説明

放射線治療を施すための方法および装置

本発明は放射線治療を施すための方法および装置に関する。この方法は、中央軸線ビーム(14)に対する処置領域(30)における患者の位置及び/又は向きを精密に決定するべくマーカーおよび悪いマーカーを検出することを包含する。この装置はロボット(10)を有し、後者は処置すべき患者を実際のマーカーの認識に対して位置決めし及び/又は向き決めするべく制御される。利用分野は放射線治療である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生きている身体のような身体を位置決めするための方法および装置、並びに、それらの放射線治療への応用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体のある種の腫瘍を処置するため、それらをX線や最近では陽子ビームのような所定の放射線に曝すことは周知である。
【0003】
6自由度を有する産業用ロボットを備えた位置決めシステムが提案されている。椅子又はカウチのような患者支持体はロボットアームの手首に機械的に連結されており、ドッキングステーションから処置ステーションまで患者を移動させるために学習手続きが応用される。このような先行技術はE.A. de Kock等の会議紙“産業用ロボットおよびマルチカメラ・コンピュータビジョン装置の高精度放射線治療用患者位置決めシステムへの統合”(2004年3月24日、パリ、ISR-2004会議で発表)に記載されている。
【0004】
不幸にして、陽子治療におけるような放射線の使用は多くの困難な問題を提起する。陽子ビームは粒子加速器(即ち、陽子サイクロトロン)から生成され、これは多くの難点を有する。第1に、装置の質量と容積が大きく、稀少要素やサービスを使用するので、コスト高である。従って、どの陽子治療装置も個々の各処置毎に要するコストを低減するため充分多数の患者を処置することができなければならない。第2に、ビーム近傍での被爆は非常に激しい。従って、処置中の患者の周囲の安全領域内にサービス要員がいないことが強く推奨される。第3に、高エネルギ放射線は標的とされた腫瘍又は身体部分の精密な場所の周りの健常な生体組織にとって非常に有害であることが良く知られている。従って、放射されたビームに対して患者を高精度で位置決めすることおよび向き決め(オリエンテーション)することの両方が必要である。第4に、多くの場合、患者は一連の処置セッションに付されるのであり、患者が、その都度、簡単で迅速で安価なやり方でビームに対して正しい位置に再置されることが重要である。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、例えば放射線治療の局面において、身体を位置決めするための方法および装置を改良することにある。
【0006】
本発明によれば、生きている身体を位置決めするための方法が提供されるもので、この方法は:
−複数の位置決め品目の位置(ロケーション)を測定すること、および、
−位置決め品目の基準位置および測定された位置から、位置決め品目の少なくとも1つが少なくとも1つの他の位置決め品目に対して動いたか否かを決定することを包含する。
【0007】
本発明の方法はまた以下の特徴のいづれかを有することができる:
−位置は所与の座標(referential)に関して測定され、身体はこの座標に関して運動可能である;
−位置決め品目の少なくとも1つが他の位置決め品目に対して動いたかどうかを決定すること;
−もし位置決め品目の1つが動いた場合には、それがどれであるかを決定し、この位置決め品目を除く位置決め品目を用いて生きている身体を位置決めすること;
−位置決め品目の対の少なくとも1つについて、それらの測定された位置同士の間の距離とそれらの基準位置同士の間の距離とを比較すること;
−比較は位置決め品目のすべての対について行うこと;
−位置決め品目の少なくとも1つの所定のグループについて、各品目毎にその測定された位置とその基準位置との間の距離を考慮した値を計算し、この値が所定の閾値より大きいかどうかを決定すること
−前記グループ又は少なくとも1つのグループについて、グループ中の品目の数は位置決め品目の総数より小さいこと;
−計算および決定は、夫々の位置決め品目が位置決め品目の異なる組合せからなるグループに属するように、複数のグループについて行われること;
−前記値の幾つかはそれらの対応する閾値より大きく、他の幾つかはそうではなく、少なくとも1つの品目が他のグループに属することなく前記値に関連するグループに属するかどうかを決定し、もしイエスならば、それがどれかを決定すること;
−身体が動いた後は、先に測定した位置を前回の基準位置に置き換わる基準位置として用いながら、測定および決定ステップが再び行われること;および、
−双方の決定ステップは同日又は異日に行われること。
【0008】
本発明によれば、また、生きている身体を位置決めするための機器が提供されるもので、この機器は、複数の位置決め品目の位置を測定する手段と、位置決め品目の基準位置および測定された位置から、位置決め品目の少なくとも1つが少なくとも1つの他の位置決め品目に対して動いたかどうかを決定する手段を備えている。
【0009】
本発明によれば、また、本発明の機器を備えた、生きている身体を位置決めするための装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、また、生きている身体を位置決めするための非侵襲的方法が提供されるもので、この方法は、X線および核磁気共鳴の双方に対する少なくとも1つのマーカーを備えた補綴を少なくとも1つの生来の身体空洞に設定することを包含する。
【0011】
本発明の方法はまた以下の特徴のいづれかを有することができる:
−補綴は前記身体空洞の固有の形状に基づいて形成されており、各処置セッション間の優れた位置決め再現性を保障するために各患者の解剖学的特徴毎に個人化されている;
−前記補綴又は少なくとも1つの補綴は:口補綴;鼻補綴;および、耳補綴、からなるグループに属する;
−前記補綴又は少なくとも1つの補綴は互いに離間された少なくとも2つのマーカーを備えている;および、
−身体に設定された補綴の数は少なくとも2、3又は4である。
【0012】
本発明によれば、また、生きている身体の生来の空洞内に設定するべく成形され、X線および核磁気共鳴の双方に対する少なくとも1つのマーカーを備えた補綴が提供される。
【0013】
本発明によれば、また、身体の動き(運動)を可能にする複数の可能なコンフィギュレーションのうちの1つに沿って装置を変形させることにより生きている身体のような身体を初期位置と最終位置との間で動かすべく構成された装置を制御する方法が提供されるもので、変形コンフィギュレーションはコンフィギュレーションの少なくとも1つの運動学的特徴に基づいて選ばれる。
【0014】
本発明の方法はまた以下の特徴のいづれかを有することができる:
−特徴又は少なくとも1つの特徴は:
−リスクのレベル;
−最大加速度;
−最大速度;および、
−動き(運動)に関与する自由度の数;
からなる群から選ばれる。
−この装置は、当該装置によって動かされる身体のあらゆる可能な位置を包含する如何なる領域よりも小さな所定の領域内に身体がとどまるように制御される。
【0015】
本発明によれば、また、身体の動き(運動)を可能にする複数の可能なコンフィギュレーションのうちの1つに沿って装置を変形させることにより生きている身体のような身体を初期位置と最終位置との間で動かすべく構成された装置が提供されるもので、この装置は制御手段を備え、この制御手段はコンフィギュレーションの少なくとも1つの運動学的特徴に基づいて変形コンフィギュレーションを選ぶのを可能にする。
【0016】
本発明によれば、また、装置の基部に対して身体を動かすための装置が提供されるもので、この装置は、動きの最中に身体を保持するための保持手段と、少なくとも2つの異なる品目とを備え、これら品目のうちの少なくとも1つは身体を担持するべく構成されており、この装置は前記品目のいづれかを保持手段に着脱自在に固定するべく構成されている。
【0017】
本発明の方法はまた以下の特徴のいづれかを有することができる:
−身体の少なくとも1つの二次元画像が取られる、および、
−身体の幾つかの点の三次元座標を決定すること。
【0018】
本発明によれば、また、放射線治療により腫瘍を処置する方法のような処置方法が提供されるもので、この方法は本発明の方法を包含する。
【0019】
最後に、本発明の装置はまた以下の特徴のいづれかを有することができる:
−この装置は放射線により腫瘍を処置する手段を備えている;および、
−この装置はガントリー(214)を備えている。
【0020】
