放射線治療用ビームを形成するためのプログラマブル・粒子散乱体
1つ以上の物質からなるプログラマブル・経路長を粒子ビームに介装することによって、散乱角度およびビームの奥行きを所定の要領で変調し、所定の距離に所定の拡散ブラッグ・ピークを生成する。物質は、流体を含む「低原子番号」および「高原子番号」の物質であってよい。荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置が、粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器、およびプログラマブル・コントローラによる制御のもとで流体容器の壁の間の距離を調節する駆動部を有する。直列に配置された「高原子番号」および「低原子番号」の容器を、個別に使用可能である。放射線治療に使用される場合、ビーム強度を測定することによってビームを監視することができ、プログラマブル・コントローラが、総ビーム強度への所定の関係に従って、「高原子番号」容器の対向する壁の間の距離および「低原子番号」容器の対向する壁の間の距離が個別に、調節可能である。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年9月24日に出願された米国特許出願第10/949,734号の継続出願であって、米国特許出願第10/949,734号は、2004年7月21日に出願された米国特許仮出願第60/590,088号の利益を主張している。前記出願の全ての内容は、ここでの言及によって本明細書に取り入れられたものとする。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子は、がんの放射線治療の分野において、50年以上にわたって使用されてきている。患者の体内の対象部位体積の形状に一致する臨床的に有用な線量分布を生成するために、いくつかのビーム成形/変調材料が、粒子加速器と患者との間に介装される。陽子ビームは、組織内で指数関数的に減衰してしまう従来からの高エネルギーのX線ビームに対し、有意な臨床上の利点を有している。エネルギーの集積(deposition)の物理学が、陽子においては、高エネルギーのX線(光子)と比べ、好都合かつ相違している。
【0003】
陽子ビームは、入り口においては放射線量である線量が少なく、組織内で陽子が止められるときに大きな線量をもたらす。陽子の組織への貫入距離の終端において大きくなるこのエネルギーの集積は、この現象を発見した物理学者にちなんで、ブラッグ(Bragg)ピークと呼ばれている。図1は、変調を加えていないビームからのブラッグ・ピーク、ならびに拡散させたブラッグ・ピーク、および拡散ブラッグ・ピークを生成するために合成される一連の個々のブラッグ・ピークを示している。
【0004】
粒子加速器から発せられるビームは、ビームへと装置および材料を挿入することによって成形される。ビームを成形する目的の1つは、患者の体内の腫瘍などといった対象部位体積に対し、全体にわたって均一な放射線量を届けることにある。対象部位の近位側表面と遠位側表面との間に、均一な放射線量または他の所定の放射線量を確実に届けることができるよう、距離(すなわち、組織へのビームの貫入深さ)を変調する必要がある(本明細書において使用されるとき、「近位側」および「遠位側」という用語はビームの経路に関して使用され、具体的には、用語「近位側」が対象部位へのビームの進入の領域を指している)。さらには、大きな腫瘍を治療するために、ビームを横方向に広げる必要がある(本明細書において使用されるとき、用語「横方向」は、ビームの経路に実質的に直交する任意の方向を指している)。ビームは、一連の散乱体(scatterer)および開口によって操作および成形される。
【0005】
ビーム成形システムにおいて、ビームはまず、陽子ビームを約20〜30cmの治療領域を処置するために充分広い角度へと散乱させる第1の散乱体/距離変調装置にて案内される。ビームは、第1の散乱体による散乱および距離の変調に続いて、補償済みの第2の散乱体へと導かれる。この構成要素の目的は、第1の散乱体から出るビームの断面を平坦にすることにある。これにより、ブラッグ・ピークを平坦化し、アイソセンタ距離(isocenter distance)における強度を一様にすることができる。図2は、高原子番号材料および低原子番号材料で構成され、平坦であって均一な幅広ビームをもたらすべく、これらの材料が高原子番号材料の散乱特性を低原子番号材料の吸収特性に整合させる形状を備えている補償済みの第2の散乱体を示している。
【0006】
ビーム成形システムの第3の構成要素は、距離マッチング用のボーラス(bolus)である。これは、典型的にはアクリル樹脂からなる厚い円柱であって、対象部位体積の遠位側表面の3次元形状と正反対の形状に機械加工されている。この構成要素は、さらに、ビーム方向からの患者の外表面の形状についての補正、および経路内の骨または空気などといった異質部分についての補正を含んでいる。大部分の組織は、実質的に水と同等であるが、これらの異なる材料についての補正を、CT画像データ一式から計算することができる。得られる3次元構造が、ブラッグ・ピークを対象部位の遠位側表面に確実に一致させ、対象部位体積を越えて位置する境界構造への線量を最小限にするよう、ビームの経路に配置される。
【0007】
ビーム成形システムの第4の構成要素は、当該処置のために特定的に製作される開口を使用することによって、ビームをビームの原点の方向から見たときの対象部位体積の形状に一致するように横方向に成形する。これは、通常は、真鍮または他の高原子番号材料の厚い部材に異形の開口を機械加工し、患者に近接させて配置することによって達成される。この構成要素によって、ビームの横方向の広がりが制限され、対象部位体積の形状に一致する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
プログラマブル・経路長である1つ以上の散乱および/または吸収材料を粒子ビームへと挿入し、散乱角度およびビーム距離を所定の要領で変調するために使用可能である。荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置が、粒子ビームの経路内に調節可能な経路長を有する高原子番号材料と、粒子ビームの経路内に調節可能な経路長を有する低原子番号材料と、対象部位をビームに曝している最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラとを有することができる。高原子番号材料および低原子番号材料は、液体であってよい。低原子番号材料の経路長および高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である。
【0009】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置は、粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部、および対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラを有することができる。前記流体容器の前記対向する壁間の距離が、連続的に調節可能である。第1および第2の流体容器を、粒子ビームの経路内に直列に配置可能である。これら第1および第2の流体容器が、高原子番号および低原子番号の材料を別個に含むことができる。前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である。
【0010】
荷電粒子ビームを供給する荷電粒子の供給源、および荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を、放射線治療装置に使用可能である。ビーム強度を測定してビーム強度をプログラマブル・コントローラへと通信するために、ビーム監視器を使用可能である。プログラマブル・コントローラが、ビーム強度の時間積分と低原子番号材料および高原子番号材料の所望の経路長との間の所定の関係に従って、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が個別に調節可能である。プログラマブル・コントローラは、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が個別に、連続的かつリアルタイムに(動的に)調節可能である。
【0011】
荷電粒子の供給源は、サイクロトロンであってよい。サイクロトロンは、シンクロサイクロトロンであってよい。任意の荷電粒子を使用することができ、例えば荷電粒子が陽子であってよい。
【0012】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置の高原子番号材料および低原子番号材料を、シンクロサイクロトロンの抽出チャンネル(extraction channel)に配置することができる。荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置が、粒子ビームの経路内に対向する壁を有する流体容器を備えている場合には、そのような流体容器を、やはりシンクロサイクロトロンの抽出チャンネルに配置することができる。
【0013】
本発明の実施形態は、いくつかの利点を有している。高原子番号材料および低原子番号材料の厚さを個別かつ連続的に変化させることで、処置の経過の全体にわたって粒子の経路を連続的に変化させることができる。これは、固有に変化させることができる実質的に任意の拡散ブラッグ・ピーク形状を効率的に生成することができ、したがって対象部位に合わせて適合させた非一様な放射線量を届けることができる。本発明の第1の散乱体/距離変調装置は、3次元の治療対象体積へのビームによる線量の集積に適しており、高度に適合した線量分布をもたらす。これが、最良の臨床的結果を患者にもたらす。がん治療における局所的な抑制率は、腫瘍への線量を増すにつれて向上するが、周囲の正常な組織へと与えられる線量によって、(境界構造への不必要な線量によって)合併症の確立が高くなる。正確に整形された陽子ビームを使用することによって、周囲の組織へと与えられる線量に対する治療対象の体積への線量の割合を、光子(X線)ビームで与えられる割合に比べて顕著に高めることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は、荷電粒子の供給源としてシンクロサイクロトロンを使用することで、可変のエネルギー・ビームに依存することを回避できる。さらに、本発明の装置の動作を、プログラマブル・プロセッサによって、所定の非一様な拡散ブラッグ・ピークを生成するように高原子番号および低原子番号の材料の運動のタイミングを調節することによって、連続的に可変な要領で制御することができる。
【0015】
