説明

放射線画像撮影装置、放射線画像撮影方法およびプログラム

【課題】比較読影を行う際に、それぞれの撮影画像の回転量を同一とする放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線源から被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した放射線をセンサが配列された放射線検出器で検出して放射線画像を取得する画像撮影手段と、放射線画像に対して、回転処理を行って撮影画像、ならびに該撮影画像の付帯情報を生成する画像処理手段と、撮影画像および付帯情報を記憶する記憶手段と、撮影画像を表示する表示手段と、を有し、付帯情報は、センサの配列方向と回転処理の回転角とを含み、撮影画像と対応付けられていることにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置、放射線画像撮影方法およびプログラムに関し、詳しくは、放射線検出器のセンサの配列方向を放射線画像に対応付けて保存する放射線画像撮影装置、放射線画像撮影方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野でのX線撮影は、被写体へのX線の曝射量を低減するために、手動または自動でX線を絞るための絞りであるコリメータを制御することが行われている。また、近年ではフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)を用いて、X線のディジタル画像を得るX線画像撮影装置が用いられ、必要な領域のみX線が曝射されるように、つまり照射野領域を限定するために、コリメータの制御が行われている。これらのコリメータの制御が行われる場合に、被写体と線源、およびコリメータの絞り量の関係について記憶し、次回撮影時に再現することが提案されている。
【0003】
また、被写体がFPDの辺に対して斜めに配置された場合、画像表示手段で画像を回転させて、さらに、診断に必要な部分のみトリミングによって切り出すことで、見やすい診断用画像を取得することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、医用画像に対する回転処理のための回転角を指定し、該指定された回転角の分だけ医用画像に対して回転処理を施し、該回転処理が施された医用画像を、矩形の出力範囲を有する画像出力媒体に出力する医用画像出力方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、人体の少なくとも一部の画像を含む画像データを処理する画像処理装置において、画像のトリミング処理を行う際に、前記画像が回転するように、画像データ変換を行うことを特徴とする画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−8008号公報
【特許文献2】特開2002−368975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、FPDのセンサ素子は格子状に配置され、撮影画像の各画素は各センサ素子がそれぞれ対応している。ここで、撮影画像について、特許文献1,2のように回転処理を行うと、90度、180度、270度の回転処理の場合、撮影画像の画素データは、回転後の画素データと1対1で対応するが、これら以外の角度の回転処理の場合には、元の撮影画像の画素データから、補間計算により新たな画素データを生成する必要がある。つまり、撮影画像の画素データは原画像の画素値から改変されることとなり、画質が変化する可能性があるという問題がある。
【0008】
また、同一患者の同一部位について、経過観察等のために過去と現在の比較読影が行われるが、このとき、過去の撮影画像と現在の撮影画像の回転角度(回転方向)が異なると、回転処理の補間計算においても、過去の撮影画像と現在の撮影画像とで異なる補間計算が行われる、つまり、異なる画質の撮影画像を比較することとなり、問題となる場合があった。
【0009】
本発明の目的は、放射線検出器のセンサの配列方向を放射線画像に対応付けて保存することで、放射線検出器のセンサの配列方向と被写体の方向の関係を過去と現在の撮影画像間で一致させ、比較読影を行う際に、それぞれの撮影画像の回転量を同一とすることができる放射線画像撮影装置、放射線画像撮影方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、放射線源から被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した放射線をセンサが配列された放射線検出器で検出して放射線画像を取得する画像撮影手段と、前記放射線画像に対して、回転処理を行って撮影画像、ならびに該撮影画像の付帯情報を生成する画像処理手段と、前記撮影画像および前記付帯情報を記憶する記憶手段と、前記撮影画像を表示する表示手段と、を有し、前記付帯情報は、前記センサの配列方向と前記回転処理の回転角とを含み、前記撮影画像と対応付けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置を提供する。
