説明

放射能の測定値を安定化させるシステムおよび方法

【課題】原子炉燃料棒中の燃料の放射能を測定するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】安定化された放射能測定値を生成するシステムおよび方法は、測定閾値付近で測定されたγ放射変化を安定化閾値付近で測定されたγ放射の変化に相関させる安定化因子を決定する段階と、安定化源からの安定化閾値を超えるγ放射の校正計数を決定する段階と、未知の放射能を有する放射性源からの測定閾値を超えるγ放射を測定する段階と、測定に対応して、安定化閾値を超える安定化源からのγ放射を検出する段階と、校正計数および検出されたγ放射に対応して、安定化閾値付近のドリフトを決定する段階と、測定閾値を超える測定されたγ放射、安定化因子、およびドリフトに対応して、測定されたγ放射の安定化された計数を計算する段階と、測定されたγ放射の安定化された計数に対応して、放射能の安定化された測定値を生成する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、原子炉燃料棒中の燃料の放射能を測定するシステムおよび方法を含む、放射能測定システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションの記述は、単に本開示に関連する背景的事項を提供するものであり、先行技術を構成するものではない。
【0003】
原子炉は、一般的に、運転サイクル全体にわたって動作を維持するのに十分な、燃料棒に含まれた放射性燃料を用いて、周期的に燃料補給される。核燃料は、適切な形態のウランおよび/またはプルトニウムを含む。例えば、水冷却減速原子炉に一般に使用される燃料の場合、燃料は、0.7〜5.0%の核分裂性物質U−235が親物質U−238と混合された二酸化ウランを含む。そのような核燃料は、一般的には、燃料棒を形成するため、細長い被覆管に収容された焼結ペレットの形態である。燃料棒は、群を成して配置され、原子炉の炉心にある別個に交換可能な燃料アセンブリ内で支持される。
【0004】
燃料アセンブリ内で棒ごとに放射方向に、かつ棒の長さに沿って軸方向に燃料の濃縮度を変えて、局所的な電力のピーキングを減少させ、炉心内の所望の電力分布を達成することが知られている。燃料棒の核分裂性燃料含有量は、燃料棒の長さに沿って区域ごとに変わる。また、強い中性子吸収体であるが、中性子吸収によってニュートロン吸収力の低いアイソトープに変換されるガドリニウムなどの可燃性毒物を、燃料棒に含むことも知られている。核分裂性燃料含有量の場合と同様に、燃料要素の可燃性毒物の含有量は、その長さに沿って区域ごとに変えられてもよい。
【0005】
燃料棒内の燃料の装填は、適切な燃料棒の装填を確保するとともに、燃料の使用および在庫を追跡するため、十分な精度の検査および測定システムを必要とする。
【0006】
品質管理、在庫管理、および核燃料アセンブリの製造プロセス中における識別目的のため、燃料棒の長さに沿って核分裂性燃料の量、濃縮度、および場所を正確に決定する、迅速かつ非破壊的な方法を提供することが望ましい。燃料物質の相対的な核分裂性物質の濃度または濃縮度を非破壊的に決定する1つの方法は、「受動走査」である。受動走査は、U−235などの核分裂性物質の自然な放射性崩壊の間に放射される特性エネルギーのγ線を定量的に検出することに基づく。濃縮度測定のための受動走査法のさらなる発展は、U−238の娘生成物によって放射されるγ線の検出に基づいて、U−235表示を補正することを伴っていた。
【特許文献1】米国特許第3,800,143号公報
【特許文献2】米国特許第3,922,541号公報
【特許文献3】米国特許第4,229,654号公報
【特許文献4】米国特許第4,330,367号公報
【特許文献5】米国特許第4,493,810号公報
【特許文献6】米国特許第4,515,749号公報
【特許文献7】米国特許第4,564,498号公報
【特許文献8】米国特許第4,765,943号公報
【特許文献9】米国特許第4,822,552号公報
【特許文献10】米国特許第4,902,467号公報
【特許文献11】米国特許第5,108,692号公報
【特許文献12】米国特許第6,087,656号公報
【特許文献13】米国特許第6,664,539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、U−235は比較的長い半減期を有するので、その自発崩壊速度および結果的なγ線放射は低い。このため、ならびにγ線放射の統計的性質のため、受動走査法によって正確にU−235を決定するのに必要な走査時間は、燃料製造用途の場合、特に濃縮度の低い燃料物質の場合に望ましくなく長い。例えば、濃縮度2〜3%の燃料を含有する長さ4.5メートルの燃料棒の場合、濃縮度測定の適切な精度を得るために単一のγ線検出器が使用されたとき、40分程度の受動走査時間が必要である。走査される燃料要素に隣接して直列に配置された複数のγ線検出器を使用することにより、スループットを増加させることができる(すなわち、燃料要素の走査時間を低減させることができる)。燃料要素の局所的セグメントそれぞれに起因する、検出器からのγ線計数は蓄積され合計されるので、所与の精度に必要な走査時間は、使用される検出器の数の平方根に比例して減少される。
【0008】
燃料棒の燃料物質の濃縮度および核分裂性物質含有量を同時に非破壊的に決定する別の方法は、「動的走査」として知られている。この方法では、燃料棒は、熱中性子源を超えて移動され、U−235などの核分裂性物質の中性子誘発核分裂に起因する、燃料棒の連続的な局所部分からのγ線が検出される。局所部分それぞれからの放射線計数は、大部分が、局所部分における熱中性子束およびU−235の濃度の関数である。動的走査システムは、核分裂物質の含有量および濃縮度の決定精度が高く、走査速度が速いため、商用の核燃料製造設備で使用されてきた。
【0009】
濃縮度または放射線は、一例として、光電子増倍管(PMT)を備えたゲルマニウム酸ビスマス(BGO)シンチレータなどの検出器を使用して測定される。これらの検出器は、γ線放射(核分裂生成物の崩壊からの遅延γ放射など)を測定する。放射線測定システムは、予め定められた測定エネルギー閾値を超えるγ放射を識別し、これらの総γ放射を計数し、計数に基づいて濃縮度または放射レベルを計算する。例えば、燃料棒中の燃料の濃縮度を測定するとき、300keVの測定エネルギー閾値が一般的である。したがって、濃縮度の正確な測定にとって、光電子増倍管の利得、すなわちエネルギー閾値の位置が時間とともに変化しないことが重要である。しかし、5%付近の濃縮度の場合、計数速度は200,000cpsを超える。これは光電子増倍管の限界に近く、検出器および測定システムの利得の不安定性が生じる。光電子増倍管の疲労は、測定の間の利得の崩壊の重大な原因である。
