説明

放射線撮影装置

【課題】放射線撮影の撮影メニューに基づいて撮影オーダを生成し、撮影オーダに基づいて、撮影に際して被写体が保持すべき姿勢について、被写体が確認し易い位置に表示することのできる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線撮影装置10であって、複数の撮影メニュー52の中から1つの撮影メニューを選択することで、選択された撮影メニューに対応した一連の撮影オーダ54を決定する撮影メニュー選択部34と、一連の撮影オーダ54に対応する被写体Pへの一連の指示表示56を自動生成する指示表示生成部42と、撮影に応じて、一連の撮影オーダ54の進行状況58を検出する進行状況検出部40、撮影オーダに応じて、被写体Pへの指示表示を変更する指示表示制御部44と、指示表示制御部44からの指示により撮影オーダに対応した指示表示を表示する指示表示部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影に際して被写体の保持すべき姿勢の指示を被写体に向けて表示する指示表示部を備える放射線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線撮影に際して被写体の保持すべき姿勢の指示は、放射線撮影装置の操作者である技師が、撮影部位及び撮影方向に基づいて、被写体に対して直接口頭で指示を行っていた。
【0003】
以下に示す特許文献1には、息を吸う、息を止める等の指示、息を止めている時間、次の撮影までの待ち時間等を表示する表示装置を備えたX線(放射線)コンピュータ断層撮影装置が記載されており、また、以下に示す特許文献2には、操作者である技師から被写体である被検者に息止めを指示する情報と撮影準備から撮影終了までの撮影状況を表示する表示手段を、被写体の視認領域に配置するX線診断装置(放射線診断装置)が記載されおり、更に、以下に示す特許文献3には、取得された放射線画像から複数の特徴量を抽出し、被写体の体位を判定する体位判定手段を備える放射線撮影装置が記載されている。
【0004】
また、以下に示す特許文献4には、撮影部位に基づいて撮影オーダが生成されるX線診断装置の発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−119449号公報
【特許文献2】特開2007−229346号公報
【特許文献3】特開2001−157199号公報
【特許文献4】特開2010−136896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3には、撮影指示が表示される旨、被写体がとった姿勢が所望の姿勢か否かを検出する旨は開示されているのもの、被写体のとるべき姿勢を明確に指示することについては、何ら記載されていない。
また、特許文献4には、撮影部位から撮影オーダを生成する旨の記載は開示されているものの、撮影オーダに対応して被写体のとるべき姿勢を表示する旨は何ら記載されていない。
【0007】
上述のとおり、操作者(例えば、技師)による口頭での指示は、様々な表現が可能である反面、操作者によって指示が異なり、被写体である被験者にうまく伝わらないことも多く、特に、被写体に特定の姿勢をとらせて撮影を行いたい場合、口頭だけの指示では困難な場合が多い。
また、このため、撮影時間も長く掛かり、被写体にとっても操作者にとっても互いに負担となっていた。
【0008】
本発明の目的は、放射線撮影の撮影メニューに基づいて撮影オーダを生成し、撮影オーダに基づいて、撮影に際して被写体が保持すべき姿勢について、被写体が確認し易い位置に表示することのできる放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の撮影メニューの中から1つの撮影メニューを選択することで、選択された撮影メニューに対応した一連の撮影オーダを決定する撮影メニュー選択部と、前記一連の撮影オーダに対応する被写体への一連の指示表示を自動生成する指示表示生成部と、撮影に応じて、前記一連の撮影オーダの進行状況を検出する進行状況検出部と、前記撮影オーダに応じて、被写体への指示表示を変更する指示表示制御部と、前記指示表示制御部からの指示により前記撮影オーダに対応した前記指示表示を表示する指示表示部とを備えることを特徴とする放射線撮影装置を提供する。
【0010】
また、前記指示表示は、被写体が保持すべき姿勢を画像で示したものであることが好ましい。
【0011】
