説明

放射線硬化性被覆材料

本発明は、新規の光開始剤を有する放射線硬化性被覆材料及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、新規の光開始剤を有する放射線硬化性被覆材料及びその使用に関する。
【0002】
光開始剤として、本発明により、増感剤とも呼ばれる、少なくとも1つの増感剤色素と、共開始剤とも呼ばれる、少なくとも1つのラジカル開始剤を含有する2成分のIR光開始剤系が使用される。
【0003】
増感剤色素として、従来技術では、色素、殊にシアニン色素、キサンチリウム色素又はチアジン色素が使用され、かつ共開始剤として、例えば、ボラネート塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホン、ペルオキシド、ピリジンN−オキシド又はハロゲンメチルトリアジンが頻繁に使用される。
【0004】
シアニン色素は、シアニンカチオンと相応するアニオンとから成る。これは別個に存在するアニオンであってよいが、しかし、又は内部アニオン、すなわち、アニオン性基が化学的にシアニンカチオンと結合しているアニオンであってもよい。通常、それらは、それらの製造に際して、単塩として、例えばハロゲン化物、テトラフルオロホウ酸塩、過塩素酸塩又はトシレートとして生じる。長鎖のアルキル−又はアルキル置換アリール基を有するアニオンを持つシアニン色素は、これまで公知でない。シアニン色素は商業的に得られる。
【0005】
カチオン性シアニン色素は、頻繁に、それらのアルキル−及びアリールスルホネート、スルフェート、塩化物、ヨウ化物等の形態で使用される。
【0006】
本発明による増感剤は、選択されたアニオンを有する選択されたスチリル系シアニンカチオンである。
【0007】
スチリル系シアニンカチオンは、例えばUS6110987から公知である。そこで開示されるスチリル系シアニンカチオン、例えば構造2、5、10、11、12及び13のアニオンとして、ハロゲン化物が記載され、かつスルホネートとして、単にベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート及びメチルスルホネートのみが記載される。これらは増感剤と共に、被覆材料中で僅かな溶解性しか示さない。
【0008】
同じことが、EP915136B1、EP1069163A1及びEP1002817B1のスチリル系シアニンカチオン(そこでは、そのつど構造1、3、4及び6〜9)に当てはまり、それらはハロゲン化物の塩、過塩素酸塩又はテトラフェニルホウ酸塩として挙げられている。アニオンとしてナフタレンスルホネートが、他の増感剤の対イオンとして記載される。
【0009】
同じことが、EP879829B1(=US6165686)に従った増感剤に当てはまる。
【0010】
EP1170339A2は、アゾ基を持つ有機金属錯体を有するスチリル系シアニンカチオンを開示する。
【0011】
V.S.Jolly,P.l.Ittyerah及びK.P.Sharmeは、in Orient.J.Chem.17(2),275−278,2001の中で、スチリル系シアニンカチオンをそれらのヨウ化物の形態で開示する。
【0012】
EP1091247A2、段落[0109]〜[0111]からは、長鎖脂肪族スルホネートがシアニンカチオンの対イオンとして公知である。
【0013】
アニオンとして長鎖スルホネートが、例えばWO2006/058731から公知である。そこでシアニンカチオンとして開示される増感剤は、しかしながら、露光後に、殊にクリア塗料において阻害作用を及ぼす有色性を示す。
【0014】
本発明の課題は、露光に際しての良好な完全硬化(Durchhaertung)、硬化後の僅かな有色性(Farbigkeit)及び放射線硬化性被覆材料中での良好な溶解性を示す、放射線硬化性被覆材料用の増感剤を提供することであった。
【0015】
該課題は、式(I)
【化1】

のスチリル系カチオンD+
及び対イオンとして式(II)
【化2】

のアニオン
と式(III)
【化3】

のアルキルスルフェートから成る群から選択されるアニオンAn-からの放射線硬化性被覆材料用の増感剤系(A)によって解決され、その際、
1、R5、R6、R7及びR8は、そのつど互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル又はC1〜C18−アルキルオキシ、
1は、付加的にハロゲン、有利には臭素、
2、R3及びR4は、そのつど互いに無関係に、C1〜C18−アルキル、
9及びR10は、そのつど互いに無関係に、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC1〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキル、
11は、C5〜C18−アルキル、及び
12は、C1〜C18−アルキル
を意味してよい。式中での定義は、以下の通りである:
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環により置換されたC1〜C18−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)−エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル又は6−エトキシヘキシルであり、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC5〜C18−アルキルは、例えば、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルであり、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC6〜C12−アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルであり、
場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC5〜C12−シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル並びに飽和又は不飽和の二環系、例えば、ノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0016】
基R1、R5、R6、R7及びR8は、そのつど互いに無関係に、有利には水素又はC1〜C4−アルキル、特に有利には水素、メチル又はエチル、極めて有利には水素又はメチルであり、殊に水素である。
【0017】
1〜C4−アルキルは、この出願において、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル又はt−ブチル、有利にはメチル、エチル又はn−ブチル、特に有利にはメチル又はエチルであり、極めて有利にはメチルである。
【0018】
基R1は、インドール環上で、有利には5位又は6位に存在する。
【0019】
基R5、R6、R7及びR8のうち、有利には少なくとも2つが水素、特に有利には少なくとも3つが水素であり、極めて有利には、4つ全てが水素である。
【0020】
基R2は、有利にはC1〜C4−アルキルであってよく、特に有利にはメチル又はエチルであってよく、極めて有利にはエチルであってよい。
【0021】
基R3及びR4は、そのつど互いに無関係に、有利にはメチル又はエチル、特に有利にはエチルであってよい。有利な一実施形態において、基R3及びR4いずれも同じである。
【0022】
基R9及びR10は、そのつど互いに無関係に、有利には、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC1〜C18−アルキルであり、特に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2−クロロエチル、2−シアンエチル、2−アセトキシエチル、シクロヘキシル又はシクロペンチル、極めて有利にはメチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、2−クロロエチル及び2−シアンエチル、殊にメチル、エチル及び2−シアンエチルである。
【0023】
可能な一実施形態において、基R9とR10は、一緒になって鎖を形成してよく、例えば、1,5−ペンチレン、1,4−ブチレン又は3−オキサ−1,5−ペンチレンを形成してよい。
【0024】
さらなる可能な一実施形態において、基R9とR8もしくはR6とR10は、一緒になって鎖を形成してよく、例えば、1,2−エチレン、1,3−プロピレンを形成してよい。この場合、有利には、基R9とR8のみならず、R6とR10も鎖を形成し、特に有利にはそのつど同じ鎖長である。
【0025】
基R11は、例えば、線状又は分枝状のアルキル基、有利には線状アルキル基である。有利には、それは1−ペンチル、1−ヘキシル、2−エチル−1−ヘキシル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル又は1−テトラデシルである。特に有利には、1−ヘキシル、1−オクチル、1−デシル、1−ドデシル又は1−テトラデシルである。
【0026】
基R12は、例えば、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル又はn−ドデシル、有利にはメチル、エチル、n−ブチル、又はn−ドデシルであってよく、特に有利にはメチル、エチル又はn−ドデシルであってよい。
【0027】
有利には、スチリル系シアニンカチオンD+は、下記の個体から成る群から選択されている:
【表1】

