化合物は不可逆的な阻害速度論を有するので、そのIC50値は、可変の傾きを有するS字形用量応答曲線に対する非線形回帰近似を使用して計算された見かけの値である。ELISAアッセイを2回行い、見かけのIC50平均値を4つの独立した用量応答曲線から得た(n=4、IC50app=0.042nM+/−0.016)。IC50app値が0.051nMであり、95%信頼性区間として0.0088/0.294の範囲を有する化合物3の例示的な用量応答曲線のプロットが図1に示され、この場合、rは0.995に等しい。IC50app値が0.06nMであり、rが0.995に等しい化合物4の例示的な用量応答曲線のプロットが図5に示される。
【0288】
化合物3および化合物4のEGFR−TK結合の不可逆的な性質、ならびに、その速度論パラメーターを、無傷のA431細胞株におけるEGFR−TK自己リン酸化の阻害を測定することによって評価した。
【0289】
受容体に対する化合物3の結合が不可逆的であることを明らかにするために、細胞を様々な阻害剤濃度とともに2時間インキュベーションした。インキュベーション後、培地を阻害剤/FCS非含有培地と交換し、阻害作用を2時間後および8時間後に測定し、比較した。図2に示されるように、阻害剤/FCS非含有培地において2時間後、約35%、40%および約100%の阻害が、0.5nM、5nMおよび50nMの阻害剤濃度でそれぞれ得られた。さらに、インキュベーション後8時間の後でさえ、阻害が50nMの阻害剤濃度については依然として明らかであったことが示される(約97%)。2時間および8時間の両方のインキュベーション後期間の後においてこの濃度で得られたこの大きい自己リン酸化阻害は、この濃度における阻害剤(ピコモル数)/EGFR(ピコモル数)の比率が大きいためであると考えられる。しかしながら、少量のリン酸化が8時間後に50nMで認められる。これは、細胞の増殖および新しい受容体の細胞表面における新しい生合成/発現によって説明することができる。
【0290】
図3および図4は、無傷なA431細胞と、化合物3および様々な阻害剤濃度との様々なインキュベーション時間の後におけるEGFR自己リン酸化の減少をそれぞれ示す。EGFRの自己リン酸化レベルを1時間および8時間のインキュベーション後期間で測定した。
【0291】
図3に示されるように、10分間のインキュベーション時間および30nMの阻害剤濃度が、8時間のインキュベーション後期間の後で80%の阻害を得るために必要であった。同じ作用が、9分間のインキュベーション時間および30nMの阻害剤濃度について図4に示される。これらの結果は阻害剤の不可逆的結合の性質を反映しており、その不可逆的結合の性質は1時間および8時間の両方のインキュベーション後期間でほぼ同じ阻害能力を維持している。
【0292】
図4はさらに、これらの観測された結果を、阻害剤濃度が大きいときにだけこの大きい阻害作用を示すことによって裏づけている。
【0293】
同様な試験を、20nMの濃度で化合物4を用いて行った。65%の阻害がインキュベーション後8時間で観測され、このこともまた、この阻害剤の結合が不可逆的であることを反映している。
【0294】
図6は、炭素−11で標識された化合物4のA431細胞に対する特異的な結合について得られた結果を示す。化合物4の78%の特異的な結合が得られた。このことは、炭素−11で標識された化合物3を用いて得られた特異的な結合と比較して10%の増大を示している(データは示されず)。
【0295】
インビボ研究:
図7は、炭素−11で標識された化合物4を用いて腫瘍(A431)保有ラットで行われた生物分布研究において得られた結果を示す。図7に示されるように、最大注射用量パーセント(%ID)/グラムの腫瘍/血液比(2.6)が注射後2時間で得られた。図7にさらに示されるように、0.25%ID/グラムおよび0.24%ID/グラムの腫瘍取込みが投与後15分および30分でそれぞれ観測された。これらの結果は、投与後15分および30分でそれぞれ0.09%ID/グラムおよび0.05%ID/グラムであった炭素−11標識の化合物3を用いて得られた腫瘍/血液比(データは示されず)と比較して、著しい改善を示している。さらに、化合物4の腫瘍取込みは一定のままであったが、化合物3の腫瘍取込みは時間とともに低下した。
【0296】
図8a〜図8bは、炭素−11で標識された化合物3および化合物4を用いて行われた比較代謝研究において得られた結果を示す。図8aに示されるように、化合物3の代謝産物が注射後30分で肝臓および血液の両方で検出されたが、化合物4の代謝産物は注射後60分でさえも検出されなかった。図8bに示されるように、化合物4の60%が注射後15分で血液中に無傷で残存しており、時間とともに実質的な低下がなく、これに対して、化合物3の20%が注射後15分で血液中に無傷で残存するだけであり、注射後45分では微量も残存していなかった。これらの結果は、本発明の阻害剤の成功した化学構造最適化を反映しており、これにより、化合物3と比較した場合、化合物4の生物学的安定性の増大がもたらされた。
【0297】
予備的なPET研究において得られた結果が図9〜図12に示される。
【0298】
図9は、注射後10分〜40分の間で炭素−11標識の化合物4が注射された腫瘍保有のヌードラットで得られた非減衰補正フレームの和を示しており(A)、放射性標識化合物4の取込みが認められ得ることを明瞭に明らかにしている。さらに、腫瘍が、1時間の走査の期間中を通して可視化された。図9にさらに示されるように、同じラットに、Aで示された実験の後の2日目に行われた実験で、標識されていない化合物4が事前に注射されたとき(B)、放射性標識化合物4の腫瘍取込みが阻止された。このことは、再度ではあるが、化合物4の特異的かつ不可逆的な腫瘍結合を反映している。
【0299】
図10は、両方の組の実験において腫瘍領域について得られた時間放射能曲線を示す。図10において認められ得るように、放射性標識化合物4の腫瘍における総放射能取込みの値が、単独で投与されたときには、標識されていない化合物を事前に注射した後でのその取込みと比較して2倍であった(放射性標識化合物の腫瘍における50%の特異的な結合)。
【0300】
図11は、ラットの肝臓および腎臓における、炭素−11標識された化合物の時間放射能曲線を示す。得られた取込み値は、腫瘍に関連したこれらの器官の大きい血液灌流、および、これらの器官において代謝される放射能の蓄積を反映していることが考えられる。しかしながら、図11において認められ得るように、腫瘍における放射能取込みは最初の1時間の走査の期間中は一定のままであったが、肝臓の放射能取込みは、同じ1時間の走査時間の期間中に25%低下した。このことは、炭素−11以外のより長寿命の同位体(例えば、フッ素−18およびヨウ素−124)を用いて標識することにより、より良好な結果がもたらされ得ることを示唆している。
