説明

放送受信装置および放送受信制御方法

【課題】未対応の音声圧縮方式による放送の受信を選択した場合であっても、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止できる「放送受信装置および放送受信制御方法」を提供する。
【解決手段】受信チャンネルとして選択されたDAB放送で採用されている音声圧縮方式に対応しているか否かを判定する方式対応判定部12と、未対応と判定された場合、DAB放送と同内容のFM放送が存在するか否かを判定する同内容放送判定部13と、同内容のFM放送が存在する場合に当該FM放送を受信して再生するように制御する受信制御部14とを設け、未対応の音声圧縮方式を採用しているDAB放送が受信チャンネルとして選択された場合であっても、同内容のFM放送があれば、当該FM放送を受信して再生するようにすることにより、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送受信装置および放送受信制御方法に関し、例えば、デジタルラジオ放送を受信する装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルラジオ放送は、従来のアナログラジオ方法(AM放送、FM放送)に比べて高音質であること、データ放送などの付加サービスが充実していることなどの特徴を有することから、最近では広く実施されている。デジタルラジオの放送規格としては、DAB(Digital Audio Broadcast)、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)、DRM(Digital Radio Mondiale)、ISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)、IBOC(In-band on-channel)など種々のものがある。
【0003】
これらの放送規格は、一度策定されたら常に固定であるとは限らず、改良が加えられることもある。例えば、DABの場合、2010年に規格改定が行われ、音声圧縮方式として、従来の2chステレオと5.1chサラウンドの他に、7.1chサラウンドの音声圧縮方式が追加された。その場合、旧規格の音声圧縮方式にのみ対応した放送受信装置では、新規格の音声圧縮方式による放送を受信して正常に再生できない場合が生じるという問題がある。
【0004】
例えば、放送受信装置において未対応の音声圧縮方式(7.1chのサラウンド音声)の放送(サービス)がユーザにより選択された場合、音声圧縮方式以外の制御情報の観点では旧規格の通りのため、放送受信装置は正常なデータと判断して受信を開始する。ただし、新規格の音声圧縮方式に対応できるわけではないので、無音で動作が停止してしまうという問題があった。
【0005】
なお、昨今の放送受信装置においては、受信可能な放送(サービス)の一覧をディスプレイ画面に表示させ、ユーザが一覧の中から所望のサービスを選択できるようにしたものが主流である。しかし、選択可能なサービスの一覧を表示しても、各サービスで採用している音声圧縮方式が、放送受信装置で再生可能なものなのか、未対応で再生不可能なものなのかまでは提示できない。それは、サービス一覧を作成する時間を可能な限り短くするために、受信した放送のデータ中に含まれる制御情報を細部まで詳細に解析しないのが基本だからである。
【0006】
そのため、未対応の音声圧縮方式を採用しているサービスをユーザが一覧から選択してしまう場合もある。その場合、放送受信装置は、その選択されたサービスの受信動作を開始するものの、実際には無音で動作が停止してしまう。ユーザにしてみれば、受信可能と思ってサービスを選択したにもかかわらず、実際には無音のままで止まり、待たされ損になる。今後も、規格改定により新しい音声圧縮方式が採用され、そのたびに未対応の音声圧縮方式が増えていくことも予想される。そのため、何らかの対応が望まれている。
【0007】
なお、DVB−T方式に対応のテレビジョン受像機において、DVB−T2方式の放送を受信した場合に、自機では対応していないテレビジョン放送が行われていることをユーザに通知するようにした技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。また、受信機が対応していない伝送方式の放送を受信する場合は外部受信機器が必要である旨のメッセージをユーザに提示するようにした技術も存在する(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、再生手段からデジタル放送の音声信号が出力できない状態となった場合(受信装置で対応していないチャンネルを選局した場合など)に、その原因毎に異なる警告音を発生するようにした技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、電源投入時またはチャンネル切替時はアナログ放送を出力し、デジタル放送の出力が可能になった時点でデジタル放送に切り替えるようにした技術も存在する(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−251997号公報
