説明

放射線モニタシステム

【課題】複数の測定点の放射線レベルを検出して集約監視する放射線モニタシステムにおいて、表示装置に表示する各測定点の情報がプラント毎に固有であるため表示装置の画面仕様がプラント毎に異なる。
したがって、これらの画面仕様の異なる表示をカスタマイズ可能にする。
【解決手段】プラント毎に可変する画面描画用データ13のみを放射線モニタ2の外部のパソコン12などに記憶させ、画面仕様の変更などに際してパソコン12から画面描画用データ13を取り出し、描画機能手段9により表示手段4の画面上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線量を監視するための放射線モニタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントなどにおいて、原子炉建屋、あるいは作業環境など複数の測定点の放射線レベルを連続的、定期的あるいは必要に応じて集約監視するために放射線モニタが設置されている。
【0003】
図2に従来の放射線モニタシステムの概略構成を示す。図2において、1a、1b…は原子力発電所内の複数の測定点に設けられた放射線検出器、2は放射線モニタで、放射線検出器1a、1b…で検出された測定点の放射線量を示す測定データが入力され、測定データを監視する監視演算機能手段3と、測定点の放射線量を表示する表示手段4と、監視演算機能手段3に接続された出力手段5とから構成されている。
【0004】
出力手段5には警報器6、レコーダ7が接続されている。
このように構成された従来の放射線モニタシステムでは、放射線検出器1a、1b…で検出された測定データはケーブル8を介して放射線モニタ2の監視演算機能手段3に送られる。
【0005】
監視演算機能手段3では測定データと基準値とを比較するなど必要なデータ演算処理を行い、出力手段5を介して外部の警報器6に出力して警報を出力したり、あるいはレコーダ7に放射線量を記録したりする。
【0006】
また同時に、演算処理された測定データは監視演算機能手段3から表示手段4に送られ、CRTなどの画面上に表示される(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−337169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の放射線モニタシステムでは、表示手段の画面のデザイン等の種類は一種類に固定されていた。
しかし、放射線モニタシステムを納入するユーザ側のプラント毎にヒューマン・マシン・インターフェースに係る操作性や見栄えなどの要求により、表示手段に表示する各測定点の情報がプラント毎またはシステム毎に固有であり、表示手段の画面仕様が異なる場合がある。
【0008】
もしユーザー毎の要求される異なる画面仕様を満たそうとすると、その画面仕様ごとに監視演算機能手段3に改良を加え、新たな放射線モニタを開発、製造する必要があり、開発に係るコスト、時間が多大となり、面倒であった。
【0009】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、同一の構造の放射線モニタで、運転上重要な監視演算機能手段を変更することなく、画面描画用データのみを変更でき、画面仕様の変更が容易にできる放射線モニタシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するために本発明の放射線モニタシステムは、放射線量を検出する放射線検出器と、前記放射線検出器から入力される測定データを演算処理し監視する監視演算機能手段と、前記監視演算機能手段で演算処理された測定データを表示処理する描画機能手段と、前記描画機能手段で表示処理された測定データを表示する表示手段と、データインターフェースを通して外部から伝送される画面描画データを保存して前記描画機能手段に画面描画データを送るデータ保存手段とからなる放射線モニタであって、前記描画機能手段は、画面描画データの画面仕様に従って測定データを表示処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の放射線モニタシステムによれば、、同一の構造の放射線モニタで、運転上重要な監視演算機能手段を変更することなく、画面描画用データのみを変更でき、画面仕様の変更が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態の説明において、図2に示す従来の放射線モニタシステムと同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態による放射線モニタシステムを示すブロック図である。
図1において、1a、1b…は放射線検出器、2は放射線モニタで、監視演算機能手段3と、この監視演算機能手段3に接続され、表示画面を処理する描画機能手段9と、この描画機能手段9に接続された表示手段4と、画面描画用データ保存手段10と、画面描画用データインターフェース11とから構成されている。
【0014】
12は外部に設けられた例えばパソコンなどの計算機で、内部にシステム毎に固有の画面描画用データ13を記憶し、画面描画用データインターフェース11を介して放射線モニタ2の画面描画用データ保存手段10と接続されている。
【0015】
次に上記のごとく構成された放射線モニタシステムの作用について説明する。