【0301】
本明細書中上記に記載される予備的なインビトロ研究およびインビボ研究は、本発明の不可逆阻害剤(特に化合物4)の大きい安定性、親和性および特異的な腫瘍結合を明らかにしており、このことは画像化の成功をもたらしている。従って、これらの化合物は、最も良好な画像化特性をもたらす、最適な標識化のための有望な候補であると見なすことができる。そのため、本発明の放射性標識化合物は、例えば、様々な腫瘍器官の画像化において効率的に使用することができる。
【0302】
この分野では知られているように、EGFRが前立腺ガンでは過剰発現している。今日まで、前立腺ガンの再発および転移部位を診断するための画像化ツール(PETを含めて)は、前立腺床の遮蔽をもたらす膀胱における放射性医薬品の排出のために最適ではない。前立腺ガンの放射線画像化における本発明の放射性標識化合物の効力を評価するために、炭素−11で標識された化合物4の排出を測定し、PDGの排出と比較した。得られた結果が図12に示されるが、結果からは、FDGが大量に膀胱に排出されるが、炭素−11で標識された化合物4はより遅い最小限の膀胱排出を有したことが明瞭に明らかにされる。
【0303】
従って、放射性標識された不可逆的なEGFR−TK ATP部位阻害剤を合成する方法が開発された。これらの阻害剤のファミリーのメンバー(化合物3)は、非常に強力な不可逆的なEGFR−TK阻害剤であり、かつ、非常に強力な生物学的トレーサーであることが見出され、また、生物学的トレーサーとしてのその使用に好適な収率および反応時間で炭素−11およびフッ素−18の両方で放射性標識することに成功した。このファミリーのもう1つのメンバー(化合物4)は、構造的に最適化されたため、さらにより大きい強力な不可逆的EGFR−TK阻害剤であり、かつ、より大きい強力な生物学的トレーサーであること、このことにより、優れた生物学的安定性および腫瘍結合特異性を発揮することが見出された。従って、このクラスの放射性標識化合物を、EGFR−TK発現およびATP結合部位の部分占有における様々な相違をインビトロおよびインビボで測定するために使用することができ、また、効率的なPETトレーサーとして、例えば、ガンの診断および進行度決定および治療プロトコルの選択において、例えば、どの患者が、抗EGF抗体、EGF指向融合トキシン、またはEGFR−TK阻害剤に基づく治療法などのEGF指向治療法から利益を受けるかを予測することにおいて使用することができる。これらの阻害剤のファミリーの別のメンバーを、これは放射性臭素または放射性ヨウ素のいずれかで放射性標識されるが、EGFR−TK発現に関して放射線画像化および放射線治療のために使用することができる。従って、臭素−76標識された化合物およびヨウ素−124標識された化合物をPET放射線画像化のために使用することができ、ヨウ素−123標識された化合物をSPECT放射線画像化のために使用することができ、一方、臭素−77標識された化合物、ヨウ素−124標識された化合物、およびヨウ素−131標識された化合物を放射線治療のために使用することができる。
【0304】
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
【0305】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更及び変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更及び変形すべてを包含するものである。本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。


【図面の簡単な説明】
【0306】
【図1】IC50値が0.051nMであり、95%の信頼性区間として0.0088/0.294の範囲を有する、本発明の化合物3についての自己リン酸化阻害の用量応答曲線の一例を示す。
【図2】様々な濃度の化合物3とインキュベーションし、2時間および8時間のインキュベーション後時間でEGF刺激溶解を行った後のA431細胞におけるEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである。
【図3】化合物3との様々なインキュベーション時間の後、8時間のインキュベーション後時間におけるA431細胞でのEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである。
【図4】1nMおよび30nMの化合物3との様々なインキュベーション時間の後、1時間のインキュベーション後時間におけるA431細胞でのEGFRの自己リン酸化レベルを表す棒グラフである。
【図5】0.06nMのIC50値を有する本発明の化合物4(ML04として示される)についての自己リン酸化阻害の用量応答曲線の一例を示す。
【図6】炭素−11で標識された本発明の化合物4(ML04として示される)のA431細胞に対する特異的な結合を明らかにする比較プロットを示す。
【図7】炭素−11で標識された化合物4が注射された腫瘍保有ラットにおける、注射後15分、30分および120分における腫瘍/血液比を(%ID/グラムで)明らかにする棒グラフを示す。
【図8】図8a〜図8bは、C−11で放射性標識された化合物3(ML03として示される)および化合物4(ML04として示される)の、腫瘍保有ラットに対するその注射後30分および60分における代謝をそれぞれ明らかにする比較TLCクロマトグラム(図8a)、ならびに、注射後15分、30分および45分において血液から抽出された無傷のトレーサー(放射性標識化合物3および化合物4)の割合(%)を明らかにする棒グラフを示す。
【図9】炭素−11で標識された化合物4を注射した腫瘍保有ヌードラットのPET画像(A)、および、非標識の化合物4を注射し、その後、炭素−11で標識された化合物4を注射した腫瘍保有ヌードラットのPET画像(B)を示す。
【図10】単独でラットに投与されたとき(菱形)、および、非標識の化合物4を投与した10分後に投与されたとき(三角形)の、炭素−11で標識された化合物4の経時的な腫瘍内の放射能濃度を明らかにする比較プロットを示す。
【図11】ラットの心臓(菱形)、肝臓(四角形)および腎臓(三角形)における、炭素−11で標識された化合物4の経時的な腫瘍内の放射能濃度を明らかにするプロットを示す。
