説明

放電式ランプ用電極及びそのリード部並びにこれらの製造方法

【課題】放電式ランプ用電極の放電効率及び芯出し精度を向上させる。
【解決手段】放電式ランプ用電極10は、ガラス管TB内に配置される放電部12と、これに接続されるリード部14とを備え、リード部14は外部リード線18と封着部16とを有する。外部リード線18は、その一方の端部に第1接合部18aを有する。封着部16は、ガラス管TBの線膨張係数に近似する線膨張係数を有する材料により筒状に形成され、外部リード線18の第1接合部側の端部の周囲にこの外部リード線18と独立して軸方向に熱膨張変位が可能となるように配置されるとともに、第2接合部18aを有する。そして、両接合部16a,18aが前記放電部12に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の液晶表示装置(LCD)のバックライトとして使用される冷陰極蛍光ランプ等の放電式ランプの電極及びその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等のOA機器に用いられる液晶表示装置は、照明用のバックライトを具備する。このバックライトの光源には、冷陰極蛍光ランプ等の放電式ランプが多用されている。この放電式ランプは、例えば特許文献1に記載されるように、特定方向に延びるガラス管と、このガラス管の両端にそれぞれ設けられる電極とを備える。この放電式ランプ用電極の従来例を図5に示す。
【0003】
図示の電極90は、前記ガラス管TB内に配置される放電部92と、この放電部92に接続されるリード部94とを備える。
【0004】
前記放電部92は、ニオブ、モリブデン、ニッケル、タングステン等からなり、図例ではカップ状をなす。前記リード部94は、前記ガラス管TBの端部に封着される封着部96と、外部リード線98とを備える。前記封着部96の材質は、熱応力の緩和の観点から、前記ガラス管TBの転移点温度までの線膨張係数が当該ガラス管TBの材質と近似することを条件として決定される。例えば前記ガラス管TBが硬質ガラスからなる場合、前記封着部96の材質にはコバール合金やモリブデン等が選ばれる。この封着部96の外周面上には、封着用ガラスビーズ97が固着される。その一方、前記外部リード線98には、電気伝導率及び熱伝導性が高くてある程度の剛性を維持できる材料からなる線、例えばデュメット線やマンガン入りニッケル線等が用いられる。
【0005】
この電極90は、例えば次のようにして製造される。
【0006】
1)前記封着部96の外側端部(図では右側端部)に前記外部リード線98が同軸配置で溶接される。
【0007】
2)前記封着部96の外周面上に封着用ガラスビーズ97が形成される。
【0008】
3)前記封着部96の内側端部(図では左側端部)に前記放電部92が同軸配置で溶接される。
【0009】
このようにして製造された電極90は、前記ガラス管TBの端部に溶着される。具体的には、その放電部92が前記ガラス管TBの内周面との間に微小な隙間をおくように当該ガラス管TB内に挿入され、前記封着部96の周囲に設けられている封着用ガラス部97が前記ガラス管TBに封止される。
【特許文献1】特開2005−276848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記電極90では、前記放電部92と前記外部リード線98との間に、前記ガラス管TBとの封着が可能となるだけの軸方向寸法をもつ封着部96が介在する必要がある。このことから次のような問題点がある。
【0011】
a.芯出し精度について
前記放電部92と外部リード線98との間には正確な芯出しが要求される。例えば、前記放電部92を前記ガラス管TB内に挿入する作業が前記外部リード線98を把持しながら進められる場合、当該ガラス管TB内への当該放電部92の挿入位置を正確に決めるためには、前記放電部92と前記外部リード線98との間に高い芯出し精度が要求される。
【0012】
ところが、前記電極90では、前記放電部92と前記外部リード線98との間に比較的長尺の前記封着部96が介在するため、前記放電部92と前記外部リード線98とを高精度で芯出しすることは非常に難しい。すなわち、当該電極90では、前記放電部92に前記封着部96が接合され、これとは別に当該封着部96に外部リード線98が接合されるので、前記放電部92に対する前記外部リード線98の芯出し誤差は、前記放電部92と前記封着部96との間の芯出し誤差と、前記封着部96と前記外部リード線98との間の芯出し誤差とが重畳されたものになる。このような芯出し誤差の重畳は、放電部92と外部リード線98との間の芯出し精度の向上を著しく妨げる。
【0013】
b.材質による不都合について
前記封着部96には前記ガラス管TBと近似する線膨張係数が要求されるため、その材質は著しく制約される。例えば、前記ガラス管TBが硬質ガラスからなる場合、前記封着部96の材質はコバール合金やモリブデンといった特殊な金属に限定される。
【0014】
ここで、前記コバール合金の電気伝導率及び熱伝導率は前記外部リード線98を構成する導電材料、例えば前記のデュメット線に比べると低いため、このコバール合金からなる封着部96がそのまま前記放電部92と前記外部リード線98との間に介在することは、電力損失及び熱損失を増大させ、これらの損失は前記電極90の放電効率を低下させる。特に、図5に示される電極90では溶接部位が2箇所存在するため、その点だけでも電気抵抗の増大は避けられない。
