説明

放射線ビームを変調する方法および装置

放射線ビームを回転させて治療容積を照射することにより強度変調放射線治療を送達するための装置および方法。システムは、枢動する減衰リーフの2次元配列を備えるコリメーションデバイスを含み、リーフは、ガントリが患者の周りを回転するとき、放射線ビームの経路中に一時的に配置される。リーフは、第1の位置と第2の位置の間を独立して移動することができる。放射線ビームの強度は、各リーフがビームを減衰させるために存在する時間を制御することにより変調される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線ビームを変調する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2005年2月28日に出願の米国特許仮出願第60/657013号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
強度変調放射線治療(IMRT)は、患者の腫瘍の寸法、形状、および位置に合わせるために、放射線ビームの寸法、形状、および強度を変化させることを含む。IMRTは、周囲の正常な組織を避けながら、正確に腫瘍を目標にする。一般に、IMRTは、放射線源および直線加速器(リニアック)を備えた放射線療法システムを用いて送達される。リニアックを出た放射線ビームは、マルチリーフコリメータ(MLC)を通って進み、ビームの寸法、形状、および強度を変化させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
リニアックが開発される前は、放射線療法装置は、放射線源としてコバルト60(Co−60)を使用した。Co−60放射線療法装置は、簡単で信頼性のある技術を使用しており、1950年代以来、利用可能である。Co−60放射線源は放射線療法装置中に設置される。患者に線量を送達するために、Co−60源からの放射線ビームは、リニアックと同様の方法で、顎部によりコリメートされる。ビームをさらに形作るためにフィールド形成ブロックを使用してもよい。Co−60の特性は安定であり、予測可能であるが、概して、リニアックよりも長い治療時間を必要とする。Co−60放射線のエネルギは、リニアックのエネルギよりも概して低いので、Co−60放射線療法装置は、通常、頭部および首の病変など、比較的浅い病変を治療するのに用いられるだけである。Co−60放射線療法装置にはMLCが後付けされておらず、現在、MLCベースのIMRTは、Co−60放射線療法装置と共に利用することができない。
【0004】
MLCの開発は、放射線療法治療の送達を向上させてきた。MLCは、患者の腫瘍の寸法、形状、および位置に焦点を合わせるように放射線ビームを画定する。MLCはまた、腫瘍の周囲の正常な組織および器官に送達される放射線量を最小化するように放射線ビームを変調する。
【0005】
MLCは、リーフと呼ばれる複数の放射線遮断物を含む。MLCにおける個々の各リーフは独立して配置され、ユーザは無数の不規則な形状のフィールドを作ることが可能になる。放射線ビームは、放射遮断リーフの対向する配列の端部間に送られ、それにより、腫瘍またはターゲット部位の形状によくマッチするように放射線ビームが形成されるが、一方、正常な組織および器官を直接の放射線ビームから遮蔽する。
【0006】
放射線ビームを変調するための他の方法および装置は、複数の放射線ビームのセグメントを使用することを含む。このような方法および装置は、ビームが患者に入る前に、放射線ビームの経路中に配置されたラック中の減衰リーフまたはシャッタを用いる。腫瘍はスライスで放射線に曝され、各スライスは、リーフにより選択的にセグメント化される。しかし、この方法および装置の欠点は、組織容積の2つのスライスだけが、ガントリの1回転で治療されることである。スライスは、任意の厚さとすることができるが、可能な限り薄い治療用スライスを選択することにより、より大きな解像度が達成される。治療スライスの厚さが減少するにつれて、ターゲット容積全体を治療するためにはより多くの治療スライスが必要になるため、患者を治療する時間が増加する。
【0007】
大部分の最近のリニアックは、元々、IMRT用に設計されていない従来のMLCを含んでいる。従来のMLC技法は、MLCの設計に基づいた限定された線量の適合性、ビーム数、および治療時間を提供する。IMRT装置は、現在のコリメータ技術により制限された、厳密な位置および速度許容差を必要とする。したがって、線量適合性および解像度を改善する動的なIMRT装置上で使用するための改良されたコリメータシステムおよび方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、Co−60またはリニアックベースのIMRT装置内のマルチスライスのコリメーション放射線療法を提供する。それは、放射線ビームの1回転で、(複数の患者のCTスライスを含む)治療容積を照射することによりIMRTを送達するシステムおよび方法である。システムは、枢動するリーフの2次元配列を備えるコリメーションデバイスを含み、それは、ガントリが患者の周りを回転すると、放射線ビームの経路中に時間的に配置される。枢動するリーフの2次元配列は、2つの変調スリット開口部の2次元配列内に配置される。このリーフは、第1の状態と第2の状態との間を独立して移動可能である。放射線ビームの強度は、各リーフがビームを減衰させるためにスリット開口部中に存在する時間を制御することによって変調される。本発明では、1回のガントリ回転で複数のスライスが同時に照射される。
【0009】
一実施形態では、本発明は、複数のリーフアセンブリを含むコリメータを備える放射線療法治療システムを提供する。各リーフアセンブリは、支持構造体と、支持構造体によって支持され、かつそこから延びる複数の部材とを有する。さらにリーフアセンブリは、それぞれが部材の1つにより支持され、作動したとき第1の位置と第2の位置との間を移動するように適合された複数のリーフを含む。リーフアセンブリの配置は2次元配列を提供し、コリメータは、複数のスライスで患者に放射線を送達するように動作可能である。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、ガントリ、コリメータ、およびコントローラを備える放射線療法治療システムを提供する。コリメータはガントリにより支持され、複数のリーフアセンブリを含む。各リーフアセンブリは、支持構造体と、支持構造体により支持され、かつそこから延びる複数の部材とを有する。各リーフアセンブリは、さらにそれぞれが部材の1つにより支持され、作動したとき移動するように適合された複数のリーフと、それぞれが部材の1つにより支持され、リーフの1つに結合された複数の作動子とを含む。リーフアセンブリの配置は2次元配列を提供し、コントローラは、作動子に選択的に命令して、リーフを移動させ、放射線ビームの時間的、空間的変調を提供するように動作可能である。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、患者に放射線療法治療を送達する方法を提供する。本方法は、放射線源、および患者の周りを回転するように動作可能なガントリを含む放射線療法治療システム中に患者を配置する工程と、放射線源により生成された放射線ビームを時間的、空間的に変調する工程と、ガントリの1回転中に、患者に対して複数の放射線スライスを送達する工程とを含む。
