放射線断層撮影装置
【課題】被検体に対する放射線源・放射線検出手段の位置関係を調整することで縮小撮影・拡大撮影が可能な放射線断層撮影装置において、確実に散乱線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもない放射線断層撮影装置を提供する。
【解決手段】本発明は、FPD4に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔9sを有する第1放射線グリッド9aと、延伸方向に伸びた吸収箔9sを有する第2放射線グリッド9bとを有している。そして、縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッド9aの第1方向と第2放射線グリッド9bの延伸方向とが直交し、拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッド9aの第1方向と第2放射線グリッド9bの延伸方向とが一致する。この様にすることで撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することができる。
【解決手段】本発明は、FPD4に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔9sを有する第1放射線グリッド9aと、延伸方向に伸びた吸収箔9sを有する第2放射線グリッド9bとを有している。そして、縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッド9aの第1方向と第2放射線グリッド9bの延伸方向とが直交し、拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッド9aの第1方向と第2放射線グリッド9bの延伸方向とが一致する。この様にすることで撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像を撮影する放射線断層撮影装置に係り、特に、放射線源と被検体との距離を調整することができる放射線断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研究対象としての被検体をイメージングする装置の一つに放射線断層撮影装置がある。この装置は、被検体の断層画像を生成することができるものであり、術者は、この画像を参照して被検体の内部の構造を知ることができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この様な放射線断層撮影装置の従来の構成について説明する。従来装置は、図16に示す様に、開口が設けられたガントリ51を有し、このガントリ51の内部には、放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出する放射線検出器54とが設けられている。放射線源53と放射線検出器54とは、ガントリ51の開口を挟むように配置されており、互いの相対位置を保った状態で、開口を中心に回転することができる。この開口の内部には、被検体が配置される。
【0004】
従来の放射線断層撮影装置の動作について説明する。従来装置により、被検体の断層画像を取得するには、まず、被検体がガントリ51の開口に挿入される。そして、放射線源53と放射線検出器54とを被検体を中心に回転させながら複数回の撮影を行う。得られた透視画像の各々には、撮影方向が異なる被検体の像が写り込んでいる。これらの透視画像を組み立てると、被検体の断層画像が生成できる。
【0005】
放射線源53から照射した放射線は放射状に広がって放射線検出器54に入射する。したがって、被検体を透過してきた放射線ビームは、放射線検出器54に向かう間に空間的に広がっていくことになる。すると、放射線ビームの中に写り込んでいる被検体像は引き延ばされて放射線検出器54に入射することになる。その被検体像の引き延ばしの程度は、放射線源53・放射線検出器54と被検体との位置関係によって異なる。
【0006】
従来の放射線断層撮影装置においては、被検体に対する放射線源53・放射線検出器54の位置を調整することにより、放射線検出器54に写り込む被検体の像の大きさを変更できるようになっている。従来装置において、被検体の一部分の断層画像が取得したい場合は、被検体を放射線検出器54から遠ざけて拡大撮影をし、被検体の全体の断層画像が取得したい場合は、被検体を放射線検出器54に近づけて縮小撮影をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/141831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成によれば、次のような問題点がある。
すなわち、従来の構成によれば、診断がしにくい断層画像しか得られない。具体的には、散乱線の影響により不鮮明な断層像しか得られないからである。
【0009】
散乱線の影響を取り除くのは被検体から生じた散乱線を吸収する放射線グリッドを放射線検出器54の検出面を覆うように設けるのが通常である。しかし、被検体を縮小撮影しようとするときと拡大撮影しようとするときとで散乱線の入射のしやすさが異なるので、どのような放射線グリッドを設けるのが最適なのか判断が難しい。すなわち、散乱線が入射しやすい縮小撮影をする場合においては、高い散乱線除去能力を有する放射線グリッドを設けた方が鮮明な断層像が取得できる。
【0010】
しかし、散乱線があまり入射しない拡大撮影をする場合においては、逆に低い散乱線除去能力を有する放射線グリッドを設けた方が鮮明な断層像が取得できる。散乱線除去能力が高いほど断層画像は露光不足となる傾向があるからである。放射線グリッドは被検体の透視像の形成に必要な直接線のみを通過させ、撮影の邪魔となる散乱線を選択的に吸収するように構成されている。しかし、実際には、放射線グリッドの散乱線除去能力を高めようとすると、それに伴って、直接線も通過しにくくなってしまうのである。すると、放射線検出器54に到達する直接放射線が少なくなり、得られる断層画像は暗過ぎて診断に適さない。
【0011】
放射線グリッドの散乱線除去能力が撮影の様式に合わせて変更できるように構成されればより鮮明な断層画像が取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0012】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体に対する放射線源・放射線検出手段の位置関係を調整することで縮小撮影・拡大撮影が可能な放射線断層撮影装置において、確実に散乱線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもない放射線断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線断層撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出手段と、放射線源と放射線検出手段を結ぶ線分上にある中心点を中心に、両者を互いの位置関係を保った状態で回転させる回転手段と、中心点に対して放射線源および放射線検出手段のうち少なくとも一つを接近・離反させることにより放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト動作を行うシフト手段と、第1方向に伸びた吸収箔が第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドが放射線検出手段の放射線を検出する検出面を覆うように設けられているとともに延伸方向に伸びた吸収箔が延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドが第1放射線グリッドを覆うように設けられており、検出面と直交する法線を中心軸として放射線グリッドのうちの一つを放射線検出手段に対して回転させるグリッド回転手段と、グリッド回転手段を制御するグリッド制御手段とを備え、シフト手段が放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするようにシフト動作をしたとき、グリッド制御手段は、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドを回転させ、シフト手段が放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするようにシフト動作をしたとき、グリッド制御手段は、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドを回転させることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]本発明によれば、確実に散乱線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもない放射線断層撮影装置が提供できる。すなわち、本発明は、被検体に対して放射線源および放射線検出手段を接近・離反させることにより放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体の像を適宜拡大・縮小することができる。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔が第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドと、延伸方向に伸びた吸収箔が延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドとを有している。そして、散乱線が放射線検出手段に入射しやすい縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドが回転され、グリッドの散乱線除去能が強化される。また、散乱線が放射線検出手段に入射しにくい拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドが回転され、グリッドの影同士を重ね、取得される断層画像が明るくする。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0015】
また、上述の放射線断層撮影装置において、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致している状態で放射線源から放射線を照射すると、第2放射線グリッドの吸収箔各々の影が第1放射線グリッドの吸収箔の各々に投影されればより望ましい。
【0016】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。拡大撮影を行うときに第2放射線グリッドの吸収箔各々の影と第1放射線グリッドの吸収箔各々の影とが重なるように設定すれば、放射線検出手段に入射するグリッドの影を極力抑制することができる。
【0017】
また、上述の放射線断層撮影装置において、シフト手段は、放射線源および放射線検出手段の相対位置を保った状態でシフト動作をすることにより、放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするように放射線源を中心点から遠ざけるときはそれに合わせて放射線検出手段を中心点に近づけ、逆に放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするように放射線源を中心点に近づけるときはそれに合わせて放射線検出手段を中心点から遠ざければより望ましい。
【0018】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。上述のように放射線源および放射線検出手段を一体にシフトして撮影における拡大・縮小を変更するようにすれば、より機構を単純とし、制御をしやすい放射線断層撮影装置が提供できる。
【0019】
また、上述の放射線断層撮影装置において、グリッド回転手段が第2放射線グリッドを放射線検出手段に対して回転させればより望ましい。
【0020】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。放射線検出手段から見て遠い側の第2放射線グリッドを回転させるようにすれば、第2放射線グリッドにはこれを覆う部材が設けられていないので、第2放射線グリッドは他の部材と干渉することなく確実に回転することになる。よって、この様な構成は本発明の放射線断層撮影装置に適している。
【0021】
また、上述の放射線断層撮影装置において、被検体を載置する天板と、天板を仮想円の直交方向に移動させる天板移動手段とを備えればより望ましい。
【0022】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。ホルダが載置可能で摺動自在の天板を備えるようにすれば、容易に被検体を撮影視野内に導入することができる小動物用放射線断層撮影装置が提供できる。
