説明

放射線不透過性の注入可能核ヒドロゲル組成物

経皮注入の際の椎間板核のすべてまたは一部のための置換材料としての使用に適した組成物であって、この組成物は、注入可能で、硬化性で、架橋可能で、非免疫原性の無毒なタンパク質ヒドロゲルであって、(i)このタンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸を含有し、(ii)少なくとも約10kPaの静的圧縮弾性率を有し、かつ(iii)少なくとも約10kPaの動的圧縮弾性率を有する、タンパク質ヒドロゲルと;放射線不透過性を認識できるレベルまで高めるのに十分な量のヨウ素化合物を含むヨウ素化された造影液であって、この造影液は、静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下を引き起こす、ヨウ素化された造影液と;このヨウ素化された造影液の添加によって引き起こされる静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下の少なくとも約100%を回復させるのに十分な量の架橋剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、脊髄の疾患および損傷の処置において利用されるタンパク質ヒドロゲル組成物、特に脊椎椎間板(spinal disc)の回復に関する。より具体的には、本発明は、正常な椎間腔高さを回復するため、および好ましくは侵襲的な外科的手順なしでヒドロゲルの経皮注入によって、椎間円板の修復および回復における使用のための生体材料の導入を容易にするための組成物および方法を企図する。
【背景技術】
【0002】
椎間円板の破壊または変性の原因は多く存在し、それらは、一般に力学的、遺伝的および生化学的と分類することができる。1つのそのような原因は、椎間板髄核(disc nucleus pulposus)と呼ばれる、椎間板の中に作られるゼリー様の物質の喪失である。
【0003】
多くの注入可能な生体材料が椎間板髄核の代用物として開発されてきた。このような物質としては、ヒアルロン酸、フィブリン糊、アルギン酸またはアルギン酸エステル、エラスチン様ポリペプチド、I型コラーゲンゲルなどを含めた種々のタンパク質が挙げられる。例えば、特許文献1;特許文献2;および特許文献3を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,773,249号明細書
【特許文献2】米国特許第6,380,154(B1)号明細書
【特許文献3】米国特許第6,184,348号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような物質を椎間板に導入することの侵襲性は、変性椎間板疾患(DDD)の処置のためなど、そのような物質を経皮注入することによって最小にされる可能性がある。従って、高強度でかつ耐久性のある、そして経皮的手順のあいだ可視化することができる物質についてのニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態では、本発明は、椎間板核(disc nucleus)のすべてまたは一部のための置換材料としての使用に適した注入可能組成物に関する。この組成物は、以下の成分を有する注入可能で、硬化性で、架橋可能で、非免疫原性の無毒なタンパク質ヒドロゲルを含む:
このヒドロゲルの最小で約10重量%および最大で約25重量%を構成するタンパク質成分;
認識できる放射線不透過性レベルを有しかつこのヒドロゲルの最小で約5重量%および最大で約35重量%を構成するヨウ素化された造影液;および
このヒドロゲルの最小で約0.1重量%および最大で約10重量%を構成する架橋剤。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、椎間板核のすべてまたは一部のための置換材料としての使用に適した組成物に関する。この組成物は、
(i)少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸を含有するタンパク質成分を有し;(ii)少なくとも約10kPaの静的圧縮弾性率を有し;かつ(iii)少なくとも約10kPaの動的圧縮弾性率を有する、注入可能で、硬化性で、架橋可能で、非免疫原性の無毒なタンパク質ヒドロゲルと、
放射線不透過性を認識できるレベルまで高めるのに十分な量のヨウ素化合物を含むヨウ素化された造影液であって、この造影液は、静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下を引き起こす、ヨウ素化された造影液と、
このヨウ素化された造影液の添加によって引き起こされる静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下の少なくとも約100%を回復させるのに十分な量の架橋剤と
を含む。
【0008】
別の実施形態では、当該組成物のタンパク質ヒドロゲルは、以下の残基のうちの少なくとも1つを含有する:リジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、およびシステイン。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の組成物は、椎間円板核、すなわち、髄核(nucleus pulposus)の中の天然物質の一部分または実質的にすべてを置き換える上で有用である。椎間円板は、脊椎の中の隣接する椎骨の間にある。このような椎間板としては、例えば、腰椎椎間板、胸部椎間板、頸部椎間板、および仙骨椎間板が挙げられる。
【0010】