【0012】
さらに他の実施形態では、本発明は、コリメータと、患者に対して複数の放射線スライスを送達するための、コリメータにより支持された手段とを備える放射線療法治療システムを含む。
【0013】
本発明は、IMRTを使用することにより、またはIMRTをより低価格のCo―60放射線療法装置に組み込むことにより、臨床的なCo―60IMRTを可能にする。本発明は、既存のCo―60放射線療法装置またはリニアックベースの放射線療法装置に後付けすることもできる。
【0014】
本発明の他の諸態様は、詳細な説明および添付の図面を検討することによって明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が、以下の説明で述べられる、または以下の図面で例示されるコンポーネントの構成および配置の細部に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施され、または実行され得る。さらに、本明細書で使用される表現法および用語は説明のためのものであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。「含む」、「備える」、または「有する」、およびその類義語を本明細書で使用する場合は、その後に列挙された項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。他の形で指定されまたは限定されない限り、用語「設置される/取り付けられる」、「接続される」、「支持される」、「結合される」、およびその類義語は、広義に用いられ、かつ直接的、間接的に、設置する/取り付ける、接続する、支持する、および結合することを包含する。さらに、「接続される」、および「結合される」は、物理的または機械的な接続もしくは結合に限定されない。
【0016】
本明細書で図面を説明する場合に、上側、下側、下方向、上方向、後方向、底部、前方、後方などの方向の参照が行われることがあるが、これらの参照は、便宜上、図面(を普通に見たとき)に対して行われる。これらの方向は文字通りに解釈されるべきではなく、または、どんな形であれ、本発明を限定することは意図されていない。さらに、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、説明のために本明細書で使用されるが、相対的な重要性または意義を指示または意味することを意図していない。
【0017】
さらに、本発明の諸実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、および電子コンポーネントもしくはモジュールを共に含み、それらは、説明のために、コンポーネントの大部分がハードウェア中に単独で実装されるかのように例示され、述べられ得ることを理解されたい。しかし、当業者であれば、この詳細な説明を読んだことに基づき、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子ベースの態様がソフトウェアで実施され得ることが理解されるはずである。したがって、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造的コンポーネントが、本発明を実施するために使用され得ることに留意されたい。さらに、また次の段落で述べるように、図面で示された特有の機械的な構成は、本発明の諸実施形態を例示すること、および他の代替の機械的な構成も可能であることが意図されている。
【0018】
図1は、患者14に放射線療法を提供できる放射線療法治療システム10を示す。多くの場合、放射線は患者14の特定の部位または部分に送られるが、それはターゲット18として参照され、かつ示されている。放射線療法治療システム10はガントリ22を含む。図面に示されているガントリ22はリングガントリ、すなわち、完全に360°の弧で延びて完全なリングまたは円を作るガントリであるが、他のタイプの取付け構成もまた使用され得る。例えば、C型または部分的リングガントリを使用することもできる。患者に対して、様々な回転方向の、かつ/または軸方向の位置に放射線源を配置できる他の任意の構造物もまた、使用され得る。
【0019】
ガントリ22は放射線源26を支持する。放射線源26は、光子照射のビーム34を生成するために動作可能な直線加速器30、またはCo−60源を含むことができる。他の放射線源もまた使用され得る。例えば、コバルト60放射線源、または患者に対して療法上もしくは診断上で利点のある放射線を送達できる任意の他の源である。放射線源26はまた、放射線ビーム34を変更または変調するように動作可能な変調デバイス38を含むこともできる。変調デバイス38は、患者14に送達される光子照射の強度を変える、または変調するために必要な変調を行う。このような変調は、強度変調放射線治療(「IMRT」)と呼ばれる場合がある。
【0020】
変調デバイス38は、図2に示すようにコリメーションデバイス42を含むことができる。コリメーションデバイス42は、放射線ビーム34が通過できる開口部48の寸法を画定し、調整する1組の顎部46を含む。顎部46は、上側顎部50および下側顎部52を含む。上側顎部50および下側顎部52は、開口部48の寸法を調整するように移動可能である。下側顎部52はまた、1回のスライスのためのビーム34の幅を調整することもできる。
【0021】
コリメーションデバイス42はまた、強度変調を提供するために、第1と第2の位置の間を移動するように動作可能な複数のリーフアセンブリ54含む。リーフアセンブリ54のそれぞれは、第1と第2の位置の間を移動できるリーフ58を含む。複数のリーフアセンブリ54および顎部46は、放射線ビーム34がターゲット18に達する前に、放射線ビーム34の強度、寸法、および形状を変調する。顎部46は、開口部48の寸法が、治療パラメータに従って調整できるように、(モータ、エアシリンダ、リレー、液圧シリンダなど)作動子62によって独立して制御される。作動子62は、コンピュータ66、コントローラ、または同様のデバイスにより制御され得る。
