放熱基板及びその製造方法並びにその放熱基板を用いた光半導体装置
【課題】金属等よりなる放熱基板の反射作用及び放熱作用が十分でないので、高輝度化できず、また、蛍光体層の蛍光体も高熱で温度消光によって蛍光強度が低下すると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招いていた。
【解決手段】放熱基板2’は、金属含浸グラファイト基材21、金属含浸グラファイト基材21の表面に形成された金属反射層22を備え、金属含浸グラファイト基材21の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造21aとした。金属反射層22により高反射作用を維持すると共に、この凹凸構造21aにより放熱作用を著しく向上させることができる。
【解決手段】放熱基板2’は、金属含浸グラファイト基材21、金属含浸グラファイト基材21の表面に形成された金属反射層22を備え、金属含浸グラファイト基材21の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造21aとした。金属反射層22により高反射作用を維持すると共に、この凹凸構造21aにより放熱作用を著しく向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱基板及びその製造方法並びにその放熱基板を用いた光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)素子、半導体レーザ(LD)素子等の発光素子と発光素子の光の一部をより長い波長の光に変換する蛍光体含有樹脂層とを組合わせた白色光半導体装置では、高輝度化が進み、一般照明、自動車のヘッドライト、プロジェクタ等の応用範囲が広がっている。
【0003】
放熱基板が適用された第1の従来の光半導体装置は、放熱基板上に設けられた発光素子と、この発光素子上に設けられた蛍光体含有樹脂層とを備えている。すなわち、発光素子からの一部の光は蛍光体含有樹脂層に吸収されずに蛍光体含有樹脂層を通過して出光され、また、発光素子からの他の一部の光の蛍光体含有樹脂層によってより長波長の光に変換された後に出光され、これら2つの光を合わせて出光する透過方式を採用している。
【0004】
上述の第1の従来の光半導体装置を高輝度化する方法としては、発光素子に大電流を投入して励起光強度を大きくすることである。しかしながら、この場合、実際には、蛍光体含有樹脂層で熱が発生し、この結果、蛍光体含有樹脂層において樹脂成分の変色及び蛍光体の温度消光によって蛍光強度が低下すると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招く。従って、発光強度は飽和して減少する。
【0005】
ここで、蛍光体含有樹脂層における樹脂成分の変色とは、蛍光体含有樹脂層が蛍光体粉末を樹脂成分と混練してペースト状に調整し、印刷法等を用いて塗布形成して再現性ある一定の形状にしてあり、この樹脂成分が加熱されて200℃程度以上になると変色する現象をいう。樹脂成分が本来透明であるので、樹脂成分に変色が起こると、変色樹脂成分は発光素子から励起光及び蛍光体樹脂層からの蛍光の一部を吸収する。従って、高輝度化が困難であった。
【0006】
尚、蛍光体含有樹脂層の樹脂成分の変色を防止するために、樹脂を含まない蛍光体層を用いたものもある(参照:特許文献1)。しかしながら、この場合でも、蛍光体層で熱が発生すると、蛍光体の温度消光によって蛍光強度が低下する。
【0007】
図10は放熱基板が適用された第2の従来の光半導体装置を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられている部分の平面図である(参照:特許文献2)。
【0008】
図10において、発光素子1と、放熱基板2に接合剤3によって接合された樹脂成分を実質的に含んでいない蛍光体層4とが空間的に離れて配置されている。尚、発光素子1はたとえばGaN系材料よりなる波長約440nm〜470nmの青色光を発生する青色LED素子であり、接合剤3は、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属(ろう付けによる)等よりなる。蛍光体層4の蛍光体はY3Al5O12:Ce3+(YAG: Ce3+)などの黄色蛍光体を用い、樹脂成分が5重量%以下とする。この場合も、発光素子1からの一部の光は蛍光体層4に吸収されずに通過して放熱基板2によって反射されて蛍光体層4から出光され、また、発光素子1からの他の一部の光R2は蛍光体層4によってより長波長の光に変換された後に蛍光体層4から直接出光されもしくは放熱基板2によって反射されて蛍光体層4から出光され、これら2つの光が合わされて出光する反射方式を採用している。
【0009】
放熱基板2が、発光素子1からの直接光及び蛍光体層4によって変換された光を反射させる反射作用と、蛍光体層4から熱を放散して放熱する放熱作用と、蛍光体層4を支持する支持作用とを必要とするので、放熱基板2は、高反射特性、高放熱特性及び高加工性を有する金属、アルミナ等の酸化物セラミックス、窒化アルミニウム等の非酸化セラミックスよりなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−5367号公報
【特許文献2】特開2011−129354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の第2の従来の光半導体装置の金属等よりなる放熱基板2の反射作用及び放熱作用が十分でないので、高輝度化できず、また、蛍光体層の蛍光体も高熱で温度消光によって蛍光強度が低下すると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明に係る放熱基板は、金属含浸炭素系基材と、金属含浸炭素系基材の表面に設けられた金属反射層とを具備し、金属含浸炭素系基材の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造を形成したものである。これにより、金属含浸炭素系基材の裏面の表面積が増加する。この結果、放熱特性が向上する。
