説明

放射線硬化性粉体塗料組成物

本発明は紫外線照射によって又は加速電子ビームによって硬化可能な粉体組成物に関する。これら粉体組成物は少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂を含み、そして、独特の組合せの諸性質(特に、良好な流れおよび機械的性質、及びなかんずく経時でも顕著な金属基体への接着性)を示すペイントおよびワニス塗膜の製造に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂を含む放射線硬化性粉体塗料組成物、および前記組成物の製法および用途に関する。
特に、本発明は、それの結合剤が少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂から構成されているところの、紫外線照射によって又は加速電子ビームによって硬化可能である粉体組成物に関し、該組成物は、独特の性質の組合せ特に良好な流れ特性および機械的性質および中でも金属基体への顕著な接着性を経時においても持続して示すペイントおよびワニス塗膜の製造にそれ自体導く。
【背景技術】
【0002】
室温において乾燥している微細な自由流動性の固体材料である粉体塗料は近年では液体塗料よりもかなり人気を博してきている。今日の市販の放射線硬化性粉体塗料は木材またはプラスチック基体の上に適用されて満足な結果を与える;しかしながら、金属基体の上に使用されたとき、放射線硬化性粉体塗料によって体験される主な問題の一つは硬化皮膜の金属基体への劣った接着である。かかる塗膜の接着特性が劣っている理由はしばしば高分子材料の急速かつ素早い硬化にありそれが若干の皮膜収縮を伴うことにあると主張されてきた。
【0003】
塗料システムの中に金属接着促進剤を導入することは既に特許文献の中に開示されている。
WO 03/008508(UCB S.A.)は、エチレン性不飽和樹脂と含燐化合物を含み金属基体上への良好な接着を付与する放射線硬化性粉体組成物を開示している。
しかしながら、該組成物の経時においては、幾つかの重要な性質たとえば良好な接着性および柔軟性が失われることがあるということが注目された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、溶融時に放射線によって硬化できる粉体塗料組成物であって、平滑性や柔軟性のような物理的性質の優れた組合せと一緒に金属に対する顕著な長期接着を付与するペイント皮膜を提供する前記粉体塗料組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このたび、驚くべきことには、少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂と少なくとも1種の含燐化合物と少なくとも1種のアミンを含む放射線硬化性粉体塗料組成物は、溶融し硬化したときには、優れた物理的性質の組合せ、たとえば、平滑性、柔軟性、および特に樹脂や粉体や硬化塗膜が経時したときでも広範な金属前処理なしでも持続する顕著な金属基体への接着性を示すことが判明した。
【0006】
従って、本発明は、(a)+(b)+(c)の100重量部当たり、
(a)70〜99.4重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂、
(b)0.5〜20重量部の少なくとも1種の含燐化合物、および
(c)0.1〜10重量部の少なくとも1種のアミン
を含む放射線硬化性粉体組成物を提供する。
【0007】
本発明の粉体組成物のエチレン性不飽和樹脂(a)は、好ましくは、
(a1)エチレン性不飽和基含有ポリエステル樹脂(特に、非晶質または半結晶質のポリエステル樹脂)
(a2)エチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体
(a3)エチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂
(a4)エチレン性不飽和基含有非芳香族エポキシ樹脂
(a5)エチレン性不飽和基含有ポリウレタン
(a6)エチレン性不飽和基含有ポリエステルアミド
から選ばれ、それらは単独で又は混合物として使用される。
【0008】
本発明の粉体組成物は、樹脂(a)と含燐化合物(b)とアミン(c)の総重量100部当たり、好ましくは、90〜99重量部のエチレン性不飽和樹脂(a)を含む。
【0009】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)は、好ましくは、下記の酸成分とグリコール成分から合成されたヒドロキシル基および/またはカルボン酸基末端ポリエステルから得られる:
酸成分は50〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸または炭素原子数2〜12の直鎖脂肪族二酸と、0〜50モル%の別の飽和および/または不飽和多酸成分(それはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジオン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸およびそれらの酸無水物から単独で又は混合物として選ばれる)を含有する;
グリコール成分は、酸成分が少なくとも50モル%のテレフタル酸またはイソフタル酸を含有する場合には20〜100モル%のネオペンチルグリコールと、または、酸成分が少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸または炭素原子数2〜12の直鎖脂肪族二酸を含有する場合には20〜100モル%の、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ−[5,2,1,02,6]−デカンから選ばれた脂環式ジオールと、または、酸成分が少なくとも50モル%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸または炭素原子数2〜12の直鎖脂肪族二酸を含有する場合には20〜100モル%の、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールから選ばれた炭素原子数2〜12の飽和直鎖脂肪族ジオールと、0〜80モル%の別のジオールを含有する。
【0010】
これらポリエステルは一般に、10〜100mgKOH/g特に25〜75mgKOH/gの範囲の酸価(AN)および/またはヒドロキシル価(OHN)、800〜14000特に1000〜8000の数平均分子量(Mn)、ポリエステルが非晶質である場合には40〜85℃のガラス転移温度(Tg)またはポリエステルが半結晶質である場合には60〜150℃の融点および50℃未満のガラス転移温度、ポリエステル1g当り二重結合0〜4.0ミリ当量特に0〜2.5ミリ当量の範囲の不飽和度、および、200℃で測定して50000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート粘度(Brookfield cone/plate viscosity)を特徴とする。
【0011】
ヒドロキシルまたはカルボキシル官能性ポリエステルはさらに、ジイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリエステルの末端ヒドロキシル基との反応から、又はエチレン性不飽和基とエポキシ官能基を有する化合物と、ポリエステルの末端カルボキシル基との反応から、(メタ)アクリロイル基でエンドキャップされたポリエステルに転化できる。
【0012】
上記反応においてジイソシアネートとの反応に使用されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−、3−および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、等々、から選ばれる。
【0013】
上記反応においてヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル基含有ポリエステルとの反応に使用されるジイソシアネートは好ましくは、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、テトラメチル−キシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、これらの2,4−ジイソシアナトジフェニルメタンとのおよびまた上記ジイソシアネート類の高級同族体との工業混合物、2,4−ジイソシアナトトルエン、およびそれらと2,6−ジイソシアナトトルエンとの工業混合物、更には、α,α’−ジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)の共重合生成物から選ばれる。
【0014】
本発明によれば、エチレン性不飽和基とエポキシ官能基を有する化合物は好ましくは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールエーテル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエーテル(メタ)アクリレート、1,3−(2−エチル−2−ブチル)−プロパンジオールグリシジルエーテル(メタ)アクリレートおよびアクリルグリシジルエーテルから選ばれる。
【0015】
本発明による組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)は好ましくは、下記特徴を示す:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して1100〜16000の、より好ましくは1300〜8500の数平均分子量(Mn)
ポリエステル1g当り二重結合0.17〜4.00ミリ当量特に0.35〜2.50ミリ当量の不飽和度。
【0016】
ポリエステル(a1)は更に、好ましくは、下記特徴を示す:
ASTM D4287に従って測定して、ポリエステルが半結晶質である場合には200℃において50000mPa.s未満のそして最も好ましくは175℃において10000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート溶融粘度
ASTM D3418に従って示差走査熱量法(DSC)によって測定したときに、ポリエステルが非晶質である場合には35〜80℃のガラス転移温度(Tg)、又はポリエステルが半結晶質である場合には60〜150℃の溶融温度、及び50℃未満のガラス転移温度。
【0017】
本発明の組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)は、より好ましくは、非晶質であるエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)であるか、またはそれと半結晶質であるエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)との混合物である。
【0018】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)は一般に、官能基を有するエチレン性不飽和化合物と、エチレン性不飽和化合物の官能基と反応可能な官能基を有するアクリル共重合体との反応から製造される。
【0019】
反応可能な官能基を有するアクリル共重合体は好ましくは、40〜95モル%の少なくとも1種のアクリルまたはメタクリルモノマーと、0〜60モル%の少なくとも1種の別のエチレン性不飽和モノマーと、5〜60モル%の、エポキシ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはイソシアネート基から選ばれた官能基を有するエチレン性不飽和モノマーとから得られる。
【0020】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)は、一般に、2工程プロセスに従って製造される。
【0021】
第一工程では、重合反応プロセスでアクリル共重合体を製造するのであるが、そこでは、官能性モノマーの一定部分を共重合して官能化アクリル共重合体を得る。通常5〜60モル%の量で存在するこの官能性モノマーは好ましくは、エポキシ官能性モノマー、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートに基づく、である。しかしながら、酸官能性モノマー(たとえば、(メタ)アクリル酸に基づく)、ヒドロキシル官能性モノマー(たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに基づく)、またはイソシアネート官能性モノマー(たとえば、TMI(ベンゼン、1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−4−(1−メチルエテニル))またはMOI(2−イソシアナトエチルメタクリレート)に基づく)も使用できる。
【0022】
通常、モノマーは、遊離基禁止剤たとえば過酸化ベンゾイル、過酸化tert−ブチル、過酸化デカノイル、アゾ−ビス−イソブチロニトリルなど、がモノマーの0.1〜5重量%の量で存在する下で、共重合される。アクリル共重合体の製造に有効なモノマーはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサン(メタ)アクリレート、およびカプロラクトン(メタ)アクリレートである。
【0023】
0〜60モル%の量で存在できるその他の共重合性モノマーは、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、塩化ビニル、エチレン、プロピレンおよびC4〜20α−オレフィンである。
【0024】
第二工程においては、付加反応は、第一工程から得られた官能化アクリレート共重合体と、カルボキシル、エポキシ、イソシアネートまたはヒドロキシル基と反応可能な官能基を介して前記官能化アクリレート共重合体と反応できる官能化エチレン性不飽和化合物一般に(メタ)アクリレートエステル基含有化合物との間で、行われる。この化合物はより好ましくは、(メタ)アクリル酸、(β−メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、MOIまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0025】
第二工程の付加反応は塊状で又は溶剤中で行うことができる。代表的な溶剤はトルエン、キシレン、n−ブチルアセテートなどである。官能化アクリレートポリマーと反応できる不飽和基を含有する化合物は50〜180℃の温度で付加される。混合物は数時間にわたって攪拌される。反応の進行は滴定によって追跡される。
【0026】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)は好ましくは、下記特徴を示す:
GPCによって測定して、1000〜20000の、より好ましくは、2000〜8000の、数平均分子量(Mn)
アクリル共重合体1g当り二重結合0.35〜3.50ミリ当量の、より好ましくは0.5〜2.5ミリ当量の、不飽和度
ASTM D4287に従って200℃で測定して50,000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート溶融粘度
ASTM D3418に従ってDSCによって測定したとき45〜100℃のガラス転移温度(Tg)。
【0027】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)は一般に、(メタ)アクリル酸とグリシジル基含有ポリフェノキシ樹脂たとえばビスフェノールA系エポキシ樹脂またはフェノールもしくはクレゾールエポキシノボラックとの反応から得られる。
【0028】
ビスフェノールA系エポキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応から製造でき、そこでは、過剰のエピクロロヒドリンがエポキシ樹脂の数平均分子量を決定する(W.G.Potter:Epoxide Resins,Springer−Verlag,New York 1970; Y.Tanaka et al.(eds.):Epoxy Resins Chemistry and Technology,Marcel Dekker,New York 1973,Chapter 2,pp.9−134)。フェノールおよびクレゾールエポキシノボラックはホルムアルデヒドとフェノールまたはクレゾールどちらかとの酸触媒縮合によって製造できる。エピクロロヒドリンによるノボラックのエポキシ化はエポキシノボラックを与える。商業的に入手可能なエポキシ樹脂、たとえば、シェル(Shell)からのエピコート(Epikote)1055、チバ(Ciba)からのアラルダイト(Araldite)GT7004またはアラルダイトECN9699、ダウ(Dow)からのD.E.R.664、等々、はエチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)の製造に利用できるグリシジル基含有ポリフェノキシ樹脂の代表例である。
【0029】
本発明に従って組成物の中に組み込まれてもよいエチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)は好ましくは、樹脂1g当り二重結合0.2〜6.0ミリ当量特に0.5〜4.5ミリ当量の不飽和度を示し、そして特に好ましい態様においては更に下記特徴を示す:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して500〜5000好ましくは650〜3500の数平均分子量(Mn)
ASTM D3418に従って示差走査熱量法(DSC)によって測定して30〜80℃のガラス転移温度(Tg)
ASTM D4287に従って200℃で測定して25,000mPa.s未満の溶融状態におけるブルックフィールドコーン/プレート粘度。
【0030】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有非芳香族エポキシ樹脂(a4)は一般に、(メタ)アクリル酸と、グリシジル基含有脂肪族樹脂たとえば水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂との、反応から得ることが可能である。
【0031】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有非芳香族エポキシ樹脂(a4)は好ましくは、下記特徴を示す:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定して450〜5000の、より好ましくは1000〜3500の、数平均分子量(Mn)
脂肪族不飽和樹脂1g当り二重結合0.4〜4.5ミリ当量の、より好ましくは0.5〜2.5ミリ当量の不飽和度
ASTM D3418に従って示差走査熱量法(DSC)によって測定して30〜80℃のガラス転移温度(Tg)
ASTM D4287に従って200℃で測定して溶融状態で20000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート粘度。
【0032】
本発明による粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリウレタン(a5)は一般に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリオールとポリイソシアネートとの反応から製造される。
(メタ)アクリロイル基含有ポリウレタンの製造に好ましく使用されるポリオールは、C2〜C15脂肪族または脂環式ジオール、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールの中から選ばれる。
【0033】
C2〜C15脂肪族または脂環式ジオールの例はエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバレートエステル、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ−[5,2,1,02,6]−デカンである。
【0034】
ポリエステルポリオール、それは好ましくは、8200〜4000の数平均分子量(Mn)を特徴とする、は一般に、理論的過剰量の脂肪族または脂環式ポリオールと芳香族、脂肪族または脂環式多酸とから製造され、多酸およびポリオールは(メタ)アクリロイル基含有ポリエステルの製造用に先に列挙したものの中から選ばれる。
【0035】
ポリエーテルポリオールの例は、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ブロック共重合体、たとえば、ポリオキシプロピレンとポリオキシエチレングリコールの組合せ、ポリ−1,2−オキシブチレンとポリオキシエチレングリコールの組合せ、ポリ−1,4−テトラメチレンとポリオキシエチレングリコールの組合せ、および2種以上のアルキレンオキシドのブレンドまたは逐次付加から製造された共重合体グリコールである。ポリアルキレンポリエーテルポリオールはいずれか既知の方法、たとえば、インターサイエンス・パブリッシャーズ社によって刊行された(1951年)エンサイクロペディア・テクノロジー第7巻第257〜262頁の中に開示されている方法、によって製造されてもよい。
【0036】
本発明のエチレン性不飽和基含有ポリウレタンの製造に使用できるポリイソシアネートの例は、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、これらの2,4−ジイソシアナトジフェニルメタンとのおよびまた上記ジイソシアネート類の高級同族体との工業混合物、2,4−ジイソシアナトトルエン、およびそれらと2,6−ジイソシアナトトルエンとの工業混合物、更には、α,α’−ジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)の共重合生成物である。
【0037】
エチレン性不飽和基含有ポリウレタンの製造に好ましく使用されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートはアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルであり、より好ましくは、ヒドロキシアルキル基の中に2〜4個の炭素原子を有するもの、たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−および3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、および2−、3−および4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0038】
本発明による組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリウレタン(a5)は好ましくは下記事項を特徴とする:
800〜15000の、より好ましくは、1300〜8500の、数平均分子量(Mn)
40〜100℃のガラス転移温度(Tg)
ポリエステル1g当り二重結合0.15〜2.00ミリ当量の範囲の、より好ましくは0.35〜1.50ミリ当量の範囲の、不飽和度
200℃で測定して100000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート粘度。
【0039】
本発明による組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和基含有ポリエステルアミド(a6)は一般に、エチレン性不飽和基とエポキシ官能基を有する化合物と、カルボキシル基を末端基としたポリエステルアミドとの反応から製造され、前記ポリエステルアミドは、カルボキシル基を末端基としたポリエステルと、ジアミンとの反応から製造される。
【0040】
ポリエステルアミドの合成に使用可能なカルボキシル基を末端基としたポリエステルは一般に、脂肪族、脂環式または芳香族多酸(混合物で又は単独で使用される)と、脂肪族または脂環式ポリオール(混合物で又は単独で使用される)とから製造され、多酸およびポリオールはどちらも、(メタ)アクリロイル基含有ポリエステルの製造用に先に列挙した通りのこれらの例の中から選ばれる。
【0041】
本発明によれば、エチレン性不飽和基とエポキシ官能基を有する化合物は好ましくは、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールエーテル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエーテル(メタ)アクリレート、1,3−(2−エチル−2−ブチル)−プロパンジオールグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、およびアクリルグリシジルエーテルから選ばれる。
【0042】
ポリエステルアミドの製造に単独または組合せどちらかで使用できるジアミンの例は、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび類似化合物から選ばれる。
【0043】
エチレン性不飽和基含有ポリエステルアミドの製造に使用可能なポリエステルアミドは一般に、米国特許第5,306,786号に特許請求されている2工程以上の手順過程に従って製造される。
【0044】
カルボン酸基含有ポリエステルアミドの合成が完了したら、好ましくは、そこに、エチレン性不飽和基とエポキシ官能基を有するモノマーを実質的に当量加え、上記に記載した通りのカルボン酸基官能性ポリエステルから出発してエチレン性不飽和基含有ポリエステルの製造のための手順に従って、(メタ)アクリロイル基含有ポリエステルアミドをもって終了する。
【0045】
エチレン性不飽和基含有ポリエステルアミド(a6)はより好ましく、下記事項を特徴とする:
800〜16000の、より好ましくは、1300〜8500の、数平均分子量(Mn)
ポリエステルが非晶質であるときに40〜70℃のガラス転移温度(Tg)
ポリエステル1g当り二重結合0.15〜2.00ミリ当量の範囲の、より好ましくは0.35〜1.50ミリ当量の範囲の、不飽和度
200℃で測定して50000mPa.s未満のブルックフィールドコーン/プレート粘度。
【0046】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和樹脂(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)および(a6)は単独で使用されるか、又は1つのタイプの1種以上の樹脂(a)を含む混合物で、又は2つ以上のタイプの(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)または(a6)の組合せで、使用される。本発明の組成物はより好ましくは、少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)を含むか、または少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)とのまたは/および少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)との混合物を含む。
【0047】
本発明の粉体組成物は好ましくは、樹脂(a)と含燐化合物(b)とアミン(c)の100重量部当たり、含燐化合物(b)を0.9〜10重量部、より好ましくは、0.9〜7重量部、含む。
【0048】
本発明の粉体組成物の中に使用可能な含燐化合物(b)は好ましくは、燐酸と、ホスフィン酸、ホスホン酸または燐酸の有機誘導体とからなる群から選ばれ、前記有機誘導体は、少なくとも1つの官能基(好ましくは末端に位置した)の存在を特徴とする少なくとも1つの有機部分を有する。かかる有機誘導体は飽和または不飽和であることができ、そして好ましくは、少なくとも1単位のオレフィン性不飽和を有する。
【0049】
より好ましくは、含燐化合物は式(VI)を有する:
【0050】
【化1】

【0051】
式中、
各Rは独立に、アルキル、アリールおよびアルケニルから選ばれ、各々は場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および/または1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく、そして各々は場合によっては1〜10個のハロゲン、ヒドロキシルおよび/またはアミノ誘導体によって置換されていてもよい;
各Rは独立に、水素またはRであり、RはRについての定義通りである;そしてnは0〜3である。
【0052】
用語「アルキル」は、ここで使用されるとき、直鎖、枝分かれ又は環状の部分またはそれらの組合せを有する炭素原子数1〜50の飽和の1価の炭化水素基を包含するものと定義される。
【0053】
用語「アルケニル」は、ここで使用されるとき、少なくとも1個の二重結合を有する炭素原子数2〜50の、直鎖、環状、枝分かれおよび非枝分かれの不飽和の炭化水素基を包含するものと定義される;たとえば、エテニル(=ビニル)、1−メチル−1−エテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−1−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、など。
【0054】
用語「アリール」は、ここで使用されるとき、1個以上の環を含む芳香族炭化水素から1個の水素の除去によって誘導された炭素原子数5〜30の有機基を包含するものと定義される;たとえば、フェニルおよびナフチル。
【0055】
用語「アルキレン」は、ここで使用されるとき、直鎖、枝分かれ又は環状の部分またはそれらの組合せを有する炭素原子数1〜50の飽和の2価の炭化水素基を包含するものと定義される。
【0056】
用語「アルケニレン」は、ここで使用されるとき、直鎖、枝分かれ又は環状の部分またはそれらの組合せを有し少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する炭素原子数2〜50の不飽和の2価の炭化水素基を包含するものと定義される。
【0057】
用語「アリーレン」は、ここで使用されるとき、1個以上の環を含む芳香族炭化水素から2個の水素原子の除去によって誘導された炭素原子数5〜30の2価基を包含するものと定義される。
用語「アラルキレン」は、ここで使用されるとき、アルキレン部分とアリーレン部分の組合せを含む2価基を表わす。
【0058】
用語「複素環」は、ここで使用されるとき、炭環式環構造に介在する少なくとも1個のO、Sおよび/またはN原子を有する芳香族または非芳香族の環状アルキルまたはアルケニル部分を包含するものと定義され、場合によっては、炭環式環構造の炭素の1つがカルボニルによって置換されていてもよい。
【0059】
用語「アミノ誘導体」は、ここで使用されるとき、式−NH(式中、片方または両方の水素が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたは複素環によって置換されていてもよい)の基を表わす。
【0060】
エーテルブリッジを含有するアルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリーレンおよびアラルキレンによって意味するのは、炭素原子が酸素原子によって置換されていて−C−O−C−のような基を形成しているアルキル、アルケニル、アルキレン、アルケニレン、アリーレンおよびアラルキレン基である。
【0061】
アミノブリッジを含有するアルキル、アルケニル、アリール、複素環またはそれらの組合せによって意味するのは、2個の炭素原子の間に第三または第二アミン基が存在していて式−C−NR−C−(式中、Rは水素、アルキルまたはアリール基を表わす)の基を形成しているかかる基である。
【0062】
−COO−ブリッジを含有するアルキレン、アルケニレン、アリーレンおよびアラルキレンによって意味するのは、2個の炭素原子の間に−C(=O)−O−基が存在していて式−C−C(=O)−O−C−の基を形成しているアルキレン、アルケニレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。
【0063】
−CO−ブリッジを含有するアルキレン、アルケニレン、アリーレンおよびアラルキレンによって意味するのは、2個の炭素原子の間に−C(=O)−基が存在していて式−C−C(=O)−C−の基を形成しているアルキレン、アルケニレン、アリーレンまたはアラルキレン基である。
【0064】
含燐化合物の特に好ましい群は式(VII)に相応するものである:
【0065】
【化2】

【0066】
式中、
各Rは独立に、水素、または炭素原子数1〜8のアルキル基である;
各Rは独立に、水素、炭素原子数1〜8のアルキル基、および炭素原子数1〜8のハロアルキル基から成る群から選ばれる;
各Aは独立に、炭素原子数1〜9のアルキレン基であり、場合によっては1〜3個のエーテルブリッジを含有していてもよい;そして
mは1〜3である。
【0067】
代表的な含燐化合物は、限定されるものではないが、次のものを包含する:2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、メチル−(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、メチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、エチル−(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、エチル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、メチル−ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、メチル−ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、エチル−ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、エチル−ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、シクロヘキセン−3−ホスホン酸、α−ヒドロキシ−2−ブテン−ホスホン酸、ビニルホスホン酸、ジビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、アリル−ビニルホスホン酸、ジアリルホスホン酸、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、アリル−(2−アクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、アリル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、ビニル−(2−アクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、ビニル−(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスホン酸、アリルホスフィン酸、ビニルホスフィン酸、2−アクリロイルオキシエチルホスフィン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスフィン酸、およびそれらの混合物。
【0068】
本発明による組成物はより好ましくは、式(VII)(式中、Rは水素またはメチルであり、Rは水素であり、そしてAは炭素原子数2〜6のアルキレン、より好ましくは、エチレン、であり、そしてmは1、2または3である)の一つまたはそれ以上の化合物を含む。
【0069】
特に好ましいのは、Pと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応生成物を含む組成物である。
【0070】
本発明による組成物の中に使用可能なアミン(c)は、少なくとも1個の下記式の基を含むいずれの有機化合物であることもできる:
【0071】
【化3】

【0072】
式中、
各R´は独立に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、複素環またはそれらの組合せを表わし、各々は場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ誘導体によって置換されていてもよく、そして場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個のアミノブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および/または1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく;2個のR´部分は環を形成するために互いに結合していてもよい。
【0073】
本発明による組成物の中に使用可能なアミン(c)はより好ましくは、式(I)、(II)、(III)または(IV)のアミンであるか、又は式(V)の基を1つ以上含有するポリマーであるか、又はそれらの混合物である:
【0074】
【化4】

【0075】
式中、
各Rは独立に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、複素環またはそれらの組合せから選ばれ、各々は場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルによって置換されていてもよく、そして場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および/または1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく;2個のR部分は環を形成するために互いに結合していてもよい;
各Rは独立に、アルキレン、アルケニレン、アリーレンまたはアラルキレン鎖を表わし、それは1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジおよび/または1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく、そしてそれは場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルによって置換されていてもよい;
但し、式(I)のアミンはNHでないことを条件とする。
【0076】
式(V)の基を1つ以上含有するポリマーにおいては、式(V)の基(単数または複数)はポリマーに直接に結合されていてもよいし又はRについて定義した通りの鎖を介して結合されていてもよい。
星印()は式(V)の基がポリマー鎖に結合する位置を示している。
【0077】
本発明の組成物の中に使用可能なアミン(c)は好ましくは、80℃を超す沸点を有する、より好ましくは、100℃を超す沸点を有する。
本発明によるアミン(c)においては、Rは好ましくはC1〜6アルキルであり;Rは好ましくはC1〜12アルキレンである。アミン(c)が式(V)の基を1つ以上含有するポリマーである場合、ポリマーは好ましくはポリ(メタ)アクリレートである。
【0078】
本発明の粉体組成物の中に使用可能なアミン(c)はより好ましくは、プロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、アニリン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(エチルアミノ)プロピルアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3,3’−イミノビス(N,N’−ジメチルプロピルアミン)、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、アミノエトキシエタノール、アミノエタノール、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、2−(ジエチルアミノ)エチルアミン、ジエチレントリアミン、2−メトキシエチルアミン、メチレンジアニリン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、ジ(2−メトキシエチル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノジグリコール、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、ジトリデシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、メチルジエタノールアミン、N−モノメチルエタノールアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタン、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロトリアジン、1,4−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、シス−2,6−ジメチルモルホリン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、ヒドロキシエチルピペリジン、イミダゾール、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシメチル、メトキシメチルおよび/またはブトキシメチルによって置換されていてもよく、および/またはアミン含有アクリル共重合体、特に、たとえば2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレートおよび/または2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートなどを組み込んであるもの、から選ばれ、それらは混合物または単独で使用される。
【0079】
本発明の組成物に有効な最も好ましいアミンはN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンである。
【0080】
本発明による組成物は場合によっては、(a)と(b)と(c)と(d)の全重量100部当たり、エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)を20重量部以下、好ましくは10重量部以下、含有してもよい。
【0081】
本発明の組成物の中に使用可能なエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)は好ましくは、(メタ)アクリレート基、アリル基またはビニル基を有する化合物からなる群から選ばれ、オリゴマーはポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル共重合体などから誘導される。
【0082】
エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)はより好ましくは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレートおよびトリ(メタ)アクリレート、エポキシ化合物(たとえば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)とアクリル酸またはメタクリル酸との反応によって生成されるエポキシアクリレートおよびメタクリレート、有機ジ−またはポリイソシアネートとヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートおよび場合によってはモノ−および/またはポリヒドロキシル化アルコールとの反応によって生成されるウレタンアクリレートおよびメタクリレート(たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとトルエンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートとの反応生成物)、アクリルアクリレートまたはメタクリレート、たとえば、(メタ)アクリル酸とグリシジル基含有共重合体(n−ブチルメタクリレートやメチルメタクリレートなどのようなアクリルモノマーの共重合によって得られる)との反応生成物、から選ばれる。
【0083】
いずれも先に記載した、いずれもエチレン性不飽和基を含有している、非晶質および/または半結晶質ポリエステル(a1)および/またはアクリル共重合体(a2)および/またはポリフェノキシ樹脂(a3)および/または非芳香族エポキシ樹脂(a4)、および/またはポリウレタン(a5)および/またはポリエステル(a6)を、場合によってはエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)と一緒に、そして燐基含有化合物(b)およびアミン(c)を、UV照射によって又は加速電子ビームによって硬化可能な粉体組成物の製造における結合剤として使用することが意図されており、前記組成物は特に、たとえば、それ自体、摩擦電気または静電気スプレーガンの手段による付着の技法による又は流動床の中での付着の技法による適用に導くワニスおよびペイントとして使用することが可能である。放射線硬化性粉体組成物はそのようなワニスまたはペイントとして使用できるし、又は望むならば、組成物は粉体ワニスおよびペイントの製造に通常使用されている更なる成分を添加することによってワニスまたはペイントの製造に使用できる。
【0084】
従って、本発明はこれら組成物を使用して得られる粉体ワニスまたはペイントにも関する。
【0085】
最後に、本発明はまた、物品特に金属物品を被覆する方法に関し、該方法は本発明による放射線硬化性粉体組成物を前記物品に、たとえば、摩擦電気または静電気スプレーガンでの吹き付けによる付着によって又は流動床の中での付着によって適用した後に、そうして得られた塗膜をたとえば80〜150℃の温度でたとえば約0.5〜10分間加熱することによって溶融し、そして溶融状態の塗膜をUV照射によってまたは加速電子ビームによって硬化することを含む。
【0086】
本発明による粉体組成物を加速電子ビームによって放射線硬化するためには、このタイプの放射線がそれ単独で硬化を著しく迅速にするのに十分な高度の遊離基生成をもたらすことをみれば、光開始剤を使用することは必ずしも必要ない。対照的に、波長が200〜600nm(UV線)である放射線による、本発明の粉体組成物の光硬化に関する場合には、少なくとも1種の光開始剤が必須である。
【0087】
本発明に従って使用できる光開始剤はこの目的のために普通に使用されているものから選ばれる。
使用できる適切な光開始剤は芳香族カルボニル化合物、たとえば、ベンゾフェノンおよびそのアルキル化またはハロゲン化誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、チオキサントンおよびその誘導体、ベンゾインエーテル、芳香族または非芳香族アルファジオン、ベンジルジアルキルアセタール、アセトフェノン誘導体およびホスフィンオキシドである。
【0088】
適するであろう光開始剤は、たとえば、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−、3−または4−ブロモアセトフェノン、2,3−ペンタンジオン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンズアルデヒド、ベンゾイン、ベンゾフェノン、9,10−ジブロモアントラセン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンジル)ホスフィンオキシド、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(イルガキュア(Irgacure)2959)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819)などである。
【0089】
場合によっては、光賦活剤、たとえば、トリブチルアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、シクロヘキシルアミン、ジフェニルアミン、トリベンジルアミン、またはアミノアクリレート類、たとえば、第二アミンたとえばジメチルアミンやジエチルアミンやジエタノールアミンなどと、ポリオールポリアクリレートたとえばトリメチロールプロパンや1,6−ヘキサンジオールなどのジアクリレートとの付加生成物、を使用することは有益であろう。
【0090】
本発明による粉体組成物は、(a)+(b)+(c)+(d)の全重量100部当り、光開始剤を0〜15部、好ましくは0.5〜8部、含有することができる。
【0091】
本発明によれば、放射線硬化性粉体組成物および粉体ワニスまたはペイントは、それぞれ、粉体ペイントおよびワニスの製造に通常使用されている様々な添加剤、たとえば、UV光吸収剤(たとえば、チヌビン(Tinuvin)900(チバ))、光安定剤、たとえば、立体障害アミン(たとえば、チバからのチヌビン144)、流動度調節剤(たとえば、レジフロー(Resiflow)PV5(ウォーリー(Worlee))、モダフロー(Modaflow)(モンサント)、アクロナル(Acronal)4F(BASF)またはクリルコート109(Crylcoat)(UCB))、脱泡剤(degassing agents)、たとえば、ベンゾインなど、コーティング特性改質物質(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン変性ポリエチレンワックス(たとえば、ルブリゾル(Lubrizol)からのランコ(Lanco)ワックスTF1830)、ポリエチレンワックス(たとえば、BYKケミーからのセラフロア(Ceraflour)961)、ポリプロピレンワックス(たとえば、ルブリゾルからのランコワックスPP1362)、ポリアミドワックス(たとえば、ELFアトケムからのオルガゾル(Orgasol)3202D NAT)、オルガノシリコーン(たとえば、プロテックス(Protex)からのモダレズ(Modarez)S304P)、等々、またはそれらの混合物)、を含有することもできる。場合によって、これら物質は(a)+(b)+(c)+(d)の全重量100部当り0〜10部添加される。
【0092】
様々な顔料および充填剤もまた、本発明による放射線硬化性粉体組成物に添加できる。顔料および充填剤の例としては、金属酸化物、たとえば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛など、金属水酸化物、金属粉末、硫化物、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩たとえば珪酸アンモニウム、カーボンブラック、タルク、カオリン、バライト、紺青(iron blues)、リードブルー(lead blues)、有機レッド、有機マロン(organic maroons)、等々、が挙げられる。
【0093】
顔料および/または充填剤の量は通常、(a)+(b)+(c)+(d)の全重量100部当り40重量部未満である。
【0094】
本発明による組成物は好ましくは、少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂(a)、少なくとも1種の含燐化合物(b)、少なくとも1種のアミン(c)、さらに、(a)+(b)+(c)+(d)の全重量100部当り0〜20重量部のエチレン性不飽和オリゴマーまたはモノマー(d)、0〜15重量部の光開始剤、0〜10重量部の、UV光吸収剤、光安定剤、流動度調節剤、脱泡剤およびコーティング特性改質物質から選ばれた添加剤、および/または0〜40重量部の顔料および/または充填剤からなる。
【0095】
本発明の放射線硬化性粉体組成物の製造には、いずれもエチレン性不飽和基を含有している、非晶質および/または半結晶質ポリエステル(a1)および/またはアクリル共重合体(a2)および/またはポリフェノキシ樹脂(a3)および/または非芳香族エポキシ樹脂(a4)および/またはポリウレタン(a5)および/またはポリエステル(a6)、および/または存在する場合にはエチレン性不飽和オリゴマー(d)、燐基含有化合物(b)およびアミン(c)、場合によっては光開始剤、場合によっては、粉体ペイントおよびワニスの製造に通常使用されている様々な追加物質、および場合によっては、コーティング特性改質物質を、たとえば、タンブラーミキサーの中で、乾式混合する。それから、混合物を押出機の中で、たとえば、Buss Ko−Kneterの1軸スクリュー押出機またはWerner−Pfleiderer、APV−BakerもしくはPrismタイプの2軸スクリュー押出機の中で、一般に60〜150℃の範囲の温度において均質化する。それから、押出物を放冷し、粉砕し、そして篩い分けして粒子サイズが好ましくは10〜150μmである粉体を得る。
【0096】
代わりに、合成されて未だ溶融段階にあるエチレン性不飽和樹脂(a1)および/または(a2)および/または(a3)および/または(a4)および/または(a5)および/または(a6)に、別のエチレン性不飽和樹脂(a1)および/または(a2)および/または(a3)および/または(a4)および/または(a5)および/または(a6)および/またはエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)、含燐化合物(b)およびアミン(c)を、固体として又は液状段階で、添加することができ、そうして、本発明の粉体組成物の結合剤を構成する。そうでなく、合成されて未だ溶融段階にあるエチレン性不飽和樹脂(a1)および/または(a2)および/または(a3)および/または(a4)および/または(a5)および/または(a6)を、別のエチレン性不飽和樹脂(a1)および/または(a2)および/または(a3)および/または(a4)および/または(a5)および/または(a6)および/またはエチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)、含燐化合物(b)およびアミン(c)の製造のための溶剤として使用することができ、そうして本発明の粉体組成物の結合剤をつくり上げる。こうして得られた結合剤に、上記のように、場合によっては光開始剤を、場合によっては、粉体ペイントおよびワニスの製造に通常使用されている様々な追加物質を、そして場合によってはコーティング特性改質物質を、混合する。
【0097】
上記方法の代わりに、本発明の結合剤システムの様々な不飽和成分、場合によっては光開始剤、および様々な追加物質を、ジクロロメタンのような溶剤の中に溶解/懸濁し、練磨して約30重量%の固形物を含有する均質懸濁物を得、そしてその後に、それ自体既知の方法に従って、たとえば約50℃の温度で噴霧乾燥することによって、溶剤を蒸発させることも可能である。
【0098】
こうして得られた粉体ペイントおよびワニスは、被覆されるべき物品に、通常の技法によって、すなわち、いわゆる周知の技法によって、たとえば、流動床の中での付着によって又は摩擦電気または静電気スプレーガンでの適用によって、適用するのに実に適している。
【0099】
関係物品に適用した後、粉体粒子を前記物品の表面の平滑な均一連続塗膜として溶融し展開することを得るために、この付着塗膜を、たとえば、強制循環炉の中で、又は赤外ランプの手段によって、80〜200℃の温度で、たとえば約0.5〜10分間加熱する。この溶融塗膜を、それから、たとえば、中圧水銀蒸気UV放射線源(好ましくは少なくとも80〜250W/直線cmの)によって、又はその他のいずれか現時点の技術水準の周知の源によって、放出されたUV光のような放射線によって、たとえば約5〜20cmの距離において、そして塗膜を硬化するのに十分な時間たとえば1〜60秒間にわたって、硬化する。溶融塗膜は加速電子ビーム(好ましくは、少なくとも150keVの)で硬化することもでき、使用される装置の電力は重合によって硬化されるべき組成物層の厚さの一次関数である。
【0100】
本発明はまた、塗装プロセスによって部分的に又は完全に被覆された物品に関する。
本発明による放射線硬化性粉体組成物は多様な殆どの基体、たとえば、紙、厚紙、木材、繊維ボード、編織物、プラスチックたとえばポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、共重合体たとえばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ASB)または酢酪酸セルロースなど、に適用できるが、特に、銅、アルミニウム、鋼などのような様々な特性の金属基体の上に、広範な金属前処理なしでも、適用するように設計されている。
【0101】
以下の実施例は本発明を限定することなく例証する。別に指定した場合を除いて、記述全体を通して及び実施例の中で言及した部数は重量部である。
【実施例1】
【0102】
工程1
369.7部のネオペンチルグリコールと10.2部のトリメチロールプロパンの混合物を2.1部のn−ブチル錫トリオクトエート触媒と一緒に通常の4口丸底フラスコの中に入れる。
【0103】
フラスコ内容物を窒素下で攪拌しながら約140℃の温度に加熱する。そこで、528.7部のテレフタル酸を27.8部のアジピン酸と一緒に、攪拌しながら加え、そして混合物を徐々に230℃の温度に加熱する。蒸留は約190℃から始まる。理論量の水の約95%を蒸留されそして透明プレポリマーが得られた後に、混合物を200℃に冷却する。
【0104】
こうして得られたヒドロキシル官能化プレポリマーは、
AN= 10mgKOH/g
OHN= 51mgKOH/g
を特徴とする。
【0105】
工程2
200℃の状態にある第一工程のプレポリマーに、96.5部のイソフタル酸を加える。そうして、混合物を徐々に225℃に加熱する。225℃で2時間の後に、そして反応混合物が透明であるときに、0.8部のトリブチルホスファイトを加え、そして徐々に50mmHgの真空を適用する。
【0106】
225℃および50mmHgにおいて3時間後には、次の特性が得られる:
AN= 30mgKOH/g
OHN= 2mgKOH/g
Brfld200℃=5400mPa.s
【0107】
工程3
カルボニル官能化ポリエステルを150℃に冷却し、そして0.9部のジ−t−ブチルヒドロキノンを4.6部のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドと一緒に加える。次いで、酸素下で攪拌しながら、77.3部のグリシジルメタクリレートをゆっくり加える(30分)。添加後1時間したら、次の特性のメタクリロイル不飽和ポリエステルが得られる:
AN= 5mgKOH/g
OHN= 39mgKOH/g
不飽和= 1.5ミリ当量/g
Brfld200℃= 3800mPa.s
Tgquenched(DSC、20°/分)= 56℃
Mn(GPC)= 4000
【実施例2】
【0108】
152.2部のエチレングリコールと727.1部のドデカン酸の混合物を、2.0部のn−ブチル錫トリオクトエート触媒と一緒に、実施例1の手順に従う反応につかせる。
【0109】
フラスコ内容物を窒素下で攪拌しながら約140℃の温度に加熱し、その時点で反応器から水が蒸留する。加熱を220℃の温度まで継続する。大気圧下での蒸留が止んだら、0.8部のトリブチルホスファイトを加え、そして徐々に50mmHgの真空を適用する。
【0110】
220℃および50mmHgにおいて3時間後に、次の特性が得られる:
AN= 52mgKOH/g
OHN= 2mgKOH/g
【0111】
次に、カルボニル官能化ポリエステルを冷却しそして実施例1の手順に従ってメタクリル化を行う。ポリエステルが140℃の状態になったら、1.2部のジ−t−ブチルヒドロキノンと3.9部のベンジルトリフェニルホスホニウムクロリドを、201.1部のグリシジルメタクリレートのゆっくりしたアリメンテーション(alimentation)と一緒に、加える。混合物を酸素下で140℃において1時間攪拌して次の特性を得る:
AN= 2mgKOH/g
OHN= 48mgKOH/g
不飽和= 0.8ミリ当量/g
Brfld200℃= 150mPa.s
Tmquenched(DSC、20°/分)= 65℃
Mn(GPC)= 2530
【実施例3】
【0112】
攪拌機、酸素用入口、(メタ)アクリル酸用入口、および温度調節器に取り付けた熱電対を装備した、通常の4口丸底フラスコの中で、910部のアラルダイト(Araldite)GT7004、ビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂、を酸素下で140℃の温度に加熱する。次いで、0.8部のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドを加え、そして0.2部のジ−t−ブチルヒドロキノンを含有する90部のアクリル酸の添加を開始する。アクリル酸の添加は3時間で終了する。アクリル酸の添加終了後1時間半したら、次の特性をもつ樹脂が得られる:
AN= 7mgKOH/g
不飽和= 1.24ミリ当量/g
Brfld200℃= 700mPa.s
Tgquenched(DSC、20°/分)= 49℃
Mn(GPC)= 1650
【実施例4】
【0113】
攪拌機、2つの添加漏斗、および温度調節器に取り付けた熱電対を装備した、通常の4口丸底フラスコの中に、360.89部の量のブチルアセテートを加え、そして92℃に加熱する。次いで、90.22部のブチルアセテートと5.70部の2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)の混合物を215分間かけて加える。添加の開始から5分したら、反応器に、128.25部のグリシジルメタクリレートと322.79部のスチレンと22.55部のドデシルメルカプタンの混合物からなる第二添加を180分間かけて加える。
【0114】
添加が終了したら、反応を100分間継続する。次いで、使用した溶剤を蒸発させるために真空を適用する。次の特性をもつアクリル共重合体が得られる:
Tg= 76℃
E.E.W.(エポキシ当量重量)= 530g/当量
Mn= 2685
Mw= 5650
【0115】
こうして得られたアクリル共重合体を次いで125℃の温度に加熱する。反応容器全体に空気流を生じさせる。
反応器に、2.25部のノルソクリル(Norsocryl)200を加え、そして15分後に、2.25部のtert−ブチルホスホニウムアセテートを加える。次いで、65.01部のアクリル酸を30分間かけて加える。
【0116】
200分の反応時間の後に、次の特性をもつアクリル共重合体が得られる:
AN= 4.5mgKOH/g
Brookfield150℃= 35000mPa.s
残留溶剤= 0.2重量%
Tg= 70℃
U.E.W.= 1.49ミリ当量/g
Mn= 3145
Mw= 9600
【実施例5】
【0117】
攪拌機、酸素用入口、ヒドロキシエチルメタクリレート用入口、および温度調節器に取り付けた熱電対を装備した、通常の二重壁フラスコ(double walled flask)の中に、450部のトルエンと0.6部のヒドロキノンを装填する。そこへ、162.3部の五酸化燐を、5分経過したら、攪拌しながら加える。そこで、445.7部のヒドロキシエチルメタクリレートを0.6部のヒドロキノンと一緒に、30分間かけてゆっくり添加する;その間、温度を70℃未満に保つために混合物を冷却する。ヒドロキシエチルメタクリレート添加の完了から1時間後に、フラスコ内容物を冷却し、そして回転蒸発器を使用してエチレン性不飽和含燐化合物を単離する。
【実施例6】
【0118】
攪拌機、水冷式冷却器、窒素用入口、および温度調節器に取り付けた熱電対を装備した、5リットルの二重ジャケットフラスコの中に、392.16部のn−ブチルアセテートを移送する。
【0119】
溶剤の中に窒素をパージしながらフラスコ内容物を加熱し連続攪拌する。92℃の温度で、フラスコの中へ、98.04部のn−ブチルアセテートと19.61部の2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)の混合物を蠕動運動ポンプで215分間かけて供給する。この供給の開始から5分後に、もう一つのポンプで第二のものを開始し、それは、
169.50部の2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート
320.69部のイソボルニルアクリレート
の混合物である。この供給は180分間かかる。
【0120】
全合成時間315分の後に、フラスコ内容物を空にする。サンプルは未反応モノマー含量についてガスクロマトグラフィー分析が行われる。
【0121】
分析結果は、0.31質量%のイソボルニルアクリレートと0.01%の2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートという残留未反応モノマー含量を示す。
【0122】
得られたポリマー溶液の溶剤(ブチルアセテート)を、回転蒸発器の中で、7〜10hPaの減圧空気圧において、160℃で、120分間蒸発させる。
【0123】
ポリマーは次のことを特徴とする:
ガラス転移温度(DSC(quenched)): 42℃
Mn(GPC): 1110
Brfld175℃: 2470mPa.s
【実施例7】
【0124】
放射線硬化性粉体塗料組成物の製造
静電気スプレーガンの助けで吹き付けることによって塗膜を製造するのに使用できる一連の黒色粉体は、実施例1および/または2のポリエステルを、場合によっては、本発明に従い実施例3の(メタ)アクリロイル基含有エポキシ樹脂または実施例4のアクリル共重合体、実施例5で製造されるエチレン性不飽和燐化合物および様々なアミノ化合物との組合せで含む結合剤から製造され、そして比較のためにはアミノ化合物無しでエチレン性不飽和燐化合物だけを含有する組成物またはエチレン性不飽和燐化合物もアミノ化合物も含有しない組成物から製造され、これら粉体の処方物は下記の通りである:
【0125】
結合剤 980部
ミクロリン(Microlin)ブラック(チバ) 20部
α−ヒドロキシケトン(イルガキュア2959(チバ)) 8部
ビスアシルホスフィンオキシド(イルガキュア819(チバ)) 32部
流動度調節剤(レジフローPV5(ウォーリーケミー)) 10部
【0126】
これら粉体組成物は次のように製造される:エチレン性不飽和樹脂、含燐化合物およびアミノ化合物を、そして存在するときには光開始剤を、粉体ペイントの製造に通常使用されている様々な追加物質と共に、乾式混合する。得られた混合物をプリズム(Prism)16mm(L/D=15/1)2軸スクリュー押出機(プリズム社からの)の中で約70〜140℃の温度で均質化し、そして押出物をアルパイン(Alpine)100UPZの粉砕機(アルパイン社からの)の中で粉砕する。完全なものにするには、10〜110μmの粒子の大きさを得るために粉体を篩い分けする。
【実施例8】
【0127】
塗膜の特性
本発明に従う結合剤組成物をもって及び比較のために与えられた結合剤システムをもって実施例7に記載されている通りに処方された粉体を、電圧60kVでの静電気スプレーガンによって、燐酸亜鉛処理鋼(zinc phosphated steel)パネルの上に80〜90μmの塗膜厚さで適用する。
【0128】
それから、付着塗膜を中赤外/対流オーブン(トリアブ(Triab))の中で、140℃の温度で、約3分間、溶融させ、次いで、160W/cm中圧水銀UV電球(フュージョンUVシステム社)によってフォローされた160W/cmガリウムドープによって放出された紫外光による照射を、全UV線量4000mJ/cmで、受けさせる。
【0129】
こうして得られた硬化塗膜に通常の試験を受けさせる。得られた結果は表1に示されており、そこの各欄に示されているのは次の通りである:
第1欄:処方物の実施例の番号
第2欄:完成結合剤の中の、エチレン性不飽和樹脂の製造実施例の番号と完成結合剤中のそれの重量%
第3欄:完成結合剤の中の、実施例5の含燐化合物の重量%
第4欄:完成結合剤の中の、アミノ化合物の特性とそれの重量%
第5欄:燐酸亜鉛処理鋼の上でのASTM D2795に従うダイレクトインパクト(DI)およびリバースインパクト(RI)に対する耐衝撃値(kg.cm)
第6欄:ASTM D3359に従うテープ試験による燐酸亜鉛処理鋼の上でのクロスカット接着についての格付け値、それによれば、
5B:カットの縁端が完全に平滑である;格子のます目のどれもが脱離しない。
4B:交差箇所において塗膜の小さなフレークが脱離する;面積の5%未満がそうなる。
3B:カットの縁端および交差箇所に沿って塗膜の小さなフレークが脱離する;そうなる面積が格子の5〜15%である。
2B:縁端に沿って及びます目の部分の上で塗膜が剥落している;そうなる面積が格子の15〜35%である。
1B:塗膜がカットの縁端に沿って大きな帯状に剥落しており、そしてます目全体が脱離する;そうなる面積が格子の35〜65%である。
0B:剥落および脱離が等級1よりも悪い。
【0130】
クロスカット接着試験の評価は燐酸亜鉛処理鋼の上で時間の関数として行い、そこでは、樹脂、粉体および硬化塗膜のそれぞれの経時は明確に規定された期間特に下記の期間の後に評価した:
樹脂については:4週間の経時
粉体については:5週間の経時
硬化塗膜については:1時間の経時と、その後に4週間、8週間、12週間および16週間の経時
【0131】
【表1】

【0132】
tBA:トリ−n−ブチルアミン
tMeHMDA:N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン
Ex.6=実施例6で製造された通りのアミノ化合物
【0133】
クロスカット接着試験の結果は下記の表2および表3の中に、それぞれ、本発明に従う実施例9、実施例10および実施例11の塗膜について、および比較例として与えられた実施例13R、15Rおよび実施例16Rの塗膜について、再現されている。
【0134】
これら表の中では、
第1欄:経時を週数(weeks)で表わす
第2欄:結合剤の経時における塗膜のクロスカット接着の値を表わす
第3欄:粉体の経時における塗膜のクロスカット接着の値を表わす
第4欄:塗膜の経時における塗膜のクロスカット接着の値を表わす
【0135】
【表2】

【0136】
【表3】

【0137】
上記表から、次のことが明らかである:本発明(Ex.9、10、11)に従って燐およびアミン化合物を含む粉体から得られた塗膜については、結合剤および/または粉体および/または塗膜の経時においても金属への顕著な接着性が持続しているが、比較としてアミン化合物を含まない結合剤から誘導された粉体から得られた塗膜(Ex.13R、15Rおよび16R)では、初期の良好な接着は樹脂または粉体または塗膜のいずれの経時においても退行している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)+(b)+(c)の100重量部当たり、
(a)70〜99.4重量部の少なくとも1種のエチレン性不飽和樹脂、
(b)0.5〜20重量部の少なくとも1種の含燐化合物、および
(c)0.1〜10重量部の少なくとも1種のアミン
を含む放射線硬化性粉体組成物。
【請求項2】
アミン(c)が、式
【化1】


(式中、各R´は独立に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、複素環またはそれらの組合せを表わし、各々は場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルおよび(または)アミノ誘導体によって置換されていてもよく、そして場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個のアミノブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および(または)1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく;2個のR´部分は環を形成するために互いに結合していてもよい。)
の基を少なくとも1個含む有機化合物である、請求項1に記載の放射線硬化性組成物。
【請求項3】
アミン(c)が式(I)、(II)、(III)または(IV)のアミンであるか、又は式(V)の基を1個またはそれ以上含有するポリマーであるか、又はそれらの混合物である:
【化2】


(式中、
各Rは独立に、水素、アルキル、アルケニル、アリール、複素環またはそれらの組合せから選ばれ、各々は場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルによって置換されていてもよく、そして場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および(または)1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく;2個のR部分は環を形成するために互いに結合していてもよい;
各Rは独立に、アルキレン、アルケニレン、アリーレンまたはアラルキレン鎖を表わし、それは1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジおよび(または)1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく、そしてそれは場合によっては1個またはそれ以上のヒドロキシルによって置換されていてもよい。)、請求項2に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項4】
アミン(c)が、プロピルアミン、ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、アニリン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(エチルアミノ)プロピルアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、3,3’−イミノビス(N,N’−ジメチルプロピルアミン)、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ−(2−エチルヘキシル)アミン、トリデシルアミン、3−アミノ−1−プロパノール、アミノエトキシエタノール、アミノエタノール、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、2−(ジエチルアミノ)エチルアミン、ジエチレントリアミン、2−メトキシエチルアミン、メチレンジアニリン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,2−エタンジアミン、ジ(2−メトキシエチル)アミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノジグリコール、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジメチルエチルアミン、ジトリデシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、メチルジエタノールアミン、N−モノメチルエタノールアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ−2,2,2−オクタン、1,3,5−トリス(ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロトリアジン、1,4−ジメチルピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、シス−2,6−ジメチルモルホリン、ピペラジン、N−メチルピペラジン、N−エチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、ヒドロキシエチルピペリジン、イミダゾール、場合によって1個またはそれ以上のヒドロキシメチル、メトキシメチルおよび(または)ブトキシメチルによって置換されていてもよい2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、および(または)2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレートおよび(または)2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレートを組み込んであるアミン含有アクリル共重合体、またはそれらの混合物から選ばれる、請求項3に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項5】
アミンがN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンである、請求項4に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項6】
含燐化合物(b)が式(VI)
【化3】


(式中、
各Rは独立に、アルキル、アリールおよびアルケニルから選ばれ、各々は場合によっては1〜3個のエーテルブリッジ、1〜3個の−CO−ブリッジ、および(または)1〜3個の−COO−ブリッジを含有していてもよく、そして各々は場合によっては1〜10個のハロゲン、ヒドロキシルおよび(または)アミノ誘導体によって置換されていてもよい;
各Rは独立に、水素またはRであり、RはRについての定義通りである;そしてnは0〜3である。)
に相当する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項7】
含燐化合物(b)が式
【化4】


(式中、
各Rは独立に、水素、または炭素原子数1〜8のアルキル基である;
各Rは独立に、水素、炭素原子数1〜8のアルキル基、および炭素原子数1〜8のハロアルキル基から成る群から選ばれる;
各Aは独立に、炭素原子数1〜9のアルキレン基であり、場合によっては1〜3個のエーテルブリッジを含有していてもよい;そして
mは1〜3である。)
に相当する、請求項6に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項8】
が水素またはメチルであり、Rが水素であり、Aがエチレン基であり、そしてmが1、2または3である、請求項7に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項9】
エチレン性不飽和樹脂(a)が、
(a1)エチレン性不飽和基含有ポリエステル、
(a2)エチレン性不飽和基含有アクリル共重合体、
(a3)エチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂、
(a4)エチレン性不飽和基含有非芳香族エポキシ樹脂、
(a5)エチレン性不飽和基含有ポリウレタン、
(a6)エチレン性不飽和基含有ポリエステルアミド、
またはそれらのいずれかの混合物
から選ばれる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項10】
エチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)はジイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシル基含有ポリエステルとの反応から又はエチレン性不飽和基およびエポキシ官能基を有する化合物とカルボキシル基を含有するポリエステルとの反応から得ることができる、請求項9に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項11】
エチレン性不飽和ポリエステル(a1)が、
1100〜16000の範囲の数平均分子量
ポリエステル1g当り二重結合0.17〜4.00ミリ当量の不飽和度
を特徴とする、請求項9または10に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項12】
非晶質である少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)を含むか、又は非晶質である少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)と半結晶質である少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)の混合物を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項13】
エチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)が、
アクリルまたはメタクリル基を有する少なくとも1種のモノマー40〜95モル%、別のエチレン性不飽和モノマー0〜60モル%、およびエポキシ、カルボキシル、ヒドロキシルまたはイソシアネート基から選ばれた官能基を有するエチレン性不飽和モノマー5〜60モル%から得られたアクリル共重合体と、
エチレン性不飽和基を有しかつカルボキシル、エポキシ、イソシアネートまたはヒドロキシル基と反応可能な官能基を有する化合物と
の反応から得られ、
前記アクリル共重合体(a2)が、
1000〜20000の範囲の数平均分子量、
アクリル共重合体1g当り二重結合0.35〜3.50ミリ当量の不飽和度、
50,000mPa.s未満の溶融粘度(200℃におけるコーン/プレート)、および
45〜100℃の範囲のガラス転移温度
を特徴とする、
請求項9〜12のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項14】
エチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)が(メタ)アクリル酸とグリシジル基含有ポリフェノキシ樹脂との反応生成物であり、前記ポリフェノキシ樹脂(a3)が
500〜5000の範囲の数平均分子量、
30〜80℃の範囲のガラス転移温度、
ポリフェノキシ樹脂1g当り二重結合0.2〜6.0ミリ当量の範囲の不飽和度、および
25000mPa.s未満の溶融粘度(200℃におけるコーン/プレート)
を特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)を含むか、又は少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリエステル(a1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有ポリフェノキシ樹脂(a3)との及び(又は)少なくとも1種のエチレン性不飽和基含有アクリル共重合体(a2)との混合物を含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項16】
(a)+(b)+(c)+(d)の100重量部当たり、エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマー(d)を0〜20重量部、光開始剤を0〜15重量部、UV光吸収剤、光安定剤、流動度調節剤、脱泡剤およびコーティング特性改質物質から選ばれた添加剤を0〜10重量部、そして(または)、顔料および(または)充填剤を0〜40重量部、含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物を含む粉体ワニスまたは粉体ペイント。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の放射線硬化性粉体組成物または請求項17に記載の粉体ワニスまたは粉体ペイントを物品の上に付着させた後に、そうして得られた塗膜を溶融し、そして溶融状態の塗膜を放射線硬化する、物品被覆方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法によって部分的に又は完全に被覆された物品。

【公表番号】特表2008−516020(P2008−516020A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535047(P2007−535047)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010344
【国際公開番号】WO2006/037493
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(505365965)サイテック サーフェース スペシャリティーズ、エス.エイ. (38)
【Fターム(参考)】