標準的な臨床の場合のほかに、散乱および距離の変調について、眼の腫瘍または黄斑変性症の処置の場合など、より強度の高い小さなビームが必要とされる少なくとも1つの特別な場合が存在する。これらの特別な場合は、浅い貫入深さおよびきわめて小さい領域寸法を有し、処置時間が最少にされる。この場合には、領域の寸法がきわめて小さいため、第2の補償済みの散乱体は使用されない。本発明の第1の散乱体/距離変調装置は、この特別な場合への適用にとくに好都合である。
【0016】
本発明は、過去において使用された基本的な物理原理を使用し、それらを現代の制御システム技術および新規な幾何学と組み合わせることによって、対象部位体積により高度に適合できる線量分布を生み出すために、固定の散乱体/変調装置部品と同じ性能のみならず、時間において変調された固有に変化させることができるビーム形状をプログラム可能に届けることができる新規なビーム散乱/距離変調装置を生み出している。「高原子番号」材料および「低原子番号」材料を通過するビームの経路の長さを連続的かつ個別に変化させるという能力が、有限の数の固定の拡散ブラッグ・ピークにて治療用の放射線量を計画して投与しなければならないという問題を回避している。
【0017】
本発明の上記の目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点が、添付の図面に示される本発明の好ましい実施形態についての以下のさらに詳細な説明から、明らかになるであろう。添付の図面においては、種々の図の全体を通して、同様の参照符号は同じ部品を指し示している。図面は必ずしも比例尺ではなく、本発明の原理を説明するために強調されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、すべての荷電粒子ビームへと適用可能であるが、ここでの検討は、例示のための好都合な例として放射線治療用の陽子ビームを取り扱う。
【0019】
すでに述べたように、粒子加速器から発せられる陽子ビームが、ビームの経路に介装されたいくつかの装置および材料によって成形および変調される。
【0020】
本発明の1つの実施形態は、荷電粒子の散乱体/距離変調装置であり、いくつかの実施形態において、第1の散乱体として陽子ビーム放射線治療システムの一般的な実施に使用することが可能である。図3は、本発明の実施形態を取り入れている放射線治療装置である陽子治療システム100のブロック図である。システムのうちの本発明に関係する構成要素を説明するために、簡略化されている。粒子加速器のRF制御システム、真空装置、電源、などといった他のサブシステムは、分かりやすくするため省略されている。
【0021】
システム100への入力102は、典型的には、処置すべき対象部位領域の寸法および位置ならびに患者の外側輪郭である。対象部位体積のパラメータ102が、線量を対象部位体積に合わせて適切に届けるべく3次元の線量分布を処方するために、治療計画システム104によって使用される。治療計画システム104の出力が、陽子治療システム・コントローラ106へと伝えられ、陽子治療システム・コントローラ106が、治療を実行するために種々のサブシステムによって使用される一連のパラメータを生成する。これらのパラメータとしては、ブラッグ・ピークの遠位側の広がりおよび拡散ブラッグ・ピークの奥行き108、ならびにこれらのパラメータ108にもとづく総線量の関数としての高原子番号材料および低原子番号材料の経路長の計算結果110を挙げることができる。プログラマブル・第1の散乱体/距離変調装置112を有するサブシステムにとって重要なパラメータは、陽子ビームへと介装すべき高原子番号材料および低原子番号材料に関し、ビーム監視器114によって測定される総線量の関数としてのそれら高原子番号材料および低原子番号材料の経路長である。加速器116の出力が時間に対して一定であると知られているならば、経路長を時間に対してプログラムすることができる。この実施形態においては、ビーム監視器114からの直接の情報を使用することによって、加速器の出力が時間に関して一定でなければならないという制約を取り除いている。
【0022】
測定された総線量についての補正も含めて計算された経路長が、第1の散乱体/距離変調装置制御システム118によって、直線アクチュエータ122および123のための高原子番号および低原子番号位置決め指令120へと変換され、駆動部である直線アクチュエータ122および123が、それぞれ高原子番号および低原子番号材料の経路長124および125を変化させる。高原子番号材料および低原子番号材料は、固体であっても、液体であっても、気体であってもよい。液体材料が好ましい。好ましい実施形態においては、直線アクチュエータ122および123が、リニア・モータ/エンコーダである。エンコーダが実際の位置を測定し、システム内のサーボ・ループ(図7でさらに詳しく示される)が、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を厳密に制御することによって治療において安全を確保するとともに誤差を防止するよう、厳密な制御および誤差状態の検出を保証する。
【0023】
粒子加速器116(1つの実施形態においては、サイクロトロンである)によって生成されたビーム126が、ビーム監視器114によって監視され、本発明の第1の散乱体/距離変調装置112によって変調される。第1の散乱体112を通過した後、ビーム126は、図2に示したような第2の補償済み散乱体128を通過する。
【0024】
第2の散乱体128でのさらなる横方向の広がりおよびビームの調節の後、ビーム126は、距離補償用ボーラス130によってさらに整形され、最終のコンフォーマル(comformal)開口132によって横方向について整形された後で、患者136の体内の対象部位体積134に進入する。
【0025】
図3の第1の散乱体/距離変調装置112について選択肢となる2つの実施形態が、図4Aおよび4Bならびに図5Aおよび5Bに示されている散乱体/距離変調装置200および200’である。
【0026】
図4Aおよび5Aを参照すると、散乱体/距離変調装置200および200’は、2つの密封システムを有しており、すなわち水などの低原子番号の流体で満たされたシステム202と、液体状態の水銀などの高原子番号の流体で満たされたシステム204とを有している。流体に、高原子番号部において生成される中性子について遮蔽として機能できる低原子番号流体中のホウ素など、溶液中の他の元素を取り入れることも可能である。陽子ビーム(図示されていない)が、左方から右方へと軸208に沿って移動する。2つのシステム202および204は、直列に配置されている。高原子番号のシステム204または低原子番号のシステム202のどちらかを、陽子ビームの発生源に最も近く配置することができる。ここに示している実施形態においては、高原子番号のシステム204が加速器116(図3または図6を参照)の出力に最も近く配置されている。
【0027】
長期間にわたる流体の確実な密封をもたらすため、システム202および204は、それぞれ溶接金属ベローズズ212および214を備えている。ベローズ212および214が、延長可能な側壁を形成し、対向する壁216、218(システム202)および220、222(システム204)と協働して、粒子ビームの経路に配置された体積可変の流体容器を形成している。図4Aに示した装置200を参照すると、それぞれの容器の内部に、凹入する筒状延伸部224および226が存在している。図5Aに示した装置200’を参照すると、筒状延伸部224’および226’が同軸であって、筒状延伸部226’が筒状延伸部224’の内側に配置されている。図5Aに示した装置200’を参照すると、対向する壁216および222が、筒状延伸部226’の同じ部分の別個の表面である。側壁220が入口窓228を保持している。側壁218が出口窓230を保持している。入口窓228および出口窓230は、例えばステンレス鋼またはチタニウムで作られた耐放射線性の薄い箔で製作されている。箔は、ビームに実質的に影響を及ぼすことがないよう充分に薄い。
【0028】
図4Aに示した装置200を参照すると、窓228および230のものと同様の材料から作られた対放射線性の薄い隔膜232が、中央プレート234内の開口を横切って配置されている。図5Aに示した装置200’を参照すると、隔膜232’は、筒状延伸部226’の壁216および222を定めている部位の開口を横切って配置されている。隔膜232が、システム202および204の2つの流体を分離している。隔膜232および窓228、230の厚さについての小さな補正を、システムのモデル化の際に考慮に入れなければならない。
【0029】
図4Aに示した装置200を参照すると、ベローズ212および214の動作の際に、入口窓228および出口窓230が、分離隔膜232に接触可能である。同様に、図5Aに示した装置200’を参照すると、入口窓228および出口窓230が、分離隔膜232’に接触可能である。これにより、高原子番号材料の経路長または低原子番号材料の経路長を別個に、実質的にゼロになるように選択可能である。ベローズ212および214のさらなる圧縮を可能にすることで、ベローズ212および214が完全に圧縮される前に、入口窓228および出口窓230を分離隔膜232または232’に接触させることが可能になる。
【0030】
直線軸受レール240が、ベローズ212および214ならびに延伸部分226、226’および224、224’の運動を、粒子ビームの軸208と実質的に同一直線に制限している。
【0031】
図3に示したアクチュエータ122および123など、駆動部である1対のリニア・モータ/エンコーダが、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を変化させるために使用される。図4Aおよび5Aを参照すると、リニア・モータ/エンコーダが、固定子242および244をビームの軸208と実質的に平行に備えるとともに、固定子242、244に沿って移動するモータ/エンコーダ・キャリッジ246および248を備えている。転がり軸受252を使用して直線レール240に沿って移動する転がり軸受キャリッジ250が、モータ/エンコーダ・キャリッジ246および低原子番号材料ベローズ212へと取り付けられている。同様に、転がり軸受キャリッジ254が、モータ/エンコーダ・キャリッジ248および高原子番号材料ベローズ214へと取り付けられている。転がり軸受キャリッジ254は、転がり軸受256を使用して直線レール240に沿って移動する。モータ/エンコーダ・キャリッジ246および248の移動によって、ベローズ212および214に伸長または収縮が生じ、それぞれのベローズを満たしている高原子番号および低原子番号の流体の量が変化して、高原子番号材料および低原子番号材料の経路長が変化する。
【0032】