【0013】
また、本発明に係る放熱基板の製造方法は、金属含浸炭素系基材の表面に金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、金属含浸炭素系基材の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造に加工する凹凸構造加工工程とを具備する。
【0014】
さらに、本発明に係る光半導体装置は、上述の放熱基板と、放熱基板の金属反射層上に形成された蛍光体層と、蛍光体層及び放熱基板より空間的に離れて配置された発光素子とを具備するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金属含浸グラファイト基材の裏面の表面積にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造が形成されるので、可視光を含む領域及び遠赤外領域の反射率が低くなり、輻射による放熱性を高くできる。この結果、光半導体装置に適用された場合、蛍光体層の蛍光強度を向上できると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る放熱基板が適用された光半導体装置の実施の形態を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【図2】図1の放熱基板の拡大断面図である。
【図3】図1、図2の放熱基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3のステップ301によって得られる金属反射層の反射率特性を示すグラフである。
【図5】図3のステップ303に用いられるプラズマエッチング装置を示す図である。
【図6】図3のステップ303によって得られる金属含浸グラファイト基材の裏面の凹凸構造の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】図3のステップ303によって得られる金属含浸グラファイト基材の裏面の反射率特性を示すグラフである。
【図8】図3のフローチャートの変更例を示すフローチャートである。
【図9】図1の光半導体装置の変更例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【図10】従来の放熱基板が適用された光半導体装置を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る放熱基板が適用された光半導体装置の実施の形態を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。図1においては、図10の放熱基板2の代りに放熱基板2’を設けてある。
【0018】
蛍光体層4には、樹脂成分を含んでいるものや、ガラス封止のものを用いることができ、また、樹脂成分を含んでいないもの(蛍光体セラミックスなど)を用いることもできる。
【0019】
蛍光体層4は放熱基板2’に接合剤3によって接合される。ここで、接合剤3には高熱伝導性を有する材料が好ましく、たとえばシリコーン樹脂などの高い透明樹脂を用いることができる。すなわち、接合剤3には、たとえば、シリコーン樹脂などの高い透明樹脂中に蛍光体粒子を分散、塗布させたものを用いることができる。また、蛍光体層4には接合剤3を用いずに放熱基板2’に直接形成しても良く、たとえば印刷法などを用いて蛍光体層4を放熱基板2’に直接形成しても良い。
【0020】
図2は図1の放熱基板2’の拡大断面図である。図2において、放熱基板2’は、金属含浸グラファイト基材21、金属含浸グラファイト基材21の表面に形成された金属反射層22を備え、金属含浸グラファイト基材21の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部及び凹部を有する凹凸構造21aとした。尚、凹凸構造21aの高さHはサブミクロメートルオーダ以上である。金属反射層22により高反射作用を維持し、この凹凸構造21aにより放熱作用を著しく向上させることができる。従って、光半導体装置に適用した場合、蛍光体層の蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招かない。また、金属基材に比べ金属グラファイト基材は比重が小さいので、金属含浸グラファイト基材21を用いることで放熱基板2’を軽量化できる。さらに、金属含浸グラファイト基材21はその靭性が大きくなるので、放熱材料としての加工性、金属反射層22との密着性が向上し、金属反射層22との間の空隙がなくなる。
【0021】
次に、図2の放熱基板2’の製造方法を図3を参照して説明する。
【0022】
始めに、ステップ301を参照すると、金属含浸グラファイト基材21の表面側にたとえば2重量%の腐食防止用のNd添加のAlよりなる金属反射層22を形成する。含浸金属はアルミニウム、アンチモン、錫、鉛、亜鉛、銅等のいずれでもよく、またはこれらの合金でもよい。この場合、予め金属含浸グラファイト基材21の少なくとも表面側はバフ研磨等の機械的表面研磨法を用いて鏡面仕上げされている。尚、金属含浸グラファイト基材21に金属が含浸していなければ、この鏡面仕上げが困難となる。金属含浸グラファイト基材21をスパッタリング装置に投入し、アルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリングを行う。このスパッタリングの条件は次のごとくである。
RFパワー:700W
スパッタガス(Ar)圧力:1Pa
Ar流量:約50sccm
スパッタ時間:6分