また、前記撮影オーダとは、撮影部位、撮影方向(被写体の向き)、SID、並びに、被写体の性別、体格(身長、体重)及び体厚などによって異なる放射線の曝射線量(放射線強度及び曝射時間)を含む撮影指示であることが好ましい。
【0012】
また、前記指示表示制御部は、放射線の曝射に応じて前記指示表示部に表示された前記指示表示を次の指示表示に切り替えることが好ましい。
【0013】
また、前記進行状況検出部は、放射線の曝射の回数(撮影回数)をカウントすることで、前記一連の撮影オーダの進行状況を検出することが好ましい。
【0014】
また、前記指示表示は、前記進行状況検出部により検出された前記一連の撮影オーダの進行状況を表示する進行状況表示部分を有することが好ましい。
【0015】
また、前記進行状況表示部分は、前記一連の指示表示のサムネイル画像と(前記撮影回数)/(前記一連の撮影オーダ)との少なくとも一方を表示することが好ましい。
【0016】
また、前記指示表示部は、複数有って設置位置がそれぞれ異なり、前記指示表示生成部は、1つの前記撮影オーダに対して、前記設置位置に応じた複数の指示表示を生成し、前記指示表示制御部は、前記設置位置に応じた複数の指示表示を、対応する前記指示表示部にそれぞれ表示させることが好ましい。
【0017】
また、前記設置位置に応じた複数の指示表示とは、前記設置位置方向から前記被写体を見た際に、前記被写体が保持すべき姿勢を画像で示したものであることが好ましい。
【0018】
また、前記指示表示制御部は、前記指示表示部上に、放射線の曝射までの残り時間を表示することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮影オーダに応じて複数の表示部に被写体が保持すべき姿勢を表示部の方向に応じて表示することで、被写体に保持すべき姿勢を短時間でとらせることができ、一連の放射線撮影をスムースに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る放射線撮影装置の一実施形態の全体構成を示す線図的模式図である。
【図2】本発明に係る放射線撮影装置を上方から見た場合の模式図である。
【図3】本発明に係る放射線撮影装置の撮影メニュー選択画面の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る放射線撮影装置の指示表示部に表示される指示表示の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る放射線撮影装置の複数の指示表示部と指示表示部毎に異なる指示表示との一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る放射線撮影装置を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0022】
<放射線撮影装置の構成>
図1は、本発明の放射線撮影装置の全体構成の一実施形態を表す線図的模式図である。図1に示すとおり、本発明の放射線撮影装置10は、放射線源12と、放射線源12を支え、所定の位置に移動させる線源移動機構14と、立位撮影台16と、撮影台の背面に設置され、放射線を検出する放射線検出器(例えば、FPD(Flat Panel Detector))18と、被写体Pが姿勢を保持するための姿勢保持具20と、被写体Pに対する姿勢指示を表示する指示表示部22と、種々の制御を行うコンソール24と、放射線撮影の撮影指示等を行う操作入力部26と、被写体Pの情報を有する情報ネットワークシステムであるRIS(Radiology Information System:放射線科情報システム)28と、後述する複数の撮影メニュー52及び放射線画像を表示し、状況に応じて出力する、表示部30及び出力部32とを備える。
【0023】
放射線源12は、操作入力部26からの撮影指示に基づいて、コンソール24を通じて、被写体Pに向けて放射線を曝射する。なお、放射線源12から曝射される放射線量は、放射線管の強度及び曝射時間に基づいてコンソール24で制御される。
【0024】
線源移動機構14は、操作入力部26からの指示に基づいて、コンソール24を通じて所定の撮影位置まで放射線源12を移動させる。線源移動機構14は、放射線源12を上下方向(鉛直方向、z方向)に移動させるアームと、放射線源12を左右方向(水平方向、x−y方向)に移動させるレールとからなり、上下、左右方向(鉛直、水平方向)の移動はもちろん、放射線源12の曝射角度についても調整が可能である。
【0025】