ベローズ内の流体は、実質的に非圧縮性である。したがって、この実施形態においてはやはり溶接金属ベローズで構成されるが、膨張容器一式が設けられる。図4Bおよび5Bを参照すると、膨張容器270および272が、ベローズ212および214に隣接している。膨張容器270および272は、中央プレート234の内部の通路274によって接続されている。いずれかの流体の経路長が制御システム118によって変化させられるとき、押し出された流体が、対応する膨張容器に収容される。被駆動のベローズ212および214ならびに膨張容器270および272が、時間とともに散乱放射線の近傍において劣化および漏れを生じがちである摺動すなわち磨耗するシールを持たない密封システムを構成している。この密封システムの信頼性は、ベローズ用として選択された材料の疲労特性から予測することができ、設計上の応力が材料の耐久限度を超えないようにすることで、実質的に無限大にすることができる。これは、病院の環境で水銀などの材料を使用する場合に重要である。
【0033】
図6を参照すると、図5Aに示すように装置200’の筒状延伸部224’および226’を入れ子にすることによって、散乱用の流体を、そのようでない装置200において可能であると考えられる要領とは別の要領で、例えば加速器116などといった粒子ビームの源へとより近付けて配置することができる。図6に示されているように、筒状延伸部224’および226’を、抽出チャンネル701へと挿入して、システム全体をより小型にすることが可能である。筒状延伸部224’および226’が、好ましくは磁気遮蔽されることに注意すべきである。このユニットの個々の構成要素の動作原理および機能については、図4Aおよび4Bに示した実施形態と同一である。
【0034】
再び図3を参照すると、制御システム118がアクチュエータのモータ122および123を駆動するとともに、隔膜232に対する入口窓228および出口窓230の位置および速度を精密に制御する(図4Aおよび5Aを参照)ため、モータ/エンコーダ・キャリッジ(図4Aおよび5Aの246および248)からの信号を受信する。これにより、粒子ビームの経路における高原子番号および低原子番号の材料の量を制御する。このようにして、所定の要領で粒子ビームの散乱角と散乱距離を制御する。高原子番号材料および低原子番号材料124および125の経路長、すなわちモータ・エンコーダ・キャリッジ(図4Aおよび5Aの246および248)の位置は、ビーム監視器114によって測定される総線量または総放射線の関数でもある。したがって、1つの実施形態において、本発明は図7に示すフィードバック制御ループ300を備えている。
【0035】
図7を参照すると、届けられる放射線の総線量が、ビーム監視器114による測定結果にもとづき、ステップ302において計算される。この総線量にもとづき、第1の散乱体/距離変調装置制御システム118が、ステップ120aおよび120bのそれぞれにおいて高原子番号材料および低原子番号材料の位置指令を生成する。これらの指令が、直線アクチュエータ/モータ(図3の122および123)へと伝えられ、直線アクチュエータ/モータが、高原子番号材料および低原子番号材料のモータ・キャリッジ/エンコーダ(図4Aおよび5Aの246および248)の位置を変化させる。ステップ304aおよび304bにおいて、エンコーダが、キャリッジの実際の位置を測定し、このデータを第1の散乱体/距離変調装置制御部118へと伝達する。このようにして、フィードバック制御ループ300が、高原子番号システム204における入口窓228と隔膜232との間の距離および低原子番号システム202における隔膜232と出口窓230との間の距離(図4Aおよび5Aを参照)を、出力されたビーム強度に応答して、連続的に、動的に(すなわち、リアルタイムに)、かつ個別に調節するために使用される。したがって、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が、ビームの強度に応じて、連続的に、リアルタイムに、かつ個別に調節可能である。
【0036】
以上、本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照しつつ詳しく示して説明したが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の技術的範囲から離れることなく、形態および細部においてさまざまな変更が可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】陽子ビームによって届けられて集積される放射線量を貫入深さの関数として示した代表的な図である。貫入距離の遠位側の部分に位置するピークが、ブラッグ・ピークである。
【図1B】適合した放射線量を届けるために望まれる「拡散」ブラッグ・ピークを示す図である。
【図1C】貫入距離が変調されている陽子ビームによって生成された複数のブラッグ・ピークの重ね合わせの結果を示す図である。
【図2】高原子番号材料および低原子番号材料で構成され、これらの材料がこれらの材料の散乱特性および吸収特性を整合させる形状を備えている補償済みの第2の散乱体の断面図である。
【図3】本発明の装置および方法を使用する放射線治療システムのブロック図である。
【図4A】本発明の荷電粒子散乱体/距離変調装置の好ましい実施形態の(部分切断の)側面図である。
【図4B】図4Aの装置の端面図である。
【図5A】本発明の荷電粒子散乱体/距離変調装置の好ましい実施形態の変形例の(部分切断の)側面図である。
【図5B】図6Aの装置の端面図である。
【図6】図5Aに示した実施形態について、粒子加速器と組み合わせた場合の好都合な配置を示した平面図である、
【図7】本発明の方法の好ましい実施形態によって使用されるフィードバック制御ループを説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
100 陽子治療システム 放射線治療装置
106 陽子治療システム・コントローラ
112 第1の散乱体/距離変調装置
114 ビーム監視器
116 粒子加速器 サイクロトロン シンクロサイクロトロン
124 高原子番号材料の経路長
125 低原子番号材料の経路長
126 荷電粒子ビーム
200 散乱体/距離変調装置
200’ 散乱体/距離変調装置
202 低原子番号流体が満たされている容器 第2の容器
204 高原子番号流体が満たされている容器 第1の容器
701 抽出チャンネル
【関連出願】
【0001】
本出願は、2004年9月24日に出願された米国特許出願第10/949,734号の継続出願であって、米国特許出願第10/949,734号は、2004年7月21日に出願された米国特許仮出願第60/590,088号の利益を主張している。前記出願の全ての内容は、ここでの言及によって本明細書に取り入れられたものとする。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子は、がんの放射線治療の分野において、50年以上にわたって使用されてきている。患者の体内の対象部位体積の形状に一致する臨床的に有用な線量分布を生成するために、いくつかのビーム成形/変調材料が、粒子加速器と患者との間に介装される。陽子ビームは、組織内で指数関数的に減衰してしまう従来からの高エネルギーのX線ビームに対し、有意な臨床上の利点を有している。エネルギーの集積(deposition)の物理学が、陽子においては、高エネルギーのX線(光子)と比べ、好都合かつ相違している。
【0003】
陽子ビームは、入り口においては放射線量である線量が少なく、組織内で陽子が止められるときに大きな線量をもたらす。陽子の組織への貫入距離の終端において大きくなるこのエネルギーの集積は、この現象を発見した物理学者にちなんで、ブラッグ(Bragg)ピークと呼ばれている。図1は、変調を加えていないビームからのブラッグ・ピーク、ならびに拡散させたブラッグ・ピーク、および拡散ブラッグ・ピークを生成するために合成される一連の個々のブラッグ・ピークを示している。
【0004】
粒子加速器から発せられるビームは、ビームへと装置および材料を挿入することによって成形される。ビームを成形する目的の1つは、患者の体内の腫瘍などといった対象部位体積に対し、全体にわたって均一な放射線量を届けることにある。対象部位の近位側表面と遠位側表面との間に、均一な放射線量または他の所定の放射線量を確実に届けることができるよう、距離(すなわち、組織へのビームの貫入深さ)を変調する必要がある(本明細書において使用されるとき、「近位側」および「遠位側」という用語はビームの経路に関して使用され、具体的には、用語「近位側」が対象部位へのビームの進入の領域を指している)。さらには、大きな腫瘍を治療するために、ビームを横方向に広げる必要がある(本明細書において使用されるとき、用語「横方向」は、ビームの経路に実質的に直交する任意の方向を指している)。ビームは、一連の散乱体(scatterer)および開口によって操作および成形される。
【0005】
ビーム成形システムにおいて、ビームはまず、陽子ビームを約20〜30cmの治療領域を処置するために充分広い角度へと散乱させる第1の散乱体/距離変調装置にて案内される。ビームは、第1の散乱体による散乱および距離の変調に続いて、補償済みの第2の散乱体へと導かれる。この構成要素の目的は、第1の散乱体から出るビームの断面を平坦にすることにある。これにより、ブラッグ・ピークを平坦化し、アイソセンタ距離(isocenter distance)における強度を一様にすることができる。図2は、高原子番号材料および低原子番号材料で構成され、平坦であって均一な幅広ビームをもたらすべく、これらの材料が高原子番号材料の散乱特性を低原子番号材料の吸収特性に整合させる形状を備えている補償済みの第2の散乱体を示している。
【0006】
ビーム成形システムの第3の構成要素は、距離マッチング用のボーラス(bolus)である。これは、典型的にはアクリル樹脂からなる厚い円柱であって、対象部位体積の遠位側表面の3次元形状と正反対の形状に機械加工されている。この構成要素は、さらに、ビーム方向からの患者の外表面の形状についての補正、および経路内の骨または空気などといった異質部分についての補正を含んでいる。大部分の組織は、実質的に水と同等であるが、これらの異なる材料についての補正を、CT画像データ一式から計算することができる。得られる3次元構造が、ブラッグ・ピークを対象部位の遠位側表面に確実に一致させ、対象部位体積を越えて位置する境界構造への線量を最小限にするよう、ビームの経路に配置される。
【0007】
ビーム成形システムの第4の構成要素は、当該処置のために特定的に製作される開口を使用することによって、ビームをビームの原点の方向から見たときの対象部位体積の形状に一致するように横方向に成形する。これは、通常は、真鍮または他の高原子番号材料の厚い部材に異形の開口を機械加工し、患者に近接させて配置することによって達成される。この構成要素によって、ビームの横方向の広がりが制限され、対象部位体積の形状に一致する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