【0015】
その一方、前記モリブデンは高価であり、このモリブデンを図示のような体積の大きい封着部96に用いることは電極全体の材料費を著しく上昇させる。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑み、著しいコストの上昇を伴うことなく放電効率及び芯出し精度の向上が可能な放電式ランプ用電極及びそのリード部並びにこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ガラス管内に配置される放電部を有する放電式ランプ用電極の当該放電部に接続されるリード部であって、前記放電部に給電を行うための外部リード線と、前記ガラス管の端部に封着される封着部とを有し、前記外部リード線は、全長にわたり一体に形成され、その一方の端部に前記放電部に接合される第1接合部を有し、前記封着部は、前記外部リード線の材料よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により当該外部リード線よりも短い筒状部分を有する形状に形成され、この筒状部分が、当該外部リード線のうち前記第1接合部側の端部の外周面とのみ接触しかつ当該外部リード線と独立して軸方向に熱膨張変位が可能となるように前記端部の周囲に配置され、さらに、この封着部は、前記第1接合部とともに前記放電部に接合可能な位置に第2接合部を有するものである。
【0018】
また本発明は、上記の放電式ランプ用電極のリード部と、前記ガラス管の内側に挿入される放電部とを備え、この放電部に前記第1接合部及び前記第2接合部がそれぞれ接合されている放電式ランプ用電極である。
【0019】
以上の構成では、外部リード線の第1接合部が前記放電部に直接的に接合されるので、
この放電部に対し、前記外部リード線を通じて効率の高い給電を行うことが可能であるとともに、当該外部リード線と当該放電部との間の芯出し精度を向上させることが可能である。
【0020】
すなわち、本発明に係るリード部は、従来の電極のように封着部全体が外部リード線と放電部との間に介在するものではないので、当該封着部は前記外部リード線から前記放電部への導電効率や前記放電部に対する前記外部リード線の芯出し精度にほとんど影響を与えない。しかも、この封着部は前記ガラス管を構成する材料と線膨張係数が近似する材料により形成されるとともに、その第2接合部が前記放電部に接合される一方で当該第2接合部と反対側の端部は前記外部リード線と独立して熱膨張変位が可能であるので、当該熱膨張変位が熱応力の発生を効果的に抑制する。
【0021】
前記封着部は、前記外部リード線の第1接合部を軸方向に開放する形状を有するものでもよいし、その第2接合部が、当該封着部の筒状部分よりも薄肉で前記外部リード線の第1接合部を軸方向から覆う部分であり、当該第1接合部とともに溶融して前記放電部に溶接されることが可能な肉厚を有するものでもよい。前者の場合には、前記第1接合部と前記放電部との接合時に当該放電部に対して当該第1接合部が直接向き合うことになり、後者の場合には、前記接合時に前記放電部と前記第1接合部との間に僅かな肉厚をもつ第2接合部が介在することになる。この場合も、その薄肉の第2接合部が前記第1接合部とともに溶融することで当該第1接合部が直接的に前記放電部に溶接されることとなる。
【0022】
後者の封着部は、特に、前記外部リード線がデュメット線、すなわち42Ni−Feの合金からなる芯金が銅により被覆された複合線である場合に有効である。この封着部の第2接合部は、前記デュメット線からなる外部リード線の第1接合部を覆うため、当該デュメット線の被覆層を構成する銅が前記放電部と前記封着部との隙間から外部に析出する不都合を防ぐ機能を有する。
【0023】
一方、前記封着部の材質は、前記ガラス管の材質等に応じて適宜設定可能である。例えば、前記ガラス管が硬質ガラスからなる場合、前記封着部は、コバール合金、モリブデン、タングステンの中から選ばれる材料により形成されることが、好ましい。前記の「コバール合金」は、Ni29%及びCo17%の含有率をもつ鉄、ニッケル、およびコバルトを主成分とする合金である。
【0024】
前記コバール合金は、前記デュメット線等に比べると電気伝導率に劣るが、前記封着部は前記外部リード線と前記放電部との間に介在しないので、このコバール合金が前記封着部の材質に適用されても前記放電部への給電効率はほとんど影響を受けない。しかも、外部リード線の接合部位は前記第1接合部の1箇所のみなので、従来のように封着部の両端に接合部位が存在するものに比べて電気伝導率が向上する。その一方、前記モリブデンやタングステンは比較的高価であるが、前記封着部は前記外部リード線における前記第1接合部側の端部の周囲にのみ設けられれば足りるものであるので、この封着部に前記モリブデンやタングステンが適用されても材料費の著しい高騰は避けられる。
【0025】
