説明

放射線の全天球型入射方向検出装置、及び、放射線モニタリング方法、装置

【課題】通常の放射線モニタリングポストに収容可能な、水平方向の周角及び仰角で定義される放射線の全天球型入射方向検出装置を提供する。
【解決手段】入射する放射線に対して周方向に少なくとも一部を重ねて配置された同じ材質の独立した複数のシンチレータ11、12、13と、各シンチレータと光学的に接合された受光素子21、22、23を含む変換部20とを備え、各シンチレータに対して直接入射する放射線と他のシンチレータの影になって間接的に入射する放射線の割合の組み合わせが、周角と仰角で示される入射方向によって変化するようにされている放射線の全天球型入射方向検出装置であって、各シンチレータから得られたスペクトルS1、S2、S3を用いて計算された比率r(r1、r2、r3)と、予め蓄積された応答関数群を比較する手段を備え、周角、仰角を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線の全天球型入射方向検出装置、及び、放射線モニタリング方法、装置に係り、特に、通常の放射線モニタリングポストに収容するのに好適な、原子力施設等からの放射線あるいは放射性物質の漏洩・散逸や、核実験等による放射性プルームの接近を検知可能な、全天球からの放射線、特にガンマ線の入射方向を求めるための放射線の全天球型入射方向検出装置、及び、この全天球型入射方向検出装置を用いた放射線モニタリング方法、装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出器に対する水平面の方向からの放射線を検出する従来技術が、特許文献1〜5に記載されている。
【0003】
又、全天球からの入射方向の特定を可能にする従来技術が、特許文献6及び7に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−170121号公報
【特許文献2】特開2004−170122号公報
【特許文献3】特開2004−170125号公報
【特許文献4】特開2004−361290号公報
【特許文献5】特開2006−201086号公報
【特許文献6】特開2004−170116号公報
【特許文献7】特開2004−170107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜5の従来技術では、水平の入射方向しか検出できず、山や地平線又は水平線等の陰になって、見通しが効かない場所から大気中を流れてくる放射性物質や、大気中の飛散物質に含まれる放射性プルーム等からの放射線を検出できない。
【0006】
一方、特許文献6又は7の従来技術によれば、全天球からの入射方向の検出が可能であるが、放射線を検知するシンチレータが25個という多数必要であり、また球状の外郭にシンチレータを取り付けるためシンチレータの体積が十分に確保できず、よって放射線、特にガンマ線の検出効率が低い。また多くのシンチレータを設置することから検出器が大きくなり、通常の放射線モニタリングポスト(直径7.62cm(3インチ)、厚さ7.62cm(3インチ)のシンチレータを装備)と形状的に互換性が無い等の問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、水平方向の周角と仰角で規定される放射線の入射方向を検出でき、しかも、通常の放射線モニタリングポストに収容可能な、小型の全天球型入射方向検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、放射線の入射方向を検出するための全天球型入射方向検出装置であって、入射する放射線に対して周方向に少なくとも一部を重ねて配置された、同じ材質の独立した複数のシンチレータと、各シンチレータと光学的に接合された受光素子とを備え、各シンチレータに対して直接入射する放射線と他のシンチレータの影になって間接的に入射する放射線の割合の組み合わせが、水平方向の周角と仰角で示される入射方向によって変化するようにして、前記課題を解決したものである。
【0009】
前記シンチレータを3つ以上とし、0度から360度に亘る周角と0度から90度に亘る仰角で示される入射方向を検出可能とすることができる。
【0010】
又、各シンチレータが扇形の断面を持ち、全てのシンチレータを結合して円柱とすることにより、0度から360度に亘る周角と0度から90度に亘る仰角で示される入射方向を検出可能とすることができる。
【0011】
更に、各シンチレータが同一の形状を持つようにして、周方向の分解能を均一にすることができる。
【0012】
