説明

放送事業者装置

【課題】未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理が自動化されていないため、加入者にとっては手続きが面倒であり、放送事業者にとっては契約処理を行う人員を常時確保する必要があった。
【解決手段】第二のネットワークを利用し放送事業者装置11が提供する番組登録情報が記載された番組情報に対する双方向デジタル放送受信機21からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき双方向デジタル放送受信機21から受信する第一の識別情報と番組登録情報とにより、双方向デジタル放送受信機21の契約登録情報を更新することを特徴とする放送事業者装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は双方向デジタル放送ネットワークシステムにおけるデジタル放送サービス(番組)の提供について、未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理を自動化した放送事業者装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在のデジタル放送における限定受信(Coditional Access System:以降CASと略す)の仕組みは、日本においては電波産業界(Association of Radio Industries and Businesses:通称ARIBと称す)で規格化され、この規格を元にBSや地上デジタル放送及びデジタルCATV放送で運用されている(非特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、放送事業者装置から送信される放送に多重されたECM(Entitlement Control Message)内の番組登録情報と、各デジタル放送受信機に装着されたCASカードに向けて送信されるEMM(Entitlement Management Message)内の契約登録情報の一致をもって、スクランブルされた放送信号の復号鍵をCASカードからデジタル放送受信機に与えることにより、加入者は契約した放送サービス(番組)を視聴することができる。
【0004】
図8は、従来のデジタル放送ネットワークシステムの構成図である。
【0005】
加入者は、デジタル放送受信機113(a)で放送事業者が提供する番組案内や電子番組ガイド(Electronic Program Guide:以降EPGと略す)を見て、未契約の放送サービス(番組)を追加したい場合、放送事業者に電話をして追加したい放送サービス(番組)とCASカード番号を口頭で伝える。放送事業者のオペレータは、該当するCASカード番号に対して放送サービス(番組)追加の処理を加入者情報登録装置112にて行う。加入者の放送サービス(番組)追加の処理が行われると、加入者情報登録装置112から契約追加情報が放送事業者装置111(a)に送信され、放送系ネットワーク115を通じて、デジタル放送受信機113(a)に契約追加用のEMMが発行される。
【0006】
図9は、図8のデジタル放送ネットワークシステム100にポータルサーバ125及び通信系ネットワーク116を追加した従来の双方向デジタル放送ネットワークシステムの構成図である。
【0007】
図9に示すように、双方向デジタル放送受信機113(b)を使用し、放送事業者が運用するポータルサービスを利用し、認証情報をポータルサーバに通知する提案もなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−336030号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】(社)電波産業会「デジタル放送におけるアクセス制御方式標準規格」ARIB STD−B25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、契約登録情報の管理は、放送事業者の収益につながる業務のため、厳密に管理された加入者情報登録装置112経由放送事業者装置111(a)、111(b)でしか行えなかった。
【0011】
加入者にとっては、アダルト等の番組について、放送事業者のオペレータに言いづらいという面もあり、上述のような面倒な手続きなしに、契約追加の手続きを行いたいという欲求がある。一方、放送事業者にとっても、このような処理を行うオペレータを24時間365日用意しておく必要があり、特に、深夜等も含め経済的な面で契約追加の処理を自動化したいという欲求がある。また、このような契約追加の処理の自動化は、一般的な時代の要請でもある。
【0012】
