説明

放送素材処理装置及び放送素材異常管理方法

【課題】ファイリング済みの放送素材の異常検出を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、しかも異常検出箇所も特定し得る放送素材処理装置を提供する。
【解決手段】映像・音声エラー検知装置12において、映像・音声蓄積送出装置11によるファイリング前のエンベデッド信号とファイリング済みのエンベデッド信号とを比較することで映像・音声蓄積送出装置11にファイリング済みのエンベデッド信号の異常の有無を判定し、異常があった場合に、その異常値を異常データ蓄積装置13のメモリ131上にフレームに対応付けて蓄積し管理するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放送局内でビデオサーバに記録(以下、ファイリングと称する)される放送素材データの異常管理を行う放送素材処理装置及び放送素材異常管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、放送局内にあっては、例えばテレビジョン放送やラジオ放送の番組、文字やデータによる番組等の放送素材をファイリングし、任意のタイミングでファイリング済みの放送素材を再生し、オンエアを行うビデオサーバが使用されている。このビデオサーバによるオンエア処理において、通常、オンエア前に放送素材の確認作業が行われている。
【0003】
ところが、この素材確認作業は、オペレータが順次放送素材データを読み出し、放送素材が正しくファイリングされているかどうかの目視によるプレビューを行っており、煩雑な作業が強いられている。
【0004】
なお、従来では、ビデオサーバの入力放送素材と出力放送素材とを比較して、ファイリング済みの放送素材の異常の有無をオペレータによる手操作を介することなく自動で検出する手法も提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−79631号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、上記手法では、ファイリング済みの放送素材の確認を人手を要することなく自動で行なうことができる。しかし、ファイリング済みの放送素材の異常が検出された場合に、どの箇所の異常であるかを特定する手法については検討段階であって実現されていないのが現状である。
【0006】
そこで、この発明の目的は、ファイリング済みの放送素材の異常検出を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、しかも異常検出箇所も特定し得る放送素材処理装置及び放送素材異常管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明に係る放送素材処理装置は、フレーム構造の放送素材データを記録し、この記録された放送素材データを再生する素材サーバと、この素材サーバの入力放送素材データと出力放送素材データとを比較することで、当該放送素材データの異常を検出する検出手段と、この検出手段による検出結果を記録媒体に記録し、当該記録媒体上の検出結果をフレーム別に管理する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0008】
なお、制御手段は、検出手段の検出結果による素材サーバに記録済みの放送素材データの異常値を記録媒体に記録してフレーム別に管理することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、素材サーバの入力放送素材データと出力放送素材データとを比較することで素材サーバに記録済みの放送素材データの異常の有無が判定される。そして、異常があった場合に、その異常値がフレームに対応付けて記録媒体に記録され管理される。従って、素材サーバに記録済みの放送素材データの異常の検出から異常値の管理までの工程が、人手を要することなく自動的に行われることになり、これによりユーザにとってはプレビュー作業に必要な労力と時間を大幅に軽減することが可能となる。また、素材サーバに記録済みの放送素材データの異常箇所まで特定でき、これにより詳細な異常発生状況の確認を行なうことができる。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したようにこの発明によれば、ファイリング済みの放送素材の異常検出を人手を要することなく迅速かつ適切に行えるようにし、しかも異常検出箇所も特定し得る放送素材処理装置及び放送素材異常管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態となる放送素材処理装置の構成を示すもので、放送素材データとしてのエンベデッド信号(D1(コンポーネント信号)、HD(High Definition))は、映像・音声蓄積送出装置11に供給されると共に、映像・音声エラー検知装置12に供給される。映像・音声蓄積送出装置11は、入力されるエンベデッド信号をファイリングするビデオサーバなどから成り、自動番組送出制御装置(図示せず)から与えられる指示信号に応じて、該当するエンベデッド信号を選択的に再生する。この再生信号は、映像・音声エラー検知装置12に供給される。
【0012】