【特許文献2】特開2007−214977号公報
【特許文献3】特開2005−354505号公報
【特許文献4】特開2008−288842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の従来技術では、未対応の音声圧縮方式による放送を受信した場合などにそのことをユーザに通知してくれるものの、単に通知を行うのみである。つまり、選択できるように見えたサービスをユーザが選択したにもかかわらず無音で止まってしまうという問題を根本的に解決することはできない。また、上記特許文献4に記載の従来技術では、電源投入時またはチャンネル切替時に同内容のアナログ放送とデジタル放送との切り替えを行うのみであり、この技術でも上述の問題を解決することはできない。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、未対応の音声圧縮方式による放送の受信を選択した場合であっても、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、受信チャンネルとして選択された第1規格の放送(例えば、DAB放送)で採用されている音声圧縮方式に未対応の場合、第1規格とは異なる第2規格の放送(例えば、デジタルFM放送)で、第1規格の放送と同内容の放送が存在するか否かを判定し、存在する場合は当該第2規格の放送を受信して再生するように制御する。
【0013】
また、本発明の他の態様では、上述のようにして第2規格の放送の受信・再生が行われているときに、第1規格の放送で、対応可能な音声圧縮方式を採用している他の放送が存在するか否かを判定し、存在する場合は、第2規格の放送の受信・再生を第1規格の他の放送の受信・再生に切り替えるように制御する。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、未対応の音声圧縮方式を採用している第1規格の放送が受信チャンネルとして選択された場合であっても、第1規格とは異なる第2規格で同内容の放送があれば、選択された第1規格の放送をそのまま受信して再生するのではなく、当該第2規格の放送を受信して再生するように制御される。これにより、未対応の音声圧縮方式による放送の受信を選択した場合であっても、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止することができる。
【0015】
また、本発明の他の態様によれば、いったん第2規格の放送を受信して再生した後、対応可能な音声圧縮方式を採用している第1規格の他の放送が別に見つけられた場合には、第2規格の放送の受信から当該第1規格の他の放送の受信に切り替えて再生するように制御される。これにより、音声圧縮方式が未対応である第1規格の放送の受信を選択した場合であっても、当該選択された第1規格と同じ第1規格の他の放送の受信によって、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態による放送受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のコントローラが備える機能構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による放送受信装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による放送受信装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の放送受信装置は、DABチューナ1、FMチューナ2、DAB復調部3、FM復調部4、DABデマルチプレクサ5、FMデマルチプレクサ6、音声処理部7、スピーカ8、表示部9およびコントローラ10を備えて構成されている。
【0018】
DABチューナ1は、DAB規格のデジタルラジオ放送(以下、DAB放送という)を受信する。DABチューナ1は、コントローラ10からの指示に基づいて、ユーザが操作部(図示せず)を操作して選択した1つの受信チャンネルに対応するDAB放送を受信する。また、DABチューナ1は、コントローラ10からの指示に基づいて、当該コントローラ10により特定された受信チャンネルに対応するDAB放送を受信する(これについては詳細を後述する)。
【0019】
FMチューナ2は、FM規格のデジタルラジオ放送(以下、FM放送という)を受信する。FMチューナ2は、コントローラ10からの指示に基づいて、ユーザが操作部(図示せず)を操作して選択した1つの受信チャンネルに対応するFM放送を受信する。また、FMチューナ2は、コントローラ10からの指示に基づいて、当該コントローラ10により特定された受信チャンネルに対応するFM放送を受信する(これについては詳細を後述する)。