【0028】
有利には、アニオンAn-は、式(II)のアニオン、特に有利にはn−オクチルスルホネート、n−デシルスルホネート又はn−ドデシルスルホネート並びにC原子6〜12個からのアルキル基を有する4−アルキルベンゼンスルホネート、例えば、4−ヘキシルベンゼンスルホネート、4−オクチルベンゼンスルホネート、4−デシルベンゼンスルホネート又は4−ドデシルベンゼンスルホネートである。これは、原則的に公知のように、異なる長さの種々のアルキル基の分布を有する工業用製品であってもよい。殊に有利なのは、An-として4−n−ドデシルベンゼンスルホネートである。
【0029】
増感剤は、有利には、会合対イオン1x Katx+を有する式(IV)
【化4】

[式中
xは、1又は2、
Katは、カチオン、
1、z2、z3及びz4は、互いに無関係に、そのつど0又は1を意味し、
その際、z1+z2+z3+z4の合計は、0、1、2又は3、有利には0、1又は2、特に有利には0又は1であり、極めて有利には0であり、
1、Y2、Y3及びY4は、互いに無関係に、そのつどO、S又はNR17
13、R14、R15及びR16は、そのつど互いに無関係に、C1〜C18−アルキル、場合により1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は置換されていないイミノ基によって中断されたC2〜C18−アルキル、C6−C12−アリール、C5〜C12−シクロアルキル又は五員又は六員の、酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を有する複素環を意味し、その際、上述の基は、そのつどアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されていてよく、かつ
17は、水素、C1〜C18−アルキル又はC6〜C12−アリールを意味する]の共開始剤(B)との混合物において使用され、但し、基R13〜R16の少なくとも1個は、C1〜C18−アルキル基であり、かつ基R13〜R16の少なくとも1個は、C6〜C12−アリール基であり、その際、上述の基は、そのつどアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されていてよい。
【0030】
、Y2、Y3及びY4は、互いに無関係に、有利には酸素又はNR17であり、特に有利には酸素である。
【0031】
17は、有利には水素又はC1〜C4−アルキルである。
【0032】
13、R14、R15及びR16は、有利には、そのつど互いに無関係に、C1〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキル、特に有利にはC1〜C18−アルキル及びC6〜C12−アリールであり、極めて有利には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)−エチル、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル及びドデシルフェニルから成る群から選択されており、殊に、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ベンジル、2−フェニルエチル、フェニル、トリル、α−ナフチル及びβ−ナフチルから成る群から選択されており、特にはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ベンジル、フェニル及びトリルから成る群から選択されている。
【0033】
本発明により、基R13〜R16のうち、少なくとも1個がC1〜C18−アルキルであり、かつ少なくとも1個がC6〜C12−アリールであり、有利には、少なくとも1個がC1〜C18−アルキルであり、かつ少なくとも1個がC6〜C12−アリールであり、かつ他の2個も同様に、C1〜C18−アルキル及びC6〜C12−アリールを包含する群から選択されており、特に有利には、少なくとも1個がC1〜C18−アルキルであり、かつ少なくとも2個がC6〜C12−アリールであり、極めて有利には、1個がC1〜C18−アルキルであり、かつ3個がC6〜C12−アリールである。
【0034】
放射線硬化性被覆材料中に含まれる増感剤色素(A)の量は、当業者により、被覆材料の十分な光硬化が達成されるように選択される。通例、5質量%未満の量で十分である。殊に、被覆材料の全成分の合計に対して、0.05〜4質量%の量、有利には0.1〜3質量%、特に有利には0.2〜2.5質量%及び極めて有利には0.3〜2.0質量%の量が有効であることが実証された。本発明により、添加される増感剤色素が完全に被覆材料中に溶解することが保証されていなければならない。
【0035】
有利には、被覆材料中での増感剤色素の溶解度は、少なくとも0.2質量%、特に有利には少なくとも0.5質量%、極めて有利には少なくとも1.0質量%及び、例えば少なくとも2質量%である。
【0036】
本発明により、本発明による混合物も同様に、式(IV)のアニオン性ホウ素化合物からの成分(B)を含有する。
【0037】
これらのアニオン性ホウ素化合物は、対イオンとしてx価の正電荷を有するカチオンKat+を持つ。それらは、例えばアルカリ(土類)金属イオン又はアンモニウムイオン、例えばMg2+、Li+、Na+又はK+であってよく、しかしながら、有利にはアンモニウムイオンである。
【0038】
本発明の意味におけるアンモニウムイオンは、少なくとも1個の四置換窒素原子を含むイオン化合物であり、その際、置換基は、C1〜C18−アルキル及びC6〜C12−アリールから選択されており、有利にはアルキル基である。当然の事ながら、2個以上の置換基も環に結合していてよく、そのため第四級窒素原子は、五員環〜七員環の一部である。
【0039】
アンモニウムカチオンの例は、テトラ−n−オクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリメチルセチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリ−n−ブチルエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルジエチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルベンジルアンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム、N,N−ジメチルピペラジニウム又はN−メチルジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。有利なアルキルアンモニウムイオンは、テトラオクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラ−n−ブチルアンモニウムであり、特に有利なのは、テトラオクチルアンモニウム及びテトラ−n−ブチルアンモニウムであり、極めて有利なのは、テトラ−n−ブチルアンモニウムである。
【0040】
環系を含むアンモニウムイオンは、例えば、メチル化された、エチル化された、n−ブチル化された又はベンジル化されたピペラジン、ピペリジン、イミダゾール、モルホリン、キヌクリジン、キノリン、ピリジン又はトリエチレンジアミンである。
【0041】
有利な一実施形態において、アニオン性ホウ素化合物のカチオンKatx+は、例えばWO2008/058885A2、第16頁、第30行目〜第25頁、第29行目に記載されているカチオンである。これらの説明箇所は、ここに本開示内容の一部とする。
【0042】
特に有利なのは、1−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3−メチル−2−エチルイミダゾール、3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、3−エチル−1−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウム及び3−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムから成る群から選択されるカチオンKatx+である。
【0043】
殊に有利なのは、Katx+として、1−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム及び1−n−ブチル−3−エチルイミダゾリウムである。
【0044】
本発明のさらなる一対象は、光開始剤として使用可能な成分(A)及び(B)の混合物である:
本発明による混合物は、
− 上で示される式An-Cya+の少なくとも1つの成分(A)
及び
− 対イオン1x Katx+を有する、有利には式(IV)の少なくとも1つの成分(B)
を含有する。
【0045】
本発明による混合物は、付加的にスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホン、ペルオキシド、ピリジンN−オキシド又はハロゲンメチルトリアジンを増感剤色素として含有してよい。
【0046】
適したスルホニウム塩は、例えばDE−A119730498、該文献中の、特に第3頁、第28行目〜第39行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0047】
これらの塩は、有利には、式
【化5】