プログラマブル・経路長である1つ以上の散乱および/または吸収材料を粒子ビームへと挿入し、散乱角度およびビーム距離を所定の要領で変調するために使用可能である。荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置が、粒子ビームの経路内に調節可能な経路長を有する高原子番号材料と、粒子ビームの経路内に調節可能な経路長を有する低原子番号材料と、対象部位をビームに曝している最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラとを有することができる。高原子番号材料および低原子番号材料は、液体であってよい。低原子番号材料の経路長および高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である。
【0009】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置は、粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部、および対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラを有することができる。前記流体容器の前記対向する壁間の距離が、連続的に調節可能である。第1および第2の流体容器を、粒子ビームの経路内に直列に配置可能である。これら第1および第2の流体容器が、高原子番号および低原子番号の材料を別個に含むことができる。前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である。
【0010】
荷電粒子ビームを供給する荷電粒子の供給源、および荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を、放射線治療装置に使用可能である。ビーム強度を測定してビーム強度をプログラマブル・コントローラへと通信するために、ビーム監視器を使用可能である。プログラマブル・コントローラが、ビーム強度の時間積分と低原子番号材料および高原子番号材料の所望の経路長との間の所定の関係に従って、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が個別に調節可能である。プログラマブル・コントローラは、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が個別に、連続的かつリアルタイムに(動的に)調節可能である。
【0011】
荷電粒子の供給源は、サイクロトロンであってよい。サイクロトロンは、シンクロサイクロトロンであってよい。任意の荷電粒子を使用することができ、例えば荷電粒子が陽子であってよい。
【0012】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置の高原子番号材料および低原子番号材料を、シンクロサイクロトロンの抽出チャンネル(extraction channel)に配置することができる。荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置が、粒子ビームの経路内に対向する壁を有する流体容器を備えている場合には、そのような流体容器を、やはりシンクロサイクロトロンの抽出チャンネルに配置することができる。
【0013】
本発明の実施形態は、いくつかの利点を有している。高原子番号材料および低原子番号材料の厚さを個別かつ連続的に変化させることで、処置の経過の全体にわたって粒子の経路を連続的に変化させることができる。これは、固有に変化させることができる実質的に任意の拡散ブラッグ・ピーク形状を効率的に生成することができ、したがって対象部位に合わせて適合させた非一様な放射線量を届けることができる。本発明の第1の散乱体/距離変調装置は、3次元の治療対象体積へのビームによる線量の集積に適しており、高度に適合した線量分布をもたらす。これが、最良の臨床的結果を患者にもたらす。がん治療における局所的な抑制率は、腫瘍への線量を増すにつれて向上するが、周囲の正常な組織へと与えられる線量によって、(境界構造への不必要な線量によって)合併症の確立が高くなる。正確に整形された陽子ビームを使用することによって、周囲の組織へと与えられる線量に対する治療対象の体積への線量の割合を、光子(X線)ビームで与えられる割合に比べて顕著に高めることができる。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明は、荷電粒子の供給源としてシンクロサイクロトロンを使用することで、可変のエネルギー・ビームに依存することを回避できる。さらに、本発明の装置の動作を、プログラマブル・プロセッサによって、所定の非一様な拡散ブラッグ・ピークを生成するように高原子番号および低原子番号の材料の運動のタイミングを調節することによって、連続的に可変な要領で制御することができる。
【0015】
標準的な臨床の場合のほかに、散乱および距離の変調について、眼の腫瘍または黄斑変性症の処置の場合など、より強度の高い小さなビームが必要とされる少なくとも1つの特別な場合が存在する。これらの特別な場合は、浅い貫入深さおよびきわめて小さい領域寸法を有し、処置時間が最少にされる。この場合には、領域の寸法がきわめて小さいため、第2の補償済みの散乱体は使用されない。本発明の第1の散乱体/距離変調装置は、この特別な場合への適用にとくに好都合である。
【0016】
本発明は、過去において使用された基本的な物理原理を使用し、それらを現代の制御システム技術および新規な幾何学と組み合わせることによって、対象部位体積により高度に適合できる線量分布を生み出すために、固定の散乱体/変調装置部品と同じ性能のみならず、時間において変調された固有に変化させることができるビーム形状をプログラム可能に届けることができる新規なビーム散乱/距離変調装置を生み出している。「高原子番号」材料および「低原子番号」材料を通過するビームの経路の長さを連続的かつ個別に変化させるという能力が、有限の数の固定の拡散ブラッグ・ピークにて治療用の放射線量を計画して投与しなければならないという問題を回避している。
【0017】
本発明の上記の目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点が、添付の図面に示される本発明の好ましい実施形態についての以下のさらに詳細な説明から、明らかになるであろう。添付の図面においては、種々の図の全体を通して、同様の参照符号は同じ部品を指し示している。図面は必ずしも比例尺ではなく、本発明の原理を説明するために強調されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、すべての荷電粒子ビームへと適用可能であるが、ここでの検討は、例示のための好都合な例として放射線治療用の陽子ビームを取り扱う。
【0019】
すでに述べたように、粒子加速器から発せられる陽子ビームが、ビームの経路に介装されたいくつかの装置および材料によって成形および変調される。
【0020】
本発明の1つの実施形態は、荷電粒子の散乱体/距離変調装置であり、いくつかの実施形態において、第1の散乱体として陽子ビーム放射線治療システムの一般的な実施に使用することが可能である。図3は、本発明の実施形態を取り入れている放射線治療装置である陽子治療システム100のブロック図である。システムのうちの本発明に関係する構成要素を説明するために、簡略化されている。粒子加速器のRF制御システム、真空装置、電源、などといった他のサブシステムは、分かりやすくするため省略されている。
【0021】
システム100への入力102は、典型的には、処置すべき対象部位領域の寸法および位置ならびに患者の外側輪郭である。対象部位体積のパラメータ102が、線量を対象部位体積に合わせて適切に届けるべく3次元の線量分布を処方するために、治療計画システム104によって使用される。治療計画システム104の出力が、陽子治療システム・コントローラ106へと伝えられ、陽子治療システム・コントローラ106が、治療を実行するために種々のサブシステムによって使用される一連のパラメータを生成する。これらのパラメータとしては、ブラッグ・ピークの遠位側の広がりおよび拡散ブラッグ・ピークの奥行き108、ならびにこれらのパラメータ108にもとづく総線量の関数としての高原子番号材料および低原子番号材料の経路長の計算結果110を挙げることができる。プログラマブル・第1の散乱体/距離変調装置112を有するサブシステムにとって重要なパラメータは、陽子ビームへと介装すべき高原子番号材料および低原子番号材料に関し、ビーム監視器114によって測定される総線量の関数としてのそれら高原子番号材料および低原子番号材料の経路長である。加速器116の出力が時間に対して一定であると知られているならば、経路長を時間に対してプログラムすることができる。この実施形態においては、ビーム監視器114からの直接の情報を使用することによって、加速器の出力が時間に関して一定でなければならないという制約を取り除いている。
【0022】
測定された総線量についての補正も含めて計算された経路長が、第1の散乱体/距離変調装置制御システム118によって、直線アクチュエータ122および123のための高原子番号および低原子番号位置決め指令120へと変換され、駆動部である直線アクチュエータ122および123が、それぞれ高原子番号および低原子番号材料の経路長124および125を変化させる。高原子番号材料および低原子番号材料は、固体であっても、液体であっても、気体であってもよい。液体材料が好ましい。好ましい実施形態においては、直線アクチュエータ122および123が、リニア・モータ/エンコーダである。エンコーダが実際の位置を測定し、システム内のサーボ・ループ(図7でさらに詳しく示される)が、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を厳密に制御することによって治療において安全を確保するとともに誤差を防止するよう、厳密な制御および誤差状態の検出を保証する。
【0023】
粒子加速器116(1つの実施形態においては、サイクロトロンである)によって生成されたビーム126が、ビーム監視器114によって監視され、本発明の第1の散乱体/距離変調装置112によって変調される。第1の散乱体112を通過した後、ビーム126は、図2に示したような第2の補償済み散乱体128を通過する。
【0024】