この結果、厚さ約1500ÅのAlよりなる金属反射層22が形成される。これにより得られる平均反射率は、図4に示すごとく、可視領域波長400〜800nmで約90%で高く維持できる。金属反射層22の形成後、必要に応じて、金属反射層22の表面に、増反射、腐食防止を目的としたコーティングを施してもよい。
【0023】
尚、ステップ301における金属反射層22の形成方法は、スパッタリング法以外に、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着(PVD)法、化学的蒸着(CVD)法、あるいはディッピング法でもよい。また、金属反射層22の材料としては、Alの単体以外に、Cu、Ti、Si、Ag、Au、Ni、Mo、W、Fe、Pd、Nd等の単体でよく、さらに、これらの単体金属2種以上含む合金でよい。
【0024】
次に、ステップ302を参照すると、金属含浸グラファイト基材21の裏面の前処理つまりステップ301にて金属含浸グラファイト基材21の裏面に析出したアルミニウムを取除く。すなわち、金属反射層22が形成された金属含浸グラファイト基材21をプラズマエッチング装置に投入し、塩素ガス(Cl2)及び三塩化ホウ素(BCl3)ガスを用いたプラズマエッチングを行う。このプラズマエッチングの条件は次のごとくである。
RFパワー:250W
エッチングガス圧力:3.39Pa(30mTorr)
Cl2流量:70sccm
BCl3流量:20sccm
エッチング時間:15分
この結果、金属含浸グラファイト基材21の裏面における残渣Alは取除かれる。この場合、金属反射層22がエッチングされるのを防止するために、レジスト等よりなるマスクを金属反射層22上に形成してもよい。
【0025】
尚、エッチングガスとしては、塩素ガス及び三塩化ホウ素ガス以外に、臭化水素(HBr)ガス、臭化ホウ素(BBr)ガス等あるいはこれらの混合ガスでもよい。また、プラズマエッチング法の代り、塩酸、燐酸、硝酸等のエッチング液を用いたウェットエッチング法を用いてもよい。
【0026】
次に、ステップ303を参照すると、ステップ302にてアルミニウム残渣を取除かれた金属含浸グラファイト基材21の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部、凹部を有する凹凸構造21aを形成する。尚、凹凸構造21aの高さHはサブミクロメートルオーダ以上である。すなわち、裏面を上にして金属含浸グラファイト基材21をプラズマエッチング装置に投入し、金属含浸グラファイト基材21を酸素(O2)ガスを用いたプラズマエッチング法によってエッチングを行う。
【0027】
図5のプラズマエッチング装置を説明すると、真空チャンバ501内において、金属含浸グラファイト基材21は基板ホールダ502に密着されている。基板ホールダ502は高周波電源503に接続され、カソード電極として作用する。また、真空チャンバ501にはO2ガスを導入するガス導入口504が設けられ、必要な流量の反応ガスを真空チャンバ501に導入することで反応ガス密度を適当な値に設定することができる。さらに、真空チャンバ501には真空ポンプ(図示せず)に接続されたガス排出口505が設けられており、真空チャンバ501内を適当な真空度に維持することができる。真空チャンバ501の壁及びガス導入口504は接地され、アノード電極として作用する。
【0028】
図5においては、ガス導入口504からのO2ガスは矢印で示すごとく金属含浸グラファイト基材21全体に流れるようにされている。
【0029】
図5のプラズマエッチング装置の条件は、たとえば、次のごとくである。
RFパワー:500W
圧力:6.65Pa(50mTorr)
O2流量:150sccm
エッチング時間:30分
である。
【0030】
図5のプラズマエッチング装置では、金属含浸グラファイト基材21はO2ガスによってエッチングされる。最終的には、図6に示すごとく、高アスペクト比のナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部、凹部を有する凹凸構造21aとなる。尚、凹凸構造21aの高さHはサブメートルオーダ以上である。
【0031】
尚、ステップ303でのプラズマエッチング法は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、大気圧プラズマエッチング法等のいずれでもよく、また、処理ガスは、O2ガス以外のArガス、CO2ガス、H2ガス、CF4ガス等、及びこれらの混合ガスのいずれでもよい。
【0032】
図7の実線に示すように、可視光を含む領域の波長0.4-2.4μmの全域に亘る平均反射率は約2%と低くなる。しかも、遠赤外領域の平均反射率も同程度と低くなる。この場合、放射温度計(KEYENCE FT-H20、商標名)を用いて測量した。表面温度が150℃のときに、金属含浸グラファイト基材の放射率は0.97と高かった。尚、一般に、放熱材料においては、反射率が低下すると、放射率が上昇し、逆に、反射率が上昇すると、放射率が低下するという関係が成立する。従って、理想的には、放熱材料としてたとえば可視光を含む領域及び遠赤外領域の反射率ができるだけ0に近いものを用いると、放熱効率が大きくなることが分かる。この結果、エッチングされた金属含浸グラファイト基材をそのまま高放熱材料として用いることができる。
【0033】
図8は図3のフローの変更例を示し、図3のプラズマエッチングステップ303の前に、サンドブラスト等の機械的表面研磨及び/またはCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等のハイパワーレーザ照射による表面研磨によるさらなる前処理、つまり、不規則周期のミクロメートル凹凸加工を行う。これにより、不規則的周期のたとえばミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造を形成する。尚、この凹凸構造の高さもミクロメートルオーダ以上である。従って、金属含浸グラファイト基材21の凹凸構造21aの表面積が増大して放熱効率が高くなる。