【0020】
DAB復調部3は、DABチューナ1により受信されたDAB放送のデータを復調し、所定の誤り訂正処理を行った後、その結果得られるデータをDABデマルチプレクサ5に出力する。DABデマルチプレクサ5は、DAB復調部3から供給されるデータを音声データとその付随データとに分離する。DABデマルチプレクサ5は、分離した音声データを音声処理部7に出力し、付随データをコントローラ10に出力する。
【0021】
なお、DAB放送の付随データの中には、FIC情報(Fast Information Channel情報)やService Following情報が含まれている。FIC情報は、サービスのラベルやインフォメーションなどを示す情報である。サービスで提供する音声データは、FIC情報の後に続くMSC情報(Main Service Channel情報)と呼ばれる部分に含まれており、要するにFIC情報は、次にくるMSC情報の内容を説明するものである。
【0022】
MSC情報に含まれる音声データは、複数のService Componentという単位に分けて、所定の音声圧縮方式で圧縮されている。各々のService Componentにはヘッダ部が存在し、そのヘッダ部に音声圧縮方式(サラウンドの有無および種類など)が記述されている。DABの新規格(2010年5月版)によれば、ヘッダ部のHe_aac_super_frame_headerという情報(以下、SFH情報という)が“000”の場合は2chステレオ、“001”の場合はMPEG5.1chサラウンド、“010”の場合はMPEG7.1chサラウンドと決められている。DABの旧規格(2007年2月版)に比べて、新規格ではMPEG7.1chサラウンドが新たに追加されている。なお、このSFH情報は、特許請求の範囲の制御情報に相当する。
【0023】
また、Service Following情報は、現在受信中のチャンネルのDAB放送に加え、他のチャンネルのDAB放送およびFM放送に関するサービス内容を示す情報である。Service Following情報には、番組の名称、放送日時、内容の説明などの番組に関する情報が含まれており、番組を識別するための情報であるサービスIDにより番組を特定することが可能である。なお、このService Following情報は、特許請求の範囲のサービス情報に相当する。
【0024】
FM復調部4は、FMチューナ2により受信されたFM放送のデータを復調し、所定の誤り訂正処理を行った後、その結果得られる音声データをFMデマルチプレクサ6に出力する。FMデマルチプレクサ6は、FM復調部4から供給されるデータを音声データとその付随データとに分離する。FMデマルチプレクサ6は、分離した音声データを音声処理部7に出力し、付随データをコントローラ10に出力する。
【0025】
音声処理部7は、DABデマルチプレクサ5またはFMデマルチプレクサ6より供給される音声データに対して所定の処理を行うことにより、圧縮を解凍してPCMオーディオデータを生成する。そして、そのPCMオーディオデータをアナログ信号に変換するとともに、当該アナログ信号を所定の増幅率で増幅してスピーカ8に出力する。また、音声処理部7は、所定の処理を行う際に、Service Componentに含まれるSFH情報を抽出し、コントローラ10に供給する。
【0026】
コントローラ10は、本実施形態による放送受信装置の全体を制御するものである。このコントローラ10は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、ROMに格納されたプログラムに従ってCPUが動作することにより、各種制御を実行する。
【0027】
図2は、コントローラ10が備える機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態のコントローラ10は、その機能構成として、一覧生成部11、方式対応判定部12、同内容放送判定部13、受信制御部14、対応可能放送判定部15および表示制御部16を備えている。
【0028】
一覧生成部11は、DABデマルチプレクサ5から供給されるFIC情報に基づいて、受信可能なDAB放送(サービス)の一覧を生成して表示制御部16に出力する。表示制御部16は、一覧生成部11により生成されたサービス一覧を表示部9に表示させるように制御する。
【0029】
方式対応判定部12は、ユーザが操作部(図示せず)を操作することによってサービス一覧の中から受信チャンネルが選択された場合、当該受信チャンネルとして選択されたDAB放送の受信データに含まれるSFH情報を音声処理部7から入力する。そして、当該SFH情報に基づいて、当該DAB放送で採用されている音声圧縮方式に対応可能か否かを判定する。
【0030】
例えば、放送受信装置がDABの旧規格にのみ対応するものである場合、方式対応判定部12は、SFH情報が“000”(2chステレオ)または“001”(MPEG5.1chサラウンド)の場合は対応可能、SFH情報が“010”(MPEG7.1chサラウンド)の場合は未対応と判定する。方式対応判定部12は、その判定結果を同内容放送判定部13および受信制御部14に通知する。