前記外部リード線及び前記封着部は、当該封着部の筒状部分の内側に当該外部リード線の第1接合部側の端部が挿入された状態で当該封着部が縮径加工されることにより相互一体化されていることが、より好ましい。このリード部では、前記外部リード線の第1接合部側の端部と前記封着部との一体化が当該リード部の取扱いを容易にし、当該リード部を前記放電部に接合する作業の効率を高める。また、外部リード線と封着部との間での芯出し精度も向上する。しかも、これら外部リード線及び前記封着部は相互に圧接しているだけで、相互独立した熱膨張変位は可能である。
【0026】
前記封着部では、その筒状部分の外周面上に前記ガラス管に溶着可能な封着用ガラス部が設けられていることが、より好ましい。
【0027】
また本発明は、ガラス管内に配置される放電部を有する放電式ランプ用電極を構成するリード部であって、前記放電部に給電を行うための外部リード線及び前記ガラス管に封着される封着部を備えるリード部を製造する方法であって、前記封着部を成形する封着部成形工程と、その成形された封着部と前記外部リード線とを一体化する一体化工程とを含み、前記封着部成形工程では、当該封着部として、前記外部リード線の材料よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により、前記外部リード線よりも短く当該外部リード線の周囲に配置可能な筒状部分を有する封着部を成形し、前記一体化工程では、前記封着部の筒状部分の内側に前記外部リード線の一方の端部を挿入した状態で当該封着部を縮径加工することにより、前記封着部の筒状部分の内周面と前記外部リード線の一方の端部の外周面とが接触しながら当該封着部と当該外部リード線とが相互独立して軸方向に熱膨張可能でありかつ当該封着部及び当該外部リード線のそれぞれの一方の端部が前記放電部に同時に接合可能となるように、当該外部リード部と当該封着部とを一体化するリード部の製造方法である。
【0028】
また本発明は、ガラス管内に配置される放電部と、この放電部に給電を行うための外部リード線及び前記ガラス管に封着される封着部を含むリード部とを備えた放電式ランプ用電極を製造するための方法であって、前記封着部を成形する封着部成形工程と、その成形された封着部と前記外部リード線とを一体化する一体化工程と、前記封着部と前記外部リード線とが一体化されたリード部を前記放電部に接続して前記放電式ランプ用電極を構築するリード部接続工程とを含み、前記封着部成形工程では、当該封着部として、前記外部リード線の材料よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により、前記外部リード線よりも短く当該外部リード線の周囲に配置可能な筒状部分を有する封着部を成形し、前記一体化工程では、前記封着部の筒状部分の内側に前記外部リード線の一方の端部を挿入した状態で当該封着部を縮径加工することにより、前記封着部の筒状部分の内周面と前記外部リード線の一方の端部の外周面とが接触しながら当該封着部と当該外部リード線とが相互独立して軸方向に熱膨張可能でありかつ当該封着部及び当該外部リード線のそれぞれの一方の端部が前記放電部に同時に接合可能となるように、当該外部リード部と当該封着部とを一体化し、前記リード部接続工程では、前記外部リード線及び前記封着部のそれぞれの一方の端部を前記放電部に接合する放電式ランプ用電極の製造方法である。
【0029】
以上の方法では、前記封着部の内側に前記外部リード線の一方の端部を挿入した状態で当該封着部を縮径加工することにより、当該封着部と外部リード線との芯出しを良好に行いながら効率良く両者を一体化することができる。そして、これら外部リード線及び封着部のそれぞれの一方の端部を前記放電部に接合することにより、当該放電部に前記外部リード線が直接接続された給電効率の高い放電ランプ用電極を高い芯出し精度で容易に製造することができる。
【0030】
前記リード部接続工程としては、前記第1接合部及び前記第2接合部をそれぞれ前記放電部に溶接するものが、好ましい。この溶接は、前記各接合部が溶融して互いに融合した合金を形成し、この合金は前記外部リード線と封着部との間を確実に封止するシール材として機能し得る。
【0031】
ここで、前記外部リード線にデュメット線を用いる場合、前記封着部成形工程では、前記筒状部分に加えて当該筒状部分よりも薄肉で前記放電部に溶接される側の前記外部リード線の端面を覆う部分を有する形状の封着部を成形し、前記リード部接続工程の溶接では、前記外部リード線の端面を含む部分とこの端面を覆う前記封着部の部分をともに溶融さ
せて前記放電部に接合することが、より好ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明は、外部リード線を放電部に直接接続することを可能にすることで放電効率及び芯出し精度の向上が可能な放電式ランプ用電極及びそのリード部並びに当該電極の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0034】
図1は、前記実施形態に係る放電式ランプ用電極の使用状態を示した図である。図示のガラス管TBは、一方向に延びる略直線状をなし、その長手方向の両端部(図では一方の端部のみを図示)にそれぞれ電極10が配置される。各電極10は、前記ガラス管TBの内部に配置される放電部12と、この放電部12に接続されるリード部14とを一体に有する。
【0035】