【0034】
尚、図8の不規則的周期のミクロ凹凸加工ステップ801において、金属含浸グラファイト基材21の裏面に不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅及び深さを有する凹みを多数形成して表面積を増大させてもよい。たとえば、レジスト層を塗布し、次いで、不規則的周期パターンを有するフォトマスクを用いたフォトリソグラフィによりレジスト層のパターンを形成し、このレジスト層のパターンを用いて金属含浸グラファイト基板をH2ガス及びO2ガスを用いたプラズマエッチングたとえばRIEを行い、その後、レジスト層のパターンを除去する。また、機械的ルーリングエンジン等を用いた切削方法によって不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅及び深さを有する剣山型凹凸構造を形成して表面積を増大させることもできる。この剣山型凹凸構造はエッチングで逆剣山型の金型を形成し、これに液体状の金属含浸グラファイト材料、例えばカーボンブラック等を流し込んでも形成できる。これらの場合、プラズマエッチングによるナノ凹凸加工ステップ303は、基材裏面に形成された不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅の凹部または凸部を有する凹凸構造上に形成する。
【0035】
ここで、規則的周期のミクロメートルオーダの幅及び高さを有する凹凸構造は2次元フォトニック結晶的効果を起こし、遠赤外領域の反射率を高めるので、放熱効率が低くなる逆効果となり、好ましくない。
【0036】
図9は図1の変更例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【0037】
図9においては、図1の放熱基板2’、接合剤3及び蛍光体層4を円形状にすると共に、これらを回転駆動部5と連結することにより回転させることができる。
【0038】
尚、図9においては、1種類の蛍光体層だけが用いられているが、2種以上の蛍光体層たとえば赤色蛍光体層、緑色蛍光体層、黄色蛍光体層を円周方向に分別して配置してもよい。また、2種以上の蛍光体層を垂直方向に配置してもよい。
【0039】
また、上述の実施の形態においては、蛍光体層の代りに、樹脂成分が5重量%を超えた蛍光体含有樹脂層を設けてもよい。また、上述のグラファイト基材の代りに、他の炭素系基材たとえばガラス状炭素基材、ダイヤモンド基材等を用いることができる。
【0040】
さらに、上述の実施の形態におけるナノメートルオーダとは約10〜500nmの範囲を示し、サブミクロメートルオーダとは約0.5〜10μmの範囲を示し、ミクロメートルオーダとは約10〜500μmの範囲を示す。
【符号の説明】
【0041】
1:発光素子
2、2’:放熱基板
3:接合剤
4:蛍光体層
5:回転駆動部
21:金属含浸グラファイト基材
21a:凹凸構造
22:金属反射層
501:真空チャンバ
502:基板ホールダ
503:高周波電源
504:ガス導入口
505:ガス排出口
【技術分野】
【0001】
本発明は放熱基板及びその製造方法並びにその放熱基板を用いた光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)素子、半導体レーザ(LD)素子等の発光素子と発光素子の光の一部をより長い波長の光に変換する蛍光体含有樹脂層とを組合わせた白色光半導体装置では、高輝度化が進み、一般照明、自動車のヘッドライト、プロジェクタ等の応用範囲が広がっている。
【0003】
放熱基板が適用された第1の従来の光半導体装置は、放熱基板上に設けられた発光素子と、この発光素子上に設けられた蛍光体含有樹脂層とを備えている。すなわち、発光素子からの一部の光は蛍光体含有樹脂層に吸収されずに蛍光体含有樹脂層を通過して出光され、また、発光素子からの他の一部の光の蛍光体含有樹脂層によってより長波長の光に変換された後に出光され、これら2つの光を合わせて出光する透過方式を採用している。
【0004】
上述の第1の従来の光半導体装置を高輝度化する方法としては、発光素子に大電流を投入して励起光強度を大きくすることである。しかしながら、この場合、実際には、蛍光体含有樹脂層で熱が発生し、この結果、蛍光体含有樹脂層において樹脂成分の変色及び蛍光体の温度消光によって蛍光強度が低下すると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招く。従って、発光強度は飽和して減少する。
【0005】
ここで、蛍光体含有樹脂層における樹脂成分の変色とは、蛍光体含有樹脂層が蛍光体粉末を樹脂成分と混練してペースト状に調整し、印刷法等を用いて塗布形成して再現性ある一定の形状にしてあり、この樹脂成分が加熱されて200℃程度以上になると変色する現象をいう。樹脂成分が本来透明であるので、樹脂成分に変色が起こると、変色樹脂成分は発光素子から励起光及び蛍光体樹脂層からの蛍光の一部を吸収する。従って、高輝度化が困難であった。
【0006】
尚、蛍光体含有樹脂層の樹脂成分の変色を防止するために、樹脂を含まない蛍光体層を用いたものもある(参照:特許文献1)。しかしながら、この場合でも、蛍光体層で熱が発生すると、蛍光体の温度消光によって蛍光強度が低下する。
【0007】
図10は放熱基板が適用された第2の従来の光半導体装置を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられている部分の平面図である(参照:特許文献2)。
【0008】