第2の散乱体128でのさらなる横方向の広がりおよびビームの調節の後、ビーム126は、距離補償用ボーラス130によってさらに整形され、最終のコンフォーマル(comformal)開口132によって横方向について整形された後で、患者136の体内の対象部位体積134に進入する。
【0025】
図3の第1の散乱体/距離変調装置112について選択肢となる2つの実施形態が、図4Aおよび4Bならびに図5Aおよび5Bに示されている散乱体/距離変調装置200および200’である。
【0026】
図4Aおよび5Aを参照すると、散乱体/距離変調装置200および200’は、2つの密封システムを有しており、すなわち水などの低原子番号の流体で満たされたシステム202と、液体状態の水銀などの高原子番号の流体で満たされたシステム204とを有している。流体に、高原子番号部において生成される中性子について遮蔽として機能できる低原子番号流体中のホウ素など、溶液中の他の元素を取り入れることも可能である。陽子ビーム(図示されていない)が、左方から右方へと軸208に沿って移動する。2つのシステム202および204は、直列に配置されている。高原子番号のシステム204または低原子番号のシステム202のどちらかを、陽子ビームの発生源に最も近く配置することができる。ここに示している実施形態においては、高原子番号のシステム204が加速器116(図3または図6を参照)の出力に最も近く配置されている。
【0027】
長期間にわたる流体の確実な密封をもたらすため、システム202および204は、それぞれ溶接金属ベローズズ212および214を備えている。ベローズ212および214が、延長可能な側壁を形成し、対向する壁216、218(システム202)および220、222(システム204)と協働して、粒子ビームの経路に配置された体積可変の流体容器を形成している。図4Aに示した装置200を参照すると、それぞれの容器の内部に、凹入する筒状延伸部224および226が存在している。図5Aに示した装置200’を参照すると、筒状延伸部224’および226’が同軸であって、筒状延伸部226’が筒状延伸部224’の内側に配置されている。図5Aに示した装置200’を参照すると、対向する壁216および222が、筒状延伸部226’の同じ部分の別個の表面である。側壁220が入口窓228を保持している。側壁218が出口窓230を保持している。入口窓228および出口窓230は、例えばステンレス鋼またはチタニウムで作られた耐放射線性の薄い箔で製作されている。箔は、ビームに実質的に影響を及ぼすことがないよう充分に薄い。
【0028】
図4Aに示した装置200を参照すると、窓228および230のものと同様の材料から作られた対放射線性の薄い隔膜232が、中央プレート234内の開口を横切って配置されている。図5Aに示した装置200’を参照すると、隔膜232’は、筒状延伸部226’の壁216および222を定めている部位の開口を横切って配置されている。隔膜232が、システム202および204の2つの流体を分離している。隔膜232および窓228、230の厚さについての小さな補正を、システムのモデル化の際に考慮に入れなければならない。
【0029】
図4Aに示した装置200を参照すると、ベローズ212および214の動作の際に、入口窓228および出口窓230が、分離隔膜232に接触可能である。同様に、図5Aに示した装置200’を参照すると、入口窓228および出口窓230が、分離隔膜232’に接触可能である。これにより、高原子番号材料の経路長または低原子番号材料の経路長を別個に、実質的にゼロになるように選択可能である。ベローズ212および214のさらなる圧縮を可能にすることで、ベローズ212および214が完全に圧縮される前に、入口窓228および出口窓230を分離隔膜232または232’に接触させることが可能になる。
【0030】
直線軸受レール240が、ベローズ212および214ならびに延伸部分226、226’および224、224’の運動を、粒子ビームの軸208と実質的に同一直線に制限している。
【0031】
図3に示したアクチュエータ122および123など、駆動部である1対のリニア・モータ/エンコーダが、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を変化させるために使用される。図4Aおよび5Aを参照すると、リニア・モータ/エンコーダが、固定子242および244をビームの軸208と実質的に平行に備えるとともに、固定子242、244に沿って移動するモータ/エンコーダ・キャリッジ246および248を備えている。転がり軸受252を使用して直線レール240に沿って移動する転がり軸受キャリッジ250が、モータ/エンコーダ・キャリッジ246および低原子番号材料ベローズ212へと取り付けられている。同様に、転がり軸受キャリッジ254が、モータ/エンコーダ・キャリッジ248および高原子番号材料ベローズ214へと取り付けられている。転がり軸受キャリッジ254は、転がり軸受256を使用して直線レール240に沿って移動する。モータ/エンコーダ・キャリッジ246および248の移動によって、ベローズ212および214に伸長または収縮が生じ、それぞれのベローズを満たしている高原子番号および低原子番号の流体の量が変化して、高原子番号材料および低原子番号材料の経路長が変化する。
【0032】
ベローズ内の流体は、実質的に非圧縮性である。したがって、この実施形態においてはやはり溶接金属ベローズで構成されるが、膨張容器一式が設けられる。図4Bおよび5Bを参照すると、膨張容器270および272が、ベローズ212および214に隣接している。膨張容器270および272は、中央プレート234の内部の通路274によって接続されている。いずれかの流体の経路長が制御システム118によって変化させられるとき、押し出された流体が、対応する膨張容器に収容される。被駆動のベローズ212および214ならびに膨張容器270および272が、時間とともに散乱放射線の近傍において劣化および漏れを生じがちである摺動すなわち磨耗するシールを持たない密封システムを構成している。この密封システムの信頼性は、ベローズ用として選択された材料の疲労特性から予測することができ、設計上の応力が材料の耐久限度を超えないようにすることで、実質的に無限大にすることができる。これは、病院の環境で水銀などの材料を使用する場合に重要である。
【0033】
図6を参照すると、図5Aに示すように装置200’の筒状延伸部224’および226’を入れ子にすることによって、散乱用の流体を、そのようでない装置200において可能であると考えられる要領とは別の要領で、例えば加速器116などといった粒子ビームの源へとより近付けて配置することができる。図6に示されているように、筒状延伸部224’および226’を、抽出チャンネル701へと挿入して、システム全体をより小型にすることが可能である。筒状延伸部224’および226’が、好ましくは磁気遮蔽されることに注意すべきである。このユニットの個々の構成要素の動作原理および機能については、図4Aおよび4Bに示した実施形態と同一である。
【0034】
再び図3を参照すると、制御システム118がアクチュエータのモータ122および123を駆動するとともに、隔膜232に対する入口窓228および出口窓230の位置および速度を精密に制御する(図4Aおよび5Aを参照)ため、モータ/エンコーダ・キャリッジ(図4Aおよび5Aの246および248)からの信号を受信する。これにより、粒子ビームの経路における高原子番号および低原子番号の材料の量を制御する。このようにして、所定の要領で粒子ビームの散乱角と散乱距離を制御する。高原子番号材料および低原子番号材料124および125の経路長、すなわちモータ・エンコーダ・キャリッジ(図4Aおよび5Aの246および248)の位置は、ビーム監視器114によって測定される総線量または総放射線の関数でもある。したがって、1つの実施形態において、本発明は図7に示すフィードバック制御ループ300を備えている。
【0035】
図7を参照すると、届けられる放射線の総線量が、ビーム監視器114による測定結果にもとづき、ステップ302において計算される。この総線量にもとづき、第1の散乱体/距離変調装置制御システム118が、ステップ120aおよび120bのそれぞれにおいて高原子番号材料および低原子番号材料の位置指令を生成する。これらの指令が、直線アクチュエータ/モータ(図3の122および123)へと伝えられ、直線アクチュエータ/モータが、高原子番号材料および低原子番号材料のモータ・キャリッジ/エンコーダ(図4Aおよび5Aの246および248)の位置を変化させる。ステップ304aおよび304bにおいて、エンコーダが、キャリッジの実際の位置を測定し、このデータを第1の散乱体/距離変調装置制御部118へと伝達する。このようにして、フィードバック制御ループ300が、高原子番号システム204における入口窓228と隔膜232との間の距離および低原子番号システム202における隔膜232と出口窓230との間の距離(図4Aおよび5Aを参照)を、出力されたビーム強度に応答して、連続的に、動的に(すなわち、リアルタイムに)、かつ個別に調節するために使用される。したがって、低原子番号材料および高原子番号材料の経路長が、ビームの強度に応じて、連続的に、リアルタイムに、かつ個別に調節可能である。
【0036】
以上、本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照しつつ詳しく示して説明したが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の技術的範囲から離れることなく、形態および細部においてさまざまな変更が可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1A】陽子ビームによって届けられて集積される放射線量を貫入深さの関数として示した代表的な図である。貫入距離の遠位側の部分に位置するピークが、ブラッグ・ピークである。
【図1B】適合した放射線量を届けるために望まれる「拡散」ブラッグ・ピークを示す図である。
【図1C】貫入距離が変調されている陽子ビームによって生成された複数のブラッグ・ピークの重ね合わせの結果を示す図である。
【図2】高原子番号材料および低原子番号材料で構成され、これらの材料がこれらの材料の散乱特性および吸収特性を整合させる形状を備えている補償済みの第2の散乱体の断面図である。
【図3】本発明の装置および方法を使用する放射線治療システムのブロック図である。
【図4A】本発明の荷電粒子散乱体/距離変調装置の好ましい実施形態の(部分切断の)側面図である。
【図4B】図4Aの装置の端面図である。
【図5A】本発明の荷電粒子散乱体/距離変調装置の好ましい実施形態の変形例の(部分切断の)側面図である。
【図5B】図6Aの装置の端面図である。
【図6】図5Aに示した実施形態について、粒子加速器と組み合わせた場合の好都合な配置を示した平面図である、
