説明

放射線モニタ

【課題】放射線源を光パルスに置き換えたときに、放射線の測定値が実際より高い指示値を示す点を是正することができる放射線モニタを提供する。
【解決手段】放射線モニタは、放射線及び光に感度を有するセンサ部1と、信号増幅部及び波高弁別部を含む信号処部2と、正常動作を確認するために周期的に光パルス11を発生する発光部5と、この発光部5の動作を制御する発光制御部6と、この発光制御部6からの信号aと信号処理部2からの信号bの同時計数をとる同時計数部7と、測定結果又は警報を表示する表示部4と、を備え、発光制御部6からの発光制御信号aと信号処理部2からの光パルス11の検出信号bとの同時計数をとることにより光パルス11による検出信号を弁別し、一定回数連続で同時計数信号が得られなかったときに故障と判定すること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線を監視する放射線モニタに係り、特に光パルスを用いた動作確認手法を備えた放射線モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来使用されている放射線モニタは、センサ部に放射線源を搭載し、その線源により常にセンサ部に一定の放射線を入射させ、指示値が常に一定以上の値を示すことをもって正常動作を確認している。
【0003】
しかし、この方法は放射線源を使用するため、管理が煩雑になるという短所がある。
【0004】
一方で、放射線源を使わないで正常動作を確認する手法としては、放射線源の代わりに光パルスを用いる方法がある。この方法は、正常動作を確認するだけでなく、光パルスによる検出信号の影響を受けないようにする等の放射線源を用いた手法にはない対策を講じる必要があることが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特公平5−62708号公報
【特許文献2】特公平6−72930号公報
【特許文献3】特開2008−82848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の光パルスにより動作確認を行う放射線モニタについて図6を用いて説明する。
【0006】
図6は、従来の放射線モニタの概略構成を示すブロック図である。
【0007】
従来の光パルスによって動作確認を行う放射線モニタは、放射線を検知するセンサ部1と、この検知された放射線に係る信号を処理する信号処理部2と、この信号により演算する演算部3と、この演算された結果を表示する表示部4と、光パルス11を発生させる発光部5と、この発光部5を制御する発光制御部6と、を有する。
【0008】
この構成は、放射線源によって動作確認行う放射線モニタにおいて、放射線源を発光部5と発光制御部6で置き換えたものと見ることができる。
【0009】
まず、従来の光パルスによって動作確認を行う放射線モニタにおいて、光パルス11の検出信号も測定対象からの放射線による検出信号と同様に処理されるため、放射線の測定値が実際より高い指示値を示すという課題があった。このことは、放射線源による動作確認手法においても同様の課題があり、測定対象の放射線レベルが低いときに特にこの影響は大きくなる。
【0010】
つぎに、光パルスによる動作確認手法において、発光部5と発光制御部6に係り、突然の回路故障や予期しないドリフトが起こりうるという課題があった。一方、放射線源による動作確認手法においては、放射線源の半減期に従った減衰はあるが、このような予期しない変化が起こることはない。
【0011】
さらに、光パルスによる動作確認手法においては、光パルスの発光量は一定であるため、センサ感度がドリフトした場合でも指示値は変わらず、ある一定の感度まで低下したところで突然指示値が低下するという課題があった。一方、放射線源による動作確認手法では、放出される放射線のエネルギーが単色であっても、線源自体や周囲の構造物による散乱の影響を受けるため、センサ部で検出される時にはある程度のエネルギー幅を持つ。これにより、センサ感度の変化は指示値の変化として表れるため、センサ感度のドリフトを監視することができる。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、放射線源を光パルスに置き換えたときに、放射線の測定値が実際より高い指示値を示す点を是正することができる放射線モニタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の放射線モニタにおいては、放射線及び光に感度を有するセンサ部と、信号増幅部及び波高弁別部を含む信号処部と、正常動作を確認するために周期的に光パルスを発生する発光部と、この発光部の動作を制御する発光制御部と、この発光制御部からの信号と前記信号処理部からの信号の同時計数をとり、一定回数連続で同時計数信号が得られなかったときに故障と判定する同時計数部と、測定結果又は警報を表示する表示部と、を備えことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の放射線モニタによれば、発光制御部からの発光制御信号と信号処理部からの光パルスの検出信号との同時計数をとることにより、放射線源を用いることなく常時の動作確認を行い、放射線の測定結果から光パルスの影響を除き、光パルスによる動作確認機構の信頼性を高め、センサ感度の変化を監視することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る放射線モニタの実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図である。
