説明

放射線療法と併用するための組織配置システムおよび方法

増殖性の組織障害の影響を受ける可能性のある切除された腔周辺の組織を処置するためのシステムが提供される。本システムは、近位端、遠位端、内部管腔、および遠位端近傍に配置された拡張可能な表面要素を有するカテーテル本体部材を含む組織固定装置を含むが、ここで、拡張可能な表面要素は、拡張の際に、切除された組織腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するために、大きさを設定されかつ構成されている。切除された組織腔内部での拡張可能な表面要素の拡張の後、切除された腔の外側に配置された外部放射線装置は、拡張可能な表面要素周辺の組織に一定線量の放射線を輸送する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、増殖性の組織障害を処置するのに使用するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、組織を配置して放射線を照射することにより、乳房におけるそのような障害を処置するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は、できるだけ多くの腫瘍を除去するための、腫瘍の外科的切除によって処置されることが多い。しかし、浸潤を外科的に処置するのが困難または不可能な場合があるので、腫瘍周囲の正常組織への腫瘍細胞の浸潤は、外科的切除の治療的価値を制限する場合がある。切除後に残存する腫瘍縁を標的とすることによって外科的切除を補うために、放射線療法を使用することができるが、その目的は、そのサイズを小さくすることまたはそれを安定化させることである。いくつかの方法の一つによって、または、永続的もしくは一時的な間質(interstitial)密封小線源療法および外部ビーム放射線照射(external-beam radiation)を含む方法の組み合わせによって、放射線療法を投与することができる。
【0003】
密封小線源療法とは、腫瘍もしくはその他の増殖性の組織疾患部位でまたはその近くにおいて体内に挿入された、空間的に限られた放射性物質によって輸送される放射線療法を指す。例えば、処置対象の組織に放射線源を直接移植することによって、密封小線源療法が実行される。密封小線源療法は、以下の場合において大部分は適切である:1)原発腫瘍部位の元の境界から2cmまたは3cm以内に、悪性腫瘍再生が局所的に起こる場合;2)放射線療法が、悪性腫瘍の成長を制御するための実証済みの処置である場合;および、3)悪性腫瘍に関して放射線量反応関係があるが、従来の外部ビーム放射線療法を用いて安全に与えることができる線量が、正常組織の許容度によって制限される場合。密封小線源療法において、放射線量は、放射線療法の供給源の至近距離で最も高く、これにより、周囲の正常組織を温存する(spare)一方で、高い腫瘍線量が提供される。間質密封小線源療法は、中でも、悪性の脳腫瘍および乳房腫瘍を処置するために有用である。
【0004】
例えば、「Tumor Treatment」と題するWilliamsの米国特許第5,429,582号は、外科的に切り出された腫瘍周囲の組織を放射能放出で処置して、切り出された腫瘍周囲の組織内に存在する可能性のある任意の癌細胞を殺すための、密封小線源療法の方法および装置を記載している。放射能放出を実施するために、Williamsにより、膨張性のリザーバーを規定するその遠位端に膨張可能なバルーンを有する、カテーテルが提供されている。腫瘍の外科的除去に続いて、外科医は、腫瘍の除去後に残っている外科的に作製されたポケットに、バルーンカテーテルを導入する。その後、カテーテル内の管腔を介して膨張性のリザーバーに一つまたは複数の放射性核種を有する流体を注入することによって、バルーンを膨張させる。
【0005】
密封小線源療法手順により癌性組織の処置が成功しているが、代替的な放射線処置が好ましい場合があり、これは、患者外部の供給源から輸送される放射線療法を含む。例えば、外部ビーム放射線療法は、患者の体内の標的組織に集中される放射線の「ビーム」を、患者の身体の外側から誘導すること(directing)が必要である。手順は無痛であり、X線を受ける経験としばしば比較される。
【0006】
任意の放射線療法と同様に、目標は、健常な組織への損傷を最小化しながら標的組織に指定線量の放射線を輸送することである。三次元原体照射法(Three-Dimensional Conformal Radiation Therapy;3DCRT)および強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy;IMRT)のような放射線療法におけるより最近の進歩は、治療的放射線ビームの精巧な成形および誘導によって外部放射線療法の精密度を増大させた。さらに、画像化技術により、より複雑な標的容積計画(planning target volume;PTV)の描写が可能になる(PTVとは、残存する悪性腫瘍および周辺健常組織の縁の両方を含む組織の質量を指す)。これらの画像化手順では、コンピュータ断層撮影法(CT)、磁気共鳴画像化法(MRI)、ポジトロンエミッショントモグラフィ(PET)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、および標的組織を可視化するためのポータルイメージング(portal imaging)を含む、断面画像化様相(cross-sectional imaging modality)が使用される。患者を処置するのに使用される放射線療法ビームの数、サイズ、および形状を最適化するために、治療計画ソフトウェアにより、画像化手順からおよび医師により概説されるPTVからの解剖学的詳細が集約される。治療計画の目標とは、PTVに共形放射線量(conformal radiation dose)を輸送し、PTVの外側の隣接正常組織に輸送される放射線を最小化することである。
【0007】
