説明

放射線画像読取装置

【課題】椅子等の障害物を挟み込み、あるいは押動することがなく、撮影の作業効率の向上が可能である。
【解決手段】被写体Mの放射線画像情報を撮影して読み取る撮影部70が設けられる撮影台4と、撮影台4を昇降させる昇降機構50を有する本体部3とを備え、撮影台4は、昇降機構50により昇降される基台部40と、被写体Mが臥位姿勢で載置され、基台部40に対して水平方向に移動可能な天板部41とを有する放射線画像読取装置1であり、天板部41または本体部3の少なくとも一方の外側部に設けた障害物を検知する障害物検知手段80,81と、障害物検知手段80,81の検知情報に基づいて放射線画像読取装置1を制御する制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輝尽性蛍光体に蓄積記録された放射線画像情報を読み取る放射線画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルにX線・紫外線などの放射線を照射すると、この放射線のエネルギーの一部が輝尽性蛍光体に蓄積される。この後に、その放射線画像変換パネルに励起光を照射すると、蓄積されていたエネルギーに応じてその輝尽性蛍光体が輝尽発光する。輝尽発光した輝尽発光光を光電変換して適宜処理を施すことにより、放射線画像変換パネルに記録された放射線画像情報を読み取ることができる。
【0003】
この原理を利用したのが放射線画像読取装置であり、この放射線画像読取装置は、医用分野に用いられ、人体等の放射線画像情報を読み取り、読み取られた画像を写真感光材料やCRTに可視像として出力される(例えば、特許文献1)。
【0004】
この種の放射線画像読取装置では、一般的に水平方向に沿って移動可能に配置されたベッド型撮影台を備えるタイプが知られている。例えば、被写体の放射線画像情報を撮影して読み取る撮影部が設けられる撮影台と、撮影台を昇降させる昇降機構を有する本体部とを備え、この撮影台は、被写体である患者が臥位姿勢で載置される基台部と、この基台部に対して水平方向に移動可能な天板部とを有し、この撮影台上に被写体である患者が臥位姿勢(横臥姿勢)で乗せられる。
【0005】
ここで、オペレータは、患者の所望の撮影箇所をX線照射部の照射位置に対応して配置すべく、天板部に人体を載置したまま水平方向すなわち人体の幅方向(X方向)及び人体の身長方向(Y方向)に移動させることができる。そして、通常は電磁ブレーキにより天板部を所定位置に停止せしめて、天板部上に載置した人体についてX線撮影するが、撮影位置を調整したい場合、オペレータが電磁ブレーキを解除して天板部を所望の位置まで移動させ、再度電磁ブレーキを掛けて天板部を固定するものがある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−197973号公報(第1頁〜第8頁、図1〜図4)
【特許文献2】特開2000−93426号公報(第1頁〜第6頁、図1〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような放射線画像読取装置の周りには、患者が待っている時に座る椅子等がうっかり近接して置かれることがある。放射線画像読取装置の撮影台は、昇降し、さらに撮影時に天板部が基台部に対して水平方向に移動するが、例えば天板部が移動して一方へ突出した状態で下降すると、天板部が椅子等を挟み込むことがある。
【0007】
一般的には、オペレータの注意に期待するほかなく、撮影の作業が遅れる一原因となる。あるいは、放射線画像読取装置の構成上、本体部や天板部によってオペレータから見えない死角ができる場合があるため、オペレータの注意にかかわらず、稀に椅子等を挟み込むことがある。
【0008】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、椅子等の障害物を挟み込み、あるいは押動することがなく、撮影の作業効率の向上が可能である放射線画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1に記載の発明は、被写体の放射線画像情報を撮影して読み取る撮影部が設けられる撮影台と、
前記撮影台を昇降させる昇降機構を有する本体部とを備え、
前記撮影台は、前記昇降機構により昇降される基台部と、前記被写体が載置され、前記基台部に対して水平方向に移動可能な天板部とを有する放射線画像読取装置であり、
前記天板部または前記本体部の少なくとも一方の外側部に設けた障害物を検知する障害物検知手段と、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記放射線画像読取装置を制御する制御手段とを備えることを特徴とする放射線画像読取装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記天板部及び前記本体部は、平面方向から見て長方形の外形形状を有し、