【図12】PDG(左画像)および炭素−11で標識された化合物4(右画像)の膀胱排出を明らかにするPET冠状面画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式を有する放射性標識化合物:

式中、
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択されるか、または、Q1は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択され、Q2はX−Y(=O)−Zである;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは、非放射性炭素および放射性炭素からなる群から選択される;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素、非放射性の誘導体化基、ならびに、放射性臭素および放射性ヨウ素および放射性フッ素から選択される放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される;
ただし、上記化合物は少なくとも1個の放射性原子を含む。
【請求項2】
前記非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオカルボキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項3】
前記Rは、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルである請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項4】
前記置換アルキルは放射性原子を含む請求項3に記載の放射性標識化合物。
【請求項5】
前記置換アルキルは置換アミノ基を含む請求項3に記載の放射性標識化合物。
【請求項6】
前記置換アミノ基はアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基からなる群から選択される請求項5に記載の放射性標識化合物。
【請求項7】
前記置換アミノ基は前記放射性原子を含む請求項6に記載の放射性標識化合物。
【請求項8】
前記放射性原子は放射性炭素である請求項7に記載の放射性標識化合物。
【請求項9】
前記放射性炭素は炭素−11である請求項8に記載の放射性標識化合物。
【請求項10】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項11】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項12】
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は、水素、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アルキルアミノおよびアミノからなる群から選択される請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項13】
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2は水素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項14】
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2はアルコキシである請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項15】
前記アルコキシはモルホリノ基を含む請求項14に記載の放射性標識化合物。
【請求項16】
Q1はX−Y(=O)−Zであり、Q2はアルキルアミノである請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項17】
前記アルキルアミノはN−ピペラジニル基を含む請求項16に記載の放射性標識化合物。
【請求項18】
Xは前記−NR−であり、Zは前記−RC=CHRである請求項13に記載の放射性標識化合物。
【請求項19】
前記Rは、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルである請求項18に記載の放射性標識化合物。
【請求項20】
前記置換アルキルは放射性原子を含む請求項19に記載の放射性標識化合物。
【請求項21】
前記置換アルキルは置換アミノ基を含む請求項19に記載の放射性標識化合物。
【請求項22】
前記置換アミノ基はアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基からなる群から選択される請求項21に記載の放射性標識化合物。
【請求項23】
前記置換アミノ基は放射性原子を含む請求項22に記載の放射性標識化合物。
【請求項24】
前記放射性原子は放射性炭素である請求項23に記載の放射性標識化合物。
【請求項25】
前記放射性炭素は炭素−11である請求項24に記載の放射性標識化合物。
【請求項26】
Yは前記放射性炭素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項27】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記放射性フッ素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項28】
Dが前記放射性フッ素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項29】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素である請求項28に記載の放射性標識化合物。
【請求項30】
Aは前記放射性臭素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項31】
Aは前記放射性ヨウ素である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項32】
前記放射性炭素は炭素−11である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項33】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である請求項32に記載の放射性標識化合物。