撮影台16は、放射線検出器18を設置し、また、被写体Pを支えるものである。図1に示す撮影台16は立位放射線撮影に用いられるものであるが、本発明はそれに限られず、臥位放射線撮影やマンモグラフィ撮影も含む。なお、撮影台16は、被写体Pの撮影部位及び被写体Pの体格に応じて高さ方向(上下方向)に移動が可能である。
【0026】
また、放射線検出器18として用いられるFPDは、アモルファスセレン等の光導電膜とTFT(Thin Film Transistor)等を用い、放射線の入射によって光導電膜が発した電子−正孔対(e−hペア)を収集してTFTによって電荷信号として読み出す、いわゆる直接方式のFPD、及び、「CsI:Tl」などの放射線の入射によって発光(蛍光)する蛍光体で形成されたシンチレータ層とフォトダイオードとTFT等を用い、放射線の入射によるシンチレータ層の発光をフォトダイオードで光電変換して、TFTによって電気信号として読み出す、いわゆる間接方式のFPDの、いずれでもよい。
放射線検出器18であるFPDは、被写体Pの体を透過した放射線を受け、この放射線を電気信号に変換することにより、被検者Pの放射線画像の画像データ(放射線データ)を得る。得られた放射線データは、撮影制御部36からの指示により、コンソール24へ出力される。
【0027】
なお、本発明の放射線検出器18として、上述のとおり、FPDを例として説明しているが、本発明の放射線検出器18はFPDに限定される必要はなく、CR(Computed Radiography:コンピュータ放射線撮影)のIP(Imaging Plate:イメージングプレート)や、放射線フィルムカセッテ等、他の放射線検出器を用いてよいのは当然である。
【0028】
姿勢保持具20は、被写体Pの姿勢の保持を助けるものである。放射線撮影においては、被写体Pは特定の姿勢を保持し続けなければならず、保持すべき姿勢によっては、被写体Pに相当の負担を強いるものもある。よって、被写体Pは特定の姿勢を一定時間保持するために、例えば、姿勢保持具20を把持する。
なお、姿勢保持具20は、図1に示すように被写体Pの頭部付近又は被写体Pの腰部付近に設置された金属製の手すり等であり、被写体Pがこれら姿勢保持具20を把持することで、そのままでは保持し辛い姿勢を保持することができる。
【0029】
指示表示部22は、放射線撮影の際、被写体Pへの所定の指示を表示するモニタ等であり、被写体Pの保持姿勢に関わらず被写体Pが視認し易い位置に複数設けられる。
図1を上方から見た図である図2では、指示表示部22(22A〜22D)は、被写体Pを取り囲むように設けられ、それぞれ必要に応じてコンソール24より出力された被写体Pへの指示を表示する。
図2に示すように、例えば、被写体Pの前後左右に対応するように、22A〜22Dの4枚のモニタを設けることで、被写体Pがどのような方向を向いていようとも、被写体Pは保持すべき姿勢を視認することができる。
【0030】
<コンソールの構成>
コンソール24は、後述する操作入力部26からの入力指示に基づいて、放射線源12の曝射、線源移動機構14による放射線源12の線源位置の移動、放射線検出器18からの放射線データの読み取り、後述するRIS28からの各種情報の取得、並びに表示部30及び出力部32における後述する複数の撮影メニュー52及び放射線画像の表示及び出力を行う。
コンソール24は、後述する操作入力部26からの指示により複数の撮影メニュー52から1つの撮影メニューを選択する撮影メニュー選択部34と、後述する操作入力部26からの指示により、放射線源12、線源移動機構14及び放射線検出器18を制御して放射線撮影を行う撮影制御部36と、各種情報を記憶するメモリ38と、放射線の曝射回数をカウントし、放射線撮影の進行状況を検出する進行状況検出部40と、選択された撮影メニューによって生成された一連の撮影オーダ54に対応する一連の指示表示56を生成する指示表示生成部42と、撮影オーダ(一連の撮影オーダ54のうちの1つの撮影オーダ)に基づいて、生成された指示表示(一連の指示表示56のうちの1つの指示表示(指示表示部22に応じて複数種類有ってもよい。)の指示表示部22A〜22Dへの表示を制御する指示表示制御部44と、放射線検出器18より取得した放射線データを表示部30等で表示可能な画像データへ変換するデータ処理部46と、表示可能な放射線画像の画像データに画像補正処理を施す画像処理部48と、後述する操作入力部26の指示により、放射線画像データの表示部30への表示及び出力部32への出力を制御する表示制御部50とを備える。
【0031】