少なくとも長手側に前記障害物検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記障害物検知手段を、前記少なくとも長手側に沿って所定の長さに備えることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像読取装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記障害物検知手段を、前記天板部の下側に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記障害物検知手段を、前記本体部の上側に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記制御手段は、前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記昇降機構の下降を停止する昇降機構駆動停止手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記制御手段は、前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記天板部の水平方向の移動を停止する天板部移動停止手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、前記制御手段は、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記昇降機構の下降を停止する昇降機構駆動停止手段と、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記天板部の水平方向の移動を停止する天板部移動停止手段と、
前記昇降機構駆動停止手段による停止と前記天板部移動停止手段による停止とを切り替える切替手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0018】
請求項9に記載の発明は、前記障害物検知手段は、
断面L型形状の絶縁弾性筒体と、
前記絶縁弾性筒体の内側に対向して配置され、前記絶縁弾性筒体の変形によって接触して導通し、検知信号を出力する一対の導電性弾性接点とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【0019】
請求項10に記載の発明は、前記障害物検知手段は、
検知信号を発信する発信部と、
障害物により反射される検知信号を受信する受信部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置である。
【発明の効果】
【0020】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、天板部または本体部の少なくとも一方の外側部に設けた障害物検知手段により障害物を検知し、この検知情報に基づいて放射線画像読取装置を制御することで、患者が待っている時に座る椅子等がうっかり放射線画像読取装置に近接して置かれることがあっても自動検知できる。したがって、例えば天板部が移動して一方へ突出した状態で下降するときに、椅子等の障害物を自動的に検知して天板部が障害物を挟み込み、あるいは天板部が移動して障害物を押し付けたり、押し倒すことがないようにすることができ、撮影の作業効率が向上する。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、天板部及び本体部が平面方向から見て長方形の外形形状であり、患者は長手側から天板部に臥位する。天板部または本体部の少なくとも長手側に障害物検知手段を備えることで、患者が待っている時に座る椅子等の障害物をより確実に検知することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、障害物検知手段を、少なくとも長手側に沿って所定長さに備えることで、広範囲の検知が可能で、より確実に椅子等の障害物を検知することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、障害物検知手段を天板部の下側に備えることで、例えば天板部が移動して一方へ突出した状態で下降するときに、より確実に椅子等の障害物を検知し挟み込むことがないようにすることができる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、障害物検知手段を本体部の上側に備えることで、例えば天板部が下降するときに、より確実に椅子等の障害物を検知し本体部が椅子等を挟み込むことがないようにすることができる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、障害物検知手段の検知情報に基づいて昇降機構の下降を停止し、より確実に天板部や本体部が椅子等を挟み込むことがないようにすることができ、撮影の作業効率が向上する。