【0011】
また、前記記憶手段に記憶された過去の撮影画像とともに、該過去の撮影画像の撮影時におけるセンサの配列方向を表示することが好ましい。
さらに、前記過去の撮影画像および前記過去のセンサの配列方向と、前記撮影画像および前記センサの配列方向とを並べて前記表示手段に表示することが好ましい。
また、前記過去のセンサの配列方向と前記センサの配列方向とを揃えて、前記過去の撮影画像と前記撮影画像とを前記表示手段に表示することが好ましい。
【0012】
さらに、前記過去の撮影画像と前記撮影画像とを、前記表示手段に重畳表示することが好ましい。
また、前記記憶手段に記憶された過去の撮影画像に対応する過去のセンサの配列方向を、前記撮影画像および前記センサの配列方向に重ねて前記表示手段に表示することが好ましい。
【0013】
また、前記画像撮影手段は、さらに、照射野ランプと、センサ配列方向表示手段とを有し、前記付帯情報は、さらに、前記放射線源の絞り量を含み、過去の前記撮影画像の撮影時における前記絞り量を前記照射野ランプにより撮影台上に投影し、併せて、前記センサ配列方向表示手段により前記センサの配列方向を前記撮影台上に投影することが好ましい。
【0014】
また、前記画像撮影手段は、さらに、照射野ランプと、被写体輪郭情報表示手段を有し、前記付帯情報は、さらに、前記放射線源の絞り量および被写体輪郭情報を含み、過去の前記撮影画像の撮影時における前記絞り量を前記照射野ランプにより撮影台上に投影し、併せて、前記被写体輪郭情報表示手段により前記被写体輪郭情報を前記撮影台上に投影することが好ましい。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明は、放射線源から被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した放射線をセンサが配列された放射線検出器で検出して放射線画像を取得する画像撮影ステップと、前記放射線画像に対して、回転処理を行って撮影画像、ならびに該撮影画像の付帯情報を生成する画像処理ステップと、前記撮影画像、および、前記センサの配列方向と前記回転処理の回転角とを含み前記撮影画像と対応付けられた付帯情報を記憶する記憶ステップと、前記撮影画像を表示する表示ステップと、を有することを特徴とする放射線画像撮影方法を提供する。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、上記に記載の放射線画像撮影方法の各ステップを手順としてコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、過去の撮影画像と、センサの配列方向と被写体の関係が同一の撮影画像を撮影することができ、過去と現在の撮影画像間で比較読影を行う際に、それぞれの撮影画像の回転量を同一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る放射線画像撮影装置を示すブロック図である。
【図2】撮影時における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】過去の撮影画像とセンサの配列方向の、表示の一例を表す説明図である。
【図4】センサの配列方向と回転・トリミング処理の一例を示す説明図である。
【図5】センサの配列方向と被写体の方向の関係、および、回転・トリミング処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る放射線画像撮影方法を実施する本発明に係る放射線画像撮影装置を、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る放射線画像撮影装置の構成を表す一実施形態のブロック図である。
図1に示す放射線画像撮影装置10は、放射線源・ランプ部12、コリメータ14、FPD16、画像データ取得部18、操作部20、画像処理部22、表示部24、記憶部26、検索部28、および放射線源・ランプ・コリメータ制御部30によって構成される。
【0021】
放射線源・ランプ部12は、放射線としてX線を用いる場合は、X線を照射するX線管と、撮影前に可視光で照射野を照射して照射野領域を投影するランプとから構成される。放射線源・ランプ部12は、後述する放射線源・ランプ・コリメータ制御部30によって制御され、必要に応じてX線および/または可視光を照射する。