【0022】
概して、放射線ビームスライスの厚さは、隣接するリーフアセンブリ54間の空間により画定される。スライス厚は、隣接するリーフアセンブリ54間の空間よりも狭いスライス厚に画定する位置に下側顎部52を閉じることにより変更することができる。複数のリーフアセンブリ54は、複数の放射線ビームスライスを画定し、複数の放射線ビームスライスにターゲット18を貫通させることができる。マルチスライス放射線療法を送達するための一技法は、各リーフアセンブリ54が、隣接するリーフアセンブリ54により治療される部位に達するまで治療スライスを提供することである。例えば、ガントリ22がターゲット18の周りを回転すると、リーフアセンブリ54は、順次、活動化されて、その治療スライスを送達する。あるいは、リーフアセンブリ54のすべて(または処方されたいくつか)が、治療スライスを送達するようにも活動化され得る。マルチスライス放射線療法を送達するための他の技法は、延長されたターゲット18に対して規定される。各リーフアセンブリ54は、図9に関して以下で論ずるように、ターゲット18の容積全体を治療するように放射線スライスを送達する。
【0023】
放射線療法治療システム10はまた、放射線ビーム34を検出するように動作可能な検出装置70(図1)、患者14を支持するための治療台74、およびコンピュータ66により提供される命令に基づいて、治療台74の位置を操作するように動作可能な駆動システム78を含むことができる。直線加速器30またはCo−60源および検出装置70はまた、患者14のCT画像を生成するためのコンピュータ断層撮影(CT)システムとして動作することもできる。直線加速器30は、患者14中のターゲット18に向けて放射線ビーム34を送る。ターゲット18および周囲組織は放射線の一部を吸収する。
【0024】
CT画像は、扇形の幾何形状、マルチスライス幾何形状、または円錐ビーム幾何形状を有する放射線ビーム34を用いて取得され得る。さらに、CT画像は、メガボルトまたはキロボルトのエネルギを送達する直線加速器30またはCo−60源を用いて取得され得る。取得されたCT画像は、放射線療法治療システム10から、または他のCTスキャナ、MRIシステム、およびPETシステムなど、他の画像取得デバイスからも取得され得ることもまた留意されたい。例えば、患者14のために前に取得されたCT画像は、識別された関心部位および/または危険な部位を含むことができる。患者14のために新たに取得されたCT画像は、前に取得されたCT画像と共に登録されて、新たなCT画像中で、関心の部位および/または危険な部位を識別するのを助けることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、放射線療法治療システム10は、X線源およびCT画像検出装置を含むことができる。X線源およびCT画像検出装置は、画像データを取得するために、直線加速器30またはCo−60源および検出装置70と同様な方法で動作する。画像データは、コンピュータ66に送信され、処理されて、患者の体組織および器官の断面画像または「スライス」を生成する。
【0026】
図2に示すコンピュータ66は、様々なソフトウェアプログラム、および/または通信アプリケーションを動作させるためのオペレーティングシステム82を含む。具体的には、コンピュータ66は、コンピュータ66と、放射線療法治療システム10またはレーザ位置決めシステムもしくは他のコンピュータなど、放射線治療プロセスを助ける他のデバイスとの間の通信を容易にするソフトウェアプログラムもしくはプログラム86を含むことができる。コンピュータ66は、医療人員または技術者によりアクセスされるように適合された適切な入力/出力デバイスを含むことができる。コンピュータ66は、プロセッサ、I/Oインターフェース、および記憶装置またはメモリなどの典型的なハードウェアを含むことができる。コンピュータ66はまた、キーボードおよびマウスなどの入力デバイスを含むことができる。コンピュータ66はさらに、モニタなどの出力デバイスを含むことができる。さらに、コンピュータ66は、プリンタおよびスキャナなどの周辺装置を含むことができる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、コリメーションデバイス42は、図2に示すように、複数のリーフアセンブリ54またはリーフバンクを含む。隣接するリーフアセンブリ54間の空間は、放射線ビーム34のための経路90(図3を参照)を画定する。1つのリーフアセンブリ54だけが本明細書で説明されているが、この説明は複数のリーフアセンブリ54のそれぞれに適用されることに留意されたい。リーフアセンブリ54は、複数のリーフ58を支持するように適合された支持構造体またはフレーム94を含む。リーフ58は、概して、互いに隣接して配置されるが、隣接するリーフ58間に空間を含むこともできる。さらに、リーフ58の側面は、例えば、さね継ぎ(tongue and groove)構成で、角度を付けるか、先細りにすることができ、隣接するリーフ間の放射線漏れの可能性を低減する。コリメータ42および/またはリーフアセンブリ54は、放射線ビーム34を減衰させるように、かつスライス厚を画定するように適合された放射線減衰材料(図3を参照)を有する一次コリメータ60を含むことができる。放射線減衰材料は、タングステン、タングステン合金、または他の適切な材料を含むことができる。放射線減衰材料60は、リーフ58の上に配置され、図3に示されたものよりも放射線源26に近接して配置することができる。減衰材料60は、放射線源26に対して分散するように配置されることに留意されたい。例えば、減衰材料60は、概して、図2に示されたリーフアセンブリの分散に従う。
【0028】
図3でより明確に示すように、リーフアセンブリ54は、フレーム94から、概して、下方向に延びる壁、または部材98を含む。部材98は第1の端部102、および第2の端部106を含む。部材98は、第1の端部102の近くに、複数の開口部110を含み(図2を参照)、それぞれが、リーフ58の1つの少なくとも一部分を受け入れるように適合される(以下を参照のこと)。部材98は、第2の端部106の近くに、部材98に対して実質的に直角をなす方向に延びるように適合されたリップ部114を含む。リップ部114は部材98の長さを延長し、複数のスリット118を含む。各スリット118は、リーフ58の1つの少なくとも一部分を受け入れるように適合される。フレーム94、部材98、およびリップ部114は、鋼または他の適切な材料から構成され得る。