又、前記シンチレータの周囲に、水平方向からの放射線の透過率を調整するための帯状部材(例えば鉄製で厚さ5mmの帯を巻き付けたもの)を配設することにより、周辺での非破壊検査による放射線の漏洩、あるいは、放射性同位元素投与患者の接近による周辺放射線量の増加等の影響を避け、相対的に上空方向の感度を高めることができる。
【0013】
又、前記シンチレータの上部に、上空方向からの放射線の透過率を調整するための蓋状部材(例えば鉄製で厚さ1cmの板)を配設することにより、宇宙線等の影響を減じ、相対的に仰角の小さい水平に近い方向での感度を高めることができる。
【0014】
更に、各シンチレータにより発生するスペクトルを解析するスペクトル解析手段と、スペクトル解析手段より出力される光電吸収ピーク計数値のシンチレータ間の比率を求める比率計算手段と、各比率に対応する周角と仰角からなる関数を記憶した関数記憶手段と、該関数記憶手段を参照して前記比率計算手段が求めた比率に対応する関数を求める関数参照手段と、その求めた周角と仰角とを出力する出力手段と、を備えることができる。
【0015】
本発明は、又、前記の全天球型入射方向検出装置を用いることを特徴とする放射線モニタリング方法を提供するものである。
【0016】
又、前記の全天球型入射方向検出装置を備えたことを特徴とする放射線モニタリング装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水平方向の周角と仰角で表される全天球からの放射線の入射方向を特定でき、線量率増加が、原子力施設等からの放射線あるいは放射線物質の漏洩・散逸や、核実験等による放射性プルームの接近か、その他の原因、例えば自然現象、放射性同位元素投与患者の接近、近隣での放射線非破壊検査等によるものかを、全天球からの入射方向をもとに迅速に判断でき、水平方向の周角と仰角での追跡も可能になる。
【0018】
これにより近隣住民や一般市民の安全と安心の確保に大いに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る放射線の全天球型入射方向検出装置の実施形態の検出部10である。同時に天球上からの放射線の入射方向を水平方向の周角と仰角で示すことを定義したものである。
【0021】
同じ材質、形状の独立した、水平断面が扇形の柱状シンチレータ11と同様のシンチレータ12と同様なシンチレータ13を、互いに、ある方向に対して影になるように配置する。図において、14は、放射線を透過する、例えば薄いアルミニウム又は不透明なプラスチック製のケースである。
【0022】
放射線の入射の基準方向0度Aに対して、放射線の入射方向Bは周角30度、仰角0度を示している。同様に放射線の入射方向Cは、周角30度、仰角60度を示している。同様に、放射線の入射方向Dは、周角不定、仰角90度、即ち真上からの入射を表している。
【0023】
図2に、スペクトルが得られる様子を示す。図2は、横軸がエネルギー、縦軸が計数を示す。シンチレータ11、12、13からなる検出部10に放射線が入射し、シンチレータ11、12、13が発光する。その光を変換部20の受光素子21、22、23で、それぞれ電気的に増幅し、スペクトル解折手段30のマルチチャンネルアナライザー(MCA)31、32、33でスペクトルS1、S2、S3をそれぞれ生成する。
【0024】
例えば放射線の入射方向C(周角30度、仰角60度)の場合を考えると、シンチレータ11に最も多くの放射線が直接的に入射する。従って、MCA31で生成されるスペクトルS1には、大きな光電吸収ピークp1が観察される。一方、シンチレータ12、13は、シンチレータ11の一部陰になるので、直接的に入射する放射線は相対的に少なくなり、シンチレータ11と反応後、一部のエネルギーを吸収された状態で入射する放射線が相対的に多くなる。故にMCA32、33で生成されるスペクトルS2、S3の光電吸収ピークp2、p3は小さくなる。
【0025】
又、例えば放射線の入射方向B(周角30度、仰角0度)の場合を考えると、前述の現象が一層顕著になる。
【0026】
一方、例えば放射線の入射方向D(周角不定、仰角90度)の場合を考えると、シンチレータ11、12、13に対して直接入射、間接入射が、それぞれ同一条件になるので、MCA31、32、33では同じ大きさの光電吸収ピークp1、p2、p3が観察される。
【0027】
ここで入射方向を特定するための指標である比率rを定義する。MCA31、32、33で得られるスペクトルS1、S2、S3の光電吸収ピークの計数値をそれぞれp1、p2、p3とし、3つのスペクトル光電吸収ピークの計数値の合計値をT(=p1+p2+p3)とする。そしてp1/Tをr1、p2/Tをr2、p3/Tをr3として比率rを(r1、r2、r3)と定義する。
【0028】