【0023】
また、上述の放射線断層撮影装置において、小動物撮影用となっていればより望ましい。
【0024】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。本発明を小動物撮影用の装置に適用すれば、撮影の失敗により撮影をやり直す必要が無く、再び麻酔をかけることなく小動物を確実に撮影することができる。
【0025】
また、上述の放射線断層撮影装置において、放射線源、放射線検出手段に対して仮想円の直交方向から隣接するように設けられたポジトロン放出断層撮影装置を備えればより望ましい。
【0026】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。ポジトロン放出断層撮影装置を備えるようにすれば、被検体の機能的な画像と構造的な画像との両方が取得でき、撮影で取得できる情報をより多く得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体の像を適宜拡大・縮小することができる。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔を有する第1放射線グリッドと、延伸方向に伸びた吸収箔を有する第2放射線グリッドとを有している。そして、縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドが回転され、拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドが回転される。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る撮像系(X線管およびFPD)の回転移動を説明する模式図である。
【図3】実施例1に係るホルダを説明する平面図である。
【図4】実施例1に係るグリッドを説明する平面図である。
【図5】実施例1に係るグリッドの回転を説明する平面図である。
【図6】実施例1に係るグリッドの回転を説明する斜視図である。
【図7】実施例1に係るグリッドの位置関係を説明する模式図である。
【図8】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図9】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図10】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図11】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図13】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図14】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図15】実施例2に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図16】従来構成の放射線断層撮影装置の構成を説明する模式図である。
【実施例1】
【0029】
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。また、本発明のX線断層撮影装置は、マウスなどの小動物撮影用となっている。
【0030】
まず、実施例1に係るX線断層撮影装置について説明する。X線断層撮影装置1は、図1に示す様に被検体Mを載置する天板2と、天板2の伸びる方向に貫通した貫通孔を有するガントリ10とを備えている。天板2は、ガントリ10の貫通孔に挿通されており、天板2を支持する支持台2aに対して天板2の伸びる方向(後述における仮想円VCの直交方向:Z方向)に進退自在に移動することができる。この天板2の移動は天板移動機構15が行う。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御するものである。天板移動機構15は、本発明の天板移動手段に相当する。
【0031】
ガントリ10の内部には、X線を照射するX線管3と、X線を検出するFPD4とが設けられている。X線管3から照射されたX線は、ガントリの貫通孔を横切るように通過して、FPD4に到達する。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0032】
X線管制御部6は、所定の管電流、管電圧、パルス幅でX線管3を制御する目的で設けられている。FPD4は、X線管3から発せられ、被検体Mを透過したX線を検出して検出信号を生成する。この検出信号は、画像生成部11に送出され、そこで被検体Mの投影像が写り込んだ透視画像P0が生成される。断層画像生成部12は、画像生成部11で生成された透視画像P0を基に、被検体Mを任意の断層面で裁断したときの断層画像P1を生成する。
【0033】
X線管3およびFPD4の回転について説明する。X線管3およびFPD4は、回転機構7により、天板2の伸びる方向に伸びた中心軸を中心に一体的に回転される。より具体的には、X線管3およびFPD4は、図2に示す様に互いの相対的な位置関係を保った状態で回転移動される。このとき、X線管3は、回転機構7によりX線管3とFPE4とを結ぶ線分上にある中心点を中心とする仮想円VCの軌跡を描きながら回転することになる。この仮想円VCと直交する方向(図2における紙面貫通方向:Z方向)が、天板2の延伸方向と一致する。回転制御部8は、回転機構7を制御する目的で設けられている。
【0034】
天板2には、被検体Mを保持するためのホルダ5が載置されている。このホルダ5の構造について説明する。ホルダ5は、図3に示す様に、5つの円(立体として捕らえればZ方向に伸びた円柱)の形状の開口5aを有している。この開口5aの各々に被検体Mが一体ずつ挿入されることになる。開口5aの内壁を形成する円筒5bは、Z方向に伸びた複数の貫通孔がレンコン状に開けられた発泡スチロール製の円筒支持体5cにおける貫通孔の各々に埋め込まれることで支持されている。また、円筒5bは、X線を透過しやすいアクリル樹脂で構成される。ホルダ5は、天板2に近い側の一段目に3個の開口5aが、天板2に遠い側の二段目に2個の開口5aが形成されているような形状をしている。
【0035】
第1グリッド9a,第2グリッド9bは、被検体内部で発生した散乱X線を吸収・除去し鮮明な透視画像P0を取得する目的で設けられている。第1グリッド9a,第2グリッド9bは、FPD4の検出面4aの前面を覆うように配設されており、X線はこのグリッド9a,9bを通過しなければFPD4の検出面4aに入射することができないようになっている。第1グリッド9aは、本発明の第1放射線グリッドに相当し、第2グリッド9bは、本発明の第2放射線グリッドに相当する。
【0036】
第1グリッド9a,第2グリッド9bの構成について説明する。第1グリッド9aは、図4に示すように、第1方向aに伸びるとともに第1方向aに直交する第2方向bに配列した複数の吸収箔9sを有している。この吸収箔9sは、X線管3からFPD4に向かう方向(正確には、X線管3から照射されたX線の進行方向)を短手方向とする短冊状となっている。X線管3から照射されるX線は放射状に広がるので、FPD4の端部ではX線は斜め方向から検出面4aに入射する。従って、吸収箔9sの短手方向は、このX線の傾斜に倣って傾斜されている。
【0037】
吸収箔9sは、モリブデン合金等のX線を吸収する部材で構成される。したがって、X線管3からFPD4に向かう方向に進行方向が沿わない散乱X線はこの吸収箔9sによって吸収・除去される。このようにして、被検体MにX線を照射することで被検体内部で生じた散乱X線が吸収箔9sによって吸収・除去され、FPD4の検出面4aに到達することがない。したがって、取得される透視画像の視認性が散乱X線によって悪化することがない。
【0038】
第2グリッド9bの構成は第1グリッド9aの構成と同様である。両グリッドの区別のため、第1グリッド9aの第1方向aに相当する方向を延伸方向cと呼び、第1グリッド9aの第2方向bに相当する方向を配列方向dと呼ぶことにする。従って、第2グリッド9bは、図4に示すように、延伸方向cに伸びた吸収箔9sが延伸方向cに直交する配列方向dに配列して構成される。第2グリッド9bにおける吸収箔9sの傾斜の様子や、吸収箔9sの素材などの詳細などは、第1グリッド9aのものと同様である。
【0039】
第1グリッド9aと第2グリッド9bとの位置関係について説明する。第1グリッド9aと第2グリッド9bは、互いに平行な位置関係となるように配置されている。従って、第2グリッド9bは、FPD4の検出面4aを覆う第1グリッド9aを更に覆うように配置されている。
【0040】
FPD4の検出面4aは正方向の形状をしており、第1グリッド9a,第2グリッド9bも正方形の形状となっている。
【0041】
第2グリッド9bの回転について説明する。第2グリッド9bは、FPD4に対して回転移動することができる。この回転移動は、グリッド回転機構13が行う。グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を制御する目的で設けられている。なお、第1グリッド9aは、FPD4に固定されているので、第2グリッド9bが回転されると、FPD4のみならず第1グリッド9aに対しても回転移動することになる。グリッド回転機構13は、本発明のグリッド回転手段に相当する。
【0042】
図5は、第2グリッド9bが、検出面4a,および第1グリッド9aに対し回転移動する様子を示している。図5は、グリッド9a,9b,およびFPD4をX線管3側から見たときの平面図である。図5によれば、グリッド9a,9bおよびFPD4の検出面4aが互いに重なっている。図5では表されてはいないが、X線管3とFPD4の検出面4aの間には、X線管3に近い順に第2グリッド9b,第1グリッド9aが配列されている。
【0043】
第2グリッド9bは、検出面4aと直交する法線hを中心軸として回転する。すなわち、回転前は図5の左側の状態であった第2グリッド9bは、図5の中央の状態を経て、図5の右側の状態となるように回転される。図5の左側の状態は、第1グリッド9aの吸収箔9sと第2グリッド9bの吸収箔9sがX線管3から見ると重なった状態となっている。言い換えれば、図5の左側の状態は、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致した状態となっている。
【0044】
一方、図5の右側の状態は、第1グリッド9aの吸収箔9sと第2グリッド9bの吸収箔9sがX線管3から見ると直交した状態となっている。言い換えれば、図5の右側の状態は、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交した状態となっている。
【0045】
図6は、第2グリッド9bの回転の基準となる法線hを説明する斜視図である。法線hは、正方形となっているFPD4の検出面4aの中心点を垂直に貫く軸となっている。FPD4およびグリッド9a,9bは、正方形となっているのであるから、第2グリッド9bを90度回転させる毎に第1グリッド9aが第2グリッド9bに完全に覆われる(図5左側、右側参照)。
【0046】
図7は、第1グリッド9aと第2グリッド9bが有する吸収箔9sの傾斜について説明する図である。図7においては、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致した状態となっている。図7の破線はX線管3の焦点からFPD4に向かうX線の進行方向を表したものである。第2グリッド9bの吸収箔9sの短手方向は、このX線の進行方向に平行になるように設定されている。従って、FPD4に投影される吸収箔9sの影は極力幅狭なものとなっており、第2グリッド9bにより取得される透視画像P0が暗くならないように構成されている。第2グリッド9bの吸収箔9sの短手方向は、全てその吸収箔9sの存する位置に入射するX線の進行方向に沿うようになっている。
【0047】
第1グリッド9aの吸収箔9sが設けられる位置は第2グリッド9bの吸収箔9sを基準に決定される。すなわち、X線管3からX線が照射されたときに、第2グリッド9bの吸収箔9sの影が第1グリッド9aに投影される位置に吸収箔9sが設けられて第1グリッド9aを構成しているのである。しかも、第1グリッド9aの吸収箔9sの傾斜も第2グリッド9bのときと同様、吸収箔9sの存する位置に入射するX線の進行方向に沿うようになっている。しかし、実際には第1グリッド9aの吸収箔9sの各々には第2グリッド9bの吸収箔9sの影が投影されることになる。このように、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致している場合は、グリッドが2つ設けられているにも関わらず、2つのグリッド9a,9bが有する吸収箔9sの影が重なり合うことで、FPD4の検出面4aには1つぶんのグリッドの影しか現れていない。