【0029】
リーフアセンブリ54はまた、フレーム94および部材98に結合された複数のリーフガイド122を含むことができる。リーフガイド122は、隣接するリーフガイド122間に空間を有した状態で、部材98の長さに沿って第1の端部106の近くに配置される。各リーフガイド122は、リーフ58の1つの少なくとも一部分を受け入れるように適合された凹部126を含む。リーフガイド122は、リーフ58がシャフト130の周りを枢動するように、リーフ58を受け入れるように適合されたシャフト130を含む。
【0030】
各リーフ58は、第1の位置134から第2の位置138にその各シャフト130の周りを枢動するように適合される。例えば、リーフ58は、第1の位置134(閉鎖位置)から第2の位置138(開放位置)に、または第1の位置134と第2の位置138との間の位置に枢動することができる。リーフ58は、タングステン、タングステン合金、または他の適切な材料から構成され得る。
【0031】
リーフ58は、ばねまたは他の弾性デバイスなどの偏倚デバイス142を用いて、第1の位置134、例えば、閉鎖位置に向けて偏倚される。偏倚デバイス142はフレーム94に結合され、概して、部材98と平行な方向に延びる。偏倚デバイス142は、リーフ58に対して、概して下方向の力を加え、それにより、リーフ58を第1の位置134(閉鎖位置)へとシャフト130の周りで枢動させる。リーフ58の位置決めは、独立した作動子146(モータ、エアシリンダ、ソレノイド、液圧シリンダなど)によって制御されて、放射線の通過を可能にし、または遮断する。この構成では、作動子146は、空気圧により移動されるピストンを有するエアシリンダである。他の構成では、作動子146は、リーフ58を移動するための電気機械式手段または液圧手段を含むことができる。
【0032】
図2および図3で示すように、作動子146はピストン148を含み、それは部材98と概して平行な方向に移動して、上方向に向けた力をリーフ58に加える。この力は偏倚デバイス142を圧縮し、リーフ58を、第2の位置138に向かう方向に、または第1の位置134と第2の位置138の間の位置に移動させる。リーフ58に対するピストン148の上方向の力は、経路90を開放させて、放射線ビーム34が経路90を通過できるようにする。放射線ビーム34は、コリメーションデバイス42中の各リーフ58の位置に基づいて変調される。
【0033】
各作動子146は、コンピュータ66により制御される。コンピュータ66は、放射線量に対する処方を含む患者の治療計画に関する入力を、ソフトウェアプログラム86を介して受け取る。コンピュータ66は、治療計画を処理して、ガントリ22が患者14の周りを回転するとき、リーフ58および対応する作動子146のそれぞれの位置およびタイミングを決定する。例えば、例示の図2および図3の構成では、対応するリーフ58が第1の位置134から第2の位置138に移動し、処方された線量およびガントリ位置に基づき各経路90を放射線ビーム34が通過できるように、コンピュータ66は、作動子146の1つに対して、一定の距離を移動し、所定の時間期間の間、特定の位置に留まるように命令する。
【0034】
図3、図4A、および図4Bを参照すると、リーフ58は第1の部分150を含み、それは、リーフ58が、リーフガイド122のシャフト130上に配置され、かつ第2の位置138に配置されたとき、部材98に対して概して平行に延びる軸158を含む。第1の部分150は、第1の端部162および第2の端部166を含む(図4Bを参照のこと)。第1の端部162は、リーフガイド122のシャフト130を受け入れるように適合された開口部170と、第1の部分150の軸158に対して概して直角をなす方向に延びる延長部174とを含む。
【0035】
第1の部分150は、概して、軸150と平行に方向付けられた上側表面178と、概して、軸150と平行に方向付けられた下側表面182とを含む。下側表面182は、リーフ58が第2の位置138にあるとき、部材98と接触し、または実質的に接触する。下側表面182は長さ186を含み、部材98のリップ部114を超えて延びる。各リーフ58の下側表面182の長さ186は、互いに対して変化することができる。上側表面178は、リーフ58の下側表面182の長さ186に概して満たない長さ194を含む。各リーフ58の上側表面178の長さ194は、互いに対して変化することができる。第1の部分150はさらに、上側表面178と下側表面182とを接続する表面198を含む。表面198は、軸158に対して角度202で方向付けられている。角度202は、約10度から約75度の範囲とすることができる。表面198は、表面198の少なくとも一部分から外方向に延びる部材206を含む。部材206は、リーフ58が第1の位置134にあるとき、隣接するリーフアセンブリ54のリップ部114のスリット118中に受け入れられるように適合される。
【0036】
リーフ58の第1の部分150はまた、前方表面210および後方表面214を含む。リーフ58は、前方表面210に結合された前方部材218、および後方表面214に結合された後方部材222を含む。前方部材218については、ここで前方表面210に関してさらに説明し、後方部材222はこれ以上論ずることはないが、後方部材222は、後方表面214に対して同様に配置されることに留意されたい。
【0037】
前方部材218は、リーフ58の第1の部分150の上側表面178に対して、概して、同一平面である上側表面226を含む。例えば、前方部材218の上側表面226は、概して、リーフ58の軸158に対して平行である。前方部材218はまた、リーフ58の第1の部分150の下側表面182に対して概して同一表面である下側表面230を含む。例えば、前方部材218の下側表面230は、概して、リーフ58の軸158に対して平行である。前方部材218はさらに、上側表面226と下側表面230とを接続し、概して、リーフ58の第1の部分150の表面198に対して同一平面である表面234を含む。リーフ58の他の構成では、前方部材218の上側表面226、下側表面230、および表面234は、第1の部分150の各上側表面178、下側表面182、および表面198を超えて延びることができ、したがって、前方部材218の上側表面226、下側表面230、および表面234は、第1の部分150の上側表面178、下側表面182、および表面198と、それぞれ、同一平面ではない。
【0038】