なお、コンソール24は、具体的には、CPU(中央処理装置)、RAM(主記憶装置)、ハードディスク等で構成されるコンピュータによって構成され、実際には、上述のCPU(中央処理装置)、RAM(主記憶装置)、ハードディスク等が連動して、コンソール24内の上述の撮影メニュー選択部34、撮影制御部36、メモリ38、進行状況検出部40、指示表示生成部42、指示表示制御部44、データ処理部46、画像処理部48、及び表示制御部50の各部を構成する。
【0032】
撮影メニュー選択部34は、後述する操作入力部26からの指示により、RIS28等から取得され、メモリ38に記憶された複数の撮影メニュー52のうち、一つの撮影メニューを選択するものである。
具体的には、図3に示すように、表示制御部50を通じて表示部30に複数の撮影メニューを表示し、後述する操作入力部26を通じて、表示された複数の撮影メニューの内、一つの撮影メニューを選択する。
一つの撮影メニューが選択されると、撮影メニュー選択部34は、その撮影メニューに応じて一連の撮影オーダ54を生成し、この一連の撮影オーダ54をメモリ38へ記憶する。
【0033】
撮影制御部36は、後述する操作入力部26からの指示により、一連の撮影オーダ54に基づいて放射線源12からの曝射量(放射線強度及び曝射時間)を決定し、また、線源移動機構14を制御して放射線源12を所定の位置に移動させ、放射線源12及びFPD18を制御して放射線撮影を行う。なお、撮影制御部36によって放射線源12の曝射が行われると、その曝射の情報は、進行状況検出部40に出力される。
【0034】
進行状況検出部40は、放射線源12の曝射回数に応じて、メモリ38に撮影回数58を出力する。なお、一連の撮影オーダ54により撮影回数が決定されている場合には、一連の撮影オーダ54の内、どこまで撮影が行われたか(撮影の進行状況)を判断することができる。具体的には、(現撮影回数)/(一連の撮影オーダ、つまり全撮影回数)を撮影回数(進行状況)58として検出する。
【0035】
メモリ38は、後述する操作入力部26からの指示により、RIS28等から、撮影部位に基づく複数の撮影メニュー52を取得し、記憶する。また、メモリ38は、上述のとおり、撮影メニュー選択部34で選択され生成された撮影メニューに基づく一連の撮影オーダ54を記憶し、一連の撮影オーダ54に基づいて指示表示生成部42で生成された一連の指示表示56を記憶し、進行状況検出部40で検出された撮影回数(進行状況)58を記憶する。そして、必要に応じて、これらを各部へ出力する。
また、メモリ38は、放射線検出器18より取得した放射線画像の画像データを記憶し、表示制御部50からの指示により、必要に応じて表示部30及び出力部32へ出力する。なお、放射線画像の画像データは、操作入力部26の指示により、PACS(Picture Archiving And Communication System:画像保存通信システム)等の図示しない画像サーバに被写体Pの情報及び撮影情報と共に出力されてもよく、また、図示しない記憶媒体書込手段等を通じて記憶媒体に記憶されてもよい。ここで撮影情報とは、撮影部位、被写体の向き、放射線強度、曝射時間、SID(放射線源12と放射線検出器18との間の距離)等を含む撮影時の情報である。
【0036】
指示表示生成部42は、メモリ38に記憶された一連の撮影オーダ54に基づいて、対応する一連の指示表示56を生成する。一連の指示表示56とは、指示表示部22A〜22Dにおいて表示する指示表示であり、図4に示すように、被写体である被写体Pが保持すべき姿勢を絵及び文字等で示したものである。
【0037】
また、図4に示すように、指示表示生成部42で生成される指示表示は、上述の被写体Pが保持すべき姿勢と共に、一連の撮影オーダ54及び進行状況検出部40で検出された撮影回数(進行状況)58を進行状況表示部分60として同時に表示してもよい。図4に示すように、進行状況表示部分60は、一連の撮影オーダ54に基づいて生成された一連の指示表示56を一連のサムネイル画像として現在の指示表示の下部に表示し、現在の指示表示が一連のサムネイル画像のうちのどれに該当するのか分かるように表示したものでもよく、また、分数表示にて、上述の撮影回数58である、(現撮影回数)/(一連の撮影オーダ、つまり全撮影回数)を現在の指示表示の下部に表示したものでもよい。
また、指示表示生成部42で生成される指示表示は、指示表示部22A〜22Dの向き(表示方向)に対応して、1つの撮影オーダに対して複数の指示表示が生成されてもよい。
【0038】
指示表示制御部44は、一連の指示表示56を、一連の撮影オーダ54及び撮影制御部36からの撮影指示に基づいて、指示表示部22A〜22Dに表示するものであり、放射線の曝射に基づいて、指示表示部22A〜22Dにおける指示表示の切替を行うものである。
【0039】
また、指示表示制御部44は、上述のように、1つの撮影オーダに対して複数の指示表示が生成された場合、例えば、図5に示すように、指示表示部22Aには正面を向いた絵を、指示表示部22B及び22Dには側面を向いた絵を、指示表示部22Dは背面を向いた絵を表示させる。
指示表示制御部44が、指示表示部22A〜22Dの向きに応じて被写体Pの保持すべき姿勢を表示することで、被写体Pは、現在保持している姿勢から最も見易い指示表示部22において自己が保持すべき姿勢をすぐに認識することができ、その姿勢が現在の姿勢と異なる場合には、自己の保持する姿勢を容易に改めることができる。
【0040】
また、操作者が操作入力部26を操作して放射線撮影を行う場合において、撮影指示を入力してから実際に放射線源12から放射線が曝射されるまでに時間が掛かる場合には、指示表示制御部44は、指示表示部22A〜22D上に、放射線曝射までの残り時間をカウントする時間表示を行ってもよい。
【0041】
データ処理部46は、放射線検出器18の出力信号(放射線画像の放射線データ)に、A/D変換やlog変換等の処理を施して、いわゆる放射線画像の画像データに変換するものであり、画像処理部48は、表示部30における画像表示、出力部32によるプリント(ハードコピー)出力、及びメモリ38への出力や図示しない画像サーバ(PACS等)や記憶媒体への出力に対応する放射線画像データを出力するためのものである。
【0042】
表示制御部50は、後述する操作入力部26からの指示により、表示部30において複数の撮影メニュー等を表示させ、また、表示部30及び出力部32において、撮影された放射線画像を表示・出力するのを制御する。また、表示制御部50は、メモリ38に記憶された過去の放射線画像や、後述するRIS28等を通じて取得された撮影情報等を表示するように表示部30を制御してもよい。
以上が、図1に示すコンソール24の構成である。
【0043】
操作入力部26は上述のとおり、上述のとおり、コンソール24に対して各種操作入力を行い、コンソール24を通じて、複数の撮影メニュー52からの1つの撮影メニューの選択、放射線源12の曝射指示、FPD20の読み取り指示、後述するRIS28からの情報の取得指示、得られた放射線画像データの表示部30及び出力部32等への表示・出力指示等、各部への各種指示を行う。
また、操作入力部26は、具体的には、キーボード及びマウスなどの入力装置や、ICカードリーダやバーコードリーダ等の読み取り装置を備えてもよい。
【0044】
RIS28は、放射線科で用いられる情報ネットワークシステムであり、放射線撮影など予約から検査結果の管理までを行うことのでき、被写体である被写体Pの情報や、撮影部位に対応した複数の撮影メニューなどの撮影情報及び診断情報を保存し、必要に応じて出力する情報データベースシステムである。ここで診断情報とは、被写体P個人に紐付く情報であって、被写体ID、名前、性別、生年月日、放射線撮影日時、撮影履歴等を含む情報である。
上述のとおり、RIS28は、操作入力部26からの指示により、上述の複数の撮影メニュー52を出力する。
【0045】
表示部30は、放射線画像を表示する放射線画像表示用の液晶モニタ等であり、上述のとおり、操作入力部26からの指示により表示制御部50を通じてメモリ38に記憶された複数の撮影メニュー52を表示し、また、放射線画像データを表示する。
また、出力部32は、放射線画像を紙に印刷し、また、放射線画像専用のフィルムに印刷するプリンタであり、操作入力部26からの指示により、表示部30に表示された放射線画像を出力する。
【0046】
以上が本発明に係る放射線撮影装置10の一実施形態の構成である。上述の構成は一例であり、各構成は上述の例に限定されず他の種々の公知の技術を用いることができる。
【0047】
<放射線撮影装置の動作>
次に、本発明の放射線撮影装置10において、放射線撮影を行う場合の動作について説明する。
【0048】
まず始めに、操作者は、操作入力部26を通じて被写体である被写体Pの情報(ID)を入力し、被写体Pの情報に基づいて、RIS28から被写体Pの過去の撮影情報及び診断情報を含む複数の撮影メニュー52を取得し、コンソール24のメモリ38へ記憶する。
【0049】
次に、操作者は、RIS28から取得した複数の撮影メニュー52をコンソール24の表示制御部50を通じて表示部30に表示させ、操作入力部26を通じて、撮影メニュー選択部34により、1つの撮影メニューを選択する。
具体的には、図3に示すように、表示部30に表示された複数の撮影メニュー52のうち、カーソルによって1つの撮影メニューを選択する。
なお、再診の場合であって、経過観察を行う場合には、「再診放射線撮影」の撮影メニューを選択することで、前回の放射線撮影と同じ条件で放射線撮影を行うことができる。
【0050】
撮影メニュー選択部34によって複数の撮影メニュー52から1つの撮影メニューが選択されると、撮影メニュー選択部34によって一連の撮影オーダ54が生成され、メモリ38に記憶される。
なお、一連の撮影オーダ54は、選択された1つの撮影メニューに基づいて、撮影メニュー選択部34によってRIS28から取得されてもよく、また、メモリ38に予め複数の撮影オーダが記憶されており、選択された1つの撮影メニューに基づいて撮影メニュー選択部34によって所定のものが選択され、組み合わされて、一連の撮影オーダ54としてメモリ38に改めて記憶されてもよい。
なお、撮影オーダとは、撮影部位、体の向き、SID、並びに、被験者である被写体Pの性別、体格(身長、体重)及び体厚などによって異なる曝射放射線の線量(放射線強度及び曝射時間)を含む撮影指示であり、撮影オーダが実行されることで放射線撮影がなされる。
【0051】
一連の撮影オーダ54がメモリ38に記憶されると、指示表示生成部42は、一連の撮影オーダ54に基づいて、被写体Pが保持すべき姿勢を含む一連の指示表示56を生成する。
上述のとおり、指示表示は、例えば、図4に示すように、被写体Pが保持すべき姿勢を絵や文字等で表示するものであり、また、同時に、撮影の進行状況を表示してもよい。また、指示表示は、1つの撮影オーダに対して、指示表示部22の向き(表示方向)に応じて複数種類生成されてもよい。
【0052】
操作者は、操作入力部26により、撮影制御部36へ撮影準備の指示を行う。撮影制御部36より撮影準備の指示が出されると、指示表示制御部44は、メモリ38に記憶された一連の指示表示56に基づいて、指示表示部22A〜22Dへ最初の撮影オーダに対応する指示表示を表示する。
【0053】
次に、操作者は、被写体Pを撮影台16の前に立たせ、姿勢保持具20を把持させて、指示表示部22に表示する姿勢を保持させる。
そして、操作者は、被写体Pが姿勢を保持していることを確認しつつ、撮影制御部36(操作入力部26)を通じて撮影オーダに基づく放射線撮影を行う。
【0054】
操作者が操作入力部26により撮影指示を出すと、放射線源12は、撮影制御部36を通じて撮影オーダによって決定されたSIDで、撮影オーダによって決定された撮影部位に、撮影オーダによって決定された放射線量(放射線強度及び曝射時間)を曝射する。
また、放射線検出器18は、放射線源12から曝射され、被写体Pを透過した放射線を検出し、放射線データとしてコンソール24のデータ処理部46へ出力する。
そして、データ処理部46は、放射線データを放射線画像データに変換して画像処理部48へ出力し、画像処理部48は、表示部30及び出力部32等に応じた画像データ形式に、前述の放射線画像データを変換する。画像処理部48で変換された放射線画像データは、必要に応じて表示部30、出力部32、及びメモリ38等へ出力される。
【0055】
1つの撮影オーダに基づく1回の放射線撮影が行われると、進行状況検出部40は、メモリ38に撮影回数58として記憶される放射線の曝射回数を1つ増加させ、再度、メモリ38へ記録する。
また、1回の放射線撮影が行われると、指示表示制御部44は、指示表示部22A〜22Dに、次の撮影オーダに対応する指示表示を表示する。
操作者は、被写体Pが指示表示部22に表示された指示表示を見て保持すべき姿勢を変えたことを確認し、撮影制御部36を通じて2回目の放射線撮影を行う。なお、放射線源12からの放射線量、撮影部位、被写体Pの体の向き、及びSIDは、上述と同様、撮影オーダに基づいて変更されている。
【0056】
次の(2回目の)放射線撮影も、最初の放射線撮影と同様、放射線検出器18において、放射線データが取得され、メモリ38にその放射線データに基づく放射線画像データが記憶される。
【0057】
3回目以降の撮影についても前述と同様の動作によって放射線撮影が行われることで、一連の撮影オーダが全て実行される。
なお、最後の撮影の場合には、撮影終了後、指示表示制御部44より、撮影終了の旨が指示表示部22A〜22Dに表示される。
【0058】