特に、前述したところの補完として、アイソセンター位置決めロボットを次に説明する。即ち、本発明の好ましい実施態様によれば、身体中に含まれている目的物を粒子ビームに対して位置決めするための装置が提供される。この装置は身体を担持するための担持手段を備えている。本発明によれば、この装置は、更に、前記担持手段を数自由度で装置の基部に対して動かすための運動手段を備え、前記基部は目的物中に画定されたアイソセンターを通過することを目的とするアイソセンター軸線と呼ばれる軸線に関して回転可能である。
【0021】
換言すれば、この装置は、目的物のアイソセンターをアイソセンター軸線(これは装置の基部の回転軸線である)上に位置決めするようになっている。
【0022】
好ましくは、身体は放射線治療又は陽子線治療処置の局面においては患者である。従って、粒子ビームは陽子ビームであることができ、目的物は陽子治療によって照射することを目的とする腫瘍であることができる。
【0023】
本発明のこの実施態様によれば、自動化された患者位置決めを簡単で迅速で低コストのやり方で行うことができる。即ち、例えば同一の処置セッションの中で同一平面内に多重フィールドを支持することを目的とする患者のアイソセンター回転を使用することができる。このような処置においては、患者が一旦担持手段上に定置されたならば、ロボットに連結された目的物アイソセンターは再びその位置を訂正することなく保持される。従って、コンピュータによって同一のアイソセンターが画定されるので、2つの相継ぐ発射の間にアイソセンターを中心とする患者の唯一の回転運動を行いながら、複数のビームを相継いで発射することができる。このような実施態様は、患者を正しく位置決めするために使用するマーカーの3D位置の演算又は数学的訂正を回避するのを可能にする。
【0024】
この実施態様に基づく装置を使用することにより、多重フィールド又は多重方向により、人体の頭部内に含まれる腫瘍のような目的物を照射する方法は以下のステップを包含することができる:
−目的物のアイソセンターをビーム軸線と装置の回転軸線との交点に位置決めすること、
−各回転毎に所定角度で、装置の多重回転を行うこと、および、
−各回転毎に照射を行うこと。
【0025】
好ましくは、粒子ビームは前記アイソセンター軸線を遮る粒子ビーム軸線に沿って伝播する。
【0026】
従来技術とは異なり、この実施態様の装置によれば、アイソセンター軸線と陽子ビーム軸線との交点に目的物が配置されるや否や、只単に装置を回転させるだけで多重フィールド処置を行うことができる。従って、目的物は装置と共に回転するが、アイソセンターは固定されたまゝにとどまる。
【0027】
本発明によれば、アイソセンター軸線は垂直(鉛直)及び/又はビーム軸線に対して垂直である。
【0028】
例えば、アイソセンター軸線は装置が配置されている室に対して固定することができる。
【0029】
本発明によれば、担持手段は椅子型のものである。本発明の装置によれば、眼および頭部の処置は限られたスペース内で行うことができる。位置決めの最中は、患者は椅子に着座している。担持手段は椅子に対して患者を側方に及び/又は軸方向に変位させる手段を有することができる。例えば、椅子の座部は椅子に対して座部を持ち上げるための1以上のアクチュエータ(ジャッキ)に結合することができる。担持手段は、また、身体頭部を椅子に対して軽く位置決めする手段を有することができる。特に、頭部は常に身体の残部から張り出している。
【0030】
本発明によれば、運動手段は6自由度を有し、特に6つのアームを有する。6つのアームは独立であり、各アームの第1端部は担持手段に連結されており、第2端部は基部に連結されている。連結は関節結合型である。6つのアームは、隣り合う2つのアームが“V”を形成し、基部が360°だけ回転する時に“V”の頂点が相継いで上下するように構成されている。
好ましくは、6つのアームは伸縮式である。
【0031】
勿論、本発明の装置は監督コンピュータによって制御される。この装置は、更に、2軸傾斜計、3軸加速度計、衝突防止装置、速度計(特に各アームに1つで6つの速度計)を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を以下に記載する。
【0033】
処置室
図1は本発明の好ましい実施例に基づく方法が実施される処置室を示す。この処置室は粒子発生器18の近傍における放射線保護を保障するに適した材料で形成されている。粒子発生器は細長い管14を有し、これは処置室の内側に入っている。この管の軸線は処置室内における患者の移動および処置の基準軸線として作用する。
【0034】
処置室は2つの部分からなる:
−患者の入来路を表す矢印で示した入口、
−患者の処置が行われる処置部。
これら2つの部分は、後述する設備12と16とドア(図示しないが、やはり後述する設備36の位置に設けてある)との間に示した曲折した壁で分離されている。
処置室は壁によって外界から分離されていると共に、処置室の2つの部分も壁によって互いに分離されており、これらの壁はハッチングで示してある。この入口は処置が行われる時には放射線放出に対して保護される。
【0035】
処置室の処置部は以下のものを包含する:
−椅子8やカウチ7のような何等かの患者支持体が配置された第1領域、
−竪穴に据え付けられたロボット10が配置された第2領域26、
−ライン30を用いて画定された第3領域(この中では拘束された患者は管14から放射された少なくとも1つの粒子ビームを用いて処置される)。
【0036】
ドッキングステーション20(これは処置室の地面に据え付けられた静止部を有する)は第2領域に設けてある。ドッキングステーション20は基準部34と固定手段を備え、後者は患者支持体7および8の双方の対応する基準部および固定手段と合わさる。ロボットは、また、患者支持手段の基準部および固定手段と合わさるように形成された対応する基準部および固定手段を備えている。
【0037】
タンク21からなるファントム部材が設けてあり、その固有の基準部および固定手段38はロボットの基準部および固定手段と合わさるように形成されている。ファントムタンク21は、後述する処置ビームおよびX線イメージング手段の双方を制御するための水又は適当な基準物質を満たした容器からなる。
【0038】
第3領域30の周りには、1つの軸線又は異なる2つの軸線に沿ってX線イメージング手段40、42、44が配置してある。イメージング(画像形成)手段は後述するように本発明の方法の設定ステップの最中に作動可能である。
【0039】
ステーション12が入口と処置部との間においてドアのところに設けてあり、これはロボット10およびイメージング手段40、42、44を制御するための電子・電気手段を有する。本発明の方法の設定ステップの最中には、少なくとも一人の操作員は患者の処置の準備をするべく端末(図示せず)を操作しながらステーション12においてロボットとイメージング手段を制御する。ロボットを制御するため、幾つかのプログラムを実行して移動の各シーケンスに備える。
【0040】
処置が始まる前に、操作員は処理手段16の端末(これは操作員が処置を制御し開始するのを助ける)の前方の処置室の入口部へ戻らなければならない。患者は、管14から放射される少なくとも1つの粒子ビームを用いて確実で正確な処置を行うべく、産業用ロボットによって位置決めされる。
【0041】
ロボット
図2には、6自由度を呈するアーム3を備えたロボット10が示してある。ロボットは竪穴1内に据え付けてあり、この竪穴は蓋又はカバー2によって覆われ保護されており、この蓋はロボットアーム3が蓋2の上方に昇るように構成されている。蓋上には開口が現れない。従って、誰も中に落ちることがない。この効果を保障するため、蓋2は、ロボットのアーム3の運動と共に竪穴1上で回転する回転部と、蓋の回転部内で摺動することによりアーム3の運動に追従する並進部とを有する。
【0042】
図2に示したように、ロボットの基部4は地面に固定してある。アームの他の線形区間は端部手首5に至るまで継手によって連結されており、この端部手首は図2に示したカウチ7や図3に示した椅子のような支持手段の連結部に係合する取付部6を備えている。即ち、図3には、背凭れ9を備えた椅子8の形の他の患者支持手段が示してある。図2および図3では、同じ構成要素は同じ参照番号で示してある。
【0043】
アーム3の運動時の安全を向上させるため、物体や人間に触れることがあるアームの各部には接触センサーが設けてあり、これらはステーション12に設けたアーム運動制御手段に電気接続してある。この実施例では、各接触センサーは、少なくとも2本のばねに搭載されたレバーと、電気接点(これはレバーのどこかに接触が起ってレバーが押された時に電気的状態が変わる)とを有する、細長い形に形成してある。
【0044】
同様のことは患者支持手段(即ち、椅子8又はカウチ7)の側部についても当て嵌まる。より詳しくは、それらの周辺部にはそのようなセンサーが設けてあり、偶発的な接触を制御手段に知らせるようになっている。