【0031】
同内容放送判定部13は、方式対応判定部12により受信チャンネルの音声圧縮方式に未対応と判定された場合に、DAB放送の受信データに含まれるService Following情報をDABデマルチプレクサ5から入力し、当該Service Following情報に基づいて、受信チャンネルとして選択されたDAB放送とは異なるFM放送で、当該受信チャンネルのDAB放送と同内容の放送が存在するか否かを判定する。
【0032】
具体的には、同内容放送判定部13は、Service Following情報に含まれるDAB放送のサービスIDとFM放送のサービスIDとを比較して、DAB放送のサービスIDとFM放送のサービスIDとで同一のものがあるか否かを調べる。そして、DAB放送とFM放送とで同一のサービスIDがある場合には、同内容放送判定部13は、受信チャンネルとして選択されたDAB放送と同内容のFM放送が存在すると判定する。同内容放送判定部13は、その判定結果を受信制御部14および対応可能放送判定部15に通知する。
【0033】
受信制御部14は、ユーザにより選択されたDAB放送の音声圧縮方式に放送受信装置が対応可能であると方式対応判定部12により判定された場合は、当該選択されたDAB放送をそのまま受信して再生するように、DABチューナ1、DAB復調部3、DABデマルチプレクサ5および音声処理部7を制御する。
【0034】
一方、ユーザにより選択されたDAB放送の音声圧縮方式に放送受信装置が未対応であると方式対応判定部12により判定された場合、受信制御部14は、同内容放送判定部13による判定結果に応じて受信制御を行う。すなわち、受信制御部14は、同内容放送判定部13によりDAB放送と同内容のFM放送が存在すると判定された場合は、当該FM放送を受信して再生するように、FMチューナ2、FM復調部4、FMデマルチプレクサ6および音声処理部7を制御する。
【0035】
なお、同内容放送判定部13によりDAB放送と同内容のFM放送が存在しないと判定された場合、受信制御部14は、その旨を対応可能放送判定部15および表示制御部16に通知する。この通知を受けて表示制御部16は、「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージを生成し、当該メッセージを表示部9に表示させるように制御する。
【0036】
対応可能放送判定部15は、受信制御部14の制御によりFM放送の受信が行われているとき、あるいは、表示制御部16により「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージが表示部9に表示されているときに、DABチューナ1により受信されているDAB放送のデータに含まれるSFH情報(音声処理部7から供給される)およびService Following情報(DABデマルチプレクサ5から供給される)に基づいて、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用しているDAB放送が、当初ユーザにより選択された受信チャンネルの他に存在するか否かを判定する。
【0037】
例えば、放送受信装置がDABの旧規格にのみ対応するものである場合において、ユーザにより受信チャンネルとして選択されたDAB放送のSFH情報が“010”(MPEG7.1chサラウンド)であったため、当該サラウンド音声に未対応であるとしてDAB放送の代わりにFM放送の受信および再生が行われているとする。あるいは、代わりのFM放送も見つからなくて「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージが表示部9に表示されているとする。
【0038】
このとき、対応可能放送判定部15は、DABチューナ1で受信されたDAB放送のデータ中に含まれるService Following情報に基づいて、ユーザにより選択された受信チャンネルとは別のチャンネルに対応するDAB放送で、サービスIDが一致する他のDAB放送があるか否かを判定する。そのような条件を満たすDAB放送が存在する場合は、そのDAB放送を受信するようにDABチューナ1の受信チャンネルを切り替える。そして、それによって受信される他のDAB放送のデータに含まれるSFH情報に基づいて、当該他のDAB放送で採用されている音声圧縮方式に放送受信装置が対応可能か否かを判定する。
【0039】
ここで、切り替えた後の他のDAB放送の受信データに含まれるSFH情報が“000”(2chステレオ)または“001”(MPEG5.1chサラウンド)であれば、対応可能放送判定部15は対応可能と判定する。つまり、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用しているDAB放送が、最初にユーザにより選択されたDAB放送の他に存在すると判定する。そして、その旨を受信制御部14に通知する。