図4Aおよび図4Bで示すように、リーフ58は、第1の部分150、前方部材218、および後方部材222の3つのコンポーネントを有するように示されているが、いくつかの構成では、リーフ58は、単一のコンポーネントとして構成される。リーフ58は、タングステン、タングステン合金、または他の適切な材料から構成される。
【0039】
複数のリーフアセンブリ54は、図5A〜図5Cに示されるように、放射線経路90(ビームレット)の配列250を作成する。放射線経路90の配列250は、放射線源26の時間的かつ空間的な変調を行う。経路90の配列250は、複数のスライスで患者14に放射線治療を送達することができる。単一のスライス254は、単一のリーフアセンブリ54の隣接するリーフ58の経路90により画定される。図5A〜図5Cは、単一のスライス254を垂直の列として、またリーフアセンブリ54を配列250中の列として示している。具体的には、図5Aは、各リーフ58が第1の(すなわち、閉鎖された)位置134にあるリーフアセンブリ54の配列を示す。図5Bは、各リーフ58が、第2の(すなわち、開放された)位置138にあるリーフアセンブリ54の配列を示す。図5Cは、いくつかのリーフ58が第1の位置134にあり、いくつかのリーフ58が第2の位置138にあるリーフアセンブリ54の配列を示している。
【0040】
図6は、コリメーションデバイス42の他の独立した構成を示す。コリメーションデバイス42は、複数のリーフアセンブリ270またはリーフバンクを含む。隣接するリーフアセンブリ270間の空間は、放射線ビーム34のための経路274を画定する。ここでは、1つのリーフアセンブリ270だけが説明されるが、複数のリーフアセンブリ270のそれぞれにこの説明が適用されることに留意されたい。リーフアセンブリ270は、複数のリーフ282を支持するように適合された支持構造体またはフレーム278を含む。リーフ282は、概して、互いに隣接して配置されるが、隣接するリーフ282を空間で分離することもできる。
【0041】
リーフアセンブリ270は、フレーム278から概して下方向に延びる壁または部材286を含む。部材286は、第1の端部290および第2の端部294を含む。部材286は、第1の端部290の近くに、第1の位置302(例えば、開放位置)から第2の位置306(例えば、閉鎖位置)に、または第1の位置302と第2の位置306の間の位置にリーフ282を移動させるように適合された作動子298を含む。フレーム278および部材286は、鋼または他の適切な材料から構成され得る。
【0042】
リーフ282は、概して、部材286と平行に延びる軸310を含む。リーフ282は、リーフ282が第1の位置302にあるとき、概して、軸310および部材286と平行となるように方向付けられた第1の表面314を含む。第1の表面314は、リーフ282が第1の位置302にあるとき、部材286と接触し、または実質的に接触する。第1の表面314は、部材286の第2の端部294を超えて延びる長さ318を含む。各リーフ282の第1の表面314の長さ318は、互いに対して変化させることができる。リーフ282はまた、概して、軸310および部材286に対して平行であるように方向付けられた、第1の表面314の反対側の第2の表面322を含む。第2の表面322は、概して、リーフ282の第1の表面314の長さ318に満たない長さ326を含む。各リーフ282の第2の表面322の長さ326は、互いに対して変化させることができる。第2の表面322は、隣接するリーフアセンブリ270の部材286と接触するように、または実質的に接触するように適合される。リーフ282はさらに、第1の表面314と第2の表面322を接続する第3の表面330を含む。第3の表面330は、軸310に対して角度334で方向付けられる。
【0043】
リーフ282は、ばねまたは他の弾性デバイスなどの偏倚デバイス338を用いて第2の位置306、例えば、閉鎖位置の方向に、あるいは、第2の表面322が隣接する部材286と実質的に接触する方向に偏倚される。リーフ282の位置決めは作動子298により制御される。この構成では、作動子298は、空気圧により移動されるピストンを有するエアシリンダである。他の構成では、作動子298は、リーフ282を移動させるための電気機械式手段、または液圧手段を含むことができる。図6で示すように、作動子298はピストン442を含み、それは、概して、部材286と平行な方向に移動して下方向の力をリーフ282に加え、その力が、偏倚デバイス338を圧縮し、リーフ282を、第1の位置302の方向に、または第1の位置302と第2の位置306の間の位置の方向に移動させる。リーフ282に対するピストン442の下方向力は、経路274を開放させ、放射線ビーム34が経路274を通過できるようにする。放射線ビーム34は、コリメーションデバイス42のこの構成における各リーフ282の位置に基づいて変調される。
【0044】
各作動子298はコンピュータ66により制御される。コンピュータ66は、放射線量に対する処方を含む患者の治療計画に関する入力を、ソフトウェアプログラム86を介して受け取る。コンピュータ66は、治療計画を処理して、ガントリ22が患者14の周りを回転するとき、リーフ282および対応する作動子298のそれぞれの位置およびタイミングを決定する。例えば、図6に例示された構成では、対応するリーフ282が第2の位置306から第1の位置302に移動して、処方された線量およびガントリ位置に基づき各経路274を通過する放射線ビーム34を減衰させるように、コンピュータ66は、作動子298の1つに対して、一定の距離を軸310に沿って移動し、所定の時間期間の間、特定の位置に留まるように命令する。
【0045】
複数のリーフアセンブリ270は、図5A〜図5Cに示すように、放射線経路274(ビームレット)の配列250を作成する。放射線経路274の配列250は、放射線源26の時間的かつ空間的変調を行う。経路274の配列250は、複数のスライスで患者14に放射線治療を送達することができる。単一のスライス254は、各リーフアセンブリ270のそれぞれの同じ位置における各リーフ282からの経路274を含む。例えば、単一のスライス254は、各リーフアセンブリ270の第1のリーフ282の経路274によって画定される。図5A〜図5Cは、単一のスライス254を水平の行として、リーフアセンブリ270を配列250における列として示している。具体的には、図5Aは、各リーフ282が第2の位置306にあるリーフアセンブリ270の配列を示す。図5Bは、各リーフ282が、第1の位置302にあるリーフアセンブリ270の配列を示す。図5Cは、いくつかのリーフ282が第1の位置302にあり、いくつかのリーフ282が第2の位置306にあるリーフアセンブリ270の配列を示している。
