説明

放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステム

【課題】照準中心に対する可視光ビームの位置調整を、保守作業者によらず自動的に実行することができる放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステムを提供する。
【解決手段】照射中心Cを挟んで対向配置されたポインタ2L,2Rがそれぞれ、照射中心を狙ってビームBL,BRを投光する投光部3L,3Rと、対向相手からのビームの受光位置に応じた検出信号DL,DRを生成する受光部4L,4Rと、狙い通りに照射中心を通過した対向相手からのビームを受光した受光部が生成すべき検出信号の値を基準値SL,SRとして予め格納した制御部7L,7Rであって、基準値と受光部が生成した検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、対向相手の投光角度を補正する補正信号CL,CRを生成するものと、補正信号を対向相手と伝達しあうための送信部8L,8Rおよび受信部9L,9Rと、受信した補正信号に応じて、投光角度を補正するアクチュエータ10L,10Rと、を含むシステムとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射対象を放射線の照射中心に位置決めする際に、その照射中心を標示する光ビームポインティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リニアック(Linear Accelerator)等の放射線治療装置により、放射線を複数回にわたって患者の病巣に照射し、正常細胞を維持しつつ、がん細胞等の異常細胞を破壊して治療する放射線治療が行なわれている。
【0003】
その放射線治療に先立っては、CT撮影等の画像診断に基づいて、体内の病巣の位置を確認し、放射線をあてる標的の大きさや範囲が決定される。その決定後、放射線照射位置を毎回確認しなくても済むように、患者の皮膚に、照射線照射位置を示すためのマークが付けられる。このマークは、通常、インクペン等により、患者の正面と左右両側面の計3箇所に対して付けられる。
【0004】
放射線治療室内には、例えば特許文献1の図13に示されるように、放射線治療装置と、放射線治療装置の近傍であって、ベッド91上に載置された患者Mの正面および両側面に対向配置された3つの光ビームポインタ93,94,95とが備え付けられる。光ビームポインタ93,94,95はそれぞれ、放射線治療装置の照射中心(照準中心)を通る可視光ビームを投光し、照射中心を標示する。
【0005】
患者は、光ビームポインタによって標示された照射中心が、放射線照射位置に合うように、つまり患者の皮膚に付けられた3箇所のマークに各光ビームポインタからの可視光ビームがあたるように、位置決めされる。
【特許文献1】特開2006−122452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光ビームポインタからの可視光ビームは、上述したように、放射線治療装置の照射中心を通るように設定されている。しかしながら、設備の経年変化や雰囲気条件の変化等の要因により、光ビームポインタからの可視光ビームが照射中心を外れてしまう場合があった。その場合、保守作業者は、光ビームポインタの投光角度をその都度調整しなければならず、煩雑な作業を強いられていた。
【0007】
また、上記調整は非常に微妙なものであるため、保守作業者によってばらついてしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、照準中心に対する可視光ビームの位置調整を、保守作業者によらず自動的に実行することができる放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、(1)照射対象を放射線の照射中心に位置決めする際にその照射中心を標示する光ビームポインティングシステムであって、前記照射中心を挟んで互いに対向するように配置された第1および第2の光ビームポインタを備えていて、前記第1の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第1の可視光ビームを投光する第1の投光部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第2の可視光ビームを投光する第2の投光部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第2の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第1の検出信号を生成する第1の受光部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第1の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第2の検出信号を生成する第2の受光部を備え、前記第1の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過してきた前記第2の可視光ビームを受光した前記第1の受光部が生成すべき前記第1の検出信号の値を、第1の基準値として予め格納した第1の制御部であって、当該第1の基準値と前記第1の受光部が実際に生成した前記第1の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第2の投光部の投光角度を補正するための第1の投光角度補正信号を生成するものを備え、前記第2の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過してきた前記第1の可視光ビームを受光した前記第2の受光部が生成すべき前記第2の検出信号の値を、第2の基準値として予め格納した第2の制御部であって、当該第2の基準値と前記第2の受光部が実際に生成した前記第2の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第1の投光部の投光角度を補正するための第2の投光角度補正信号を生成するものを備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第1の投光角度補正信号を前記第2の光ビームポインタに対して送信する第1の送信部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第2の投光角度補正信号を前記第1の光ビームポインタに対して送信する第2の送信部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第2の送信部から前記第2の投光角度補正信号を受信する第1の受信部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第1の送信部から前記第1の投光角度補正信号を受信する第2の受信部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第1の受信部が受信した前記第2の投光角度補正信号に応じて、前記第1の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第1の投光部の投光角度を補正する第1のアクチュエータを備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第2の受信部が受信した前記第1の投光角度補正信号に応じて、前記第2の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第2の投光部の投光角度を補正する第2のアクチュエータを備えている、ことを特徴とする放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記構成において、(2)前記第1の光ビームポインタは、第1のインタフェイス部をさらに備えていて、前記第1の制御部は、前記第1のインタフェイス部がユーザによる第1の基準値設定操作を受けたとき、前記第1の受光部が生成していた前記第1の検出信号を前記第1の基準値として格納するようになっており、前記第2の光ビームポインタは、第2のインタフェイス部をさらに備えていて、前記第2の制御部は、前記第2のインタフェイス部がユーザによる第2の基準値設定操作を受けたとき、前記第2の受光部が生成していた前記第2の検出信号を前記第2の基準値として格納するようになっている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0011】