【0045】
図4は、6つの軸線(AXE1〜AXE6)を備え、端部取付部6と細長い接触センサー68(アーム6の最後の区間の側部に現れている)を備えた、産業用ロボットをより詳細に示す。ロボットアームの静止部4には竪穴の地面への取付手段60が設けてある。
【0046】
他の実施例においては、ロボットは、固定基部上に手首を支持する少なくとも2つの脚を備えた平行ロボットであり得る。
【0047】
前述したように、アームの端部にはカプラーが設けてあり、このカプラーの相補部は患者用支持手段に固定してある。このカプラーはここでは、開放指令により接点が開放され、閉鎖指令により閉鎖されて、ステーション12からの制御により患者支持手段を釈放することができるような、電気空気式のものである。
【0048】
夫々の患者支持手段には、特に処置の最中に患者を確実に着座位置又は横臥位置に保持する手段が設けてある。
【0049】
所与の患者支持手段がドッキングステーション20へ送られると、ロボット制御ステーション12はデジタル識別子に基づいてそれを認識する。このための認識手段は複数の電気接点を有する電気スイッチであることができ、これらの接点の幾つかは開閉されて識別子の適当なデジタル値を生成する。他の実施例では、識別手段は、ドッキングステーションへ持ち来された実際の支持手段の認識を行うべく、かつ支持手段に対するロボットの連結動作を制御するべく、パターン認識プログラムを実行中のコンピュータに接続された少なくとも1つのビデオカメラを備えたビデオツールを有する。
【0050】
この実施例のロボット制御手段は3レベルに配置されている:
−操作員の制御下にあるアーム端部の軌跡を学習するべくアームのアクチュエータに連結された端末を備え、アームの側部にある、手動制御部(図示せず)、
−処置室内にあるがイメージング装置によって生成されたX線に対して保護された制御デスク12、
−ロボットアーム遠隔制御部を備え、管14からの放射線に対して保護された、制御ステーション16。
【0051】
これら3つの制御装置のすべては、故障時に、たとえ制御ステーション16および制御デスク12が作動不能であるとしても、装置全体がなお作動することができる程度にロボットアームの側部の手動制御部が制御を行うように、ハイアラーキー構造にプログラムされている。
【0052】
この実施例のロボットは操作の安全性を向上させることを目的とする幾つかの特徴を有する。
それは非常時に任意のアクチュエータを停止させるための緊急停止ボタンを有する。
衝突防止バンドがロボットアームの側部および患者支持手段の側部に取付けてある。
電気スイッチに接続された全ての可動部を覆うため、追加的な固い表面が設けてある。
アームの運動を制御するプログラムは、所与の限られた速度、加速度、および角度を有する患者運動のみを許容するように設計されている。
【0053】
また、処置が行われている時には何時でも、及び/又は、電源が落ちた場合に、不本意な運動を回避するための手段が設けてある。このため、アームの各継手には、運動の最後に、及び/又は、電源がオフになった時に必ず作動する歯車が装着してある。電源がゼロの時にやはり作動するブレーキも設けてある。処置室内の安全を向上させるため、電源が切れた時にはブレーキは自動的に作動せられるので、機械的連結手段を釈放しない限りロボットの運動は不可能である。
【0054】
本発明の方法は、ロボットアームに荷重がかゝっている時又はアームが動いている時には、ロボットアームの長手方向変形を考慮する。このため、既知の重さの一組の基準荷重を用いて先ずアームの動き分析する。毎回、線形および角度方向の加速度による運動の最初のモーメントを記録し、撓みにおける動力学的応答のメモリを記憶する。ロボットアームの手首に患者を載置した時には、手首に設けた幾つかの荷重センサー及び/又は加速度計が読み取られる。荷重センサー及び/又は加速度計が生成した信号を処理して曲げ表又は関数がアドレスされ、これは処置領域30における患者の運動および位置及び/又は向きを訂正し及び/又は採用するために使用される。従って、この実施例によれば、センサーからの検出信号は、アームの動力学的応答を採用し及び/又は訂正するべく制御用コンピュータのメモリに格納された動力学的応答と比較される。
【0055】
方法の全般的ステップ
本発明のこの実施例に基づく方法を全般的に説明する。
患者が図1の処置室内で生成された粒子ビーム(ここでは陽子ビーム)を用いて処置することができる腫瘍のような病気をもっていると診断された時には、次のことが行われる:
1.処置すべき患者の腫瘍が位置決めされ、幾つかのマーカーが患者に設置される;
2.マーカーおよび処置すべき身体部分の双方のイメージングが行われ、患者の識別と共に画像データベースが作られる。イメージングは、例えば、X線、IRM、又はPET走査手段を組み合わせ使用して行われる;
【0056】
3.設計された各処置ビームの時間、継続時間、軸線、および出力が内科医によって決定され、操作員が処置を制御するのを援助するべく患者の識別と共にデータベースに書き込まれる;
4.処置室では、操作員は処置すべき身体部分の正しい位置と向きを保障するべく制御手段にロボットアームの動きを教示する;
【0057】
5.処置室では、処置すべき身体部分の外側で処置ビームの粒子を阻止することの可能な材料内にコリメータ又は絞りが形成してある(図6参照)。コリメータは、患者を処置する前は、粒子発生器18に接続された管14の端部に装着されるようになっている;
6.必要に応じ、ロボットアームの端部にファントムタンク21を装着し、ビームの放射線量の測定を行い得るように管14から放射された粒子ビームを遮蔽するべくタンクを位置決めし向きを決める;
7.処置がプログラムされた時には、患者は処置室内に装入され、支持手段(椅子8又はカウチ7)に載置される;
【0058】
8.支持手段はドッキングステーション20へ移動せられ、基準手段32又は36はドッキングステーション20の基準手段34に係合する。例えば、第1のセンサー(図示せず)はドッキングステーションの側方に設けてあるので、支持手段のタイプが検出されかつ認識され、処置室の制御手段が支持手段のタイプと幾何学形状に対応する正しいパラメータを設定するのを可能にする。このような情報は患者を搭載した状態でロボットアームを移動させるべき領域を精密に特定するのを可能にする。ドッキングステーションにある第2のセンサー(図示せず)は、学習されたアーム運動の開始を示す信号がステーション12の制御手段によって検出されるのを保障するべくステーション12に接続されている。
9.アームは学習された手首運動を行って、支持手段をドッキングステーションから処置領域30へと動かし、患者は運動の終わりには管14の軸線に対して演算された姿勢(位置および向き)を有する。
【0059】
10.再び、イメージング手段40、42、44を用いて、処置すべき身体部分の少なくとも2つの非共線的なディジタル2D画像(患者の身体のマーカーと腫瘍を示す)を生成する。これらの画像は端末16に設置されたコンピュータに送られる。そこでは、2D画像は処理されて、患者のマーカーの実際の絶対位置が計算され、それはデータベースに格納された絶対的3D基準位置と比較される。
11.従って、これら新たに生成された画像は、マーカーが存在しかつ正しい位置にあるか否かを検出するべく、かつ、処置すべき身体部分のアイソセンターのような所定の点が管14の軸線に対して正しい姿勢(位置および向き)に位置決めされているか否かを検出するべく、データベースの基準画像と比較される。もしこれらの姿勢が正しければ、処置ビームが発射される。もしそうでなければ、ロボットアームは患者の姿勢を正しくするべくコンピュータ16によって制御される。正しい姿勢に達したならば、処置ビームが発射される。
【0060】
12.多くの場合、身体部分は他の側から(即ち、ビームに関して患者を他の向きにして)ビームで照射される必要がある。そこで、この新たな向きにするべく患者を動かし、その位置をチェックし、必要ならば、所望の新たな位置に達するまで位置を修正する。それからビームを発射する。必要に応じ、新たな向きに対応する夫々の発射毎に、同じ操作が行われる。
13.全ての発射がなされたならば、患者はドッキングステーションへ戻される。その支持手段はロボットアームの取付手段から外される。アームは竪穴10に戻り、患者は処置室から導き出される。管14の端部のコリメータは除去される。
【0061】