図10において、発光素子1と、放熱基板2に接合剤3によって接合された樹脂成分を実質的に含んでいない蛍光体層4とが空間的に離れて配置されている。尚、発光素子1はたとえばGaN系材料よりなる波長約440nm〜470nmの青色光を発生する青色LED素子であり、接合剤3は、有機接着剤、無機接着剤、低融点ガラス、金属(ろう付けによる)等よりなる。蛍光体層4の蛍光体はY3Al5O12:Ce3+(YAG: Ce3+)などの黄色蛍光体を用い、樹脂成分が5重量%以下とする。この場合も、発光素子1からの一部の光は蛍光体層4に吸収されずに通過して放熱基板2によって反射されて蛍光体層4から出光され、また、発光素子1からの他の一部の光R2は蛍光体層4によってより長波長の光に変換された後に蛍光体層4から直接出光されもしくは放熱基板2によって反射されて蛍光体層4から出光され、これら2つの光が合わされて出光する反射方式を採用している。
【0009】
放熱基板2が、発光素子1からの直接光及び蛍光体層4によって変換された光を反射させる反射作用と、蛍光体層4から熱を放散して放熱する放熱作用と、蛍光体層4を支持する支持作用とを必要とするので、放熱基板2は、高反射特性、高放熱特性及び高加工性を有する金属、アルミナ等の酸化物セラミックス、窒化アルミニウム等の非酸化セラミックスよりなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−5367号公報
【特許文献2】特開2011−129354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の第2の従来の光半導体装置の金属等よりなる放熱基板2の反射作用及び放熱作用が十分でないので、高輝度化できず、また、蛍光体層の蛍光体も高熱で温度消光によって蛍光強度が低下すると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、本発明に係る放熱基板は、金属含浸炭素系基材と、金属含浸炭素系基材の表面に設けられた金属反射層とを具備し、金属含浸炭素系基材の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造を形成したものである。これにより、金属含浸炭素系基材の裏面の表面積が増加する。この結果、放熱特性が向上する。
【0013】
また、本発明に係る放熱基板の製造方法は、金属含浸炭素系基材の表面に金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、金属含浸炭素系基材の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造に加工する凹凸構造加工工程とを具備する。
【0014】
さらに、本発明に係る光半導体装置は、上述の放熱基板と、放熱基板の金属反射層上に形成された蛍光体層と、蛍光体層及び放熱基板より空間的に離れて配置された発光素子とを具備するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、金属含浸グラファイト基材の裏面の表面積にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造が形成されるので、可視光を含む領域及び遠赤外領域の反射率が低くなり、輻射による放熱性を高くできる。この結果、光半導体装置に適用された場合、蛍光体層の蛍光強度を向上できると共に、蛍光体の劣化及び信頼性の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る放熱基板が適用された光半導体装置の実施の形態を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【図2】図1の放熱基板の拡大断面図である。
【図3】図1、図2の放熱基板の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3のステップ301によって得られる金属反射層の反射率特性を示すグラフである。
【図5】図3のステップ303に用いられるプラズマエッチング装置を示す図である。
【図6】図3のステップ303によって得られる金属含浸グラファイト基材の裏面の凹凸構造の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】図3のステップ303によって得られる金属含浸グラファイト基材の裏面の反射率特性を示すグラフである。
【図8】図3のフローチャートの変更例を示すフローチャートである。
【図9】図1の光半導体装置の変更例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【図10】従来の放熱基板が適用された光半導体装置を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る放熱基板が適用された光半導体装置の実施の形態を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。図1においては、図10の放熱基板2の代りに放熱基板2’を設けてある。
【0018】
蛍光体層4には、樹脂成分を含んでいるものや、ガラス封止のものを用いることができ、また、樹脂成分を含んでいないもの(蛍光体セラミックスなど)を用いることもできる。
【0019】
蛍光体層4は放熱基板2’に接合剤3によって接合される。ここで、接合剤3には高熱伝導性を有する材料が好ましく、たとえばシリコーン樹脂などの高い透明樹脂を用いることができる。すなわち、接合剤3には、たとえば、シリコーン樹脂などの高い透明樹脂中に蛍光体粒子を分散、塗布させたものを用いることができる。また、蛍光体層4には接合剤3を用いずに放熱基板2’に直接形成しても良く、たとえば印刷法などを用いて蛍光体層4を放熱基板2’に直接形成しても良い。
【0020】