また、本発明は、(3)照射対象を放射線の照射中心に位置決めする際にその照射中心を標示する光ビームポインティングシステムであって、前記照射中心を挟んで互いに対向するように配置された第1および第2の光ビームポインタを備えていて、前記第1の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第1の可視光ビームを投光する第1の投光部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第2の可視光ビームを投光する第2の投光部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第2の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第1の検出信号を生成する第1の受光部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第1の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第2の検出信号を生成する第2の受光部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第1の検出信号を前記第2の光ビームポインタに対して送信する第1の送信部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第2の検出信号を前記第1の光ビームポインタに対して送信する第2の送信部を備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第2の送信部から前記第2の検出信号を受信する第1の受信部を備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第1の送信部から前記第1の検出信号を受信する第2の受信部を備え、前記第1の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過した前記第1の可視光ビームを受光した前記第2の受光部が生成すべき前記第2の検出信号の値を、第2の基準値として予め格納した第1の制御部であって、当該第2の基準値と前記第1の受信部が受信した前記第2の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第1の投光部の投光角度を補正するための第2の投光角度補正信号を生成するものを備え、前記第2の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過した前記第2の可視光ビームを受光した前記第1の受光部が生成すべき前記第1の検出信号の値を、第1の基準値として予め格納した第2の制御部であって、当該第1の基準値と前記第2の受信部が受信した前記第1の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第2の投光部の投光角度を補正するための第1の投光角度補正信号を生成するものを備え、前記第1の光ビームポインタは、前記第2の投光角度補正信号に応じて、前記第1の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第1の投光部の投光角度を補正する第1のアクチュエータを備え、前記第2の光ビームポインタは、前記第1の投光角度補正信号に応じて、前記第2の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第2の投光部の投光角度を補正する第2のアクチュエータを備えている、ことを特徴とする放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記構成(3)において、(4)前記第1の光ビームポインタは、第1のインタフェイス部をさらに備えていて、前記第1の制御部は、前記第1のインタフェイス部がユーザによる第1の基準値設定操作を受けたとき、前記第1の送信部を介し、前記第2の受信部に対して第1の指示信号を送信し、前記第2の制御部は、前記第2の受信部を介して前記第1の指示信号を受けたとき、前記第2の受信部が受信していた前記第1の検出信号を、前記第1の基準値として格納するようになっており、前記第2の光ビームポインタは、第2のインタフェイス部をさらに備えていて、前記第2の制御部は、前記第2のインタフェイス部がユーザによる第2の基準値設定操作を受けたとき、前記第2の送信部を介し、前記第1の受信部に対して第2の指示信号を送信し、前記第1の制御部は、前記第1の受信部を介して前記第2の指示信号を受けたとき、前記第1の受信部が受信していた前記第2の検出信号を、前記第2の基準値として格納するようになっている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記構成(1)〜(4)のいずれかにおいて、(5)前記第1の投光部は、鉛直方向に広がる第1の鉛直ビームと水平方向に広がる第1の水平ビームとからなる十字状の前記第1の可視光ビームを投光するようになっており、前記第2の投光部は、鉛直方向に広がる第2の鉛直ビームと水平方向に広がる第2の水平ビームとからなる十字状の前記第2の可視光ビームを投光するようになっており、前記第1の受光部は2つの第1の受光器からなり、一方の前記第1の受光器が前記第2の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第1の受光器が前記第2の水平ビームを受光するようになっており、前記第2の受光部は2つの第2の受光器からなり、一方の前記第2の受光器が前記第1の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第2の受光器が前記第1の水平ビームを受光するようになっている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記構成(1)〜(5)のいずれかにおいて、(6)前記第1の送信部と前記第2の受信部との間における各信号の送受信、ならびに/あるいは、前記第2の送信部と前記第1の受信部との間における各信号の送受信は、無線式で実行されることを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記構成(1)〜(6)のいずれかにおいて、(7)前記照射中心の上方に配置された第3の光ビームポインタと、当該第3の光ビームポインタの側方に配置された光ビーム監視装置とをさらに備えていて、前記第3の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第3の可視光ビームを投光する第3の投光部と、前記第3の可視光ビームから、前記光ビーム監視装置に向かう分割光ビームを生成するビームスプリッタとを備え、前記光ビーム監視装置は、前記分割光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第3の検出信号を生成する第3の受光部と、前記第3の可視光ビームが狙い通りに前記照射中心を通過したときの前記分割光ビームを受光した前記第3の受光部が生成すべき前記第3の検出信号の値を、第3の基準値として予め格納した第3の制御部であって、当該第3の基準値と前記第3の受光部が実際に生成した前記第3の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第3の投光部の投光角度を補正するための第3の投光角度補正信号を生成する第3の制御部と、前記第3の投光角度補正信号を前記第3の光ビームポインタに対して送信する第3の送信部とを備え、前記第3の光ビームポインタは、前記第3の送信部から前記第3の投光角度補正信号を受信する第3の受信部と、前記第3の受信部が受信した前記第3の投光角度補正信号に応じて、前記第3の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第3の投光部の投光角度を補正する第3のアクチュエータとを備えている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0016】
また、本発明は、上記構成(7)において、(8)前記光ビーム監視装置は、第3のインタフェイス部をさらに備えていて、前記第3の制御部は、前記第3のインタフェイス部がユーザによる第3の基準値設定操作を受けたとき、前記第3の受光部が生成していた前記第3の検出信号を前記第3の基準値として格納するようになっていることを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0017】
また、本発明は、上記構成(1)〜(6)のいずれかにおいて、(9)前記照射中心の上方に配置された第3の光ビームポインタと、当該第3の光ビームポインタの側方に配置された光ビーム監視装置とをさらに備えていて、前記第3の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第3の可視光ビームを投光する第3の投光部と、前記第3の可視光ビームから、前記光ビーム監視装置に向かう分割光ビームを生成するビームスプリッタとを備え、前記光ビーム監視装置は、前記分割光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第3の検出信号を生成する第3の受光部と、前記第3の検出信号を前記第3の光ビームポインタに対して送信する第3の送信部とを備え、前記第3の光ビームポインタは、前記第3の送信部から前記第3の検出信号を受信する第3の受信部と、前記第3の可視光ビームが狙い通りに前記照射中心を通過したときの前記分割光ビームを受光した前記第3の受光部が生成すべき前記第3の検出信号の値を、第3の基準値として予め格納した第3の制御部であって、当該第3の基準値と前記第3の受信部が受信した前記第3の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第3の投光部の投光角度を補正するための第3の投光角度補正信号を生成する第3の制御部と、前記第3の投光角度補正信号に応じて、前記第3の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第3の投光部の投光角度を補正する第3のアクチュエータとを備えている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0018】