この方法を実施する時には、“ユーザー”座標(塗装ロボットの場合の自動車ドアのようなターゲットに対応する、ロボット工学で周知の座標)は照射ビームに一致して置かれる。他の2つのロボット座標は“ワールド”座標(ロボットの足のところの基部に対応する)とツール座標(ツール(ここでは患者を載せた椅子又はベッド)を保持するアーム端部)である。位置決めはツール(患者)をビーム上に置くために一回だけ行われるのであり、もしターゲットが動いているならば位置決めはリアルタイムで自動的に再調整することができる(トラッキング)。基本的には、このフィードバック原理はツール(患者)をターゲット上に置くために使用される。公知の位置決め方法を用いて、患者は固定位置に維持され(例えばベッド上に取り付けられる)、ビームは患者の再位置決めを要することなく患者を中心として動かす(例えば360°回転)ことができる。本発明によれば、処置室に入る必要なく、ロボットを用いて行いたいことを全て行うことができる。
【0062】
これらの段階の幾つかを以下により詳細に説明する。
【0063】
マーカー
前述したように、複数のマーカー82が使用される。
一実施例においては、マーカーは患者の身体部分(ここでは頭蓋骨70を有する頭部)に挿入又は付着される。各マーカーは、金、チタニウム、又はタンタルのような生体適合性材料で形成することができ、ボール形であることができる。患者の頭蓋骨にマーカーを配置する時には、放射線腫瘍学者又は外科医は2つ、3つ、好ましくは4つのマーカーを貼付する。外科医は各マーカーを頭蓋骨の表面の特定の場所に確実に挿入することができるし、或いは、図5に示したように公知のやり方で患者の頭部の内側にマーカーを挿入することができる。
【0064】
図5においては、4つのマーカー82−1から82−4が陽子ビームを用いて処置すべき身体部分78の中又は周りに挿入されている。例として、眼又は頭部の癌性腫瘍の場合である。
マーカーはイメージング可能な部分と患者の皮膚に接着する部分とからなることができる。
【0065】
他の実施例では、マーカーは、患者支持手段の一部に(好ましくは、患者を確実にその支持手段に拘束するために供給される緊張手段に)付着させることができる。そのようなマーカーは、患者を固定するためのリンクやバンドの金属部分のような拘束手段の何等かの所定の部分であることができ、及び/又は、前述したように患者がX線イメージングに付される時に適当な2D画像を生成するべく形状および位置が定められた所定のマークであることができる。
前述したように、ボール形のマーカーは患者の頭蓋骨又は頭部に設置することができる。しかしながら、より非侵襲性の他の技法に対する必要性が存在する。
【0066】
図9では、マーカーは耳、口、又は鼻のような身体の生来の空洞又は開口の中に挿入することが可能な2本のプラスチック管の一部をなす。夫々の管は、X線又は超音波や赤外イメージング装置のような他のイメージング装置によってイメージングすることの可能な少なくとも1つの金属ボールを有する。これらの管は、また、MRIでもイメージングができるように若干のガドリニウムを更に有することができる。図9の実施例では、2本の管172および174が患者の頭部(耳)に設置してある。夫々の管は数個のX線マーカー172aと172bおよび174aと174bを有することができる。頭蓋骨の内側の腫瘍170は模式的に描いてあり、陽子ビームを当てることにより処置すべきである。
【0067】
178には腫瘍をもった患者の頭部の第1のX線画像(この画像は図5のX線イメージング装置72〜74によって生成されたものである)が模式的に示してある。 X線ビームの軸線は176に示してあり、2本の管172および174のマーカーのスポットは正方形A’又はB’と呼ばれる。腫瘍78が占める空間は第1画像178では182で示してあり、腫瘍にリンクされた基準座標系のアイソセンタのスポットは186に示してある。
【0068】
その後、患者はロボットアームに載置され、次いで管172および174を両方共取付けた状態で動かされかつ向き決め(向きを決めること)される。それから、管14から陽子ビームを発射する前に患者の位置を訂正するため、処置室のX線イメージング装置40〜44のいづれかを用いて、少なくとも1つの第2の画像180が取得される。第2のX線画像は、2つのマーカーがAおよびBに変位し、従って、向き及び/又は位置が訂正されなければならないことを示す。
【0069】
好ましくは、この方法は、少なくとも1つの生来の身体空洞内へ少なくとも1つのマーカーを有する補綴(プロステーゼ)をセットすることを包含する。この補綴は前記身体空洞の固有の形状に基づいて形成されており(例えば患者の身体に直接に鋳込むことによる)、例えば以下のグループに属する:
−口の補綴;
−鼻の補綴;および、
−耳の補綴。
【0070】
マーカーは以下のグループの少なくとも1つの非可視的放射線に対するマーカーである:X線および核磁気共鳴および好ましくは双方。
【0071】
前記補綴又は少なくとも1つの補綴は、互いに離間された少なくとも2つのマーカーを有し、身体に設置される補綴の数は少なくとも2、3、又は4である。
【0072】
従って、マーカーの少なくとも1つは、患者の身体の開口又は空洞に挿入される補綴部分の一部であることができる。例として、そのような補綴部分は好ましくは耳に挿入した音声増幅器、又は義歯である。この補綴は、また、患者の口の口蓋に固定するようになったものであることができる。マーカーはまた背骨や腕や脚の外科インプラントの一部であることができる。
【0073】
イメージング
陽子ビームを限定するための重要なパラメータは、ターゲットとされた腫瘍78の周囲の生きている組織の存在である。陽子ビームを放射する時にはこれらの生きている組織は保護されなければならない。従って、陽子ビームの向きを考慮した頭蓋骨70の精密な向きを画定しなければならない。正しい向きのパラメータが決定されるようにするため、患者と将来のビームに関連づけられた座標系が使用される。
【0074】
準備ステップ(段階)の間は、マーカーおよび腫瘍の少なくとも2つの2D画像が取得される(これらは互いに垂直であり、患者IDおよび処置セッションIDと共にデータベースに格納される)。これは、マーカーおよび腫瘍の絶対基準座標(3つの直交軸上のx、y、z)を用いて、処置室(従ってビーム)に対する患者の絶対的基準姿勢(位置と向き)を特定するのを可能にする。2D画像上の各マーカーの座標の認識に基づいて、処置室の固定座標系に対するマーカーおよび腫瘍の3D絶対基準座標が演算され、データベースに格納される。これはロボットアームの動きと陽子ビームの発射の双方を用いた処置を形づくるのを可能にするであろう。
【0075】
より詳しくは、座標系の位置と向きを画定するためには、マーカーが頭蓋骨70に挿入された後に、X線イメージング装置72、74を用いて少なくとも1つの2D画像が生成される。この実施例では、X線イメージング装置72、74は、X線源72と、頭蓋骨70の密度の2D画像を生成する検出板74を有する。少なくとも双方のマーカー82が、データベースマネージャ76の入力76bに格納されるディジタル画像上に表わされなければならない。取得された夫々の2D画像毎に、データベースマネージャ76は以下のものからなる複数のパラメータを生成する:
−2D画像中に1つの基準点と2つの基準軸を有する基準3D座標系の仕様;
−イメージングされた各マーカーの基準3D座標系における座標の認識;
−腫瘍78のアイソセンタおよび少なくとも特定の陽子ビーム軸線の仕様;
−患者のおよび当てるべき陽子ビームの識別子の格納。
【0076】
基準座標系80は3つの軸と1つの原点を有する。この原点は“アイソセンタ”と呼ばれ、患者の処置が行われる時に陽子ビームを当てるのに好ましい点であると称される。従って、患者がその支持手段に横たわっている時には、患者はアームを用いて動かされかつ向き決めされ、位置と向きは、陽子ビームの軸線が整列(整線)され、かつ、陽子ビームの軸線が充分に限局されたアイソセンタのところで腫瘍78を通るように、演算されかつ制御される。
【0077】
代替的に、2D画像のデータベースは、X線類似画像の記録技術において周知のように、透明な担体上に記録された可視画像として取得することができる。前述したすべてのパラメータは、X線イメージング装置72、74を扱う操作員の責任において手で又は自動的にデータベースマネージャ76に入力される。従って、そのような手で生成された2D画像データベースにおいては、“ペーパのような”ファイルとデータベーステーブル(表)との両方は、前述したように入力したパラメータの可視記録とディジタル記録との両方をクロスできるように、索引を用いて管理される。特に、腫瘍78上の基準座標系80のアイソセンタと向きは、後に患者に適用するべき陽子ビーム軸線の仕様に関連づけて、データベース76に入力される。
【0078】
1つ又は2つの他のX線イメージング装置に図5に示したX線イメージング装置72〜74が設けてある場合には、それらの各々の出力はデータベースマネージャの入力76a、76b、76cに夫々接続され、X線イメージング装置72〜74について前述したのと同じことが1つ又は2つの他のX線イメージング装置について繰り返される。しかしながら、所与の陽子ビームについては、2つ又は3つのX線イメージング装置のために同じアイソセンタおよび同じ基準座標系が使用される。データベースマネージャ76に格納されたテーブルのための複数の記録は以下のものに基づいて制御される:
−患者(場合により処置すべき1以上の腫瘍がある場合には患者の腫瘍)の氏名又は固有の識別記号“ID 患者”;
−記録された腫瘍が後のステップで処置されるように限定された1又はそれ以上の陽子ビームの特定;および、
−イメージングされたマーカー82−1〜82−4のリスト(処置すべき腫瘍78内の3D基準座標系80、および、データベースマネージャ76に入力された夫々の2D画像上の2D基準座標系、の双方におけるそれらマーカーの夫々の座標を含む)。
【0079】
後述するように、夫々の処置セッションの始めには、患者は管14の前方の処置室内に位置決めされる。患者上のマーカーは2つの2D画像によってイメージングされ、前述したのと同じ演算が行われて、今回は患者の実際の瞬間姿勢(位置および向き)におけるマーカーの実際の3D絶対座標が計算される。今や患者の姿勢のあらゆる変化が検出される。より詳しくは、このステップは、先に取得したマーカーの前記3D絶対基準座標と、新たに取得したマーカーの実際の3D絶対実際座標とを使用するものである。もしオフセット(ずれ)が検出されたならば、患者の新たな位置決め(位置及び/又は向きの変更)はロボットアームを用いて行われる。正しい姿勢(位置)が得られたならば、データに基づいて処置ビームが当てられる。
【0080】
処置セッション
図8は、夫々の処置セッションの異なる複数のステップ(段階)を示す。
ステップ122では、患者はその処置に従う準備をする。次にステップ124では、操作員は、アーム制御ステーション16を用いてドッキングステーションから処置領域までの患者支持手段の進路の運動パラメータを入力する。
【0081】
ロボットアームの動きと他の制御がロボットコンピュータに入力されたならば、患者はその支持手段上に載置される。ステップ126では患者は運動の自由度が小さくなるように適当な拘束手段を用いて支持手段に取付けられる。
ステップ128では、患者支持手段はドッキングステーションに固定される。
【0082】
ステップ130では、ロボットアームは患者支持手段に連結される。技術的に言えば、この操作はストップ・レバー・アッセンブリを用いて行われ、その一方はロボットアームの手首に連結され、他方は患者支持手段に連結されている。操作時には、ロボットアームのところの基準座標系は、患者支持手段(即ち、処置室)に連携された基準座標系に対して同定される。
総括的ステップ132では、プログラムされた夫々の陽子ビームは後述するように順次に発射される。
【0083】
ステップ136では、アーム(その手首の患者支持手段上に処置すべき患者を担持している)はデータベース76に記録されたデータに基づいて動かされかつ向き決めされる。アームは、ドッキングステーションから、発射されるであろう陽子ビームの中心軸線に沿った基準点まで、患者を導く。この基準点には、データベース76内に画定された、処置すべき腫瘍のアイソセンターが設定されている。
【0084】
アームの動きの制御
一般的に言えば、本発明の方法は、身体の動き(運動)を可能にする可能な複数のコンフィギュレーションのうちの1つに沿ってロボット(6自由度を有する)を変形させることにより、初期位置と最終位置との間で身体を動かすべくロボットを制御するために使用される。この変形コンフィギュレーションはコンフィギュレーションの少なくとも1つの運動学的特徴に基づいて選ばれるもので、後者は例えば以下のものからなる群から選ぶことができる:
−リスクのレベル;
−最大加速度;
−最大速度;および、
−動き(運動)に関与する自由度の数。
【0085】
更に、ロボットは、好ましくは、ロボットの少なくとも1つの変形可能な部分が運動中に変形しないように制御される。
【0086】
この実施例では、この装置は、ロボットによって動かされる身体のあらゆる可能な位置を包含する如何なる領域よりも小さな所定の領域内に身体がとどまるように制御される。
【0087】
より詳しくは、この実施例では、患者支持手段を備えたアームの運動制御手段が設けてある。この制御手段は、ドッキングステーションにおけるその(即ち、軌道の)開始位置から管14の前方の処置位置まで、軌道が衝突する危険がないように、ロボットアームの端部のところの少なくとも患者支持手段の軌道を制御するべくプログラムされている。
【0088】
これらの手段は、操作員の要請により自由運動空間を特定するための手段(この中で軌道が計算される)と協働する。このアーム運動制御手段は、また、アームの運動の危険度を分類するための手段と協働して、危険の少ない動きから最も危険な動きに至る分類された動きリストの中の1つの選択フォームを操作員(又はコンピュータ)に要求する。この実施例では、この分類手段は、また:
−所与の患者及び/又は所与の支持手段について許容された最大速度、及び/又は、加速度(線形及び/又は円形);および、
−ロボットアームの定常的自由度の数と、可能ならば、絶対的定義;
を包含する他の制約を用いて前記動きのリスト中の1つの動きを自動的に選択する手段を備えている。
【0089】
この後者の制約については、ロボットの幾つかの軸を不動に設定する手段が設けてあり、動きの少なくとも一部は他の可変軸を用いて行われる。ロボットを平行ロボットのような他のロボット装置と置換する場合には、同じことが適用されることを理解されたい。
【0090】
マーカーの位置のチェック
ステップ138では、患者がその姿勢に達したならば、X線イメージング装置40〜44は、陽子ビームを発射することができる前にロボットアームによって与えられた姿勢(位置と向き)における患者の頭蓋骨の2D画像を1〜3つ取得する。
【0091】
新たな画像が取得された時には、それらはデータベース76(図5)内のデータと比較されるので、マーカーの実際の位置(即ち、姿勢)はデータベース内に記録されているそれらの基準位置と比較される。イメージングされた新たな位置がマーカーの基準位置に対応しない場合には、ステップ140において、ロボットアームは陽子ビームの中央軸線に対するアイソセンターの位置および患者の向きを修正して、位置を訂正する。
【0092】
この訂正運動を制御するため、コンピュータはマーカーの基準位置のデータをデータベースから読み取るプログラムを実行する。それから、コンピュータはマーカーの実際の位置に対応するデータを読み取り、腫瘍の位置及び/又は向きの訂正を行うべくロボットアームの動きをプログラムする制御パラメータを推論する。
【0093】
一般的に言えば、この方法は以下のステップを包含する:
−マーカーのような複数の位置決め品目の位置を測定すること;および、
−位置決め品目の基準位置および測定された位置から、少なくとも1つの位置決め品目が少なくとも1つの他の位置決め品目に対して(かつ複数の他の位置決め品目に対してすら)動いたかどうかを決定すること。
【0094】
これらの位置は処置室のような所与の座標系(referential)に関して測定され、身体はこの座標系に関して可動である。
【0095】
もしも位置決め品目の1つが動いたならば、この方法は、それがどれであるかを決定すると共に、それを除く位置決め品目を用いて生きている身体を位置決めするステップを包含する。
【0096】
このため、この方法は、位置決め品目の対の少なくとも1つについて、それらの測定された位置同士の間の距離とそれらの基準位置同士の間の距離とを比較することを包含する(好ましくは、比較は位置決め品目のすべての対について行う)。
【0097】
その場合、この方法は、位置決め品目の少なくとも1つの所定のグループについて、各品目毎にその測定された位置とその基準位置との間の距離を考慮した値を計算すること、および、この値が所定の閾値より大きいかどうかを決定することを包含する。グループ中の品目の数は少なくとも3である。このグループ又は少なくとも1つのグループを除けば、グループ中の品目の数は位置決め品目の総数より小さい。計算と決定は複数のグループについて行われるので、各位置決め品目は位置決め品目の異なる組合せからなるグループに属する。
【0098】
幾つかの値はそれらの対応する閾値より大きく、他の幾つかはそうではないので、この方法は、品目の少なくとも1つが他のグループに属することなく上記値に関連するグループに属するかどうかを決定すること、および、もしイエスであれば、それがどれかを決定することを包含する。
【0099】
身体が動かされた後は、測定ステップおよび決定ステップが再び行われるが、先に測定された位置(ロケーション)は今回は前の基準位置を置換する基準位置として使用される。2つの決定ステップは同日又は異日に行うことができる。
【0100】