放射線検出器、1a、1b…からの測定データは放射線モニタ2の監視演算機能手段3において演算処理され、モニタすべき複数の値に変換される。
【0016】
ここで求められた値は、描画機能手段9に伝送され、描画機能手段9の機能によって画面描画用データ保存手段10から送られてくるシステム毎に固有の画面仕様に従って表示手段4に表示処理される。
【0017】
表示すべき値は複数有り、描画機能手段9では、表示手段4のどの座標にどの値を書き込むべきかを画面描画用データ保存手段10の設定データから定める。
【0018】
ここで、画面描画用データ保存手段10のデータとしては、表示すべき値の座標、画面上に映し出される数値に対する枠、客先のロゴ、製造者の商標、表示する文字あるいは数字の形状情報などがある。
【0019】
これらのシステム固有の画面描画用データは外部の計算機12に記憶されており、ここから、画面描画用データインターフェース11を通して、画面描画用データ保存手段10に伝送される。
【0020】
また、放射線モニタ2に計算機12等に向けてそうした画面描画用データを転送する仕組みを有しても良く、逆にリバースエンジニアリング等を避けるため、放射線モニタ2側から計算機12側へのデータ転送を行わないような構造をとったり、その両者をスイッチ等により選択できる機構を有しても良い。
【0021】
以上のように本実施の形態による放射線モニタシステムであると、画面描画用データ保存手段10のデータを客先の画面仕様ごとに計算機12の画面描画用データ13から取り寄せて、変更することで様々な顧客のヒューマン・マシン・インターフェースの要求に従って表示手段4の画面描画を変更することができる。
【0022】
これにより、システム運転上重要な監視演算機能手段を変更することなく、画面描画データのみを変更すればよいので、画面仕様の変更や、放射線モニタを呼びのモニタに交換する場合の作業が容易となる。
【0023】
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、画面描画用データインターフェース11としてシリアル伝送、例えばRS−232CやUSBを使用した画面描画用データインターフェースを用いる。
【0024】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ保存手段10とシリアルインターフェースコネクタとをケーブルで接続することで計算機12から画面描画用データ13を画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
このような構成とすることで、シリアルインターフェースを有する計算機であれば画面描画用データ保存手段10の画面描画用データ13を変更することができるようになる。
【0025】
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、画面描画用データインターフェース11としてパラレル伝送USBを使用した画面描画用データインターフェースを用いる。
【0026】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ保存手段12とパラレルインターフェースコネクタとをケーブルで接続することで計算機12から画面描画用データ13を画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
【0027】
このような構成とすることで、パラレルインターフェースを有する計算機であれば画面描画データ保存手段10の画面描画用データ13を変更することができるようになる。
【0028】
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、画面描画用データインターフェース11としてイーサーネットを用いる。
【0029】
これにより、計算機12の画面描画用データ13をローカルエリアネットワークを通して画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
【0030】
実際に製品を製造する際には複数台の放射線モニタ2に計算機12から画面描画用データ13を送る必要があるが、このような構成を取り、ネットワーク上に複数台の放射線モニタ2を繋ぐことでネットワークに接続された一台の計算機12でまとめて各放射線モニタ2に画面描画用データ13を送ることができる。
【0031】
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、第2の実施の形態から第4の実施の形態において、画面描画用データインターフェース11として専用のデータ伝送プロトコルを有する画面描画用データインターフェースを用いる。
【0032】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ保存手段10と専用のデータ伝送プロトコルを有した画面描画用データインターフェースとをケーブルで接続することで計算機12から画面描画用データ13を画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
【0033】
このような構成とすることで、専用のデータ伝送プロトコルを有した計算機12からのみ画面描画用データ13を変更することができ、そうしたプロトコルを有さない第3者による改変を防ぐことができる。
【0034】