【0010】
利得の変化は、より高い計数速度、例えばより高いレベルの放射能および/または濃縮度での、光電子増倍管内のダイノード構造における空間電荷効果によって発生すると考えられる。それに加えて、未知の放射能の複数の放射性源の放射能を測定する間、計数速度のデューティサイクルは変わる。ダイノード構造上の残留電荷により、測定間の管の利得の変化が生じる。測定間の利得のこれらの変化により、検出器および計数システムの利得のシフトまたは変動が生じて、検出されたγ放射のスペクトルが測定閾値に対して左右に有効にシフトされ、それによって、γ放射の計数の変化が発生する。これによって、さらに、即時測定履歴、測定のタイミング、および測定間隔のタイミングに依存する、一貫性のない未知のヒステリシスを作成することができる。測定の精度が即時運転履歴に依存していることにより、測定プロセスおよび環境の制御されていない性質による利得のドリフトを制御または予測することが非常に困難になる。利得の変化は、製造システムによって、燃料棒の燃料濃縮度など、測定された放射能の変化として解釈され、それによって測定誤差が導入される。
【0011】
そのため、放射能および核燃料濃縮度を決定するための現行の放射能測定システムおよび技術は、それらによって可能な程度の精度を持たず、高価でかつ大きな労働力を要する再試験を必要とすることが多い誤った不合格品が製造される場合がある。したがって、未知のレベルの放射能を有する放射性源の核分裂性物質含有量、放射能、および/または濃縮度を迅速かつ正確に測定する、正確な方法および手段が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、放射線検出器の利得を安定化させ、核燃料棒中の燃料ならびにγ放射を生成する他の任意の放射性源に関連付けられた放射線検出システムを安定化させる、方法およびシステムを設計することに成功した。様々な動作において、代表的な実施形態によって本明細書に記載される方法およびシステムは、検出器および検出システムの測定のドリフト、不安定性、ならびに、測定システムによって引き起こされる、正確な放射測定を従来制限していたγ放射計数における他の変化およびシフトが存在する場合であっても、改善された安定化された放射線の検出および測定を提供することができる。
【0013】
1つの態様によれば、放射能の測定値を安定化させるシステムは、予め定められたγ放射を生成するように構成された安定化源と、システムによる測定のため、安定化源、および検出器に近接して位置付けられた未知の放射能を有する任意の放射性源からのγ放射を検出する1つまたは複数の検出器と、測定閾値を超えるγ放射の計数、および測定閾値とは異なる安定化閾値を超える計数を決定する、1つまたは複数の検出器に連結された処理モジュールであって、測定閾値を超える計数および安定化閾値を超える計数に対応して安定化因子を決定し、安定化閾値を超える計数に対応して放射能の測定におけるドリフトを決定し、測定閾値を超える計数、安定化因子、およびドリフトに対応して、測定されたγ放射の安定化された計数を計算し、かつ安定化された計数に対応して放射能の安定化された測定値を生成するように構成された処理モジュールとを含む。
【0014】
さらに別の態様によれば、原子炉用の燃料棒の濃縮度を決定するシステムは、予め定められたレベルを有する基準γ放射を生成する手段と、燃料棒によって生成される測定閾値を超えるγ放射を測定する手段と、安定化閾値を超える基準γ放射を測定する手段と、測定閾値付近の変化を安定化閾値付近の変化に相関させる安定化因子を決定する手段と、基準γ放射を測定するための手段におけるドリフトを決定する手段と、燃料棒からの測定されたγ放射、ドリフト、および安定化因子に対応して、燃料棒の濃縮度を計算する手段とを含む。
【0015】
さらにまた別の態様によれば、放射線測定システムからの放射能の安定化された測定値を生成する方法は、測定閾値付近の測定されたγ放射の変化を安定化閾値付近の測定されたγ放射の変化に相関させる安定化因子を決定する段階と、安定化源からの安定化閾値を超えるγ放射の校正計数を決定する段階と、未知の放射能を有する放射性源からの測定閾値を超えるγ放射を測定する段階と、測定に対応して、安定化閾値を超える安定化源からのγ放射を検出する段階と、校正計数および検出されたγ放射に対応して、安定化閾値付近のドリフトを決定する段階と、測定閾値を超える測定されたγ放射、安定化因子、およびドリフトに対応して、測定されたγ放射の安定化された計数を計算する段階と、測定されたγ放射の安定化された計数に対応して、放射能の安定化された測定値を生成する段階とを含む。
【0016】
本発明のさらなる態様は部分的には下記に明白になり、部分的には下記に指摘されるであろう。本開示の様々な態様は、個別にまたは互いに組み合わせて実施されてもよいことを理解されたい。さらに、詳細な説明および図面は、特定の代表的な実施形態を示すとともに、単に例示のためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではないことも理解されたい。
【0017】
図面の全体にわたって、対応する参照番号は、類似のまたは対応する部分および特徴を示すことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の説明は、事実上例証的なものに過ぎず、本開示または本開示の応用もしくは用途を限定するものではない。
【0019】
放射能を測定するため、検出器および検出システムは、エネルギーの予め定められた測定閾値を超えるγ放射を検出し、それらのγ放射を計数し、測定閾値を超えるγ放射の合計計数を識別し、次に、合計計数を放射能の予め定められたまたは既知のレベルに相関させる。検出されたγ放射は、任意のγ放射であることができ、燃料棒中の燃料などの放射性物質の放射能および/または濃縮度を決定するときなど、多くの場合、核分裂性物質からの遅延γ放射である。
【0020】
γ放射計数と放射線レベルの間の相関は、既知の1つまたは複数のレベルの放射能または濃縮度を有する標準校正放射性源を利用することによって、測定システムの校正中に決定される。その後、未知のレベルの放射能を有する放射性源を測定する間に、放射性γ放射の測定された生データが、測定閾値を超えるγ放射スペクトルの積分として決定される。例えば、これは、測定エネルギー閾値Tを超える、遅延γ核分裂スペクトルF(E)の積分を含むことができる。これは、任意のエネルギーレベルであることができ、代表的な一実施形態では、測定エネルギー閾値は約300keVであり、それは核燃料からの核分裂による遅延γ放射を測定するために使用されることが知られている。γ放射のこの計数は、代表的な一実施形態では、式[1]によって表すことができる。
【0021】
【数1】