【0048】
次に、X線管3およびFPD4の被検体Mに対する位置調整について説明する。図8は、被検体Mに対するX線管3およびFPD4の位置を表した模式図である。X線管3から照射されるX線ビームは被検体Mを通過した後FPD4に入射するようになっている。
【0049】
シフト機構17は、X線管3およびFPD4の相対位置を保った状態で仮想円VCの中心点に位置する被検体Mに対する両部材3,4の位置を調節できるようになっている。図9は、シフト機構17が被検体MからX線管3を最も遠ざけたときの互いの位置関係を示した図である。シフト機構17は、被検体MからX線管3を遠ざけるときそれに合わせてFPD4を被検体Mに近づける。図10は、シフト機構17が被検体MにX線管3を最も近づけたときの互いの位置関係を示した図である。シフト機構17は、被検体MにX線管3を近づけるときそれに合わせてFPD4を被検体Mから遠ざける。この様にして、シフト機構17の動作によってもX線管3とFPD4との距離に変化はない。シフト制御部18は、シフト機構17を制御するものである。グリッド9a,9bは、FPD4の検出面4aに付設して設けられているので、シフト機構17がFPD4を移動させると、グリッド9a,9bもこれに追従して移動することになる。シフト機構17は、本発明のシフト手段に相当する。
【0050】
図9の位置関係でX線管3およびFPD4を被検体Mに対して一回転させてX線透視撮影を行うと、取得される透視画像P0には、被検体Mが小さく写り込む。図9の点線は、X線管3から照射されるX線ビームのうち、被検体Mを通過するX線ビームを表している。図9によれば、X線管3と被検体Mとの距離が遠く、被検体MとFPD4との距離が近いので、被検体Mの投影像はあまり拡大されずにFPD4に到達する。
【0051】
また、図10に示すように、FPD4を被検体Mから遠ざけた状態でX線管3およびFPD4を被検体Mに対して一回転させてX線透視撮影を行うと、取得される透視画像P0には、被検体Mが大きく写り込む。図10の点線は、X線管3から照射されるX線ビームのうち、被検体Mを通過するX線ビームを表している。図10によれば、X線管3と被検体Mとの距離が近く、被検体MとFPD4との距離が遠いので、被検体Mの投影像は大きく拡大されてFPD4に到達する。
【0052】
このように、シフト機構17が被検体(中心点)に対してX線管3およびFPD4を接近・離反させるシフト動作により、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを調整することができるようになっている。すなわち、シフト機構17は、各部材3,4と被検体Mとの位置関係を図9で説明したような位置関係とするべくシフト動作をすることで、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを小さくするように調整することができる。逆に、シフト機構17は、各部材3,4と被検体Mとの位置関係を図10で説明したような位置関係とするべくシフト動作をすることで、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを大きくするように調整することもできる。
【0053】
表示部25は、X線撮影により取得された断層画像P1を表示する目的で設けられている。操作卓26は、実験者によるX線照射開始などの指示を入力させる目的で設けられている。また、主制御部27は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各制御部6,8,16および各部11,12を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。記憶部28は、撮影に用いられるパラメータ、画像処理に伴って生成される中間画像等のX線断層撮影装置1の制御に関するパラメータの一切を記憶する。
【0054】
<X線断層撮影装置の動作>
次に、X線断層撮影装置1の動作について説明する。実施例1に係るX線断層撮影装置1を用いて小動物の断層画像P1を取得するには、図11に示すように、まず、被検体Mがホルダ5に収納され(被検体収納ステップS1),被検体Mに対してX線管3およびFPD4がシフトされる(シフトステップS2)。そして、第1グリッド9aおよびFPD4に対して第2グリッド9bが回転され(グリッド回転ステップS3),透視画像P0の撮影が開始される(撮影開始ステップS4)。そして、断層画像P1が生成される(断層画像生成ステップS5)。以降これらの各ステップについて順を追って説明する。
【0055】
<被検体収納ステップS1>
撮影に先立って、被検体Mが撮影中に移動しない様に被検体Mを麻酔しておく。麻酔された被検体Mの各々は、ホルダ5の開口5aに収納される。このとき、ホルダ5の開口5a1つ当たり一体の被検体Mが収納される。ホルダ5には、5つの開口5aが設けられているので、ホルダ5には5体の被検体Mを収納することができる。複数の被検体Mを収納したホルダ5は天板2に載置される。
【0056】
<シフトステップS2:縮小撮影の場合>
実験者が操作卓26を通じてX線断層撮影装置1に断層撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10の貫通孔の内部に導入される(図1参照)。被検体Mを縮小して断層画像P1を撮影する必要がある場合、実験者は操作卓26を通じてシフト制御部18に指示を与え、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して移動させる。そして、図9に示す様に、X線管3が被検体Mから遠ざかり、FPD4が被検体Mに近づいた状態となる。
【0057】
このときFPD4に入射する散乱線について考える。図12は、縮小撮影を行う場合に被検体Mから発生した散乱線がFPD4に入射する様子を示している。X線管3から照射されたX線が被検体内の点Pで散乱して散乱X線が発生したものとする。この散乱X線がFPD4に入射するためには、散乱X線の進行方向がFPD4側に向いていなければならない。すなわち、点Pから出射した散乱X線がFPD4に入射する進行方向は、点Pを基点として図12のθ1が示す角度の広がりが示す方向のいずれかとなっている。角度θ1は、点PからFPD4の一端までを結ぶ線分と点PからFPD4の他端までを結ぶ線分とがなす角である。
【0058】
<シフトステップS2:拡大撮影の場合>
被検体Mを拡大して断層画像P1を撮影する必要がある場合、実験者は操作卓26を通じてシフト制御部18に指示を与え、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して移動させる。そして、図10に示す様に、X線管3が被検体Mに近づき、FPD4が被検体Mから遠ざかった状態となる。
【0059】
このときFPD4に入射する散乱線について考える。図13は、拡大撮影を行う場合に被検体Mから発生した散乱線がFPD4に入射する様子を示している。X線管3から照射されたX線が被検体内の点Pで散乱して散乱X線が発生したものとする。この散乱X線がFPD4に入射するためには、散乱X線の進行方向がFPD4側に向いていなければならない。すなわち、点Pから出射した散乱X線がFPD4に入射する進行方向は、点Pを基点として図13のθ2が示す角度の広がりが示す方向のいずれかとなっている。角度θ2は、点PからFPD4の一端までを結ぶ線分と点PからFPD4の他端までを結ぶ線分とがなす角である。
【0060】
<グリッド回転ステップS3>
縮小撮影・拡大撮影のいずれを行うかを示す情報はグリッド回転制御部14にも送出される。グリッド回転制御部14は、撮影の様式に合わせて第2グリッド9bを第1グリッド9aおよびFPD4に対して回転させる。撮影の様式の指定は前ステップで術者が操作卓26を通じて入力済みとなっている。
【0061】
撮影の様式によって、入射する散乱X線の線量に違いがある。すなわち、縮小撮影のときの方が拡大撮影のときよりも散乱X線が入射しやすいのである。図12,図13におけるθ1,θ2は、縮小撮影および拡大撮影の各々の撮影様式において点Pから入射する散乱X線がFPD4に入射するために許容される方向を示している。縮小撮影の場合拡大撮影のときよりも被検体MはFPD4に近づいていることからすれば、縮小撮影時を示す図12におけるθ1の角度は、拡大撮影時を示す図13におけるθ2の角度よりも大きくなる。ということは、縮小撮影時の場合の方が拡大撮影時の場合よりも散乱X線がFPD4に入射しやすいということになる。そこで、グリッド回転制御部14は、この様な事情に則した動作を行う。
【0062】
<縮小撮影の場合におけるグリッド回転制御の動作>
すなわち、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさが小さくなる縮小撮影が行われるときは、グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を通じて第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交するように第2グリッド9bを第1グリッド9aに対して回転させる。この回転により、グリッド9a,9bの位置関係は、図5の右側が示すようになっている。グリッド9a,9bは単独で全ての散乱X線を吸収できるのではない。すなわち、グリッド9a,9bは図4で示すようにある方向に伸びた吸収箔9sが配列されて構成されている。被検体内で発生した散乱X線の進行方向は、様々な方向に変えられている。この散乱X線がグリッド9a,9bに入射したとする。吸収箔9sを横切る方向に進行方向がズレた散乱X線は、吸収箔9sに当たってそこで吸収される。しかし、吸収箔9sの伸びる方向に沿った方向に進行方向がズレた散乱X線は、吸収箔9sに当たらず、グリッド9a,9bを通り抜けてしまう。
【0063】
全ての散乱X線を吸収しようとするには、図5の右側に示すように2つのグリッド9a,9bを互いの吸収箔9sが直交する向きに配置すればよい。このようにすると、第2グリッド9bの吸収箔9sが伸びる方向は、第1グリッド9aの吸収箔9sが配列している方向に相当するので、第2グリッド9bで吸収できなかった散乱X線は、FPD4に到達する前に第1グリッド9aで吸収されることになる。こうして、散乱X線の影響を受けやすい縮小撮影においては、グリッド9a,9bによる散乱X線除去能が強化された状態で撮影が行われる。
【0064】
<拡大撮影の場合におけるグリッド回転制御の動作>
また、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさが大きくなる拡大撮影が行われるときは、グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を通じて第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致するように第2グリッド9bを第1グリッド9aに対して回転させる。この回転により、グリッド9a,9bの位置関係は、図5の左側が示すようになっている。グリッド9a,9bは全ての直接X線(散乱X線でなく透視像の撮影に関係するX線)を通過できるのではない。図5の右側の状態だと、第1グリッド9aおよび第2グリッド9bの影の両方がFPD4に写り込んでしまい、得られる被検体像が露光不足になりやすい。
【0065】
FPD4に入射するグリッド9a,9bの影を少なくしようとするには、図5の左側に示す様に2つのグリッド9a,9bを互いの吸収箔9sの伸びる方向が一致する向きに配列すればよい。このようにすると、第2グリッド9bの吸収箔9sの影と第1グリッド9aの吸収箔9sの影とが互いに重なり合って、FPD4には、1枚分のグリッドの影しか現れないことになる(図7参照)。この様にすると先程の図5の右側の状態と比べて散乱X線の除去能力は劣るが、拡大撮影においてはさほど散乱X線がFPD4に入射しないので問題はない。こうして、散乱X線の影響を受けにくい拡大撮影においては、グリッド9a,9bによって撮影が露光不足になることがない。
【0066】
<撮影開始ステップS4>
X線管3,FPD4のシフト動作、および第2グリッド9bの回転動作が終了すると、X線管制御部6は、記憶部28に記憶されている照射時間・管電流・管電圧に従い、X線を間欠的に照射する。その間に回転機構7は、X線管3およびFPD4を回転させる。FPD4は、X線管3が照射したX線のうち被検体Mを通過してきたX線を検出し、このときの検出データを画像生成部11に送出する。
【0067】
画像生成部11は、FPD4から送出された検出データを画像化して、X線の強さがマッピングされた透視画像P0を生成する。FPD4は、X線管3がX線を照射する度に検出データを画像生成部11に送出するので、画像生成部11は、複数枚の透視画像P0を生成することになる。X線管3およびFPD4が回転移動されながら複数枚の透視画像P0が取得されるのであるから、透視画像P0の各々には、被検体Mの透視像が透視する方向を変えながら写り込んでいることになる。X線管3およびFPD4が撮影開始から一回転したところで、X線管3はX線の照射を終了する。