また、認証情報をポータルサーバに通知する場合においても、EMMは放送事業者装置111(b)からデジタル放送受信機113(b)への一方向性のため、放送事業者装置111(b)と連携し、契約追加のEMMを要求するような仕組みはなかった。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ポータルサービス画面を通して、加入者による未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理を自動化することで、加入者の利便性と放送事業者の運用性を向上することが可能な放送事業者装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するために、本発明の放送事業者装置は、放送事業者装置と、第一の識別情報と前記第一の識別情報に関連づけられた契約登録情報を保持し、前記放送事業者装置からの信号を第一のネットワークを利用して限定受信すると共に、前記放送事業者装置と第二のネットワークを利用して双方向通信する双方向デジタル放送受信機と、を含む双方向デジタルネットワークシステムにおいて、前記第二のネットワークを利用し前記放送事業者装置が提供する番組登録情報が記載された番組情報に対する前記双方向デジタル放送受信機からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき前記双方向デジタル放送受信機から受信する前記第一の識別情報と前記番組登録情報とにより、前記双方向デジタル放送受信機の前記契約登録情報を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の放送事業者装置によれば、ポータルサービス画面を通して、加入者による未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理を自動化することで、加入者の利便性と放送事業者の運用性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1における双方向デジタル放送ネットワークシステムの構成図
【図2】本発明の実施例1における契約登録情報と番組登録情報を示す図
【図3】本発明の実施例1におけるポータルサービス画面を示す図
【図4】本発明の実施例1におけるポータルサービス画面のおすすめ番組の一覧を示す図
【図5】本発明の実施例1におけるポータル画面のおすすめ番組を示す図
【図6】本発明の実施例1におけるポータル画面のおすすめ番組の未契約時の表示を示す図
【図7】本発明の実施例2における双方向デジタル放送ネットワークシステムの構成図
【図8】従来のデジタル放送ネットワークシステムの構成図
【図9】従来の双方向デジタル放送ネットワークシステムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1における双方向デジタル放送ネットワークシステムである。なお、従来のデジタル放送ネットワークシステムと同じ構成のものには、同じ番号を付している。
【0019】
双方向デジタル放送ネットワークシステム1は、加入者情報登録装置112、放送事業者装置11、双方向デジタル放送受信機21、放送系ネットワーク115及び通信系ネットワーク116から構成される。
【0020】
放送事業者装置11は、システム管理装置31、ポータルサーバ32、ECM生成装置122、EMM生成装置123及びスクランブラ124から構成される。
【0021】
また、双方向デジタル放送受信機21は、有料放送等の限定受信を可能にするためのCASカード114が装着されて使用される。
【0022】
加入者情報登録装置112には、加入者宅に設置する双方向デジタル放送受信機21に装着した限定受信処理を行うCASカード114の固有の識別番号(CASID)に対して、その契約内容(契約登録情報)が紐付けられて登録されている。加入者情報登録装置112は、登録されているCASID及びこれに紐付けされた契約登録情報を放送事業者装置11内のシステム管理装置31に送信する。システム管理装置31に送信されたCASID及びこれに紐付けされた契約登録情報はEMM生成装置123でEMMに組込まれる。その後、契約登録情報が組込まれたEMMはスクランブラ124に送信され、放送系ネットワーク115を通じて双方向デジタル放送受信機21に送信される。また、スクランブラ124で各放送サービス(番組)の放送信号に番組登録情報が組込まれたECM(後述)が多重化されスクランブルされた後、放送系ネットワーク115を通じて双方向デジタル放送受信機21に送信される。
【0023】
一方、放送サービス(番組)に関する登録情報(番組登録情報)は、放送サービス(番組)パック毎(後述)にシステム管理装置31に登録され、ECM生成装置122でECMに組込まれる。その後、番組登録情報が組込まれたECMは、各スクランブラ124に送信され、スクランブラ124で放送サービス(番組)毎の放送信号に多重化されスクランブルされた後、放送系ネットワーク115を通じて双方向デジタル放送受信機21に送信される。
【0024】