本発明の組成物は、好ましくは経皮注入の際の、椎間板核の(すなわち、髄核の)すべてまたは一部のための置換材料としての使用に適している。このような手順の間、当該組成物は、損傷を受けた椎間板へと注入される。
【0011】
経皮的手順で硬化性生体材料を、損傷を受けた椎間板へと注入するための方法および器具は、より具体的には、本発明と同じ譲受人へとともに譲渡され、かつ参照によりあらゆる目的のためにその全体を本願明細書に援用したものとする、2005年6月29日出願の米国特許出願公開第2006/009851号に記載されている。
【0012】
タンパク質ヒドロゲル
当該組成物は、タンパク質ヒドロゲル、すなわち、水が分散媒体であるコロイド状ゲル、またはタンパク質ヒドロゲルの混合物を含む。このタンパク質ヒドロゲルは、その顕著な水分含量に起因して、自然の組織の柔軟性度と同程度の柔軟性度を有することが好ましい。
【0013】
1つの実施形態では、タンパク質成分は、このヒドロゲルの最小で約10%および最大で約25重量%を含む。
【0014】
1つの実施形態では、このタンパク質ヒドロゲルは、以下のセグメントのうちの少なくとも2つ、好ましくは4つを含むタンパク質ブロック共重合体を使用して構築される:
(i)天然に存在する絹に見出される6アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;
(ii)天然に存在するエラスチンに見出される5アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;
(iii)天然に存在するコラーゲンに見出される3アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;または
(iv)天然に存在するケラチンに見出される7アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;または
上記のもののいずれか2つ、3つ、もしくは4つすべての組み合わせ。
【0015】
別の実施形態では、当該タンパク質ヒドロゲルは、タンパク質ブロック共重合体、好ましくは以下のセグメントを含むブロック共重合体を使用して構築される:
(i)少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、これらの配列の各々は、天然に存在する絹に見出される6アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;
(ii)少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、これらの配列の各々は、天然に存在するエラスチンに見出される5アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;
(iii)少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、これらの配列の各々は、天然に存在するコラーゲンに見出される3アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;または
(iv)少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、これらの配列の各々は、天然に存在するケラチンに見出される7アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;または
上記のもののいずれか2つ、3つ、もしくは4つすべての組み合わせ。
【0016】
好ましくは、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は、合計で少なくとも50配列、および最大数で500配列を含む。
【0017】
加えて、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は、架橋されることができる官能基を含有する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。天然に存在する官能基のいくつかの例としては、リジンおよびヒスチジン残基上のアミノ基、アスパラギン酸およびグルタミン酸残基上のカルボキシル基、アルギニン残基上のグアニジノ基、セリンおよびトレオニン残基上のヒドロキシル基、ならびにシステイン残基上のチオール基が挙げられる。
【0018】
このタンパク質が架橋のために利用できる官能基を含有しない場合、そのタンパク質のアミノ酸残基(上記の配列のアミノ酸を含むことができる)は、そのような官能基を含有するアミノ酸で置き換えられる。このタンパク質は、架橋可能な官能基を含有する少なくとも1つのアミノ酸を有する。好ましくは、このタンパク質は、少なくとも0.1%、より好ましくは少なくとも1%、最も好ましくは少なくとも約2%の、架橋可能な官能基を含有するアミノ酸を有する。通常は、このタンパク質は、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の架橋可能な官能基を含有するアミノ酸を有する。
【0019】
天然に存在する絹に見出されるアミノ酸の配列(Sk)の例はGlyAlaGlyAlaGlySerである。天然に存在するエラスチンに見出されるアミノ酸の配列(Es)の例はGlyValGlyValProである。天然に存在するコラーゲンに見出されるアミノ酸の配列(Cl)の例はGlyAlaProである。天然に存在するケラチンに見出されるアミノ酸の配列(Kr)の例はLysLeuGluLeuAlaGluAlaである。
【0020】
1つの態様では、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は式:
NH−(U)n6−[[B]n1−[J]n2n3−(Z)n7−COOH(式1)
を有する。式中、