【0068】
撮影開始後の天板2の移動について説明する。X線断層撮影装置1は、一度の撮影で被検体Mの一部分しか撮影できない。X線断層撮影装置1の撮影視野におけるZ方向の幅が被検体MのZ方向の幅よりも小さいからである。そこで、実施例1の構成によれば、上述のX線管3・FPD4が一回転して終了する撮影を複数回行うことで、被検体Mの全体像について断層画像を取得するようにしている。すなわち、図14の左側が示すように、まず被検体Mの尾部の撮影を行った後、天板2が摺動されることにより被検体Mとガントリ10の相対位置を変更し、今度は図14の中央が示すように、被検体Mの腹部の撮影を行う。その後、再び天板2を摺動して今度は図14の右側が示すように被検体Mの頭部の撮影を行う。こうして、被検体全身について透視画像P0が取得される。
【0069】
<断層画像生成ステップS5>
透視画像P0は、断層画像生成部12に送出される。断層画像生成部12では、方向を変えながら撮影されることにより被検体Mの立体的な構造に関する情報を有している一連の透視画像P0を再構成してZ方向を体軸とする被検体Mを輪切りにするような断層画像P1を生成する。この断層画像P1は、輪切りにする位置をZ方向について変更しながら複数枚生成される。この様にして生成された断層画像P1が表示部25に表示されて撮影は終了となる。つまり断層画像P1は、被検体Mを仮想円VCの存する平面およびこれに平行な平面で裁断したときの断面像となっている。そして、断層画像P1に写り込んだ被検体Mの像は、X線管3・FPD4を移動させることによって調整した拡大率で写り込んでいる。この断層画像P1が表示部25に表示されて断層画像の取得動作は終了となる。
【0070】
以上のように、実施例1の構成によれば、確実に散乱X線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもないX線断層撮影装置1が提供できる。すなわち、実施例1の構成は、被検体Mに対してX線管3およびFPD4を接近・離反させることによりFPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを調整するシフト機構17を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体Mの像を適宜拡大・縮小することができる。また、実施例1の構成は、第1方向aに伸びた吸収箔9sが第1方向aと直交する第2方向bに配列されることにより形成された第1グリッド9aと、延伸方向cに伸びた吸収箔9sが延伸方向cと直交する配列方向dに配列されることにより形成された第2グリッド9bとを有している。そして、散乱X線がFPD4に入射しやすい縮小撮影を行うときは、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交するように第2グリッド9bが回転され、グリッドの散乱X線除去能が強化される。また、散乱X線がFPD4に入射しにくい拡大撮影を行うときは、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致するように第2グリッド9bが回転され、グリッドの影同士を重ね、取得される断層画像が明るくする。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できるX線断層撮影装置1が提供できる。
【0071】
また、上述のように拡大撮影を行うときに第2グリッド9bの吸収箔9s各々の影と第1グリッド9aの吸収箔9s各々の影とが重なるように設定すれば、FPD4に入射するグリッドの影を極力抑制することができる。
【0072】
また、上述のようにX線管3およびFPD4を一体にシフトして撮影における拡大・縮小を変更するようにすれば、より機構を単純とし、制御をしやすいX線断層撮影装置1が提供できる。
【0073】
また、上述のようにFPD4から見て遠い側の第2グリッド9bを回転させるようにすれば、第2グリッド9bにはこれを覆う部材が設けられていないので、第2グリッド9bは他の部材と干渉することなく確実に回転することになる。よって、この様な構成は実施例1の構成のX線断層撮影装置1に適している。
【実施例2】
【0074】
続いて実施例2に係る断層撮影装置20について説明する。実施例2に係る断層撮影装置20は、図15に示すように実施例1に係る装置構成にポジトロン放出断層撮影装置(PET装置)を併設したものとなっている。そこで、実施例2に係る断層撮影装置20において、実施例1に係る装置構成と同様の部分については説明を省略する。
【0075】
断層撮影装置20には、ガントリ10の他、PET装置1aに係るガントリ10aを有している。このガントリ10aも、Z方向に伸びた貫通孔を有しており、天板2が挿通されている。したがって、PET装置1aは、X線管3・FPD4に対してZ方向から隣接するように設けられている。
【0076】
ガントリ10aの内部にはガントリ10aの形状にならってリング状の検出器リング32が設けられている。この検出器リング32は、γ線を検出可能な検出器がリング状に配列されて構成されている。
【0077】
同時計数部33は、検出器リング32から出力された検出データに同時計数処理を施す目的で設けられている。この同時計数部33により、検出器リング32の異なる部分に同時に入射した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とが特定される。同時計数部33は、同時計数の結果をPET画像生成部34に出力する。PET画像生成部34は、同時計数部33が特定した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とを基に、消滅γ線対の発生位置を算出し、消滅γ線対の発生強度がマッピングされたPET画像P2を生成する。PET画像P2は、消滅γ線対の発生の分布を示す断層画像となっている。
【0078】
断層撮影装置20は、X線による断層画像P1と消滅γ線対によるPET画像P2との両画像を一度の検査で取得できるようになっている。断層撮影装置20を用いて両画像P1,P2を生成するには、まず、被検体Mに陽電子放出型の放射性薬剤が注射される。放射性薬剤は、被検体Mの病巣などの特定の部分に集中する性質を有している。放射性薬剤は陽電子を放出し、この陽電子は180度反対方向に飛び去る消滅γ線対を発生させる。したがって、被検体Mからは、消滅γ線対が放射されることになる。放射性薬剤の分布は被検体内で異なっているのであるから、消滅γ線対の発生の頻度は被検体Mの部分によって異なっていることになる。
【0079】
放射性薬剤の注射から十分に時間が経過した後、被検体Mは麻酔され、ホルダ5に収納される。すなわち、ホルダ5の開口5aの各々に麻酔された被検体Mの一体が収納される。そして、複数の被検体Mを収納した状態となったホルダ5は、天板2に載置される。実験者が操作卓26を通じて断層撮影装置20にPET画像撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10aの貫通孔の内部に導入される(図15参照)。この時点から検出器リング32は、消滅γ線対の検出を開始し、PET画像生成部34がPET画像P2を生成する。PET画像P2には、被検体Mの部分によって異なる消滅γ線対の発生の頻度がマッピングされている。消滅γ線対の発生頻度の分布はそのまま放射線薬剤の分布なのであるから、実験者はPET画像P2を診断することで被検体中の放射性薬剤の分布を知ることができる。なお、撮影の際に、PET装置1aのZ方向における視野範囲が被検体Mの全身をカバーしきれないときは、天板2をZ方向に摺動させながらPET画像P2の撮影をするようにしてもよい。
【0080】
後の動作は、上述のステップS2以降と同様である。断層画像P1,PET画像P2およびこれらが重ねられた合成画像が表示部25に表示されて撮影は終了となる。
【0081】
以上のように、上述の構成は、実施例1の構成のより具体的な態様を示すものとなっている。ポジトロン放出断層撮影装置を備えるようにすれば、被検体Mの機能的な画像と構造的な画像との両方が取得でき、撮影で取得できる情報をより多く得ることができる。
【0082】
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0083】
(1)実施例1の構成によれば、FPD4から遠い側の第2グリッド9bが第1グリッド9aおよびFPD4に対して回転するようになっていたが、これに代えて第1グリッド9aが回転する構成としてもよい。
【0084】
(2)実施例1の構成によれば、X線管3およびFPD4とが被検体Mに対してどのような位置関係になっている場合に、どのような撮影様式となっているかについて言及してはいないが、例えば、X線管3およびFPD4との中点がX線管3およびFPD4の回転中心と一致している基準状態(図8参照)を基準として、FPD4がより被検体Mに近づいた状態を縮小撮影とし、X線管3がより被検体Mに近づいた状態を拡大撮影としてもよい。その他、基準状態をどのようにするかは自由に設計変更ができる。
【0085】
(3)実施例1の構成によれば、被検体Mはマウスであったが、他の小動物を被検体Mとすることもできる。
【0086】
(4)実施例1の構成によれば、ホルダ5は5つの開口5aを有していたが、開口5aの個数を撮影対象の小動物のサイズに合わせて変更させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
a 第1方向
b 第2方向
c 延伸方向
d 配列方向
2 天板
3 X線管(放射線源)
4 FPD(放射線検出手段)
7 回転手段
9a 第1グリッド(第1放射線グリッド)
9b 第2グリッド(第2放射線グリッド)
13 グリッド回転機構(グリッド回転手段)
17 シフト機構(シフト手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、断層画像を撮影する放射線断層撮影装置に係り、特に、放射線源と被検体との距離を調整することができる放射線断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研究対象としての被検体をイメージングする装置の一つに放射線断層撮影装置がある。この装置は、被検体の断層画像を生成することができるものであり、術者は、この画像を参照して被検体の内部の構造を知ることができる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この様な放射線断層撮影装置の従来の構成について説明する。従来装置は、図16に示す様に、開口が設けられたガントリ51を有し、このガントリ51の内部には、放射線を照射する放射線源53と、放射線を検出する放射線検出器54とが設けられている。放射線源53と放射線検出器54とは、ガントリ51の開口を挟むように配置されており、互いの相対位置を保った状態で、開口を中心に回転することができる。この開口の内部には、被検体が配置される。
【0004】
従来の放射線断層撮影装置の動作について説明する。従来装置により、被検体の断層画像を取得するには、まず、被検体がガントリ51の開口に挿入される。そして、放射線源53と放射線検出器54とを被検体を中心に回転させながら複数回の撮影を行う。得られた透視画像の各々には、撮影方向が異なる被検体の像が写り込んでいる。これらの透視画像を組み立てると、被検体の断層画像が生成できる。
【0005】
放射線源53から照射した放射線は放射状に広がって放射線検出器54に入射する。したがって、被検体を透過してきた放射線ビームは、放射線検出器54に向かう間に空間的に広がっていくことになる。すると、放射線ビームの中に写り込んでいる被検体像は引き延ばされて放射線検出器54に入射することになる。その被検体像の引き延ばしの程度は、放射線源53・放射線検出器54と被検体との位置関係によって異なる。
【0006】
従来の放射線断層撮影装置においては、被検体に対する放射線源53・放射線検出器54の位置を調整することにより、放射線検出器54に写り込む被検体の像の大きさを変更できるようになっている。従来装置において、被検体の一部分の断層画像が取得したい場合は、被検体を放射線検出器54から遠ざけて拡大撮影をし、被検体の全体の断層画像が取得したい場合は、被検体を放射線検出器54に近づけて縮小撮影をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/141831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の構成によれば、次のような問題点がある。
すなわち、従来の構成によれば、診断がしにくい断層画像しか得られない。具体的には、散乱線の影響により不鮮明な断層像しか得られないからである。
【0009】
散乱線の影響を取り除くのは被検体から生じた散乱線を吸収する放射線グリッドを放射線検出器54の検出面を覆うように設けるのが通常である。しかし、被検体を縮小撮影しようとするときと拡大撮影しようとするときとで散乱線の入射のしやすさが異なるので、どのような放射線グリッドを設けるのが最適なのか判断が難しい。すなわち、散乱線が入射しやすい縮小撮影をする場合においては、高い散乱線除去能力を有する放射線グリッドを設けた方が鮮明な断層像が取得できる。
【0010】
しかし、散乱線があまり入射しない拡大撮影をする場合においては、逆に低い散乱線除去能力を有する放射線グリッドを設けた方が鮮明な断層像が取得できる。散乱線除去能力が高いほど断層画像は露光不足となる傾向があるからである。放射線グリッドは被検体の透視像の形成に必要な直接線のみを通過させ、撮影の邪魔となる散乱線を選択的に吸収するように構成されている。しかし、実際には、放射線グリッドの散乱線除去能力を高めようとすると、それに伴って、直接線も通過しにくくなってしまうのである。すると、放射線検出器54に到達する直接放射線が少なくなり、得られる断層画像は暗過ぎて診断に適さない。
【0011】
放射線グリッドの散乱線除去能力が撮影の様式に合わせて変更できるように構成されればより鮮明な断層画像が取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0012】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体に対する放射線源・放射線検出手段の位置関係を調整することで縮小撮影・拡大撮影が可能な放射線断層撮影装置において、確実に散乱線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもない放射線断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線断層撮影装置は、放射線を照射する放射線源と、放射線を検出する放射線検出手段と、放射線源と放射線検出手段を結ぶ線分上にある中心点を中心に、両者を互いの位置関係を保った状態で回転させる回転手段と、中心点に対して放射線源および放射線検出手段のうち少なくとも一つを接近・離反させることにより放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト動作を行うシフト手段と、第1方向に伸びた吸収箔が第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドが放射線検出手段の放射線を検出する検出面を覆うように設けられているとともに延伸方向に伸びた吸収箔が延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドが第1放射線グリッドを覆うように設けられており、検出面と直交する法線を中心軸として放射線グリッドのうちの一つを放射線検出手段に対して回転させるグリッド回転手段と、グリッド回転手段を制御するグリッド制御手段とを備え、シフト手段が放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするようにシフト動作をしたとき、グリッド制御手段は、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドを回転させ、シフト手段が放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするようにシフト動作をしたとき、グリッド制御手段は、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドを回転させることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]本発明によれば、確実に散乱線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもない放射線断層撮影装置が提供できる。すなわち、本発明は、被検体に対して放射線源および放射線検出手段を接近・離反させることにより放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体の像を適宜拡大・縮小することができる。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔が第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドと、延伸方向に伸びた吸収箔が延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドとを有している。そして、散乱線が放射線検出手段に入射しやすい縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドが回転され、グリッドの散乱線除去能が強化される。また、散乱線が放射線検出手段に入射しにくい拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドが回転され、グリッドの影同士を重ね、取得される断層画像が明るくする。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【0015】
また、上述の放射線断層撮影装置において、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致している状態で放射線源から放射線を照射すると、第2放射線グリッドの吸収箔各々の影が第1放射線グリッドの吸収箔の各々に投影されればより望ましい。
【0016】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。拡大撮影を行うときに第2放射線グリッドの吸収箔各々の影と第1放射線グリッドの吸収箔各々の影とが重なるように設定すれば、放射線検出手段に入射するグリッドの影を極力抑制することができる。
【0017】
また、上述の放射線断層撮影装置において、シフト手段は、放射線源および放射線検出手段の相対位置を保った状態でシフト動作をすることにより、放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするように放射線源を中心点から遠ざけるときはそれに合わせて放射線検出手段を中心点に近づけ、逆に放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするように放射線源を中心点に近づけるときはそれに合わせて放射線検出手段を中心点から遠ざければより望ましい。
【0018】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。上述のように放射線源および放射線検出手段を一体にシフトして撮影における拡大・縮小を変更するようにすれば、より機構を単純とし、制御をしやすい放射線断層撮影装置が提供できる。
【0019】
また、上述の放射線断層撮影装置において、グリッド回転手段が第2放射線グリッドを放射線検出手段に対して回転させればより望ましい。
【0020】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。放射線検出手段から見て遠い側の第2放射線グリッドを回転させるようにすれば、第2放射線グリッドにはこれを覆う部材が設けられていないので、第2放射線グリッドは他の部材と干渉することなく確実に回転することになる。よって、この様な構成は本発明の放射線断層撮影装置に適している。
【0021】
また、上述の放射線断層撮影装置において、被検体を載置する天板と、天板を仮想円の直交方向に移動させる天板移動手段とを備えればより望ましい。
【0022】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。ホルダが載置可能で摺動自在の天板を備えるようにすれば、容易に被検体を撮影視野内に導入することができる小動物用放射線断層撮影装置が提供できる。
【0023】
また、上述の放射線断層撮影装置において、小動物撮影用となっていればより望ましい。
【0024】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。本発明を小動物撮影用の装置に適用すれば、撮影の失敗により撮影をやり直す必要が無く、再び麻酔をかけることなく小動物を確実に撮影することができる。
【0025】
また、上述の放射線断層撮影装置において、放射線源、放射線検出手段に対して仮想円の直交方向から隣接するように設けられたポジトロン放出断層撮影装置を備えればより望ましい。
【0026】
[作用・効果]上述の構成は、本発明のより具体的な態様を示すものとなっている。ポジトロン放出断層撮影装置を備えるようにすれば、被検体の機能的な画像と構造的な画像との両方が取得でき、撮影で取得できる情報をより多く得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト手段を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体の像を適宜拡大・縮小することができる。また、本発明は、第1方向に伸びた吸収箔を有する第1放射線グリッドと、延伸方向に伸びた吸収箔を有する第2放射線グリッドとを有している。そして、縮小撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが直交するように放射線グリッドが回転され、拡大撮影を行うときは、第1放射線グリッドの第1方向と第2放射線グリッドの延伸方向とが一致するように放射線グリッドが回転される。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できる放射線断層撮影装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例1に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】実施例1に係る撮像系(X線管およびFPD)の回転移動を説明する模式図である。
【図3】実施例1に係るホルダを説明する平面図である。
【図4】実施例1に係るグリッドを説明する平面図である。
【図5】実施例1に係るグリッドの回転を説明する平面図である。
【図6】実施例1に係るグリッドの回転を説明する斜視図である。
【図7】実施例1に係るグリッドの位置関係を説明する模式図である。
【図8】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図9】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図10】実施例1に係る撮像系のシフトについて説明する模式図である。
【図11】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図13】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図14】実施例1に係るX線断層撮影装置の動作を説明する模式図である。
【図15】実施例2に係るX線断層撮影装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図16】従来構成の放射線断層撮影装置の構成を説明する模式図である。
【実施例1】
【0029】
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。また、本発明のX線断層撮影装置は、マウスなどの小動物撮影用となっている。
【0030】
まず、実施例1に係るX線断層撮影装置について説明する。X線断層撮影装置1は、図1に示す様に被検体Mを載置する天板2と、天板2の伸びる方向に貫通した貫通孔を有するガントリ10とを備えている。天板2は、ガントリ10の貫通孔に挿通されており、天板2を支持する支持台2aに対して天板2の伸びる方向(後述における仮想円VCの直交方向:Z方向)に進退自在に移動することができる。この天板2の移動は天板移動機構15が行う。天板移動制御部16は、天板移動機構15を制御するものである。天板移動機構15は、本発明の天板移動手段に相当する。
【0031】
ガントリ10の内部には、X線を照射するX線管3と、X線を検出するFPD4とが設けられている。X線管3から照射されたX線は、ガントリの貫通孔を横切るように通過して、FPD4に到達する。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の放射線検出手段に相当する。
【0032】
X線管制御部6は、所定の管電流、管電圧、パルス幅でX線管3を制御する目的で設けられている。FPD4は、X線管3から発せられ、被検体Mを透過したX線を検出して検出信号を生成する。この検出信号は、画像生成部11に送出され、そこで被検体Mの投影像が写り込んだ透視画像P0が生成される。断層画像生成部12は、画像生成部11で生成された透視画像P0を基に、被検体Mを任意の断層面で裁断したときの断層画像P1を生成する。