【0040】
この通知を受けて受信制御部14は、切り替え後の他のDAB放送を受信して再生するように制御する。例えば、ユーザにより選択されたDAB放送の代わりにFM放送の受信および再生が行われていた場合、受信制御部14は、FM放送の受信および再生を、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送の受信および再生に切り替えるように制御する。すなわち、受信制御部14は、FMチューナ2、FM復調部4およびFMデマルチプレクサ6による動作を、DABチューナ1、DAB復調部3およびDABデマルチプレクサ5による動作に切り替えるように制御する。
【0041】
また、「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージが表示部9に表示されていた場合、受信制御部14は、DABチューナ1、DAB復調部3およびDABデマルチプレクサ5によって他のDAB放送を受信して再生するように制御する。また、その旨を表示制御部16に通知する。この通知を受けて表示制御部16は、「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージを表示部9から消去する。
【0042】
なお、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在しない場合、対応可能放送判定部15はその旨を表示制御部16に通知する。この通知を受けて表示制御部16は、「受信再生対応可能な他のDAB放送が見つかりません」等のメッセージを生成し、当該メッセージを表示部9に表示させるように制御する。なお、代わりのFM放送を受信して再生している場合は、「FM放送に切り替えました」等のメッセージを表示部9に表示させて、FM放送の受信および再生を続行する。
【0043】
図3は、上記のように構成した本実施形態による放送受信装置の動作例を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、表示部9に表示されたサービス一覧の中からユーザにより所望の受信チャンネルが選択されたときに開始する。
【0044】
ユーザにより受信チャンネルが選択されると、まず、方式対応判定部12は、当該受信チャンネルとして選択されたDAB放送の受信データに含まれるSFH情報に基づいて、当該DAB放送の放送で採用されている音声圧縮方式に放送受信装置が対応可能か否かを判定する(ステップS1)。
【0045】
ここで、選択されたDAB放送の音声圧縮方式に対応可能であると方式対応判定部12により判定された場合、受信制御部14は、当該選択されたDAB放送をそのまま受信して再生するように、DABチューナ1、DAB復調部3、DABデマルチプレクサ5および音声処理部7を制御する(ステップS2)。そして、図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0046】
一方、選択されたDAB放送の音声圧縮方式に未対応であると方式対応判定部12にて判定された場合、同内容放送判定部13は、選択されたDAB放送の受信データに含まれるService Following情報に基づいて、当該選択されたDAB放送とは異なるFM放送で、受信チャンネルのDAB放送と同内容の(サービスIDが一致する)FM放送が存在するか否かを判定する(ステップS3)。
【0047】
ここで、受信チャンネルのDAB放送と同内容のFM放送が存在すると同内容放送判定部13にて判定された場合、受信制御部14は、当該FM放送を受信して再生するように、FMチューナ2、FM復調部4、FMデマルチプレクサ6および音声処理部7を制御する(ステップS4)。
【0048】
その後、FMチューナ2等によりFM放送の受信および再生が行われているバックグラウンドで、対応可能放送判定部15は、DABチューナ1により受信されているDAB放送のデータに含まれるSFH情報およびService Following情報に基づいて、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用しているDAB放送が他に存在するか否かを判定する(ステップS5)。
【0049】
そして、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在すると対応可能放送判定部15にて判定された場合、受信制御部14は、FMチューナ2等により行われているFM放送の受信および再生を、当該他のDAB放送の受信および再生に切り替えるように制御する(ステップS6)。そして、図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0050】