【0017】
まず、放射線モニタの構成について、図1を用いて説明する。
【0018】
本図に示すように、放射線モニタは、放射線及び光に感度を有するセンサ部1と、信号増幅部及び波高弁別部を含む信号処部2と、正常動作を確認するために周期的に光パルス11を発生する発光部3と、この発光部3の動作を制御する発光制御部6と、この発光制御部6からの発光制御信号aと信号処理部2からの検出信号bの同時計数をとる同時計数部7と、信号処理部2から出力されたパルス信号を演算する演算部3と、演算部3で演算された値や警報を表示する表示部4と、を備えている。
【0019】
センサ部1は、放射線だけでなく光にも感度を持つ半導体素子である。例えば、γ線や光パルスがセンサ部1に入射すると、入射した放射線のエネルギーや光パルスの発光量に応じた波高値を持つ信号が出力され、信号処理部2に送られる。
【0020】
なお、センサ部1として、シリコンやテルル化カドミウム等の半導体素子を用いることを想定しているが、シンチレータと光電子増倍管等の組み合わせ等によるセンサ部を用いてもよい。
【0021】
また、ここで用いられる光については、LEDによる可視光を想定しているが、それに限らず紫外又は赤外領域の光を利用してもよい。
【0022】
信号処理部2は、図示しない信号増幅部及び波高弁別部を備えている。センサ部1で出力された信号をこの信号増幅部で増幅した後に、波高弁別部である波高弁別回路により一定以上の波高値を持つ信号のみを弁別し、対応するパルス信号を出力する。
【0023】
演算部3は、信号処理部2から出力されたパルス信号をカウントし、例えば1cm線量当量(率)等の放射線モニタで表示させる単位に換算すると共に、換算された値が規格内であるかどうかを判定し、規格外であれば警報信号を出力する。表示部4は、演算部3で換算された値や警報を表示する。
【0024】
発光制御部6は、パルス状の発光制御信号aを一定のパルス幅と周期、例えばパルス幅0.1μs、周期1sで出力する。発光部5は例えばLEDより構成され、発光制御信号aが入力されると、それに応じた光パルスを発生してセンサ部1を照射する。センサ部1は光パルス11の光量に応じた信号を信号処理部2に出力し、信号処理部2からの検出信号は同時計数部7に入力される。
【0025】
同時計数部7について図2を用いて説明する。
【0026】
図2は、図1の同時計数部7における正常時のタイミングチャートを示す説明図で、(a)は発光制御部6から出力される発光制御信号aを示すグラフ、(b)は信号処理部2から出力される光パルスと放射線による検出信号bを示すグラフ、(c)は発光制御信号aと検出信号bの同時計数をとった同時計数信号cを示すグラフである。
【0027】
図2(a)に示すように、発光制御部6から出力される信号を発光制御信号aとし、図2(b)に示すように、信号処理部2から出力される光パルスと放射線による信号を検出信号bとし、図2(c)に示すように、両者の同時計数をとったものを同時計数信号cとする。また、図2(b)において、検出信号bに現れている周期的ではない信号は、放射線の検出信号dを示す。
このように構成された本実施の形態において、同時計数部7は、信号処理部2からの検出信号bと、発光制御部6からの発光制御信号aの同時計数をとる。同時計数部7に発光制御信号aが入力されると、パルス幅よりも長い時間、例えば1μsの間、入力信号が保持される。この保持たれている間に検出信号bが入力されると、図2(c)に示す同時計数信号cが得られる。光パルスによる検出信号bは、発光制御信号aとほぼ同時に入ってくるため、この同時計数信号cは、放射線モニタが正常に動作していれば、図2(b)に示すように発光制御信号bと同じ周期で得られる。この同時計数信号cが、ある一定回数連続で得られなかったときには、同時計数部7から故障信号eを出力し、表示部4で故障が表示される。
【0028】
また、同時計数信号cは、発光制御信号aと放射線の検出信号bによるものであって、判別することはできない。このときは、放射線の検出信号が得られていることにより正常動作が確認できるために、故障信号eが出力されなくても支障はない。
【0029】
さらに、同時計数信号cは、検出信号bから光パルスによる検出信号のみが弁別されたものと考えられるために、同時計数信号cを演算部3に入力し、検出信号bから差し引くことにより、光パルスによる検出信号を除いた放射線のみによる指示値を得ることができる。また、このような処理を行わず、放射線源を使用したときのように、指示値が一定値以上を保つようにすることもできる。
【0030】