図2は図1の放熱基板2’の拡大断面図である。図2において、放熱基板2’は、金属含浸グラファイト基材21、金属含浸グラファイト基材21の表面に形成された金属反射層22を備え、金属含浸グラファイト基材21の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部及び凹部を有する凹凸構造21aとした。尚、凹凸構造21aの高さHはサブミクロメートルオーダ以上である。金属反射層22により高反射作用を維持し、この凹凸構造21aにより放熱作用を著しく向上させることができる。従って、光半導体装置に適用した場合、蛍光体層の蛍光体の劣化及び信頼性の低下を招かない。また、金属基材に比べ金属グラファイト基材は比重が小さいので、金属含浸グラファイト基材21を用いることで放熱基板2’を軽量化できる。さらに、金属含浸グラファイト基材21はその靭性が大きくなるので、放熱材料としての加工性、金属反射層22との密着性が向上し、金属反射層22との間の空隙がなくなる。
【0021】
次に、図2の放熱基板2’の製造方法を図3を参照して説明する。
【0022】
始めに、ステップ301を参照すると、金属含浸グラファイト基材21の表面側にたとえば2重量%の腐食防止用のNd添加のAlよりなる金属反射層22を形成する。含浸金属はアルミニウム、アンチモン、錫、鉛、亜鉛、銅等のいずれでもよく、またはこれらの合金でもよい。この場合、予め金属含浸グラファイト基材21の少なくとも表面側はバフ研磨等の機械的表面研磨法を用いて鏡面仕上げされている。尚、金属含浸グラファイト基材21に金属が含浸していなければ、この鏡面仕上げが困難となる。金属含浸グラファイト基材21をスパッタリング装置に投入し、アルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリングを行う。このスパッタリングの条件は次のごとくである。
RFパワー:700W
スパッタガス(Ar)圧力:1Pa
Ar流量:約50sccm
スパッタ時間:6分
この結果、厚さ約1500ÅのAlよりなる金属反射層22が形成される。これにより得られる平均反射率は、図4に示すごとく、可視領域波長400〜800nmで約90%で高く維持できる。金属反射層22の形成後、必要に応じて、金属反射層22の表面に、増反射、腐食防止を目的としたコーティングを施してもよい。
【0023】
尚、ステップ301における金属反射層22の形成方法は、スパッタリング法以外に、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着(PVD)法、化学的蒸着(CVD)法、あるいはディッピング法でもよい。また、金属反射層22の材料としては、Alの単体以外に、Cu、Ti、Si、Ag、Au、Ni、Mo、W、Fe、Pd、Nd等の単体でよく、さらに、これらの単体金属2種以上含む合金でよい。
【0024】
次に、ステップ302を参照すると、金属含浸グラファイト基材21の裏面の前処理つまりステップ301にて金属含浸グラファイト基材21の裏面に析出したアルミニウムを取除く。すなわち、金属反射層22が形成された金属含浸グラファイト基材21をプラズマエッチング装置に投入し、塩素ガス(Cl2)及び三塩化ホウ素(BCl3)ガスを用いたプラズマエッチングを行う。このプラズマエッチングの条件は次のごとくである。
RFパワー:250W
エッチングガス圧力:3.39Pa(30mTorr)
Cl2流量:70sccm
BCl3流量:20sccm
エッチング時間:15分
この結果、金属含浸グラファイト基材21の裏面における残渣Alは取除かれる。この場合、金属反射層22がエッチングされるのを防止するために、レジスト等よりなるマスクを金属反射層22上に形成してもよい。
【0025】
尚、エッチングガスとしては、塩素ガス及び三塩化ホウ素ガス以外に、臭化水素(HBr)ガス、臭化ホウ素(BBr)ガス等あるいはこれらの混合ガスでもよい。また、プラズマエッチング法の代り、塩酸、燐酸、硝酸等のエッチング液を用いたウェットエッチング法を用いてもよい。
【0026】
次に、ステップ303を参照すると、ステップ302にてアルミニウム残渣を取除かれた金属含浸グラファイト基材21の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部、凹部を有する凹凸構造21aを形成する。尚、凹凸構造21aの高さHはサブミクロメートルオーダ以上である。すなわち、裏面を上にして金属含浸グラファイト基材21をプラズマエッチング装置に投入し、金属含浸グラファイト基材21を酸素(O2)ガスを用いたプラズマエッチング法によってエッチングを行う。
【0027】
図5のプラズマエッチング装置を説明すると、真空チャンバ501内において、金属含浸グラファイト基材21は基板ホールダ502に密着されている。基板ホールダ502は高周波電源503に接続され、カソード電極として作用する。また、真空チャンバ501にはO2ガスを導入するガス導入口504が設けられ、必要な流量の反応ガスを真空チャンバ501に導入することで反応ガス密度を適当な値に設定することができる。さらに、真空チャンバ501には真空ポンプ(図示せず)に接続されたガス排出口505が設けられており、真空チャンバ501内を適当な真空度に維持することができる。真空チャンバ501の壁及びガス導入口504は接地され、アノード電極として作用する。
【0028】
図5においては、ガス導入口504からのO2ガスは矢印で示すごとく金属含浸グラファイト基材21全体に流れるようにされている。
【0029】
図5のプラズマエッチング装置の条件は、たとえば、次のごとくである。
RFパワー:500W
圧力:6.65Pa(50mTorr)
O2流量:150sccm
エッチング時間:30分
である。
【0030】
図5のプラズマエッチング装置では、金属含浸グラファイト基材21はO2ガスによってエッチングされる。最終的には、図6に示すごとく、高アスペクト比のナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅W1、W2の凸部、凹部を有する凹凸構造21aとなる。尚、凹凸構造21aの高さHはサブメートルオーダ以上である。
【0031】
尚、ステップ303でのプラズマエッチング法は、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング法、反応性イオンエッチング(RIE)法、大気圧プラズマエッチング法等のいずれでもよく、また、処理ガスは、O2ガス以外のArガス、CO2ガス、H2ガス、CF4ガス等、及びこれらの混合ガスのいずれでもよい。