一方、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在しないと対応可能放送判定部15にて判定された場合、表示制御部16は、「FM放送に切り替えました」等のメッセージを生成し、表示部9に表示させるように制御する(ステップS7)。そして、図3に示すフローチャートの処理を終了する。この場合、ステップS4で行われたFM放送の受信および再生が続行されることになる。
【0051】
上記ステップS3において、最初にユーザにより選択された受信チャンネルのDAB放送と同内容のFM放送が存在しないと同内容放送判定部13にて判定された場合、表示制御部16は、「現在再生可能なサービスを検索中」等のメッセージを生成し、当該メッセージを表示部9に表示させるように制御する(ステップS8)。
【0052】
このメッセージの表示中に、対応可能放送判定部15は、DABチューナ1により受信されているDAB放送のデータに含まれるSFH情報およびService Following情報に基づいて、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用しているDAB放送が他に存在するか否かを判定する(ステップS9)。
【0053】
そして、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在すると対応可能放送判定部15にて判定された場合、処理はステップS6に進む。すなわち、受信制御部14は、ユーザにより選択されたDAB放送から当該他のDAB放送へ切り替えて受信および再生を行うように制御する(ステップS6)。そして、図3に示すフローチャートの処理を終了する。
【0054】
一方、放送受信装置が対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在しないと対応可能放送判定部15にて判定された場合、表示制御部16は、「受信再生対応可能な他のDAB放送が見つかりません」等のメッセージを生成し、当該メッセージを表示部9に表示させるように制御する(ステップS10)。そして、図3に示すフローチャートの処理を終了する。この場合は無音となるので、ユーザは受信チャンネルの選択をやり直すことになる。
【0055】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、ユーザにより受信チャンネルとして選択されたDAB放送で採用されている音声圧縮方式に放送受信装置が対応可能か否かを判定する。そして、未対応の場合は、当該DAB放送と同内容のFM放送が存在するか否かを判定し、存在する場合は当該FM放送をFMチューナ2等により受信して再生するようにしている。
【0056】
そのため、未対応の音声圧縮方式を採用しているDAB放送が受信チャンネルとして選択された場合であっても、そのDAB放送と同内容のFM放送があれば、選択されたDAB放送をそのまま受信して再生するのではなく、当該FM放送を受信して再生するように制御される。基本的に、FM放送はサラウンド音声がないので、FM放送の音声圧縮方式に放送受信装置が未対応であることは殆どない。これにより、未対応の音声圧縮方式によるDAB放送の受信をユーザが選択した場合であっても、無音で動作が停止してしまう不都合を防止することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上述のようにしてFMチューナ2等によりFM放送の受信および再生が行われているときに、DABチューナ1等を用いてバックグラウンドで、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が存在するか否かを判定する。そして、存在する場合は、FM放送の受信および再生を、当該他のDAB放送の受信および再生に切り替えるようにしている。
【0058】
そのため、いったんFM放送を受信して再生した後、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が見つけられた場合には、FM放送の受信から当該他のDAB放送の受信に切り替えて再生するように制御される。これにより、音声圧縮方式が未対応であるDAB放送の受信をユーザが選択した場合であっても、ユーザが選択したDAB放送と同じ規格のDAB放送の受信によって、無音で動作が停止してしまう不都合を防止することができる。
【0059】
なお、ユーザにより受信チャンネルとして選択されたDAB放送で採用されている音声圧縮方式に放送受信装置が未対応の場合には、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送を直ちに探索するようにしてもよい。ただし、当該他のDAB放送が見つからない場合、ユーザがサービス一覧の中から受信チャンネルを選択したにもかかわらず、何も音声が出力されずに動作が停止してしまうことになる。
【0060】
これに対して、上記実施形態で説明したように、ユーザにより選択されたDAB放送の音声圧縮方式に放送受信装置が未対応の場合に、まずは同内容のFM放送を優先的に探して受信・再生し、そのバックグラウンドで他のDAB放送を探索するようにすれば、無音で動作が停止してしまう不都合を可能な限り防止することができる。