使用の際、3DCRTは標的組織容量に「適合する」形状の放射線ビームを提供し、放射線療法ビームを可視化および配置する能力によって、医師は、標的組織の有効範囲を最大化し、正常組織への曝露を最小化することができる。同様にIMRTは、様々な強度で標的組織を打つ、何百から何千もの変調された小さな放射線ビームを用いることによって、放射線ビームを、標的組織のサイズ、形状、および位置に適合させる。数多くのビームが、標的組織を処置し、健常組織への損傷を最小化する。それでも、最も進歩した手順さえも、患者および標的組織が適切に配置されること、および場合によっては固定されることを必要とする。残念なことに、組織の切除によって作製される腔の不規則な表面により、画像化技術が標的組織の厳密な位置を決定することが困難になり、かつ、標的領域を完全に図で表す機会があったとしても、切除された腔周辺の支持されていない組織は、特に治療計画が数日間から数週間にわたって提供される放射線量を伴う場合、手順の際に、または、画像化と処置の間に、移動する可能性がある。
【0008】
その結果、周辺組織を過度に曝露することなく、外部放射線供給源から、切除された組織腔に隣接する組織へと、所望の精度で放射線を輸送するためのさらなる方法の必要性が未だ存在している。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、切除された組織腔周辺の組織を配置することによって、および外部放射線を照射することによって、増殖性の組織障害を処置するための方法、システム、および装置を提供する。本方法は、まず少なくとも一部の増殖性の組織を外科的に切除し、それによって切除腔を作製する工程を含む。次に、拡張可能な表面を有する組織固定装置が提供されるが、ここで、拡張可能な表面は、拡張可能な表面を拡張位置へと拡張する時に、切除腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するために、大きさを設定されかつ構成されている。次に、拡張可能な表面を切除腔内部に配置し、かつ、拡張可能な表面を、切除腔周辺の組織を所定の幾何学的配置で配置するために拡張する。最後に、外部放射線処置が、切除腔周辺の組織に適用される。
【0010】
本発明の別の局面において、切除された腔および、その内部に配置された拡張された組織固定装置を、三次元的に可視化することができる。好ましくは、本発明は、外部ビーム放射線処置、三次元構造的放射線療法処置、および強度変調放射線療法(intensity modulation radiation therapy)処置の少なくとも一つの適用を含むこともできる。更に本方法は、治療計画の際に、処置工程を数回繰り返すことを含んでもよい。
【0011】
一つの態様において、組織固定装置の拡張可能な表面は、密閉された膨張性のチャンバを規定している固形の膨張性表面を含み、かつさらなる態様において、組織固定装置は、バルーンカテーテルである。またさらなる態様において、第2のバルーンを、第1のバルーン内部に配置することができる。非放射性物質を含む様々な媒体によって、バルーンを拡張することができる。本発明のその他の局面において、バルーンを拡張するために治療物質が用いられる。治療物質は、バルーンの壁を介して周辺組織へと輸送される、化学療法薬物などの薬物を含むことができる。別の態様において、拡張可能な表面は、拡張可能なケージによって作製される。
【0012】
本発明の別の局面において、装置および周辺PTVの空間位置を決定するために、組織固定装置上に基準マーカー(fiducial marker)を配置することができる。例えば、処置室の座標系の原点に対する(例えば、処置ビームアイソセンタまたはビーム源に対する)マーカーの空間位置を決定することにより、装置およびPTVの位置を、それらの望ましい位置と比較することができる。PTV、または、装置の位置が任意に変化した場合、放射線分画を開始する前に、患者の身体の位置、装置、ならびに/または、放射線ビーム計画(planned radiation beams)の方向および/もしくは形状を調整することができる。基準マーカーおよびそれらの検出システムは、X線撮影で画像化される放射線不透過性のマーカー、または、受信システムにそれらの位置の信号を送る応答機であることができる。
【0013】
本発明の別の態様は、増殖性の組織障害の影響を受ける可能性のある切除された腔周辺の組織を処置するためのシステムを含む。本システムは、近位端、遠位端、内部管腔、および、カテーテル本体部材の遠位端近傍に配置された拡張可能な表面要素を備えたカテーテル本体部材を有する組織固定装置を含むが、ここで、拡張可能な表面要素は、拡張の際に、切除された組織腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するために、大きさを設定されかつ構成されている。外部放射線装置が拡張可能な表面要素周辺の組織に放射線の線量を輸送できるように、外部放射線装置は、切除された腔の外側に配置される。切除された組織腔内部に配置され、周辺組織を配置するために拡張された組織固定装置によって、外部放射線装置からの放射線の精度は大きく改善されている。
【0014】
なおさらなる態様において、本発明は、乳腺腫瘤摘出手順の後に増殖性の組織障害を処置するための装置を含む。本装置は、近位口を規定する開放近位端、遠位端、および、開放近位端から延びた内側管腔を有する、細長い本体部材を含み、ここで、細長い本体部材は、拡張可能な表面要素を、乳腺腫瘤摘出手順によって作製された切除腔へと輸送するように大きさを設定されている。空間容量は本体部材の遠位端近傍に配置された拡張可能な表面要素によって規定されるが、拡張可能な表面要素は、拡張時に、切除された組織腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するように、大きさを設定されかつ構成される。拡張可能な表面要素は、周辺組織を配置するように、および、外部の放射線源が放射線の線量を正確に輸送することを可能にするように、乳腺腫瘤摘出手順の間に、乳房中に作製された組織腔を満たすために大きさを設定されている。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、増殖性の組織の少なくとも一部を外科的に切除して切除腔を作製し、引き続いて、残存する腫瘍縁の外部放射線療法を行うことにより、乳房の悪性腫瘍などの増殖性の組織障害を処置するためのシステムおよび方法を提供する。放射線処置の精度を改善するために、組織固定装置が提供され、切除された腔周辺の組織を配置するおよび/または安定化する。