図3は、放射線の入射方向B(周角30度、仰角0度)の場合の、前記比率r1、r2、r3(縦軸)と水平方向の周角(横軸)の関係を示す全体図である。r1と周角の関係を示すのはグラフB1、r2と周角の関係を示すのはグラフB2、r3と周角の関係を示すのはグラフB3である。
【0029】
図4は、放射線の入射方向C(周角30度、仰角60度)の場合の、前記比率r1、r2、r3と水平方向の周角の関係を示す全体図である。r1と周角の関係を示すのはグラフC1、r2と周角の関係を示すのはグラフC2、r3と周角の関係を示すのはグラフC3である。
【0030】
図5は、放射線の入射方向D(周角不定、仰角90度)の場合の、「前記比率r1、r2、r3と水平方向の周角の関係」を示す全体図である。r1と周角の関係を示すのはグラフD1、r2と周角の関係を示すのはグラフD2、r3と周角の関係を示すのはグラフD3である。この場合は3本のグラフが重なっている。
【0031】
図6は、仰角0度、仰角60度、仰角90度の場合の比率r1と水平方向の周角の関係を示す全体図である。仰角0度の場合は図3と同じグラフB1、仰角60度の場合は図4と同じグラフC1、仰角90度の場合は図5と同じグラフD1が対応する。図6に見られるように、仰角が大きくなるに従い、グラフの振幅は小さくなり、水平線に近づくことが示される。
【0032】
ここで図7を用い、本発明の装置により入射方向が検出される手順を示す。図7は、測定開始(ステップS100)から、入射方向、即ち解である周角と仰角の組み合わせが求まるまでのフローを示している。
【0033】
ステップS100の測定開始により一定時間、シンチレータ11、12、13により放射線が検出され、MCA31、32、33によってスペクトルS1、S2、S3が生成される(ステップS110、S120、S130)。
【0034】
各スペクトルS1、S2、S3から、汎用のスペクトル解析ソフトによって、ピーク計数値p1、p2、p3、及び、ピーク位置に対応する放射線のエネルギーが求められる(ステップS140、S150、S160)。
【0035】
これらの値から、比率r(r1、r2、r3)が計算される(ステップS170)。この比率rを用いて、比率合致計算が行なわれる(ステップS180)。
【0036】
この比較合致計算の概念を図3を用いて説明する。図3に於いて各比率rに対し、必ず二つの周角が合致することがわかる。そこで、求まったエネルギーにおける所定仰角ごとに用意された「比率と水平方向の周角の関係」を示す全ての図から、全ての比率(r1、r2、r3)に合致する周角の存在する図を探す。見つかった図の仰角とその周角とが解となる。
【0037】
実際には、エネルギー毎に予め作成された周角、仰角と、r1、r2、r3の関係を表すグラフの集合である応答関数群(図8参照)あるいは数値テーブル(図9参照)と比率rの比較が行なわれ、合致する周角と仰角が解として求められ、入射方向が検出される(ステップS200、S210)。
【0038】
図8は、実験により、一番単純な関数である正弦波曲線で近似した、エネルギー662keVの応答関数群の一例である。なお、正弦波の代りに、例えば多項式を用いることもできる。
【0039】
図9は、図8の応答関数群を用いて作成(必要により内挿)した数値テーブルの一例である。
【0040】
以上示した装置の構成例を図10に示す。
【0041】
この装置は、検出部10の各シンチレータ11、12、13で発生し、変換部20の各受光素子21、22、23により電気信号に変換されたスペクトルを解析するスペクトル解析手段30と、該スペクトル解析部30より出力される光電吸収ピーク計数値のシンチレータ間の比率を求める比率計算手段40と、各比率に対応する周角と仰角からなる関数を記憶した関数記憶手段50と、該関数記憶手段50を参照して前記比率計算手段40が求めた比率r1、r2、r3に対応する関数を求める関数参照手段60と、その求めた周角と仰角とを出力する出力手段70と、を備えたCPU、ROM、RAM、インターフェイス及びソフトウエア等で構成されている。
【実施例1】
【0042】
上述した本発明の放射線の全天球型入射方向検出装置の実施例について説明する。
【0043】
図1のシンチレータ11、12、13を、沃化ナトリウムNaI(Tl)なる材質で作成し、半径37.5mm、頂角120度の扇形で高さ75mmとした。これらを結合して円柱とし、検出部10を構成した。検出部10を変換部20に結合し、電気信号をMCA31、32、33に伝送し、スペクトルS1、S2、S3を得た。
【0044】