【0046】
図7および図8は、コリメーションデバイス42の他の構成を示す。この構成では、コリメーションデバイス42は、複数のリーフアセンブリ450を含む。隣接するリーフアセンブリ450間の空間は、放射線ビーム34のための経路454を画定する。各リーフアセンブリ450またはリーフバンクは、複数のリーフ462を支持するように適合された支持構造体またはフレーム458を含む。リーフ462は、概して、互いに隣接して配置されるが、隣接するリーフ462を空間で分離することもできる。
【0047】
リーフアセンブリ450は、概してフレーム458から下方向に延びる壁または部材466を含む。部材466は、第1の端部470および第2の端部474を含む。部材466は、第2の端部474の近くに、部材466に対して実質的に直角をなす方向に延びるように適合されたリップ部478を含む。図8に示すように、リップ部478は部材466の長さを延長することができ、いくつかの構成では、複数のスリット482を含む。各スリット482は、リーフ462の1つの少なくとも一部分を受け入れるように適合される。フレーム458、部材466、およびリップ部478は、鋼または他の適切な材料から構成され得る。
【0048】
リーフアセンブリ450は、フレーム458に結合されたシャフト486を含む。各リーフ462は、第1の位置490から第2の位置494へと、その各シャフト486の周りで枢動するように適合される。例えば、リーフ462は、第1の位置490(閉鎖位置)から、第2の位置494(開放位置)に、または第1の位置490と第2の位置494の間の位置に枢動することができる。リーフ462は、タングステン、または他の適切な材料から構成され得る。
【0049】
いくつかの構成では、リーフアセンブリ450は、フレーム458および部材466に結合された複数のリーフガイド498(図8)を含むことができる。リーフガイド498は、隣接するリーフガイド498間に空間を有した状態で、部材466の長さに沿って第1の端部470の近くに配置される。各リーフガイド498は、リーフ462の1つの少なくとも一部分を受け入れるように適合された凹部502を含む。リーフガイド498は、リーフ462が第1の位置490から、第2の位置494に、または第1の位置490と第2の位置494の間の任意の位置に移動するとき、リーフ462の位置を支持し、かつガイドするように適合される。
【0050】
リーフ462は、リーフが第2の位置494に配置されたとき、概して、部材466に平行に延びる軸506を含む。リーフ462は、リーフが第2の位置494に配置されたとき、概して、軸506および部材466に対して平行に方向付けられた第1の表面510を含む。第1の表面510は、部材466と接触し、または実質的に接触する。第1の表面510は、部材466の第2の端部474を超えて延びる。リーフ462はまた、概して、第1の表面510に平行となるように方向付けられた第2の表面514を含む。各リーフ462の第1の表面510および第2の表面514の長さは、互いに対して変化させることができる。リーフ462はさらに、第1の表面510と第2の表面514を接続する第3の表面518を含む。第3の表面518は、軸506に対して角度522で方向付けられている。
【0051】
いくつかの構成では、第3の表面518は、表面518の少なくとも一部分から外方向に延びる部材526または第2のリーフガイドを含むことができる。部材526は、リーフ462が第1の位置490にあるとき、隣接するリーフアセンブリ450のリップ部482のスリット502中に受け入れられるように適合される。部材526は、リーフ462が、第1の位置490から第2の位置494に、または第1の位置490と第2の位置494の間の任意の位置に移動したとき、リーフ462の位置を支持し、かつガイドするように適合される。
【0052】
リーフ462は、ばねまたは他の弾性デバイスなどの偏倚デバイス530を用いて、第1の位置490、例えば、閉鎖位置の方向に偏倚される。リーフ462の位置決めは、独立した作動子534により制御される。この構成の作動子534は、プルタイプのソレノイド538を含み、複数のプルタイプソレノイドを含むことができる。ソレノイド538は、リーフ462に結合されたリンク542またはプランジャを含む。リンク542は、リーフ462の第1の表面510の近くでリーフ462に結合され得る。プルタイプソレノイド538は、磁場が生成されたとき、リンク542を用いてリーフ462に第2の位置494の方向に(例えば、部材466の方向に)力を加え、または引くように動作する。磁場の生成は、リーフ462に放射線ビーム34が通過するための経路454を開放させる。磁場が非活動化されると、偏倚デバイス530がリーフ462に力を加え、リーフ462を第1の位置490の方向に(例えば、隣接するリーフアセンブリ450の部材466の方向に)押す。放射線ビーム34は、各リーフ462の位置に基づいて変調される。
【0053】
各作動子534はコンピュータ66により制御される。コンピュータ66は、放射線量に対する処方を含む患者の治療計画に関する入力を、ソフトウェアプログラム86を介して受け取る。コンピュータ66は、治療計画を処理して、ガントリ22が患者14の周りを回転するとき、リーフ462および対応する作動子534のそれぞれの位置およびタイミングを決定する。例えば、図7および図8に例示された構成では、対応するリーフ462が第1の位置490から第2の位置494に移動して、処方された線量およびガントリ位置に基づき各経路454を通過する放射線ビーム34を減衰させるように、コンピュータ66は、ソレノイド538の1つに対して、所定の時間期間の間、磁場を生成し、または磁場を非活動化するように命令する。
【0054】
複数のリーフアセンブリ450は、図5A〜図5Cで示す放射線経路454(ビームレット)の配列250を作成する。リーフアセンブリ450の配列250は、複数のスライス254で患者14に放射線治療を送達することができる。放射線経路454の配列250は、放射線源26の時間的かつ空間的な変調を行う。単一のスライス254は、各リーフアセンブリ450のそれぞれ同じ位置における各リーフ462の経路454を含む。例えば、単一のスライス254は、各リーフアセンブリ450の第1のリーフ462の経路454によって画定される。図5A〜図5Cは、単一のスライス254を水平の行として、またリーフアセンブリ450を配列250の1つの列として示している。具体的には、図5Aは、各リーフ462が第1の位置490にあるリーフアセンブリ450の配列を示す。図5Bは、各リーフ462が、第2の位置494にあるリーフアセンブリ450の配列を示す。図5Cは、いくつかのリーフ462が第1の位置490にあり、いくつかのリーフ462が第2の位置494にあるリーフアセンブリ450の配列を示している。