[式中、
18及びR19は、そのつど場合により置換されたアリール基を意味し、かつ
20は、場合により置換されたアルキル基、場合により置換されたアルケニル基、場合により置換された脂環式基、場合により置換されたアリール基又は場合により置換されたアラルキル基を意味し、かつAnA-は、アニオンを意味する]の塩である。
【0048】
特に有利なのは、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルアニシルスルホニウム、ジフェニル−(4−トリル)−スルホニウム、ジフェニル−(4−フルオロフェニル)−スルホニウム、ジフェニル−[4−(フェニルチオ)−フェニル)−スルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、ジフェニル−(4−クロロベンジル)−スルホニウム、ジフェニル−(4−ブロモベンジル)スルホニウム、ジフェニル−(4−シアノベンジル)−スルホニウム、ジ−(4−t−ブチルフェニル)−ベンジルスルホニウム、ジアニシル(4−ブロモフェニル)スルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル−(4−クロロフェナシル)スルホニウム、ジフェニル−(4−シアノフェナシル)−スルホニウム、ジフェニルアリルスルホニウム、ジフェニルメシルスルホニウム、ジフェニル−p−トルエンスルホニルメチルスルホニウム、ジフェニル−(ジメチルスルホニウミルメチル)スルホニウム及びジフェニル[4−ジフェニルスルホニウミル)フェニル]−スルホニウムである。
【0049】
有利なアニオンAnA-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、ClO4-、Cl-、Br-、テトラフェニルボレート、テトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、ベンゼンスルホネートアニオン、p−トルエンスルホネートアニオン及びトリフルオロメタンスルホネートアニオンである。
【0050】
適したヨードニウム塩は、例えばDE−A119730498、該文献中の、特に第3頁、第40行目〜第43行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0051】
これらの塩は、式
21−I+−R22 AnB-
[式中、
21及びR22は、場合により置換されたアリール基を意味し、かつAnB-は、アニオンを意味する]の塩である。
【0052】
特に有利なのは、ジフェニルヨードジウム、アニシルフェニルヨードジウム、ジ−(4−t−ブチルフェニル)−ヨードジウム、ジ−(4−クロロフェニル)−ヨードジウム、ジトリルヨードジウム及びジ−(3−ニトロフェニル)−ヨードジウムである。
【0053】
有利なアニオンAnB-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、ClO4-、Cl-、Br-、テトラフェニルボレート、テトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、ベンゼンスルホネートアニオン、p−トルエンスルホネートアニオン及びトリフルオロメタンスルホネートアニオンである。
【0054】
適したスルホンは、例えばDE−A119730498、該文献中の、特に第4頁、第1行目〜第12行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0055】
これらのスルホンは、有利には、式
【化6】

[式中、
23は、場合により置換されたアリール基を意味し、かつ基R24は、そのつどハロゲン原子を意味する]のスルホンである。
【0056】
ハロゲンは、この明細書の枠内で、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、有利には塩素及び臭素を、特に有利には塩素を包含する。
【0057】
特に有利なのは、トリクロロメチルフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチル−4−クロロフェニルスルホン、トリブロモメチル−4−ニトリフェニルスルホン、2−トリクロロメチルベンゾチアゾールスルホン、2,4−ジクロロフェニルトリクロロメチルスルホン、2−メチル−4−クロロフェニルトリクロロメチルスルホン及び2,4−ジクロロフェニルトリブロモメチルスルホンである。
【0058】
適したペルオキシドは、例えばDE−A119730498、該文献中の、特に第4頁、第13行目〜第24行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0059】
これらのペルオキシドは、有利には、式
【化7】

[式中、
25は、場合により置換されたアリールを意味し、かつ
26は、有利には式R25−(CO)−の、場合により置換されたアルキル基、場合により置換されたアリール基又は場合により置換されたベンゾイル基を意味する]のペルオキシドである。
【0060】
特に有利なのは、ベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−(t−ブチルペルオキシ)−イソフタレート、ジ−(t−ブチルペルオキシ)−テレフタレート、ジ−(t−ブチルペルオキシ)−フタレート、2,5−ジメチル−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)−ヘキサン及び3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルペルオキシカルボニル)−ベンゾフェノンである。
【0061】
適したピリジンN−オキシドは、例えばDE−A19730498、該文献中の、特に第3頁、第44行目〜第62行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0062】
これらのN−オキシドは、有利には、式
【化8】

[式中、
27、R28、R29、R30又はR31は、そのつど互いに無関係に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、場合により置換されたアルキル基、場合により置換されたアルコキシ基又は場合により置換されたアリール基を意味し、R32は、場合により置換されたアルキル基を意味し、かつAnC-は、アニオンを意味する]のN−オキシドである。
【0063】
特に有利なのは、N−メトキシピリジニウム、N−エトキシピリジニウム、N−メトキシ−2−ピコリニウム、N−メトキシ−3−ピコリニウム、N−エトキシ−2−ピコリニウム、N−エトキシ−3−ピコリニウム、N−メトキシ−4−ブロモピリジニウム、N−メトキシ−3−ブロモピリジニウム、N−メトキシ−2−ブロモピリジニウム、N−エトキシ−4−ブロモピリジニウム、N−エトキシ−3−ブロモピリジニウム、N−エトキシ−2−ブロモピリジニウム、N−エトキシ−4−クロロピリジニウム、N−エトキシ−3−クロロピリジニウム、N−エトキシ−2−クロロピリジニウム、N−メトキシ−4−メトキシピリジニウム、N−メトキシ−3−メトキシピリジニウム、N−メトキシ−2−メトキシピリジニウム、N−エトキシ−4−メトキシピリジニウム、N−エトキシ−3−メトキシピリジニウム、N−エトキシ−2−メトキシピリジニウム、N−メトキシ−4−フェニルピリジニウム、N−メトキシ−3−フェニルピリジニウム、N−メトキシ−2−フェニルピリジニウム、N−エトキシ−4−フェニルピリジニウム、N−エトキシ−3−フェニルピリジニウム、N−エトキシ−2−フェニルピリジニウム、N−メトキシ−4−シアノピリジニウム、N−エトキシ−4−シアノピリジニウム、N,N'−ジメトキシ−4,4'−ビピリジニウム、N,N'−ジエトキシ−4,4'−ビピリジニウム、N,N'−ジメトキシ−2,2'−ビピリジニウム及びN,N'−ジエトキシ−2,2'−ビピリジニウムである。
【0064】
有利なアニオンAnC-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、ClO4-、Cl-、Br-、テトラフェニルボレート、テトラキス−(ペンタフルオロフェニル)−ボレート、ベンゼンスルホネートアニオン、p−トルエンスルホネートアニオン及びトリフルオロメタンスルホネートアニオンである。
【0065】
適したハロゲンメチルトリアジンは、例えばDE−A119730498、該文献中の、特に第4頁、第25行目〜第40行目に記載されており、ここに、これは参照をもって明示的に本開示内容の対象とする。
【0066】
これらのハロゲンメチルトリアジンは、式
【化9】

[式中、
33、R34及びR35は、そのつど互いに無関係に、トリハロゲンメチル基、場合により置換されたアルキル基、場合により置換されたアルケニル基又は場合により置換されたアリール基を意味する]のハロゲンメチルトリアジンであり、但し、少なくとも1個の基は、トリハロゲンメチル基である。
【0067】
特に有利なのは、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス−(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−(ジクロロメチル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−プロピオニル−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンゾイル−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−シアノフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ニトロフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クメニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−アミノフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−6−トリクロロメチル、2,4−ビス−(3−クロロフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロスチリル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−アミノフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2,4−ビス−(3−クロロフェニル)−6−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−クロロスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−アミノスチリル)−4,6−ビス−(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−メトキシ−1'−ナフチル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン及び2−(6'−ニトロ−1'−ナフチル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンである。
【0068】
さらに、混合物は、なお少なくとも1つの溶媒(C)を含有してよい。これは、例えば、エステル、例えばブチルアセテート又はエチルアセテート、芳香族又は(環式)脂肪族炭化水素、例えばキシレン、トルエン又はヘプタン、ケトン、例えばアセトン、イソブチルメチルケトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、モノ−又は低級オリゴエチレングリコール又は−プロピレングリコール、モノ−又はジエーテル化されたエチレン−又はプロピレングリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、例えばメトキプロピルアセテート、環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン、カルボン酸アミド、例えばジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリドン及び/又は水であってよい。
【0069】
有利な本発明による混合物は、
− 上で示される式An-Cya+の少なくとも1つの成分(A)、
− 対イオン1x Katx+を有する、有利には式(IV)の少なくとも1つの成分(B)、及び
− 場合により少なくとも1つの溶媒(C)
から成る。
【0070】
有利な一実施形態において、本発明による混合物は溶媒(C)なしで使用される。
【0071】
式An-Cya+の成分(A)と、対イオン1x Katx+を有する式(IV)の成分(B)との質量比は、本発明による混合物中で、有利には1:1〜1:5、特に有利には1:1〜1:4、極めて有利には1:2〜1:4である。
【0072】
本発明による混合物は、被覆材料中で良好に溶ける。溶解度は、アニオンと、カチオン上の置換基の選択によって影響を及ぼされることができる。式(II)又は(III)のシアニン上又はアニオン上の置換基としての比較的長いアルキル鎖も、一般的に、より良好な溶解度をもたらす。
【0073】
本発明による増感剤色素は、一般に、400nm〜650nmの波長領域で吸収極大値を有する。増感剤色素の吸収極大値は、当業者により、原則的に公知の方法において、シアニンカチオン上の置換基の選択によって影響を及ぼされることができる。
【0074】
光硬化に使用されるIR放射線は、例えば発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、キセノンランプ等からの広帯域放射線であってもよい。それは狭帯域放射線又は、ある極めて特定の波長のレーザー放射線であってもよい。レーザーとして、殊に、公知の、IR領域で放射するレーザー、例えば半導体ダイオードレーザーが適している。放射線は、連続的に又はパルス化して、例えばフラッシュの形で供給してよい。
【0075】
本発明のさらなる一対象は、本発明による混合物を含有する放射線硬化性被覆材料である。
【0076】
この種の被覆材料は、典型的には、
− 上で示される式An-Cya+の少なくとも1つの成分(A)、
− 対イオン1x Katx+を有する、有利には式(IV)の少なくとも1つの成分(B)、
− 場合により少なくとも1つの溶媒(C)、
− 少なくとも1つの結合剤(D)、
− 場合により少なくとも1つの反応性希釈剤(E)、
− 場合により少なくとも1つのUV光開始剤(F)、
− 場合により少なくとも1つの着色剤(G)及び
− 場合によりさらなる一般的な塗料添加剤(H)
を含有する。
【0077】
結合剤(D)は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物である。好ましくは、放射線硬化性材料は、放射線硬化性化合物1000gについて、硬化性エチレン性不飽和基0.001〜12モル、特に有利には0.1〜8モル及び極めて有利には0.5〜7モルを含有する。
【0078】
放射線硬化性化合物として、例えば(メタ)アクリル化合物、ビニルアミド、不飽和ポリエステルが、例えばマレイン酸又はフマル酸を基礎として考慮に入れられ、又はマレイイミド/ビニルエーテル系が考慮に入れられる。
【0079】
有利なのは、(メタ)アクリレート化合物、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アクリレート化ポリアクリレートである。
【0080】
好ましくは、放射線硬化性エチレン性不飽和基の少なくとも40モル%、特に有利には少なくとも60モル%が(メタ)アクリル基である。
【0081】
放射線硬化性化合物は、例えば溶液として、例えば有機溶媒又は水の中で、水性分散液として又は粉末として存在してよい。
【0082】
有利なのは放射線硬化性化合物、ひいてはまた室温で流動性の放射線硬化性材料である。しかし、放射線硬化性化合物もしくは被覆材料を、溶融物の形で又は粉末(粉体塗料)として適用することも利点であり得る。放射線硬化剤材料は、好ましくは、有機溶媒及び/又は水20質量%未満、殊に10質量%未満を含有する。有利には、それらは溶媒不含かつ水不含(いわゆる100%系)である。この場合、有利には、乾燥工程を省略することができる。
【0083】
反応性希釈剤(E)は、例えば、(メタ)アクリル酸と、C原子1〜20個を有するアルコールとのエステル、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、α,β−不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β−不飽和アルデヒド、例えばアクロレイン、メタクロレイン、ビニルエステル、例えばビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ハロゲン化されたエチレン性不飽和化合物、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、共役不飽和化合物、例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノ不飽和化合物、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、環式モノ不飽和化合物、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロドデセン、N−ビニルホルムアミド、アリル酢酸、ビニル酢酸、C原子3〜8個を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸並びにそれらの水溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩、例えば:アクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−N−アルキル−カルボン酸アミド又はN−ビニル−カルボン酸アミド、例えばN−ビニル−アセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド及びN−ビニル−N−メチルアセトアミド又はビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、s−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、並びにこれらの混合物である。
【0084】
(メタ)アクリル酸は、この明細書中では、メタクリル酸及びアクリル酸、有利にはアクリル酸を表す。
【0085】
UV光開始剤(F)として、当業者に公知の光開始剤、例えば、"Advances in Polymer Science",Volume 14,Springer Berlin 1974の中で挙げられる光開始剤又はK.K.Dietliker,Chemistry and Technology of UV− and EB−Formulation for Coatings,lnks and Paints,Volume 3; Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerization,P.K.T.Oldring(Eds),SITA Technology Ltd,Londonの中で挙げられる光開始剤を使用することができる。IR光開始剤とは対照的に、UV光開始剤は、本質的に、λ=200〜700nm、特に有利にはλ=200〜500nm及び極めて有利にはλ=250〜400nmの波長領域の光によって励起される。
【0086】
本発明により、これは、光の作用のもとでラジカルを放出し、かつラジカル反応、例えばラジカル重合を引き起こすことができる光開始剤と解される。
【0087】
考慮に入れられるのは、例えばホスフィンオキシド、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルアリールケトン、チオキサントン、アントラキノン、アセトフェノン、ベンゾイン及びベンゾインエーテル、ケタール、イミダゾール又はフェニルグリオキシル酸及びこれらの混合物である。
【0088】
ホスフィンオキシド類は、例えばモノ−又はビスアシルホスフィンオキシドであり、例えばEP−A7508、EP−A57474、DE−A19618720、EP−A495751又はEP−A615980に記載されており、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドであり、
ベンゾフェノン類は、例えばベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4−ジメチルベンゾフェノン、4−イソプロピルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、2,2'−ジクロロベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4−プロポキシベンゾフェノン又は4−ブトキシベンゾフェノンであり、α−ヒドロキシ−アルキル−アリール−ケトンは、例えば1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、1−ヒドロキシアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン又は2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロペン−2−イル−フェニル)−プロパン−1−オンを重合導入して含有するポリマーであり、
キサントン類及びチオキサントン類は、例えば、10−チオキサンテノン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン又はクロロキサンテノンであり、
アントラキノン類は、例えば、β−メチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、アントラキノンカルボン酸エステル、ベンズ[デ]アントラセン−7−オン、ベンズ[ア]アントラセン−7,12−ジオン、12−ジオン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン又は2−アミルアントラキノンであり、
アセトフェノン類は、例えば、アセトフェノン、アセトナフトキノン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン、4−モルホリノベンゾフェノン、p−ジアセチルベンゼン、4'−メトキシアセトフェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,4−トリアセチルベンゼン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−2−オン又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンであり、
ベンゾイン類及びベンゾインエーテル類は、例えば、4−モルホリノデオキシベンゾイン、ベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル又は7−H−ベンゾインメチルエーテルであり、又は
ケタール類は、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、又はベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタールである。
【0089】
フェニルグリオキシル酸が、例えば、DE−A19826712、DE−A19913353又はWO98/33761に記載されている。
【0090】
さらに使用可能な光開始剤は、例えば、ベンズアルデヒド、メチルエチルケトン、1−ナフトアルデヒド、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン又は2,3−ブタジエンである。
【0091】
典型的な混合物は、例えば、2ーヒドロキシ−2ーメチル−1−フェニル−プロパン−2−オン及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド及び1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノン又は2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−メチルベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを包含する。
【0092】
本発明の有利な一実施形態において、本発明による被覆材料中には、少なくとも1つのUV光開始剤が存在している。
【0093】
着色剤(G)は、この明細書の意味においては、全般的に、顔料及び染料に、有利には顔料に用いられる。
【0094】
顔料(G)は、CD Roempp Chemie Lexikon−Version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995に従って、DIN 55943を基準として、粒状の"適用媒体中で実質的に不溶性の、無機又は有機の、彩色又は無彩色の着色剤"である。
【0095】
その際、実質的に不溶性であるとは、溶解度が25℃で1g/適用媒体1000gを下回っており、有利には0.5を下回っており、特に有利には0.25を下回っており、極めて有利には0.1を下回っており、かつ殊に0.05g/適用媒体1000gを下回っていることを意味する。
【0096】
本来の意味における顔料の例は、吸収顔料及び/又は効果顔料、有利には吸収顔料の任意の系を包含する。その際、顔料成分の数及び選択は、いかなる制限も受けない。それらは、そのつどの要求に、例えば所望の色印象に、任意に合わせられることができる。例えば、規準化された混合塗料系の全ての顔料成分に基づくことができる。
【0097】
効果顔料は、薄板状の構造を示し、かつ表面被覆に特別な装飾的な色彩効果を付与する全ての顔料と理解されるべきである。効果顔料は、例えば、自動車塗装及び工業塗装において通常使用可能な全ての効果付与する顔料である。この種の効果顔料の例は、純粋な金属顔料;例えばアルミニウム顔料、鉄顔料又は銅顔料;干渉顔料、例えば二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、混合酸化物被覆マイカ(例えば二酸化チタン及びFe23又は二酸化チタン及びCr23を有する)、金属酸化物被覆アルミニウム又は液晶顔料である。
【0098】
色付与する吸収顔料は、例えば、塗装工業において通常使用可能な有機又は無機の吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料及びピロロピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタン及びカーボンブラックである。
【0099】
染料も同様に着色剤であり、かつ顔料とは適用媒体中でのその溶解度の点で異なり、すなわち、染料は25℃で1g/適用媒体1000gを上回る溶解度を有する。
【0100】
染料の例は、アゾ染料、アジン染料、アントラキノン染料、アクリジン染料、シアニン染料、オキサジン染料、ポリメチン染料、チアジン染料、トリアリールメタン染料である。これらの染料は、塩基性又はカチオン性の染料、媒染染料、直接染料、分散染料、顕色染料、バット染料、金属錯体染料、酸性染料、硫化染料、カップリング染料又は直接染料(Substantive Farbstoffe)として使用されることができる。
【0101】
さらなる一般的な塗料添加剤(H)として、例えば、酸化防止剤、安定剤、活性剤(促進剤)、充填剤、静電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤又はキレート形成剤を使用することができる。
【0102】
熱による後硬化のための促進剤として、例えば、スズオクトエート、亜鉛オクトエート、ジブチルスズラウレート又はジアザ[2.2.2]ビシクロオクタンを使用することができる。
【0103】
さらに、1つ以上の光化学的及び/又は熱的に活性化可能な開始剤、例えばペルオキソ二硫酸カリウム、ジベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、シクロヘキシルスルホニルアセチルペルオキシド、ジイソプロピルペルカーボネート、t−ブチルペルオクトエート又はベンズピナコール、並びに、例えば、80℃での半減期が100時間より長い、熱的に活性化可能な開始剤、例えばジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、例えば、ADDID600(Wacker社)の商品名で市販されているシリル化ピナコール又はヒドロキシ基含有アミン−N−オキシド、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等を添加することができる。
【0104】
適した開始剤のさらなる例は、"Polymer Handbook",2nd ed.,Wiley & Sons,New Yorkに記載されている。
【0105】
増粘剤として、ラジカル(共)重合した(共)重合体以外に、慣用の有機及び無機の増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロール又はベントナイトが考慮に入れられる。
【0106】
キレート形成剤として、例えば、エチレンジアミン酢酸及びその塩並びにβ−ジケトンを使用を使用することができる。
【0107】
彩色的に不活性の充填剤とは、一方では彩色的に効果がなく;すなわち、僅かな固有吸収しか示さず、その屈折率が被覆媒体の屈折率と類似しており、かつ他方では表面被覆における、すなわち、施与された塗膜中での効果顔料の配向(平行アライメント)、そのうえ被覆又は被覆材料の特性、例えば硬度又はレオロジーにも影響を及ぼすことができる全ての物質/化合物と解されるべきである。以下では、例示的に、使用可能な不活性の物質/化合物が挙げられるが、しかしながら、彩色的に不活性の、トポロジーに影響を及ぼす充填剤の定義はこれらの例に制限されない。定義に相応する適した不活性の充填剤は、例えば、透明又は半透明の充填剤又は顔料、例えば、プラスチックグラニュール、シリカゲル、永久白、ケイ藻土、タルク、炭酸カルシウム、石灰、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶性二酸化ケイ素、非晶質シリカ又は酸化アルミニウムであってよい。さらに、不活性の充填剤として、任意の固体の不活性の有機粒子、例えば尿素−ホルムアルデヒド−縮合物、微粉化ポリオレフィンワックス及び微粉化アミドワックスを使用することができる。不活性の充填剤は、そのつど混合物でも使用されることができる。しかしながら、有利には、1つ充填剤のみが使用される。
【0108】
適した安定剤は、UV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン及びベンゾトリアゾール及びベンゾフェノンを包含する。これらは、単独で又は適したラジカルスカベンジャー、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン又はその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートと一緒に使用されることができる。安定剤は、通常、調製物中に含まれる固体成分に対して、0.1〜5.0質量%の量で使用される。
【0109】
本発明の混合物は、IR活性化可能な光開始剤として使用可能であり、かつ、式(IV)のボレートイオンがシアニンカチオンの対イオンとして作用するIR光開始剤の従来技術から公知の配合物より被覆材料及び塗料系中で良好な溶解性を示す。この結果、一方では、光開始剤が、より均等に塗料系中に分散することができ、その後の塗膜中で、溶解しなかった粒子が欠陥として留まらず、かつ他方では、より高い光活性が生じることになる。従来技術から公知のIR光開始剤では、化合物が部分的に、溶解性欠如のために被覆材料中で結晶として沈殿する。
【0110】
より良好なこの溶解性を得るために、本発明による混合物は、放射線硬化性化合物、すなわち、例えば結合剤(D)及び/又は反応性希釈剤(E)又はそれらを含有する調製物、例えば被覆材料、塗料又は塗料配合物と混合される。
【0111】
IR光開始剤の特別な利点は、この種の光開始剤が、着色塗料中でもラジカル重合を開始させることができることである。なぜなら、活性放射線は、一般に、顔料によって吸収されないか又はほんの僅かにしか吸収されず、それに対して、UV光開始剤の活性化のために必要とされるUV放射線は、通常、顔料によって吸収及び/又は散乱され、それゆえ被覆中への僅かな侵入深さを有するからである。従って、本発明による混合物を着色被覆材料中で使用することは、本発明の有利な一実施形態である。
【0112】
本発明のさらなる好ましい一実施形態は、本発明による混合物を、高い層厚を有する被覆材料中で使用することにある。そのため、30μmを上回る、有利には45μmを上回る、及び特に有利には60μmを上回る層厚を有する被覆材料中で該混合物を使用することが有利な一実施形態である。被覆材料は、300μmまでの、有利には250μmまでの、及び特に有利には200μmまでの厚さを有してよい。
【0113】
当然の事ながら、被覆は、より厚く又はより薄く、例えば10〜1000μmで施与することができる。非常に厚く施与された被覆材料では、しかしながら、何度も照射する必要が出てくる可能性がある。
【0114】
放射線硬化性被覆材料は、有利には、例えば、吹き付け、ヘラ塗り、刷毛塗り、ブレード塗布、ブラシ塗り、ローラー塗り、圧延、注型、浸漬、成層、背面射出成形又は共押出し等による簡単な方法で、被覆されるべき物体に施与され、かつ場合により乾燥されることができる。
【0115】
硬化のために、可視領域及びIR領域、有利には可視光領域を包含する電磁放射線による照射、有利には、400〜650nmの波長領域の電磁放射線による照射が行われる。
【0116】
照射は、本発明の有利な一実施形態において、酸素の排除下でも実施してよい。そのために照射は、被覆材料が、IR放射線を用いたその照射の時に18kPa未満の酸素分圧に曝されるように実施される。関係する領域は、露光の時の、被覆されるべき物体の放射線硬化性被覆材料を備えた表面領域である。有利には、酸素分圧は、17kPaより高くなく、特に有利には15.3kPaより高くなく、極めて有利には13.5kPaより高くなく、殊に10kPaより高くなく、特に6.3kPaより高くない。
【0117】
しばしば、完全に酸素無しである必要はないので、酸素分圧は、有利には0.5kPa、特に有利には0.9kPa、極めて有利には1.8kPa及び、殊に2.5kPaを下回っている必要はない。
【0118】
低い酸素分圧での硬化によって、利点として、例えば改善された耐引掻性が観察される。
【0119】
かかる低い酸素分圧は、好ましくは、酸素含有雰囲気を少なくとも1つの不活性ガスで希釈することによってか、又は少なくとも1つの不活性ガス、つまり、放射線硬化条件下で非反応性のガスと置き換えることによって生み出されることができる。不活性ガスとして、好ましくは窒素、希ガス、二酸化炭素又は燃焼ガスが適している。放射線硬化が実施される雰囲気中では、少なくとも1つの不活性ガスの割合は、80体積%を上回っているべきであり、有利には少なくとも85体積%、特に有利には少なくとも90体積%、極めて有利には少なくとも95体積%、及び殊に少なくとも98体積%であるべきである。さらに、照射は、被覆材料を透明媒質で覆うことによって実施してよい。透明媒質は、例えば、プラスチックシート、ガラス又は液体、例えば水である。特に有利には、照射は、WO01/14483に記載の通りに行われ、ここに、これは参照をもって完全に組み込まれたものとする。極めて有利なのは、DE−A119957900に記載されているように照射を行うことであり、ここに、これは参照をもって完全に組み込まれたものとする。
【0120】
本発明による被覆材料及び塗料配合物は、基材、例えば木材、有利にはマツ材、トウヒ材、ブナ材、オーク材又はカエデ材、紙、ボール紙、板紙、織物、皮革、皮革代用品、不織布、プラスチック表面、有利にはSAN、PMMA、ABS、PP、PS、PC又はPA(DIN 7728に従った略号)、ガラス、セラミック、鉱物建築材料、例えばセメント成型物及び繊維セメント板、又は金属あるいは被覆金属、有利には、例えばシートしても存在してよいプラスチック又は金属の被覆のために特に適している。金属又は被覆金属は、その際、例えば、貯蔵のために又は搬送のために、ロール、いわゆる"コイル"に形作られていてよい。金属の被覆は、通常の下塗り("プライマー")又は陰極析出塗膜を包含してよい。
【0121】
特に有利には、本発明による被覆材料は、屋外被覆又は、日光に曝されている、有利には、建築物又は建築物部分の適用に適しており、屋内被覆、自動車及び飛行機の被覆のために適している。殊に、本発明による被覆材料は、自動車クリアコート及びトップコートとして又は自動車クリアコート及びトップコート中で使用され、並びに塗料、特に壁塗り用塗料、工業塗料、コイル被覆、成形材料、注型材料又は歯科用材料中で使用される。そのうえ、本発明による混合物は、建材、レンガ、クリンカー、人造石、たたき、しっくい及び被覆材料をそれらの被覆のために使用することが可能である。好ましいのは、本発明による被覆材料を、装飾塗装のために、特に家具塗装、寄せ木張り床塗装、ラミネート塗装及び床被覆材塗装のために使用することである。
【0122】
さらに、本発明による被覆材料は、印刷法において又は印刷板の製造のために、例えばステレオリソグラフィー、フォトリソグラフィーにおいて、スクリーン印刷、オフセット印刷、平板印刷、グラビア印刷法、凸版印刷法において、並びにインクジェット法(Ink−Jet)において使用することが可能である。
【0123】
以下の実施例は、本発明の特性を説明するものであるが、しかし、それによって本発明は制限されない。
【0124】
"部"又は"%"とは、この明細書中では、別記しない限り、"質量部"又は"質量%"と解される。
【0125】
実施例1:2−((E)−2−{4−[ビス(2−シアノエチル)アミノ]フェニル}ビニル)−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウム−4−ドデシルベンゼンスルホネート(表の番号20):
合成を、ガラスブリッジによって結合された、本質的に2つのジャケット付容器(250ml及び2500ml)から成るLabvision(R)実験室用自動装置(Laborautomation)中で実施した。両容器には、インペラー式ガラス攪拌機(Impellerglasruehrer)、阻流板(Stromstoerer)及びサーモスタットが備えられていた。250ml容器中での回転数は350rpmであり、2500ml容器中の回転数は250rpmであった。
【0126】
初めにジメチルホルムアミド(DMF)100gを250ml容器中に装入し、N,N−ビス(シアノエチル)アニリン100gを添加し、かつDMF25.5gで後洗浄した。それからサーモスタットを20℃に調節し、オキシ塩化リン(POCl3)80gを40分以内に計量供給した。計量供給終了後、90℃に加熱し、1時間、後洗浄した。
【0127】
小さい容器中で高温加熱している間、大きい容器300g中に水を装入し、かつサーモスタットを40℃に調節した。小さい容器中での完全な変換後に加水分解を実施し、すなわち、小さい容器中の底部ドレンをゆっくり開き、そして90℃の温度の反応溶液が、ガラスブリッジを通じて、水で充填された大きい容器に流れた。約5分後に、淡黄色の微細な固体が沈殿した。小さい容器を10〜15mlのDMFで後洗浄し、かつ5分間、後攪拌した。それからジエチルケトン(DEK)400gを大きい容器に計量供給し、かつ供給後に70℃に加熱した。70℃で、50%の水酸化ナトリウム溶液を用いて15分以内にpH6.0に調節した。その後、70℃で1時間、後攪拌し、引き続き相分離が行われた。水相を棄却した。70℃の温度の有機相を、200rpmで素早く1,3,3−トリメチル−2−メチレンインドリン(トリベース)と混ぜ、引き続き6分以内に濃縮硫酸52gと混ぜた。それから100℃に加熱し、反応水を留去した。100℃で約1時間、後攪拌し、その間に、依然として反応水を留去した。その後、反応混合物を90℃に冷却し、水800g中のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩184gからの溶液(約60℃の溶液の温度)を加えた。70℃で1.75時間、後撹拌した。さらなる相分離が行われ、かつ有機相を真空中で濃縮した。赤色の固体330g(3段階を経た収率92%)を得た。
【0128】
実施例2:2−((E)−2−{4−[(2−シアノエチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェニル}ビニル)−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドリウム−4−ドデシルベンゼンスルホネート(表の番号10):
Vielsmeier-Haack−ホルミル化:
窒素洗浄装置、還流冷却器及びKPG攪拌機を有する四つ口フラスコ250ml中に、ジメチルホルムアミド8g及び2−[(2−シアノエチル)−m−トリルアミノ]−エチル酢酸エステルを装入した。5℃〜10℃で、オキシ塩化リン6gを10分で滴加した。その後、室温に加温し、70℃で5.5時間、攪拌し、かつ一晩中、攪拌下で冷却させた。その後、メチル−t−ブチルエーテル200mlを添加し、かつ氷水浴で冷却し、かつ5分かけて最大10℃までで、酢酸ナトリウム17gと水70mlからの溶液を滴加した。それから室温にて相分離が行われた。有機相を水で洗浄し、その後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発器で濃縮した。。
【0129】
2−[(2−シアノエチル)−(4−ホルミル-3−メチルフェニル)アミノ]エチル酢酸エステル8.7g(収率91%)を得た。
【0130】
アセテート−脱保護:
攪拌子を有するエルレンマイヤーフラスコ500ml中に、メタノール120ml及び2−[(2−シアノエチル)(4−ホルミル-3−メチルフェニル)アミノ]エチル酢酸エステル8.7gを装入した。それに加えて、水40mlと炭酸ナトリウム3.4gを添加し、そして一晩中、室温で攪拌した。翌朝、濾過分離し、そして母液をpH7に調節した。回転蒸発器を用いて、メタノールをこの溶液から除去し、ジクロロメタンで3回抽出し、合一された有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。真空中での有機溶媒の除去後に、3−[(4−ホルミル−3−メチルフェニル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピオンニトリル6.6g(収率90%)を得た。
【0131】
縮合:
窒素洗浄装置、還流冷却器及びKPG攪拌機を有する四つ口フラスコ250ml中で、3−[(4−ホルミル−3−メチルフェニル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピオンニトリル3.2g及び1−エチル−2,3,3−トリメチルインドリウムヨージド4.2gを、トルエン20ml及びn−ブタノール6ml中に懸濁させ、105℃に加熱し、2時間、攪拌した。一晩かけて、室温に冷却し、そして得られた懸濁液を濾過分離した。濾過ケークを、トルエン及びメチル−t−ブチルエーテルで洗浄し、そして真空中で50℃にて乾燥させた。2−((E)−2−{4−[(2−シアノエチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェニル}ビニル)−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヨージド6.7g(収率95%)が赤色の固体として得られた。
【0132】
塩変換:
攪拌子を有するエルレンマイヤーフラスコ1000ml中で、2−((E)−2−{4−[(2−シアノエチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェニル}ビニル)−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドリウムヨージドをジクロロメタン300ml中に溶解させ、水100ml中のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.1gと混ぜ、そして室温にて3時間、攪拌した。その後、相分離が行われ、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過分離し、真空中で濃縮及び乾燥させた。
【0133】
2−((E)−2−{4−[(2−シアノエチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェニル}ビニル)−1−エチル−3,3−ジメチル−3H−インドリウム−4−ドデシルベンゼンスルホネート4g(収率97%)が赤色の固体として得られた。
【0134】
実施例2と同じように、以下の色素を相応する出発材料から製造した:表の番号5、6及び7。
【0135】
実施例2と同じように、しかし、アセテート−脱保護抜きで、以下の色素を、相応する出発材料から製造した:表の番号2、3、8、9、11、12及び19。
【0136】
実施例2からの縮合及び塩変換と同じように、以下の色素を相応する出発材料から製造した:表の番号1、4、13、14及び15。
【0137】
(2−((E)−2−{4−[(2−クロロエチル)エチルアミノ]−2−メチルフェニル}ビニル)−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド(Astrazon red 6 B、購入元ABCR)もしくは(2−((E)−2−{4−[(2−クロロエチル)メチルアミノ]フェニル}ビニル)−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド(Astrazon pink FG、購入元ABCR)から出発して、実施例2と同じように塩変換によって表の番号17及び18が得られる。
【0138】
光開始剤の評価を、以下の促進試験により行った。
【0139】
ラジカル重合可能な塗料原料の試験媒体として、アクリレート型の、3つの異なる市販のアクリレート基含有塗料原料(BASF SE、Ludwigshafen在)を用いた:Laromer(R)8863(エトキシル化トリメチロールプロパンを基礎とするポリエーテルアクリレート)、Laromer(R)PO84F(アルコキシル化トリメチロールプロパンを基礎とするアミン変性ポリエテルアクリレート)及びLaromer(R)8987(ヘキサンジオールジアクリレート中の溶液としてのヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするウレタンアクリレート)。試験されるべき光開始剤を、これらの試験媒体中にそのつど量り入れ、可能な限り均一に溶解した。標準濃度として、増感剤色素0.5%及び共開始剤(B)1.5%を使用した(一般にボラネート塩、殊にn−ブチルトリフェニルボラネート塩)。試験体の混入及び取り扱いは、主として直接の光の放射なしで行った。
【0140】
光開始剤がドープされた塗料原料を、次いで薄層としてガラス担体上に塗布した:載物ガラス上に、ドープされた塗料原料の1〜3滴を加え、その傍らに2枚のスペーサー用フィルム(約50μm)を置き、最終的に、液体を、さらに別の載物ガラスで覆った;2つのガラスを、2個のクリップを用いて互いに強く合わせた。これらの"サンドウィッチ試験体"を、次いで露光した。硬化された塗料層の測定により、約56μmの膜厚であることがわかった。
【0141】
ドープされた塗料原料の上記試験体の硬化のために、ハロゲンランプが、ここで調べられる光開始剤系の特別なスペクトル感度に基づき特に適していることが判明した。標準試験では、スライド映写機(ハロゲンランプ)を使用し、そして試験体を、定義された間隔で定義された露光時間により露光した。
【0142】
光硬化の結果を、全ての試験体の場合に、まず定性的に評価した:
このためにサンドウィッチ試験体を、覆いを取り外すことによって開き、塗膜を、場合により金属スパチュラで擦ることによって、以下の通り、その硬度に関して評価した:"なお液状"、"硬化した−しかし軟質"、"硬質"。同様に、残色の度合いを硬化後に評価した。その際、実施例1及び2に記載される、いくつかの色素を使用した際に、該色素の対イオンがヨージドである場合、対イオンが長鎖アルキル基で置換されたアリールスルホネートである場合より多くの残色が塗料中に留まることがわかった。例えば、前出の表からの番号16及び19の色素を有する塗料は、硬化後に、ほとんど無色であった。それに対して、相応するヨージドは、なお僅かに淡青色もしくは僅かに赤色を帯びていた。
【0143】
実施例3
シアニンカチオンは、対イオンとしてEP1091247A2から公知であるアルキルスルホネートアニオンを有するものと比較して、対イオンとして式(II)の長鎖アルキル基で置換されたアリールスルホネートと高められた光活性を示す。
【0144】
50μmの層厚を有するクリアコートの不粘着性の塗料を得るために、基準として、50Wのハロゲンランプによる照射下で必要とされる時間を秒単位で測った。このために、ドデシルスルホネート(EP1091247A2に従った比較)を有するか、もしくはドデシルベンゼンスルホネート(本発明による)を有するシアニンカチオンと、市販の放射線硬化性塗料成分(BASF AG、Ludwigshafen在のLaromer(R)PO84F、Laromer(R)8863、Laromer(R)8987)との混合物を作製し、かつ硬化した。
【0145】
結果は以下の通りである:
【表2】

【0146】
長鎖アルキル基で置換されたアリールスルホネートを対イオンとして有するシアニンカチオンが、ドデシルスルホネートより膜の不粘着性硬化までの短い時間、すなわち、より高い光活性能を有していることが読み取られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

のスチリル系カチオンD+
及び対イオンとして式(II)
【化2】

のアニオン
と式(III)
【化3】

のアルキルスルフェート
[式中、
1、R5、R6、R7及びR8は、そのつど互いに無関係に、水素、C1〜C18−アルキル又はC1〜C18−アルキルオキシ、
1は、付加的にハロゲン、有利には臭素、
2、R3及びR4は、そのつど互いに無関係に、C1〜C18−アルキル、
9及びR10は、そのつど互いに無関係に、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC1〜C18−アルキル、C6〜C12−アリール又はC5〜C12−シクロアルキル、
11は、C5〜C18−アルキル、かつ
12は、C1〜C18−アルキル
を意味してよい]から成る群から選択されるアニオンAn-からの、放射線硬化性被覆材料用の増感剤系(A)。
【請求項2】
前記基R9及びR10が、そのつど互いに無関係に、場合によりアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子及び/又は複素環によって置換されたC1〜C18−アルキルであることを特徴とする、請求項1記載の増感剤系。
【請求項3】
前記基R9及びR10が、そのつど互いに無関係に、メチル、エチル、n−プロピル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2−クロロエチル、2−シアンエチル、2−アセトキシエチル、シクロヘキシル及びシクロペンチルから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1記載の増感剤系。
【請求項4】
前記基R1〜R10が、以下の意味:
【表1】

を有することを特徴とする、請求項1記載の増感剤系。
【請求項5】
前記アニオンAn-が、4−ヘキシルベンゼンスルホネート、4−オクチルベンゼンスルホネート、4−デシルベンゼンスルホネート及び4−ドデシルベンゼンスルホネートから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の増感剤系。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の式An-Cya+の少なくとも1つの成分(A)、及び
対イオン1x Katx+を有する少なくとも1つの成分(B)、その際、該成分(B)は、テトラ−n−オクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、トリメチルセチルアンモニウム、トリエチルベンジルアンモニウム、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリ−n−ブチルエチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルジエチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルメチルアンモニウム、ジイソプロピルエチルベンジルアンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム、N,N−ジメチルピペラジニウム又はN−メチルジアザビシクロ[2.2.2]オクタンから成る群から選択されている、を含有する混合物。
【請求項7】
前記カチオンKatx+が、1−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3−メチル−2−エチルイミダゾール、3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム、3−エチル−1−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−1−エチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジ−n−ブチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、3−ブチル−1,4−ジメチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウム、3−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム及び1−デシル−3−メチルイミダゾリウムから成る群から選択されていることを特徴とする、請求項6記載の混合物。
【請求項8】
式An-Cya+の成分(A)と、対イオン1x Katx+を有する成分(B)との質量比が、1:1〜1:5であることを特徴とする、請求項6又は7記載の混合物。
【請求項9】
− 請求項1から5までのいずれか1項記載の式An-Cya+の少なくとも1つの成分(A)、
− 請求項6から8までのいずれか1項記載の対イオン1x Katx+を有する少なくとも1つの成分(B)、
− 場合により少なくとも1つの溶媒(C)、
− 少なくとも1つの結合剤(D)、
− 場合により少なくとも1つの反応希釈剤(E)、
− 場合により少なくとも1つのUV光開始剤(F)、
− 場合により少なくとも1つの着色剤(G)及び
− 場合によりさらなる一般的な塗料添加剤(H)
を含有する放射線硬化性被覆材料。
【請求項10】
請求項9記載の放射線硬化性被覆材料を、10〜1000μmの厚さで、被覆されるべき物体に施与し、場合により乾燥させ、引き続き、700〜900nmの波長領域の電磁放射線による照射によって照射することを特徴とする、基材の被覆方法。
【請求項11】
木材、紙、ボール紙、板紙、織物、皮革、皮革代用品、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物建築材料、金属又は被覆金属を被覆するための、請求項9記載の放射線硬化性被覆材料の使用。
【請求項12】
自動車のクリアコート及びトップコートとして又は自動車のクリアコート及びトップコート中での、壁塗り用塗料、工業塗料、コイル被覆、成形材料、注型材料又は歯科用材料中での、請求項9記載の放射線硬化性被覆材料の使用。

【公表番号】特表2012−508316(P2012−508316A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535999(P2011−535999)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064967
【国際公開番号】WO2010/055050
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】