【0061】
なお、バックグラウンドで他のDAB放送を探索する際に、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送が1つ見つかった時点で直ちに切り替えるようにすることが可能である。あるいは、対応可能な音声圧縮方式を採用している他のDAB放送を全て探索し、その中から最も条件の良いものに切り替えるようにしてもよい。最も条件が良いものとは、例えば、2chよりは5.1chといったように、チャンネル数が最も多いDAB放送である。
【0062】
上記実施形態では、第1規格の放送がDAB放送であり、第2規格の放送がFM放送である場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第1規格は、DMB、DRM、ISDB、IBOCなどであってもよい。
【0063】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 DABチューナ
2 FMチューナ
3 DAB復調部
4 FM復調部
5 DABデマルチプレクサ
6 FMデマルチプレクサ
7 音声処理部
10 コントローラ
11 一覧生成部
12 方式対応判定部
13 同内容放送判定部
14 受信制御部
15 対応可能放送判定部
16 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信チャンネルとして選択された第1規格の放送の受信データに含まれる制御情報に基づいて、当該第1規格の放送で採用されている音声圧縮方式に対応可能か否かを判定する方式対応判定部と、
上記方式対応判定部により未対応と判定された場合、上記第1規格の放送の受信データに含まれるサービス情報に基づいて、上記選択された第1規格の放送とは異なる第2規格の放送で、上記受信チャンネルの放送と同内容の放送が存在するか否かを判定する同内容放送判定部と、
上記同内容放送判定部により上記第2規格で同内容の放送が存在すると判定された場合、当該第2規格で同内容の放送を受信して再生するように制御する受信制御部とを備えたことを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
上記受信制御部の制御により上記第2規格の放送の受信・再生が行われているときに、上記第1規格の放送の受信データに含まれる上記制御情報および上記サービス情報に基づいて、上記第1規格の放送で、対応可能な音声圧縮方式を採用している他の放送が存在するか否かを判定する対応可能放送判定部を更に備え、
上記受信制御部は、上記対応可能放送判定部により上記対応可能な音声圧縮方式を採用している上記第1規格の他の放送が存在すると判定された場合、上記第2規格の放送の受信・再生を上記第1規格の他の放送の受信・再生に切り替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
上記第1規格の放送はDAB放送であり、上記第2規格の放送はFM放送であることを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
受信チャンネルとして選択された第1規格の放送の受信データに含まれる制御情報に基づいて、当該第1規格の放送で採用されている音声圧縮方式に対応可能か否かを判定する第1のステップと、
上記第1のステップで未対応と判定された場合、上記第1規格の放送の受信データに含まれるサービス情報に基づいて、上記選択された第1規格の放送とは異なる第2規格の放送で、上記受信チャンネルの放送と同内容の放送が存在するか否かを判定する第2のステップと、
上記第2のステップで上記第2規格で同内容の放送が存在すると判定された場合、当該第2規格で同内容の放送を受信して再生するように制御する第3のステップとを有することを特徴とする放送受信制御方法。
【請求項5】
上記第2規格の放送の受信・再生が行われているときに、上記第1規格の放送の受信データに含まれる上記制御情報および上記サービス情報に基づいて、上記第1規格の放送で、対応可能な音声圧縮方式を採用している他の放送が存在するか否かを判定する第4のステップと、
上記第4のステップで上記対応可能な音声圧縮方式を採用している上記第1規格の他の放送が存在すると判定された場合、上記第2規格の放送の受信・再生を上記第1規格の他の放送の受信・再生に切り替えるように制御する第5のステップとを更に有することを特徴とする請求項4に記載の放送受信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−90077(P2013−90077A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227718(P2011−227718)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】