また、本発明は、上記構成(9)において、(10)前記光ビーム監視装置は、第3のインタフェイス部と、少なくとも当該第3のインタフェイス部と前記第3の送信部とに電気的に接続された第4の制御部と、をさらに備えていて、前記第4の制御部は、前記第3のインタフェイス部がユーザによる第3の基準値設定操作を受けたとき、前記第3の送信部を介し、前記第3の受信部に対して第3の指示信号を送信し、前記第3の制御部は、前記第3の受信部を介して前記第3の指示信号を受けたとき、前記第3の受信部が受信していた前記第3の検出信号を、前記第3の基準値として格納するようになっている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0019】
また、本発明は、上記構成(7)〜(10)のいずれかにおいて、(11)前記第3の投光部は、前記第1の光ビームポインタと前記第2の光ビームポインタとを結ぶ方向に沿って広がる横ビームと、当該横ビームに直交する方向に広がる縦ビームとからなる十字状であって、鉛直方向にのびる前記第3の可視光ビームを投光するようになっており、前記縦ビームは、前記ビームスプリッタによって生成された前記分割光ビームにおいて、水平方向に広がる第3の水平ビームに変換され、前記横ビームは、前記ビームスプリッタによって生成された前記分割光ビームにおいて、鉛直方向に広がる第3の鉛直ビームに変換され、前記第3の光ビームポインティングシステムは、前記第3の水平ビームの広がり方向を90°回転させて、前記第3の水平ビームを鉛直方向に広がる第4の鉛直ビームに変える90°回転光学素子をさらに備えており、前記第3の受光部は2つの第3の受光器からなり、一方の前記第3の受光器が前記第3の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第3の受光器が前記第4の鉛直ビームを受光するようになっている、ことを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【0020】
また、本発明は、上記構成(7)〜(11)のいずれかにおいて、(12)前記第3の送信部と前記第3の受信部との間における各信号の送受信は、無線式で実行されることを特徴とする光ビームポインティングシステムを提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
上記のように構成された光ビームポインティングシステムは、各可視光ビームが投光されている間常に、各可視光ビームの投光角度が自動的に補正される。それゆえ、本発明にかかる光ビームポインティングシステムによれば、放射線治療装置からの放射線の照射中心を常に正確に標示することができる。また、各可視光ビームの投光角度を保守作業者が都度調整する必要がない。また、保守作業者による投光角度の調整ばらつきを招くこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい一実施形態につき説明する。
図1は本発明にかかる光ビームポインティングシステムが適用された放射線治療装置を示す斜視図、図2は図1の光ビームポインティングシステムから投光される可視光ビームを示す概略斜視図、図3および図4は図1の光ビームポインティングシステムを構成する光ビームポインタを示す模式図、図5は図1の光ビームポインティングシステムを構成する光ビーム監視装置を示す模式図、図6は図1の光ビームポインティングシステムにおける基準値格納手順を説明するための模式図、図7および図8は図1の光ビームポインティングシステムの動作を説明するための模式図である。
【0023】
図1に示すように、本発明にかかる光ビームポインティングシステム1は、放射線治療装置Rからの放射線RRの照射中心Cの側方に配置された左側光ビームポインタ(第1の光ビームポインタ)2Lおよび右側光ビームポインタ(第2の光ビームポインタ)2Rと、照射中心Cの上方に配置された上側光ビームポインタ(第3の光ビームポインタ)2Uと、上側光ビームポインタ2Uの側方に配置された光ビーム監視装置2Mと、から構成されている。
【0024】
各光ビームポインタ2L,2R,2Uはそれぞれ、図1および図2に示す如く、照射中心Cを狙った可視光ビームBL(第1の可視光ビーム),BR(第2の可視光ビーム),BU(第3の可視光ビーム)を投光する。左側光ビームポインタ2Lと右側光ビームポインタ2Rとは、互いに対向するように配置されており、後述するように対向する相手側からの可視光ビームBL,BRを受光する。上側光ビームポインタ2Uは、後述するようにビームスプリッタ12を備えており、投光した可視光ビームBUが分割される(図4および図8参照)。その結果、後述する光ビーム監視装置2Mの受光部4Mに向かう分割光ビームBU’が生成される。
【0025】
ここで、放射線治療装置Rは、リニアック等である。また、放射線治療装置Rがアイソセントリック型である場合、照射中心Cはアイソセンタとされる。
【0026】
[左側光ビームポインタの構成]
まず、左側光ビームポインタ2Lの構成について説明する。
左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、可視光ビームBLを投光する投光部3L(第1の投光部)と、右側光ビームポインタ2Rからの可視光ビームBRを受光する受光部4L(第1の受光部)とを備えている。
【0027】
投光部3Lは、レーザ等の可視光ビームBLを投光する。投光部3Lは、鉛直方向に広がる鉛直ビームVL(第1の鉛直ビーム)と、水平方向に広がる水平ビームHL(第1の水平ビーム)とをそれぞれ投光し、可視光ビームBLを十字状に形成する。
【0028】
受光部4Lは、受光器(第1の受光器)5L,6Lからなり、それぞれPSD受光器、CCD受光器またはCMOS受光器等により構成されている。受光器5Lは、後述する可視光ビームBRにおける鉛直ビームVR(第2の鉛直ビーム)の受光位置に応じた検出信号(第1の検出信号)DL1を生成する。同様に、受光器6Lは、後述する可視光ビームBRにおける水平ビームHR(第2の水平ビーム)の受光位置に応じた検出信号(第1の検出信号)DL2を生成する。
【0029】
また、左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、受光器5L,6Lからの検出信号DL1,DL2を受信する制御部(第1の制御部)7Lを備えている。
【0030】
制御部7Lは、受光器5L,6Lからの検出信号DL1,DL2に対する基準値(第1の基準値)SL1,SL2を格納している。基準値SL1,SL2は、受光器5L,6Lが、右側光ビームポインタ2Rから投光されて狙い通りに放射線治療装置Rの照射中心Cを通過してきた鉛直ビームVRおよび水平ビームHRを受光したとき、生成すべき検出信号DL1,DL2の値とされる。つまり、後述するように、正常に照射中心Cを通過してきた鉛直ビームVRおよび水平ビームHRを予め受光器5L,6Lに受光させておき、そのときの検出信号DL1,DL2を基準値SL1,SL2として制御部7Lに格納しておく。
【0031】
また、制御部7Lは、受光器5L,6Lから受信した検出信号DL1,DL2と、予め格納された基準値SL1,SL2とを比較する。制御部7Lは、比較の結果、検出信号DL1,DL2と基準値SL1,SL2との差が予め定められた許容範囲外にあるとき、後述する右側光ビームポインタ2Rにおける投光部3R(第2の投光部)の投光角度を補正するための投光角度補正信号(第1の投光角度補正信号)CLを生成する。
【0032】
また、左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、制御部7Lから投光角度補正信号CLを受信して、右側光ビームポインタ2Rへ送信する送信部(第1の送信部)8Lを備えている。
【0033】
送信部8Lは、制御部7Lから受信した投光角度補正信号CLを、後述する右側光ビームポインタ2Rにおける受信部(第2の受信部)9Rに対して送信する。このとき、送信部8Lは、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CLを受信部9Rに送信する。
【0034】
また、左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、後述する右側光ビームポインタ2Rにおける送信部(第2の送信部)8Rから、投光角度補正信号(第2の投光角度補正信号)CRを受信する受信部9L(第1の受信部)を備えている。
【0035】