より詳しくは、図10には、マーカーの位置が未だ正しいかどうかをチェックするルーチンが示してある。
ステップ150では、前述したように、マーカーの実際の画像はコンピュータによってデジタル化され、マーカーの実際の位置に対応する3D座標の組を得る。
ステップ154では、データベースマネージャ76は処置すべき患者の識別子を用いてアドレスされる。
【0101】
マーカーの実際の位置に対応する3D座標はデータベースに格納されたマーカーの3D基準座標と比較される。このため、各マーカー毎に、コンピュータはステップ156でマーカーの実際の位置と基準位置との間の距離を計算する。
もしもこの距離が各マーカーにつきゼロに等しいならば、各マーカーはその基準位置にあり、かつ、動いていないと見なされる。腫瘍のアイソセンターはマーカーの実際の座標のセットから推論される。そしてステップ162で“終了”操作が行われる。
【0102】
ステップ158では、もしエラーが発生したならば、即ち、もし1つの距離がゼロに等しくないならば、これは少なくとも1つのマーカーが動いたことを意味するのであり、それは制御コンピュータに通知される。そして、動いたマーカーを特定することを目的とする次のステップが行われる。
【0103】
マーカーがnの場合には、nマーカー中の任意のpマーカーの組合せの各グループを監視するためにループが生成される(1<p<n)。
nマーカー中2の場合には、この方法はあらゆる可能なマーカー対の間の距離を検証することからなる。即ち、各対毎に、実際の距離が計算され、データベースマネージャ76に格納されたマーカーの基準位置中の距離と比較される。
【0104】
nマーカー中3又は4(又はそれ以上)の場合には、この方法は最適化により基準パターンと実際のパターンとをマッチさせることを試みることからなる。マッチの判断基準がある種の閾値以上であれば、それはパターンが異なることおよび1又はそれ以上のマーカーが動いたことを意味する。簡単に言えば、そのような値の例は以下の通りである。各マーカー毎に、マーカーの実際の位置と基準位置との間のユークリッド距離オフセットが計算される。この値はグループのマーカーについてのこれらのオフセットの平方の総和(又は、好ましくは、この総和の平方根)である。
【0105】
幾つかのグループについては、値はゼロであることができ、これはこのグループのマーカーは互いに動かなかったことを意味する。
【0106】
反対に、幾つかの他のグループについては、値はゼロ以上であることができ、これはこのグループの少なくとも1つのマーカーが相互に動いたことを意味する。もしもそのようなオフセットが検出されたならば、動いたマーカー(或いは見失われたマーカーがあればそれさえ)を特定するためのテストが行われる。
【0107】
このため、オフセットが許容可能であるか否かを特定するために複数の閾値が使用される。{TVi;i}はマーカーの数に応じて必要とされる一組の所定の閾値であるとする。{ODj;j}は先行するステップで測定されたすべてのオフセット距離の一組であるとする。可変カウンタCPTkは(ODj>TVi)で表される論理条件がマーカーkをもって確認される度にインクレメントされる。
【0108】
操作員はステーション16で2つの基準値A<Bを選択する。もしも所与のk番目のカウンタが第1基準値Aよりも大きいならば(CPTk>A)、推定k番目のマーカーは置違いであると宣言され、かつ、もしもCPTk>Bならば、推定k番目のマーカーは不明瞭であると宣言される。
【0109】
更なるステップでは、計数はまたこれら疑わしいマーカーのpアップレットに対してすべての結果について行われる。幾つかのカウンタがA及び/又はBの閾値より大きく、かつ、1つだけが小さいときには、実際に“漠然とした”又は“不明瞭な”マーカーは許容されたカウンタに対応するものである。
【0110】
姿勢の訂正
一般的に言えば、この方法においては、ロボットは:
−第1位置と第2位置との間で、固定点に対して、この装置の基部に関して、かつ、
−第2位置と第3位置との間で第2位置の1点に関して訂正運動を行うべく、
身体を動かすように制御される。
【0111】
処置セッションの制御プログラムを実行するステーション16は解像度特定手段と協働し、この解像度特定手段では各マーカーの3D絶対位置の認識がなされる。オフセットをゼロ(無効)にするべく運動が演算された時には、それはロボットアームの少なくとも1つの軸を用いて行われる。しかし、運動の精度はアームの各自由軸線毎に異なる。前記データベースには、ロボットアームの各自由軸線毎の種々の解像度の仕様が格納されている。従って、この実施例によれば、オフセットのゼロ化(無効化)の解像度に応じて、コンピュータは前記ゼロ化解像度を達成するためにはどの運動軸線を活性化しなければならないかを特定する。
【0112】
患者が新たな位置(姿勢)に置かれたならば、この新たな実際の位置が基準位置に対応しているかどうかをチェックするべく新たなイメージング・ステップが行われる。必要ならば、基準位置に達するまで患者の位置は再び訂正される。
【0113】
患者の位置決めステップは、一以上のビーム発射がプログラムされている場合には、各発射毎に繰り返される。実際、患者を異なる向きにしながら異なる発射を次々に行うことができる。殆どの場合、患者は異なる日に処置室に来るであろう(例えば、1日に1セッションで、各セッションは数回の発射を含む)。
【0114】
この方法によれば、マーカーおよび患者のデータ及び/又は画像は患者の詳細な処置データに関連づけてすべてデータベースに格納される。従って、処置を再開する時には、より古いセッションの任意の組合せの記録データに基づいて新たな位置決めを行うことができる。好ましくは、それは最後のセッションの記録データに基づいて制御される。何故ならば、マーカーの新たな3Dデータを、最後に処置が行われた時に格納された3D位置と比較するのがより好ましいからである。従って、これらの位置は新たな基準位置として使用される。従って、幾つかのマーカーが少なくとも2セッション前に動いていた場合には、時間と操作は割愛される。
【0115】
ビームの発射
正しい姿勢に達したならば、ビームに対して患者が動かないようにしてビームが発射される。
本発明は、ターゲットの断面よりも小さな断面を有する少なくとも1つのビームを用いて大きなターゲットを照射するために使用することができる。従って、ステーション16の制御下で、プログラムされた一組の陽子ビームに関して適当な1シーケンスの患者の運動および向き決めが行われる。
【0116】
少なくとも1つの腫瘍が占める全空間をカバーするべく所定の軌道に基づいて患者及び/又は少なくとも1つのビームの相対運動を制御するための手段が設けてある。また、ビームの投与レートおよび継続時間のような外的パラメータと共に、少なくとも1つの処置ビームに対する患者の位置及び/又は向きを変えるための手段を設けることができる。
【0117】
更に、本発明は、ビーム発射中は、目標とされた腫瘍を処置するべくビームに対する患者の位置及び/又は向きが連続的に変化するように実施することができる。
【0118】
本発明の方法は、所与の日における1処置セッションの各発射の前にかつ2つのセッションの間に患者を位置決めするための時間を獲得するのを可能にする。
【0119】
本発明の重要な特徴は、準備セッションで設定したマーカーの絶対3D基準位置は、マーカーの最新の3D位置を用いて更新することができることである。更に、ドッキングステーションから処理領域へと患者を動かすための運動の制御パラメータは、それが後の処置セッションの1つでプログラムされるにつれて、データベース内に格納することができ、次いで、処置ビーム発射前に前記2D画像を取得した時に取得したマーカーの瞬間3D位置に基づいて患者の最終位置と向きを訂正するべくオフセット運動を演算することができる。
【0120】
本発明の方法は、コンピュータ16の制御下で患者のアイソセンターを回転しながら行うことができる。このような処置においては、一旦患者が支持手段に定置されたならば、ロボットにリンクされた患者アイソセンターはその位置を再び訂正することなく保持される。従って、同じアイソセンターがコンピュータ16で画定されるので、複数のビームを相継いで発射することができ、アイソセンターを中心とする患者の唯一の回転運動は相継ぐ二回の発射の間に行われる。
【0121】
図10は、処置中の生きている身体を中心として処置源が運動できるようになった本発明の装置の代替的実施例を示す。
【0122】
ビーム加速器(図示せす)の出口ポートには粒子加速器出力装置200が設けてあり、これはガントリー214の内側に回転可能に装着された少なくとも1つの動く粒子ビームに供給するべく適当な手段212に接続してある。
【0123】