【0032】
図7の実線に示すように、可視光を含む領域の波長0.4-2.4μmの全域に亘る平均反射率は約2%と低くなる。しかも、遠赤外領域の平均反射率も同程度と低くなる。この場合、放射温度計(KEYENCE FT-H20、商標名)を用いて測量した。表面温度が150℃のときに、金属含浸グラファイト基材の放射率は0.97と高かった。尚、一般に、放熱材料においては、反射率が低下すると、放射率が上昇し、逆に、反射率が上昇すると、放射率が低下するという関係が成立する。従って、理想的には、放熱材料としてたとえば可視光を含む領域及び遠赤外領域の反射率ができるだけ0に近いものを用いると、放熱効率が大きくなることが分かる。この結果、エッチングされた金属含浸グラファイト基材をそのまま高放熱材料として用いることができる。
【0033】
図8は図3のフローの変更例を示し、図3のプラズマエッチングステップ303の前に、サンドブラスト等の機械的表面研磨及び/またはCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等のハイパワーレーザ照射による表面研磨によるさらなる前処理、つまり、不規則周期のミクロメートル凹凸加工を行う。これにより、不規則的周期のたとえばミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する凹凸構造を形成する。尚、この凹凸構造の高さもミクロメートルオーダ以上である。従って、金属含浸グラファイト基材21の凹凸構造21aの表面積が増大して放熱効率が高くなる。
【0034】
尚、図8の不規則的周期のミクロ凹凸加工ステップ801において、金属含浸グラファイト基材21の裏面に不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅及び深さを有する凹みを多数形成して表面積を増大させてもよい。たとえば、レジスト層を塗布し、次いで、不規則的周期パターンを有するフォトマスクを用いたフォトリソグラフィによりレジスト層のパターンを形成し、このレジスト層のパターンを用いて金属含浸グラファイト基板をH2ガス及びO2ガスを用いたプラズマエッチングたとえばRIEを行い、その後、レジスト層のパターンを除去する。また、機械的ルーリングエンジン等を用いた切削方法によって不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅及び深さを有する剣山型凹凸構造を形成して表面積を増大させることもできる。この剣山型凹凸構造はエッチングで逆剣山型の金型を形成し、これに液体状の金属含浸グラファイト材料、例えばカーボンブラック等を流し込んでも形成できる。これらの場合、プラズマエッチングによるナノ凹凸加工ステップ303は、基材裏面に形成された不規則的周期のミクロメートルオーダ以上の幅の凹部または凸部を有する凹凸構造上に形成する。
【0035】
ここで、規則的周期のミクロメートルオーダの幅及び高さを有する凹凸構造は2次元フォトニック結晶的効果を起こし、遠赤外領域の反射率を高めるので、放熱効率が低くなる逆効果となり、好ましくない。
【0036】
図9は図1の変更例を示し、(A)は断面図、(B)は(A)の放熱基板が設けられた部分の平面図である。
【0037】
図9においては、図1の放熱基板2’、接合剤3及び蛍光体層4を円形状にすると共に、これらを回転駆動部5と連結することにより回転させることができる。
【0038】
尚、図9においては、1種類の蛍光体層だけが用いられているが、2種以上の蛍光体層たとえば赤色蛍光体層、緑色蛍光体層、黄色蛍光体層を円周方向に分別して配置してもよい。また、2種以上の蛍光体層を垂直方向に配置してもよい。
【0039】
また、上述の実施の形態においては、蛍光体層の代りに、樹脂成分が5重量%を超えた蛍光体含有樹脂層を設けてもよい。また、上述のグラファイト基材の代りに、他の炭素系基材たとえばガラス状炭素基材、ダイヤモンド基材等を用いることができる。
【0040】
さらに、上述の実施の形態におけるナノメートルオーダとは約10〜500nmの範囲を示し、サブミクロメートルオーダとは約0.5〜10μmの範囲を示し、ミクロメートルオーダとは約10〜500μmの範囲を示す。
【符号の説明】
【0041】
1:発光素子
2、2’:放熱基板
3:接合剤
4:蛍光体層
5:回転駆動部
21:金属含浸グラファイト基材
21a:凹凸構造
22:金属反射層
501:真空チャンバ
502:基板ホールダ
503:高周波電源
504:ガス導入口
505:ガス排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含浸炭素系基材と、
該金属含浸炭素系基材の表面に設けられた金属反射層と
を具備し、
前記金属含浸炭素系基材の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する第1の凹凸構造を形成した放熱基板。
【請求項2】
前記第1の凹凸構造の高さはサブミクロメートルオーダ以上である請求項1に記載の放熱基板。
【請求項3】
さらに、前記第1の凹凸構造の幅より大きい不規則的幅の第2の凹凸構造を前記金属含浸炭素系基材の裏面に形成した請求項1に記載の放熱基板。
【請求項4】
前記第2の凹凸構造はミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する請求項3に記載の放熱基板。
【請求項5】
前記第2の凹凸構造の高さはミクロメートルオーダ以上である請求項4に記載の放熱基板。
【請求項6】
金属含浸炭素系基材の表面に金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、
前記金属含浸炭素系基材の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する第1の凹凸構造に加工する第1の凹凸構造加工工程と