前記放電部12は、ニオブ、モリブデン、ニッケル、タングステン等からなり、図例ではカップ状をなす。すなわち、略円板状の底壁12aと、この底壁12aの外周縁から軸方向に延びる円筒状の周壁12bとを一体に有し、前記周壁12bは前記ガラス管TBの内径よりも僅かに小さい外径を有する。そして、前記底壁12aが放電式ランプの長手方向外側を向くようにして前記放電部12全体が前記ガラス管TB内に挿入される。
【0036】
なお、図1における二点鎖線は、前記放電部12が前記ガラス管TB内に挿入されてから封着が行われた後の当該ガラス管TBの形状を示している。
【0037】
前記リード部14は、前記ガラス管TBの端部に封着される封着部16と、外部リード線18とからなる。図2に示すように、前記外部リード線18は、その一方の端部の末端が前記放電部12の底壁12aに直接接合可能な第1接合部18aとされ、他方の端部が図略の電源回路に接続される。その一方、前記封着部16は、その全体が、前記外部リード線18のうちの前記第1接合部18a側の端部のみを部分的に覆う筒状をなし、前記第1接合部18aと同じ側に、この第1接合部18aとともに前記放電部12の底壁12aに接合可能な第2接合部16aを有している。すなわち、この実施の形態に係る封着部16は、その全体が前記外部リード線18よりも短い筒状部分に相当している。この封着部16および前記外部リード線18は、当該封着部16に後述の縮径加工が施されることにより、相互一体化されている。
【0038】
前記封着部16は、前記ガラス管TBと結合されるものであるため、その材質としては、熱応力の緩和の観点から、前記ガラス管TBを構成するガラスと線膨張係数の近似するものが選定される。
【0039】
例えば、前記ガラス管TBが硬質ガラスからなる場合、その線膨張係数は47〜49×10−7/℃であるので、前記封着部16の材質としては例えば比較的安価なコバール合金が好適である。このコバール合金は、Ni29%及びCo17%の含有率をもつ鉄、ニッケル、およびコバルトを主成分とする合金であり、その線膨張係数は45.4〜50.8×10−7/℃である。このコバール合金の他、高価ではあるが例えばモリブデンやタングステン等の採用も可能である。その一方、前記ガラス管TBが軟質ガラスからなる場合、その線膨張係数は90〜92×10−7/℃であるが、この場合も、前記封着部16の材質として前記軟質ガラスの線膨張係数に近似する線膨張係数をもつものを選定するのがよい。具体的には、鉄−ニッケル系合金(例えばニッケル含有率が42%,50%,あるいは52%の鉄−ニッケル系合金)が好適である。また、デュメット線を用いることも可能である。ただし、この封着部16の材質は、ガラスとの封着性を考慮すると、外周面上に銅めっきのないものがより好ましい。
【0040】
この封着部16の外周面上には、封着用ガラスビーズ17が固着される。この封着用ガラスビーズ17が前記ガラス管TBの端部に封止されることにより、当該ガラス管TBへの電極10の封着が行われる。
【0041】
一方、前記外部リード線18の材質としては、電気伝導率及び熱伝導率が高く、また高温でもある程度の剛性を保持し得る材料が用いられる。具体的には、図2に示されるように42Ni−Fe系合金からなる母材18bが銅からなる被覆層18cで覆われたデュメット線や、Mn−Ni合金からなる導線等が好適である。
【0042】
前記外部リード線18の第1接合部18a及び前記封着部16の第2接合部16aはともに前記放電部12の底壁12aに溶接(例えばレーザ溶接)されることによって相互一体化される。この溶接により形成される合金は、図1に示すように前記外部リード線18と前記封着部16との間の微小隙間を封止するシール部13を構成する。その一方、前記封着部16のうち前記第2接合部16aと反対側の端部16bは拘束されない自由端部であるため、当該端部16bは前記外部リード線18と独立して軸方向に熱膨張変位することが可能である。
【0043】
前記第1接合部18aの端面の軸方向位置と前記第2接合部16aの端面の軸方向位置とは完全に合致していてもよいし、両接合部18a,16aが同時に前記放電部12に接合可能となる範囲で軸方向に僅かにずれていてもよい。前記外部リード線18が図2に示されるようなデュメット線、すなわち銅製の被覆層18cを有する線からなる場合、当該外部リード線18の第1接合部18aが前記封着部16の第2接合部16aよりも僅かに奥まっていれば、当該外部リード線18の被覆層18cを構成する銅が前記封着部16と前記放電部12の底壁12aとの間から外部に析出するのを抑止することができるという利点が得られる。
【0044】
この電極10は、例えば次の手順により効率よく製造される。
【0045】
1)前記放電部12及び前記封着部16が成形される。前記放電部12は、例えば板材をプレス加工することにより前記のようなカップ状に成形されることが可能である。また、前記封着部16の成形は、例えば、薄板を円筒状にカールさせてその端部同士をシーム溶接等で接合することにより円筒物を形成する工程と、その円筒物の径を引抜き加工と焼きなましとの繰返しにより調節する工程とにより、可能である。
【0046】
2)前記外部リード線18と前記封着部16とが次の手順で一体化される。
【0047】