受信部9Lは、右側光ビームポインタ2Rの送信部8Rから、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CRを受信するようになっている。
【0036】
また、左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、受信部9Lが受信した投光角度補正信号CRに応じて、投光部3Lの投光角度を補正するアクチュエータ(第1のアクチュエータ)10Lを備えている。
【0037】
アクチュエータ10Lは、投光部3Lに機械的に接続されており、制御部7Lが受信部9Lから受信した投光角度補正信号CRに基づいて、投光部3Lの傾きを変化させ、投光部3Lの投光角度を補正する。ここで、アクチュエータ10Lは、可視光ビームBLを構成する鉛直ビームVLの投光角度と、水平ビームHLの投光角度とをそれぞれ補正することができる。したがって、当該補正後、投光部3Lは、放射線治療装置Rの照射中心Cを正常に通過する鉛直ビームVLおよび水平ビームHLを投光するようになる。
【0038】
また、左側光ビームポインタ2Lは、図3Aに示す如く、ユーザによる操作を受けるインタフェイス部11Lを備えている。
【0039】
インタフェイス部11Lは、ユーザによる各種操作を受けて、各種操作信号OPを生成する。制御部7Lは、インタフェイス部11Lから受信した各種操作信号OPに応じて、投光部3Lからの投光を開始する等各部を制御したり、各部の設定を変更したりする。例えば、ユーザによる基準値設定操作(第1の基準値設定操作)を受けたとき、インタフェイス部11Lは、基準値の格納に関する操作信号OPを生成する。操作信号OPを受信した制御部7Lは、そのとき受信していた受光器5L,6Lからの検出信号DL1,DL2を、基準値SL1,SL2として格納する。
【0040】
[右側光ビームポインタの構成]
次に、右側光ビームポインタ2Rの構成について説明する。
右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、可視光ビームBRを投光する投光部3Rと、左側光ビームポインタ2Lからの可視光ビームBLを受光する受光部4R(第2の受光部)とを備えている。
【0041】
投光部3Rは、レーザ等の可視光ビームBRを投光する。投光部3Rは、鉛直方向に広がる鉛直ビームVRと、水平方向に広がる水平ビームHRとをそれぞれ投光し、可視光ビームBRを十字状に形成する。
【0042】
受光部4Rは、受光器(第2の受光器)5R,6Rからなり、それぞれPSD受光器、CCD受光器またはCMOS受光器等により構成されている。受光器5Rは、可視光ビームBLにおける鉛直ビームVLの受光位置に応じた検出信号(第2の検出信号)DR1を生成する。同様に、受光器6Rは、可視光ビームBLにおける水平ビームHLの受光位置に応じた検出信号(第2の検出信号)DR2を生成する。
【0043】
また、右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、受光器5R,6Rからの検出信号DR1,DR2を受信する制御部(第2の制御部)7Rを備えている。
【0044】
制御部7Rは、受光器5R,6Rからの検出信号DR1,DR2に対する基準値(第2の基準値)SR1,SR2を格納している。基準値SR1,SR2は、受光器5R,6Rが、左側光ビームポインタ2Lから投光されて狙い通りに放射線治療装置Rの照射中心Cを通過してきた鉛直ビームVLおよび水平ビームHLを受光したとき、生成すべき検出信号DR1,DR2の値とされる。つまり、正常に照射中心Cを通過してきた鉛直ビームVLおよび水平ビームHLを予め受光器5R,6Rに受光させておき、そのときの検出信号DR1,DR2を基準値SR1,SR2として制御部7Rに格納しておく。
【0045】
また、制御部7Rは、受光器5R,6Rから受信した検出信号DR1,DR2と、予め格納された基準値SR1,SR2とを比較する。制御部7Rは、比較の結果、検出信号DR1,DR2と基準値SR1,SR2との差が予め定められた許容範囲外にあるとき、左側光ビームポインタ2Lにおける投光部3Lの投光角度を補正するための投光角度補正信号CRを生成する。
【0046】
また、右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、制御部7Rから投光角度補正信号CRを受信して、左側光ビームポインタ2Lへ送信する送信部8Rを備えている。
【0047】
送信部8Rは、制御部7Rから受信した投光角度補正信号CRを、左側光ビームポインタ2Lにおける受信部9Lに対して送信する。このとき、送信部8Rは、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CRを受信部9Lに送信する。
【0048】
また、右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、左側光ビームポインタ2Lにおける送信部8Lから、投光角度補正信号CLを受信する受信部9Rを備えている。
【0049】
受信部9Rは、左側光ビームポインタ2Lの送信部8Lから、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CLを受信するようになっている。
【0050】
また、右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、受信部9Rが受信した投光角度補正信号CLに応じて、投光部3Rの投光角度を補正するアクチュエータ(第2のアクチュエータ)10Rを備えている。
【0051】
アクチュエータ10Rは、投光部3Rに機械的に接続されており、制御部7Rが受信部9Rから受信した投光角度補正信号CLに基づいて、投光部3Rの傾きを変化させ、投光部3Rの投光角度を補正する。ここで、アクチュエータ10Rは、可視光ビームBRを構成する鉛直ビームVRの投光角度と、水平ビームHRの投光角度とをそれぞれ補正することができる。したがって、当該補正後、投光部3Rは、放射線治療装置Rの照射中心Cを正常に通過する鉛直ビームVRおよび水平ビームHRを投光するようになる。
【0052】
また、右側光ビームポインタ2Rは、図3Bに示す如く、ユーザによる操作を受けるインタフェイス部11Rを備えている。
【0053】
インタフェイス部11Rは、ユーザによる各種操作を受けて、各種操作信号OPを生成する。制御部7Rは、インタフェイス部11Rから受信した各種操作信号OPに応じて、投光部3Rからの投光を開始する等各部を制御したり、各部の設定を変更したりする。例えば、ユーザによる基準値設定操作(第2の基準値設定操作)を受けたとき、インタフェイス部11Rは、基準値の格納に関する操作信号OPを生成する。操作信号OPを受信した制御部7Rは、そのとき受信していた受光器5R,6Rからの検出信号DR1,DR2を、基準値SR1,SR2として格納する。
【0054】
[上側光ビームポインタの構成]
次に、上側光ビームポインタ2Uの構成について説明する。
上側光ビームポインタ2Uは、図4に示す如く、可視光ビームBUを投光する投光部3U(第3の投光部)と、可視光ビームBUを分割するビームスプリッタ12とを備えている。ビームスプリッタ12により、可視光ビームBUから、光ビーム監視装置2Mに向かう分割光ビームBU’が生成される。
【0055】
投光部3Uは、レーザ等の可視光ビームBUを鉛直方向にのびるように投光する。投光部3Uは、左側光ビームポインタ2Lと右側光ビームポインタ2Rとを結ぶ方向に沿って広がる横ビームTと、横ビームTに直交する方向に広がる縦ビームLとをそれぞれ投光し、可視光ビームBUを十字状に形成する。
【0056】
また、上側光ビームポインタ2Uは、図4に示す如く、分割光ビームBU’に含まれる縦ビームLの広がり方向を90°回転させる90°回転プリズム(90°回転光学素子)13を備えている。
【0057】
90°回転プリズム13により、分割光ビームBU’に含まれる縦ビームLは、鉛直方向に広がる鉛直ビーム(第4の鉛直ビーム)L’に変換される。なお、90°回転プリズム13通過前は、分割光ビームBU’に含まれる縦ビームLは水平方向に広がる水平ビーム(第3の水平ビーム)となっている。また、分割光ビームBU’に含まれる横ビームTは、90°回転プリズム13を通過しない。それゆえ、分割光ビームBU’に含まれる横ビームTは、そのまま鉛直方向に広がる鉛直ビーム(第3の鉛直ビーム)T’となる。
【0058】
なお、90°回転プリズム13を配置する意味は次のとおりである。
広がり方向を90°回転させなければ、縦ビームLは水平ビームとして、後述する光ビーム監視装置2Mにおける受光器6Mに受光される。この場合、何らかの要因で、上側光ビームポインタ2U全体の位置が鉛直方向にずれると、受光器6Mによる縦ビームLの受光位置は鉛直方向に変化する(図9A参照)。受光器6Mによる受光位置が変化すれば、後述するように、上側光ビームポインタ2Uの投光部3Uの投光角度は補正される。しかし、可視光ビーム2Uは鉛直方向に広がるものであるため、上側光ビームポインタ2U全体の位置が鉛直方向にずれただけでは、可視光ビームBUの照射中心Cに対する位置はずれない。よって、投光角度を補正すべきでないのに、誤って補正してしまうことになる。