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、障害物検知手段の検知情報に基づいて天板部の水平方向の移動を停止し、例えば天板部が椅子等を押し付けたり、押し倒すことがないようにすることができ、撮影の作業効率が向上する。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、昇降機構駆動停止手段による停止と天板部移動停止手段による停止とを切り替えることで、一方の停止だけに限定する等、状況に応じた使用が可能である。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、障害物検知手段にダンパ機能があり、椅子等の障害物に接触しても、障害物検知手段あるいは障害物を傷付けることがない。 請求項10に記載の発明によれば、障害物検知手段が椅子等の障害物に接触しないから、障害物検知手段あるいは障害物を傷付けることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の放射線画像読取装置の実施の形態について説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0031】
まず、この実施の形態の放射線画像読取装置の外観を、図1乃至図3に示す。図1は放射線画像読取装置の正面図、図2は放射線画像読取装置の左側面図、図3は放射線画像読取装置の平面図である。
【0032】
この実施の形態の放射線画像読取装置1は、床面(設置面)2上に配置される本体部3と、被写体、例えば、患者が、直接、臥位姿勢(横臥姿勢)で載置される撮影台4とを備える。本体部3と撮影台4は、平面方向から見て長方形の外形形状を有し、本体部3の平面方向から見た長方形の外形形状より、撮影台4の平面方向から見た長方形の外形形状が大きくなっている。
【0033】
本体部3は、下部フレーム部30と、上部フレーム部31と、下部フレーム部30と上部フレーム部31との間に設けられた蛇腹部32を有する。蛇腹部32の内部には、昇降機構50が配置され、この昇降機構50は撮影台4を昇降する。
【0034】
下部フレーム部30には、短手側の一方に電源入力部33、外部機器接続部34、通信ケーブル接続部36が設けられている。電源入力部33には商用電源が接続される。外部機器接続部34には、制御装置60、あるいは画像表示装置61a、画像記憶装置61b及びプリンタ61c、さらには例えばホストコンピュータ等が接続される。また、通信ケーブル接続部36には、例えば他の場所に設置される診断装置62等が接続される。
【0035】
また、下部フレーム部30には、短手側の両側に異常停止スイッチ39が設けられ、異常時にオペレータが異常停止スイッチ39を足により操作して放射線画像読取装置1の駆動を停止する。上部フレーム部31には、長手側の一方に撮影台操作部37が設けられている。この撮影台操作部37にはパネル操作スイッチ37aが設けられている。
【0036】
撮影台4は、昇降機構50により昇降される基台部40と、被写体が臥位姿勢で載置され、基台部40に対して水平方向に移動可能な天板部41とを有する。この天板部41には、長手側の一方に握り部42が設けられ、患者が、臥位姿勢(横臥姿勢)になる際に握って横になることができるようになっている。
【0037】
オペレータは、パネル操作スイッチ37aの操作によって、患者の所望の撮影箇所をX線照射部の照射位置に対応して配置すべく、昇降機構50を駆動して高さの調節をしたり、天板部41に患者を載置したまま水平方向すなわち人体の幅方向(X方向)及び人体の身長方向(Y方向)に移動させる。
【0038】
次に、この実施の形態の放射線画像読取装置の撮影部及び昇降機構を、図4乃至図6に示す。図4は放射線画像読取装置の一部を破断して撮影部及び昇降機構を示す正面図、図5は放射線画像読取装置の一部を破断して撮影部を示す平面図である。
【0039】
撮影台4には、被写体の放射線画像情報を撮影して読み取る撮影部70が設けられ、この撮影部70は基台部40の収納部40hに配置されている。撮影部70には、被写体Mを挟んで放射線発生源91と対向する位置に、輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネル71を備えている。放射線画像変換パネル71は、放射線発生源91からの照射放射線量に対する被写体Mの放射線透過率分布に従ったエネルギーを内蔵された輝尽性蛍光体に蓄積し、被写体の潜像、即ち放射線画像を形成する。放射線画像変換パネル71は、支持体上に輝尽性蛍光体層を、輝尽性蛍光体の気相堆積、或いは、輝尽性蛍光体の塗布によって設けてある。輝尽性蛍光体の材料としては、例えば、特開昭61−72091号公報、特開昭59−75200号公報などに開示されるような材料が使われる。