を具備する放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の凹凸構造の高さはサブミクロメートルオーダ以上である請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1の凹凸構造加工工程はプラズマエッチング工程である請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記金属反射層形成工程の前に前記金属含浸炭素系基材の表面を機械的表面研磨法によって鏡面仕上げする鏡面仕上げ工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記第1の凹凸構造加工工程の前に前記金属含浸炭素系基材の裏面から前記金属反射層の残渣を取除く裏面前処理工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記第1の凹凸構造加工工程の前に、前記第1の凹凸構造の周期より大きい不規則的周期の第2の凹凸構造を前記金属含浸炭素系基材の裏面に加工する工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2の凹凸構造はミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する請求項11に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項13】
前記第2の凹凸構造の高さはミクロメートルオーダ以上である請求項12に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれかに記載の放熱基板と、
該放熱基板の前記金属反射層上に形成された蛍光体層と、
前記蛍光体層及び前記放熱基板より空間的に離れて配置された発光素子と
を具備する光半導体装置。
【請求項15】
前記蛍光体層の代りに蛍光体含有樹脂層を具備する請求項14に記載の光半導体装置。
【請求項1】
金属含浸炭素系基材と、
該金属含浸炭素系基材の表面に設けられた金属反射層と
を具備し、
前記金属含浸炭素系基材の裏面にナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する第1の凹凸構造を形成した放熱基板。
【請求項2】
前記第1の凹凸構造の高さはサブミクロメートルオーダ以上である請求項1に記載の放熱基板。
【請求項3】
さらに、前記第1の凹凸構造の幅より大きい不規則的幅の第2の凹凸構造を前記金属含浸炭素系基材の裏面に形成した請求項1に記載の放熱基板。
【請求項4】
前記第2の凹凸構造はミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する請求項3に記載の放熱基板。
【請求項5】
前記第2の凹凸構造の高さはミクロメートルオーダ以上である請求項4に記載の放熱基板。
【請求項6】
金属含浸炭素系基材の表面に金属反射層を形成する金属反射層形成工程と、
前記金属含浸炭素系基材の裏面をナノメートルオーダからサブミクロメートルオーダの幅の凸部及び凹部を有する第1の凹凸構造に加工する第1の凹凸構造加工工程と
を具備する放熱基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の凹凸構造の高さはサブミクロメートルオーダ以上である請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1の凹凸構造加工工程はプラズマエッチング工程である請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記金属反射層形成工程の前に前記金属含浸炭素系基材の表面を機械的表面研磨法によって鏡面仕上げする鏡面仕上げ工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項10】
さらに、前記第1の凹凸構造加工工程の前に前記金属含浸炭素系基材の裏面から前記金属反射層の残渣を取除く裏面前処理工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項11】
さらに、前記第1の凹凸構造加工工程の前に、前記第1の凹凸構造の周期より大きい不規則的周期の第2の凹凸構造を前記金属含浸炭素系基材の裏面に加工する工程を具備する請求項6に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2の凹凸構造はミクロメートルオーダ以上の幅の凸部及び凹部を有する請求項11に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項13】
前記第2の凹凸構造の高さはミクロメートルオーダ以上である請求項12に記載の放熱基板の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれかに記載の放熱基板と、
該放熱基板の前記金属反射層上に形成された蛍光体層と、
前記蛍光体層及び前記放熱基板より空間的に離れて配置された発光素子と
を具備する光半導体装置。
【請求項15】
前記蛍光体層の代りに蛍光体含有樹脂層を具備する請求項14に記載の光半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図6】
【公開番号】特開2013−69547(P2013−69547A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207273(P2011−207273)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】
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