UおよびZは、Sk、Es、Cl、またはKr以外のアミノ酸配列、好ましくは当該タンパク質をクローニングする上で有用である配列を表し;
Bは、独立に、各位置でSk、Es、Cl、またはKrを表し;
Jは、独立に、各位置でSk、Es、Cl、またはKrを表すが、Bにおけるのと同じ配列ではなく;
Skは、GlyAlaGlyAlaGlySerを表し;
Esは、GlyValGlyValProを表し;
Clは、GlyAlaProを表し;
Krは、LysLeuGluLeuAlaGluAlaを表し;
n1は、1〜12、より通常は2〜6、より通常は2〜4を表し;
n2は、1〜16、より通常は2〜12、より通常は4〜8を表し;
n3は、1〜30、より通常は4〜20、より通常は12〜18を表し;
n6およびn7は、独立に0または1を表し;
BまたはJによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸残基、例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、セリン、トレオニン、もしくはシステインを含むか、または含むように改変されている。
【0021】
本願明細書では、用語「(当該)タンパク質をクローニングする上で有用であるSk、Es、Cl、またはKr以外のアミノ酸配列」および類似の語句、例えば、UおよびZは、当該タンパク質をコードする核酸分子を単離または精製する上で役立つヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を意味する。
【0022】
式1の1つの実施形態では、BはSkまたはEsを表す。別の実施形態では、JはSkまたはEsを表す。好ましい実施形態では、BおよびJはSkまたはEsを表す。より好ましい実施形態では、BはSkを表し、JはEsを表す。
【0023】
式1の別の態様では、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は式:
NH−(U)n6−[(Sk)n3(Es)n4n5−(Z)n7−COOH
を有する。式中、
n3は1〜12を表し;
n4は1〜16を表し;
n5は1〜30を表し;
n6およびn7は0または1を表し;
SkまたはEsによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸残基、例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、セリン、トレオニン、またはシステインを含むように改変されている。
【0024】
式1のより特定の態様では、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は式:
NH−(U)n6−[(Sk)(Es)17−(Z)n7−COOH
を有する。式中、SkまたはEsによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸残基、例えば、リジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、セリン、トレオニン、またはシステインを含むように改変されている。この態様の好ましい実施形態では、少なくとも1つのEsセグメントは、GlyXGlyValProまたはGlyValGlyXPro(式中、Xはリジン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、セリン、トレオニン、およびシステインを表す)からなる群から選択されるアミノ酸配列;好ましくはGlyLysGlyValProまたはGlyValGlyLysProによって置き換えられている。
【0025】
式1のさらにより特定の態様では、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は式:
NH−(U)n6−[(Sk)(Es)Es’(Es)17−(Z)n7−COOH
を有する。式中、Es’は、GlyLysGlyValProまたはGlyValGlyLysProを表す。好ましくは、Es’は、GlyLysGlyValPro(このようなタンパク質はP27Kとして知られている)を表す。また、本発明は、P27Kのアミノ酸配列に少なくとも90%同一である、好ましくはP27Kのアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質ヒドロゲルを包含する。
【0026】
本発明に係るタンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は、少なくとも約20kD、一般に少なくとも約30kD、好ましくは少なくとも約50kDの最小分子量を有することになろう。最大分子量は、通常は約205kD以下、より通常は約150kD以下、好ましくは約100kD以下、さらにより好ましくは約77kD以下である。当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分は、少なくとも2つの架橋に利用できる官能基、より通常は少なくとも約4つの架橋に利用できる官能基を有することになろう。1つの官能基あたりの当量重量は、一般に、約1kD〜40kDの範囲、より通常は約5kD〜25kDの範囲、好ましくは約7kD〜10kDの範囲にある。
【0027】
本発明の1つの実施形態によれば、当該核内物質の経皮的置換の間、当該タンパク質ヒドロゲルの機械的強度を維持すること、およびコラーゲン基材へのインプラントの接着を維持することが重要である。コラーゲン基材へのインプラントの接着は、インプラントを椎間板内の適所に保持する上で重要な構成要素であり、耐押出性試験(extrusion resistance testing)によって測定される。