加入者が双方向デジタル放送受信機21のリモコン(図示せず)を操作し、特定のチャンネルの放送サービス(番組)を選局すると、双方向デジタル放送受信機21は、放送信号に多重化された番組登録情報が組込まれたECMを抽出し、CASカード114に送信する。CASカード114は、あらかじめ受信しているEMM内の契約登録情報とECM内の番組登録情報とを比較し、一致していれば、デスクランブル用の復号鍵を双方向デジタル放送受信機21に渡す。双方向デジタル放送受信機21は受け取った復号鍵を用いて放送信号を復号する。これにより加入者は選局したチャンネルの放送サービス(番組)を視聴できる。ECM内の番組登録情報がEMM内の契約登録情報と一致していなければ、「契約されていない」旨のエラーコードを双方向デジタル放送受信機21に返す。双方向デジタル放送受信機21はこのエラーコードを元に、「契約されていない」旨のパネル表示を画面上に行う。
【0025】
一方、放送事業者が運用するポータルサービスを提供するポータルサーバ32では、双方向デジタル放送受信機21に対して、通信系ネットワーク116を経由し、放送サービス(番組)の案内等の様々な情報の提供を行っている。
【0026】
図9の従来例では、ポータルサーバ125は、単に放送サービス(番組)に関連した情報を提供するに留まり、ポータルサービス画面を操作して、ポータルサービス画面で紹介する未契約の放送サービス(番組)の視聴を開始することはできなかった。
【0027】
ポータルサーバ32は、放送サービス(番組)毎の固有の識別番号(サービスID、すなわちチャンネル番号に相当)で放送事業者装置11内のシステム管理装置31に、放送サービス(番組)の番組登録情報を問い合わせ、システム管理装置31は、サービスIDに基づき自装置に登録された放送サービス(番組)パック毎に登録された番組登録情報をポータルサーバ32に応答する。なお、放送サービス(番組)パックとは、複数の放送サービス(番組)を1つの契約パックとして1つの番組登録情報を付与されたものをいう。
【0028】
ポータルサーバ32は、提供するポータルサービス画面に表示した放送サービス(番組)に放送事業者装置11内のシステム管理装置31から入手した番組登録情報を記載する。
【0029】
加入者がポータルサービス画面から選択した放送サービス(番組)が未契約の放送サービス(番組)の場合、双方向デジタル放送受信機21は「契約されていない」旨のパネル表示を画面上で行わず、ポータルサービス画面上で、加入者が選択した放送サービス(番組)について、追加契約を行うか否かの表示を行う。加入者が双方向デジタル放送受信機21のポータルサービス画面を操作し、ポータルサーバ32が提供する未契約の放送サービス(番組)の契約申し込み処理を行うと、ポータルサーバ32は、双方向デジタル放送受信機21に対してCASカード114のCASIDと番組契約情報を問い合わせ、双方向デジタル放送受信機21は、加入者が契約申し込みを行った放送サービス(番組)に記載された番組契約情報とCASIDをポータルサーバ32に応答する。ポータルサーバ32は、入手した加入者が契約申し込みを行った放送サービス(番組)に対する番組登録情報とCASIDを、放送事業者装置11内のシステム管理装置31に送信する。
【0030】
システム管理装置31は、ポータルサーバ32から受信したCASIDに対して紐付けられている契約登録情報に、受信した番組登録情報を加算し(更新された契約登録情報)、EMM生成装置123に更新された契約登録情報が組み込まれたEMM(更新されたEMM)の送信を指示する。EMM生成装置123は、更新されたEMMをスクランブラ124経由で双方向デジタル放送受信機21のCASカード114宛てに送信する。
【0031】
双方向デジタル放送受信機21のCASカード114は受信した更新されたEMMから更新された契約登録情報を取り出し、保持する契約登録情報を更新する。更新された契約登録情報には、当初未契約であった放送サービス(番組)の番組登録情報が加算されているため、CASカード114が当初未契約であった放送サービス(番組)の放送信号に多重されたECM内の番組登録情報を取り出し、保持している更新された契約登録情報と比較し一致を確認すると、スクランブル解除用の復号鍵を双方向デジタル放送受信機21に渡す。双方向デジタル放送受信機21は受け取った復号鍵によって、当初未契約であった放送サービス(番組)の放送信号をデスクランブルすることができ、加入者は放送サービス(番組)を放送事業者に電話をして追加契約を申し込む等の手続きなしに視聴することができる。
【0032】
加入者情報登録装置112の登録情報と、放送事業者装置11の登録情報の整合性を取るため、システム管理装置31は、契約を更新したCASカード114のCASIDと更新された契約登録情報を加入者情報登録装置112に通知する。加入者情報登録装置112は通知されたCASIDに紐付けられた契約登録情報を更新する。
【0033】
図2は、本発明の実施例1における契約登録情報と番組登録情報の例である。
【0034】
図2を用いて、契約登録情報と番組登録情報に関する仕組みをより詳細に説明する。
【0035】