【0022】
また、放射線源・ランプ部12は、過去の撮影画像における、後述するFPD16のセンサの配列方向を示すための、センサ配列方向表示手段を有する。センサ配列方向表示手段としては、レーザ等の光源を用いることができ、可視光を照射することで、被写体(撮影台)上にセンサの配列方向を矢印等により投影する。
【0023】
さらに、放射線源・ランプ部12は、過去の撮影画像の被写体位置を示す被写体輪郭情報を示すための、被写体輪郭情報表示手段を有する。被写体輪郭情報表示手段としては、センサ配列方向表示手段と同様にレーザ等の光源を用いることができ、被写体(撮影台)上に被写体輪郭情報を投影する。例えば、過去の撮影画像で手を撮影した場合には、手の輪郭を投影することができる。なお、センサ配列方向表示手段と被写体輪郭情報表示手段は、同一の光源を用いてもよいし、別々の光源を用いるようにしてもよい。
【0024】
コリメータ14は、放射線(X線)の照射野領域を制御する絞りであり、複数のコリメータ羽根から構成される。例えば、4枚のコリメータ羽根が、四角形の各辺を構成するように配置され、開口部を有するものが挙げられる。
【0025】
FPD16は、DR(ディジタルラジオグラフィー)方式に用いられる放射線検出器であり、被写体を透過した放射線を検出する。FPD16は、放射線源・ランプ部12およびコリメータ14と対向する位置に配置され、これらは画像撮影手段を構成する。この様なDR方式の画像撮影部には、例えば、立位撮影台ないし臥位撮影台の内部にFPDが組み込まれた固定型のものや、FPDがカセッテ内に収容され、撮影時に画像撮影部に装着される可搬型のものがある。
【0026】
なお、FPD16に代えて、被写体を透過した放射線をイメージングプレート(IP)に記憶させた後、IPをレーザ光でスキャンし、そのときにIPから発せられる輝尽光を読み取ってコンピューター処理により画像データを得る、CR(コンピューティッドラジオグラフィー)方式の画像撮影部を用いてもよい。
【0027】
画像データ取得部18は、FPD16で検出されたデータを読み出し、放射線画像のディジタル画像データを出力する。また、この時点で得られるディジタル画像データの鉛直方向および水平方向を、センサ配列方向情報として出力する(いわゆる、画像のX軸方向、Y軸方向である)。
【0028】
FPD16の代わりにIPを用いる場合、IPをレーザ光でスキャンして輝尽光を読み取って、放射線画像のディジタル画像データおよびセンサ配列方向情報を出力する。IPの場合も得られたディジタル画像データの鉛直方向および水平方向を、FPDでいうセンサの配列方向とみなす。さらにいうと、IPの場合、センサの配列方向を、読み出し処理時のIPの進行方向とそれに垂直な方向と定義すればよい。なお、センサの配列方向は、FPDの場合でもIPの場合でも上述のとおり2方向が定義されるが、この2方向のなす角は常に直角である。よって、どちらか一方を記憶しておけば、他方は自動的に決定される。以上のことから、以降では「センサの配列方向」は、上述の2方向のうち少なくともいずれか一方をさすものとして区別せずに記載する。
【0029】
操作部20は、入力手段であり、放射線画像撮影装置10の各種操作を撮影技師等が行うためのものであり、操作情報を出力する。操作部20の具体的な態様には特に限定はなく、キーボード、マウス、タッチパネルなど、公知の各種の操作機器を用いればよい。
【0030】
画像処理部22には、放射線画像のディジタル画像データ、センサ配列方向情報、操作情報、および後述する検索結果が入力される。なお、操作情報には、撮影技師等によって入力される被写体情報、および各種撮影条件を決定するための撮影メニュー情報が含まれ、検索結果には、過去の撮影画像、ならびに、過去の撮影画像の、被写体情報、センサの配列方向情報、回転処理の回転角情報、被写体輪郭情報、および撮影メニュー情報が含まれる。
【0031】
画像処理部22は、画像処理手段であり、放射線画像のディジタル画像データに対して、回転処理、およびトリミング処理等の画像処理を行った撮影画像、ならびに当該撮影画像の付帯情報を生成し出力する。また、操作情報に含まれる被写体の名前、ID等の被写体情報を出力する。ここで、付帯情報には、FPD16のセンサの配列方向情報、および回転処理の回転角情報が含まれる。なお、付帯情報には、撮影画像から被写体の輪郭を検出した、被写体輪郭情報を含んでもよい。
また、検索結果として入力された過去の撮影画像を表示部24に出力する。
他にも、放射線源・ランプ・コリメータ制御部30を制御するために、放射線源、照射野ランプ、およびコリメータの制御情報である撮影制御情報が出力される。
【0032】