取得された放射線画像の画像データは、メモリ38に記憶されており、操作入力部26からの指示により、表示制御部50を通じて、表示部30に表示され、また、出力部32に出力される。また、取得された放射線画像の画像データは、被写体Pの情報、一連の撮影オーダ54、及び一連の指示表示56と共に、放射線画像データは、必要に応じてPACS等の図示しない医療用画像サーバ等に保存されてもよく、また、図示しない記憶媒体書込手段等によって図示しない記憶媒体等に保存されてもよい。
以上が、本発明の放射線撮影装置10の動作である。
【0059】
以上、本発明の放射線撮影装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 放射線撮影装置
12 放射線源
14 線源移動機構
16 撮影台
18 放射線検出器
20 姿勢保持具
22(22A〜22D) 指示表示部
24 コンソール
26 操作入力部
28 RIS(放射線科情報システム)
30 表示部(モニタ)
32 出力部(プリンタ)
34 撮影メニュー選択部
36 撮影制御部
38 メモリ
40 進行状況検出部
42 指示表示生成部
44 指示表示制御部
46 データ処理部
48 画像処理部
50 表示制御部
52 複数の撮影メニュー
54 一連の撮影オーダ
56 一連の指示表示
58 撮影回数(進行状況)
60 進行状況表示部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮影メニューの中から1つの撮影メニューを選択することで、選択された撮影メニューに対応した一連の撮影オーダを決定する撮影メニュー選択部と、
前記一連の撮影オーダに対応する被写体への一連の指示表示を自動生成する指示表示生成部と、
撮影に応じて、前記一連の撮影オーダの進行状況を検出する進行状況検出部と、
前記撮影オーダに応じて、被写体への指示表示を変更する指示表示制御部と、
前記指示表示制御部からの指示により前記撮影オーダに対応した前記指示表示を表示する指示表示部と
を備えることを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記指示表示は、被写体が保持すべき姿勢を画像で示したものであることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記撮影オーダとは、撮影部位、撮影方向(被写体の向き)、SID、並びに、被写体の性別、体格(身長、体重)及び体厚などによって異なる放射線の曝射線量(放射線強度及び曝射時間)を含む撮影指示であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記指示表示制御部は、放射線の曝射に応じて前記指示表示部に表示された前記指示表示を次の指示表示に切り替えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記進行状況検出部は、放射線の曝射の回数(撮影回数)をカウントすることで、前記一連の撮影オーダの進行状況を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記指示表示は、前記進行状況検出部により検出された前記一連の撮影オーダの進行状況を表示する進行状況表示部分を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記進行状況表示部分は、前記一連の指示表示のサムネイル画像と(前記撮影回数)/(前記一連の撮影オーダ)との少なくとも一方を表示することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記指示表示部は、複数有って設置位置がそれぞれ異なり、
前記指示表示生成部は、1つの前記撮影オーダに対して、前記設置位置に応じた複数の指示表示を生成し、
前記指示表示制御部は、前記設置位置に応じた複数の指示表示を、対応する前記指示表示部にそれぞれ表示させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記設置位置に応じた複数の指示表示とは、前記設置位置方向から前記被写体を見た際に、前記被写体が保持すべき姿勢を画像で示したものであることを特徴とする請求項8に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記指示表示制御部は、前記指示表示部上に、放射線の曝射までの残り時間を表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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