図2の61(1)、61(2)、61(3)は3人の加入者が契約する契約登録情報であり、62(1)、62(2)、62(3)は3つの放送サービス(番組)の番組登録情報である。例えば、61(1)の加入者は、ベーシックパック契約をしており、61(2)の加入者はベーシックパック契約に加えスポーツパック契約をしており、61(3)の加入者はベーシックパック契約に加えアダルトパック契約をしているとする。すなわち、契約登録情報の1ビット目がベーシックパック契約に相当し、2ビット目がスポーツパック契約に相当し、3ビット目がアダルトパック契約に相当するとする。
【0036】
ベーシックパック契約にはサービスID(チャンネル番号に相当)が101から110まで各々割り当てられており、スポーツパック契約にはサービスIDが201から210まで各々割り当てられており、アダルトパック契約にはサービスIDが301から310まで各々割り当てられているとする。
【0037】
サービスIDが101の放送サービス(番組)の場合、番組登録情報はベーシックパック契約に含まれるサービスのため、61(1)、61(2)、61(3)の全ての加入者で視聴できる。サービスIDが201の放送サービス(番組)の場合、番組登録情報はスポーツパック契約に含まれるサービスのため、61(2)の加入者が視聴できる。サービスIDが301の放送サービス(番組)の場合、番組登録情報はアダルトパック契約に含まれるサービスのため、61(3)の加入者が視聴できる。
【0038】
ここで、加入者を61(1)のベーシックパック契約の加入者とし、視聴を希望した放送サービス(番組)がサービスID301の放送サービス(番組)であったとする。ポータルサーバ32は、システム管理装置31にサービスID301を通知し、このサービスIDに対する番組登録情報62(3)を得ており、ポータルサービス画面から提供するサービスID301の放送サービス(番組)には、番組登録情報62(3)が予め記載されてある。加入者61(1)が、ポータルサービス画面を操作し、サービスID301の視聴を希望し契約追加の申し込みをすると、ポータルサーバ32は、双方向デジタル放送受信機21から番組登録情報と加入者61(1)のCASIDを入手し、システム管理装置31に通知する。システム管理装置31は、ポータルサーバ32から受信したCASIDに対して紐付けられている加入者61(1)の契約登録情報を検索し、61(1)の契約登録情報を読み出す。この契約登録情報01(16進表記)に、通知された番組登録情報62(3)である04(16進表記)を加算し、05(16進表記)、すなわち61(3)の加入者の契約登録情報と同一として、加入者61(1)のCASカード宛に、更新されたEMMを送信する。
【0039】
図3から図6のポータルサービス画面の表示例を用い、未契約の放送サービス(番組)の契約追加を申し込む際の画面の遷移についてより具体的に説明する。
【0040】
図3はポータルサービス画面70のTOP画面で、加入者がリモコンのカーソルを操作しポータル画面メニュー71の「おすすめ番組」を選択すると、ポータルサーバ32は、双方向デジタル放送受信機21のブラウザと連携し、図4に示すように「おすすめ番組一覧」の番組宣伝を表示する。
【0041】
図4に示すポータルサービス画面70で加入者が「番組宣伝」のいずれかを選択すると、選択された番組宣伝は図5に示すポータルサービス画面70に遷移する。
【0042】
図5に示すポータルサービス画面70で「番組視聴」を選択すると、この放送サービス(番組)の番組登録情報は加入者のCASカード114の契約登録情報と合致しないため、加入者の双方向デジタル放送受信機21でデスクランブルすることが出来ず、図6に示すポータルサービス画面70に遷移する。
【0043】
図6に示すポータルサービス画面70で加入者がこの放送サービス(番組)の視聴契約を希望する場合、「視聴契約する」というポータル画面メニューを選択する。この「視聴契約する」というポータル画面メニューには、この放送サービス(番組)に対する番組登録情報が記載されており、以降、上述した通り、加入者のCASID宛に更新されたEMMが送信され、契約登録情報が更新される。
【0044】
本発明の放送事業者装置によれば、ポータルサービス画面を通して、加入者による未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理を自動化することで、加入者の利便性と放送事業者の運用性の向上を図ることが可能となる。
【実施例2】
【0045】
図7は、本発明の実施例2における双方向デジタル放送ネットワークシステムである。ポータルサーバ33は、入手した番組登録情報とCASIDを、放送事業者装置12内のシステム管理装置31に送信するまでの動作は実施例1と同じである。
【0046】
本発明の実施例2では、この後、ポータルサーバ33は、EMM生成装置123に放送サービス(番組)の追加契約が行われたCASIDに対する更新されたEMMを要求し、取得したEMMを、通信系ネットワーク116を経由して、双方向デジタル放送受信機21宛てに送信する。双方向デジタル放送受信機22は、装着されたCASカード114にEMMを送信し、応答を双方向デジタル放送受信機22のブラウザに返し、ブラウザはEMM受信応答をポータルサーバ33に返信する。
【0047】
これにより、実施例1により、ポータルサービス画面からの契約追加の自動化に加え、EMM受信の確認もポータルサーバ33で行えるしくみを構築できる。