本実施の形態によれば、発光制御部6からの発光制御信号aと信号処理部2からの光パルスの検出信号bとの同時計数をとることにより光パルス11による検出信号を弁別し、一定回数連続で同時計数信号が得られなかったときに故障と判定することができる。かくして、放射線の測定結果から光パルス11の影響を除き、光パルス11による動作確認機構の信頼性を高め、センサ感度の変化を監視することでき、放射線源を用いることなく常時の動作確認を行い、放射線の測定結果から光パルス11の影響を除き、光パルス11による動作確認機構の信頼性を高め、センサ感度の変化を監視することできる。
【0031】
図3は、本発明の第2の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図である。図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0032】
本図に示すように、本実施の形態の放射線モニタは、図1に示す放射線モニタに光源切替部8を設けたものである。この光源切替部8は、発光部5の光源を切り替えるものである。
【0033】
この発光部5は、予備の光源を含む複数の光源、例えば2個のLEDを備えている。発光制御部6から発光制御信号aが入力されると、光源切替部8により選択されている1つのLEDが、入力信号に応じた光パルス11を発生してセンサ部1を照射する。センサ部1は光パルス11の光量に応じた信号を信号処理部2に出力する。信号処理部2からの検出信号bは同時計数部7に入力される。
【0034】
この同時計数部7において、信号処理部2からの検出信号bと、発光制御部6からの発光制御信号aの同時計数をとる。図2(c)に示す同時計数信号cが、ある一定の回数連続で得られなかったときには、故障信号eを出力し、表示部4で故障を表示する。
【0035】
また、この故障と判断される回数より少ない回数や連続で同時計数信号cが得られなかったときに、光源切替部8に光源切替信号fを送り、予備の光源に自動で切り替えられる。
【0036】
例えば、同時計数部7において5回連続で同時計数が得られなかったときに故障と判定する場合は、同時計数部7において3回連続で同時計数が得られなかったときに、光源切替部8で予備のLEDに切り替える。この切り替えにより、再び同時計数信号cが得られるようになれば、故障は光パルスによる正常動作確認部分にあり、放射線測定機能には問題がないことが分かるので、測定を継続することができる。
【0037】
このように、故障が光パルス11による正常動作確認部分にあるのか、放射線測定機能にあるのかを自動で切り分けると共に、LEDのドリフトにより光パルスの検出信号が波高弁別レベル以下になる等の放射線測定機能には問題がないときは、測定を継続することができる。
【0038】
なお、発光部5の光源を切り替えるときには、光源切替信号fを表示部4にも同時に送ることにより、発光部5が切り替わったことが分かるよう表示することもできる。
【0039】
また、発光制御部5の予備も用意しておき、発光部5のLEDだけでなく発光制御部6ごとに切り替えるようにすれば、信頼性は更に高くなる。
【0040】
また、複数の発光部5が、タイミングをずらして発光する構成としても同様の効果が得られる。例えば、発光部5の2つのLEDをどちらも周期2sで交互に発光させているときに、一方のLEDがドリフトして検出信号が弁別波高値以下になっても、他方のLEDからの同時計数信号cが検出されるため、同時計数信号cが得られない状態は連続して続かず、故障と判定される回数には達しない。このようなときは、同時計数部7へ入力される発光制御信号bは、発光部5の2つの光源の発光制御信号のORをとったものとする。また、このときには、同時計数信号cによる計数値を表示できるようにするか、光パルスによる指示値を差し引かない構成とすることにより、発光部5のLEDの故障を知ることができる。
【0041】
本実施の形態によれば、正常動作を確認するために周期的に光パルス11を発生する発光部5を設けることにより、放射線源を用いることなく常時の動作確認を行い、放射線の測定結果から光パルス11の影響を除き、光パルス11による動作確認機構の信頼性を高め、センサ感度の変化を監視することでき、さらに、発光部5に予備の光源を設け、光源切替部8により1つの光源に切り替えることにより、光パルス11による動作確認機構の信頼性をさらに高め、センサ感度の変化を監視することできる。
【0042】
図4は、本発明の第3の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図である。図1と同一又は類似の部分には共通の符号を付すことにより、重複説明を省略する。
【0043】
本図に示すように、本実施の形態の放射線モニタは、図1に示す放射線モニタに駆動電圧制御部9を設けたものである。
【0044】
駆動電圧制御部9は、発光制御部6から出力される発光制御信号aの周期とパルス幅は変化させず、パルス波高のみを変化させた信号を出力するものである。発光部5は、駆動電圧制御部9からの発光制御信号aが入力されると、信号のパルス波高に応じた発光量の光パルス11を発生してセンサ部1を照射する。
【0045】
センサ部1は光パルス11の発光量に応じた信号を出力するため、駆動電圧制御部9により光パルス11の駆動電圧を調整することにより、センサ部1から出力される信号の波高値を任意に変化させることができる。センサ部1からの信号は、信号処理部2に入力され、信号処理部2からの検出信号bは同時計数部7に入力される。