【0040】
読取レーザビーム発生部(例えば、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど)72は、出射強度が制御されたレーザビーム(励起光)を発生し、そのレーザビームは種々の光学系を経由して走査器(例えば、ポリゴンミラーなどの光偏向器)73に到達し、そこで偏向を受け、更に反射鏡74で光路を変更させて、放射線画像変換パネル71に輝尽励起用の走査光(励起光)として導かれる。
【0041】
レーザビームで走査された放射線画像変換パネル71からの潜像エネルギーに比例した発光強度の輝尽発光光を読取装置75に導き、この読取装置75により輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る。この放射線画像信号は、階調処理などの各種画像処理が施された後、画像記憶装置61bにそのまま記憶されたり、または、画像表示装置61aによって可視化されたり、更には、プリンタ61cに出力されてハードコピーが得られるようになっている。
【0042】
また、撮影部70には、ハロゲン光源部76が設けられ、このハロゲン光源部76は、放射線画像変換パネル71に蓄積或いは残存する放射線エネルギーを放出させて、残像を消去する。このハロゲン光源部76は、走査器73による主走査方向に延設される線状の消去用光源である。
【0043】
撮影部70は、前面カバー70a,背面カバー70b、左右の側面カバー70c,70d及び天板カバー70eで覆われている。
【0044】
昇降機構50は、昇降アーム51a,51b、油圧昇降シリンダ52及び油圧制御ユニット53を有する。昇降アーム51a,51bは、本体部3の前面側と背面側に一対ずつ配置されている。昇降アーム51a,51bの下部は、回動支点51a1,51b1により下部フレーム部30に支持され、上部は、支持ローラ51a2,51b2により基台部40のガイド溝40iに移動可能に設けられている。
【0045】
油圧昇降シリンダ52は、一端が下部フレーム部30に支持され、他端が昇降アーム51aに連結されている。この油圧昇降シリンダ52は、油圧制御ユニット53によって油圧を制御することで伸縮し、油圧昇降シリンダ52が延びると昇降アーム51a,51bが起き上がり、一方油圧昇降シリンダ52が縮むと昇降アーム51a,51bが倒れ、これにより撮影台4が昇降する。
【0046】
次に、この実施の形態の放射線画像読取装置の天板部移動機構を、図6及び図7に示す。図6は撮影台の一部を破断した斜視図、図7は撮影台の移動を示す図である。
【0047】
基台部40には、本体部3の短手方向(X方向)に移動自在な可動テーブル45が設けられ、この可動テーブル45には、X方向に直交するY方向(長手方向)に移動自在な天板部41が設けられている。
【0048】
基台部40のY方向両端部には、水平軸回りに回転自在な複数のローラ40aと、垂直軸回りに回転自在な規制用ガイドローラ40bとが設けられている。可動テーブル45はフレーム状に構成されており、ローラ40a及びガイドローラ40bが転動する断面コ字状のガイド部45aを有する。可動テーブル45のX方向両端部には、水平軸回りに回転自在な複数のローラ45bと、鉛直軸回りに回転自在な複数の規制用ガイドローラ45cとが設けられている。
【0049】
天板部41は、X方向両側部にローラ45b及びガイドローラ45cが転動する断面コ字状のガイド部41aを有する。
【0050】
可動テーブル45及び天板部41を移動するための第1及び第2駆動装置47,48が設けられている。第1駆動装置47は、基台部40のY方向両端にかつ対称位置に固定される。この第1駆動装置47は電磁ブレーキを備えるモータで構成される。第1駆動装置47のピニオンギヤ47aが可動テーブル45のラック45dに噛み合い、第1駆動装置47の駆動によって可動テーブル45をX方向へ移動する。第2駆動装置48は、可動テーブル45の対称位置に設けられる。この第2駆動装置48は、電磁ブレーキを備えるモータで構成される。この第2駆動装置48のピニオンギヤ48aが天板部41のラック41bに噛み合い、第2駆動装置48の駆動によって天板部41がY方向に移動する。
【0051】
次に、この実施の形態の放射線画像読取装置に備える障害物検知手段を、図8乃至図10に示す。図8は放射線画像読取装置に備える障害物検知手段を示す概略側面図、図9は放射線画像読取装置に備える障害物検知手段を示す概略平面図、図10は障害物検知手段を示す断面図である。
【0052】