更に、陽子ビームを供給するための各点には、陽子ビームの中央軸線を所与の角度で指向させるべく磁気レンズ装置が設けてあり、前記角度の値は、患者のアイソセンターおよび座標系をガントリー214に関連するアイソセンターおよび第1基準座標系に関して位置決めし及び/又は向き決めするべく、コンピュータユニット204によりプログラムされる任意の相対運動に対して電子制御手段により定めることができる。
【0124】
ガントリー214の中心には穴が設けてあり、処置中の患者はこの穴を介して球216で示した位置に置かれる。患者はドッキングステーションから前述したように処置位置216へと搭載される。患者をドッキングステーション(図示せず)から処置位置216へと動かすため、患者はカウチ220に載せられる(このカウチはロボットアーム222の手首の端部のところの適当な空気力式連結器に接続されている)。
【0125】
ロボットアーム・コントローラ210は軌道メモリを備え、このメモリは患者をカウチ220に載せる前の初期化セッションの最中にメモリに格納された特定のパラメータによってアドレスされる。そのメモリにより、コントローラ210は、前述したようにドッキングステーションから処置位置216に至る最適の軌道を追従するようにカウチ220とロボットアーム222を制御することを学習している。アーム220を動かすため、コントローラ210は制御リンク210aを介してアーム222のアクチュエータに制御信号を送る。
【0126】
アイソセンター・ロボット
図11、12、13はアイソセンター位置決めロボットを示し、これらの図では同じ構成要素は同じ参照番号で示してある。アイソセンター・ロボット1は、主として:
−処置室2(この中には・・・)に対してアイソセンター軸線10を中心として回転可能な基部14(図12)、
−6つのアーム13a〜13fを有する運動手段、および、
−椅子11からなる担持手段、
を有する。
【0127】
身体4は粒子ビーム(特に処置室2内で陽子シンクロトロン8により生成された陽子ビーム)を用いて処置することが可能な腫瘍6のような病気が診断された患者を表す。
【0128】
例えば、陽子シンクロトロン8は処置室2内に据え付けてある。陽子ビームは患者4の頭部5までビーム軸線9に沿って伝播する。アイソセンター・ロボット1と陽子サイクロトロン8は、ビーム軸線9がアイソセンター軸線10と交叉するように配置してある。
【0129】
制御手段(図示せず)はアイソセンター・ロボットに接続されている。アイソセンター・ロボットは前述した方法の一般的ステップと組み合わせることができる。即ち、患者を椅子11に装着した時には、6自由度運動手段は腫瘍6をビーム軸線9とアイソセンター軸線10との交点に配置するべく制御される。腫瘍6のアイソセンター7をビーム軸線9とアイソセンター軸線10との交点に精密に位置決めするため、椅子11には頭部5を傾斜させることの可能なプレート3が設けてある。更に、椅子11には、座部12(図13)を椅子11に対して上下させるためのアクチュエータ15を設けることができる。
【0130】
腫瘍6が正しく位置決めされたならば、処置ビームが発射される。多くの場合、身体部分もまた他の側から(即ち、ビームに関して患者を他の向きにして)ビームで照射する必要がある:多重フィールド。従って、この新たな向きを有するように患者は動かされる。従来技術とは異なり、本発明においては、非常に時間がかかる演算方法を使用する必要がない。この新たな向きにおいて腫瘍6を動かすには、アイソセンターロボットは只単にアイソセンター軸線10を中心として所定角度回転する。それからビームが発射される。もしも新たな向きがある場合には、新たな向きに対応する各発射毎に同じステップが行われる。
【0131】
運動手段は更に、椅子の運動データを制御装置に提供するため、3軸加速度計16および2軸傾斜計17を有することができる。
勿論、本発明はその範囲を逸脱することなく多様に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例に基づく方法を実施するべく特に形成された、本発明の装置を備えた処置室の上面図である。
【図2】図2および図3は、図1の本発明の好ましい実施例に基づく装置の一部をなす産業用ロボットの側面図であり、このロボットには処置すべき患者の身体を担持する2つの手段が夫々取付けてある。
【図4】図4は、図2および図3のロボットの斜視図である。
【図5】図5は、処置前の画像取得ステップおよび処置中の画像取得ステップの模式図である。
【図6】図6は、処置ビーム形成手段の側面図および正面図である。
【図7】図7および図8は、好ましい実施例に基づく本発明の方法の異なるステップを示すフローチャートである。
【図9】図9は、行方不明の又は移動したマーカーを検出するステップを示す模式的斜視図である。
【図10】図10は、本発明の装置の代替的実施例の模式的側面図である。
【図11】図11は、身体を担持したアイソセンター位置決めロボットの模式図である。
【図12】図12は、アイソセンター位置決めロボット全体の模式図である。
【図13】図13は、アイソセンターロボットの椅子のシートの模式的側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生きている身体のような身体(70)を位置決めするための方法であって:
−複数の位置決め品目(82、172a、172b、174a、174b)の位置を測定すること、および、
−位置決め品目の基準位置および測定された位置から、位置決め品目の少なくとも1つが少なくとも1つの他の位置決め品目に対して動いたかどうかを決定することを特徴とする方法。
【請求項2】
直前の請求項に基づく方法であって、前記位置は所与の座標系に関して測定され、身体はこの座標系に関して運動可能であることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記請求項のいづれかに基づく方法であって、位置決め品目の少なくとも1つが他の位置決め品目に対して動いたかどうかを決定することを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいづれかに基づく方法であって、もし位置決め品目の1つが動いた場合には、それがどれであるかを決定し、この位置決め品目を除く位置決め品目を用いて生きている身体を位置決めすることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいづれかに基づく方法であって、位置決め品目の対の少なくとも1つについて、それらの測定された位置同士の間の距離とそれらの基準位置同士の間の距離とを比較することを特徴とする方法。
【請求項6】
直前の請求項に基づく方法であって、位置決め品目のすべての対について前記比較を行うことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいづれかに基づく方法であって、位置決め品目の少なくとも1つの所定のグループについて、各品目毎にその測定された位置とその基準位置との間の距離を考慮した値を計算し、この値が所定の閾値より大きいかどうかを決定することを特徴とする方法。
【請求項8】
直前の請求項に基づく方法であって、前記グループ又は少なくとも1つのグループについて、グループ中の品目の数は位置決め品目の総数より小さいことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7から8のいづれかに基づく方法であって、計算および決定は、夫々の位置決め品目が位置決め品目の異なる組合せからなるグループに属するように、複数のグループについて行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7から9のいづれかに基づく方法であって、前記値の幾つかはそれらの対応する閾値より大きく、他の幾つかはそうではなく、少なくとも1つの品目が他のグループに属することなく前記値に関連するグループに属するかどうかを決定し、もしイエスならば、それがどれかを決定することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記請求項のいづれかに基づく方法であって、身体が動いた後は、先に測定した位置を前回の基準位置に置き換わる基準位置として用いながら、測定および決定ステップが再び行われることを特徴とする方法。
【請求項12】
直前の請求項に基づく方法であって、双方の決定ステップは同日に行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に基づく方法であって、双方の決定ステップは異なる日に行われることを特徴とする方法。
【請求項14】