表示部24には、撮影画像および/または過去の撮影画像等が入力され表示される。表示部24は、液晶、プラズマ、有機EL(Electro Luminescence)等のフラットパネルディスプレイ、またはCRT(Cathode Ray Tube)等により構成される。
【0033】
記憶部26には、撮影画像、被写体情報、撮影メニュー情報、および付帯情報が入力されて記憶される。撮影画像は、当該撮影画像の撮影条件等である撮影メニュー情報、被写体のID、名前、年齢、性別、撮影部位等の被写体情報、および付帯情報と関連付けられて記憶される。
【0034】
検索部28には、被写体情報が入力される。検索部28は、被写体情報に基づいて記憶部26内を検索し、該当する被写体情報が見つかった場合には、当該被写体の過去の撮影画像、および当該撮影画像と関連付けられている他の被写体情報、撮影メニュー情報、および付帯情報を、記憶部26から読み出して、検索結果として出力する。また、該当する被写体情報が見つからない場合には、その旨を検索結果として出力する。
【0035】
放射線源・ランプ・コリメータ制御部30には、撮影制御情報が入力される。なお、過去の撮影画像の、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報が入力されてもよい。
放射線源・ランプ・コリメータ制御部30は、照射野制御手段であり、所定の領域にのみ放射線、およびランプの可視光が照射されるようにコリメータを制御する。また、撮影制御情報に従って、照射野ランプの点灯および消灯、放射線源からの放射線の照射、ならびに、放射線源・ランプ12およびFPD16の位置を制御する。
また、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報が入力された場合には、コリメータ14と被写体の間に設けたレーザやプロジェクター(図示しない)のようなセンサ配列方向表示手段および/または被写体輪郭情報表示手段により、被写体(撮影台)上にセンサ配列方向および/または被写体の輪郭を投影(表示)する。
【0036】
次に、本発明に係る放射線画像撮影方法を実現する、本発明に係る放射線画像撮影装置10の動作を説明する。
【0037】
図2は、本発明に係る放射線画像撮影方法の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
撮影技師によって、撮影する被写体のID、名前、年齢、性別、撮影部位等の被写体情報が入力され、放射線源・ランプ部12、およびFPD16がセットされた撮影台の位置と、コリメータ14の絞りとが手動で調整され、照射野ランプで所望の領域が照射されていることが確認された後、放射線が曝射されて放射線画像の撮影が行われる(ステップS10)。
【0038】
ここで、撮影する被写体の過去の撮影画像があり、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報が過去の撮影画像に対応付けられて保存されている場合には、センサ配列方向表示手段および/または被写体輪郭情報表示手段により、被写体(撮影台)上にセンサ配列方向および/または被写体の輪郭が投影される。
撮影技師によって、投影されたセンサ配列方向および/または被写体の輪郭が参考にされて、被写体が撮影台の所定の位置に配置される。
ここで、図3に示すように、センサ配列方向42および/または被写体の輪郭は、表示部24に過去の撮影画像40とともに表示されるようにしてもよく、あるいは、ポータブル撮影時には、携帯型の情報端末に表示されるようにしてもよい。
【0039】
撮影された放射線画像のディジタル画像データ、およびセンサ配列方向情報が画像データ取得部18から出力され、画像処理部22に入力される。画像処理部22では、放射線画像のディジタル画像データに対して回転処理、トリミング処理等の画像処理が施され撮影画像が生成される(ステップS12)。
【0040】
続いて、当該撮影画像の撮影条件等である撮影メニュー情報および被写体情報、ならびに、センサ配列方向情報および回転角情報を含む付帯情報が、当該撮影画像と関連付けられて、記憶部26に記憶され(ステップS14)、撮影画像が表示部24に表示される(ステップS16)。
【0041】
ここで、ステップS12,S14について具体例を挙げて、回転処理およびトリミング処理、ならびに、付帯情報であるセンサ配列方向情報および回転角情報と撮影画像との関係について説明する。
【0042】
放射線画像のディジタル画像データが画像処理部22に入力された直後、すなわち、読み取り直後の放射線画像に対し、回転処理、およびトリミング処理を行う場合を、図4を用いて説明する。
【0043】