【0046】
同時計数部7は、信号処理部2からの検出信号aと、発光制御部6からの発光制御信号bの同時計数をとる。この図2(c)に示す同時計数信号cが一定の回数連続で得られなかった場合に故障信号eを出力し、表示部4で故障を表示する。
【0047】
ここで、光パルス11の発光量を変化させたときの信号処理部2における波高弁別時の光パルス11の検出信号について、図5を用いて説明する。
【0048】
図5は、図4の光パルス11の発光量を変化させたときの信号処理部2における波高弁別時の光パルスの検出信号の波高値を示すグラフである。このグラフは、駆動電圧制御部9により調整された光パルス11の信号が入力された信号処理部2における波高弁別時の光パルスの検出信号bの波高値の例である。
【0049】
なお、図5は出力信号の最大波高値を表したものであり、波形は実際の出力信号と異なる。光パルス11をこのような発光量に調整することにより、光パルスの検出信号を全体の測定値から差し引かないときには、指示値の変化からセンサ感度のドリフトが監視できる。また、光パルスを除いて放射線のみによる指示値を表示するときには、同時計数信号の指示値を放射線の測定値とは別に表示することにより、センサ感度のドリフトが監視できる。
【0050】
本実施の形態によれば、駆動電圧制御部9を設けることにより、信号処部2の波高弁別部において波高弁別レベルを跨ぐように連続的に変化する波高値となるように光パルス11の発光量を連続的に変化させることにより、検出感度のドリフトを検出することが可能となる。
【0051】
さらに、図3に示すように、予備の光源と光源切替部8をの設けた構成において、図5のように検出信号bの波高値が波高弁別レベルを跨いで出力されるように設定し、同時計数部7にて一定回数連続で同時計数信号が得られないとき又は一定回数連続で信号が得られたときに光源が切り替わり、切り替わる回数より多い回数連続で信号が得られた場合又は得られなかった場合に故障と判定するようにしてもよい。
【0052】
光源の切り替えによって同時計数部7での同時計数信号cが設定通りに戻ったときには、例えばLEDのドリフトにより発光量が変化する等切り替え前の光パルスによる正常動作確認部分に故障があったことを意味し、一定回数連続で同時計数信号cが得られなかったために切り替わった場合は光パルスの発光量の低下を示し、一定回数連続で信号が得られたために切り替わった場合は光パルスの発光量の上昇が考えられる。
【0053】
また、切り替えた後も同時計数部7にて、一定回数連続で同時計数信号cが得られない又は一定回数連続で信号が得られた場合は、例えばバイアス電圧の変動により、センサ感度が変動していることが分かる。
【0054】
このセンサ感度の低下については、従来の放射線源を用いた正常動作確認手法でも指示値の低下により監視できたが、センサ感度の上昇については、バックグランドの線量が上昇しているのか、センサ感度が上昇しているのかを区別することができなかった。
【0055】
このため、指示値が上昇すると、他の可搬型検出器を用いて測定を行う必要があった。これに対し、本実施の形態においては光パルスの信号を弁別することにより、センサ感度の上昇についても監視が可能となる。
【0056】
なお、一定回数連続で信号が検出されたときに発光部5が切り替わるようにすると、測定対象の放射線の線量率が高くなった場合に、放射線との同時計数により、一定回数を超えて連続で同時計数が得られる可能性がある。これに対応するため、一定以上の指示値があるときには、連続で同時計数信号が検出されても故障とは判断しないようにすることで、誤ってセンサ部の異常と判断することを抑制することができる。
【0057】
さらに、光パルス11の発光量を変化させる代わりに、発光量が異なる複数の光源を、同じ周波数でタイミングをずらして発光させても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、発光量の異なる複数の光源を用いる代わりに、同じ発光量を持つ複数の光源からの光パルスを特性の異なる光学フィルタによって減衰させたものを用いてもよい。このときは、同時計数部7へ入力される発光制御信号aは、複数の光源の発光制御信号のORをとったものとする。
【0059】
ここで、発光量外部出力10について、図4を用いて説明する。
【0060】
発光量外部出力10は、発光部5で発生する光パルス11の発光量を、センサ部1と発光部5を覆う遮光体の外部から測定するためのものであり、例えば光ファイバ等の光路と外部コネクタから構成される。光ファイバのセンサ側は、逆に外部の光が入射した場合でも、外部からの光がセンサ部にあたらない場所に設置する。また、センサ部1に入射する光量と同等の光量が出力される場所に設置されることが望ましいが、設定時の外部出力における発光量を記録しておき、異常が起きたときに比較することにより、発光量のドリフトがないか確認できるために必ずしも同等である必要はない。
【0061】
本実施の形態によれば、この発光量外部出力10を設け、光源の発光量を外部から個別に設定できるようにすることにより、発光量の調整時に外部から光が入射し、設定後の光パルスの発光量が全体的に低くなることを抑制することができる。そして、測定中でも校正された測定器を用いて光パルスの発光量を確認することができる。