【0022】
この代表的な実施形態では、測定閾値Tよりも大きい、N(T)として表されるγ放射の合計計数Nは、測定された放射能のレベルに相関させるために使用される。図1は、4.9パーセントの既知の濃縮度を有する燃料棒中の燃料から検出されたγ放射のプロットを示す。合計計数N(T)は、測定閾値エネルギーTの関数、例えば、測定閾値Tの関数として放射線検出器から受け取られるγ放射計数として示される。
【0023】
校正中に、測定閾値N(T)よりも大きな測定されたγ放射は、方程式、曲線放射能値、またはテーブルなどの予め定められた関係によって、既知の放射能の関連する値に相関される。
【0024】
【数2】

【0025】
は、一実施形態では式[2]として表すことができる。
【0026】
【数3】

【0027】
γ放射計数と測定された放射能レベルの間の関係は、少なくとも部分的に、濃縮バイアス定数としても知られている相関係数によって規定することができる。これらの相関係数a、a、a、およびaは、多数の既知の方法によって決定することができる。例えば、一実施形態では、相関係数は、既知の放射能レベルを有する1つまたは複数の校正源の測定からの、γ放射計数の計数の最小二乗適合によって決定することができる。一般に、これらの係数は、測定閾値(N(T))よりも大きなγ放射の様々な合計計数とそれらに関連する放射能レベルとの間の相関を規定するため、校正時に決定される。
【0028】
上述したように、これらの測定において精度が必須である場合が多い。例えば、核燃料棒用の燃料の濃縮度レベルを測定する際、測定システムが、0.2%の相対精度よりも良好に平均濃縮度を測定できることが望ましい。他の同様のタイプの要件も、他の放射線測定用途において必要な場合が多い。
【0029】
しかし、測定される放射能のピークにおける検出器/センサの利得の不安定性などの様々な要因に起因して、測定システムのドリフトまたは利得のシフトによって、γ放射の測定における変化が生じる場合がある。これらは、検出器飽和、検出器の不安定性および/または疲労を含む場合があり、それが、検出器のγ放射の計数が少な過ぎるか、または多過ぎる原因となる。これは、光電子増倍管(PMT)のダイノード構造における空間電荷効果も含む場合がある。それに加えて、複数の測定間で、検出器内の光電子増倍管のダイノード上の残留電荷が、測定ごとの検出器の利得を変化させる場合がある。利得のこの変化によって、測定ごとの変動が生じ、また、測定γ放射およびエネルギースペクトルの一定の変動またはシフトにつながる場合がある。測定システムの安定性に影響する他の測定システム要因としては、入力電圧レベル、温度、および光電子増倍管への高電圧の変化が挙げられる。検出、計数、および測定システムのこれらの変化により、測定閾値に対するγ放射の誤った計数がもたらされ、結果として、測定される放射能の明白な変化が生じる。
【0030】
本開示の様々な実施形態では、測定プロセスおよびシステムは、これらの計数の安定化を提供して、これらの測定システムの変化を相殺し調節する。安定化された測定のための測定システムは、部分的には複数の測定の影響によって動作中に不安定性を示す場合がある、1つまたは複数の放射線センサまたは検出器を含む。1つまたは複数の安定化基準源は、放射性源の測定の前後に、かつ場合によっては測定中にも検出器が安定化源を監視するように、各検出器に近接して位置付けられる。一般に、この安定化基準源は、γ放射のバックグラウンド基準レベルを提供し、一般にγ放射の既知の予め定められたスペクトルを有する放射性源である。安定化源は、ほぼ一貫した低レベルのγ放射スペクトルを提供する。いくつかの好ましい実施形態では、安定化源は、30年の半減期を有するラジオアイソトープなどのほぼ一定の放射線出力スペクトル、例えば、長時間にわたって、かつ少なくとも測定時間間隔に対して安定なγ放射スペクトル出力を提供する。例えば、安定化源は、1年を超える半減期を有するラジオアイソトープなどの触媒放射性源を含むことができる。これらは、一例として、Cs−137、ならびにAm−241、Co−60、Cs−134、およびNa−22などの他の放射性核種を含むことができるが、それらに限定されない。
【0031】
一実施形態では、安定化源は、γ放射を生成して、測定されているγ放射を、したがって測定プロセスを圧倒することなく、安定化相関に適した計数統計を提供する、Cs−137を使用する10.0μCi源である。図2は、BGOシンチレータを有する検出器を用いて測定された代表的なCs−137源のエネルギースペクトルを示す。図2に示されるように、2つの異なる閾値が示され、測定閾値Tは、核分裂スペクトルの測定を最適化するように選択される。安定化閾値Tは、測定システムにおけるドリフトまたは変化の検出および測定を最適化するように選択される。測定閾値Tは、一般に、測定システムに関連付けられたシフトまたは変化を検出するための、最良のエネルギーレベルまたは閾値ではない。システムの安定化を最適化するため、安定化閾値を、検出器の光電ピーク、安定化システムの最大感度、安定化源のピーク、および測定閾値のエネルギーレベルよりも大きなエネルギーレベルとして選択することができる。例えば、安定化閾値Tが、閾値エネルギーレベルよりも上または下の任意の偏差が、測定閾値T付近のエネルギーの傾斜よりも大きな傾斜または漸進的変化を有するポイントである場合の、信号対雑音比を最適化するか改善する(安定化プロセスの感度を改善する)ように、安定化閾値を選択することができる。このようにして、測定システムにおける任意のシフトまたは不安定性に対する相対感度は、測定閾値付近の変化に対する安定化閾値付近の変化から相関させることができる。例えば、図2を再び参照すると、一実施形態では、安定化閾値T付近の変化と測定閾値T付近の変化との比は、任意の変動または測定システムのシフトに対する相対感度を示すため、T付近の斜線部分24とT付近の斜線部分22の比として示すことができる。図2に示されるように、安定化閾値T付近の変化は、この実施例では、Cs−137などの安定化源の場合、500keV〜750keVのスペクトルピークにあって、システム利得における任意の変化または変動に対するより高いレベルの感度を提供する。
【0032】
安定化閾値付近の変化に対するシステムの感度を最適化するように選択された安定化源および安定化閾値を用いて、本明細書に記載される様々な実施形態は、γ放射の計数の安定化を提供して、これらの測定システムの不安定性を説明する。例えば、一実施形態では、方法は、測定閾値付近の測定されたγ放射の変化を安定化閾値付近の測定されたγ放射の変化に相関させる、安定化因子を決定する段階と、安定化源からの安定化閾値よりも大きいγ放射の校正計数を決定する段階とを含む。そのような安定化因子は、任意の時に決定することができるが、一実施形態では、安定化因子はシステム校正中に決定される。そのような校正は、一例として、1日1回、シフトの開始時、週に1回または複数回、システムの活性化ごとに1回など、規則的または周期的なものであることができる。一般に、安定化は、より詳細に後述されるような様々な方法によって決定することができるが、回帰分析、回帰適合の決定、複数の係数の決定、曲線のプロット、モデルの作成、公式の決定、およびテーブルの作成などを含むことができる。後で、例えば、校正とは別の、1つまたは複数の未知の放射能レベルを有する放射性源の放射能レベルを測定するときに、システム測定の安定化の間に利用するため、1つまたは複数の安定化因子が決定され、格納または保存される。
【0033】
方法は、さらに、未知の放射能を有する放射性源からの測定閾値を超えるγ放射を測定する段階と、測定に対応して、安定化閾値を超える安定化源からのγ放射を検出する段階とを含む。安定化閾値付近のドリフトは、校正計数および検出されたγ放射に対応して決定することができる。測定されたγ放射の安定化された係数は、測定閾値を超える測定されたγ放射および安定化因子に対応して、計算するか、別の方法で決定することができる。次に、放射能の安定化された測定値は、測定されたγ放射の安定化された係数の関数として決定される。
【0034】
安定化因子の決定は、安定化源によって生成されたγ放射および/または校正源によって生成されたγ放射の計数の測定を含むことができる。校正源は、校正中に標準対照を提供する、1つまたは複数の既知の予め定められた放射能レベルを有する放射性源である。一実施形態では、校正源は、長時間にわたって、少なくとも予期される校正周期全体にわたって安定な、6つ以上の既知の放射能レベルを有する。
【0035】
安定化閾値を超えるγ放射の1つまたは複数の計数は、いくつかの好ましい実施形態では、安定化源から、かつ場合によっては校正源の存在下で決定することができる。上述したように、安定化因子は、回帰分析、回帰適合の決定、関係を表しその公式を決定する複数の数式係数の決定、計数の曲線のプロット、計数を用いたモデルの作成、および計数のテーブルの作成によって決定することができる。
【0036】
例えば、一実施形態では、安定化閾値を超えるγ放射の計数から、かつ測定閾値を超える安定化源および/または校正源からのγ放射の計数から、安定化閾値曲線が決定される。それに加えて、測定閾値曲線は、校正源および安定化源の測定に基づいて決定することができる。γ放射の計数は、校正源または他の放射性源の計数を測定する前後、および測定中に得ることができ、絶対計数または2つ以上の計数の平均であり得る。この実施形態では、安定化因子は、少なくとも部分的に、測定閾値曲線の傾斜と安定化閾値曲線の傾斜との比として決定することができる。
【0037】
上述したように、いくつかの実施形態では、安定化源は検出器付近に恒久的に配置され、その場合、安定化源からのγ放射は継続的に存在する。しかし、上述したようなそれらの選択により、安定化からのγ発光スペクトルは、校正源および/または他の放射性源からのγ放射の測定値と干渉しない。
【0038】
動作中、安定化源は、測定システム内の検出器に近接して位置付けられ、測定システムが校正され、その間に校正パラメータが計算され記録される。これらは、後の測定値を安定化させるために必要な補正を決定する校正基準を提供する。安定化源に関連付けられた測定されたγ放射の計数は、システムの校正中に基準点として保存され、校正時の安定化閾値を超える安定化源からのγ放射の計数、NS0(T
【0039】
【数4】