まず、前記外部リード線18のうちの第1接合部18a側の端部が前記封着部16の内側に挿入され、これにより二重構造が形成されるとともに当該第1接合部18aの軸方向位置と前記封着部16の第2接合部16aの軸方向位置とが揃えられる。そして、前記二重構造部分で前記封着部16が例えばダイスを用いて縮径加工される。
【0048】
図3に前記ダイスの例が示される。ここに例示されるダイス20は、前記封着部16の目標径に相当する内径をもつ円筒部22と、この円筒部22から上方に向かって徐々に内径が広がるフレア状の誘い込み部24とを有する。この誘い込み部24の内側に前記二重構造の部分がセットされ、この二重構造の部分が図略のガイドで軸方向に案内されながら図略の押し金型によって前記円筒部22内に強制的に押し込まれることにより、前記封着部16が前記円筒部22の内径に相当する径に至るまで縮径加工される。
【0049】
前記円筒部22内には、成形後の二重構造部分を押し出すためのノックアウト26が予め装填される。このノックアウト26の上面に前記第1接合部18a及び第2接合部16aが当接することにより、両接合部18a,16aの軸方向位置が揃えられる。このとき
、前記ノックアウト26の上面に図3に示されるような外部リード線18と同径の突起28が形成されていれば、その突起28の突出寸法分だけ前記外部リード線18の第1接合部18aを前記封着部16の第2接合部16aよりも自動的に奥まらせることが可能である。
【0050】
この縮径加工により、前記外部リード線18と前記封着部16とが一体化される。すなわち、前記外部リード線18の第1接合部18a側の端部の外周面と前記封着部16の内周面とが密着した状態となる。しかし、両面は単に接触しているだけであるため、当該外部リード線18と当該封着部16とは独立して熱膨張変位が可能である。
【0051】
なお、前記封着部16に加えて前記外部リード線18も若干縮径されてもよい。ただし、その縮径度が過度になると前記外部リード線18に対する封着部16の独立した熱膨張変位が困難になる。従って、前記外部リード線18は実質上縮径されない程度に前記封着部16の縮径度が設定されることが、より好ましい。
【0052】
3)前記封着部16の周囲に従来と同様に封着用ガラスビーズ17が形成される。
【0053】
4)前記外部リード線18の第1接合部18a及び前記封着部16の第2接合部16aが前記放電部12の底壁12aに同時に溶接(例えばレーザ溶接)によって接合される。この溶接は、前記底壁12aと前記両接合部16a,18aとの接合部位にそれぞれの材料が融合した合金部位を形成し、この合金部位は前記外部リード線18と前記封着部16との隙間からのリークを防ぐシール部13としての機能を有する。すなわち、前記外部リード線18と前記封着部16とが二重構造を形成しているにもかかわらず、シール性の高い電極10が構築される。
【0054】
このとき、前記外部リード線18の第1接合部18aが前記放電部12に対して直接溶接されるため、これら外部リード線18と放電部12との間の芯出し精度は、前記図5に示される従来構造に比べて飛躍的に向上する。すなわち、後者の従来構造では、外部リード線98と前記放電部92との間に封着部96がそのまま介在し、当該外部リード線98と当該封着部96との接合と、当該封着部と前記放電部92との接合とが個別に行われるため、前記外部リード線98と前記放電部92との芯出し誤差は、当該外部リード線98と前記封着部96との芯出し誤差と、当該封着部96と当該外部リード線98との芯出し誤差が重畳されたものとなるのに対し、前記外部リード線18は前記放電部12に直接接合されるために前記のような芯出し誤差の重畳がない。
【0055】
5)この電極10は、従来の電極と同様にしてガラス管TBに組み付けられる。すなわち、この電極10のうちの放電部12が前記ガラス管TBの内側にその端部開口から挿入され、当該ガラス管TBの端部に前記封着部16の周囲のガラスビーズ17が封止される。このとき、前記封着部16は前記ガラス管TBを構成するガラスに近似した線膨張係数を有しており、かつ、当該封着部16のうち前記第2接合部16aと反対側の端部16bは自由端部であって前記外部リード線18と独立して軸方向に熱膨張変位することが可能であるため、この熱膨張変位が、前記封着部16や前記外部リード線18における熱応力の発生を有効に抑止する。
【0056】
なお、同じ二重構造でも、前記封着部16が前記外部リード線18と同じ軸長を有していて当該外部リード線18をその全長にわたって被覆するものでは、封着部16の材料に相当の無駄が生じる。特に、封着部16にモリブデン等の高価な材料が用いられる場合、材料費は著しく高騰することになる。
【0057】
また、当該封着部16の構成材料と外部リード線18の構成材料とを二重構造にした長
尺線を製造してからこの長尺線を図示の封着部16の軸長に相当する長さに寸断し、その寸断した二重構造材にさらに必要長さのリード線を継ぎ足す方法も考えられるが、この方法では、当該継ぎ足しのために、前記図5に示した従来の電極と同様に高い芯出し精度を得ることはできない。そればかりか、前記二重構造材の両端での溶接が当該二重構造材を両側から拘束していわゆるバイメタルにしてしまうので、前記封着部16と外部リード線18の線膨張係数差が却って熱応力を増大させてしまう結果を招く。
【0058】