【0048】
なお、本実施例では、ポータルサーバ32、33から提供するポータルサービス画面に従って未契約の放送サービス(番組)を追加契約する場合について記述したが、EPGを元に加入者が未契約の放送サービス(番組)を選局しようとした場合も同様である。従来は、「契約されていない」旨のパネル表示を画面上に行うだけであったが、「契約されていない」旨のエラーコードをCASカード114から受け取った場合、双方向デジタル放送受信機21、22は、ポータルサーバ32、33にアクセスし、「視聴契約する」というガイドメニューを表示し、以降、本実施例1で示した手順に従って、加入者のCASカード114に対して、契約更新されたEMMを送信し、放送サービス(番組)に対する契約登録情報を追加することも可能である。
【0049】
なお、本実施では、放送サービス(番組)の追加申し込みの場合について記載したが、放送サービス(番組)の解約を行う場合も同様である。すなわち、ポータルサーバ32、33から提供するポータルサービス画面で、放送サービス(番組)の解約のポータル画面メニューを用意し、加入者がポータル画面メニューを操作することにより、放送サービス(番組)の解約を確認し、確認した放送サービス(番組)の番組登録情報とCASカード114のCASIDを解約情報として、放送事情者装置11、12内のシステム管理装置31に送信する。システム管理装置31は、受信したCASIDに対して保持している契約登録情報に、受信した番組契約情報を減算し、EMM生成装置123にCASIDに対する減算した契約登録情報を送信指示する。EMM生成装置123は、更新した契約登録情報を組み込んだEMMを、スクランブラ124を経由し、双方向デジタル放送受信機21、22のCASカード114宛て送信する。
【0050】
なお、本実施例では、番組の追加申し込みの場合、ポータルサーバ32、33からの指示で、番組登録情報とCASIDを要求したが、番組登録情報と双方向デジタル放送受信機21を識別する識別番号(STBID)を要求しても良い。ポータルサーバ32、33は、取得した番組登録情報とSTBIDをシステム管理装置31に送信する。システム管理装置31は、事前に加入者情報登録装置112から登録されたSTBIDと契約登録情報から、該当するSTBIDに対する契約登録情報を検索し、要望のあった番組登録情報に相当する契約登録情報の追加処理を行っても良い。
【0051】
なお、本実施例では、番組の追加申し込みの場合、ポータルサーバ32、33からの指示でCASIDを要求したが、CASIDに加えSTBIDを要求しても良い。ポータルサーバ32、33は、取得した番組登録情報とCASIDに加えSTBIDをシステム管理装置31に送信する。システム管理装置31は、該当するCASIDに対する契約登録情報を検索し、要望のあった番組登録情報に相当する契約登録情報を追加する際に、保持しているSTBIDと通知されたSTBIDを比較し、一致した場合のみ契約追加処理を行ってもよい。
【0052】
なお、本実施例では、ポータルサーバ32、33から提供するおすすめ番組の「視聴契約する」というポータル画面メニューに放送サービス(番組)の番組登録情報を記載したが、代わりに放送サービス(番組)毎の固有の識別番号(サービスID)を記載しても良い。ポータルサーバ32、33は、入手した加入者が契約申し込みを行った放送サービス(番組)に対するサービスIDとCASIDを、放送事業者装置11内のシステム管理装置31に送信する。システム管理装置31は、ポータルサーバ32、33から受信したサービスIDに対応した番組登録情報を読み出し、同様に受信したCASIDに対して紐付けられている契約登録情報に、番組登録情報を加算し(更新された契約登録情報)、EMM生成装置123に更新された契約登録情報が組み込まれたEMM(更新されたEMM)の送信を指示する。以降は上述の実施例と同様である。
【0053】
なお、本実施例では、ポータルサーバ32、33から提供するおすすめ番組の「視聴契約する」というポータル画面メニューに放送サービス(番組)の番組登録情報を記述したが、ここに限らず、例えば、「番組宣伝」のコンテンツに記述し、加入者が「視聴契約する」というポータル画面メニューを選択した際に番組登録情報を取得することとしても良い。
【0054】
なお、本実施例では、複数の放送サービス(番組)を1つのパックとして1つの番組登録情報が登録されている例で説明したが、これに限らず、1つの放送サービス(番組)に1つの番組登録情報を登録した構成でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明にかかる放送事業者装置は、加入者の利便性と放送事業者の運用性の向上を図ることが可能であり、ポータルサービス画面を通して、加入者による未契約の放送サービス(番組)の契約追加の処理を自動化する放送事業者装置として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1、2 双方向デジタル放送ネットワークシステム
11、12 放送事業者装置
21 双方向デジタル放送受信機
31 システム管理装置
32、33 ポータルサーバ
70 ポータルサービス画面
71 ポータル画面メニュー
112 加入者情報登録装置
114 CASカード
115 放送系ネットワーク
116 通信系ネットワーク
122 ECM生成装置
123 EMM生成装置
124 スクランブラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送事業者装置と、
第一の識別情報と前記第一の識別情報に関連づけられた契約登録情報を保持し、前記放送事業者装置からの信号を第一のネットワークを利用して限定受信すると共に、前記放送事業者装置と第二のネットワークを利用して双方向通信する双方向デジタル放送受信機と、
を含む双方向デジタルネットワークシステムにおいて、
前記第二のネットワークを利用し前記放送事業者装置が提供する番組登録情報が記載された番組情報に対する前記双方向デジタル放送受信機からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき前記双方向デジタル放送受信機から受信する前記第一の識別情報と前記番組登録情報とにより、前記双方向デジタル放送受信機の前記契約登録情報を更新する
ことを特徴とする放送事業者装置。
【請求項2】
前記双方向デジタル放送受信機からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき前記双方向デジタル放送受信機から前記第一の識別情報と前記番組登録情報を受信するポータルサーバと、
前記双方向デジタル放送受信機が保持する前記第一の識別情報と前記第一の識別情報に関連付けられた契約登録情報と同一の情報を保持するシステム管理部とを備え、
前記ポータルサーバは、前記双方向デジタル放送受信機から受信した前記第一の識別情報と前記番組登録情報を前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記保持する前記ポータルサーバから受信した前記第一の識別情報と同一の第一の識別情報に関連付けられた契約登録情報に前記ポータルサーバから受信した前記番組登録情報を加算又は減算する
ことを特徴とする請求項1記載の放送事業者装置。
【請求項3】
前記双方向デジタル放送受信機は、前記第一の識別情報に関連づけられた第二の識別情報をさらに保持し、
前記システム管理部は、前記双方向デジタル放送受信機が保持する前記第二の識別情報と同一の情報をさらに保持し、
前記ポータルサーバは、前記双方向デジタル放送受信機からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき前記双方向デジタル放送受信機から前記第一の識別情報と前記第二の識別情報と前記番組登録情報を受信し、前記双方向デジタル放送受信機から受信した前記第一の識別情報と前記第二の識別情報と前記番組登録情報を前記システム管理部に送信し、
前記システム管理部は、前記保持する第二の識別情報と前記ポータルサーバから受信した前記第二の識別情報とが一致する場合のみ、前記ポータルサーバから受信した前記第一の識別情報と同一の第一の識別情報に関連付けられた契約登録情報に前記ポータルサーバから受信した前記番組登録情報を加算又は減算する
ことを特徴とする請求項2記載の放送事業者装置。
【請求項4】
前記ポータルサーバは、前記双方向デジタル放送受信機から受信した前記第一の識別情報と前記番組登録情報を前記システム管理部に送信した後、前記システム管理部が加算又は減算した前記第一の識別情報に関連付けられた契約登録情報を前記システム管理部から受信し、前記システム管理部から受信した前記第一の識別情報に関連付けられた契約登録情報を前記第二のネットワークを利用して前記双方向デジタル放送受信機に送信し、前記双方向デジタル放送受信機から送信応答を得る
ことを特徴とする請求項2記載の放送事業者装置。
【請求項5】
第一の識別情報と前記第一の識別情報に関連づけられた契約登録情報を保持し、該放送事業者装置からの信号を第一のネットワークを利用して限定受信すると共に、前記放送事業者装置と第二のネットワークを利用して双方向通信する双方向デジタル放送受信機と、
前記第二のネットワークを利用し前記双方向デジタル放送受信機に提供する番組登録情報が記載された番組情報に対する前記双方向デジタル放送受信機からの契約追加指示又は契約解除指示に基づき前記双方向デジタル放送受信機から受信する前記第一の識別情報と前記番組登録情報とにより、前記双方向デジタル放送受信機の前記契約登録情報を更新する放送事業者装置と
を含む双方向デジタルネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−3945(P2011−3945A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142893(P2009−142893)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】