【0055】
コリメーションデバイス42のいくつかの構成では、センサ558または複数のセンサが、各リーフアセンブリ54、270、および450の各リーフ58、282、および462で使用され得る。センサ558は、偏倚デバイス142、338、および530の変位量を検出することができ、リーフ58、282、および462が、開放、閉鎖、開放動作中、または閉鎖動作中であるかどうかを判定する。センサ558はまた、リーフ58、282、および462が、開放、閉鎖、開放動作中、または閉鎖動作中であるかどうかを判定するために、ピストンおよび/または作動子の移動を検出するように配置することもできる。
【0056】
図9は、本発明のコリメーションデバイス42を用いた放射線送達方法を概略的に示す。コリメーションデバイス42は、複数のリーフアセンブリ550(各リーフアセンブリ550は、各行の影付きボックスの1つで表される)を含み、各リーフアセンブリ550は複数のリーフ554を含む。リーフアセンブリ550は、複数の行で方向付けられており、1つの行のリーフアセンブリ550は、隣接する行のリーフアセンブリ550に対してオフセットされている。リーフアセンブリ550は、上記で述べたリーフアセンブリ54、270、または450の形態とすることができる。同様に、リーフ554は、上記で述べたリーフ58、282、または462の形態とすることができる。各リーフアセンブリ550は、放射線源からの異なる分散を有する放射線経路を画定する。
【0057】
ガントリ回転の軸におけるリーフアセンブリ550相互間の距離(S)、放射線スライス幅(w)、およびガントリ回転ごとの治療台の移動距離(D)は、スライス間の接合効果を最小化し、最適な放射線送達を達成するように調整され得る。ピッチは、回転の軸における軸方向ビーム幅に対する、完全にガントリ回転するための治療台の移動距離である。距離Dがwに等しく設定された場合、スライス(S)とスライス幅(w)の間で適切な間隔を選択することにより、実ピッチが1、仮想ピッチが1未満で、延長された距離に対して放射線を送達することができる。放射線送達のためのこの方法は、リーフアセンブリ550の異なる分散により生成される結合作用を回避するので、線量のリップルを最小化することができる。例えば、3つのスライスコリメータの場合、回転ごとに移動される治療台の距離(D)が、選択されたスライス幅(w)に等しく設定され、かつスライス間隔(S)が、数式1により定義されるように選択された場合、
【0058】
【数1】

【0059】
1/3の仮想ピッチを有する送達が作成されることになる(すなわち、患者の各位置は、3つのコリメートされたスライスのそれぞれで照射される)。これは遠位のリーフアセンブリ550を超えるスライスにも適用される。
【0060】
図9に示す実施形態は、延長されたターゲット距離で使用することができる。各リーフアセンブリ550は、ターゲット容積全体を貫通する治療スライスを提供する。この実施形態では、下側顎部52が移動して、患者14を照射することのできるリーフアセンブリ550を決定し、選択されたリーフアセンブリ550は、ガントリ22が回転すると、ターゲット18に対して放射線スライスを送達する。
【0061】
上記で述べた様々な構成の任意の1つにおけるコリメーションデバイス42は、Co−60放射線療法装置と共に使用され、強度変調放射線治療を提供することができる。さらに、リニアックベースのIMRT装置は、より低い線量を使用し、または短い治療時間で使用することもできる。それはさらに、より大きな容積を治療するために、重複フィールド(患者シフト(shift patient))またはオフセットユニットの使用を可能にする。回転平面におけるよりよい解像度のために、180度のコリメータ回転を使用することができる。リーフ相互間の漏れを低減するために、リーフ相互間のさね継ぎ接続を組み込むことができる。さらに、マルチスライスコリメーション放射線療法は、放射線部門の作業負荷のかなりの割合を占める特有の部位(例えば、頭部および首)に対する専用ユニットとして、変更可能な選択肢とすることができる。
【0062】
本発明の様々な特徴および利点は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】放射線療法治療システムの斜視図である。
【図2】図1に示す放射線療法治療システムで使用できる本発明の一実施形態によるマルチリーフコリメータの斜視図である。
【図3】図2のマルチリーフコリメータの側面図である。
【図4A】図2のマルチリーフコリメータのリーフの図である。
【図4B】図2のマルチリーフコリメータのリーフの図である。
【図5A】図2および図6〜図8のマルチリーフコリメータのリーフの配列を概略的に示す図である。
【図5B】図2および図6〜図8のマルチリーフコリメータのリーフの配列を概略的に示す図である。
【図5C】図2および図6〜図8のマルチリーフコリメータのリーフの配列を概略的に示す図である。
【図6】図2のマルチリーフコリメータの他の構成の側面図である。
【図7】図2のマルチリーフコリメータの他の構成の側面図である。
【図8】図2のマルチリーフコリメータの他の構成の側面図である。
【図9】図2のマルチリーフコリメータを用いて放射線を送達する方法を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線療法治療システムであって、
複数のリーフアセンブリを含むコリメータを備え、
前記リーフアセンブリは、
支持構造体と、
前記支持構造体により支持され、前記支持構造体から延びる複数の部材と、
前記部材の1つによりそれぞれが支持され、作動したとき第1の位置と第2の位置との間を移動するように適合された複数のリーフと、を有し、