【0033】
X線管3およびFPD4の回転について説明する。X線管3およびFPD4は、回転機構7により、天板2の伸びる方向に伸びた中心軸を中心に一体的に回転される。より具体的には、X線管3およびFPD4は、図2に示す様に互いの相対的な位置関係を保った状態で回転移動される。このとき、X線管3は、回転機構7によりX線管3とFPE4とを結ぶ線分上にある中心点を中心とする仮想円VCの軌跡を描きながら回転することになる。この仮想円VCと直交する方向(図2における紙面貫通方向:Z方向)が、天板2の延伸方向と一致する。回転制御部8は、回転機構7を制御する目的で設けられている。
【0034】
天板2には、被検体Mを保持するためのホルダ5が載置されている。このホルダ5の構造について説明する。ホルダ5は、図3に示す様に、5つの円(立体として捕らえればZ方向に伸びた円柱)の形状の開口5aを有している。この開口5aの各々に被検体Mが一体ずつ挿入されることになる。開口5aの内壁を形成する円筒5bは、Z方向に伸びた複数の貫通孔がレンコン状に開けられた発泡スチロール製の円筒支持体5cにおける貫通孔の各々に埋め込まれることで支持されている。また、円筒5bは、X線を透過しやすいアクリル樹脂で構成される。ホルダ5は、天板2に近い側の一段目に3個の開口5aが、天板2に遠い側の二段目に2個の開口5aが形成されているような形状をしている。
【0035】
第1グリッド9a,第2グリッド9bは、被検体内部で発生した散乱X線を吸収・除去し鮮明な透視画像P0を取得する目的で設けられている。第1グリッド9a,第2グリッド9bは、FPD4の検出面4aの前面を覆うように配設されており、X線はこのグリッド9a,9bを通過しなければFPD4の検出面4aに入射することができないようになっている。第1グリッド9aは、本発明の第1放射線グリッドに相当し、第2グリッド9bは、本発明の第2放射線グリッドに相当する。
【0036】
第1グリッド9a,第2グリッド9bの構成について説明する。第1グリッド9aは、図4に示すように、第1方向aに伸びるとともに第1方向aに直交する第2方向bに配列した複数の吸収箔9sを有している。この吸収箔9sは、X線管3からFPD4に向かう方向(正確には、X線管3から照射されたX線の進行方向)を短手方向とする短冊状となっている。X線管3から照射されるX線は放射状に広がるので、FPD4の端部ではX線は斜め方向から検出面4aに入射する。従って、吸収箔9sの短手方向は、このX線の傾斜に倣って傾斜されている。
【0037】
吸収箔9sは、モリブデン合金等のX線を吸収する部材で構成される。したがって、X線管3からFPD4に向かう方向に進行方向が沿わない散乱X線はこの吸収箔9sによって吸収・除去される。このようにして、被検体MにX線を照射することで被検体内部で生じた散乱X線が吸収箔9sによって吸収・除去され、FPD4の検出面4aに到達することがない。したがって、取得される透視画像の視認性が散乱X線によって悪化することがない。
【0038】
第2グリッド9bの構成は第1グリッド9aの構成と同様である。両グリッドの区別のため、第1グリッド9aの第1方向aに相当する方向を延伸方向cと呼び、第1グリッド9aの第2方向bに相当する方向を配列方向dと呼ぶことにする。従って、第2グリッド9bは、図4に示すように、延伸方向cに伸びた吸収箔9sが延伸方向cに直交する配列方向dに配列して構成される。第2グリッド9bにおける吸収箔9sの傾斜の様子や、吸収箔9sの素材などの詳細などは、第1グリッド9aのものと同様である。
【0039】
第1グリッド9aと第2グリッド9bとの位置関係について説明する。第1グリッド9aと第2グリッド9bは、互いに平行な位置関係となるように配置されている。従って、第2グリッド9bは、FPD4の検出面4aを覆う第1グリッド9aを更に覆うように配置されている。
【0040】
FPD4の検出面4aは正方向の形状をしており、第1グリッド9a,第2グリッド9bも正方形の形状となっている。
【0041】
第2グリッド9bの回転について説明する。第2グリッド9bは、FPD4に対して回転移動することができる。この回転移動は、グリッド回転機構13が行う。グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を制御する目的で設けられている。なお、第1グリッド9aは、FPD4に固定されているので、第2グリッド9bが回転されると、FPD4のみならず第1グリッド9aに対しても回転移動することになる。グリッド回転機構13は、本発明のグリッド回転手段に相当する。
【0042】
図5は、第2グリッド9bが、検出面4a,および第1グリッド9aに対し回転移動する様子を示している。図5は、グリッド9a,9b,およびFPD4をX線管3側から見たときの平面図である。図5によれば、グリッド9a,9bおよびFPD4の検出面4aが互いに重なっている。図5では表されてはいないが、X線管3とFPD4の検出面4aの間には、X線管3に近い順に第2グリッド9b,第1グリッド9aが配列されている。
【0043】
第2グリッド9bは、検出面4aと直交する法線hを中心軸として回転する。すなわち、回転前は図5の左側の状態であった第2グリッド9bは、図5の中央の状態を経て、図5の右側の状態となるように回転される。図5の左側の状態は、第1グリッド9aの吸収箔9sと第2グリッド9bの吸収箔9sがX線管3から見ると重なった状態となっている。言い換えれば、図5の左側の状態は、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致した状態となっている。
【0044】
一方、図5の右側の状態は、第1グリッド9aの吸収箔9sと第2グリッド9bの吸収箔9sがX線管3から見ると直交した状態となっている。言い換えれば、図5の右側の状態は、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交した状態となっている。
【0045】
図6は、第2グリッド9bの回転の基準となる法線hを説明する斜視図である。法線hは、正方形となっているFPD4の検出面4aの中心点を垂直に貫く軸となっている。FPD4およびグリッド9a,9bは、正方形となっているのであるから、第2グリッド9bを90度回転させる毎に第1グリッド9aが第2グリッド9bに完全に覆われる(図5左側、右側参照)。
【0046】
図7は、第1グリッド9aと第2グリッド9bが有する吸収箔9sの傾斜について説明する図である。図7においては、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致した状態となっている。図7の破線はX線管3の焦点からFPD4に向かうX線の進行方向を表したものである。第2グリッド9bの吸収箔9sの短手方向は、このX線の進行方向に平行になるように設定されている。従って、FPD4に投影される吸収箔9sの影は極力幅狭なものとなっており、第2グリッド9bにより取得される透視画像P0が暗くならないように構成されている。第2グリッド9bの吸収箔9sの短手方向は、全てその吸収箔9sの存する位置に入射するX線の進行方向に沿うようになっている。
【0047】
第1グリッド9aの吸収箔9sが設けられる位置は第2グリッド9bの吸収箔9sを基準に決定される。すなわち、X線管3からX線が照射されたときに、第2グリッド9bの吸収箔9sの影が第1グリッド9aに投影される位置に吸収箔9sが設けられて第1グリッド9aを構成しているのである。しかも、第1グリッド9aの吸収箔9sの傾斜も第2グリッド9bのときと同様、吸収箔9sの存する位置に入射するX線の進行方向に沿うようになっている。しかし、実際には第1グリッド9aの吸収箔9sの各々には第2グリッド9bの吸収箔9sの影が投影されることになる。このように、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致している場合は、グリッドが2つ設けられているにも関わらず、2つのグリッド9a,9bが有する吸収箔9sの影が重なり合うことで、FPD4の検出面4aには1つぶんのグリッドの影しか現れていない。
【0048】
次に、X線管3およびFPD4の被検体Mに対する位置調整について説明する。図8は、被検体Mに対するX線管3およびFPD4の位置を表した模式図である。X線管3から照射されるX線ビームは被検体Mを通過した後FPD4に入射するようになっている。
【0049】
シフト機構17は、X線管3およびFPD4の相対位置を保った状態で仮想円VCの中心点に位置する被検体Mに対する両部材3,4の位置を調節できるようになっている。図9は、シフト機構17が被検体MからX線管3を最も遠ざけたときの互いの位置関係を示した図である。シフト機構17は、被検体MからX線管3を遠ざけるときそれに合わせてFPD4を被検体Mに近づける。図10は、シフト機構17が被検体MにX線管3を最も近づけたときの互いの位置関係を示した図である。シフト機構17は、被検体MにX線管3を近づけるときそれに合わせてFPD4を被検体Mから遠ざける。この様にして、シフト機構17の動作によってもX線管3とFPD4との距離に変化はない。シフト制御部18は、シフト機構17を制御するものである。グリッド9a,9bは、FPD4の検出面4aに付設して設けられているので、シフト機構17がFPD4を移動させると、グリッド9a,9bもこれに追従して移動することになる。シフト機構17は、本発明のシフト手段に相当する。
【0050】
図9の位置関係でX線管3およびFPD4を被検体Mに対して一回転させてX線透視撮影を行うと、取得される透視画像P0には、被検体Mが小さく写り込む。図9の点線は、X線管3から照射されるX線ビームのうち、被検体Mを通過するX線ビームを表している。図9によれば、X線管3と被検体Mとの距離が遠く、被検体MとFPD4との距離が近いので、被検体Mの投影像はあまり拡大されずにFPD4に到達する。
【0051】
また、図10に示すように、FPD4を被検体Mから遠ざけた状態でX線管3およびFPD4を被検体Mに対して一回転させてX線透視撮影を行うと、取得される透視画像P0には、被検体Mが大きく写り込む。図10の点線は、X線管3から照射されるX線ビームのうち、被検体Mを通過するX線ビームを表している。図10によれば、X線管3と被検体Mとの距離が近く、被検体MとFPD4との距離が遠いので、被検体Mの投影像は大きく拡大されてFPD4に到達する。
【0052】
このように、シフト機構17が被検体(中心点)に対してX線管3およびFPD4を接近・離反させるシフト動作により、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを調整することができるようになっている。すなわち、シフト機構17は、各部材3,4と被検体Mとの位置関係を図9で説明したような位置関係とするべくシフト動作をすることで、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを小さくするように調整することができる。逆に、シフト機構17は、各部材3,4と被検体Mとの位置関係を図10で説明したような位置関係とするべくシフト動作をすることで、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを大きくするように調整することもできる。
【0053】
表示部25は、X線撮影により取得された断層画像P1を表示する目的で設けられている。操作卓26は、実験者によるX線照射開始などの指示を入力させる目的で設けられている。また、主制御部27は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することにより各制御部6,8,16および各部11,12を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。記憶部28は、撮影に用いられるパラメータ、画像処理に伴って生成される中間画像等のX線断層撮影装置1の制御に関するパラメータの一切を記憶する。
【0054】
<X線断層撮影装置の動作>
次に、X線断層撮影装置1の動作について説明する。実施例1に係るX線断層撮影装置1を用いて小動物の断層画像P1を取得するには、図11に示すように、まず、被検体Mがホルダ5に収納され(被検体収納ステップS1),被検体Mに対してX線管3およびFPD4がシフトされる(シフトステップS2)。そして、第1グリッド9aおよびFPD4に対して第2グリッド9bが回転され(グリッド回転ステップS3),透視画像P0の撮影が開始される(撮影開始ステップS4)。そして、断層画像P1が生成される(断層画像生成ステップS5)。以降これらの各ステップについて順を追って説明する。
【0055】
<被検体収納ステップS1>