【請求項34】
Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項32に記載の放射性標識化合物。
【請求項35】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である請求項9に記載の放射性標識化合物。
【請求項36】
Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項9に記載の放射性標識化合物。
【請求項37】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である請求項25に記載の放射性標識化合物。
【請求項38】
Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項25に記載の放射性標識化合物。
【請求項39】
前記放射性フッ素はフッ素−18である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項40】
前記放射性臭素は臭素−76または臭素−77である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項41】
前記放射性ヨウ素は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131である請求項1に記載の放射性標識化合物。
【請求項42】
前記放射性ヨウ素はヨウ素−124である請求項41に記載の放射性標識化合物。
【請求項43】
Yは前記放射性炭素である請求項15に記載の放射性標識化合物。
【請求項44】
前記放射性炭素は炭素−11である請求項43に記載の放射性標識化合物。
【請求項45】
AおよびBはそれぞれが塩素であり、Cが水素であり、Dがフッ素である請求項44に記載の放射性標識化合物。
【請求項46】
Aが臭素またはヨウ素であり、B、CおよびDはそれぞれが水素である請求項44に記載の放射性標識化合物。
【請求項47】
A、B、CおよびDの少なくとも1つが、放射性フッ素、放射性臭素および放射性ヨウ素からなる群から選択される放射性原子である請求項15に記載の放射性標識化合物。
【請求項48】
請求項1の放射性標識化合物を有効成分として含み、かつ、医学的に受容可能なキャリアを含む医薬組成物。
【請求項49】
患者の体内における上皮増殖因子受容体のレベルを監視する方法であって、
(a)請求項1の放射性標識化合物を患者に投与すること、および
(b)体内または体内の一部における化合物の分布を監視するために核画像化技術を用いること
を含む方法。
【請求項50】
前記核画像化技術は陽電子放射断層撮影法である請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記核画像化技術は単光子放射型コンピューター断層撮影法である請求項49に記載の方法。
【請求項52】
請求項1の放射性標識化合物の治療効果的な量を患者に投与することを含む放射線治療法。
【請求項53】
下記の式を有する放射性標識化合物:

式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは炭素−11である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素および非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される、
を合成する方法であって、
(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、6位および/または7位が少なくとも1つの反応基によって置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および
(b)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、反応性の炭素−11標識されたα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させること
を含む方法。
【請求項54】
前記非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位に存在する請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、前記方法はさらに、工程(b)の前に、
(c)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすること
を含む請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、前記方法はさらに、工程(b)の前に、
(d)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させること
を含む請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記化学的反応基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記反応性の炭素−11標識されたα,β−不飽和カルボキシル誘導体は、炭素−11で標識されたアクリロイルクロリドである請求項53に記載の方法。
【請求項60】
下記の式IIを有する放射性標識化合物:

式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素、非放射性の誘導体化基、およびフッ素−18からなる群から選択され、ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記フッ素−18である;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される、
を合成する方法であって、
(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識のアニリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記フッ素−18である)を調製すること;
(b)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化された前記フッ素−18標識のアニリン型化合物を、6位および/または7位が少なくとも1つの反応基によって置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および