HDD(RAM)に格納した汎用のスペクトル解析ソフトを用いて、各スペクトルS1、S2、S3のピークの計数値p1、p2、p3とエネルギーを求めた。各ピークの計数値p1、p2、p3と各ピークの計数値の合計値Tを用い、比率r(0.463、0.204、0.332)を得た。同時にエネルギーとして622keVを得た。エネルギー毎に予め作成しHDDあるいはROMに格納しておいた、周角、仰角と比率r1、r2、r3の関係を表すグラフの集合である図8の応答関数群と、RAMに一時格納された比率r(0.463、0.204、0.332)とを合致計算して、インターフェイスより周角30度、仰角0度の出力が得られた。
【実施例2】
【0045】
実施例1と同様にして、汎用のスペクトル解析ソフトを用いて、各スペクトルS1、S2、S3のピークの計数値p1、p2、p3とエネルギーを求めた。各ピークの計数値p1、p2、p3と各ピークの計数値の合計値Tを用い、比率r(0.398、0.269、0.332)を得た。同時にエネルギーとして622keVを得た。エネルギー毎に予め作成された、周角、仰角と比率r1、r2、r3の関係を表すグラフの集合である図8の応答関数群と比率r(0.398、0.269、0.332)を合致計算すると、周角30度、仰角60度が得られた。
【実施例3】
【0046】
実施例1と同様にして、汎用のスペクトル解析ソフトを用いて、各スペクトルS1、S2、S3のピークの計数値p1、p2、p3とエネルギーを求めた。各ピークの計数値p1、p2、p3と各ピークの計数値の合計値Tを用い、比率r(0.333、0.333、0.333)を得た。同時にエネルギーとして622keVを得た。エネルギー毎に予め作成された周角、仰角と比率r1、r2、r3の関係を表すグラフの集合である図8の応答関数群と比率r(0.333、0.333、0.333)と合致計算すると、周角不定、仰角90度が得られた。
【0047】
図8の応答関数群と比率rの関係は、図8に示す計算式のまま関数記憶手段50に記憶させておいてもよいが、図9に示した数値テーブル51、52、53として関数記憶手段50に記憶させておく方が、処理速度が速くなるので好ましい。この場合、図9の各角度の最小設定単位は、必要とする検出角度に応じて設定しておく。
【0048】
なお、図8、図9に示した周角、仰角の刻みは、内挿法によって所定の精度に鑑みて変更可能である。
【0049】
又、図11の如く、シンチレータ11、12、13の周囲に、例えば厚さ5mmの鉄製の帯15を巻くと、周辺での非破壊検査による100keV程度のX線、あるいは放射性同位元素投与患者からの100keV程度のガンマ線、即ち入射放射線Riに対して、図12(縦軸は左から入射するガンマ線の垂直位置、横軸は水平位置)に例示する如く、透過放射線Rが減少し、水平方向の感度が下がり、相対的に上空での感度が上がり、放射線物質の上空での挙動を把握するのに好適となる。
【0050】
あるいは、図13の如く、シンチレータ11、12、13の上部に、例えば厚さ1cmの鉄製の蓋16を配設すると、宇宙線等の影響を減じ、相対的に仰角の小さい水平に近い方向での感度を高めることができる。
【0051】
又、帯15や蓋16の材質は鉄に限定されず、アルミニウム等、他の金属を用いることもできる。更に厚さや材質を部分的に変えて、特定の方向の感度を高めたり、低めることもできる。
【0052】
又、シンチレータの形状を周方向で変えても良い。
【0053】
又、出力手段より出力される出力信号は、特に限定するものではなく、視認可能なアナログあるいはデジタル表示でもよいし、他のコンピュータと通信可能な出力信号であってもよい。
【0054】
なお、シンチレータの構成数が多くなりピーク数が多くなっても、上述の方法に従い、周角と仰角を求めることができる。例えば4分割の場合、図14に示す如く、(r1、r2、r3、r4)で「r1+r2+r3+r4=1」より、任意の3個のグラフ(もちろん4個でもいい)、即ち、シンチレータ数−1のグラフ(応答関数)から解が求まる。
【0055】
又、スペクトルはエネルギー情報を持っているので、複数のピークがある場合はそれぞれのピークに対応する応答関数群か数値テーブルを選択し、同様な処理をすれば、複数の方向を同時に求めることができる。
【0056】
又、シンチレータの直径は1MeV以上の比較的大きいエネルギーのガンマ線のみを対象とするときは100mm以上が望ましく、1MeV未満の比較的小さなエネルギーを対象とするときは50mm以下が望ましく、モニタリングポストのように50KeVから3MeVを対象とするときは75mm前後が好適である。高さは、25mmから100mmが経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る全天球型入射方向検出装置の検出部と入射方向を定義する図
【図2】同じくスペクトルの生成を示す図
【図3】本発明の原理を説明するための、周角30度、仰角0度の場合の比率r1、r2、r3の変化を示す図
【図4】同じく、周角30度、仰角60度の場合の比率r1、r2、r3の変化を示す図