撮影に先立って、被検体Mが撮影中に移動しない様に被検体Mを麻酔しておく。麻酔された被検体Mの各々は、ホルダ5の開口5aに収納される。このとき、ホルダ5の開口5a1つ当たり一体の被検体Mが収納される。ホルダ5には、5つの開口5aが設けられているので、ホルダ5には5体の被検体Mを収納することができる。複数の被検体Mを収納したホルダ5は天板2に載置される。
【0056】
<シフトステップS2:縮小撮影の場合>
実験者が操作卓26を通じてX線断層撮影装置1に断層撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10の貫通孔の内部に導入される(図1参照)。被検体Mを縮小して断層画像P1を撮影する必要がある場合、実験者は操作卓26を通じてシフト制御部18に指示を与え、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して移動させる。そして、図9に示す様に、X線管3が被検体Mから遠ざかり、FPD4が被検体Mに近づいた状態となる。
【0057】
このときFPD4に入射する散乱線について考える。図12は、縮小撮影を行う場合に被検体Mから発生した散乱線がFPD4に入射する様子を示している。X線管3から照射されたX線が被検体内の点Pで散乱して散乱X線が発生したものとする。この散乱X線がFPD4に入射するためには、散乱X線の進行方向がFPD4側に向いていなければならない。すなわち、点Pから出射した散乱X線がFPD4に入射する進行方向は、点Pを基点として図12のθ1が示す角度の広がりが示す方向のいずれかとなっている。角度θ1は、点PからFPD4の一端までを結ぶ線分と点PからFPD4の他端までを結ぶ線分とがなす角である。
【0058】
<シフトステップS2:拡大撮影の場合>
被検体Mを拡大して断層画像P1を撮影する必要がある場合、実験者は操作卓26を通じてシフト制御部18に指示を与え、X線管3およびFPD4を被検体Mに対して移動させる。そして、図10に示す様に、X線管3が被検体Mに近づき、FPD4が被検体Mから遠ざかった状態となる。
【0059】
このときFPD4に入射する散乱線について考える。図13は、拡大撮影を行う場合に被検体Mから発生した散乱線がFPD4に入射する様子を示している。X線管3から照射されたX線が被検体内の点Pで散乱して散乱X線が発生したものとする。この散乱X線がFPD4に入射するためには、散乱X線の進行方向がFPD4側に向いていなければならない。すなわち、点Pから出射した散乱X線がFPD4に入射する進行方向は、点Pを基点として図13のθ2が示す角度の広がりが示す方向のいずれかとなっている。角度θ2は、点PからFPD4の一端までを結ぶ線分と点PからFPD4の他端までを結ぶ線分とがなす角である。
【0060】
<グリッド回転ステップS3>
縮小撮影・拡大撮影のいずれを行うかを示す情報はグリッド回転制御部14にも送出される。グリッド回転制御部14は、撮影の様式に合わせて第2グリッド9bを第1グリッド9aおよびFPD4に対して回転させる。撮影の様式の指定は前ステップで術者が操作卓26を通じて入力済みとなっている。
【0061】
撮影の様式によって、入射する散乱X線の線量に違いがある。すなわち、縮小撮影のときの方が拡大撮影のときよりも散乱X線が入射しやすいのである。図12,図13におけるθ1,θ2は、縮小撮影および拡大撮影の各々の撮影様式において点Pから入射する散乱X線がFPD4に入射するために許容される方向を示している。縮小撮影の場合拡大撮影のときよりも被検体MはFPD4に近づいていることからすれば、縮小撮影時を示す図12におけるθ1の角度は、拡大撮影時を示す図13におけるθ2の角度よりも大きくなる。ということは、縮小撮影時の場合の方が拡大撮影時の場合よりも散乱X線がFPD4に入射しやすいということになる。そこで、グリッド回転制御部14は、この様な事情に則した動作を行う。
【0062】
<縮小撮影の場合におけるグリッド回転制御の動作>
すなわち、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさが小さくなる縮小撮影が行われるときは、グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を通じて第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交するように第2グリッド9bを第1グリッド9aに対して回転させる。この回転により、グリッド9a,9bの位置関係は、図5の右側が示すようになっている。グリッド9a,9bは単独で全ての散乱X線を吸収できるのではない。すなわち、グリッド9a,9bは図4で示すようにある方向に伸びた吸収箔9sが配列されて構成されている。被検体内で発生した散乱X線の進行方向は、様々な方向に変えられている。この散乱X線がグリッド9a,9bに入射したとする。吸収箔9sを横切る方向に進行方向がズレた散乱X線は、吸収箔9sに当たってそこで吸収される。しかし、吸収箔9sの伸びる方向に沿った方向に進行方向がズレた散乱X線は、吸収箔9sに当たらず、グリッド9a,9bを通り抜けてしまう。
【0063】
全ての散乱X線を吸収しようとするには、図5の右側に示すように2つのグリッド9a,9bを互いの吸収箔9sが直交する向きに配置すればよい。このようにすると、第2グリッド9bの吸収箔9sが伸びる方向は、第1グリッド9aの吸収箔9sが配列している方向に相当するので、第2グリッド9bで吸収できなかった散乱X線は、FPD4に到達する前に第1グリッド9aで吸収されることになる。こうして、散乱X線の影響を受けやすい縮小撮影においては、グリッド9a,9bによる散乱X線除去能が強化された状態で撮影が行われる。
【0064】
<拡大撮影の場合におけるグリッド回転制御の動作>
また、FPD4に写り込む被検体Mの像の大きさが大きくなる拡大撮影が行われるときは、グリッド回転制御部14は、グリッド回転機構13を通じて第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致するように第2グリッド9bを第1グリッド9aに対して回転させる。この回転により、グリッド9a,9bの位置関係は、図5の左側が示すようになっている。グリッド9a,9bは全ての直接X線(散乱X線でなく透視像の撮影に関係するX線)を通過できるのではない。図5の右側の状態だと、第1グリッド9aおよび第2グリッド9bの影の両方がFPD4に写り込んでしまい、得られる被検体像が露光不足になりやすい。
【0065】
FPD4に入射するグリッド9a,9bの影を少なくしようとするには、図5の左側に示す様に2つのグリッド9a,9bを互いの吸収箔9sの伸びる方向が一致する向きに配列すればよい。このようにすると、第2グリッド9bの吸収箔9sの影と第1グリッド9aの吸収箔9sの影とが互いに重なり合って、FPD4には、1枚分のグリッドの影しか現れないことになる(図7参照)。この様にすると先程の図5の右側の状態と比べて散乱X線の除去能力は劣るが、拡大撮影においてはさほど散乱X線がFPD4に入射しないので問題はない。こうして、散乱X線の影響を受けにくい拡大撮影においては、グリッド9a,9bによって撮影が露光不足になることがない。
【0066】
<撮影開始ステップS4>
X線管3,FPD4のシフト動作、および第2グリッド9bの回転動作が終了すると、X線管制御部6は、記憶部28に記憶されている照射時間・管電流・管電圧に従い、X線を間欠的に照射する。その間に回転機構7は、X線管3およびFPD4を回転させる。FPD4は、X線管3が照射したX線のうち被検体Mを通過してきたX線を検出し、このときの検出データを画像生成部11に送出する。
【0067】
画像生成部11は、FPD4から送出された検出データを画像化して、X線の強さがマッピングされた透視画像P0を生成する。FPD4は、X線管3がX線を照射する度に検出データを画像生成部11に送出するので、画像生成部11は、複数枚の透視画像P0を生成することになる。X線管3およびFPD4が回転移動されながら複数枚の透視画像P0が取得されるのであるから、透視画像P0の各々には、被検体Mの透視像が透視する方向を変えながら写り込んでいることになる。X線管3およびFPD4が撮影開始から一回転したところで、X線管3はX線の照射を終了する。
【0068】
撮影開始後の天板2の移動について説明する。X線断層撮影装置1は、一度の撮影で被検体Mの一部分しか撮影できない。X線断層撮影装置1の撮影視野におけるZ方向の幅が被検体MのZ方向の幅よりも小さいからである。そこで、実施例1の構成によれば、上述のX線管3・FPD4が一回転して終了する撮影を複数回行うことで、被検体Mの全体像について断層画像を取得するようにしている。すなわち、図14の左側が示すように、まず被検体Mの尾部の撮影を行った後、天板2が摺動されることにより被検体Mとガントリ10の相対位置を変更し、今度は図14の中央が示すように、被検体Mの腹部の撮影を行う。その後、再び天板2を摺動して今度は図14の右側が示すように被検体Mの頭部の撮影を行う。こうして、被検体全身について透視画像P0が取得される。
【0069】
<断層画像生成ステップS5>
透視画像P0は、断層画像生成部12に送出される。断層画像生成部12では、方向を変えながら撮影されることにより被検体Mの立体的な構造に関する情報を有している一連の透視画像P0を再構成してZ方向を体軸とする被検体Mを輪切りにするような断層画像P1を生成する。この断層画像P1は、輪切りにする位置をZ方向について変更しながら複数枚生成される。この様にして生成された断層画像P1が表示部25に表示されて撮影は終了となる。つまり断層画像P1は、被検体Mを仮想円VCの存する平面およびこれに平行な平面で裁断したときの断面像となっている。そして、断層画像P1に写り込んだ被検体Mの像は、X線管3・FPD4を移動させることによって調整した拡大率で写り込んでいる。この断層画像P1が表示部25に表示されて断層画像の取得動作は終了となる。
【0070】
以上のように、実施例1の構成によれば、確実に散乱X線の影響を取り除くとともに、露光不足となるおそれもないX線断層撮影装置1が提供できる。すなわち、実施例1の構成は、被検体Mに対してX線管3およびFPD4を接近・離反させることによりFPD4に写り込む被検体Mの像の大きさを調整するシフト機構17を備えている。これにより、断層画像に写り込む被検体Mの像を適宜拡大・縮小することができる。また、実施例1の構成は、第1方向aに伸びた吸収箔9sが第1方向aと直交する第2方向bに配列されることにより形成された第1グリッド9aと、延伸方向cに伸びた吸収箔9sが延伸方向cと直交する配列方向dに配列されることにより形成された第2グリッド9bとを有している。そして、散乱X線がFPD4に入射しやすい縮小撮影を行うときは、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが直交するように第2グリッド9bが回転され、グリッドの散乱X線除去能が強化される。また、散乱X線がFPD4に入射しにくい拡大撮影を行うときは、第1グリッド9aの第1方向aと第2グリッド9bの延伸方向cとが一致するように第2グリッド9bが回転され、グリッドの影同士を重ね、取得される断層画像が明るくする。この様に撮影の様式に合わせてグリッドの特性を調整することにより、診断に好適な断層画像を取得できるX線断層撮影装置1が提供できる。
【0071】
また、上述のように拡大撮影を行うときに第2グリッド9bの吸収箔9s各々の影と第1グリッド9aの吸収箔9s各々の影とが重なるように設定すれば、FPD4に入射するグリッドの影を極力抑制することができる。
【0072】
また、上述のようにX線管3およびFPD4を一体にシフトして撮影における拡大・縮小を変更するようにすれば、より機構を単純とし、制御をしやすいX線断層撮影装置1が提供できる。
【0073】
また、上述のようにFPD4から見て遠い側の第2グリッド9bを回転させるようにすれば、第2グリッド9bにはこれを覆う部材が設けられていないので、第2グリッド9bは他の部材と干渉することなく確実に回転することになる。よって、この様な構成は実施例1の構成のX線断層撮影装置1に適している。
【実施例2】
【0074】
続いて実施例2に係る断層撮影装置20について説明する。実施例2に係る断層撮影装置20は、図15に示すように実施例1に係る装置構成にポジトロン放出断層撮影装置(PET装置)を併設したものとなっている。そこで、実施例2に係る断層撮影装置20において、実施例1に係る装置構成と同様の部分については説明を省略する。
【0075】
断層撮影装置20には、ガントリ10の他、PET装置1aに係るガントリ10aを有している。このガントリ10aも、Z方向に伸びた貫通孔を有しており、天板2が挿通されている。したがって、PET装置1aは、X線管3・FPD4に対してZ方向から隣接するように設けられている。
【0076】
ガントリ10aの内部にはガントリ10aの形状にならってリング状の検出器リング32が設けられている。この検出器リング32は、γ線を検出可能な検出器がリング状に配列されて構成されている。
【0077】