【0040】
ならびに、校正時の測定閾値を超える安定化源からのγ放射の計数、NS0(T
【0041】
【数5】

【0042】
を含む。
【0043】
これらはそれぞれ、1つまたは複数の既知の放射能レベルを有する校正源の前および/または後のγ放射の単一の計数であることができる。一実施形態では、γ放射の測定値は各測定の前後に得られ、それらの測定値は単一の値に平均化される。
【0044】
次に、1つまたは複数の既知の予め定められたγ放射および放射能のレベルを有する校正源は、測定システムによって測定される。校正のこの段階の間、2つの関係が生成される。
【0045】
第1の関係は、システムによって測定され計数される測定閾値Tよりも大きなγ放射の合計計数を相関させる。これらの計数されたγ放射は、既知の予め定められた放射能レベルを有する校正源によって、ならびに安定化源によって生成されるものである。これは、式[5]によって、かつ/または図3に示すようなプロットもしくは曲線によって表すことができる。
【0046】
【数6】

【0047】
第2の関係は、システムによって測定され計数される、かつ校正源および安定化源によって生成される、安定化閾値Tよりも大きなγ放射の計数を相関させる。
【0048】
【数7】

【0049】
図3から分かるように、式[5]および[6]に示される2つの校正関係は、曲線としてプロットすることができ、曲線の一方は、測定閾値の関数
【0050】
【数8】

【0051】
であり、他方は安定化閾値の関数
【0052】
【数9】

【0053】
である。
【0054】
このプロセスから、安定化チャネルと測定チャネルの間の計数の相対変化、測定閾値付近の変化に対する安定化閾値付近の相対変化を示す、安定化因子Kが決定される。これは、一実施形態では、放射性源および安定化源が存在することによる、測定エネルギー閾値Tよりも大きな計数に対するシステムのドリフトに起因する、計数の比を決定することを含む。安定化因子Kは、代表的な一実施形態では、式[7]によって表すことができる。
【0055】
【数10】

【0056】
(T)は、安定化閾値を超える測定値に関連付けられた安定化源のγ放射計数である。これは、測定された放射性源の測定の前後などの、単一の測定値または計数であることができ、あるいは2つ以上の測定値であることができる。一実施形態では、これは、放射性源の測定前後の測定値の平均であることができる。
【0057】
安定化因子Kは、また、いくつかの実施形態では、2つの上記に規定した関係の間の相関として説明することができ、一実施形態では、一例として、式[8]によって示されるようなシステム校正中に評価される2つの校正曲線の傾斜の比として規定することができる。
【0058】
【数11】