【図5】同じく、周角不定、仰角90度の場合の比率r1、r2、r3の変化を示す図
【図6】同じく、シンチレータの仰角0、60、90度の場合の比率r1の変化を示す図
【図7】本発明の実施形態において、入射方向を得るまでの手順を示す流れ図
【図8】本発明の実施形態における応答関数群の例を示す図
【図9】同じく数値テーブルの例を示す図
【図10】本発明に係る放射線の全天球型入射方向検出装置の実施形態の構成を示すブロック図
【図11】変形例の要部を示す斜視図
【図12】変形例の原理を示す図
【図13】他の変形例の要部を示す縦断面図
【図14】4分割の変形例の比率r1、r2、r3、r4の変化を示す図
【符号の説明】
【0058】
10…検出部
11、12、13…シンチレータ
14…ケース
15…帯
16…蓋
20…変換部
21、22、23…受光素子
30…スペクトル解折手段
31、32、33…マルチチャンネルアナライザー(MCA)
40…比率計算手段
50…関数記憶手段
51、52、53…テーブル
60…関数参照手段
70…出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の入射方向を検出するための入射方向検出装置であって、
入射する放射線に対して周方向に少なくとも一部を重ねて配置された、同じ材質の独立した複数のシンチレータと、
各シンチレータと光学的に接合された受光素子とを備え、
各シンチレータに対して直接入射する放射線と他のシンチレータの影になって間接的に入射する放射線の割合の組み合わせが、水平方向の周角と仰角で示される入射方向によって変化するようにされていることを特徴とする放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項2】
前記シンチレータが3つ以上とされ、0度から360度に亘る周角と0度から90度に亘る仰角で示される入射方向を検出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項3】
各シンチレータが扇形の断面を持ち、全てのシンチレータを結合すると円柱になることを特徴とする請求項2に記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項4】
各シンチレータが同一の形状を持つことを特徴とする請求項2又は3に記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項5】
前記シンチレータの周囲に、水平方向からの放射線の透過率を調整するための筒状部材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項6】
前記シンチレータの上部に、上空方向からの放射線の透過率を調整するための蓋状部材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項7】
各シンチレータにより発生するスペクトルを解析するスペクトル解析手段と、
スペクトル解析手段より出力される光電吸収ピーク計数値のシンチレータ間の比率を求める比率計算手段と、
各比率に対応する周角と仰角からなる関数を記憶した関数記憶手段と、
該関数記憶手段を参照して前記比率計算手段が求めた比率に対応する関数を求める関数参照手段と、
その求めた周角と仰角とを出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の放射線の全天球型入射方向検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の全天球型入射方向検出装置を用いることを特徴とする放射線モニタリング方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の全天球型入射方向検出装置を備えたことを特徴とする放射線モニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−134200(P2008−134200A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322108(P2006−322108)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(独立行政法人科学技術振興機構新技術開発委託事業、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(301032942)独立行政法人放射線医学総合研究所 (149)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】