同時計数部33は、検出器リング32から出力された検出データに同時計数処理を施す目的で設けられている。この同時計数部33により、検出器リング32の異なる部分に同時に入射した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とが特定される。同時計数部33は、同時計数の結果をPET画像生成部34に出力する。PET画像生成部34は、同時計数部33が特定した消滅γ線対の検出頻度と検出位置とを基に、消滅γ線対の発生位置を算出し、消滅γ線対の発生強度がマッピングされたPET画像P2を生成する。PET画像P2は、消滅γ線対の発生の分布を示す断層画像となっている。
【0078】
断層撮影装置20は、X線による断層画像P1と消滅γ線対によるPET画像P2との両画像を一度の検査で取得できるようになっている。断層撮影装置20を用いて両画像P1,P2を生成するには、まず、被検体Mに陽電子放出型の放射性薬剤が注射される。放射性薬剤は、被検体Mの病巣などの特定の部分に集中する性質を有している。放射性薬剤は陽電子を放出し、この陽電子は180度反対方向に飛び去る消滅γ線対を発生させる。したがって、被検体Mからは、消滅γ線対が放射されることになる。放射性薬剤の分布は被検体内で異なっているのであるから、消滅γ線対の発生の頻度は被検体Mの部分によって異なっていることになる。
【0079】
放射性薬剤の注射から十分に時間が経過した後、被検体Mは麻酔され、ホルダ5に収納される。すなわち、ホルダ5の開口5aの各々に麻酔された被検体Mの一体が収納される。そして、複数の被検体Mを収納した状態となったホルダ5は、天板2に載置される。実験者が操作卓26を通じて断層撮影装置20にPET画像撮影開始の指示を行うと、天板2が摺動し、被検体Mがガントリ10aの貫通孔の内部に導入される(図15参照)。この時点から検出器リング32は、消滅γ線対の検出を開始し、PET画像生成部34がPET画像P2を生成する。PET画像P2には、被検体Mの部分によって異なる消滅γ線対の発生の頻度がマッピングされている。消滅γ線対の発生頻度の分布はそのまま放射線薬剤の分布なのであるから、実験者はPET画像P2を診断することで被検体中の放射性薬剤の分布を知ることができる。なお、撮影の際に、PET装置1aのZ方向における視野範囲が被検体Mの全身をカバーしきれないときは、天板2をZ方向に摺動させながらPET画像P2の撮影をするようにしてもよい。
【0080】
後の動作は、上述のステップS2以降と同様である。断層画像P1,PET画像P2およびこれらが重ねられた合成画像が表示部25に表示されて撮影は終了となる。
【0081】
以上のように、上述の構成は、実施例1の構成のより具体的な態様を示すものとなっている。ポジトロン放出断層撮影装置を備えるようにすれば、被検体Mの機能的な画像と構造的な画像との両方が取得でき、撮影で取得できる情報をより多く得ることができる。
【0082】
本発明は、上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0083】
(1)実施例1の構成によれば、FPD4から遠い側の第2グリッド9bが第1グリッド9aおよびFPD4に対して回転するようになっていたが、これに代えて第1グリッド9aが回転する構成としてもよい。
【0084】
(2)実施例1の構成によれば、X線管3およびFPD4とが被検体Mに対してどのような位置関係になっている場合に、どのような撮影様式となっているかについて言及してはいないが、例えば、X線管3およびFPD4との中点がX線管3およびFPD4の回転中心と一致している基準状態(図8参照)を基準として、FPD4がより被検体Mに近づいた状態を縮小撮影とし、X線管3がより被検体Mに近づいた状態を拡大撮影としてもよい。その他、基準状態をどのようにするかは自由に設計変更ができる。
【0085】
(3)実施例1の構成によれば、被検体Mはマウスであったが、他の小動物を被検体Mとすることもできる。
【0086】
(4)実施例1の構成によれば、ホルダ5は5つの開口5aを有していたが、開口5aの個数を撮影対象の小動物のサイズに合わせて変更させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
a 第1方向
b 第2方向
c 延伸方向
d 配列方向
2 天板
3 X線管(放射線源)
4 FPD(放射線検出手段)
7 回転手段
9a 第1グリッド(第1放射線グリッド)
9b 第2グリッド(第2放射線グリッド)
13 グリッド回転機構(グリッド回転手段)
17 シフト機構(シフト手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線源と前記放射線検出手段を結ぶ線分上にある中心点を中心に、両者を互いの位置関係を保った状態で回転させる回転手段と、
前記中心点に対して前記放射線源および前記放射線検出手段のうち少なくとも一つを接近・離反させることにより前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト動作を行うシフト手段と、
第1方向に伸びた吸収箔が前記第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドが前記放射線検出手段の放射線を検出する検出面を覆うように設けられているとともに、
延伸方向に伸びた吸収箔が前記延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドが前記第1放射線グリッドを覆うように設けられており、
検出面と直交する法線を中心軸として放射線グリッドのうちの一つを前記放射線検出手段に対して回転させるグリッド回転手段と、
前記グリッド回転手段を制御するグリッド制御手段とを備え、
前記シフト手段が前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするようにシフト動作をしたとき、前記グリッド制御手段は、前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが直交するように放射線グリッドを回転させ、
前記シフト手段が前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするようにシフト動作をしたとき、前記グリッド制御手段は、前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが一致するように放射線グリッドを回転させることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが一致している状態で前記放射線源から放射線を照射すると、前記第2放射線グリッドの吸収箔各々の影が前記第1放射線グリッドの吸収箔の各々に投影されることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の放射線断層撮影装置において、
前記シフト手段は、前記放射線源および前記放射線検出手段の相対位置を保った状態でシフト動作をすることにより、前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするように前記放射線源を前記中心点から遠ざけるときはそれに合わせて前記放射線検出手段を前記中心点に近づけ、逆に前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするように前記放射線源を前記中心点に近づけるときはそれに合わせて前記放射線検出手段を前記中心点から遠ざけることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
前記グリッド回転手段が前記第2放射線グリッドを前記放射線検出手段に対して回転させることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
被検体を載置する天板と、
前記天板を仮想円の直交方向に移動させる天板移動手段とを備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
小動物撮影用となっていることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
前記放射線源、前記放射線検出手段に対して仮想円の直交方向から隣接するように設けられたポジトロン放出断層撮影装置を備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項1】
放射線を照射する放射線源と、
放射線を検出する放射線検出手段と、
前記放射線源と前記放射線検出手段を結ぶ線分上にある中心点を中心に、両者を互いの位置関係を保った状態で回転させる回転手段と、
前記中心点に対して前記放射線源および前記放射線検出手段のうち少なくとも一つを接近・離反させることにより前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを調整するシフト動作を行うシフト手段と、
第1方向に伸びた吸収箔が前記第1方向と直交する第2方向に配列されることにより形成された第1放射線グリッドが前記放射線検出手段の放射線を検出する検出面を覆うように設けられているとともに、
延伸方向に伸びた吸収箔が前記延伸方向と直交する配列方向に配列されることにより形成された第2放射線グリッドが前記第1放射線グリッドを覆うように設けられており、
検出面と直交する法線を中心軸として放射線グリッドのうちの一つを前記放射線検出手段に対して回転させるグリッド回転手段と、
前記グリッド回転手段を制御するグリッド制御手段とを備え、
前記シフト手段が前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするようにシフト動作をしたとき、前記グリッド制御手段は、前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが直交するように放射線グリッドを回転させ、
前記シフト手段が前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするようにシフト動作をしたとき、前記グリッド制御手段は、前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが一致するように放射線グリッドを回転させることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線断層撮影装置において、
前記第1放射線グリッドの前記第1方向と前記第2放射線グリッドの前記延伸方向とが一致している状態で前記放射線源から放射線を照射すると、前記第2放射線グリッドの吸収箔各々の影が前記第1放射線グリッドの吸収箔の各々に投影されることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の放射線断層撮影装置において、
前記シフト手段は、前記放射線源および前記放射線検出手段の相対位置を保った状態でシフト動作をすることにより、前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを小さくするように前記放射線源を前記中心点から遠ざけるときはそれに合わせて前記放射線検出手段を前記中心点に近づけ、逆に前記放射線検出手段に写り込む被検体の像の大きさを大きくするように前記放射線源を前記中心点に近づけるときはそれに合わせて前記放射線検出手段を前記中心点から遠ざけることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
前記グリッド回転手段が前記第2放射線グリッドを前記放射線検出手段に対して回転させることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
被検体を載置する天板と、
前記天板を仮想円の直交方向に移動させる天板移動手段とを備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
小動物撮影用となっていることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の放射線断層撮影装置において、
前記放射線源、前記放射線検出手段に対して仮想円の直交方向から隣接するように設けられたポジトロン放出断層撮影装置を備えることを特徴とする放射線断層撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−115560(P2012−115560A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269433(P2010−269433)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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