生きている身体のような身体(70)を位置決めするための機器(12、16)であって、複数の位置決め品目(82、172a、172b、174a、174b)の位置を測定する手段(40、42、72、74)を備え、その特徴は、位置決め品目の基準位置および測定された位置から、位置決め品目の少なくとも1つが少なくとも1つの他の位置決め品目に対して動いたかどうかを決定する手段(16)を備えていることを特徴とする機器。
【請求項15】
身体を動かすための装置(10、12、16)であって、直前の請求項に基づく機器を備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
生きている身体を位置決めするための方法であって、X線および核磁気共鳴の双方に対する少なくとも1つのマーカー(172a、172b、174a、174b)を備えた補綴(172、174)を少なくとも1つの生来の身体空洞に設定することからなる方法。
【請求項17】
直前の請求項に基づく方法であって、補綴は前記身体空洞の固有の形状に基づいて形成されていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16又は17のいづれかに基づく方法であって、前記補綴又は少なくとも1つの補綴は:
−口補綴;
−鼻補綴;および、
−耳補綴、
からなるグループに属することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16から18のいづれかに基づく方法であって、前記補綴又は少なくとも1つの補綴は互いに離間された少なくとも2つのマーカー(172a、172b、174a、174b)を備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項16から19のいづれかに基づく方法であって、身体に設定された補綴の数は少なくとも2、3又は4であることを特徴とする方法。
【請求項21】
生きている身体の生来の空洞内に設定するべく成形され、X線および核磁気共鳴の双方に対する少なくとも1つのマーカーを備えていることを特徴とする補綴(172、174)。
【請求項22】
身体の動きを可能にする複数の可能なコンフィギュレーションのうちの1つに沿って装置を変形させることにより、生きている身体(70)のような身体を初期位置と最終位置との間で動かすべく構成された装置(10)を制御する方法であって、変形コンフィギュレーションはコンフィギュレーションの少なくとも1つの運動学的特徴に基づいて選ばれることを特徴とする方法。
【請求項23】
直前の請求項に基づく方法であって、前記特徴又は少なくとも1つの特徴は以下のものからなる群から選ばれることを特徴とする方法:
−リスクのレベル;
−最大加速度;
−最大速度;および、
−運動に関与する自由度の数。
【請求項24】
請求項22から23のいづれかに基づく方法であって、この装置は、当該装置(10)によって動かされる身体のあらゆる可能な位置を包含する如何なる領域よりも小さな所定の領域(30)内に身体がとどまるように制御されることを特徴とする方法。
【請求項25】
身体の動きを可能にする複数の可能なコンフィギュレーションのうちの1つに沿って装置を変形させることにより、生きている身体のような身体(70)を初期位置と最終位置との間で動かすべく構成された装置(10)であって、この装置は制御手段を備え、制御手段(12、16)は、コンフィギュレーションの少なくとも1つの運動学的特徴に基づいて変形コンフィギュレーションを選ぶことを可能にするべく配置されていることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1から13、16から20、又は22から24のいづれかに基づく方法であって、身体(70)の少なくとも1つの二次元画像を取ることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1から13、16から20、22から24、又は26のいづれかに基づく方法であって、身体(70)の幾つかの点の三次元座標を決定することを特徴とする方法。
【請求項28】
放射線治療により腫瘍を処置する方法のような処置方法であって、請求項1から13、16から20、22から24、26又は27のいづれかに基づく方法を包含することを特徴とする方法。
【請求項29】
装置の基部に対して身体(70)を動かすための装置(10、12、16)であって、この装置は動きの最中に身体を保持するための保持手段(6)を備え、この装置は少なくとも2つの異なる品目(21、7、8)を備え、これら品目のうちの少なくとも1つ(7、8)は身体を担持するべく構成されており、この装置は前記品目のいづれかを保持手段に着脱自在に固定するべく構成されていることを特徴とする装置。
【請求項30】
直前の請求項に基づく装置であって、前記品目(7、8)の2つ又は両方の品目は身体(70)を担持するべく構成されていることを特徴とする装置。
【請求項31】
請求項29又は30に基づく装置であって、少なくとも1つの品目(21)は身体を担持するべく構成されていないテスト装置であることを特徴とする装置。
【請求項32】
請求項15、25、および29から31のいづれかに基づく装置であって、放射線により腫瘍(78)を処置するための手段を備えていることを特徴とする装置。
【請求項33】
請求項15、25、および29から32のいづれかに基づく装置であって、ガントリー(214)を備えていることを特徴とする装置。
【請求項34】
身体内に含まれている目的物を粒子ビームに対して位置決めするための装置であって、この装置は身体を担持するための担持手段を備え、この装置は、更に、前記担持手段を数自由度で装置の基部に対して動かすための運動手段を備え、前記基部は目的物中に画定されたアイソセンターを通過することを目的とするアイソセンター軸線と呼ばれる軸線に関して回転可能であることを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項34に基づく装置であって、粒子ビームは前記アイソセンター軸線を遮る粒子ビーム軸線に沿って伝播することを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項35に基づく装置であって、アイソセンター軸線はビーム軸線に対して垂直であることを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項34〜36のいづれかに基づく装置であって、アイソセンター軸線は垂直であることを特徴とする装置。
【請求項38】
請求項34〜37のいづれかに基づく装置であって、アイソセンター軸線は装置が配置されている室に対して固定されていることを特徴とする装置。
【請求項39】
請求項34から38のいづれかに基づく装置であって、粒子ビーム軸線は装置が配置されている室に対して固定されていることを特徴とする装置。
【請求項40】
請求項34〜39のいづれかに基づく装置であって、担持手段は椅子型のものであることを特徴とする装置。
【請求項41】
請求項40に基づく装置であって、担持手段は椅子に対して身体を側方へ変位させる手段を備えていることを特徴とする装置。
【請求項42】
請求項40に基づく装置であって、担持手段は身体頭部を軽く位置決めする手段を備えていることを特徴とする装置。
【請求項43】
請求項34〜42のいづれかに基づく装置であって、運動手段は6つのアームを有することを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項43に基づく装置であって、6つのアームは伸縮式であることを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項34〜44のいづれかに基づく装置であって、粒子ビームは陽子ビームであり、目的物は腫瘍であることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項34〜45のいづれかに基づく装置を用いて目的物を照射する方法であって、この方法は以下のステップを包含することを特徴とする方法:
−目的物のアイソセンターをビーム軸線と装置の回転軸線との交点に位置決めすること、
−装置の多重回転を行うこと、および、
−各回転毎に照射を行うこと。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−502383(P2009−502383A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524452(P2008−524452)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007762
【国際公開番号】WO2007/017211
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508034266)
【Fターム(参考)】