【図7】本発明の方法の好ましい実施形態によって使用されるフィードバック制御ループを説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
100 陽子治療システム 放射線治療装置
106 陽子治療システム・コントローラ
112 第1の散乱体/距離変調装置
114 ビーム監視器
116 粒子加速器 サイクロトロン シンクロサイクロトロン
124 高原子番号材料の経路長
125 低原子番号材料の経路長
126 荷電粒子ビーム
200 散乱体/距離変調装置
200’ 散乱体/距離変調装置
202 低原子番号流体が満たされている容器 第2の容器
204 高原子番号流体が満たされている容器 第1の容器
701 抽出チャンネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置であって、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項2】
請求項1において、前記高原子番号および低原子番号材料が液体である散乱体/変調装置。
【請求項3】
請求項1において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である散乱体/変調装置。
【請求項4】
請求項1において、前記荷電粒子が陽子である散乱体/変調装置。
【請求項5】
荷電粒子ビームをもたらす荷電粒子の供給源と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を備えている荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項6】
請求項5において、前記高原子番号および低原子番号材料が液体である放射線治療装置。
【請求項7】
請求項5において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項8】
請求項5において、荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項9】
請求項5において、前記供給源がサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項10】
請求項9において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項11】
請求項5において、粒子ビームの強度を測定してビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、総ビーム強度に応じて前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項12】
請求項11において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項13】
荷電粒子ビームの散乱および/または距離の変調を行う方法であって、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って導くステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項14】
請求項13において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項15】
請求項13において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節する方法。
【請求項16】
請求項13において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項17】
請求項13において、
粒子ビームの強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項18】
請求項17において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する方法。
【請求項19】
荷電粒子ビームを患者の体内の対象部位へと導くことによって患者を処置する方法であって、
前記荷電粒子ビームを生成するステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って導くステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項20】
請求項19において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項21】
請求項19において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節する方法。
【請求項22】
請求項19において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項23】
請求項19において、前記荷電粒子ビームがサイクロトロンによって生成される方法。
【請求項24】
請求項23において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである方法。
【請求項25】
請求項19において、
ビーム強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項26】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置であって、
前記粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、
前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項27】
請求項26において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離が連続的に調節可能である散乱体/距離変調装置。
【請求項28】
請求項27において、前記粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項29】
請求項28において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である散乱体/距離変調装置。
【請求項30】
請求項29において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる散乱体/距離変調装置。
【請求項31】
請求項26において、前記荷電粒子が陽子である散乱体/距離変調装置。
【請求項32】
荷電粒子ビームを供給する荷電粒子の供給源と、
粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を備えている前記荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項33】
請求項32において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離が連続的に調節可能である装置。
【請求項34】
請求項33において、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している放射線治療装置。
【請求項35】
請求項34において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項36】
請求項35において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる放射線治療装置。
【請求項37】
請求項35において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項38】
請求項37において、前記供給源がサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項39】
請求項38において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項40】
請求項35において、粒子ビームの強度を測定するためのビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項41】
請求項40において、前記プログラマブル・コントローラが、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項42】
荷電粒子ビームを患者の体内の対象部位へと導くことによって患者を処置する方法であって、
前記荷電粒子ビームを生成するステップと、
粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、プログラマブル・コントローラの制御のもとで前記流体容器の対向する壁間の距離を調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項43】
請求項42において、前記荷電粒子ビームが、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を通って導かれる方法。
【請求項44】
請求項43において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的に調節するステップをさらに含んでいる方法。
【請求項45】
請求項44において、
ビーム強度を測定するステップ、および
ビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するステップ、
をさらに含んでおり、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する方法。
【請求項46】
請求項45において、前記第1の流体容器が高原子番号材料を含んでおり、前記第2の流体容器が低原子番号材料を含んでいる方法。
【請求項47】
請求項42において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項48】
請求項42において、前記荷電粒子ビームがサイクロトロンによって生成される方法。
【請求項49】
請求項48において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである方法。
【請求項50】
荷電粒子ビームを供給するシンクロサイクロトロンと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネル内に配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネル内に配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を備えた荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項51】