前記リーフアセンブリの配置は2次元配列を提供し、前記コリメータが、独立したビームレットの合計として放射線を送達するように動作可能である、放射線療法治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフおよび前記部材に結合された作動子をさらに備え、前記作動子は、前記リーフを第1の位置と第2の位置との間で選択的に移動させるように動作可能である、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、ガントリおよびコントローラをさらに備え、前記コントローラは、放射線治療計画および前記ガントリの位置に基づき、前記作動子に選択的に命令して、前記リーフを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させるように動作可能である、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方が閉鎖位置であり、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方が開放位置である、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフが、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方にあるとき、前記リーフが放射線を遮断するように動作可能であり、また前記リーフが、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方にあるとき、前記リーフが放射線を通過させるための経路を生成する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフを閉鎖位置に偏倚させるための手段をさらに備える、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記コリメータがさらに、前記リーフ上に配置された減衰材料をさらに備える、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフが、前記配列中で垂直に配置される、システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記リーフアセンブリのそれぞれが複数のリーフを含み、前記リーフアセンブリおよび前記リーフの配置が、放射線ビームの時間的および空間的な変調を提供するための2次元配列を提供する、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフが、前記リーフから外方向に延びる部材を含み、前記部材が、前記リーフが閉じた位置にあるとき、隣接するリーフアセンブリのスリットに係合する、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフが、前記第1の位置と第2の位置との間を枢動するように動作可能である、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、前記リーフアセンブリのそれぞれが、複数の行で方向付けられており、1つの行の前記リーフアセンブリが隣接する行のリーフアセンブリに対してオフセットされている、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記リーフアセンブリの前記オフセット配置が、単一の行における前記リーフアセンブリ相互間の間隙を提供する、システム。
【請求項14】
放射線療法治療システムであって、
ガントリと、
前記ガントリにより支持され、複数のリーフアセンブリを含むコリメータとを有し、前記リーフアセンブリの各々は、
支持構造体と、
前記支持構造体により支持され、前記支持構造体から延びている複数の部材と、
複数のリーフとを有し、前記複数のリーフは、前記部材の1つによりそれぞれ支持され、作動したとき移動するように適合され、
前記リーフアセンブリはさらに、前記リーフの1つに結合された複数の作動子を有し、前記作動子は、前記部材の1つによりそれぞれ支持され、
前記リーフアセンブリの配置は2次元配列を提供し、
前記システムはさらに、前記作動子に選択的に命令して、前記リーフを移動させ、放射線ビームの時間的かつ空間的な変調を提供するように動作可能なコントローラとを備える、放射線療法治療システム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、前記コントローラが、放射線治療計画および前記ガントリの位置に基づいて、各リーフを移動させるように作動子に命令する、システム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、前記作動子が、前記リーフを作動させ、第1の位置と第2の位置との間で前記リーフを移動させるように適合される、システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方が閉鎖位置であり、前記第1の位置および前記第2の位置のうちの一方が開放位置である、システム。
【請求項18】
請求項14に記載のシステムであって、前記リーフアセンブリのそれぞれが、複数のリーフを含み、前記リーフアセンブリおよび前記リーフの配置が2次元配列を提供し、前記コリメータが、複数のスライスで患者に放射線を送達するように動作可能である、システム。
【請求項19】
請求項14に記載のシステムであって、前記リーフが、前記ガントリにより支持された放射線源に対して前記配列中に分散するように配置される、システム。
【請求項20】
請求項14に記載のシステムであって、前記リーフが前記配列中で垂直に配置される、システム。
【請求項21】
請求項14に記載のシステムであって、前記リーフが、枢動するように動作可能である、システム。
【請求項22】
放射線療法治療システムであって、
コリメータと、
前記コリメータにより支持された、患者に複数の放射線スライスを送達するための手段と、を備える放射線療法治療システム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、ガントリをさらに備え、前記複数の放射線スライスが、1回のガントリ回転中に前記患者に送達される、システム。
【請求項24】
請求項22に記載のシステムであって、前記送達手段が、第1の位置と第2の位置との間で枢動するように動作可能な複数のリーフを含む、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−531172(P2008−531172A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557630(P2007−557630)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001899
【国際公開番号】WO2007/012933
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(507289209)
【Fターム(参考)】