すなわち、前記熱応力の緩和及び芯出し精度の向上という2つの効果を両立させるためには、全長にわたって一体に形成された外部リード線18の第1接合部18aが放電部12に直接接合されること、この外部リード線18のうち前記第1接合部18a側の端部の周囲にのみ前記封着部16が配設されること、及び、当該封着部16の第2接合部16aが前記放電部12に接合される一方で当該第2接合部16aと反対側の端部16bが前記外部リード線18に対して独立して熱膨張変位可能な自由端部となっていることが必須である。
【0059】
そして、この電極10では、前記封着部16に比較的電気伝導率の低いコバール合金等が用いられても高い給電効率を確保することが可能であり、また、当該封着部16にモリブデン等の高価な材料が用いられても、材料費の著しい高騰を回避することができる。
【0060】
本発明の第2の実施の形態を図4に示す。この実施の形態に係るリード部14では、封着部16が、前記の筒状部分に加え、外部リード線18の第1接合部18aを軸方向から覆う部分を有し、この部分が第2接合部16aすなわち放電部12に溶接される部分となっている。この第2接合部16aの肉厚は、前記の筒状部分の肉厚よりも小さい。より具体的には、前記リード部14と放電部12との溶接時に、前記第2接合部16aさらにはこの第2接合部16aにより覆われる第1接合部18aがともに溶融して一体化された状態で前記放電部12の底壁12aに溶接されることが可能な程度まで、前記第2接合部16aの肉厚が小さく設定されている(例えば0.05mm)。
【0061】
すなわち、このリード部14の端部は、その外部リード線18の第1接合部18aと前記放電部12の底壁12aとの間にきわめて薄肉の第2接合部16aが介在する状態で当該底壁12aに突き当てられ、この状態で溶接が行われる。この溶接時に前記両接合部18a,16aがともに溶融して前記底壁12aに一体的に接続される。つまり、当該溶接前の状態で前記第2接合部16aが前記第1接合部18aと前記底壁12aとの間に僅かに介在していても、溶接後の状態では両接合部18a,16aが前記底壁12aに直接的に接合される。従って、前記第1の実施の形態と同様に、高い放電効率及び芯出し精度を確保することが可能である。
【0062】
この第2の実施の形態は、前記外部リード線18として図示のようなデュメット線、すなわち、その母材18bの表面が銅製の被覆層18cにより被覆された線が用いられる場合に、特に有効である。この実施の形態に係る第2接合部16aは、溶接前の段階で前記外部リード線18の第1接合部18aを覆うため、前記溶接時に前記被覆層18cを構成する銅が外部に析出することを有効に抑止する。
【実施例】
【0063】
前記図1に示される電極10が以下の要領で製造される。
【0064】
1)各構成部品について
前記電極10の製造にあたり、その構成部品として次のような放電部12、封着部16、及び外部リード線18が用意される。
【0065】
前記放電部12はニッケル製で、その底壁12aの肉厚が0.2mm、周壁12bの外径が1.7mm、周壁12bの軸方向寸法が4.1mm、周壁12bの肉厚が0.1mmである。
【0066】
前記封着部16は、その全体がコバール合金により円筒状に形成される。当該円筒の内径は0.61〜0.62mm、外径は0.81〜0.82mm、軸方向寸法は3.0mmである。
【0067】
前記外部リード線18にはデュメット線が用いられる。その外径は0.6mm、全長(前記封着部16によって被覆される部分も含めた軸長)は18.0mmである。
【0068】
2)一体化工程について
前記外部リード線18の一方の端部(すなわち第1接合部18a側の端部)が筒状の前記封着部16の内側に挿入されて二重構造部分が形成され、この部分が前記図3に示されるダイス20にセットされる。このダイス20を用いることにより、前記当該二重構造部分における封着部16の内径が0.6mm、外径が0.8mmにそれぞれ至るまで、当該封着部16が縮径加工される。この縮径加工により前記封着部16の内周面が前記外部リード線18の外周面に密着し、当該封着部16と当該外部リード線18とが相互一体化される。
【0069】
前記図3に示されるノックアウト26の突起28の突出寸法は、0.1mm程度が好ましい。この0.1mm分だけ前記外部リード線18の第1接合部18aが前記封着部16の第2接合部16aから僅かに奥まった状態で当該外部リード線18と当該封着部16とが一体化される。この両接合部18a,16aの軸方向位置同士の僅かなずれは、前記外部リード線18の被覆層18cを構成する銅の外部への析出を防ぐ。
【0070】
なお、前記一体化工程後、必要に応じて、前記封着部16の外周面上に硬質ガラスからなる封着用ガラスビーズ17が溶着される。
【0071】
3)リード部接続工程について
前記封着部16の第2接合部16aが前記放電部12の底壁12aに突き当てられ、当該第2接合部16aと、この第1接合部16aよりも僅かに奥まった位置にある第1接合部18aとが、ともに、レーザ溶接によって前記底壁12aに直接的かつ同時に接合される。
【0072】