【0062】
また、放射線モニタは高い信頼性が求められることから使用実績が重要になることが多い。第1乃至第3の実施の形態の放射線モニタは、センサ部1、信号処理部2、測定部3及び表示部4からなる一般的な放射線モニタから構成され、発光部5、発光信号制御部6、同時計数部7、光源切替部8及び発光量制御部9からなる光パルスによる正常動作確認部分から構成されている。このために、他の手法による正常動作確認手法から第1乃至第3の実施の形態の手法に切り替えるときに、センサ部1、信号処理部2、測定部3及び表示部4から構成される実績のある測定回路をそのまま使用できる。
【0063】
かくして、放射線源を用いることなく常時動作確認ができ、放射線の測定値から光パルスの影響を除くことが可能であり、光パルス11による動作確認機構の信頼性が高くセンサ感度の変化を監視することが可能な放射線モニタとして、主要な測定回路に変更を与えることなく、使用実績のある一般的な放射線モニタの構成部分を流用することができ、信頼性の高い放射線モニタを得ることができる。
【0064】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述したような各実施の形態に何ら限定されるものではなく、各実施の形態の構成を組み合わせて、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図。
【図2】図1の同時計数部における正常時のタイミングチャートを示す説明図で、(a)は発光制御部から出力される発光制御信号を示すグラフ、(b)は信号処理部から出力される光パルスと放射線による検出信号を示すグラフ、(c)は発光制御信号と検出信号の同時計数をとった同時計数信号を示すグラフ。
【図3】本発明の第2の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第3の実施の形態の放射線モニタの概略構成を示すブロック図。
【図5】図4の光パルスの発光量を変化させたときの信号処理部2における波高弁別時の光パルスの検出信号の波高値を示すグラフ。
【図6】従来の放射線モニタの概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0066】
1…センサ部、2…信号処理部、3…演算部、4…表示部、5…発光部、6…発光制御部、7…同時計数部、8…光源切替部、9…駆動電圧制御部、10…発光量外部出力、11…光パルス、a…発光制御信号、b…検出信号、d…放射線の検出信号、e…故障信号、f…光源切替信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線及び光に感度を有するセンサ部と、
信号増幅部及び波高弁別部を含む信号処部と、
正常動作を確認するために周期的に光パルスを発生する発光部と、
この発光部の動作を制御する発光制御部と、
この発光制御部からの信号と前記信号処理部からの信号の同時計数をとり、一定回数連続で同時計数信号が得られなかったときに故障と判定する同時計数部と、
測定結果又は警報を表示する表示部と、
を備えことを特徴とする放射線モニタ。
【請求項2】
前記発光部は、常時は発光させない予備の光源を含む複数の光源を設け、一定回数連続で同時計数信号が検出されなかったときに、予備の光源に切り替わる光源切替部を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線モニタ。
【請求項3】
前記発光部が予備の光源に切り替わる回数より多い回数連続のときに、前記同時計数部において同時計数が得られなかったときには異常と判断すること、を特徴とする請求項2記載の放射線モニタ。
【請求項4】
前記発光部が、前記信号処部の波高弁別部において波高弁別レベルを跨ぐように連続的に変化する波高値となるように前記光パルスの発光量を連続的に変化させる駆動電圧制御部を具備すること、を特徴とする請求項1記載の放射線モニタ。
【請求項5】
前記発光部の発光量の異なる複数の光源からの光パルスによる放射線検出部からの出力信号が、前記信号処部の波高弁別部で波高弁別レベルを跨いで分布する波高値となるように設定することにより検出感度のドリフトが検出できること、を特徴とする請求項1記載の放射線モニタ。
【請求項6】
前記発光部の同じ発光量を持つ複数の光源からの光パルスを特性の異なる光学フィルタによって減衰させ、この減衰後の光パルスによる放射線検出部からの出力信号が、前記信号処部の波高弁別部おいて波高弁別レベルを跨いで分布する波高値となるように設定することにより検出感度のドリフトが検出できること、を特徴とする請求項1記載の放射線モニタ。
【請求項7】
前記発光部の複数の光源の発光量を、それぞれ独立に外部から調整できるように構成されること、を特徴とする請求項3又は5記載の放射線モニタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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