まず、読み取り直後の放射線画像44に対して、被写体が見やすいように、例えば、反時計回りに30°回転させる回転処理が行われる。すると、センサ配列方向46も反時計回りに30°回転される。また、回転処理の回転角である、反時計回りに30°という情報から、回転角情報が生成される。
【0044】
続いて、トリミング領域48が撮影技師等によって入力されて、トリミング処理が行われ、撮影画像49が生成される。また、センサ配列方向46は撮影画像49に対しても保持され、センサ配列方向情報が生成される。
これらの、センサ配列方向情報および回転角情報は、付帯情報として撮影画像49に対応付けられて、記憶部26に記憶される。なお、これらの付帯情報は、撮影画像49とともに表示部24に表示されるようにしてもよい。
【0045】
次に、読み取り直後の放射線画像に対して照射野認識処理が行われ、照射野領域をトリミング処理によって切り出し、その後回転処理を行う場合を、図5を用いて説明する。
【0046】
まず、読み取り直後の放射線画像50に対して、被写体54のうち放射線が照射された部分である照射野領域52の認識が行われ、トリミング処理によって切り出されて撮影画像58が生成される。このとき、センサ配列方向56は撮影画像58に対しても保持され、センサ配列方向情報が生成される。なお、自動照射野認識処理の具体的な手法は、たとえば特開昭63−259538のような周知技術を用いればよいのでここでは省略する。
【0047】
続いて、撮影画像58は見やすいように、すなわち、撮影画像58が表示部24に表示されたときに、被写体54の手首側の辺が水平となるように、右回転の回転処理が行われる。このときの回転角から、回転角情報が生成され、センサ配列方向情報とともに付帯情報として、撮影画像58に対応付けられて、記憶部26に記憶される。なお、これらの付帯情報は、撮影画像58とともに表示部24に表示されるようにしてもよい。
【0048】
以上のように、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報を保存し、被写体(撮影台)上に投影または表示部に表示し、それを撮影技師が参照することで、過去の撮影画像と、センサの配列方向と被写体の関係が同一の撮影画像を撮影することができ、過去と現在の撮影画像間で比較読影を行う際に、それぞれの撮影画像の回転量を同一とすることができる。
【0049】
なお、上記すべての実施例では、実際の撮影から読影までの一般的なフローを想定して、回転処理とトリミング処理の両方が行われることを前提とした。しかしながら、本発明は、原画像に対してトリミング処理が行われずに、回転処理のみが行われるフローでも有効である。この場合、トリミング処理を行わずに回転処理だけを行った原画像に対して、それに外接する最小サイズの長方形(ここで、この長方形の縦方向は表示画面の鉛直方向、横方向は表示画面の水平方向に平行である)を作成し、これを撮影画像として出力することになる。
【0050】
また、過去の診断画像が複数ある場合には、最新の、つまり最後に撮影された診断画像に基づいてセンサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報を、投影または表示してもよいし、過去の診断画像のうち、最も多いセンサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報を投影または表示してもよい。
【0051】
また、被写体(撮影台)上に、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報を投影するときに、過去の撮影画像が撮影されたときのコリメータの絞り量、つまり、照射野ランプの照射領域を併せて表示するようにしてもよい。
また、センサ配列方向情報および/または被写体輪郭情報は、撮影台に設けられた第2の表示手段によって表示されるようにしてもよい。
【0052】
さらに、FPDが放射線源に対して回転可能な放射線画像撮影装置で撮影された場合、照射野絞り(コリメータ)、被写体、およびFPDの回転角を撮影画像と併せて記録し、次回撮影時に表示することで、同じ照射領域と傾きで撮影をすることができる。あるいは、FPDと照射野絞りとを連動させて、常に照射野とFPDの角度が一定になるようにしてもよい。もしくは、なるべく撮影画像の回転処理を行わないように、撮影前に警告を表示するようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明においては、上述した放射線画像撮影方法の各工程をコンピュータに実行させるための放射線画像撮影プログラムとして構成しても良いし、また、コンピュータを、放射線画像撮影方法の各工程を実施する各手段として、または、上述した放射線画像撮影装置を構成する各手段として機能させる放射線画像撮影プログラムとして構成しても良い。