この実施の形態の放射線画像読取装置1には、図1、図2及び図8に示すように、天板部41及び本体部3の外側部に障害物を検知する障害物検知手段80,81が設けられている。障害物検知手段80は、天板部41のX方向両端の下側41fに長手側に沿って所定長さに備えられている。障害物検知手段81は、本体部3の上側の上部フレーム部31のX方向両端の下側31fに長手側に沿って所定長さに備えられている。
【0053】
この障害物検知手段80,81は、図10に示すように、同様に構成される。この実施の形態の障害物検知手段80,81は、それぞれ断面L型形状の絶縁弾性筒体82と、絶縁弾性筒体82の内側に対向して配置され、絶縁弾性筒体82の変形によって接触して導通し、検知信号を出力する一対の導電性弾性接点83a,83bとを有する。
【0054】
絶縁弾性筒体82は、絶縁ゴム等で構成され、導電性弾性接点83a,83bは、導電ゴム等で構成される。この導電性弾性接点83a,83bには、それぞれ導電ワイヤー84a,84bが接続され、この導電ワイヤー84a,84bから検知信号を出力する。絶縁弾性筒体82は、カバーゴム85のパイプ部85aに組み付けられる。このカバーゴム85の係合リブ85bを取付フレーム86の係合溝86aに係合して組み付けられる。
【0055】
この障害物検知手段80の取付は、図8に示すように、取付フレーム86を天板部41の下側41fにビス87により取り付ける。この取付フレーム86の係合溝86aにカバーゴム85の係合リブ85bを係合して取り付ける。障害物検知手段81も同様に、上部フレーム部31の下側31fに取り付ける。
【0056】
この障害物検知手段80,81は、図10に示すように、a方向、b方向、c方向、d方向等、断面側から見て180度の方向から障害物と接触し、この接触によって弾性変形して導通し、検知信号を出力することができる。このように、障害物検知手段80,81にダンパ機能があり、椅子等の障害物に接触しても、障害物検知手段80,81あるいは障害物を傷付けることがなく、全方向感度、耐衝撃性を有する。
【0057】
この障害物検知手段80,81は、図10の実施の形態に限定されず、ダンパ機能があり、椅子等の障害物に接触しても、障害物検知手段80,81あるいは障害物を傷付けることがない構成であればよい。
【0058】
この障害物検知手段80,81の検知情報は、制御装置60に送られる。この制御装置60は、検知情報に基づいて放射線画像読取装置1を制御する。
【0059】
次に、放射線画像読取装置1の制御装置60による制御を、図2及び図3に基づいて説明する。
【0060】
制御装置60は、CPU、記憶装置等からなる制御手段を構成する。この制御装置60は、昇降機構50の下降を停止する昇降機構駆動停止手段60aと、天板部41の水平方向の移動を停止する天板部移動停止手段60bと、放射線画像読取装置1の全体の作動を停止する装置停止手段60cと、昇降機構駆動停止手段60aによる停止、天板部移動停止手段60bによる停止、装置停止手段60cによる停止とを切り替える切替手段60dとを有する。
【0061】
この切替手段60dは、装置操作部60eからのボタン操作等で予め設置時に設定してもよいし、あるいは使用時に設定してもよい。
【0062】
昇降機構駆動停止手段60aは、昇降機構50の油圧制御ユニット53を制御し、油圧昇降シリンダ52の駆動を停止して昇降機構50が下降しないように停止する。例えば、図2に示すように、患者が待っている時に座る椅子100等がうっかり放射線画像読取装置1に近接して置かれることがある。この場合、放射線画像読取装置1の作動時に、例えば天板部41が移動して一方へ突出した状態で下降すると、障害物検知手段80が椅子100に接触して自動的に検知する。この障害物検知手段80からの検知情報に基づき昇降機構駆動停止手段60aは、昇降機構50の油圧制御ユニット53を制御し、油圧昇降シリンダ52の駆動を停止して昇降機構50が下降しないように停止する。これによって、天板部41が椅子100等を挟み込むことがないようにでき、撮影の作業効率が向上する。また、天板部41が移動して一方へ突出していない状態でも、障害物検知手段80や障害物検知手段81の位置が本体部3の蛇腹部32の位置より外側であるため、昇降機構50によって撮影台4が下降し、障害物検知手段80あるいは障害物検知手段81が椅子等に当たると、障害物検知手段80,81によって自動検知でき、同様に昇降機構50が下降しないように停止する。
【0063】