(c)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させて、その結果、α,β−不飽和カルボキシル基で置換されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること
を含む方法。
【請求項61】
前記非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位に存在する請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は、フッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、前記方法はさらに、工程(c)の前に、
(d)前記フッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化されたフッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすること
を含む請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、前記方法はさらに、工程(c)の前に、
(e)前記反応性のフッ素−18標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させること
を含む請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記化学的反応基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項64に記載の方法。
【請求項66】
は、1個〜6個の炭素原子を有する前記置換アルキルであり、前記反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は反応基が末端に存在し、前記方法はさらに、
(f)前記α,β−不飽和カルボキシル基によって置換された前記フッ素−18標識の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させること
を含む請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は4−ブロモクロトニルクロリドである請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記反応性の置換アルキルはジメチルアミンである請求項66に記載の方法。
【請求項69】
下記の式を有する放射性標識化合物:

式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素、非放射性の誘導体化基、ならびに放射性臭素および放射性ヨウ素から選択される放射性原子からなる群から選択され、ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記放射性臭素または前記放射性ヨウ素である;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキル、および置換フェニルまたは非置換フェニルからなる群から選択される、
を合成する方法であって、
(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲン原子である)を、6位および/または7位が少なくとも1つの反応基によって置換された4−クロロキナゾリンとカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること(ただし、A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記ハロゲン原子である);
(b)前記A、B、CおよびDによって誘導体化された前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を放射性臭素または放射性ヨウ素で放射性標識して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物(ただし、前記A、B、CおよびDの少なくとも1つが前記放射性臭素または前記放射性ヨウ素である)を作製するようにすること;および
(c)前記反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を反応性のα,β−不飽和誘導体と反応させること
を含む方法。
【請求項70】
前記放射性臭素は臭素−76または臭素−77である請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記放射性ヨウ素は、ヨウ素−123、ヨウ素−124またはヨウ素−131である請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位に存在する請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、前記方法はさらに、工程(b)の前に、
(d)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物(ただし、前記A、B、CおよびDの少なくとも1つがハロゲンである)を作製するようにすること
を含む請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記ハロゲンは臭素である請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記4−クロロキナゾリン型化合物は6位および7位が第1および第2の反応基によって置換されており、前記方法はさらに、工程(c)の前に、
(e)前記反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を化学的反応基と反応させること
を含む請求項69に記載の方法。
【請求項77】
前記化学的反応基はモルホリノアルコキシ基を含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
は、1個〜6個の炭素原子を有する前記置換アルキルであり、前記反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は反応基が末端に存在し、前記方法はさらに、