【0059】
いくつかの実施形態では、安定化因子Kは、測定システムの放射能の全範囲にわたってほぼ一定であり、この比または2つの関係を表す因子として表すことができる。比較的一定の安定化因子Kは、所望の放射性測定値の全範囲にわたって、測定曲線の傾斜に対する安定化曲線の傾斜のほぼ一定の比によって規定することができる。例えば、式[8]の比は、0.71%〜5.0%の一般的な燃料棒の燃料濃縮度の全範囲にわたって許容可能であるものとして示されているが、これは、この濃縮度範囲全体にわたって、2つの校正曲線間の感度比がほぼ一定なためである。
【0060】
しかし、他の実施形態では、安定化因子Kは所望の測定範囲全体にわたって変わる場合がある。そのような実施形態では、2つ以上の安定化因子Kを、アルゴリズム、公式、テーブル、または、γ放射計数のサブ範囲などの別の変数の関数として変わる他の関係として表すことができる。一定でない/非線形の安定化因子Kが可能であり、場合によっては関係を規定することができるが、それらの場合、必要な方法は実施するのが複雑であり、選択的に代替の一定の安定化因子Kを選択することができる。
【0061】
不安定性、ドリフト、または別の測定システムの変化は、シフトまたはドリフトの量によって規定される面積を表す項ΔE(図2を再び参照)によって定量化することができ、それは、いくつかの実施形態では、測定される放射性源からの測定エネルギー閾値Tよりも大きな、校正からの測定システムの変化を含むγ放射の計数を表す。これは、一例として、式[9]の数学的関係に示すことができる。
【0062】
【数12】

【0063】
式[9]によって示されるような関係は、校正中に決定されたものからの測定動作中のシステム測定の変化を説明する、安定化補正の一実施形態を示すように再構成することができる。この安定化方法は、式[10]の関係によって示すことができる。
【0064】
【数13】

【0065】
この関係から、校正時に生じるものに比べて、測定プロセス中の変化を説明する測定システムによる測定値を補正することが可能である。
【0066】
動作中、システム校正後に未知の放射能を有する放射性源の安定化された測定値を得るため、放射性源は測定システム内の検出器に近接して配置され、γ放射は、依然として活性であって安定化源γ放射を放射する安定化源を有するシステムによって測定される。検出器はここで、式[11]の測定閾値よりも大きく、式[12]の安定化閾値よりも大きい、測定されている放射性源からのγ放射スペクトルF(E)と、安定化源からのγ放射スペクトルS(E)とを見る。
【0067】
【数14】

【0068】
および、
【0069】
【数15】

【0070】
さらに、安定化測定値は、未知の放射性源の各測定時に得られる。測定される必要のある1つまたは複数の未知の放射能レベルを有する各放射性源に対して、測定されるγ放射および測定閾値を超えるγ放射の計算された計数は、式[13]によって示されるような測定システムのシフトまたはドリフトを含む場合がある。
【0071】
【数16】

【0072】
安定化閾値を超える安定化源のγ放射の計数の任意の識別された変化、例えばN(T)は、測定閾値NFSよりも大きな、測定プロセス中に測定される未知の放射能を有する放射性源からのγ放射の合計計数を(一般的に、バックグラウンドの安定化源からのγ放射とも組み合わせて)調節し安定化するために使用される。
【0073】
任意の測定システムまたは計数利得のシフトまたはドリフトNFSを含むγ放射計数は、一例として、式[14]の関係によって示すことができる。
【0074】
【数17】

【0075】
この代表的な関係では、括弧の中の第2項は、任意の測定ドリフトによる変動であり、γ放射の計数を校正された条件に戻して安定化させるために除去される。これから、未知の放射性源の測定値からの測定閾値を超える安定化されたγ放射計数の1つの代表的な実施形態は、式[15]によって示されるような関係に反映することができる。
【0076】
【数18】

【0077】
この代表的な関係は、除去されている測定システムのドリフトからの影響を有する、例えば、γ放射の安定化された計数を提供する、安定化源の存在下で測定されている放射性源からの、測定閾値Tよりも大きなγ放射の計数の一実施形態を説明する。
【0078】
上述したように、安定化因子K、および、安定化閾値NS0(T)よりも大きな校正時の安定化源のγ放射は、システム校正中に決定され格納される。測定中、測定時の安定化閾値N(T)よりも大きな安定化源からの測定されたγ放射、および安定化源と組み合わされた未知の放射能を有する放射性源からの測定されたγ放射(積分項
【0079】
【数19】

【0080】
によって示される)は、後に続く測定それぞれと関連して、検出器および測定システムによって測定される。一般的には、そのような測定は、燃料棒または他の放射性源などの放射性源の製造後に行われ、適切な製造を検証し、製造プロセスに使用された放射性物質を説明するため、製造された放射能は測定され確認されなければならない。
【0081】
測定閾値Tよりも大きなγ放射の調節または安定化された計数、例えば、
【0082】
【数20】