天板部移動停止手段60bは、撮影台4の第1及び第2駆動装置47,48を制御し、第1及び第2駆動装置47,48に備えられる電磁ブレーキを駆動し、天板部41の水平方向の移動を停止する。例えば、図2に示すように、患者が衣類等を入れる物入れ籠101等がうっかり放射線画像読取装置1に近接して置かれることがある。この場合、放射線画像読取装置1の作動時に、例えば天板部41が移動して一方へ突出すると、障害物検知手段80が物入れ籠101に接触して自動的に検知する。この障害物検知手段80からの検知情報に基づき天板部移動停止手段60bは、撮影台4の第1及び第2駆動装置47,48を制御し、第1及び第2駆動装置47,48に備えられる電磁ブレーキを駆動し、天板部41の水平方向の移動を停止して天板部41が移動しないように停止する。これによって、天板部41が移動して物入れ籠101等を押し付けたり、押し倒すことがないようにすることができ、撮影の作業効率が向上する。物入れ籠101に限らず、例えば高い椅子等が放射線画像読取装置1に近接して置かれている場合、天板部41が移動して物入れ籠101等を押し付けたり、押し倒すことがないようにすることができる。
【0064】
装置停止手段60cは、昇降機構50、撮影台4の第1及び第2駆動装置47,48の停止を含み、撮影部70の駆動停止等、放射線画像読取装置1の駆動の全てを停止する。例えば、障害物検知手段80,81が障害物を検知すると、何等かの異常が生じた場合であるから放射線画像読取装置1を制御して駆動の全てを停止する。
【0065】
この実施の形態では、切替によって昇降機構駆動停止手段60aと、天板部移動停止手段60bと、装置停止手段60cとを用いるようにしているが、昇降機構駆動停止手段60aのみ、天板部移動停止手段60bのみ、装置停止手段60cのみを備える構成でも良い。また、昇降機構駆動停止手段60aと天板部移動停止手段60bとを備える構成でもよい。
【0066】
また、この実施の形態では、障害物検知手段80を天板部41に設け、障害物検知手段81を本体部3に設けているが、天板部41または本体部3の少なくとも一方の外側部に設ければよい。天板部41及び本体部3が平面方向から見て長方形の外形形状であり、患者は長手側から天板部41に臥位するから、少なくとも長手側に障害物検知手段を備えることで、患者が待っている時に座る椅子等の障害物をより確実に検知することができる。
【0067】
また、障害物検知手段80及び障害物検知手段81は、それぞれ天板部41及び本体部3の長手側の両方に設けているが、一方側に設けてもよい。また、障害物検知手段80及び障害物検知手段81は、少なくとも長手側に備えて入ればよく、さらに短手側に備えてもよい。
【0068】
また、障害物検知手段80及び障害物検知手段81は、少なくとも長手側に沿って所定長さに備えていればよく、長さは特に限定しないが、障害物が置かれる範囲に対応した長さが好ましい。障害物検知手段を少なくとも長手側に沿って所定長さに備えることで、広範囲の検知が可能で、より確実に椅子等の障害物を検知することができる。
【0069】
また、この実施の形態の障害物検知手段80,81に限定されず、図11に示すように、検知信号を発信する発信部88と、障害物により反射される検知信号を受信する受信部89とを有する構成のものでもよく、例えば光センサ、超音波センサ等を用いることができる。
【0070】
図1乃至図11の実施の形態では、撮影台4に、被写体、例えば、患者が、直接、臥位姿勢(横臥姿勢)で載置され、この臥位姿勢の被写体の放射線画像情報を撮影して読み取る場合に、障害物検知手段80,81が撮影台4の横に置かれる椅子や患者が衣類等を入れる物入れ籠等の障害物に接触して検知したり、非接触で検知すると、昇降機構50の下降を停止したり、あるいは天板部41の水平方向の移動を停止する。
【0071】
この発明は、図1乃至図11の実施の形態に限定されず、図12の実施の形態に示すように、例えば、患者の被写体Mが撮影台4の横に椅子100を置いてすわり、腕などを撮影する場合がある。このとき患者の膝が撮影台4の下に入ることがある。このような場合に、昇降機構50により撮影台4が下降すると、天板部41の外側部に設けた障害物検知手段80、あるいは本体部3の外側部に設けた障害物検知手段81が患者の膝M1に接触して自動検知する。この障害物検知手段80、あるいは障害物検知手段81からの検知情報に基づき昇降機構駆動停止手段60aは、昇降機構50が下降しないように停止する。これによって、天板部41や本体部3の外側部が患者の膝M1を挟み込むことがないようにできる。この障害物検知手段80,81は、ダンパ機能があり、患者の膝M1に接触しても、患者の膝を傷付けることがない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
この放射線画像読取装置は、天板部または本体部の少なくとも一方の外側部に設けた障害物検知手段により障害物を検知し、この検知情報に基づいて放射線画像読取装置を制御することで、患者が待っている時に座る椅子等がうっかり近接して置かれることがあっても自動検知できる。したがって、例えば天板部が移動して一方へ突出した状態で下降するときに、椅子等の障害物を自動的に検知して天板部が障害物を挟み込み、あるいは天板部が移動して障害物を押し付けたり、押し倒すことがないようにすることができ、撮影の作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】放射線画像読取装置の正面図である。