請求項50において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である放射線治療装置。
【請求項52】
請求項50において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項53】
請求項50において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項54】
請求項50において、粒子ビームの強度を測定してビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、総ビーム強度に応じて前記低原子番号材料および前記高原子番号材料の経路長を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項55】
請求項54において、前記プログラマブル・コントローラが、低原子番号前記および高原子番号前記の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項56】
荷電粒子ビームの散乱および/または距離の変調を行う方法であって、
シンクロサイクロトロンにて粒子ビームを生成するステップと、
シンクロサイクロトロンの抽出チャネルに配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネルに配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項57】
請求項56において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項58】
請求項56において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節可能である方法。
【請求項59】
請求項56において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項60】
請求項56において、粒子ビームの強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項61】
請求項60において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する方法。
【請求項62】
荷電粒子ビームを供給するシンクロサイクロトロンと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャンネル内に配置され、粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、
前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を備えた荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項63】
請求項62において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離を連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項64】
請求項63において、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している放射線治療装置。
【請求項65】
請求項64において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項66】
請求項65において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる放射線治療装置。
【請求項67】
請求項65において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置、
【請求項68】
請求項65において、粒子ビームの強度を測定するためのビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項69】
請求項68において、前記プログラマブル・コントローラが、前記第1の容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項1】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置であって、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項2】
請求項1において、前記高原子番号および低原子番号材料が液体である散乱体/変調装置。
【請求項3】
請求項1において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である散乱体/変調装置。
【請求項4】
請求項1において、前記荷電粒子が陽子である散乱体/変調装置。
【請求項5】
荷電粒子ビームをもたらす荷電粒子の供給源と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を備えている荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項6】
請求項5において、前記高原子番号および低原子番号材料が液体である放射線治療装置。
【請求項7】
請求項5において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項8】
請求項5において、荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項9】
請求項5において、前記供給源がサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項10】
請求項9において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項11】
請求項5において、粒子ビームの強度を測定してビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、総ビーム強度に応じて前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項12】
請求項11において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項13】
荷電粒子ビームの散乱および/または距離の変調を行う方法であって、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って導くステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項14】
請求項13において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項15】
請求項13において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節する方法。
【請求項16】
請求項13において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項17】
請求項13において、
粒子ビームの強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項18】
請求項17において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する方法。
【請求項19】
荷電粒子ビームを患者の体内の対象部位へと導くことによって患者を処置する方法であって、
前記荷電粒子ビームを生成するステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って導くステップと、
前記荷電粒子ビームを、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項20】
請求項19において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項21】
請求項19において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節する方法。
【請求項22】
請求項19において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項23】
請求項19において、前記荷電粒子ビームがサイクロトロンによって生成される方法。
【請求項24】
請求項23において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである方法。
【請求項25】
請求項19において、
ビーム強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項26】
荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置であって、
前記粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、
前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項27】
請求項26において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離が連続的に調節可能である散乱体/距離変調装置。
【請求項28】
請求項27において、前記粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している散乱体/距離変調装置。
【請求項29】
請求項28において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である散乱体/距離変調装置。
【請求項30】
請求項29において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる散乱体/距離変調装置。
【請求項31】
請求項26において、前記荷電粒子が陽子である散乱体/距離変調装置。
【請求項32】
荷電粒子ビームを供給する荷電粒子の供給源と、
粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を備えている前記荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項33】