【0028】
ヨウ素化された造影液および架橋剤を加えた後、当該タンパク質ヒドロゲルは、好ましくは、各々約10kPaの、好ましくは各々約20kPaの最小静的圧縮弾性率および最小動的圧縮弾性率を有する。最大の静的圧縮弾性率および動的圧縮弾性率は、各々、約500kPa、好ましくは各々約300kPaである。静的圧縮弾性率および動的圧縮弾性率は、それぞれ静的条件下および振動条件下での圧縮におけるひずみに対する応力の比である。(例えば、MeyersおよびChawla、「Mechanical Behavior of Materials」、1999年、98−103頁を参照)。
【0029】
ヨウ素化された造影剤
本発明の注入可能組成物は、注入の際に腰椎の許容できる可視性を提供するために、当該技術分野で公知のイメージング方法における使用のために適切な有機造影剤、好ましくはヨウ素化された造影剤をさらに含有する。このヨウ素化された造影剤は、例えば、X線、放射活性、赤外線、紫外線、電子線もしくは中性子線などの放射線、または磁場といった検出可能な形態にさらされている周囲の組織を区別する上で有用である。ヨウ素化された造影剤は、蛍光透視検査、X線撮影、コンピューター断層撮影(CT)、超音波などのイメージング方法で有用である。
【0030】
1つの実施形態では、ヨウ素化された造影剤は非イオン性である。本願明細書で使用する場合、非イオン性は、1〜3個の共有結合されたヨウ素原子を含有する有機化合物を指す。例示的なヨウ素ベースの造影剤としては、ジアトリゾ酸、ヨーデコール、イオジキサノール、イオフラトール、イオグラミド(iogulamide)、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオトロール(iotrol)、イオベルソール、イオキサグル酸、およびメトリザミドが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヨウ素化された造影剤はIsovue 370である。例えば、タンパク質ポリマー1mLあたり60mgのIの最終のヨウ素濃度を得るために必要とされるIsovue 370の量は、弾性率および接着強度のおよそ30%低下を引き起こすが、耐押出性に対しては最小の効果しか引き起こさない。
【0031】
別の実施形態では、このヨウ素剤はイオン性である。本願明細書で使用する場合、イオン性は、1〜3個のヨウ化物イオンを含有する塩を指す。ヨウ化物塩のいくつかの例としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、およびヨウ化アンモニウムが挙げられる。
【0032】
1つの実施形態では、ヨウ素化合物の原子と当該タンパク質ヒドロゲルの原子との間には、共有結合は実質的に存在しない。
【0033】
ヨウ素化された造影剤は、当該組成物を放射線不透過性にするのに十分な量で、タンパク質に加えられる。本願明細書で使用する場合、用語「放射線不透過性」は、電磁放射線、特にX線、が特定の物質を通過できないという相対的無能力を指す。電磁放射線の通過を妨げる密な物質は、「放射線不透過性」と呼ばれる。この用語は、X線を密な物体に通したときの、X線撮影による撮像における相対的な不透明な白い外観を指す。放射線不透過性物質は、X線または類似の放射線が通過することを許容しないであろう物質である。
【0034】
本発明の組成物は、放射線不透過性が認識できるレベル、すなわち、適切なイメージング方法、例えば、蛍光透視検査、CT、X線などによって検出可能であるレベルまで高められるとき、放射線不透過性である。
【0035】
1つの実施形態では、認識できる放射線不透過性レベルを有するヨウ素化された造影液は、当該ヒドロゲルの最小で約5重量%および最大で約35重量%を含む。
【0036】
好ましい実施形態では、放射線不透過性は一過性である。本願明細書で使用する場合、一過性は、短期間でかつ短寿命であるという状態を指す。例えば、当該ヒドロゲルは、放射線不透過性を、最大で、通常は30日以下、より通常は14日以下、好ましくは7日以下、より好ましくは2日以下のあいだ、維持する。
【0037】
架橋剤
当該架橋剤は、少なくとも2つの基を有する分子であって、この少なくとも2つの基の各々が当該タンパク質上の架橋可能な官能基、例えばアミノ、カルボキシル、グアニジノ、ヒドロキシル、またはチオ基と共有結合を形成することができる分子である。架橋のための官能基は、すべて同じであってもよいし、または上記官能基と共有結合を形成することができる官能基の組み合わせであってもよく、アミノ、例えばリジン、ヒスチジン;カルボキシル、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸;グアニジノ、例えばアルギニン;ヒドロキシル、例えばセリンおよびトレオニン;ならびにチオール、例えばシステインなどの官能基を含んでもよい。例えば、この架橋剤は、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分のアミノ酸上の天然に存在する官能基と反応する官能基を有してもよい。
【0038】
アルデヒド、イソシアネート、混合カルボン酸無水物、例えばエトキシカルボニル無水物、活性化されたオレフィン、ハロ、アミノなどの種々の反応性官能基が、この架橋剤で用いられてもよい。当該タンパク質ポリマー上の官能基、および架橋剤の適切な選択によって、反応速度および架橋度を制御することができる。
【0039】