(f)前記α,β−不飽和カルボキシル基によって置換された前記反応性の放射性臭素標識または放射性ヨウ素標識された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させること
を含む請求項69に記載の方法。
【請求項79】
前記反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は4−ブロモクロトニルクロリドである請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記反応性の置換アルキルはジメチルアミンである請求項78に記載の方法。
【請求項81】
下記の式を有する放射性標識化合物:

式中、
X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位または7位に存在する;
Xは、−NR−、−O−、−NH−NR−、−O−NR−、−NH−CHR−、−CHR−NH−、−CHR−O−、−O−CHR−、−CHR−CH−および−CHR−S−からなる群から選択されるか、または存在しない;
Yは非放射性炭素である;
Zは、−RC=CHR、−C≡C−Rおよび−RC=C=CHRからなる群から選択される;
は、水素、または1個〜8個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;
A、B、CおよびDは、それぞれが独立して、水素および非放射性の誘導体化基からなる群から選択される;
は、水素、および1個〜6個の炭素原子を有する置換アルキルまたは非置換アルキルからなる群から選択される;
は、水素、ハロゲン、および1個〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択される;かつ
は、1個〜6個の炭素原子を有し、炭素−11原子を含む置換アルキルである、
を合成する方法であって、
(a)前記R、A、B、CおよびDによって誘導体化されたアニリン型化合物を、6位または7位が第1の反応基によって置換された4−クロロキナゾリン型化合物とカップリングして、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;
(b)前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、第2の反応基を末端に有する反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体と反応させて、その結果、前記第2の反応基を末端に有するα,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;
(c)前記第2の反応基を末端に有する前記α,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された前記4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、1個〜6個の炭素原子を有する反応性の置換アルキルと反応させて、その結果、前記反応性の置換アルキルを末端に有する前記α,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を作製するようにすること;および
(d)前記反応性の置換アルキルを末端に有する前記α,β−不飽和カルボキシル基によって6位または7位が置換された前記4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物を、炭素−11標識の反応性化合物と反応させること
を含む方法。
【請求項82】
前記非放射性の誘導体化基は、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシ、チオヒドロキシ、チオカルボキシ、チオアルコキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノ、ジアミノ、カルバミル、ジカルバモイル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記X−Y(=O)−Zはキナゾリン環の6位に存在する請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記反応性の4−(フェニルアミノ)キナゾリン型化合物は4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリンであり、前記方法はさらに、工程(b)の前に、
(e)前記4−(フェニルアミノ)−6−ニトロキナゾリン型化合物を還元して、その結果、前記A、B、CおよびDによって誘導体化された4−(フェニルアミノ)−6−アミノキナゾリン型化合物を作製するようにすること
を含む請求項81に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の反応基はハロゲンである請求項81に記載の方法。
【請求項86】
前記ハロゲンは、臭素およびヨウ素からなる群から選択される請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の反応基を末端に有する前記反応性のα,β−不飽和カルボキシル誘導体は4−ブロモクロトニルクロリドである請求項81に記載の方法。
【請求項88】
1個〜6個の炭素原子を有する前記反応性の置換アルキルはメチルアミンである請求項81に記載の方法。
【請求項89】
前記炭素−11標識の反応性化合物は炭素−11ヨウ化メチルである請求項81に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−505101(P2007−505101A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526005(P2006−526005)
【出願日】平成16年9月12日(2004.9.12)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000834
【国際公開番号】WO2005/023315
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(502275425)イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム (10)
【出願人】(500388981)ハダシット メディカル リサーチ サーヴィシーズ アンド ディヴェロップメント リミテッド (6)
【Fターム(参考)】