【0016】
外部放射線療法は正確な画像化および/または標的化技術に依拠しており、標的組織の任意の動きは、誤差につながる可能性がある。患者の配置は重要であることが多く、患者を配置および固定するために、例えば患者の皮膚に印を付けることおよび泡状の身体ギプス包帯(foam body casts)を使用することを含む多数の処置がとられる。たとえ患者を固定したとしても、標的組織の移動はさらに、例えば、患者の呼吸の結果としての組織の移動、および、放射線療法画分の間の患者の身体の配置の矛盾点を含む、問題を生じる。
【0017】
腔周辺の組織は、隣接組織によって通常提供される支持を有さない柔らかく不規則な組織であることが多いので、組織腔はさらにより大きな難点を生じる。残存する腫瘍縁を含む、腔の壁の不規則な表面は、従って、画像化が困難である。(おそらくわずかな患者の動きに起因する)腔周辺の組織の予測不可能な移動により、手順が更に複雑になり、かつ標的組織の許容できない動きがもたらされる可能性がある。例えば、可視化の後だが放射線処置の前に標的組織が位置を変化させる場合、組織の移動は、主に健常な組織に当たる放射線ビームをもたらす場合がある。その結果、残存する腫瘍縁は実質的に非処置である可能性があり、その一方で健常組織は処置によって損傷される可能性がある。本発明は、切除された腔に挿入可能でありかつ周辺組織を所定の幾何学的配置で配置するために拡張可能である組織配置装置を提供することによって、これらの先行技術の問題を克服する。また本発明の方法は、規定された表面に対して組織を配置することによって、組織画像化も容易にする。
【0018】
図1は、増殖性の組織障害の影響を受ける可能性のある切除された腔周辺の組織を処置するためのシステムを含む、本発明の一つの態様を示す。本システムは、近位端14、遠位端16、内部管腔18(図示せず)、および、拡張可能な表面要素20を有するカテーテル本体部材12を含む、組織固定装置10を含む。拡張可能な表面要素20は、好ましくはカテーテル本体部材12の遠位端16近傍に配置され、かつ、拡張時に、切除された組織腔周囲の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するように、大きさを設定されかつ構成される。本システムはまた、外部放射線装置22が拡張可能な表面要素20周辺の組織へと放射線の線量を輸送できるように、切除された腔の外側に配置された外部放射線装置22を含む。外部放射線装置22は、当技術分野において公知の、またはその後に開発された任意の外部放射線源であることができるが、本発明の好ましい態様においては、3DCRTおよびIMRTにおいて使用されるものなどの、正確に標的化された供給源が使用される。図1に示すように、組織固定装置10を、切除された組織腔24内部、この例においては乳腺腫瘤摘出後の患者の乳房内部に配置することができ、かつ、外部放射線装置22から放射線ビーム26の線量が正確に輸送されるように周辺組織を配置するために拡張することができる。
【0019】
図2〜図8は、本発明のシステムと共に動作できる組織配置装置10の例示的な態様を示す。図2は組織配置装置10の基本的な設計を示すが、これは、近位口28から膨張口30まで延びた内側管腔18を有する細長い本体部材12を含む。膨張口30は、本体部材12の側壁を介して形成され、内側管腔18と交差する。拡張可能な表面20に規定される空間容量32は、その遠位端16の近傍で管状本体12に付着している。容量32の内部は、近位口28と流体連通している(in fluid communication)。
【0020】
装置10の拡張可能な表面20は、膨張可能バルーンによって規定されうる。「バルーン」という用語は、弾性の物質で構成されることができるがその必要はない膨張性の装置を含むと意図されることが、理解されよう。本発明のバルーンには、様々なバルーン、または、外科用カテーテルとの併用のために設計されたその他の膨張性の装置が含まれうる。バルーンは、本体12を介してバルーンに膨張物質を注入することによって拡張可能であり、かつ好ましくは、膨張物質は、非放射性の液体または気体を含む。あるいは、膨張物質は、(その両方が本明細書において参照として組み入れられる)Williamsらに付与された米国特許第5,611,923号および同第5,931,774号において提供されているような、間質密封小線源療法処置を提供するためにもまたバルーンが用いられる場合の放射性治療物質などの、治療物質である。
【0021】
一つの態様において、バルーンは、それにより充填可能な処置流体の活性成分に対して実質的に不透過性であり体液(例えば血液、脳脊髄液、など)に対しても不透過性である、固形物質で構成されている。放射性物質が処置装置から逃れて手術現場または患者組織を汚染することを予防するために、放射性処置流体と組み合わせた不透過性のバルーンが有用である。
【0022】
別の態様において、バルーンは、処置流体に対して透過性であり、かつ、処置流体が装置10から出て、体内管腔または体腔に入ることを可能にする。処置流体が、有効であるために組織と接触しなければならない化学療法剤などの薬物である場合、透過性バルーンが有用である。Williamsらに付与された米国特許第5,611,923号および同第5,931,774号では、例示的な透過性バルーンおよび治療物質が開示されている。半透性バルーンもまた、本発明の方法における用途を見出すことができる。例えば、放射性物質がバルーン壁を通過することを阻害できる半透性物質を用いて、処置流体を含めることができ、ここで特定の流体成分は膜を通過できるが、処置流体の放射性成分はバルーン内部に保持される。
【0023】