1つの実施形態では、当該架橋剤は式:X−R−Xを有し、式中、XおよびXは、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分の官能基と共有結合を形成する官能基である。Rは、鎖の中に最小で2個、好ましくは3個、より好ましくは4個、および最大で24個、好ましくは最大で12個、より好ましくは最大で8個の炭素原子を有する飽和または不飽和のヒドロカルビル鎖(すなわちアルキルまたはアルケニル)を表す。このヒドロカルビル鎖の中の炭素原子は、任意に少なくとも1つのヘテロ原子によって置き換えられてもよく、ここでヘテロ原子は、−O−または−NH−からなる群から選択され、各ヘテロ原子は少なくとも2つの炭素原子によって互いのヘテロ原子から隔てられている。1つの実施形態では、XおよびXはエステル基またはイソシアネート基である。
【0040】
種々の架橋剤、特にこれまで使用されてきており、かつ生理的に許容できることが判明している種々の架橋剤を用いてよい。当該架橋剤上のいくつかの有用な官能基としては、例えばグルタルアルデヒドなどのジアルデヒド、活性化されたジオレフィン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、コハク酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物などの酸無水物、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン、シクロ(L−リジル−L−リジン)イソシアネート基(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート)アルデヒド基(グルタルアルデヒド);酸無水物が挙げられる。好ましくは、この官能基はアミノ(グアニジンを含む)などである。また、この架橋剤は、非対称の官能基、例えば活性化されたオレフィンアルデヒド、例えばアクロレインおよびキノイド系アルデヒド、活性化されたハロカルボン酸無水物などを含有してもよい。これらの架橋剤は、通常は市販されているであろうし、または接着剤の付与の前か、もしくはその場での合成によって従来の方法に従って容易に合成されうる。
【0041】
従って、当該タンパク質上の官能基および当該架橋剤に依存して、アミド、イミン、尿素、エステル、エーテル、ウレタン、チオエーテル、ジスルフィドなどが形成されうる。
【0042】
当該架橋剤は、2以上の官能基、通常は4を超えない数の官能基を含有する。これらの官能基は、同じであってもよいし異なっていてもよい。当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分に対する架橋剤の比は、架橋剤、当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分上に存在する官能基の数、所望の硬化速度などに依存して大きく変わるであろう。一般に、架橋剤に対する当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分の重量比は、少なくとも約1:1、通常は少なくとも約10:1、一般に少なくとも約20:1;および約250:1以下、通常は約150:1以下、一般に約50:1以下であろう。このタンパク質−架橋剤当量比を選択する際の考慮事項は、固化(setup)の速度、架橋剤の反応性、混合物に対する架橋剤の相対的溶解性、架橋剤の生理学的特性、架橋生成物の所望の安定性度などであろう。
【0043】
1つの実施形態では、架橋剤は、当該ヒドロゲルの、最小で約0.1重量%、最大で約10重量%の量で含まれる。
【0044】
ヨウ素化された造影液および当該タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分を一緒に混合することで、タンパク質ヒドロゲルのタンパク質成分の希釈が引き起こされ、得られるヒドロゲルの機械的強度の対応する低下が生じる。従って、本発明の組成物は、このヨウ素化された造影液の添加によって引き起こされる静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下の少なくとも約100%、好ましくは少なくとも約150%を回復させるための十分な量の架橋剤を含む。
【0045】
架橋剤を増やすことは、上記希釈効果を補うため、または希釈されたタンパク質濃度を含有するヒドロゲルの材料特性を改善するために使用することができる。この強度低下は希釈の量に依存する。希釈の量は、選ばれたヨウ素化された造影液の中のヨウ素濃度とともに変わるであろう。特に、造影液の中のヨウ素濃度が低いほど、インプラント材料の中のヨウ素の必要レベルを達成するためにより多くの液体が加えられる必要があろう。架橋剤が増えると、コラーゲンへの接着は、もとの希釈されていない材料と比べて、約30%増大する可能性があり、耐押出性は、約100%増大する可能性がある。
【0046】
組成物
当該組成物は注入可能で、硬化性で、非免疫原性で無毒である。注入可能は、経皮的手順においてなどの髄核の置換の際に、当該組成物は、シリンジ、ポンプ、または類似のデバイスから、好ましくは液体として、核の中へと注入することができるということを意味する。
【0047】
当該組成物は硬化性でもある。硬化性は、好都合な態様での状態、コンディションおよび/または構造の変化を意味する。硬化プロセスは、架橋剤の添加、熱、放射線、硬化触媒または促進剤の存在などの少なくとも1つの変動要素によって誘導される。硬化は部分的であってもよいし、完全であってもよい。硬化性組成物の注入は、本願明細書中上記で特定された米国特許出願公開第2006/0009851号明細書に記載されている。
【0048】
本発明の組成物は非免疫原性であり、すなわち、当該組成物は重大な免疫応答を引き起こさない。当該組成物は「無毒」でもあり、すなわち、当該組成物は、核置換の対象、通常は人または実験室動物、に傷害を加えない。ヨウ素化された造影剤が一過性である場合は、その造影剤は、免疫原性または毒性にほとんど寄与しないであろう。