【0083】
は、校正時に決定される相関係数とともに利用されて、式[16]によって示されるような、放射能の安定化された測定値
【0084】
【数21】

【0085】
を提供する。
【0086】
【数22】

【0087】
燃料棒中の燃料の放射能または濃縮度の安定化された測定の一例が図4に示される。図示されるように、燃料棒の長さに沿った濃縮区域が明確に規定される。そのような安定化された測定値は、γ放射、したがって放射能の改善された測定を提供するため、発明者らによって示されている。例えば、発明者らは、本開示の一実施形態において、測定誤差に対する系統的成分を除去し、燃料棒ごとの測定の変動を20%低減した、燃料の濃縮度を測定することが可能な安定化測定システムを実証することに成功している。これは、従来のシステムおよび慣習を超える実質的な改善を表し、必要な測定精度を上回っている。
【0088】
装置のシステムおよび組み合わせの様々な実施形態は、本明細書に記載されるような方法およびプロセスの1つまたは複数を実装し実行するために利用することができる。放射能の測定を安定化させるシステムは、予め定められたγ放射を生成するように構成された安定化源と、システムによる測定のため、安定化源、および検出器に近接して位置付けられた未知の放射能を有する任意の放射性源からのγ放射を検出する1つまたは複数の検出器と、測定閾値を超えるγ放射の計数、および測定閾値とは異なる安定化閾値を超える計数を受け取る、1つまたは複数の検出器に連結された処理モジュールであって、測定閾値を超える計数および安定化閾値を超える計数に対応して安定化因子を決定し、安定化閾値を超える計数に対応して放射能の測定におけるドリフトを決定し、測定閾値を超える計数、安定化因子、およびドリフトに対応して、測定されたγ放射の安定化された計数を計算し、かつ安定化された計数に対応して放射能の安定化された測定値を生成するように構成された処理モジュールとを含む。
【0089】
次に図5を参照すると、燃料棒中の燃料の放射能の安定化された測定のための測定システム30は、代表的な一実施形態を用いて示される。図示されるように、照射キャスク32は、測定される放射性源を受け取る入力部34を有する。この場合、入力供給部36は燃料棒をキャスク32内に推進するために利用される。出力部38も、キャスク32を介する燃料棒の供給を継続する出力供給部40を含む。燃料棒がキャスク32を通って横断するにしたがって、キャスク32内の1つまたは複数の測定源42は、燃料棒中の燃料の活発な照射を提供する。検出器44は、燃料棒の燃料において測定源42によって引き起こされる分裂からの遅延γ放射などのγ放射を検出するため、出力部38内に位置付けられる。さらに、安定化源46が、出力部38内に検出器44に近接して位置付けられるので、検出器44は、出力部38内に燃料棒が存在しないかつ/または存在する状態で、安定化源46によって生成されるγ放射を検出する。図示されるように、検出器44は、γ放射の検出された計数を示す信号Sを生成する、光電子増倍管を備えたBGOシンチレータを含むことができる。
【0090】
図6に示されるように、測定システムは、高電圧源50からバイアス電圧を受け取る光電子増倍管48を有する各検出器44を含む。光電子増倍管48は、前置増幅器52によって受け取られる、生の全スペクトルγ放射計数信号Sを生成する。前置増幅器52は低圧電源54から基準電圧を受け取る。測定チャネルCHおよび安定化チャネルCHの2つのチャネルを作成するため、増幅信号SGAがスプリッタ56に提供される。測定弁別器58は、検出器によって受け取られたγ放射の一部を有する測定チャネルCHを受け取り、測定閾値Tよりも大きなエネルギーレベルを有するγ放射計数を高域フィルタリングする。代表的な一実施形態では、測定弁別器58は定フラクション弁別器である。一般に、測定弁別器チャネル59は、測定閾値Tよりも大きなγ放射を示す測定信号を生じる、測定閾値Tを超えるγ線を測定するように設定される。これらの測定γ放射は、測定閾値Tよりも大きなγ放射の計数を処理モジュール62に伝える測定スカラー60に渡される。
【0091】
同様に、安定化弁別器チャネル65は、安定化閾値Tよりも大きなγ放射を示す安定化信号を生じる、安定化閾値Tを超えるγ線を測定するように設定される。安定化弁別器64は、任意の測定システムのドリフトまたは利得を検出するように最適化された、安定化閾値(T)を有する安定化チャネルCHを使用する。安定化弁別器64は、検出器44によって受け取られたγ放射の一部を有する安定化チャネルCHを受け取り、安定化閾値Tよりも大きなエネルギーレベルを有するγ放射計数をフィルタ除去する。代表的な一実施形態では、安定化弁別器64は定フラクション弁別器である。これらの測定γ放射は安定化スカラー66に渡され、それが、安定化閾値Tよりも大きなγ放射の計数を処理モジュール62に渡す。
【0092】
任意の既知のコンピュータシステムと同様に、処理システムまたはモジュール62は、プロセッサおよびメモリを含むことができ、校正時に安定化因子Kを決定し、かつ校正と比較して測定に関連付けられたドリフトを決定するように構成される。処理モジュール62は、測定弁別器から測定閾値を超える計数を受け取り、安定化弁別器から安定化閾値を超える計数を受け取り、校正中に、2つの受け取った計数に対応して安定化因子Kを決定する。さらに校正中に、安定化源のみからのγ線の基準計数を受け取り格納することができる。測定中(校正後)に、処理モジュールは、安定化閾値を超える計数に対応して、測定システムにおけるドリフトを決定することができる。これから、測定閾値を超える計数、安定化因子K、およびドリフトに対応して、測定されたγ放射の安定化された計数を計算し、安定化された計数に対応して放射能の安定化された測定値を生成することができる。
【0093】
処理モジュール62は、また、γ放射の安定化された計数を決定するため、安定化されたγ計数を提供する。次に、γ放射の安定化された計数は、処理モジュール62によって利用され、測定された放射性源の放射能、例えば、一例として燃料棒中の燃料の濃縮度が決定される。処理モジュール62は、さらに、γ放射のこれらの計数の間の相関を展開することができ、そこから、校正時からのシステムの変化によるγ放射の計数の調節後の測定中に、測定された放射能が後で決定される。
【0094】
上述したように、いくつかの実施形態では、処理モジュール62は、さらに、第1の校正曲線の傾斜、測定閾値Tよりも大きな計数をプロットする第2の校正曲線の傾斜、2つの傾斜の比、校正源に対応する校正中の測定閾値Tよりも大きなγ放射の計数と、放射能測定レベルとの関係を決定し、測定されたγ放射の安定化された計数をその関係に適用して、安定化された放射能の測定値を生成することができる。この関係は、回帰分析、回帰適合の決定、複数の係数の決定、曲線のプロット、モデルの作成、公式の決定、およびテーブルの作成によって決定することができる。処理モジュール62は、各測定に対して、かつ測定間の計数に対して、計数されたγ放射を受け取り、γ放射の計数を監視し格納する。
【0095】
測定中に、校正からの変化が識別された場合、安定化因子Kおよび識別された変化がγ放射の測定された計数に適用されて、ドリフトの影響が除去され、したがって、校正時に決定されるように、計数と関連付けられた放射能レベルを相関させる前に計数が安定化される。
【0096】
いくつかの実施形態では、安定化源46および検出器44は、放射性源が存在するならびに存在しない間、安定化源46からのγ放射を検出器44が継続的に検出することを可能にするように構成することができる。しかし、一実施形態では、放射性源が存在しない間、校正かつ/または後に続く測定のいずれかの間のみ、検出器44が安定化源46からのγ放射を選択的に受け取ることができるように、システムを構成することができる。
【0097】
次に図7を参照すると、放射能の測定を安定化させる1つまたは複数の例示される実施形態の動作環境は、安定化因子Kおよびドリフトを決定し、安定化された計数を計算し、放射能の安定化された測定値を生成するため、上述のような様々な構成要素またはモジュールを含むことができる。これは、他の要素も含むが、特に、少なくとも1つのバス構造78、入力装置80、および出力装置82と相互接続されたメモリシステム76と併せて、少なくとも1つの高速処理ユニット(CPU)74を備えるコンピュータ72を有する、コンピュータまたは処理システム70を有する処理モジュール62を含むことができる。
【0098】
図示されるCPU74は、良く知られている設計のものであり、計算を行う算術論理演算ユニット(ALU)86、データおよび命令を一時的に記憶するレジスタ88の集合体、および処理システム70の動作を制御する制御ユニット90を含む。Digital Equipment、Sun、MIPS、Motorola/Freescale、NEC、Intel、Cyrix、AMD、HP、およびNexgen製のものを少なくとも含む、様々なプロセッサはいずれも、CPU74に同等に好ましい。本開示の図示される実施形態は、これらの処理プラットフォームのいずれかに移植可能に設計されたオペレーティングシステム上で動作する。
【0099】
メモリシステム76は、一般に、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリーメモリ(ROM)半導体装置などの媒体の形態の高速メインメモリ92と、一例として、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、テープ、CD−ROM、フラッシュメモリなどの長期記憶媒体の形態の補助記憶装置94と、電気、磁気、光学、または他の記録媒体を使用してデータを格納する他の装置とを含む。メインメモリ92は、さらに、ディスプレイ装置を介して画像を表示するビデオディスプレイメモリを含むことができる。当業者であれば、メモリシステム76が、様々な記憶容量を有する様々な代替構成要素を含み得ることを認識するであろう。
【0100】
入力装置80および出力装置82もまた良く知られており、ローカルおよび遠隔ユーザインターフェース、ならびに、一例として、コントローラ、遠隔オペレーショナルシステムおよびオペレーションシステムと関連付けて実装することができる。入力装置80は、一例として、キーボード、マウス、物理的な変換器(例えば、マイクロフォン)を含むことができ、入力インターフェース81を介してコンピュータ72に相互接続される。出力装置82は、一例として、ディスプレイ、プリンタ、変換器(例えば、スピーカー)を含むことができ、出力インターフェース84を介してコンピュータ72に相互接続することができる。ネットワークアダプタまたはモデムなどのいくつかの装置は、入力および/または出力装置として使用することができる。
【0101】
当業者には良く知られているように、処理システム70は、オペレーティングシステムおよび少なくとも1つのアプリケーションプログラムをさらに含む。オペレーティングシステムは、コンピュータシステムの動作と資源の割当てとを制御する、一連のソフトウェアである。アプリケーションプログラムは、オペレーティングシステムによって利用可能になったコンピュータ資源を使用して、ユーザが所望するタスクを行う一連のソフトウェアである。両方とも、図示されるメモリシステム76に常駐する。当業者には知られているように、本明細書に記載される方法、プロセス、および/または機能のいくつかは、ソフトウェアとして実装し、コンピュータ実行命令として様々なタイプのコンピュータ可読媒体に格納することができる。本明細書に一例として記載した安定化された放射能測定システムの様々な実施形態では、コンピュータシステムは、上述のプロセスの1つまたは複数を行うためのコンピュータ実行命令を有する、ロバストなオペレーティングプログラムおよびアプリケーションプログラムを含むことができる。さらに、1つまたは複数のローカルおよび遠隔ユーザインターフェース、オペレーションシステム、および遠隔オペレーションシステムは、コンピュータ実行命令を有する他のアプリケーションソフトウェアプログラムも含むが、特に、一例として上述の1つまたは複数のコントローラと通信し、かつ双方向に動作する薄いクライアントアプリケーションを含むことができる。
【0102】
コンピュータプログラミングの当業者の慣習にしたがって、本開示は、処理システム70によって行われる動作の記号による表示に関して以下に記載される。そのような動作は、コンピュータ実行されるものと称されることがある。記号によって表示される動作は、データビットを表す電気信号のCPU74による操作、およびメモリシステム76の記憶域におけるデータビットの維持、ならびに他の信号処理を含むことが理解されよう。データビットが維持される記憶域は、データビットに対応する特定の電気、磁気、または光学特性を有する物理的な場所である。本開示は、コンピュータ可読媒体に格納された一連の命令を含む、1つまたは複数のプログラムの形で実施することができる。コンピュータ可読媒体は、メモリシステム76と接続された、上述の装置のいずれかまたは装置の組み合わせであってよい。
【0103】
当業者であれば、本明細書に記載されるシステムまたは構成要素のいくつかの実施形態は、より多いまたは少ないコンピュータ処理システム構成要素を有してもよく、依然として本開示の範囲内にあることを理解されよう。
【0104】
要素もしくは特徴、および/またはそれらの実施形態を記載する際、冠詞「1つの(「a」、「an」)」、および「前記(「the」、「said」)」は、1つまたは複数の要素または特徴が存在することを意味するものとする。「備える」、「含む」、および「有する」という用語は、包括的であり、具体的に記載されたもの以外に追加の要素または特徴が存在してもよいことを意味するものとする。
【0105】
当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく、本明細書に記載される代表的な実施形態および具体例を様々に変更できることを認識するであろう。したがって、上述の記載に含まれる、または添付図面に示されるすべての事項は例示であって、限定的な意味ではないものと解釈されるべきである。
【0106】
さらに、本明細書に記載されるプロセスまたは段階は、検討または例示された特定の順序で行うことを必ずしも必要としないものと解釈されることを理解されたい。また、追加のまたは代替プロセスまたは段階が使用されてもよいことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】4.9パーセントの既知の濃縮度を有する燃料棒中の放射性燃料から検出されたγ放射計数スペクトルのプロット図である。
【図2】安定化源の代表的な一実施形態による検出器を用いて測定された代表的なCs−137安定化源のエネルギースペクトルのグラフである。
【図3】1つは、安定化閾値を超えるγ放射計数を関連する濃縮度レベルに対してプロットし、第2のものは、測定閾値を超えるγ放射計数を関連する濃縮レベルに対してプロットする、代表的な一実施形態による2つの校正相関曲線のグラフである。