これに対し、90°回転プリズム13を配置すれば、縦ビームLは鉛直ビームL’として、受光器6Mに受光される。この場合、上側光ビームポインタ2U全体の位置が鉛直方向にずれても、鉛直ビームL’であるがゆえに、受光器6Mによる受光位置は変化しない(図9B参照)。よって、投光角度を誤って補正してしまうことを回避することができる。
【0059】
また、上側光ビームポインタ2Uは、図4に示す如く、後述する光ビーム監視装置2Mにおける送信部(第3の送信部)8Mから、投光角度補正信号CM(第3の投光角度補正信号)を受信する受信部(第3の受信部)9Uと、受信部9Uから投光角度補正信号CMを受信する制御ユニット7Uとを備えている。
【0060】
受信部9Uは、光ビーム監視装置2Mにおける送信部8Mから、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CMを受信するようになっている。
【0061】
また、上側光ビームポインタ2Uは、図4に示す如く、受信部9Uが受信した投光角度補正信号CMに応じて、投光部3Uの投光角度を補正するアクチュエータ(第3のアクチュエータ)10Uを備えている。
【0062】
アクチュエータ10Uは、投光部3Uに機械的に接続されており、制御ユニット7Uが受信部9Uから受信した投光角度補正信号CMに基づいて、投光部3Uの傾きを変化させ、投光部3Uの投光角度を補正する。ここで、アクチュエータ10Uは、可視光ビームBUを構成する縦ビームLの投光角度と、横ビームTの投光角度とをそれぞれ補正することができる。したがって、当該補正後、投光部3Uは、放射線治療装置Rの照射中心Cを正常に通過する縦ビームLおよび横ビームTを投光するようになる。
【0063】
また、上側光ビームポインタ2Uは、図4に示す如く、ユーザによる操作を受けるインタフェイス部11Uを備えている。
【0064】
インタフェイス部11Uは、ユーザの操作に基づく操作信号OPを生成する。制御ユニット7Uは、インタフェイス部11Uから受信した操作信号OPに応じて、投光部3Uからの投光を開始する等各部を制御したり、各部の設定を変更したりする。
【0065】
[光ビーム監視装置の構成]
次に、光ビーム監視装置2Mの構成について説明する。
光ビーム監視装置2Mは、図5に示す如く、上側光ビームポインタ2Uからの分割光ビームBU’を受光する受光部4M(第3の受光部)を備えている。
【0066】
受光部4Mは、受光器(第3の受光器)5M,6Mからなり、それぞれPSD受光器、CCD受光器またはCMOS受光器等により構成されている。受光器5Mは、分割光ビームBU’における鉛直ビームT’の受光位置に応じた検出信号(第3の検出信号)DM1を生成する。同様に、受光器6Mは、分割光ビームBU’における鉛直ビームL’の受光位置に応じた検出信号(第3の検出信号)DM2を生成する。
【0067】
また、光ビーム監視装置2Mは、図5に示す如く、受光器5M,6Mからの検出信号DM1,DM2を受信する制御部(第3の制御部)7Mを備えている。
【0068】
制御部7Mは、受光器5M,6Mからの検出信号DM1,DM2に対する基準値(第3の基準値)SM1,SM2を格納している。基準値SM1,SM2は、受光器5M,6Mが、上側光ビームポインタ2Uからの可視光ビームBUが狙い通りに放射線治療装置Rの照射中心Cを通過したときの分割光ビームBU’における鉛直ビームT’,L’を受光したとき、生成すべき検出信号DM1,DM2の値とされる。つまり、可視光ビームBUが正常に照射中心Cを通過したときの分割光ビームBU’に含まれる鉛直ビームT’,L’を予め受光器5M,6Mに受光させておき、そのときの検出信号DM1,DM2を基準値SM1,SM2として制御部7Mに格納しておく。
【0069】
また、制御部7Mは、受光器5M,6Mから受信した検出信号DM1,DM2と、予め格納された基準値SM1,SM2とを比較する。制御部7Mは、比較の結果、検出信号DM1,DM2と基準値SM1,SM2との差が予め定められた許容範囲外にあるとき、上側光ビームポインタ2Uにおける投光部3Uの投光角度を補正するための投光角度補正信号CMを生成する。
【0070】
また、光ビーム監視装置2Mは、図5に示す如く、制御部7Mから投光角度補正信号CMを受信して、上側光ビームポインタ2Uへ送信する送信部(第3の送信部)8Mを備えている。
【0071】
送信部8Mは、制御部7Mから受信した投光角度補正信号CMを、上側光ビームポインタ2Uにおける受信部9Uに対して送信する。このとき、送信部8Mは、赤外線式等の無線式で投光角度補正信号CMを受信部9Uに送信する。
【0072】
また、光ビーム監視装置2Mは、図5に示す如く、ユーザによる操作を受けるインタフェイス部11Mを備えている。
【0073】
インタフェイス部11Mは、ユーザによる各種操作を受けて、各種操作信号OPを生成する。制御部7Mは、インタフェイス部11Mから受信した各種操作信号OPに応じて、各部の制御および設定変更を実行する。例えば、ユーザによる基準値設定操作(第3の基準値設定操作)を受けたとき、インタフェイス部11Mは、基準値の格納に関する操作信号OPを生成する。操作信号OPを受信した制御部7Mは、そのとき受信していた受光器5M,6Mからの検出信号DM1,DM2を、基準値SM1,SM2として格納する。
【0074】
[基準値の格納手順]
次に、図6を参照して、光ビームポインティングシステム1における基準値SL1,SL2の格納手順について説明する。なお、基準値SR1,SR2,SM1,SM2の格納手順に関しては、基準値SL1,SL2の場合と同様に行なうことができるので、説明を省略する。また、当該格納作業は、光ビームポインティングシステム1を放射線治療室内に設置するときに1度行なえば足り、それ以降行なう必要はない。
【0075】
(ステップZ1)
まず、右側光ビームポインタ2Rにおける投光部3Rからの鉛直ビームVRおよび水平ビームHRが、左側光ビームポインタ2Lが設置される壁に設けられた罫書き線MV,MHにそれぞれ一致するように、投光部3Rの投光角度を調整する。ここで、罫書き線MV,MHは、照射中心Cを通過するように事前に調整された鉛直ビームVRおよび水平ビームHRが上記壁に当たる位置に設けられている。よって、当該調整後、光ビームBRは正常に照射中心Cを通過するようになる。
【0076】
(ステップZ2)
次に、作業者は、左側光ビームポインタ2Lにおけるインタフェイス部11Lを操作し、基準値の格納に関する操作信号OPを制御部7Lに送信する。
【0077】
(ステップZ3)
操作信号OPを受けた制御部7Lは、そのとき受信していた受光器5L,6Lからの検出信号DL1,DL2を、基準値SL1,SL2として格納する。これにより、基準値SL1,SL2の格納作業が終了する。
【0078】
[光ビームポインティングシステムの動作]
次に、図7および図8を参照して、光ビームポインティングシステム1の動作について説明する。
【0079】
まず、右側光ビームポインタ2Rからの可視光ビームBRに着目する。
【0080】
(ステップA1)
右側光ビームポインタ2Rは、図7Aに示す如く、ユーザ投光部3Rから、放射線RRの照射中心Cを狙った可視光ビームBRを投光する。
【0081】
(ステップA2)
可視光ビームBRは、左側光ビームポインタ2Lにおける受光部4Lに受光される。このとき、可視光ビームBRを構成する鉛直ビームVRは、受光部4Lの受光器5Lに受光される。同様に、可視光ビームBRを構成する水平ビームHRは、受光部4Lの受光器6Lに受光される。
【0082】
(ステップA3)
鉛直ビームVRを受光した受光器5Lは、その受光位置に応じた検出信号DL1を生成する。同様に、水平ビームHRを受光した受光器6Lは、その受光位置に応じた検出信号DL2を生成する。
【0083】
(ステップA4)
生成された検出信号DL1,DL2は、左側光ビームポインタ2Lにおける制御部7Lに受信される。検出信号DL1,DL2を受信した制御部7Lは、予め格納していた基準値SL1と受信した検出信号DL1とを比較する。同様に、制御部7Lは、予め格納していた基準値SL2と受信した検出信号DL2とを比較する。
【0084】
(ステップA5)
比較の結果、検出信号DL1,DL2と基準値SL1,SL2との差が、予め定められた許容範囲よりも大きい場合、右側光ビームポインタ2Rからの可視光ビームBRは正しく照射中心Cを通過していないことになる。この場合、制御部7Lは、右側光ビームポインタ2Rにおける投光部3Rの投光角度を補正するための投光角度補正信号CLを生成する。
【0085】
(ステップA6)
生成された投光角度補正信号CLは、左側光ビームポインタ2Lにおける送信部8Lに受信される。投光角度補正信号CLを受信した送信部8Lは、その投光角度補正信号CLを右側光ビームポインタ2Rにおける受信部9Rに対して無線式で送信する。
【0086】
(ステップA7)
受信部9Rが受信した投光角度補正信号CLは、右側光ビームポインタ2Rにおける制御部7Rに受信される。投光角度補正信号CLを受信した制御部7Rは、右側光ビームポインタ2Rにおけるアクチュエータ10Rを駆動させる。
【0087】
(ステップA8)
制御部7Rに駆動せしめられたアクチュエータ10Rは、投光角度補正信号CLに基づいて、右側光ビームポインタ2Rにおける投光部3Rの傾きを変化させ、可視光ビームBRの投光角度を補正する。なお、可視光ビームBRを構成する鉛直ビームVRの投光角度と水平ビームHRの投光角度とは、それぞれ別個に補正される。