以上の方法により製造された電極10では、きわめて芯出し精度が高く、0.005の同心度を得ることが可能である。その一方、前記図5に示される従来の電極90では、同心度を0.05以下に抑えることは困難である。また、前記電極90においてその封着部96にコバール合金が用いられる場合に比べ、本実施例に係る電極10では、前記封着部16に同じくコバール合金が用いられているにもかかわらず、放電電圧の25%減、放電電流ロスの80%減、さらに管壁温度及び電極温度の50%減が達成可能である。
【0073】
4)ガラス管への装着について
前記電極10は、適当な自動挿入装置を用いてガラス管にセットされる。具体的に、前記装置は前記外部リード線18を把持しながら前記放電部12を前記ガラス管の端部内側に挿入する。このときの放電部12の外周面とガラス管内周面とのクリアランスが例えば0.1mm程度であっても、前記放電部12と前記外部リード線18との同心度が前記のように0.005まで向上されていれば、前記放電部12は正確にガラス管内に挿入される。従って、前記の同心度の向上は、電極10の歩留まりを著しく向上させる。
【0074】
その後、前記封着用ガラスビーズ17が前記ガラス管の端部に溶着される。このとき、前記封着部16の線膨張係数が前記ガラス管のそれに近似し、かつ、当該封着部16の第1接合部16aと反対側の端部16bは外部リード線18と独立して熱膨張変位するため、この熱膨張変位が前記封着部16における熱応力の発生を抑止する。これにより、強度的に安定した放電式ランプの製造が実現される。
【0075】
なお、前記図4に示されるような第2の実施の形態に係るリード部14の製造要領も、前記とほぼ同等である。このリード部14の封着部16は、前記外部リード線18の外周面の一部を覆う筒状部分に加え、その一方を塞ぐ第2接合部16aとを有するキャップ状をなしているが、この形状の封着部16は例えばプレス加工によって成形することが可能である。また、前記第2接合部16aの肉厚は0.05mm程度が好ましい。この程度の肉厚であれば、前記溶接時に前記第2接合部16aさらにはこの第2接合部16aにより覆われる前記第1接合部18aがともに溶融して直接的かつ一体的に前記電極10に接合されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放電式ランプ用電極の断面図である。
【図2】前記放電式ランプ用電極を構成するリード部の断面図である。
【図3】前記リード部の一体化のために用いられるダイスの例を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る放電式ランプ用電極のリード部の断面図である。
【図5】従来の放電式ランプ用電極の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0077】
10 放電式ランプ用電極
12 放電部
14 リード部
16 封着部
16a 第2接合部
17 封着用ガラスビーズ
18 外部リード線
18a 第1接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管内に配置される放電部を有する放電式ランプ用電極の当該放電部に接続されるリード部であって、
前記放電部に給電を行うための外部リード線と、
前記ガラス管の端部に封着される封着部とを備え、
前記外部リード線は、その全長にわたり一体に形成され、その一方の端部に前記放電部に接合可能な第1接合部を有し、
前記封着部は、前記外部リード線の材料の線膨張係数よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により当該外部リード線よりも短い筒状部分を有する形状に形成され、この筒状部分が、当該外部リード線の外周面のうち前記第1接合部側の端部の外周面にのみ接触しかつ当該外部リード線と独立して軸方向に熱膨張変位が可能となるように前記端部の周囲に配置され、
さらに、この封着部は、前記外部リード線の第1接合部とともに前記放電部に接合可能な第2接合部を有することを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項2】
請求項1記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記封着部は、前記外部リード線の第1接合部を軸方向に開放する形状を有することを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項3】
請求項1記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記封着部の第2接合部は、当該封着部の筒状部分よりも薄肉で前記外部リード線の第1接合部を軸方向から覆う部分であり、当該第1接合部とともに溶融して前記放電部に溶接されることが可能な肉厚を有することを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項4】
請求項3記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記外部リード線がデュメット線であることを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記ガラス管は硬質ガラスからなり、