【0049】
本発明に係る組成物は、組成物が要求される基準を達成する限り、大きく変わる可能性がある。このような組成物の適切な例は、例えば、最小で約30重量%の水、および最大で約85重量%の水;最小で約10重量%のタンパク質および最大で約25重量%のタンパク質;最小で約5重量%のヨウ素化された造影剤および最大で約35重量%のヨウ素化された造影剤;ならびに最小で約0.1重量%の架橋剤および最大で約10重量%の架橋剤を有する。この組成物は、約0.1重量%〜10重量%の範囲のバッファー塩および/または他の配合添加剤も含んでよい。このようなバッファー塩および配合添加剤は、リン酸ナトリウムおよび/またはリン酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、トロメタミン、クエン酸ナトリウム、スクロースおよびマンノースを含んでもよい。
【0050】
本発明の組成物は、本願明細書では特に経皮注入に関して記載されてきたが、当該組成物は、非経皮的手順において、例えば変性椎間板疾患(DDD)の処置のための開放性の外科的手技において、または上述の米国特許出願公開第2006/0009851号明細書にも記載されている顕微鏡視下ヘルニア摘出術の補助的手段(adjunct to microdiscectomy)(AMD)手順において、注入可能組成物として使用されてもよいということは、理解されるはずである。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態の放射線不透過性の注入可能核ヒドロゲル組成物に関する。
【0052】
実施例1A−1D:
イオパミドール(Isovue(登録商標))およびイオヘキソール(Omnipaque(登録商標))を造影剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートを架橋剤として、ならびにリン酸ナトリウムを塩バッファーとして用いて、実施例1A〜1Dに示す組成物に従って、放射線不透過性の注入可能核ヒドロゲル組成物を調製する。
【0053】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0054】
実施例2A−2E:
イオジキサノール(Visipaque(登録商標))およびイオトロラン(Osmovist(登録商標))を造影剤として、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、およびグルタルアルデヒドを架橋剤として、ならびにクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、およびトロメタミンをバッファー塩として用いて、実施例2A〜2Eに示す組成物に従って、放射線不透過性の注入可能核ヒドロゲル組成物を調製する。
【0055】
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎間板核のすべてまたは一部のための置換材料としての使用に適した注入可能組成物であって、前記注入可能組成物は
注入可能で、硬化性で、架橋可能で、非免疫原性の無毒なタンパク質ヒドロゲル
を含み、前記タンパク質ヒドロゲルは、
前記ヒドロゲルの最小で約10重量%および最大で約25重量%を構成するタンパク質成分と、
認識できる放射線不透過性レベルを有しかつ前記ヒドロゲルの最小で約5重量%および最大で約35重量%を構成するヨウ素化された造影液と、
前記ヒドロゲルの最小で約0.1重量%および最大で約10重量%を構成する架橋剤と
を有する、注入可能組成物。
【請求項2】
前記造影液の放射線不透過性は一過性である、請求項1に記載の注入可能組成物。
【請求項3】
椎間板核のすべてまたは一部のための置換材料としての使用に適した組成物であって、前記組成物は、
(i)少なくとも1つの架橋可能なアミノ酸を含有するタンパク質成分を有し;(ii)少なくとも約10kPaの静的圧縮弾性率を有し;かつ(iii)少なくとも約10kPaの動的圧縮弾性率を有する注入可能で、硬化性で、架橋可能で、非免疫原性の無毒なタンパク質ヒドロゲルと、
放射線不透過性を認識できるレベルまで高めるのに十分な量のヨウ素化合物を含むヨウ素化された造影液であって、前記造影液は、静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下を引き起こす、ヨウ素化された造影液と、
前記ヨウ素化された造影液の添加によって引き起こされる静的圧縮弾性率および/または動的圧縮弾性率の低下の少なくとも約100%を回復させるのに十分な量の架橋剤と
を含む、組成物。
【請求項4】
前記組成物は経皮注入の際の使用に適している、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋可能なアミノ酸は、リジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、またはシステインである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記静的圧縮弾性率は少なくとも約500kPaの最大値を有し、前記動的圧縮弾性率は少なくとも約500kPaの最大値を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記タンパク質ヒドロゲルの前記タンパク質成分は、約20,000の最小分子量および約205,000の最大分子量を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記タンパク質ヒドロゲルの前記タンパク質成分は、
天然に存在する絹に見出される6アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;
天然に存在するエラスチンに見出される5アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;
天然に存在するコラーゲンに見出される3アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;
天然に存在するケラチンに見出される7アミノ酸の反復配列を含む少なくとも1つの配列を有するセグメント;または
これらの組み合わせ;
を含み、前記少なくとも1つの配列の中の少なくとも1つのアミノ酸残基が、リジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、またはシステイン残基によって置き換えられている、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記タンパク質ヒドロゲルの前記タンパク質成分は、
少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、前記配列の各々は、天然に存在する絹に見出される6アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;
少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、前記配列の各々は、天然に存在するエラスチンに見出される5アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;
少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、前記配列の各々は、天然に存在するコラーゲンに見出される3アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;
少なくとも2つの配列を有するセグメントであって、前記配列の各々は、天然に存在するケラチンに見出される7アミノ酸の反復配列から構成されるセグメント;または
これらの組み合わせ;
を含むブロック共重合体であり、少なくとも1つのアミノ酸残基が、リジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、またはシステイン残基によって置き換えられている、請求項3に記載の組成物。
【請求項10】
前記タンパク質ヒドロゲルの前記タンパク質成分は、天然に存在する絹に見出される少なくとも2つのセグメント、および天然に存在するエラスチンに見出される少なくとも2つのセグメントを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記天然に存在する絹に見出されるアミノ酸の配列(Sk)はGlyAlaGlyAlaGlySerである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記天然に存在するエラスチンに見出されるアミノ酸の配列(El)はGlyValGlyValProである、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記天然に存在するコラーゲンに見出されるアミノ酸の配列(Cl)はGlyAlaProである、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記天然に存在するケラチンに見出されるアミノ酸の配列(Kr)はLysLeuGluLeuAlaGluAlaである、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記タンパク質ヒドロゲルの前記タンパク質成分は式:
NH−Un6−[[B]n1−[J]n2n3−Zn7−COOH
を有し、式中、
UおよびZは、前記タンパク質をクローニングする上で有用であるアミノ酸配列を表し;
Bは、独立に、各位置でSk、Es、Cl、またはKrを表し;
Jは、独立に、各位置でSk、Es、Cl、またはKrを表すが、Bにおけるのと同じ配列ではなく;
Skは、GlyAlaGlyAlaGlySerを表し;
Esは、GlyValGlyValProを表し;
Clは、GlyAlaProを表し;
Krは、LysLeuGluLeuAlaGluAlaを表し;
n1は、1〜12を表し;
n2は、1〜16を表し;
n3は、1〜30を表し;
n6およびn7は、独立に0または1を表し;
BまたはJによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのリジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、システイン残基を含むように改変されている、請求項3に記載の組成物。
【請求項16】
BはSkまたはEsを表す、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
JはSkまたはEsを表す、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
JはEsを表す、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記タンパク質は式:
NH−(U)n6−[(Sk)n3(Es)n4n5−(Z)n7−COOH
を有し、式中、
n3は1〜12を表し;
n4は1〜16を表し;
n5は1〜30を表し;
n6およびn7は、独立に0または1を表し;
SkまたはEsによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのリジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、システイン残基を含むように改変されている、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
式:
NH−(U)n6−[(Sk)(Es)17−(Z)n7−COOH
を有し、式中、SkまたはEsによって表される配列のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのリジン、ヒスチジン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、トレオニン、システイン残基を含むように改変されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1つのEsセグメントは、GlyLysGlyValProまたはGlyValGlyLysProからなる群から選択されるアミノ酸配列によって置き換えられている、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
式:
NH−(U)n6−[(Sk)(Es)Es’(Es)17−(Z)n7−COOH
を有し、式中、Es’は、GlyLysGlyValProまたはGlyValGlyLysProを表す、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
Es’はGlyLysGlyValPro(P27K)を表し、n6およびn7は1を表す、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記タンパク質ヒドロゲルは、P27Kのアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記タンパク質ヒドロゲルは、P27Kのアミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記放射線不透過性は一過性である、請求項3に記載の組成物。
【請求項27】
前記ヨウ素化合物は非イオン性である、請求項3に記載の組成物。
【請求項28】
前記ヨウ素化合物は、イオパミドール、ジアトリゾ酸、ヨーデコール、イオジキサノール、イオフラトール、イオグラミド、イオヘキソール、イオメプロール、イオトロール、イオベルソール、イオキサグル酸、およびメトリザミドからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ヨウ素化合物はIsovue370である、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記ヨウ素化合物の原子と前記タンパク質ヒドロゲルの原子との間には、共有結合は実質的に存在しない、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記ヨウ素化合物はイオン性である、請求項3に記載の組成物。
【請求項32】
前記ヨウ素化合物は、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウムからなる群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記架橋剤は式:
−R−X
を有し、式中、XおよびXはNHまたはOH基と共有結合を形成する基であり、Rは、鎖の中に最小で2個、好ましくは最小で3個、より好ましくは最小で4個、最大で24個、好ましくは最大で12個、より好ましくは最大で8個の炭素原子を有する飽和または不飽和のヒドロカルビル鎖(すなわちアルキルまたはアルケニル)を表し、前記ヒドロカルビル鎖の中の炭素原子は、任意に少なくとも1つのヘテロ原子によって置き換えられてもよく、ヘテロ原子は−O−または−NH−からなる群から選択され、各ヘテロ原子は少なくとも2つの炭素原子によって互いのヘテロ原子から隔てられている、請求項3に記載の組成物。
【請求項34】
およびXはエステル基またはイソシアネート基である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記架橋剤は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、グルタルアルデヒド、コハク酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、スベリン酸ビス(スルホスクシンイミジル)、エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジル)スクシネート、酒石酸ジスルホスクシンイミジル、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド、スルホコハク酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項36】
前記架橋剤はヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項3に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−508116(P2013−508116A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536934(P2012−536934)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/054014
【国際公開番号】WO2011/056528
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(512101774)スパイン ウェイブ,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】