【0088】
この補正により、可視光ビームBR(鉛直ビームVRおよび水平ビームHR)は、正常に照射中心Cを通過するようになる。
【0089】
可視光ビームBRの投光中は、上記ステップA1〜A4が常に実行されることになる。何らかの要因で再度可視光ビームBRの投光角度がずれ、左側光ビームポインタ2Lにおける受光部4Lが照射中心Cを通過しない可視光ビームBRを受光すれば、上記ステップA5〜A8が実行され、再度可視光ビームBRの投光角度が補正される。
【0090】
なお、左側光ビームポインタ2Lからの可視光ビームBLについては、上記の右側光ビームポインタ2Rからの可視光ビームBRの場合と同様に投光角度が補正されるので(図7B参照)、詳細な説明は省略する。
【0091】
次に、上側光ビームポインタ2Uからの可視光ビームBUに着目する。
【0092】
(ステップB1)
上側光ビームポインタ2Uは、図8に示す如く、ユーザ投光部3Uから、放射線RRの照射中心Cを狙った可視光ビームBUを投光する。可視光ビームBUはビームスプリッタ12によって分割され、光ビーム監視装置2Mに向かう分割光ビームBU’が生成される。
【0093】
なお、前述したように、分割光ビームBU’に含まれる縦ビームLは、90°回転プリズム13を通過することによって、鉛直方向に広がる鉛直ビームL’に変換される。これに対し、分割光ビームBU’に含まれる横ビームTは、そのまま鉛直方向に広がる鉛直ビームT’となる。
【0094】
(ステップB2)
分割光ビームBU’は、光ビーム監視装置2Mにおける受光部4Mに受光される。このとき、分割光ビームBU’を構成する鉛直ビームT’は、受光部4Mの受光器5Mに受光される。同様に、分割光ビームBU’を構成する鉛直ビームL’は、受光部4Mの受光器6Mに受光される。
【0095】
(ステップB3)
鉛直ビームT’を受光した受光器5Mは、その受光位置に応じた検出信号DM1を生成する。同様に、鉛直ビームL’を受光した受光器6Mは、その受光位置に応じた検出信号DM2を生成する。
【0096】
(ステップB4)
生成された検出信号DM1,DM2は、光ビーム監視装置2Mにおける制御部7Mに受信される。検出信号DM1,DM2を受信した制御部7Mは、予め格納していた基準値SM1と受信した検出信号DM1とを比較する。同様に、制御部7Mは、予め格納していた基準値SM2と受信した検出信号DM2とを比較する。
【0097】
(ステップB5)
比較の結果、検出信号DM1,DM2と基準値SM1,SM2との差が、予め定められた許容範囲よりも大きい場合、上側光ビームポインタ2Uからの可視光ビームBUは正しく照射中心Cを通過していないことになる。この場合、制御部7Mは、上側光ビームポインタ2Uにおける投光部3Uの投光角度を補正するための投光角度補正信号CMを生成する。
【0098】
(ステップB6)
生成された投光角度補正信号CMは、光ビーム監視装置2Mにおける送信部8Mに受信される。投光角度補正信号CMを受信した送信部8Mは、その投光角度補正信号CMを上側光ビームポインタ2Uにおける受信部9Uに対して無線式で送信する。
【0099】
(ステップB7)
受信部9Uが受信した投光角度補正信号CMは、上側光ビームポインタ2Uにおける制御部7Uに受信される。投光角度補正信号CMを受信した制御部7Uは、上側光ビームポインタ2Uにおけるアクチュエータ10Uを駆動させる。
【0100】
(ステップB8)
制御部7Uに駆動せしめられたアクチュエータ10Uは、投光角度補正信号CMに基づいて、上側光ビームポインタ2Uにおける投光部3Uの傾きを変化させ、可視光ビームBUの投光角度を補正する。なお、可視光ビームBUを構成する縦ビームLの投光角度と横ビームTの投光角度とは、それぞれ別個に補正される。また、可視光ビームBUの投光角度が補正されることにより、その分割光ビームBU’の投光角度も補正されることになる。
【0101】
この補正により、可視光ビームBU(縦ビームLおよび横ビームT)は、正常に照射中心Cを通過するようになる。
【0102】
可視光ビームBUの投光中は、上記ステップB1〜B4が常に実行されることになる。何らかの要因で再度可視光ビームBUの投光角度がずれ、光ビーム監視装置2Mにおける受光部4Mが、可視光ビームBUが照射中心Cを通過しないときの分割光ビームBU’を受光すれば、上記ステップB5〜B8が実行され、再度可視光ビームBUの投光角度が補正される。
【0103】
[光ビームポインティングシステムの効果]
上記のように構成された光ビームポインティングシステム1によれば、各可視光ビームBL,BR,BUが投光されている間常に、各可視光ビームBL,BR,BUの投光角度が自動的に補正されるため、放射線治療装置Rからの放射線RRの照射中心Cを常に正確に標示することができる。それゆえ、各可視光ビームBL,BR,BUの投光角度を保守作業者が都度調整する必要がない。また、保守作業者による投光角度の調整ばらつきを招くこともない。
【0104】
また、光ビームポインティングシステム1は、ビームスプリッタ12により、上側光ビームポインタ2Uの可視光ビームBUから、側方に向かう分割光ビームBU’を生成し、当該分割光ビームBU’の受光位置に基づいて、可視光ビームBUの投光角度を補正するようになっている。それゆえ、可視光ビームBUの投光角度を補正するための光ビーム監視装置2Mを、可視光ビームBUが通過するライン上、つまり放射線RRの通過する領域や患者が占有する領域に配置する必要がない。
【0105】
また、上側光ビームポインタ2Uは、分割光ビームBU’に含まれる縦ビームLの広がり方向を90°回転させて、鉛直ビームL’に変換する90°回転プリズム13を備えている。それゆえ、例えば上側光ビームポインタ2U全体の位置が鉛直方向にのみ移動した場合、つまり可視光ビームBUの照射中心Cに対する位置ずれが生じない場合は、光ビーム監視装置2Mの受光器6Mによる鉛直ビームL’の受光位置は変化しない。よって、投光角度を補正すべきでないのに誤って補正してしまう状態を回避することができる。
【0106】
また、光ビームポインティングシステム1は、各投光角度補正信号CL,CR,CMを無線式で送受信するようになっている。それゆえ、左側光ビームポインタ2L−右側光ビームポインタ2R間と、上側光ビームポインタ2U−光ビーム監視装置2M間とに配線する必要がなく、放射線治療室内への設置が容易である。
【0107】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は次のように変形して実施することができる。
【0108】
例えば、上記実施形態では、可視光ビームが照射中心を外れているかどうかの判断を、判断対象の可視光ビームを受光した側の光ビームポインタまたは光ビーム監視装置が実行していたが、判断対象の可視光ビームを投光した側の光ビームポインタが実行するように構成してもよい。この場合、受光側の光ビームポインタまたは光ビーム監視装置は、その受光による検出信号を常に投光側の光ビームポインタに送信する。検出信号を受信した投光側光ビームポインタは、当該検出信号と、投光側光ビームポインタにおける制御部に格納された上記実施形態と同様の基準値とを比較することで、可視光ビームが照射中心を外れているか否かの判断をする。判断の結果、外れていれば、投光側光ビームポインタは、投光角度補正信号を生成し、投光側光ビームポインタにおけるアクチュエータを駆動して、可視光ビームの投光角度を補正する。
このように構成した場合の基準値の格納手順は、次のとおりである。
まず、上記ステップZ1と同様に、判断対象の可視光ビームが、それを受光する側の光ビームポインタまたは光ビーム監視装置が設置される壁に設けられた罫書き線に一致するように、つまり判断対象の可視光ビームが正常に照射中心を通過するように、それを投光した投光部の投光角度を調整する。
次に、作業者は、受光側光ビームポインタまたは光ビーム監視装置におけるインタフェイス部を操作し(第1、第2または第3の基準値設定操作)、基準値の格納に関する操作信号を受光側光ビームポインタまたは光ビーム監視装置における制御部に送信する。
上記操作信号を受けた制御部は、指示信号(第1、第2または第3の指示信号)を、送信部を介して投光側光ビームポインタにおける受信部に送信する。
上記指示信号を受信した投光側受信部は、投光側制御部にその受信した指示信号を送信する。その指示信号を受信した投光側制御部は、そのとき投光側受信部が受信していた(受信済みであった)検出信号を、基準値として格納する。これにより、基準値の格納作業が終了する。
【0109】
また、上側光ビームポインタおよび光ビーム監視装置を省略し、左側光ビームポインタおよび右側光ビームポインタのみによって、光ビームポインティングシステムを構成してもよい。
【0110】
また、可視光ビームの形状は十字状に限定されるものではなく、例えば直線状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明にかかる光ビームポインティングシステムが適用された放射線治療装置を示す斜視図である。
【図2】図1の光ビームポインティングシステムから投光される可視光ビームを示す概略斜視図である。