請求項32において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離が連続的に調節可能である装置。
【請求項34】
請求項33において、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している放射線治療装置。
【請求項35】
請求項34において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項36】
請求項35において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる放射線治療装置。
【請求項37】
請求項35において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項38】
請求項37において、前記供給源がサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項39】
請求項38において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである放射線治療装置。
【請求項40】
請求項35において、粒子ビームの強度を測定するためのビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項41】
請求項40において、前記プログラマブル・コントローラが、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項42】
荷電粒子ビームを患者の体内の対象部位へと導くことによって患者を処置する方法であって、
前記荷電粒子ビームを生成するステップと、
粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、プログラマブル・コントローラの制御のもとで前記流体容器の対向する壁間の距離を調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項43】
請求項42において、前記荷電粒子ビームが、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を通って導かれる方法。
【請求項44】
請求項43において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的に調節するステップをさらに含んでいる方法。
【請求項45】
請求項44において、
ビーム強度を測定するステップ、および
ビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するステップ、
をさらに含んでおり、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する方法。
【請求項46】
請求項45において、前記第1の流体容器が高原子番号材料を含んでおり、前記第2の流体容器が低原子番号材料を含んでいる方法。
【請求項47】
請求項42において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項48】
請求項42において、前記荷電粒子ビームがサイクロトロンによって生成される方法。
【請求項49】
請求項48において、前記サイクロトロンがシンクロサイクロトロンである方法。
【請求項50】
荷電粒子ビームを供給するシンクロサイクロトロンと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネル内に配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料と、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネル内に配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料と、
対象部位のビームへの暴露の最中に高原子番号および低原子番号の経路長を個別に調節するプログラマブル・コントローラと、
を備えた荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項51】
請求項50において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である放射線治療装置。
【請求項52】
請求項50において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項53】
請求項50において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置。
【請求項54】
請求項50において、粒子ビームの強度を測定してビーム強度を前記プログラマブル・コントローラへと通信するビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、総ビーム強度に応じて前記低原子番号材料および前記高原子番号材料の経路長を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項55】
請求項54において、前記プログラマブル・コントローラが、低原子番号前記および高原子番号前記の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【請求項56】
荷電粒子ビームの散乱および/または距離の変調を行う方法であって、
シンクロサイクロトロンにて粒子ビームを生成するステップと、
シンクロサイクロトロンの抽出チャネルに配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している高原子番号材料を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャネルに配置され、調節可能な経路長を粒子ビームの経路内に有している低原子番号材料を通って、前記荷電粒子ビームを導くステップと、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記高原子番号材料および低原子番号材料の経路長を個別に、プログラマブル・コントローラによる制御のもとで調節するステップと、
を含んでいる方法。
【請求項57】
請求項56において、前記高原子番号材料および低原子番号材料が液体である方法。
【請求項58】
請求項56において、前記低原子番号材料の経路長および前記高原子番号材料の経路長を個別に、連続的に調節可能である方法。
【請求項59】
請求項56において、前記荷電粒子が陽子である方法。
【請求項60】
請求項56において、粒子ビームの強度を測定するステップと、
ビーム強度に応じて、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、前記プログラマブル・コントローラによって調節するステップと、
をさらに含んでいる方法。
【請求項61】
請求項60において、前記プログラマブル・コントローラが、前記低原子番号材料および高原子番号材料の経路長を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する方法。
【請求項62】
荷電粒子ビームを供給するシンクロサイクロトロンと、
前記シンクロサイクロトロンの抽出チャンネル内に配置され、粒子ビームの経路内に対向する壁を有している流体容器と、
前記流体容器の前記壁間の距離を調節するための駆動部と、
対象部位のビームへの暴露の最中に、前記容器の前記壁間の距離を調節するための前記駆動部のためのプログラマブル・コントローラと、
を備えた荷電粒子ビームの散乱体/距離変調装置を有している放射線治療装置。
【請求項63】
請求項62において、前記流体容器の前記対向する壁間の距離を連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項64】
請求項63において、粒子ビームの経路内に直列に配置された第1および第2の流体容器を有している放射線治療装置。
【請求項65】
請求項64において、前記第1の流体容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の流体容器の前記対向する壁間の距離が個別に、連続的に調節可能である放射線治療装置。
【請求項66】
請求項65において、前記第1の流体容器内の高原子番号材料および前記第2の流体容器内の低原子番号材料をさらに含んでいる放射線治療装置。
【請求項67】
請求項65において、前記荷電粒子が陽子である放射線治療装置、
【請求項68】
請求項65において、粒子ビームの強度を測定するためのビーム監視器をさらに備えており、
前記プログラマブル・コントローラが、ビーム強度に応じて、前記第1の容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の容器の前記対向する壁間の距離を個別に調節する放射線治療装置。
【請求項69】
請求項68において、前記プログラマブル・コントローラが、前記第1の容器の前記対向する壁間の距離および前記第2の容器の前記対向する壁間の距離を個別に、連続的かつリアルタイムに調節する放射線治療装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2008−507358(P2008−507358A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522770(P2007−522770)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/025942
【国際公開番号】WO2006/012452
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507020141)スティル・リバー・システムズ・インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】STILL RIVER SYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/025942
【国際公開番号】WO2006/012452
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507020141)スティル・リバー・システムズ・インコーポレーテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】STILL RIVER SYSTEMS,INC.
【Fターム(参考)】
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