バルーンと本体部材12はさまざまな方法で嵌合できるが、一部の態様において、バルーンは、バルーン本体上の実質的に単一の地点またはバルーン本体の単一の側において、本体部材12と嵌合する。このような連結によって、バルーン(例えば球状バルーン)は、膨張容量の範囲にわたって実質的に一定の(例えば球状の)形状を維持することができる。すなわち、例えばFoleyカテーテル用のバルーンを用いる場合に一般的であるように、本体部材への複数の連結点によってバルーンの形状が拘束されているわけではない。他の態様において、バルーンは、バルーン本体上の複数の地点において本体部材に連結されているが、これは一方で、バルーンが膨張サイズの範囲にわたって一定の形状を維持することを可能にする。例えば、本体部材が、バルーンが拡張するかまたは縮むのに伴って本体部材が長さを調整することを可能にする拡張要素(例えばスライド可能な係合要素)を含む場合、バルーン本体上の遠位点および近位点の両方で本体部材に連結されたバルーンは、膨張時に無拘束であることができる。膨張容量の範囲にわたって実質的に一定の形状を維持するバルーンによって、外科医は、腔のサイズに対する不安がより少ないバルーンを選択することができる。
【0024】
装置10の本体部材12は、切除された組織腔内部に拡張可能な表面20を配置するための手段を提供し、かつ、膨張物質(使用する場合)を輸送するための経路を提供する。図中に示された例示的な本体部材は管状構造を有するが、当業者は、本体部材12が様々な形状およびサイズを有することができることを認識するであろう。本発明における使用に適した本体部材は、当技術分野において公知のカテーテルを含むことができる。本体部材12は様々な材料で構築されることができるが、ある態様においては、本体部材の材料はシリコン、好ましくは少なくとも部分的に放射線不透過性のシリコンであって、それにより、装置10の挿入の後の本体部材12のX線位置決めが容易になる。本体部材12はまた、処置流体容器(receptacle)およびバルーンへの連結用の従来のアダプタ、ならびに、本体部材12を患者の身体の輪郭に適合させるための装置(例えば直角(right-angle)装置)を含むこともできる。
【0025】
患者の身体内部での装置10の位置は、基準マーカー60を用いて決定することもできる。マーカーを装置上に(例えば拡張可能な表面部材20上に、または、本体部材12上に)配置することによって、ユーザは、装置および周辺標的組織の空間位置を決定することができる。処置寝台上の患者の身体位置を調整することによって、または、放射線療法ビームの形状および方向を変更することによって、標的組織位置における誤差を修正するために、空間データを用いることができる。基準マーカーを、以下でより詳細に述べる。
【0026】
装置10はまた、組織配置を容易にするように設計された様々な別の態様を含むこともできる。例えば、装置10は、複数の空間容量、および、切除された腔を適合させて成形するために適合化された様々な形状を含むことができる。さらに、組織腔内部への拡張可能な表面の配置を容易にするために、拡張可能な表面をさまざまな方法で管状本体部材12上に配置することができ、かつそれに嵌合させることができる。拡張可能な表面を、腔周辺の組織への治療物質の送達を可能にするために適合化させることもできる。
【0027】
本発明はまた、複数のバルーン、例えば図3および図4に示す二重壁(double walled)構造の使用も意図する。このようなバルーンは、例えば、不透過性の内壁および透過性の外壁を含むことができる。この態様において、内側バルーンは、例えば放射性処置流体で満たされることができ、一方で、外側バルーン(すなわち内側バルーン壁と外側バルーン壁の間の間隙)は化学療法用処置流体で満たされる。この態様により、単一装置によって投与されるべき複数の様式の療法(例えば化学療法、密封小線源療法、および外部放射線照射)が可能になる。この二重壁バルーン態様において、2つのバルーンは、療法の間、同時にまたは異なる時点で、2つの処置流体によって膨張していることができる。内側バルーンの膨張は外側バルーンへの圧力を提供することができ、これによって、外側バルーンの拡張を引き起こすことができるか、または、内側バルーン壁と外側バルーン壁の間の間隙における流体を、多孔性外側バルーンの膜を強制的に通過させることができるかまたは通過するよう誘導する(urge)ことができる。本発明の装置において、高いオーダーの(higher-order)バルーン、例えば三重壁バルーンを使用することもできる。図3は、内側空間容量32の周辺に第2の空間容量34を備えた装置10の態様を示し、第2の拡張可能な表面36に規定される。第2の空間容量は、第2の膨張口38および第2の近位口40と流体連通している。また本体12は、近位口40から膨張口38まで延びる第2の内側管腔42も含む。図3Aは、内側管腔18および第2の内側管腔42を示す。
【0028】
図4に示すように、拡張可能な表面は、様々な形状を含むことができる。例えば、ほぼ球状の腔を充填して、実質的に球状の拡張可能な表面に適合させることができるが、一方では、細長い体腔周辺の組織を配置するために、細長い拡張可能な表面の使用が好ましい場合がある。図4は、例示的な、細長い拡張可能な表面を示す。一部の場合においては、拡張された場合に、拡張可能な表面が腔壁の一部に高い相対圧力を印加するように、例えば問題領域に圧力を印加するように、切除された腔の形状とは異なる形状を有する拡張可能な表面の使用が望ましい場合がある。当業者は、内側および外側の拡張可能な表面20、36が、元の切除された腔の形状に応じて、および、拡張可能な表面に適合させた後の腔の所望の形状(非限定的な例として、立方体、平行六面体、円柱、四面体、角柱、不規則な形状、またはそれらの組み合わせを含む)に応じて、様々な形状を規定する場合があることを認識するであろう。
【0029】
図5Aおよび図5Bにおいて、装置10のさらにもう一つの態様が、その非拡張型および拡張型で表される。装置10は、その長さが近位端から遠位端まで延びた少なくとも一つの内側管腔18を有する細長い柔軟な管状本体12を含む。本体部材12の側壁における開口部は、内側管腔14と空間容量32との間の流体連通を提供する一つまたは複数の膨張口30を規定する。拡張可能な表面22の近位端および遠位端44、46を管状体12に接着することによって、拡張可能な表面20を管状本体部材12に連結することができる。図4Bに示すように、カテーテル本体12の近位端に膨張物質を注入することによって、膨張物質を強制的に、内側管腔18を通って膨張口30から出るよう流動させ、かつ拡張可能な表面20内部の空間容量32を充填させ、それによって、拡張可能な表面20を膨張させる。
【0030】
図6Aにおいて、管状本体12の内側管腔18内部に残存する拡張可能な表面20を有する、装置10のなおさらなる態様が表される。本態様において、内側管腔18は本体12の長さを伸ばし、拡張可能な表面20は遠位端16において本体12と固く連結される。膨張物質が内側管腔18を介して注入されるにつれて、拡張可能な表面20は、図6Bに示すように、管状体12から外側に拡張する。拡張可能な表面は容量範囲にわたってほぼ球状の形状を保つことができるので、この装置は、球状組織腔周辺の組織を配置するために特に有利でありうる。さらに、拡張する前に装置10の本体部材12が体腔近傍に配置される場合、図6A、図6Bの態様が望ましい場合がある。
【0031】
拡張可能な表面20を、図7に示すケージ48を含む様々な構造によって規定することができる。その他の態様と同様に、装置10は、本体部材12および拡張可能な表面20を含むが、拡張可能な表面20は、本体部材12の遠位端近傍に配置されたケージ48によって規定される。好ましくは、ケージ48は、ニチノールなどの形状記憶金属、または拡張可能なポリエチレンケージなどの適切なプラスチックで形成される。使用の際、ケージは、特定の切除された腔に適合させるための所望の形状で形成されることができ、インビボにおける標的部位への送達のために縮むことができ、かつその後、外科的に切除された領域周辺の組織を適当な形状にするために拡張することができる。
【0032】
図8は、本体部材12および拡張可能な表面20を含む、装置10の好ましい一態様の斜視図を表す。装置は内側(図示せず)および外側の拡張可能な表面20、36を含み、これらは、遠位端近傍の本体部材12に連結されている。本体部材12は、第1および第2の内側管腔、ならびに、体腔内での装置の配置のために近位端において制御ハンドル50を含む。近位口28、40は、膨張物質および/または治療物質用の入口を提供する。
【0033】
一部の態様において、本発明の装置は予め組み立てられた形状で提供される、すなわち、成分は、外科的挿入手順の前に組み立てられる。しかし、特定の態様において、本発明の装置は、例えば外科医による成分のモジュール式組立て(modular assembly)が可能になるように構成される。したがって、例えば、処置流体レセプタクル(treatment fluid receptacle)を、複数のカテーテルのいずれか一つへの接続用に適合化された要素と共に提供することができる。例えば、接続要素は、カテーテル、注入口などの成分の間の接続を遂行するための、当技術分野において公知の任意の要素であることができる。例示的なコネクタには、ルアー型(luer)アダプタなどが含まれる。本態様において、様々なカテーテルおよびバルーンを提供することができ、そのそれぞれが、処置流体レセプタクルへの手軽な接続用に適合化されている。外科医は、その後、いくつかの処置流体レセプタクルを提供する必要なしに、特定の増殖性の障害の処置に適したサイズおよび形状の拡張可能な表面(例えばバルーン)を選択することができる。術前試験(例えばX線、MRIなど)の結果によって、カテーテルおよびバルーンを選択することができ、または、外科的手順の間の標的腔(例えば腫瘍切除に起因する外科的腔)の観察に基づいて選択を行うことができる。外科医が適切なバルーン(例えば体腔内での設置に適したサイズおよび形状を有するバルーン)を選択する場合、カテーテルおよびバルーンを、その後、予め選択された処置流体レセプタクルに連結することができ、それによって、処置装置が組み立てられる。
【0034】
本発明の方法を、悪性の乳房腫瘍および脳腫瘍を含む様々な増殖性の組織障害を処置するために用いることができる。多くの乳癌患者は、初期の小さな腫瘍に対して通常実施される手順である、(乳腺腫瘤摘出としても知られる)乳房保存手術の候補である。元の腫瘍部位近傍での再発の確率を低下させるために、乳房保存手術の後に放射線療法を行う場合がある。罹患領域に強い直接線量を提供することにより、残留する癌細胞を破壊することができ、かつこのような再発の予防を補助することができる。
【0035】
また、手術および放射線療法は、身体のその他領域において発病する悪性腫瘍(例えば脳腫瘍)に対する標準的な処置でもある。手術の目標とは、生命維持に必要な脳組織を損傷することなく、できるだけ多くの腫瘍を除去することである。悪性腫瘍全体を除去するための能力は、隣接する正常組織に浸潤するその傾向に制限される。部分的な除去は、放射線療法により処置されるべき腫瘍の量を低下させ、かつ、一部の条件下では、脳への圧力を低下させることによって症状を軽減するのを補助する。
【0036】
これらおよびその他の悪性腫瘍を処置するための本発明による方法は、少なくとも一部の癌性腫瘍を除去して切除腔を作製するための腫瘍部位の外科的切除から開始される。腫瘍切除の後、装置10は、腫瘍切除腔内に設置される。これは、外科医が手術中に装置を設置するために、手術部位を閉じる前に行うことができ、あるいは、一旦患者が手術から十分に回復してから、装置10を挿入することができる。後者の場合においては、装置10の導入のための新規な切開を行うことができる。いずれの場合においても、拡張可能な表面20(切除腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するように大きさを設定されかつ構成されることが好ましい)は、その後、切除された組織腔内部で拡張される。拡張可能な表面20がバルーンによって規定される場合、バルーンを拡張するために内側管腔18を介してバルーン内へと膨張物質を輸送することによってバルーンを拡張することができる。
【0037】
拡張可能な表面20が、処置される組織または周辺組織を拡張時に圧縮するように、拡張可能な表面20を選択することができる。したがって、拡張可能な表面20がバルーンである場合、所望のサイズを有するようにこれを選択することができ、かつ、注入された物質の量を、所望のサイズまでバルーンを膨張させるように調整することができる。膨張した際、拡張可能な表面20は、少なくとも約4cm3の容量を好ましくは満たし、かつさらにより好ましくは、少なくとも約35cm3の容量を満たすことができる。好ましい膨張容量は、35cm3から150cm3の範囲である。一般に、縮小される場合、患者の身体内への手軽な設置およびそこからの除去を可能にするため、ならびに所望の作用点におけるバルーンの設置および除去に必要な外科的切開のサイズを最小化するために、バルーンは小さなプロフィール(例えば小さなサイズ)を有するべきである。
【0038】
装置10が拡張されると、組織腔周辺の組織が支持され、組織移動が低下する。さらに、拡張可能な表面20は、所定の幾何学的配置で組織を配置することができる。例えば、球状の拡張可能な表面は、ほぼ球状の形状で組織腔周辺の組織を配置することができる。組織が配置されると、かつて不規則であった組織腔壁へと放射線がより正確に輸送されることができるように、規定された表面が提供される。さらに、装置10は、組織運動によって導かれる処置手順における誤差を低下させることを補助する。装置10によって提供される配置および安定化は、放射線投与を容易にしてその精度を改善することによって、放射線療法の有効性を大きく改善する。その結果が、放射線を標的組織に集中させ、周辺健常組織を保存するのを補助する、処置方法である。
【0039】
放射線を輸送する前だが拡張可能な表面を拡張した後に、X線、MRI、CTスキャン、PET、SPECT、およびそれらの組み合わせを非限定的な例として含む画像化装置を用いて、装置10および周辺組織を好ましくは可視化することができる。これらの画像化装置は、装置10および周辺組織の画像を提供して、外部放射線療法の計画を援助する。可視化の援助のために、装置10は、画像化手順の際に拡張可能な表面20を目立たせる物質で構成されることができ、例えば、拡張可能な表面は、X線不透性物質で構成されてもよい。または、拡張可能な表面によって組織画像化が遮断されないように、放射線透過性物質を使用することができる。いずれの態様においても、空気、水、または造影剤などの放射線吸収物質を含む診断用画像化剤によって拡張可能な表面を膨張させることができる。
【0040】
3DCRTおよびIMRTなどの外部放射線療法の場合、画像化手順によって、残存する組織縁の図が提供され、かつ、放射線投与のための標的化組織が援助される。次に、きわめて正確な放射線量を標的組織へと輸送するために、放射線ビームが適合化される。切除腔周辺の組織を配置している装置10によって、(身体内部を)移動しかつしたがって、PTVを外しているおよび不必要に健常組織を損傷している放射線計画(planned radiation)を有する標的組織の危険性がより少なくなる。
【0041】
一部の治療計画には、数日間から数週間にわたる反復放射線投与が必要であり、それらの場合において、切除された組織腔周辺の組織を繰り返し配置するために装置10を用いることができる。例えば、外部線源からの放射線の輸送後に、拡張可能な表面は崩壊する。崩壊工程の後に装置10を除去することは可能であるが、放射線処置の間に装置を組織腔内部に残しておくことが好ましい。引き続く放射線処置が輸送される時に、拡張可能な表面を拡張することができ、隣接組織を別の画像化工程および/または放射線量のために再配置することができる。これらの工程を、治療計画の間にわたって、必要に応じて繰り返すことができる。または、装置を組織腔内部に残して、放射線療法の全過程の間、ほぼ一定の容量の拡張/膨張で維持する。
【0042】
本発明の別の態様は、処置室内の座標系の座標系の原点(例えば放射線輸送装置のアイソセンタまたは放射線ビームの線源位置)に対する装置の空間位置に関するリアルタイムの無線情報を提供する基準マーカーを組み込んでいる。空間位置データを用いて、標的容量位置における誤差を修正することができる。例えば、処置寝台上の患者の体位を調整することによって、および/または放射線療法ビームの形状および方向を変更することによって、変更されたPTV位置を修正する。好ましくは、リアルタイムの無線フィードバックによって、放射線の各画分の輸送の前に配置誤差を修正することが可能になる。また、基準マーカーは、より正確なPTV位置をユーザにより多く提供することもでき、かつそれによって、温存される正常組織をより大きく、PTV内部の正常組織縁をより小さくすることを可能にする。好ましくは、基準マーカーおよびそれらの検出システムは、X線撮影で(例えばX線透視装置によって)画像化される放射線不透過性のマーカー、または、受信システムにそれらの位置の信号を送る応答機である。例示的な基準マーカーとしては、Calypso Medical Technologies(Seattle、Washington)製のBeacon Transponderが挙げられる。
【0043】
装置10上に基準マーカー60を配置することは、このようなマーカーのその他の設置(例えば、腫瘍内部への設置)に勝る利点を提供する。例えば、拡張可能な表面部材20上に基準マーカーを設置することによって、拡張可能な表面の位置を正確に決定することができ、かつ、拡張の量を調整することができる。さらに、装置10の外側に配置されたマーカーを、周辺の標的組織(PTVとしても知られる)を詳細に描写するために用いることができる。装置上に配置されたマーカーを有することのさらなる恩典として、マーカーは、別々の挿入工程を必要としない。また、装置が除去される時にマーカーもまた除去されると考えられ、それによって、処置の終了時には外因性の物体が患者内に永久に残らないことが保証される。
【0044】
外部放射線に加えて、その他の処置により、本発明の方法を補うことができる。一つの態様において、切除腔が内部から照射されるように本体部材12を介して拡張可能な表面20へと放射線源を輸送することによって、本発明の外部放射線療法と密封小線源療法処置とを組み合わせる。密封小線源療法手順は、同一出願人によるものであってかつ参照により本明細書に組み入れられる、Winklerらに付与された米国特許第6,413,204号に開示されている。その他の処置としては、切除腔周辺の組織への治療物質(例えば化学療法薬物または放射線増強物質)の供給を挙げることができる。一つの態様において、治療物質は、同一出願人によるものであってかつ参照により本明細書に組み入れられる、Winklerに付与された米国特許第6,200,257号に開示されているように、透過性の親水性ポリマーから構成される拡張可能な表面の壁を介して送達されることができる。
【0045】
または、装置10の挿入後に拡張可能な表面20が周辺組織へと治療物質を送達するように、治療物質が拡張可能な表面に嵌合してもよい。治療物質は、拡張可能な表面20から組織へと拡散することができ、かつ/または、治療物質は、拡張可能な表面が切除された腔の壁を押圧して組織と接触するのに伴って、輸送されてもよい。またさらなる態様において、治療物質を、拡張可能な表面の一部のみに配置してもよい。送達の方法に関係なく、治療物質は、非限定的な例として、化学療法剤、抗腫瘍剤、抗脈管形成剤、免疫調節剤、ホルモン剤、免疫療法剤、抗生物質、放射線増感剤、およびそれらの組み合わせを含みうる。
【0046】
当業者は、上記の態様に基づいて、本発明のさらなる特徴および利点を認識するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示されるものを除いて、詳しく示されかつ記載されたことに限定されない。本明細書に引用される全ての刊行物および参考文献は、その全文が参照により本明細書に特に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は、添付の図面を参照しながら、上記の詳細な説明からより完全に理解されよう。
【図1】外部放射線供給源および組織配置装置を含む、本発明のシステムを示す。
【図2】図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の一態様を示す。
【図3】図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。図3Aは、図3に図示された装置の断面図を示す。
【図4】図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。
【図5】図5Aは、図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。図5Bは、拡張位置における図5Aの装置を示す。
【図6】図6Aは、図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。図6Bは、拡張位置における図6Aの装置を示す。
【図7】図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。
【図8】図1に示されたシステムと共に使用可能な組織配置装置の別の態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、増殖性の組織障害を処置する方法:
(a)少なくとも一部の増殖性の組織を外科的に切除し、それによって切除腔を作製する工程;
(b)拡張可能な表面を拡張位置へと拡張する際に切除腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するために大きさを設定されかつ構成されている拡張可能な表面を有する組織固定装置を提供する工程;
(c)拡張可能な表面が切除腔内部に存在するように組織固定装置を配置する工程;
(d)切除腔周辺の組織を所定の幾何学的配置で配置するために、拡張可能な表面を拡張する工程;ならびに
(e)外部放射線処置を、切除腔周辺の組織に適用する工程。
【請求項2】
組織固定装置の拡張可能な表面が、密閉された膨張性のチャンバを規定している固形の膨張性表面を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組織固定装置がバルーンカテーテルである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第2のバルーンが第1のバルーン内部に配置されている、請求項3記載の方法。
【請求項5】
バルーンを拡張するために使用される媒体が非放射性物質からなる、請求項2記載の方法。
【請求項6】
治療物質が、固形の膨張性表面の外面に配置されている、請求項2記載の方法。
【請求項7】
治療物質が、固形の膨張性表面の外面の一部のみに配置されている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
固形の膨張性表面が放射線透過性である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
基準マーカーが組織固定装置上に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
基準マーカーが放射線不透過性であり、画像化がX線撮影により行われる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
基準マーカーが、受信機によってその信号が読み取られて解釈される信号応答機である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
基準マーカーが固形の膨張性表面上に配置されている、請求項2記載の方法。
【請求項13】
拡張可能な表面が、所定の透過性を有する拡張可能な親水性のポリマー膜によって規定される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
治療物質が、組織固定装置を配置する工程の後、拡張可能な親水性のポリマー膜を介して拡散する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
拡張可能な表面が、拡張可能なケージによって作製される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
拡張可能なケージが形状記憶物質を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
拡張可能な表面が、切除された腔の容量を実質的に満たしかつ切除された腔の壁を押圧するように、拡張工程によって拡張される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
外科的切除工程が、乳腺腫瘤摘出手順の際に実施される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
外部放射線処置を適用する工程の前に、切除された腔および、切除された腔内部に配置された組織固定装置が、三次元的に可視化される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
外部放射線処置が外部ビーム放射線処置である、請求項1記載の方法。
【請求項21】
外部放射線処置が三次元構造的放射線療法処置である、請求項1記載の方法。
【請求項22】
外部放射線処置が強度変調放射線療法処置である、請求項1記載の方法。
【請求項23】
拡張可能な表面が、放射線療法の期間全体にわたって膨張状態で維持される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
外部放射線処置の第1の放射線画分を照射した後に、拡張可能な表面が崩壊する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
拡張可能な表面が、切除腔周辺の組織を配置するために2回目に拡張される、請求項24記載の方法。
【請求項26】
拡張可能な表面が2回目に拡張された後に、外部放射線処置の第2の画分が照射される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
以下の工程をさらに含む、請求項1記載の方法:
外科的切除腔から組織固定装置を除去する工程;
拡張可能な表面を有する組織固定装置を切除腔内部に挿入する工程;および
切除腔周辺の組織を所定の幾何学的配置で配置するために、拡張可能な表面を拡張する工程。
【請求項28】
近位端、遠位端、内部管腔、および、遠位端近傍に配置された拡張可能な表面要素を有するカテーテル本体部材を含む組織固定装置であって、拡張可能な表面要素が、拡張の際に、切除された組織腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するために、大きさを設定されかつ構成されている、組織固定装置;ならびに
拡張可能な表面要素周辺の組織に放射線の線量を輸送できるように、切除された腔の外側に配置された外部放射線装置
を含む、増殖性の組織障害の影響を受ける可能性のある切除された腔周辺の組織を処置するためのシステムであって、組織固定装置が、外部放射線装置からの放射線ビームが正確に輸送されるように、切除された組織腔内部に配置されることができかつ周辺組織を配置するために拡張されることができる、システム。
【請求項29】
拡張可能な表面要素が固形の膨張性表面であり、空間容量が、密閉された膨張性のチャンバであり、拡張可能な表面要素が放射線透過性壁である、請求項28記載のシステム。
【請求項30】
拡張可能な表面要素を拡張するために使用される媒体が非放射性気体からなる、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
拡張可能な表面が、拡張可能なケージによって作製される、請求項28記載のシステム。
【請求項32】
拡張可能なケージが形状記憶物質を含む、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
切除腔が、乳腺腫瘤摘出手順の際に作製される、請求項28記載のシステム。
【請求項34】
外部放射線源が外部ビーム放射線装置である、請求項28記載のシステム。
【請求項35】
外部放射線源が三次元構造的放射線療法装置である、請求項28記載のシステム。
【請求項36】
外部放射線源が強度変調放射線療法装置である、請求項28記載のシステム。
【請求項37】
基準マーカーが組織固定装置上に配置されている、請求項28記載のシステム。
【請求項38】
近位口を規定する開放近位端、遠位端、および、開放近位端から延びた内側管腔を有する細長い本体部材であって、拡張可能な表面要素を、乳腺腫瘤摘出手順によって作製された切除腔へと輸送するように大きさを設定されている、細長い本体部材;
本体部材の遠位端近傍に配置された拡張可能な表面要素によって規定された空間容量であって、拡張可能な表面要素が、拡張時に、切除された組織腔周辺の組織を再現可能に所定の幾何学的配置で配置するように大きさを設定されかつ構成される、空間容量
を含む、乳腺腫瘤摘出手順の後に増殖性の組織障害を処置するための装置であって、拡張可能な表面要素が、周辺組織を配置するように、および外部放射線源が放射線の線量を正確に輸送することを可能にするように、乳腺腫瘤摘出手順の際に乳房中に作製された組織腔を満たすために大きさを設定されている、装置。
【請求項39】
基準マーカーが組織固定装置上に配置されている、請求項38記載の装置。
【請求項40】
基準マーカーが放射線不透過性であり、画像化がX線撮影により行われる、請求項39記載の装置。
【請求項41】
基準マーカーが、受信機によってその信号が読み取られて解釈される信号応答機である、請求項39記載の装置。
【請求項42】
基準マーカーが、拡張可能な表面要素上に配置される、請求項38記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−510512(P2007−510512A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539711(P2006−539711)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037202
【国際公開番号】WO2005/046791
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506002993)サイティック コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】