【図3】図1の光ビームポインティングシステムを構成する光ビームポインタを示す模式図である。
【図4】図1の光ビームポインティングシステムを構成する光ビームポインタを示す模式図である。
【図5】図1の光ビームポインティングシステムを構成する光ビーム監視装置を示す模式図である。
【図6】図1の光ビームポインティングシステムにおける基準値格納手順を説明するための模式図である。
【図7】図1の光ビームポインティングシステムの動作を説明するための模式図である。
【図8】図1の光ビームポインティングシステムの動作を説明するための模式図である。
【図9】90°回転プリズムの作用を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0112】
BL,BR 可視光ビーム
C 照射中心
CL,CR 投光角度補正信号
DL1,DL2,DR1,DR2 検出信号
SL1,SL2,SR1,SR2 基準値
2L,2R 光ビームポインタ
3L,3R 投光部
4L,4R 受光部
7L,7R 制御部
8L,8R 送信部
9L,9R 受信部
10L,10R アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射対象を放射線の照射中心に位置決めする際にその照射中心を標示する光ビームポインティングシステムであって、
前記照射中心を挟んで互いに対向するように配置された第1および第2の光ビームポインタを備えていて、
前記第1の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第1の可視光ビームを投光する第1の投光部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第2の可視光ビームを投光する第2の投光部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第2の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第1の検出信号を生成する第1の受光部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第1の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第2の検出信号を生成する第2の受光部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過してきた前記第2の可視光ビームを受光した前記第1の受光部が生成すべき前記第1の検出信号の値を、第1の基準値として予め格納した第1の制御部であって、当該第1の基準値と前記第1の受光部が実際に生成した前記第1の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第2の投光部の投光角度を補正するための第1の投光角度補正信号を生成するものを備え、
前記第2の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過してきた前記第1の可視光ビームを受光した前記第2の受光部が生成すべき前記第2の検出信号の値を、第2の基準値として予め格納した第2の制御部であって、当該第2の基準値と前記第2の受光部が実際に生成した前記第2の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第1の投光部の投光角度を補正するための第2の投光角度補正信号を生成するものを備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第1の投光角度補正信号を前記第2の光ビームポインタに対して送信する第1の送信部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第2の投光角度補正信号を前記第1の光ビームポインタに対して送信する第2の送信部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第2の送信部から前記第2の投光角度補正信号を受信する第1の受信部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第1の送信部から前記第1の投光角度補正信号を受信する第2の受信部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第1の受信部が受信した前記第2の投光角度補正信号に応じて、前記第1の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第1の投光部の投光角度を補正する第1のアクチュエータを備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第2の受信部が受信した前記第1の投光角度補正信号に応じて、前記第2の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第2の投光部の投光角度を補正する第2のアクチュエータを備えている、
ことを特徴とする放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステム。
【請求項2】
前記第1の光ビームポインタは、第1のインタフェイス部をさらに備えていて、
前記第1の制御部は、前記第1のインタフェイス部がユーザによる第1の基準値設定操作を受けたとき、前記第1の受光部が生成していた前記第1の検出信号を前記第1の基準値として格納するようになっており、
前記第2の光ビームポインタは、第2のインタフェイス部をさらに備えていて、
前記第2の制御部は、前記第2のインタフェイス部がユーザによる第2の基準値設定操作を受けたとき、前記第2の受光部が生成していた前記第2の検出信号を前記第2の基準値として格納するようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項3】
照射対象を放射線の照射中心に位置決めする際にその照射中心を標示する光ビームポインティングシステムであって、
前記照射中心を挟んで互いに対向するように配置された第1および第2の光ビームポインタを備えていて、
前記第1の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第1の可視光ビームを投光する第1の投光部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記照射中心を狙って第2の可視光ビームを投光する第2の投光部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第2の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第1の検出信号を生成する第1の受光部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第1の可視光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第2の検出信号を生成する第2の受光部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第1の検出信号を前記第2の光ビームポインタに対して送信する第1の送信部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第2の検出信号を前記第1の光ビームポインタに対して送信する第2の送信部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第2の送信部から前記第2の検出信号を受信する第1の受信部を備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第1の送信部から前記第1の検出信号を受信する第2の受信部を備え、
前記第1の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過した前記第1の可視光ビームを受光した前記第2の受光部が生成すべき前記第2の検出信号の値を、第2の基準値として予め格納した第1の制御部であって、当該第2の基準値と前記第1の受信部が受信した前記第2の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第1の投光部の投光角度を補正するための第2の投光角度補正信号を生成するものを備え、
前記第2の光ビームポインタは、狙い通りに前記照射中心を通過した前記第2の可視光ビームを受光した前記第1の受光部が生成すべき前記第1の検出信号の値を、第1の基準値として予め格納した第2の制御部であって、当該第1の基準値と前記第2の受信部が受信した前記第1の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第2の投光部の投光角度を補正するための第1の投光角度補正信号を生成するものを備え、
前記第1の光ビームポインタは、前記第2の投光角度補正信号に応じて、前記第1の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第1の投光部の投光角度を補正する第1のアクチュエータを備え、
前記第2の光ビームポインタは、前記第1の投光角度補正信号に応じて、前記第2の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第2の投光部の投光角度を補正する第2のアクチュエータを備えている、
ことを特徴とする放射線照射の位置決め用光ビームポインティングシステム。
【請求項4】
前記第1の光ビームポインタは、第1のインタフェイス部をさらに備えていて、
前記第1の制御部は、前記第1のインタフェイス部がユーザによる第1の基準値設定操作を受けたとき、前記第1の送信部を介し、前記第2の受信部に対して第1の指示信号を送信し、
前記第2の制御部は、前記第2の受信部を介して前記第1の指示信号を受けたとき、前記第2の受信部が受信していた前記第1の検出信号を、前記第1の基準値として格納するようになっており、
前記第2の光ビームポインタは、第2のインタフェイス部をさらに備えていて、
前記第2の制御部は、前記第2のインタフェイス部がユーザによる第2の基準値設定操作を受けたとき、前記第2の送信部を介し、前記第1の受信部に対して第2の指示信号を送信し、
前記第1の制御部は、前記第1の受信部を介して前記第2の指示信号を受けたとき、前記第1の受信部が受信していた前記第2の検出信号を、前記第2の基準値として格納するようになっている、
ことを特徴とする請求項3に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項5】
前記第1の投光部は、鉛直方向に広がる第1の鉛直ビームと水平方向に広がる第1の水平ビームとからなる十字状の前記第1の可視光ビームを投光するようになっており、
前記第2の投光部は、鉛直方向に広がる第2の鉛直ビームと水平方向に広がる第2の水平ビームとからなる十字状の前記第2の可視光ビームを投光するようになっており、
前記第1の受光部は2つの第1の受光器からなり、一方の前記第1の受光器が前記第2の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第1の受光器が前記第2の水平ビームを受光するようになっており、
前記第2の受光部は2つの第2の受光器からなり、一方の前記第2の受光器が前記第1の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第2の受光器が前記第1の水平ビームを受光するようになっている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項6】
前記第1の送信部と前記第2の受信部との間における各信号の送受信、ならびに/あるいは、前記第2の送信部と前記第1の受信部との間における各信号の送受信は、無線式で実行されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項7】
前記照射中心の上方に配置された第3の光ビームポインタと、当該第3の光ビームポインタの側方に配置された光ビーム監視装置とをさらに備えていて、
前記第3の光ビームポインタは、
前記照射中心を狙って第3の可視光ビームを投光する第3の投光部と、
前記第3の可視光ビームから、前記光ビーム監視装置に向かう分割光ビームを生成するビームスプリッタとを備え、
前記光ビーム監視装置は、
前記分割光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第3の検出信号を生成する第3の受光部と、
前記第3の可視光ビームが狙い通りに前記照射中心を通過したときの前記分割光ビームを受光した前記第3の受光部が生成すべき前記第3の検出信号の値を、第3の基準値として予め格納した第3の制御部であって、当該第3の基準値と前記第3の受光部が実際に生成した前記第3の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第3の投光部の投光角度を補正するための第3の投光角度補正信号を生成する第3の制御部と、
前記第3の投光角度補正信号を前記第3の光ビームポインタに対して送信する第3の送信部とを備え、
前記第3の光ビームポインタは、
前記第3の送信部から前記第3の投光角度補正信号を受信する第3の受信部と、
前記第3の受信部が受信した前記第3の投光角度補正信号に応じて、前記第3の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第3の投光部の投光角度を補正する第3のアクチュエータとを備えている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項8】
前記光ビーム監視装置は、第3のインタフェイス部をさらに備えていて、
前記第3の制御部は、前記第3のインタフェイス部がユーザによる第3の基準値設定操作を受けたとき、前記第3の受光部が生成していた前記第3の検出信号を前記第3の基準値として格納するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項9】
前記照射中心の上方に配置された第3の光ビームポインタと、当該第3の光ビームポインタの側方に配置された光ビーム監視装置とをさらに備えていて、
前記第3の光ビームポインタは、
前記照射中心を狙って第3の可視光ビームを投光する第3の投光部と、
前記第3の可視光ビームから、前記光ビーム監視装置に向かう分割光ビームを生成するビームスプリッタとを備え、
前記光ビーム監視装置は、
前記分割光ビームを受光すると共にその受光位置に応じた第3の検出信号を生成する第3の受光部と、
前記第3の検出信号を前記第3の光ビームポインタに対して送信する第3の送信部とを備え、
前記第3の光ビームポインタは、
前記第3の送信部から前記第3の検出信号を受信する第3の受信部と、
前記第3の可視光ビームが狙い通りに前記照射中心を通過したときの前記分割光ビームを受光した前記第3の受光部が生成すべき前記第3の検出信号の値を、第3の基準値として予め格納した第3の制御部であって、当該第3の基準値と前記第3の受信部が受信した前記第3の検出信号の値との差が許容範囲外にあるとき、前記第3の投光部の投光角度を補正するための第3の投光角度補正信号を生成する第3の制御部と、
前記第3の投光角度補正信号に応じて、前記第3の可視光ビームが前記照射中心を通るように、前記第3の投光部の投光角度を補正する第3のアクチュエータとを備えている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項10】
前記光ビーム監視装置は、第3のインタフェイス部と、少なくとも当該第3のインタフェイス部と前記第3の送信部とに電気的に接続された第4の制御部と、をさらに備えていて、
前記第4の制御部は、前記第3のインタフェイス部がユーザによる第3の基準値設定操作を受けたとき、前記第3の送信部を介し、前記第3の受信部に対して第3の指示信号を送信し、
前記第3の制御部は、前記第3の受信部を介して前記第3の指示信号を受けたとき、前記第3の受信部が受信していた前記第3の検出信号を、前記第3の基準値として格納するようになっている、
ことを特徴とする請求項9に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項11】
前記第3の投光部は、前記第1の光ビームポインタと前記第2の光ビームポインタとを結ぶ方向に沿って広がる横ビームと、当該横ビームに直交する方向に広がる縦ビームとからなる十字状であって、鉛直方向にのびる前記第3の可視光ビームを投光するようになっており、
前記縦ビームは、前記ビームスプリッタによって生成された前記分割光ビームにおいて、水平方向に広がる第3の水平ビームに変換され、
前記横ビームは、前記ビームスプリッタによって生成された前記分割光ビームにおいて、鉛直方向に広がる第3の鉛直ビームに変換され、
前記第3の光ビームポインティングシステムは、前記第3の水平ビームの広がり方向を90°回転させて、前記第3の水平ビームを鉛直方向に広がる第4の鉛直ビームに変える90°回転光学素子をさらに備えており、
前記第3の受光部は2つの第3の受光器からなり、一方の前記第3の受光器が前記第3の鉛直ビームを受光すると共に、他方の前記第3の受光器が前記第4の鉛直ビームを受光するようになっている、
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。
【請求項12】
前記第3の送信部と前記第3の受信部との間における各信号の送受信は、無線式で実行されることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の光ビームポインティングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−131383(P2009−131383A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309001(P2007−309001)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(593053195)竹中システム機器株式会社 (4)
【出願人】(507394031)竹中オプトニック株式会社 (2)
【Fターム(参考)】