前記封着部は、コバール合金、モリブデン、タングステンの中から選ばれる材料により形成されることを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記外部リード線及び前記封着部は、当該封着部の筒状部分の内側に当該外部リード線の前記第1接合部側の端部が挿入された状態で当該封着部が縮径加工されることにより相互一体化されたものであることを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の放電式ランプ用電極のリード部において、
前記封着部の筒状部分の外周面上に前記ガラス管に溶着可能な封着用ガラス部が設けられていることを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の放電式ランプ用電極のリード部と、
前記ガラス管の内側に挿入される放電部とを備え、
この放電部に前記リード部の第1接合部及び前記第2接合部がそれぞれ接合されていることを特徴とする放電式ランプ用電極。
【請求項9】
請求項8記載の放電式ランプ用電極のリード部と、
前記リード部の第1接合部及び前記第2接合部が互いに融合した状態で前記放電部に溶
接されていることを特徴とする放電式ランプ用電極。
【請求項10】
ガラス管内に配置される放電部を有する放電式ランプ用電極を構成するリード部であって、前記放電部に給電を行うための外部リード線及び前記ガラス管に封着される封着部を備えるリード部を製造する方法であって、
前記封着部を成形する封着部成形工程と、
その成形された封着部と前記外部リード線とを一体化する一体化工程とを含み、
前記封着部成形工程では、当該封着部として、前記外部リード線の材料よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により、前記外部リード線よりも短く当該外部リード線の周囲に配置可能な筒状部分を有する封着部を成形し、
前記一体化工程では、前記封着部の筒状部分の内側に前記外部リード線の一方の端部を挿入した状態で当該封着部を縮径加工することにより、前記封着部の筒状部分の内周面と前記外部リード線の一方の端部の外周面とが接触しながら当該封着部と当該外部リード線とが相互独立して軸方向に熱膨張可能でありかつ当該封着部及び当該外部リード線のそれぞれの一方の端部が前記放電部に同時に接合可能となるように、当該外部リード部と当該封着部とを一体化することを特徴とする放電式ランプ用電極のリード部の製造方法。
【請求項11】
ガラス管内に配置される放電部と、この放電部に給電を行うための外部リード線及び前記ガラス管に封着される封着部を含むリード部とを備えた放電式ランプ用電極を製造するための方法であって、
前記封着部を成形する封着部成形工程と、
その成形された封着部と前記外部リード線とを一体化する一体化工程と、
前記封着部と前記外部リード線とが一体化されたリード部を前記放電部に接続して前記放電式ランプ用電極を構築するリード部接続工程とを含み、
前記封着部成形工程では、当該封着部として、前記外部リード線の材料よりも前記ガラス管を構成するガラスの線膨張係数に近い線膨張係数をもつ材料により、前記外部リード線よりも短く当該外部リード線の周囲に配置可能な筒状部分を有する封着部を成形し、
前記一体化工程では、前記封着部の筒状部分の内側に前記外部リード線の一方の端部を挿入した状態で当該封着部を縮径加工することにより、前記封着部の筒状部分の内周面と前記外部リード線の一方の端部の外周面とが接触しながら当該封着部と当該外部リード線とが相互独立して軸方向に熱膨張可能でありかつ当該封着部及び当該外部リード線のそれぞれの一方の端部がともに前記放電部に接合可能となるように、当該外部リード部と当該封着部とを一体化し、
前記リード部接続工程では、前記外部リード線及び前記封着部のそれぞれの一方の端部を前記放電部に接合することを特徴とする放電式ランプ用電極の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の放電式ランプ用電極の製造方法において、
前記リード部接続工程では、前記外部リード線及び前記封着部のそれぞれの一方の端部を前記放電部に溶接することを特徴とする放電式ランプ用電極の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の放電式ランプ用電極の製造方法において、
前記外部リード線にデュメット線を用い、
前記封着部成形工程では、前記筒状部分に加えて当該筒状部分よりも薄肉で前記放電部に溶接される側の前記外部リード線の端面を覆う部分を有する形状の封着部を成形し、
前記リード部接続工程の溶接では、前記外部リード線の端面を含む部分とこの端面を覆う前記封着部の部分をともに溶融させて前記放電部に接合することを特徴とする放電式ランプ用電極の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−112706(P2008−112706A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299242(P2006−299242)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(593059843)株式会社みかど製作所 (4)
【Fターム(参考)】