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、第2の実施の形態から第4の実施の形態において、画面描画用データインターフェース11として専用の形状のコネクタを有する画面描画用データインターフェースを用いる。
【0035】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ保存手段10と計算機12とを専用のコネクタを有したケーブルで接続することで計算機12から画面描画用データ13を画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
【0036】
このような構成とすることで、専用のケーブルを用いてのみ計算機12から画面描画用データ13を変更することができ、そうしたケーブルを有さない第3者による改変を防ぐことができる。
【0037】
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、第1の実施の形態から第6の実施の形態において、画面描画用データインターフェース11に暗号化機能を有するインターフェースを用いる。
【0038】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ13をその暗号化を行うことのできる計算機からのみ画面描画用データ保存手段10に送ることができる。
この際の暗号化としては、互いにパスワードを設定する方式でも良いし、秘密鍵と公開鍵からなる鍵暗号方式を用いても良い。
【0039】
このような構成とすることで、暗号化を行った通信を行える設定となった計算機のみから画面描画用データ13を変更することができ、暗号化の設定がされていない計算機による改変を防ぐことができる。
【0040】
次に本発明の第8の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、第1の実施の形態において、画面描画用データインターフェース11を削除し、画面描画用データ保存手段10に、取り外し可能な画面データを記録するメモリを設ける。
【0041】
これにより、放射線モニタ2の画面描画用データ13を取り外し可能な画面データを記録するメモリを交換することで変更することができる。
このような構成とすることで、計算機が無くても画面描画用データ13を変更することができる。
【0042】
また、取り外し可能な画面データを記録するメモリそのものから読み出す構成とするのではなく、このメモリから画面描画用データ保存手段10の取り外し不可能な画面データ保存用メモリに一旦転送した上でこの取り外し不可能な画面データ保存用メモリのデータを画面描画用データとしても良い。
【0043】
こうすることで、1つの画面描画用データが図示可能な画面データ保存用メモリを複数の放射線モニタ2に入れ替えることで、すべての放射線モニタ2の画面描画用データを変更することができる。
【0044】
なお、上記実施の形態の説明においては放射線モニタとしているが、核計装等他の用途のモニタに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態による放射線モニタシステムを示すブロック図。
【図2】従来の放射線モニタシステムを示すブロック図。
【符号の説明】
【0046】
1a,1b…放射線検出器、2…放射線モニタ、3…監視演算機能手段、4…表示手段、8…ケーブル、9…描画機能手段、10…画面描画用データ保存手段、11…画面描画用データインターフェース、12…計算機、13…画面描画用データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線量を検出する放射線検出器と、
前記放射線検出器から入力される測定データを演算処理し監視する監視演算機能手段と、前記監視演算機能手段で演算処理された測定データを表示処理する描画機能手段と、前記描画機能手段で表示処理された測定データを表示する表示手段と、データインターフェースを通して外部から伝送される画面描画データを保存して前記描画機能手段に画面描画データを送るデータ保存手段とからなる放射線モニタであって、
前記描画機能手段は、画面描画データの画面仕様に従って測定データを表示処理することを特徴とする放射線モニタシステム。
【請求項2】
前記データインターフェースとして、シリアル伝送のインターフェースを用いたことを特徴とする請求項1記載の放射線モニタシステム。
【請求項3】
前記データインターフェースとして、パラレル伝送のインターフェースを用いたことを特徴とする請求項1記載の放射線モニタシステム。
【請求項4】
前記データインターフェースとして、イーサーネットのインターフェースを用いたことを特徴とする請求項1記載の放射線モニタシステム。
【請求項5】
前記データインターフェースとして、データ伝送プロトコルをもつインターフェースを用いたことを特徴とする請求項1記載の放射線モニタシステム。
【請求項6】
前記データインターフェースとして暗号化機能を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放射線モニタシステム。


【図1】
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【図2】
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