映像・音声エラー検知装置12は、QuMAXから成り、上記映像・音声蓄積送出装置11によるファイリング前のエンベデッド信号とファイリング後のエンベデッド信号とを比較し、この比較結果を異常データ蓄積装置13に出力する。また、映像・音声エラー検知装置12は、上記比較結果からファイリング済みのデータのフリーズ、ミュート等の異常を検出し、この検出結果も上記異常データ蓄積装置13に出力する。
【0013】
異常データ蓄積装置13は、映像・音声エラー検知装置12から出力される比較結果及び異常値をメモリ131にフレーム単位で蓄積し、かつメモリ131上の比較結果及び異常値をフレーム別に管理する。
【0014】
次に、上記構成における処理動作について説明する。図2は、プレビューを行う際の映像・音声エラー検知装置12の処理動作手順を示すフローチャートである。
【0015】
まず、映像・音声エラー検知装置12は、ユーザによるプレビュー指示入力を判断し(ステップST2a)、指示入力があった場合に、映像・音声蓄積送出装置11に入力されるファイリング前のエンベデット信号と映像・音声蓄積送出装置11から出力されるファイリング済みのエンベデット信号とを比較し、これによりファイリング済みのエンベデット信号が異常であるか否かを判定する(ステップST2b)。そして、異常がなかった場合には、正常値を異常データ蓄積装置13に出力する(ステップST2c)。
【0016】
一方、異常があった場合には、映像・音声エラー検知装置12は異常値を異常データ蓄積装置13に出力する(ステップST2d)。
【0017】
図3は、異常データ蓄積装置13の処理動作手順を示すフローチャートである。
【0018】
すなわち、異常データ蓄積装置13は、映像・音声エラー検知装置12から出力される正常値及び異常値をメモリ131にフレーム毎に蓄積する(ステップST3a)。
【0019】
以上のプレビュー処理は、映像・音声蓄積送出装置11にファイリングされる全エンベデット信号について繰り返し実行し、全エンベデット信号の実行が完了した場合には、プレビュー処理を終了する。
【0020】
以上のように上記実施形態では、映像・音声エラー検知装置12において、映像・音声蓄積送出装置11によるファイリング前のエンベデッド信号とファイリング済みのエンベデッド信号とを比較することで映像・音声蓄積送出装置11にファイリング済みのエンベデッド信号の異常の有無を判定し、異常があった場合に、その異常値を異常データ蓄積装置13のメモリ131上にフレームに対応付けて蓄積し管理するようにしている。
【0021】
従って、映像・音声蓄積送出装置11にファイリング済みのエンベデット信号の異常の検出から異常値の管理までの工程が、人手を要することなく自動的に行われることになり、これによりユーザにとってはプレビュー作業に必要な労力と時間を大幅に軽減することが可能となる。
【0022】
また、映像・音声蓄積送出装置11にファイリング済みのエンベデット信号の異常箇所まで特定でき、これにより詳細な異常発生状況の確認を行なうことができる。
【0023】
さらに、無人でプレビューできるため、大量のデータを纏めてチェックできる。
【0024】
なお、上記実施形態では、正常値及び異常値をそれぞれフレーム毎に異常データ蓄積装置13のメモリ131に蓄積する例について説明したが、異常値のみをフレーム毎に異常データ蓄積装置13のメモリ131に蓄積するようにしてもよい。
【0025】
その他、放送素材処理装置の構成、映像・音声エラー検知装置の制御処理手順及びその内容、異常データ蓄積装置の制御処理手順及びその内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態となる放送素材処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における映像・音声エラー検知装置の制御処理手順及びその内容を示すフローチャート。
【図3】同実施形態における異常データ蓄積装置の制御処理手順及びその内容を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
11…映像・音声蓄積送出装置、12…映像・音声エラー検知装置、13…異常データ蓄積装置、131…メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム構造の放送素材データを記録し、この記録された放送素材データを再生する素材サーバと、
この素材サーバの入力放送素材データと出力放送素材データとを比較することで、当該放送素材データの異常を検出する検出手段と、
この検出手段による検出結果を記録媒体に記録し、当該記録媒体上の検出結果をフレーム別に管理する制御手段とを具備したことを特徴とする放送素材処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果による前記素材サーバに記録済みの放送素材データの異常値を前記記録媒体に記録してフレーム別に管理することを特徴とする請求項1記載の放送素材処理装置。
【請求項3】
フレーム構造の放送素材データを記録し、この記録された放送素材データを再生する素材サーバに用いられる放送素材異常管理方法において、
この素材サーバの入力放送素材データと出力放送素材データとを比較することで、当該放送素材データの異常を検出し、
この検出手段による検出結果を記録媒体に記録し、当該記録媒体上の検出結果をフレーム別に管理するようにしたことを特徴とする放送素材異常管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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