また、本発明を、上述した放射線画像撮影プログラムをコンピュータにより読取可能な媒体またはコンピュータにより読取可能なメモリとして構成してもよい。
【0054】
以上、本発明の放射線画像撮影装置、放射線画像撮影方法およびプログラムについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 放射線画像撮影装置
12 放射線源・ランプ部
14 コリメータ
16 FPD
18 画像データ取得部
20 操作部
22 画像処理部
24 表示部
26 記憶部
28 検索部
30 放射線源・ランプ・コリメータ制御部
40 過去の撮影画像
42,46,56 センサ配列方向
44,50 放射線画像
48 トリミング領域
49,58 撮影画像
52 照射野領域
54 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した放射線をセンサが配列された放射線検出器で検出して放射線画像を取得する画像撮影手段と、
前記放射線画像に対して、回転処理を行って撮影画像、ならびに該撮影画像の付帯情報を生成する画像処理手段と、
前記撮影画像および前記付帯情報を記憶する記憶手段と、
前記撮影画像を表示する表示手段と、を有し、
前記付帯情報は、前記センサの配列方向と前記回転処理の回転角とを含み、前記撮影画像と対応付けられていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記記憶手段に記憶された過去の撮影画像とともに、該過去の撮影画像の撮影時におけるセンサの配列方向を表示することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記過去の撮影画像および前記過去のセンサの配列方向と、前記撮影画像および前記センサの配列方向とを並べて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記過去のセンサの配列方向と前記センサの配列方向とを揃えて、前記過去の撮影画像と前記撮影画像とを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項2または3に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記過去の撮影画像と前記撮影画像とを、前記表示手段に重畳表示することを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記記憶手段に記憶された過去の撮影画像に対応する過去のセンサの配列方向を、前記撮影画像および前記センサの配列方向に重ねて前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記画像撮影手段は、さらに、照射野ランプと、センサ配列方向表示手段とを有し、
前記付帯情報は、さらに、前記放射線源の絞り量を含み、過去の前記撮影画像の撮影時における前記絞り量を前記照射野ランプにより撮影台上に投影し、併せて、前記センサ配列方向表示手段により前記センサの配列方向を前記撮影台上に投影することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記画像撮影手段は、さらに、照射野ランプと、被写体輪郭情報表示手段を有し、
前記付帯情報は、さらに、前記放射線源の絞り量および被写体輪郭情報を含み、過去の前記撮影画像の撮影時における前記絞り量を前記照射野ランプにより撮影台上に投影し、併せて、前記被写体輪郭情報表示手段により前記被写体輪郭情報を前記撮影台上に投影することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
放射線源から被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した放射線をセンサが配列された放射線検出器で検出して放射線画像を取得する画像撮影ステップと、
前記放射線画像に対して、回転処理を行って撮影画像、ならびに該撮影画像の付帯情報を生成する画像処理ステップと、
前記撮影画像、および、前記センサの配列方向と前記回転処理の回転角とを含み前記撮影画像と対応付けられた付帯情報を記憶する記憶ステップと、
前記撮影画像を表示する表示ステップと、を有することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線画像撮影方法の各ステップを手順としてコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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