【図2】放射線画像読取装置の左側面図である。
【図3】放射線画像読取装置の平面図である。
【図4】放射線画像読取装置の一部を破断して撮影部及び昇降機構を示す正面図である。
【図5】放射線画像読取装置の一部を破断して撮影部を示す平面図である。
【図6】撮影台の一部を破断した斜視図である。
【図7】撮影台の移動を示す図である。
【図8】放射線画像読取装置に備える障害物検知手段を示す概略側面図である。
【図9】放射線画像読取装置に備える障害物検知手段を示す概略平面図である。
【図10】障害物検知手段を示す断面図である。
【図11】障害物検知手段の他の実施の形態を示す図である。
【図12】放射線画像読取装置の左側面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 放射線画像読取装置
3 本体部
4 撮影台
30 下部フレーム部
31 上部フレーム部
32 蛇腹部
40 基台部
41 天板部
45 可動テーブル
47 第1駆動装置
48 第2駆動装置
50 昇降機構
51a,51b 昇降アーム
52 油圧昇降シリンダ
53 油圧制御ユニット
60 制御装置
60a 昇降機構駆動停止手段
60b 天板部移動停止手段
60c 装置停止手段
60d 切替手段
60e 装置操作部
70 撮影部
71 放射線画像変換パネル
75 読取装置
80,81 障害物検知手段
82 絶縁弾性筒体
83a,83b 導電性弾性接点
84a,84b 導電ワイヤー
85 カバーゴム
86 取付フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の放射線画像情報を撮影して読み取る撮影部が設けられる撮影台と、
前記撮影台を昇降させる昇降機構を有する本体部とを備え、
前記撮影台は、前記昇降機構により昇降される基台部と、前記被写体が載置され、前記基台部に対して水平方向に移動可能な天板部とを有する放射線画像読取装置であり、
前記天板部または前記本体部の少なくとも一方の外側部に設けた障害物を検知する障害物検知手段と、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記放射線画像読取装置を制御する制御手段とを備えることを特徴とする放射線画像読取装置。
【請求項2】
前記天板部及び前記本体部は、平面方向から見て長方形の外形形状を有し、
少なくとも長手側に前記障害物検知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置。
【請求項3】
前記障害物検知手段を、前記少なくとも長手側に沿って所定長さに備えることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像読取装置。
【請求項4】
前記障害物検知手段を、前記天板部の下側に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項5】
前記障害物検知手段を、前記本体部の上側に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記昇降機構の下降を停止する昇降機構駆動停止手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記天板部の水平方向の移動を停止する天板部移動停止手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記昇降機構の下降を停止する昇降機構駆動停止手段と、
前記障害物検知手段の検知情報に基づいて前記天板部の水平方向の移動を停止する天板部移動停止手段と、
前記昇降機構駆動停止手段による停止と前記天板部移動停止手段による停止とを切り替える切替手段とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項9】
前記障害物検知手段は、
断面L型形状の絶縁弾性筒体と、
前記絶縁弾性筒体の内側に対向して配置され、前記絶縁弾性筒体の変形によって接触して導通し、検知信号を出力する一対の導電性弾性接点とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。
【請求項10】
前記障害物検知手段は、
検知信号を発信する発信部と、
障害物により反射される検知信号を受信する受信部とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の放射線画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate