説明

放送内容の監視装置

【課題】
広告のような映像が、一定の時刻、時間、回数だけ、放送されたことを監視するための簡便な装置を提供する。
【解決手段】
広告に電子透かしを埋め込んで放送し、この放送を受信して電子透かしを検出することにより、ある広告が何時、どれだけの時間放送されたかを監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を監視する装置で、広告のような映像が、規定の時刻、時間、回数だけ、放送されたことを監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TV放送などで、ある広告が規定の時刻、時間、回数だけ放送されたか、チェックしたいというニーズがある。日本だけでも放送局は地方局も含めると100局以上あり、その広告が全放送局で、きちんと出されているか人手でチェックするのは容易ではない。
【0003】
このニーズに応えようとする従来の技術としては、放送された映像と元々の広告用映像の特徴量を算出して比較する、特許文献1の技術がある。
【0004】
【特許文献1】特開2001-309263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、2つの映像のマッチングを行うためのパラメータを設定する必要があり、映像の内容やパラメータの設定によっては正常に機能するとは限らない。
【0006】
さらにあらかじめ監視装置に、比較するための広告映像情報を入力しておかないといけない。これが運用コストを上げることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、映像に埋め込む電子透かしの技術を用いて、放送内容を監視する装置に関するものである。具体的には、ある広告の映像が、規定の時刻、時間、回数だけ放送されたかを、電子透かしを検出することによって、チェックするものである。
【0008】
電子透かしは、人間の目には殆ど分からないような微弱な情報を映像に埋め込み、これを電子的に検出する技術である。
【0009】
映像の品質を落とさずに情報を埋め込む方法として、たとえば、
文献I.Echizen,H.Yoshiura,T.Arai,H. Kimura and T. Takeuchi: “General Quality Maintenance Module for Motion Picture Watermarking”,IEEE Trans. On Consumer Electronics,Vol.45,No.4,pp.1150-1158(1999).
に記載の技術がある。
【0010】
また、知られているように、電子透かしを用いて,8〜64ビット程度の情報を埋め込むことが可能であるため、著作者のIDや、コンテンツの管理制御情報(コピー可/不可など)などを埋め込むことができる。
【0011】
本発明では、広告にその広告映像固有のIDを埋め込む、電子透かし埋め込み装置と、放送波を受信して、映像から電子透かしを取り出す検出手段を持つ映像監視装置からなる。放送局側からは、電子透かしの入った広告と、一般の番組映像コンテンツを、切り替えて、放送波として送り出す。映像監視装置は、この放送波を受けて、映像を取り出し、電子透かしを検出する。電子透かしにはその広告特有のIDが入っているので、どの広告が何時、どの程度の時間、何回放送されたのかが分かる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子透かしを用いることで、ある広告が何時どれだけの時間放送されたか、簡単に記録することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
広告のような映像が規定の時刻、時間、回数だけ、放送されたことを監視するという目的を、電子透かし技術を用いて実現した。
【実施例1】
【0014】
図1は、本実施形態の構成を示すものである。放送局側に電子透かし埋め込み装置1がある。この埋め込み装置は、広告映像コンテンツ101に、透かしIDパターン102を埋め込む。電子透かしが埋め込まれた、透かし入り広告映像コンテンツ102は、切替え装置を経て、放送波として送りだされる。切替え装置は、番組映像コンテンツ104と透かし入り広告映像コンテンツ104を切り替えるもので、広告を規定の時刻、時間、回数だけ放送波として出力するためのものである。
【0015】
本実施形態では、上述の電子透かし技術を使って、各広告に対応した映像コンテンツの管理番号などを、映像の品質を殆ど落とさずに埋め込む。
【0016】
一方、放送受信側は、放送監視装置の中の、放送波受信装置11は放送波を受信し、映像を取り出して、電子透かし検出装置に出力する。電子透かし検出装置12は、映像から電子透かしIDパターンを取り出して、記録装置13に送り出す。記録装置13は、そのIDからどの広告が、何時、何時間、何回放送されたのか記録するものである。この記録データから、広告があらかじめ契約したとおり放送されているか、チェックできる。
【0017】
広告は15秒程度と短い映像が多く、また、再生装置によっては、映像のサイズが変わる可能性もある。このような影響を受けても正しく情報を検出する技術として、例えば、特願2004-016461に記載の技術がある。この技術によって、サイズが変わった広告からもあらかじめ埋め込んだ情報を正しく検出することができる。
【0018】
本実施形態を、従来の映像比較による方法と比較すると、監視装置には、元々の広告映像情報が不要であるという大きな特徴がある。従来の技術では、あらかじめ広告映像情報をロードしておく必要があり、これが運用上大きな負担となっていた。これに対して、本実施形態では、電子透かしを検出するだけで、どの広告がどれだけ放送されたのか、算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例の説明図
【符号の説明】
【0020】
1:電子透かし埋め込み装置,2:切替え装置,11:放送波受信装置,12:電子透かし検出装置,13:時刻など記録装置, 101:広告映像コンテンツ,102:透かしIDパターン,103:透かし入り広告映像コンテンツ,104:番組映像コンテンツ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送の監視システムにおいて、
広告に電子透かしを埋め込む装置と、
放送出力を受信して電子透かしを検出する装置と、
電子透かしを検出した時に時刻などを記録する記録装置から構成され、
広告が規定の時刻、時間、回数だけ放送された否かを監視するシステム。
【請求項2】
放送の監視システムにおいて、
広告にそれぞれの広告に対応したIDを電子透かしとして埋め込む電子透かし埋め込み装置と、
放送出力を受信して電子透かしを検出しIDを取り出す装置と、
そのIDに対応した広告が放送された時刻などを記録する記録装置から構成され、
広告が規定の時刻、時間、回数だけ放送されたことを監視するシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2006−229508(P2006−229508A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39939(P2005−39939)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成14年度新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進事業「クロスメディアコンテンツ基盤技術の研究開発」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】