【図4】代表的な一実施形態による、燃料棒中の燃料の濃縮度の安定化された測定の出力グラフである。
【図5】代表的な一実施形態による、安定化された測定を備えた測定システムのブロック図である。
【図6】別の代表的な実施形態による、測定チャネルおよび安定化チャネルを備えた検出システム、ならびに支援処理モジュールの概略ブロック図である。
【図7】代表的な一実施形態による、放射能測定システムの1つまたは複数の構成要素に対するコンピュータ操作環境のブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
30 放射線測定システム
32 照射キャスク
34 入力部
36 入力供給部
38 出力部
40 出力供給部
42 測定源
44 検出器
46 安定化源
48 光電子増倍管
50 高電圧源
52 前置増幅器
54 電圧電源
56 スプリッタ
58 測定弁別器
59 測定弁別器チャネル
60 測定スカラー
62 処理モジュール
64 安定化弁別器
65 安定化弁別器チャネル
66 安定化スカラー
70 処理システム
72 コンピュータ
74 中央処理装置(CPU)
76 メモリシステム
78 バス/バス構造
80 入力装置
81 入力インターフェース
82 出力装置
84 出力インターフェース
86 算術論理演算ユニット(ALU)
88 レジスタ
90 制御ユニット
92 高速メインメモリ
94 補助記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたγ放射を生成するように構成された安定化源46と、
システム30による測定のため、前記安定化源46、および検出器44に近接して位置付けられた未知の放射能を有する放射性源からのγ放射を検出する検出器44と、
前記検出器44に連結され、測定閾値を越えるγ放射計数と前記測定閾値とは異なる安定化閾値を越えるγ放射計数とを決定する処理モジュール62であって、前記測定閾値を越える前記γ放射計数と前記安定化閾値を越える前記γ放射計数とに対応して安定化因子を決定し;前記安定化閾値を越える前記γ放射計数に対応して放射能測定におけるドリフトを決定し;かく決定された前記測定閾値を越える前記γ放射計数と前記安定化因子と前記ドリフトとに対応して、測定されたγ放射の安定計数を計算し;前記安定計数に対応して放射能の安定測定値を生成するように構成された処理モジュール62とを備える、放射能の測定値を安定化させるシステム。
【請求項2】
前記放射性源が、予め定められた2レベル以上の放射能を有する校正源を含み、前記処理モジュール62が、前記校正源および前記安定化源46からのγ放射に対応して、前記測定閾値を越える前記計数および前記安定化閾値を超える前記γ放射計数から、前記安定化因子を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記処理モジュール62が、校正中に前記安定化閾値を超えるγ放射の基準計数を決定し、かつ、前記基準計数と、放射性源の測定値に関連付けられた前記安定化閾値を超えるγ放射の1つまたは複数の計数とに対応して、前記ドリフトを決定するように構成され、前記放射性源の前記測定値に関連付けられた前記安定化閾値を超えるγ放射の前記1つまたは複数の計数が、前記放射性源の前記測定の前の計数および前記放射性源の前記測定の後の計数の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記処理モジュール62が、前記安定化閾値を超える前記γ放射計数をプロットする第1の校正曲線の傾斜と、前記測定閾値を超える前記γ放射計数をプロットする第2の校正曲線の傾斜とを決定するように構成され、前記安定化因子が、前記第1の校正曲線の前記傾斜に対する前記第2の校正曲線の前記傾斜の比を含むことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記処理モジュール62が、前記校正源に対応する校正中に前記測定閾値を超えるγ放射の計数と放射能の測定レベルとの間の関係を決定し、かつ、前記安定化された放射能測定値を生成するため、前記決定された関係に対応して、測定されたγ放射の前記安定化された計数を調節するように構成され、前記処理モジュール62が、回帰分析、回帰適合の決定、複数の係数の決定、曲線のプロット、モデルの作成、公式の決定、およびテーブルの作成から成る群から選択された方法を利用して、前記関係を決定するように構成され、前記安定化源46および前記検出器44が、放射性源が存在するならびに存在しない間、前記安定化源46からのγ放射を前記検出器44が継続的に検出することを可能にするように構成されたことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項6】
前記処理モジュール62が、校正中に前記安定化閾値を超えるγ放射の基準計数を決定し、かつ、前記基準計数と、放射性源の測定値に関連付けられた前記安定化閾値を超えるγ放射の1つまたは複数の計数とに対応して、前記ドリフトを決定するように構成され、前記放射性源の前記測定値に関連付けられた前記安定化閾値を超えるγ放射の前記1つまたは複数の計数が、前記未知の放射性源の前記測定の前の計数および前記放射性源の前記測定の後の計数の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記処理モジュール62が、放射能の前記安定化された測定値に対応して、原子炉用の燃料棒中の燃料の濃縮度を決定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記処理モジュール62が、前記安定化因子および前記ドリフトを決定し、前記安定化された計数を計算し、かつ放射能の前記安定化された測定値を生成するように構成されたコンピュータ実行命令を含む、プロセッサ74およびメモリ76を含み、前記測定閾値が、核分裂からの前記γ放射の前記計数を最適化するように選択され、前記安定化閾値が、前記検出器44の光電ピーク、最大感度、前記安定化源46のピーク、および前記測定閾値のエネルギーレベルよりも大きなエネルギーレベルから成る閾値群から選択されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記検出器44から前記検出されたγ放射を受け取り、かつ第1の部分および第2の部分を提供する、前記検出器44に連結されたスプリッタ56と、
前記検出器44から前記検出されたγ放射の前記第1の部分を受け取り、かつ前記測定閾値を超えるγ放射計数を生成するように構成された測定弁別器58と、
前記検出器44から前記検出されたγ放射の前記第2の部分を受け取り、かつ前記安定化閾値を超えるγ放射計数を生成するように構成された安定化弁別器64とをさらに備え、
前記処理モジュール62が、前記測定閾値付近の変化をシステム校正中の前記安定化閾値付近の変化に相関させる前記安定化因子を決定し、かつ、前記放射性源の測定中の前記安定化源46からの前記安定化閾値を超えるγ放射計数に対する、校正中に前記安定化源46から受け取った前記安定化閾値を超えるγ放射計数における変化として、前記ドリフトを決定するように構成されたことを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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